JP2012533330A5 - - Google Patents
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Description
本発明は、そこから電力が電力消費電子回路へ伝達されなければならないDC電源を有する、例えば消費家電製品若しくは医療インプラントなどの電子装置に関する。
本発明はさらに、かかる電子装置の内部に電力を伝達するための方法に関する。
本発明はさらに、電力消費電子回路に電力を伝達するためにかかる電子装置において使用するための供給モジュールに関する。
ペースメーカー若しくは脳深部刺激システムなどの医療インプラントは、DC電力貯蔵部(バッテリ)から電力消費回路へ電力が伝達されなければならない電子装置の典型例である。湿潤環境での動作のために、インプラントの電子部品が湿気に接するときに電気分解などの弊害を避けるように注意が払われなければならない。US3888260において、これは二重気密シーリングを持つインプラントを提供することによって実現される。しかしながら、インプラントのバッテリが寿命の終わりに交換されなければならないとき、こうしたシーリングに回復不能な損傷を与えることなくこれを行うことは難しい。
この背景に基づき、本発明の目的は、問題のある環境においても、例えば湿気にさらされているときでも、DC電源と電子回路との間で安全なエネルギー伝達を可能にする手段を提供することである。
この目的は請求項1に記載の電子装置と請求項2に記載の方法によって達成される。好適な実施形態は従属請求項に開示される。
本発明にかかる電子装置は以下の部品を有する。
a)DC(直流電流)電源と(典型的には少なくとも2つの)出力端子、すなわちそれを介してDC電源が消費部に電気エネルギーを供給することができる電気接点とを有する"供給モジュール"。
b)(典型的には少なくとも2つの)入力端子(それを介して消費モジュールが電気エネルギーを受信することができる)と電力消費電子回路とを有する"消費モジュール"。電子回路の特性と設計は電子装置が意図する目的によって大きく異なり得る。
c)それを介して対応する出力端子と入力端子が可逆的に電気的に接続されることができるコネクタ。コネクタは例えば従来技術で周知の通り対応するオスとメスの接点を持つプラグコンセント式設計である。しかしながら、端子及びコネクタの具現化は所望のエネルギー伝達が実現される限り大きく異なり得ることが留意されるべきである。従って端子は装置のケーシングによって実現されてもよく、又はコネクタが出力及び入力端子間の単なる容量結合を有してもよい。
d)DC電源と出力端子の間に供給モジュール内に配置されるDC‐AC変換器("DCインバータ"ともいう)。DC‐AC変換器は電源のDC電圧を入力として受信し、これをAC(交流電流)出力電圧に変換し、このAC電圧を出力端子へ供給する。
a)DC(直流電流)電源と(典型的には少なくとも2つの)出力端子、すなわちそれを介してDC電源が消費部に電気エネルギーを供給することができる電気接点とを有する"供給モジュール"。
b)(典型的には少なくとも2つの)入力端子(それを介して消費モジュールが電気エネルギーを受信することができる)と電力消費電子回路とを有する"消費モジュール"。電子回路の特性と設計は電子装置が意図する目的によって大きく異なり得る。
c)それを介して対応する出力端子と入力端子が可逆的に電気的に接続されることができるコネクタ。コネクタは例えば従来技術で周知の通り対応するオスとメスの接点を持つプラグコンセント式設計である。しかしながら、端子及びコネクタの具現化は所望のエネルギー伝達が実現される限り大きく異なり得ることが留意されるべきである。従って端子は装置のケーシングによって実現されてもよく、又はコネクタが出力及び入力端子間の単なる容量結合を有してもよい。
d)DC電源と出力端子の間に供給モジュール内に配置されるDC‐AC変換器("DCインバータ"ともいう)。DC‐AC変換器は電源のDC電圧を入力として受信し、これをAC(交流電流)出力電圧に変換し、このAC電圧を出力端子へ供給する。
本発明は、さらなる態様において、DC電源と出力端子を持つ供給モジュールから、入力端子と電力消費電子回路を持つ消費モジュールへ、対応する出力端子と入力端子を接続するためのコネクタを介して、電力を伝達するための対応する方法を提供し、該方法は以下のステップを有する。
a)DC‐AC変換器を用いる、DC電源によって供給されるDC電圧のAC電圧への変換。
b)該AC電圧の出力端子への供給。
a)DC‐AC変換器を用いる、DC電源によって供給されるDC電圧のAC電圧への変換。
b)該AC電圧の出力端子への供給。
本発明は、さらなる態様において、以下を有する本発明にかかる装置で使用するための供給モジュールを提供する。
a)DC電源
b)出力端子
c)DC電源と出力端子の間に配置されるDC‐AC変換器
a)DC電源
b)出力端子
c)DC電源と出力端子の間に配置されるDC‐AC変換器
上記電子装置内の供給モジュールと方法は、利用可能なDC電源によって供給されるDC電圧をAC電圧に変換し、そしてこれはコネクタを介して消費モジュールへ伝達される。コネクタの使用は、例えば消耗した供給モジュールが新しいものに交換されなければならない場合に、供給モジュールと消費モジュールが容易に互いに分離されることができるという利点を持つ。同時に、湿潤環境においてコネクタに侵入し得る導電性の湿気の悪影響は、コネクタ端子においてAC(DCではない)電圧のみを持つことによって最小化される。
以下において、上記電子装置及び方法の両方に関する本発明の様々な好適な実施形態が記載される。
供給モジュール内のDC電源はDC電圧及び/又は電流を供給することができるいかなる装置であることもできる。これは例えば環境から(例えば体温を介して)DC電力を得て、これを消費モジュールに供給し、そこでエネルギーが消費及び/又は保存される(例えばバッテリに)手段を有することができる。ほとんどの場合、DC電源はそこから電力がとられるエネルギー貯蔵部を有する。この貯蔵部は例えば(大容量)キャパシタであり得る。最も好適には、貯蔵部は電気エネルギーが電気化学的に保存されるバッテリであり、充電式及び使い捨てバッテリの両方が使用され得る。
出力端子以外の供給モジュールの部品、及び/又は入力端子以外の消費モジュールの部品は好適には密閉され、すなわち外部からの湿気及び/又は埃の侵入を防ぐ被包内に配置される。これはモジュールを湿潤環境での適用にふさわしいものにする。
本発明の別の好適な実施形態において、キャパシタ("ブロッキングキャパシタ"という)がDC‐AC変換器と対応する出力端子の間に配置される。ブロッキングキャパシタはDC電圧が2つの出力端子間にあらわれ得ることを予防するので、DC電圧が決してあらわれる可能性がないため、電子回路内の故障の場合であっても供給モジュールを安全にし、従って端子において電気分解などの弊害が起こる可能性がない。
DC‐AC変換器によって出力端子に供給されるAC出力電圧の周波数は好適には1Hz〜1MHzである。適切な値は、電子装置が使用される特定環境において悪影響(例えば電気分解)を最小化する周波数として選ばれることができる。
本発明のさらなる展開によれば、DC‐AC変換器はパルス活性を伴う"パルス動作モード"をとることができる。この動作モードにおいてDC‐AC変換器は、DC電圧をAC電圧へ変換し、後者を出力端子へ供給するフェーズと、DC電圧を変換しないフェーズ(出力端子は好適にはこのフェーズ中に接地される)とを交互に行う。パルス動作は活性フェーズ中のAC電圧変化よりも高いレベル(低い周波数)で交互になることが留意されるべきである。提案されるDC‐AC変換器のパルス動作は、電力伝達の重要な期間が活性フェーズに集中し、漏れ電流などの悪影響の発生にかかる時間を少なくするという利点を持つ。
前述の実施形態のさらなる展開によれば、パルス動作モードにおけるDC‐AC変換器の活性フェーズは、消費モジュール内の中間電力貯蔵部(例えばキャパシタ)を十分に(すなわちその容量の約80%以上、好適には90%以上まで)充電するために十分な長さである。そして消費モジュール内の電子回路は中間電力貯蔵部から絶えず電力を供給されることができる一方、コネクタを介する重要な経路上に絶えず電力伝達がある必要はない。
特定設計に応じて、消費モジュールの電力消費電子回路は典型的にはその動作のためにAC電力若しくはDC電力の何れかを必要とする。第1の場合において、DC‐AC変換器によって供給されるAC電圧は消費モジュール内の電子回路によって直接使用されるか、又は追加の(AC)変換後に使用され得る。本発明の好適な実施形態において、消費モジュール内の電力消費電子回路はDC電圧を必要とし、装置は加えて、入力端子と消費モジュールの電力消費電子回路との間に配置されるAC‐DC変換器を有する。この場合DCからACへの変換はコネクタを介して安全な電力伝達を提供するための中間段階としてのみなされる。
前述の設計のさらなる展開によれば、装置はAC‐DC変換器の出力を接続するキャパシタ("ホールドキャパシタ"という)を有する。ホールドキャパシタはAC‐DC変換器の出力において残留AC成分とブリッジスイッチング時間を平滑化することができる。さらに、ホールドキャパシタは電力伝達のパルス動作モードに関して上述したような中間電力貯蔵部として動作することができる。
供給モジュールのDC‐AC変換器は、実質的に方形波出力電圧を供給するように随意に設計され得る。この場合、方形波電圧の過渡において極性をスイッチするだけでよいので、AC出力電圧は再度DC電圧に容易に変換されることができる。
AC電圧の使用は起こり得る湿気とのコネクタの汚染の悪影響を最小化するのに役立つが、こうした汚染を完全に防ぐためにさらなる手段が講じられることができる。従ってコネクタは湿気をはじく疎水性材料を有することが好ましい。付加的に若しくは代替的に、コネクタは接続状態にあるときに実質的に隙間を含まないべきであり、"実質的に"とは、製造公差、材料変化などのために残留する隙間が事実上避けられないことを意味する。隙間の最小化は有害な可能性がある湿気によって充填され得る体積を直接制限する。さらに、コネクタは一部の接点が故障した場合でも安全な動作を保証するために余剰接点を随意に備え得る。
本発明の好適な実施形態によれば、電子装置は埋め込み型医療機器、例えば心臓ペースメーカー若しくは脳深部刺激(DBS)システム、手術道具、又は摂取可能な電気製品("e‐medicines"若しくは"e‐pill"と呼ばれる)である。これらの電子装置は、装置の電子部品と接触し得る湿った電気化学的に活性な環境にさらされる。同時に、いかなる故障も患者の健康を直接脅かし得るため、これらの場合において安全要件は言うまでもなく非常に高い。本発明は、安全な電力供給を保証し、同時に必要であればバッテリの容易な交換を可能にする、このジレンマへの有益な解決法を提供する。
別の実施形態によれば、本発明の電子装置は消費家電製品、特にメディアプレーヤー若しくはレコーダー(例えばCDプレーヤー、MP3プレーヤー、ビデオ装置、デジタル若しくはアナログカメラ)、携帯電話、計算機、測定装置(例えば屋外距離若しくは温度測定装置)、工具(穴あけ機若しくはねじ回し)、パイプライン用装置(例えば流量測定用)、シェーバー、ダイバーによって使用される装置などであり得る。
本発明のこれらの及び他の態様は以下に記載の実施形態から明らかとなり、それらを参照して解明される。これらの実施形態は添付の図面を用いてほんの一例として記載される。
図中の類似する参照数字は同一若しくは同様の部品をあらわす。
以下、本発明が医療インプラントに関して記載されるが、これはこの用途に限定されない。
湿気に完全に耐え、なおかつ部品が交換若しくは修理される必要がある場合に再開封されることができる、密閉インプラントの機械設計を考え出すことは困難である。こうした交換は特にインプラント内の充電式バッテリの場合その寿命の終わりにおいて時々必要である。容易な交換のために、インプラントのバッテリと電子機器(両方密閉される)の間にコネクタが設けられ得る。しかしながら、バッテリが手術で交換されるとき、若しくは装置が体内に埋め込まれるとき、接点の間に湿気が侵入することは実際にはほとんど避けられない。従って、コネクタ端子の溶解及び気体発生の両方につながり得る、DCバッテリ電圧による電気分解は、コネクタにかかるDC電圧が存在するときには防ぐことができない。両方の影響は危険であり、バッテリと電子機器の間の信頼できない、若しくはさらに故障した接続につながり、患者に直接的な(例えば気体を介して)若しくは間接的な(インプラント故障)損傷をもたらす可能性がある。
バッテリと電子機器を収容する箱に湿気が侵入することを許される場合、及び機械設計がバッテリと電子機器との間の(単純な)コネクタのようである場合はもっと簡単である。これを達成するために、本発明は交換式バッテリ内にDC‐AC変換器を含めることを提案する。DC‐AC変換器の交流電圧の周波数が十分に高く、接点の適用材料及び接点間に侵入する塩分を含む湿気の特性に応じて数十Hz〜数kHzである場合、電気分解は防止される(D.Pheifer,W.B.Powell:"Introduction The Electrolytic Tilt Sensor"参照、http://archives.sensormag.com/articles/0500/120/index.htmでインターネットから利用可能)。従って本発明は、湿気がコネクタの端子間に侵入し得る例えばインプラント内などの湿潤環境でコネクタが適用されるとき、交換式バッテリとバッテリで動く電子機器との間のコネクタの接点における電気分解と気体発生の問題を解決する。随意にDC‐AC変換器は、重放電を防ぐ、短絡回路電流を監視するなどのために、通常は(充電式)バッテリとともに含まれる同じチップ上に置かれることができる。
以下、上記概念の様々な実施形態が、電子機器がDC電圧を要すると考えられるインプラントについて記載される。このために、AC‐DC変換器(整流器)がインプラントの電子機器に加えられる。さらに、以下の態様が考慮されるべきである。
‐電力伝達鎖は高効率であるべきであり、必要な電子機器は小さな体積を持ち(インプラント)、バッテリとインプラント電子機器の間のコネクタに湿気が侵入するときでも信頼でき安全であるべきである。
‐塩分を含む湿気を通る漏れ電流は電力伝達の効率を低下させる。この影響は適切な機械設計(疎水性材料、非導電性生体適合性充填剤、及び狭いショートカットのみで湿気を許容すること)及び電力伝達のデューティサイクル(すなわちパルス電力伝達)によって最小化されることができる。
‐DCからACへの変換は、DCバッテリ電圧をフルブリッジパワーステージでチョップすること、及びそれを変換してDCへ戻すための(同期)全波整流器の適用によって最も単純に実施されることができる。
‐電力伝達経路へのブロッキングキャパシタの挿入によって、これは例えばDC‐AC変換器が故障するときにDC電圧がコネクタにわたってあらわれることを防ぐので、安全性が向上する。余剰接点はコネクタの信頼性を向上させるのに役立つ。
‐電力伝達鎖における最大の部品はブロッキングキャパシタであり、より少ない程度に整流器におけるホールドキャパシタである。高いパルス電力伝達周波数はそのサイズの縮小につながる。
図1は本発明にかかる電子装置I、例えば脳深部刺激(DBS)システムなどのインプラントを概略的に図示する。インプラントIは(小さな)内部(バッテリ)抵抗Rbを介してDC電圧Vbを供給するバッテリBを持つ"供給モジュール"SMを有し、供給モジュールは環境に対して密閉されている。バッテリBは交換式バッテリであり得る。本発明によれば、バッテリBのDC電圧は4つのトランジスタM1‐M4を有するフルブリッジパワーステージによってAC電圧へ変換される。生じるAC電圧は供給モジュールSMの2つの出力端子TO1及びTO2へ供給される。出力端子はおおよそ接地とバッテリ電圧Vbの間で反対の極性Vb+及びVb−で交互になる。
供給モジュールは電子装置内で使用されることができるように、及びこれが必要になる場合に完全なモジュールとして交換されることができるように配置される。これは内蔵バッテリBがその寿命に向かっているときに典型的に起こり得る。供給モジュールは電子装置に対してスタンドアロン部品とみなされることができる。供給モジュールは、供給モジュールが中に置かれる電子装置内部の環境に耐えるために密閉される。供給モジュールは随意に、出力端子を対応する端子に可逆的に接続するためのコネクタを、適合する第2の"コネクタ部品"とともに形成するように構成される第1の"コネクタ部品"(例えばソケット若しくはプラグ)を備え得る。そしてこの第2の"コネクタ部品"は、供給モジュールが電子装置の中に入れられるように、及び第1のコネクタ部品と第2のコネクタ部品が、それを通して電子装置の回路へ電力が供給される接続を形成するように、電子装置の内部に設けられる。
トランジスタM1‐M4はジェネレータG(図1には示されない)によって制御される。ジェネレータGはトランジスタに対する例示的な制御電圧VP1,VN1,VP2,VN2と共に図4に別々に示される。図1において、トランジスタM1及びM2はNMOSトランジスタであり、これはそのゲート電位VN1若しくはVN2がそれぞれ"high"のときに導電する(すなわちその閾値電圧よりも大きい;通常ゲートは0とバッテリ電圧Vbの間でスイッチする)。トランジスタM3及びM4はPMOSトランジスタであり、これはそのゲート電位VP1及びVP2がそれぞれ"low"のときに導電する(すなわち通常は接地される)。トランジスタは例えば以下の"high"(H)及び"low"(L)電圧のシーケンスで駆動されることができる:(VP1,VN1;VP2,VN2)=(H,H;L,L),(L,L;H,H)など。
図4に、フルブリッジパワーステージにおいて短絡回路電流を防ぐために非重複クロックで制御電圧が生成される別のシーケンスが示される。この場合全トランジスタが導電していない短い期間が存在する。対応する電圧のシーケンスは(H',L'は全トランジスタが導電していないときの"high"及び"low"電圧レベルをあらわす):(VP1,VN1;VP2,VN2)=(H,H;L,L),(H',L';H',L'),(L,L;H,H),(H',L';H',L')。
インプラントIはさらにコネクタCを有し、その中で供給モジュールSMの出力端子TO1,TO2はそれぞれ"消費モジュール"CMの入力端子TI1,TI2に可逆的に接する。
コネクタCは典型的には完全に密閉されず、従って端子間の漏れ電流につながる(導電性の)湿気の侵入を許す。これは漏れ抵抗Rlkによって図2にあらわされる。
チョップされたバッテリ電圧(Vb+,Vb−)が対称(すなわち50%デューティサイクル)である場合、そのDC成分はゼロである。加えてチョップ周波数fchop=1/Tchopが十分に高く(数十Hz〜kHz)なる場合、湿気がコネクタに侵入したときのコネクタ端子における電気分解は防止される。
既に述べた消費モジュールCMは4つのダイオードD1‐D4を有するブリッジとホールドキャパシタChを持つAC‐DC変換器を有する。ダイオードブリッジは入力端子TI1,TI2によって供給されるAC電圧を整流する。ホールドキャパシタChは、(同期)整流器が電力を全く供給しないスイッチング過渡現象中に電子機器へエネルギーを供給するだけでよいので、小さくすることができる。従って貴重なインプラント体積が犠牲になる必要がほとんどない。
ダイオード整流器D1‐D4のDC出力電圧はさらに、インプラントの適切な機能(例えば神経組織への刺激パルスの定期的供給)が実現される電力消費電子回路ECに供給される。インプラントの電子機器の電子回路ECの散逸電力は、それにかかる電圧(Ve+,Ve−)で抵抗Reによってモデル化される。
ダイオードブリッジD1‐D4にかかる電圧降下は低いバッテリ電圧Vbの場合に顕著になる。この場合、もっと小さな電圧降下を持つ(全波)同期整流器が全体の電力効率を高めるために適用されることができる。こうした整流器は実質的に、電流がダイオードを通って流れ始めるときにスイッチがオンになる各ダイオードと並列の追加トランジスタを有するといえる(M.I.Mihaiu:"Toward the 'Ideal Diode'using power MOSFET in full wave synchronous rectifiers for low voltage power supplies",SPEEDAM 2008,International Symposium on Power Electronics,Electrical Drivers,Automation and Motion参照)。
体液(生理食塩水)がコネクタCに侵入するとき、(交流)漏れ電流がコネクタ端子間に流れ始め、図2において漏れ抵抗Rlkによってあらわされる。これはバッテリBにとって余剰負荷であり、従って電力伝達の効率が低下する。
上述の影響は、漏れ抵抗Rlkの値を増加するためにコネクタの適切な機械設計(疎水性材料、非導電性生体適合性充填材、及び狭いショートカットのみで湿気を許容すること)によって最小化されることができる。
別のアプローチにおいて、漏れ損失は電力伝達をデューティサイクルすることによって電気的に削減される。これは図5を参照して以下に記載され、図5はジェネレータGの"パルス動作モード"において図2の回路の1つの出力端子TO1にあらわれる典型的な出力電圧を図示する。該出力電圧は周波数1/Tchopで繰り替えされる一連の方形パルスを有する。一連のパルスは充電フェーズTCh中に供給され、その後、フルブリッジパワーステージがスイッチしていない不活性フェーズが続く(例えばパワーステージは、出力端子TO1,TO2がバッテリB若しくは接地のいずれにも接続していない(すなわち全トランジスタが導電していない)、出力端子TO1,TO2が両方とも接地される、又は両方ともバッテリBに接続される状態に設定され得る)。1電力伝達周期Tpの期間後、新たな一連の充電パルスが続く。
図5における各充電期間のパルスは指数関数的増加とともに示されることが留意されるべきである。これは充電期間中、ホールドキャパシタの充電電流が、出力端子TO1がバッテリに接続される(すなわちトランジスタM4が導電する)たびに時間とともに指数関数的に変化し、この指数関数的に減衰する電流が、バッテリBの内部抵抗RbとトランジスタM4の出力抵抗にかかる指数関数的に変化する電圧につながるためである。結果として、パルスはバッテリ電圧Vbに向かって指数関数的増加を示す。
さらに、図5における座標系の原点は図4に示したものと一致することが留意されるべきである(t=0の直後にVP2とVN2は"high"なので、図5におけるVb+端子は"low"/接地で開始する)。
消費モジュールCM内のホールドキャパシタChは小さな時定数τChで非常に迅速に充電されることができ、一方ホールドキャパシタはもっと大きな時定数τe(ReCh)で電子機器ECによって放電される。従ってチョッピング期間Tchopはわずかな充電時定数τChであるとみなされることができ、わずかなチョッピング期間後、TCh≧Tchopの時間中に、ホールドキャパシタChは完全に充電される(これはおおよそ5充電時定数かかるため)。
チョッピング期間Tchopはまた単一の時定数τChよりも小さいともみなされ得(これは高チョッピング周波数の場合に起こり得る)、この場合ホールドキャパシタChは各チョッピング期間中にわずかに充電されるだけであることに留意されたい。それにもかかわらず、活性充電時間TChが十分に長い、すなわち十分な数の時定数τChとみなされる場合、ホールドキャパシタはやはり完全に充電される。従ってチョッピング期間は時定数τChから独立して選ばれることができる。
電力伝達期間Tpの残りの不活性フェーズについて、フルブリッジDC‐AC変換器の全スイッチM1‐M4は開かれたままであることができ、又はバッテリ出力端子が(M1とM2を介して)接地されることができる。端子が接地される場合、電流はダイオード整流器を通って流れないが、別の種類の整流器が適用される場合、ホールドキャパシタを短絡させるのを防ぐために予防措置がとられなければならないことが留意されるべきである。
従って電力伝達期間Tpは好適には活性充電時間TCh(しばしば各々数充電時定数τChの数チョッピング期間Tchop)よりもずっと大きいが、また放電時定数τeよりもずっと小さくされるべきである、すなわちTCh<<Tp<<τe。
さもなければ、効率の利得はホールドキャパシタChに対する電圧リプルのために再度失われ、これは(Rleak=Rlk)に従って電力伝達の効率ηからも明らかである。
TCh/Tpは充電デューティサイクルである。理想整流器が想定され、すなわちゼロ電圧降下である。
TCh/Tpは充電デューティサイクルである。理想整流器が想定され、すなわちゼロ電圧降下である。
電気分解の防止にのみ関心があり、(例えば漏れ電流の影響を減らすための)デューティサイクルを適用しない場合、チョッピング周波数は典型的には数十Hz〜数kHzである。しかしながらデューティサイクルが適用されるとき、ホールドキャパシタは一旦チョッピングが止まると"消費モジュール"にとって唯一のエネルギー源となる。(効率に対する漏れ電流の影響を減らすために)チョッピング周波数を低く保ち(デューティサイクル無しのように例えば100Hz)、またTCh<<Tpに従おうとすると、かなり大きなホールドキャパシタC h になることになり得る。
これを避けるために、例えば電力伝達時間Tpを約100μsに減らし、活性充電時間TChを10μsになるように選び(これはホールドキャパシタを完全に再充電するために十分であると仮定する)、例えば200kHzのチョッピング周波数をとることができる(活性充電時間において2つのチョッピング期間が生じる)。そしてこれはより頻繁に再充電されるので、ホールドキャパシタの値とサイズを削減することができる。
電子機器が故障する場合、DCバッテリ電圧がコネクタの端子にあらわれ、電解反応が開始するということが起こり得る。この故障モードは図3に示す通りチョップされたバッテリ電圧の出力リードの1つへのブロッキングキャパシタCbの挿入によって軽減されることができる。デューティサイクル無し、すなわちパルス電力伝達無しでは、電子機器に対するバッテリ電圧Vbと(平均)供給電圧Veの変換率Mはこの場合次式によって与えられる。
ここで電子機器にわたる放電率はτbe(Re[Ch||Cb])で与えられる。このキャパシタを充電することはエネルギーを消費し、これは電子機器に対する低い供給電圧になるため、最高出力電圧はホールドキャパシタCh無しで得られる。
ここで電子機器にわたる放電率はτbe(Re[Ch||Cb])で与えられる。このキャパシタを充電することはエネルギーを消費し、これは電子機器に対する低い供給電圧になるため、最高出力電圧はホールドキャパシタCh無しで得られる。
理想整流器に対する変換器の効率は次式から計算されることができる。
これはホールドキャパシタ無しで最高効率が得られることを示す。従ってブロッキングキャパシタが効果的にホールドキャパシタにとって代わる。スイッチング過渡現象中に電子機器に供給するために小さなホールドキャパシタが依然として必要であることが留意されるべきである。
これはホールドキャパシタ無しで最高効率が得られることを示す。従ってブロッキングキャパシタが効果的にホールドキャパシタにとって代わる。スイッチング過渡現象中に電子機器に供給するために小さなホールドキャパシタが依然として必要であることが留意されるべきである。
デューティサイクルは再度漏れ電流の影響を減らすために適用されることができるが、ブロッキングキャパシタが挿入されるとき回路は異なる動きをする。例えば、フルブリッジパワーステージの全トランジスタは、コネクタ内の電流を防止するためにチョッピング期間TCh後、電力伝達期間Tpの残りにわたって非導電性にされるべきである(すなわち全トランジスタスイッチが"開")。ブロックキャパシタが存在しないとき(図2の回路のように)、フルブリッジパワーステージの出力を接地すること(すなわちM1とM2をオンに、M3とM4をオフにスイッチすること)が適用されることができるが、ブロッキングキャパシタが存在するとき(図3の回路のように)、接地はコネクタ内の(放電)電流の流れにつながる。従ってブロッキングキャパシタはパルス電力モードにおいてホールドキャパシタの機能を果たすことはできず、ホールドキャパシタがこの役割を再度引き継ぐ。
本発明は好適には、湿気が侵入することが許されるべきであり(手術中はほとんど避けられない)、バッテリを交換可能にするために安全な接続(すなわち電気分解の危険がない)がバッテリと電子機器(両方とも密閉される)の間に作られなければならない、例えば脳深部刺激装置などのインプラントにおいて適用されることができる。さらに、これは同様の条件と要件が有効である多くの他の状況及び装置、特に湿潤環境(例えば屋外環境、浴室、水泳プールなど)において使用される製品において適用されることができる。
最後に本願において"有する"という語は他の要素若しくはステップを除外せず、"a"若しくは"an"は複数を除外せず、単一のプロセッサ若しくは他のユニットが複数の手段の機能を満たしてもよいことが指摘される。本発明はありとあらゆる新規の特性及び特性のありとあらゆる組み合わせに存在する。さらに、請求項における参照符号はその範囲を限定するものと解釈されてはならない。
Claims (15)
- 電子装置であって、
a)DC電源と出力端子とを持つ供給モジュールと、
b)入力端子と中間電力貯蔵部と電力消費電子回路とを持つ消費モジュールと、
c)対応する出力端子と入力端子を分離可能に接続するためのコネクタと、
d)前記DC電源と前記出力端子の間に配置される第一の変換器とを有し、
前記第一の変換器がパルス活性フェーズと不活性フェーズを有するように動作し、前記パルス活性フェーズ中に、前記消費モジュール内の中間電力貯蔵部を十分に充電するために十分な長さにわたって、パルス状の電圧が前記出力端子に供給される、電子装置。 - DC電源と出力端子とを持つ供給モジュールから、
入力端子と中間電力貯蔵部と電力消費電子回路とを持つ消費モジュールへ、
対応する出力端子と入力端子を分離可能に接続するためのコネクタを介して、
電力を伝達するための方法であって、
a)パルス活性フェーズと不活性フェーズを有するように動作する第一の変換器を用いて、前記DC電源によって供給されるDC電圧をパルス状の電圧に変換するステップと、
b)前記パルス状の電圧を、前記パルス活性フェーズ中に、前記消費モジュール内の中間電力貯蔵部を十分に充電するために十分な長さにわたって、前記出力端子に供給するステップとを有する、方法。 - 前記DC電源がバッテリである、請求項1に記載の装置。
- 前記供給モジュール及び/又は前記消費モジュールが、関連する出力端子若しくは入力端子をそれぞれ除いて密閉される、請求項1に記載の装置。
- 前記第一の変換器と1つの出力端子の間にブロッキングキャパシタが配置される、請求項1に記載の装置。
- 前記第一の変換器が前記DC電源の電圧をチョップするフルブリッジパワーステージを有する、請求項1に記載の装置。
- 前記装置が前記入力端子と前記電力消費電子回路の間に配置される第二の変換器を有する、請求項1に記載の装置。
- 前記第二の変換器の出力を接続するホールドキャパシタを有する、請求項7に記載の装置。
- 前記第一の変換器が実質的に方形波出力電圧を供給する、請求項1に記載の装置。
- 前記コネクタが疎水性材料を有するか、余剰接点を有するか、及び/又は接続状態において実質的に隙間を持たない、請求項1に記載の装置。
- 前記装置が埋め込み型装置、脳深部刺激システム、手術道具、若しくは摂取可能な電気製品である、請求項1に記載の装置。
- 前記装置が消費家電製品、メディアプレーヤー、レコーダー、携帯電話、計算機、パイプライン用装置、シェーバー、測定装置、ダイバーによって使用される装置、又は工具である、請求項1に記載の装置。
- 請求項1に記載の装置において使用するための供給モジュールであって、
a)DC電源と、
b)出力端子と、
c)前記DC電源と前記出力端子の間に配置される第一の変換器とを有する、供給モジュール。 - 前記第一の変換器における前記変換が、選択的に動作する複数のトランジスタにより実施される、請求項2に記載の方法。
- 前記ホールドキャパシタが、前記電力消費電子回路に連続電力を供給するために、前記不活性フェーズ中に電力を供給する、請求項8に記載の装置。
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