JP2012234722A - 電池、電子機器、電力システムおよび電動車両 - Google Patents

電池、電子機器、電力システムおよび電動車両 Download PDF

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Abstract

【課題】セル本体と保護回路の回路ブロックとを別々に樹脂成形することによって、成形不良が発生する割合を少なくし、さらに、回路ブロックの大きさを統一して生産効率を向上し、さらに、ランニングコストを低下でき、省資源化を図る。
【解決手段】セル本体は、1または複数のセルの外表面の少なくとも一部を第1の樹脂により被覆したものである。回路ブロックは、セルの保護回路を第2の樹脂により被覆したものである。セル本体の一面と回路ブロックの一面とを対向させた状態で、セルおよび保護回路が第1および第2の接続部によって電気的に接続される。
【選択図】図1

Description

本開示は、例えば2次電池の電池と、電池を使用する電子機器、電力システムおよび電動車両に関する。
リチウムイオン2次電池等のセルを含む電池パックは、モバイル電子機器、電動車両、バックアップ電源等として広く使用されている。一般的に、電池パックは、1または複数の2次電池(セル)と、電池の電圧、電流、温度を検出する検出部を含む保護回路とがラミネートフィルム、合成樹脂ケース等の外装によって一体化されている構成とされる。電池パックは、認証抵抗、認証回路を有する場合もある。
電子機器の小型軽量化実現のために、電池設計も軽く、薄型であり、かつ機器内の収納スペースを効率的に使うことが求められている。このような要求を満たす電池として、エネルギー密度および出力密度の大きいリチウムイオン2次電池が最も好適である。
リチウムイオン2次電池は、リチウムイオンをドープ・脱ドープすることができる正極及び負極を有する電池素子を備え、この電池素子を金属缶や金属ラミネートフィルムに封入すると共に、電池素子と電気的に接続した回路基板によって制御するようになっている。
中でも、従来の液系電解液を用いた場合に問題となる電解液の液漏れを防止するために、ゲル状のポリマー電解質を用いたリチウムイオンポリマー2次電池が広く用いられている。リチウムイオンポリマー2次電池は、電極端子を接続し、両面にポリマー電解質を塗布した帯状の正極および負極をセパレータを介して積層した後、長手方向に巻回して電池素子を作製する。そして、この電池素子をラミネートフィルムで外装して電池セルとし、電池セルを樹脂モールドケースに収納することにより、電池パックとしている。
特許文献1に記載されているように、組立工程を極めて簡単にできる電池パックとして、外装ケースを使用しないパック電池が提案されている。すなわち、回路基板を電池に連結して電池部品とし、この電池部品を樹脂成形する金型の成形室に仮り止めし、成形室に溶融状態の合成樹脂を注入して電池パックが製造される。樹脂成形部は、電池パックの外装ケースを形成すると共に、回路基板や接続端子や電池を一体的に固定することができる。
特開2008−140757号公報
従来の樹脂成形一体型の電池パックは、セルと回路基板とを一体に成形する場合、両者の隙間に樹脂が流れ込まない問題が発生するおそれがあった。さらに、保護回路が実装された回路基板をセルの大きさに合致させる必要があり、セルの大きさ毎に異なるサイズの回路基板を必要とし、生産効率の点で問題があった。さらに、セルまたは保護回路が劣化した場合でも、一体構成のために、セルおよび保護回路の両方を交換する必要があり、ランニングコストの上昇の原因となり、省資源の点で問題があった。
したがって、本開示は、これらの問題を解決することができる電池、電子機器、電力システムおよび電動車両の提供を目的とする。
上述した課題を解決するために、本開示による電池は、1または複数のセルの外表面の少なくとも一部を第1の樹脂により被覆したセル本体と、
セルの保護回路を第2の樹脂により被覆した回路ブロックと、
セル本体の一面と回路ブロックの一面とを対向させた状態で、セルおよび保護回路を電気的に接続する第1および第2の接続部と
を有する電池である。
好ましくは、1または複数のセルは、フィルム包装体により電池素子を包装してなるものである。
第1および第2の樹脂が同一の材料とされる。
第1および第2の樹脂が異なる材料とされる。
第1および第2の樹脂が反応硬化性樹脂である。
第1の樹脂が反応硬化性樹脂であり、第2の樹脂が熱可塑性樹脂である。
第1および第2の樹脂が、ウレタン、エポキシ、シリコン、アクリルから選ばれる。
セル本体に認証部が設けられ、認証部によって、電池と接続される充電器または電子機器が該電池を認証するようになされ、セル本体と回路ブロックとの誤接続を認証部によって、検出する。
上述した電池を有し、電池から電力の供給を受ける電子機器である。
上述した電池が再生可能エネルギーから発電を行う発電装置によって充電される電力システムである。
上述した電池から、電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する変換装置と、電池に関する情報に基いて車両制御に関する情報処理を行なう制御装置とを有する電動車両である。
他の機器とネットワークを介して信号を送受信する電力情報送受信部を備え、
電力情報送受信部が受信した情報に基づき、上述した電池の充放電制御を行う電力システムである。
上述した電池から、電力の供給を受け、発電装置または電力網から電池に電力を供給する電力システムである。
本開示によれば、セル本体と保護回路の回路ブロックとを別々に樹脂成形するので、従来の樹脂成形一体型の電池パックと比較して成形不良が発生する割合を少なくすることができる。さらに、回路ブロックの大きさを統一することができ、生産効率を向上できる。さらに、セルまたは保護回路が劣化した場合、劣化したもののみを交換すれば良いので、ランニングコストを低下でき、省資源化を図ることができる。
回路ブロックおよびセル本体の第1の例の平面図である。 電池素子の外装フィルムによる被覆工程の説明に用いる略線図である。 電池素子の説明に用いる斜視図である。 セル本体の成型部を樹脂成形する時の説明に用いる略線図である。 回路ブロックおよびセル本体の第2の例の平面図である。 回路ブロックおよびセル本体の第3の例の平面図である。 回路ブロックおよびセル本体の第4の例の平面図である。 回路ブロックとセル本体との間の電気的接続の説明に使用する平面図、正面図、断面図である。 本開示の回路ブロックに使用できる既存の電池パックの回路構成を示すブロック図である。 既存の電池パックの概略的な構成を示すブロック図である。 本開示による電池の電気的構成の一例を示すブロック図である。 本開示による電池の電気的構成の他の例を示すブロック図である。 本開示による電池の電気的構成のさらに他の例を示すブロック図である。 電池の応用例を説明するためのブロック図である。 電池の応用例を説明するためのブロック図である。
以下、この本開示の実施の形態について説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、この発明の好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、この発明の範囲は、以下の説明において、特にこの発明を限定する旨の記載がない限り、これらの実施の形態に限定されないものとする。
「電池の第1の例」
図1に示すように、本開示による電池は、回路ブロック1とセル本体10とから構成される。セル本体10は、偏平な直方体の外観を有し、1または複数のセル31が反応硬化性樹脂からなる成型部(外装体)11によって被覆された構成を有する。図の例では、セル31の全体が成型部11によって被覆されているが、一部が外部に露呈していても良い。例えばセル31の主面(上面および/または底面)が外部に露呈しても良い。セル31は、電池素子をアルミニウムのラミネートフィルムによって被覆したものである。
回路ブロック1とセル本体10とが離脱自在に一体化される。さらに、一体化された回路ブロック1とセル本体10とは、表面に巻き付けられるラベルによって、一体化状態が保持されるようになされる。
図1に示す第1の例では、セル本体10の一方の端面から奥行き方向に延びる係止用穴12aおよび12bが形成される。係止用穴12aおよび12bに対して回路ブロック1の対向端面から突出された係止用ピン2aおよび2bがそれぞれ挿入される。係止用ピン2aおよび2bは、可撓性を有し、その段部が係止用穴12aおよび12bの内面の段部と係止されることによって、対向する端面同士が近接または接触する状態が保持される。なお、回路ブロック1とセル本体10との間の電気的接続構成については後述する。
回路ブロック1は、保護回路が実装された回路基板3を反応硬化性樹脂により成形してもので、成型部4を有し、断面がほぼ正方形の角筒状とされている。この例では、保護回路がPTC(Positive Temperature Coefficient)5を有する。PTC5は、温度の上昇に対して抵抗が増大するサーミスタである。PTC5は、電流を流すと自己発熱により抵抗が増大するもので、発熱に伴ってPTC自体が膨張する。PTC5は、電流が過大となった場合に、電流を制限する素子として使用される。なお、回路基板3は、セル本体10の対向端面と平行する向きとされているが、対向端面と直交する向きに回路基板を配置しても良い。
回路基板3には、PTC5の他、保護IC(Integrated Circuit)、スイッチ部としてのFET(Field Effect Transistor: 電界効果トランジスタ)、電池を識別するための
ID抵抗等がマウントされ、更に複数個の接点部が形成されている。回路基板3にマイクロコンピュータが設けられる場合もある。
2次電池の端子電圧が例えば4.3V〜4.4V(1本当たり)を超えると、発熱・発火など危険な状態になる可能性がある。このため、保護回路は2次電池の電圧を監視し、電圧が4.3V〜4.4Vを越えて過充電状態となった場合には充電制御FETをオフして充電を禁止する。さらに2次電池の端子電圧が放電禁止電圧以下まで過放電し、2次電池電圧が0Vになると2次電池が内部ショート状態となり再充電不可能となる可能性がある。このため、2次電池電圧を監視して過放電状態となった場合には放電制御FETをオフして放電を禁止する。
「セルの一例」
セルの一例について説明する。セルは、図2および図3に示すように、正極21と負極22とをセパレータ23a,23bを介して巻回又は積層して成る電池素子20を包装体であるラミネートフィルム27で包装したものである。図2に示すように、包装体であるラミネートフィルム27に形成した矩形板状の凹部27aに電池素子20が収容され、その周辺部(折曲部を除く三辺)が熱溶着・封止される。ラミネートフィルム27を接合する部分がテラス部である。凹部27aの両側のテラス部が凹部27aの方向に向けて折り曲げられる。
なお、包装体であるラミネートフィルム27としては、従来公知の金属ラミネートフィルム、例えば、アルミニウムラミネートフィルムを用いることができる。アルミニウムラミネートフィルムとしては、絞り加工に適し、電池素子20を収容する凹部27aを形成するのに適したものがよい。
通常、アルミニウムラミネートフィルムは、アルミニウム層の両面に接着層と表面保護層が配設された積層構造を有するもので、内側、即ち電池素子20の表面側から順に、接着層としてのポリプロピレン層(PP層)、金属層としてのアルミニウム層および表面保護層としてのナイロン層又はポリエチレンテレフタレート層(PET層)が配設される。
また、包装体であるラミネートフィルム27としては、アルミニウムラミネートフィルムのほかに、一層又は二層のフィルムであり且つポリオレフィンフィルムを含むものとすることができる。ラミネートフィルム27の厚さは、例えば0.2mm以下である。
図3に示すように、帯状の正極21と、セパレータ23aと、正極21と対向して配置された帯状の負極22と、セパレータ23bとが順に積層され、積層体が長手方向に巻回される。正極21および負極22の両面にはゲル状の電解質24が塗布されている。電池素子20からは、正極21と接続された正極リード25aと、負極22と接続された負極リード25bとが導出されている。正極リード25aおよび負極リード25bには、後に外装するラミネートフィルム27との接着性を向上させるために、無水マレイン酸変性されたポリプロピレン(PPa)等の樹脂片であるシーラント26aおよび26bが被覆されている。
電池素子20の構成要素についてより具体的に説明する。但し、以下に述べる構成以外のセルに対しても、本開示を適用することができる。例えば電解質は、ゲル状のものに限らず、液状、固体状のものを使用しても良い。さらに、帯状の正極と、セパレータと、負極とを巻く形式ではなく、プレート状のこれらの構成要素を積層する形式のセルに対しても本開示を適用できる。
(正極)
正極21は、正極活物質を含有する正極活物質層が正極集電体の両面上に形成されてなるものである。正極集電体としては、例えばアルミニウム(Al)箔,ニッケル(Ni)箔あるいはステンレス(SUS)箔などの金属箔が用いられる。
正極活物質層は、例えば正極活物質と、導電剤と、結着剤とを含有して構成されている。正極活物質としては、LiXMO2(式中、Mは、一種以上の遷移金属を表し、xは、セルの充放電状態によって異なり、通常0.05以上1.10以下である)を主体とする、リチウムと遷移金属との複合酸化物が用いられる。リチウム複合酸化物を構成する遷移金属としては、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)およびマンガン(Mn)等が用いられる。
このようなリチウム複合酸化物として、具体的には、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、マンガン酸リチウム(LiMn24)等が挙げられる。また、遷移金属元素の一部を他の元素に置換した固溶体も使用可能である。例えば、ニッケルコバルト複合リチウム酸化物(LiNi0.5Co0.52、LiNi0.8Co0.22等)がその例として挙げられる。これらのリチウム複合酸化物は、高電圧を発生でき、エネルギー密度が優れたものである。さらに、正極活物質としてTiS2、MoS2、NbSe2、V25等のリチウムを有しない金属硫化物または金属酸化物を使用してもよ
い。正極活物質としては、これら材料を複数混合して用いてもよい。
また、導電剤としては、例えばカーボンブラックあるいはグラファイトなどの炭素材料等が用いられる。また、結着剤としては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等が用いられる。また、溶剤としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン(NMP)等が用いられる。
(負極)
負極22は、負極活物質を含有する負極活物質層が負極集電体の両面上に形成されてなるものである。負極集電体としては、例えば銅(Cu)箔、ニッケル(Ni)箔あるいはステンレス(SUS)箔などの金属箔が用いられる。
負極活物質層は、例えば負極活物質と、導電剤と、結着剤とを含有して構成されている。負極活物質としては、リチウム金属、リチウム合金またはリチウムをドープ・脱ドープ可能な炭素材料または金属系材料と炭素系材料との複合材料が用いられる。具体的に、リチウムをドープ・脱ドープ可能な炭素材料としてはグラファイト、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素等が挙げられ、より具体的には熱分解炭素類、コークス類(ピッチコークス、ニードルコークス、石油コークス)、黒鉛類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体(フェノール樹脂、フラン樹脂等を適当な温度で焼成し炭素化したもの)、炭素繊維、活性炭等の炭素材料を使用することができる。さらに、リチウムをドープ、脱ドープできる材料としては、ポリアセチレン、ポリピロール等の高分子やSnO2、Li4Ti512といっ
たLxTiyOz系等の酸化物を使用することができる。
また、リチウムを合金化可能な材料としては多様な種類の金属等が使用可能であるが、スズ(Sn)、コバルト(Co)、インジウム(In)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)およびこれらの合金がよく用いられる。金属リチウムを使用する場合は、必ずしも粉体を結着剤で塗布膜にする必要はなく、圧延したリチウム金属板でも構わない。
結着剤としては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVdF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)等が用いられる。また、溶剤としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン(NMP)、メチルエチルケトン(MEK)、蒸留水等が用いられる。
(電解質)
電解質は、リチウムイオン2次電池に一般的に使用される電解質塩と非水溶媒が使用可能である。非水溶媒としては、具体的には、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、γ−ブチロラクトン、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、またはこれらの炭酸エステル類の水素をハロゲンに置換した溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は1種類を単独で用いてもよいし、複数種を所定の組成で混合してもよい。
電解質塩としては、非水溶媒に溶解するものが用いられ、カチオンとアニオンが組み合わされてなる。カチオンにはアルカリ金属やアルカリ土類金属が用いられる。アニオンには、Cl-,Br-,I-,SCN-,ClO4 -,BF4 -,PF6 -,CF3SO3 -等が用いら
れる。具体的には、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(
LiBF4)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(CF3SO22)、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(C25SO22)過塩素酸リチウム(LiClO4)等が挙げられる。電解質塩濃度としては、溶
媒に溶解することができる濃度であれば問題ないが、リチウムイオン濃度が非水溶媒に対して0.4mol/kg以上2.0mol/kg以下の範囲であることが好ましい。
ポリマー電解質を用いる場合は、非水溶媒と電解質塩とを混合してゲル状とした電解液をマトリクスポリマに取り込むことでポリマー電解質を得る。マトリクスポリマは、非水溶媒に相溶可能な性質を有している。このようなマトリクスポリマとしては、シリコンゲル、アクリルゲル、アクリロニトリルゲル、ポリフォスファゼン変性ポリマー、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドおよびこれらの複合ポリマーや架橋ポリマー、変性ポリマー等が用いられる。また、フッ素系ポリマーとして、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ化ビニリデン(VdF)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)とを繰り返し単位に含む共重合体、フッ化ビニリデン(VdF)とトリフルオロエチレン(TFE)とを繰り返し単位に含む共重合体等のポリマーが挙げられる。このようなポリマーは、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
ポリマー電解質中にはSi、Al、Ti、Zr、Wの何れかを含む金属酸化物、乃至複合酸化物を含むことが好ましい。 異常時の絶縁性を確保し、安全性、信頼性を高めると共に、高温時の膨れ抑制効果も期待できるからである。
(セパレータ)
セパレータ23aおよび23bは、例えばポリプロピレン(PP)あるいはポリエチレン(PE)などのポリオレフィン系の材料よりなる多孔質膜、またはセラミック製の不織布などの無機材料よりなる多孔質膜により構成されており、これら2種以上の多孔質膜を積層した構造とされていてもよい。中でも、ポリエチレン、ポリプロピレンの多孔質フィルムが最も有効である。
一般的にセパレータの厚みは5μm以上50μm以下が好適に使用可能であるが、7μm以上30μm以下がより好ましい。セパレータは、厚すぎると活物質の充填量が低下して電池容量が低下するとともに、イオン伝導性が低下して電流特性が低下する。逆に薄すぎると、膜の機械的強度が低下する。
「樹脂成形装置」
図4を参照してセル本体10の成型部11の形成について説明する。概略的に表すセル31が成形装置の金型のキャビティ(成型空間)に収納される。なお、複数のセルを樹脂成形するようにしても良い。金型は、上型41および下型42からなり、上型41の下型42との接合面は、平面とされている。
一方の型例えば下型42に2個のゲート穴43aおよび43bが設けられている。ゲート穴43aは、成形時に樹脂が流れ込む通路であり、ゲート穴43bは、成形時に樹脂が吐き出される通路である。上型41および下型42は、金属、プラスチック、またはセラミック材料からなる。
図4Aおよび図4Bに示すように、上型41および下型42の両者によって成型用のキャビティが形成され、キャビティ内にセル31が収納される。ゲート穴43aからキャビティ内に成型部11となる樹脂が注入され、ゲート穴43bから樹脂が吐き出される。図4Cおよび図4Dに示すように、樹脂の硬化後に、上型41および下型42が離型され、セル31が成型部11により被覆されたセル本体10が成形される。
なお、使用する上型41および下型42は、そのキャビティに溶融成型材料を導くゲートを2本以上具備している。したがって、得られたセル本体には、ゲートに対応した成型材料の余剰分が、外装材の何れかの部分に硬化して残存することになり、本開示では、かかる余剰の成型材料をトリミングして削除するようになされる。
「成型部の樹脂」
成型部11は、低温成型のために、熱と反応して硬化する熱硬化性樹脂、紫外線と反応して硬化する紫外線硬化樹脂などの反応硬化性樹脂で構成される。成型部11は、反応硬化性樹脂が硬化されることにより形成された樹脂成形部材である。
(反応硬化性樹脂)
反応硬化性樹脂としては、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。中でも、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
(ウレタン樹脂)
ウレタン樹脂は、ポリオールとポリイソシアネートとから製造されるものである。ウレタン樹脂としては、以下で定義する絶縁性ポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。絶縁性ポリウレタン樹脂は、25±5℃、65±5%RHで測定した体積固有値(Ω・cm)が、1010Ω・cm以上の硬化物を得ることができるものをいう。絶縁性ポリウレタン樹脂としては、誘電率が6以下で(1MHz)、絶縁性破壊電圧が15KV/mm以上のものが好ましい。
絶縁性ポリウレタン樹脂は、ポリオールの酸素含有率、溶出イオン濃度または溶出イオンの種類の数などを調整することによって、得られる絶縁性硬化物の体積固有抵抗値を、1010Ω・cm以上、好ましくは1011Ω・cm以上に調整して得ることができる。特に体積固有抵抗値が1011Ω・cm以上であると、硬化物の絶縁性が良好に保持され、2次電池の保護回路基板と一括封止できる。体積固有抵抗値の測定は、JIS C 2105に従って行う。25±5℃、65±5%RHで、サンプル(厚さ:3mm)に500Vの測定電圧を印加し、60秒後の数値を測定する。
ウレタン樹脂としては、ポリエステルポリオールを用いたポリエステル系、ポリエーテルポリオールを用いたポリエーテル系、その他のポリオールを用いたウレタン樹脂などが挙げられる。これらは1種で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。また、ポリオールは、粉体を含有してもよい。この粉体として、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、カーボンなどの無機粒子、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリウレタン、ポリフェノールなどの有機高分子の粒子などが使用できる。これらは、単独または混合物として使用できる。粒子の表面は表面処理が施されても良く、ポリウレタン、ポリフェノールはフォーム粉で使用されてもよい。さらに、本開示において使用される紛体には多孔質のものも含まれる。
(ポリオール)
(ポリエステル系)
ポリエステル系のポリオールは、脂肪酸とポリオールとの反応物である。脂肪酸としては、例えば、リシノール酸、オキシカプロン酸、オキシカプリン酸、オキシウンデカン酸、オキシリノール酸、オキシステアリン酸、オキシヘキサンデセン酸のヒドロキシ含有長鎖脂肪酸などが挙げられる。
脂肪酸と反応するポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコールおよびジエチレングリコールなどのグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパンおよびトリエタノールアミンなどの3官能ポリオール、ジグリセリンおよびペンタエリスリトールなどの4官能ポリオール、ソルビトールなどの6官能ポリオール、シュガーなどの8官能ポリオール、これらのポリオールに相当するアルキレンオキサイドと脂肪族、脂環族、芳香族アミンとの付加重合物や、該アルキレンオキサイドとポリアミドポリアミンとの付加重合物などが挙げられる。なかでも、リシノール酸グリセライド、リシノール酸と1、1、1−トリメチロールプロパンとのポリエステルポリオールなどが好ましい。
(ポリエーテル系)
ポリエーテル系のポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1、3−ブタンジオール、1、4−ブタンジオール、4、4' −ジヒドロキシフェニルプロパン、4、4' −ジヒドロキシフェニルメタンなどの2価アルコールまたはグリセリン、1、1、1−トリメチロールプロパン、1、2、5−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコールと、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、α−オレフィンオキサイドなどのアルキレンオキサイドとの付加重合物などが挙げられる。
(その他のポリオール)
その他のポリオールとして、主鎖が炭素−炭素よりなるポリオール、例えば、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、水素添加ポリブタジエンポリオール、AN(アクリロニトリル)やSM(スチレンモノマー)を上述した炭素−炭素ポリオールにグラフト重合したポリオール、ポリカーボネートポリオール、PTMG(ポリテトラメチレングリコール)などが挙げられる。セル本体に直接成形するには弾性回復力が高く、耐薬品性に優れ、カーボネート系よりコストパフォーマンスに優れるポリエーテル系ポリオールを用いるのが好ましい。
(ポリイソシアネート)
ポリイソシアネートとしては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネートなどが使用できる。芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(粗MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ポリトリレンポリイソシアネート(粗TDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)などが挙げられる。脂肪族ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)などが挙げられる。脂環式ポリイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)などが挙げられる。この他に、上記ポリイソシアネートをカルボジイミドで変性したポリイソシアネート(カルボジイミド変性ポリイソシアネート)、イソシアヌレート変性ポリイソシアネート、エチレンオキシド変性ポリイソシアネート、ウレタンプレポリマー(例えばポリオールと過剰のポリイソシアネートとの反応生成物であってイソシアネート基を分子末端にもつもの)なども使用できる。これらは単独または混合物として使用してもよい。これらの中でも、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、カルボジイミド変性ポリイソシアネート、エチレンオキシド変性ポリイソシアネートが好ましい。
反応硬化性樹脂の性状により、セル本体の耐熱性、難燃性、耐衝撃性、水分バリア性などの特性を向上することができる。
例えば、ウレタン樹脂を用いた場合には、剛直なベンゼン環構造を持った上で最も低分子なイソシアネートであるジフェニルメタジンイソシアネート(MDI)をハードセグメント構造として用い、主剤のポリオールと硬化剤のイソシアネートの重量混合比率(主剤/硬化剤)を1以下、好ましくは0.7以下にすることが好ましい。これにより、架橋密度が高く、剛直で対称性のある分子鎖をもつ構造が得られ、耐熱性と良好な構造強度、ウレタン結合による難燃性の向上、注液性の高い樹脂粘度が得られる。
但し、ジフェニルメタジンイソシアネート(MDI)成分が多いほど強度や水分バリア性の面では優れた特性を示すが、80wt%を越えるとMDIによるハードセグメント構造が多すぎて耐衝撃性に劣る結果となる。耐候性が特に要求される場合には、MDIに無黄変性のポリイソシアネートであるXDI系、IPDI系、HDI系を混合して用いることが好ましい。また架橋密度を高めるために主剤に架橋剤として低分子のトリメチロールプロパンなどを加えることが好ましい。
反応硬化性樹脂は、JIS K−7110 Izod Vノッチで求められる、衝撃強度が6kJ/m2 以上であることが好ましく、10kJ/m2 以上であることがより好ましい。衝撃強度が6kJ/m2 以上であると、1.9m落下試験および1m落下試験で優れた特性を持つからである。衝撃強度が10kJ/m2 以上であると、市場で最も発生確率が高いと想定される落下試験で非常に優れた特性を得ることができるからである。ここで分子量分布(数平均分子量/重量平均分子量)が高いほど樹脂の流動性、成形性が向上するが、耐衝撃性は悪くなっていく傾向があるので、流動性は少なくとも粘度が80mPa・s以上であることが好ましく、200mPa・s以上600mPa・s以下の範囲で粘度を調節すると好適に使用できるため、より好ましい。
反応硬化性樹脂は、0.05mm以上0.4mm未満の厚みでのUL746C3/4インチ炎燃焼試験の規格で、延焼面積が25cm2 以下である難焼性が確保されることが好ましい。
反応硬化性樹脂として、ウレタン樹脂を用いた場合には、難燃性ポリオールとして、式(1)で表される構造を含むものが好ましい。ウレタン樹脂の構造内部に難燃成分を付与することで樹脂厚みが薄い場合に特に難燃性向上に効果があり、構造強度も確保できるからである。
PO(XR)3 ・・・・式(1)
(R=H、アルキル基、フェニル基、X=S、O、N、(CH2 )n :nは1以上の整数)
上述のウレタン樹脂を用いない場合でも、反応硬化性樹脂は、厚みが薄い場合にはガラス転移点(ガラス転移温度)を低くすれば、耐衝撃性が向上すると共に、樹脂がバーナーの炎で収縮し、実質の樹脂の厚みが厚くなって延焼しにくくなり、難燃性を向上できる。一方、ガラス転移点が低すぎたり、ガラス転移点が高すぎたりすると、強度や安全性が低下する傾向にある。
したがって、反応硬化性樹脂のガラス転移点は、60℃以上150℃以下であり、且つ溶融(分解)温度が200℃以上400℃以下であることが好ましい。さらにガラス転移点は、85℃以上120℃以下がより好ましい。溶融(分解)温度は、240℃以上300℃以下がより好ましい。ガラス転移点が60℃未満であると、45℃の環境温度で外装としての強度を確保することが難しくなる。ガラス転移点が150℃を超えると誤使用時に電池が蓄えたエネルギーを放出するのが遅れて重大事故につながるおそれがある。
ガラス転移温度を60℃以上150℃以下としても溶融温度(分解温度)が200℃以上400℃以下にすると、溶融分解による吸熱反応の寄与により、難燃性が向上する。溶融(分解)温度が200℃未満だと炭化の促進および断熱層の形成初期に吸熱することになるので、かえって難燃性に寄与できない。溶融(分解)温度が400℃を超えても吸熱のタイミングが遅すぎてやはり難燃性に寄与できない
反応硬化性樹脂は、粘度が80mPa・s以上1000mPa・s未満であることが好ましい。粘度をこの範囲に調整することにより、電池の最大面の被覆不良を抑制することができ、これにより、セル本体の特性劣化を抑制することができる。さらに、反応硬化性樹脂は熱可塑性樹脂よりも硬化までの時間が長いために流動性が優れる。しかしながら、粘度が高いと型の保持力も増大して生産装置が高価かつ生産性が低くなってしまい、パックの成形部材の薄肉化による体積エネルギー密度の向上と低コストが達成できない。粘度が低すぎると今後は逆に流動性が高すぎるために、成形金型からのバリ、基板部分への樹脂の染み出しにより生産速度が低下し、不良率があがるおそれがある。
反応硬化性樹脂(例えばウレタン樹脂)は、接着性であるために金属に強い接着性を持っており、熱可塑性樹脂とも極性基で接着して強靱な一体構造を得ることが可能である。熱可塑性のポリアミド樹脂も接着性を持つものの、接着力が弱いために、物理的な接着強化と高い充填圧力が必要であるが、反応硬化性樹脂では、そうした制約がない。ウレタン樹脂の接着性と凝集構造の関係は明らかではないが、架橋密度を上げていくと接着性は落ちる傾向が見いだされた。したがって、接着部材として表面に活性水素が多い部材、ウレタン樹脂と水素結合を作りやすい極性基の多い部材を用いるのが好ましい。
同様に部材との嵌合部にアンダーカット部を設けることで部材との分離を防ぐことや、部材表面を粗化したり、切れ込みを入れたりすることで実質の接着面積を増やすことは好ましい。さらに、硬化時の温度条件でウレタン樹脂の凝集構造をコントロールし、低温にすることで表面の極性基を増やして接着性を向上することや、高温にすることで接着性を落とし、金型との離型性をコントロールすることは好ましい。
(添加剤)
反応硬化性樹脂に、充填剤、難燃剤、消泡剤、防菌剤、安定剤、可塑剤、増粘剤、防黴剤、他の樹脂などの添加剤を含ませてもよい。
難燃剤としては、トリエチルフォスフェート、トリス(2、3ジブロモプロピル)フォスフェートなどを用いることができる。その他の添加剤としては、三酸化アンチモン、ゼオライトなどの充填剤や顔料、染料などの着色剤を用いることができる。その他の添加剤としては、三酸化アンチモン、ゼオライトなどの充填剤や顔料、染料などの着色剤を用いることができる。
(触媒)
反応硬化性樹脂に、触媒を添加してもよい。触媒はイソシアネートとポリオール化合物の反応やイソシアネートの二量化、三量化を進行させる役割で添加され、公知の触媒を使用することができる。具体的にはトリエチレンジアミン、2−メチルトリエチレンジアミン、テトラメチルヘキサンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ペンタメチルジプロピレントリアミン、ペンタメチルヘキサンジアミン、ジメチルアミノエチルエーテル、トリメチルアミノプロピルエタノールアミン、トリジメチルアミノプロピルヘキサヒドロトリアジン、三級アンモニューム塩などの三級アミンを用いることができる。
金属系イソシアヌレート化触媒は、ポリオールの100重量部に対して0.5重量部以上20重量部以下の範囲で使用するのが好ましい。金属系イソシアヌレート化触媒が0.5重量部より少ないと、十分なイソシアヌレート化が起こらないので好ましくない。また、ポリオール100重量部に対する金属系イソシアヌレート化触媒の量を20重量部より多くしても、添加量に応じた効果が得られない。
金属系イソシアヌレート化触媒としては、例えば、脂肪酸金属塩を挙げることができ、具体的には、ジブチルチンジラウレート、オクチル酸鉛、リシノール酸カリウム、リシノール酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、ナフテン酸カリウム、ナフテン酸ナトリウム、オクチル酸カリウム、オクチル酸ナトリウム、およびこれらの混合物を挙げることができる。
他に触媒としては、有機スズ化合物が用いられ、例えば、トリ−n−ブチルチンアセテート、n−ブチルチントリクロライド、ジメチルチンジクロライド、ジブチルチンジクロライド、トリメチルチンハイドロオキサイドなどがあげられる。これら触媒はそのまま用いてもよいし、酢酸エチルなどの溶媒に、濃度が0.1〜20%となるように溶解して、イソシアネート100質量部に対して、固形分として0.01〜1質量部となるよう添加してもよい。このように、上記触媒の配合量は、そのまま、または溶剤に溶解した状態のいずれの場合においても、固形分として、イソシアネート100質量部に対して0.01〜1質量部となるよう添加するのが好ましく、特に好ましくは0.05〜0.5質量部である。すなわち、触媒の配合量が0.01部未満のように少な過ぎると、ポリウレタン樹脂成形体の形成が遅く、樹脂状に硬化せず成形が困難となる。逆に、1質量部を超えると、樹脂の形成が極端に速くなり、形状維持ポリマー層として成形しにくいからである。
(金属酸酸化物フィラー)
成型部11に金属酸化物フィラーを含むようにしてもよい。金属酸化物フィラーとしては、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)の酸化物、またはこれら酸化物の任意の混合物を挙げることができる。このような金属酸化物フィラーは、この成型部11の硬さを向上する機能を果たし、反応硬化性樹脂を含む層と接触した状態で配置され、例えば、この金属酸化物フィラーを反応硬化性樹脂を含む層に混入してもよく、この場合、反応硬化性樹脂を含む層の全体に亘って均一に散在していることが好ましい。
金属酸化物フィラーの混入量は、反応硬化性樹脂を含む層のポリマー種などに応じて適宜変更することができる。しかしながら、反応硬化性樹脂を含む層の質量に対する混入量が3%未満の場合には、この外装材の硬さを十分に高め得ないことがある。一方、混入量が60%を超える場合には、製造時の成形性やセラミックの脆性による問題が発生することがある。したがって、反応硬化性樹脂を含む層の質量に対する金属酸化物フィラーの混入量を2〜50%程度とすることが好ましい。
また、金属酸化物フィラーの平均粒径を小さくすると、硬度が上がるものの成形時の充填性に影響して生産性に不具合を来たす可能性がある。一方、金属酸化物フィラーの平均粒径を大きくすると、目的の強度を得にくくなってセル本体としての寸法精度を十分に得ることができない可能性がある。したがって、金属酸化物フィラーの平均粒径を0.1〜40μmとすることが好ましく、0.2〜20μmとすることがより好ましい。
さらに、金属酸化物フィラーの形状としては、球状や鱗片状や板状や針状など様々な形状を採用することができる。特に限定されるものではないが、球状のものは、作製し易く平均粒径の揃ったものを安価に得られるので好ましく、針状でアスペクト比の高いものは、フィラーとして強度を高め易いので好ましい。さらに、鱗片状のものは、フィラーの含有量を増したときに充填性を高め得るので好ましい。なお、用途や材質に応じて、平均粒径の異なるフィラーを混合して用いたり、形状の異なるフィラーを混合して用いたりすることが可能である。
成型部11は、金属酸化物の他に各種添加剤を含有することが可能である。例えば、反応硬化性樹脂を含む層中に、紫外線吸収剤や、光安定剤や、硬化剤またはこれらの任意の混合物を添加して、金属酸化物フィラーと共存させることができる。
(エポキシ樹脂)
ここで、本開示に使用できるエポキシ樹脂について説明する。エポキシ樹脂は、エポキシプレポリマーと硬化剤とから製造されるものである。プレポリマーには、粉体を含有してもよい。この粉体として、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、カーボンなどの無機粒子、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリウレタン、ポリフェノールなどの有機高分子の粒子などが使用できる。これらは、単独または混合物として使用できる。粒子の表面は表面処理が施されても良く、ポリウレタン、ポリフェノールはフォーム粉で使用されてもよい。さらに本開示において使用できる紛体には多孔質のものも含まれる。
(プレポリマー)
ビスフェノールA系エポキシ樹脂、ビスフェノールF系エポキシ樹脂、フェノールノボラック系エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA系エポキシ樹脂、環式脂肪族エポキシ樹脂、有機カルボン酸類のグリシジルエーテルなど公知のエポキシプレポリマーを用いることができる。さらに、本開示では、これらの1種又は2種以上を使用することができる。シクロヘクセンオキシドやエポキシ化ポリブタジエンなどの内部エポキシ型よりも、グリシジルエーテル型ないしグリシジルエステル型が硬化速度の上で好ましい。グリシジルエーテル型には例えばビスフェノールAのエポクロルヒドリン縮合物が挙げられる。またビスフェノールF型エポキシ樹脂を用いるのが粘度の上で好ましい。
(硬化剤)
硬化剤としては、アミン類、およびケチミンなどのアミン変性体、ポリアミド樹脂、イミダゾール類、ポリメルカプタン、酸無水物、光・紫外線硬化剤などが挙げられる。これらは1種で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
(アミン類)
鎖状脂肪族アミン、環状脂肪族アミン、芳香族アミンなどが挙げられる。
鎖状脂肪族アミンは、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロピレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、AMINE248などのヘキサメチレンジアミンおよびその誘導体が好ましい。環状脂肪族アミンはN-アミノエチルピペラジン、メンセンジアミン、イソフオロンジアミン、ラミロンC-260、Araldit HY-964、S Cure211 乃至212、ワンダミンHM、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、およびその誘導体が好ましい。
脂肪芳香族アミンは、m−キシレンジアミン、ショーアミンX、アミンブラック、ショ
ーアミンブラック、ショーアミンN 、ショーアミン1001,ショーアミン1010、およびその誘導体が好ましい。
芳香族アミンは、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン、およびその誘導体が好ましい。ポリメルカプタンは液状ポリメルカプタンおよびポリスルフィド樹脂をアミン類と混合して用いることが好ましい。
酸無水物としては、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、エチレングリコールビストリメリテート、グリセロールトリストリメリテート、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、アルキルスチレン−無水マレイン酸共重合体、クロレンド酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、およびその誘導体が好ましい。メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルブテニルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、およびその誘導体がさらに好ましい。
光・紫外線硬化剤としては、ジフェニルヨードニウムヘキサフロロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフロロホスフェート、およびその誘導体が好ましい。セル本体に直接成形するには、耐薬品性に優れ、速硬化性のアミン系硬化剤、乃至アミン系硬化剤より基板の腐食がしにくい酸無水物類を用いるのが好ましい。
反応硬化性樹脂の性状により、セル本体の耐熱性、難燃性、耐衝撃性、水分バリア性などの特性を向上することができる。
エポキシ樹脂はウレタン樹脂よりも接着性に優れるが、接着性が強すぎると、離型時に製品の変形、外観不良を引き起こす虞があるため、カルナバワックスなどの天然系ワックス、ポリエチレンワックスなどのポリオレフィン系ワックス、モンタン酸アミドなどのアミド系ワックス、モンタン酸エステルなどのエステル系ワックス、シリコーンオイルなどのシリコーン化合物、ステアリン酸などの高級脂肪酸、ステアリン酸亜鉛などの高級脂肪酸の金属塩類などの内部離型剤を添加することは好ましい。
「回路ブロックの成型部」
上述したセル本体10と同様に、回路ブロック1の成型部4が成形される。一例として、回路ブロック1の成型部4とセル本体10の成型部11とは、同一の反応硬化性樹脂によって成形される。他の例として、それぞれが異なる反応硬化性樹脂によって成形される。さらに、回路ブロック1の成型部4は、低温成型の必要がないので、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂を使用しても良い。
ポリアミド系樹脂は、アミド結合によって多数のモノマーが結合したポリマーである。一般的に脂肪族骨格を含むポリアミドをナイロンと総称する。ポリカーボネートは、熱可塑性プラスチックの一種で、ポリカ、PCと略されることもあるし。モノマー同士の接合部は、すべてカーボネート基で構成される。下記の表1に回路ブロック1の成形部4の樹脂材料と、セル本体10の成型部11の樹脂材料との組合せの例を示す。表1中で、ウレタン系樹脂は、上述したような成型部11に使用されるものである。
Figure 2012234722
表1における組合せ例(1)は、成型部4、11を共にウレタン系樹脂によって成形するものである。成型部4、11の肉厚を薄くしても、耐衝撃性に優れているので、容量を確保しつつ、耐衝撃性および寸法精度に優れた電池に最適な組合せである。組合せ例(2)は、ウレタン系樹脂を使用する成型部11の肉厚を薄くすることができるので、容量を確保しつつ、セル本体10への耐衝撃性に優れている。さらに、回路ブロック1がPTC5を有する場合、PTC5の温度による膨張に対応することができる。組合せ例(3)は、回路ブロック1の肉厚を薄くすることができ、セル本体10の成型部11に耐衝撃性を求めない場合に好適なものである。
「電池の第2の例」
図5は、回路ブロック1とセル本体10とを連結するための他の構成を示す。回路ブロック1は、上述したように、保護回路およびPTC5がマウントされた回路基板3を樹脂成形で被覆したもので、成型部4を有する。セル本体10は、セル31を樹脂成形により被覆したもので、成型部11を有する。
回路ブロック1の対向端面に突起6aおよび6bが成型部4と一体に形成されている。一方、セル本体10の端面に成型部11と一体に溝13aおよび13bが形成されている。溝13aおよび13bは、例えば底面から途中の高さまで形成されている。或いは底面から上面まで貫通しても良い。溝13aおよび13bの断面形状が突起6aおよび6bが嵌合するものとされている。さらに、突起6aおよび6bと溝13aおよび13bとの嵌合状態が解除されないような形状とされている。嵌合状態は、例えば外表面を被覆するラベルによって固定される。
「電池の第3の例」
図6は、電池の第3の例を示している。図6Aに示すように、セル本体10の端面に回路ブロック1が嵌合する大きさの収納凹部14が形成される。そして、図6Bに示すように、収納凹部14内に回路ブロック1が嵌合され、例えばラベルによって嵌合状態が固定される。さらに、必要に応じて嵌合状態を保持する爪、穴等の構成を設けるようにしても良い。
「電池の第4の例」
図7は、電池の第4の例を示している。図7Aに示すように、セル31の端面から導出された正極リード25aおよび負極リード25b(図2および図3参照)に対して、成形品である回路ブロック1を予め接続しておく。そして、図7Bに示すように、回路ブロック1が接続されているセル31を成形して反応硬化性樹脂からなる成型部11を形成する。予め成型された回路ブロック1を使用するので、電池の成形時に回路基板3を保持する必要がなく、成型時の不良を少なくすることができる。
「回路ブロックとセル本体との電気的接続」
図8を参照して回路ブロック1とセル本体10との電気的接続の構成について、図1に示す電池の第1の例の場合に関して説明する。回路ブロック1からは、セルの正極リードおよび負極リードとそれぞれ接続されるべき2個の端子に対応するリード15aおよび15bが導出される。これらのリード15aおよび15bには、プレス等によって突出された接点16aおよび16bが形成されている。リード15a,15bおよび接点16a,16bが第1の接続部を構成する。
リード15aおよび15bがほぼ直角に折り曲げられることによって端面から接点16aおよび16bが弾性を有する状態で突出される。なお、図示しないが、回路ブロック1の反対の端面には、正負の電極、通信端子、ID抵抗の端子等に対応して複数個の開口が形成されており、これらの開口を通じて、充電器またはアプリケーション機器(電子機器)と電池とが接続される。
セル本体10は、成型部11の端面から正極リード25aおよび負極リード25bが導出されている。これらのリードが端面と並行するように、ほぼ直角に折り曲げられる。折り曲げられた正極リード25aおよび負極リード25bが第2の接続部を構成する。係止ピン2a,2bが係止用穴12a,12bに挿入されて電池が組み立てられると、回路ブロック1の端面とセル本体10の端面とが対向し、接点16a,16bが正極リード25aおよび負極リード25bに押し当てられて電気的接続が確保される。なお、セル本体10が複数のセルを直列および/または並列に接続した構成の場合、セルのそれぞれの電圧を回路ブロック1に対して伝送する必要がある。その場合には、各セルの電圧を回路ブロック1に伝えるための端子を設けるようになされる。
「誤接続の検出」
回路ブロック1とセル本体10との連結が正しくされることが必要である。正しい関係の連結のみを可能とするための機構を設けても良い。さらに、以下に述べるように、ID抵抗の検出を利用して誤接続が検出される。最初に、図9を参照して既存の電池パックの回路構成の一例について説明する。既存の構成では、セルと保護回路とが一体に樹脂成形されて電池パックが構成されている。
電池パックは、充電時には充電器に装着され、+端子51と−端子52がそれぞれ充電器の+端子、−端子に接続され、充電が行われる。電子機器使用時には充電時と同様に、+端子51と−端子52が電子機器の+端子、−端子に接続され、放電が行われる。電子機器は、業務用カムコーダ、携帯電話、ノートPC(パーソナルコンピュータ)等である。さらに、後述するように、携帯機器以外に電動車両、家庭内電力システムと接続される場合もある。
電池パックは主に、セル57、マイクロコンピュータ60、アナログフロントエンド61、保護回路62、スイッチ部54、通信端子53a,53bで構成されている。セル57は、リチウムイオン電池等の2次電池で、4個の2次電池を直列に接続したものである。セル57と直列にPTC65が接続されている。但し、4個の電池の直列接続に限らず、1または複数の電池を直列および/または並列に接続した構成に対しても本開示を適用できる。さらに、マイクロコンピュータ60を有しない構成に対しても本開示を適用することができる。
マイクロコンピュータ60は、具体的には、例えばMCU(Micro Controller Unit)の
構成とされる。MCUは、一つの集積回路にコンピュータシステムをまとめた、組み込み用のマイクロプロセッサのことである。MCUは、一般的なマイクロプロセッサと異なり、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などのメモリ、I/O関連等の多くの周辺機能をMCU自体に搭載している。
マイクロコンピュータ60は、アナログフロントエンド61から入力された電圧値、電流値を使用して残容量の算出等の処理を行うようになされている。温度検出素子(例えばサーミスタ)58によって環境温度(電池温度)を測定する。測定された環境温度のデータがマイクロコンピュータ60に供給される。さらに、不揮発性メモリ例えばEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory )63がマイクロコンピュータ60に接続されている。EEPROM63によって、マイクロコンピュータ60に対する電源供給の停止によるデータ消滅が回避される。
アナログフロントエンド61は、電池パック内のセル57の各電池の電圧を測定し、マイクロコンピュータ60に測定値を供給する。また、電流検出抵抗59を使用して電流が検出され、検出された電流が電流積算部64に供給される。電流積算部64が放電電流を積算し、放電容量を検出する。放電容量がマイクロコンピュータ60に供給される。さらに、アナログフロントエンド61は、セル57の電圧を安定化して電源電圧を発生するレギュレータとしての機能も有する。
保護回路62は、セル57のいずれかの電池の電圧が過充電検出電圧になったとき、または、セル57の電圧が過放電検出電圧以下になったとき、スイッチ部54に制御信号を送ることにより、過充電、過放電を防止する。リチウムイオン電池の場合、過充電検出電圧が例えば4.2V±0.5Vと定められ、過放電検出電圧が2.4V±0.1Vと定められる。さらに、保護回路62によって過電流保護動作がなされる。
スイッチ部54は、充電制御FET(Field Effect Transistor)55と、放電制御F
ET56とから構成されている。電池電圧が過充電検出電圧となったときは、充電制御FET55をOFFとし、充電電流が流れないように制御される。なお、充電制御FET55のOFF後は寄生ダイオード55aを介することによって放電のみが可能となる。
電池電圧が過放電検出電圧となったときは、放電制御FET56をOFFとし、放電電流が流れないように制御される。なお、放電制御FET56のOFF後は寄生ダイオード56aを介することによって充電のみが可能となる。
通信端子53a,53bは、電子機器に装着された際、電池容量の情報を機器に送信するためのものである。電池パックと電子機器との間を結ぶ通信路としては、標準方式としてSMBus(System Management Bus)が使用される。さらに、端子53cは、ID抵抗66と接続された端子である。ID抵抗66の抵抗値によって、電池パックが正規なものか否かが充電器または電子機器において判定される。
上述した電池パックの構成を概略的に図10のブロック構成として表す。制御部CNTがマイクロコンピュータ60および保護回路62と対応している。但し、図10において、制御部CNTは、保護回路のみで構成されている例で、通信端子は、設けられていない。FETQ1およびQ2が充電制御FET55および放電制御FET56と対応している。但し、図9の構成と異なり、負側のラインにFETQ1およびFETQ2が挿入されている。ID抵抗60が抵抗R0で示されている。そして、電池パックからは、+端子51
と−端子52と端子53cにそれぞれ対応して端子EB0+、EB0−、ID0が導出される。
本開示では、図11に示すように、回路ブロック10から3個の端子B+、B−およびIDBを導出する。端子IDBは、図8に示す構成と同様にして導出できる。端子IDBおよびB−間には、抵抗Raが挿入される。端子IDBは、回路ブロック1の出力端子ID1と直結されている。回路ブロック1の出力端子ID1およびEB1−間には、抵抗Rbが挿入される。
回路ブロック1とセル本体10とが結合された状態では、電池の出力端子ID1に対して接続される抵抗は、抵抗RaおよびRbの並列接続の値である。この値が既存のID抵抗と等しいものとされる。したがって、回路ブロック1に対して充電器または電子機器を接続した場合に、既存の電池パックと同様に、電池の正当性を認証することができる。
しかしながら、回路ブロック1とセル本体10とを間違えて連結した場合では、出力端子ID1およびEB1−間には、抵抗Rbのみが接続される。したがって、充電器または電子機器は、ID抵抗の値が設定値と異なるので、電池を正当な電池と認証しない。その結果、回路ブロック1とセル本体10とを間違えて連結した電池を使用することが禁止される。
図12に示す例では、図11における抵抗Rbが省略される。セル本体10内の抵抗Raの値が既存のID抵抗と等しいものとされる。したがって、回路ブロック1に対して充電器または電子機器を接続した場合に、既存の電池パックと同様に、電池の正当性を認証することができる。誤接続の場合には、出力端子ID2およびEB2−間が開放となり、充電器または電子機器が電池を認証することができない。
さらに、高度な認証が必要とされる場合には、図13に示すように、セル本体10に認証用IC(AICと図面中では表記されている)を設け、ID抵抗Rbと認証用ICとを使用して電池の認証を行うようにしても良い。上述した誤接続の検出構成、検出方法は、既存の電池の認証のための構成、処理に対する変更を殆ど必要としないで良い利点がある。
なお、本開示の電池は以下のような構成をとることができる。
(1)1または複数のセルの外表面の少なくとも一部を第1の樹脂により被覆したセル本体と、
前記セルの保護回路を第2の樹脂により被覆した回路ブロックと、
前記セル本体の一面と前記回路ブロックの一面とを対向させた状態で、前記セルおよび前記保護回路を電気的に接続する第1および第2の接続部と
を有する電池。
(2)前記1または複数のセルは、フィルム包装体により電池素子を包装してなる前記(1)に記載の電池。
(3)前記第1および第2の樹脂が同一の材料である前記(1)または(2)に記載の電池。
(4)前記第1および第2の樹脂が異なる材料である前記(1)(2)または(3)に記載の電池。
(5)前記第1および第2の樹脂が反応硬化性樹脂である前記(1)(2)(3)または(4)に記載の電池。
(6)前記第1の樹脂が反応硬化性樹脂であり、前記第2の樹脂が熱可塑性樹脂である前記(1)(2)(3)(4)または(5)に記載の電池。
(7)前記第1および第2の樹脂が、ウレタン、エポキシ、シリコン、アクリルから選ばれる前記(1)(2)(3)(4)(5)または(6)に記載の電池。
(8)前記セル本体に認証部が設けられ、前記認証部によって、電池と接続される充電器または電子機器が該電池を認証するようになされ、
前記セル本体と前記回路ブロックとの誤接続を前記認証部によって、検出する前記(1)(2)(3)(4)(5)(6)または(7)に記載の電池。
<応用例>
本開示は、上述した電池を有し、電池から電力の供給を受ける電子機器である。
本開示は、上述した電池が再生可能エネルギーから発電を行う発電装置によって充電される電力システムである。
本開示は、上述した電池が再生可能エネルギーから発電を行う発電装置によって充電される電力システムである。
本開示は、上述した電池から、電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する変換装置と、電池に関する情報に基いて車両制御に関する情報処理を行なう制御装置とを有する電動車両である。
本開示は、他の機器とネットワークを介して信号を送受信する電力情報送受信部を備え、
電力情報送受信部が受信した情報に基づき、上述した電池の充放電制御を行う電力システムである。
本開示は、上述した電池から、電力の供給を受け、発電装置または電力網から電池に電力を供給する電力システムである。
「応用例としての住宅における蓄電システム」
本開示を住宅用の蓄電システムに適用した例について、図14を参照して説明する。例えば住宅101用の蓄電システム100においては、火力発電102a、原子力発電102b、水力発電102c等の集中型電力系統102から電力網109、情報網112、スマートメータ107、パワーハブ108等を介し、電力が蓄電装置103に供給される。これと共に、家庭内発電装置104等の独立電源から電力が蓄電装置103に供給される。蓄電装置103に供給された電力が蓄電される。蓄電装置103を使用して、住宅101で使用する電力が給電される。住宅101に限らずビルに関しても同様の蓄電システムを使用できる。
住宅101には、発電装置104、電力消費装置105、蓄電装置103、各装置を制御する制御装置110、スマートメータ107、各種情報を取得するセンサー111が設けられている。各装置は、電力網109および情報網112によって接続されている。発電装置104として、太陽電池、燃料電池等が利用され、発電した電力が電力消費装置105および/または蓄電装置103に供給される。電力消費装置105は、冷蔵庫105a、空調装置105b、テレビジョン受信機105c、風呂105d等である。さらに、電力消費装置105には、電動車両106が含まれる。電動車両106は、電気自動車106a、ハイブリッドカー106b、電気バイク106cである。
蓄電装置103に対して、上述した本開示の電池が適用される。蓄電装置103は、二次電池又はキャパシタから構成されている。例えば、リチウムイオン電池によって構成されている。リチウムイオン電池は、定置型であっても、電動車両106で使用されるものでも良い。スマートメータ107は、商用電力の使用量を測定し、測定された使用量を、電力会社に送信する機能を備えている。電力網109は、直流給電、交流給電、非接触給電の何れか一つまたは複数を組み合わせても良い。
各種のセンサー111は、例えば人感センサー、照度センサー、物体検知センサー、消費電力センサー、振動センサー、接触センサー、温度センサー、赤外線センサー等である。各種センサー111により取得された情報は、制御装置110に送信される。センサー111からの情報によって、気象の状態、人の状態等が把握されて電力消費装置105を自動的に制御してエネルギー消費を最小とすることができる。さらに、制御装置110は、住宅101に関する情報をインターネットを介して外部の電力会社等に送信することができる。
パワーハブ108によって、電力線の分岐、直流交流変換等の処理がなされる。制御装置110と接続される情報網112の通信方式としては、UART(Universal Asynchronous Receiver-Tranceiver:非同期シリアル通信用送受信回路)等の通信インターフェースを使う方法、Bluetooth、ZigBee、Wi−Fi等の無線通信規格によるセンサーネットワークを利用する方法がある。Bluetooth方式は、マルチメディア通信に適用され、一対多接続の通信を行うことができる。ZigBeeは、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers) 802.15.4の物理層を使用するものである。IEEE802.15.4は、PAN(Personal Area Network) またはW(Wireless)PANと呼ばれる短距離無線ネットワーク規格の名称である。
制御装置110は、外部のサーバ113と接続されている。このサーバ113は、住宅101、電力会社、サービスプロバイダーの何れかによって管理されていても良い。サーバ113が送受信する情報は、たとえば、消費電力情報、生活パターン情報、電力料金、天気情報、天災情報、電力取引に関する情報である。これらの情報は、家庭内の電力消費装置(たとえばテレビジョン受信機)から送受信しても良いが、家庭外の装置(たとえば、携帯電話機等)から送受信しても良い。これらの情報は、表示機能を持つ機器、たとえば、テレビジョン受信機、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistants)等に、表
示されても良い。
各部を制御する制御装置110は、CPU(Central Processing Unit )、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等で構成され、この例では、蓄電装置103に格納されている。制御装置110は、蓄電装置103、家庭内発電装置104、電力消費装置105、各種センサー111、サーバ113と情報網112により接続され、例えば、商用電力の使用量と、発電量とを調整する機能を有している。なお、その他にも、電力市場で電力取引を行う機能等を備えていても良い。
以上のように、電力が火力102a、原子力102b、水力102c等の集中型電力系統102のみならず、家庭内発電装置104(太陽光発電、風力発電)の発電電力を蓄電装置103に蓄えることができる。したがって、家庭内発電装置104の発電電力が変動しても、外部に送出する電力量を一定にしたり、または、必要なだけ放電するといった制御を行うことができる。例えば、太陽光発電で得られた電力を蓄電装置103に蓄えると共に、夜間は料金が安い深夜電力を蓄電装置103に蓄え、昼間の料金が高い時間帯に蓄電装置103によって蓄電した電力を放電して利用するといった使い方もできる。
なお、この例では、制御装置110が蓄電装置103内に格納される例を説明したが、スマートメータ107内に格納されても良いし、単独で構成されていても良い。さらに、蓄電システム100は、集合住宅における複数の家庭を対象として用いられてもよいし、複数の戸建て住宅を対象として用いられてもよい。
「応用例としての車両における蓄電システム」
本開示を車両用の蓄電システムに適用した例について、図15を参照して説明する。図14に、本開示が適用されるシリーズハイブリッドシステムを採用するハイブリッド車両の構成の一例を概略的に示す。シリーズハイブリッドシステムはエンジンで動かす発電機で発電された電力、あるいはそれを電池に一旦貯めておいた電力を用いて、電力駆動力変換装置で走行する車である。
このハイブリッド車両200には、エンジン201、発電機202、電力駆動力変換装置203、駆動輪204a、駆動輪204b、車輪205a、車輪205b、電池208、車両制御装置209、各種センサ210、充電口211が搭載されている。電池208に対して、上述した本開示の電池が適用される。
ハイブリッド車両200は、電力駆動力変換装置203を動力源として走行する。電力駆動力変換装置203の一例は、モータである。電池208の電力によって電力駆動力変換装置203が作動し、この電力駆動力変換装置203の回転力が駆動輪204a、204bに伝達される。なお、必要な個所に直流−交流(DC−AC)あるいは逆変換(AC−DC変換)を用いることによって、電力駆動力変換装置203が交流モータでも直流モータでも適用可能である。各種センサ210は、車両制御装置209を介してエンジン回転数を制御したり、図示しないスロットルバルブの開度(スロットル開度)を制御したりする。各種センサ210には、速度センサ、加速度センサ、エンジン回転数センサなどが含まれる。
エンジン201の回転力は発電機202に伝えられ、その回転力によって発電機202により生成された電力を電池208に蓄積することが可能である。
図示しない制動機構によりハイブリッド車両が減速すると、その減速時の抵抗力が電力駆動力変換装置203に回転力として加わり、この回転力によって電力駆動力変換装置203により生成された回生電力が電池208に蓄積される。
電池208は、ハイブリッド車両の外部の電源に接続されることで、その外部電源から充電口211を入力口として電力供給を受け、受けた電力を蓄積することも可能である。
図示しないが、二次電池に関する情報に基いて車両制御に関する情報処理を行なう情報処理装置を備えていても良い。このような情報処理装置としては、例えば、電池の残量に関する情報に基づき、電池残量表示を行う情報処理装置などがある。
なお、以上は、エンジンで動かす発電機で発電された電力、或いはそれを電池に一旦貯めておいた電力を用いて、モーターで走行するシリーズハイブリッド車を例として説明した。しかしながら、エンジンとモーターの出力がいずれも駆動源とし、エンジンのみで走行、モーターのみで走行、エンジンとモーター走行という3つの方式を適宜切り替えて使用するパラレルハイブリッド車に対しても本開示は有効に適用可能である。さらに、エンジンを用いず駆動モータのみによる駆動で走行する所謂、電動車両に対しても本開示は有効に適用可能である。
1・・・回路ブロック
3・・・回路基板
4・・・成型部
5・・・PTC
10・・・セル本体
11・・・成型部
20・・・電池素子
15a,15b・・・リード
16a,16b・・・接点
25a・・・正極リード
25b・・・負極リード
31・・・セル
41・・・上金型
42・・・下金型

Claims (13)

  1. 1または複数のセルの外表面の少なくとも一部を第1の樹脂により被覆したセル本体と、
    前記セルの保護回路を第2の樹脂により被覆した回路ブロックと、
    前記セル本体の一面と前記回路ブロックの一面とを対向させた状態で、前記セルおよび前記保護回路を電気的に接続する第1および第2の接続部と
    を有する電池。
  2. 前記1または複数のセルは、フィルム包装体により電池素子を包装してなる請求項1に記載の電池。
  3. 前記第1および第2の樹脂が同一の材料である請求項1に記載の電池。
  4. 前記第1および第2の樹脂が異なる材料である請求項1に記載の電池。
  5. 前記第1および第2の樹脂が反応硬化性樹脂である請求項1に記載の電池。
  6. 前記第1の樹脂が反応硬化性樹脂であり、前記第2の樹脂が熱可塑性樹脂である請求項1に記載の電池。
  7. 前記第1および第2の樹脂が、ウレタン、エポキシ、シリコン、アクリルから選ばれる請求項1に記載の電池。
  8. 前記セル本体に認証部が設けられ、前記認証部によって、電池と接続される充電器または電子機器が該電池を認証するようになされ、
    前記セル本体と前記回路ブロックとの誤接続を前記認証部によって、検出する請求項1に記載の電池。
  9. 請求項1〜8の何れかに記載の電池を有し、前記電池から電力の供給を受ける電子機器。
  10. 請求項1〜8の何れかに記載の電池が再生可能エネルギーから発電を行う発電装置によって充電される電力システム。
  11. 請求項1〜8の何れかに記載の電池から、電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する変換装置と、前記電池に関する情報に基いて車両制御に関する情報処理を行なう制御装置とを有する電動車両。
  12. 他の機器とネットワークを介して信号を送受信する電力情報送受信部を備え、
    前記電力情報送受信部が受信した情報に基づき、請求項1〜8の何れかに記載の電池の充放電制御を行う電力システム。
  13. 請求項1〜8の何れかに記載の電池から、電力の供給を受け、発電装置または電力網から前記電池に電力を供給する電力システム。
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