JP2012504445A - 抗微生物コーティング - Google Patents

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Abstract

本発明は、組換えゼラチンおよび抗微生物剤を含むコーティングを表面に付与する方法に関する。特に、本発明は医療用具をコートする方法に関する。本発明は、コートされた表面および医療用具、ならびにゼラチンおよび抗微生物剤を含む組成物にも関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、組換えゼラチンおよび抗微生物剤を含むコーティングを表面に付与する方法に関する。特に、本発明は医療用具をコートする方法に関する。本発明は、コートされた表面および医療用具、ならびにゼラチンおよび抗微生物剤を含む組成物にも関する。
細菌はヒトおよび動物の皮膚の表面および全身に存在する。これらの細菌がすべて有害なわけではないが、有害細菌が創傷または切開部に感染するのを防ぐためには医療機器(medical instrument)を殺菌しなければならない。短期間使用する医療機器、すなわち48時間より短期間、身体と接触しているものについては、使用前の殺菌で十分である;それらの医療機器は一般に、有意の細菌増殖が起きる可能性のある前に取り除かれるからである。
より長期間ヒトまたは動物の体内に留まる医療用具(medical device)は、細菌にとって理想的な付着表面および増殖領域を形成する。さらに、体内への医療用具の導入は、細菌が皮下層を通過するのを可能にする。その結果生じる感染はしばしば有害であり、致命的となる可能性すらある。
現在の医療用具、たとえばカテーテルは、限られた期間だけ体内に留まることができ、その後それらを取り出して殺菌された用具と交換しなければならない。取出および交換は、しばしば患者にとって苦痛である。さらに、これらの長期用具の取出および交換は煩雑であり、医療費を増大させる可能性がある。抗微生物特性をもつ医療用具コーティングを開発するために種々の方法が提案された。1つの方法は、抗微生物剤を溶出するコーティングの開発である。そのようなコーティングに適したコーティング材料は、ゼラチンまたはコラーゲンを含むタンパク性コーティング材料である。ゼラチンおよびコラーゲンを含むコーティングは、ゲル化性タンパク質の十分な流動性を達成するために一般に50℃より高い温度に加熱される。しかし、最も有効な抗微生物性化合物のうちあるものは高温(たとえば50℃より高い)に対して感受性であり、このためそれらをゼラチンおよびコラーゲンと組み合わせてコーティングに使用するのは困難である。そのような高温は、温度感受性抗生物質、たとえばベータ−ラクタム系抗生物質に対して有害な作用をもつ。その結果得られる抗微生物コーティングは限られた量の抗微生物性化合物を含み、有効性が制限される。本発明の目標は、タンパク性コーティング材料が持続的な抗微生物活性をもち、かつ抗微生物性化合物の活性を低下させることなくそれらをゼラチンまたはコラーゲンコーティング中へ取り込ませることができるように、タンパク性コーティング材料を付与する方法を提供することである。
本発明は、組換えゼラチンおよび抗微生物剤を含むコーティングを表面に付与する方法に関する。特に、本発明は医療用具をコートする方法に関する。本発明者らは意外にも、組換えゼラチンを含むコーティングが、医療用具表面における既知の病原性微生物の付着および定着を減少させることを見出した。さらに、先行技術と対照的に、非ゲル化性組換えゼラチンの使用によりコーティング操作に際して比較的低い温度の採用が可能になり、これは抗生物質、特に温度感受性抗生物質の取込みに有益であり、コーティングの抗微生物性を増強する。
一般的定義
別途定義しない限り、本明細書中で用いるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者が一般に理解している意味をもつ。
本明細書中で用いる“医療用具”は、人体の再生のための用具もしくは製品および/または薬物放出を制御するために体内に埋め込む物体を意味する。この用語には被吸収性の用具または製品が含まれる。
用語“抗微生物剤”および“抗生物質”は互換性をもって用いられ、抗菌、抗真菌、抗ウイルスまたは抗寄生虫活性をもつと同定されたいずれかの天然、合成および半合成化合物を表わす。本発明において、そのような活性は、インビボでの長期使用に際して微生物による医療用具の汚染およびそれに続く感染の機会が減ることを意味する。これは、たとえば医療用具への微生物の付着の制限、予防もしくは遅延、および/または微生物の死滅、および/または微生物の増殖の制限、予防もしくは阻害を意味することができるが、これらに限定されない。用語“抗微生物剤”は、単一の抗微生物剤または抗微生物剤の混合物を表わすことができる。
本明細書中で用いる“タンパク性コーティング材料”は、タンパク質を含む組成物である。
用語“タンパク質”または“ポリペプチド”または“ペプチド”は互換性をもって用いられ、アミノ酸の鎖からなる分子を表わし、特定の作用様式、サイズ、三次元構造または起源を表わすものではない。
本明細書中で用いる“ゼラチン”は、伝統的な方法で抽出した、または組換えもしくは生合成に由来するゼラチン、あるいは少なくとも1つのコラーゲンドメイン(Gly−X−Y領域)を含むいずれかの分子を表わす。ゼラチンは現在は動物(たとえば、ウシ、ブタ、げっ歯類、ニワトリ、ウマおよび魚類)源、たとえば骨および組織に由来するコラーゲンからの抽出により得られる。この用語には、ゼラチン製品中に含有される1種類より多いポリペプチドの組成物、およびゼラチン材料に関与する個々のポリペプチドの両方が含まれる。したがって、本発明に関して用いる組換えゼラチンという用語は、ゼラチンポリペプチドを含む組換えゼラチン材料、および個々のゼラチンポリペプチドの両方が含まれる。
それからゼラチンを得ることができるポリペプチドは、コラーゲン、プロコラーゲンなどのポリペプチド、および少なくとも1つのコラーゲンドメイン(Gly−X−Y領域)を含む他のポリペプチドである。そのようなポリペプチドは、単一コラーゲン鎖、またはコラーゲンのホモトリマーもしくはヘテロトリマー、あるいはそのいずれかのフラグメント、誘導体、オリゴマー、ポリマーまたはサブユニットを含むことができる。この用語には特に、自然界でみられない工学的に処理された配列、たとえば変異したコラーゲン配列、たとえば欠失、付加、置換または他の変化により天然コラーゲン配列から変異した配列が含まれるものとする。そのような配列は、適切な変異したコラーゲンポリヌクレオチド構築体などから得ることができる。
本発明において使用する非ゲル化性(non−gelling)ゼラチンは、50g未満のブルーム強度(Bloom strength)をもつゼラチン、好ましくは10g未満のブルーム強度をもつゼラチンである。
本明細書中で用いる“ブルーム強度”は、ゼラチンの6.67%溶液(w/v)により定温浴(10℃)内で17時間かけて形成されたゲルの強度の測定値である。標準的なテクスチャー分析計を用いて、直径0.5インチの標準AOAC(Association of Official Agricultural Chemists)プランジャーをゲル内へ4ミリメートル押し込むのに要する重量(グラム)を測定する。このプランジャーを押し込むのに要する重量(グラム)が200グラムである場合、そのゼラチンは200gのブルーム値をもつ(たとえば、United States Pharmacopoeia and Official Methods of Analysis of AOAC International, 17th edition, Volume IIを参照)。
本明細書中で用いる“熱不安定”化合物は、中程度の加熱により破壊、分解、または大きな変化を受ける。熱不安定性である抗微生物性化合物は、一般にある温度で他の抗微生物性化合物と比較して低い安定性をもつ。
本明細書に記載する“架橋剤(cross−linking agent)”は、クロスリンカーを含む組成物を表わす。本明細書中で用いる“クロスリンカー(cross−linker)”は、有機分子に分子内−および分子間−共有結合橋を導入することができる反応性化合物を表わす。
用語“含む(comprising)”は、記述した部品、工程または成分の存在を特定するけれども1以上の追加の部品、工程または成分の存在を除外しないと解釈すべきである。
さらに、不定冠詞“a”または“an”による要素の記載は、状況からその要素が1つあり、かつ1つしかないことが要求されない限り、その要素が1つより多く存在する可能性を除外しない。したがって不定冠詞“a”または“an”は通常は“少なくとも1つ”を意味する。
本発明は、組換えゼラチンおよび抗微生物剤を含むコーティングを表面に付与する方法であって、
a)組換えゼラチンと抗微生物剤を0℃〜40℃の温度で混合して混合物を得る;そして
b)この混合物を0℃〜40℃の温度で架橋する
工程を含む方法を提供する。
ある態様において、25℃未満、好ましくは20℃未満、より好ましくは10℃未満、場合により5℃未満の温度において、コーティング組成物で表面をコートおよび/または架橋する。ただし、コーティングは0℃より高い温度で付与および/または架橋すべきである。
他の態様においては、5℃より高い温度、特に10℃より高い温度においてコーティング組成物で表面をコートおよび/または架橋する。
好ましくは、コーティングは工程a)とb)の間、または工程b)の後に表面に付与される。後者の場合、コーティングが硬化する前にコーティングを付与すべきである。工程b)は、1種類以上の化学架橋剤の添加により行なうことができる。あるいは、工程a)において架橋の光開始剤を組換えゼラチンおよび抗微生物剤と混合し、続いてこうして得た混合物を架橋するためにUVまたは可視光線照射を適用することができる。あるいは本発明によるコーティングは、表面を組換えゼラチンでコートし、続いてこの表面と抗微生物剤を含む溶液を接触させ、これにより抗微生物剤を組換えゼラチンに取り込ませることにより達成できる。
好ましい態様においては、医療用具の表面にコーティングを付与する。本発明に従ってコートできる医療用具の例には下記のものが含まれるが、これらに限定されない:ステント、ステント移植皮弁(stent graft)、吻合コネクター、合成パッチ、リード線、電極、針、ガイドワイヤ、カテーテル、センサー、外科用機器、血管形成術用バルーン、創傷ドレーン、シャント、チューブ材、注入スリーブ、尿道インサート、ペレット、移植片、血液酸素付加装置、ポンプ、人工血管、血管アクセス口、心臓弁、弁輪形成術用リング(annuloplasty ring)、縫合材、外科用クリップ、外科用ステープル、ペースメーカー、埋込み型除細動器、神経刺激装置、整形用具、脳脊髄液シャント、埋込み型薬物ポンプ、脊椎ケージ、人工椎間板(disc)、髄核(nucleus pulposus)代替用具、耳チューブ、眼内レンズ、および最小侵襲外科手術に用いるいずれかのチューブ材。本発明に使用するのに特に適した物品には、医療用具または構成要素、たとえばカテーテル、ガイドワイヤ、ステント、注射器、金属製およびプラスチック製の移植片、コンタクトレンズ、医療用チューブ材、および一部が体外にある用具が含まれる。血管ステント、外科移植片およびカテーテルからなる群から選択される医療用具の表面にコーティングを付与することが特に好ましい。
本発明方法に用いるコーティング組成物における組換えゼラチンの使用は、一般に動物源から調製されるゼラチンと比較して医療上の利点を提供する。現在用いられている動物源ゼラチン混合物を完全には特性解明、精製または再現できないことは、医薬および医療社会で絶えず存在する問題である。一般のゼラチンには、安全性の問題点、たとえば潜在免疫原性応答、たとえば抗原性およびアレルギー性応答に関する問題、ならびに抽出および精製の過程で生じる細菌汚染および内毒素負荷に関する問題がある。組換え製造したゼラチンは、これらの安全性の問題に解決策を提供する。さらに、組換え技術は、変異した特性、たとえば限定ではないが、低い免疫原性、改良された細胞付着性、および/または制御された生分解性を備えたゼラチン様タンパク質の設計を可能にする。さらに他の利点は、組換え製造したゼラチンは構造およびサイズがより均質なことであり、これは得られるコーティングの均質性を高める。
EP 0926543、EP 1014176およびWO 01/34646、同様にEP 0926543およびEP 1014176、詳細には実施例のセクションに、組換えゼラチン、およびメチロトローフ酵母、特にピチア・パストリス(Picha pastoris)を用いるそれらの製造方法が記載されている。WO 01/34646には、コーティングとしての組換えゼラチンの使用が開示されている。
組換えゼラチンは1タイプの組換えゼラチンであってもよく、あるいは2以上のタイプの組換えゼラチンの混合物であってもよい。同様に、コーティングは1タイプの抗微生物剤を含むことができ、あるいは2以上のタイプの抗微生物剤を含むことができる。
有益な態様において、組換えゼラチンは非ゲル化性の組換えゼラチンを含む。そのような非ゲル化性の組換えゼラチンは、コーティング付与に十分な流動性を達成するために必要な温度がより低いことが知られているという点で有利である。これにより、コーティングを調製してそれを表面に付与する際に温度感受性の抗微生物剤の活性および/または安定性を喪失することなく、それらを取り込むのが可能になる。
本発明の態様において、コーティングはヒドロキシル化されていないゼラチンである組換えゼラチンを含む。他の態様において、コーティングは実質的にらせん形成のない組換えゼラチンを含む。そのようなヒドロキシル化されていない組換えゼラチンおよび実質的にらせん形成のない組換えゼラチンは、三次元構造を天然ゼラチンより少なく含み、したがって前記のようにコーティング付与に十分な流動性を達成するために必要な温度がより低く、温度感受性の抗微生物剤を取り込むのが可能になる。
組換えゼラチンを含むタンパク性コーティング材料の格別な有益性は、微生物が医療用具の表面に付着して定着する能力を低下させ、コーティングの抗微生物性を増強することである。このコーティングは既知の病原体、たとえばブドウ球菌属(Staphylococcus)およびシュードモナス属(Pseudomonas)の細菌、より具体的には表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)および緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)の付着に対して特に有効であるが、これらに限定されない。
抗微生物剤は熱不安定性の抗微生物剤、たとえば下記のものであってもよい:ホスポラミドン(phosporamidon)、ブラスチサイジンS(blasticidin S)、キモスタチン(chymostatin)、アンチパイン(antipain)、熱不安定アミノグリコシド類、たとえば(これらに限定されない)カスガマイシン(kasugamycin)、トブラマイシン(tobramycin)、アミカシン(amikacin)、リビドマイシンA(lividomycin A)、ジヒドロストレプトマイシン(dihydrostreptomycin)、ミノサミノマイシン(minosaminomycin)、ベータ−ラクタム系抗生物質、たとえば(これらに限定されない)二環式ベータ−ラクタムチアゾリジン類、ペネム類、たとえば(これらに限定されない)チエナマイシン(thienamycin)、イミペネム(imipenem)、スロペネム(sulopenem)、リチペネム(ritipenem)、ファロペネム(faropenem)およびセフメタゾール(cefmetazole)。好ましくは、熱不安定性の抗微生物剤は熱不安定アミノグリコシド類または熱不安定ベータ−ラクタム系抗生物質である。
本発明のコーティングを、表面、たとえば医療用具の表面に、種々の方法で付与することができる。コーティング材料をたとえば医療用具に吹き付けることができるが、これに限定されない。他の態様において、本発明のタンパク性コーティング材料は溶液であり、これに医療用具を浸漬する;これは浸漬コーティングと呼ぶこともできる。他の付与方法は洗浄、蒸着、はけ塗、ローラー塗、流し塗、スピンコーティング、および当技術分野で既知の他の方法である。
1態様において、コーティング材料はさらに架橋剤をも含む。他の態様において、医療用具は用具に架橋剤を含浸させる予備処理を受けている。適切な架橋剤は当技術分野で既知である。それらには下記のものから選択される化学的クロスリンカーが含まれる:アルデヒド化合物、たとえばホルムアルデヒドおよびグルタルアルデヒド、カルボジイミド、ジ−アルデヒド ジ−イソシアネート、エポキシド類、ケトン化合物、たとえばジアセチルおよびクロロペンタンジオン、ビス(2−クロロエチル尿素)、2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、反応性ハロゲン含有化合物であってUS 3,288,775に開示されるもの、ピリジン環がスルフェート基またはアルキルスルフェート基をもつカルバモイルピリジニウム化合物であってUS 4,063,952およびUS 5,529,892に開示されるもの、ジビニルスルホン類など、ならびにS−トリアジン誘導体、たとえば2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−s−トリアジン。有用な態様において、架橋剤は1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)である。
ある態様において、組換えゼラチンは架橋性基で化学修飾されており、したがってゼラチンのみが架橋し、抗微生物剤は架橋しない。これは抗微生物剤の活性および/または安定性を保存するために有益である。架橋の目的に適切な可能性のある基は当業者に周知である。架橋性基は下記のものから選択できるが、これらに限定されない:エポキシ化合物、エキセタン(oxetane)誘導体、ラクトン誘導体、オキサゾリン誘導体、環状シロキサン、またはエテン性不飽和化合物、たとえばアクリレート、メタクリレート、ポリエン−ポリチオール、ビニルエーテル、ビニルアミド、ビニルアミン、アリルエーテル、アリルエステル、アリルアミン、マレイン酸誘導体、イタコン酸誘導体、ポリブタジエン、およびスチレン類。好ましくは、架橋性基として(メタ)アクリレート、たとえばアルキル−(メタ)アクリレート、ポリエステル−(メタ)アクリレート、ウレタン−(メタ)アクリレート、ポリエーテル−(メタ)アクリレート、エポキシ−(メタ)アクリレート、ポリブタジエン−(メタ)アクリレート、シリコーン−(メタ)アクリレート、メラミン−(メタ)アクリレート、ホスファゼン−(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、およびその組合わせを、それらの高い反応性のため使用する。よりさらに好ましくは、架橋性基はメタクリレートであり、したがって本発明はメタクリル化(組換え)ゼラチンをも提供する。そのようなメタクリル化(組換え)ゼラチンは制御放出組成物の調製にきわめて有用である。一般に、架橋性基(たとえばメタクリレート)を(組換え)ゼラチンへカップリングさせ、レドックス重合(たとえば、化学開始剤、たとえば組合わせペルオクソ二硫酸カリウム(KPS)/N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TEMED)で処理することによる)により、または開始剤の存在下でのラジカル重合により(たとえばUV線などの照射による熱反応により)、架橋を得る。
架橋の光開始剤を使用できる。それらを組換えゼラチンと混合することができる。光開始剤は、通常はUVまたは可視光線照射により混合物を硬化させる場合に必要である。適切な光開始剤は当技術分野で周知である。それらには、ラジカルタイプ、カチオンタイプまたはアニオンタイプの光開始剤が含まれる。
限定ではないラジカルタイプI光開始剤の例には、下記のものが含まれる:a−ヒドロキシアルキルケトン類、たとえば2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−1−プロパノン(Irgacure(商標) 2959:Ciba)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン(Irgacure(商標) 184:Ciba)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン(Sarcure(商標) SR1173:Sartomer)、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−{4−(1−メチルビニル)フェニル}プロパノン](Sarcure(商標) SR1130:Sartomer)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−tert−ブチル−)フェニルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−[4’−(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロパノン(Darcure(商標) 1116:Ciba);アミノアルキルフェノン類、たとえば2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−4’−モルホリノブチロフェノン(Irgacure(商標) 369:Ciba)、2−メチル−4’−(メチルチオ)−2−モルホリノプロピオフェノン(Irgacure(商標) 907:Ciba);a,a ジアルコキシアセトフェノン類、たとえばa,a ジメトキシ−a−フェニルアセトフェノン(Irgacure(商標) 651:Ciba)、2,2−ジエチオキシ−1,2−ジフェニルエタノン(Uvatone(商標) 8302:Upjohn)、a,a ジエトキシアセトフェノン(DEAP:Rahn)、a,a−ジ−(n−ブトキシ)アセトフェノン(Uvatone(商標) 8301:Upjohn);フェニルグリオキソレート類、たとえばメチルベンゾイルホルメート(Darocure(商標) MBF:Ciba);ベンゾイン誘導体、たとえばベンゾイン(Esacure(商標) BO:Lamberti)、ベンゾインアルキルエーテル(エチル、イソプロピル、n−ブチル、イソ−ブチルなど)、ベンジルベンゾインベンジルエーテル、アニソイン(Anisoin);モノ−およびビス−アシルホスフィンオキシド類、たとえば2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキシド(Lucirin(商標) TPO:BASF)、エチル−2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィネート(Lucirin(商標) TPO−L:BASF)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(Irgacure(商標) 819:Ciba)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキシド(Irgacure 1800または1870)。他の市販の光開始剤は下記のものである:1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]−1,2−オクタンジオン(Irgacure OXE01 )、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)エタノン(Irgacure OXE02)、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(Irgacure127)、オキシ−フェニル−酢酸 2−[2 オキソ−2−フェニル−アセトキシ−エトキシ]−エチルエステル(Irgacure754)、オキシ−フェニル−酢酸−2−[2−ヒドロキシ−エトキシ]−エチルエステル(Irgacure754)、2−(ジメチルアミノ)−2−(4−メチルベンジル)−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン(Irgacure 379)、1−[4−[4−ベンゾイルフェニル)チオ]フェニル]−2−メチル−2−[(4−メチルフェニル)スルホニル)]−1−プロパノン(Esacure 1001 M、Lambertiから)、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビスイミダゾール(Omnirad BCIM、IGMから)。
タイプII光開始剤の例は、下記のものである:ベンゾフェノン誘導体、たとえばベンゾフェノン(Additol(商標) BP:UCB)、4−ヒドロキシベンゾフェノン、3−ヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,5−ジメチルベンゾフェノン、3,4−ジメチルベンゾフェノン、4−(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、[4−(4−メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、メチル−2−ベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N,N−トリメチルベンゼンメタンアミニウムクロリド、2−ヒドロキシ−3−(4−ベンゾイルフェノキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパナミニウムクロリド、4−(13−アクリロイル−1,4,7,10,13−ペンタオキサトリデシル)ベンゾフェノン(Uvecryl(商標) P36:UCB)、4−ベンゾイル−N,N−ジメチ−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニル)オイ]エチルベンゼンメタンアミニウムクロリド、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、アントラキノン、エチルアントラキノン、アントラキノン−2−スルホン酸ナトリウム塩、ジベンゾスベレノン;アセトフェノン誘導体、たとえばアセトフェノン、4’−フェノキシアセトフェノン、4’−ヒドロキシアセトフェノン、3’−ヒドロキシアセトフェノン、3’−エトキシアセトフェノン;チオキサンテノン誘導体、たとえばチオキサンテノン、2−クロロチオキサンテノン、4−クロロチオキサンテノン、2−イソプロピルチオキサンテノン、4−イソプロピルチオキサンテノン、2,4−ジメチルチオキサンテノン、2,4−ジエチルチオキサンテノン、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサントン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロリド(Kayacure(商標) QTX:日本化薬);ジオン類、たとえばベンジル、カンファーキノン、4,4’−ジメチルベンジル、フェナントレンキノン、フェニルプロパンジオン;ジメチルアニリン類、たとえば4,4’,4”−メチリジン−トリス(N,N−ジメチルアニリン)(Omnirad(商標) LCV、IGMから);イミダゾール誘導体、たとえば2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビスイミダゾール;チタノセン類、たとえばビス(イータ−5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス−[2,6−ジフルオロ−3−1H−ピロール−1−イル]フェニル]チタニウム(lrgacure(商標)784:Ciba);ヨードニウム塩、たとえばヨードニウム、(4−メチルフェニル)−[4−(2−メチルプロピル−フェニル)−ヘキサフルオロホスフェート(1−)。2種類以上の光開始剤の組合わせも使用できる。
アクリレート、ジアクリレート、トリアクリレートまたは多官能性アクリレートが架橋性基を構成する場合、タイプI光開始剤が好ましい。特に、アルファ−ヒドロキシアルキルフェノン類、たとえば2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−tert−ブチル−)フェニルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−[4’−(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンおよびオリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−{4−(1−メチルビニル)フェニル}プロパノン]、アルファ−アミノアルキルフェノン類、アルファ−スルホニルアルキルフェノン類およびアシルホスフィンオキシド類、たとえば2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキシド、エチル−2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィネートおよびビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシドが好ましい。
本発明のコーティング組成物は、いかなる形状またはタイプの表面のコーティングのためにも使用できる。表面をコートされる材料は平坦、緻密、または複雑な形状の本体であってもよい。それは多孔質、珠状(beaded)または網状(meshed)の内側に伸びる表面を備えていてもよく、すべて本体の目的に依存する。
前記に述べたように、コーティングは当技術分野で既知のいずれかの手段で、たとえばコーティングを表面にはけ塗、吹付、すり込み(wiping)、浸漬、押出、または射出することにより表面に付与することができる。
本発明の第2観点は、本発明の第1観点に記載した方法により得られるコートされた表面を提供する。好ましくは、コートされた表面は本発明の第1観点に記載した医療用具である。コートされた表面が血管ステント、外科移植片またはカテーテルであることが特に好ましい。
本発明の第3観点は、組換えゼラチン、抗微生物剤、およびN−エチル−N−3−ジメチルアミノプロピル−カルボジイミドを含む液体組成物を提供する。本発明の第3観点において組換えゼラチンおよび抗微生物剤は、本発明の第1観点に記載したものおよび好ましいものである。本発明の第3観点において、用語“液体組成物”はクロスリンカーがゲル化を誘導する前のゼラチン溶液を表わすと理解すべきである。
本発明の第4観点は、組換えゼラチン、抗微生物剤、および光開始剤を含む液体組成物を提供する。本発明の第4観点において、組換えゼラチン、抗微生物剤、および光開始剤は、本発明の第1観点に記載したものおよび好ましいものである。
本発明を、限定ではない以下の実施例においてより詳細に説明する。
実施例
1.天然ゼラチンのコーティング
10% w/wおよび20% w/wの石灰処理骨ゼラチン(limed bone gelatin)(PBLJ)または医薬用等級の水解豚皮ゼラチン(骨プラグ(bone plug)、豚皮(pigskin))を40℃の水に溶解した。PBLJ溶液のpHをNaOHで約7に調整し、豚皮ゼラチンのpHを約6に調整した。
クロスリンカーであるN−エチル−N−3−ジメチルアミノプロピル−カルボジイミド(EDC,Degussa)を使用直前に調製した。文献に基づいてこの試験につき下記の仮定を行なった:10グラムのゼラチンは4mmolのリジンを含有する。25% w/wのEDCを種々の量でゼラチン溶液に添加した。その量をEDC/リジン比(mol/mol)として計算した。EDCをゼラチン溶液に攪拌しながら徐々に添加した。ゲル化を防ぐために、予備処理した顕微鏡ガラス(glass microscope)(キトサン、シランまたはリジン基層)に、ハンドコーターバーを用いてゼラチンを直ちにコートし、12、100または300μm厚さの層を得た。コーティングを一夜乾燥させた。
2.組換えゼラチンによるスライドのコーティング
組換えゼラチンP4(Werten et al. (2001) Protein Engineering, vol. 14(6):447-454)、ならびにそれぞれCBE1およびCBE5と表示されるERGD組換えゼラチンモノマーおよびペンタマー(国際特許出願WO2008103042に記載)をこの試験に用いた。CBE1およびCBE5については、まず12μmの組換えゼラチンの予備層(EDCなし)を12μmキトサンコートしたスライドガラスに付与し、約2時間乾燥させた。P4については、シランコートしたスライド(Sigma)を用いた。CBEゼラチンを室温で水中10% w/w溶液に調製した。
コーティングおよび架橋のために、1.5ml試験管内で5μlの25% EDCを400μlの10% CBE1またはCBE5に添加し、直ちに混合した。この溶液を前記のゼラチン/キトサンコートしたガラスへ移し、ハンドコーターでコートした。P4を室温で水中25% w/w溶液として調製した。60μlの25% EDCを400μlの25% P4に添加し、混合し、シランコートしたスライドガラス(Sigma)にコートした。すべてのコーティングを一夜乾燥させた。1.5ml試験管内の余分なゼラチンの硬化を調べることにより架橋反応を証明した。
3.ベータ−ラクタム溶出コーティング
アンピシリンをSigmaから購入した。アンピシリンを水に溶解することにより50mg/mlの原液を調製した(−20℃で貯蔵)。アンピシリンをEDCと共に直ちに組換えゼラチンに添加する(架橋前)か、あるいは組換えゼラチンの硬化後に付与した(架橋後)。硬化前の方法では、原液から種々の量のアンピシリンをEDC−ゼラチン中に50から5000μg/mlまでの範囲に希釈した。100μm厚さのコーティングを得るために、400μlのEDC−ゼラチン/アンピシリン混合物を用いた。硬化後の方法では、アンピシリンの原液を水中に1000〜100倍希釈した(アンピシリン50〜500μg/ml)。希釈したアンピシリン溶液のうち2.5mlをゼラチン上で10分間保温した後、過剰のアンピシリン溶液を除去し、コーティングを乾燥させた。アンピシリンの活性を保存するためにスライドを4℃で貯蔵した。
4.菌株および増殖条件
外植シリコンゴム人工声帯(vois prosthesis)から分離した表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)GB9/6および緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)ATCC 10145−Uの菌株を用いた。
表皮ブドウ球菌GB9/6および緑膿菌ATCC 10145−Uの菌株を凍結原液(−80℃)から37℃の血液寒天平板上でインキュベートした。10mlのトリプトン大豆ブロス(TSB)中、37℃で一夜、前培養を行なった。次いで培養物を前培養から200mlのTSB上、37℃で一夜増殖させた。細菌を遠心(5000g、10℃で5分間)により収穫し、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS;8,76g/L NaCl,10mMリン酸カリウム,pH7.0)で2回洗浄し、BuerkerTuerk計数チャンバー内で測定して3.108細胞/mLの密度に、PBS中へ再懸濁した。
5.平行板フローチャンバーおよびイメージ分析
平行板フローチャンバー(parallel−plate flow chamber)(寸法:lh=17.51.70.075cm)を用いて、底板上のゼラチンコーティングに初期に付着している細菌の量を定量した。
実験の設計およびデータ分析
4つの平行板フローチャンバーを互いに平行に配置した。各実験の開始前に、システムから気泡を除去するように注意を払いながら、すべての試験管およびフローチャンバーにPBSを満たした。微生物懸濁液およびPBSを入れたフラスコをフローチャンバーに接続した。フラスコをチャンバーと同じ高さに配置し、したがって流体はフローチャンバーを通って静水圧の作用下に剪断速度3.33s−1で前進した。まず、システムをPBSで20分間すすいだ。次いで微生物懸濁液をシステムに60分間流した。その後、システムを再びPBSで10分間すすいだ。実験の終了時にイメージを収集した。実験開始前に、懸濁液からの細菌を生存性染色(Live/Dead Baclight細菌生存性キット:緑色蛍光の細菌は生存、赤色蛍光の細菌は死滅)で15分間、暗所において染色した。終了時にフローチャンバーを開き、付着している細菌を同様にlive/dead染色で染色した。生存細菌の量を蛍光顕微鏡で測定した。
結果
コーティングに付着した生存細菌の量
Figure 2012504445

Claims (16)

  1. 組換えゼラチンおよび抗微生物剤を含むコーティングを表面に付与する方法であって、
    a)組換えゼラチンと抗微生物剤を0℃〜40℃の温度で混合して混合物を得る;そして
    b)この混合物を0℃〜40℃の温度で架橋する;
    工程を含む方法。
  2. 組換えゼラチンが、非ゲル化性の組換えゼラチンを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 組換えゼラチンが、ヒドロキシル化されていないゼラチンを含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 組換えゼラチンが、実質的にらせん形成のない組換えゼラチンを含む、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
  5. 抗微生物剤が、熱不安定性の抗微生物剤である、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
  6. 熱不安定性の抗微生物剤が、熱不安定アミノグリコシドまたは熱不安定ベータ−ラクタム系抗生物質である、請求項5に記載の方法。
  7. 工程a)において、組換えゼラチンと抗微生物剤の混合物がさらに光開始剤を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
  8. 工程a)とb)の間、または工程b)の後に、コーティングを表面に付与することができる、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
  9. 工程a)が、表面を組換えゼラチンでコートし、続いて抗微生物剤を含む溶液で表面をコートすることにより達成され、これにより抗微生物剤が組換えゼラチンに取り込まれる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  10. コーティングを医療用具の表面に付与する、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
  11. 医療用具が、血管ステント、外科移植片およびカテーテルからなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法により得られるコートされた表面。
  13. 請求項10に記載の方法により得られる医療用具。
  14. 請求項9に記載の方法により得られる血管ステント、外科移植片またはカテーテル。
  15. 組換えゼラチン、抗微生物剤、およびN−エチル−N−3−ジメチルアミノプロピル−カルボジイミドを含む液体組成物。
  16. 組換えゼラチン、抗微生物剤、および光開始剤を含む液体組成物。
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