JP2012253936A - 送電装置、受電装置、及び電力伝送システム - Google Patents

送電装置、受電装置、及び電力伝送システム Download PDF

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Abstract

【課題】データ通信用の周波数帯域と電力伝送用の周波数帯域とを十分に離調し、データ通信と電力伝送とを互いに高い効率で実現することができる送電装置、受電装置、及び電力伝送システムを提供する。
【解決手段】送電装置1は、第一の能動電極11aがメッシュ状に、第一の受動電極11pが平板状に、それぞれ互いに平行になるよう形成してある。受電装置2は、平板状の第二の能動電極21a及び第二の受動電極21pが、第一の能動電極11a及び第一の受動電極11pと平行になるように配置してある。第一の電圧発生回路12で発生する信号の周波数は、電力伝送用の第一の周波数であり、第二の電圧発生回路32で発生する信号の周波数は、第一の周波数よりも高い、データ通信用の第二の周波数である。
【選択図】図2

Description

本発明は、物理的に接続することなく電力を伝送する送電装置、受電装置、及び電力伝送システムに関する。特に、静電界結合型の電力伝送とデータ通信との両方に用いることが可能な送電装置、受電装置、及び電力伝送システムに関する。
近年、非接続でデータ通信を行う電子機器が多々開発されている。電子機器において、非接続のデータ通信は、無線LAN等で簡単に行うことができる。しかし、データのセキュリティを考慮して、電子機器を所定の場所に配置した場合にのみデータ通信を行うことが可能な通信システムも開発されている。
例えば特許文献1に開示してある信号伝達システムでは、送信装置にメッシュ状の第一導体部及びシート状の第二導体部を互いに略平行に備えてあり、送信装置内を伝播する進行波電界を近接して配置した受信装置のアンテナが受信することにより、データ通信を可能としている。これにより、送信装置は、近接して配置した受信装置とのみデータ通信することができる。
一方、電子機器において非接続で電力を伝送するため、静電界結合型の電力伝送システムが開発されている。例えば特許文献2に開示してある電力伝送システムでは、シート状の電磁波伝搬装置を伝搬する電磁波を、複数の電極で受信し、受信した電磁波を複数の整流回路で整流し、複数の整流回路の出力を結合して負荷に電力を供給している。
また、特許文献3に開示しているような静電界結合型の電力伝送システムも周知である。図9は、従来の電力伝送システムの基本構成を示す模式図である。図9(a)は、特許文献3に開示されている従来の電力伝送システムの基本構成を模式的に示している。図9(a)に示す電力伝送システムは、送電装置と受電装置とで構成される。送電装置は、高周波高電圧発生回路101、受動電極102及び能動電極103を備えている。受電装置は、負荷回路105、受動電極107及び能動電極106を備えている。それぞれ平板状の送電装置の受動電極102、送電装置の能動電極103、受電装置の能動電極106、受電装置の受動電極107が、この順に電極の垂直方向に重ねられている。
図9(a)中の矢印は、各電極間の電気力線を概念的に表している。送電装置の能動電極103と受電装置の能動電極106とが空隙104を介して近接することにより、送電装置の能動電極103と受電装置の能動電極106とが容量結合(静電界結合)している。それぞれの受動電極を能動電極より大きくすることにより、送電装置の受動電極102と受電装置の受動電極107とが容量結合(静電界結合)する。
特開2007−281678号公報 特開2008−295176号公報 特表2009−531009号公報
データ通信を安定して行うためには、2.4GHz帯、950MHz帯等の無線信号の周波数を使用する。しかし、データ通信と電力伝送との両方を同時に行う場合、使用する無線信号の周波数である2.4GHz帯、950MHz帯等は、インバータ、整流回路の周波数帯域である100kHz〜数MHzに比べて非常に高く、電力伝送効率が著しく劣化するため実用に堪えないという問題点があった。逆に電力伝送を効率良く行うために無線信号の周波数帯域を下げた場合、通信速度が低下し、安定してデータ通信を行うことができないという問題点もあった。
一方、特許文献3に開示してある従来の電力伝送システムでは、送電装置と受電装置の能動電極及び受動電極が長手方向に一つの軸に沿って配置されているので、各電極の相対的位置精度が比較的緩い範囲で送電装置と受電装置とを容量結合させて電力伝送することができる。しかし、電極を配置する位置の自由度を高くする目的で受電装置の能動電極の面積より送電装置の能動電極の面積を広くした場合、以下の問題が生じる。
図9(b)中の矢印線は各電極間の電気力線を概念的に表しており、送電装置の能動電極203と受電装置の受動電極107との間に浮遊容量が生じる。面積が大きいので平板状の送電装置の能動電極203が送電装置の受動電極202と受電装置の受動電極107との間を遮蔽し、送電装置の受動電極202と受電装置の受動電極107との間の容量結合を低下させるので、電力伝送効率が低下するという問題が生じていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、データ通信用の周波数と電力伝送用の周波数とを十分に離調し、データ通信と電力伝送とを互いに高い効率で実現することができる送電装置、受電装置、及び電力伝送システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために第1発明に係る電力伝送システムは、第一の受動電極、該第一の受動電極より高電位である第一の能動電極、前記第一の受動電極と前記第一の能動電極との間に接続された第一の電圧発生回路及び第二の電圧発生回路を備える送電装置と、第二の受動電極、該第二の受動電極より高電位である第二の能動電極、及び電磁波を受信するカプラを有する受電装置とを備える電力伝送システムであって、前記送電装置は、前記第一の能動電極がメッシュ状に、前記第一の受動電極が平板状に、それぞれ互いに平行になるよう形成してあり、前記受電装置は、前記第二の能動電極及び前記第二の受動電極が、前記第一の能動電極及び前記第一の受動電極と平行になるように配置してあり、前記第一の電圧発生回路で発生する信号の周波数は、電力伝送用の第一の周波数であり、前記第二の電圧発生回路で発生する信号の周波数は、前記第一の周波数よりも高い、データ通信用の第二の周波数であることを特徴とする。
第1発明では、送電装置は、第一の能動電極がメッシュ状に、第一の受動電極が平板状に、それぞれ互いに平行になるよう形成してあり、受電装置の第二の能動電極及び第二の受動電極が、送電装置の第一の能動電極及び第一の受動電極と平行になるように配置してあるので、メッシュ状の第一の能動電極の空隙部から漏れ出た電磁波をカプラで受信することによりデータ通信することができるとともに、第一の能動電極の空隙部を介して第一の受動電極と第二の受動電極とが容量結合することにより結合が強められ、高効率で電力伝送することも可能となる。また、第一の電圧発生回路で発生する信号の周波数は、電力伝送用の第一の周波数であり、第二の電圧発生回路で発生する信号の周波数は、第一の周波数よりも高い、データ通信用の第二の周波数であることから、電力伝送用の周波数とデータ通信用の周波数とを十分に離調することで、周波数が互いに干渉することなく電力伝送することができ、データ通信することができる。
また、第2発明に係る電力伝送システムは、第1発明において、前記第二の能動電極及び前記第二の受動電極は平板状に形成してあり、前記第一の能動電極の空隙部から漏れ出た電磁波を前記カプラで受信するようにしてあることを特徴とする。
第2発明では、送電装置のメッシュ状の第一の能動電極の空隙部から漏れ出た電磁波をカプラで受信することにより、データ通信することができる。
また、第3発明に係る電力伝送システムは、第1又は第2発明において、前記第一の周波数は100kHz以上15MHz未満であり、前記第二の周波数は2.4GHz帯又は950MHz帯であることを特徴とする。
第3発明では、電力伝送用の第一の周波数は100kHz以上15MHz未満であり、データ通信用の第二の周波数は2.4GHz帯又は950MHz帯であるので、周波数が互いに干渉することなく電力伝送することができ、データ通信することができる。
また、第4発明に係る電力伝送システムは、第1乃至第3発明のいずれか1つにおいて、前記第一の電圧発生回路及び前記第二の電圧発生回路と、前記第一の受動電極、前記第一の能動電極とを接続又は切断するよう切り換える切り換え手段を備えることを特徴とする。
第4発明では、電力伝送用の第一の電圧発生回路及びデータ通信用の第二の電圧発生回路と、送電装置の第一の受動電極、第一の能動電極とを接続又は切断するよう切り換えることができるので、電力伝送のみ、データ通信のみ、電力伝送とデータ通信との併用に切り換えることが可能となる。
次に、上記目的を達成するために第5発明に係る送電装置は、受電装置の第二の受動電極と容量結合する第一の受動電極と、前記受電装置の第二の能動電極と容量結合する第一の能動電極と、前記第一の受動電極と前記第一の能動電極との間に接続された第一の電圧発生回路及び第二の電圧発生回路とを備える送電装置であって、前記第一の能動電極はメッシュ状に、前記第一の受動電極は平板状に、それぞれ互いに平行になるよう形成してあり、前記第一の電圧発生回路で発生する信号の周波数は、電力伝送用の第一の周波数であり、前記第二の電圧発生回路で発生する信号の周波数は、前記第一の周波数よりも高い、データ通信用の第二の周波数であることを特徴とする。
第5発明では、第一の能動電極をメッシュ状に、第一の受動電極を平板状に、それぞれ互いに平行になるよう形成してあり、第一の電圧発生回路で発生する信号の周波数が、電力伝送用の第一の周波数であり、第二の電圧発生回路で発生する信号の周波数が、第一の周波数よりも高い、データ通信用の第二の周波数である。これにより、メッシュ状の第一の能動電極の空隙部から漏れ出た電磁波をカプラで受信することによりデータ通信することができるとともに、第一の能動電極の空隙部を介して第一の受動電極と第二の受動電極とが容量結合することにより結合が強められ、高効率で電力伝送することも可能となる。また、第一の電圧発生回路で発生する信号の周波数は、電力伝送用の第一の周波数であり、第二の電圧発生回路で発生する信号の周波数は、第一の周波数よりも高い、データ通信用の第二の周波数であることから、電力伝送用の周波数とデータ通信用の周波数とを十分に離調することで、周波数が互いに干渉することなく電力伝送することができ、データ通信することができる。
次に、上記目的を達成するために第6発明に係る受電装置は、送電装置の第一の受動電極と容量結合する第二の受動電極と、前記送電装置のメッシュ状の第一の能動電極と容量結合する第二の能動電極と、前記送電装置から電磁波を受信するカプラとを有し、前記第二の受動電極及び前記第二の能動電極は平板状の電極であり、前記第一の受動電極及び前記第一の能動電極と平行になるように配置してあり、前記第一の能動電極の空隙部から漏れ出た電磁波を前記カプラで受信するようにしてあることを特徴とする。
第6発明では、送電装置から電磁波を受信するカプラを有し、第二の受動電極及び第二の能動電極は平板状の電極であり、第一の受動電極及び第一の能動電極と平行になるように配置してあり、第一の能動電極の空隙部から漏れ出た電磁波をカプラで受信する。これにより、送電装置のメッシュ状の第一の能動電極の空隙部から漏れ出た電磁波をカプラで受信することにより、データ通信することができるとともに、第一の能動電極の空隙部を介して第一の受動電極と第二の受動電極が容量結合することにより結合が強められ、高効率で電力伝送することも可能となる。
本発明に係る送電装置、受電装置、及び電力伝送システムでは、メッシュ状の第一の能動電極の空隙部から漏れ出た電磁波をカプラで受信することによりデータ通信することができるとともに、第一の能動電極の空隙部を介して第一の受動電極と第二の受動電極とが容量結合することにより結合が強められ、高効率で電力伝送することも可能となる。また、第一の電圧発生回路で発生する信号の周波数は、電力伝送用の第一の周波数であり、第二の電圧発生回路で発生する信号の周波数は、第一の周波数よりも高い、データ通信用の第二の周波数であることから、電力伝送用の周波数とデータ通信用の周波数とを十分に離調することで、周波数が互いに干渉することなく電力伝送することができ、データ通信することができる。
本発明の実施の形態1に係る電力伝送システムの構成を模式的に示すブロック図である。 本発明の実施の形態1に係る電力伝送システムの構成を示す模式図である。 本発明の実施の形態1に係る電力伝送システムの送電装置の結合電極の構成を示す模式図である。 本発明の実施の形態1に係る電力伝送システムのデータ通信部の構成を模式的に示すブロック図である。 本発明の実施の形態1に係る電力伝送システムでの電力伝送の実験値を示すグラフである。 本発明の実施の形態2に係る電力伝送システムの構成を示す模式図である。 本発明の実施の形態2に係る電力伝送システムの電力伝送とデータ通信との切り換え状態を示す模式図である。 本発明の実施の形態2に係る電力伝送システムのコントローラの切り換え処理の手順を示すフローチャートである。 従来の電力伝送システムの基本構成を示す模式図である。
以下、本発明の実施の形態における電力伝送システム、及び該電力伝送システムで用いる送電装置、受電装置について、図面を用いて具体的に説明する。以下の実施の形態は、特許請求の範囲に記載された発明を限定するものではなく、実施の形態の中で説明されている特徴的事項の組み合わせの全てが解決手段の必須事項であるとは限らないことは言うまでもない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る電力伝送システムの構成を模式的に示すブロック図である。図1に示すように、本実施の形態1に係る電力伝送システムの送電装置1は、少なくとも電圧発生回路(第一の電圧発生回路)12、インバータ(300kHz)13及び昇圧トランス14を有する送電モジュール10と、結合電極11とを備えている。また、受電装置2は、少なくとも降圧トランス22、整流器23、負荷回路24を有する受電モジュール20と、結合電極21とを備えている。
送電モジュール10の電圧発生回路12は、直流電源であり、インバータ13により比較的低い周波数である300kHzの交流電圧に変換され、昇圧トランス14により昇圧される。結合電極11と結合電極21とが容量結合することにより、変換され、昇圧された交流電圧が非接続で伝送される。伝送された交流電圧は、受電モジュール20の降圧トランス22により降圧され、整流器23により整流されて、負荷回路24へと渡される。
図2は、本発明の実施の形態1に係る電力伝送システムの構成を示す模式図である。送電装置1の結合電極11は、能動電極(第一の能動電極)11aと受動電極(第一の受動電極)11pとで構成され、受動電極11pは平板状の電極として、能動電極11aはメッシュ状の電極として、それぞれ互いに平行になるよう形成されている。なお、受動電極11pより能動電極11aの方が高電位である。
また、受電装置2の結合電極21は、能動電極(第二の能動電極)21aと受動電極(第二の受動電極)21pとで構成され、受動電極21p及び能動電極21aは平板状の電極として、送電装置1の能動電極11a及び受動電極11pと平行になるように配置されている。なお、受動電極21pより能動電極21aの方が高電位である。
図3は、本発明の実施の形態1に係る電力伝送システムの送電装置1の結合電極11の構成を示す模式図である。図3(a)は、送電装置1の結合電極11を能動電極11a側から平面視した模式平面図を、図3(b)は、図3(a)に示す送電装置1の結合電極11のA−A模式断面図である。
図3に示すように、送電装置1の受動電極11pは平板状の電極として、能動電極11aはメッシュ状の電極として、それぞれ形成されており、受動電極11pと能動電極11aとは互いに平行に配置してある。ここで、平行とは正確に平行という意味ではなく、ほとんど平行であると判断できる範囲を含む概念である。
図3(a)に示すように、能動電極11aは正方形のメッシュ状となっており、能動電極11a側から平面視した場合、メッシュ状の能動電極11aの空隙部から、平板状である受動電極11pが見えている。メッシュの繰り返し単位(メッシュ間隔)は、隣接する正方形の中心間距離に等しい。
能動電極11aと受動電極11pとの間の狭間領域131は、空気、各種の誘電体等が配置又は充填されている。狭間領域131に定在波が生じるのを防止するために、信号の周波数帯域において誘電損失、抵抗損失等が大きな材料を配置又は充填することが好ましい。
仮に能動電極11aがメッシュ状ではなく平板状であった場合、電磁波は狭間領域131に完全に閉じ込められる。しかし、本実施の形態1では、能動電極11aはメッシュ状であることから空隙部を有しており、該空隙部からメッシュの間隔と同程度の高さにまで電磁波が漏れ出る。能動電極11aとカプラ42との間隔26をメッシュの間隔以下に設定した場合、メッシュ状の能動電極11aの空隙部から電磁波が漏れ出ることにより、受電装置2の能動電極21aとの間でデータ通信することができる。
メッシュの繰り返し単位長さは、電磁波の波長よりも十分に短くしておく必要がある。例えば電磁波の波長λ2に対して、λ2/5以下、λ2/10〜λ2/100、λ2/100〜λ2/1000等のサイズを採用することができる。もちろん、単位長さは、これらのサイズに限定されるものではない。
同様に、狭間領域131の高さ(厚さ)についても、メッシュの繰り返し単位長さと同程度であることが好ましく、電磁波の波長よりも十分に短くしておくことが好ましい。また、メッシュの間隔、形状等は、互いに異なるようにしても良いし、同じになるようにしても良い。
図4は、本発明の実施の形態1に係る電力伝送システムのデータ通信部の構成を模式的に示すブロック図である。図4に示すように、本実施の形態1に係る電力伝送システムの送電装置1は、電力伝送用の電圧発生回路(第一の電圧発生回路)12とは別個にデータ通信用の電圧発生回路(第二の電圧発生回路)32を備えている。すなわち、送信モジュール30として電圧発生回路32、増幅器33及びカプラ34を備えている。また、受電装置2の受信モジュール40は、データを受信するカプラ42、高周波増幅器(Low Noise Amplifier:LNA)43、及び電圧発生回路44を備えている。なお、本実施の形態1では、カプラ34、42はLC共振回路として構成してある。
送信モジュール30の電圧発生回路(第二の電圧発生回路)32は、電圧発生回路(第一の電圧発生回路)12の直流電圧をインバータ13で変換した交流電圧より高い周波数を有する交流電圧を発生する。電圧発生回路(第二の電圧発生回路)32で発生した、比較的高い周波数の交流電圧は、増幅器33で増幅され、カプラ34を介してメッシュ状の結合電極11(能動電極11a)に渡される。
このとき、メッシュ状の能動電極11aの空隙部から電磁波が漏れ出ており、漏れ出た電磁波を受電装置2のカプラ42で受信することによりデータ通信することができる。カプラ42で受信した電磁波は、高周波増幅器43により増幅され、電圧発生回路44で発生する交流電圧との差分に基づいてデータ信号として取得される。
図1及び図2に戻って、送電装置1の能動電極11aと受動電極11pとは、300kHzの交流電圧を発生する電圧発生回路(第一の電圧発生回路)12及びインバータ13を介して接続されている。また、送電装置1の能動電極11aと受動電極11pとは、2.4GHzの交流電圧を発生する電圧発生回路(第二の電圧発生回路)32、ハイパスフィルタ35及びカプラ34を介して接続されている。
2つの電圧発生回路12、32で発生する交流電圧の周波数が大きく相違していることから、周波数が互いに干渉することなく能動電極11aと受動電極11pとの間にそれぞれ電位差が生じる。もちろん、ハイパスフィルタ35、45により、データ通信用の周波数と電力伝送用の周波数とを十分に離調することができるようにしている。受電装置2の能動電極21aは、送電装置1の能動電極11aと容量結合し、交流電圧が伝送される。伝送された交流電圧は、最終的には負荷回路24へ渡される。
一方、送電装置1のメッシュ状の能動電極11aの空隙部から漏れ出た電磁波は、受電装置2のカプラ42で受信され、ハイパスフィルタ45を介して通信装置50へ渡される。このように、発生する交流電圧の周波数が大きく相違する電圧発生回路12、32を電力伝送用とデータ通信用とで別個に設けておき、両周波数が十分に離調するようハイパスフィルタ35、45を設けることにより、電力伝送の効率を落とすことなく、データ通信を行うことが可能となる。
図5は、本発明の実施の形態1に係る電力伝送システムでの電力伝送の実験値を示すグラフである。図5(a)は出力電圧を示すグラフであり、図5(b)は伝送効率を示すグラフである。
図5では、送電装置1のメッシュ状の能動電極11aは、電極幅が1mmであり、メッシュ間隔が7mmである矩形メッシュとして形成してある。送電装置1の受動電極11pは二次元通信シートとしてポリプロピレンで形成し、シートサイズが56×90mm、シート厚が2.5mmとした。
なお、電極幅をW、メッシュ間隔をPで表すと、電極比率W/Pは14%である。電極比率W/Pが小さくなるほど送電装置1の受動電極11pと受電装置2の受動電極21pとの結合を強くすることができるが、送電装置1の能動電極11aと受電装置2の能動電極21aとの結合は逆に弱くなり、トレードオフの関係にある。
図5(a)に示すように、本発明によれば、大電力の高効率な電力伝送が可能となる。
以上のように本実施の形態1によれば、送電装置1のメッシュ状の能動電極11aの空隙部から漏れ出た電磁波を受電装置2のカプラ42で受信することによりデータ通信することができるとともに、送電装置1の能動電極11aの空隙部を介して送電装置1の受動電極11pと受電装置2の受動電極21pとが容量結合することにより結合が強められ、高効率で電力伝送することも可能となる。また、電圧発生回路12で発生し、インバータ13で変換した信号の周波数よりも電圧発生回路32で発生する信号の周波数の方が高いので、電力伝送用の周波数とデータ通信用の周波数とを十分に離調することで、周波数が互いに干渉することなく電力伝送することができ、データ通信することができる。
送電装置1に受電装置2を載置した場合、送電装置1の能動電極11aと受電装置2の能動電極21aとが空隙27を介して近接することにより、送電装置1の能動電極11aと受電装置2の能動電極21aとが近接して容量結合する。送電装置1の能動電極11aと受電装置2の能動電極21aとの間の容量Cmが大きいほど伝送効率は高いが、装置の小型化には反する。
また、周波数が高いほど容量結合を強められるが、周波数が高すぎる場合には電磁放射を無視することができない。そのため、送電装置1及び受電装置2の能動電極11a、21a及び受動電極11p、21pのサイズdに比べて波長λ1が十分に長い低周波数を用いる。すなわち、電力伝送に用いる周波数に対応する波長λ1が各電極のサイズdに対して十分に長い場合、すなわちd/λ1<<1の関係であれば、準静的な電場は送電装置1及び受電装置2の近傍にのみ存在し、電磁波としてエネルギーが放射されることはほとんどない。
なお、電磁波は電界と磁界の両方が伝搬方向に対し垂直であるのに対し、本発明の低周波数の準静電場を用いた電力伝送では、エネルギーが電界と同じ方向に伝送される。
(実施の形態2)
図6は、本発明の実施の形態2に係る電力伝送システムの構成を示す模式図である。実施の形態1と同様、送電装置1の結合電極11は、能動電極(第一の能動電極)11aと受動電極(第一の受動電極)11pとで構成され、受動電極11pは平板状の電極として、能動電極11aはメッシュ状の電極として、それぞれ互いに平行になるよう形成されている。なお、受動電極11pより能動電極11aの方が高電位である。
実施の形態1と同様、送電装置1の受動電極11pは平板状の電極として、能動電極11aはメッシュ状の電極として、それぞれ形成されており、受動電極11pと能動電極11aとは互いに平行に配置してある。ここで、平行とは正確に平行という意味ではなく、ほとんど平行であると判断できる範囲を含む概念である。
同様に、能動電極11aは正方形のメッシュ状となっており、能動電極11a側から平面視した場合、能動電極11aの空隙部から、平板状である受動電極11pが見えている。メッシュの繰り返し単位(メッシュ間隔)は、隣接する正方形の中心間距離に等しい。
本発明の実施の形態2に係る電力伝送システムの構成及びデータ通信部の構成は、実施の形態1と同様であるので、同一の符号を付することにより、詳細な説明は省略する。
送電装置1の能動電極11aと受動電極11pとは、300kHzの交流電圧を発生する電圧発生回路12及びインバータ13(第一の電圧発生回路)を介して接続されている。また、送電装置1の能動電極11aと受動電極11pとは、2.4GHzの交流電圧を発生する電圧発生回路(第二の電圧発生回路)32、ハイパスフィルタ35及びカプラ34を介して接続されている。
本実施の形態2では、電圧発生回路12及びインバータ13と電圧発生回路32とを、送電装置1の受動電極11p、能動電極11aと接続又は切断するよう切り換える切り換え手段として機能するコントローラ61を備えている。すなわち、コントローラ61は、電圧発生回路12及びインバータ13と送電装置1の受動電極11p、能動電極11aとをそれぞれ接続又は切断し、電圧発生回路32と送電装置1の受動電極11p、能動電極11aとをそれぞれ接続又は切断するよう切り換える。
例えば、所定の時間までは電圧発生回路12及びインバータ13と送電装置1の受動電極11p、能動電極11aとをそれぞれ接続し、電圧発生回路32と送電装置1の受動電極11p、能動電極11aとをそれぞれ切断する。この場合、電圧発生回路12で発生し、インバータ13で変換した比較的周波数の低い交流電圧により、送電装置1の能動電極11aと受電装置2の能動電極21aとが容量結合し、電力伝送を行う。
そして、所定の時間経過した後、今度は逆に電圧発生回路12及びインバータ13と送電装置1の受動電極11p、能動電極11aとをそれぞれ切断し、電圧発生回路32と送電装置1の受動電極11p、能動電極11aとをそれぞれ接続する。この場合、電圧発生回路32で発生した比較的周波数の高い交流電圧により、送電装置1のメッシュ状の能動電極11aの空隙部から漏れ出た電磁波を受電装置2のカプラ42が受信し、データ通信を行う。
図7は、本発明の実施の形態2に係る電力伝送システムの電力伝送とデータ通信との切り換え状態を示す模式図である。図7に示すように時分割で電力伝送とデータ通信とを切り換えることにより、周波数が互いに干渉することなく、効率良く電力伝送することができ、データ通信することができる。
つまり、時刻t0〜t1の間は、電圧発生回路12及びインバータ13と送電装置1の受動電極11p、能動電極11aとをそれぞれ切断し、電圧発生回路32と送電装置1の受動電極11p、能動電極11aとをそれぞれ接続する。したがって、時刻t0〜t1の間はデータ通信を行う。
次に、時刻t1〜t2の間は、電圧発生回路12及びインバータ13と送電装置1の受動電極11p、能動電極11aとをそれぞれ接続し、電圧発生回路32と送電装置1の受動電極11p、能動電極11aとをそれぞれ切断する。したがって、時刻t1〜t2の間は電力伝送を行う。以下、コントローラ61が電圧発生回路12及びインバータ13と電圧発生回路32とを、送電装置1の受動電極11p、能動電極11aと接続又は切断するよう切り換える切り換え手段として機能することにより、時分割で電力伝送とデータ通信とを切り換えながら行うことができる。
もちろん、時分割する時間が一定であることに限定されるものではなく、電力伝送を行う時間とデータ通信を行う時間とが一致する必要もない。
図8は、本発明の実施の形態2に係る電力伝送システムのコントローラ61の切り換え処理の手順を示すフローチャートである。なお、コントローラ61は、マイコン等のCPUを備える制御部であり、必要となる情報は、接続線を介して接続されているセンサ、電圧計等から取得する。
図8において、コントローラ61は、送電装置1を起動し(ステップS801)、受電装置2のカプラ42との間で通信することが可能であるか否かを判断する(ステップS802)。コントローラ61が、通信することが可能であると判断した場合(ステップS802:YES)、コントローラ61は、容量結合による送電装置1の能動電極11aの電圧変動を検出したか否かによって、電力伝送が可能であるか否かを判断する(ステップS803)。
コントローラ61が、電力伝送が可能であると判断した場合(ステップS803:YES)、コントローラ61は、データ通信と電力伝送の両方を実行し(ステップS804)、受電装置2が取り外されたか否かを判断する(ステップS805)。コントローラ61が、受電装置2が取り外されていないと判断した場合(ステップS805:NO)、コントローラ61は、処理をステップS804へ戻して、上述した処理を繰り返す。コントローラ61が、受電装置2が取り外されたと判断した場合(ステップS805:YES)、コントローラ61は、処理をステップS802へ戻して、上述した処理を繰り返す。
コントローラ61が、電力伝送が可能ではないと判断した場合(ステップS803:NO)、コントローラ61は、データ通信を実行し(ステップS806)、受電装置2が取り外されたか否かを判断する(ステップS807)。コントローラ61が、受電装置2が取り外されていないと判断した場合(ステップS807:NO)、コントローラ61は、処理をステップS806へ戻して、上述した処理を繰り返す。コントローラ61が、受電装置2が取り外されたと判断した場合(ステップS807:YES)、コントローラ61は、処理をステップS802へ戻して、上述した処理を繰り返す。
コントローラ61が、通信することが不可能であると判断した場合(ステップS802:NO)、コントローラ61は、電力伝送が可能であるか否かを判断する(ステップS808)。コントローラ61が、電力伝送が可能ではないと判断した場合(ステップS808:NO)、コントローラ61は、処理をステップS802へ戻して、上述した処理を繰り返す。
コントローラ61が、電力伝送が可能であると判断した場合(ステップS808:YES)、コントローラ61は、電力伝送のみを実行し(ステップS809)、受電装置2が取り外されたか否かを判断する(ステップS810)。コントローラ61が、受電装置2が取り外されていないと判断した場合(ステップS810:NO)、コントローラ61は、処理をステップS809へ戻して、上述した処理を繰り返す。コントローラ61が、受電装置2が取り外されたと判断した場合(ステップS810:YES)、コントローラ61は、処理をステップS802へ戻して、上述した処理を繰り返す。
2つの電圧発生回路12、32で発生する交流電圧の周波数が大きく相違していることから、周波数が互いに干渉することなく能動電極11aと受動電極11pとの間にそれぞれ電位差が生じる。もちろん、ハイパスフィルタ35、45により、データ通信用の周波数と電力伝送用の周波数とを十分に離調することができるようにしている。受電装置2の能動電極21aは、送電装置1の能動電極11aと容量結合し、交流電圧が伝送される。伝送された交流電圧は、最終的には負荷回路24へ渡される。
一方、送電装置1のメッシュ状の能動電極11aの空隙部から漏れ出た電磁波は、受電装置2のカプラ42で受信され、ハイパスフィルタ45を介して通信装置50へ渡される。このように、発生する交流電圧の周波数が大きく相違する電圧発生回路12、32を電力伝送用とデータ通信用とで別個に設けておき、両周波数を十分に離調するようハイパスフィルタ35、45を設けることにより、電力伝送の効率を落とすことなく、データ通信を行うことが可能となる。
以上のように本実施の形態2によれば、電力伝送用の電圧発生回路12及びデータ通信用の電圧発生回路32と、送電装置1の第一の受動電極11p、第一の能動電極11aとを接続又は切断するよう切り換えることができるので、電力伝送のみ、データ通信のみ、電力伝送とデータ通信との併用に切り換えることが可能となる。
その他、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内であれば多種の変形、置換等が可能であることは言うまでもない。
1 送電装置
2 受電装置
10 送電モジュール
11 結合電極
11a 能動電極(第一の能動電極)
11p 受動電極(第一の受動電極)
12 電圧発生回路(第一の電圧発生回路)
13 インバータ
14 昇圧トランス
20 受電モジュール
21 結合電極
21a 能動電極(第二の能動電極)
21p 受動電極(第二の受動電極)
22 降圧トランス
23 整流器
24 負荷回路
30 送信モジュール
32 電圧発生回路(第二の電圧発生回路)
33 増幅器
34、42 カプラ
35、45 ハイパスフィルタ
40 受信モジュール
43 高周波増幅器
44 電圧発生回路
50 通信装置
61 コントローラ(切り換え手段)

Claims (6)

  1. 第一の受動電極、該第一の受動電極より高電位である第一の能動電極、前記第一の受動電極と前記第一の能動電極との間に接続された第一の電圧発生回路及び第二の電圧発生回路を備える送電装置と、
    第二の受動電極、該第二の受動電極より高電位である第二の能動電極、及び電磁波を受信するカプラを有する受電装置と
    を備える電力伝送システムであって、
    前記送電装置は、前記第一の能動電極がメッシュ状に、前記第一の受動電極が平板状に、それぞれ互いに平行になるよう形成してあり、
    前記受電装置は、前記第二の能動電極及び前記第二の受動電極が、前記第一の能動電極及び前記第一の受動電極と平行になるように配置してあり、
    前記第一の電圧発生回路で発生する信号の周波数は、電力伝送用の第一の周波数であり、前記第二の電圧発生回路で発生する信号の周波数は、前記第一の周波数よりも高い、データ通信用の第二の周波数であることを特徴とする電力伝送システム。
  2. 前記第二の能動電極及び前記第二の受動電極は平板状に形成してあり、
    前記第一の能動電極の空隙部から漏れ出た電磁波を前記カプラで受信するようにしてあることを特徴とする請求項1記載の電力伝送システム。
  3. 前記第一の周波数は100kHz以上15MHz未満であり、前記第二の周波数は2.4GHz帯又は950MHz帯であることを特徴とする請求項1又は2記載の電力伝送システム。
  4. 前記第一の電圧発生回路及び前記第二の電圧発生回路と、前記第一の受動電極、前記第一の能動電極とを接続又は切断するよう切り換える切り換え手段を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電力伝送システム。
  5. 受電装置の第二の受動電極と容量結合する第一の受動電極と、
    前記受電装置の第二の能動電極と容量結合する第一の能動電極と、
    前記第一の受動電極と前記第一の能動電極との間に接続された第一の電圧発生回路及び第二の電圧発生回路と
    を備える送電装置であって、
    前記第一の能動電極はメッシュ状に、前記第一の受動電極は平板状に、それぞれ互いに平行になるよう形成してあり、
    前記第一の電圧発生回路で発生する信号の周波数は、電力伝送用の第一の周波数であり、前記第二の電圧発生回路で発生する信号の周波数は、前記第一の周波数よりも高い、データ通信用の第二の周波数であることを特徴とする送電装置。
  6. 送電装置の第一の受動電極と容量結合する第二の受動電極と、
    前記送電装置のメッシュ状の第一の能動電極と容量結合する第二の能動電極と、
    前記送電装置から電磁波を受信するカプラと
    を有し、
    前記第二の受動電極及び前記第二の能動電極は平板状の電極であり、前記第一の受動電極及び前記第一の能動電極と平行になるように配置してあり、
    前記第一の能動電極の空隙部から漏れ出た電磁波を前記カプラで受信するようにしてあることを特徴とする受電装置。
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