JP2012217428A - コケ稚苗とその生産方法及びコケマット - Google Patents

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Abstract

【課題】コケ稚苗の生育が早く、コケマットを得るまでの養生期間が短い、コケ稚苗とその生産方法及びコケマットを提供する。
【解決手段】コケ類の茎葉体を有する配偶体18に加速度をかけて動かし、空気中で生育させること。また、前記空気が、水液体の蒸気またはミストを含むこと、及び、人工光または自然光にて調光された状態でコケ類を生育させることを特徴とするコケ稚苗の生産方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、建物の断熱、遮熱効果やヒートアイランド防止効果が期待できるコケ稚苗とその生産方法及びコケマットに関する。
夏場の大都市においては、都心の温度が郊外と比べ4〜6℃も高くなる、いわゆるヒートアイランド現象が問題視されており、例えば東京都では2001年の東京における自然の保護と回復に関する条例によって、敷地面積1000平方メートル以上の民間施設と、250平方メートル以上の公共施設の敷地における新築・増改築を行う場合、その敷地内への緑化が義務付けられた。また、2004年の都市緑地保全法の改正により市町村が指定した区域での大規模ビル開発等の際に一定割合の緑化を義務づける内容が盛り込まれた。2003年の東京都の調査では、緑化しない屋上の温度が約55℃になったのに対し、緑化している区域では約30℃、屋内温度も、緑化した方が1〜3℃低かったという結果が出ている。
屋上緑化には、樹木の蒸散作用等によって周囲の気温を下げることのほか、断熱効果が高く省エネにつながる、騒音が低減される、建物の膨張・収縮による劣化を防ぐ、そしてビルに潤いを与え、訪れる人の憩いのスペースとしても活用できる等、いろいろなメリットがある。
ビルの屋上、道路の中央分離帯等を緑化するのに、植物の一種であるセダムや芝が多用されている。この種の植物は土壌と肥料を必要とし、また、刈り込みや適切な水やり等のメンテナンスを必要とするだけでなく、過度な湿度に弱いという欠点がある。
建造物において、緑化を行うのであれば、緑化が可能な部位は、屋上か壁面に限られる。これらの箇所に樹木や芝生等の土壌を必要とする植物を適用する場合、まず問題となるのがその重量であり、土壌の重量を建造物が支えることができない場合には、それらを用いて緑化を行うことは困難である。また、壁面に緑化を施す場合においては植栽枡を設ける等、複雑な機構を必要とするものとなる。また、灌漑設備が必要である場合も多く、設備が複雑となるとともにメンテナンスが必要である。植物自体も定期的な手入れを行う必要もあり、壁面等は非常に手間がかかる作業となる。
これらの解決方法として、コケを用いて緑化を行う提案が近年なされてきている。コケを用いることで、従来用いられてきた例えば樹木や芝生、セダム等の多肉植物等とは異なり、ほとんど土壌を必要とすることなく生育させて構造物の屋上や壁面等を緑地とすることができる。また、コケは保水性が高く、保持した水分や、その水分の蒸散により、建造物の温度を下げてヒートアイランド現象の軽減を好適に図ることができる。
またコケは乾燥状態が続いても仮死状態となるだけで枯死することがなく、降雨等により再度水が与えられると再生することから潅水する必要がなく、従って潅水にかかわる設備も必要としない。さらには、光合成の効率も樹木や芝生と大差ないものであるから、炭酸ガスの固定化にも高いレベルで貢献できるものである。
これらのコケの特性を活用し、緑化に用いるべく種々の発明が提案されている。
例えば、保水性ロックウールを培地とし、表面に種苔を播いて、表面を不織布により覆った後に、のりを含んだ水を散水して、該不織布を繊維状に分解し、水分が蒸発することにより、分解された該不織布と該水に含まれていた該のりにより該種苔を固定させて苔植物を育成する苔マット(特許文献1参照)、焼成発泡軽石を基盤とした苔による緑化基盤(特許文献2参照)、上部を開口した凹部状多孔質セラミックレンガの受皿と受皿の底にネットを有するコケ苔育成基盤(特許文献3参照)、2つの繊維集合体の間にコケを挟み、積層体を結合する人工芝葉状体が前記積層体を貫くように植設された緑化用蘚苔類植物担持体(特許文献4参照)が提案されている。しかし、コケの成長が遅く、露地で2〜3年以上生育させる必要があった。
そこで、特許文献5では養液中で酸素を含む気体をバブリングして送り込み、攪拌しながら生育させるコケ稚苗の生産方法が提案されている。これにより、コケ稚苗の育成スピードが格段に速まった。しかし、この方法で育成したコケ稚苗を苔マットにして、屋外に設置すると、人工の養液中で育成されたコケは、自然環境下では緑色を失い、見た目枯れたような状態となり、それから復活して元の状態になるまで、6カ月〜1年以上の養生時間がかかった。
コケ類は1〜数細胞の厚みで植物体が構成され、種子植物やシダ植物に比べ、細胞あたりの外界に接する面積が比較にならないほど広く、ほとんどの細胞が、外界に直接接している。コケ類は他の植物と異なり、発達した根を持たず、その根は水分や養分を吸収できるような根ではなく、仮根と呼ばれ、土や樹皮等に体を固定する程度のものである。コケ類は、特別な通導組織(仮導管等)を持たず、細胞間の物質交換は、細胞が接した部分のみで行われる。栄養塩類や水分の吸収、二酸化炭素の吸収や酸素の放出は、植物体の表面から行われる。このような物質交換は、高等植物ではそれぞれ特殊な構造を持った器官や組織で行われ、ほとんどの細胞は外界からの影響を最小限にとどめることができるよう、表皮組織等によってプロテクトされている。しかし、コケ類は体表で物質交換を行うシステムを採用せざるを得ないので、外界の影響を強く受ける。人工養液中では、養液から植物体の表面を通して栄養塩類や水分の吸収、二酸化炭素の吸収や酸素の放出を行うため生育が早いが、外気が接する自然環境下に移すと、コケ類は生育環境が変わるとすぐには順応できないので、屋上等に設置したり、コケマットに使えるようになるまでには長い養生時間が必要であった。
特許4370150号明細書 特許4344796号明細書 特許4218053号明細書 特許4159406号明細書 特許4151915号明細書
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、コケ稚苗の生育が早く、コケマットを得るまでの養生期間が短い、コケ稚苗とその生産方法及びコケマットを提供することにある。
本発明の上記課題は、以下の構成により達成される。
1.コケ類の茎葉体を有する配偶体に加速度をかけて動かし、空気中で生育させることを特徴とするコケ稚苗の生産方法。
2.前記空気が、水液体の蒸気またはミストを含むことを特徴とする前記1に記載のコケ稚苗の生産方法。
3.人工光または自然光にて調光された状態でコケ類を生育させることを特徴とする前記1または2に記載のコケ稚苗の生産方法。
4.前記1〜3のいずれか1項に記載のコケ稚苗の生産方法で得られたことを特徴とするコケ稚苗。
5.前記4に記載のコケ稚苗をコケマット支持体上に有することを特徴とするコケマット。
本発明により、コケ稚苗の生育が早く、コケマットを得るまでの養生期間が短い、コケ稚苗とその生産方法及びコケマットを提供することができた。
コケ稚苗生産装置の概略図である。 他のコケ稚苗生産装置の概略図である。
以下、本発明の構成要素、及び本発明を実施するための形態等について詳細な説明をする。
(コケ類)
本発明でいうコケ類とは、蘚類、苔類、角苔類を合わせた蘚苔類をいう。
蘚類は全て茎と葉がはっきりと区別できる形状、茎葉体を持つ。苔類は一般的には茎葉体を持つものが多いが、葉状体を持つものもあるので、外見で見分けるのは困難である。角苔類は全て茎と葉の区別がなく、全体が平べったい葉のような形状、葉状体を持つ。葉状体を持つ角苔類や苔類は形がよくないのが多いので、屋上緑化等の美観を必要とする場合は、蘚類が多く用いられる。
具体的には、チャミズゴケ、ヒョウタンゴケ、オオミズゴケ、スナゴケ、ホソウリゴケ、トカチスナゴケ、サメジマタスキ、オオタマチナイトゴケ、ニワツノゴケ、フデゴケ、コスギゴケ、トヤマシノブゴケ、オオツボミゴケ、ヤクシマゴケ、ミスジャバネゴケ、ギンゴケ、ハマキゴケ、ミズゴケ、ハイゴケが挙げられる。
コケは群生することでその群生体の中に保水力ができる。群生体の生育密度が高いほど保水力が増す。またスナゴケやスギゴケ等好日性の苔は日焼けや蒸れを防ぐために、乾燥するとすぐにしぼむ能力がある。苔は根から水分を吸収せず、葉の表面から直接水分を吸収するので、土や根元に水やりしても、空中の湿度が乾燥していると水分不足ということになる。
スナゴケ(砂苔、ギボウシゴケ科、蘚類)は、体は長さ3cmまで太くずんぐりしている。茎は直立、葉は密につく。自重の約20倍もの水を保つことができ、大気の乾燥に対し、体内の水分を蒸散して生命を守る。このようなスナゴケの保水性と蒸散効果が屋上緑化に適している。スナゴケは一般的な苔(コケ)と異なり日当たりの良いところを好み、乾燥に強く、肥料は不要で、培地の土は不要で砂、石、ガラス、コンクリートといった無機質でも育つ。また、気温の変化にも強く環境適応力が優れており、比較的簡単に育てることができる。
ハイゴケ(ハイゴケ科、蘚類)は、マット状に生育する黄緑色のコケで茎は長さ10cm以上となり、多数の枝を羽状に出す。日当たりが多少あるところに生育する。乾燥にも強いが、半日陰で育て水を与える方がいい。スナゴケと同様扱いやすいコケである。
スギゴケ(スギゴケ科、蘚類)は、蘚類の代表格であり、日当たりを好み色も鮮やかで明るく目に優しい。スギゴケには、ウマスギゴケとオオスギゴケが扱われており、コケ庭では石組みとも良く合い、最も良く使われる主要なコケである。スギゴケは、空気中の水蒸気からの水分と自力の光合成による栄養補給によって、生育に必要な要素のほとんどをまかなっており、ほとんど手入れの必要がない。ただし、気温の変化には弱く、育て方は難しい。
ホソバシラガゴケ(シラガゴケ科、蘚類)は、樹木の根元、切り株、朽ち木上等にマルク盛り上がった群落を形成する苔(コケ)で、密なクッション状の群落を形成することと、その美しい色が特徴である。和名の由来は白っぽく見える状況を白髪の翁に例えたもので、降雨時には色がやや濃い緑になるが、通常は白い部分が混じって、緑色と白色のロマンスグレーのようなイメージになる。ホソバシラガゴケは、京都西芳寺(別名:苔寺)の苔庭でも有名である。茎の高さは、2〜3センチ程度だが、コロニーの厚みが増してくるとそれ以上になることもあり、たくさんの葉が重なり合うように密に付き、乾くと白色が強くなる。
ヒノキゴケ(ヒノキゴケ科、蘚類)は、非常に繊細な感じでウグイス色の羽毛感のあるコケで、新葉が展開したときが最も美しい。直射日光と乾燥を嫌う。
シノブゴケ(シノブゴケ科、蘚類)は、茎は5〜10cmに達して密に羽状に分枝し、平らな尾状となり黄緑色の大きなマットをつくる。
カモジゴケ(シッポゴケ科、蘚類)は、濃い緑が一年中変わることがなく表面も均一なので半日陰地に最適。細長く伸びた葉が同じ方向にやや曲がり、葉先が棒状に細長く伸び動物の尻尾のような感じになる。
用いられるコケの種類は、設置場所によって選定することができる。コケには大きく分けて、好日性、半日陰性、日陰性のものがあり、それぞれ生育に太陽光が必要なもの、太陽光があまり必要でないもの、太陽光が不要なものがある。例えば、設置方向の関係で太陽光が当たらない場所や、当たりにくい場所には、日陰性、半日陰性のコケを用いるとよい。例えば、スナゴケ、ハイスナゴケ、ハイゴケ等は、太陽光が当たるところで用いるとよく、シッポゴケ、カモジゴケ、トヤマシノブゴケ、ヒノキゴケ等は、日陰で用いるのがよい。
本発明では、日当たりのよいところ、日当たりが多少あるところで生育するものが好ましく、例えば、スナゴケまたはハイゴケが好ましい。
生育させる原料コケ(元種苗)は野山等に自生するコケの自生種や市販種等から茎葉体の形態を持つ配偶体を採取することによって得られる。
蘚類の多くが双子葉植物の茎と葉を小さくしたような形、つまり茎葉体(けいようたい)である。苔類は茎と葉のような区別のない葉状体(ようじょうたい)もあるが、多くの苔類は蘚類と同様に茎葉体である。
配偶体(はいぐうたい)とは、世代交代を行う植物等で、単相(半数体)、すなわち相同染色体を1組のみ持つ世代もしくは多細胞体をいう。配偶体は細胞分裂により雌性または雄性(あるいは両方)の配偶子を作る。雌雄両性の配偶子が融合すると複相(二倍体)の接合子ができ、これが細胞分裂を繰り返して多細胞の胞子体を形成する。成熟した胞子体は減数分裂により胞子を形成し、この半数体の胞子が細胞分裂を繰り返して配偶体を形成する。コケ植物では、配偶体が普通に見られる植物体(栄養体)である。初期の配偶体は原糸体(げんしたい)といい、それが発達して茎葉体または葉状体の形をとる。その上の造卵器と造精器で卵子と精子が形成される。受精によって胞子体が形成されるが、胞子体は配偶体に寄生して胞子を作るだけである。
(コケ稚苗生産装置)
図1、2は、本発明のコケ稚苗の生産方法に用いられるコケ稚苗生産装置の概略図である。
図1では、タンク状のコケ稚苗生産装置10に、コケ類の茎葉体を有する配偶体18を投入し、撹拌モーター11で駆動される撹拌棒12でコケ類の茎葉体を有する配偶体18に加速度をかけて、回転、往復または上下に動かし、空気中で生育させる。
コケ稚苗生産装置10には、照明装置13からの光が透明ガラス14を透過してコケ類の茎葉体を有する配偶体18に照射され、水液体の蒸気ミスト発生装置15から蒸気ミストノズルによりコケ稚苗生産装置10内に噴射される。温度と湿度は、空調機と水液体噴霧機(図示せず)をコントロールすることで調整する。
図2は、図1のコケ稚苗生産装置10を大型化し、スクリューコンベア21、ベルトコンベア22、ホッパー23を用いてコケ類の茎葉体を有する配偶体18に加速度をかけて動かし、循環することで、コケ稚苗生産装置10の底にコケ類の茎葉体を有する配偶体18を生育する装置である。
(水液体)
本発明では、コケ類の茎葉体を有する配偶体を、水液体の蒸気またはミストを含む空気中で生育させることが好ましい。
コケ類は体表表面全体から水や栄養分を吸収するシステムであるため、多くの他の植物のように光合成の材料として必要な水分以上の積極的な水分蒸散を行い、栄養分を含んだ水を根圏に引き寄せる必要はない。積極的な水分蒸散を行って水を引き寄せてしまうと、蒸発によって植物体の周辺には不要な塩類が集積する問題が発生する。乾燥するとカルシウム等の塩類が集積してしまうことから、湿度が高く、植物体からの水分蒸散がしにくい環境が望まれる。湿度は60%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。
コケ類は、他の植物と異なり、発達した根を持たず、仮根は水分や養分を吸収できるような根ではなく、体全体で水分を吸収し、光合成で生育する植物なので、水を地面にまいても、ここから水分を吸収するのではなく、空中に漂う水分(空中湿度)がコケ類を育てる。
水液体とはほとんどが水からなる液体であり、水以外の成分としては肥料、植物ホルモン、成長促進剤、ミネラル、防かび剤、酸素、炭酸ガス等が挙げられる。
ミズゴケを栽培すると、蒸留水による培養がもっともよく生長する。栄養分を含んだ水で培養すると、ランソウ等の藻類が繁茂することもあって、枯死してしまう。ミズゴケ湿原では、雨水のみによって涵養される高層湿原で、もっともミズゴケの生育が良好である。このような貧栄養な環境で生育するミズゴケの栄養分の含有率は低く、これを分解(利用)するバクテリア・菌類の活性は低く、摂食する動物もほとんどいない。ミズゴケは分解しにくい。ミズゴケだけではなく、多くの蘚類はたんぱく質などの栄養分をあまり含んでおらず、菌類等に利用されることが少なく、腐りにくい。このように、水以外の成分として、例えば肥料は、通常の植物に較べはるかに少ない量である。
肥料としては通常の液肥(例えばハイポネックス)を用いることができる。肥料濃度が1.0(mS/cm)を超えると、肥料としては濃すぎるため、コケ稚苗の成長が遅延し易くなるため好ましくない。
植物ホルモンとしては、エチレン、アブシジン酸、オーキシン(インドール酢酸)、サイトカイニン(ゼアチン)、ジベレリン(ジベレリン酸)等が挙げられるが、植物成長ホルモンが好ましく、中でもオーキシン、サイトカイニン、ジベレリンが好ましい。成長促進効果が大きいためジベレリンが最も好ましい。これらは単独で用いられてもよく混合及び/または併用して用いてもよい。植物成長ホルモン濃度は、濃いと生理障害を起こすため通常の園芸用に用いる濃度より千倍程度薄くした0.01〜0.2ppmが好ましく、より好ましくは0.1ppmである。
成長促進剤としては、5−アミノレブリン酸等が挙げられる。
ミネラルとしては、カリを主体にチッソ、微量ヨウ素、苦土、マンガン、ホウ素、鉄、銅、亜鉛、モリプデン等が挙げられる。
防かび剤としては、オルトフェニルフェノール(OPP)、ジフェニル、チアベンダゾール(TBZ)、イマザリル等が挙げられる。通常の食品に用いる濃度より千倍程度薄くした0.01〜0.2ppmが好ましく、より好ましくは0.1ppmである。
(蒸気)
蒸気は、水液体が気化した蒸気である。水は沸点以下でも気体として存在でき、常圧において沸点以下の温度でも水は空気中にある一定量まで気化している。
蒸気発生方法は特に限定なく、常圧または高圧の蒸気を適宜用いて行えばよい。また、蒸気の噴射力も好適な圧力で噴射させればよい。
蒸気発生機からパイプ等の配管によって穴開け棒に供給するように構成できる。そして、穴開け棒の前段に蒸気の供給を制御するための開閉弁を設置するのがよく、その弁も特に限定しないが、電気的に開閉できる。
開閉弁は電磁弁とするのがよい。
蒸気を供給する開閉弁が開き穴開け棒周囲の通孔から蒸気が噴射される。そして、所定の時間蒸気が噴射された後に開閉弁が閉じて穴開け棒が培基から抜出される。
配管の途中に設けてある制御弁を動作させることによって、蒸気室内に送り込む蒸気の量を制御でき、よって、最適の状態で蒸気噴霧をすることができる。
(ミスト)
気体中に分散した水液体の微粒子である。ミスト利用の植物栽培方法は、超高密度植物垂直ミスト水耕システム(特許第3320707号明細書)等が開示されている。
本発明では、ミストは、コケ栽培床の内方に設けられた複数のミストノズルから、栽培床に入れられた苔稚苗に対して、必要な水液体を噴霧して供給する。ミストノズルは、多数のノズルが複数段に亘って固設されるものであってもよいし、その他、例えば、一または複数のノズルが、モーター制御により栽培床内を軸方向に移動自在に配設されるものであってもよい。
蒸気とミストとは両方あっても、片方であってもかまわない。温度コントロール目的に両方を用いて制御することが好ましい。
装置下方には、ドレイン回収弁があることが好ましい。
(人工光)
コケの生育には光が必要である。光は自然光でも人工光でもよく光源は特に限られないが、光合成でき、成長を阻害しない波長域の成分を有することが必要である。人工環境下で育成させる場合には、通常の白熱灯、蛍光灯、水銀灯、LED等を用いることができるが、低エネルギーコスト、熱制御の容易さ、メンテナンスの容易さからLEDが好ましく、中でも赤、橙色光を発光するLEDが好ましい。
明暗期を繰り返して調光することが好ましい。
植物は、細胞の中にクロロフィル(光合成色素)を持っているが、クロロフィルの吸収スペクトルは、400〜500nmの可視光青色と600〜700nmの可視光赤色である。つまり、植物の光合成には、青色光と赤色光が重要な役割を果たす。
このような観点から、育成ランプは、青色光(特に440nm付近)と赤色光(特に660nm付近)に波長のピークを有するものであることが好ましい。
人工光として蛍光灯を用いる場合には、管内部に蛍光体が塗布されるとともに、管外部の両極に外部電極が設けられ、そこに高周波・高電圧をかけることによって、管内部にプラズマ放電を発生させて、蛍光顔料を発光させる構造のものが好ましい。通常の蛍光灯は、管内部に電極が設けられ、発光の度に電極が消耗されるため、寿命が短く、発熱量も大きいが、上記構造のものは、長寿命であり、発光時の表面温度も約38℃程度と発熱量も小さく、さらに発光ダイオード等よりも安価であるため、本発明に適している。
照明装置のPFD(光量子束密度)は10〜50μmol/(m・s)が好ましい。
(自然光)
自然光としては、太陽光が好ましい。そのためには、ガラス壁、ガラス屋根で生育装置全体が覆われていることが好ましい。
(加速度をかけて動かす)
小さい設備で、一方向から照射される光や噴霧されるミストに当たるコケ稚苗量を多くするために、コケ類の茎葉体を有する配偶体に加速度をかけて動かす。加速度をかける方法は任意で、例えば図1、2に示すように撹拌棒(攪拌機)による回転運動、スクリューコンベアによる上下左右の往復運動を用いる方法がある。また、エアモータ、ロールミルが好ましく用いられる。動かすスピードは任意で、コケ稚苗の生育状況で、制御コントロールすることが好ましい。
加速度がかかって動くのは、1つ1つのコケ稚苗自身である。従って、撹拌機やコンベア自身のスピードは定速であっても構わない。
(温度)
生育装置内は温度コントロールすることが好ましい。温度は5〜40℃が好ましい。また、10℃以下の期間と15℃以上の期間があると、コケ類の生育が早く、丈夫なコケ稚苗となることから好ましい。
(湿度)
コケ類は水分蒸散が多いと、蒸発によって植物体の周辺には不要な塩類が集積することから、湿度が高く、植物体からの水分蒸散がしにくい環境が望まれる。湿度は60%以上が好ましく、80〜100%がより好ましい。
温度と湿度は、空調機と水液体噴霧機(蒸気、ミスト発生機)をコントロールすることで調整できる。
(コケマット)
建物の屋上、壁面、道路側壁、河川の護岸面等にはコケをマット状にしたコケマットを被覆、固定して施工されることが行われつつある。コケマットとは、芝生マットのようにコケが群生したマット状のものであって、通常施工等の取り扱い上、40〜60cm角の略正方形状にコケが絡まりマットの上面にコケの芽(穂状のもの)が伸び揃ったものをいう。
本発明のコケマットは、本発明のコケ稚苗の生産方法で得られたコケ稚苗をコケマット支持体上に有する。コケマット支持体としては、樹脂繊維を編んだネットや、樹脂糸状体を絡ませて包絡面が板状体にした物や、射出成形等で作られた樹脂製の枠体またはその組み合わせ等にてなる支持体が用いられる。
コケ稚苗の生産方法で得られたコケ稚苗をコケマット支持体上移し、その後自然環境下あるいは、屋根等のある制御環境下にて適宜散水してコケの生育を早めてマット体を養生する。本発明によればこの養生期間が、従来の数カ月から数年に較べ、3カ月程度に短縮される。
実施例1
東京都八王子市の山から採取した野生のスナゴケの一部(茎葉体を有する配偶体)を切断してコケ片(20mm)をサンプルとし、図2の装置を用いてコケ片を動かしながら、青色光(特に440nm付近)と赤色光(特に660nm付近)に波長のピークを有するLEDの照明下、ジベレリン0.1ppm及び5−アミノレブリン酸0.1ppmを含む水液体を噴霧し、15℃、湿度80%でコケを育成した。比較として露地の圃場でコケ片を動かさないで育成した。その結果、露地でコケを育成させて6カ月後と同等の大きさのコケに成長する時間が、本発明のコケ稚苗の生産方法では1カ月であった。本発明のコケ稚苗の生産方法は、自然環境下の生育速度の約6倍でコケ稚苗の生育が非常に早いことが分かる。
実施例2
実施例1で育成した本発明のコケ稚苗及び比較として特許文献5の実施例1に記載の方法で50日間育成したコケ稚苗を、特許文献1に記載の保水性ロックウール(支持体)上に播いて、コケマットを作製して、露地の圃場に置いて適宜散水してコケの生育を早めてマット体を養生した。その結果、建物の屋上、壁面、道路側壁、河川の護岸面等に施工できるコケマットになる期間が、本発明のコケ稚苗は1カ月、特許文献5に記載の方法で育成したコケ稚苗は3カ月であった。これは、人工養液中育成したコケ稚苗は、支持体に固定して自然環境下に移すと、コケ類は生育環境が変わるとすぐには順応できないため、コケマットとして使える大きさに生育するまでに長い養生時間が必要であったが、本発明のコケ稚苗は空気中で育成したため、生育環境変化順応期間が不要のため養生期間が短いと考えている。
10、20 コケ稚苗生産装置
11 撹拌モーター
12 撹拌棒
13 照明装置
14 透明ガラス
15 蒸気ミスト発生装置
16 蒸気ミストノズル
17 ドレイン
18 コケ類の茎葉体を有する配偶体
21 スクリューコンベア
22 ベルトコンベア
23 ホッパー
24 制御弁

Claims (5)

  1. コケ類の茎葉体を有する配偶体に加速度をかけて動かし、空気中で生育させることを特徴とするコケ稚苗の生産方法。
  2. 前記空気が、水液体の蒸気またはミストを含むことを特徴とする請求項1に記載のコケ稚苗の生産方法。
  3. 人工光または自然光にて調光された状態でコケ類を生育させることを特徴とする請求項1または2に記載のコケ稚苗の生産方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のコケ稚苗の生産方法で得られたことを特徴とするコケ稚苗。
  5. 請求項4に記載のコケ稚苗をコケマット支持体上に有することを特徴とするコケマット。
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