JP2012532838A - 安定化された免疫グロブリン定常ドメイン - Google Patents

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Abstract

本発明は、少なくとも1つの定常抗体ドメインを含んでなるマルチドメインモジュラー抗体であって、フレームワーク領域にドメイン内又はドメイン間ジスルフィド架橋を得るために、前記定常ドメインの変異誘発を通してアミノ酸配列に少なくとも1つのCys残基を導入することによって人工ジスルフィド架橋を形成するために変異された抗体、このような抗体に基づくライブラリ、及び製造の方法に関する。

Description

本発明は少なくとも一つの定常抗体ドメインを含んでなるマルチドメイン免疫グロブリンに関し、それは安定化されている。
モノクローナル抗体は、治療結合物質として広く使われてきた。基本的な抗体構造は、例としてインタクトなIgG1免疫グロブリンを使用して、ここに説明される。
2つの同一な重(H)及び2つの同一な軽(L)鎖が組み合わさって、Y形の抗体分子を形成する。重鎖は、各々4つのドメインを有する。アミノ末端可変ドメイン(VH)は、Yの先端にある。IgG、IgD及び、IgAの場合、Yの茎基部に、3つの定常ドメイン:CH1、CH2、及びカルボキシ末端CH3が続く。IgM及びIgEの場合、4つの異なる定常ドメインがある。短い伸長、スイッチ、は、重鎖可変及び定常領域を連結する。ヒンジは、CH2及びCH3(Fc断片)を抗体の残り(Fab断片)に連結する。1つのFc及び2つの同一Fab断片は、インタクトな抗体におけるヒンジのタンパク質分解切断によって生産されることが出来る。軽鎖は2つのドメイン、可変(VL)及び定常(CL)から構成され、スイッチによって分けられる。
ヒンジ領域におけるジスルフィド結合は、2つの重鎖を連結する。軽鎖は、更なるジスルフィド結合によって重鎖に連結される。Asn連結の炭水化物部分は、免疫グロブリンのクラスに応じて、定常ドメインの異なる位置に付着される。ヒトIgG1では、ヒンジ領域の2つのジスルフィド結合が、Cys226及びCys229対の間で、2つの重鎖を結合する。軽鎖は、CH1領域のSer221に続くCys及びCL領域のCys214sとの間で、2つの更なるジスルフィド結合によって重鎖に連結される。炭水化物部分は各CH2のAsn297に取り付けられ、Yの茎において顕著な膨隆を生成する。ここでの番号はカバット番号付けスキームに従って与えられる。
これらの特徴は、重大な機能的結果を持つ。重及び軽鎖(VH)及び(VL)双方の可変領域は、Yの「先端」に位置し、そこでそれらは抗原と反応するよう配置される。分子の該先端は、アミノ酸配列のN末端が配置される側である。Yの茎は、例えば補体の活性化及びFc受容体との相互作用、又はADCC及びADCP等のエフェクター機能を能率的に仲介するように、伸展する。それのCH2及びCH3ドメインは、エフェクタータンパク質との相互作用を促進するように隆起する。アミノ酸配列のC末端は先端の反対側に位置し、それはYの「底」と呼ばれることが出来る。
ラムダ(λ)及びカッパ(κ)と称される、2つのタイプの軽鎖が抗体に存在する。所与の免疫グロブリンは、カッパ鎖又はラムダ鎖のどちらかを有し、各々1つずつであることはない。ラムダ又はカッパ軽鎖を有する抗体の間で、機能的な違いは見られていない。
抗体分子の各ドメインは、圧縮された逆平行のβバレルにおいて各々に対して密接にまとめられた、類似した構造の2つのβシートを有している。この保存された構造は、免疫グロブリンフォールドと呼ばれる。定常ドメインの免疫グロブリンフォールドは、4ストランドシートに対してまとめられた3ストランドシートを含む。フォールドは、各シートのβストランド間の水素結合によって、内部の対向シートの残基間の疎水結合によって、そして、シート間のジスルフィド結合によって安定化される。3ストランドシートは、ストランドC、F及びGから成り、そして、4ストランドシートは、ストランドA、B、E及びDを有する。文字AからGは、免疫グロブリンフォールドのアミノ酸配列に沿ったβストランドの連続的な配置を示す。
可変ドメインのフォールドは、4及び5ストランドの2つのシートに配置される9つのβストランドを有する。5ストランドシートは、定常ドメインの3ストランドシートに構造的に相同であるが、余分のストランドC’及びC’’を含む。残りのストランド(A、B、C、D、E、F、G)は、定常ドメイン免疫グロブリンフォールドのそれらの相対物と同じトポロジ及び類似した構造を持つ。ジスルフィド結合は、定常ドメインのように、対向シートのストランドB及びFを連結する。
両軽及び重免疫グロブリン鎖の可変ドメインは、3つの超可変ループ、又は相補性決定領域(CDRs)を含む。Vドメインの3つのCDR(CDR1、CDR2、CDR3)は、βバレルの一端で集まる。CDRsは、免疫グロブリンフォールドのβストランドB-C、C’-C’’、及びF-Gを連結するループである。CDRsの残基は免疫グロブリン分子ごとに異なり、各抗体に抗原特異性を与える。
6つのCDRs(各ドメインに3つ)が、抗原に特異的な結合のための面(又はキャビティ)を造る際に協同するように、抗体分子の先端のVL及びVHドメインは密接にまとまっている。抗体の天然の抗原結合部位は、このように、軽鎖可変ドメインのストランドB-C、C’-C’’、及びF-G、並びに重鎖可変ドメインのストランドB-C、C’-C’’、及びF-Gを連結するループから成る。
天然の免疫グロブリンにおけるCDRループではなく、CDRループと場合によっては抗原結合ポケットに寄与するCDRループ内の隣接するループとに決定される抗原結合ポケットとは別のループは、抗原結合又はエピトープ結合特異性を持たないが、免疫グロブリン分子全体の正しい折りたたみに寄与し、従って本発明の目的のために構造ループと呼ばれる。
先行技術文書は、既存の抗原結合部位を操作し、これによって新しい結合特性を導入するために、免疫グロブリン足場が用いられてきたことを示す。多くの場合、CDR領域が様々な抗原結合のために操作されてきており、換言すれば、免疫グロブリンフォールドの場合、天然抗原結合部位だけが、その結合親和性又は特異性を変化するために修飾されてきた。膨大な文献が存在し、それはこのような操作された免疫グロブリンの異なるフォーマットに言及し、しばしば単鎖Fv断片(scFv)又はFab断片の形で発現され、ファージ粒子の面上に提示されるか、又は様々な原核生物又は真核生物発現系において可溶性に発現される。特定の免疫グロブリンバインダを得るために、当分野において様々な免疫グロブリンライブラリが提案されてきた。しかしながら、そのようなライブラリを準備するために使用される足場は、抗原結合ポケットを操作する際の考えられるフレームワークの劣化のために、限定された。
先行技術はまた、単CH2抗体ドメインを安定させることに言及する。Gong等(J. Biol. Chem. (2009) 284 (21): 14203-14210)は、単離された非グリコシル化ヒトCH2単ドメインを記載し、これは、熱的誘導変性に対して比較的不安定である。変異CH2ドメインが設計され、これは天然ジスルフィド結合の領域内、つまりN末端ストランドA及びC末端ストランドGの間、に更なるジスルフィド結合を有した。これによって、最高73°CのTmを有する熱安定性が、単量体CH2で得られた。操作された単ドメインCH2ドメイン、ナノ抗体とも呼ばれる、は、足場として使用されることができる(Dimitrov (2009) mAbs1:1, 26-28)。
CH3領域の二量化が、抗体の組立てにおいて重要な役割を果たすことが言及されている。Mcauley等(Protein Science (2008) 17:95-106)は、Cys367及びCys425(カバット番号付けスキームに従う)間のCH3ドメイン内ジスルフィド結合が、埋設され高く保存されていることを教示する。このジスルフィド結合は二量化のために必要でなく、なぜなら、組換えヒトCH3ドメインは、還元状態においてさえ、二量体として存在するからである。
国際公開第06072620A1号は免疫グロブリンを設計する方法を記載し、それは新しい抗原結合部位を得るための構造ループ領域における修飾を含む。この方法は、免疫グロブリンに広く適用可能であり、種々の抗原を標的としている免疫グロブリンのライブラリを作製するために用いられることが出来る。CH3ライブラリは、抗原に特異的なバインダを選ぶことに有用であることが示されてきた。
国際公開第2009/000006A1号は、標的及び足場リガンドに結合する抗体ドメインのオリゴマーを生産する方法を記載する。
国際公開第2006/036834A1号は、Fcドメインに組み込まれた生物学上活性なペプチドを記載する。
それぞれのライブラリを作製するための安定した免疫グロブリンを提供する必要がある。従って、抗体工学のための足場として、改良された免疫グロブリンを提供することが、本発明の目的である。
該目的は、請求される主題によって解決される。
本発明によると、少なくとも1つの定常抗体ドメインを含んでなるマルチドメインモジュラー抗体が提供され、それはフレームワーク領域内にドメイン内又はドメイン間ジスルフィド架橋を得るために、前記定常ドメインの変異生成を通してアミノ酸配列に少なくとも1つのCys残基を導入することによって人工ジスルフィド架橋を形成するよう変異されている。
好ましくは、本発明によるモジュラー抗体は、前記人工ジスルフィド架橋によって連結された、少なくとも2つの定常ドメインを含む。
本発明による好ましいモジュラー抗体は、好ましくは変異の部位に加えて、抗原結合領域を有する。従って、本発明による好ましいモジュラー抗体は、抗体の抗原結合部位とは別に導入された、前記少なくとも1つのCys残基を有する。
本発明による好ましいモジュラー抗体は、完全長抗体、又はFab、Fc、又は少なくとも1つの定常ドメインと少なくとも1つの定常ドメイン又は可変ドメインとの他の組合せ等の抗体一部であるモジュラー抗体である。
本発明によるモジュラー抗体好ましくは、少なくとも一つのCys残基を導入することにより形成される人工ジスルフィド架橋を含み、単Cys残基は好ましくは、例えばホモ2量体ドメイン間等で、ドメイン間架橋を得るよう設計される。ドメイン内の2つの更なるCys残基が、更なるドメイン内ジスルフィド結合を得るために、好ましくは設計される。
本発明による好ましいモジュラー抗体は、モジュラー抗体の抗原結合機能に寄与する定常ドメインを含み、例えば抗原結合部位の少なくとも一部を形成する定常ドメインである。
好ましい実施態様によれば、本発明によるモジュラー抗体は、モジュラー抗体ライブラリを作製するための新しい足場を提供するために用いられる。
本発明によれば、モジュラー抗体のライブラリを更に提供し、それはループ領域内にランダム化されたアミノ酸配列を得るために変異誘発されている。
本発明によれば、本発明によるモジュラー抗体を製造する方法が更に提供され、
−少なくとも2つの抗体ドメインを含んでなるモジュラー抗体を提供する工程であっ て、抗体ドメインの内少なくとも一つが定常ドメインである工程、
−前記ドメインのフレームワーク領域内にCys残基を導入するために、前記定常ド メインを変異させる工程、及び
−分子内に新規のジスルフィド架橋を形成するために酸化条件下で前記モジュラー抗 体を発現させる工程
を含む。
好ましい方法によれば、Cys残基を導入するために、少なくとも2つの定常ドメインが変異される。等価な実施態様では、人工ジスルフィド架橋を形成するために、他のいかなる人工の又は代わりのチオール形成アミノ酸又はアミノ酸類似体が、アミノ酸配列に設計され得る。アミノ酸配列は好ましくは、挿入又は置換によって変異される。
本発明による好ましい方法では、Cys残基は、抗体の抗原結合部位とは別に導入される。従って、生物学的活性又は抗原結合特性は、この種のCys操作又はジスルフィド結合形成によって妨げられないだろう。
本発明による更なる好ましい方法は、前記ドメインのフレームワーク領域内の位置に、前記定常ドメインの変異を提供し、例えば、構造ループ領域又はβシート領域内であり、例えば以下のアミノ酸位からなる群から選択される:
シートA:1-15.1
シートB:16-26
シートC:39-45.1
シートD:77-84
シートE:85.1-96
シートF:96.2-104
シートG:118-129
番号は、IMGT番号付けスキームに従う。
適切な人工ジスルフィド架橋を導入する好ましい部位が、表1に示される。番号付けはヒトIgG1抗体ドメインに言及するが、他の抗体ドメイン、例えば異なる抗体クラス又は異なる起源、例えばヒト以外の哺乳類種、又は変異体(mutant)又は多様体(variant)抗体ドメインの類似する位置が、人工ジスルフィド架橋を設計するこの目的のために選択されることが出来る。
Figure 2012532838
Figure 2012532838
本発明による好ましい方法は、定常ドメインを変異させることを提供し、それは抗原結合に寄与し、例えば抗原結合部位の少なくとも一部を形成する定常ドメインである。
本発明による好ましい方法では、モジュラー抗体は、ジスルフィドを形成する条件下で宿主細胞によって発現され、例えば、ジスルフィド結合を形成するように発現及び/又は分泌され、例えば、大腸菌の細胞膜周辺腔における発現によって、又は真核生物発現システム(例えば酵母又は哺乳動物細胞)の分泌タンパク質としての発現等による。
本発明は、マルチドメインモジュラー抗体の熱安定性を増加するために、ジスルフィド結合を定常ドメインのフレームワークに導入する方法を更に提供する。
本発明の更なる実施態様によれば、マルチドメインモジュラー抗体の抗原結合を改善するためにジスルフィド結合を定常ドメインのフレームワークに導入する方法が提供される。
図1は変異体Fcの配列を示す。この配列が野生型Fcのと異なる変異残基に下線が引かれる。 図2はCys残基を導入するための変異(変異システインに下線が引かれる)を有する野生型のFcの配列を示す。図2aはFc CysP2の配列を示し;図2bはFc CysP4の配列を示し、実施例2にて説明される。 図3はCys残基を導入するための変異(変異システインに下線が引かれる)を有する野生型のFcの配列を示す。図3aは、Fc CysP24の配列を示し;図3bは、Fc CysP2Cysの配列を示し、実施例2にて説明される。 図4はCys残基を導入するための変異(変異システインに下線が引かれる)を有するHer2/neu結合Fcの配列を示す。図4aはCys変異のないFc H10-03-6の配列を示し;図4bはFc H10-03-6Cysの配列を示し;図4cは、Fc H10-03-6CysP2の配列を示し;4d図はFc H10-03-6CysP2Cysの配列を示し、実施例3にて説明される。
(定義)
明細書を通して使用される特定の用語は、以下の意味を持つ。
用語「抗原」又は「標的」は、本発明で使用される場合は、モジュラー抗体の結合部位によって認識されることができる全ての抗原及び標的分子を特に含む。本発明によるモジュラー抗体によって標的とされる特に好ましい抗原は、免疫学的又は治療的に関係することが可能であるとすでに証明された抗原又は分子であり、特に臨床的有効性が検査されたものである。
該用語は、具体的には、アレルゲン、腫瘍関連抗原、細胞表面受容体を含む自己抗原、酵素、Fc受容体、FcRn、HSA、IgG、インターロイキン又はサイトカイン、補体系、輸送タンパク質、血清分子、細菌抗原、菌類抗原、原生動物の抗原及びウィルス抗原、また、伝達性海綿状脳症(TSE)に関する分子、例えばプリオンであり、感染性に関わらない、及び炎症状態、例えば炎症性因子、多発性硬化症又はアルツハイマー病に関係するマーカー又は分子、又はハプテンから成る群から選択される分子を特に含む。
抗原は、標的分子全部として又はそのような分子の断片(特に標的のサブストラクチャー、一般的にエピトープとして称される(例えばB細胞エピトープ、T細胞エピトープ))として認識され、エピトープは、免疫学的に関与すると理解され、つまり天然又はモノクローナル抗体によって認識可能である。従って、用語「エピトープ」は、本明細書において使用される場合、本発明のモジュラー交代の結合部位に対する、特定の結合パートナー又は特定の結合パートナーの一部を完全に作り得る分子構造を意味するだろう。用語エピトープは、ハプテンとも称され得る。化学的に、エピトープは、糖質、ペプチド、脂肪酸、有機、生化学又は無機物質、又はそれらの誘導体及びそれらの何れかの組み合わせであり得る。エピトープがポリペプチドである場合、通常少なくとも3アミノ酸、好ましくは8〜50アミノ酸、及びより好ましくは約10〜20の間のアミノ酸をペプチドに含む。ペプチドの長さに対する決定的な上限はなく、タンパク質のポリペプチド配列のほぼ全長を含むことが可能である。エピトープは、線形又はコンフォメーションエピトープであり得る。線形エピトープは、ポリペプチド鎖の一次配列の単セグメントから成る。線形エピトープは、近接又は重なり得る。コンフォメーションエピトープはポリペプチドの折りたたみによってまとめられるアミノ酸から成り、3次構造を形成し、エピトープのアミノ酸は線形的配列において互いと必ずしも隣接しているというわけではない。具体的には、エピトープは少なくとも診断的に関係する分子の一部であり、すなわち、サンプルにおけるエピトープの欠如又は存在は、質的又は量的に、患者の疾病又は健康状態に又は製造のプロセス状況に又は環境及び食品状態に相関する。エピトープは、また、少なくとも、治療的に関係する分子、すなわち疾病のコースを変える特定の結合ドメインによって標的とされることができる分子の一部であり得る。
ジスルフィド架橋(「S-S架橋」)に関する「人工」は、S-S架橋が野生型のモジュラー抗体によって自然に形成されず、親分子の操作された変異体によって形成されることを意味し、少なくとも一つの外来アミノ酸がジスルフィド結合に貢献する。人工ジスルフィド架橋の部位特異的な設計は、天然の免疫グロブリン又はモジュラー抗体(例えば国際公開第2009/000006A1号に記載されているもの)において自然に利用できるものとは明らかに異なっており、なぜなら、人工ジスルフィド架橋の架橋ピア(bridge piers)の部位のうちの少なくとも1つは、野生型抗体のCys残基の位置とは別に一般的に配置され、従って、フレームワーク領域内に、代替的な又は付加的なジスルフィド架橋を提供するからである。
用語「発現系」は、機能的連携にある所望のコード配列及び制御配列を含んでなる核酸分子を意味し、これらの配列によって形質転換又はトランスフェクトされた宿主はコードされたタンパク質を生産することが出来る。変換を遂行するために、発現系は、ベクターに含まれることができる;しかしながら、関連DNAも、また、宿主染色体に組み込まれ得る。別法では、発現系は、インビトロでの転写/翻訳のために用いられることができる。
アミノ酸との関連における、用語「外来」は、アミノ酸配列に新しく導入されたアミノ酸を意味し、それは通常自然に生じるが、修飾部位に対して外来、又は自然に生じるアミノ酸の置換である。
用語「フレームワーク」又は「フレームワーク領域」は、構造ループ領域を含む抗体ドメインのCDRループ領域の外側に位置する、モジュラー抗体の保存された領域を言及する。フレームワーク領域は、通常免疫グロブリンドメインのβシート領域を含むか又はから成る。典型的には、本発明によるCys変異はフレームワーク領域にあり、それらはモジュラー抗体のいかなる抗原結合部位を立体配置的に妨げない。このように、本発明によるモジュラー抗体のフレームワーク領域が、概して抗原結合配列と別にあることが理解される。国際公開第2006/036834A1号による、Fcドメインのループ領域への生物学的に活発なペプチド配列のいかなる組み込みも潜在的結合部位と考えられ、該ペプチド配列内でのジスルフィド架橋は、ペプチド配列の生物学的活性を維持するために回避されるだろう。
用語「免疫グロブリン」は、本発明において使用される場合、単一又は二重又は多重特異的、又は一価、二価又は多価的結合特異性を示し、例えば、病原菌起源の又はヒト構造どちらかの抗原、エフェクター分子又はタンパク質、例えば細胞付随(cell-associated)又は血清タンパク質を含む自己抗原等、のエピトープ対する、好ましくは少なくとも2、より好ましくは少なくとも3つの特異的な結合部位を有する。用語免疫グロブリンは、また、本発明において使用される場合、抗体の機能的な断片を含み、例えば、Fc、Fab、scFv、免疫グロブリンドメインのペアの単鎖、例えばCH1/CLドメインの単鎖二量体、Fv、又は二量体、例えばVH/VL、CH1/CL、CH2/CH2、CH3/CH3、又は免疫グロブリンの他のの誘導剤又は組合せ等である。定義は更に、可変領域の重鎖及び軽鎖のドメイン(例えばdAb、Fd、Vl、Vk、Vh、VHH)及びインタクト抗体の定常領域又は個々のドメイン、例えばCH1、CH2、CH3、CH4、Cl及びCk、並びに構造ループによって連結される免疫グロブリンドメインの少なくとも2つのβストランドからなる小ドメイン(mini-domain)、又は、組換え抗体ドメイン、例えばストランド交換設計されたドメイン(SEEDbodies)等であり、ヒトIgG及びIgA CH3ドメインのβ-ストランドセグメントを互いに嵌合しているもの等、を含む。
用語「免疫グロブリン様分子」は、本発明において使用される場合、いかなる抗原結合性タンパク質をも意味し、特にヒトタンパク質であり、モジュラー方式に造られることが出来るドメイン構造を有する。本発明のために好ましく使用される免疫グロブリン様分子は、T細胞受容体(TCR)、フィブロネクチン、トランスフェリン、CTLA-4、単鎖抗原受容体、例えばT細胞受容体及び抗体に関するもの、抗体模倣物、アドネクチン(adnectins)、アンチカリン(anticalins)、フィロマー(phylomers)、反復タンパク質、例えばアンキリンリピート、アビマー(avimers)、バーサボディ(Versabodies)、サソリ毒素ベース分子、及び抗原結合特性を有する非抗体タンパク質足場である。
アンキリンリピート(AR)、アルマジロリピート(ARM)、ロイシンリッチリピート(LRR)及びテトラトリコペプチド反復(TPR)タンパク質が、反復タンパク質のタンパク質クラスで最も顕著なメンバーである。反復タンパク質は、伸長ドメインを形成するために重ねられる相同な構造ユニット(リピート)から成る。結合相互作用は通常いくつかの隣接リピートによって媒介され、大きい標的相互作用面となる。
アビマーは、いくつかの細胞表面受容体の複数ドメインのストリングとしてAドメインを含む。このファミリーのドメインは自然に、小分子、タンパク質、及びウイルスを含む100以上の異なる既知の標的を結合する。標的は典型的には多数のAドメインによって接触され、各ドメインはユニークエピトープと個々に結合することを、トランケーション分析は示してきた。多数の結合ドメインを組み合わせることにより生じるアビディティーは、親和性及び特異性を増加する強力なアプローチであり、それはこれらの受容体が進化の間、活用してきたものである。
アンチカリンは、リポカリン足場に由来する操作されたヒトタンパク質であり、ヒト化抗体に典型的である所定の結合特性を有する。リポカリンは、160-180のアミノ酸を含み、円錐β-バレルタンパク質を形成し、4つのループに囲まれたリガンド結合ポケットを有する。小疎水性化合物がリポカリンの自然のリガンドであり、新規の化合物特異性を有する異なるリポカリン多様体(「アンチカリン」とも呼ばれる)が、この結合ポケットにおける残基をランダム化した後に単離されることができた。
単鎖抗原受容体は、一つの可変ドメインを含み、ラクダ単ドメイン抗体より20%小さい。
フィロマーは、生物多様天然タンパク質断片に由来するペプチドである。
用語「モジュラー抗体」、「免疫グロブリン」、「免疫グロブリン様タンパク質」は、それらの誘導体を同様に含むことが理解される。誘導体は、本発明の一又は複数のモジュラー抗体及び又は融合タンパクを有するいかなる組合せであって、本発明のモジュラー抗体のいかなるドメイン又は小ドメインが、一又は複数の他のタンパク質(例えば他のモジュラー抗体、免疫グロブリン、リガンド、足場タンパク質、酵素、毒素等)のいかなる位置に融合され得る。本発明のモジュラー抗体の誘導体はまた、共有結合、静電相互作用、ジスルフィド結合その他等の様々な化学技術によって、他の物質に会合又は結合することで得られることが出来る。免疫グロブリンに結合される他の物質は、脂質、炭水化物、核酸、有機及び無機分子又はそれらのいかなる組合せでもあってもよい(例えばPEG、プロドラッグ、又は薬剤)。誘導体はまた、相同アミノ酸配列を有する抗体を含み、それは非天然又は化学的に修飾されたアミノ酸を含み得る。モジュラー抗体の更なる誘導体は、それらの断片として提供され、少なくともフレームワーク領域及びループ領域を含む。
「モジュラー抗体」は、本発明において使用される場合、ヒト抗体様であり、少なくとも一つのポリペプチドモジュール又はタンパク質ドメインから成る抗原結合性分子として定義され、好ましくは天然形である。用語「モジュラー抗体」は、免疫グロブリン、免疫グロブリン様タンパク質、又は免疫グロブリン又は抗体に類似したモジュラーフォーマット及び抗原結合特性を呈する他のタンパク質の何れかである抗原結合性分子を含み、それは、抗原結合足場として使われることができ、好ましくはヒトタンパク質に基づく。
用語「マルチドメインモジュラー抗体」は、本発明において使用される場合、少なくとも2つのモジュラー抗体及びドメインをそれぞれ含んでなるモジュラー抗体を意味する。
ここで使用しているように、用語「特異的に結合する」又は、「特異的結合」は、分子の不均一な集合において、対象とする同族リガンドを決定する結合反応を意味する。このように、指定された条件(例えばイムノアッセイ条件)の下で、モジュラー抗体は、その特定の標的と結合し、サンプルに存在する他の分子に有意な量においては結合しない。特異的結合とは、結合が、選択に従って、標的識別、高、中、又は低結合親和性又はアビディティーに関して選択的であることを意味する。選択的な結合は、その結合定数又は結合ダイナミクスが少なくとも10倍異なる場合通常達成され、好ましくは違いは少なくとも100倍、より好ましくは少なくとも1000倍である。
「足場」は、ポリペプチドのレパートリ又は多様体の構築において、ポリペプチドの分子構造をサポートするために使用される、天然もしくは人工の一時的なフレームワークを意味する。それは、通常、親分子の三次構造又は機能を維持する、ポリペプチドドメインのモジュラーシステムである。例示的な足場はモジュラー抗体であり、ライブラリを得るために、前記足場内に、多様体を生成するために変異を起こされ得る。
本発明による「構造ループ」又は「非CDRループ」は、以下の様式で理解される:モジュラー抗体、免疫グロブリン又は免疫グロブリン様物質は、いわゆる免疫グロブリンフォールドを有するドメインから造られる。本質的には、逆平行βシートがループによって連結され、圧縮逆平行のβバレルを形成する。CDRループ領域と別の、定常ドメインのループ領域又は可変ドメインのループ領域、すなわち非CDRループは、構造ループと呼ばれる。可変領域において、ドメインの幾つかのループが、基本的に抗体の特異性、すなわち抗体の天然結合部位による抗原に対する結合、に寄与する。これらのループは、CDRループと呼ばれている。CDRループはCDRループ領域内に位置し、それはまた、CDRループに隣接する可変フレームワーク領域(「VFR」と呼ばれる)を場合によっては含み得る。VFRsが、一般にCDRループで主に決定される、抗体の抗原結合ポケットに寄与し得ることは公知である。従って、それらのVFRsは、CDRループ領域の一部として考えられ、新規の抗原結合部位を設計するために適切に使用されないだろう。CDRループ領域内又はCDRループの近傍に位置するVFRsとは対照的に、可変ドメインの他のVFRsは、更なるな抗原結合部位を設計することに特に適している。それらはCDRループ領域の反対に、又は可変免疫グロブリンドメインのC末端側に位置する構造ループである。
「CDR領域」とも呼ばれる、用語「可変結合領域」は、本願明細書において使用される場合、抗原と結合相互作用が可能である様々な構造を有する分子を意味する。それらの分子は、そのように使用されることができ、又はより大きなタンパク質内に組み込まれることによって、結合機能を有するこの種のタンパク質の特異的な領域を形成することが出来る。様々な構造は、例えば免疫グロブリン又はフィロマー又は合成多様性(synthetic diversity)(反復タンパク質、アビマー及びアンチカリンを含む)等の結合タンパク質の天然レパートリーに由来することができる。様々な構造は、ランダム化技術によって、同様に造られることができ、特に本願明細書において記載されてものにおいて可能である。これらは、変異されたCDR又は非CDR領域、免疫グロブリン可変ドメイン又は定常ドメインのループ領域を含む。
特定の部位に異なる修飾を有する修飾された結合物質(binding agents)は、「多様体」と称される。足場の多様体は、結合物質のライブラリを形成するために好ましくは分類され、所定の機能を有するライブラリのメンバーを選択するために使われることが出来る。それに伴い、結合部位に潜在的に貢献する一又は複数のループ内の位置を含んでなる、結合物質のループ領域は、好ましくはライブラリを造るために変異又は修飾され、好ましくはランダム、セミランダム、又は特に、部位特異的なランダム変異誘発法によって、特に、欠失、交換、又はループ、好ましくは構造ループに、ランダムに生成された挿入物を導入するために行われる。あるいは、好ましいものは、組合せ法の使用である。周知の変異生成方法の何れかが使用されることができ、一つは、カセット式変異誘発である。これらの方法は、本発明のモジュラー抗体の所望の位置でアミノ酸修飾をするために用いられることが出来る。幾つかの場合においては、位置は、例えば、可能なアミノ酸の何れか又はループ配列をランダム化するための好ましいアミノ酸のセレクションによってランダムに選ばれ、又は、アミノ酸変化は単純化した決まりを使用して造られる。例えば、全残基が好ましくは特定のアミノ酸、例えばアラニン、に変異され得、アミノ酸又はアラニンスキャニングと称される。このような方法は、配列多様性のより高いレベルをスクリーニングするための選択方法を使用する、より高度な工学アプローチと組み合わせることが可能である。
本発明によるモジュラー抗体のアミノ酸配列の全ての番号付けは、IMGT番号付けスキームに従う(IMGT, the international ImMunoGeneTics, Lefranc等, 1999, Nucleic Acids Res. 27: 209-212)。
従って、本発明によるマルチドメインモジュラー抗体は、少なくとも一つの定常抗体ドメインを含み、フレームワーク領域内で人工ジスルフィド架橋を形成するために変異される。このようなモジュラー抗体が著しく増加した熱安定性を有したことは、驚きであった。本発明によるモジュラー抗体のマルチドメイン構造は、時に「多量体」と呼ばれる。
マルチドメインフォーマットにおいて、本発明によるモジュラー抗体は、少なくとも2つのドメインから好ましくは成り、より好ましくは少なくとも3、4、5、6、7、8、9、最高で10ドメインであり、特には抗体ドメインであり、例えば完全長抗体、又は少なくとも一つの更なる定常及び/又は少なくとも一つの可変ドメインと組み合わされた少なくとも一つの定常ドメインを含んでなる抗体の断片を得るためである。
好ましいサイズは、少なくとも20kDである。モジュラー抗体の単ドメインは通常10-15kDであり、従って2つのモジュラー抗体ドメインに基づく分子は20-30kDの分子サイズを有し、グリコシル化又は薬理学的に活性な物質、例えば毒素又はペプチド、の何れかの付加的なコンジュゲーションに依存する。
好ましいフォーマットは、モジュラー抗体ドメインから成るオリゴマーであり、好ましくは2〜4つのドメインであり、共有結合又はヒンジ領域を有する場合とそうでない場合がある。モジュラー抗体ドメインの少なくとも一対の組合せに基づくフォーマットが、特に好ましい。
本発明の好ましいモジュラー抗体を単ドメイン抗体の対として提供することが可能である。抗体ドメインは、発現の際、二量化する傾向があり、Fcのようにホモ二量体として、又はFabのようにヘテロ二量体として二量化する。二量体構造は従って、好ましい安定分子の基礎と考えられる。免疫グロブリンドメインの好ましい二量体は、単ドメイン二量体からなる群から選択され、例えばVH/VL、CH1/CL(カッパ又はラムダ)及びCH3/CH3である。CH2単ドメインはこのように二量化しないため、CH2ドメインの対は、鎖間ジスルフィド架橋が分子に設計される場合に唯一好まれるだろう。二量化されない、一対の一単量体CH2ドメインは、好ましくは使用されないだろう。本発明によるモジュラー抗体ドメインの二量体又はオリゴマーは、また、単鎖又は2鎖分子として提供されることが可能であり、特に1つのドメインのC末端をもう一方のN末端に連結しているものである。
複数のドメインがモジュラー抗体に存在する場合、これらのドメインは同じタイプのもの又は多様なタイプのものであり得る(例えば、CH1-CH1-CH2、CH3-CH3、(CH2)2-(CH3)2、ヒンジ領域がある場合とない場合がある)。もちろんまた、単ドメインの順番は、いかなるものであり得る(例えばCH1-CH3-CH2、CH4CH1-CH3-CH2)。
本発明は、好ましくは、例えばIgG、IgA、IgM、IgD、IgE等の、抗体の一部に関連する。本発明のモジュラー抗体は、また、機能的な抗体断片、例えばFab、Fab2、scFv、Fv、Fc、FcabTM(f-star Biotechnologische Forschungs- und Entwicklungsges.m.b.H.の登録商標)、又は抗原結合Fc、又はそれらの一部、又は例えばミニボディ等の免疫グロブリンの他の誘導体又は組合せ、可変領域の重及び軽鎖のドメイン(例えばdAb、Fd、VLであり、Vラムダ及びVカッパ、VH、VHHを含む)、並びに少なくとも2つの構造ループによって連結された免疫グロブリンの2つのβストランドから成る小ドメイン等であり、単離されたドメイン又は自然に結合した分子であり得る。本発明による特定の実施態様は、アミノ酸配列の修飾が成された抗原結合Fc断片(FcabTM)として、又は受容体、ペプチド、又は例えばscFv等の他の抗原結合分子へのコンジュゲート又は融合として、抗体分子のFc断片に言及する。
本発明によるモジュラー抗体は、好ましくは重及び/又は軽鎖又はそれらの一部を含む。本発明によるモジュラー抗体は、重及び/又は軽鎖、少なくとも一つの可変及び/又は定常ドメイン、又は小ドメインを含むそれの一部を含み得る。
定常ドメインは、免疫グロブリン分子の定常部分の免疫グロブリンフォールドユニットであり、また、定常領域のドメインとして言及される(例えばCH1、CH2、CH3、CH4、Cカッパ、Cラムダ)。
可変ドメインは、免疫グロブリンの可変部分の免疫グロブリンフォールドユニットであり、また、可変領域のドメインとして言及される(例えばVh、Vカッパ、Vラムダ、Vd)。
本発明による例示的なモジュラー抗体は、CH1、CH2、CH3、CH4、Igカッパ-C、Igラムダ-C、小ドメインを含むそれらの組合せ、誘導体又は一部からなる群から選択される定常ドメインを含み、少なくとも一つのフレームワーク又はループ領域を有し、また、前記少なくとも一つのフレームワーク領域は、結合部位の一部又はを含むであり得る、ループ領域とは別に、少なくとも一つの人工ジスルフィド架橋を形成している少なくとも一つのアミノ酸修飾を含むことを特徴とする。好ましくは、結合部位がループ領域内に設計出来るように、又は既に存在する場合は、CDRループ領域又は構造領域によって表される結合部位は、例えば抗原との結合において10−2Mを超えず、好ましくは、10−1Mを超えない親和性(Kd)の損失によって、基本的に保たれるように、フレームワークはジスルフィド結合のために変異される。
本発明による別のモジュラー抗体は、重又は軽鎖の可変ドメイン、小ドメインを含むそれらの組合せ、誘導体、又は一部から成ることが出来、少なくとも一つのフレームワーク領域を有し、そして、前記少なくとも一つのフレームワーク領域が少なくとも一つの更なるジスルフィド結合を形成する少なくとも一つのアミノ酸修飾を含むことを特徴とする。
本発明の人工ジスルフィド架橋は、抗体ドメイン内に設計されることができ(「ドメイン内架橋」)、これはβ-シート構造又はドメイン架橋(「ドメイン間架橋」)又はドメインの鎖の架橋(「鎖間架橋」)を安定化し、本発明による多量体モジュラー抗体の構造を制限し、潜在結合パートナーとの相互作用をサポートする。
本発明に従い設計された人工ジスルフィド架橋は、共有結合として提供され、通常、2つのチオール基の結合によって得られる。連結は、また、SS結合又は過硫化物と呼ばれる。分子内のジスルフィド結合は、通常長さ約2オングストロームである。このように、本発明によるモジュラー抗体のフレームワーク内の人工ジスルフィド結合が、そのフレームワークを破壊することなく分子を安定させることが出来たことは驚きであった。
2つのアミノ酸基が同じあるジスルフィドは対称であると言われ、例えばジフェニルジスルフィド及びジメチルジスルフィドである。2つのR基が同一でない場合は、化合物は非対称又は混合ジスルフィドと言われる。
本発明によるジスルフィド結合は、通常スルフヒドリル基(-SH)の酸化から形成され、特に、生物学的条件における。
好ましいフレームワーク点変異は、アミノ酸配列に新しく導入されたCys残基を提供し、酸化によって対称のジスルフィド架橋、例えば二量体を形成するドメイン間架橋を形成する。非対称架橋は、典型的にはドメイン内又は鎖内架橋である。それぞれのチオール基の酸化は、酸化条件下での、組換えタンパク質発現又は培養を通じて達成され、例えば細胞膜周辺腔における大腸菌による発現によって、又は真核生物細胞による分泌によって達成される。細胞質内の還元状態がSS架橋をブロックするのに対して、宿主細胞内の又は外側の酸化状態はジスルフィド結合を誘導する。インビトロでのジスルフィド結合は、例えばβメルカプトエタノール等の還元剤を使用した、S-S結合の最終的な還元、及び例えば透析又は適当な希釈等によって還元剤を除去することによる折りたたみ又は再折りたたみによって得られる。ジスルフィド結合のための標準方法は、Bulaj G.(Biotechnol Adv. 2005 Jan;23(1):87-92)によって記載される。
様々な酸化剤がこの反応を促進し、空気及び過酸化水素を含む。このような反応は、スルフェン酸中間体を介して進行すると考えられる。研究室では、塩基存在下におけるヨウ素は、チオールを酸化してジスルフィドにするために用いられる。いくつかの金属、例えば銅(II)及び鉄の(III)複合体は、この反応を遂行する。あるいは、タンパク質のジスルフィド結合は、チオール-ジスルフィド交換によってしばしば形成される。幾つかの場合ではこのような反応は、酵素によって取り成され、他の場合には平衡制御の下、特に塩基の触媒量の存在下で成される。多くの専門的な方法が、ジスルフィド結合を形成するために開発されており、通常は有機合成の応用のためである。代わりのアミノ酸、例えば天然L-Cysの代わりにD-Cys、が可能である。
本発明はまた、本発明によるモジュラー抗体を生産する方法を提供し、それはアミノ酸配列内にCys残基を導入するための変異生成の工程を用いる。変異は、種々の標準の部位特異的変異生成法によって導入されることが出来る。
フレームワークにジスルフィド結合を導入するための残基を選択するために、ソフトウェア・プログラムが用いられることができ、これはどの位置で、新しく導入されたシステイン残基がジスルフィド架橋の形成に導くかについて予測する。これらのソフトウェア・プログラムは、タンパク質の結晶構造を分析し、例えば残基対間のC-β原子の間の距離を計測する。それらの位置は好ましくは変異され、2つのC-β原子の間の距離は約3.4及び4.2オングストロームの間である。
変異生成の好ましい部位が、表2及び3に示される。任意の残基対を変異させることによって造られる可能なジスルフィド架橋は、表から読まれることが出来る。番号付けはヒトのIgG1抗体ドメインに関連するが、他の抗体ドメイン、例えば異なる抗体クラス又は異なる起源のもの、ヒト以外の哺乳類種等、又は変異体又は多様体抗体ドメイン、の類似した位置が、人工ジスルフィド架橋を設計する目的のために選ばれ得る。
Figure 2012532838
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人工のジスルフィド結合を造るために変異されることが出来る更なる位置は、例えばCH1ドメインでは:P6C+K119C、又はV4C+V117C、又はV25C+V106C;また、CH3ドメインでは:T6C+K119C、又はV4C+K119C(IMGT番号付け)。
好ましい実施態様によれば、人工ジスルフィド架橋は、例えばC末端配列等の末端Fc配列に導入されたCys架橋ピア(bridge piers)を用いて形成され、これは場合によっては、CH3ドメインのN末端及びFGループの近くの位置の更なるCys変異よって形成される人工ジスルフィド架橋と組み合わせられ、及び/又はBCループ及びDシートの位置の更なるCys変異よって形成される人工ジスルフィド架橋と組み合わせられる.
変異の好ましい部位は、天然のジスルフィド架橋を強化する天然のジスルフィド架橋の領域内ではなく、天然のジスルフィド架橋の部位とは別である。幾つかの場合では、少なくとも2つの人工ジスルフィド結合を設計するのが好ましく、モジュラー抗体内の少なくとも3つの人工ジスルフィド結合でさえ可能である。
本発明によるモジュラー抗体は、驚くほど増加した熱安定性を有する。安定したフォーマット、例えばCH3抗体ドメイン、又はCH3二量体又はFc抗体断片等が原材料として使われる時でも、示差走査熱量測定(DSC)で測定されるように、CH3ドメインの熱安定性を著しく増やすことは可能だった。本発明による安定化されたFc断片に関する内で、CH3ドメインの熱安定性が著しく増加することは更により驚くべきであった。その一方で、CH2ドメインの変性は不変のままであった。ジスルフィド安定化は好ましくは、少なくとも5°C、より好ましくは少なくとも6°C、又は少なくとも7°C、又は少なくとも8°C、又は少なくとも9°C、又は少なくとも10°Cの熱安定性増加につながる。これは、少なくとも77°C、好ましくは少なくとも78°C、より好ましくは少なくとも79°C、より好ましくは少なくとも80°C、より好ましくは少なくとも81°C、又は少なくとも82°C、又は少なくとも83°C、又は少なくとも84°C、又は少なくとも85°C、又は少なくとも86°C、又は少なくとも87°C、又は少なくとも88°C、又は少なくとも89°C、又は少なくとも90°C、更には90°C以上、おそらく最高100°Cの熱安定性を有する本発明によるモジュラー抗体が最も好ましことがわかった。特に、人工ジスルフィド結合で安定化された好ましいFc断片は、DSCによって決定されるように91°C以上の融点(Tm)を持って得られ、これは9°C以上の安定性の増加に該当する。通常、野生型より低い熱安定性を有する抗原結合Fc分子において、熱安定性の増加が本発明による方法によって示されることが出来た。本発明による例示的なモジュラー抗体は、ドメイン間、例えば鎖間ジスルフィド架橋等を有し、例えば2つの重鎖免疫グロブリンを連結する。CH3ドメインの中で2、3の残基を変異させることは、Fc断片内でCH3対のC末端に架かるジスルフィド架橋の形成を可能にし、ヒンジ領域の有無に関わらない。例示的な変異体は、Fab断片及び完全抗体においてCLドメインのC末端をCH1ドメインに連結するジスルフィド架橋に、構造的及び機能的に相同であるジスルフィド架橋をを含む。
このように、安定化されたホモ二量体免疫グロブリンが、免疫グロブリンのループ領域に、新しい結合部位を設計するための足場として提供された。それぞれのライブラリから得られた、安定化された足場及び抗原結合多様体は、DSCによって熱安定性を評価するために試験されることができ、融点によって決定される。安定化された足場の多様体は、基本的に足場の熱安定性を維持することがわかった。このように、本発明による熱安定性足場の抗原結合多様体は、更なるジスルフィド架橋を有することなくそれぞれの足場において増加した熱安定性を示す。
本発明によるモジュラー抗体は好ましくは、可変及び/又は定常ドメインの可変及び/又はフレームワーク領域内に少なくとも一つの抗原結合部位を含み、CDRループによって又は構造ループ領域内で形成される。このように、本発明によるモジュラーは、場合によっては、抗原に対する一又は複数の結合領域をもたらし、抗原のエピトープに特異的に結合する結合部位、及び潜在的にエフェクター機能を調停する結合部位を含む。一又は複数の抗原に対する結合部位は、CDR領域又は他のいかなる天然受容体結合構造によって提示され得、又は可変又は定常ドメイン構造のどちらかの、抗体ドメインの構造ループ領域に導入され得る。結合部位の結合特性を検査するために使用される抗原は、自然に生じる分子又は化学的に合成された分子又は組換え分子であり得、溶液中又は懸濁液中のどちらかでもよく、例えば、固相などの粒子中又は上、細胞中又は上、又はウィルス表層上に配置される。抗原に対するモジュラー抗体の結合は、抗原が、分子及び構造に自然な状態で静的に付着又は結合している場合に決定されることが好ましい。従って、診断的又は治療的使用の目的に最も適したそれらの修飾モジュラー抗体を識別し得ることが可能である。
本発明による安定化されたモジュラー抗体は、新しい結合部位を導入する変異生成のための足場として特に有用である。操作されたタンパク質を使用して、単一特異性、二重特異性、三重特異性、及びさらにそれ以上の特異性を持つ分子を製造することが可能である。本発明によって、多重特異性結合物質のための、モジュラー抗体の安定したフレームワークを提供することが可能である。
本発明によるマルチドメインモジュラー抗体は、多様体を提供するか又は新しい結合部位を提供するために、ループ又はループ領域で修飾されることが出来、CDRループか非CDRループ内であり、定常ドメインの構造ループが、修飾又は変異生成の好ましい部位である。
本発明によるモジュラー抗体の少なくとも一つのループ領域を修飾することが好ましく、それは一又は複数のヌクレオチド又はアミノ酸の置換、欠失及び/又は挿入となり、好ましくは点変異、又はループ全体の交換、より好ましくは少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15、30までのアミノ酸の交換となる。従って、修飾された配列は、ループの保存された領域に含まれないアミノ酸を含み、新しく導入されたアミノ酸は自然に生じるが、修飾部位に対して外来、又は自然に生じるアミノ酸の置換である。
しかしながら、結合物質のループ領域に挿入されるアミノ酸の最大数は、好ましくは最大で30を超えず、好ましくは25、より好ましくは最大で20アミノ酸である。アミノ酸の置換及び挿入は、全ての可能なアミノ酸を使用して、又はランダム化目的のために好ましいアミノ酸のセレクションを使用して、好ましくはランダムに又はセミランダムに、当技術分野で公知である方法及び本特許出願において開示される方法によって生じる。
修飾の部位は、特定の一ループ又はループ領域であり得、特には構造ループ又は構造ループ領域である。ループ領域は、各々と隣接している少なくとも2、好ましくは少なくとも3、又は少なくとも4つのループから成り、そして、抗原結合部位又は抗原結合ポケットを形成することによって抗原の結合に寄与し得る。一又は複数の部位の修飾が、10のアミノ酸の領域内に配置されることが好ましく、より好ましくは20、30、40、50、60、70、80、90、100までのアミノ酸内、特に、抗原がループ領域に立体配置的に接近することが出来る面又はポケットを形成するために構造領域内に配置される。
この点に関しては、好ましい修飾は、CH1、CH2、CH3及びCH4のループ領域において設計され、特に、アミノ酸7〜21、アミノ酸25〜39、アミノ酸41〜81、アミノ酸83〜85、アミノ酸89〜103及びアミノ酸106〜117の範囲である。
別の好ましい実施態様では、アミノ酸92〜98を含んでなる構造ループ領域の修飾は、アミノ酸8〜20を含んでなる成る構造ループ領域の修飾と組み合わされる。
上記のそれぞれの免疫グロブリンのアミノ酸ドメインは、修飾されるループ領域を含む。好ましくは、アミノ酸92〜98を含んでなる構造ループ領域の修飾は、他の構造ループの一又は複数の修飾と組み合わされる。
好ましい実施態様では、アミノ酸92〜98を含んでなる構造ループ領域の修飾は、アミノ酸41〜45.2を含んでなる構造ループ領域の修飾と組み合わされる。
最も好ましくは、アミノ酸92〜98、アミノ酸41〜45.2及びアミノ酸8〜20を含んでなる各々の構造ループは、少なくとも一つのアミノ酸修飾を含む。
別の好ましい実施態様では、アミノ酸92〜98、アミノ酸41〜45.2及びアミノ酸8〜20から成る各々の構造ループは、少なくとも一つのアミノ酸修飾を含む。
他の好ましい実施態様によれば、CH3の、位置15〜17、29〜34、41〜45.2、84〜85、92〜100及び/又は108〜115の領域におけるアミノ酸残基が修飾される。
ヒト起源のIgk-C及びIgl-Cの好ましい修飾は、アミノ酸8〜20、アミノ酸26〜36、アミノ酸41〜82、アミノ酸83〜88、アミノ酸92〜100、アミノ酸107〜124及びアミノ酸123〜126の領域におけるループ領域において設計される。
ネズミ起源のIgk-C及びIgl-Cのループ領域の好ましい修飾は、アミノ酸8〜20、アミノ酸26〜36、アミノ酸43〜79、アミノ酸83〜85、アミノ酸90〜101、アミノ酸108〜116及びアミノ酸122〜126の領域における部位で設計される。
本発明の別の好ましいモジュラー抗体は、重又は軽鎖の可変ドメイン、又はミニドメインを含むそれらの一部から成り、少なくとも一つのフレームワーク及び一つのループ領域、好ましくは構造ループ領域を有し、前記少なくとも一つのループ領域は、少なくとも一つの修飾されたループ領域を形成する少なくとも一つのアミノ酸修飾を含むことを特徴とし、前記少なくとも一つの修飾されたループ領域は上記のような関連結合部位を形成する。
従って、本発明によって好ましく使用される免疫グロブリンは、可変ドメイン内に修飾を含むことが出来、VH、Vカッパ、Vラムダ、VHH、及びそれらの組合せの群から選択される。より詳しくは、それらは、アミノ酸7〜22、アミノ酸39〜55、アミノ酸66〜79、アミノ酸77〜89又はアミノ酸89〜104内に少なくとも一つの修飾を含み、ここで、ドメインのアミノ酸位の番号付けはIMGTのものである。
特定の実施態様において、本発明によって好ましく使用される免疫グロブリンは、ヒト起源のVH又はVカッパ又はVラムダのループ領域が、アミノ酸7〜22、アミノ酸43〜51、アミノ酸67〜77、アミノ酸77〜88、及びアミノ酸89〜104、最も好ましくはアミノ酸位12〜17、アミノ酸位45〜50、アミノ酸位68〜77、アミノ酸79〜88、及びアミノ酸位92〜99内に少なくとも一つの修飾を含むことを特徴とし、ここで、ドメインのアミノ酸位の番号付けはIMGTのものである。
修飾目的のために選択され得る、ヒト起源の免疫グロブリンの可変ドメインの構造ループ領域は、アミノ酸8〜20、アミノ酸44〜50、アミノ酸67〜76、アミノ酸78〜87、及びアミノ酸89〜101の領域に好ましくは配置される。
好ましい実施態様によれば、修飾目的のために選択され得る、ネズミ起源の免疫グロブリンの可変ドメインの構造ループ領域は、アミノ酸6〜20、アミノ酸43〜52、アミノ酸67〜79、アミノ酸79〜87及びアミノ酸91〜100の領域に好ましくは配置される。
本発明による好ましい方法は、配列5’-NNS-3、5’NNN-3’、5’-NNB-3’又は5’-NNK-3’を有する構造ループコード領域内に、少なくとも一つのヌクレオチド反復ユニットを含む、免疫グロブリン、免疫グロブリンドメイン又はそれらの一部をコードするランダムに修飾された核酸分子に関する。幾つかの実施態様では、修飾された核酸は、TMT、WMT、BMT、RMC、RMG、MRT、SRC、KMT、RST、YMT、MKC、RSA、RRC、NNK、NNN、NNS又はそれらのいかなる組合せから成る群から選択されるヌクレオチド・コドンを含む(コーディングは、IUPACに従う)。
核酸分子の修飾は、合成オリゴヌクレオチドを核酸のより大きなセグメントに導入することによって、又は完全な核酸分子のデノボ合成によって実行されることが出来る。核酸の合成は、トリヌクレオチド構造ブロックを用いて実施されることが出来、これはアミノ酸のサブセットがコードされる場合に、ナンセンス配列の組合せの数を低減する(Yanez等 Nucleic Acids Res. (2004) 32:e158; Virnekas等 Nucleic Acids Res. (1994) 22:5600-5607)。
本発明の別の重要な態様は、各潜在的結合ドメインは、それをコードする特定のDNA又はRNA分子と物理的な関係を維持し、また更には、融合タンパク質は、遺伝子パッケージの表層でオリゴマー形成し、天然且つオリゴマ構造の結合ポリペプチドを示す。一旦成功した結合ドメインが同定されると、発現、組換え又は更なる工学目的のための遺伝子を直ちに得ることが出来る。この関係がとる形は、「複製可能な遺伝子パッケージ」であり、結合ドメインをコードしている遺伝子を複製及び発現し、また結合ドメインをその外面へ運搬する、ウイルス、細胞又は胞子等である。他の形は、コーディングRNAと翻訳タンパク質を連結する、リボソーム等のインビトロで複製可能な遺伝子パッケージである。リボソームディスプレイにおいて、遺伝物質は、ポリメラーゼを用いた酵素増幅によって複製される。
標的分子を認識する結合物質を有するそれらの細胞又はウイルス又は核酸は、単離され、そして、必要に応じて増幅される。遺伝子パッケージは、好ましくはM13ファージであり、そして、タンパク質はM13遺伝子IIIタンパク質の外面輸送シグナルを含む。
融合タンパク質の好ましい発現システムは、非抑制宿主細胞(non-suppressor host cell)であり、それは停止コドン(例えばアンバー停止コドン)に感受性であり、従ってその後翻訳を止める。このような停止コドンを欠く場合、このような非抑制宿主細胞、好ましくは大腸菌が、好ましくは使われる。このような停止コドンがある場合には、抑制宿主細胞(suppressor host cell)が、使われる。
本発明の方法において好ましくは、遺伝子パッケージのベクター又はプラスミドは転写調節要素の厳しい制御の下にあり、2つ未満の融合タンパク質のコピーを粒子の表面に提示しているベクター又はファージミド粒子の量又は数が約20%未満であるように培養条件が調整される。より好ましくは、2つ未満の融合タンパク質のコピーを提示しているベクター又はファージミド粒子の量は、一又は複数の融合タンパク質のコピーを提示している粒子の量の10%未満である。最も好ましくは、量は1%未満である。
本発明によって好ましくは使用される発現ベクターは、結合ポリペプチドを発現することができ、以下のように生産されることが出来る:最初に、結合ポリペプチド遺伝子ライブラリが、異なる結合配列をコードする複数のポリヌクレオチドを導入ことによって合成される。複数のポリヌクレオチドは、前記結合ポリペプチドの融合タンパク質を発現するよう培養されることが出来るベクターに、機能的な組合せにおいて接合される適当な量において合成されることが出来る。あるいは、複数のオリゴヌクレオチドは、また、発現のための十分な材料を得るために、ポリメラーゼ連鎖反応によって増幅されることが出来る。しかしながら、これは、結合ポリペプチドが大きいポリヌクレオチド配列によってコードされる場合にのみ、有益であり、例えば200の塩基対より長い又は時には300の塩基対より長い場合である。このように、所望の予め選択した機能及び結合特性、例えば特異性を有する結合ポリペプチドを生産することが可能である、少なくとも一つの発現ベクターを選択することができる、多様な合成ライブラリが好ましく形成される。
ランダムに修飾された核酸分子は、上記の反復ユニットを含み、それは全ての既知の自然に生じるアミノ酸又はそれらのサブセットをコードする。修飾された配列を含むライブラリであって、アミノ酸の特定のサブセットが修飾目的のために使用されるライブラリは「フォーカス(focused)」ライブラリと呼ばれる。このようなライブラリのメンバーは、修飾位置で、このようなサブセットのアミノ酸の増加された確率を有し、それは通常のものより少なくとも2倍高く、好ましくは少なくとも3倍、又は少なくとも4倍高くさえある。このようなライブラリはまた、限られた又はより低い数のライブラリメンバーを有し、実際のライブラリメンバーの数は理論上のライブラリメンバーの数に届く。幾つかの場合では、、フォーカスライブラリのライブラリメンバーの数は、少なくとも理論上の数の10倍であり、好ましくは少なくとも10倍、最も好ましくは少なくとも10倍である。
本発明によるモジュラー抗体は、ライブラリ準備のための安定した足場として特に有用である。用語「モジュラー抗体のライブラリ」は、タンパク質、融合タンパク質、遺伝子のパッケージ、又はライブラリのメンバーである、モジュラー抗体このような多様体をコードする核酸のライブラリを常に含む。
用語「融合タンパク質」又は「キメラ融合タンパク質」は、本発明の目的のために使用される場合、遺伝子パッケージ、少なくとも外側表層構造の一部、例えばコートタンパク質、場合によってはリンカー配列、及び結合物質から成る分子を意味する。融合タンパク質は、結合物質の遺伝子及び、遺伝子パッケージの表層で結合物質のコピーを示すための情報を有するベクターによってコードされる。
前記足場の多様体は、人工ジスルフィド結合に関与しない分子の部分において変異生成によって好ましくは生成され、例えば好ましくはループ領域内又はC末端又はN末端領域内である。
抗体多様体の生産及びスクリーニングのための方法は、当技術において周知である。抗体分子生物学、発現、精製、及びスクリーニングのための一般的な方法は、また、当技術において周知である。
本発明によるライブラリは、少なくとも50%の特定のフォーマットを含む専用のライブラリとして設計されることが出来、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、又は主に特定の抗体フォーマットから成るものであってもよい。特定の抗体フォーマットが好ましく、本発明による好ましいライブラリは、VHライブラリ、VHHライブラリ、Vカッパライブラリ、Vラムダライブラリ、Fabライブラリ、CH1/CLライブラリ、Fcライブラリ及びCH3ライブラリからなる群から選択される。例えばIgGライブラリ又はFcライブラリ等の、一以上の抗体ドメイン含んでなる複合分子の内容によって特徴づけられるライブラリが特に好ましい。他の好ましいライブラリは、T細胞受容体を含んで成るものであり、T細胞受容体ライブラリを形成する。更なる好ましいライブラリはエピトープライブラリであり、融合タンパク質はエピトープの多様体を有する分子を含み、また、類似した結合機能を有するが異なる機能性を持つ競合的な分子の選択を可能にする。TNFαライブラリが例示的であり、TNFα融合タンパク質の三量体が一つの遺伝子パッケージによって提示される。
本発明の別の重要な態様は、各潜在的結合ドメインは、それをコードする特定のDNA又はRNA分子と物理的な関係を維持し、また更には、融合タンパク質は、遺伝子パッケージの表層でオリゴマー形成し、天然且つオリゴマ構造の結合ポリペプチドを示す。一旦成功した結合ドメインが同定されると、発現、組換え又は更なる工学目的のための遺伝子を直ちに得ることが出来る。この関係がとる形は、「複製可能な遺伝子パッケージ」であり、結合ドメインをコードしている遺伝子を複製及び発現し、また結合ドメインをその外面へ運搬する、ウイルス、細胞又は胞子等である。他の形は、コーディングRNAと翻訳タンパク質を連結する、リボソーム等のインビトロで複製可能な遺伝子パッケージである。リボソームディスプレイにおいて、遺伝物質は、ポリメラーゼを用いた酵素増幅によって複製される。
標的分子を認識する結合物質を有するそれらの細胞又はウイルス又は核酸は、単離され、そして、必要に応じて増幅される。融合タンパク質の好ましい発現システムは、非抑制宿主細胞であり、それは停止コドン(例えばアンバー停止コドン)に感受性であり、従ってその後翻訳を止める。このような停止コドンを欠く場合、このような非抑制宿主細胞、好ましくは大腸菌が、好ましくは使われる。このような停止コドンがある場合には、抑制宿主細胞が、使われる。
本発明の方法において好ましくは、遺伝子パッケージのベクター又はプラスミドは転写調整要素の厳しい制御の下にあり、2つ未満の融合タンパク質のコピーを粒子の表面に提示しているベクター又はファージミド粒子の量又は数が約20%未満であるように培養条件が調製される。より好ましくは、2つ未満の融合タンパク質のコピーを提示しているベクター又はファージミド粒子の量は、一又は複数の融合タンパク質のコピーを提示している粒子の量の10%未満である。最も好ましくは、量は、1%未満である。
本発明によって好ましくは使用される発現ベクターは、結合ポリペプチドを発現することができ、以下のように生産されることが出来る:最初に、結合ポリペプチド遺伝子ライブラリが、異なる結合配列をコードする複数のポリヌクレオチドを導入ことによって合成される。複数のポリヌクレオチドは、前記結合ポリペプチドの融合タンパク質を発現するよう培養されることが出来るベクターに、機能的な組合せにおいて接合される適当な量において合成されることが出来る。あるいは、複数のオリゴヌクレオチドは、また、発現のための十分な材料を得るために、ポリメラーゼ連鎖反応によって増幅されることが出来る。しかしながら、これは、結合ポリペプチドが大きいポリヌクレオチド配列によってコードされる場合にのみ、有益であり、例えば200の塩基対より長い又は時には300の塩基対より長い場合である。このように、所望の予め選択した機能及び結合特性、例えば特異性を有する結合ポリペプチドを生産することが可能である、少なくとも一つの発現ベクターを選択することができる、多様な合成ライブラリが好ましく形成される。
様々な代替手段が、ランダム化されたライブラリをコードする遺伝子の製造に使用可能である。完全な合成アプローチによってDNAを生産することは可能であり、配列は、その後合成オリゴヌクレオチドとして調製される、重複断片に分けられる。これらのオリゴヌクレオチドは、混ぜ合わせられて、最初におよそ100°Cまで加熱することによって互いにアニールされ、それから周囲温度にゆっくりクールダウンされる。このアニーリング工程の後、合成的に組み立てられた遺伝子は、直接クローン化されるか、又はクローニングの前にPCRによって増幅されることが出来る。
あるいは、部位特異的変異誘発のための他の方法が、ライブラリインサートの生成のために使用されることが出来て、例えばthe Kunkel method (Kunkel TA. Rapid and efficient site-specific mutagenesis without phenotypic selection. Proc Natl Acad Sci U S A. 1985 Jan;82(2):488-92)又はthe DpnI method (Weiner MP, Costa GL, Schoettlin W, Cline J, Mathur E, Bauer JC. Site-directed mutagenesis of double-stranded DNA by the polymerase chain reaction. Gene. 1994 Dec 30;151(1-2):119-23.)等である。
様々な目的のために、ライブラリインサートをコードしている配列に、サイレント変異を導入することが、都合がいい場合もある。例えば、配列の一部の、クローニング又はのモジュラ交換を容易にする制限部位が導入されることができる。サイレント変異の別の例は、ライブラリを「マーク」する能力であり、これは、選択された位置に特定のコドンを与えることを意味し、例えば、その後の工程の中でそれら(又は、それらに由来する選択されたクローン)が識別されることを可能にし、そこでは、例えば、異なる特徴を有する異なるライブラリが、パニング手順において、共に混合され混合物として使用されることが出来る。
適切な足場リガンドが、本発明によるモジュラー抗体のライブラリの質コントロールのために使われることが出来る。足場リガンドは、エフェクター分子、FcRn、プロテインA、プロテインG、プロテインL及びCDR標的からなる群から選択されることが出来る。例えば、エフェクター分子は、CD64、CD32、CD16、Fc受容体からなる群から選択されることが出来る。
本発明による方法は、モジュラー抗体ドメイン又はそれの多様体の機能的なオリゴマを発現する、少なくとも10の独立クローンを含んでいるライブラリを提供することが出来る。本発明によれば、予め選択された独立クローン、例えばそれは親和性成熟されたものであり、そのプールは、好ましくは少なくとも10、より好ましくは少なくとも100、より好ましくは少なくとも1000、より好ましくは少なくとも10000、100000以上の独立クローンでさえ含む。予め選択されたプールを含む、それらのライブラリは、本発明による高親和性モジュラー抗体を選ぶ好ましいソースである。
本発明により使用されるライブラリは、好ましくは少なくとも10のライブラリメンバ、より好ましくは少なくとも10、より好ましくは少なくとも10、より好ましくは少なくとも10、より好ましくは少なくとも10のライブラリメンバ、より好ましくは少なくとも10、より好ましくは少なくとも10、より好ましくは少なくとも10、より好ましくは少なくとも1010、より好ましくは少なくとも1011、最高1012のライブラリメンバであり、好ましくは親抗体に由来し、これは少なくとも一つの特定の機能又は結合部分、及び前記親部分のオリジナルの機能的結合領域とは別の新しい結合部位を設計するためのそれらの誘導体を含んでなる足場としての、機能的モジュラー抗体である。
通常、本発明によるライブラリは、変異生成又はランダム化技術から生じる、本発明によるモジュラー抗体の多様体を更に含む。これらの多様体は、不活性又は非機能的な抗体を含む。従って、いかなるこのようなライブラリは、機能的効果を決定するための適切な分析を用いて、スクリーニングされることが好ましい。本発明による好ましいライブラリは、モジュラー抗体の少なくとも10の多様体、より好ましくは少なくとも10、より好ましくは少なくとも10、より好ましくは少なくとも10、より好ましくは少なくとも10、より好ましくは少なくとも10、より好ましくは少なくとも10、より好ましくは少なくとも10、より好ましくは少なくとも1010、より好ましくは少なくとも1011、最高で1012の多様体又はそれ以上が、最も適したバインダを選択するための、抗体の非常に多様なレパートリを提供するために、含まれる。いかなるこのような合成ライブラリも、本願明細書において開示されるような変異生成方法を使用して生成されることができる。
当技術分野において周知であるように、特定の結合特徴及び親和性を有するタンパク質の識別及び単離のために使われることが出来る、種々のディスプレイ及び選別技術があり、例えば、細胞性及び非細胞性方法等のディスプレイ技術、特に、可動的ディスプレイシステム(mobilized display)を含む。細胞性システムでは、ファージディスプレイ、ウイルスディスプレイ、酵母又は他の真核生物細胞ディスプレイ、例えば哺乳類又は昆虫細胞ディスプレイが用いられることが出来る。可動的システムは、水溶形態のディスプレイシステムに関連し、例えばインビトロディスプレイシステム、それらの中ではリボソームディスプレイ、mRNAディスプレイ又は核酸ディスプレイである。
好ましくは、ライブラリは酵母ライブラリであり、酵母宿主細胞は細胞の表面で生物学的活性を有するオリゴマを呈する。酵母宿主細胞は、好ましくは、サッカロミセス属、ピチア属、ハンセヌラ属、シゾサッカロマイセス属、クルイウェロマイセス属、ヤロウィア属及びカンジダ属から好ましくは選ばれる。より好ましくは、宿主細胞は出芽酵母(サッカロマイセス・セレヴィシエ)である。
本発明によるモジュラー抗体を生産する好ましい方法は、少なくとも一つの第一のエピトープと特異的に結合し、少なくとも2つの構造ループ領域の各々に修飾を含んでなるモジュラー抗体を設計すること、及び前記少なくとも2つのループ領域の少なくとも一つの第二のエピトープへの特異的な結合を決定することに関連し、修飾されていない構造ループ領域(非CDR領域)は前記少なくとも一つの第2のエピトープと特異的には結合しない。このように、第一の抗原に特異的な、抗体又は抗原結合構造は、第二に抗原に対して別の価(valency)又は特異性を加えることによって改善されることが出来、この特異性は、同一でもよく(異なるエピトープ又は同じエピトープを標的とする)、価を増加するため又は二重、オリゴ、又は多重特異的分子を得るために成される。
本発明によるモジュラー抗体は、好ましくは、結合物質又は結合パートナーとして作用するための結合部位を含む。
本発明の目的において、用語「結合物質(binding agent)」又は「リガンド」は、結合ペアのメンバーを意味し、特に、結合パートナーに対する結合ドメインとして機能する可能性を有する結合ポリペプチドである。結合パートナの例は、機能的な相互作用を有する、結合物質のペアを含み、例えば、リガンドに結合する受容体、抗原又は受容体に結合する抗体、標的に結合する薬剤、及び基質に結合する酵素等である。
結合パートナは、通常、非共有結合相互作用によって、特異的に互いと結合する物質である。結合パートナの例は、機能的な相互作用を有する結合物質のペアを含み、例えば、リガンドに結合する受容体、抗原に結合する抗体、標的に結合する薬剤、及び基質に結合する酵素等である。結合パートナは、多くの治療的、診断的、分析的、及び産業的応用で使用されてきた。最も顕著な結合ペアは、抗体又は免疫グロブリン、それの断片又は誘導体である。ほとんどの場合、このような結合物質の結合が、生物学的効果又は機能、「機能的相互作用」を仲介するために必要である。
本発明の特定の実施態様によると、本発明によるモジュラー抗体は、ヒト又はネズミ起源の免疫グロブリンであって、様々な目的のために使用されることが出来、特に医薬品組成物において使用される。もちろん、本発明によるモジュラー抗体は、また、ヒト化又はキメラ免疫グロブリンであってもよい。
ヒト免疫グロブリンである、本発明によるモジュラー抗体は、好ましくは、IgA1、IgA2、IgD、IgE、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4及びIgMからなる群から選ばれるか又はこれに由来する。本発明によるネズミ免疫グロブリンは好ましくは、IgA、IgD、IgE、IgG1、IgG2A、IgG2B、IgG2C、IgG3及びIgMからなる群から選ばれるか又はこれに由来する。
好ましくは、本発明によるモジュラー抗体はグリコシル化される。より好ましくは、グリコシル化は、真核生物又は植物グリコシル化であり、例えばヒト、酵母又はコケグリコシル化である。
本発明によるモジュラー抗体は、単離ポリペプチドとして又は、例えば組換え、融合又はコンジュゲート技術によって、他のペプチド又はポリペプチドとの組合せ分子として使用されることが出来る。ペプチドは、好ましくは免疫グロブリンドメイン配列に相同であり、好ましくは少なくとも5アミノ酸長、より好ましくは少なくとも10又は少なくとも50か100のアミノ酸長でさえあって、免疫グロブリンドメインのループ領域を少なくとも部分的に構成する。好ましい結合特徴は、所定のエピトープ結合、親和性、及びアビディティーに関する。
本発明による改変抗体は、独立した分子、並びに融合タンパク質又は誘導体として有用であり、最も典型的には修飾の前又は後に、例えば完全な抗体分子又はそれらの一部等の、より大きな構造の一部となるように融合される。本発明に従って製造された免疫グロブリン又は融合タンパク質は、従って、Fc断片、Fab断片、Fv断片、単鎖抗体、特に単鎖Fv断片、二重又は多重特異性scFv、ダイアボディ、ユニボディ、マルチボディ、免疫グロブリンドメインの多価又多量体等を含む。
組合せモジュラー抗体を得るために、本発明によるモジュラー抗体は、一又は複数の修飾モジュラー抗体、又は未修飾モジュラー抗体、又はそれらのパーツと更に組み合わせられることが可能である。組合せは、組換え技術によって好ましくは得られるが、吸着、静電的相互作用等によって、もしくはリンカーの有無にかかわらずコンジュゲート又は化学結合によって得られる。好ましいリンカー配列は、天然のリンカー配列もしくは機能的に適した人工配列である。
一般に、本発明によるモジュラー抗体は、他のモジュラー抗体又は生物学的に活性な物質又は分子を分子的に結合させるために、構造ブロックとして用いられることが出来る。
可変又は非可変配列(構造ループ等)を介して特定のパートナーに結合する少なくとも一つの抗体を、抗体、抗体断片、可溶性の受容体、リガンド又は別の抗体ドメイン、又はそれらの結合部分でありえる少なくとも一つの他の結合分子と、分子的に結合するのが好ましい。他の組合せは、タンパク様分子、核酸、脂質、有機分子及び炭水化物に関連する。
エフェクター分子又は免疫細胞と相互に作用する天然構造を含む本発明によるこれらのモジュラー抗体を利用するのが好ましく、これはADCC、CDC又はADPCを提供する。これらの天然構造は、不変のままであるか又は増加エフェクター機能のために修飾される。例えばFc受容体等に対する結合部位が、CH2及び/又はCH3ドメイン領域に配置されることが述べられ、周知の技術によって変異を起こすことが出来る。
ADCC、抗体依存性細胞媒介細胞傷害は、結合した抗体の定常領域を認識するFc受容体を有する細胞による、抗体に覆われた標的細胞の殺傷である。ほとんどのADCCは、それらの表面にFc受容体FcγRIII又はCD16を有するNK細胞によって媒介される。典型的アッセイは、標的細胞、ラモス細胞等を使用し、新しく単離されたエフェクター細胞の添加の前に、連続的に希釈された抗体によってインキュベートされる。ADCCアッセイは、それから数時間更にインキュベートされ、そして、%細胞傷害が検出される。通常、標的:エフェクター比率は、約1:16であるが、1:1から1:50まであり得る。
補体依存性細胞傷害(CDC)は、細胞を殺す機構であって、標的細胞表面に結合した抗体が補体を固定し、標的細胞膜に穴をあけその後細胞溶解となる膜攻撃複合体を組み立てる結果となる。一般的に用いられるCDCアッセイは、ADCC決定と同じ手順に従うが、しかしながらエフェクター細胞の代わりに補体含有血清を用いる。
本発明によるモジュラー抗体は、ADCC及びCDCアッセイのどちらかによって決定されるような細胞傷害を好ましくは有し、好ましくはコントロールと比較して細胞傷害のパーセンテージにおいて著しい増加を提供する。絶対パーセンテージ増加は、好ましくは5%より高く、より好ましくは10%より高く、更により好ましくは20%をより高い。
抗体依存性細胞食作用(ADCP、場合によってはADPCと呼ばれる)は、通常培養ヒト細胞の細胞溶解と並んで調査される。通常はヒトの単球又は単球由来のマクロファージである、食細胞による食作用は、抗体によって仲介され、次のように決定されることが出来る。精製された単球は、サイトカインによって培養され、FcγRsの発現を強化又はマクロファージへの分化を誘導する。ADCP及びADCCアッセイが、それから標的細胞を用いて実施される。食作用は、フローセルで測定される陽性細胞のパーセンテージとして決定される。陽性ADCP活性は、食細胞による抗体抗原複合体の有意な取込みによって証明される。絶対パーセンテージは、好ましくは5%より高く、より好ましくは10%より高く、更により好ましくは20%をより高い。
典型的アッセイでは、PBMC又は単球又は単球由来のマクロファージは、96ウェルプレートのRF2媒体(2%のFCSが補充されるRPMI 1640)に、100ml/ウェルに1×10の生細胞の濃度で再懸濁される。適当な標的細胞、例えばHer2/neu抗原等の標的抗原を発現する細胞及びSKBR3細胞等が、PKH2緑色蛍光染料で染色される。その後、1×10のPKH2で標識された標的細胞及びHer2特異性(IgG1)抗体(又はモジュラー抗体)又はマウスIgG1アイソタイプコントロール(又はモジュラー抗体コントロール)が、PBMCのウェルに異なる濃度(例えば1-100のμg/ml)で加えられ、最終体積200mlにおいて24時間、37°Cでインキュベートされた。インキュベーションの後、PBMC又は単球又は単球由来のマクロファージが、EDTA-PBSを用いて収集され、96ウェルV底プレート移された。プレートは遠心分離機にかけられ、上澄みが採られた。細胞は、RPEコンジュゲート抗CD11b、抗CD14、及びヒトIgGの混合100mlで対比染色され、混ぜ合わせられ、氷の上で60分間インキュベートされた。細胞は、2%ホルムアルデヒドPBSを用いて洗われ、固定される。2色フローサイトメトリーアッセイは、例えばFACS Caliburを用い最適ゲート条件で実行される。PKH2標識された標的細胞(緑色)は、FL-1チャネル(放出波長、530nm)で検出され、またRPE標識されたPBMC又は単球又は単球由来のマクロファージ(赤色)は、FL-2チャネル(放出波長、575ナノメートル)で検出された。PKH2/RPE二重標識細胞(PKH2/RPE)であると定義された残存標的が、PBMC又は単球又は単球由来のマクロファージによる標的の食作用を表すと考えられる。標的細胞の食作用は、以下の式を用いて算出される:パーセント食作用=100×[(パーセント二重陽性)/(パーセント二重陽性+パーセント残存標的物)]。全ての試験は、二重(duplicate)又は三重(triplicate)で実施され、結果は平均6SDとして表される。
本発明によるモジュラー抗体の好ましいエフェクター機能は通常、いかなる合成細胞傷害活性とも異なり、例えば免疫グロブリン構造にコンジュゲートされ得る毒素を介する。毒素は、通常エフェクター分子及び生物学的防御メカニズムを活性化させない。このように、本発明によるモジュラー抗体の好ましい細胞傷害活性は、生物学的細胞傷害活性であり、それは通常免疫賦活性であって、そして、効果的な細胞溶解に至る。
本発明によるモジュラー抗体は、いかなる種類の結合分子又は構造と特異的に結合し得、特に、抗原、たんぱく質性分子、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、核酸、グリカン、炭水化物、脂質、有機分子、特に小有機分子、無機分子、又はそれらの組合せ又は融合であり、PEG、プロドラッグ、又は薬剤を含む。本発明による好ましいモジュラー抗体は、少なくとも2つのループ又はループ領域を含み得り、これによりループ又はループ領域の各々は、異なる分子又はエピトープと特異的に結合することが可能である。
更なる好ましい実施例によれば、標的抗原は、例えば、上皮細胞、固形腫瘍の細胞、感染細胞、血液細胞、抗原提示細胞、及び単核細胞のような細胞性標的等の細胞によって提示されるこれらの抗原から選択される。
好ましくは、標的抗原は、細胞表面抗原から選ばれ、受容体を含み、特に、erbB受容体チロシンキナーゼ(EGFR、HER2、HER3、及びHER4、特にこのような受容体の細胞外ドメインのエピトープ等、例えば4D5エピトープ)、TNF-受容体スーパーファミリー、例えばApo-1受容体、TNFR1、TNFR2、神経成長因子受容体NGFR、CD40、T細胞表面分子、T細胞受容体、T細胞抗原OX40、TACI-受容体、BCMA、Apo-3、DR4、DR5、DR6、囮受容体、例えばDcR1、DcR2、CAR1、HVEM、GITR、ZTNFR-5、NTR-1は、TNFL1(これには限らない)、B-細胞表面抗原、例えばCD10、CD19、CD20、CD21、CD22、固形腫瘍又は血液学的癌細胞の抗原又はマーカー、リンパ腫又は白血病性の細胞、血小板を含む他の血液細胞から成る郡から選択されるが、これらの分子に限らない。
それらの抗原は好ましくは標的され、腫瘍関連抗原から成る郡から選択され、特にEpCAM、腫瘍関連グリコプロテイン72(TAG-72)、腫瘍関連の抗原CA 125、前立腺特異性膜抗原(PSMA)、高分子量メラノーマ関連抗原(HMW-MAA)、ルイスY関連糖質を発現する腫瘍関連抗原、癌胎児性抗原(CEA)、CEACAM5、HMFG PEM、ムチンMUC1、MUC18及びサイトケラチン腫瘍関連抗原、細菌抗原、ウィルス抗原、アレルゲン、アレルギー関連分子IgE、cKIT及びFcイプシロン受容体I、IRp60、IL-5受容体、CCR3、赤血球受容体(CR1)、ヒト血清アルブミン、マウス血清アルブミン、ネズミ血清アルブミン、Fc受容体、例えば新生児Fc-γ-受容体FcRn、Fc-γ-受容体Fc-γRI、Fc-γ-RII、Fc-γRIII、Fc-α受容体、Fc-ε-受容体、フルオレセイン、リゾチーム、Toll様受容体9、エリトロポイエチン、CD2、CD3、CD3E、CD4、CD11、CD11a、CD14、CD16、CD18、CD19、CD20、CD22、CD23、CD25、CD28、CD29、CD30、CD32、CD33(p67タンパク質)、CD38、CD40、CD40L、CD52、CD54、CD56、CD64、CD80、CD147、GD3、IL-1、IL-1R、IL-2、IL-2R、IL-4、IL-5、IL-6、IL-6R、IL-8、IL-12、IL-15、IL-17、IL-18、IL-23、LIF、OSM、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ;TNF-α、TNFβ2、TNFα、TNFαβ、TNF-R1、TNF-RII、FasL、CD27L、CD30L、4-1BBL、TRAIL、RANKL、TWEAK、APRIL、BAFF、LIGHT、VEG1、OX40L、TRAIL受容体-1、A1アデノシン受容体、リンホトキシンβ受容体、TACI、BAFF-R、EPO;LFA-3、ICAM-1、ICAM-3、インテグリンβ1、インテグリンβ2、インテグリンα4/β7、インテグリンα2、インテグリンα3、インテグリンα4、インテグリンα5、インテグリンα6、インテグリンαv,αVbeta3 インテグリン、FGFR-3、ケラチノサイト増殖因子、GM-CSF、M-CSF、RANKL、VLA-1、VLA-4、L-セレクチン、抗Id、E-セレクチン、HLA、HLA-DR、CTLA-4、T細胞受容体、B7-1、B7-2、VNRインテグリン、TGFβ1、TGFβ2、エオタキシン1、BLyS(Bリンパ球刺激因子)、補体C5、IgE、IgA、IgD、IgM、IgG、第VII因子、CBL、NCA 90、EGFR(ErbB-1)、Her2/neu(ErbB-2)、Her3(ErbB-3)、Her4(ErbB4)、組織因子、VEGF、VEGFR、エンドセリン受容体、VLA-4、血液型抗原等の糖質及び関連糖質、ガリリグリコシレーション(Galili-Glycosylation)、ガストリン、ガストリン受容体、腫瘍関連糖質、ハプテンNP-cap又はNIP-cap、T細胞受容体α/β、E-セレクチン、P-糖タンパク質、MRP3、MRP5、グルタチオン-S-転移pi(多剤耐性たんぱく質)、α-顆粒膜蛋白質(GMP)140、ジゴキシン、胎盤性アルカリフォスファターゼ(PLAP)及び精巣PLAP-様アルカリフォスファターゼ、トランスフェリン受容体、ヘパラナーゼI、ヒト心臓ミオシン、糖タンパク質IIb/IIIa(GPIIb/IIIa)、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)gH外被糖タンパク質、HIV gp120、HCMV、RS(respiratory syncytial)ウイルスRSV F、RSVF Fgp、VNRインテグリン、Hep B gp120、CMV、gpIIbIIIa、HIV IIIB gp120 V3ループ、RSウイルス(RSV)Fgp、単純ヘルペスウイルス(HSV)gD糖タンパク質、HSVgB糖タンパク質、HCMVgBエンベロープ糖タンパク質、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)毒素及びそれらの断片である。
本発明による好ましいモジュラー抗体は、前記標的抗原を高い親和性で結合し、特に高オンレート及び/又は低オフレート、又は高アビディティの結合であることが好ましい。通常、バインダは、Kdが10−9M未満の高親和性バインダと考えられる。10−6未満10−9MまでのKdを有する中親和性バインダーが、本発明に従って同様に提供され、好ましくは親和性成熟プロセスと連動する。
親和性成熟は、これによって抗原に対する増加した親和性を有する抗体が作られるプロセスである。アミノ酸変異生成又は免疫グロブリン遺伝子セグメントの体細胞変異の結果としてのを含む抗体の構造変化に伴い、抗原に対する結合部位の多様体が作られ、より大きい親和性に対して選択される。親和性成熟抗体は、親抗体より数ログ倍(logfold)大きい親和性を示し得る。単一親抗体が、親和性成熟に課され得る。あるいは、標的抗原に対する類似の結合親和性を有するモジュラー抗体のプールが、親構造としてかんがえられ得、それらは親和性成熟された単一抗体又はそのような抗体の親和性成熟されたプールを得るために多様である。
本発明によるモジュラー抗体の好ましい親和性成熟多様体は、結合親和性において少なくとも10倍の増加、好ましくは少なくとも100倍の増加を示す。親和性成熟は、親抗体のそれぞれのライブラリを用いた選択活動(selective campaign)の過程で用いられ得り、Kd<10−8Mの高特異性標的結合特性及び/又はEC50<10−8Mの有効性を有する本発明の好ましいモジュラー抗体を得るために、中結合親和性を有するモジュラー抗体を用いてもよい。結合効果又は親和性は、10−9M未満のKd又はEC50に対応する高い値、好ましくは10−10M未満又は10−11M未満、最も好ましくはピコモル範囲を得るために、本発明によるモジュラー抗体の親和性成熟によって更に増加され得る。
時にはIC50と呼ばれ、また、50%飽和濃度とも呼ばれるEC50は、モジュラー抗体の結合有効性の尺度である。それはバインダのモル濃度であり、平衡で又は飽和下で最大の可能な結合の50%を生じる。アンタゴニストの有効性は通常それのIC50値によって定義される。これは、任意のアンタゴニストに対して、アゴニストの最大の結合の半飽和を引き起こすために必要なアンタゴニストの濃度を決定することによって算出される。IC50値を明らかにすることは、抗体又は類似の効果を有する多様体の有効性を比較するために有用である;しかしながら、両薬剤アンタゴニストによって作られる用量反応曲線は類似しなければならない。IC50が低い程、アンタゴニストの有効性は大きく、また最大の生物学的反応、エフェクター機能又は細胞傷害活性等、を阻害するのに必要な薬剤の濃度が低い。薬剤のより低い濃度は、また、より少ない副作用と関連し得る。
通常、抗体の親和性は、IC50と良く相関する。結合部位に対するアンタゴニストの親和性(K)は、受容体と結合するそれの能力として理解され、それは結合の持続時間及びそれぞれのアゴニスト活性を決定する。親和性成熟によって親和性を増加するの手段は、通常また、結合の有効性を増加し、Kd値の同じ範囲においてそれぞれのIC50値の減少となる。
IC50及びKd値は、当分野において周知の飽和結合アッセイを使用して決定されることが出来る。
本発明によるモジュラー抗体は、好ましくは、標識又はリポーター分子にコンジュゲートされ、有機分子、酵素標識、放射性標識、色のついた標識、蛍光標識、発色標識、発光標識、ハプテン、ジゴキシゲニン、ビオチン、金属複合体、金属、コロイド金及びそれらの混合物からなる群から選択される。標識又はリポーター分子にコンジュゲートされた修飾免疫グロブリンが、例えば、アッセイシステム又は診断法で用いられることが出来る。
本発明によるモジュラー抗体は、他の分子とコンジュゲートされてもよく、例えば、結合アッセイ(例えばELISA)及び結合研究において、前記コンジュゲートの単純な検出を可能にする。
好ましい実施例において、抗体多様体は、一又は複数の細胞に基づいた又はインビボアッセイを使用してスクリーニングされる。このようなアッセイでは、精製又は非精製の修飾免疫グロブリンは、一般的に外から加えられ、細胞は、ライブラリに帰属する個々の免疫グロブリン又は免疫グロブリンのプールにさらされる。これらのアッセイは、常にでないが概して、免疫グロブリンの機能に基づく;すなわち、抗体が、その標的に結合し幾つかの生化学的事象、例えばエフェクター機能、リガンド/受容体の結合阻害、アポトーシス等の仲介する能力。このようなアッセイは、しばしば抗体に対する細胞の反応をモニタリングすることを含み、例えば細胞生存、細胞死、細胞形態における変化、又は例えば天然遺伝子又はリポーター遺伝子の細胞性発現等の転写活性である。例えば、このようなアッセイは、ADCC、ADCP又はCDCを引き出す抗体多様体の能力を測定することが出来る。幾つかのアッセイでは、更なる細胞又は成分、つまり標的細胞に加えて、例えば血清成分、又は末梢血単球(例えば末梢血単球(PBMCs)、NK細胞、大食細胞、等)が加えられる必要があり得る。このような添加された細胞は、いかなる有機体からであってもよく、好ましくはヒト、マウス、ネズミ、ウサギ及びサルである。モジュラー抗体は標的を発現している特定の細胞株のアポトーシスを導き得、又は、アッセイに加えられた免疫細胞による標的細胞への攻撃を仲介することが出来る。細胞死又は生存率をモニタリングする方法は、当分野において公知であり、染料の使用、免疫化学的、細胞化学的、放射性試薬の使用を含む。例えば、カスパーゼ染色アッセイはアポトーシスが測定されることを可能にすることが出来、また、放射性基質又はアラマー青のような蛍光色素の取込み又は放出は細胞成長又は活性のモニタリングを可能にすることが出来る。
好ましい実施態様では、DELFIART EuTDAに基づく細胞傷害アッセイ法(Perkin Elmer, MA)が、用いられることが出来る。あるいは、死んだ又は傷害した標的細胞は、一又は複数の天然細胞内成分(例えば乳酸脱水素酵素)の解放を測定することによってモニタリングされることが出来る。
転写活性は、また、細胞ベースアッセイにおいて機能を検定する方法として役立つことが出来る。この場合、反応は上方制御され得る天然遺伝子又は免疫グロブリンを検定することによってモニタリングされることが出来、例えば、特定のインターロイキンの放出が測定され得、又は、あるいは、読み出しはリポータ構造物を経てもよい。細胞に基づくアッセイは、また、モジュラー抗体の存在への反応として、細胞の形態的な変化の測定を含んでもよい。このようなアッセイのための細胞タイプは原核生物又は真核生物のでもよく、当技術分野おいて周知である種々の細胞系が使用されることが出来る。あるいは、細胞ベースのスクリーニングが、多様体をコードしている核酸によって形質転換又はトランスフェクトされた細胞を使用して実行される。すなわち、抗体多様体は、外因的に細胞に加えられない。例えば、一実施態様では、細胞ベースのスクリーニングは、細胞表面表示を利用する。細胞の表面上に修飾された免疫グロブリンの提示を可能にする、融合パートナーが採用され得る(Witrrup, 2001, Curr Opin Biotechnol, 12:395-399)。
好ましい実施態様では、モジュラー抗体の免疫原性は、一又は複数の細胞ベースアッセイを使用して実験的に決定されることが出来る。好ましい実施態様では、エクスビボT細胞活性化アッセイが、実験的に免疫原性を数量化するために用いられる。この方法では、適合したドナーからの抗原提示細胞及びナイーブT細胞が、一又は複数回、対象とするペプチド又は抗体全体を用いて試される。そして、T細胞活性化は、多くの方法を使用して検出されることが出来、例えばサイトカインの生産をモニタリングするか又はトリチウム標識チミジンの取り込みを測定することによる。最も好ましい実施態様では、インターフェロンγ生成が、Elispotアッセイを使用してモニタリングされる。
本発明によるモジュラー抗体の生物学的特性は、細胞、組織、及び生命体全体実験においてエクスビボに特徴づけらることが出来る。当技術分野において周知のように、薬はしばしば動物においてインビボで試験され、限定するものではないが、マウス、ネズミ、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ及びサルを含み、疾病又は疾病モデルに対する治療の薬剤効果を測定するため、又は薬剤の薬物動態学、薬力学、傷害及び他の特性を測定するために行われる。動物は、疾病モデルと称されてもよい。治療法は、マウスにおいてしばしば試験され、限定するものではないが、ヌードマウス、SCIDマウス、異種移植マウス及びトランスジェニックマウス(ノックイン及びノックアウトを含む)を含む。このような実験は、適当な半減期、エフェクター機能、アポトーシス活性、細胞傷害性又は細胞溶解活性を有する治療法として使用される、抗体の能力の決定のための重要なデータを提供することが出来る。いかなる有機体も(好ましくは哺乳類)試験のために使われることが出来る。例えばヒトに対するそれらの遺伝子の類似性のため、霊長類、サルは、適切な治療的モデルであり得、従って、本発明によるモジュラー抗体の有効性、毒性、薬物動態学、薬力学、半減期又は他の特性を試験するために用いられることが出来る。ヒトにおける物質の試験は、薬剤としての承認のために最終的に必要とされ、従って当然、これらの実験が検討される。このように、本発明のモジュラー抗体は、それらの治療有効性、毒性、免疫原性、薬物動態学、及び/又は他の臨床特性を決定するために、ヒトにおいて試験され得る。特に、単一細胞又は細胞複合体へ少なくとも2つの結合モチーフ、好ましくは標的細胞と架橋(cross-linking)する少なくとも3つの構造を通じて結合する本発明によるそれらのモジュラー抗体は、細胞標的及び架橋の際にエフェクター活性又は前アポトーシス又はアポトーシス活性において効果的であると考えられる。多価結合は、結合パートナーの比較的大きな関与を提供し、これは架橋とも呼ばれ、それはアポトーシス及び細胞死の前提条件である。
本発明のモジュラー抗体は、広範囲にわたる抗体製品において使用されることが出来る。一実施態様では、本発明のモジュラー抗体が治療又は、治療又は予防、例えば能動的又は受動的な免疫治療として、調製、産業、又は分析用途のために、診断、産業化合物又は研究試薬のために使用され、好ましくは治療のために使用される。モジュラー抗体は、モノクローナル又はポリクローナルの抗体組成物において使用されることが出来る。好ましい実施態様では、本発明のモジュラー抗体は、標的抗原、例えば癌細胞、を有する標的細胞を捕えるか又は殺すために使用される。別の実施態様では、本発明のモジュラー抗体は、標的抗原を遮断、拮抗、又はアゴナイズするために使用され、例えばサイトカイン又はサイトカイン受容体に拮抗することによる。
別の好ましい実施態様では、本発明のモジュラー抗体は、増殖因子又は増殖因子受容体を遮断するか、アンタゴナイズさせるか又は、アゴナイズするために使用され、これにより、標的抗原を有するか又は必要とする標的細胞を殺すことを仲介する。
別の好ましい実施態様では、本発明のモジュラー抗体は、酵素及び酵素基質を遮断するか、対抗させるか又は、アゴナイズするために用いる。
好ましい実施態様では、モジュラー抗体は、特定の疾患を治療するために患者に投与される。本発明の目的のための「患者」は、ヒト及び他の動物双方を含み、、好ましくは哺乳類及び最も好ましくはヒトである。本願明細書において「特定の疾患」とは、本発明の修飾された免疫グロブリンを含んで成る医薬品組成物の投与によって改善されることが出来る疾患を意味する。
一実施態様では、本発明によるモジュラー抗体は、患者に投与される唯一の治療的に活性な薬剤である。あるいは本発明によるモジュラー抗体は、一又は複数の他の治療薬と組み合わせて投与され、細胞傷害性薬剤、化学療法剤、サイトカイン、成長抑制薬剤、反ホルモンの薬剤、キナーゼ阻害剤、抗血管新生剤、心臓保護剤(cardioprotectant)又は他の治療薬を含むがこれに限らない。モジュラー抗体は、一又は複数の他の治療計画と併用して、投与されることが出来る。例えば、本発明のモジュラー抗体は、化学療法、放射線療法、又は化学療法及び放射線療法の両方と一緒に患者に投与されることが出来る。一実施態様では、本発明のモジュラー抗体は一又は複数の抗体と共に投与されることが出来、それは本発明のモジュラー抗体を含む場合もあればそうでない場合もある。本発明の別の実施態様によると、本発明のモジュラー抗体及び一又は複数の他の抗癌治療は、エクスビボで癌細胞を扱うために使用される。このようなエクスビボ治療は、骨髄移植及び特に自家骨髄移植において有用であることが考察される。本発明の抗体が、更に他の治療技術、例えば手術、と組み合わせて使用され得ることが当然考えられる。
種々の他の治療薬が、本発明のモジュラー抗体と共に投与されるために使用されることが出来る。一実施態様では、モジュラー抗体は、抗血管新生剤と共に投与され、これは血管の発達を遮断、又はある程度妨害する化合物である。抗血管新生因子は、例えば、小さい分子又はタンパク質、例えば抗体、Fc融合分子又はサイトカイン等であり、血管形成を促進することに関与する成長因子又は成長因子受容体に結合する。本願明細書において好ましい抗血管新生因子とは、血管内皮増殖因子(VEGF)と結合する抗体である。別の実施形態では、モジュラー抗体は、適応的免疫反応、例えばCTLA-4を標的とする抗体、を誘発するか又は強化する治療薬と共に投与される。別の実施形態では、修飾された免疫グロブリンは、チロシンキナーゼのチロシンキナーゼ活性をある程度阻害する分子であるチロシンキナーゼ阻害剤と共に投与される。別の実施形態では、本発明のモジュラー抗体は、サイトカインと共に投与される。「サイトカイン」とは、本願明細書において使用される場合、一細胞集団によって放出されるタンパク質の上位概念であり、細胞間伝達物質として別の細胞に作用し、ケモカインを含む。
薬物学的組成物が考慮され、本発明のモジュラー抗体及び一又は複数の治療的に活性な薬剤が製剤される。本発明のモジュラー抗体の安定した調製は、付加的な薬物学的に許容可能な担体、賦形剤又はスタビライザと共に、所望される純度を有する前記免疫グロブリンと混ぜることによって、保管のために調整され、凍結乾燥製剤又は水溶液の形である。インビボ投与のために使用される製剤は、好ましくは無菌である。これは、無菌の濾過膜よる濾過又は他の方法によって、容易に達成される。本願明細書において開示されるモジュラー抗体及び他の治療的に活性な薬剤は、また、免疫リポソーム及び/又はマイクロカプセルに封入されて製剤されることが出来る。
本発明のモジュラー抗体を含んで成る薬物学的組成物の投与は、好ましくは滅菌水溶液の形であり、様々な方法で行われ得、限定するものではないが、経口、皮下、静注、鼻腔内、耳内(intraotically)、経皮的、粘膜、局所的(ゲル類、軟膏、ローション類、クリーム類、その他)、腹膜内、筋肉注射、肺内(例えばAradigmから市販されている吸入可能技術AERxTM、又はInhale Therapeuticsから市販されている肺送達システムInhanceTM)、経膣的、非経口、直腸又は眼内投与を含む。
前述の説明は、以下の実施例を参照することによってより十分に理解される。このような実施例は、しかしながら、本発明の一又は複数の実施例を実践する方法の単なる代表であり、発明の範囲を制限するとして読まれるべきではない。
(実施例)
(実施例1:FcにおけるC末端ジスルフィド架橋)
ホモ二量体のFc断片の安定性を増加するために、CH3ドメインのC末端に鎖間ジスルフィド架橋が設計された。
CH3ドメインC末端の残基をSer124(IMGT番号付け)に変異させることは、構造的にジスルフィド架橋の形成を可能にし、C末端ジスルフィド結合を有するホモ二量体のFc断片を造る。この実施例によれば、CH3ドメインに変異として導入された残基は、CLドメインの3つのC末端残基、GlyGluCysであった。CH3ドメインに導入された変異は従って:Pro125Gly、Gly129Glu、Lys130Cys(IMGT番号付け)である。
(変異Fcの配列及び翻訳:)
変異体Fcの配列は、図1に提供される(配列番号:1-ヌクレオチド配列;配列番号:2-タンパク質配列)。変異は、部位特異的変異誘発の標準的な方法を使用して導入された。特に、Quikchange キット(Stratagene)が、用いられた。変異誘発プライマCH3SSSNotは、以下の配列を有した:
Figure 2012532838
発現の前に、変異Fcの配列は、DNA塩基配列決定によって検証された。
Fc及びC末端システインを有するFcをコードする遺伝子は、ピキア・パストリスの発現ベクターpPICZalphaAに、EcoRI及びNotI部位の間に、インフレームで、上澄みへの分泌のための出芽酵母(サッカロマイセス・セレヴィシエ)α-因子リーダー配列と共に、クローン化された。SacIを用いた直線化の後、プラスミドはエレクトロポレーションを使用してピキア・パストリスX33に形質転換され、形質転換体は250μg/mlのゼオシンを有するYPD培地で選択された。P.パストリスコロニーはYPG培地に植菌され、1%のメタノールを有するYPを使用して組換えタンパク質の生産が誘導された。誘導は、標準のプロトコル(Invitrogen)に従って、3日間続けられた。
上澄みは、3000rpm、15分、4°Cで遠心分離によって回収され、そして、8000rpm、15分、4°Cの更なる遠心分離によって一掃された。それから、前もって0.1MのNa-リン酸塩緩衝液(pH=7.0)で平衡化されたプロテインA HPカラムに充填された。充填後、カラムは同じ緩衝液で洗われ、そして、タンパク質は0.1Mのグリシン(pH=3.5)によって抽出されて、2Mのトリス塩基によってすぐに中和された。タンパク質を含んでいる画分はプールされ、100倍体積量の1xPBS(pH=7.2)に対して4°Cで透析された。
タンパク質の熱安定性を評価するために、示差走査熱量測定(DSC)が用いられた。DSC測定は、Microcal社のVP-DSC機器で、60°C/hの加熱率によって実施された。タンパク質濃度は、0.25mg/mlであった。始めに、熱スキャンが、20から100の°Cで成された。新鮮なタンパク質サンプルを用いて、以下の3つの工程から成るアニールスキャンが成された:
1.20−72°C、その後20°Cまで冷却
2.20−100°C、その後20°Cまで冷却
3.20−100°C
最初のアンフォールディングイベントは、加熱が72°Cを上回らない時、完全に可逆性であった。100°Cまでの加熱は、第3のスキャンによって示されるように、不可逆性の熱変性を生じた。従って、タンパク質の熱安定性の評価のために、最初のスキャンが使用され、第三のスキャンのよって得られた信号は、ベースラインとして使用された。Tm(融点)は、中間の転移点として読まれた。エンタルピーは、3ピークを有する非2ステートモデルを使用して、DSCのためのMicrocal社のOriginによって算出された。
Figure 2012532838
Figure 2012532838
熱変性の融点、Tm2及びTm3それぞれにおける大きい正の変動(6,24°C及び9,05°C)は、野生型のFcに対する多様体の増加した熱安定性を示す。
新しい抗原結合部位を有するライブラリのメンバーを選ぶのに、構造ループ領域にランダム化された配列を有するFc多様体のライブラリを提供するために、変異Fcが足場として使われる。
(実施例2:Fc野生型におけるドメイン内ジスルフィド架橋)
ホモ二量体のFc断片の安定性を増加するために、2つの異なる鎖内ジスルフィド架橋が、CH3ドメインにおいて設計された。
Pro343Cys及びAla431Cysを変異させることによってCysP2を有するFcが生成された(全ての番号付けはカバット番号付けスキームに従う)。このクローンにおいて、Cysに変異された2つの残基は、CH3ドメインのN末端の近く(Pro343)及びFGループ(Ala431)に位置する(CysP2のIMGT番号:1.2及び110)。配列は、図2a(変異システインは下線が引かれる)及び配列番号:4に提供される。
Ser375Cys及びPro396Cysを変異させることによって、CysP4を有するFcが生成された。このクローンにおいて、Cysに変異された2つの残基は、CH3ドメインのBCループ(Ser375)及び、Dシート(Pro396)に位置する(CysP4のIMGT番号:33及び83)。配列は、図2b(変異システインは下線が引かれる)及び配列番号:5に示される。
変異は、部位特異的変異誘発の標準の方法を用いて、Fc野生型をコードするDNA配列に導入された。特に、Quikchangeキット(Stratagene)が、用いられた。発現の前に、変異Fcの配列は、DNA塩基配列決定によって検証された。
Fc野生型、Fc CysP2及びFc CysP4のクローニング、発現、精製及びDSC測定が、実施例1にて説明したように実行された。クローンFc CysP2及びFc CysP4における、CH3ドメインの増加した熱安定性を示す、DSC測定の結果が、表6に示される。
Figure 2012532838
更に、ジスルフィド架橋の組合せが造られた:
・ジスルフィド架橋CysP2は、一つのクローンにおいて、ジスルフィド架橋CysP4と組み合わされ、CysP24と称される。配列は、図3a(変異システインは下線が引かれる)及び配列番号:6に提供される。
・ジスルフィド架橋CysP2は、一つのクローンにおいて、実施例1のC末端ジスルフィド架橋と組み合わされ、CysP2Cysと称される。配列は、図3b(変異システインは下線が引かれる)及び配列番号:7に提供される。
クローニング、発現、精製及びDSC測定が、上記のように実施された。クローンFc CysP24及びFc CysP2Cysにおける、CH3ドメインの増加した熱安定性(T2及びT3)を示す、DSC測定の結果が、表7に示される。
Figure 2012532838
(実施例3:Fc H10-03-6におけるドメイン内及びドメイン間ジスルフィド架橋)
これまでに、HER2/neuに特異的に結合する、CH3ドメインの構造ループに変異を有するFcが生成された(国際公開第2009/000006A1号)。Fc H10-03-6の配列は、図4a及び配列番号:8に提供される。このクローンの熱安定性が、Fc野生型と比較して減少することが判明した。従って、ジスルフィド架橋の導入によってそれを安定させる試みが成された。
このHER2/neu特異的Fcに、実施例1によるC末端ジスルフィド架橋が導入され、クローンH10-03-6 Cysが生成された。(配列は、図4b(変異システインは下線が引かれる)及び配列番号:9に提供される)。更に、実施例2に従うジスルフィド架橋CysP2が導入された(H10-03-6 CysP2、配列は図4c(変異システインは下線が引かれる)及び配列番号:10に提供される)。同様に、これらの2つのジスルフィド架橋の組合せ(H10-03-6 CysP2Cys、配列は、図4d(変異システインは下線が引かれる)及び配列番号:11に提供される)。
クローニング、発現、精製及びDSC測定が、上記のように実施された。CH2(T1)及びCH3ドメイン(T2)の増加した熱安定性を示す、DSC測定の結果が、表8に示される。全てのH10-03-6クローンで、Fc野生型に見られる、熱変性の第3の転移点が、観察されないことに注意されたい。
Figure 2012532838
(実施例4:Fc EAM151-5におけるドメイン内及びドメイン間ジスルフィド架橋)
別の実施例では、抗原Xに結合する、新規に設計されたFcクローンが選択された(国際公開第2009/000006A1号)。このクローンは、EAM151-5と称される。このクローンの熱安定性が、Fc野生型と比較して減少することが判明した。従って、ジスルフィド架橋の導入によってそれを安定させる試みが、以下のジスルフィド架橋及びジスルフィド架橋の組合せを導入ことによって行われた:
・EAM151-5 Cys
・EAM151-5 CysP2
・EAM151-5 CysP2Cys
・EAM151-5 CysP4Cys
・EAM151-5 CysP24
クローニング、発現、精製及びDSC測定が、上記のように実施された。CH3ドメイン(T2及びT3)の増加した熱安定性を示す、DSC測定の結果が、表9に示される。幾つかの安定化された多様体と同様に、EAM151-5において、Fc野生型に見られる、熱変性の第3の転移点が、観察されないことに注意されたい。しかしながら、Tm3が観察されることが出来る程度まで、クローンEAM151-5CysP2Cys及びEAM151-5CysP24は安定化される。
Figure 2012532838

Claims (15)

  1. 少なくとも1つの定常抗体ドメインを含んでなるマルチドメインモジュラー抗体であって、フレームワーク領域内でドメイン内又はドメイン間ジスルフィド架橋を得るために、前記定常ドメインの変異誘発によりアミノ酸配列に少なくとも1つのCys残基を導入することによって人工ジスルフィド架橋を形成するよう変異されているモジュラー抗体。
  2. 前記人工ジスルフィド架橋によって連結された、少なくとも2つの定常ドメインを含む請求項1に記載のモジュラー抗体。
  3. 抗原結合領域を有する請求項1又は2に記載のモジュラー抗体。
  4. 完全長抗体、又はFab、Fc、又は少なくとも1つの定常ドメインと少なくとも1つの定常ドメイン又は可変ドメインとの他の組合せ等の抗体一部である請求項1から3の何れかに記載のモジュラー抗体。
  5. 前記定常ドメインが、モジュラー抗体の抗原結合機能に寄与する請求項1から4の何れかに記載のモジュラー抗体。
  6. 前記少なくとも1つのCys残基が、抗体の抗原結合部位とは別に導入される請求項1から5の何れかに記載のモジュラー抗体。
  7. 請求項1から6の何れかに記載のモジュラー抗体に基づくモジュラー抗体ライブラリを作製するための足場。
  8. 請求項1から6の何れかに記載のモジュラー抗体のライブラリであって、前記モジュラー抗体が、ループ領域内にランダム化アミノ酸配列を得るために変異誘発されているライブラリ。
  9. 請求項1から6の何れかに記載のモジュラー抗体を製造する方法であって、
    −少なくとも2つの抗体ドメインを含んでなるモジュラー抗体を提供する工程であっ て、抗体ドメインの内少なくとも一つが定常ドメインである工程、
    −前記ドメインのフレームワーク領域内にCys残基を導入するために、前記定常ド メインを変異させる工程、及び
    −分子内に新規のジスルフィド架橋を形成するために酸化条件下で前記モジュラー抗 体を発現させる工程
    を含む方法。
  10. 少なくとも2つの定常ドメインが、Cys残基を導入するように変異される請求項9に記載の方法。
  11. 前記定常ドメインが、抗原結合に寄与する請求項9又は10の何れかに記載の方法。
  12. 前記Cys残基が、抗体の抗原結合部位とは別に導入される請求項9から11の何れかに記載の方法。
  13. 前記モジュラー抗体が、ジスルフィドを形成する条件で宿主細胞によって発現される請求項9から12の何れかに記載の方法。
  14. マルチドメインモジュラー抗体の熱安定性を増加する、請求項9から13の何れかに記載の方法の使用。
  15. マルチドメインモジュラー抗体の抗原結合を改善する、請求項9から13の何れかに記載の方法の使用。
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