JP2012229966A - 原子力電池、センサノード、およびセンサネットワークシステム - Google Patents

原子力電池、センサノード、およびセンサネットワークシステム Download PDF

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Abstract

【課題】環境負荷が低く安価で使用規制もない放射性物質を用いて、メンテナンス不要で半永久的に電力を得る。
【解決手段】放射性物質11から放射線として放射されたエネルギーを電気変換部12で電気に変換し、得られた電気を蓄電部13で蓄電する。この際、放射性物質11として、濃縮していない自然な状態のままの放射能濃度を持つ放射性カリウムを用いる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、原子力発電技術に関し、特に放射性物質からの放射線で発電する技術に関する。
通信機能付きセンサを用いて温度等の環境情報を収集するセンサネットワークシステムにおいては、広大な領域を対象とするため、恒常的な電力供給が困難な場合が多い。そこで、太陽光や風力などの自然エネルギーの利用がなされている。
一方、同様に恒常的な電力供給が困難な場所における電源として原子力電池が知られている。実用では惑星探査機用にプルトニウム238(半減期87.7年)やポロニウム210(半減期138日)が放射性崩壊により生じる熱を電力に変換する原子力電池が使用されている(例えば、非特許文献1など参照)。
また、かつて米国では心臓ペースメーカー用にプルトニウム238の原子力電池が使用されていたこともあるが(例えば、非特許文献2など参照)、放射性物質としての規制が厳しいため現在はリチウム電池が使用されている。さらに、研究段階ではMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)の分野において、ニッケル63(半減期100.2年)が使用されている例がある(例えば、非特許文献3など参照)。
http://saturn.jpl.nasa.gov/multimedia/products/pdfs/power.pdf http://www.orau.org/ptp/collection/miscellaneous/pacemaker.htm S. Tin et al., MEMS 2008, Tucson, AZ, USA, January 13-17, 2008
このような原子力電池は、太陽光発電や風力発電のように、設置場所、天候による出力変動などの問題はない。しかしながら、使用されているプルトニウム238等の放射性物質は、法規制や管理が厳しく民生用に入手が困難であったり、また装置が破損した場合に放射性物質が流出して環境汚染を引き起こしたり、たとえ放射性物質の量が健康に全く影響のないレベルでも一般人の感情的な反発を招いたりするおそれがあり、一般用途には不向きである。
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、環境負荷が低く安価で使用規制もない放射性物質を用いて、メンテナンス不要で半永久的に電力を得ることができる原子力電池を提供することを目的としている。
このような目的を達成するために、本発明にかかる原子力電池は、カリウム含有物質からなる放射性物質と、放射性物質から放射線として放射されたエネルギーを電気に変換する電気変換部と、電気変換部で得られた電気を蓄電する蓄電部とを備え、放射性物質は、濃縮していない自然な状態のままの放射能濃度を持つ放射性カリウムからなる。
この際、電気変換部に、放射性物質の表面と接触して配置されて、当該放射性物質から放射された放射線により発光する蛍光体層と、蛍光体層上に配置されて、当該蛍光体層から発生した光を受光して電気に変換する受光部とを含むようにしてもよい。
また、放射性物質として、粉粒状に粉砕されて蛍光体層内に分散されているものを用いてもよい。
また、蛍光体層内に挿入された複数の棒状レンズからなり、放射性物質からの光を集光して受光部へ導く集光部をさらに備えてもよい。
また、電気変換部に、放射性物質の表面に形成された導電性の電極膜と、放射性物質から放射線として放射された電子を捕捉して負電位に帯電する電子捕捉部とを含み、蓄電部として、電極膜と電子捕捉部との間に接続されて、電極膜と電子捕捉部との電位差により蓄電される容量素子を用いてもよい。
また、電子捕捉部に、放射性物質に形成された複数の凹部とそれぞれ嵌合して、当該凹部に放射された電子を捕捉する複数の凸部を設けてもよい。
また、放射性物質として、放射性カリウムを含む塩化カリウム、硫酸カリウム、または花崗岩を用いてもよい。
また、本発明にかかるセンサネットワークシステムは、前述したいずれかの原子力電池から出力された電力で動作して、自己のセンサで得られたセンサデータを無線通信で送信する複数のセンサノードと、これらセンサノードから送信されたセンサデータを受信して収集する受信装置とを備え、センサノードを分割して設けた各グループを単位として、単位時間ごとに順にいずれか1つのグループに属するセンサノードを動作させてセンサデータを送信させる場合、センサノードの総ノード数と各グループに属するセンサノードのノード数との比と、センサノードの原子力電池で動作に要する電力を発電するための発電期間と単位時間との比が等しくなる関係を有するようにしたものである。
本発明によれば、使用する放射性物質について、環境負荷が低く、安価であり、かつ、使用規制もない。これにより、半永久的に動作して、メンテナンス不要で、出力が一定で、振動・外光不要な原子力電池を、一般人の感情的反発を招く懼れがない構成で実現できる。したがって、センサネットワークシステムを構成するセンサノードなどの小型電子機器に適用することにより、センサネットワークシステムをメンテナンス不要化することができる。
第1の実施の形態にかかる原子力電池の構成を示すブロック図である。 カリウム40の崩壊様式を示す説明図である。 エネルギー蓄積日数と10mW出力持続時間との関係を示すグラフである。 カリウム含有物質の一覧表である。 第2の実施の形態にかかる原子力電池の構成を示す断面図である。 第2の実施の形態にかかる原子力電池の他の構成を示す断面図である 第2の実施の形態にかかる原子力電池の他の構成を示す断面図である。 第3の実施の形態にかかる原子力電池の構成を示す断面図である。 第3の実施の形態にかかる原子力電池の他の構成を示す断面図である。 第4の実施の形態にかかるセンサノードおよびセンサネットワークシステムの構成を示す。 センサネットワークシステムの動作を示す説明図である。 センサノードの動作を示すタイミングチャートである。
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる原子力電池について説明する。図1は、第1の実施の形態にかかる原子力電池の構成を示すブロック図である。
この原子力電池10は、カリウム含有物質からなる放射性物質(放射線源)11と、放射性物質11から放射線として放射されたエネルギーを電気に変換する電気変換部12と、電気変換部12で得られた電気を蓄電する蓄電部13とを備えている。
本実施の形態は、この原子力電池10において、放射性物質11として、濃縮していない自然な状態のままの放射能濃度を持つ放射性カリウムを用いたものである。
なお、電気変換部12については、例えば一般的な放射線検出器(シンチレーション検出器)において実用化されている、蛍光体で光に変換して受光部で検出する方式や、後述するβ線からなる電子を捕捉する方式など、各種の方式を用いればよい。
[カリウムの放出エネルギーの算出]
カリウムは地殻・土壌・動植物の体内に多く存在し、生命維持に不可欠な元素の一つである。自然に存在するカリウムはカリウム39、カリウム40、カリウム41の三種類があり、それぞれの存在比率は93.26%、0.012%、6.73%であり、カリウム40のみが半減期12.77億年の放射性同位体であり、ほかは安定同位体である。カリウム40の崩壊はβ崩壊と電子捕獲の2種類が知られている。図2は、カリウム40の崩壊様式を示す説明図である。
まず、カリウム単体の放射能濃度について算出する。自然に存在するカリウムのうち0.01171%(質量比)が放射性のカリウム40(半減期12.77億年)である。カリウム1g中あたりのカリウム40原子の個数は次の式(1)で求められる。
カリウム1g中あたりのカリウム40原子の個数
=カリウム40の質量比×1モルあたりの質量×アボガドロ数 …(1)
したがって、式(1)において、各々の値を代入すると、カリウム1g中あたりのカリウム40原子の個数は、次の式(2)のように求まる。
0.01171[%]/39.96399[g/mol]×6.02×1023[個/mol]
=1.763×1018[個/g] …(2)
次に、カリウム1gあたりの崩壊頻度である放射能濃度を求める。放射能濃度は、次の式(3)で表される。
放射能濃度
=カリウム元素1g中のカリウム40原子の個数×ln(2)/半減期(秒) …(3)
したがって、式(3)において、各々の値を代入すると、放射能濃度は、次の式(4)のように求まる。
1.763×1018[個/g]×0.693/(1.277×109[年]×3.1556926×107[秒/年])
=30.34[Bq/g] …(4)
ここで、1年間は3.1556926×107秒、ln(2)=0.693とした。
さらに、カリウム単体が放出するエネルギーを算出する。カリウム40の崩壊によって発生するエネルギーは、次の式(5)で表される。
放出するエネルギー
=β崩壊の割合×β線のエネルギー+電子捕獲の割合×γ線のエネルギー …(5)
したがって、式(5)において、各々の値を代入すると、放出エネルギーは式(6)のように求まる。
89.3[%]×1.31[MeV]+10.7[%]×1.46[MeV]
=1.33[MeV]=2.12×10-13[J] …(6)
また、カリウム単体1gあたりの出力は、次の式(7)で表される。
カリウム単体1gあたりの出力=放射能濃度×放出するエネルギー …(7)
したがって、式(7)において、各々の値を代入すると、カリウム単体1gあたりの出力は、次の式(8)のように求まる。
30.34[Bq/g]×2.12×10-13[J]=6.43×10-12[W/g] …(8)
これにより、理想的な場合で100gのカリウム元素が放出するエネルギーを全て捕捉できて90日間蓄積したと仮定すると、蓄積されるエネルギーは、次の式(9)で求められる。
100[g]×6.43×10-12[W]×86400[s/day]×90[day]
=0.005[J] …(9)
すなわち、100gのカリウム元素が放出する全エネルギーを90日間蓄積した場合、5[mJ]蓄積されることになる。これは例えば10mW出力0.5秒間に相当する。図3は、エネルギー蓄積日数と10mW出力持続時間との関係を示すグラフである。この図3からわかるように出力電力は、カリウムの質量、蓄積時間に比例し、出力時間に反比例する。
図3では、カリウムの質量として、1g、10g、100g、10kgを例示しているが、1gはボタン電池、10gは単4電池、100gは単1電池、10kgは鉛蓄電池の重量にそれぞれ相当する。このように、カリウムからなる電源材料の重量としては常識的な値である。
[カリウム含有物質]
アルカリ金属であるカリウムは、外気と触れると激しく発火して反応するため、単体での使用ではなく、安定かつカリウム元素を多く含む物質を使用することが望ましい。そこで、次にカリウムを多く含み放射能濃度が高い物質を選択するために、一般的に入手できるカリウム化合物および天然物質を用いる。図4は、カリウム含有物質の一覧表である。
この図4から分かるように、塩化カリウムと硫酸カリウムは毒劇物ではなく潮解性もないので使用しやすく、肥料として安価に容易に入手可能であり環境破壊の懼れもない。また、天然鉱物のうち、花崗岩は、建材・石碑・墓石等で多用されており、こちらも安価で容易に入手可能であり、また、既設の石材にデバイスを貼り付けや埋め込みで利用することができる。
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態では、原子力電池10において、放射性物質11として、濃縮していない自然な状態のままのカリウムに含まれる放射性カリウムを用いるようにしたので、放射性物質11について、環境負荷が低く、安価であり、かつ、使用規制もない。
これにより、半永久的に動作して、メンテナンス不要で、出力が一定で、振動・外光不要な原子力電池を、一般人の感情的反発を招く懼れがない構成で実現できる。したがって、センサネットワークシステムを構成するセンサノードなどの小型電子機器に適用することにより、センサネットワークシステムをメンテナンス不要化することができる。
[第2の実施の形態]
次に、図5を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかる原子力電池10について説明する。図5は、第2の実施の形態にかかる原子力電池の構成を示す断面図である。
本実施の形態では、電気変換部12において、蛍光体でのシンチレーション光を受光部で受けることにより発電する場合について説明する。
本実施の形態において、電気変換部12には、カリウム含有物質からなる放射性物質11の表面と接触して配置されて、当該放射性物質11から放射された放射線により発光する蛍光体層12Aと、蛍光体層12A上に配置されて、当該蛍光体層12Aから発生した光を受光して電気に変換するフォトダイオードなどの受光部12Bとが設けられている。
放射性物質11の表面に蛍光体層12Aを配置した場合、その放射性物質11からのβ線およびγ線が蛍光体層12Aに照射されるとシンチレーション光を発生する。このシンチレーション光を受光部12Bで受けることによって光電流を得て発電する。
図6は、第2の実施の形態にかかる原子力電池の他の構成を示す断面図である。
放射線は、放射性物質11から全方向へ放射されるため、放射性物質11と蛍光体層12Aの接触立体角は大きいほうが望ましい。そこで、図6に示すように、放射性物質11を粉粒状に粉砕して、蛍光体層12Aの中に分散させることもできる。これにより、より効率よく発光させることができ、発電効率を高めることができる。
図7は、第2の実施の形態にかかる原子力電池の他の構成を示す断面図である。
また、蛍光体層12Aの中に放射性物質11を分散させた場合、蛍光体層12Aの中で発生した光が、受光部12Bに届かない場合もある。そこで、図7に示すように、蛍光体層12A内に複数の棒状レンズ(レンズアレイ)からなる集光部12Cを挿入してもよい。これら棒状レンズの一端は受光部12Bに接触するよう配置されている。これにより、蛍光体層12Aの中の放射性物質11からの光を集光して効率よく受光部12Bへ導くことができ、発電効率を高めることができる。なお、棒状レンズの一端を櫛形に接続して受光部12Bに接触するよう配置してもよい。
また、本実施の形態では、受光部12Bを、図5のように放射性物質11のある一面だけに限らず、前後左右の複数方向に設置してシンチレーション光を効率よく集光して電気変換するようにしてもよい。
蛍光体層12Aで用いる蛍光体としては、ヨウ化セシウム、ヨウ化ナトリウム、アントラセン等を使用することができる。
次に、本実施の形態にかかる原子力電池10で得られる電流を試算する。
塩化カリウム100gまたは発電デバイス周囲の花崗岩1450g(1590[Bq])を使用すると仮定する。この場合、放射線のエネルギーは、次の式(10)となる。
1.33[MeV]=2.12×10-13[J] …(10)
ここで、シンチレーション効率を0.1と仮定すると、光のエネルギーは、次の式(11)となる。
2.12×10-13[J]×0.1=2.12×10-14[J] …(11)
また、放射能は1590Bqであるので、光のパワーは、次の式(12)となる。
2.12×10-14[J]×1590[1/s]=33.7[pW] …(12)
さらに、受光効率を0.25[A/W]と仮定すると、光電流は、次の式(13)となる。
33.7[pW]×0.250[A/W]=8.4[pA] …(13)
したがって、3ヶ月あたりに蓄積される電荷は、次の式(14)となる。
8.4[pA]×86400[s/day]×90[day]=65.3[μC] …(14)
このため、0.5秒で放電した場合に得られる電流は、次の式(15)で求められる。
65.3[μC]/0.5[s]=0.13[mA] …(15)
また、3ヶ月あたりに蓄積される電荷は、式(14)から65.3[μC]であることから、蓄電部13の充電時定数を0.5[s]とし、容量を50[μF]とした場合、得られる電圧は、次の式(16)で求められる。
65.3[μC]/50[μF]=1.306[V] …(16)
[第2の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、電気変換部12において、カリウム含有物質からなる放射性物質11の表面と接触して蛍光体層12Aを配置して、当該放射性物質11から放射された放射線により発光させ、この蛍光体層12A上に配置された受光部12Bで、蛍光体層12Aから発生した光を受光して電気に変換するようにしたので、簡素な構成で、放射性物質11からの放射線を効率よく電気変換することができる。
なお、本実施の形態で説明する蛍光体と受光部との組合せについては、一般的な放射線検出器(シンチレーション検出器)においてすでに実用化されており、本実施の形態にかかる原子力電池についても、十分に実用化可能である。
[第3の実施の形態]
次に、図8を参照して、本発明の第3の実施の形態にかかる原子力電池10について説明する。図8は、第3の実施の形態にかかる原子力電池の構成を示す断面図である。
本実施の形態では、電気変換部12において、放射性物質11からのβ線を、光に変換せずに、直接捕捉して蓄電する場合について説明する。
本実施の形態において、電気変換部12には、放射性物質11の表面に形成された導電性の電極膜12Dと、放射性物質11から放射線として放射された電子を捕捉して負電位に帯電する電子捕捉部12Eとが設けられている。なお、電極膜12Dと電子捕捉部12Eとが接する箇所には絶縁膜12Fが形成されて、両者が電気的に絶縁されている。
また、蓄電部13は、電極膜12Dと電子捕捉部12Eとの間に接続されて、電極膜12Dと電子捕捉部12Eとの電位差により蓄電される容量素子(コンデンサ)13Aからなる。
カリウム含有物質からなる放射性物質11からは、前述したように放射線としてβ線が放出される。β線は電子の流れであることから、例えば金属板からなる電子捕捉部12Eに捕獲されるとマイナスの電荷を与えることになる。したがって、電子捕捉部12Eを容量素子13Aの負電極に接続すれば、電子捕捉部12Eのマイナスの電荷が直接的に容量素子13Aに充電される。
一方、放射性物質11の表面に、金属等の導電性材料からなる電極膜12Dを形成すると、β線として電子が放射されるごとに、電極膜12Dにプラスの電荷を与えることになる。したがって、電極膜12Dを容量素子13Aの正電極に接続すれば、電極膜12Dのプラスの電荷が直接的に容量素子13Aを充電される。
このため、これら正負の電荷により生ずる電位差により容量素子13Aが蓄電されることになる。
カリウム含有物質からなる放射性物質11の表面に形成された電極膜12Dは、β線が容易に貫通できるほどの薄さである。例えば、電極膜12Dとして金を用いた場合、膜厚は0.1mm程度である。
一方、電子捕捉部12Eの厚さは数cm程度に及ぶ。当然、β線は全方向に放射されるため、捕捉率を高めるためには表面積を高めるとよい。
図9は、第3の実施の形態にかかる原子力電池の他の構成を示す断面図である。ここでは、電子捕捉部12Eに、放射性物質11に形成された複数の凹部11Aとそれぞれ嵌合して、当該凹部11Aに放射された電子を捕捉する複数の凸部12Gが設けられている。
このように、電子捕捉部12Eと放射性物質11との対向面に、凸部12Gと凹部11Aとが交互に連続する櫛形構造を設けることにより、対向表面積を高めることができ、電子の捕捉率を高めることができる。
次に、本実施の形態にかかる原子力電池10において、容量素子13Aへの直接充電により得られる電流を試算する。
塩化カリウム100gまたは発電デバイス周囲の花崗岩1450g(1590[Bq])を使用すると仮定する。β崩壊の比率を89% 電子捕捉率を90%と仮定すると、1秒あたりに蓄積される電荷は、次の式(17)となる。
1590[Bq]×0.89×1.6×10-19[C]×0.90
=2.0×10-16[C/s] …(17)
したがって、1年あたりに蓄積される電荷は、次の式(18)となる。
2.0×10-16[C/s]×86400[s/day]×365[day]
=6.3×10-9[C] …(18)
このため、0.5秒で放電した場合に得られる電流は、次の式(19)で求められる。
6.3×10-9[C]/0.5[s]=12.6[nA] …(19)
また、1年あたりに蓄積される電荷は、式(18)から6.3×10-9[C]であることから、容量素子13Aの充電時定数を0.5[s]とし、容量を5×10-8[F]とした場合、得られる電圧は、次の式(20)で求められる。
6.3×10-9[C]/5×10-8[F]=0.126[V] …(20)
[第3の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、電気変換部12において、放射性物質11の表面に導電性の電極膜12Dを形成するとともに、放射性物質11から放射線として放射された電子を捕捉して負電位に帯電する電子捕捉部12Eを設け、これら電極膜12Dと電子捕捉部12Eとの間に容量素子13Aを接続して、電極膜12Dと電子捕捉部12Eとの電位差により蓄電するようにしたので、簡素な構成で、放射性物質11からの放射線を効率よく電気変換することができる。
[第4の実施の形態]
次に、図10を参照して、本発明の第4の実施の形態にかかる原子力電池10を用いたセンサノード20およびセンサネットワークシステム100について説明する。図10は、第4の実施の形態にかかるセンサノードおよびセンサネットワークシステムの構成を示す。
センサネットワークシステム100は、複数のセンサノード20と1つ以上の受信装置30とから構成されている。
センサノード20は、小型の電子回路装置からなり、周囲環境や対象の状態を検出し、得られたセンサデータを微弱な電波を用いた無線通信により間欠的に送信する機能を有している。受信装置30は、高感度の無線受信器を有し、センサノード20から微弱な電波で送信されたセンサデータを受信して収集する機能を有している。
センサノード20には、主な機能部として、原子力電池10、センサ21、無線部22、および制御部23が設けられている。
原子力電池10は、前述した各実施の形態にかかる構成を有する原子力電池からなり、原子力発電により得られた電力を、センサ21、無線部22、および制御部23など、センサノード20内の各回路部へ供給する機能を有している。
センサ21は、一般的なセンサからなり、制御部23の制御により、センサノード20が設置されている周囲環境や対象の状態を検出するセンサである。
無線部22は、専用の無線通信回路からなり、制御部23の制御により、制御部23から出力された各種データを、微弱な電波を用いた無線通信により受信装置30へ送信する機能を有している。
制御部23は、CPUや専用の制御回路からなり、間欠的にセンサ21を起動してセンサ21で得られた検出データを取得する機能と、センサ21の起動間隔と同じあるいはそれより長い間隔で無線部22を起動して、センサ21から得られた検出データのほか、当該センサノードを識別するために予め付与されているノードIDなどの各種制御データを含むセンサデータを受信装置30へ送信する機能とを有している。
図11は、センサネットワークシステムの動作を示す説明図である。図12は、センサノードの動作を示すタイミングチャートである。
センサノード20において、温度等の定点観測を行う場合、対象区域の中心部に受信装置30を設置する。受信装置30は、外部電源から供給を受けるか、個別の大電力電源を備え、センサノード20から送信された微弱な電波を増幅して受信する機能を持つ。なお、この例では、受信装置30が1つしか描かれていないが、複数でも良い。
センサノード20は、この受信装置30の周囲に多数配置されており、それぞれ間欠的にセンサデータを受信装置30へ送信する。
本実施の形態では、これらセンサノード20を複数のグループ、例えばグループA,B,Cの3つのグループに分割し、一度に全てのセンサノード20が送信するのではなく、これらグループを単位として、単位時間ごとに順にいずれか1つのグループに属するセンサノード20を動作させてセンサデータを送信させるものとする。これら動作のスケジュールについては、各センサノード20の制御部23に対して予め設定しておけばよい。
例えば、図12では、時刻T0において、グループAに属するセンサノード20が送信動作し、そのt時間後の時刻T1において、グループBに属するセンサノード20が送信動作し、さらにそのt時間後の時刻T2において、グループCに属するセンサノード20が送信動作する。そして、時刻T2からt時間後の時刻T3に再びグループAに属するセンサノード20が送信動作する。したがって、グループAのセンサノード20の送信動作間隔は、時刻T0から時刻T3までの期間T(=t×3)となり、この期間Tの間に、送信動作に要する電力を充電しておけばよいことになる。
これにより、各センサノード20は一度送信してから次に送信するまでの期間Tにおいて、多くの電力を消費する送信動作を停止させることができ、原子力電池10で発電された電力を効率よく充電するための状態、いわゆる休眠状態を持つことができる。
したがって、同じタイミングでいずれかのグループに属する一部のセンサノード20しか送信しないが、対象区域には、各グループのセンサノード20が多数分散して設置されているため、送信するセンサノード20も拡がりを有しており、対象区域からほぼ面的な情報を得ることができる。
例えば、対象区域に3600個のセンサノード20を配置し、これらセンサノード20のそれぞれで90日に1回の割合でセンサデータを送信するように設定すると、毎日40箇所のセンサノード20からセンサデータを受け取ることができる。また、センサノード20には、原子力電池10が搭載されているため、電池交換不要なので電子部品の寿命が有る限り半永久的にセンサデータを収集することができる。
また、本実施の形態において、センサノード20の総ノード数Nと各グループに属するセンサノード20のノード数nとの比と、センサノード20の動作に要する電力を原子力電池10で発電して充電するための充電期間Tと各グループ間の送信間隔tとの比が等しくなる関係、すなわち次の式(21)の関係を有するようにしてもよい。
N/n=T/t …(21)
したがって、この関係から、原子力電池10の発電能力と送信動作に必要な電力とから決定される充電期間T、センサノード20の総ノード数N、および各グループに属するセンサノード20のノード数nという条件下において、最も短い送信間隔tを特定することができる。
これにより、各センサノード20において、充電動作も送信動作もしていない期間を省くことができ、センサノードシステム100において、最も効率よく各センサノード20からセンサデータを収集することが可能となる。
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。また、各実施の形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。
10…原子力電池、11…放射性物質、11A…凹部、12…電気変換部、12A…蛍光体層、12B…受光部、12C…集光部、12D…電極膜、12E…電子捕捉部、12F…絶縁膜、12G…凸部、13…蓄電部、13A…容量素子、20…センサノード、21…センサ、22…無線部、23…制御部、30…受信装置、100…センサネットワークシステム。

Claims (8)

  1. カリウム含有物質からなる放射性物質と、前記放射性物質から放射線として放射されたエネルギーを電気に変換する電気変換部と、前記電気変換部で得られた前記電気を蓄電する蓄電部とを備え、
    前記放射性物質は、濃縮していない自然な状態のままの放射能濃度を持つ放射性カリウムからなることを特徴とする原子力電池。
  2. 請求項1に記載の原子力電池において、
    前記電気変換部は、前記放射性物質の表面と接触して配置されて、当該放射性物質から放射された前記放射線により発光する蛍光体層と、前記蛍光体層上に配置されて、当該蛍光体層から発生した光を受光して電気に変換する受光部とを含むことを特徴とする原子力電池。
  3. 請求項2に記載の原子力電池において、
    前記放射性物質は、粉粒状に粉砕されて前記蛍光体層内に分散されていることを特徴とする原子力電池。
  4. 請求項3に記載の原子力電池において、
    前記蛍光体層内に挿入された複数の棒状レンズからなり、前記放射性物質からの光を集光して前記受光部へ導く集光部をさらに備えることを特徴とする原子力電池。
  5. 請求項1に記載の原子力電池において、
    前記電気変換部は、前記放射性物質の表面に形成された導電性の電極膜と、前記放射性物質から前記放射線として放射された電子を捕捉して負電位に帯電する電子捕捉部とを含み、
    前記蓄電部は、前記電極膜と前記電子捕捉部との間に接続されて、前記電極膜と前記電子捕捉部との電位差により蓄電される容量素子からなる
    ことを特徴とする原子力電池。
  6. 請求項5に記載の原子力電池において、
    前記電子捕捉部は、前記放射性物質に形成された複数の凹部とそれぞれ嵌合して、当該凹部に放射された前記電子を捕捉する複数の凸部を有する
    ことを特徴とする原子力電池。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載の原子力電池において、
    前記放射性物質は、前記放射性カリウムを含む塩化カリウム、硫酸カリウム、または花崗岩からなることを特徴とする原子力電池。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれか1つに記載の原子力電池から出力された電力で動作して、自己のセンサで得られたセンサデータを無線通信で送信する複数のセンサノードと、
    これらセンサノードから送信された前記センサデータを受信して収集する受信装置とを備え、
    前記センサノードを分割して設けた各グループを単位として、単位時間ごとに順にいずれか1つのグループに属するセンサノードを動作させて前記センサデータを送信させる場合、前記センサノードの総ノード数と前記各グループに属するセンサノードのノード数との比と、前記センサノードの原子力電池で前記動作に要する電力を発電するための発電期間と前記単位時間との比が等しくなる関係を有する
    ことを特徴とするセンサネットワークシステム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014219891A (ja) * 2013-05-10 2014-11-20 日本電信電話株式会社 無線タグシステムおよびセンサデータ処理方法
CN107123457A (zh) * 2017-04-10 2017-09-01 兰州大学 一种直接收集‑光电‑热电复合式同位素电池及制备方法
JP2020095001A (ja) * 2018-12-13 2020-06-18 功 坂上 放射性廃棄物発電装置part2

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