JP2012207691A - 軸受の潤滑装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 支持軸7に相対回転自在にした外輪6の外側に設けるケーシング1と、このケーシング内に設け、潤滑剤を含浸させてなる潤滑供給部材4とを備え、ケーシング1を固定手段に固定したとき、上記潤滑供給部材4と上記外輪6とが外輪6の回転中心の軸線L0に平行に接触して外輪6の外周面に潤滑剤を塗布する軸受の潤滑装置において、上記ケーシング1には、上記固定手段に取り付けるための固定部3を設けるとともに、外輪6の外周面に対する上記潤滑供給部材4の接触面を通る直線L2が外輪6の回転中心の軸線と平行になる方向に揺動可能にする調心機構19を備えた。
【選択図】 図3
Description
例えば、特許文献1の軸受の潤滑装置は、上記潤滑供給部材を収容したケーシングに、外輪の支持軸を貫通させる軸孔を備えている。そして、この軸孔に上記支持軸を貫通させて、支持軸を固定部材に取り付けることにより、外輪とケーシングとを一体的に固定するようにしている。
この図7に示す潤滑装置Aのケーシング1の本体2内には、潤滑剤を含浸させた潤滑供給部材4とともに、この潤滑供給部材4をフォロア軸受Bの外輪6側へ押圧する板ばね5を組み込んでいる。
なお、この潤滑装置Aを用いるフォロア軸受Bは、図7に示すように、支持軸7の周囲に外輪6を回転自在に設けるとともに、支持軸7の一端にはねじ部7aを設け、このねじ部7aを上記外輪6の軸方向外方に突出させている。なお、外輪6の軸方向とは、外輪6の回転中心の軸線方向のことである。
このようなフォロア軸受Bは、図8に示すように外輪6の転動面となる相手側転動面Mを支持するものである。
また、図7に示すように図中符号10の六角穴は、フォロア軸受Bの固定の際、上記ねじ部7aにナット9を締め付ける時の共回りを防ぐために使うもので、この六角穴10に図示していない六角レンチをはめ込んでフォロア軸受Bを固定してナット9で締め付ける。
また、このケーシング1に組み込む潤滑供給部材4は、オープンポアから成る多孔質構造の焼結樹脂部材などで形成され、その空隙率は例えば40〜50%のものを使用でき、その多孔部にタービン油などの潤滑油を含浸したものである。この潤滑供給部材4は、ポリエチレンやポリプロピレン等の熱可塑性樹脂材の粉末と、潤滑油あるいはグリースからなる潤滑剤とを混合して加熱後、固形化した固形潤滑剤を使用してもよい。
上記のようにした潤滑供給部材4は、上記底面12との間に板ばね5を介在させてケーシング1に組み込むが、この板ばね5は、その断面形状を山形にして両端に一対の突片5b、5bを有するとともに、その頂部5aが、ケーシング1の底面12に形成した位置決め凹部18に一致する構成にしている。
このように、ケーシングの軸孔に支持軸を挿入して固定する潤滑装置は、それを既存の軸受に取り付けるためには、固定部材から支持軸を一旦取り外さなければならない。そのため、一旦取り付けた潤滑装置に不具合が発生した場合にも、外輪の支持軸を取り外さなければ、潤滑装置を取り外すことができない。
このようなものとして、図9に示す潤滑装置Cのケーシング1は、本体2と固定部3とを一体成形したものである。
このように構成した潤滑装置Cは、図9に示すように、外輪6の支持軸7を固定した固定部材8に、支持軸7とは別に上記ケーシング1の固定部3を介して固定される。そのため、すでに固定部材8に固定されたフォロア軸受Bに、後から潤滑装置Cを取り付けることができる。
そのためには、固定部3や固定部材8の寸法精度や取り付け精度を必要として、加工コストが嵩んでしまうという問題がある。
この発明の目的は、潤滑対象である外輪とは別に、固定手段に固定することができる軸受の潤滑装置であって、厳密な寸法管理をしなくても、外輪に対する潤滑供給部材の接触に偏りが生じない軸受の潤滑装置を提供することである。
なお、上記ばね部材に設けた調心用突部には、ばね部材と一体的に形成したもののほか、ばね部材と別部材で構成されるものも含むものとする。
第3の発明は、潤滑供給部材に形成した調心用突部によって調心機構を構成でき、潤滑剤の塗布ムラを防止できる。また、潤滑供給部材以外の構成は従来と同じにすることもできる。
この調心用突部19は、図3に示すように、その軸方向断面が円弧を形成する曲面からなる突部である。また、上記調心用突部19は、その中央に、軸方向に伸びる位置決め凹部18を備え、従来と同様に上記板ばね5の頂部5aをこの位置決め凹部18に一致させる構成にしている。
なお、上記軸方向とは、ケーシング1を外輪6に対向させて設けたとき、外輪6の支持軸7と平行な直線が伸びる方向のことである。
このように、第1実施形態の潤滑装置Dは、ケーシング1の底面12に曲面からなる調心用突部19を設けているので、これに接触している板ばね5は、上記調心用突部19の曲面に沿って図3の矢印αのように揺動可能である。
一方、板ばね5は、上記したように図3の矢印αのように揺動可能である。そして、上記潤滑供給部材4は、この板ばね5によって外輪6(図1,図2参照)の方向へ押圧されているので、この潤滑供給部材4は、ばね部材5と一体的に、上記矢印αのように揺動可能である。
従って、ケーシング1の固定部3を固定部材8に固定したときに、固定部3の貫通孔3aの中心軸線L1が、外輪6の回転中心である軸線に対して平行にならなかったとしても、上記揺動によって上記潤滑供給部材4の接触面を通る直線が、外輪6の回転中心である軸線と平行になるように調整されることになる。
このように、上記第1実施形態においては、上記ケーシング1に形成した調心用突部19とこれに接触する板ばね5の接触部とによってこの発明の調心機構を構成している。
また、固定部3や、固定部材8側の寸法精度を高く保つ必要もなく、製造コストを抑えることができる。
また、ばね部材などの、潤滑供給部材4を外輪6側へ押圧する手段は必須の構成要素ではない。板ばね5などを用いない場合には、ケーシング1の調心用突部19と潤滑供給部材4とが直接接触し、これら調心用突部19と潤滑供給部材4とによって調心機構を構成することになる。
第1実施形態と同じ構成要素には、図1〜3と同じ符号を用い、個々の要素についての説明は省略する。以下には、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
そして、上記板ばね5の両突片5b、5b間に設ける潤滑供給部材4に、上記板ばね5側に突出した曲面からなる調心用突部20を備えている。
なお、上記調心用突部20は、上記潤滑供給部材4と同一素材で一体的に形成し、潤滑剤を含浸させるようにしてもよいし、別素材で形成した突部を上記潤滑供給部材4に設けて調心用突部20としてもよい。
従って、上記位置決め凹部18で位置決めされた板ばね5に対し、潤滑供給部材4は、矢印βのように揺動可能である。
従って、上記ケーシング1の固定部3を固定部材8に固定したときに、図5に示す固定部3側の貫通孔3aの中心軸線L1が、外輪6の回転中心である軸線と平行にならなかったとしても、潤滑供給部材4が揺動するので、外輪6との接触面となる上記突部15を外輪6の回転中心である軸線と平行に保つことができる。
そのため、この第2実施形態の軸受の潤滑装置も、固定部3や、それを固定する固定部材8側の寸法や取り付け精度を厳密に管理しなくても、潤滑供給部材4の接触面と外輪6の回転中心である軸線とを平行に保って、外輪6の外周面に潤滑剤を偏りなく塗布することができる。
なお、上記第2実施形態でも、山形の板ばね5を用いて潤滑供給部材4を外輪6側へ押圧するようにしているが、潤滑供給部材4を押圧する手段は板ばねに限らない。
また、ばね部材などの、潤滑供給部材4を外輪6側へ押圧する手段は必須の構成要素ではない。板ばね5などを用いない場合には、ケーシング1の底面12と潤滑供給部材4の調心用突部20とが直接接触し、これらケーシング1の底面12と調心用突部20とによって調心機構を構成することになる。
例えば、上記板ばね5に、ケーシング1の底面12側に突出する曲面からなる調心用突部を形成し、この調心用突部と上記底面12の接触部とによって調心機構を構成することもできる。あるいは、上記板ばね5に、上記潤滑供給部材4側に突出する曲面からなる調心用突部を形成し、この調心用突部と潤滑供給部材4の接触部とによって調心機構を構成することもできる。
さらに、板ばね5とケーシング1との間や、板ばね5と潤滑供給部材4との間などに、ボールなど突曲面を有する部材を介在させ、それを調心用突部とすることもできる。
要するに、上記調心機構は、上記ケーシング1内で潤滑供給部材4が外輪6の回転中心である軸線に対して揺動可能になる構成であれば、どのように構成したものでもよい。
これらの潤滑装置D,Eの固定部3は、ケーシング1の外周に一体で形成しており、その外形幅寸法は外輪6の直径寸法よりも小さい。その結果、潤滑対象の軸受Bが隣接して配置されている場合でも、軸受よりも外形幅寸法が小さい潤滑装置の固定部3同士は干渉しない。
また、潤滑装置D,Eにおいて、上記固定部材8に対向する取付面は、固定部3から本体2まで同一平面で形成されており、ケーシング1に内蔵された潤滑供給部材4に対して、ほぼ直角を成している。そのため、固定部材8に対して潤滑装置D,Eは、ケーシング1の固定部3から本体2に形成されている取付面の全面で密着し、安定した位置決めを実現する。
さらにまた、上記ざぐり3bを備えたことにより、固定用のねじ部材11として短いものを使用可能にしていると同時に、固定用のねじ部材11の頭部がざぐり3b内に隠れて周辺スペースに突出しないようになっている。
上記図7、図8に示したような、従来の潤滑装置Aを用いる場合には、ケーシング1の軸孔にフォロア軸受Bの支持軸7を貫通させて潤滑装置を軸支して固定部材8に共締め固定する。その結果、固定部材8と支持軸7で挟むケーシング1の板厚分だけ荷重が負荷される外輪6の位置が支持軸7の六角穴の方向へ移動する。その結果、支持軸7の、固定部材8から突出する長さが増えて、支持軸7に発生する曲げ応力が大きくなる。
D,E 潤滑装置
1 ケーシング
2 本体
3 固定部
3a 貫通孔
4 潤滑供給部材
5 板ばね
6 外輪
7 支持軸
8 (固定手段である)固定部材
19 調心用突部
20 調心用突部
L0 (外輪の回転中心である)軸線
L2 (外輪の外周面に対する潤滑供給部材の接触面を通る)直線
Claims (5)
- 支持軸に相対回転自在にした外輪の外側に設けるケーシングと、このケーシング内に設け、潤滑剤を含浸させてなる潤滑供給部材とを備え、上記ケーシングを固定手段に固定したとき、上記潤滑供給部材と上記外輪とが上記外輪の回転中心の軸線に平行に接触して上記外輪の外周面に上記潤滑剤を塗布する軸受の潤滑装置において、上記ケーシングには、上記固定手段に取り付けるための固定部を設けるとともに、上記外輪の外周面に対する上記潤滑供給部材の接触面が上記外輪の回転中止の軸線と平行になる方向に揺動可能にする調心機構を備えた軸受の潤滑装置。
- 上記ケーシングの内面であって、上記潤滑供給部材に対向する面に形成され、上記潤滑供給部材側に突出した曲面からなる調心用突部と、この調心用突部と接触する上記潤滑供給部材側に備えた接触部とによって上記調心機構を構成した請求項1に記載の軸受の潤滑装置。
- 上記潤滑供給部材であって、上記ケーシングの内面と対向する側の面に形成され、上記ケーシング側に突出した曲面からなる調心用突部と、この調心用突部と接触する上記ケーシング側に備えた接触部とによって上記調心機構を構成した請求項1に記載の軸受の潤滑装置。
- 上記外輪と対向する上記ケーシングの内面との間に、上記潤滑供給部材を上記外輪へ押圧するばね部材を介在させるとともに、このばね部材に、上記調心用突部と接触する上記接触部を設けた請求項2または3に記載の軸受の潤滑装置。
- 上記外輪と対向する上記ケーシングの内面との間に、上記潤滑供給部材を上記外輪へ押圧する上記ばね部材を介在させるとともに、このばね部材に上記ケーシング側あるいは上記外輪側に突出した曲面からなる調心用突部を設け、この調心用突部と、この調心用突部と接触する上記ケーシング側あるいは上記潤滑供給部材側の接触部とによって上記調心機構を構成した請求項1に記載の軸受の潤滑装置。
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