JP2012502284A - 疾患の処置及び監視の選択用マーカーとしてのykl−40 - Google Patents

疾患の処置及び監視の選択用マーカーとしてのykl−40 Download PDF

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Abstract

【課題】
【解決手段】本発明は、被験者から得た試料におけるYKL-40のレベルを判定し、前記レベルを1つ以上のYKL-40参照レベルと比較することにより、特定の疾患又は障害に対する処置を選択するための方法と共に、特定の疾患又は障害の治療的処置を監視する方法及び処置の実施前、実施中、及び実施後に患者の予後を判定する方法に関する。参照レベルは、一般に、健康な被験者から得たレベル、又は同一被験者から過去に得たレベルである。本発明は、更に、本発明の方法において使用し得るキット及び器具に関する。
【選択図】

Description

本発明は、被験者における特定の疾患又は障害に対する処置を選択する及び/又は処置の実施前、実施中、及び実施後に疾患の進展を監視するための方法であって、参照レベルを超える所定のYKL-40レベルが処置を実施する必要性を示す方法に関する。被験者は、様々な疾患又は障害に罹患していてもよい。また、本発明は、本発明の方法に使用され得るキット及び器具であって、試料中のYKL-40のレベルを測定するための手段と、測定されたYKL-40のレベルを少なくとも1つのYKL-40参照レベルと比較するための手段と、を含むキット及び器具に関する。
一定の疾患又は障害に対する処置の実施は、一般には疾患の診断、場合によっては疾患の重症度に基づいており、特定の疾患又は障害に罹患している個人の生理機能は無視される。同様に、疾患又は障害の継続的な処置は、所定のスケジュールによる場合が多く、個々の患者には、あまり多くの注意が払われない。
様々な有効性を有する処置間での選択、及び/又は、特定の処置の実施前、実施中、及び実施後の疾患又は障害の進展の監視又はその段階の判定を容易にする単一のマーカー又は方法があれば、現在、こうした選択及び監視プロセスを行う際の容易さは大幅に向上する。
可能な最善の処置を選択することに関連する利点は、特定の疾患又は障害に罹患した患者の健康に対する恩恵に留まらず、個人及び病院の経済/社会全体の経済にも恩恵をもたらす。
国際公開公報WO 2009/092381 A1 国際公開公報WO 2009/092382 A1
「赤血球沈降速度」(「沈降速度」ともいう)は、炎症の存在を示すものとして広く使用されてきた。沈降速度は、赤血球が1時間に沈降する率である。炎症過程が存在している場合には、血液中の高濃度のフィブリノゲンによって赤血球は付着し合う。沈降速度は、あらゆる炎症原因や炎症中心(focus)によって上昇する。基礎沈降速度は女性においてわずかに高く、年齢と共に上昇する傾向がある。しかしながら、無症状の人における沈降速度の有用性は、その感受性及び特異性の低さによって制限される。それでも、沈降速度は、疾患の疑いがいくらかある場合における、一種の病気指標として使用されている。
現在、バイオマーカーであるC反応性タンパク質(CRP)が炎症の初期スクリーニングにおいて沈降速度にほぼ取って代わって使用されるようになった。CRPは急性又は慢性炎症又は感染症の指標であり、炎症の存在と強度を反映し、医学における有用な検査対象である。ただし、C反応性タンパク質濃度の上昇は、何か一つの病気を表す診断徴候ではない。血清CRPレベルの陽性反応を引き起こし得る病気としては、例えば、関節リウマチ、狼蒼、リウマチ熱、癌、心臓疾患、心臓血管疾患、炎症性腸疾患、及び細菌又はウイルス感染症が挙げられる。しかしながら、これらの疾患に罹患した全ての患者が高い血清CRPレベルを有する訳ではないため、これらの患者には血清CRPレベルを病気指標として使用することができない。CRPは、場合によっては、疾患の進行又は処置の有効性を判定するために使用することができる。CRPは、多くの状況において上昇する場合があるため、これは非常に特異的な予後指標とはならない。
個々の患者に可能な最善の処置を実施することにより、任意の処置の有効性は、施される処置が、予防的か、治癒的か、又は改善的かに関係なく、薬剤投与、外科手術、又はその他に関与するものであっても向上する。生存予後による疾患又は障害に罹患した個人の分類は、可能な最善の処置の判定に役立ち、実施した処置の効果を向上させ、生存率を上昇させ、再発リスクを低下させ、疾患又は障害の発症後の生活の質を高める。
疾患又は障害の進展及び/又は状態に応じて任意の個々の患者に対して実施した処置を監視することは、最も効果的な緊急及び追跡処置の判定に役立つと共に、疾患又は障害の発症後に必要となる生活様式の変更等に関して助言する時の指針となる。
本発明は、被験者における特定の疾患又は障害の治療を判定する及び/又は治療的処置を監視する方法に関し、方法は、
i)被験者から得た試料中のYKL-40のレベルを判定するステップと、
ii)YKL-40のレベルを、1つ以上のYKL-40参照レベルと比較し、参照レベルに対するYKL-40のレベルは、特定の疾患又は障害の進行及び/又は状態を示すステップと、
iii)比較により、特定の疾患又は障害の進行及び/又は状態を推定し、これに基づき、開始、継続、中止、又は置換すべき治療を判定するステップと、を備える。
従って、本発明の第1の態様は、被験者における特定の疾患又は障害の治療を判定する方法に関し、方法は、
i)被験者から得た試料中のYKL-40のレベルを判定するステップと、
ii)YKL-40のレベルを、次のように定義された年齢依存カットオフ値による1つ以上のYKL-40参照レベルと比較するステップと、を備え:
70%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.1+0.02×年齢(歳)、
75%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.2+0.02×年齢(歳)、
85%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.4+0.02×年齢(歳)、
90%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.5+0.02×年齢(歳)、
95%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.6+0.02×年齢(歳)、及び
97.5%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.9+0.02×年齢(歳)、
参照レベルに対するYKL-40のレベルは、特定の疾患又は障害の進行及び/又は状態を示し、従って開始又は継続すべき治療を示す。
本発明の第2の態様は、被験者における特定の疾患又は障害の治療的処置を監視する方法に関し、被験者は特定の疾患に対する処置を受けており、方法は、
i)被験者から得た試料中のYKL-40のレベルを判定するステップと、
ii)YKL-40のレベルを、次のように定義された年齢依存カットオフ値からの1つ以上のYKL-40参照レベルと比較し:
70%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.1+0.02×年齢(歳)、
75%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.2+0.02×年齢(歳)、
85%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.4+0.02×年齢(歳)、
90%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.5+0.02×年齢(歳)、
95%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.6+0.02×年齢(歳)、及び
97.5%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.9+0.02×年齢(歳)、
或いは、
YKL-40のレベルを、過去に判定した同一被験者からの1つ以上のYKL-40のレベルと比較し、
YKL-40参照レベルと比較して少なくとも1.10倍に上昇した試料中のYKL-40のレベルは、疾患又は障害が更に重症度の高い段階へ進んだことを示し、
YKL-40参照レベルと比較して少なくとも0.90倍に低下した試料中のYKL-40のレベルは、疾患又は障害が更に重症度の低い段階へ進んだことを示し、
参照レベルに対するYKL-40のレベルは、特定の疾患又は障害の進行及び/又は状態を示し、従って継続中の治療的処置の有効度を示すステップと、
iii)これに基づき、特定の疾患又は障害の治療的処置を継続、中止、又は置換するべきかを判定するステップと、を備える。
本発明の第3の態様は、特定の疾患又は障害に罹患した被験者の予後を判定する方法に関し、方法は
i)被験者から得た試料中のYKL-40のレベルを判定するステップと、
ii)YKL-40のレベルを、1つ以上のYKL-40参照レベルと比較するステップと、を備え、
参照レベルに対するYKL-40のレベルは、特定の処置計画中又は処置計画後の疾患又は障害の進展又は進行を示し、従って予後を示す。
本発明の一実施形態において、1つ以上のYKL-40参照レベルは、過去に判定した同一被験者の1つ以上のYKL-40レベルである。この場合、YKL-40参照レベルと比較して少なくとも1.10倍に上昇した試料中のYKL-40のレベルは、疾患又は障害が、疾患又は障害の更に重症度の高い段階へ進んでおり、従って、例えば、有効性の高い治療の開始を要すること、及び/又は継続中の治療より有効性の高い治療の開始を要することを示し、
YKL-40参照レベルと比較して少なくとも0.90倍に低下した試料中のYKL-40のレベルは、疾患又は障害が、疾患又は障害の更に重症度の低い段階へ進んでおり、従って、例えば、有効性の低い治療の開始を要すること、及び/又は継続中の治療より有効性の低い治療の開始を要することを示す。
また、本願明細書に記述される本発明は、被験者における特定の疾患又は障害の治療を判定する及び/又は治療的処置を監視するための器具に関し、器具は、試料中のYKL-40レベルを測定するための手段と、測定されたYKL-40レベルを1つ以上のYKL-40参照レベルと比較するための手段と、を含む。更に、本願明細書に記述される本発明は、i)試料中のYKL-40レベルを測定するための手段と、ii)測定されたYKL-40レベルを1つ以上のYKL-40参照レベルと比較するための手段と、iii)試料を提供した被験者の年齢に応じて、YKL-40参照レベルを年齢調整するやり方に関する説明書と、を備えるキットに関する。
2116人の健康な女性及び1494人の健康な男性における年齢及び性別に応じた血漿YKL-40濃度を示す。参加者は、1991〜1994年の血液採取時に既知の疾患に罹患しておらず、16年間の追跡期間にわたって健康を維持した(すなわち、死亡したり、癌、虚血性心臓血管疾患、肝臓疾患、糖尿病、慢性閉塞性肺疾患、喘息、関節リウマチ、炎症性腸疾患、肺炎を発病したりしなかった)。これらの健康な参加者の血漿YKL-40濃度の中央値は42μg/Lだった(2.5%〜97.5%パーセンタイル値範囲:14〜168μg/L:90%パーセンタイル値 92μg/L:95%パーセンタイル値 124μg/L)。男性及び女性において血漿YKL-40レベルは年齢と共に上昇した(傾向検定 p<0.0001)。血漿YKL-40濃度と年齢とのスピアマンρ相関係数は0.41だった(p<0.0001)。男性及び女性において血漿YKL-40の差はなかった(Mann-Whitney U:p=0.27)。 第1回目のYKL-40濃度測定を1991〜1994年の検査時に採取した血液によって行い、第2回目のYKL-40測定を2001〜2003年の検査時に採取した血液によって行った929人の健康な参加者(女性:463人、男性:466人)の群における血漿YKL-40濃度を示す。平均上昇率は、女性の場合には0.5μg/L/歳(四分位範囲:-0.6〜2.1μg/L/歳)であり、男性の場合には0.8μg/L/歳(四分位範囲:-0.3〜2.9μg/L/歳)だった。これは、健康を維持している被験者では血漿YKL-40が非常に安定していることを示し、回帰希釈率は0.8042と算出された。男女の間には統計的な差はなかった。 2116人の健康な女性及び1494人の健康な男性において血漿YKL-40濃度を測定した。参加者は、1991〜1994年の血液採取時に既知の疾患に罹患しておらず、16年間の追跡期間にわたって健康を維持した(すなわち、死亡したり、癌、虚血性心臓血管疾患、肝臓疾患、糖尿病、慢性閉塞性肺疾患、喘息、関節リウマチ、炎症性腸疾患、肺炎を発病したりしなかった)。図3Aは、これらの健康な参加者の年齢ごとの50%パーセンタイル血漿YKL-40濃度(丸印)、70%パーセンタイル値(ln(血漿YKL-40)=3.1+0.02×年齢(歳)として定義)、75%パーセンタイル値(ln(血漿YKL-40)=3.2+0.02×年齢(歳))、90%パーセンタイル値(ln(血漿YKL-40)=3.5+0.02×年齢(歳))、及び95%パーセンタイル値(ln(血漿YKL-40)=3.6+0.02×年齢(歳))を示す。女性と男性の数値を組み合わせた。 図3Aに対応し、血漿YKL-40濃度の85パーセンタイル値(ln(血漿YKL-40)=3.4+0.02×年齢(歳)として定義)及び97.5パーセンタイル値(ln(血漿YKL-40)=3.9+0.02×年齢(歳))をさらに含む。 血漿YKL-40濃度に応じた一般集団の寿命及び生存率を示す(5つの性別及び10年年齢層パーセンタイル値区分(0〜33%パーセンタイル、34〜66%、67〜90%、91〜95%、96〜100%)に分類)。左側切断(Left-truncated)年齢及び追跡時間をそれぞれ時間軸とした。追跡は血液採取時に開始し、死亡時又は2007年7月のいずれか早い方に終了した。女性と男性の数値を組み合わせた。比較として、同一の集団における喫煙状況の影響を示す。 血漿YKL-40濃度パーセンタイル値区分、喫煙状況、性別及び年齢に応じた絶対10年死亡率を示す。Copenhagen City Heart Studyの1991〜1994年の検査に参加した8899人の参加者を16年間にわたって追跡した。P値はログランク傾向検定のためのものである。血漿YKL-40濃度パーセンタイル値区分0〜33%、34〜66%、67〜90%、91〜95%、96〜100%を、50歳未満、50〜70歳、70歳超の年齢グループの各々について左から右に向かって示す。 癌、肝臓疾患(図4C)、慢性閉塞性肺疾患、虚血性心臓血管疾患(図4D)、糖尿病、及び喘息(図4E)を有する参加者における血漿YKL-40濃度(3つの性別及び10年年齢層パーセンタイル値区分(0〜33%パーセンタイル、34〜90%、91〜100%)に分類)に応じたKaplan-Meier15年生存曲線。Y軸は、生存率を%で表し、X軸は、血液採取後の時間を年で表す。追跡は血液採取時に開始し、死亡時又は2007年7月のいずれか早い方に終了した。参加者は、血液採取時に疾患を有していたか、或いは、追跡期間中に診断された。女性と男性の数値を組み合わせた。複数の因子(年齢、性別、及び喫煙状況)によって調整した死亡のハザード比を各図に示した(左隅、下)。P値はログランク傾向検定のためのものである。一部の参加者は、複数の疾患を有していた。癌及び虚血性心臓血管疾患を有する患者での僅かに低い数字は、未知の喫煙状況によるものである(8人の癌患者及び4人の虚血性心臓血管疾患患者)。 16人の健康被験者の血清YKL-40濃度の一日の変動。 38人の健康被験者の血清YKL-40濃度の3週間の変動。 それぞれ3週間に渡る4つのラウンドにおける、23人の血清YKL-40レベルの中央値(各バーは各被験者の1ラウンドの中央値を示す)。 30人の健康な女性の、4週間に渡って得られた血清YKL-40レベル、及び、その内21人の女性について、3年後に再び得られた血清YKL-40レベル。 A.転移性上部消化器癌患者(n=70)及び健康被験者(n=234)における個別の血漿YKL-40レベル。B.限局性上部消化器癌患者(n=40、三角)、転移性上部消化器癌(n=70、白丸)、慢性膵炎(n=65、逆三角)、及び健康被験者(n=234、灰色の丸)における個別の血漿YKL-40レベル。Y軸は対数スケールである。 転移性上部消化器癌患者におけるベースライン血漿YKL-40、即ち、処置前血漿YKL-40レベルと、全生存期間との連関を示すKaplan-Meier生存曲線。血漿YKL-40レベルは三分位数に分かれている。P値は各層の均等性に関するログランク検定を示す。 ベースライン、及び転移性上部消化器癌患者における化学治療による処置中の血漿YKL-40を示すボックスプロット。Y軸は対数スケールである。 転移性上部消化器癌患者における化学治療4週間後の血漿YKL-40レベルと、全生存期間との連関を示すKaplan-Meier生存曲線。血漿YKL-40レベルは三分位数に分かれている。P値は各層の均等性に関するログランク検定を示す。 限局性膵臓癌患者における放射線化学治療終了後4〜6週間の血漿YKL-40レベルと、全生存期間との連関を示すKaplan-Meier生存曲線。血漿YKL-40レベルは、ベースラインレベルと比較して、増加したか、減少/変化無しかに応じて二分している。 限局性進行膵臓癌患者において化学放射線療法終了後4〜6週間に採取した試料における血漿YKL-40の比(CORGI調査)と、全生存期間との連関を示すKaplan-Meier生存曲線。比は、YKL-40ベースラインレベル、即ち処置前レベルに対する、処置の4〜6週間後のYKL-40レベルとして計算した。上の曲線は、低い比の群であり、下の曲線は、高い比の群である。P値は各層の均等性に関するログランク検定を示す。 転移性膵臓癌患者における化学治療開始後4週間に採取した試料における血漿YKL-40の比(GITAC調査)と、全生存期間との連関を示すKaplan-Meier生存曲線。比は、YKL-40ベースラインレベル、即ち処置前レベルに対する、処置の4週間後のYKL-40レベルとして計算した。上の曲線は、低い比の群であり、下の曲線は、高い比の群である。P値は各層の均等性に関するログランク検定を示す。 イリノテカン及びセツキシマブにより2週間毎に処置した転移性結腸直腸癌患者における処置前血漿YKL-40レベルと、全生存期間との連関を示すKaplan-Meier生存曲線。血漿YKL-40レベルは三分位数に分かれている。上の曲線は、最も低いYKL-40レベルを有する三分位数であり、中央の曲線は、中間のYKL-40レベルを有する三分位数であり、下の曲線は、最も高いYKL-40レベルを有する三分位数である。P値は各層の均等性に関するログランク検定を示す。 上から見たディップスティックの実施形態を示す。ディップスティック支持材料(1)と共に、生物学的試料により使用するアッセイフィールド(2)及び1個の対照又は標準フィールド(図17Aの3)又は複数の対照又は標準フィールド(図17Bの4a〜4e)が存在する。単一(3)又は様々な(例えば、昇順又は降順にフィールド毎に1つの濃度となる)YKL-40濃度の標準を、対照又は標準フィールドに付与し、図17Aに示したスティックにより陽性/陰性結果を読み取ることが可能であり、或いは、テスト後において、試料又はアッセイフィールドが図17Bのどの対照フィールドに最も類似するかを比較して、生物学的試料中のYKL-40の近似濃度を評価することができる。 調査2。イリノテカン及びセツキシマブにより処置した転移性結腸直腸癌患者における処置前血清YKL-40レベルと、無増悪生存期間との連関を示すKaplan-Meier曲線。P値は各層の均等性に関するログランク検定を示す。患者は、処置前血清YKL-40レベルに応じて三分位数に分かれている。グループ3の患者は、最も高い血清YKL-40レベルを有する。血清YKL-40:グループ1:<94μg/L、グループ2:≧94μg/L及び≦253μg/L、及びグループ3:>253μg/L。 調査1。イリノテカン及びセツキシマブにより処置した転移性結腸直腸癌患者における処置前血漿YKL-40レベルと、全生存期間との連関を示すKaplan-Meier曲線(図19A)。P値は各層の均等性に関するログランク検定を示す。患者は、処置前血漿YKL-40レベルに応じて三分位数に分かれている。グループ3の患者は、最も高い血漿YKL-40レベルを有する。血漿YKL-40:グループ1:<84μg/L、グループ2:≧84μg/L及び≦218μg/L、及びグループ3:>218μg/L。 調査2。イリノテカン及びセツキシマブにより処置した転移性結腸直腸癌患者における処置前血清YKL-40レベルと、全生存期間との連関を示すKaplan-Meier曲線(図19B)。P値は各層の均等性に関するログランク検定を示す。患者は、処置前血清YKL-40レベルに応じて三分位数に分かれている。グループ3の患者は、最も高い血清YKL-40レベルを有する。血清YKL-40:グループ1:<94μg/L、グループ2:≧94μg/L及び≦253μg/L、及びグループ3:>253μg/L。 調査1。KRAS状態に応じて、イリノテカン及びセツキシマブにより処置した転移性結腸直腸癌患者における処置前血漿YKL-40レベルと、全生存期間との連関を示すKaplan-Meier曲線(図20A:野生型、図20B:変異型)。P値は各層の均等性に関するログランク検定を示す。患者は、処置前血漿YKL-40レベルに応じて三分位数に分かれている。グループ3の患者は、最も高い血漿YKL-40レベルを有する。血漿YKL-40:グループ1:<84μg/L、グループ2:≧84μg/L及び≦218μg/L、及びグループ3:>218μg/L。 調査2。KRAS状態に応じて、イリノテカン及びセツキシマブにより処置した転移性結腸直腸癌患者における処置前血清YKL-40レベルと、全生存期間との連関を示すKaplan-Meier曲線(図20C:野生型、図20D:変異型)。P値は各層の均等性に関するログランク検定を示す。患者は、処置前血清YKL-40レベルに応じて三分位数に分かれている。グループ3の患者は、最も高い血清YKL-40レベルを有する。血漿YKL-40:グループ1:<94μg/L、グループ2:≧94μg/L及び≦253μg/L、及びグループ3:>253μg/L。 調査1。健康被験者(年齢補正)における血漿YKL-40のカットオフレベルの増加に応じて、イリノテカン及びセツキシマブにより処置した転移性結腸直腸癌患者における処置前血漿YKL-40レベルと、全生存期間との連関を示すKaplan-Meier曲線。図21A:90パーセンタイル値、図21B:95パーセンタイル値、図21C:97.5パーセンタイル値、図21D:99パーセンタイル値、図21E:99.5パーセンタイル値、及び図21F:99.9パーセンタイル値。P値は各層の均等性に関するログランク検定を示す。 調査2。健康被験者(年齢補正)における血清YKL-40のカットオフレベルの増加に応じて、イリノテカン及びセツキシマブにより処置した転移性結腸直腸癌患者における処置前血清YKL-40レベルと、全生存期間との連関を示すKaplan-Meier曲線。図22A:90パーセンタイル値、図22B:95パーセンタイル値、図22C:97.5パーセンタイル値、図22D:99パーセンタイル値、図22E:99.5パーセンタイル値、及び図22F:99.9パーセンタイル値。P値は各層の均等性に関するログランク検定を示す。 セツキシマブ及びイリノテカンにより処置中の転移性結腸直腸癌患者におけるYKL-40(μg/L)の個別変化。調査1の結果をAに示し、調査2の結果をBに示す。 セツキシマブ及びイリノテカンにより処置中の転移性結腸直腸癌患者におけるYKL-40(比)(ベースラインレベル(=処置前レベル)により割った処置中の様々な時点におけるレベルとして計算(定義))の個別変化。調査1の結果をAに示し、調査2の結果をBに示す。 転移性結腸直腸癌患者において、セツキシマブ処置開始後2〜3ヶ月に採取し、ベースラインYKL-40レベルと比較した、血液試料におけるYKL-40の比の連関を示す、無増悪生存期間(A)及び全生存期間(B)のKaplan-Meier生存曲線(比は、ベースラインレベル(=処置前レベル)により割った処置2〜3ヶ月後のYKL-40レベルとして計算(定義))。低い比(≦1)は、処置前と比較した2〜3ヶ月のYKL-40の低下を反映している。高い比(>1)は、処置前と比較した2〜3ヶ月のYKL-40の上昇を反映している。P値は各層の均等性に関するログランク検定を示す。患者は、高い比又低い比に二分している。
本願発明者らは、予期せぬことに、YKL-40のレベルが、1つ以上の参照YKL-40レベルとの比較により、特定の疾患又は障害の重症度の分類に基づいて及び/又は判定された被験者の予後に基づいて、被験者における特定の疾患又は障害の治療を判定する及び/又は治療的処置を監視するためのバイオマーカーとして使用することができることを見出した。本願発明者らは、更に、YKL-40のレベルが、疾患又は障害の進展、即ち、疾患又は障害が、疾患又は障害の更に重症度の高い段階へ進んだか、低い段階へ進んだかを追跡し、これにより、疾患又は障害の重症度を時間と共に反復して及び/又は連続して分類し、現行の処置を継続するか、より有効性の高い又は低いものに処置を置き換えるか、或いは、現行の処置の実施を単に変更するか、更には、現行の処置を中止することが賢明であるかの判定を可能にするためのマーカーとして使用できることを見出した。これは、被験者におけるYKL-40測定値を、同一被験者から過去に得られた測定値である1つ以上の参照レベルと比較する場合に、特に興味深く且つ実現可能なものとなる。従って、本発明の方法により、YKL-40レベルは、どの処置を実施するかを判定するだけでなく、実施された治療的処置の監視により、どの処置を継続するかを判定するために使用することができる。
本発明に関する説明を簡略化するために、用語の定義を以下に記載する。従って、以下の定義は本発明を限定するものとして解釈されるべきではなく、本発明の範囲は添付請求の範囲及び明細書全体によって定義される。
本願明細書において使用する「特定の疾患又は障害」、「特定の疾患」、又は「特定の障害」という用語は、知られている疾患又は障害、即ち、可能な最善の治療又は処置の実施前に診断されている疾患又は障害を意味する。被験者は、実際には治療又は処置を受けていてもよいが、初期治療又は治療的処置の実施時において疾患の重症度/疾患又は障害の状態が未知であるため、この治療は次善のものと見做される。
炎症に関して広く使用されている汎用バイオマーカーの例として、血清C反応性タンパク質(CRP)が挙げられる。CRPは初期スクリーニングに関連して使用される場合が多く、例えば、心臓病、心臓血管疾患、細菌感染、ウイルス感染等のリスクを大まかに示すものとして使用されている。しかしながら、疾患又は障害に罹患した患者でも血清CRPレベルの増加を示さない場合があり、これらの疾患に罹患した全ての患者における病気指標(sickness index)としてCRPレベルを使用することはできない。
CRPが広く使用され、周知になる前には、赤血球沈降速度(しばしば「沈降速度」とも呼ばれる)が炎症の非特異的尺度(病気指標)として初期スクリーニングに使用されていた。
本発明による方法は、YKL-40レベルという形の新たな汎用バイオマーカーを提供し、不特定の疾患又は障害の重症度を分類する方法を提供するものである。また、不特定疾患又は障害の重症度を判定するだけではなく、被験者における疾患又は障害が、疾患又は障害の更に重症度の高い状態へ進んでいるか、低い状態へ進んでいるかを分類するために、YKL-40を使用可能であることが判明した。本願発明者らは、YKL-40が血清CRPよりも広範に適用可能なバイオマーカーであることを見出した。
同じ疾患に罹患している患者でも、疾患の重症度(疾患がどれくらい深刻であるかの程度)において著しい差を見せる場合がある。本願明細書において使用する「重症段階」、「重症度」、「重症度が低い」、「重症度が高い」という用語は、例えば、治癒の予後、生存の予後、或いは疾患の様々な所定の段階に応じた重症度の目盛を意味する。こうした段階は、様々な症状、及び/又は従来から測定可能であったバイオマーカーのレベル、身体機能等によるものとなり得る。1人の同一被験者における疾患の進展に注目する場合には、より重症度の高い段階は疾患の悪化を意味し、以前の判定よりも重症度の低い段階は、例えば、十分な処置計画による疾患の改善を意味する。患者の予後は、問題となる疾患の古典的な病期とは無関係であってよく、本願明細書において、「更に重症度の高い段階」及び「更に重症度の低い段階」という用語は、それぞれ患者の予後の悪化又は改善も意味するものとなる。消化器癌に罹患した患者に対して、予後は、一般には、疾患の進展前の予想時間又は死亡前の時間に関連する予後となる、従って、予後の悪化は、一般には、短い無増悪間隔及び/又は短い生存期間に対応する。
「治療及び/又は治療的処置を判定する」、「治療を判定する」、及び「治療的処置を判定する」という用語は、原則的に、YKL-40レベルが判定され、1つ以上の参照レベルと比較された被験者に対して当業者が実施する任意の処理を網羅する。好ましくは、これらの用語は、最も適した治療及び/又は処置を網羅する。これにより、不快を改善すること、症状を緩和すること、疾患を治癒させること、患者にとって可能な最善の生活の質等を提供することの何れかの観点から、個々の患者に最適な処置を意味する。治療及び/又は治療的処置に関する「可能な最善」、最も適した等の用語は、本願明細書において相互に交換可能に使用される。
実施、継続、中止、変更、又は置換すべき治療及び/又は治療的処置は、薬剤投与、外科手術等、任意の種類の治療としてよく、予防的、治癒的、又は改善的なものにしてよい。
治療及び/又は治療的処置は、継続中のものがない場合に開始してよく、既に行われている場合には継続してよい。治療及び/又は治療的処置は、不適当であることが分かった場合、或いは、別の治療及び/又は治療的処置の方法に置き換える必要がある場合には中止してよい。処置を変更することとは、治療を変化させること、例えば、用量を増加又は減少させること、薬剤の濃度を増加又は減少させること、投与/用量レジメンを増加又は減少させること等であると理解される。
従って、本発明は、被験者における特定の疾患又は障害の治療を判定する及び/又は治療的処置を監視する方法に関し、方法は、
i)被験者から得た試料中のYKL-40のレベルを判定するステップと、
ii)YKL-40のレベルを、1つ以上のYKL-40参照レベルと比較し、参照レベルに対するYKL-40のレベルは、特定の疾患又は障害の進行及び/又は状態を示すステップと、
iii)比較により、特定の疾患又は障害の進行及び/又は状態を推定し、これに基づき、開始、継続、中止、又は置換すべき治療を判定するステップと、を備える。
本発明の第1の態様は、被験者における特定の疾患又は障害の治療を判定する方法に関し、方法は、
i)被験者から得た試料中のYKL-40のレベルを判定するステップと、
ii)YKL-40のレベルを、1つ以上のYKL-40参照レベルと比較するステップと、を備え、
参照レベルに対するYKL-40のレベルは、特定の疾患又は障害の進行及び/又は状態を示し、従って開始又は継続すべき治療を示す。
本発明の第1の態様の好適な実施形態は、被験者における特定の疾患又は障害の治療を判定する方法に関し、方法は、
i)被験者から得た試料中のYKL-40のレベルを判定するステップと、
ii)YKL-40のレベルを、次のように定義された年齢依存カットオフ値からの1つ以上のYKL-40参照レベルと比較するステップと、を備え:
70%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.1+0.02×年齢(歳)、
75%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.2+0.02×年齢(歳)、
85%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.4+0.02×年齢(歳)、
90%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.5+0.02×年齢(歳)、
95%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.6+0.02×年齢(歳)、及び
97.5%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.9+0.02×年齢(歳)、
参照レベルに対するYKL-40のレベルは、特定の疾患又は障害の進行及び/又は状態を示し、従って開始又は継続すべき治療を示す。
本発明の第2の態様は、特定の疾患に対する処置を受けている被験者における特定の疾患又は障害の治療的処置を監視する方法に関し、方法は、
i)被験者から得た試料中のYKL-40のレベルを判定するステップと、
ii)YKL-40のレベルを、1つ以上のYKL-40参照レベルと比較し、参照レベルに対するYKL-40のレベルは、特定の疾患又は障害の進行及び/又は状態を示し、従って継続中の治療的処置の有効度を示すステップと、
iii)これに基づき、特定の疾患又は障害の治療的処置を継続、中止、又は置換するべきかを判定するステップと、を備える。
本発明の第2の態様の好適な実施形態は、特定の疾患に対する処置を受けている被験者における特定の疾患又は障害の治療的処置を監視する方法に関し、方法は、
i)被験者から得た試料中のYKL-40のレベルを判定するステップと、
ii)YKL-40のレベルを、次のように定義された年齢依存カットオフ値からの1つ以上のYKL-40参照レベルと比較し:
70%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.1+0.02×年齢(歳)、
75%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.2+0.02×年齢(歳)、
85%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.4+0.02×年齢(歳)、
90%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.5+0.02×年齢(歳)、
95%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.6+0.02×年齢(歳)、及び
97.5%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.9+0.02×年齢(歳)、
或いは、
YKL-40のレベルを、過去に判定した同一被験者からの1つ以上のYKL-40のレベルと比較し、
YKL-40参照レベルと比較して少なくとも1.10倍に上昇した試料中のYKL-40のレベルは、疾患又は障害がより重症度の高い段階へ進んだことを示し、
YKL-40参照レベルと比較して少なくとも0.90倍に低下した試料中のYKL-40のレベルは、疾患又は障害がより重症度の低い段階へ進んだことを示し、
参照レベルに対するYKL-40のレベルは、特定の疾患又は障害の進行及び/又は状態を示し、従って継続中の治療的処置の有効度を示すステップと、
iii)これに基づき、特定の疾患又は障害の治療的処置を継続、中止、又は置換するべきかを判定するステップと、を備える。
本発明の方法の更に具体的な実施形態は、被験者における特定の疾患又は障害の治療を判定する及び/又は治療的処置を監視する方法に関し、方法は、
i)被験者から得た試料中のYKL-40のレベルを判定するステップと、
ii)YKL-40のレベルを、過去に判定した同一被験者からの1つ以上のYKL-40のレベルである1つ以上のYKL-40参照レベルと比較し、参照レベルに対するYKL-40のレベルは、特定の疾患又は障害の進行及び/又は状態を示すステップと、
iii)比較により、特定の疾患又は障害の進行及び/又は状態を推定し、これに基づき、開始、継続、中止、又は置換すべき治療を判定するステップと、を備え、
YKL-40参照レベルと比較して少なくとも1.10倍に上昇した試料中のYKL-40のレベルは、疾患又は障害が更に重症度の高い段階へ進んでおり、従って、例えば、有効性の高い治療の開始を要すること、及び/又は継続中の治療より有効性の高い治療の開始を要することを示し、
YKL-40参照レベルと比較して少なくとも0.90倍に低下した試料中のYKL-40のレベルは、疾患又は障害が更に重症度の低い段階へ進んでおり、従って、例えば、有効性の低い治療の開始を要すること、及び/又は継続中の治療より有効性の低い治療の開始を要することを示す。
本発明の方法の更に一層具体的な実施形態は、被験者における特定の疾患又は障害の治療を判定する方法に関し、方法は、
i)被験者から得た試料中のYKL-40のレベルを判定するステップと、
ii)YKL-40のレベルを、過去に判定した同一被験者からの1つ以上のYKL-40のレベルである1つ以上のYKL-40参照レベルと比較し、参照レベルに対するYKL-40のレベルは、特定の疾患又は障害の進行及び/又は状態を示すステップと、
iii)所定の段階の何れかへ向かう特定の疾患又は障害の進行を推定し、参照レベルに対するYKL-40のレベルは、特定の疾患又は障害の進行を示し、従って開始又は継続すべき治療を示すステップと、を備え、
YKL-40参照レベルと比較して少なくとも1.10倍に上昇した試料中のYKL-40のレベルは、疾患又は障害が更に重症度の高い段階へ進んでおり、従って、更に有効性の高い治療の開始を要することを示し、
YKL-40参照レベルと比較して少なくとも0.90倍に低下した試料中のYKL-40のレベルは、疾患又は障害が更に重症度の低い段階へ進んでおり、従って、更に有効性の低い治療の開始を要することを示す。
本発明の第3の態様は、特定の疾患又は障害に罹患した被験者の予後を判定する方法に関し、方法は、
i)被験者から得た試料中のYKL-40のレベルを判定するステップと、
ii)YKL-40のレベルを、1つ以上のYKL-40参照レベルと比較するステップと、を備え、
参照レベルに対するYKL-40のレベルは、特定の処置計画中又は処置計画後における疾患又は障害の進展又は進行を示し、従って予後を示す。
本発明の方法の好適な実施形態において、重症度の分類は、生存の予後に応じて行われる。本実施形態において、更に重症度の高い段階は、予後の悪化に対応し、同様に、更に重症度の低い段階は、予後の改善に対応する。従って、YKL-40レベルが増加した場合、これは被験者の予後が悪化したことを示す可能性があり、YKL-40レベルが減少した場合及び/又は過去のレベルと等しい場合、これは被験者の予後が良好になったことを示す可能性がある。
予後の改善は、好ましくは、1以下の比、即ち、測定されたYKL-40レベルが、1つ以上の過去のレベル以下であることにより示され、1以下の比は、係数1や、例えば、係数0.90への低下にも対応しており、係数の概念に関しては本願明細書の「参照レベル」の記述を参照されたい。比又は係数が低い程、例えば、一定の処置への反応等により、被験者の予後が良好になったことがより強く示される。同様に、例えば、処置に対する非反応性等により予後が悪化したことは、1より大きな比、即ち、測定されたYKL-40レベルが、1つ以上の過去のレベルを上回ることにより示され、1より大きな比は、1より大きな係数、例えば、係数1.10への増加に対応しており、本願明細書の「参照レベル」の記述を参照されたい。比又は係数が高い程、予後は悪化する。「参照レベル」の節に記載したような、より高い又は低い係数への増加又は減少は、必要な変更を加えた上で本発明のこの態様にも当てはまる。
本発明の第2及び第3の態様の好適な実施形態において、ステップi)におけるYKL-40の判定は、問題となる処理の開始後に実行される。具体的には、ステップi)における判定は、処置の少なくとも2週間後、好ましくは処置の少なくとも4週間後、又は処置の少なくとも6週間後に実行し得る。YKL-40のレベルは、問題となる処置計画の必要に応じて、例えば、2週間毎又は1ヶ月毎等、処置期間を通して連続的に判定し得る。ステップi)における判定は、更に、処置の終了後に、例えば、終了後、追跡期間において定期的に、実行し得る。追跡測定は、例えば、1ヶ月毎、2ヶ月毎、又は3ヶ月毎に実施可能である。代わりに、又は追加として、ステップi)における判定は、最終処置後少なくとも2週間、好ましくは最終処置後少なくとも4週間、又は最終処置後少なくとも6週間等、処置の終了後に実行される。
本発明の方法は、更に、治療終了後に被験者を監視するために使用し得る。特定の疾患又は障害に応じて、治療の終了後、例えば1年間又は5〜10年間もの長さになり得る追跡期間中に、被験者を連続的に監視することに関連し得る。追跡期間中のYKL-40レベルを判定することにより、再発の診断、予後の判定、或いは新規の処置の開始又は処置の反復が可能となる。これにより、被験者に対する可能な最善の処置が可能となる。
本発明による方法は、可能な最善の処置を判定するために、任意の疾患又は障害の重症度を分類することに関連する。疾患又は障害は、例えば、YKL-40レベルを増加させる任意の疾患又は障害となり得る。疾患又は障害は、過去に判定されたYKL-40レベルの測定前、測定中、又は測定後に診断されたものであってよく、好適な実施形態において、疾患又は障害は、過去に診断された疾患又は障害である。
本発明の他の目的は、生存の予後に関連して、可能な最善の処置を判定するために、任意の1つ以上の疾患又は障害に罹患した個体の健康状態を監視する方法を提供することであり、方法は、個体からの生物学的試料におけるYKL-40のレベルを測定するステップと、測定したレベルをYKL-40参照レベルと比較するステップとを含む。
個体における血清中又は血漿中YKL-40レベルは長時間にわたって安定しており、日中及び週毎の変化を示さないことが判明した。また、YKL-40レベルは、少なくとも20分間の運動にも影響されないことも判明した。従って、本発明の方法においては、個体における血清又は血漿YKL-40レベルの1回の測定値を使用することができる。好ましくは、試料は、例えば、前日にアルコールを大量に摂取しておらず、細菌感染等の明白な症状を有していない被験者から得ることができる。必要に応じて、後日(例えば2週間後)に2回目又はそれ以降の試料を得て、最初に測定したYKL-40レベルの結果を確認することができる。
ここで、血漿又は血清中のYKL-40レベルの増加は、複数かつ多様な種類の疾患及び障害を反映し得ること、及び、そのようなYKL-40レベルの増加は健康な被験者においては通常は見られないこと、が強調される。従って、YKLレベルを本発明に係る病気指標として使用することができる。
本発明の方法は、CRPによっても特定及び/又は分類し得る疾患の重症度を分類するために使用することができるが、CRPレベルには反応しない疾患を分類するためにも使用することができる。従って、本発明の一実施形態において、特定の疾患又は障害は、C反応性タンパク質レベルの上昇をもたらさない1つ以上の疾患又は障害、或いは疾患群又は障害群である。
本願明細書において使用する「改善」という用語は、病状に関連して、寛解又は治癒を含む、病状の重症度又は進行の軽減、或いは付随する痛みの軽減等の、重症度の知覚上の軽減を意味する。
本願明細書において使用する「抗体」という用語は、YKL-40タンパク質のエピトープ決定部位に結合することができる免疫グロブリン分子、並びにFab及びF(ab')2等の免疫グロブリン分子の活性部分又はフラグメントを意味する。抗体は、例えば、無傷の免疫グロブリン分子又は免疫学的活性を保持する免疫グロブリン分子のフラグメントである。本願明細書において使用する「抗原」という用語は、YKL-40分子の免疫原性完全長分子又はフラグメントを意味する。
本願明細書において使用する「生物学的試料」という用語は、被験者又は個体から得られた試料を意味する。本願明細書において使用する「バイオマーカー」という用語は、病態又は生理状態等、特定の生物学的性質の分子指標を意味する。本願明細書において使用する「疾患」及び/又は「障害」という用語は、被験者又は個体における病気、傷害又は障害を意味する。障害は、先天的な病気又は傷害である場合が多い。本願明細書において使用する「被験者」及び/又は「個体」という用語は、種(好ましくは哺乳動物種)の一員を意味する。本願明細書において使用する「哺乳動物」という用語は、ヒト及びヒト以外の哺乳動物を含む。本願明細書において使用する「患者」という用語は、疾患又は障害に罹患したあらゆる個体を意味する。
本願明細書において使用する「hnRNA」という用語は、ヘテロ核RNAを意味する。本願明細書において使用する「mAb」という用語は、モノクローナル抗体を意味する。本願明細書において使用する「mRNA」という用語は、伝令RNAを意味する。本願明細書において使用する「RNA」という用語は、自然界に由来する、或いは自然界から単離された、又は合成されたあらゆる種類のRNAを意味する。本願明細書においてYKL-40に関して使用する「実質的に純粋」という用語は、自然界ではYKL-40に付随し得る他の分子を実質的に含まない、実質的に無傷の分子を意味する。
YKL-40
YKL-40は、そのN末端にある3つのアミノ酸であるチロシン(Y)、リジン(K)及びロイシン(L)、並びに分子量が約40kDaであることに基づいて命名された(Johansen et al.、1992)。ヒトYKL-40の完全なアミノ酸配列(配列番号2)及びコード配列(配列番号1)は、ジェンバンク(GenBank)に寄託番号M80927として登録されている。ヒトYKL-40は383個のアミノ酸からなる単鎖ポリペプチドを含み、系統学的に高度に保存されたヘパリン及びキチン結合性血漿糖タンパク質である。ヒトYKL-40と他の数種の哺乳動物のホモログとの配列同一性は、ブタ(配列同一性:84%)、ウシ(配列同一性:83%)、ヤギ(配列同一性:83%)、ヒツジ(配列同一性:83%)、モルモット及びラット(配列同一性:80%)、マウス(配列同一性:73%)である。YKL-40は「哺乳動物キチナーゼ様タンパク質」の一員だが、キチナーゼ活性は有していない。正常なヒト単球ではインビトロにおいてYKL-40は発現しないが、マクロファージの分化後期では活性化単球及び好中球によって、また、血管平滑筋細胞、癌細胞及び関節炎軟骨細胞によってYKL-40の発現が強く誘導される。インビボでは、YKL-40 mRNA及びタンパク質は、動脈硬化性プラーク、巨細胞動脈炎に罹患した個体の関節炎性血管、炎症を起こした滑膜、類肉腫病変等の、炎症に罹った組織中のマクロファージ亜集団、及び腫瘍周囲マクロファージによって発現される。
YKL-40の誘導及びその正確な機能を決定する分子過程は未知である。YKL-40は分泌タンパク質であり、YKL-40の作用部位は細胞外である可能性が最も高いことを示唆している。しかしながら、YKL-40に特異的な細胞表面又は可溶性受容体はこれまで同定されていない。YKL-40は線維芽細胞及び軟骨細胞の成長因子であり、IGF-1と相乗効果的に作用し、TNF及びIL-6によって調節され、NF-kappaBの持続的活性化を必要とする(Recklies et al.,2002,Ling et al.,2004,Recklies et al.,2005)。線維芽細胞のYKL-40処置はAKTのリン酸化によるTNF及びIL-1に対する炎症反応を抑制し、ASK1媒介性シグナリング経路を減衰させる。これにより、メタロプロテイナーゼ及びIL-8の発現のレベルが減少する。(Recklies et al.,2002,Ling et al.,2004,Recklies et al.,2005)。また、YKL-40はI型、II型及びIII型コラーゲンに結合し、I型コラーゲン原線維の形成速度を調節する(Bigg et al., 2006)。これらの観察結果は、YKL-40は炎症性環境において保護的な役割を果たし、細胞外マトリックスの劣化を制限し、組織リモデリングを制御することを示唆している。また、YKL-40は内皮細胞の化学誘因剤として作用し、内皮細胞の移動を促し、血管平滑筋細胞の移動及び付着を促進する(Millis et al.,1986,Nishikawa et al.,2003;Shackelton et al.,1995)。これは、YKL-40が血管新生において何らかの役割を果たすことを示唆している。また、YKL-40は線維芽細胞の成長因子であり、組織リモデリング時に細胞外マトリックスを保存する抗異化効果を有する(De Ceunicnck et al.,2001,Recklies et al.,2002,Ling et al.,2004,Recklies et al.,2005)。さらに、動脈硬化性プラークにおけるマクロファージ(特に病巣に深く侵入したマクロファージ)はYKL-40 mRNAを発現し、YKL-40の発現はアテローム性動脈硬化症の初期病変におけるマクロファージで最大となる(Boot et al.,1999)。また、YKL-40の血漿中又は血清中濃度はいくつかの炎症性疾患において増加するため、YKL-40は急性期タンパク質とみなすことができる。
YKL-40の生物学的作用を媒介する細胞受容体は知られていないが、細胞質シグナル伝達経路が活性化されることから、YKL-40が細胞膜上でシグナル伝達成分と相互作用することが示唆される。
本発明の一つの目的は、YKL-40遺伝子のあらゆる転写産物を検出することにある。従って、YKL-40遺伝子の転写産物は、hnRNA、mRNA、完全長タンパク質、断片化タンパク質又はYKL-40タンパク質のペプチドであることができる。1以上のタンパク質、RNA転写物、フラグメント及び/又はペプチドを同時に検出することができると理解される。また、本発明の一態様は、利用可能なあらゆる手段、例えば、YKL-40タンパク質、フラグメント又はペプチドの抗体検出等のイムノアッセイ、及びRT-PCRによるRNA検出等のPCRアッセイによって転写産物を検出する。
YKL-40の検出
本発明のペプチド及びポリヌクレオチドは、YKL-40の機能性誘導体、YKL-40ペプチド及びそれらをコードするヌクレオチドを含む。「機能性誘導体」とは、分子の「フラグメント」、「バリアント」、「類似体」又は「化学的誘導体」を意味する。本発明のDNA塩基配列等の分子の「フラグメント」は、分子のあらゆるヌクレオチド・サブセットを含む。そのような分子の「バリアント」とは、分子全体又はフラグメントと実質的に類似した自然発生分子を意味する。分子の「類似体」とは、分子全体又はフラグメントと実質的に類似した非天然分子を意味する。
分子が他の分子と「実質的に類似している」とは、それらの分子のアミノ酸配列が実質的に同じであることを意味する。実質的に類似したアミノ酸分子は、類似した生物学的活性を有する。従って、2つの分子が類似した活性を有していれば、一方の分子が他方の分子に見られないアミノ酸残基をさらに含んでいるか、又はアミノ酸残基の配列が同一ではない場合でも、それらは本願明細書において使用するバリアントであるとみなされる。
また、分子が通常はその分子の一部ではない化学部位(chemical moieties)を含む場合、その分子は通常の分子の「化学的誘導体」であるという。そのような部位は、分子の溶解性、吸収率、生物学的半減期等を向上させ得る。或いは、そのような部位は分子の毒性を減少させるか、分子の望ましくない副作用等を解消又は減衰させることができる。そのような作用を媒介することができる部位は、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences,16th Ed.,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1980に開示されている。
YKL-40一次アミノ酸配列が僅かに改変すると、ここに記載されたYKL-40ペプチドと実質的に類似した活性を有するタンパク質及びぺプチドが得られる場合がある。そのような改変は、意図的(部位特異的突然変異誘発等)又は自然発生的であることができる。YKL-40の生物学的活性が維持されている限り、それらの改変によって生成されるあらゆるペプチドは本願明細書に含まれるものとする。また、1以上のアミノ酸の欠失により、生物学的活性を大きく変化させることなく分子の構造を改変させることができる。これにより、より広い有用性を有するより小さな活性分子を得ることができる。例えば、酵素が所望の触媒活性又は抗原活性を発揮するためには必要ではないアミノ又はカルボキシ末端アミノ酸を除去することができる。
以下に説明する本発明のイムノアッセイ及び治療方法では、ポリクローナル又はモノクローナル抗体を使用することができる。いくつかの抗YKL-40抗体が市販されており、本明細書に記載する方法又は公知の方法によって抗YKL-40抗体を得ることもできる。ポリクローナル抗体は、実質的に純粋なYKL-40又は抗原性YKL-40ペプチドを、ヒト以外の適当な哺乳動物の皮下又は筋肉内に複数回注射することによって得ることができる。YKL-40ペプチドの抗原性は、当該ペプチドで免疫された動物の抗体反応の大きさを決定する従来の方法によって決定することができる。通常、抗YKL-40抗体を得るために使用されるYKL-40ぺプチドは、YKL-40に対して比較的高い親和性を有する抗体を高タイターで生成させるものとする。本発明の一実施形態では、ディップスティックを使用してYKL-40レベルを測定する。
必要に応じて、免疫用ペプチドは、周知の技術を使用して担体タンパク質に結合させることができる。化学的にペプチドを結合させる通常使用される担体としては、スカシガイヘモシアニン(KLH)、チログロブリン、ウシ血清アルブミン(BSA)、破傷風トキソイドが挙げられる。そして、担体に結合させたペプチドを使用して動物(例えば、マウス又はウサギ)を免疫する。YKL-40は哺乳動物種間で保存されていることがあり得るため、YKL-40タンパク質の免疫原性を高める担体タンパク質を使用することが好ましい。
そして、当該哺乳動物から採取した血液試料から抗体を得る。ポリクローナル抗体を得るために使用される技術は公知である(例えば、Methods of Enzymology,Production of Antisera With Small Doses of Immunogen: Multiple Intradermal Injections,Langone, et al.eds.(Acad.Press,1981)を参照)。動物によって産生されたポリクローナル抗体は、例えば、抗体産生に使用したペプチドが結合したマトリックスに結合させ溶出させることによって、さらに精製することができる。当業者には、ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体の精製及び/又は濃縮のための、免疫学分野において一般的な様々な技術が知られている(例えば、Coligan, et al.,Unit 9,Current Protocols in Immunology,Wiley Interscience,1991を参照)。
しかしながら、製造するYKL-40抗体はモノクローナル抗体(「mAb」)であることが好ましい。モノクローナル抗体を製造する場合、マウス又はラットを免疫することが好ましい。本発明において使用する「抗体」という用語は、エピトープ決定部位に結合することができる無傷の分子又はそのフラグメント(Fab及びF(ab')2等)を含む。また、「本発明のmAb」とは、YKL-40に対して特異性を有するモノクローナル抗体を意味する。
mAbsを分泌するハイブリドーマの製造に使用される方法は周知である(Kohler and Milstein,1975)。簡単に説明すると、Kohler and Milsteinに記載されているように、黒色腫、奇形癌、子宮頸癌、神経膠腫又は肺癌に罹患した5人の癌患者の局所流入領域リンパ節からリンパ球を分離し(試料は外科標本から得る)、細胞をプールし、SHFP-1と融合させた。癌細胞株に結合する抗体を生成するハイブリドーマをスクリーニングした。
mAbのYKL-40特異性は、対象となるmAbの素反応パターンを決定する、比較的ルーチンで使用されているスクリーニング技術(酵素免疫測定法(ELISA)等)を使用して確認することができる。また、本発明のmAbが、上述したように分離されたYKL-40に結合することを、試験対象のmAbが妨げるか否かを決定することにより、過度の実験を行うことなく、試験対象のmAbが本発明のmAbと同じ特異性を有するか否かを判断することができ、本発明のmAbの結合の減少によって試験対象のmAbが本発明のmAbと競合することが示される場合には、これらのモノクローナル抗体は同一又は密接に関連するエピトープに結合する可能性が高い。あるmAbが本発明のmAbと同じ特異性を有するか否かは、通常は試験対象のmAbが反応する抗原を、本発明のmAbと共に事前にインキュベートし、試験対象のmAbの当該抗原への結合が阻害されるか否かを決定することによって判断することもできる。試験対象のmAbが阻害される場合には、試験対象のmAbは本発明のmAbと同一又は密接に関連するエピトープ特異性を、ほぼ確実に有する。
イムノアッセイ法
使用するイムノアッセイは、疾患に罹患した個体におけるYKL-40レベルを、健康な個体における正常なYKL-40レベル及び/又は当該個体において測定されたバックグラウンドレベルから区別することができるように、定量的でなければならない。従って、(直接又は間接)検出可能な標識を使用した、固相上の競合的及びサンドイッチアッセイが好ましい。標識は、抗体のYKL-40抗原への結合を示す検出可能なシグナルをもたらす。抗体又は抗原は、検出可能なシグナルをもたらすように、放射性同位体、酵素、蛍光分子、化学発光分子、生物発光分子、金コロイド等の公知の標識によって標識することができる。公知のアッセイ法のうち、放射標識イムノアッセイ(RIA)又は酵素結合イムノアッセイ(ELISA)が、感度が優れているために最も好ましい。従って、放射性同位体が好ましい標識である。
本発明の方法の一実施形態では、イムノアッセイを使用してYKL-40のレベルを測定する。本実施形態の一例では、イムノアッセイは競合的イムノアッセイである。
本発明の一実施形態では、イムノアッセイでモノクローナル抗体を使用してYKL-40を測定する。本発明の別の実施形態では、イムノアッセイでポリクローナル抗体を使用してYKL-40を測定する。
本発明の方法においてイムノアッセイを利用する場合には、放射性同位体、酵素、蛍光分子、化学発光分子、生物発光分子、コロイド状金属からなる群から選択される検出可能な標識を使用してYKL-40を測定することができる。
抗体に直接的に結合させるか、YKL-40抗原に間接的に結合させることができる金属イオンは周知であり、例えば、125I、111In、97Ru、67Ga、68Ga、72As、89Zr、90Y、201Tlが挙げられる。抗原結合特異性を損なうことなく容易に結合させることができるため、125Iが好ましい(ナトリウム塩、Amersham(英国))。125IによるYKL-40の標識は、Salacinski, et al.(1981)に記載された方法に従って行うことができる。125I標識を行うために使用するヨードゲン(1,3,4,6-テトラクロロ-3α,6α-ジフェニルグリコールウリル)は、Pierce and Warriner(英国チェスター)から市販されている。
本発明の好適な実施形態では、血漿YKL-40のレベルは、ストレプトアビジンでコーティングされたマイクロプレートウェル、ビオチン化Fabモノクローナル捕捉抗体、アルカリホスファターゼで標識されたポリクローナル検出抗体を使用して、2部位サンドイッチ型酵素免疫測定法(ELISA)(例えば、Quidel、米国カリフォルニア州)(Harvey et al.1998)によって、二重に(in duplicate)測定することができる。Quidelを使用する場合には、ELISAの回収率は102%であり、検出限界は10μg/Lだった。感度は、ゼロ結合値の標準偏差の2倍に相当する検出可能質量と定義される。通常、標準曲線は20〜300μg/Lの範囲で直線的となる。アッセイ内変動係数は、5%(40μg/L)、4%(104μg/L)、4%(155μg/L)だった。アッセイ間変動係数は<6%だった。
本発明の別の実施形態では放射標識イムノアッセイを使用し、標準試料又は試料を実質的に等容量のYKL-40抗血清及びYKL-40トレーサーとインキュベートする。通常、標準試料及び試料は二重に(in duplicate)アッセイする。本発明のアッセイの感度(検出限界)は約10μg/Lである。感度は、ゼロ結合値の標準偏差の2倍に相当する検出可能質量と定義される。通常、標準曲線は20〜100μg/Lの範囲で直線的となる。実施例に記載するアッセイのアッセイ内及びアッセイ間変動係数はそれぞれ<6.5%及び<12%だった。
必ずしもRIAと同等の感度は有していないが、放射性同位体以外の標識を使用するアッセイ法も利点を有し、RIAの代わりに使用し得ることは、当業者には理解されることである。例えば、酵素免疫測定法(ELISA)は、ELISAマイクロタイタプレートリーダ及び多くの研究・臨床機関で容易に利用可能な試薬を使用して、容易に自動化することができる。アッセイにおいて抗体が結合した抗原の量を定量化する点では放射性同位体ほど有用ではないが、蛍光、化学発光、生物発光標識には目視により検出可能であるという利点がある。
PCRアッセイ
また、生物学的試料中のYKL-40の存在を検出し、定量化するためにイムノアッセイ以外の手段を使用し得ることも当業者には理解される。例えば、YKL-40をコードするポリヌクレオチドは、公知の定量的ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法を使用して検出することができる。従って、本発明の方法の一実施形態では、PCRアッセイを使用してYKL-40レベルを測定する。定量的PCRを行うための好ましい方法は、標的YKL-40遺伝子テンプレートと配列又は大きさが異なる競合体(competitor)をもたらす1以上の塩基対の誘発突然変異を含む競合テンプレートを使用して行う競合PCR法である。プライマーの1つをビオチン化(又は好ましくはアミノ化)し、得られるPCR産物の一方の鎖(通常はアンチセンス鎖)を、アミノ-カルボキシル、アミノ-アミノ、ビオチン-ストレプトアビジン又はその他の適当な結合を介して、適当な反応物質に結合させておいた固相担体に固定することができる。最も好ましくは、PCR産物、固相担体、反応物質の間の結合は共有結合であり、それによって変性条件下において結合を確実に維持することができる。
PCR産物のアミノ化又はビオチン化鎖を固定した後、未結合の相補鎖をアルカリ変性洗浄によって分離し、反応環境から除去する。標的核酸及び競合核酸に対応する配列特異的オリゴヌクレオチド(sequence-specific oligonucleotide(SSO))を検出タグで標識する。次に、除去した未結合のセンス鎖からの競合物が存在しない状態でSSOをアンチセンス鎖にハイブリダイズする。適当なアッセイ試薬を添加し、使用した検出タグ及び固相担体手段に適したELISA測定手段(好ましくはELISAマイクロプレートリーダー)を使用してハイブリダイゼーション度を測定する。標的テンプレート及び競合物テンプレートを含むテンプレートを増幅するPCR反応から得られた標準曲線を使用して測定値を比較し、標的核酸の含有量を導出する。この方法は、定量的であり、PCRサイクル数に依存せず、SSOプローブとPCR産物中の相補鎖との競合に影響を受けないという点で有利である。
或いは、ポリメライゼーション工程の一部及びハイブリダイゼーション工程全体を固相担体上で行うことができる。この方法では、PCR産物の鎖ではなく、ヌクレオチド・ポリメライゼーション・プライマー(好ましくはオリゴヌクレオチド)が固相担体に捕捉される。次に、標的核酸及び競合核酸PCR産物の溶液を固相担体に添加し、ポリメライゼーション工程を行う。上述した変性条件下で、ポリメライゼーション生成物の結合していないセンス鎖を除去する。
競合核酸に対する標的核酸の比率は、適当な測定手段(好ましくはELISAリーダー)及び上述した標準曲線を使用して標識オリゴヌクレオチドSSOプローブを検出することによって決定することができる。この方法は非常に効率が良いため、ポリメライゼーション工程における連鎖反応は不要であり得、方法を行うために要する時間を短縮することができる。また、最終ポリメライゼーション生成物をハイブリダイゼーションのために反応チューブから固相担体に移す必要がないため、精度が高まり、それらの損失又はダメージの可能性が制限される。ただし、特定の試料において必要な場合には、PCRを使用して別々の反応チューブ内で標的核酸及び競合核酸を増幅した後、固相担体上で最終的なポリメライゼーションを行うことができる。
当業者に公知の、結合したPCR産物の形成を示す異なる検出可能なシグナルをもたらすことができる分子(例えば、標的PCR産物及び競合PCR産物の形成を示す異なる色を形成する標識ヌクレオチド発色団)を、反応の最後の数サイクルにおいて反応液に添加することができる。また、競合核酸に対する標的核酸の比率は、ELISA又はその他の適切な測定手段及び固定されたハイブリダイゼーションプライマーの3'末端に結合した検出タグと反応することができる試薬を使用して決定することもできる。また、この方法は、従来の非競合的PCR法を行うことによって(定量化することなく)特定の遺伝子が試料に存在するか否かを検出するために使用することができる。
上記方法に使用する適当なプライマーの選択方法は、当業者は理解するか、又は容易に確認することができる。上述した方法のさらなる詳細に関しては、Kohsaka, et al.,Nuc.Acids Res.,21:3469-3472,1993;Bunn et al.、米国特許第5,213,961号、Innis et al.,PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications,Acad.Press,1990を参照されたい。これらの文献の開示内容は、定量的PCR法の最新技術の説明のみを目的として上記参照によって本願明細書に援用する。
参照レベル
所与の被験者のYKL-40レベルが上昇しているか否かは、測定したYKL-40レベルを参照レベルと比較することによって決定することができる。参照レベルは、例えば、特定の疾患又は障害の重症度の上昇を反映する1つ以上の参照レベルであってもよく、同一の被験者の過去の試料に対する測定によって得られた1つ以上の参照レベルであってもよい。
YKL-40のレベルは、例えば様々な疾患又は健康な個体(正常レベルの指標を提供する)について今までに報告されてきている。しかしながら、過去に報告された健康な個体の「正常」YKL-40レベルは、その「健康な個体」がその後も健康な状態だったか否かを調査する追跡調査によって裏付けられていない。従って、過去に報告されたYKL-40レベルは、試料採取時点において未確認の病気にかかっていた可能性のある個体を含み、真の「正常レベル」を表すものではない。そのような過去に報告された(例えば健康な個体から得られた)YKL-40レベルはまた、例えば年齢の影響を考慮していない平均のレベルであった。
本発明の実施例から明らかなように、本願発明者らは真の「正常レベル」を表す方法を特定した。この正常レベルは、多数の健康な個体の集団に基づいて特定したものであり、真の「健康な個体」であったか否かを確認するために当該個体について時間経過と共に追跡調査を行った。健康な状態が継続しなかった個体、例えば、癌が発生した個体は、正常なデータから除外した。予期せぬことに、本願発明者らは、本発明の方法により、被験者における疾患又は障害(例えば、不特定疾患又は障害)の重症度を分類するために、この特定された「正常レベル」が使用可能であることを見出した。また、本願発明者らは、年齢はYKL-40レベルに大きな影響を与え、本発明の方法を使用する際に年齢の影響を考慮すべきであることを見出した。
YKL-40参照レベルは様々な方法で表すことができる。従来、参照レベルは様々な年齢の健康な個体の群に由来する場合がある。本願発明者らは、YKL-40レベルに対する年齢の影響を調べ、測定したYKL-40レベルは特定年齢層と比較することが好ましいことを見出した。
特定年齢層の個体は、同一年又は特定の10年間に生まれた個体を含むことができ、0〜10歳、10〜20歳、20〜30歳、30〜40歳、40〜50歳、50〜60歳、60〜70歳、70〜80歳、80〜90歳又は90〜100歳の個体を含む群等のように分類することもできる。当該区間は、2歳の年齢差、3、4又は5歳、6、7、8、9又は10歳の年齢差(上記)、12、15又は20歳以上の年齢差を包含するものとすることができる。また、当該区間は上限のない状態(例えば、20歳、30歳、40歳、50歳又は60歳を超えた個体等)としてもよい。
本願発明者らは、男性と女性の血漿YKL-40レベルには統計的に差がないことを見出した(実施例1を参照)。従って、参照レベルの算出の基礎となる個体群は、更に、両性混合又は同性の個体群であってもよい。また、参照レベルは、参照レベルとの比較対象となる試料YKL-40と同一の個体からも得ることができる。これに該当する場合、1つ以上の参照レベルは、例えば、疾患又は障害の診断前(発病前)、疾患又は障害の症状が出る前(発症前)、或いは、診断が確立した後に得られた1つ以上の試料において測定されたYKL-40レベルにすることができる。
本発明の方法の好適な実施形態において、YKL-40参照レベルは、健康な個体から得た試料中のYKL-40レベルを測定することによって得られた年齢調整平均レベルである。更に好適な実施形態において、1つ以上のYKL-40参照レベルは、1つ以上の年齢調整平均レベルである。別の実施形態において、1つ以上の参照レベルは、過去に判定した同一被験者からの1つ以上のYKL-40のレベルである。
男性及び女性において血漿YKL-40レベルは年齢と共に上昇し、男性と女性の間で血漿YKL-40の差は見られない。これらの血漿YKL-40レベルは、多数の健康被験者の集団の試料から(及びその集団を研究することにより)見出したものであり、本発明の方法において使用することができる、根拠に裏打ちされた血漿YKL-40参照レベルである(実施例1を参照)。
本発明が年齢調整レベルを使用する場合、当該レベルは、女性の場合には1歳当たり0.5μg/Lを加えることによって年齢調整し、男性の場合には1歳当たり0.8μg/Lを加えることによって年齢調整することができる。この年齢調整は、同一の被験者について過去に測定したYKL-40レベルに対して行うことが好ましい。或いは、参照レベルは、健康な個体の年齢分布亜集団(即ち上述した個体の特定年齢層(例えば、特定の10年間に生まれた個体))の試料におけるYKL-40レベルを測定することによって得られた一組の年齢依存YKL-40参照レベル(例えば、1つ以上のYKL-40参照レベル)であってもよい。例えば、一組の参照レベルは、30〜39歳、40〜49歳、50〜59歳、60〜69歳の年齢層の健康な個体の群の平均血漿YKL-40レベルであってもよい。好ましいYKL-40年齢依存参照レベルの組を以下に記載する。
或いは、1つ以上の参照YKL-40レベルの1つは、健康な個体からの試料におけるYKL-40レベルを測定することにより得られた平均又は中央レベルであり、好ましくは中央レベルである。
参照レベルを指定する別の方法ではカットオフ値を使用する。カットオフ値は、通常、特定のカットオフ値を超えるYKL-40レベルを有するものと、特定のカットオフ値未満のYKL-40レベルを有するものとの2つの群に、多数の個体を分割する値である。カットオフ値は、個体が所定の分類に含まれるか否かの指標として使用してよく、本発明の場合、これは、疾患の様々な進行及び/又は状態と、問題となる個体の予後とに対応する。
本発明の方法の一実施形態では、前記1つ以上のYKL-40参照レベルの1つは、健康な個体における血清又は血漿YKL-40レベルの70パーセンタイル値に対応する年齢調整カットオフ値である。
本発明の方法の一実施形態では、前記1つ以上のYKL-40参照レベルの1つは、健康な個体において測定されたYKL-40の75パーセンタイル値に対応する年齢調整カットオフ値である。
本発明の方法の別の実施形態では、前記1つ以上のYKL-40参照レベルの1つは、健康な個体において測定されたYKL-40の85パーセンタイル値に対応する年齢調整カットオフ値である。
本発明の方法の別の実施形態では、前記1つ以上のYKL-40参照レベルの1つは、健康な個体において測定されたYKL-40の90パーセンタイル値に対応する年齢調整カットオフ値である。
本発明の方法の別の実施形態では、前記1つ以上のYKL-40参照レベルの1つは、健康な個体において測定されたYKL-40の95パーセンタイル値に対応する年齢調整カットオフ値である。
本発明の方法の別の実施形態では、前記1つ以上のYKL-40参照レベルの1つは、健康な個体において測定されたYKL-40の97.5パーセンタイル値に対応する年齢調整カットオフ値である。
従って、本発明の好適な実施形態では、YKL-40参照レベルは、健康な個体の血漿YKL-40濃度の90パーセンタイル値に対応する年齢調整カットオフ値であり、例えば、約50歳の被験者では92μg/Lの血漿YKL-40値であり、約60歳の被験者では111μg/Lの血漿YKL-40値である。より好ましくは、YKL-40参照レベルは、健康な個体における血漿YKL-40濃度の95パーセンタイル値に対応する年齢調整カットオフ値であり、例えば、約50歳の被験者では100μg/Lの血漿YKL-40値であり、約60歳の被験者では124μg/Lの血漿YKL-40値である。95パーセンタイル血漿中レベルを年齢調整し、カットオフ値として使用する場合には、YKL-40レベルの潜在的な個体差はより幅広く許容される。癌疾患等の重篤な疾患について本発明の方法を使用する場合には、例えば、95パーセンタイル値、更には97.5パーセンタイル値の使用が適切となる場合がある。しかしながら、本発明の方法の他の場合においては、90パーセンタイル血漿YKL-40レベルを使用することが好ましい。これは、例えば、未だ症状を引き起こしていない重症度の低い疾患に関して方法が使用される場合である。同様に、健康な個体における血漿YKL-40レベルの70パーセンタイル値、75パーセンタイル値、又は85パーセンタイル値を使用することが更に適している場合もあり、どのパーセンタイル値が使用されるかは、どのレベルの感度が望ましいかに応じて決まる。例えばカットオフ値として選択するパーセンタイル値が低い程、より高い感度が得られる。低いパーセンタイル値を使用することにより、疾患又は障害にまだごく僅かしか冒されていない(例えば、疾患又は障害の初期段階にある)被験者を発見することができる。ただし、低いパーセンタイル値を選択すると、実際には疾患又は障害に罹患していないにもかかわらず、生物学的な個体差のために疾患に罹患していると分類される恐れのある被験者の割合が上昇する。
カットオフ値は、3610人の健康被験者において定義された以下のパーセンタイル値に対応する血漿YKL-40レベルとして、年齢に応じて定義することが好ましい場合がある。
70パーセンタイル値(ln(血漿YKL-40)=3.1+0.02×年齢(歳)として定義される)
75パーセンタイル値(ln(血漿YKL-40)=3.2+0.02×年齢(歳)として定義される)
90パーセンタイル値(ln(血漿YKL-40)=3.5+0.02×年齢(歳)として定義される)
95パーセンタイル値(ln(血漿YKL-40)=3.6+0.02×年齢(歳)として定義される)
また、カットオフ値は、3610人の健康被験者において定義された以下のパーセンタイル値に対応する血漿YKL-40レベルとして、年齢に応じて定義することができる。
70パーセンタイル値(ln(血漿YKL-40)=3.1+0.02×年齢(歳)として定義される)
75パーセンタイル値(ln(血漿YKL-40)=3.2+0.02×年齢(歳)として定義される)
85パーセンタイル値(ln(血漿YKL-40)=3.4+0.02×年齢(歳)として定義される)
90パーセンタイル値(ln(血漿YKL-40)=3.5+0.02×年齢(歳)として定義される)
95パーセンタイル値(ln(血漿YKL-40)=3.6+0.02×年齢(歳)として定義される)
97.5パーセンタイル値(ln(血漿YKL-40)=3.9+0.02×年齢(歳)として定義される)
本発明の方法の好適な実施形態では、被験者の年齢を使用して上記式に従ってYKL-40参照レベルが算出される。図3A及び図3Bにこれらの式を示す。図3A及び図3Bは、計算を必要とすることなくカットオフ値を決定できる、より直接的なアプローチにおいて使用することができる。また、図3A及び図3Bにより、測定されたYKL-40レベル及び被験者の年齢を90パーセンタイル値及び95パーセンタイル値と即座に比較することができる。これにより、測定されたYKL-40レベルが参照レベルとどの程度異なるかを即座に示すことができる。上記90パーセンタイル値の式を使用すれば、約20歳、約30歳、約40歳、約50歳、約60歳及び約70歳の被験者のカットオフ値は、それぞれ約49μg/L、約60μg/L、約74μg/L、約90μg/L、約110μg/L及び約134μg/LのYKL-40レベルとなる。上記95パーセンタイル値の式を使用すれば、約20歳、約30歳、約40歳、約50歳、約60歳及び約70歳の被験者のカットオフ値は、それぞれ約55μg/L、約67μg/L、約81μg/L、約99μg/L、約122μg/L及び約148μg/LのYKL-40レベルとなる。
本発明の方法の一実施形態では、YKL-40参照レベルは、健康な個体における血清又は血漿YKL-40レベルの70パーセンタイル値に対応する年齢調整カットオフ値である。より好ましくは、年齢調整カットオフ値は、ln(血漿YKL-40)=3.1+0.02×年齢(歳)として定義される70パーセンタイル値である。
本発明の方法の別の実施形態では、YKL-40参照レベルは、健康な個体における血清又は血漿YKL-40レベルの75パーセンタイル値に対応する年齢調整カットオフ値である。より好ましくは、年齢調整カットオフ値は、ln(血漿YKL-40)=3.2+0.02×年齢(歳)として定義される75パーセンタイル値である。
本発明の方法の別の実施形態では、YKL-40参照レベルは、健康な個体における血清又は血漿YKL-40レベルの85パーセンタイル値に対応する年齢調整カットオフ値である。より好ましくは、年齢調整カットオフ値は、ln(血漿YKL-40)=3.4+0.02×年齢(歳)として定義される85パーセンタイル値である。
本発明の方法の別の実施形態では、YKL-40参照レベルは、健康な個体における血清又は血漿YKL-40レベルの90パーセンタイル値に対応する年齢調整カットオフ値である。より好ましくは、年齢調整カットオフ値は、ln(血漿YKL-40)=3.5+0.02×年齢(歳)として定義される90パーセンタイル値である。
本発明の方法の別の実施形態では、YKL-40参照レベルは、健康な個体における血清又は血漿YKL-40レベルの95パーセンタイル値に対応する年齢調整カットオフ値である。より好ましくは、年齢調整カットオフ値は、ln(血漿YKL-40)=3.6+0.02×年齢(歳)として定義される95パーセンタイル値である。
本発明の方法の別の実施形態では、YKL-40参照レベルは、健康な個体における血清又は血漿YKL-40レベルの97.5パーセンタイル値に対応する年齢調整カットオフ値である。より好ましくは、年齢調整カットオフ値は、ln(血漿YKL-40)=3.9+0.02×年齢(歳)として定義される97.5パーセンタイル値である。
本発明の他の実施形態では、以下のYKL-40血漿レベルは、それぞれが独立して、本発明の方法において使用されるべき1つ以上のYKL-40参照レベルの1つとなり得る:約35〜約55μg/Lの血漿レベル(例えば、約40〜約50μg/L等、好ましくは約42μg/L)、約90〜約100μg/Lの血漿レベル(好ましくは約97μg/L等)、約120〜約130μg/Lの血漿レベル(好ましくは約124μg/L等)、及び約160〜約170μg/Lの血漿レベル(好ましくは約168μg/L等)。こうした値は、単独で使用してよく、或いは、こうした値の2つ以上の組み合わせとして、例えば、こうした値の3つ以上を含む一組の参照値として、使用してもよい。実施例から分かるように、特定した値は、健康な個体の大きな群から決定されたものであり、それぞれ中間値、90パーセンタイル値、95パーセンタイル値、及び97.5パーセンタイル値に対応する。
本発明の方法の他の実施形態において、1つ以上のYKL-40参照レベルは、健康な個体からの試料におけるYKL-40レベルを測定することにより得られた一組のYKL-40参照レベルを含み、第1の参照レベルは、健康な個体のYKL-40の中間値であり、第2の参照レベルは、健康な個体のYKL-40の75パーセンタイル値であり、第3の参照レベルは、健康な個体のYKL-40の85パーセンタイル値であり、第4の参照レベルは、健康な個体のYKL-40の90パーセンタイル値であり、第5の参照レベルは、健康な個体のYKL-40の95パーセンタイル値であり、第6の参照レベルは、健康な個体のYKL-40の97.5パーセンタイル値であり、第7の参照レベルは、健康な個体のYKL-40の中間値の4.5倍(factor 4.5)であり、第8の参照レベルは、健康な個体のYKL-40の中間値の5倍(factor 5)である。更に具体的には、YKL-40の中間値は、血漿レベル42μg/Lとしてよく、YKL-40の90パーセンタイル値は、血漿レベル92μg/Lとしてよく、YKL-40の95パーセンタイル値は、血漿レベル124μg/Lとしてよく、YKL-40の97.5パーセンタイル値は、血漿レベル168μg/Lとしてよい。更に、1つ以上の参照レベルは、独立して、こうしたレベルの何れか1つ以上の組み合わせにしてよい。
本発明の方法の特定の実施形態において、YKL-40参照レベルは、70、75、85、90、95、又は97.5パーセンタイル値にそれぞれ対応する、直前に記載の年齢調整カットオフ値の2つ以上として定義される、YKL-40年齢依存カットオフ値の組である。
本発明の方法の好適な実施形態において、1つ以上のYKL-40参照レベルは、次のように定義された1つ以上の年齢依存カットオフ値である。
70%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.1+0.02×年齢(歳)、
75%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.2+0.02×年齢(歳)、
85%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.4+0.02×年齢(歳)、
90%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.5+0.02×年齢(歳)、
95%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.6+0.02×年齢(歳)、及び
97.5%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.9+0.02×年齢(歳)
本発明の方法の更に好適な実施形態において、1つ以上のYKL-40参照レベルは、次のように定義された1つ以上の年齢依存カットオフ値である。
90%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.5+0.02×年齢(歳)、及び
95%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.6+0.02×年齢(歳)
本発明の方法の別の好適な実施形態において、YKL-40参照レベルは、例えば、好ましくは上述した式により算出される、70、75、85、90、95、及び97.5パーセンタイル値の2つ以上により定義される、YKL-40年齢依存カットオフ値の組である。YKL-40年齢依存カットオフ値の組は、更に例えば、20〜29歳、30〜39歳、40〜49歳等の年齢層の組について算出してよく、例えば、カットオフ値は、その年齢層における最高値とする。本発明の第1又は第3の態様の好適な一実施形態では、カットオフ値の組は以下の通りである。
本発明の方法に使用する好ましい年齢依存カットオフ値のより詳細な組は、同様に上記式によって得られる。
更に、1つ以上のYKL-40参照レベルは、健康被験者の年齢分布亜集団からの試料におけるYKL-40レベルを測定することにより得られたYKL-40年齢依存参照レベルの組にすることができる。健康被験者の年齢依存参照レベルの好ましい組は上記式によって算出することができる。従って、本発明の方法において使用する年齢依存参照レベルの好ましい組は以下の通りである。
本発明の方法に使用する好ましい年齢依存参照レベルのさらに詳細な組は、同様に上記式によって得られる。
従って、測定された試料中のYKL-40レベルが1つ以上の参照レベルよりも高いか否かを判定することにより、特定の疾患又は障害の重症度を分類することができる。換言すれば、測定された試料中のYKL-40レベルを1つ以上のYKL-40参照レベルと比較することによって特定の疾患又は障害の分類が得られ、ここで、YKL-40のレベルが高い程、特定の疾患又は障害の重症度が高いと分類される。疾患又は障害の重症度が高い程、開始すべき治療に必要な有効性は高くなる。同様に、被験者が既に処置を受けている場合には、被験者の監視中にYKL-40レベルを判定し、疾患の重症度が高く、予後の重症度が対応して高くなる程、より多くの薬物を投与すること、同一の薬物をより高い濃度で投与すること、或いは、継続中の処置を別のより効率的な処置と置き換えること等により、継続中の処置をより大きく変更する必要がある。換言すれば、特定の疾患又は障害が、その疾患又は障害の更に重症度の高い段階へ進んだ場合には、有効性の高い治療の開始が必要となり、及び/又は、継続中の治療より有効性の高い治療の開始が必要となる。
本発明の方法による特定の疾患又は障害の重症度を分類する別のやり方は、1つ以上の参照レベルにより過去に判定した同一被験者からのYKL-40レベルと比較して、試料のYKL-40レベルの増加を判定することによる。1つ以上の参照レベルと比較した試料のYKL-40レベルの増加を判定することにより、重症度の変化が生じたかを判定することができる。従って、一実施形態では、YKL-40参照レベルと比較して、少なくとも1.10倍以上に上昇した試料中のYKL-40のレベルは、不特定疾患又は障害が、その疾患又は障害の更に重症度の高い段階へ進んだことを示し、YKL-40参照レベルと比較して、より好ましくは少なくとも1.25倍、例えば1.30倍又は1.40倍の上昇、更に好ましくは少なくとも1.50倍、例えば1.60倍、1.70倍、又は1.75倍の上昇、更に好ましくは少なくとも1.75倍、例えば1.80倍又は1.90倍又は2倍の上昇、最も好ましくは少なくとも2倍、例えば2.10倍、2.20倍、2.25倍、又は2.50倍の上昇は、不特定疾患又は障害が、その疾患又は障害の更に重症度の高い段階に進んだことを示す。50μg/Lの参照レベルと比較して1.10倍に上昇したレベルを求める計算例は次の通りである:50μg/L×1.10=55μg/L(即ち、新たなレベルは55μg/L)。
本発明の第1の態様の更に好適な実施形態において、YKL-40参照レベルと比較して109%上昇した試料中のYKL-40のレベルは、特定の疾患又は障害が更に重症度の高い段階へ進んだことを意味する。過去に測定したYKL-40レベルが50μg/Lであり、YKL-40レベルが109%上昇したと計算された場合の計算例は次の通りである:50μg/L+(50×1.09)μg/L=50μg/L+54.5μg/L=104.5μg/L。約109%以上の上昇には、任意の方法における変動、生物学的変動、又はYKL-40レベルに影響を及ぼし得る他の要因が含まれており、詳細については実施例2を参照されたい。
上記のことから、上昇が大きい程、更に重症度が高い段階へ疾患又は障害が進んだことが強く示唆される。本発明の方法の好適な実施形態では、同一の個体の過去の測定値として得られたYKL-40参照レベルと比較して2倍、例えば少なくとも2倍に上昇した試料中のYKL-40レベルは、疾患又は障害の悪化、即ち、疾患又は障害が更に重症度の高い段階に進んだことを有意に示す。少なくとも2倍の上昇は、上述した109%以上の有意な上昇に対応する。
同様に、本発明の方法による不特定疾患又は障害の重症度の分類は、過去に判定した同一被験者からのYKL-40レベルと比較して、試料のYKL-40レベルの低下を判定することにより行うことができる。従って、一実施形態では、YKL-40参照レベルと比較して、少なくとも0.90倍低下した試料中のYKL-40のレベルは、不特定疾患又は障害が、その疾患又は障害の更に重症度の低い段階へ進んだことを示し、YKL-40参照レベルと比較して、より好ましくは少なくとも0.80倍、例えば0.70倍の低下、更に好ましくは少なくとも0.60倍の低下、更に好ましくは少なくとも0.50倍の低下、最も好ましくは少なくとも0.48倍、例えば0.45倍、0.43倍、0.40倍、又は0.38倍の低下は、特定の疾患又は障害が、その疾患又は障害の更に重症度の低い段階に進んだことを示す。100μg/Lの参照レベルと比較して0.90倍に低下したレベルを求める計算例は次の通りである:100μg/L×0.90=90μg/L、即ち、新たな血漿YKL-40レベルは90μg/Lである。
レベルが少なくとも例えば0.90倍に低下したと記載される場合、レベルが0.90倍、又は例えば0.80倍、0.70倍等に低下したこと、即ち、100μg/Lのレベルが少なくとも90μg/L以下の値に低下したことを意味する。従って、重症度の上昇と同様に、特定の疾患又は障害が、その疾患又は障害の更に重症度の低い段階へ進んだ場合には、有効性の低い治療の開始が必要となり、及び/又は、継続中の治療より有効性の低い治療の開始が必要となる。
本発明の方法の更に好適な実施形態において、YKL-40参照レベルと比較して52%低下した試料中のYKL-40のレベルは、特定の疾患又は障害が更に重症度の低い段階へ進んだことを意味する。過去に測定したYKL-40レベルが100μg/Lであり、YKL-40レベルが52%低下したと計算された場合の計算例は次の通りである:100μg/L-(100×0.52)μg/L=100μg/L-52μg/L=48μg/L。約52%の低下には、任意の方法の変動、生物学的変動、又はYKL-40レベルに影響を及ぼし得る他の要因が含まれており、詳細については実施例2を参照されたい。
上記のことから、低下が大きい程、更に重症度が低い段階へ疾患又は障害が進んだことが強く示唆される。本発明の方法の好適な実施形態では、同一の個体の過去の測定値として得られたYKL-40参照レベルと比較して0.50倍、例えば少なくとも0.50倍に低下した試料中のYKL-40レベルは、良好な状態への変化が生じたこと、即ち、疾患又は障害が更に重症度の低い段階に進んだことを有意に示す。少なくとも0.50倍の低下は、上述した52%以上の有意な低下に対応する。
好ましくは、同一被験者から過去に得られたYKL-40参照レベルは、必要な場合には、例えば、女性の場合には1歳当たり0.5μg/Lを加え、男性の場合には1歳当たり0.8μg/Lを加えることにより得られた年齢調整参照レベルである。これは、例えば、過去に得た参照レベルが3年より前、例えば5年より前、8年より前、又は10年より前のものである場合に適切であり得る。例えば、過去に得た参照レベルが10年よりも前に得たものである場合である。
本発明の別の実施形態では、試料中のYKL-40のレベルが約25%以上、例えば、約50%以上、約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約100%以上、約110%以上、約120%以上、約130%以上又は約150%以上上昇した場合に、試料中のYKL-40の測定レベルが参照レベルよりも高いと見做される。
一実施形態において、1つ以上のYKL-40参照レベル、即ち、過去に測定された同一被験者の1つ以上のYKL-40レベルは、疾患又は障害の診断後に判定されたものである。この場合、方法は、例えば、疾患の重症度が増加したか減少したか等、治療的処置を監視するため、及び/又は被験者の予後を判定するために使用することができる。
1つ以上の参照レベルと比較して、試料のYKL-40レベルの上昇を決定することにより、重症度の変化が生じたかを判定することができる。従って、本発明の方法の一実施形態では、YKL-40参照レベルと比較して、少なくとも1.20倍以上に上昇した試料中のYKL-40のレベルは、特定疾患又は障害が、その疾患又は障害の更に重症度の高い段階へ進んだことを示し、YKL-40参照レベルと比較して、より好ましくは少なくとも1.25倍、例えば1.30倍又は1.40倍の上昇、更に好ましくは少なくとも1.50倍、例えば1.60倍、1.70倍、又は1.75倍の上昇、更に好ましくは少なくとも1.75倍、例えば1.80倍又は1.90倍又は2倍の上昇、最も好ましくは少なくとも2倍、例えば2.10倍、2.20倍、2.25倍、又は2.50倍の上昇は、疾患又は障害が、その疾患又は障害の更に重症度の高い段階に進んだことを示す。計算例については、上述した内容を参照されたい。更に好適な実施形態において、YKL-40参照レベルと比較して109%以上上昇した試料中のYKL-40のレベルは、疾患又は障害が、その疾患又は障害の更に重症度の高い段階へ進んだことを有意に示し、従って、例えば、有効性の高い治療の開始を要すること、及び/又は継続中の治療より有効性の高い治療の開始を要することを示す。
同様に、重症度の変化、例えば、処置に対する反応の欠如、又は悪い予後への変化について、1つ以上の参照レベルと比較して、試料のYKL-40レベルの低下を決定することにより行うことができる。従って、一実施形態では、YKL-40参照レベルと比較して、少なくとも0.80倍低下した試料中のYKL-40のレベルは、疾患又は障害が、その疾患又は障害の更に重症度の低い段階へ進んだことを示し、YKL-40参照レベルと比較して、より好ましくは少なくとも0.70倍の低下、更に好ましくは少なくとも0.60倍の低下、更に好ましくは少なくとも0.50倍の低下、最も好ましくは少なくとも0.48倍、例えば0.45倍、0.43倍、0.40倍、又は0.38倍の低下は、疾患又は障害が、その疾患又は障害の更に重症度の低い段階に進んだことを示す。計算例については、上述した内容を参照されたい。更に好適な実施形態において、YKL-40参照レベルと比較して52%以上低下した試料中のYKL-40のレベルは、疾患又は障害が、その疾患又は障害の更に重症度の低い段階へ進んだことを有意に示し、従って、例えば、有効性の低い治療の開始を要すること、及び/又は継続中の治療より有効性の低い治療の開始を要することを示す。
同一被験者からの過去に測定されたYKL-40レベルが、女性の場合には1歳当たり0.5μg/Lより大きく、男性の場合には1歳当たり0.8μg/Lより大きく上昇する場合には、疾患又は障害が更に重症度の高い段階へ進んだ危険性がある。したがって、女性の場合に1歳当たり0.5μg/Lより大きく、男性の場合に1歳当たり0.8μg/Lより大きい増加は、上述した109%未満のものを除き、疾患又は障害の悪化を示し得る。そのため、例えば、約25歳の女性について過去に測定したYKL-40レベルが約60μg/Lであり、5年後にレベルを新たに測定した場合、年齢による上昇は約2.5μg/Lとなり、即ち、新たな年齢補正値は約62.5μg/Lとなるはずである。それにも関わらず測定値が約66μg/Lであれば、過去に存在しなかった疾患又は障害が現在は存在すること、或いは、過去の疾患の重症度が更に高くなったことを示すものとなる。例えば、診断済みの疾患を有する約35歳の女性について、測定したYKL-40レベルが約90μg/Lであり、10年後(45歳)にYKL-40レベルを測定した場合、年齢による上昇は約5μg/Lとなり、即ち、新たな年齢補正値は約95μg/Lとなるはずである。それにも関わらず測定値が約105μg/Lであれば、疾患の重症度が更に高くなったことを示すものとなる。
例えば、同一の被験者の過去に測定したYKL-40レベルが、既に特定の疾患又は障害が存在していることが予想されるレベルにあった場合、時間の経過に伴う上昇は、特定の疾患又は障害が悪化していない限り、女性の場合は1歳当たり0.5μg/L又は男性の場合は0.8μg/Lの年齢依存的な上昇を超えないと予測される。この場合、上昇率は低いことが特に好ましい。従って、YKL-40参照レベルと比較して少なくとも1.10倍に上昇した試料中のYKL-40レベルは、不特定疾患又は障害の悪化を示す。
個体の分類
可能な最善の処置は、各個体、及び個体の疾患又は障害の段階/重症度に合わせた処置である。本発明は、例えば生存の予後に応じて各個体を分類し得るように、特定の疾患又は障害の重症度を分類する方法を提供する。本発明は、更に、疾患又は障害の重症度を分類する方法を提供し、疾患又は障害が、その疾患又は障害の更に重症度の高い段階へ進んでいるか、或いは低い段階へ進んでいるかを判定するために、疾患又は障害の進展を監視することにより、疾患又は障害を追跡し得る。分類及び監視は、分類/監視の対象となる個体から得た生物学的試料中のYKL-40レベルの測定値、及び求めたレベルを1つ以上の参照レベルと比較することに基づく。
重症度及び/又は生存の予後に応じた分類により、各個体に合わせた処置を可能にすることで、実施した治療の改善的及び治癒的効果は共に向上し、患者の生存率が全体として向上し、再発のリスクが低下され、生活の質が高まる。更に、投与される薬剤の量を敏感に調節し得る点において、金銭的な利益が存在する。更に、個体群を監視し、疾患の重症度の進展を判定する能力は、最も効果的な緊急処置及び追跡処置の選択に役立つと共に、例えば、必要な生活様式の変化に関して助言する時の指針となる。
YKL-40レベルに基づく個体の分類は、実施例に記載した結果に応じて実行し得る。実施例に示したように、YKL-40レベルの増加と、死亡のハザード比の増加との間には関係がある。ハザード比は、死亡の危険性の増加を示し、当業者に公知であるように計算される。従って、本発明の方法により疾患又は障害の重症度を分類する時、疾患又は障害の重症度は、YKL-40レベルの低い患者/被験者と比較して、YKL-40レベルの高い患者において、疾患の増悪の時間が短く、死亡までの時間が短いこと(YKL-40レベルの高い患者におけるハザード比の増加により例証される)を示すCox分析から推定し得る。
分類を目的とする好適なグループ分けは、分類対象となる個体の年齢、更には、疾患の状態、将来の処理等に関連するものとなり得る。
分類体系の他の例を、下記の表に示す。この例において、群は、生物学的試料において測定されたYKL-40の濃度範囲により特徴付けされる。例に記載した範囲は、25μg/Lの増分に対応するが、5、10、15、又は20μg/L等、より小さい増分、或いは、30、35、40、又は45、50、60、70、80、90、又は100μg/L等、より大きい増分に対応してもよい。
血清中のYKL-40レベルと、関連するハザード比との関係のため、分類対象の個体は、算出されたハザード比に応じて分類してもよい。個体群は、パーセンタイル値に応じて分類してもよく、例えば、群全体を100%として、最もYKL-40レベルの低い10%の群をグループ1とし、2番目にYKL-40レベルの低い10%パーセンタイル値をグループ2とし、以下も同様にする。パーセンタイル値は、1%、2%、34%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、12.5%、13%、14%、15%、20%、25%、30%、33%、又は35%パーセンタイル値の群、或いは上述したパーセンタイル値の間に含まれる又はこれらを上回る任意のパーセンタイル値にしてよい。
個体の監視
本発明は、YKL-40レベルにより測定された生存の予後に基づく個体の監視に関する。測定されたYKL-40レベルに応じた個体の監視は、個体の全般的健康状態の指標、及び/又は実施した処置の効果の指標として使用し得る。個体又は患者は、特定の、即ち、診察された疾患又は障害に罹患している可能性がある。特定の疾患又は障害は、比限定的な例として、糖尿病、COLD、喘息、炎症性腸疾患、関節リウマチ、変形性関節症、心臓血管疾患、アテローム性動脈硬化、冠動脈心疾患、高血圧症、肝線維症、急性膵炎、慢性膵炎、肺線維症、腎臓病、敗血症、乾癬等の何れかとなる場合がある。
特定の疾患及び/又は障害に罹患した個体の死亡の予後としてYKL-40レベルを監視することは、各個体に対する最も適切な処置の実施を促進する。効果的な処理の実施は、実施した処理の改善的及び治癒的効果の両方を、個体の生存の機会と共に向上させ、再発のリスクを低下させる。したがって、YKL-40は、糖尿病、COLD、喘息、炎症性腸疾患、関節リウマチ、変形性関節症、心臓血管疾患、アテローム性動脈硬化、冠動脈心疾患、高血圧症、肝線維症、急性膵炎、慢性膵炎、肺線維症、腎臓病、敗血症、乾癬等を含む、特定の疾患又は障害に罹患した患者の医療処置の充足性を監視するために使用することが可能であり、従って、治癒的及び改善的効果を向上させ、特定の疾患又は障害に罹患した個体(被験者)にとっての全体的な生活の質を高めることが可能である。更に、最も効果的な処置の実施は、一定の処置の費用/恩恵を評価する時にも問題となる。
そのため、本発明の一態様は、生存の予後に関連して固体の健康状態を監視する方法を提供することであり、方法は、個体からの生物学的試料中のYKL-40のレベルを測定することと、測定されたレベルをYKL-40参照レベルと比較することとを含み、統計的に有意な増加は、個体の短い生存時間の指標となる。
他のバイオマーカー
YKL-40は、疾患又は障害の重症度を分類するための独立したバイオマーカーであり、そのように使用することができる。ただし、C反応性タンパク質(CRP)、ESR、癌胎児性抗原(CEA)、CA-125、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)、CA19-9、乳酸脱水素酵素(LDH)、組織メタロプロテアーゼ阻害物質1(TIMP-1)、脳性ナトリウム利尿タンパク質(BNP)、インターロイキン、腫瘍壊死因子-α、ホモシステイン、アミロイドAタンパク質、妊娠関連血漿タンパク質A、トロポニン、可溶性細胞間接着分子1、可溶性UPAR、III型プロコラーゲンのアミノ末端プロペプチド(P-III-NP)、単球走化性タンパク質-1、フィブリンDダイマー、成長分化因子15、虚血変性アルブミン、リポタンパク質関連ホスホリパーゼA2、マトリックスメタロプロテアーゼ、ペントラキシン3、IIA型分泌性ホスホリパーゼA2、細胞間接着分子1、心臓由来脂肪酸結合タンパク(H-FABP)、ミオシン軽鎖1(MLC-1)、P-セレクチン、CKMB等の、他の公知のバイオマーカーと組み合わせてYKL-40を使用することもできる。これらの他のバイオマーカーのうち、UPAR及び可溶性UPAR、並びに細胞間接着分子1及び可溶性細胞間接着分子1等、可溶性及び不溶性の形態のタンパク質の両方が本発明に関係する。上記マーカーのレベルは、血液、血清、血漿又は組織試料等の生物学的試料において測定することができ、また、イムノアッセイ、PCRアッセイ又は数種類のアッセイ法の組み合わせ等の、利用可能なあらゆる手段によって測定することができる。
本発明の一態様は、YKL-40レベル及び他のバイオマーカーのレベルの組み合わせによって被験者を診断するための手段を提供し、当該他のバイオマーカーは、これらに限定されるものではないが、C反応性タンパク質(CRP)、ESR、癌胎児性抗原(CEA)、CA-125、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)、CA19-9、乳酸脱水素酵素(LDH)、組織メタロプロテアーゼ阻害物質1(TIMP-1)、脳性ナトリウム利尿タンパク質(BNP)、インターロイキン、腫瘍壊死因子-α、ホモシステイン、アミロイドAタンパク質、妊娠関連血漿タンパク質A、トロポニン、可溶性細胞間接着分子1、可溶性UPAR、III型プロコラーゲンのアミノ末端プロペプチド(P-III-NP)、単球走化性タンパク質-1、フィブリンDダイマー、成長分化因子15、虚血変性アルブミン、リポタンパク質関連ホスホリパーゼA2、マトリックスメタロプロテアーゼ及びCKMB、好ましくは、C反応性タンパク質、ESR、癌胎児性抗原(CEA)、CA-125、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)、CA19-9、乳酸脱水素酵素(LDH)、脳性ナトリウム利尿タンパク質、インターロイキン、腫瘍壊死因子-α、ホモシステイン、アミロイドAタンパク質、妊娠関連血漿タンパク質A、トロポニン、可溶性細胞間接着分子1、可溶性UPAR、III型プロコラーゲンのアミノ末端プロペプチド(P-III-NP)、単球走化性タンパク質-1、フィブリンDダイマー、成長分化因子15、虚血変性アルブミン、リポタンパク質関連ホスホリパーゼA2、マトリックスメタロプロテアーゼ及びCKMBからなる群から選択される。これらの他のバイオマーカーのうち、C反応性タンパク質、脳性ナトリウム利尿タンパク質及びホモシステインが特に好ましい。
本発明の本態様の一実施形態では、当該追加のバイオマーカーが、C反応性タンパク質、ESR、癌胎児性抗原(CEA)、CA-125、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)、CA19-9、乳酸脱水素酵素(LDH)、組織メタロプロテアーゼ阻害物質1(TIMP-1)、脳性ナトリウム利尿タンパク質、インターロイキン、腫瘍壊死因子-α、ホモシステイン、アミロイドAタンパク質、妊娠関連血漿タンパク質A、トロポニン、可溶性細胞間接着分子1、可溶性UPAR、III型プロコラーゲンのアミノ末端プロペプチド(P-III-NP)、単球走化性タンパク質-1、フィブリンDダイマー、成長分化因子15、虚血変性アルブミン、リポタンパク質関連ホスホリパーゼA2、マトリックスメタロプロテアーゼ及びCKMBからなる群から選択され、より好ましくは、C反応性タンパク質、脳性ナトリウム利尿タンパク質及び/又はホモシステインから選択される。
上述した実施形態は、必要な医療機器(器具)又は試料採取機器並びに当該機器の使用方法及びアッセイの実行方法に関する取扱説明書と共に、キットに組み込むことができる。
生物学的試料
生物学的試料は、被験者から得られた試料である。生物学的試料は、組織、血液、血清、血漿試料、尿、脳脊髄液、滑液、腹水及び唾液からなる群から選択される試料であってもよい。本発明に特に適した生物学的試料は、血液、血清又は血漿試料であり、より好ましくは、生物学的試料は血清又は血漿である。当業者ならば、特定の疾患又は障害又は一般的な健康状態の診断における使用に最も適したアッセイ試料源を容易に判断することができる。血漿と血清とにおいて測定されたYKL-40レベルには僅かな差しかないため、本願明細書に記載した値は、血漿及び血清試料の両方に応用することができる。
被験者
本願明細書における被験者は、種(好ましくは哺乳動物種)の一員を意味する。あらゆる哺乳動物種が本発明の対象であるが、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ブタ、ウシ、ウマ、ヒツジ、サル及びヒトのいずれかの種が特に適している。最も好ましくは、本発明の対象となる被験者はヒトである。本願明細書では、被験者は患者又は個体ともいう。
重症度の分類
疾患又は障害の重症度を分類する時、これは、例えば、一定の疾患又は障害の所定の段階に関連する場合があり、例えば、生存の予後に関連する場合があり、或いは、疾患又は障害が更に重症度の高い段階へ進んだか、低い段階へ進んだかの全般的な評価となる場合がある。患者の予後は、問題となる疾患の古典的な病期とは無関係であってよく、本願明細書において、「更に重症度の高い段階」及び「更に重症度の低い段階」という用語は、それぞれ患者の予後の悪化又は改善も意味するものとなる。例えば、消化器癌に罹患した患者に対して、予後は、一般には、進展前の予想時間又は死亡前の時間に関連する予後となる、従って、予後の悪化は、一般には、短い無増悪間隔及び/又は短い生存期間に対応する。
重症度に応じて段階に分けられる疾患の非限定的な例としては、癌、糖尿病、COLD(慢性閉塞性肺疾患)、喘息、炎症性腸疾患、関節リウマチ、変形性関節症、心臓血管疾患、アテローム性動脈硬化、冠動脈心疾患、高血圧症、肝線維症、急性膵炎、慢性膵炎、肺線維症、腎臓病、敗血症、乾癬等が挙げられる。
例えば、COLDに関して、慢性閉塞性肺疾患に対するグローバルイニシアチブ(Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease)は、2007年に「COPDの診断、管理、及び予防のための世界戦略(Global Strategy for the Diagnosis, Management and Prevention of COPD)」と題する報告を発表している。この報告では、例えば、どのようにCOLDを定義、監視及び評価、更に治療するかに関する推奨及び提案を行っている。特に、第5章の31〜41ページは、付随する困難を含め、COLDの分類及び重症度の評価に関連している。例えば、肺機能及び動脈血液ガス測定等、疾患の進行を測定する様々な方法が報告に記載されており、報告は、出典を明記することにより本願明細書の一部とする。本発明による方法は、重症度を分類するために使用し得ると同時に、COLDの重症度の進展を監視するために使用し得る。
例えば、所定の段階によるもの等、疾患を分類する他の例は、当業者に周知である。これは例えば、糖尿病、COLD、喘息、炎症性腸疾患、関節リウマチ、変形性関節症、心臓血管疾患、アテローム性動脈硬化、冠動脈心疾患、高血圧症、肝線維症、急性膵炎、慢性膵炎、肺線維症、腎臓病、敗血症、乾癬等、任意の疾患に対するものとなり得る。
治療及び又は処置の決定
測定し、少なくとも1つのYKL-40参照レベルと比較したYKL-40レベルに応じた被験者の分類に基づいて、当業者は、特定の疾患又は障害に対する可能な最善の処理を決定するための、これまでにない優れた能力を備えることになる。したがって、当業者は、本願明細書に開示した方法に基づいて、特定の疾患に罹患した被験者における治療及び/又は治療的処置を開始、継続、中止、変更、又は置換することが可能である。
COLDに関して上述した例に従って、当業者は、可能な最善の処置を選択すること、或いは、治療中の被験者の監視により継続中の治療を適応させることが可能である。
現在、COLDは、治癒不能だが、処置は可能である。可能な処置には、気管支拡張剤、ベータ2アゴニスト、M3ムスカリン拮抗剤、クロモン、ロイコトリエン拮抗剤、キサンチン、コルチコステロイド、及びTNF拮抗剤の投与から、酸素補給及び肺移植の実施までに及ぶ。
化学治療的処置の監視の具体的な例を本願明細書の実施例3に記載している。実施例3では、膵臓癌、胆道癌、及び胃癌等、上部消化器癌患者の監視を説明している。処置期間後のYKL-40レベルが高い程、生存の予後が悪化する。
器具(機器)
本発明の第4の態様は、疾患又は障害の重症度を分類するための器具に関し、器具は、試料中のYKL-40レベルを測定するための手段と、YKL-40の測定レベルを少なくとも1つのYKL-40参照レベルと比較するための手段と、を含む。試料中のYKL-40レベルを測定するための手段は、例えば、イムノアッセイ、PCRアッセイ、又は酵素アッセイ等の上述したアッセイ法のいずれかを使用する試験システムであってもよい。当該器具においてはイムノアッセイが好ましい。
本発明に係る器具は、例えば、生物学的試料におけるYKL-40レベルを測定するために固体担体に取り付けられた、迅速、定性的及び/又は定量的である試験システムを含むことができる。
当該固体担体は、上記アッセイ、特にイムノアッセイを行う際に任意の相(phase)で使用することができ、ディップスティック、膜、吸収性パッド、ビーズ、マイクロタイターウェル、試験チューブ等が挙げられる。事前に最小限の訓練しか受けていないか、又は全く訓練を受けていない試験者又は自己診断する患者が、容易に使用できる検査器具が好ましい。そのような好ましい検査器具としては、ディップスティック及び膜アッセイ・システムが挙げられる。そのような従来の試験システムの調製と使用については、特許文献、医学文献及び科学文献に広く記載されている。スティックを使用する場合には、抗YKL-40抗体をスティックの一端に結合させ、抗体を結合させたその端部を生物学的試料内又は生物学的試料上に浸すことができるようにする。或いは、試料は、ピペット、滴下具(dropper)、ピンセット等を使用して、抗体でコーティングされたディップスティック又は膜に塗布するか、又は身体からスティックに直接噴きかけることができる。従って、本発明の本態様の好適な実施形態では、当該器具はディップスティックである。
本発明の本態様では、液体である、又は液体に転換することができる生物学的試料が好ましい。特に、体液として身体から得られる生物学的試料が好ましく、例えば、血液、血清、血漿、尿、脳脊髄液、滑液、腹水、精液、唾液が例として挙げられる(これらに限定されない)。血清及び血漿試料がより好ましい。
抗YKL-40抗体は、IgA、IgG、IgM、Fabフラグメント等のアイソタイプであることができる。抗体はモノクローナル抗体又はポリクローナル抗体のいずれであってもよく、Harlow and Lane,Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,1988に記載された方法によって製造することができる。上記文献の開示内容はこの参照によって本願明細書に援用する。イムノアッセイについての節も参照されたい。抗体は、直接又は間接的な手段によって固体担体に結合させることができる。間接的な結合により、YKL-40結合部位をアッセイ溶液に最大限暴露することができる。これは、YKL-40結合部位が担体への結合には使用されないためである。ポリクローナル抗体はYKL-40の異なる複数のエピトープを認識してアッセイ感度を高めることができるため、ポリクローナル抗体を使用することができる。或いは、抗YKL-40モノクローナル抗体を使用することもできる。
固体担体は、YKL-40抗体を固体担体に結合した後に好ましくは非特異的にブロックされる。隣接領域の非特異的ブロッキングは、(誘導体化)ウシ血清アルブミン、他の動物のアルブミン、動物全血清、カゼイン、脱脂乳等を使用して行うことができる。
YKL-40特異的抗体が結合した固体担体に試料を添加し、抗体を介してYKL-40を固体担体に結合させる。試料の過剰及び未結合成分を除去し、好ましくは固体担体を洗浄し、抗体-抗原複合体を固体担体上に保持させる。固体担体は、Tween-20、Tween-80又はドデシル硫酸ナトリウム等の界面活性剤を含む洗浄液で洗浄することができる。
YKL-40を固体担体に結合させた後、YKL-40と反応する第2の抗体を添加する。第2の抗体は、好ましくは可視標識によって標識することができる。標識は可溶性又は粒子状であってもよく、染色した免疫グロブリン結合物質、単純色素、色素ポリマー、染色したラテックスビーズ、色素含有リポソーム、染色した細胞若しくは微生物、又は金属、有機、無機若しくは色素固体を含むことができる。標識は、周知の様々な手段によってYKL-40抗体に結合させることができる。本発明のいくつかの実施形態では、標識はシグナル生成系にカップリングさせることができる酵素であってもよい。可視標識の例としては、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、ビオチンが挙げられる。多くの酵素-色素原又は酵素-基質-色素原の組み合わせが知られており、酵素結合アッセイに使用することができる。
試料と同時に、既知量のYKL-40に対して、同様の工程を行うことができ、それはアッセイの標準とすることができる。本発明の方法の一実施形態において1つ以上のYKL-40参照レベルは、疾患又は障害の1つ以上の所定の段階に関する参照レベルである。
固体担体を再び洗浄して未結合標識化抗体を除去し、標識化抗体を可視化し、定量化する。通常、標識の蓄積は目視により検出することができる。目視検出により、使用する標識に応じて異なる色、例えば、赤色、黄色、茶色又は緑色を検出することができる。蓄積された標識は、反射率分析器、動画像分析器等の光学的検出装置によって検出することもできる。蓄積された標識の可視強度は、試料中のYKL-40濃度と相関を有し得る。蓄積された標識の可視強度とYKL-40の量の相関は、当該可視強度を一組の参照標準試料と比較することによって得ることができる。好ましくは、当該標準試料は未知試料と同様にアッセイされ、より好ましくは、試料と同時に、同一又は異なる固体担体上でアッセイされたものである。使用する標準試料(YKL-40)の濃度は、溶液1リットル当たり約1μgから約1mgの範囲内であり得、血清試料の場合の好ましい範囲は40〜400μg/Lである。好ましくは、異なる濃度を有する複数のYKL-40標準試料を使用し、色強度の比較による未知の試料の定量化の精度を高める。例えば、110μg/LのYKL-40と同様の色強度は、200μg/LのYKL-40と同様の色強度と比較して陰性(negative)であるとみなすことができる。
このようにして、上述したディップスティック又は他の固体担体試験システム等の器具を、1つ以上の標準/対照フィールドとの比較によって生物学的試料におけるおおよそのYKL-40レベルを測定するために使用することができる。このようにして、YKL-40の濃度が、当該器具の標準/対照フィールドに添加した2種類のYKL-40濃度間の範囲にあることを確認することができる。或いは、YKL-40の濃度がYKL-40のカットオフ値を超えるか、カットオフ値未満であるかを判断することができ、この場合、カットオフ値として選択された濃度がディップスティックの対照フィールドに適用される。器具内及び/又は器具上において利用可能な参照レベル/標準は複数でもよいし、単一でもよい。後者の場合には、試料中のYKLレベルを1つの参照レベルと比較する(すなわち、試料中のYKLレベルが参照レベルを超えるか、参照レベル未満であるかを判定する)、イエス/ノー試験として、当該器具を使用することができる。本発明に係る器具の好適な実施形態では、当該器具はカットオフ値を示す単一の参照レベルを含む。参照レベルは、「参照レベル」と題する節に記載した任意の参照レベルであってもよい。
本発明の方法の好適な実施形態において、1つ以上のYKL-40参照レベルは、次のように定義された1つ以上の年齢依存カットオフ値である。
70%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.1+0.02×年齢(歳)、
75%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.2+0.02×年齢(歳)、
85%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.4+0.02×年齢(歳)、
90%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.5+0.02×年齢(歳)、
95%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.6+0.02×年齢(歳)、及び
97.5%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.9+0.02×年齢(歳)
本発明の方法の更に好適な実施形態において、1つ以上のYKL-40参照レベルは、次のように定義された1つ以上の年齢依存カットオフ値である。
90%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.5+0.02×年齢(歳)、及び
95%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.6+0.02×年齢(歳)
容器を各工程後に洗浄するならば、各工程を試験チューブ等の同一の容器内で行うこともできるが、各工程のために3つの別々の容器(試料の容器、洗浄用容器及び検出可能な標識を発色(developing)させるための容器)を使用することによって、本発明に係る高速かつ簡便なオンサイトアッセイ(on-site assay)を最も首尾よく行うことができる。
従って、本発明の一つの目的は、生物学的試料が由来する個体のYKL-40参照レベルに基づく分類において使用するための生物学的試料のYKL-40レベルを、ディップスティックを使用して測定することにある(図17A及び図17Bを参照)。
本発明の本態様の別の実施形態では、当該器具は、YKL-40以外の追加のバイオマーカーをアッセイするための手段をさらに含み、当該追加のバイオマーカーは、例えば以下の非限定的な群から選択される1つ以上のバイオマーカーである:C反応性タンパク質(CRP)、ESR、癌胎児性抗原(CEA)、CA-125、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)、CA19-9、乳酸脱水素酵素(LDH)、脳性ナトリウム利尿タンパク質(BNP)、インターロイキン、腫瘍壊死因子-α、ホモシステイン、アミロイドAタンパク質、妊娠関連血漿タンパク質A、トロポニン、可溶性細胞間接着分子1、可溶性UPAR、III型プロコラーゲンのアミノ末端プロペプチド(P-III-NP)、単球走化性タンパク質-1、フィブリンDダイマー、成長分化因子15、虚血変性アルブミン、リポタンパク質関連ホスホリパーゼA2、マトリックスメタロプロテアーゼ、ペントラキシン3、IIA型分泌性ホスホリパーゼA2、細胞間接着分子1、心臓由来脂肪酸結合タンパク(H-FABP)、ミオシン軽鎖1(MLC-1)、P-セレクチン及びCKMB。好ましくは、当該器具は、C反応性タンパク質及び/又は脳性ナトリウム利尿タンパク質及び/又はホモシステインをアッセイするための手段を含む。
本発明の本態様の一実施形態では、当該器具は、C反応性タンパク質、ESR、癌胎児性抗原(CEA)、CA-125、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)、CA19-9、乳酸脱水素酵素(LDH)、組織メタロプロテアーゼ阻害物質1(TIMP-1)、脳性ナトリウム利尿タンパク質、インターロイキン、腫瘍壊死因子-α、ホモシステイン、アミロイドAタンパク質、妊娠関連血漿タンパク質A、トロポニン、可溶性細胞間接着分子1、可溶性UPAR、III型プロコラーゲンのアミノ末端プロペプチド(P-III-NP)、単球走化性タンパク質-1、フィブリンDダイマー、成長分化因子15、虚血変性アルブミン、リポタンパク質関連ホスホリパーゼA2、マトリックスメタロプロテアーゼ及びCKMBからなる群から選択される追加のバイオマーカー、より好ましくは、C反応性タンパク質、脳性ナトリウム利尿タンパク質及び/又はホモシステインをアッセイするための手段を含む。
当該器具に関連して、少なくとも1つの参照レベルは、「参照レベル」と題する節に記載した任意のYKL-40参照レベルであってもよい。本発明に係る器具の一実施形態では、当該器具はカットオフ値を示す単一の参照レベルを含む。
本発明の本態様の別の実施形態では、当該器具は、測定されたYKL-40レベルを年齢調整YKL-40参照レベルの組と比較するための手段を含む。
本発明の本態様の別の実施形態では、当該器具は、測定されたYKL-40レベルを以下の表に定義する年齢依存カットオフ値の組と比較するための手段を含む。
キット(Kit of parts)
本発明に従ってYKL-40をアッセイするために必要な全ての材料と試薬はキットにまとめることができ、そのようなキットは、少なくとも、個体から得た生物学的試料におけるYKL-40レベルを評価するための構成要素と、そのやり方に関する説明書と、を含む。
前記構成要素は、イムノアッセイ等のYKL-40レベルを検出する方法であってもよく、YKL-40検出に特異的なイムノアッセイを行うために必要な構成部分であってもよい。必要に応じて、キットは、YKL-40を検出し、生物学的試料中のYKL-40レベルを測定するためのPCRアッセイを行うための構成要素をさらに又は代替として含むことができる。当該キットは、1以上の生物学的試料を得るための機器をさらに含むことができ、前記機器は例えば注射器、バイアル等であってもよい。当該キットは、一回の使用又は反復使用のために包装することができ、含まれる構成要素は、例えば一回の使用後に処分される使い捨てであってもよく、反復使用することができる品質のものであってもよい。
本発明の第5の態様は、
i)試料中のYKL-40レベルを測定するための手段と、
ii)前記測定されたYKL-40レベルを1つ以上のYKL-40参照レベルと比較するための手段と、
iii)前記試料を提供した被験者の年齢に応じて前記YKL-40参照レベルを調整する方法に関する説明書と、
を含むキットに関する。
当該少なくとも1つの参照レベルは、「参照レベル」と題する節に記載した任意のYKL-40参照レベルであってもよい。参照レベルの年齢調整のやり方に関する説明書は、本発明の本態様の一実施形態において、例えば、健康被験者の70パーセンタイル値、75パーセンタイル値、85パーセンタイル値、90パーセンタイル値、及び95パーセンタイル値、又はこうしたパーセンタイル値の1つ以上の任意の組み合わせ等、健康被験者のYKL-40正常レベルのうち、対応する1つ以上のレベルと共に、年齢別亜集団の組を記載した表であり、例については「参照レベル」の節を参照されたい。
本発明のキットの好適な実施形態において、1つ以上のYKL-40参照レベルは、次のように定義された1つ以上の年齢依存カットオフ値である。
70%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.1+0.02×年齢(歳)、
75%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.2+0.02×年齢(歳)、
85%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.4+0.02×年齢(歳)、
90%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.5+0.02×年齢(歳)、
95%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.6+0.02×年齢(歳)、及び
97.5%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.9+0.02×年齢(歳)
試料中のYKL-40レベルを測定するための手段は、既知の濃度のYKL-40を含む1以上の溶液、洗浄液、直接又は間接的に基質への作用を介した酵素の作用によって色又は明度が変化する色素原の溶液、検出することができるように標識に結合された抗YKL-40抗体、溶液を移すためのピペット、溶液のための試験チューブ、特に当該試験チューブに挿入するように構成され、抗YKL-40ポリクローナル抗体を表面に担持した固体担体を含むことができる。また、当該キットは、1以上の試料を同時又は個別に測定するために使用される、抗YKL-40抗体を担持した1以上の固体担体と、標識を発色させるために必要な試薬と、をさらに含むことができる。測定されたYKL-40レベルを1つ以上のYKL-40参照レベルと比較するための手段は、未知試料と共にその都度アッセイすることができるYKL-40標準試料であってもよい。そのようなキットは、各試薬のための別々の容器を含む。
上記試験キットにおいて、試薬は貯蔵ボトルから供給するか、又は、1以上の試験チューブに試薬若しくは対照を予め充填しておくことができる。
キットの構成要素は、乾燥状態又は凍結乾燥状態で提供することができる。試薬又は構成要素を乾燥状態で提供する場合には、通常は適当な溶媒を添加して元に戻す。当該溶媒を別の容器手段によって提供することもできる。
本発明のキットは、通常、バイアル又はチューブ等の試薬を、市販するために厳重に閉じこめる手段(例えば、所望のバイアルを保持する射出又はブロー成型プラスチック容器)を含む。また、キットは、アッセイ方法に関する一組の取扱説明書を含む。
本発明の本態様の別の実施形態では、キットは、YKL-40以外の追加のバイオマーカーのアッセイを行うための手段を含み、当該追加のバイオマーカーは、例えば以下の非限定的な群から選択される1以上のバイオマーカーである:C反応性タンパク質(CRP)、ESR、癌胎児性抗原(CEA)、CA-125、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)、CA19-9、乳酸脱水素酵素(LDH)、脳性ナトリウム利尿タンパク質(BNP)、インターロイキン、腫瘍壊死因子-α、ホモシステイン、アミロイドAタンパク質、妊娠関連血漿タンパク質A、トロポニン、可溶性細胞間接着分子-1、可溶性UPAR、III型プロコラーゲンのアミノ末端プロペプチド(P-III-NP)、単球遊走因子、フィブリンDダイマー、成長分化因子15、虚血変性アルブミン、リポタンパク質関連ホスホリパーゼA2、マトリックスメタロプロテアーゼ、ペントラキシン3、IIA型分泌性ホスホリパーゼA2、細胞間接着分子1、心臓由来脂肪酸結合タンパク(H-FABP)、ミオシン軽鎖1(MLC-1)、P-セレクチン及びCKMB。好ましくは、キットは、C反応性タンパク質及び/又は脳性ナトリウム利尿タンパク質及び/又はホモシステインのアッセイを行うための手段を含む。
本発明の本態様の一実施形態では、当該キットは、C反応性タンパク質、ESR、癌胎児性抗原(CEA)、CA-125、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)、CA19-9、乳酸脱水素酵素(LDH)、組織メタロプロテアーゼ阻害物質1(TIMP-1)、脳性ナトリウム利尿タンパク質、インターロイキン、腫瘍壊死因子-α、ホモシステイン、アミロイドAタンパク質、妊娠関連血漿タンパク質A、トロポニン、可溶性細胞間接着分子1、可溶性UPAR、III型プロコラーゲンのアミノ末端プロペプチド(P-III-NP)、単球走化性タンパク質-1、フィブリンDダイマー、成長分化因子15、虚血変性アルブミン、リポタンパク質関連ホスホリパーゼA2、マトリックスメタロプロテアーゼ及びCKMBからなる群から選択される追加のバイオマーカーをアッセイするための手段、より好ましくは、C反応性タンパク質、脳性ナトリウム利尿タンパク質、及び/又はホモシステインをアッセイするための手段を含む。
本発明に係るキットは、「器具」と題する節に記載した本発明に係る器具をさらに含むことができる。
本願に引用した全ての特許文献と非特許文献は、参照によって本願明細書に援用する。
以下の実施例は例示のみを目的とするものであり、添付特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を限定するものではない。
実施例1
正常被験者の血漿YKL-40レベル及び独立した危険因子としての血漿YKL-40
方法
参加者
デンマーク人の一般集団についての前向き調査(Copenhagen City Heart Studyの1991〜1994年の検査)を使用した(Bojesen et al,2003;Nordestgaard et al,2007;Schnohr et al,2002)。コペンハーゲン居住者の性別及び年齢を5歳区間の群に階層化し、20歳以上の参加者をランダムに選択した。参加を募った17180人の被験者のうち、10135人が参加し、8899人の参加者からYKL-40測定のために血漿を採取した。参加者固有のCentral Person Registry番号を使用して、1991〜1994年のベースラインから2007年7月まで、参加者を16年間追跡した。追跡は100%完全だった。約99%がデンマーク系の白人だった。血液採取時(1991〜1994年)に、1763人の参加者が、血漿YKL-40レベルの増加を伴うことが知られている疾患(癌、虚血性心臓血管疾患、肝臓疾患、糖尿病、慢性閉塞性肺疾患、喘息、関節リウマチ、炎症性腸疾患又は肺炎)に罹患していた。追跡中に、さらに3526人がこれらの疾患の少なくとも1つを発病した。3059人が死亡した。3610人の参加者が追跡終了時まで健康だった。
2001〜2003年の検査において、Copenhagen City Heart Study群の929人の参加者の血液試料中の血漿YKL-40レベルを再び測定した。これらの参加者は1991〜1994年及び2001〜2003年の検査において疾患に全く罹患していないとして選定され、回帰希釈バイアス(regression dilution bias)の補正を可能とした(Clarke R,1999)。
参加者は自己記入質問書に書き込み、その内容は出席日に参加者と調査官によって確認された。参加者は喫煙習慣に関して申告し、喫煙習慣が全くなかった者、過去に喫煙習慣があった者及び現在喫煙習慣がある者に細分した。
エンドポイント
参加者固有のDanish Central Person Registry番号を使用して、死亡及び病気に関する情報を3つの集団登録簿から集めた。死亡に関する情報は、Danish Civil Registry Systemから得た(Juel et al,1999)。1976年から2007年7月までのICD8及びICD10コードにおける病気に関する情報はDanish Patient Registry(34)から入手し、血漿YKL-40レベルの増加を伴う疾患(虚血性心臓血管疾患、肝臓疾患、糖尿病、慢性閉塞性肺疾患、喘息、関節リウマチ、炎症性腸疾患又は肺炎)ごとに細分した。癌の診断は、デンマークにおける全ての癌の98%を認定する(35,36)Danish Cancer Registry(1947年から2004年)及びDanish Patient Registry(2004年から2007年7月)から入手した。
倫理
全ての参加者は書面によるインフォームドコンセントを与えた。調査は、Herlev病院及びデンマーク倫理委員会(No.100.2039/91及び01-144/01、Copenhagen and Frederiksberg committee)によって承認され、ヘルシンキ宣言に従って行われた。
YKL-40分析
血漿YKL-40レベルは、12〜15年にわたって-80℃で凍結した試料を使用し、ストレプトアビジンでコーティングされたマイクロプレートウェル、ビオチン化Fabモノクローナル捕捉抗体、アルカリホスファターゼで標識されたポリクローナル検出抗体を使用して市販の2部位サンドイッチ型酵素免疫測定法(ELISA)(Quidel,米国カリフォルニア州サンディエゴ)(Harvey et al.1998)によって二重に測定した。ELISAの回収率は102%であり、検出限界は10μg/Lだった。アッセイ内変動係数は、5%(40μg/L)、4%(104μg/L)、4%(155μg/L)だった。アッセイ間変動係数は<6%だった。
統計分析
STATAバージョン10.0(Stata Corp LP、テキサス州College Station)を使用した。両側P<0.05を有意であるとみなした。Mann-Whitney順位和検定とスピアマンのρ相関係数を使用した。血漿YKL-40レベルは、性別及び10年ごとの年齢層の群における血漿YKL-40レベルのパーセンタイル値に応じて区分に階層化した。当該パーセンタイル値区分は、0〜33%、34〜66%、67〜90%、91〜95%、96〜100%であった。表3では、3つのパーセンタイル値区分(0〜33%、34〜90%、91〜100%)のみを使用した。
Kaplan-Meier曲線を使用して、全ての参加者について左側切断年齢及び追跡時間に対して累積生存率をプロットした。また、Kaplan-Meier曲線を使用して、癌、虚血性心臓血管疾患、肝臓疾患、糖尿病、慢性閉塞性肺疾患及び喘息に罹患した参加者のサブグループについて、追跡時間に対して累積生存率をプロットした。血漿YKL-40レベルのパーセンタイル値区分間の差をログランク検定を使用して調べた。死亡のハザード比及び95%信頼区間をCox回帰分析を使用して算出した。ハザード比は、血液採取時点の性別、年齢(十分位数)、喫煙習慣(なし/過去にあり/現在あり)等のその他の危険因子に応じて調整した。傾向検定では、0、1、2、3、4、又は0、1、2(表3の結果についてのみ)とラベルした漸増的な血漿YKL-40区分を連続型変数としてCox回帰分析において使用した。傾向検定のP値は、YKL-40区分のあるモデルにネストされたYKL-40区分のないモデルの尤度比検定のカイ2乗値(1df)を使用して算出した。Schonefeld残差に基づいて時間の経過に伴う危険の比例性を調べたが、逸脱(violation)は見られなかった。ベースライン共変量に関する情報は99%を超えて完全だった。共変量に関する不完全な情報を有する個体は多因子解析から除いた。ハザード比は、ノンパラメトリック方法を使用して回帰希釈バイアスについて補正した(Clarke et al,1999)。補正では、1991〜1994年のベースライン検査及び2001〜2003年のフォローアップ検査の両方に参加した929人の健康な個体の血漿YKL-40値を使用した。ただし、主な分析は全ての参加者(8899人)に対して行った。0.8042の回帰希釈率(regression dilution ratio)を算出した。
血液採取時点の共変量(性別、年齢(<50歳、50〜70歳、>70歳)、喫煙習慣(なし/過去にあり/現在あり))を含むポアソン回帰モデルからの回帰係数を使用して、血漿YKL-40パーセンタイル値区分による絶対10年死亡率(absolute 10-year mortality)を推定した。絶対死亡率は、推定発生率(事象/10年)(%)として示される。
結果
生存年齢中央値は、血漿YKL-40の区分が0〜33%の参加者では83歳であり、区分が96〜100%の場合には69歳だった。複数の因子により調整した死亡のHRは、YKL-40区分が0〜33%の場合に対して、血漿YKL-40の区分が34〜66%の場合には1.2(95%信頼区間、1.1〜1.3)、67〜90%の場合には1.6(1.4〜1.8)、91〜95%の場合には2.3(1.9〜2.8)、及び96〜100%の場合には2.8(2.4〜3.4)だった(p-傾向、p=10-37)。同等のHRは、癌に罹患した参加者において1.1(1.0〜1.3)、1.4(1.2〜1.6)、2.1(1.5〜2.8)、及び2.4(1.8〜3.1)(p-傾向、p=10-11)であり、虚血性心臓血管疾患に罹患した参加者において1.2(1.0〜1.5)、1.5(1.2〜1.8)、2.4(1.8〜3.3)、及び2.3(1.7〜3.1)(p-傾向、p=10-13)であり、他の疾患に罹患した参加者において、1.2(1.0〜1.4)、1.4(1.2〜1.7)、2.0(1.5〜2.5)、及び2.4(1.9〜3.0)(p-傾向、p=10-15)だった。
したがって、YKL-40の上昇は、一般集団における早期死亡に関連する。YKL-40レベルが高い程、被験者の疾患又は障害の段階は、重症度が高くなる。
健康な参加者の血漿YKL-40
調査対象集団は、20〜95歳(平均:59歳)の8899人の参加者(女性:56%)からなっていた。表4に、年齢と性別について調整した血漿YKL-40パーセンタイル値区分による全ての参加者のベースライン特性を示す。7136人(80%)の参加者は、1991〜1994年の血液採取時点で既知の疾患に全く罹患していなかった。16年間の追跡期間中に、3576人が疾患を発病し、3610人の参加者が追跡終了時まで健康だった。これらの健康な参加者の血漿YKL-40レベルの中央値は42μg/Lだった(2.5%〜97.5%パーセンタイル値範囲:14〜168μg/L:90%パーセンタイル値 92μg/L:95%パーセンタイル値 124μg/L)。男性及び女性において、血漿YKL-40レベルは年齢と共に上昇した(傾向検定 p<0.0001)(図1)。血漿YKL-40レベルと年齢とのスピアマンρ相関係数は0.41だった(p<0.0001)。男性及び女性において血漿YKL-40の差はなかった(Mann-Whitney U:p=0.27)。
第1回目のYKL-40レベル測定を1991〜1994年の検査時に採取した血液によって行い、第2回目のYKL-40測定を2001〜2003年の検査時に採取した血液によって行った929人の健康な参加者(女性:463人、男性:466人)の群における血漿YKL-40濃度を図2に示す。平均上昇率は、女性の場合には0.5μg/L/歳(四分位範囲:-0.6〜2.1μg/L/歳)であり、男性の場合には0.8μg/L/歳(四分位範囲:-0.3〜2.9μg/L/歳)だった。これは、健康を維持している被験者では血漿YKL-40が非常に安定していることを示し、回帰希釈率は0.8042と算出された。男女の間には統計的な差はなかった。
1991〜1994年の血液採取時に既知の疾患に罹患しておらず、16年間の追跡期間にわたって健康を維持した(すなわち、死亡したり、癌、虚血性心臓血管疾患、肝臓疾患、糖尿病、慢性閉塞性肺疾患、喘息、関節リウマチ、炎症性腸疾患、肺炎を発病したりしなかった)2116人の健康な女性及び1494人の健康な男性の群におけるYKL-40の血漿中濃度を図3に示す。図3は、これらの健康な参加者の平均血漿YKL-40濃度、70%パーセンタイル値(ln(血漿YKL-40)=3.1+0.02×年齢(歳)として定義される)、75%パーセンタイル値(ln(血漿YKL-40)=3.2+0.02×年齢(歳)として定義される)、90%パーセンタイル値(ln(血漿YKL-40)=3.5+0.02×年齢(歳)として定義される)、95%パーセンタイル値(ln(血漿YKL-40)=3.6+0.02×年齢(歳)として定義される)を示す。女性と男性の数値を組み合わせた。
血清CRPとは対照的に(Kushner et al, 2006)、男女間に血漿YKL-40レベルの差はなかった。また、健康な参加者の大集団において血漿YKL-40レベルが経時的に安定していることが証明された。
第1回目のYKL-40測定を1991〜1994年の検査時に採取した血液によって行い、第2回目のYKL-40測定を2001〜2003年の検査時に採取した血液によって行った929人の健康な参加者(女性:463人、男性:466人)の群における血漿YKL-40濃度の上昇率の中央値は、女性の場合には0.5μg/L/歳(四分位範囲:-0.6〜2.1μg/L/歳)であり、男性の場合には0.8μg/L/歳(四分位範囲:-0.3〜2.9μg/L/歳)だった。男女間の差は有意ではなかった。
血漿YKL-40濃度の中央値は、健康を維持した参加者よりも、発病事象(癌、虚血性心臓血管疾患、肝臓疾患、糖尿病、慢性閉塞性肺疾患及び喘息)のあった参加者において高かった(表1)。
血清C反応性タンパク質(CRP)(炎症バイオマーカー)の僅かな上昇によって健康な個体及び疾患に罹患した個体の両方で死亡が予測されることが示されているため(Kushner et al, 2006)、血漿CRPレベルが低い(≦1.75mg/L)参加者における血漿YKL-40レベルの予測的意義も調べた。血漿YKL-40濃度の予測的意義がCRPとは独立しているか否かが調べられた。低い血漿CRP濃度(≦1.75mg/L)を有する4453人の参加者において、死亡のハザード比は、血漿YKL-40パーセンタイル値区分0〜33%に対して、血漿YKL-40パーセンタイル値区分が34〜66%の場合には1.0(95% CI、0.8〜1.2)、血漿YKL-40パーセンタイル値区分が67〜90%の場合には1.4(1.1〜1.7)、血漿YKL-40パーセンタイル値区分が91〜95%の場合には2.3(1.6〜3.3)、血漿YKL-40パーセンタイル値区分が96〜100%の場合には3.4(2.5〜4.8)(log10傾向p値:12.1)であった。血漿CRPレベルが>1.75mg/Lの参加者でも同様な結果が見られた(log10傾向p値:18.3)(表2)。従って、これらの被験者では、血漿YKL-40レベルが上昇すると死亡のハザード比が高い有意性をもって上昇し、血漿YKL-40は血漿CRPとは独立であることが確認された。
高い血漿YKL-40レベルと高い死亡の危険性は、特定の種類の疾患に関連しているというわけではなく、1991〜1994年の血液採取時の前、又は16年間の追跡期間において、癌、虚血性心臓血管疾患、肝臓疾患、糖尿病、慢性閉塞性肺疾患と診断された参加者において見られた。
高い血漿YKL-40レベルと高い死亡の危険性との連関は、喫煙状況と死亡の危険性との連関と同等又はそれより高かった。また、喫煙状況、年齢、性別を含む多変量Cox分析により、血漿YKL-40が独立した危険因子であることが示された。すなわち、血漿YKL-40パーセンタイル値区分は、年齢、性別、血漿CRP、喫煙状況又は疾患(血漿YKL-40上昇を伴う癌、虚血性心臓血管疾患及び他の疾患)にかかわらず早期死亡のリスク因子であることが示された。血漿YKL-40の上昇は喫煙に連関していた(傾向、p=0.0005)。
デンマーク人の成人一般集団におけるこの調査により、高い血漿YKL-40濃度は早期死亡を予測するものであることが判明した。高い血漿YKL-40レベルを有する参加者と低い血漿YKL-40レベルを有する参加者との間の生存年齢の中央値の差は14歳であり、血液採取から15年の追跡期間後において生存している参加者の割合の差は26%だった。
特徴がよく理解された被験者の大規模な群において、長い追跡期間にわたって、追跡調査におけるロスを伴わずに、血漿YKL-40の予測的意義を評価したことが本調査の強みである。
一般集団における死亡のリスク因子としての血漿YKL-40
16年間の追跡期間中に8899人の参加者のうちの3059人が死亡した。血漿YKL-40の上昇(5つの性別及び10年年齢層パーセンタイル値区分に分割)は、全ての原因の早期死亡のリスク増大と連関していた(ログランク検定、p=3.8*10-46)(表3及び図4A)。低い血漿YKL-40レベルを有する参加者(パーセンタイル値0〜33%)の生存年齢中央値は83歳であり、15年生存率は70%だったのに対し、高い血漿YKL-40レベルを有する参加者(パーセンタイル値96〜100%)の生存年齢中央値は69歳であり、15年生存率は44%だった。従って、血漿YKL-40上昇の、生存年齢中央値及び15年生存率に対する影響は、喫煙状況による影響と同等であるか又はそれより高くすらあった(表3及び図4A)。
複数の因子(性別、年齢、及び血液採取時の喫煙状況)によって調整した死亡全般のハザード比は、血漿YKL-40パーセンタイル値区分が0〜33%の場合に対して、血漿YKL-40パーセンタイル値区分が34〜66%の場合には1.2(95% CI、1.1〜1.3)、血漿YKL-40パーセンタイル値区分が67〜90%の場合には1.6(1.4〜1.8)、血漿YKL-40パーセンタイル値区分が91〜95%の場合には2.3(1.9〜2.8)、血漿YKL-40パーセンタイル値区分が96〜100%の場合には2.8(2.4〜3.4)だった(p-傾向、p=1.0*10-37)。これらの推定値は、変死(violent death)について調整した後でも一定のままだった(表2)。死亡のハザード比(HR)は、血漿YKL-40レベルに応じて、性別及び10年年齢層パーセンタイル値区分において算出した。
既知(追跡時)の癌、虚血性心臓血管疾患、肝臓疾患、糖尿病、慢性閉塞性肺疾患、及び喘息に罹患した参加者における死亡のリスク因子としての血漿YKL-40
血漿YKL-40の上昇(3つの性別及び10年年齢層パーセンタイル値区分に分割)は、癌(p<0.0001)、虚血性心臓血管疾患(p<0.0001)、肝臓疾患(p=0.01)、糖尿病(p=0.008)、及び慢性閉塞性肺疾患(p=0.04)に罹患した参加者における死亡のリスク増大と連関していたが、喘息に罹患した参加者においては連関が見られなかった(表4C〜4E)。参加者は、1991〜1994年の血液採取時、或いは追跡期間中に、これらの診断を受けた。癌に罹患した血漿YKL-40パーセンタイル値区分が91〜100%の参加者は、生存時間が最も短く、癌に罹患した血漿YKL-40パーセンタイル値区分が0〜30%の参加者と比較して、ハザード比は2.2(1.8〜2.7)となった(図4C)。同様の結果は、血漿YKL-40パーセンタイル値区分0〜30%と比較して、血漿YKL-40パーセンタイル値区分91〜100%の場合のハザード比が2.3(1.9〜2.9)である虚血性心臓血管疾患、2.7(1.5〜5.0)である肝臓疾患、2.4(1.6〜3.6)である糖尿病、及び1.9(1.4〜2.6)である慢性閉塞性肺疾患を罹患した参加者にも見られた(図4C〜4D)。
癌に罹患した参加者、虚血性心血管疾患に罹患した参加者及びその他の疾患に罹患した参加者においては、血漿YKL-40パーセンタイル値区分の上昇と多因子調整死亡ハザード比の上昇との間で非常に有意な連関が見られた(log10傾向p値 11.4、12.5、15.1)(表2)。
血漿のYKL-40が単なる炎症のマーカーの1つではないことを検証するために、血漿YKL-40濃度の予測的意義が炎症バイオマーカーであるC反応性タンパク質(CRP)とは独立しているか否かを調べた。興味深いことに、低い血漿CRP濃度(≦1.75mg/L)を有する4453人の参加者において、死亡のハザード比は、血漿YKL-40パーセンタイル値区分0〜33%に対して、血漿YKL-40パーセンタイル値区分が34〜66%の場合には1.0(95% CI、0.8〜1.2)、血漿YKL-40パーセンタイル値区分が67〜90%の場合には1.4(1.1〜1.7)、血漿YKL-40パーセンタイル値区分が91〜95%の場合には2.3(1.6〜3.3)、血漿YKL-40パーセンタイル値区分が96〜100%の場合には3.4(2.5〜4.8)(log10傾向p値:12.1)であった。血漿CRPレベルが>1.75mg/Lの参加者でも同様な結果が見られた(log10傾向p値:18.3)(表2)。
絶対10年死亡率
最も低い絶対10年死亡率は、50歳未満の喫煙したことのない女性の血漿YKL-40パーセンタイル値区分0〜33%において見られた1.2%だった(図4B)。絶対10年死亡率は女性よりも男性で高く、年齢が上昇すると共に上昇し、喫煙状況が「なし」→「過去にあり」→「現在あり」という順で上昇した。最も高い絶対10年死亡率は、血漿YKL-40パーセンタイル値区分が96〜100%の70歳を超える喫煙者の男女において見られた78%及び90%だった(図4B)。
結論として、一般集団からの被験者についてのこの大規模な前向き調査において、喫煙の有無にかかわらず、高い血漿YKL-40濃度と早期死亡との間に強い連関が見出された。
実施例2
健康被験者の血清YKL-40濃度の、一日の、週毎の、及び長期的な、変動
材料及び方法
参照区間(Reference Interval)
245人の健康被験者(女性/男性:134/111、年齢中央値:49歳、範囲:18〜79歳)から血清を採取した。
一日の変動
16人の健康被験者(女性/男性:10/6、年齢中央値:48歳、範囲:32〜66歳)から、24時間中に7回(1日目:午前10時、午後1時、午後4時、午後7時、午後10時、2日目:午前7時、午前10時)、血清を採取した。
3週間における日毎の変動
病院職員から募集した38人の被験者(女性/男性:21/17、年齢中央値:41歳、範囲:22〜66歳)から、3週間中に5回(1、2、8、15、22日目)、午前8時に血清を採取した。8日目には、午後2時にも試料を採取した。
2年間における週毎の変動
病院職員から募集した23人の被験者(女性/男性:14/9、年齢中央値:42歳、範囲:31〜66歳)から、3週間中に5回(1、2、8、15、22日目)、午前8時に血清を採取し、6、12、24ヵ月後に採取を繰り返した。
3年間における変動
30人の健康な女性(年齢中央値:48歳、範囲:24〜62歳)から、4週間中に5回(1、8、15、22、29日目)、午前8時から午前10時の間に血清を採取し、21人の被験者については3年後に採取を繰り返した。
運動後の変動
14人の健康被験者(女性/男性:10/4、年齢中央値:50歳、範囲:35〜64歳)から、身体運動前、自転車エルゴメータを使用した25分間の2段階運動プログラムの直後、並びに運動の1時間後及び3時間後に、血清を採取した。本調査に含まれた健康被験者は、病歴を有しておらず、いかなる症状も経験しておらず、疾患の兆候を有しておらず、いかなる薬も服用していなかった。
倫理
調査は、地域科学倫理委員会によって承認され、ヘルシンキ宣言に従って行われた。被験者は口頭及び書面で調査について説明を受け、全員が書面によるインフォームドコンセントを提出した。全ての被験者に、いつでも調査への参加を止めることができることを伝えた。
YKL-40 ELISA
病気のプロセスとは無関連で、方法に起因する変動性(methodological variability)による血清YKL-40の変化を最小限にするために、血液試料の適切な取り扱いが重要である(Johansen et al.,2006,A;Johansen et al.,2006,B;Harvey et al.,1998)。血液試料は室温で凝固させ、0.5〜2時間以内に最低2500gで10分間遠心分離し、血清を-80℃で分析時まで保存した。血清YKL-40濃度は、ストレプトアビジンでコーティングされたマイクロプレートウェル、ビオチン化Fabモノクローナル捕捉抗体、アルカリホスファターゼで標識されたポリクローナル検出抗体を使用して、市販の2部位サンドイッチ型酵素免疫測定法(ELISA)(Quidel社、米国カリフォルニア州サンディエゴ)(Harvey et al.1998)によって二重に測定した。ELISAの回収率は102%であり、検出限界は20μg/Lだった(Johansen et al.,2006,B;Harvey et al.,1998)。アッセイ内変動係数(CV)は≦5.0%であり、アッセイ間CVは≦10.2%だった(個人観察)。各被験者の試料を同一のELISAプレート上で分析した。
統計分析
血清YKL-40の記述統計は、中央値又は幾何平均、変動係数、95%信頼区間及び範囲によって示した。血清YKL-40の分布は非対称であり、従って対数変換(自然)を統計的推定に使用した。基準範囲は、対数スケールのYKL-40の線形回帰を使用して推定した。経時的に分析した血清YKL-40の変動(24時間、3週間、6カ月、12カ月、24カ月、3年間における変動性)をCVによって表し、YKL-40 ELISAのアッセイ内及びアッセイ間CVと比較した。被験者内、被験者間及びラウンド間の分散成分を、対数変換され(複合モデル)、幾何平均の変動係数で示されるYKL-40のランダム効果モデルを想定して推定した(Kirkwood,1979)。単一個体におけるYKL-40の2つの測定値間の差の95%信頼限界は対数スケール上で算出し、逆変換した。全変動に対する被験者間の相対的均一性は級内相関係数によって推定した。長期的な日々変動と身体運動の分析における血清YKL-40は、反復測定による一般線形モデルを使用して分析した。P値<5%を有意であるとみなした。多重試験のP値は、ボンフェローニの補正を使用して補正した。全ての統計計算はSAS(9.1、SAS Institute、米国ノースカロライナ州ケーリー)を使用して行った。
結果
健康被験者では、血清YKL-40レベルの中央値は43μg/L(範囲:20〜184μg/L;5-95%区間:20〜124)であり、男女間で差はなかった(P=0.54)。血清YKL-40レベルは年齢と共に上昇した(ρ=0.45;P<0.0001)。血清YKL-40レベルを従属変数(対数変換)とし、年齢及び性別を説明変数として、線形回帰によって年齢及び性別について調整した血清YKL-40濃度の正規化基準範囲を作成した。上限は、所与の年齢及び性別についての95パーセンタイル値と定義した。年齢調整した被験者間CVは45%だった。
図5は、24時間のうち7時点で測定された、各個人における血清YKL-40の1日の変動を示す。平均血清YKL-40レベルは午前10時から午後10時までに23%上昇したが(P=0.01)、多重試験について補正した場合には有意ではなかった。その他の有意な差は観察されなかった。
25分の自転車エクササイズ後に血清YKL-40レベルの変化は見られなかった(P>0.08、直線モデル)。
図6は、3週間のうち6時点で測定された、各個人における血清YKL-40レベルの週毎の変動を示す(1、2、8、15、22日目の午前8時)。各被験者の血清YKL-40レベルの測定日間CVの中央値は16%だった。8日目には試料を午前8時と午後2時に採取し、血清YKL-40濃度は僅かに上昇していた(47μg/Lから52μg/L、8%の差、P<0.0001)。
図7は、3週間のうちの5時点で測定された、各個人における血清YKL-40レベルの変動(1、2、8、15、22日目の午前8時、第1ラウンド)、並びに、6カ月後(第2ラウンド)、12カ月後(第3ラウンド)及び24カ月後(第4ラウンド)に繰り返した際の血清YKL-40レベルの変動を示す。各被験者の血清YKL-40レベルの測定日間CVの中央値は、全体で16%(範囲:0〜92%)、第1ラウンドでは16%(範囲:0〜63%)、第2ラウンドでは19%(範囲:5〜92%)、第3ラウンドでは15%(範囲:0〜64%)、第4ラウンドでは21%(範囲:0〜47%)だった。4つのラウンドにわたって系統的な上昇又は減少は検出されなかった(P=0.09)。血清YKL-40レベルが対数変換された、ランダム効果モデルを使用した分散成分の推定では、被験者内CVが27.3%、24ヶ月中のCVが8.8%だった。経時的変動及びアッセイ間変動を含んだ被験者内CVは24ヶ月の期間において30.2%だった。24カ月間の級内相関係数は72.4%だった。アッセイ間変動を含んだ被験者内血清YKL-40レベルの推定変動は、第2のYKL-40測定値が52%減少するか又は109%上昇した場合には、同一の被験者の2つの測定値間の差についての95%信頼限界となり、この規模の差は有意であって、分析前のコンディション、方法に起因する変動及び正常な生物学的変動を反映しているだけではない。
図8は、1ヶ月のうちの5時点で測定された、各個人における血清YKL-40レベルの週毎の変動及び3年後の同様な変動を示す。血清YKL-40レベルのCVの中央値は17%(第1ラウンド)及び13%(第2ラウンド)だった。両方のラウンドにおいて分析された被験者では(n=21)、2つの期間の間に血清YKL-40レベルの変化は見られなかった(P>0.37、直線モデル)。血清YKL-40レベルが対数変換された、ランダム効果モデルを使用した分散成分の推定では、被験者内CVが26.0%、3年間におけるCVが7.3%だった。経時的変動及びアッセイ間変動を含んだ被験者内CVは28.8%だった。被験者内変動及び経時的変動を含んだ被験者間変動は54%だった。3年間の級内相関係数は72.2%であり、被験者間変動と比較して被験者内変動が相対的に低いことを示している。
結論
本調査により、短期間、及び最大3年間の長期サンプリング期間にわたって、健康被験者における血清YKL-40レベルは、アッセイ間変動を含んだ被験者内CVが約30%の範囲で安定していることが証明された。血清YKL-40レベルの被験者間変動は正規化基準範囲を決定する分析において45%であり、本調査における健康被験者に対するその他の分析と同様だった。
2年間及び3年間の血清YKL-40レベルの級内相関係数は72.4%及び72.2%であり、被験者間変動と比較して被験者内変動が相対的に低いことを示している。本調査において見出された級内相関は、他の血清学的マーカーの級内相関と同様であり、例えば、Ockene et al.は高感度C反応性タンパク質について66%の級内相関を報告している(Ockene et al.,2001)。
アッセイ間変動を含んだ、健康被験者内の血清YKL-40レベルのこの推定変動によって、>109%の上昇又は>52%の減少が有意であり、分析前のコンディション、方法に起因する変動及び正常な生物学的変動を反映しているだけではないとみなされることが断定された。
結論として、本調査により、血清YKL-40レベルは1日の間に有意に変動せず、また、身体運動の影響も無いことが示された。血清YKL-40レベルは被験者間変動と比較して被験者内変動が相対的に低いことが実証され、YKL-40は信頼できるバイオマーカーであることが確認された。
実施例3
上部消化器癌に関するYKL-40の予後的及び予測的意義
この調査の目的は、限局性疾患に対する化学/放射線治療又は転移性疾患に対する化学治療により処置した、上部消化器癌に罹患した患者において、YKL-40及びIL-6の血漿濃度の予後的及び予測的意義を調べることにある。
患者及び方法
調査対象集団
CORGI調査:限局性上部消化器癌に罹患した40人の患者を、化学/放射線治療の効果の縦断調査に含めた。血漿試料は、2サイクルのXelox(1日目にオキサリプラチン130mg/m2点滴投与及び1〜14日目にカペシタビン1000mg/m2経口投与1日2回を3週間毎)の前後に採取した。患者には、その後、肉眼的腫瘍体積に対する放射線治療(50.4Gy、1回1.8gy)を、縮小したXelox療法(1日目にオキサリプラチン30〜60mg/m2点滴投与及びカペシタビン675〜750mg/m2経口投与1日2回を放射線治療日に毎日)と組み合わせて施した。胃癌及び膵臓癌に罹患した患者において、放射線治療は、隣接リンパ節に対しても行った(41.4Gy、1回1.8gy)。血漿試料は、化学放射線治療の終了後4〜6週間に採取した。
GITAC調査:転移性上部消化器癌に罹患した70人の患者を、5-FU/ロイコボリン(500mg/m2+60mg/m2、Nordicスケジュール、但し、胃癌の患者はGramontスケジュールにより処置)と併せてドセタキセル45mg/m2又はイリノテカン180mg/m2を2週間毎に用いた継続処置の効果の縦断調査に含めた。化学治療による処置中、血漿試料は、2週間後、4週間後、6週間後、及び8週間後に採取した。
YKL-40分析
血漿YKL-40濃度は、製造業者の取扱説明書に従って2部位サンドイッチ型ELISA(Quidel、米国カリフォルニア州)により測定した。感度は20μg/Lであり、アッセイ内及びアッセイ間変動係数は、≦5.0%及び≦8.4%だった。アッセイ間変動を除去するため、各患者の試料を同一のアッセイにおいて分析した。同一のバッチ番号を有するELISAキットを全患者に使用した。
健康被験者の血漿YKL-40
血漿YKL-40の参照区間は、薬物治療を受けておらず、関節疾患、肝臓疾患、代謝性疾患、再分泌疾患、又は悪性腫瘍等の基礎疾患の兆候を有していないことを特徴とする234人の健康被験者において決定した(38)。
統計分析I-図9A、9B、10、11、12、13、及び表5の基準
このバイオマーカー調査に対する臨床的エンドポイントは、化学治療前のベースライン血液試料から、あらゆる原因による死亡時刻までの時間として決定された全生存期間とした。疾患の状態及び生存の期間に関する全データは、全ての患者が死亡した2008年に更新した。血漿YKL-40濃度は、ベースラインと、1回目、2回目、3回目、及び4回目の処置後との両方を考慮した。Kruskal-Wallis試験を使用して、3つ以上の独立群とノンパラメトリックデータ分布との比較を行った。全生存期間の残存確率をKaplan-Meier法により推定し、層間の差についての試験は、ログランク統計を使用して実行した。生存のKaplan-Meier推定値を使用した血漿YKL-40レベルのグラフ表示は、三分位数により患者を群化した状態で示した(正常値、僅か/中程度に高い値、非常に高い値)。連続的共変量及び多変量解析のための全生存期間の分析は、Cox比例ハザードモデルを使用して行った。血漿YKL-40レベルは、対数スケール(底2)の実効値として入力した。モデル評価は、グラフ法を用いて行った。処置中の血漿YKL-40の更新レベルの分析は、時間依存Cox比例ハザードモデルを使用して行った。5%未満のP値を有意とみなした。全ての計算は、SAS(バージョン9.1、SAS Institute、米国ノースカロライナ州ケーリー)を使用して行った。
統計分析II-図14及び15の基準
このバイオマーカー調査に対する臨床的エンドポイントは、化学治療前のベースライン血液試料から、あらゆる原因による死亡時刻までの時間として決定された全生存期間とした。疾患状態及び生存期間に関する全データは、2008年9月(CORGI調査)及び2008年1月(GITAC調査)に更新した。血漿YKL-40及びIL-6は、ベースライン及び処置中の両方を考慮した。血漿YKL-40及びIL-6の記述統計は、その中央値及び範囲により提示している。順位統計は、位置及び一般状態(ウイルコクソンの順位和)と、連関の測度(スピアマンの順位相関)とに対する試験として使用した。連続的共変量及び多変量解析のための全生存期間の分析は、Cox比例ハザードモデルを使用して行った。血漿YKL-40レベルは、対数スケール(底2)の実効値として入力した。放射線化学治療の終了後4〜6週目の生存の分析は、CORGI調査に対してランドマーク法を使用して行い、化学治療の開始後2、4、及び6週間の生存の分析は、GITAC調査に対してランドマーク法を使用して行った。ベースラインレベルに対する血漿YKL-40及びIL-6レベルの比は、時系列データの分析に使用した。モデル評価は、グラフ法を用いて行った。全生存期間の残存確率をKaplan-Meier法により推定し、層間の差についての試験は、ログランク統計を使用して実行した。患者は、ベースラインレベルと比較した血漿YKL-40及びIL-6の中央比により二分された。5%未満のP値を有意とみなした。全ての計算は、SAS(バージョン9.1、SAS Institute、米国ノースカロライナ州ケーリー)を使用して行った。
結果
患者の処置前YKL-40
限局性上部消化器癌に罹患した患者の血漿YKL-40におけるベースライン血漿YKL-40濃度中央値は、健康被験者(中央値34μg/L、範囲20〜258)と比較して、高かった(p<0.001)(中央値64μg/L、範囲20〜545)(表5)。転移性上部消化器癌に罹患した患者のベースライン血漿YKL-40濃度中央値は、健康被験者(中央値34μg/L、範囲20〜258)と比較して、患者(中央値127μg/L、範囲20〜2869)において高かった(p<0.001)(表5)。血漿YKL-40は、限局性膵臓癌に罹患した患者の33%、限局性胆道癌又は胃癌に罹患した患者の50%、転移性膵臓癌に罹患した患者の81%、転移性胆道癌に罹患した患者の85%、転移性胃癌に罹患した患者の77%において、正常上限レベル(即ち、健康被験者における年齢補正95%パーセンタイル上限値として定義される)より高かった(表5)。
図9Aは、転移性上部消化器癌に罹患した患者における年齢及び癌の種類に応じた個々の血漿YKL-40レベルを示す。比較のため、健康被験者における血漿YKL-40レベルも含まれる。
図9Bは、限局性上部消化器癌に罹患した患者、転移性上部消化器癌に罹患した患者、及び慢性膵炎に罹患した患者における個々の血漿YKL-40レベルを示す。比較のため、健康被験者における血漿YKL-40レベルも含まれる。
処置前の血漿YKL-40は、転移性上部消化器癌に罹患した患者において、一般状態(p=0.08)と連関しておらず、血清CA19-9(p=0.39)及びCEA(p=0.78)と相関していなかった。
統計分析Iに基づく処置前血漿YKL-40及び全生存期間
限局性上部消化器癌に罹患した患者において、処理前血漿YKL-40レベル(対数変換され、連続共変量として扱われる)は、YKL-40が全生存期間に連関しないことを示した(HR=0.80、95%CI:0.51〜1.24、p=0.31)。
追跡時には、転移性上部消化器癌に罹患した全患者が死亡していた。生存時間中央値は8.6ヶ月だった(範囲1〜38)。処置前血漿YKL-40により階層化したKaplan-Meier推定値(三分位数において分割)を図10に示す。
診断群により階層化された処置前血漿YKL-40(対数変換され、連続共変量として扱われる)の単変量解析は、処置前血漿YKL-40が転移性上部消化器癌に罹患した患者における全生存期間(HR=1.21、95%CI:0.93〜1.58、p=0.15)及び無増悪生存期間(HR=1.12、95%CI:0.87〜1.46、p=0.35)に連関しないことを示した。
統計分析Iに基づく追跡中の血漿YKL-40及び全生存期間の予測
放射線治療後に限局性上部消化器癌患者から試料を取得した。放射線治療の終了後の血漿YKL-40(血漿YKL-40の比=ベースラインレベルと比較した放射線治療終了時の濃度として定義される)の単変量解析は、血漿YKL-40の増加が限局性上部消化器癌に罹患した患者における短い全生存期間に連関することを示した(HR=2.42、95%CI:1.16〜5.04、p=0.019)。対応する生存期間のKaplan-Meier推定値を図13に示す。この分析には限局性上部消化器癌に罹患した患者のみが含まれる。
化学治療後に転移性上部消化器癌患者から試料を取得した。治療中、血漿YKL-40は、転移性膵臓癌に罹患した患者では増加したが(p<0.01)、胃癌及び胆道癌に罹患した患者では変わらなかった(図11)。放射線療法の処置4週間後の血漿YKL-40により階層化した生存期間のKaplan-Meier推定値(三分位数において分割、ランドマーク試験)を図12に示す。処置後4週間の血漿YKL-40が高い患者は、正常な血漿YKL-40の患者に比べ、生存期間が有意に短い(p=0.007、ログランク試験)。
診断群、年齢、一般状態、及び処置4週間後の血漿YKL-40を含む多変量解析は、YKL-40が全生存期間(HR=1.54、1.08〜2.19、p=0.017)及び無増悪期間(HR=1.46、1.01〜2.02、p=0.04)の予測において有意であることを示した。
統計分析IIに基づく処置前血漿YKL-40及び全生存期間
CORGI調査。追跡時には患者一名がまだ生存していた。生存時間中央値は12.0ヶ月だった(95%CI:9.0〜16.8)。膵臓癌患者における処置前血漿YKL-40(対数変換、連続共変量)の単変量解析は、処置前YKL-40が全生存期間(HR=0.86、95%CI:0.63〜1.16、p=0.32)に連関しないことを示した。
GITAC調査。追跡時には全患者が死亡していた。生存時間中央値は8.4ヶ月だった(範囲1〜38、95%CI:7.7〜10.7)。処置前血漿YKL-40(対数変換、連続共変量)の単変量解析は、処置前YKL-40が膵臓癌(HR=1.16、95%CI:0.84〜1.62、p=0.36)、胃癌(HR=1.12、0.85〜1.48、p=0.43)、及び胆道癌(HR=1.07、0.74〜1.55、p=0.72)に罹患した患者における全生存期間に連関しないことを示した。
統計分析IIに基づく治療及び追跡中の血漿YKL-40及び死亡の予測
CORGI調査。2サイクルのXelox後、放射線化学治療の直前に、血漿YKL-40は、膵臓癌患者23人(85%)において増加した。放射線治療終了後4〜6週間に、患者10人(42%)において、処置前のレベルと比較して血漿YKL-40が低かった。放射線化学治療の終了後4〜6週間の膵臓癌患者における血漿YKL-40(ベースラインに対する比、連続型変数)の単変量解析は、高いYKL-40の比が短い全生存期間に連関することを示した(HR=3.27、1.40〜7.63、p=0.006)。放射線化学治療の終了後4〜6週間における、対応する生存期間のKaplan-Meier推定値を図13に示す。多変量解析(PS、YKL-40及びIL-6、連続型変数)は、処置終了後4〜6週間の血漿YKL-40の実効値が、短い生存期間の独立したバイオマーカーであることを示した(HR=2.91、1.09〜7.75、p=0.032)。
GITAC調査。治療中、血漿YKL-40は、膵臓癌患者においてベースラインと比較して増加した(YKL-40:2週間ではp=0.006、4週間ではp=0.0002、及び6週間ではp=0.0002)。膵臓癌患者において、化学治療開始後2週間、4週間、及び6週間の血漿YKL-40比(ベースライン値と比較した比、連続型変数)の単変量解析は、4週間後の高いYKL-40比が短い全生存期間に連関することを示した(HR=1.35、1.06〜1.72、p=0.017)。化学治療開始後4週間のYKL-40比について、対応するKaplan-Meier推定値を図15に示す。
血漿YKL-40の実効値(対数変換)は、4週目の膵臓癌患者における単変量解析において有意だった(YKL-40:HR=1.50、1.06〜2.13、p=0.023)。
結論
本調査において、限局性上部消化器癌に罹患した患者の38%、及び転移性上部消化器癌に罹患した患者の81%が、診断時に高い血漿YKL-40を有した。これらの数は、他の種類の腺癌と比較して高く、上部消化器癌に罹患した患者の非常に悪い予後を反映している可能性がある。興味深いことに、限局性膵臓癌に罹患し、放射線化学治療終了後4〜6週間に血漿YKL-40がベースラインレベルと比較して変化しなかった或いは減少した患者では、血漿YKL-40が増加した患者と比較して、生存期間は良好だった。同様の結果は、化学治療開始後4週間の血漿YKL-40の比に関して、転移性膵臓癌に罹患した患者においても見られた。これらは全て新規な観測結果であり、治療中又は治療後の血漿YKL-40の変化が患者を監視する上で有用なバイオマーカーとなることを示唆している。
実施例4
セツキシマブにより処置した転移性結腸直腸癌患者における高い処置前YKL-40レベルは短い生存期間に連関する。
患者
5-FU、オキサリプラチン、及びイリノテカンに抵抗性を示す転移性結腸直腸癌に罹患した患者140人(年齢中央値:63歳、範囲:36〜87歳、一般状態:0〜2)の前向き縦断調査である。患者には、KRAS状態に関係なく、2週間毎にイリノテカン(130mg/m2)及びセツキシマブ(500mg/m2)による処置を施した。追跡時間中央値は、15ヶ月だった(範囲2.5〜25ヶ月)。86人が死亡した。血漿YKL-40は、ELISA(Quidel)により測定した。KRASは、D×S KRAS試験PCRキット(Roche)を使用して分析した。
結果
全生存期間中央値は9.6ヶ月だった。KRAS状態を患者86人(61%)において分析した(野生型n=47、変異型n=39)。野生型の患者の全生存期間は、12.1か月であり、一方KRAS変異型の患者では7.0ヶ月だった(p=0.08)。
処置前血漿YKL-40(中央値131μg/L、範囲15〜1766)は、患者の66%において高かった(即ち、健康被験者の年齢補正レベルにおける95パーセンタイル値よりも高い)。血漿YKL-40は、KRAS状態と連関しなかった(p=0.39)。YKL-40はCEAと連関した(r=0.32、p=0.0004)。
単変量解析(対数変換された連続型変数(底2))は、高い処置前YKL-40が短い全生存期間に連関することを示した(HR=1.29、95%CI:1.12〜1.49、p=0.0006)。この分析では、血漿YKL-40レベルが67μg/L(第1の四分位数)、131μg/L(中央値)、及び259μg/L(第3の四分位数)の患者は、それぞれ62%(95%CI:52〜72)、54%(95%CI:45〜64)、及び45%(95%CI:36〜56)が8ヶ月の生存期間を有した。これら3群の全生存期間に関するKaplan-Meier曲線を図16に示す。
多変量Cox分析(血漿YKL-40、年齢、性別、一般状態、血清CEA)は、処置前YKL-40(HR=1.20、95%CI:1.03〜1.40、p=0.03)及び一般状態(0対1:1.71、0.99〜2.94、0対2:3.62、1.98〜7.03、p=0.001)が全生存の独立因子であることを示した。血清CEA(p=0.30)及びKRAS状態(p=0.13)は、このモデルにおいて有意ではなかった。
結論
高い処理前血漿YKL-40は、セツキシマブをイリノテカンと組み合わせて処置した転移性結腸直腸癌患者における短い全生存期間の独立した予後バイオマーカーであった。したがって、血漿YKL-40は、セツキシマブに対する反応の新規の予測バイオマーカーとなり得ることから、特定の疾患に対する処置の選択のためのバイオマーカーとなり得る。
実施例5
イリノテカン及びセツキシマブにより処置した転移性結腸直腸癌患者におけるYKL-40の高い処置前血漿及び血清濃度は、短い生存期間及び短い無増悪生存期間に連関し、KRASとは無関係である。
患者
調査1:5-FU、オキサリプラチン、及びイリノテカンに抵抗性を示す転移性結腸直腸癌に罹患した患者196人の前向き縦断調査である。患者には、第三選択としてイリノテカン(調査中、14日間毎に1日目に130mg/m2(体表面積))及びセツキシマブ(初回投与400mg/m2(体表面積)、その後2週間毎に500mg/m2(体表面積)をKRAS状態に関係なく投与)による処置を施した。患者は、疾患の増悪まで処置を行った。追跡時間中央値は、19ヶ月だった(範囲6〜31ヶ月)。148人が死亡した。本調査は、実施例4の続きであり、これにより全患者群が含まれる。
調査2:5-FU、オキサリプラチン、及びイリノテカンに抵抗性を示す転移性結腸直腸癌に罹患した患者134人の後ろ向き縦断調査である。患者には、第三選択としてイリノテカン(調査中、14日間毎に1日目に130mg/m2(体表面積))及びセツキシマブ(初回投与400mg/m2(体表面積)、その後、週に一度250mg/m2(体表面積)をKRAS状態に関係なく投与)による処置を施した。患者は、疾患の増悪まで処置を行った。追跡時間中央値は、30ヶ月だった(範囲14〜50ヶ月)。98人が死亡した。
方法
処置前血漿は、調査1に含まれる患者のうち185人からYKL-40分析用に入手できた。処置前血清は、調査2に含まれる患者134人からYKL-40分析用に入手できた。YKL-40の血漿濃度(調査1)及びYKL-40の血清濃度(調査2)は、市販のELISA(Quidel、米国カリフォルニア州)により分析した。
原発腫瘍からのDNAは、KRAS変異状態のために、調査1に含まれる患者180人と、調査2に含まれる患者99人から入手できた。KRASは、D×S KRAS試験PCRキット(Roche)を使用して分析した。
統計分析
この調査の臨床的エンドポイントは、セツキシマブによる処置開始前のベースライン血液試料から、あらゆる原因による死亡時刻までの時間として決定された全生存期間とした。疾患の状態及び生存の期間に関する全データは、2009年7月2日(調査1)及び2009年3月9日(調査2)に更新した。この期日に患者が生存していた場合については、検閲を行った。副次的エンドポイントは、疾患の増悪までの時間とした(調査2のみ)。
YKL-40の血漿又は血清濃度は、ベースラインとして、セツキシマブによる1回目の処置の前に判定した。健康被験者(年齢補正)における血漿YKL-40(調査1)及び血清YKL-40(調査2)の様々なカットオフレベルを選択した:90、95、97.5、99、99.5、及び99.9パーセンタイルレベル。2つの患者群の血漿及び血清YKL-40レベルは、更に三分位数に分割し、カットオフレベルとして使用した。記述統計は、その中央値及び範囲により提示している。順位統計は、血漿及び血清YKL-40とKRAS及び一般状態との連関(ウイルコクソンの順位和)と、連関の測度(スピアマンの順位相関)とに対する試験として使用した。Kruskal-Wallis試験を使用して、3つ以上の独立群とノンパラメトリックデータ分布との比較を行った。疾患の増悪及び死亡までの時間の測定結果の分析は、Cox比例ハザードモデルを使用して行った。血漿及び血清YKL-40レベルは、対数スケール(底2)の実効値(対数変換)として入力するか、或いは、高レベル対正常レベルとして入力した(健康被験者の95パーセンタイル値をカットオフとして使用した)。完全なデータが存在する事例のみを多変量解析に含めた。セツキシマブに対する反応の分析は、ロジスティック回帰を使用して行い、結果は、オッズ比(OR)を95%信頼限界(CI)と共に使用し、更に、受診者動作特性曲線(ROC)下の面積(AUC)を使用して提示する。モデル評価は、グラフ法を用いて行った。全生存期間の残存確率をKaplan-Meier法により推定し、層間の差についての試験は、ログランク統計を使用して実行した。生存のKaplan-Meier推定値を使用したグラフ表示は、血漿及び血清YKL-40レベルの三分位数又は健康被験者における年齢補正YKL-40の以下のカットオフレベルにより患者を群化した状態で示した:90%、95%、97.5%、99%、99.5%、及び99.9%。モデル評価は、グラフ法、シェーンフィールド及びマルチンゲール残差を用いて行った。5%未満のP値を有意とみなした。全ての計算は、SAS(バージョン9.1、SAS Institute、米国ノースカロライナ州ケーリー)を使用して行った。
結果
患者の処置前血漿及び血清YKL-40レベル及び人口学的特性
調査1及び調査2に含まれる転移性結腸直腸癌に罹患した患者のベースライン人口学的特性を表6に示す。2つの調査集団は同等である。調査1では38%、調査2では45%がKRAS変異を有した。患者は、健康被験者と比較して有意(p<0.001)に高い処置前血漿及び血清YKL-40レベルを有した。血漿及び血清YKL-40レベルは、調査1の患者の52%、調査2の患者の68%において、正常上限レベル(カットオフとして使用された95パーセンタイル値)より高かった。YKL-40は、KRAS状態と連関しなかった(調査1:p=0.34、調査2:p=0.45)。
処置前血清YKL-40レベル及びセツキシマブ治療に対する反応
データは調査2からのみ入手可能:RECIST基準に従って患者20人を反応者(全て野生型)、76人を無反応者に分類した(KRAS野生型:33人、KRAS変異型:43人)。これら3つの群に対応する血清YKL-40レベルを表7に示す。最も高い血清YKL-40レベルは、処置に対して無反応の患者において見られた。反応は、KRAS野生型群において、ロジスティック回帰を使用して分析している。オッズ比(OR)推定値は、血清YKL-40を対数スケール(底2)の実効値により入力した場合、OR=1.34、95%CI:0.89〜2.01、p=0.16、AUC=0.61であり、血清YKL-40を二分したレベルにより入力した場合、OR=1.68、95%CI:0.63〜4.48、p=0.33となる。95%CIが1を含む事実は、試料数が小さいことによるものである可能性が高い。
血清YKL-40は、KRAS変異状態とは無関係だった。高い血清YKL-40は、セツキシマブ処置に対する反応の悪さに連関した。したがって、YKL-40は、KRAS野生型の患者(53人のうち20人、即ち、KRAS野生型全体の約40%)の中で真の反応者群を見つけるために使用し得る。
処置前血清YKL-40レベル及び無増悪生存期間
データは調査2からのみ入手可能:無増悪生存期間は、1回目の処置の日付から疾患の増悪の時刻までの時間として決定した。105人が増悪を生じた。単変量Cox分析は、高い処置前YKL-40(対数変換された連続型変数(底2))が短い無増悪生存期間に連関することを示した(HR=1.18、95%CI:1.01〜1.39、p=0.042)。多変量Cox分析(YKL-40及びKRAS)は、血漿YKL-40が無増悪生存期間の独立したバイオマーカーであり(HR=1.20、95%CI:1.02〜1.41、p=0.026)、KRAS状態に無関係であることを証明した。YKL-40のHRは1.20であり、即ち、YKL-40が倍増する毎に危険が20%増加する。
患者における血清YKL-40レベルの増加(三分位数をカットオフとして使用)及び無増悪生存期間に関するKaplan-Meier曲線を図18に例示する。処置前血清YKL-40の三分位数の増加に応じて、有意な生存期間の短縮が見られた。
血清YKL-40は、KRAS変異状態とは無関係だった。高い血清YKL-40は、セツキシマブ処置に対する反応の悪さと、短い無増悪生存期間とに連関した。したがって、YKL-40は、KRAS野生型の患者(53人のうち20人、即ち、KRAS野生型全体の約40%)の中で真の反応者群を見つけるために使用し得る。
処置前血漿及び血清YKL-40レベル、及び全生存期間
調査1
全生存期間中央値は、10.0ヶ月だった。KRAS野生型の患者の全生存期間は、11.3ヶ月であり、一方、KRAS変異を有する患者では7.5ヶ月だった(p=0.004)。
単変量Cox分析は、高い処置前血漿YKL-40(対数変換された連続型変数(底2))が短い全生存期間に連関することを示した(HR=1.23、95%CI:1.09〜1.39、p=0.0006)(表8)。この分析では、血漿YKL-40レベルが<84μg/L(第1の三分位数)、≧84μg/L及び≦218μg/L(第2の三分位数)、及び>218μg/L(第3の三分位数)である患者の6ヶ月生存は、それぞれ68%、72%、及び46%だった。これら3群の全生存期間に関するKaplan-Meier曲線を図19Aに示す。有意に短い生存期間は、最も高い血漿YKL-40レベルを有する患者において見られた。
多変量Cox分析(血漿YKL-40及びKRAS状態)は、処置前血漿YKL-40(対数変換された連続型変数(底2):HR=1.23、95%CI:1.09〜1.39、p=0.0007)及びKRAS状態(変異型対野生型:HR=1.67、1.17〜2.39、p=0.0044)が全生存期間の独立したバイオマーカーであることを示した。血漿YKL-40を健康被験者における血漿YKL-40に応じて二分した時の対応する結果(年齢補正95%レベルをカットオフとして使用)は、同じく表8に記載されており、血漿YKL-40は、依然として有意であり(HR=1.83、95%:1.28〜2.60、p=0.0008)、KRASとは無関係だった。別の多変量Cox分析(血漿YKL-40、KRAS、一般状態、年齢、及び性別を含む)においても、血漿YKL-40は、依然として有意だった(HR=1.17、95%CI:1.02〜1.33、p=0.021)。
血漿YKL-40(患者の血漿YKL-40レベルの三分位数をカットオフとして使用)及び全生存期間に関するKaplan-Meier曲線を、KRAS野生型の患者について図20A、KRAS変異型の患者について図20Bに示す。両患者群において、有意に短い生存期間は、最も高い血漿YKL-40レベルを有する患者において見られた。
健康被験者における年齢補正血漿YKL-40レベルのカットオフレベルの増加(90%、95%、97.5%、99%、99.5%、及び99.9%)に応じた、調査1に含まれる全患者の血漿YKL-40及び全生存期間に関するKaplan-Meier曲線を図21A〜21Fに示す。短い生存期間がカットオフの増加と共に見られ、HRは、カットオフの増加と共に増加した。
調査2
全生存期間中央値は、7.1ヶ月だった。KRAS野生型の患者の全生存期間は、10.1ヶ月であり、一方、KRAS変異を有する患者では6.0ヶ月だった(p=0.043)。
単変量Cox分析は、高い処置前血清YKL-40(対数変換された連続型変数(底2))が短い全生存期間に連関することを示した(HR=1.30、95%CI:1.09〜1.56、p=0.003)(表8)。この分析では、血清YKL-40レベルが<94μg/L(第1の三分位数)、グループ2:≧94μg/L及び≦253μg/L(第2の三分位数)、及び>253μg/L(第3の三分位数)である患者の6ヶ月生存は、それぞれ67%、53%、及び31%だった。これら3群の全生存期間に関するKaplan-Meier曲線を図19Bに示す。有意に短い生存期間は、最も高い血清YKL-40レベルを有する患者において見られた。
多変量Cox分析(血清YKL-40及びKRAS状態)は、処置前血漿YKL-40(対数変換された連続型変数(底2):HR=1.41、95%CI:1.18〜1.69、p=0.0002)及びKRAS状態(変異型対野生型:HR=1.57、CI:1.02〜2.42、p=0.042)が全生存期間の独立したバイオマーカーであることを示した。血清YKL-40を健康被験者における血清YKL-40に応じて二分した時の対応する結果(年齢補正95%レベルをカットオフとして使用)は、同じく表8に記載されており、血清YKL-40は、依然として有意であり(HR=2.13、95%:1.40〜3.33、p=0.0008)、KRASとは無関係だった。多変量Cox分析(血清YKL-40、KRAS、一般状態を含む)において、血清YKL-40(HR=1.36、95%CI:1.13〜1.62、p=0.0009)、KRAS(HR=1.58、95%CI:1.03〜2.44、p=0.037)、及び一般状態(HR=1.69、95%:1.20〜2.39、p=0.0028)は、全て生存の有意なバイオマーカーだった。
血清YKL-40(患者の血清YKL-40レベルの三分位数をカットオフとして使用)及び全生存期間に関するKaplan-Meier曲線を、KRAS野生型の患者について図20C、KRAS変異型の患者について図20Dに示す。両患者群において、有意に短い生存期間は、最も高い血清YKL-40レベルを有する患者において見られた。
健康被験者における年齢補正血清YKL-40レベルのカットオフレベルの増加(90%、95%、97.5%、99%、99.5%、及び99.9%)に応じた、調査2に含まれる全患者の血清YKL-40及び全生存期間に関するKaplan-Meier曲線を図22A〜22Fに示す。短い生存期間がカットオフの増加と共に見られ、HRは、カットオフの増加と共に増加した。
結論
高い処置前血漿YKL-40及び血清YKL-40レベルは、イリノテカンと組み合わせて第3選択のセツキシマブにより処置した転移性結腸直腸癌患者の2つの独立した調査において、短い全生存期間の予後バイオマーカーとなった。両方の調査において、血漿YKL-40及び血清YKL-40は、KRAS変異状態とは無関係だった。調査の一方では、セツキシマブに対する反応と、無増悪生存期間とに関するデータが利用可能であり、高い血清YKL-40は、反応の悪さと、短い無増悪生存期間とに連関した。したがって、YKL-40は、KRAS野生型の患者の中で真の反応者を見つけるために使用し得る(KRAS野生型患者全体の約40%)。そのため、処置前血漿YKL-40及び血清YKL-40は、セツキシマブに対する反応の新規の予測バイオマーカー及びセツキシマブにより処置した患者における短い生存期間の予後バイオメーカーとなり得る。更に、処置期間中のYKL-40レベルを監視することにより、疾患の増悪を監視し、これに応じて処置を適合させ得る。
実施例6
セツキシマブ及びイリノテカンによる処置中の転移性結腸直腸癌患者における血漿及び血清YKL-40濃度は、無増悪生存期間及び全生存期間に連関する。
患者及び方法
本願明細書の実施例5に記載した通りである。
統計分析
更新されたYKL-40レベルの分析は、YKL-40を時間依存変数として、Cox比例ハザードモデルを使用して行った。このモデルは、処置(調査1及び調査2)及びKRAS状態を含む。約2.5ヶ月をランドマークとして使用した残存確率のKaplan-Meier推定を、無増悪生存期間及び全生存期間に関して実行した。
結果
調査1及び2を統合
図23A(調査1)及び23B(調査2)は、セツキシマブ及びイリノテカンによる処置中の転移性結腸直腸癌患者におけるYKL-40(μg/L)の個別変化を示す。図24A(調査1)及び24B(調査2)は、YKL-40の比(処置前レベルと比較)の変化を示す。
セツキシマブ及びイリノテカンによる処置中、YKL-40は、処置前(ベースライン)レベルと比較して、転移性結腸直腸癌に罹患した一部の患者において増加した(2週間平均比1.21(95%CI:0.81〜1.60)、2ヶ月平均比1.17(95%CI:1.03〜1.30)、4ヶ月平均比1.04(0.91〜1.17)、6ヶ月平均比1.11(95%CI:0.90〜1.32)、及び8ヶ月平均比1.12(95%CI:0.90〜1.33))。
更新されたYKL-40レベルの多変量解析は、高いYKL-40比が短い無増悪生存期間(HR=1.30、95%CI:1.10〜1.54、p=0.002)及び短い全生存期間(HR=1.38、95%CI:1.17〜1.63、p=0.0002)に連関することを示した。更新されたYKL-40値(対数変換)(調査及びKRAS変異状態向けに調整)も、無増悪生存期間(HR=1.11、95%CI:1.04〜1.20、p=0.002)及び全生存期間(HR=1.23、95%CI:1.14〜1.33、p=0.0001)に連関した。
無増悪生存期間及び全生存期間について、セツキシマブ及びイリノテカンによる処置開始後約2〜3ヶ月をランドマーク時間としたKaplan-Meier推定値を図25A及び25Bに示す。YKL-40は、この時点でのYKL-40比の高低に応じて二分した(処置前YKL-40レベルと比較した2〜3ヶ月のYKL-40レベルとして定義した)。調査1の患者104人と調査2の患者53人を組み合わせた。高い比は、1を上回る比、低い比は1に等しい/下回る比であり、即ち、YKL-40レベルの増加又は変化無し/減少に対応している。
結論
転移性結腸直腸癌に罹患した患者におけるセツキシマブ及びイリノテカンによる処置中、更新されたYKL-40レベルと、処置前レベルと比較した更新YKL-40レベルの比とは、無増悪生存期間及び全生存期間に連関し、高い値が悪い予後を示した。こうした結果は、KRAS状態とは無関係だった。これらは新規の観測結果であり、セツキシマブによる処置中のYKL-40の変化が結腸直腸癌に罹患した患者を監視する上で有用なバイオマーカーとなり得ることを示唆している。
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Claims (62)

  1. 被験者における特定の疾患又は障害の治療を判定する方法であって、
    i)前記被験者から得た試料中のYKL-40のレベルを判定するステップと、
    ii)YKL-40の前記レベルを、次のように定義された年齢依存カットオフ値からの1つ以上のYKL-40参照レベルと比較するステップと、を備え:
    70%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.1+0.02×年齢(歳)、
    75%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.2+0.02×年齢(歳)、
    85%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.4+0.02×年齢(歳)、
    90%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.5+0.02×年齢(歳)、
    95%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.6+0.02×年齢(歳)、及び
    97.5%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.9+0.02×年齢(歳);
    前記参照レベルに対するYKL-40の前記レベルは、前記特定の疾患又は障害の進行及び/又は状態を示し、従って開始又は継続すべき治療を示す、方法。
  2. 被験者における特定の疾患又は障害の治療的処置を監視する方法であって、前記被験者は前記特定の疾患に対する処置を受けており、
    i)前記被験者から得た試料中のYKL-40のレベルを判定するステップと、
    ii)YKL-40の前記レベルを、次のように定義された年齢依存カットオフ値からの1つ以上のYKL-40参照レベルと比較し:
    70%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.1+0.02×年齢(歳)、
    75%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.2+0.02×年齢(歳)、
    85%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.4+0.02×年齢(歳)、
    90%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.5+0.02×年齢(歳)、
    95%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.6+0.02×年齢(歳)、及び
    97.5%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.9+0.02×年齢(歳);
    或いは、
    YKL-40の前記レベルを、過去に判定した同一被験者からの1つ以上のYKL-40のレベルと比較し、
    前記YKL-40参照レベルと比較して少なくとも1.10倍に上昇した前記試料中のYKL-40のレベルは、前記疾患又は障害が更に重症度の高い段階へ進んだことを示し、
    前記YKL-40参照レベルと比較して少なくとも0.90倍に低下した前記試料中のYKL-40のレベルは、前記疾患又は障害が更に重症度の低い段階へ進んだことを示し、
    前記参照レベルに対するYKL-40の前記レベルは、前記特定の疾患又は障害の進行及び/又は状態を示し、従って前記継続中の治療的処置の有効度を示すステップと、
    iii)これに基づき、前記特定の疾患又は障害の前記治療的処置を継続、中止、又は置換するべきかを判定するステップと、を備える方法。
  3. 特定の疾患又は障害に罹患した被験者の予後を判定する方法であって、
    i)前記被験者から得た試料中のYKL-40のレベルを判定するステップと、
    ii)YKL-40の前記レベルを、1つ以上のYKL-40参照レベルと比較するステップと、を備え、
    前記参照レベルに対するYKL-40の前記レベルは、特定の処置計画中又は処置計画後の前記疾患又は障害の進展又は進行を示し、従って予後を示す、方法。
  4. ステップi)における前記判定は、問題となる前記処置の開始後に実行される、請求項2又は3記載の方法。
  5. ステップi)における前記判定は、処置の少なくとも2週間後、好ましくは処置の少なくとも4週間後、又は処置の少なくとも6週間後に実行される、請求項2〜4の何れか一項に記載の方法。
  6. ステップi)における前記判定は、最終処置後少なくとも2週間、好ましくは最終処置後少なくとも4週間、又は最終処置後少なくとも6週間等、処置の終了後に実行される、請求項2〜4の何れか一項に記載の方法。
  7. 前記1つ以上のYKL-40参照レベルは、健康な個体からの試料中のYKL-40レベルを測定することにより得られた1つ以上の年齢調整参照レベルである、請求項1〜6の何れか一項に記載の方法。
  8. 前記1つ以上のYKL-40参照レベルの1つは、健康な個体における血清又は血漿YKL-40レベルの70パーセンタイル値に対応する年齢調整カットオフ値である、請求項1〜7の何れか一項に記載の方法。
  9. 前記年齢調整カットオフ値は、ln(血漿YKL-40μg/L)=3.1+0.02×年齢(歳)として定義される70パーセンタイル値である、請求項8記載の方法。
  10. 前記1つ以上のYKL-40参照レベルの1つは、健康な個体における血清又は血漿YKL-40レベルの75パーセンタイル値に対応する年齢調整カットオフ値である、請求項1〜9の何れか一項に記載の方法。
  11. 前記年齢調整カットオフ値は、ln(血漿YKL-40μg/L)=3.2+0.02×年齢(歳)として定義される75パーセンタイル値である、請求項10記載の方法。
  12. 前記YKL-40参照レベルは、健康な個体における血清又は血漿YKL-40レベルの85パーセンタイル値に対応する年齢調整カットオフ値である、請求項1〜11の何れか一項に記載の方法。
  13. 前記年齢調整カットオフ値は、ln(血漿YKL-40μg/L)=3.4+0.02×年齢(歳)として定義される85パーセンタイル値である、請求項12記載の方法。
  14. 前記1つ以上のYKL-40参照レベルの1つは、健康な個体における血清又は血漿YKL-40レベルの90パーセンタイル値に対応する年齢調整カットオフ値である、請求項1〜13の何れか一項に記載の方法。
  15. 前記年齢調整カットオフ値は、ln(血漿YKL-40μg/L)=3.5+0.02×年齢(歳)として定義される90パーセンタイル値である、請求項14記載の方法。
  16. 前記YKL-40参照レベルは、健康な個体における血清又は血漿YKL-40レベルの95パーセンタイル値に対応する年齢調整カットオフ値である、請求項1〜15の何れか一項に記載の方法。
  17. 前記年齢調整カットオフ値は、ln(血漿YKL-40μg/L)=3.6+0.02×年齢(歳)として定義される95パーセンタイル値である、請求項16記載の方法。
  18. 前記1つ以上のYKL-40参照レベルの1つは、健康な個体における血清又は血漿YKL-40レベルの97.5パーセンタイル値に対応する年齢調整カットオフ値である、請求項1〜17の何れか一項に記載の方法。
  19. 前記年齢調整カットオフ値は、ln(血漿YKL-40μg/L)=3.9+0.02×年齢(歳)として定義される97.5パーセンタイル値である、請求項18記載の方法。
  20. 前記1つ以上のYKL-40参照レベルは、請求項8〜19の2項以上において定義されたYKL-40年齢依存カットオフ値の組である、請求項1〜19の何れか一項に記載の方法。
  21. 前記1つ以上のYKL-40参照レベルは、
    70%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.1+0.02×年齢(歳)、
    75%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.2+0.02×年齢(歳)、
    85%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.4+0.02×年齢(歳)、
    90%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.5+0.02×年齢(歳)、
    95%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.6+0.02×年齢(歳)、及び
    97.5%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.9+0.02×年齢(歳)、として定義される1つ以上の年齢依存カットオフ値である、請求項1〜20の何れか一項に記載の方法。
  22. 前記1つ以上のYKL-40参照レベルは、
    95%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.6+0.02×年齢(歳)、及び
    90%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.5+0.02×年齢(歳)、として定義される1つ以上の年齢依存カットオフ値である、請求項21記載の方法。
  23. 前記YKL-40年齢依存カットオフ値の組は、以下の表により定義される、請求項20記載の方法。
  24. 前記1つ以上のYKL-40参照レベルは、健康な個体の年齢分布亜集団からの試料におけるYKL-40レベルを測定することによって得られたYKL-40年齢依存参照レベルの組である、請求項1〜23の何れか一項に記載の方法。
  25. 前記YKL-40年齢依存参照レベルの組は、以下の表によって定義される、請求項24に記載の方法。
  26. 前記1つ以上の参照レベルは、過去に判定した前記同一被験者からの1つ以上のYKL-40のレベルである、請求項1〜3の何れか一項に記載の方法
  27. 前記1つ以上のYKL-40参照レベルは、女性の場合には1歳当たり0.5μg/L、男性の場合には1歳当たり0.8μg/Lを加えることにより年齢調整したYKL-40血漿レベルである、請求項26記載の方法。
  28. 前記YKL-40参照レベルと比較して、少なくとも1.10倍以上に上昇した前記試料中のYKL-40レベルは、前記特定の疾患又は障害が前記疾患又は障害の更に重症度の高い段階へ進んだことを示し、より好ましくは、前記YKL-40参照レベルと比較して、少なくとも1.25倍、例えば1.30倍又は1.40倍、更に好ましくは少なくとも1.50倍、例えば1.60倍、1.70倍、又は1.75倍、更に好ましくは少なくとも1.75倍、例えば1.80倍、又は1.90倍、又は2倍、最も好ましくは少なくとも2倍、例えば2.10倍、2.20倍、2.25倍、又は2.50倍に上昇した前記試料中のYKL-40レベルは、前記特定の疾患又は障害が更に重症度の高い段階へ進んだことを示す、請求項26又は27記載の方法。
  29. 前記YKL-40参照レベルと比較して、少なくとも0.90倍に低下した前記試料中のYKL-40レベルは、前記特定の疾患又は障害が前記疾患又は障害の更に重症度の低い段階に進んだことを示し、より好ましくは少なくとも0.80倍、例えば0.70倍、更に好ましくは少なくとも0.60倍、更に好ましくは少なくとも0.50倍、最も好ましくは少なくとも0.48倍、例えば0.45倍、0.43倍、0.40倍、又は0.38倍に低下した前記試料中のYKL-40レベルは、前記特定の疾患又は障害が更に重症度の低い段階に進んだことを示す、請求項26〜28の何れか一項に記載の方法。
  30. 前記YKL-40参照レベルと比較して、少なくとも1.10倍に上昇した前記試料中のYKL-40レベルは、前記疾患又は障害が更に重症度の高い段階へ進んだことを示し、
    前記YKL-40参照レベルと比較して、少なくとも0.90倍に低下した前記試料中のYKL-40レベルは、前記疾患又は障害が更に重症度の低い段階に進んだことを示す、請求項26〜29の何れか一項に記載の方法。
  31. 同一の個体から過去の測定値として得られた前記YKL-40参照レベルと比較して2倍、例えば少なくとも2倍に上昇した前記試料中のYKL-40レベルは、前記疾患又は障害が更に重症度の高い段階へ進んだことを有意に示す、請求項26〜30の何れか一項に記載の方法。
  32. 同一の個体から過去の測定値として得られた前記YKL-40参照レベルと比較して0.50倍、例えば少なくとも0.50倍に低下した前記試料中のYKL-40レベルは、前記疾患又は障害が更に重症度の低い段階へ進んだことを有意に示す、請求項26〜31の何れか一項に記載の方法。
  33. 前記YKL-40参照レベルと比較して、109%上昇した前記試料中のYKL-40レベルは、前記特定の疾患又は障害が更に重症度の高い段階へ進んだことを示す、請求項26〜31の何れか一項に記載の方法。
  34. 前記YKL-40参照レベルと比較して、52%低下した前記試料中のYKL-40レベルは、前記特定の疾患又は障害が更に重症度の低い段階へ進んだことを示す、請求項26〜32の何れか一項に記載の方法。
  35. 前記1つ以上の参照レベルを超える前記試料中の判定されたYKL-40レベルは、前記特定の疾患又は障害の分類を提供し、従って、開始、継続、中止、又は置換すべき治療の根拠を提供する、請求項1〜34の何れか一項に記載の方法。
  36. 前記特定の疾患又は障害の分類は、前記試料から判定されたYKL-40レベルを前記1つ以上のYKL-40参照レベルと比較することにより提供され、前記YKL-40レベルが高い程、前記特定の疾患又は障害の重症度は高くなり、開始、継続、中止、又は置換すべき治療の有効性を高くするべきである、請求項1〜35の何れか一項に記載の方法。
  37. 前記特定の疾患又は障害の分類は、前記試料から判定されたYKL-40レベルを前記1つ以上のYKL-40参照レベルと比較することにより提供され、前記YKL-40レベルが低い程、前記特定の疾患又は障害の重症度は低くなり、開始、継続、中止、又は置換すべき治療の有効性を低くするべきである、請求項1〜36の何れか一項に記載の方法。
  38. 前記1つ以上の過去に判定されたYKL-40参照レベルは、前記疾患又は障害の診断前、診断中、又は診断後に判定されたものである、請求項26〜37の何れか一項に記載の方法。
  39. 前記1つ以上の過去に判定されたYKL-40参照レベルは、前記疾患又は障害の診断後に判定されたものである、請求項38記載の方法。
  40. 前記YKL-40レベルは、イムノアッセイを使用して判定される、請求項1〜39の何れか一項に記載の方法。
  41. 前記イムノアッセイは、ELISAである、請求項40記載の方法。
  42. 前記イムノアッセイは、競合的イムノアッセイである、請求項40記載の方法。
  43. 前記イムノアッセイは、放射性同位体、酵素、蛍光分子、化学発光分子、生物発光分子、及びコロイド状金属からなる群から選択される検出可能な標識を使用してYKL-40を測定する、請求項40〜42の何れか一項に記載の方法。
  44. 前記イムノアッセイは、モノクローナル抗体を使用してYKL-40を測定する、請求項40記載の方法。
  45. 前記イムノアッセイは、ポリクローナル抗体を使用してYKL-40を測定する、請求項40記載の方法。
  46. 前記YKL-40レベルは、PCRアッセイにより判定される、請求項1〜45の何れか一項に記載の方法。
  47. 前記YKL-40レベルと同一の試料において、1つ以上の追加のバイオマーカーのレベルが判定される、請求項1〜46の何れか一項に記載の方法。
  48. 前記1つ以上の追加のバイオマーカーは、C反応性タンパク質、ESR、癌胎児性抗原(CEA)、CA-125、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)、CA19-9、乳酸脱水素酵素(LDH)、組織メタロプロテアーゼ阻害物質1(TIMP-1)、脳性ナトリウム利尿タンパク質、インターロイキン、腫瘍壊死因子-α、ホモシステイン、アミロイドAタンパク質、妊娠関連血漿タンパク質A、トロポニン、可溶性細胞間接着分子1、可溶性UPAR、III型プロコラーゲンのアミノ末端プロペプチド(P-III-NP)、単球走化性タンパク質-1、フィブリンDダイマー、成長分化因子15、虚血変性アルブミン、リポタンパク質関連ホスホリパーゼA2、マトリックスメタロプロテアーゼ、及びCKMBからなる群から選択される、請求項47記載の方法。
  49. 前記1つ以上の追加のバイオマーカーは、C反応性タンパク質、脳性ナトリウム利尿タンパク質、及びホモシステインからなる群から選択される、請求項47記載の方法。
  50. 前記YKL-40レベルは、ディップスティックを使用して判定される、請求項1〜49の何れか一項に記載の方法。
  51. 前記生物学的試料は、血液、血清、又は血漿である、請求項1〜50の何れか一項に記載の方法。
  52. 前記生物学的試料は、血清又は血漿である、請求項1〜51の何れか一項に記載の方法。
  53. 前記被験者は、哺乳動物、好ましくはヒトである、請求項1〜52の何れか一項に記載の方法。
  54. 被験者における特定の疾患又は障害の治療を判定する及び/又は治療的処置を監視するための器具であって、前記器具は、試料中のYKL-40レベルを測定するための手段と、前記測定されたYKL-40レベルを次のように定義された1つ以上の年齢依存カットオフ値と比較するための手段と、を備える:
    70%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.1+0.02×年齢(歳)、
    75%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.2+0.02×年齢(歳)、
    85%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.4+0.02×年齢(歳)、
    90%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.5+0.02×年齢(歳)、
    95%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.6+0.02×年齢(歳)、及び
    97.5%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.9+0.02×年齢(歳)。
  55. 前記器具は、ディップスティックである、請求項54に記載の器具。
  56. 前記器具は、カットオフ値を示す単一の参照レベルを備える、請求項54又は55記載の器具。
  57. 前記器具は、前記YKL-40測定レベルを年齢調整YKL-40参照レベルの組と比較するための手段を備える、請求項54又は55記載の器具。
  58. 前記器具は、前記YKL-40測定レベルを、以下の表に定義する年齢依存カットオフ値の組と比較するための手段を備える、請求項57記載の器具。
  59. 前記器具は、前記YKL-40測定レベルを、以下の表に定義する年齢依存参照レベルの組と比較するための手段を備える、請求項57記載の器具。
  60. キットであって、
    i)試料中のYKL-40レベルを測定するための手段と、
    ii)前記測定されたYKL-40レベルを、次のように定義された年齢調整参照レベルの組からの1つ以上のYKL-40参照レベルと比較するための手段と:
    70%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.1+0.02×年齢(歳)、
    75%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.2+0.02×年齢(歳)、
    85%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.4+0.02×年齢(歳)、
    90%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.5+0.02×年齢(歳)、
    95%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.6+0.02×年齢(歳)、及び
    97.5%パーセンタイル値:ln(血漿YKL-40μg/L)=3.9+0.02×年齢(歳);
    iii)前記試料を提供した前記被験者の年齢に応じて、前記YKL-40参照レベルを年齢調整するやり方に関する説明書と、を備えるキット。
  61. 前記キットは、更に、追加のバイオマーカーのアッセイを行うための手段を備える、請求項60記載のキット。
  62. 請求項54〜59の何れか一項に記載の少なくとも1つの器具を備える請求項60及び61記載のキット。
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