JP2012211682A - 倍力機構付きシリンダ装置 - Google Patents

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Masahiro Yoshimi
昌宏 吉見
Keitaro Yonezawa
慶多朗 米澤
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Abstract

【課題】 倍力機構付きシリンダ装置をコンパクトかつ省エネルギーに構成する。
【解決手段】 ハウジング(20)の上部にピストン(22)が上下移動可能に挿入され、そのピストン(22)から下方へ突出させた押ロッド(24)の下部に押面(27)が設けられる。ハウジング(20)の下部に出力ロッド(36)が上下移動可能に挿入され、その出力ロッド(36)の上部に受面(38)が設けられる。ハウジング(20)内に形成した倍力室(50)に3つのアーム(52)が周方向へ間隔をあけて配置される。上記アーム(52)が上下方向へ揺動可能なように、当該アーム(52)の半径方向の外方の上部が支点ピン(54)によって回転可能に支持される。また、アーム(52)の半径方向の内方の上部に回転可能に支持した入力ローラ(57)が上記押面(27)に接当され、アーム(52)の半径方向の内方の下部に回転可能に支持した出力ローラ(60)が上記受面(38)に接当される。
【選択図】図3

Description

この発明は、機械式の倍力機構を設けたシリンダ装置に関する。
倍力機構付きシリンダ装置としては、従来では、特許文献1(日本国・特開平4−19413号公報)に記載されたものがある。
上記特許文献1のシリンダ装置は、空油圧式のブースタであって、次のように構成されている。
空圧ピストンによってプランジャを下方へロック駆動すると、そのプランジャの下端部が油圧シリンダ室に突入し、その油圧シリンダ室内を、上記空圧ピストンと上記プランジャとの断面積比に相当する圧力にまで増圧させる。これにより、油圧シリンダ室に挿入した油圧ピストンが出力ロッドを強力に下降させる。
また、特許文献2(日本国・特開2007−268625号公報)には、機械式の倍力機構を設けたシリンダ装置が記載されており、そのシリンダ装置は次のように構成されている。
進出用の第1ピストンを収容する第1シリンダ室と倍力用の第2ピストンを収容する第2シリンダ室とカム室とを上下方向へ直列に配置し、ロック駆動時には、まず、第1ピストンがクランプロッド(出力ロッド)を速やかに移動させ、その後、第2ピストンに固定したテーパースリーブが、カム室に配置したカム状の爪部を介して上記クランプロッド(出力ロッド)を強力に下降させる。
特開平4−19413号公報(第1図〜第3図と第7図を参照) 特開2007−268625号公報(図2と図3を参照)
上記特許文献1の装置は、次の点で改良の余地が残されていた。即ち、油圧シリンダ室に充填されたオイルを補給するためのタンクを設ける必要があるので、装置全体が大形にならざるを得ない。また、ロック駆動時には、油圧シリンダ室の圧油からプランジャに作用する反力に抗して空圧ピストンを全負荷で全ストロークにわたって駆動する必要があるので、エネルギーの消費量が多い。
また、上記特許文献2の装置は、2つのシリンダ室とカム室とを上下方向へ直列に配置しているので、背丈が高くならざるを得ない。
本発明の目的は、倍力機構付きシリンダ装置をコンパクトかつ省エネルギーに構成できるようにすることにある。
上記の目的を達成するため、本発明は、例えば、図1から図7に示すように、倍力機構付きシリンダ装置を次のように構成した。
ハウジング20の一端側に形成されたシリンダ孔21に軸心方向へ移動可能で保密状に挿入されたピストン22と、上記ピストン22から他端方向へ突出された押ロッド24であって、その他端面に押面27を設けた押ロッド24と、上記ハウジング20の他端側に形成された支持孔35に軸心方向へ移動可能に挿入された出力ロッド36であって、他端方向へ向かうにつれて軸心Xから遠ざかるように形成された受面38を一端側に設けた出力ロッド36と、上記シリンダ孔21と上記支持孔35との間で上記ハウジング20内に形成された倍力室50と、上記倍力室50内に周方向へ所定の間隔をあけて配置された複数のアーム52と、上記アーム52が軸心方向へ揺動可能なように当該アーム52の半径方向の外方部かつ軸心方向の一端部を回転可能に支持する支点部54と、上記アーム52の半径方向の内方部かつ軸心方向の一端部に回転可能に支持されると共に上記押面27に接当される入力ローラ57と、上記アーム52の半径方向の内方部かつ軸心方向の他端部に回転可能に支持されると共に上記受面38に接当される出力ローラ60と、上記出力ロッド36を一端方向へ移動させるための戻し手段43と、を備えるように構成した。
本発明は、次の作用効果を奏する。
本発明は、前述した特許文献1(特開平4−19413号公報)に記載されたオイル補給タンクを省略でき、また、特許文献2(特開2007−268625号公報)の倍力用の第2シリンダ室を省略できるので、シリンダ装置をコンパクトに造れる。
また、本発明では、出力ロッドに加わる負荷の増加に合わせてピストンを駆動すればよいので、空圧ピストンを全負荷で全ストロークにわたって駆動する必要がある特許文献1と比べて、消費エネルギーを低減できる。
また、本発明においては、前記アーム52を周方向へ所定の間隔をあけて3つ配置することが好ましい。
この場合、複数の入力ローラの内端部同士および出力ローラの内端部同士が互いに干渉するのを防止できるので、倍力室の直径を小さくしてシリンダ装置をさらにコンパクトに造れる。
さらに、本発明においては、前記入力ローラ57の軸心Dを前記の出力ローラ60の軸心Eよりも半径方向の内方に配置することが好ましい。
この場合、押ロッドの直径を小さくできるので、その押ロッドをコンパクトに造れる。
本発明においては、前記受面38を他端方向に凹ませることが好ましい。
この場合、上記受面と出力ローラとの面圧を小さくできるので、倍力機構の寿命が長くなる。
また、本発明においては、前記受面38は、半径方向の内方に配置された内円弧面40と、半径方向の外方に配置された外円弧面41とを有し、その外円弧面41の半径Kを上記内円弧面40の半径Jよりも大きい値に設定することが好ましい。
この場合、ロック駆動の終期に大きい推力を伝達するときに、内円弧面よりも半径が大きい外円弧面を前記出力ローラが押圧することになるので、その押圧時の面圧が小さい。このため、倍力機構の寿命がさらに長くなる。
前記内円弧面40と前記外円弧面41との間には、これら内円弧面40と外円弧面41とを接続する接続面42を設けることが好ましい。
この場合、上記の内円弧面と外円弧面とを上記接続面によって滑らかに接続できる。なお、上記接続面としては、傾斜面や楕円面や円弧面などを少なくとも1つ設けることが考えられる。
本発明においては、前記押面27を、前記軸心Xに直交する平面によって構成することが好ましい。
この場合、その押面を設けた押ロッドを簡素かつコンパクトに造れる。
また、本発明は、工作機械1の主軸4に挿入したドローバー8のアンクランプ用の被駆動部8aに所定の隙間をあけて前記出力ロッド36の出力部36aを対面させることが好ましい。
この場合、工作機械のツールホルダをアンクランプするために好適な倍力装置を提供できる。
図1は、本発明のシリンダ装置を設けた立形マシニングセンタの立面図である。 図2は、図1中のII−II線の矢視断面図である。 図3Aは、上記シリンダ装置のリリース状態の立面視の断面図であって、図3B中の3A−3Aの折線矢視に相当する図である。図3Bは、上記シリンダ装置のハウジングの上半部分を省略した状態の平面図であって、図3A中の3B−3B線の矢視に相当する断面図である。 図4は、上記シリンダ装置のピストン及び出力ロッドをロック側へフルストロークした状態を示し、上記の図3Aに類似する図である。 図5Aは、前記の図3Aの主要部の拡大図である。図5Bは、前記の図4の主要部の拡大図である。 図6Aは、上記の図5Aに相当する模式図である。図6Bは、上記の図5Bに相当する模式図である。 図7は、前記出力ロッドのストロークと力との関係を示す図である。
以下、本発明の一実施形態を図1から図7によって説明する。
この実施形態では、本発明の倍力機構付きシリンダ装置をマシニングセンタ用ツール脱着装置に適用した場合を例示してある。まず、図1と図2により、上記ツール脱着装置の全体構成を説明する。
立形マシニングセンタ1の主軸頭2にケーシング3が固定される。そのケーシング3内には、主軸4が、複数のベアリング5を介して回転自在に支承されると共にモータ6によって回転駆動される。上記主軸4にはドローバー8が上下摺動自在に内嵌され、そのドローバー8の下部にコレット9が連結されている。
主軸4にツールホルダ10をクランプする時には、その主軸4に対してドローバー8をクランプバネ(ここでは多数の皿バネ)11によって上方へ付勢すると共にコレット9を縮径上昇させ、上記ツールホルダ10をプルボルト12を介して主軸4の下部のホルダ受け面4aに押圧固定する。そのツールホルダ10にツール13が固定されている。
上記ツールホルダ10のアンクランプ時には、上記主軸4の上側に配置された倍力機構付きシリンダ装置15の出力ロッド36(後述の図3Aを参照)を下降させる。すると、その出力ロッド36に固定したアタッチメント(出力部)36aが、クランプバネ11の付勢力に抗してドローバー8を下降駆動し、これにより、前記コレット9が拡径され、当該コレット9と前記プルボルト12との係合が解除される。引き続いて、上記ドローバー8の下端部がプルボルト12の上部を下方へ強力に押圧して、前記ホルダ受け面4aとツールホルダ10との緊密なテーパ係合を解除する。これにより、上記ツールホルダ10の抜き取りが許容される。
なお、上記アタッチメント(出力部)36aは、上記ドローバー8の上端に設けたアンクランプ用の被駆動部8aに所定の隙間をあけて対面されている。また、上記ドローバー8にはエアーブロー用流路8bが貫通されており、その流路8bの上端部が上記出力ロッド36のエアー供給孔46に連通可能になっている(後述の図3Aを参照)。
以下、上記のシリンダ装置15の構造を、図3〜図7によって説明する。
ハウジング20の一端側としての上部にシリンダ孔21が形成され、そのシリンダ孔21にピストン22が軸心方向へ移動可能で保密状に挿入される。上記ピストン22から押ロッド24が下方(他端方向)へ突出される。その押ロッド24が、ハウジング20の途中高さ部に設けた隔壁25の挿入孔26に嵌合される。上記押ロッド24の下端面(他端面)に押面27が設けられる。その押面27は、軸心にほぼ直交する平面によって構成されている。また、上記ピストン22の上側に形成した空圧室29には圧縮空気の給排口30が連通される。上記ピストン22は復帰バネ31によって上方へ付勢されている。
上記ハウジング20の他端側としての下部に支持孔35が形成され、その支持孔35に出力ロッド36が軸心方向へ移動可能に挿入される。その出力ロッド36の上部(一端側)に円錐台状のブロック37が設けられ、そのブロック37の上面に受面38が形成される。その受面38は、下方(他端方向)へ向かうにつれて、ハウジング20の軸心X(図6A及び図6Bを参照)から遠ざかるように形成されている。この実施形態では、その軸心Xは、前記シリンダ孔21の軸心と後述する倍力室50の軸心と同軸になっている。
また、この実施形態では、上記受面38は、下方(他端方向)に凹むように形成されており、図6A及び図6Bの模式図に示すように、半径方向の内方(図中の右方)に配置された内円弧面40と、半径方向の外方(図中の左方)に配置された外円弧面41と、これら内円弧面40と外円弧面41とを接続する傾斜面(接続面)42とを有する。その外円弧面41の半径Kは、内円弧面40の半径Jよりも大きい値に設定されている。
上記出力ロッド36は、戻しバネ(戻し手段)43によって上方(一端方向)へ付勢されている。また、その出力ロッド36の前記ブロック37に設けた縦溝44に回り止めピン45が嵌合されている。
上記出力ロッド36の下半部分には、前記エアー供給孔46が逆L字状に形成され、そのエアー供給孔46がエアーブロー用の供給口47に連通されている。
なお、上記のようなエアーブロー手段を設けることに代えて、又は、これに加えて、切削油の供給手段を設けることも可能である。
上記シリンダ孔21と上記支持孔35との間で前記隔壁25の下側に倍力室50が形成され、その倍力室50に倍力機構51が装着される。その倍力機構51は次のように構成されている。
倍力室50内に3つのアーム52が周方向へ所定の間隔をあけて配置される。上記の各アーム52の半径方向の外方部かつ軸心方向の上端部(一端部)がニードルベアリング53を介して支点ピン(支点部)54に回転可能に支持されている。これにより、上記アーム52は、支点ピン54の軸心C(図6A及び図6Bの模式図を参照)を中心として、ハウジング20の軸心Xを含む平面内で上下方向へ揺動可能になっている。
なお、上記支点ピン54は、複数のボルト55によって前記隔壁25の下部に固定されている。
また、上記アーム52の半径方向の内方部かつ軸心方向の上端部(一端部)に入力ローラ57がスベリ軸受58を介して回転可能に支持され、その入力ローラ57が前記押面27に接当される。さらに、上記アーム52の半径方向の内方部かつ軸心方向の下端部(他端部)に出力ローラ60が別のニードルベアリング61を介して回転可能に支持され、その出力ローラ60が前記受面38に接当される。
図6A及び図6Bの模式図に示すように、上記入力ローラ57の軸心Dは、出力ローラ60の軸心Eよりも半径方向の内方に配置されている。即ち、上記入力ローラ57の軸心Dは、出力ローラ60の軸心Eよりも前記軸心Xに近い位置に配置されている。
上記シリンダ装置15は次のように作動する。
図3Aと図5Aのリリース状態では、前記空圧室29の圧縮空気が排出され、復帰バネ31がピストン22を上昇させると共に、戻しバネ43が出力ロッド36と出力ローラ60とを介して前記アーム52を支点ピン54を中心として上方へ揺動させている。
ロック駆動時には、上記空圧室29に圧縮空気を供給する。すると、上記ピストン22が下降され、押ロッド24の押面27が入力ローラ57を介して上記アーム52を支点ピン54を中心として下方へ揺動させていき、出力ローラ60が受面38を介して出力ロッド36を下方へ倍力駆動していく。図4と図5Bは、上記ピストン22が前記隔壁25の上面に接当し、当該ピストン22がフルストロークした状態を示している。
図7は、上記出力ロッド36のストロークSと力Fとの関係の一例を示している。
その図中の破線は、前記ドローバー8(前記図2を参照)をアンクランプ駆動するときの負荷Lの変動を示している。この負荷Lの変動は、上記図7と前記図2を参照して説明すると、次のとおりである。
上記アンクランプ駆動時には、まず、出力ロッド36が約1mm下降したときに前記アタッチメント(出力部)36aの下部がドローバー8の被駆動部8aに接当する。次いで、上記出力ロッド36は、下方へ約1mm〜約8.8mm下降するときに、前記クランプバネ11を圧縮しながらドローバー8を下降駆動する。これにより、前記コレット9が拡径され、そのコレット9と前記プルボルト12との係合が解除される。引き続いて、上記出力ロッド36が上記の約8.8mmを越えて下降するときに、上記ドローバー8の下端部がプルボルト12の上部を下方へ強力に押圧して、前記ホルダ受け面4aとツールホルダ10との緊密なテーパ係合を解除する。
ここで、前記ピストン22の推力Nは、図7中の二点鎖線に示すように、約6kNであり、ほぼ一定の値ある。そして、この実施形態の倍力機構51は、上記ピストン22の推力Nによって、出力ロッド36の推力M(図7中の実線を参照)が負荷Lの変動値よりも少し大きくなるように構成されている。
なお、図7中の一点鎖線は、前述した特許文献1(特開平4−19413号公報)に記載された空油圧ブースタにおける出力ロッド(及び油圧ピストン)の推力Pを示し、その推力Pは、前記負荷Lのピーク値(約33kN)よりも大きい値に設定される。
上記倍力機構51の推力について、図5Aから図6Bを参照して説明する。
図5Aに示すように、支点ピン54と入力ローラ57と出力ローラ60はアーム52に連結されているので、そのアーム52が揺動しても、これらの部材54,57,60の相互の距離は変化しない。即ち、図6A及び図6Bにおいて、支点ピン54の軸心Cと入力ローラ57の軸心Dとの間の距離aと、上記軸心Cと出力ローラ60の軸心Eとの間の距離bと、上記軸心Dと上記軸心Eとの間の距離cは、一定のままで変化しない。なお、上記出力ローラ60が接触する内円弧面40の半径Jの中心はR1である。
ここで、上記図6A(及び図5A)のリリース状態からロック駆動を開始したときに、ピストン22(及び押ロッド24)の推力をNとし、出力ローラ60から内円弧面40に作用する法線力をV1とし、出力ロッド36の推力をM1とし、水平線に対する線分CDの傾斜角度をα1とし、上記法線力V1と推力M1との間の角度をβ1とし、上記法線力V1の方向線と上記軸心Cを通る垂線との交点をG1とし、その交点G1と軸心Cとの間の腕長さをe1とする。
この場合、N・a・cosα1=V1・e1であり、M1=V1・cosβ1である。
従って、出力ロッド36の推力は、M1=(N・a・cosα1・cosβ1)/e1となる。
そして、上記ロック駆動時の初期から終期の直前まで(前記図7中のストロークSが0から約8.8mmまで)は、アーム52の下方への揺動に伴って、出力ローラ60の軸心Eは、前記軸心Cを中心として、図6A中の二点鎖線の軌跡W1のように移動しようとする。即ち、その出力ローラ60は、上記受面38の内円弧面40を押し下げなから半径方向の外方(図6A中の左方)へ移動していく。そして、上記アーム52が下方へ揺動していくときに、角度α1の変化率と比べて角度β1の減少率および腕長さe1の減少率を大きくしているので、出力ロッド36の推力M1が漸増していく(図7中の実線図の推力Mを参照)。
上記ロック駆動時の終期(前記図7中のストロークSが約8.8mmを越えたとき)には、図6Bに示すように、上記出力ローラ60が外円弧面41に接触しており、その外円弧面41の半径Kの中心はR2になっている。そして、上記外円弧面41の半径Kは、前記内円弧面40の半径Jよりも大きい値に設定してある。
ここで、出力ローラ60から外円弧面41に作用する法線力がV2となり、出力ロッド36の推力がM2となり、水平線に対する線分CDの傾斜角度がα2となり、上記法線力V2と推力M2との間の角度がβ2となり、上記法線力V2の方向線と上記軸心Cを通る垂線との交点がG2となり、その交点G2と軸心Cとの間の腕長さがe2となっている。
この場合、出力ロッド36の推力M2は、前記図6Aの説明と同様に、M2=(N・a・cosα2・cosβ2)/e2となる。
上記ロック駆動時の終期には、図6B中の上記腕長さe2が図6A中の前記腕長さe1よりも大幅に小さくなっていくので、出力ロッド36の推力M2が急増していく。
即ち、アーム52の下方への揺動に伴って、出力ローラ60の軸心Eは、前記軸心Cを中心として、図6B中の二点鎖線の軌跡W2のように移動していき、上記出力ローラ60が外円弧面41を押し下げなから半径方向の外方(図6B中の左方)へ移動していく。これにつれて、前記の腕長さe2が小さくなり、出力ロッド36の推力M2が急増して、上記の推力M2がピーク推力(約38kN)に到達する(図7中の実線図の推力Mを参照)。
上記の実施形態に記載された発明は次の長所を奏する。
本実施形態の発明は、前述した特許文献1(特開平4−19413号公報)に記載されたオイル補給タンクを省略でき、また、特許文献2(特開2007−268625号公報)の倍力用の第2シリンダ室を省略できるので、シリンダ装置15をコンパクトに造れる。
また、図3Bに示すように、前記アーム52を周方向へ3つ配置したので、3つの入力ローラ57の内端部同士および3つの出力ローラ60の内端部同士が互いに干渉するのを防止できる。このため、倍力室50の直径を小さくしてシリンダ装置15をさらにコンパクトに造れる。
また、前記図7に示すように、上記の特許文献1(特開平4−19413号公報)の出力ロッド(及び油圧ピストン)の推力Pは、出力ロッドの全ストロークにわたって負荷Lのピーク値よりも大きい値になっている。ここで、上記推力Pを示す一点鎖線の下側の面積が消費エネルギーに相当する。
これに対して、本実施形態では、前記受け面38を下方へ凹状に形成したので、出力ロッド36の推力Mを、負荷Lよりも少し大きい値で当該負荷Lの変動に追従させることが可能である。ここで、本実施形態の消費エネルギーは、出力ロッド36の推力Mを示す実線の下側の面積に相当する。
従って、本実施形態は、特許文献1の従来技術と比べて、消費エネルギーをほぼ半減できる。
前記入力ローラ57の軸心Dを前記の出力ローラ60の軸心Eよりも半径方向の内方に配置したので、押ロッド24の直径を小さくして、その押ロッド24をコンパクトに造れる。
出力ローラ60は、上記入力ローラ57よりも大径に形成され、しかも、ロック駆動の終期に大きい推力を伝達するときに、内円弧面40の半径Jよりも大きい半径Kを有する外円弧面41を押圧するように構成したので、その押圧時の面圧が小さい。このため、倍力機構51の寿命が長くなる。
上記の実施形態は次のように変更可能である。
押ロッド24に設けた押面27は、例示した水平面に限定されるものではなく、傾斜面や曲面などであってもよく、また、これらの水平面・傾斜面・曲面などの少なくとも2つの面を組み合わせたものであってもよい。
出力ロッド36に設けた受面38は、2つの円弧面40,41と傾斜面42によって構成することに代えて、多数の傾斜面を多角形状に接続したものであってもよく、1つの円弧面や楕円状の面や傾斜面であってよい。また、上記受面38は、円弧面・楕円状の面・傾斜面などの形状の異なる面のうちの少なくとも2つの面を適宜に組み合わせたものであってもよい。なお、上記受面38は、下方へ凹ませることに代えて、上方へ凸になるように形成することも可能である。
アーム52は、例示したように3つ配置することが好ましいが、これに代えて、2つ又は4つ配置してもよく、5つ以上配置することも可能である。
前記ピストン22を上昇させる手段は、例示した復帰バネ31に代えて、圧縮空気等の圧力流体を利用可能である。
出力ロッド36及びアーム52を上方へ押すための戻し手段である前記戻しバネ43の付勢力を強力にした場合には、上復帰バネ31を省略可能である。
その戻し手段は、例示した戻しバネ43に代えて、圧縮空気等の圧力流体を利用してもよい。
前記出力ローラ60の外周面における幅方向の形状(ローラの厚さ方向の形状)は、真っ直ぐに形成する場合や凹状に形成する場合や凸状に形成する場合などが考えられる。
本発明のシリンダ装置は、例示した縦向き姿勢に限定されるものではなく、上下逆の姿勢や横向き姿勢や斜め向き姿勢に配置してもよい。
また、上記シリンダ装置に使用される圧力流体は、圧縮空気に代えて、圧油等の液体であってもよい。
本発明は、例示したツール脱着装置に適用することが好ましいが、これ限定されるものではなく、種々の用途に利用可能である。
その他に、当業者が想定できる範囲で種々の変更を行えることは勿論である。
1:工作機械(マシニングセンタ),4:主軸,8:ドローバー,8a:被駆動部,20:ハウジング,21:シリンダ孔,22:ピストン,24:押ロッド,27:押面,35:支持孔,36:出力ロッド,36a:出力部(アタッチメント),38:受面,40:内円弧面,41:外円弧面,42:接続面(傾斜面),43:戻し手段(戻しバネ),50:倍力室,52:アーム,54:支点部(支点ピン),57:入力ローラ,60:出力ローラ,D:入力ローラ57の軸心,E:出力ローラ60の軸心,J:内円弧面40の半径,K:外円弧面41の半径,X:軸心.

Claims (8)

  1. ハウジング(20)の一端側に形成されたシリンダ孔(21)に軸心方向へ移動可能で保密状に挿入されたピストン(22)と、
    上記ピストン(22)から他端方向へ突出された押ロッド(24)であって、その他端面に押面(27)を設けた押ロッド(24)と、
    上記ハウジング(20)の他端側に形成された支持孔(35)に軸心方向へ移動可能に挿入された出力ロッド(36)であって、他端方向へ向かうにつれて軸心(X)から遠ざかるように形成された受面(38)を一端側に設けた出力ロッド(36)と、
    上記シリンダ孔(21)と上記支持孔(35)との間で上記ハウジング(20)内に形成された倍力室(50)と、
    上記倍力室(50)内に周方向へ所定の間隔をあけて配置された複数のアーム(52)と、
    上記アーム(52)が軸心方向へ揺動可能なように当該アーム(52)の半径方向の外方部かつ軸心方向の一端部を回転可能に支持する支点部(54)と、
    上記アーム(52)の半径方向の内方部かつ軸心方向の一端部に回転可能に支持されると共に上記押面(27)に接当される入力ローラ(57)と、
    上記アーム(52)の半径方向の内方部かつ軸心方向の他端部に回転可能に支持されると共に上記受面(38)に接当される出力ローラ(60)と、
    上記出力ロッド(36)を一端方向へ移動させるための戻し手段(43)と、
    を備える、ことを特徴とする倍力機構付きシリンダ装置。
  2. 請求項1の倍力機構付きシリンダ装置において、
    前記アーム(52)を周方向へ所定の間隔をあけて3つ配置した、ことを特徴とする倍力機構付きシリンダ装置。
  3. 請求項1の倍力機構付きシリンダ装置において、
    前記入力ローラ(57)の軸心(D)を、前記の出力ローラ(60)の軸心(E)よりも半径方向の内方に配置した、ことを特徴とする倍力機構付きシリンダ装置。
  4. 請求項1の倍力機構付きシリンダ装置において、
    前記受面(38)を他端方向に凹ませた、ことを特徴とする倍力機構付きシリンダ装置。
  5. 請求項4の倍力機構付きシリンダ装置において、
    前記受面(38)は、半径方向の内方に配置された内円弧面(40)と、半径方向の外方に配置された外円弧面(41)とを有し、その外円弧面(41)の半径(K)を上記内円弧面(40)の半径(J)よりも大きい値に設定した、ことを特徴とする倍力機構付きシリンダ装置。
  6. 請求項5の倍力機構付きシリンダ装置において、
    前記内円弧面(40)と前記外円弧面(41)との間に、これら内円弧面(40)と外円弧面(41)とを接続する接続面(42)を設けた、ことを特徴とする倍力機構付きシリンダ装置。
  7. 請求項1のから6のいずれかの倍力機構付きシリンダ装置において、
    前記押面(27)を、前記軸心(X)に直交する平面によって構成した、ことを特徴とする倍力機構付きシリンダ装置。
  8. 請求項1から6のいずれかの倍力機構付きシリンダ装置において、
    工作機械(1)の主軸(4)に挿入したドローバー(8)のアンクランプ用の被駆動部(8a)に所定の隙間をあけて前記出力ロッド(36)の出力部(36a)を対面させた、ことを特徴とする倍力機構付きシリンダ装置。
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