JP2012207623A - ガスタービン、ガスタービンの起動方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ガスタービン20の起動時に、弁33v、34v、35vを開き、各抽気配管30、31、32から抽気された圧縮空気の少なくとも一部を、インジェクションノズル37から、動翼M1または静翼C1に対して吹き付けることで、起動時の旋回失速を抑制する。
【選択図】図1
Description
そこで、動翼の旋回失速を避けるため、静翼の開度を可変としたり(可変静翼)、圧縮機内の空気の一部を外部に逃がす抽気室・抽気配管を設置することが行われている(例えば、特許文献1参照。)。
また、起動時に抽気した場合、抽気した空気は、排気ダクトに接続された抽気管を通り排気されており、その空気の有するエネルギがそのまま放出されている。
さらに、現状では起動時の旋回失速を避けるため、圧縮機の回転数の上昇率を緩やかに設定している。このため、起動に時間がかかり、急速に起動が行えないという問題がある。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、低コストで、エネルギを有効利用することができ、急速な起動を可能とするガスタービン、ガスタービンの起動方法を提供することを目的とする。
ガスタービンの起動時に、圧縮機から抽気した圧縮空気を、上流側の動翼または静翼に吹き付けることで、軸流速を増大させることができる。これにより、動翼または静翼への空気の流入角を小さくし、動翼または静翼の負圧面における流体の剥離を防止でき、旋回失速を抑制することができる。
これにより、動翼または静翼への流入角をさらに小さくして、旋回失速の抑制効果を高めることができる。
このような手法は、抽気管から分岐する圧縮空気送給管、弁、ノズルまたやスリット等を設けるのみであるので、複雑な構造とすることなく、低コストで有効な効果を得ることができる。また、既存のガスタービンに対しても、機能を追加することができる。
図1は、本実施の形態におけるガスタービン20の概略構成を説明するための図である。
この図1に示すように、ガスタービン20には、空気の流れの上流側から下流側に向かって吸込ケーシング21、圧縮機50、燃焼器23、タービン24が設けられている。
吸込ケーシング21から取り込まれた空気は圧縮機50によって圧縮され、高温・高圧の圧縮空気となって燃焼器23へ送り込まれる。燃焼器23では、この圧縮空気に天然ガス等のガス、或いは軽油や軽重油等の油を供給して燃料を燃焼させ、高温・高圧の燃焼ガスを生成させる。この高温・高圧の燃焼ガスはタービン24に噴射され、タービン24内で膨張してタービン24を回転させる。タービン24の回転エネルギにより、ガスタービン20の主軸25に連結された図示しない発電機等が駆動される。
一方、ガスタービン20のケーシング側52には、周囲に静翼C1、C2、C3〜が取付けられ、軸方向とは動翼とそれぞれ交互に配置されている。
圧縮機50の入口には、ロータ51周囲にIGV(Inlet Guide Vane)53が取付けられており、図示しない駆動部によりその開度が調整できるようになっている。
なお、本発明における静翼とは、静翼C1、C2、C3〜のみではなくIGV53も含むものとする。
空気はIGV53の開度で定められた流量で吸込ケーシング21から圧縮機50に流入し、各静翼C1、C2、C3〜間を流れる過程において回転する動翼M1、M2、M3〜間を通り圧縮され、圧縮空気となって流出し、燃焼器23における燃焼用や、ロータ51、タービン翼の冷却用として供給される。
なお、これら抽気配管30、31、32はケーシング52の周囲に複数組みが設けられ、合流して各抽気弁60、61、62に接続する構成となっている。
また、抽気室55、56、57、抽気配管30、31、32、および、抽気弁60、61、62の個数は各々3つに限られることはなく、各々1つ、2つ、または、4つ以上でもよい。
また、抽気配管30、31、32の全てから圧縮空気送給管33、34、35が分岐される形態に限られることはなく、抽気配管30、31、32のうちの1つまたは2つから圧縮空気送給管が分岐されるのみでもよい。
このようなインジェクションノズル37は、ケーシング52の周方向に複数本を設けることもできる。
また、インジェクションノズル37に代えて、ケーシング52の周方向に連続するスリットや、複数個のスリット、孔を形成し、これらを通して合流管36から送り込まれる圧縮空気を剥離が発生している翼に吹き付けることもできる。
このとき、起動時においては、タービン24が立上るまでは起動モータを駆動して運転している。
また、圧縮機50の回転数が、予め定めた回転数に達すると、抽気弁60、61、62を予め定めた所定の開度にまで閉じ、タービンや燃焼器の冷却に最小限必要な空気量を抽気する、定常状態の運転に入るようにする。
このとき、弁33v、34v、35vを閉じる回転数と、抽気弁60、61、62を閉じる回転数は、同一でも良いし、互いに異なっていても良い。
なお、静翼の翼面で剥離が発生している場合は、その後流の動翼の翼面での剥離を誘発し、旋回失速が発生する可能性がある。そのため、静翼で剥離が発生している場合は、静翼へのインジェクションも旋回失速の抑制には有効である。
また、1段動翼M1の翼面での剥離を防止する場合は、動翼M1の前縁よりも上流、かつ、動翼M1の上流側に位置する吸気ストラット70(図1参照)の後縁よりも下流側の範囲にインジェクションノズル37を設けて、IGV53または動翼M1にインジェクションすればよい。
1)0%〜100%、
2)0%〜70%、
3)40%〜60%、
のいずれかとすることができる。
定性的には、圧縮機50の回転数と圧力変動の分布は図4に示すような分布を示し、回転数が定格回転数に対して50%程度であるときに圧力変動が大きく、最も旋回失速が発生しやすい。圧力変動が大きい領域でインジェクションを行うのが特に好ましいので、したがって、旋回失速の抑制効果は、3)>2)>1)の順で有効、効率的である。
また、抽気した圧縮空気の一部をインジェクションすることで、抽気配管30、31、32に流れる圧縮空気量が減るため、抽気配管30、31、32・抽気弁60、61、62の小径化や冷却空気配管のみを残しての大幅簡略化、可変静翼の削減による、製作コストの低減が可能となる。
ここで、インジェクションノズル37は、例えば図5(a)に示すように、ケーシング52の径方向(放射方向)に対し、所定角度傾斜させて設けても良い。
さらに、図5(b)に示すように、インジェクションノズル37の内部に、ケーシング52の径方向(放射方向)に対し、所定角度傾斜したガイド板(整流手段)80を設けることもできる。
また、図5(c)に示すように、ケーシング52にスリット90を形成している場合、スリット90内に、ケーシング52の径方向(放射方向)に対し、所定角度傾斜した複数枚の整流板(整流手段)95を設けることもできる。
図5(a)〜(c)に示したような手法により、インジェクションした圧縮空気をケーシング52内で周方向にスワールさせることができる。
また、抽気配管30、31、32から圧縮空気を抽気し、剥離が発生している翼に対して吹き付けるようにしたが、タービン冷却用の配管から分岐して、剥離が発生している翼に吹き付ける圧縮空気を供給しても良い。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
21 吸込ケーシング
23 燃焼器
24 タービン
25 主軸
30、31、32 抽気配管
33、34、35 圧縮空気送給管
33v、34v、35v 弁
36 合流管
37 インジェクションノズル
39 負圧面
50 圧縮機
51 ロータ
52 ケーシング
55、56、57 抽気室
60、61、62 抽気弁
80 ガイド板(整流手段)
90 スリット
95 整流板(整流手段)
C1、C2、C3〜 静翼
M1、M2、M3〜 動翼
Claims (6)
- ケーシング内に、空気を圧縮する圧縮機、前記圧縮機で圧縮された空気と燃料とを燃焼させ燃焼ガスを生成する燃焼器、および前記燃焼器で生成された前記燃焼ガスが膨張することで回転駆動されるタービンを備えたガスタービンであって、
前記圧縮機で圧縮された圧縮空気を前記ケーシングの外部に抽気する抽気管と、
前記抽気管から分岐し、前記圧縮機の上流部に前記圧縮空気を送り込む圧縮空気送給管と、
前記圧縮空気送給管を開閉する弁と、
前記弁の開閉を制御することにより、前記圧縮空気送給管における前記圧縮機の上流部への前記圧縮空気の送り込みを、前記ガスタービンの起動開始から定格回転数に至るまでのガスタービンの起動時のみ実行させる制御部と、
を備えることを特徴とするガスタービン。 - 前記ケーシングを貫通し、前記圧縮機の上流部に位置する動翼または静翼に前記圧縮機送給管から送り込まれた前記圧縮空気を吹き付けるノズルまたはスリットを有し、
前記ノズルまたは前記スリットは、前記動翼または静翼への流入角を小さくする整流手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載のガスタービン。 - 前記制御部は、前記ガスタービンの定格回転数を100%としたとき、当該ガスタービンの回転数が、0%から100%となるまでの間、前記圧縮空気送給管における前記圧縮機の上流部への前記圧縮空気の送り込みを実行させることを特徴とする請求項1または2に記載のガスタービン。
- 前記制御部は、前記ガスタービンの定格回転数を100%としたとき、当該ガスタービンの回転数が、0%から70%となるまでの間、前記圧縮空気送給管における前記圧縮機の上流部への前記圧縮空気の送り込みを実行させることを特徴とする請求項1または2に記載のガスタービン。
- 前記制御部は、前記ガスタービンの定格回転数を100%としたとき、当該ガスタービンの回転数が、40%から60%となるまでの間、前記圧縮空気送給管における前記圧縮機の上流部への前記圧縮空気の送り込みを実行させることを特徴とする請求項1または2に記載のガスタービン。
- ケーシング内に、空気を圧縮する圧縮機、前記圧縮機で圧縮された空気と燃料とを燃焼させ燃焼ガスを生成する燃焼器、および前記燃焼器で生成された前記燃焼ガスが膨張することで回転駆動されるタービンを備えたガスタービンの起動方法であって、
前記ガスタービンの起動開始から定格回転数に至るまでのガスタービンの起動時に、前記圧縮機で圧縮された圧縮空気を前記ケーシングの外部に抽気し、抽気した前記圧縮空気の少なくとも一部を、前記圧縮機の上流部に送り込み、前記上流部の動翼に吹き付けることを特徴とするガスタービンの起動方法。
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