JP2012247072A - ボイラ台数運転制御システム - Google Patents
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Abstract
【課題】ボイラの台数運転において省エネルギーおよびCO2排出削減を実現するため、ボイラ停止回数を減少することのできるボイラ台数運転制御システムを提供する。
【解決手段】入力部1で入力された入力情報を用いて生産設備または需要家の蒸気の需要量を予測する蒸気需要量演算部2と、蒸気需要量演算部2で予測された蒸気需要量、入力部で入力されたボイラ状態量に基づき、運転計画期間のボイラの最大起動台数を計算し、起動する各ボイラの起動停止のヘッダー圧力を計算するボイラ台数運転計画演算部3と、ボイラ台数運転計画演算部3で計画された運転計画結果に基づきボイラ運転条件の指令を行うボイラ運転指令部4を備えた。
【選択図】 図2
【解決手段】入力部1で入力された入力情報を用いて生産設備または需要家の蒸気の需要量を予測する蒸気需要量演算部2と、蒸気需要量演算部2で予測された蒸気需要量、入力部で入力されたボイラ状態量に基づき、運転計画期間のボイラの最大起動台数を計算し、起動する各ボイラの起動停止のヘッダー圧力を計算するボイラ台数運転計画演算部3と、ボイラ台数運転計画演算部3で計画された運転計画結果に基づきボイラ運転条件の指令を行うボイラ運転指令部4を備えた。
【選択図】 図2
Description
本発明は、製造工場や地域冷暖房などに用いられる熱源供給設備において、台数運転され蒸気を供給するボイラの起動停止の際の余分なエネルギー消費を低減することにより、省エネルギーおよびCO2削減を実現するボイラ台数運転制御システムに関する。
近年、地球温暖化防止が喫緊の課題となっており、エネルギー消費に起因するCO2排出を削減することが求められている。製造業では、石油ショックを契機に、製造プロセスの改変,省エネ機器の導入,燃料転換等による省エネルギー化が積極的に進められ、エネルギー消費量はほぼ横ばいで推移している。
しかし、製造業のエネルギー消費量は、国内の約40%であり、依然として高い割合を占めている。今後、更なる省エネルギー化,CO2排出削減を実現するためには、工場内の電気,蒸気,温冷水等のエネルギー供給を行う用役設備の余分なエネルギー消費を低減する運転が求められている。なかでも、空調での暖房や生産工程での蒸留,洗浄,殺菌,濃縮,加熱,乾燥等に使用される蒸気を供給するボイラ設備の消費エネルギーは大きい。
近年、ボイラの使用に伴い発生するCO2を削減するため、燃料の重油をLNGに変更する燃料転換を進めると共に、低負荷率では効率の低い大型のボイラを廃止し、複数の高効率の小型ボイラを台数運転して、ボイラの運転効率を向上したシステムの導入が増大している。
小型ボイラの台数運転の従来技術としては、例えば〔特許文献1〕に記載のように、複数のボイラで生成された蒸気を合流する圧力ヘッダーの圧力を計測して、予め設定された圧力範囲内でヘッダー圧力に応じて各ボイラの起動・停止台数を決定する制御技術が普及している。
一般に、小型貫流ボイラの台数運転システムでは、ヘッダー圧力の変動によってボイラ燃焼台数の増減を行う。図5に従来のボイラ台数運転の制御パターンの一例を示す。
小型貫流ボイラの燃焼制御方式は、高燃焼(100%燃焼)状態,低燃焼(50%燃焼)状態,燃焼停止(0%燃焼)を繰返す三位置制御が採用されている。ボイラを全台起動する最低圧力PL、ボイラを全台停止する最高圧力をPHとすると、(PH−PL)の圧力差の範囲内を、設置されたボイラの台数で分担するようにし、ヘッダー圧力に応じてボイラの起動台数を比例分配制御により決定するようにしている。
ヘッダー圧が最高圧力PLに達するとボイラは全台停止し、圧力が低下し設定された圧力に達すると予め決められた順番でボイラが起動して低燃焼(50%燃焼)状態になり、さらに圧力が低下すると高燃焼(100%燃焼)状態となる。その後、圧力が低下すると2台目のボイラが起動して、低燃焼(50%燃焼)状態,高燃焼(100%燃焼)状態へと変化する。
2台目のボイラを起動してもさらにヘッダー圧が低下すると、順番にボイラが起動し、最低圧力PLに達すると全台が起動して高燃焼(100%燃焼)状態となる。その後ヘッダー圧が上昇すると、圧力の上昇に伴いボイラが順番に停止する。
一般に、小型貫流ボイラでは、高燃焼(100%燃焼)状態と低燃焼(50%燃焼)状態の運転効率は同等で高効率であるため、蒸気需要に応じて必要な台数のボイラを起動することにより、蒸気需要の全範囲にわたって高効率でボイラを運転できるため、省エネルギーを実現することが可能となる。
しかし、ボイラを停止した場合、安全上の理由から送風を行い、排気ガスをボイラ内から排出するため、燃焼停止時のポストパージおよび再着火時のプレパージが実施される。
その際、ボイラは常温まで冷却されるため、再起動時に運転時の温度に戻すために余分に燃料を投入する必要がある。
その際、ボイラは常温まで冷却されるため、再起動時に運転時の温度に戻すために余分に燃料を投入する必要がある。
その結果、図6に示すように、連続運転で高効率のボイラでも間欠運転の割合が大きくなると効率が低下し、ボイラの起動停止回数が多くなるほど、余分なエネルギー消費が大きくなり、CO2排出量が増大するという問題がある。
ボイラの起動停止回数が増大する要因の一つとして、蒸気需要量とボイラ容量のミスマッチがある。一般に、ボイラの台数制御では、製造工場等の対象部署の最大蒸気需要量を賄うようにボイラ容量および台数が決定されている。
しかし、通常運転時の蒸気需要量は、必ずしも最大蒸気需要量でない場合が多い。圧力制御による台数運転方法は、蒸気需要量の急激な変化に柔軟に追随することを目的とし、ヘッダー圧力の変化から必要なボイラ起動台数を制御するフィードバック制御である。しかし、蒸気需要予測の情報を利用していないため、蒸気需要量の小さい状況が続いても不要なボイラを完全に停止することができず、起動停止の頻度が高いまま運転を継続している。
図7に製造工場での蒸気需要パターンの一例を示す。このケースは、製造工場での塗装設備を対象にしたものであり、蒸気は塗装用の液体が入ったタンクの昇温に使用される。
一日の生産開始前から一定時間、常温まで低下した塗装タンク内部を一定温度に昇温するため、大量の蒸気が使用される。塗装タンクの温度が一定温度に達した後は、塗装するための製品をタンクに投入した際の製品温度の昇温、および塗装設備全体の放熱による温度低下防止のために蒸気は供給され、蒸気使用量は塗装タンク内部を昇温する場合に比べて小さいものとなる。
一日の生産開始前から一定時間、常温まで低下した塗装タンク内部を一定温度に昇温するため、大量の蒸気が使用される。塗装タンクの温度が一定温度に達した後は、塗装するための製品をタンクに投入した際の製品温度の昇温、および塗装設備全体の放熱による温度低下防止のために蒸気は供給され、蒸気使用量は塗装タンク内部を昇温する場合に比べて小さいものとなる。
図5に示すように、ボイラ運転の圧力変動幅を全ボイラ台数で分担するため、ボイラ台数が多いほど許容される1台当りの圧力変動幅は小さくなる。その結果、ボイラの起動停止頻度が増大し、余分なエネルギー消費が発生することになる。
本発明の目的は、ボイラの台数運転において省エネルギーおよびCO2排出削減を実現するため、ボイラ起動停止回数を減少することのできるボイラ台数運転制御システムを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明のボイラ台数運転制御システムは、使用される蒸気の需要量の予測または実際の蒸気使用量の計測により蒸気需要量を評価し、その評価結果に基づいて、計画期間内のボイラの最大起動台数を評価し、評価したボイラ台数で圧力制御による台数運転を実施するものである。
本発明によれば、ボイラの起動停止頻度が低減され、ボイラ停止時に行う排気ガスのパージによるエネルギーの消費を低減することができるため、省エネルギーおよびCO2削減を実現するボイラ運転制御システムを提供できる。
本発明の実施形態は、工場等で使用される蒸気の需要量の予測または実際の蒸気使用量の計測により蒸気需要量を評価し、その評価結果に基づいて計画期間内のボイラの最大起動台数を評価し、評価したボイラ台数で圧力制御による台数運転を実施するものである。
本実施例によれば、ボイラの起動停止頻度が低減され、ボイラ停止時に排気ガスのパージによるエネルギーの消費を低減することができるため、省エネルギーおよびCO2削減を実現するボイラ運転制御システムを提供できる。
図1に本発明の一実施例のボイラ台数運転最適制御システムの構成を示す。
本システムは、製造工場での生産計画,製造処方,気象予報,生産設備状態量及びボイラ状態量を含む情報を入力する入力部1、入力部1で入力された生産計画,製造処方,気象予報,生産設備状態量及びボイラ状態量を含む情報に基づき生産設備での蒸気需要量を予測する生産設備の蒸気需要量演算部2、生産設備の蒸気需要量演算部2で予測された蒸気需要量、入力部1で入力されたボイラ状態量に基づき、運転計画期間のボイラの最大起動台数を計算し、各ボイラの起動停止のヘッダー圧力を設定するボイラ台数運転計画演算部3、ボイラ台数運転計画演算部3で計画された運転計画結果に基づきボイラ運転条件の指令を行うボイラ運転指令部4、入力情報,演算結果,運転指令の結果を表示する結果表示部5、入力情報,演算結果,運転計画結果,運転指令の結果を記憶するデータ記憶部6で構成される。
図2に本実施例のボイラ台数運転制御の評価フロー図を示す。
ステップ10で、生産計画,製造処方,気象予報,生産設備状態量,ボイラ状態量などの情報を入力する。
ステップ11で、生産計画,製造処方,気象予報,生産設備状態量,ボイラ状態量などの情報に基づき、蒸気需要量を予測する。
ステップ12で、蒸気需要パターンに応じて運転計画期間を複数設定し、それぞれの運転計画期間内のボイラ最大運転台数を設定する。
ステップ13で、台数運転を行う場合のヘッダー圧力の最大値PHと最小値PLを設定し、各ボイラの起動圧力および停止圧力を設定する。ボイラの高燃焼(100%燃焼)以外に低燃焼(50%燃焼)等の部分負荷条件がある場合は、そのときのヘッダー圧力も設定する。ここで、運転計画期間内で運転時間を長く設定するボイラほど、圧力変動幅を大きくするように調整する。
ステップ14で、ボイラの起動停止および部分負荷運転の指令を各ボイラへ指令を出力する。
図3に、本実施例のボイラ台数運転方法における蒸気需要パターンの一例を示す。このケースでは、蒸気容量Qの小型ボイラが4台設置され、時間帯Aで蒸気需要量3.5Qが発生し、時間帯Bで蒸気需要量1.5Qが発生している。従来のボイラ台数運転では、いずれの時間帯(A,B)においても、ボイラの最大起動台数は4台としている。
それに対して、本実施例では、過去の実績または工場の生産計画および製造処方に基づき蒸気需要量を予測するため、時間帯Aではボイラ4台で台数運転を行い、時間帯Bではボイラ2台で台数運転を行うことができる。
図4に時間帯Bにおいて、ボイラ最大運転台数が4台と2台の場合におけるボイラ運転パターンの比較を示す。本実施例では、ボイラの燃焼制御方法は、停止(0%)と起動(高燃焼:100%)の制御とする。従来方式では、運転可能ボイラ台数は4台のため、圧力変動範囲(PH−PL)は4分割されるため、ボイラ1台当りの圧力変化幅は(PH−PL)/4となる。一方、本実施例の運転可能ボイラ台数は2台であるため、ボイラ1台当りの圧力変化幅は(PH−PL)/2となる。
時間帯Bでの蒸気需要量は1.5Qのため、どちらの場合もボイラ1台運転と2台運転を断続的に繰返す運転となる。本実施例の場合、ボイラ1台当りの圧力変動幅は従来方式の2倍のため、圧力が変化する一周期の時間が2倍になり、その結果、ボイラの起動回数は1/2となる。
本実施例では、ボイラの圧力制御幅をボイラ最大起動台数で均等に分割したが、各ボイラの圧力変動幅は必ずしも均等である必要はない。1台当りの圧力変動幅が大きいほど、そのボイラの起動停止回数は低減されるため、蒸気需要予測結果に基づき、計画期間内で運転時間を長く設定するボイラの圧力変動幅を大きくして、ボイラの起動停止頻度を低減する。この結果、省エネルギー運転となりCO2排出量は削減されることになる。
以上より、本実施例に示すように、蒸気需要予測量に基づき、複数のボイラ制御計画期間を選定し、それぞれの期間においてボイラの最大起動台数を決定し、各ボイラを起動,停止,部分負荷運転する圧力を設定することにより、燃焼停止のポストパージおよび再着火時のプレパージによるボイラの冷却回数が低減されるため、余分な燃料消費が低減されることになり、省エネルギーおよびCO2排出量削減を行うことができる。
化学プラントや組立工場のような製造工場および地域に冷暖房用の熱エネルギーを供給する地域冷暖房の熱源供給設備において、ボイラ台数運転での無駄な起動停止回数を低減することにより、ボイラ設備で消費するエネルギーを削減することができる台数運転方法およびシステムを提供できる。
1 入力部
2 蒸気需要量演算部
3 ボイラ台数運転計画演算部
4 ボイラ運転指令部
5 結果表示部
6 データ記憶部
7 ボイラ
2 蒸気需要量演算部
3 ボイラ台数運転計画演算部
4 ボイラ運転指令部
5 結果表示部
6 データ記憶部
7 ボイラ
Claims (4)
- 製造工場や地域冷暖房の熱源供給設備の一部を構成するボイラの台数運転制御システムであって、前記製造工場での生産計画,製造処方,気象予報,過去の蒸気使用実績データ,生産設備状態量及びボイラ状態量を含む入力情報を入力する入力部と、該入力部で入力された前記入力情報を用いて生産設備または需要家の蒸気の需要量を予測する蒸気需要量演算部と、該蒸気需要量演算部で予測された蒸気需要量、入力部で入力されたボイラ状態量に基づき、運転計画期間のボイラの最大起動台数を計算し、起動する各ボイラの起動停止のヘッダー圧力を計算するボイラ台数運転計画演算部と、該ボイラ台数運転計画演算部で計画された運転計画結果に基づきボイラ運転条件の指令を行うボイラ運転指令部を備えたボイラ台数運転制御システム。
- 前記入力情報と演算結果と運転指令結果を記憶する記憶部と、前記入力情報と演算結果と運転指令結果を表示する結果表示部を備えたことを特徴とする請求項1に記載のボイラ台数運転制御システム。
- 前記ボイラ台数運転計画演算部において、ボイラ最大起動台数を設定する運転計画期間は、蒸気需要予測結果に基づき、蒸気需要パターンに応じて複数区間設定し、それぞれの区間領域に対してボイラの最大起動台数を設定することを特徴とした請求項1又は2に記載のボイラ台数運転制御システム。
- 前記ボイラ台数運転計画演算部において、台数運転を実施するために選定されたボイラ毎に、起動,停止,部分負荷運転の圧力を設定する際に、運転計画期間内で運転時間の長いボイラほど、圧力変動幅を増大するように調整することを特徴とした請求項1から3のいずれかに記載のボイラ台数運転制御システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011116474A JP2012247072A (ja) | 2011-05-25 | 2011-05-25 | ボイラ台数運転制御システム |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2011116474A JP2012247072A (ja) | 2011-05-25 | 2011-05-25 | ボイラ台数運転制御システム |
Publications (1)
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014153010A (ja) * | 2013-02-12 | 2014-08-25 | Ihi Packaged Boiler Co Ltd | ボイラ運転条件設定装置 |
JP2015140974A (ja) * | 2014-01-29 | 2015-08-03 | 三浦工業株式会社 | ボイラシステム |
-
2011
- 2011-05-25 JP JP2011116474A patent/JP2012247072A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20140805 |