JP2012226630A - 設計支援装置および剛性構造決定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】メッシュ状の要素に分割されたモデル19の各要素を、クリープ変形による変形量に基づき、複数のグループのいずれかに仕分ける処理と、前記仕分けられたグループごとに、剛性パラメータを線形解析する処理と、前記グループごとに求められた剛性パラメータを、そのグループに属する各要素に付与すると共に、各要素に生じる反力と、拘束条件とに基づき線形解析し、前記モデルの変形量を求める処理と、前記線形解析により求められた前記モデルの変形量と前記クリープ変形により求められた変形量が所定の許容範囲内で一致するように、各要素の剛性パラメータを最適値に調整する処理と、全ての要素について最適値に調整された剛性パラメータを用いて位相最適化処理を行う処理を行う。
【選択図】図3
Description
また、特許文献2には、均質化法による位相最適化手法により構造物の剛性を最大にする構造物形状を検出する形状解析処理を行う設計支援装置が開示されている。
しかしながら、構造物を軽量化し、且つ剛性を最大にする構造物形状を検出するための前記位相最適化手法にあっては、その入力条件として、線形特性(剛性パラメータ)が必要となるため、非線形性のクリープ変化を呈する樹脂成形品の熱変形に対応した解析が困難であった。
また、このクリープ変形の解析結果に対応するように、樹脂の応力と歪との関係を含む解析条件で所定の温度下で強制的に弾性変形がなされ、モデルの各要素に生じる反力が線形解析される。
これにより、非線形的に熱変形する樹脂成形品について、軽量化を意識して所定の高温環境下でのクリープ変形に対する最適の板厚或はリブ構造が容易に決定可能となる。
尚、前記構造解析部は、前記線形解析により求められた前記モデルの変形量と前記クリープ変形により求められた変形量が所定の許容範囲内で一致するように、各要素の剛性パラメータを最適値に調整する処理において、前記クリープ変形による変形量に基づき仕分けられたグループに、前記線形解析により求められた前記モデルの変形量が属するか否かにより、変形量が一致するか否かを判定するようにしてもよい。
また、非拘束点である各要素について熱変形の変位量に基づき剛性パラメータが設定され、その要素において解析された反力を荷重として位相最適化処理を行うことができ、軽量化を前提とした剛性構造を容易かつ高精度に得ることができる。
尚、前記線形解析により求められた前記モデルの変形量と前記クリープ変形により求められた変形量が所定の許容範囲内で一致するように、各要素の剛性パラメータを最適値に調整する処理において、前記クリープ変形による変形量に基づき仕分けられたグループに、前記線形解析により求められた前記モデルの変形量が属するか否かにより、変形量が一致するか否かを判定するようにしてもよい。
また、非拘束点である各要素について熱変形の変位量に基づき剛性パラメータが設定され、その要素において解析された反力を荷重として位相最適化処理を行うことができ、軽量化を前提とした剛性構造を容易かつ高精度に得ることができる。
図1に示すように、本実施形態の設計支援装置Wは、剛性構造の解析を行う情報処理装置1と、設計者からの各種要求を受け付ける入力装置2と、情報処理装置1が行った解析結果を出力する出力装置3とを備えている。また、情報処理装置1は、LAN(Local Area Network)等のネットワークNWを介して、CAD装置4に接続されている。
また、CAD装置4には、構造解析を行う対象の構造物のCAD情報(例えば、自動車の構成部品の設計情報)が格納されている。そして、CAD装置4は、情報処理装置1からの要求にしたがい、情報処理装置1にCAD情報を出力する。なお、本実施形態のCAD装置4は、公知の技術により実現されるため、詳細な説明を省略する。
制御部10は、情報処理装置1の全体の動作を制御する。また、制御部10は、入力装置2を介して、設計者が入力する各種要求を受け付ける。そして、制御部10は、上記の受け付けた要求にしたがい、データ取得部20、構造解析部30、および出力部40を制御して、設計者からの要求に応じた各種の処理を行う。
また、データ取得部20は、入力装置2を介して、設計者が入力する、解析対象の構造物の解析条件の入力を受け付ける。
また、出力部40は、構造解析部30から解析結果を取得し、その解析結果を示す画像情報を生成し、出力装置3に、その生成した画像情報を出力する。
図示するように、情報処理装置1は、CPU(CentralProcessing Unit)50と、RAM(RandomAccess Memory)等により構成された主記憶装置51と、I/Oインタフェース52と、ハードディスク等により構成された補助記憶装置53と、ネットワークNWに接続されている装置との間で行うデータ授受の制御を行うネットワークインタフェース54とを有する。
また、補助記憶装置53には、上述した各部(制御部10、データ取得部20、構造解析部30、および出力部40)の機能を実現するためのプログラム(設計支援プログラム55)が格納されている。
尚、図4に示すように、グラブボックス11は、両側の下端部12,13がヒンジで枢着され、上端中央部14がロック部で開閉可能にロックされることにより拘束点となる。
具体的には、データ取得部20は、ネットワークNWを介して、CAD装置4にアクセスし、CAD装置4に格納されているグラブボックス11の設計情報(CAD情報)を取得し、情報処理装置1のメモリ(主記憶装置51又は補助記憶装置53)に、前記取得したグラブボックス11の設計情報を格納する。
また、データ取得部20は、設計者が入力装置2を介して入力する「グラブボックスの解析条件」を受け付け(受信し)、前記メモリ(主記憶装置51又は補助記憶装置53)に、前記解析条件を格納する。
この耐熱CAEでは、樹脂成形品のグラブボックス11の外形形状及び樹脂原料を同一とするモデルをメッシュ状に細かく分割して、所定の加熱温度下での所定時間経過後のクリープ変形を有限要素法により解析する。
尚、グラブボックス11のポリオレフィンを主材料とする原料樹脂の試験片で熱歪みデータを求めておくことにより、例えば80℃に対するクリープ変形を解析することができる。
図5は、この熱変形の解析結果をモデル19の前面について、簡単のために0〜3mmの変位量を8段階で概略的に示したものである。実際には、モデル19の裏面を含めた全域について画像表示される。右側上端部分Ar1の変位量が大きくなるのは、グラブボックス11の上端中央部14のロック部が左寄りで左右対称でなく、またこの拘束点から離れているためである。また、下端領域は拘束点に近いために全体的に変位量が小さくなっている。
この反力計算にあっては、例えば周知のSimulia社製の商品名ABAQUSのコンピュータソフトウエアを用いることができ、樹脂原料の応力と歪みとの関係、拘束条件及びクリープ変形を入力条件として線形解析を行う。
図6は、この反力計算の解析結果を、0〜20kgfの5段階で概略的に表示したものである。この解析結果は、図5の変位量分布に対応して、前述の右側上端部分Ar1の反力が大きく、下端領域は小さくなっている。
例えば、図5に示したように0〜3mmの変位量が8つのグループに分けられ、各要素には、そのデータ上に、どのグループに属するかを示すフラグが付される。
この剛性パラメータKの解析にあたっては、モデルの形状、原料樹脂の物性であるヤング率、拘束条件及び反力の解析結果、モデルの最大許容応力σa、温度等が入力条件となされる。
ここで、剛性マトリックスの方程式[F]=[K][U](F:反力(荷重)、K:モデルの要素の剛性を規定する要素の厚み、ヤング率等の剛性パラメータ、U:変位)を基に、所定の反力Fに対して剛性パラメータKが設定されると、変位Uが解析される。さらに、σn=EU(σn:応力、E:ヤング率)により、変位Uに対応する応力σnが求まる。これらの基本関係を前提に、ヤング率等の物性及び拘束条件を設定された図示形状のモデルに対して、各グループの反力に対応した剛性パラメータKが解析される。
構造解析部30は、線形解析によるモデル19の変形量をステップS2の耐熱CAEでの変形量と比較する(図3のステップS7)。
ここで、線形解析による変形量と、耐熱CAEでの変形量とが所定の許容範囲内で一致しない場合、例えば、両処理の結果として、各要素の変位量が同一グループに属さない場合には、一致しない要素の剛性パラメータKのみを変更し(図3のステップS8)、ステップS6の線形解析を再び実施する。
このステップS6〜S8の処理は、線形解析後の全要素の変位量が耐熱CAEでの変位量と一致する(同一グループとなる)まで繰り返される。
図7は、最適な材料密度比を8段階で概略的に表示したものである。この図7の結果から、グラブボックスのモデル19において、板厚を厚く形成する必要がある領域(例えば、領域Ar2)、板厚を薄く形成していい領域(例えば、領域Ar3,4)等を知ることができる。
このため、各要素について逐一、剛性パラメータを演算解析するよりも、最初の段階で、各要素に対し剛性パラメータの最適値、或いはその近似値を付与することができ、モデル全体としての演算時間を大幅に短縮することができる。
また、非拘束点である各要素について熱変形の変位量に基づき剛性パラメータKが設定され、その要素において解析された反力を荷重として位相最適化処理を行うことができ、軽量化を前提とした剛性構造を容易かつ高精度に得ることができる。
1 情報処理装置
10 制御部(情報処理装置)
11 グラブボックス(樹脂成形品)
12 拘束点
13 拘束点
14 拘束点
19 モデル
20 データ取得部(情報処理装置)
30 構造解析部(情報処理装置)
40 出力部(情報処理装置)
2 入力装置
3 出力装置
4 CAD装置
50 CPU
51 主記憶装置
52 I/Oインタフェース
53 補助記憶装置
54 NWインタフェース
55 設計支援プログラム
Claims (4)
- 少なくとも1つの拘束点で拘束される樹脂成形品について熱変形を抑制するように、有限要素法と位相最適化処理とにより剛性構造を解析する設計支援装置であって、
樹脂成形品の構造物の設計情報及び解析条件を用いて、有限要素法による構造解析と位相最適化の演算処理とを行う構造解析部を備え、
前記構造解析部は、
メッシュ状の要素に分割され、前記構造物に対応の形状を有するモデルに対して、該構造物の樹脂原料の物性及び拘束条件を入力条件として所定の加熱温度下での所定時間経過後のクリープ変形を有限要素法により解析し、各要素における変形量を出力する処理と、
前記クリープ変形に対応するように、所定の温度下で強制的に弾塑性変形させた場合に、前記モデルの各要素に生じる反力を線形解析する処理と、
前記各要素を、前記クリープ変形による変形量に基づき、複数のグループのいずれかに仕分ける処理と、
前記仕分けられたグループごとに、剛性パラメータを線形解析する処理と、
前記グループごとに求められた剛性パラメータを、そのグループに属する各要素に付与すると共に、各要素に生じる反力と、拘束条件とに基づき線形解析し、前記モデルの変形量を求める処理と、
前記線形解析により求められた前記モデルの変形量と前記クリープ変形により求められた変形量が所定の許容範囲内で一致するように、各要素の剛性パラメータを最適値に調整する処理と、
全ての要素について最適値に調整された剛性パラメータを用いて位相最適化処理を行い、前記モデルの材料密度比の分布データを出力する処理とを行うことを特徴とする設計支援装置。 - 前記構造解析部は、前記線形解析により求められた前記モデルの変形量と前記クリープ変形により求められた変形量が所定の許容範囲内で一致するように、各要素の剛性パラメータを最適値に調整する処理において、
前記クリープ変形による変形量に基づき仕分けられたグループに、前記線形解析により求められた前記モデルの変形量が属するか否かにより、変形量が一致するか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載された設計支援装置。 - 少なくとも1つの拘束点で拘束される樹脂成形品について熱変形を抑制するように、有限要素法と位相最適化処理とにより構造解析し、剛性構造を決定する剛性構造決定方法であって、
メッシュ状の要素に分割され、前記構造物に対応の形状を有するモデルに対して、該構造物の樹脂原料の物性及び拘束条件を入力条件として所定の加熱温度下での所定時間経過後のクリープ変形を有限要素法により解析し、各要素における変形量を出力する処理と、
前記クリープ変形に対応するように、所定の温度下で強制的に弾塑性変形させた場合に、前記モデルの各要素に生じる反力を線形解析する処理と、
前記各要素を、前記クリープ変形による変形量に基づき、複数のグループのいずれかに仕分ける処理と、
前記仕分けられたグループごとに、剛性パラメータを線形解析する処理と、
前記グループごとに求められた剛性パラメータを、そのグループに属する各要素に付与すると共に、各要素に生じる反力と、拘束条件とに基づき線形解析し、前記モデルの変形量を求める処理と、
前記線形解析により求められた前記モデルの変形量と前記クリープ変形により求められた変形量が所定の許容範囲内で一致するように、各要素の剛性パラメータを最適値に調整する処理と、
全ての要素について最適値に調整された剛性パラメータを用いて位相最適化処理を行い、前記モデルの材料密度比の分布データを出力する処理とを含むことを特徴とする剛性構造決定方法。 - 前記線形解析により求められた前記モデルの変形量と前記クリープ変形により求められた変形量が所定の許容範囲内で一致するように、各要素の剛性パラメータを最適値に調整する処理において、
前記クリープ変形による変形量に基づき仕分けられたグループに、前記線形解析により求められた前記モデルの変形量が属するか否かにより、変形量が一致するか否かを判定することを特徴とする請求項3に記載された剛性構造決定方法。
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