JP2012225014A - 地盤変位の予測方法および予測装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 地盤変位観測対象地区における地盤変位の発生を予測する。
【解決手段】 地盤変位観測対象地区における地盤を流れる地下水中の特定イオンのイオン濃度を継続的に測定し、該イオン濃度が急激に上昇する変化が観測された場合、急上昇前の平均のイオン濃度に対して予め設定された倍率以上のイオン濃度の上昇であった場合は、イオン濃度上昇後の観測対象地区における地盤の含水率に拘らず地盤変位の発生する可能性が高いと予測し、設定倍率以下のイオン濃度の上昇であった場合は、イオン濃度上昇後の前記地盤の含水率が予め設定された含水率よりも多くなった場合は地盤変位の可能性が高いと予測するようにした。
【選択図】図7

Description

本発明は、不安定な斜面地盤において発生する可能性のある地すべり、表層崩壊、がけ崩れなどの土砂災害をもたらすような地盤の変位を予測する地盤変位の予測方法および予測装置の技術分野に関するものである。
一般に、自然災害の一つとして土砂災害があり、このような土砂災害としては、傾斜地に発生する地すべり、表層崩壊、がけ崩れ、土石流などによる災害がある。
そして、このような傾斜地での土砂災害は、斜面地盤が変状したり移動したりする地盤崩壊、つまり地盤変位によって発生する。従って地盤変位の発生を予測することは、土砂災害を未然に防止するためにも重要である。
従来、地盤変位を測定する手法については、例えば、特許文献1に示されるように、地盤変位が発生するとされる任意の場所に測定用の孔を掘り、ここに歪みケーブルを挿入し、地盤変位によって生じる歪み量を計測することで地盤変位の測定をするようにしたものがある。
しかしながら、このものでは高価な測定機器が必要であるうえ、実際に斜面崩壊が発生している最中又は発生した後の地盤変位を測定するものであって、該地盤変位の発生を予測するものではない。
これに対し、特許文献2に示されるように、地すべりや表層崩壊等の斜面崩壊による地盤変位が発生する惧れのある地区の地下水中に含まれるナトリウムイオンや硫酸イオン等の特定イオンのイオン濃度を定期的に測定し、この測定値が急激に上昇した場合には、これを地すべりや表層崩壊等の斜面崩壊による地盤変位が発生する前兆であると予測するものがある。
このものは、風化の進行等により土粒子が微細化すると、地盤内の応力に変化が生じてすべり面が発生し、このすべり面が成長することによってさらにすべり面近傍の土粒子が微細化していくという現象を捉え、このように微細化した土粒子表面を通過した地下水は、摺動力を受けていない比較的大きな土粒子表面を通過した地下水に比べてイオン濃度が高くなることに着目したもので、すべり面を通過した水が流入する地下水のイオン濃度を継続的に測定し、イオン濃度が上昇すれば地下水が通過してきた地盤のどこかにすべり面が発生したと観測して、すべり面が発生したことによって地盤変位が起こる可能性が高いと予測するものである。
特許第2847180号公報 特許第4219100号公報
特許文献2のものは、地盤変位の観測対象地を流れる地下水のイオン濃度を継続的に測定し、イオン濃度が急激に変化した場合はすべり面が発生したとして地盤変位の予測を行うもので、このようにして災害発生前に地盤変位の原因となるすべり面の発生を観測し、将来の地盤変位を予測しようとする試みはそれ以前にはなかったものであり、すべり面の発生を地下水中のイオンのイオン濃度の測定によって観測するため、ある程度の信頼性をもってすべり面の発生を知ることができ、このすべり面発生の検知に基づいて地盤変位の予測を行うという点で画期的であった。
ところがその後、観測を継続したところ、この予測方法においてイオン濃度の急上昇が観測され、すべり面の発生があったことが観測されたからといって、その後に地すべりや表層崩壊等の地盤変位が発生しない場合もあった。つまり、すべり面の発生は地盤変位をもたらす要因の1つではあるが、唯一の地盤変位の発生要因ではないことが判明した。
そこですべり面が発生したとして、すべり面の発生から地盤変位の発生に至るまでのプロセスには他にどのような要因が存在するのか、その要因がすべり面の発生から実際の地盤変位の発生までにどのように関わっているのか、このような要因を突き止め、その要因と地盤変位発生との関わりを解明し、これによってより正確な地盤変位の発生を予測できる手法を見出すことに本発明の解決すべき課題がある。
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、地すべりや表層崩壊等の斜面崩壊による地盤変位が発生するとされる地区の地下水中に存在する特定イオンのイオン濃度を継続的に測定し、該特定イオンのイオン濃度が急激に上昇する変化があった場合、地すべりや表層崩壊等の斜面崩壊による地盤変位が発生する可能性があると予測する予測方法において、前記イオン濃度の急上昇があった場合に、該急上昇する前に観測された平均のイオン濃度に対する上昇倍率を算出し、該上昇倍率が予め設定される設定倍率よりも高い場合には、該イオン濃度の急上昇後の該地区における土壌の乾燥重量に対する該土壌に含有する水分量として算出される含水率の如何に拘らず地盤変位の発生する可能性が高いと予測し、上昇倍率が設定倍率よりも低い場合には、該急上昇後に、予め設定される含水率よりも高い含水率が測定された場合に地盤変位の発生する可能性が高いと予測するようにしたことを特徴とする地盤変位の予測方法である。
請求項2の発明は、前記設定倍率を第一設定倍率とし、該第一設定倍率よりも低い倍率を第二設定倍率とし、イオン濃度の上昇倍率が第一設定倍率と第二設定倍率のあいだである場合には、急上昇後に設定含水率よりも高い含水率が測定された場合には地盤変位の発生する可能性が高いと予測し、第二設定倍率よりも低い場合には、イオン濃度の急上昇後の含水率の如何に拘らず地盤変位の発生する可能性は低いと予測するようにしたことを特徴とする請求項1記載の地盤変位の予測方法である。
請求項3の発明は、地すべりや表層崩壊等の斜面崩壊による地盤変位が発生するとされる地区の地下水中に存在する特定イオンのイオン濃度を継続的に測定し、該特定イオンのイオン濃度が急激に上昇する変化があった場合、地すべりや表層崩壊等の斜面崩壊による地盤変位が発生する可能性があると予測する予測装置において、前記イオン濃度の急上昇があった場合に、該急上昇する前に観測された平均のイオン濃度に対する上昇倍率を算出する上昇倍率算出手段と、該上昇倍率が予め設定される設定倍率よりも高い場合には、該イオン濃度の急上昇後の該地区における土壌の乾燥重量に対する該土壌に含有する水分量として算出される含水率の如何に拘らず地盤変位の発生する可能性が高いと予測する一方、該上昇倍率が設定倍率よりも低い場合には、該急上昇後に、予め設定される含水率よりも高い含水率が測定された場合に地盤変位の発生する可能性が高いと予測する予測手段とを備えていることを特徴とする地盤変位の予測装置である。
請求項4の発明は、予測手段には、前記設定倍率を第一設定倍率とし、該第一設定倍率よりも低い倍率を第二設定倍率として登録し、予測手段は、イオン濃度の上昇倍率が第一設定倍率と第二設定倍率のあいだである場合には、急上昇後に設定含水率より高い含水率が観測された場合に地盤変位の発生可能性が高いと予測し、第二設定倍率よりも低い場合には、イオン濃度の急上昇後の含水率の如何に拘らず地盤変位の発生する可能性は低いと予測するように設定されていることを特徴とする請求項3記載の地盤変位の予測装置である。
請求項1または3の発明とすることにより、観測対象地区における地盤について、将来地盤変位が生じる可能性があるか否かを高い信頼度で予測することができる。
請求項2または4の発明とすることにより、観測対象地区における将来の地盤変位発生の可能性をより高い信頼度で予測することが出来る。
地盤内部の土粒子の様子を示す概略説明図である。 すべり面の成長と地盤変位の様子を示す概略説明図である。 イオン濃度がバックグラウンド濃度、ベースライン濃度、ピーク濃度を示す区域の概略説明図である。 イオン濃度と地盤変位量を示すグラフ図である。 イオン濃度、地盤の平均含水率、地盤変位量を示すグラフ図である。 地盤変位の予測装置に用いられるマイクロコンピュータの概略図である。 地盤変位の予測装置における制御フローである。
一般に、地すべりや表層崩壊等の斜面崩壊は、風化等による地盤の不安定化に起因して発生する。そして、安定した地盤内部の土粒子は図1に示されるように比較的大きな土粒子(土粒子1)であるが、不安定化した地盤内部では土粒子の微視的な変位や破壊が発生しており、土粒子は土粒子1よりも小さい粉状(土粒子2)になっている。このように土粒子が粉状になった箇所は応力が変化するため土塊が移動し易い状態となり、ここにすべり面3が発生する(図2(A)の状態)。このようなすべり面3が発生するとすべり面周辺の土塊の応力に変化が生じるため土塊が安定になろうとして移動し始める(地盤変位)。この移動によってすべり面3は徐々に成長していって地盤4内に広がり(図2(B)の状態)、成長したすべり面3を滑動面として地盤全体が移動して地すべり崩壊等の土砂災害が発生する(図2(C)の状態)。
一方、地盤変位の観測対象となる傾斜地に降る雨水は、地表表面に到達した時点では海塩由来の粒子や空中に浮遊する煤煙由来の粒子等を含有し、例えばナトリウムイオン、カルシウムイオン、塩素イオン、硫酸イオン等の低濃度の含有が認められる。このような地表表面における雨水のイオン濃度をバックグラウンド濃度とする(図3参照)。
傾斜地に降った雨水は、地表からやがて地中へと滲み込んでいき、地盤の土粒子の間を通過しながら地下水として集約されていく。
雨水を構成しているのは水であるが、水分子は、一般に強い極性を示すことから、土粒子表面のイオン交換基(例えばシラノール基で、ケイ素原子に結合している水酸基)とのあいだでイオン交換をおこなうことが一般に知られている。このため地盤に浸透していった雨水はイオン交換がなされることによって前記バックグラウンド濃度よりも高いイオン濃度となる。このイオン濃度をベースライン濃度とする。
ところで、土粒子が微細化した場合は、土粒子表面積が全体として増加するため、それだけ土粒子表面のイオン交換基の数も多くなり、このような状態となった土粒子表面を通過した地下水は、微細化する前の土粒子の間を通過した地下水よりもイオンの量(イオン濃度)が多くなっている。このように微細化した直後の土粒子間を通過したことによって高くなったイオン濃度をピーク濃度とする。
前述のすべり面が発生している周辺では、摩擦や部分的な破壊によって土粒子が微細化した状態となっており、土粒子全体としての有効表面積が大きくなっているため、すべり面発生箇所を通過した地下水はピーク濃度となる。
このように傾斜地に降った雨水は傾斜地の表面から地中の地盤を経て地下水となる過程で地中の土粒子とイオン交換を行うため、観測対象地を通過した地下水のイオン濃度は地盤中の土質力学的な、あるいは化学的な状態を反映しており、前述したように地下水のイオン濃度がベースライン濃度からピーク濃度に上昇している場合は、観測対象地の何れかにすべり面が発生したと推測することが出来る。そして、このイオン濃度のベースライン濃度からピーク濃度への上昇率が高ければ高いほど、発生したすべり面の規模は大きいと推測することが出来る。
しかしながら、図4で示されるグラフからも明らかなように、すべり面の発生を示すナトリウムイオンやカルシウムイオン等のイオン濃度が急上昇しても、その後2〜3箇月のあいだに地盤変位が発生しない場合があり、イオン濃度の急上昇と地盤変位とのあいだには必ずしも明確な関連性があるとは言えない。つまり、すべり面の発生は地盤変位の一要因ではあるが、実際の地盤変位を引き起こすにはすべり面の発生とは何か別の要因が存在し、この要因が何らかの条件を満たしたときに地盤変位の引き金(トリガー)となると考えるのが妥当である。
尚、ピーク濃度が測定されなかったにも拘らず斜面崩壊等の現象が発生した場合は、測定している地下水が斜面崩壊をもたらしたすべり面を通過していないと考えることが出来る。仮にある地区で斜面崩壊が発生したとして、該地区の地下水が必ずしも崩壊斜面を引き起こしたであろうすべり面を通過した地下水であるとは限らない。従って、より正確に地盤変位を予測するためには、観察対象となる斜面を通過する地下水の経路を把握する必要がある。
では、すべり面が発生した後に該すべり面を滑動面として地盤変位を引き起こさせる要因は何か。地盤変位をもたらす主な要因としてまず挙げられるのは地震であり、次に考えられるのが主に降水である。そして多雨気候の日本においては降水は地震よりも頻繁に見られる自然現象であり、降水の度に地中を地下水が流れて地盤に影響を与え続ける。特に梅雨前線の停滞や台風等による降水量の増加が土砂流出等の引き金となっていることは一般によく知られるところである。
ところで、仮にある一定の降水が観測されたとしても、冬季の太平洋側地域のように晴天続きで何日も降水がなく地盤内が非常に乾燥した状況での降水と、梅雨や台風シーズンのように既にかなりの降水が観測されて地盤内に大量の水分が含有されている状況での降水とでは、地盤変位の発生可能性は大きく異なる。
つまり、地盤が乾燥している場合には多少の雨が降っても直ぐに土砂崩れ等が発生する可能性は少ないが、既に大量の雨が降った後では、その後のほんの僅かな降水でもそれが引き金となって土砂災害がもたらされる可能性が高まることは良く知られるところである。従って、観測対象地の地盤内にどれだけの水分が含有されているかが地盤変位の発生に関与するものと考えられる。
そこで本発明の発明者は、すべり面が発生した後の観測対象地区における地盤の含水率とその後の地盤変位の発生の因果関係について検討した。
そして本発明の発明者は、長期間に亘り、観測対象地区におけるイオン濃度の変化と地盤の含水率と地盤変位との関係について観測したところ、以下のような特徴的な現象が発生していることを発見し、本発明を完成した。
(1)イオン濃度の上昇率がかなり高い場合
この場合は、イオン濃度の上昇率が高いことから地盤に発生したすべり面の規模がかなり大きいと推察されるものであって、上昇率の変化があった後、2〜3箇月までのあいだに地盤変位が発生する可能性が高いことが確認され、このような場合には、地盤の含水率の上昇という要因がなくとも単独で地盤変位を引き起こす程にすべり面の規模が大きいものであったと推察される。
(2)イオン濃度の上昇率が(1)の場合ほど高くはないが、上昇以前のイオン濃度と比較すると高い上昇率でイオン濃度が上昇している場合
この場合は、イオン濃度の上昇率が(1)ほどではないがそれなりの上昇をしていることから中規模のすべり面が発生していると推察され、この場合はこのイオン濃度の上昇後に地盤の含水率のある程度の上昇が観測された場合には、2〜3箇月までのあいだに地盤変位が発生する可能性が高いことが確認され、このような場合には、すべり面の発生と地盤の含水率の上昇とが直接の要因となって地盤変位が引き起こされるものと推察される。
(3)イオン濃度の上昇率が(2)よりも低い場合
この場合は、イオン濃度の上昇率が低いが故に、すべり面の発生が小さいものと推察され、その後、当該地盤の含水率の上昇があっても地盤変位が発生する可能性が低いことが確認された。
このように地盤変位の発生を、イオン濃度の測定、地盤の含水率の測定をすることで高い可能性で予測することができるが、地盤変位の発生予測をする場合のイオン濃度の上昇率や地盤の含水率は測定場所によって異なっていて一定ではなく、このため前記(1)〜(3)に区分けるための具体的数値は、測定場所において予め観測したデータによって決定されることはいうまでもない。
ところで、地盤の含水率を知る方法としては、観測対象地盤の土壌の一部を試料体として採取し、該採取直後の試料体の重量を計測し、その後の乾燥した状態の該試料体の重量と比較することによって試料体の含水率を算出して、観測対象地盤の含水率を計測するという方法がある。
例えば、ある日(Xn)に観測対象地盤における複数の計測地点で地下5m(メートル)の地点から直径50mm、長さ100mmの円柱の大きさで土壌を採取して試料体とする。まず、採取直後に試料体の重量Gを計測する。次に該試料体を、本発明の発明者が発明した乾燥処理装置(WO2008/108079号公報記載の乾燥処理装置を使用)にかけて乾燥させる。この乾燥処理装置は含水率(乾燥した土壌の重量に対する該土壌に含有する水分量の割合)20%までの乾燥を現地ですばやくできるものであり、この含水率20%になった状態で再び試料体の重量Hを計測する。
このとき、採取直後の試料体の重量Gは、完全に乾燥した状態の土壌重量Iとそこに含有する水分量Jとの合計(G=I+J)であり、前記乾燥処理装置にかけて水分量20%まで乾燥した後の試料体の重量Hは、完全に乾燥した土壌重量Iと土壌重量の20%に相当する水分量との合計(H=I+0.2I=1.2I)として算出される。
従って、水分量20%まで乾燥した試料体の重量Hを計測することによって、完全に乾燥した状態の土壌重量I(I=H/1.2)が算出され、さらに該算出された完全に乾燥した状態の土壌重量Iと採取直後の試料体の重量Gから、採取直後の試料体に含有する水分量J(J=G−I)も算出することができる。
例えば、採取直後の試料体の重量Gが400g(グラム)、乾燥処理装置にかけて水分量20%まで乾燥した試料体の重量Hが360gであったとすると、完全に乾燥した状態の土壌重量Iは、前記式から、
I=H/1.2
=360/1.2
=300
となり、300gとして算出される。
また、採取直後の試料体に含まれる水分量Jは、前記式から、
J=G−I
=400−300
=100
となり、100gとして算出される。
このようにして求められた完全に乾燥した状態の土壌重量Iと採取直後の試料体に含有する水分量Jとの比K(K=J/I)を求めて百倍することで試料体の含水率L(L=100×K:単位 %(パーセント))が求められる。上記例であれば、含水率Lは33.3%(L=100×J/I=100×100/300)となる。このような含水率Lを観測対象地盤において複数の計測地点で採取した試料体についてそれぞれ求め、求められた含水率Lの平均を求めることによってある日(Xn)の観測対象地盤における平均含水率Pを算出する。このような平均含水率Pの算出を、例えば4日毎に行って、平均含水率Pの変化を観測する。
尚、本発明の実施の形態では、計測地点を複数としたが、一箇所であっても良い。また、試料体を採取する地盤の深度を5mとしたが、これに限定されるものではなく地下水が浸透する範囲内であれば採取深度は任意に設定し得る。また、一つの計測地点の異なる深度から複数の試料体を採取しても良いし、計測地点に応じて試料体を採取する深度を変えても良い。このように採取場所や採取深度は、観測対象地盤の地形や地質など観測対象地区の種々の特質に照らし合わせて地盤の水分含有状況が最も良く反映されるように設定されるものである。
以下にある一つの場所での観測事例について説明するが、実際の観測事例は複数あり、何れの場合も略同様の現象が観測されている。
図5は、実際に地すべりが観測されたある地区のある観測開始年月から4年間の観測対象地盤を通過する地下水を継続的に測定して得られた特定イオン(ナトリウムイオン、カルシウムイオン)のイオン濃度値(mg/L)、観測対象地盤における平均含水率(%)、特定観測地点における地盤の変位量(mm)を示したグラフ図である。
この地区の表層地盤は風化を強く受けた泥岩であって、過去に地すべりが繰り返し発生している。
観測対象地区の地すべり発生地に近接した2箇所に傾斜計孔を掘削し、該傾斜計孔の最奥部に設置した各傾斜計a、bによって地盤変位の変位量を計測している。傾斜計aは深さ7mの位置に設置されており、傾斜計bは深さ3mの位置に設置されている。
また、2つの傾斜計孔のうち、山裾側の傾斜計孔内に貯留されている地下水を分析用試料として採取している。採取量は地下水100mL(ミリリットル)であり、2週間毎に採取してポリエチレンびんに入れ、分析を行った。分析は、イオンクロマトグラフィー/電気伝導率検出法を用い、前記採取した地下水中のナトリウムイオン(Na)およびカルシウムイオン(Ca2+)の濃度を定量した。図5には、これら定量したイオン濃度値と、前記傾斜計a、bに表れた地盤変位との関係が示されている。
図5からイオン濃度の変化を見ていくと、まず、地下水中のナトリウムイオン又はカルシウムイオンのイオン濃度が100mg/L未満である場合をベースライン濃度とし、100mg/L以上である場合をピーク濃度とした場合、イオン濃度がピーク濃度を示したのは(A)観測初年度の3月から4月、(B)観測初年度の8月、(C)観測開始1年後の5月から7月、(D)観測開始2年度の6月から8月、(E)観測開始2年後の9月から11月、(F)観測開始3年後の7月である。
次に、地盤の変位量を見ていくと、傾斜計a(深さ7m)または傾斜計b(深さ3m)によって測定された地盤の変位量が2mm以上である場合は、観測初年度の9月に約3mm、観測開始1年後の7月に約5mm、9月に約2mm、観測開始2年後の8月に約2mm、9月に約4mm、観測開始3年後の8月に約12mmである。
さらに、4日毎に測定した地盤の平均含水率を見ていくと、30%以上である場合は、観測初年度の9月、観測開始1年後の7月、観測開始2年後の8月、11月である。
ここで、イオン濃度が急上昇した(A)〜(F)の各時期について、それぞれのイオン濃度急上昇後の地盤の平均含水率と地盤の変位を分析する。
(A)観測初年度の3月から4月にイオン濃度が100mg/Lを超える急上昇をしてピーク濃度を示し、3月25日にはピーク濃度の最高値が観測された。このピーク濃度の最高値を観測した3月25日から3箇月間に亘って当該地盤の平均含水率を観測したところ、30%を超す平均含水率は観測されなかった。そして、該イオン濃度の急上昇から次にイオン濃度が急上昇するまでのあいだに大きな地盤の変位は発生しなかった。
(B)観測初年度の7月から8月にかけてイオン濃度は100mg/Lを超える急上昇をしてピーク濃度を示し、8月10日にはピーク濃度の最高値が観測された。このピーク濃度の最高値を観測した8月10日から3箇月間に亘って当該地盤の平均含水率を観測したところ、9月3日と7日には30%を超す平均含水率が観測された。そして9月7日に約3mmの地盤の変位を観測した。
(C)観測開始1年後の5月から7月にかけてイオン濃度が200mg/Lを超える急上昇をしてピーク濃度を示し、6月3日にはピーク濃度の最高値が観測された。このピーク濃度の最高値を観測した6月3日から3箇月間に亘って当該地盤の平均含水率を観測したところ、7月3日と7日には30%を超える平均含水率が観測された。そして7月15日に約5mm、さらに9月19日に約2mmの地盤の変位を観測した。
(D)観測開始2年後の6月から7月にかけてイオン濃度が200mg/Lを超える急上昇をしてピーク濃度を示し、7月29日にはピーク濃度の最高値が観測された。このピーク濃度の最高値を観測した7月29日から3箇月間に亘って当該地盤の平均含水率を観測したところ、7月30日と8月3日には30%を超える平均含水率が観測された。そして、8月30日に約2mmの地盤の変位を観測し、さらに9月15日に約4mmの地盤の変位を観測した。
(E)観測開始2年後の9月と11月の2回にわたってイオン濃度が200mg/Lを超える急上昇をしてピーク濃度を示し、9月23日にはピーク濃度の最高値が観測された。このピーク濃度の最高値を観測した9月23日から3箇月間に亘って当該地盤の平均含水率を観測したところ、11月13日に30%を超す平均含水率が観測された。しかしながら該イオン濃度の急上昇から次にイオン濃度が急上昇するまでのあいだに大きな地盤の変位は発生しなかった。
(F)観測開始3年後の6月から7月にかけてイオン濃度が400mg/Lを超える急上昇をしてピーク濃度を示し、7月4日にはピーク濃度の最高値が観測された。このピーク濃度の最高値を観測した7月4日から3箇月間に亘って当該地盤の平均含水率を観測したところ、3箇月後の10月4日までに30%を超す平均含水率は観測されなかった。しかしながら8月25日には約12mmの大きな地盤変位を観測した。
これら(A)〜(F)の現象を分析した結果、以下のことが言える。
(i) (F)の現象では、急上昇したイオン濃度の値は、該イオン濃度が急上昇する前の2箇月間のイオン濃度の平均値の4倍以上に上昇している。この場合、ピーク濃度の最高値が観測された後、3箇月の間30%を超す当該地盤の平均含水率が観測されなかったにも拘らず8月には12mmを超える大きな地盤変位量が観測されていることから、イオン濃度が急上昇した場合には、その後の地盤の平均含水率の如何に拘らず地盤変位が発生する可能性が高いといえる。
(ii) (B)、(C)、(D)の現象では、イオン濃度の上昇倍率が、該上昇する前の2ヶ月間に観測されたイオン濃度の平均値の約2倍から4倍程度となっている。そして、ピーク濃度の最高値が観測された日から3箇月までの間に30%を超す平均含水率が観測された(例えば(B)の場合はピーク濃度の最高値が観測されてから約25日後に30%を超す平均含水率が観測されている。)後に地盤変位が発生している。このことから急上昇が観測されたイオン濃度値が、イオン濃度の急上昇が観測される前の2箇月間のイオン濃度の平均値の2倍〜4倍程度であった場合は、その後の3箇月以内に地盤の平均含水率が30%に達したら地盤変位が発生する可能性が高いといえる。
(iii) (A)の現象では、急上昇したイオン濃度の上昇倍率が、該上昇する前の2箇月間に観測されたイオン濃度の平均値の約2倍〜4倍程度となっている。しかしながらピーク濃度の最高値が観測された日から3箇月までのあいだに30%を超す地盤の平均含水率は観測されず、その後にイオン濃度の急上昇が確認されるまで地盤の変位は観測されなかった。このことから急上昇が観測されたイオン濃度値が、イオン濃度の急上昇が観測される前の2箇月間のイオン濃度の平均値の2倍〜4倍程度であった場合でも、その後の3箇月以内に地盤の平均含水率が30%に達しない場合は、地盤変位が発生する可能性が低いといえる。
(iv) (E)の現象では、急上昇したイオン濃度の上昇倍率が、該上昇する前の2箇月間に観測されたイオン濃度の平均値の2倍以下となっている。この場合、ピーク濃度の最高値が観測された日から3箇月までのあいだに30%を超す平均含水率が観測されたにも拘らず、その後イオン濃度の急上昇が観測されるまで地盤の変位は観測されなかった。このことから急上昇したイオン濃度の値が、該急上昇する前の2箇月間に観測されたイオン濃度の平均値の2倍よりも低い場合には、その後の地盤の平均含水率の如何に拘らず地盤変位の発生の可能性は低いといえる。
このような分析に基づいて、イオン濃度および平均含水率の各測定値から地盤変位の発生を予測する地盤変位の予測方法を見出した。
(i)イオン濃度が急上昇した場合、急上昇する前の2箇月間に観測されたイオン濃度の平均値に対する上昇倍率を算出し、該上昇倍率が4倍以上の場合は、イオン濃度の急上昇後の地盤の含水率の如何に拘らず地盤変位の発生する可能性が高い。ここで上昇倍率4倍を基準倍率として設定したが、これを第一設定倍率とする。
(ii)イオン濃度が急上昇した場合、急上昇する前の2箇月間に観測されたイオン濃度の平均値に対する上昇倍率を算出し、該上昇倍率が2倍以上4倍未満の場合は、イオン濃度の最高値が観測された日から3箇月の間に地盤の平均含水率が30%を超えたら地盤変位の発生する可能性が高い。ここで上昇倍率2倍を基準倍率として設定したが、これを第二設定倍率とする。
(iii)イオン濃度が急上昇した場合、急上昇する前の2箇月間に観測されたイオン濃度の平均値に対する上昇倍率を算出し、該上昇倍率が2倍以上4倍未満の場合は、イオン濃度の最高値が観測された日から3箇月の間に地盤の平均含水率が30%を超えなかったら地盤変位の発生する可能性は低い。
(iv)イオン濃度が急上昇した場合、上昇する前の2箇月間に観測されたイオン濃度の平均値に対する上昇倍率を算出し、該上昇倍率が2倍未満の場合は、イオン濃度の最高値が観測された日から3箇月間の地盤の平均含水率の如何に拘らず地盤変位の発生する可能性は低い。
そしてこれらの事実から次の推定がなされる。
(i)の場合は、イオン濃度の急上昇の上昇倍率が第一設定倍率である4倍よりも高い場合であり、それだけ大規模なすべり面が発生したことを示すものであって、イオン濃度急上昇後の地盤の平均含水率の如何に拘らず地盤変位が発生する可能性が高いと推定される。
(ii)および(iii)の場合は、イオン濃度の急上昇の上昇倍率が第一設定倍率である4倍よりも低く第二設定倍率である2倍よりも高い場合であり、イオン濃度急上昇後の地盤の平均含水率如何によって地盤変位の発生可能性が異なると推定される。
(iv)の場合は、イオン濃度の急上昇の上昇倍率が第二設定倍率である2倍よりも低い場合であり、この程度のイオン濃度の上昇では地盤の変位を発生させるほどのすべり面が発生していないと推測され、イオン濃度の上昇後の地盤の平均含水率如何に拘らず地盤変位の発生可能性は低いと推定される。
尚、本発明の実施の形態では1箇所のみの観測対象地盤についての観測結果に基づいて記載しているが、実際には複数の観測対象地盤での観測を試みている。そして、これらの観測対象地盤においても前記推定が凡そあてはまることが確認されている。
そして、第一、第二設定倍率を設定するにあたり、イオン濃度が急上昇する前2箇月間のイオン濃度の平均値を基準にして算出したが、これに限定されるものではなく、例えば、イオン濃度が急上昇する前1箇月間のイオン濃度の平均値や、前回のイオン濃度の急上昇が収まってから今回のイオン濃度の急上昇が始まる前までのイオン濃度の平均値等、観測地域の実情に応じて適宜設定できるものである。
さらに前記実施の形態では、第一設定倍率を4倍、第二設定倍率を2倍に設定し、第一設定倍率未満第二設定倍率以上のイオン濃度の場合の地盤変位発生予測基準を地盤の平均含水率30%としたが、これらの数値に限定されるものではないことは勿論であって、これらの数値は、観測地域の環境等によって大きく左右されるものであり、このためこれら数値については当該観測地域において実際に観測をして求める必要がある。
また第一設定倍率は、第二設定倍率よりも高いものであれば他の倍率を選択して実施してもよい。また地盤変位の発生予測基準となる地盤の平均含水率は毎日の測定に基づいて算出してもよいし、本発明の実施の形態とは異なる日毎の測定に基づいて算出してもよいのであって、これらは地盤変位を予測する地区の自然環境等に応じて適宜適切な数値に設定し得るものである。
また、設定倍率は第一設定倍率だけでもよく、その場合は、第一設定倍率以上であれば地盤の平均含水率を考慮することなく地盤変位発生の可能性を予測し、第一設定倍率未満(以下)であればイオン濃度上昇後のピーク濃度の最高値から所定期間の地盤の平均含水率を観測してこの観測結果を基に地盤変位発生の可能性を予測するよう構成してもよい。
以上の地盤変位の予測方法によって地盤変位を予測する地盤変位の予測装置5は、図6に示すマイクロコンピュータを用いた予測装置によって自動的に行うことができる。予測装置には、記憶手段、演算手段および判断手段等のマイクロコンピュータを構成するに必要な各種必要手段を備えた制御部を有する本体6と、表示部(ディスプレー)7、入力部(キーボード)8とを備えて構成される汎用のものでよい。本体6への必要情報の入力は入力部8から人為的に行っても良いが、各測定器からインターネット回線や空中回線等の情報伝達回線を介して自動的に入力するようにしても良い。
そして次に、予測手順について、図7に示す制御フローに基づいて説明する。まずステップ1(S1)で、既に求められているイオン濃度の上昇倍率である第一、第二設定倍率N1、N2、急上昇したイオン濃度の最高値が観測された日からカウントする所定期間T、この所定期間Tのあいだの地盤の平均含水率として設定される設定平均含水率Mが初期設定として入力される。次に、ステップ2(S2)で、前記入力した地下水のイオン濃度の本日(n日)の測定値Xnから60日前までのイオン濃度の平均値Xaを算出し、ステップ3(S3)で、該平均値Xaに対する本日の測定値Xnの上昇倍率Uを算出する。次にステップ4(S4)で、ステップ3で算出された上昇倍率Uが第二設定倍率(本発明の実施の形態では2倍)N2を超えた(N2<U)かを判別し、超えたと判別された場合、ステップ5(S5)において、ステップ3で登録された上昇倍率Uが第一設定倍率(本発明の実施の形態では4倍)N1以上(U≧N1)か否かを判別し、以上であると判別された場合には、近々、地盤変位が発生する可能性が大きいと予測し、これを報知する。
これに対し、上昇倍率Uが第一設定倍率N1を超えていない(U<N1)と判断された場合には、ステップ6(S6)において、イオン濃度の最高値を観測した日から所定期間T(本発明の実施の形態では3箇月)における地盤の平均含水率が、設定平均含水率M(本発明の実施の形態では30%)に達したか否かを判断し、達したと判断された場合には、近々、地盤変位が発生する可能性が大きいと予測し、これを報知する。
一方、所定期間Tにおいて設定平均含水率Mに達していない場合にはリターンする。
このように、第一、第二設定倍率、設定平均含水率を入力し、実際の測定値からイオン濃度平均値に対する上昇倍率を算出して第一、第二設定倍率と比較し、該比較に基づいてさらに算出された地盤の平均含水率と設定平均含水率とを比較して地盤変位の予測をし、該予測に基づいて例えば警報を発する等の報知を行うになっており、このように構成される装置を用いることによって、観測対象地における地盤変位の予測を精度良く行うことが出来る。
尚、ここで入力される第一、第二設定倍率N1、N2や設定平均含水率M或いは所定期間Tの数値は前述したように本発明の実施の形態に限定されるものではなく、観測対象地の状況に応じて適宜変更し得るものである。
本発明は、不安定な斜面地盤において発生する可能性のある地すべり、表層崩壊、がけ崩れなどの土砂災害をもたらすような地盤の変位を予測する地盤変位の予測方法および予測装置の技術分野に利用することができる。
3 すべり面
4 地盤

Claims (4)

  1. 地すべりや表層崩壊等の斜面崩壊による地盤変位が発生するとされる地区の地下水中に存在する特定イオンのイオン濃度を継続的に測定し、該特定イオンのイオン濃度が急激に上昇する変化があった場合、地すべりや表層崩壊等の斜面崩壊による地盤変位が発生する可能性があると予測する予測方法において、
    前記イオン濃度の急上昇があった場合に、該急上昇する前に観測された平均のイオン濃度に対する上昇倍率を算出し、該上昇倍率が予め設定される設定倍率よりも高い場合には、該イオン濃度の急上昇後の該地区における土壌の乾燥重量に対する該土壌に含有する水分量として算出される含水率の如何に拘らず地盤変位の発生する可能性が高いと予測し、
    上昇倍率が設定倍率よりも低い場合には、該急上昇後に、予め設定される含水率よりも高い含水率が測定された場合に地盤変位の発生する可能性が高いと予測するようにしたことを特徴とする地盤変位の予測方法。
  2. 前記設定倍率を第一設定倍率とし、該第一設定倍率よりも低い倍率を第二設定倍率とし、イオン濃度の上昇倍率が第一設定倍率と第二設定倍率のあいだである場合には、急上昇後に設定含水率より高い含水率が測定された場合には地盤変位の発生する可能性が高いと予測し、第二設定倍率よりも低い場合には、イオン濃度の急上昇後の含水率の如何に拘らず地盤変位の発生する可能性は低いと予測するようにしたことを特徴とする請求項1記載の地盤変位の予測方法。
  3. 地すべりや表層崩壊等の斜面崩壊による地盤変位が発生するとされる地区の地下水中に存在する特定イオンのイオン濃度を継続的に測定し、
    該特定イオンのイオン濃度が急激に上昇する変化があった場合、地すべりや表層崩壊等の斜面崩壊による地盤変位が発生する可能性があると予測する予測装置において、
    前記イオン濃度の急上昇があった場合に、該急上昇する前に観測された平均のイオン濃度に対する上昇倍率を算出する上昇倍率算出手段と、
    該上昇倍率が予め設定される設定倍率よりも高い場合には、該イオン濃度の急上昇後の該地区における土壌の乾燥重量に対する該土壌に含有する水分量として算出される含水率の如何に拘らず地盤変位の発生する可能性が高いと予測する一方、
    該上昇倍率が設定倍率よりも低い場合には、該急上昇後に、予め設定される含水率よりも高い含水率が測定された場合に地盤変位の発生する可能性が高いと予測する予測手段とを備えていることを特徴とする地盤変位の予測装置。
  4. 予測手段には、前記設定倍率を第一設定倍率とし、該第一設定倍率よりも低い倍率を第二設定倍率として登録し、予測手段は、イオン濃度の上昇倍率が第一設定倍率と第二設定倍率のあいだである場合には、急上昇後に設定含水率より高い含水率が観測された場合に地盤変位の発生可能性が高いと予測し、第二設定倍率よりも低い場合には、イオン濃度の急上昇後の含水率の如何に拘らず地盤変位の発生する可能性は低いと予測するように設定されていることを特徴とする請求項3記載の地盤変位の予測装置。
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