JP2012223735A - 生ごみ処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の微生物を用いた生ごみ処理装置においては、分解槽中の水分率を適正範囲に保つために外気をヒータで加熱した熱風を分解槽に給気し熱エネルギーを補給していた。しかし、加熱のためのヒータ電力の消費は生ごみ処理装置のランニングコストを高めるという問題があった。
【解決手段】化学量論と熱流体力学の統合化モデルを用いて、投入された生ごみが分解される一定期間の分解過程における反応物量、生成物量、反応熱量および分解槽からの水分除去量の時間推移を推定し、これらから得られる期間最終水分率予測値に対して、所与の期間最終水分率を達成するために微生物が分解できる養分を必要量追加することにより、ヒータ電力の代わりに微生物による分解過程で生じる反応熱を用いて所与の期間最終水分率を達成することを可能とした。
【選択図】図1

Description

本発明は好気性微生物を用いて生ごみを分解処理する生ごみ処理装置に関わる。
一般家庭、学校、病院やその他各種施設などから排出される食品廃棄物、食品販売、製造、加工業や外食産業から排出される食品廃棄物など、養殖業から排出される魚介類廃棄物などの所謂生ごみの処理の方法の1つとして、好気性微生物の有機物分解作用を利用した生ごみ分解処理方法があり、これを応用した様々な生ごみ処理装置が実用化されている。(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3 参照)
所謂生ごみは、野菜類や食肉類や穀類などの食品廃棄物の集まりであり、これらはたんぱく質、脂質、炭水化物、水分、灰分などで構成された有機物から成り微生物によって分解が可能である。
従来の好気性の微生物を利用した生ごみ処理装置では、分解槽に投入された生ごみは、微生物による生ごみ分解過程で、生ごみからアミノ酸や脂肪酸などの低分子量の有機物や二酸化炭素やアンモニアや水分などの無機物質が生成される。従って、分解過程中の分解槽中では、微生物を定着した多孔質の菌床材、生ごみ、生ごみの分解により生成される生成物からなる水分を含む固体混合物(以降、菌床と呼称する)が形成される。従って、生ごみ分解過程における分解槽中の菌床は微生物の生育培地としての機能を果たしている。
分解槽の換気機能は、外気を取り込みこれを分解槽の気相部に給気する。また、分解槽中の空気を分解槽外に排出する。この換気機能により、分解槽中の微生物に対して酸素を供給し、また、分解過程で生成された二酸化炭素やアンモニアなどの気体成分を排出する機能を果たす。また、菌床から蒸発した水分も分解槽外に排出するので、換気機能は菌床から水分を除去する機能も果たす。
給気加熱機能は、換気機能で取り込んだ外気をそのまま分解槽に送風したり、取り込んだ空気をヒータで加熱して熱風にして分解槽に送り込む。分解槽に送り込まれた空気は分解槽中の菌床と熱交換を行い菌床に対して熱を供給したり、また熱を奪ったりする。前記換気機能は分解槽中の空気の風速を制御することができる。従って、前記給気加熱機能は、換気機能と連動して、分解槽に送り込む風量(または風速)と給気温度を制御することにより菌床に熱を加えたり、菌床から熱を取り去ったりできる。同時に、菌床に与える熱速度や菌床上層の気相の気体流としての条件は菌床からの水分の蒸発速度、即ち、分解槽から水分を除去する水分除去速度に影響するので、換気機能と連動する給気加熱機能は、分解槽からの水分除去速度を制御する因子としても機能する。
菌床温度測定機能は、分解槽に装着された温度センサを用いて菌床温度の推移をリアルタイムに計測し菌床温度実測値として出力する。
微生物を利用した生ごみ処理装置の生ごみの分解処理性能は、分解槽中の微生物による分解過程における生ごみ成分の分解反応の速度に依存している。分解過程の反応速度は稼働中の分解槽中の微生物の活性度に依存するので、生ごみの分解処理性能を維持するためには、分解槽中の微生物の活性を維持する必要がある。
分解槽中の微生物の活性は分解槽中の微生物の生育環境が影響するので、微生物の活性の維持には、微生物の生育に適した生育環境の維持が必要である。
微生物の生育環境因子の重要な因子の一つに微生物の生育培地である菌床の水分率がある。通常、分解槽に投入された生ごみからは分解過程で大量の水分が生成されるので、分解槽中の菌床の微生物の生育環境を適正に維持するため、分解槽中に分解過程で生成される水分を適切量、除去する必要がある。
分解槽中に生成される水分を除去する方法として、菌床中の水分を蒸発させて水蒸気として分解槽外に排出する方法が用いられていた。
水分の蒸発速度は、水分を含んでいる菌床に供給される熱速度と菌床と気相の界面に生じた水蒸気の気相上層に輸送する輸送速度で律速される。
従って、分解槽からある一定期間の間に必要な水分量を水蒸気にして除去する場合、蒸発量に見合う蒸発潜熱量を菌床に供給する必要がある。
菌床に流入する熱量には、微生物の分解過程で生じる反応熱と、気相と菌床との間の伝熱とがある。反応熱量は、微生物の活性状態で決まる量であるので、ある一定の期間中に生じる反応熱量がその期間に必要な蒸発潜熱量に対して不足する場合は、給気加熱機能を使って、加熱した空気を給気することにより、不足する熱量を補う方法が用いられていた。



特開平7-33572 特開2006-281167 特開2011-34650

従来、微生物を利用した生ごみ処理装置の分解槽中の菌床の水分率を生育環境に適した水分率に保つために、分解槽中に生成される水分から適正量の水分を除去する方法として、外気をヒータで加熱した空気を分解槽中に給気して菌床に熱量を供給し、菌床中に生成された水分を蒸発させて分解槽外に排気する方法が用いられてきた。
しかし、菌床に熱量を供給するために用いられるヒータ加熱のための電力消費は微生物を利用した生ごみ処理装置のランニングコストを高めるという問題および間接的には電力消費に伴う資源枯渇や地球温暖化などの環境負荷の問題を助長するという問題があった。
さらに、また、熱風を分解槽に給気して菌床に熱量を供給する方法は、菌床への熱エネルギーの供給効率が低いため、電力を浪費するという問題があった。
そこで本発明は上記課題を解決するもので、菌床を加熱する熱エネルギー源をヒータ電力に代えて、有機物資源(以下、養分という)を用いて微生物による分解過程で生じる反応熱量を制御することにより、分解槽中の水分の除去量を制御し、処理期間の最終時における分解槽中の菌床の水分率を所与の水分率に制御することを可能とした生ごみ処理装置を実現することを目的とするものである。

本発明は上記の目的を以下のように達成する。
請求項1記載発明は、微生物を利用した生ごみ処理装置において、投入生ごみに関するデータを伝達する手段と、稼働中の分解槽中の分解過程における反応速度を推定する反応速度推定手段と期間水分除去量を推定する期間水分除去量推定手段と、投入された生ごみに加えて、追加投入する養分量を算定する投入養分量算定手段を備えたことを特徴とするものである。
本発明は上記構成によって、以下のように分解槽中の水分率を所与の期間最終水分率に達するよう制御することを可能とした。即ち、
分解槽中の菌床の水分率を微生物の生育に適した水分率に保つ方法として、生ごみが投入された時点から、その生ごみがほぼ分解を終える一定期間を実験的に定め(これを以降、分解処理期間、または単に期間と称する)、この期間最終時点における分解槽中の水分率(以降、期間最終水分率と称する)を一定範囲に制御することにより、分解槽中の菌床の水分率を管理する方法を用い、さらに、期間最終時の分解槽中の菌床の重量と期間中に生成される水分量および期間中の水分除去量を推定し、分解槽中の期間最終水分率を予測する。所与の期間最終水分率と前記期間最終水分率予測値の差から、追加投入する養分量を算定し、これを分解槽に追加投入することにより、所与の期間最終水分率を達成することを可能とした。

上記のように本発明にあって、分解槽中の菌床の期間最終水分率を達成するために必要な熱エネルギーを養分の追加投入で補うことにより、菌床加熱のためのヒータ電力消費を不要することを可能とし、生ごみ処理装置のランニングコストを低減できる効果がある。
さらにまた、生ごみ処理装置の稼働中の消費電力を低減することによる生ごみ処理装置の稼働に伴う環境負荷への低減ができる効果がある。
さらにまた、投入した養分から生成される反応熱の大部分は菌床中の水分の蒸発に必要な熱エネルギーとして利用されるので、菌床への熱供給の効率が高いという効果がある。

以下、本発明の実施の形態を図1および図2に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る生ごみ処理装置の構成図を示す。
図2は、図1中の操作・表示パネルの一部の詳細を示す。
図1に示すように、生ごみ処理装置は、投入された生ごみを分解処理する分解槽、分解槽中の菌床を攪拌する攪拌機構5、分解槽中の菌床の攪拌を制御する攪拌制御部6、分解槽に空気を供給し、分解槽中の気体を排出する換気制御部7、分解槽の菌床温度を測定する菌床温度測定部8、生ごみ処理装置の操作や動作状態を表示する操作・表示パネル9、および生ごみ処理装置の全体を制御する制御部10から主に構成されている。分解槽の内部は、微生物を定着した菌床材と投入された生ごみと生ごみが分解されて生成される水分(液)と固体生成物から成る固体混合物である菌床3と、菌床3の上部の気相部4とに分かれる。

制御部10は、生ごみ処理装置の全体を制御するもので、操作・表示パネル9や、各種制御部6、7や菌床温度測定部8から出力される信号を受けて制御ロジックを働かせ、その結果生成される制御信号を前記の各種制御部や前記の測定部に送信して、生ごみ処理装置が所望の動作をするよう制御する。前記制御ロジックには、反応速度推定部101、期間水分除去量推定部102、追加養分量算定部103などがある。
図2は、操作・表示パネル9の一部を詳細に示す図で、投入した生ごみの重量を設定する投入生ごみ重量設定スイッチ91、投入した生ごみの食品区分(野菜類、魚肉類、穀類)に関する構成比率を設定する投入生ごみ構成比率設定スイッチ92、生ごみを分解槽に投入したタイミングを通知する投入タイミング通知ボタン93、および、追加養分量表示部94で構成されている。

まず、最初に分解槽中の微生物による生ごみの分解過程について説明する。次に期間中の分解槽中の反応速度の推定方法を説明する。
以下は微生物による生ごみの分解過程の説明である。
微生物による生ごみの分解過程は、生ごみ成分のたんぱく質、脂質、炭水化物の化学反応式で表わされる。即ち、以下に生ごみの分解過程における5つの化学反応式を示す。

炭水化物(HC)→無機物質(D1) (1)
たんぱく質(P)→アミノ酸(AA)→無機物質(D2) (2)
脂質(L)→脂肪酸(LA)→無機物質(D3) (3)
但し、D1は、CO2、H2Oが生成されることを示す。
また、D2は、CO2、NH3、H2S、H2Oが生成されることを示す。
また、D3は、CO2、H2Oが生成されることを示す。

また、前記の分解過程における1段の反応((1)式)と、2段の反応((2)式および(3)式)の反応速度を反応速度係数kを用いて次のように表わす。



また、微生物による分解過程における反応速度は、微生物の活性が分解槽中の微生物の生育環境の経時劣化と共に劣化するので、反応速度係数kを、初期反応速度係数kiとダンピング係数kaを用いた時間の関数として表すことができる。即ち、

k(t)=kiexp(-ka*t) (7)

そうすると、炭水化物の反応の反応速度は、次式で表わされる。
dHC(t)/dt=-k0(t)*HC(t) (8)

dD1(t)/dt=k0(t)*HC(t) (9)

また、たんぱく質の反応の反応速度は次式で表わされる。

dP(t)/dt=-k1(t)*P(t) (10)
dAA(t)/dt=k1(t)*P(t)-k2(t)*AA(t) (11)
dD2(t)/dt=k2(t)*AA(t) (12)
また、脂質の反応の反応速度も(10)式から(12)式と同様に表わすことが出来る。
式(4)、(5)、(6)で表わされる5つの化学反応にそれぞれ対応する初期反応速度係数を{k0i、k1i、k2i、k3i、k4i}とすると、5つの化学反応式とそれに対応した反応速度式を用いて、分解過程における経過時間tの関数として、それぞれの反応物量、生成物量を算定することができる。
水分の生成は、3つの要因により生成される。即ち、化学分解反応による水分生成、生ごみ中の細胞質水が微生物の分解作用により細胞質外に流出する水分生成、および細胞質水が換気気体流との熱流体力学的作用によって細胞質水が浸透的に細胞質外に流出する水分生成である。
化学分解反応による水分生成速度Ha(t)は、前記の化学反応式および反応速度式から得られる。また、微生物分解作用による水分生成速度Hb(t)は、その反応速度係数をk5とすると、(7)、(9)式と同様にして、1段の反応速度式で与えられる。また、熱流体力学的作用による水分生成速度Hc(t)は、その反応速度係数をk6とすると1段の反応速度式で与えられる。但し、k6は、菌床中に存在する水分の熱流体力学的特性に依存する係数である。
以上より、分解槽中に生成される水分の生成速度H2O(t)は次式で推定することが出来る。

H2O(t)=Ha(t)+Hb(t)+Hc(t) (13)

以上より、分解槽に生ごみが投入された時点から経過時間t後の分解槽中の菌床の重量W(t)は次式のように表される。

W(t)=W0(0)+O2(0;t)+AA(0;t)+LA(0;t)-HVP(0;t)/Lh
-CO2(0;t)-NH3(0;t)-H2S(0;t) (14)


但し、
HVP(0;t)/Lh≧H2O(0;t) の場合は HVP(0;t)/Lh =H2O(0;t)である。

ここで、HVP(0;t)/Lhは経過時間tまでの蒸発量(後で説明)、また、
W0(0)は、期間の開始時(t=0)に投入された生ごみの重量、
O2(0;t)は経過時間t(投入開始時からの経過時間)の間に酸化反応に使われた累積酸素量、
以下は経過時間tまでに生成された累積生成物量で、AA(0;t)(アミノ酸)、LA(0;t)(脂肪酸)、CO2(0;t)(二酸化炭素)、NH3(0;t)(アンモニア)、H2S(0;t)(硫化水素)、H2O(0;t)(水(液))で、5つの化学反応式で生成される同一の化合物は合算した重量で表している。

以上により、期間の初期反応速度係数{k0i、k1i、k2i、k3i、k4i、k5i、k6i}と投入生ごみ重量とその成分比率(たんぱく質、脂質、炭水化物)から、分解過程における経過時間tに対して、分解槽中の菌床の重量および生成水分量が算定できる。分解反応に用いる微生物が同じ場合には、前記の微生物による反応に関係する5つの初期反応速度係数k0i〜k4iの相対関係は一定の関係となり、初期反応速度係数の内のいずれか一つが決まれば他の初期反応速度係数は決まるので、たんぱく質の初期反応速度係数k1iで代表させることが出来る。
次に、稼働中の分解槽中の微生物による分解過程での期間中の反応速度の推定方法を順序を追って説明する。
最初に反応速度と反応に伴い発生する反応熱量との定量的関係を説明する。
前記の5つのそれぞれの化学反応において、反応時に反応熱を生成(または吸収)する。それを熱化学方程式で表わすと、例えば、脂質の場合、次のように表現することができる。
(CH2-O-CO-R)3+3H2O=(CH2OH)3+3RCOOH+ΔGl (15)

ここで、ΔGlは、脂質1モルから3モルの脂肪酸を生成するときの反応熱を表わし、ΔGl=-500kcal/モル(発熱)が知られている。
5つの化学反応に対して、それぞれの反応物1モル当たりの反応熱量が解っているので、生ごみの分解反応における反応熱速度をHBCとすると、反応熱速度は次のように表わすことができる。

HBC=0.4*ΣΔGi*dAi(t)/dt (16)

ここで、dAi(t)/dtは、5つの化学反応の反応物それぞれの反応速度を表わしている。また、ΔGiはそれぞれ対応する5つの化学反応の反応物1モル当りの反応熱量を示す。
次に菌床熱収支と菌床温度との定量的関係を説明する。
分解槽中の菌床の熱収支は、次の式で表わすことができる。

HCV+HBC+HCD*β-HLoss=HVP+HTG (17)

HCV;菌床と気相間の対流熱伝達速度
HCD;気相中の水蒸気の凝結熱速度で、βはその菌床への熱回収率
HLoss;分解槽壁を通して外部に熱伝導する菌床の熱損失速度
HVP;菌床からの蒸発に伴う蒸発潜熱速度
HTG;菌床の顕熱速度

ここで、HCVは、分解槽の菌床と気相間の界面面積当たりの熱伝達係数をαとすると、次式で表わされる。

HCV=α(u(t))*(Ta(t)-Tb(t)) (18)

αは分解槽中の気相と菌床との間の対流熱伝達係数で、気相の風速u(t)の関数形で表わされている。αは分解槽の設計仕様や気相の気流条件に依存する係数で、生ごみ処理装置の実機試験で予め実験値として求めることができる。

HCD*βは、気相中の水蒸気が飽和水蒸気密度を超えた分だけ凝結するとすると、気相の気象状態から求めることができる。熱回収率βは分解槽の設計条件で決まる定数。
HLossは、分解槽壁の面積当たりの熱伝導率をhwとすると、
HLoss=hw*(Tb(t)-Ti(t)) (19)
但し、Tiは、分解槽周辺の空気の温度

分解槽中の菌床からの水分の蒸発速度E(t)は次式を用いて推定できる。

E(t)=K(u(t))*(ρ*(Tb(t)-ρ(Ta(t)) (20)

但し、K(t)は気流の物質伝達係数で分解槽の気相部の風速u(t)の関数形で表わされている。Tb(t)は経過時間tにおける菌床温度、Ta(t)は、経過時間tにおける気相部空気の温度、ρ*(T)は温度Tの飽和水蒸気密度、ρ(T)は温度Tの気相の水蒸気密度。
物質伝達係数K(t)は、分解槽気相部の熱流体力学的仕様、気流条件、気体の物理特性および菌床中の水分移動特性などに依存する係数で、生ごみ処理装置の実機試験で予め実験値として求めることができる。
菌床から蒸発した水蒸気は換気機能で分解槽外に排出されるので、この場合、菌床からの水分の蒸発速度が分解槽からの水分除去速度に等しい。従って、(20)式を用いて分解槽中からの水分除去速度が推定できる。
蒸発潜熱速度HVPは、蒸発速度推定値E(t)を用いて次のように表わすことが出来る。

HVP=E(t)*Lh (21)
但し、Lh;蒸発潜熱
また、菌床顕熱は、菌床温度に反映され菌床温度とは次の関係で表わさせる。

HTG(t1;t2) =Mb*cp*(Tb(t2)-Tb(t1)) (22)

但し、HTG(t1;t2)は、菌床の顕熱速度HTG(t)を期間[t1;t2]で積分した値を示す。Mbは菌床重量,cpは菌床の定圧比熱
(17)式の各項は、上で説明したように計算可能であり、従って、菌床の熱収支式(17)から微生物による分解過程における反応速度と菌床温度推移との定量的関係が得られる。
つぎに、熱収支式(17)を利用した期間中の分解槽中の微生物による分解過程における反応速度の推定方法を反応速度推定部101の動作に基づき説明する。
反応速度推定部101は、投入完了ボタン93の押下により投入タイミング信号を受け取ると、生ごみ処理期間を開始(t=0)し、前記投入生ごみ重量設定スイッチ91から投入された生ごみの重量を取得し、前記投入生ごみ構成比率設定スイッチ92から投入された生ごみの食品区分に関する構成比率情報を取得する。得られたこれらの投入生ごみに関するデータを用いて、前記反応速度推定部101は、期間始まり時における初期反応物量、即ち、たんぱく質、脂質、炭水化物、細胞水量等を算定する。
また、前記反応速度推定部101は、前記菌床温度測定部8から菌床温度推移実測値Tb(t)を取得する。また、前記換気制御部7から風速u(t)を取得する。給気温度Ta(t)は外気温度の測定から得られる。
一定の処理期間をt=0からt=teとすると、前記取得データを用いて、(17)式の反応熱速度HBCを除く各項の期間[0;te]中の熱量を計算する。これらを用いて、期間[0;te]中に生成される累積反応熱量HBC(0;te)を算定する。これを次式に示す。

HBC(0;te)=
HVP(0;te)+HTG(0;te)-HCV(0;te)-HCD(0;te)*β-HLoss(0;te)
(23)
HBC(0;te)と(16)式から得られる期間「0;te」中に生成される累積反応熱を用いて当該期間の初期反応速度係数k1i、即ち、当該期間の反応速度を推定することが出来る。
分解槽中の微生物の活性の経時劣化は、通常、生ごみ処理期間(例えば、24時間)に比べて緩慢な変化であり、以上で算定した期間中の反応速度推定値を、次の期間の反応速度推定値として用いることができる。
次に期間水分除去量推定部102の動作を説明する。
期間水分除去量推定部102は、投入タイミング通知ボタン93が押下されて、生ごみの投入の通知を受けると、そのタイミングから期間を開始する(t=0)。
期間水分除去量推定部102は、期間開始時に、投入生ごみ重量設定スイッチ91、投入生ごみ構成比率設定スイッチ92から投入された生ごみデータを、換気制御部7から給気風速u(t)を、反応速度推定部101から前の期間の反応速度推定値をそれぞれ取得する。また、給気温度Ta(t)および給気の湿度は、外気をそのまま給気する場合は、外気の温度および湿度の測定値から得られる。
期間水分除去量推定部102は、前記取得データを用いて、式(17)と式(22)の連立方程式から、当該期間[0;te]中の菌床温度推移予測値Tb(t)[0≦t≦te]を計算する。得られたTb(t)を用いて、式(20)を期間「0;te」で積算することにより、期間[0;te]中に蒸発により除去される期間水分除去量E(0;te)の推定値を計算する。
次に、追加養分量算定部103の動作を説明する。
追加養分量算定部103は、投入タイミング通知ボタン93が押下されて、生ごみの投入の通知を受けると、そのタイミングから期間を開始する(t=0)。
追加養分量算定部103は、期間開始時に、投入生ごみ重量設定スイッチ91、投入生ごみ構成比率設定スイッチ92から投入された生ごみデータを、換気制御部7から給気風速u(t)を、反応速度推定部101から前の期間の反応速度推定値をそれぞれ取得する。また、給気温度Ta(t)および給気の湿度は、外気をそのまま給気する場合は、外気の温度および湿度の測定値から得られる。
追加養分量算定部103は、前記のデータを用いて、式(13)を期間[0;te]で積算し、期間中に生成される水分生成推定量H2O(0;te)を算定し、さらに、式(14)から期間最終菌床重量W(te)を算定する。
追加養分量算定部103は、前記期間水分除去量推定部102より期間水分除去量推定値E(0;te)を取得し、式(13)、前記算定値H2O(0;te)およびW(te)を用いて、期間最終水分率予測値ERH(te)を算定する。
追加養分量算定部103は、所与の期間最終水分率GRHに対して期間最終水分率予測値ERH (t)が低い場合は、前記期間水分除去量推定部102と連携して給気風量u(t)をパラメータに期間最終水分率を達成するための給気風量u(t)を算定し、換気制御部7に算定した給気風量u(t)を通知する。換気制御部7は、通知された給気風量で換気を行う。
他方、所与の期間最終水分率GRHに対して期間最終水分率予測値ERH (t)が高い場合は、追加養分量算定部103は、追加養分量をパラメータに、期間最終水分率予測値の再計算を行い、数値解析により期間最終水分率予測値が所与の期間最終水分率になる追加養分量を算定する。追加養分量算定部103は、算定された追加養分量を追加養分量表示部94に通知し追加養分量を表示させる。

以上の本発明の実施例では、期間最終水分率を達成するために必要な熱量を全て養分の追加投入で賄うとしたが、養分の追加で一部の熱量を補充し、残余の熱量を給気加熱機能のヒータ電力で補っても良い。
以上の発明の実施例では、生ごみ処理装置の制御部10の内部に反応速度推定部101、期間水分除去量推定部102、および追加養分量算定部103の3つの制御ロジック部を設けたが、これに代えて、前記3つの制御ロジック部を遠隔地に設置し、制御部10と前記3つの制御ロジック部とのインターフェイスを通信回線で接続して、生ごみ処理装置と遠隔地の制御ロジック部とが連携して制御部10に前記3つの制御ロジック部が内蔵されているときと同じ機能を果たすよう構成しても良い。
以上の本発明の実施例では、投入生ごみの重量を設定する方法として、操作・表示パネルの投入生ごみ重量設定スイッチ91を用いて重量の設定を行ったが、重量の代わりに、既知の容積の容器を単位に、容器1杯、とか容器3杯と6分目といった容量で投入生ごみ量を通知して、それを重量換算する方法を用いても良い。
また、生ごみ投入量が毎回比較的平均した使用状態の場合は、投入生ごみ量を標準量、大目、少な目という相対的な設定情報を用いて通知する方法を用いても良い。
以上の本発明の実施例では、投入生ごみの食品区分に関する構成比率を操作・表示パネル上の投入生ごみ構成比率設定スイッチ92で設定する方法を用いたが、それに代えて、投入生ごみの食品区分に関する構成比率を示す他の設定方法を用いても良い。
例えば、生ごみ処理装置が設置される場所が特定され、利用する利用者が特定されるような利用形態の場合は、その場所で利用者が投入する生ごみの食品区分に関する特性は、1週間や1カ月程度の利用期間の平均で見れば、ある一定の特性を持つと予想される。たとえば、ある和食のレストランで使われる場合の投入される生ごみは、和食料理に使われる食材の加工後の廃棄物や食べ残しの残飯が多いと予想される。食品加工会社、市場、学校給食配給センタ等々その利用者の業務に特有の生ごみの特性を持つことが予想される。このような利用形態の場合は、生ごみ投入毎に設定する方法に代えて、予め生ごみ処理装置に組み込まれている装置の出荷仕様や動作仕様を選択・設定するように設けられた装置動作仕様パラメータ設定部に利用者の業種タイプを選択したり、あるいはまた、投入生ごみ構成比率を半固定的に設定する方法を用いても良い。

以上の発明の実施例では、所与の期間最終水分率は、予め制御部に固定的に設定されているとしたが、所与の期間最終水分率を操作・表示パネルあるいは、装置動作仕様パラメータ設定部に設定スイッチを設けて、装置管理者が所与の期間最終水分率を変更できるようにしても良い。

本発明の実施形態を示す生ごみ処理装置の構成図 図1中の操作・表示パネル10の一部の詳細図
1 生ごみ処理装置全体
2 分解槽
3 分解槽中の菌床
4 分解槽中の気相部
5 攪拌機構
6 攪拌制御部
7 換気制御部
8 菌床温度測定部
9 操作・表示パネル
10 制御部

91 投入生ごみ重量設定スイッチ
92 投入生ごみ構成比率設定スイッチ
93 投入タイミング通知ボタン
94 追加養分量表示部
101 反応速度推定部
102 期間水分除去量推定部
103 追加養分量算定部

Claims (1)

  1. 微生物を利用した生ごみ処理装置において、投入生ごみに関するデータを伝達する手段と、稼働中の分解槽中の分解過程における反応速度を推定する反応速度推定手段と期間水分除去量を推定する期間水分除去量推定手段と、投入された生ごみに加えて、追加投入する養分量を算定する投入養分量算定手段を備え、前記追加投入養分量を投入することにより分解槽中の水分率を所与の期間最終水分率に達するよう制御することを可能としたことを特徴とする生ごみ処理装置。


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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102305365B1 (ko) * 2020-11-16 2021-09-28 (주)다온시스템 음식물 처리기를 이용한 음식물 처리시스템

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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