JP2012202388A - 多気筒内燃機関の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置 - Google Patents

多気筒内燃機関の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】異常検出用以外の他の増量制御が阻害されることを防止する。
【課題手段】本発明に係る多気筒内燃機関の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置は、所定の対象気筒の燃料噴射量を強制変更し、少なくとも強制変更後の対象気筒の回転変動に基づき、気筒間空燃比ばらつき異常を検出する。燃料噴射量を増量する所定の他の増量制御の実行中には燃料噴射量の強制変更を禁止する。
【選択図】図7

Description

本発明は、多気筒内燃機関の気筒間空燃比のばらつき異常を検出するための装置に係り、特に、多気筒内燃機関において気筒間の空燃比が比較的大きくばらついていることを検出する装置に関する。
一般に、触媒を利用した排気浄化システムを備える内燃機関では、排気中有害成分の触媒による浄化を高効率で行うため、内燃機関で燃焼される混合気の空気と燃料との混合割合、すなわち空燃比のコントロールが欠かせない。こうした空燃比の制御を行うため、内燃機関の排気通路に空燃比センサを設け、これによって検出された空燃比を所定の目標空燃比に一致させるようフィードバック制御を実施している。
一方、多気筒内燃機関においては、通常全気筒に対し同一の制御量を用いて空燃比制御を行うため、空燃比制御を実行したとしても実際の空燃比が気筒間でばらつくことがある。このときばらつきの程度が小さければ、空燃比フィードバック制御で吸収可能であり、また触媒でも排気中有害成分を浄化処理可能なので、排気エミッションに影響を与えず、特に問題とならない。
しかし、例えば一部の気筒の燃料噴射系が故障するなどして、気筒間の空燃比が大きくばらつくと、排気エミッションを悪化させてしまい、問題となる。このような排気エミッションを悪化させる程の大きな空燃比ばらつきは異常として検出するのが望ましい。特に自動車用内燃機関の場合、排気エミッションが悪化した車両の走行を未然に防止するため、気筒間空燃比ばらつき異常を車載状態で検出することが要請されており(所謂OBD;On-Board Diagnostics)、最近ではこれを法規制化する動きもある。
例えば特許文献1に記載の装置においては、いずれかの気筒に空燃比異常が生じていると判断した場合に、空燃比異常となっている気筒が失火するまでの間、各気筒へ噴射する燃料の噴射時間を所定時間ずつ短縮させ、これによって異常気筒を特定している。
特開2010−112244号公報
ところで、いずれかの気筒に空燃比異常が生じている場合、当該気筒の燃料噴射量を強制的に変更(すなわち増量または減量)すると、当該気筒の回転変動が顕著に大きくなる。よってこのような回転変動の増大を検出することで、空燃比ばらつき異常を検出することが可能である。
しかし、このような燃料噴射量の強制的な増量または減量は排気エミッションを少なからず悪化させてしまう。よって燃料噴射量の増量または減量は、排気エミッションを極力悪化させないタイミングで行うのが望ましい。
そこで例えば燃料噴射量の強制的な増量を、他の増量制御と重複して行うことが考えられる。こうすれば異常検出用の強制増量を単独で行うことを回避し、異常検出実行による排気エミッション悪化を極力防止することができる。
しかし、他の増量制御の種類によっては、このような重複実施により増量制御本来の目的を達成できなくなったりする虞がある。
そこで本発明は以上の事情に鑑みて創案され、その目的は、異常検出用以外の他の増量制御が阻害されることを防止し得る多気筒内燃機関の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置を提供することにある。
本発明の一の態様によれば、
燃料噴射量を増量する所定の増量制御を実行する増量制御手段と、
所定の対象気筒の燃料噴射量を強制変更し、少なくとも当該強制変更後の前記対象気筒の回転変動に基づき、気筒間空燃比ばらつき異常を検出する検出手段と、
を備え、
前記検出手段は、前記増量制御手段による前記増量制御の実行中に、前記燃料噴射量の強制変更を禁止する
ことを特徴とする多気筒内燃機関の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置が提供される。
好ましくは、前記所定の増量制御が、
前記内燃機関の冷間始動後に暖機完了時点まで行われる暖機増量制御、
前記内燃機関の冷間始動後に前記内燃機関の暖機が完了する前の所定時点まで行われる始動後増量制御、
前記内燃機関の高温再始動後に所定時間が経過するまで行われる高温再始動後増量制御、
前記内燃機関の負荷が所定値以下の小空気量運転時に行われる小空気量増量制御、および
前記内燃機関の無負荷運転時で且つ前記内燃機関の回転速度が所定値以下のときに行われるエンスト防止増量制御
の少なくとも一つからなる。
好ましくは、前記検出手段は、所定の対象気筒の燃料噴射量を強制減量し、少なくとも当該強制減量後の前記対象気筒の回転変動に基づき、気筒間空燃比ばらつき異常を検出可能であり、且つ、前記増量制御手段による前記増量制御の実行中に、前記燃料噴射量の強制減量を禁止する。
好ましくは、前記所定の増量制御が、排気通路に設けられた触媒の温度上昇を抑制するために実行される昇温抑制増量制御、および前記内燃機関の加速時に実行される加速増量制御の少なくとも一つからなり、
前記検出手段は、所定の対象気筒の燃料噴射量を強制減量し、少なくとも当該強制減量後の前記対象気筒の回転変動に基づき、気筒間空燃比ばらつき異常を検出可能であり、且つ、前記増量制御手段による前記昇温抑制増量制御および前記加速増量制御の少なくとも一つの実行中に、前記燃料噴射量の強制減量を禁止する。
好ましくは、前記異常検出装置が、前記増量制御とは異なる別の増量制御を実行する別の増量制御手段をさらに備え、
前記検出手段は、前記別の増量制御の実行中に、前記燃料噴射量の強制増量を許可する。
好ましくは、前記別の増量制御が、フューエルカット制御の終了直後に行われるフューエルカット後リッチ制御からなる。
本発明によれば、異常検出用以外の他の増量制御が阻害されることを防止することができるという、優れた効果が発揮される。
本発明の実施形態に係る内燃機関の概略図である。 触媒前センサおよび触媒後センサの出力特性を示すグラフである。 回転変動を表す値を説明するためのタイムチャートである。 回転変動を表す別の値を説明するためのタイムチャートである。 燃料噴射量を増量または減量したときの回転変動の変化を示すグラフである。 燃料噴射量の増量と、増量前後の回転変動の変化との様子を示す図である。 異常検出ルーチンを示すフローチャートである。
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づき説明する。
図1に本実施形態に係る内燃機関を概略的に示す。図示される内燃機関(エンジン)1は自動車に搭載されたV型8気筒火花点火式内燃機関(ガソリンエンジン)である。エンジン1は第1のバンクB1と第2のバンクB2とを有し、第1のバンクB1には奇数番気筒すなわち#1,#3,#5,#7気筒が設けられ、第2のバンクB2には偶数番気筒すなわち#2,#4,#6,#8気筒が設けられている。#1,#3,#5,#7気筒が第1の気筒群をなし、#2,#4,#6,#8気筒が第2の気筒群をなす。
各気筒にインジェクタ(燃料噴射弁)2が設けられる。インジェクタ2は、対応気筒の吸気通路特に吸気ポート(図示せず)内に向けて燃料を噴射する。また各気筒には、筒内の混合気に点火するための点火プラグ13が設けられる。
吸気を導入するための吸気通路7は、前記吸気ポートの他、集合部としてのサージタンク8と、各気筒の吸気ポートおよびサージタンク8を結ぶ複数の吸気マニホールド9と、サージタンク8の上流側の吸気管10とを含む。吸気管10には、上流側から順にエアフローメータ11と電子制御式スロットルバルブ12とが設けられている。エアフローメータ11は吸気流量に応じた大きさの信号を出力する。
第1のバンクB1に対して第1の排気通路14Aが設けられ、第2のバンクB2に対して第2の排気通路14Bが設けられる。これら第1および第2の排気通路14A,14Bは下流触媒19の上流側で合流されている。この合流位置より上流側の排気系の構成は両バンクで同一なので、ここでは第1のバンクB1側についてのみ説明し、第2のバンクB2側については図中同一符号を付して説明を省略する。
第1の排気通路14Aは、#1,#3,#5,#7の各気筒の排気ポート(図示せず)と、これら排気ポートの排気ガスを集合させる排気マニホールド16と、排気マニホールド16の下流側に設置された排気管17とを含む。そして排気管17には上流触媒18が設けられている。上流触媒18の上流側及び下流側(直前及び直後)にそれぞれ、排気ガスの空燃比を検出するための空燃比センサである触媒前センサ20及び触媒後センサ21が設置されている。このように、一方のバンクに属する複数の気筒(あるいは気筒群)に対して、上流触媒18、触媒前センサ20及び触媒後センサ21が各一つずつ設けられている。
なお、第1および第2の排気通路14A,14Bを合流させないで、これらに個別に下流触媒19を設けることも可能である。
エンジン1には制御手段および検出手段としての電子制御ユニット(以下ECUと称す)100が設けられている。ECU100は、何れも図示されないCPU、ROM、RAM、入出力ポート、および記憶装置等を含むものである。ECU100には、前述のエアフローメータ11、触媒前センサ20、触媒後センサ21のほか、エンジン1のクランク角を検出するためのクランク角センサ22、アクセル開度を検出するためのアクセル開度センサ23、エンジン冷却水の温度を検出するための水温センサ24、その他の各種センサが図示されないA/D変換器等を介して電気的に接続されている。ECU100は、各種センサの検出値等に基づき、所望の出力が得られるように、インジェクタ2、点火プラグ13、スロットルバルブ12等を制御し、燃料噴射量、燃料噴射時期、点火時期、スロットル開度等を制御する。
スロットルバルブ12にはスロットル開度センサ(図示せず)が設けられ、スロットル開度センサからの信号がECU100に送られる。ECU100は、通常、アクセル開度に応じて定まる開度に、スロットルバルブ12の開度(スロットル開度)をフィードバック制御する。
またECU100は、エアフローメータ11からの信号に基づき、単位時間当たりの吸入空気の量すなわち吸入空気量を検出する。そしてECU100は、検出したアクセル開度、スロットル開度および吸入空気量の少なくとも一つに基づき、エンジン1の負荷を検出する。ここで負荷は負荷率とも称され、0〜100(%)の値を有する。
ECU100は、クランク角センサ22からのクランクパルス信号に基づき、クランク角自体を検出すると共にエンジン1の回転数を検出する。ここで「回転数」とは単位時間当たりの回転数のことをいい、回転速度と同義である。本実施形態では1分間当たりの回転数rpmのことをいう。
触媒前センサ20は所謂広域空燃比センサからなり、比較的広範囲に亘る空燃比を連続的に検出可能である。図2に触媒前センサ20の出力特性を示す。図示するように、触媒前センサ20は、検出した排気空燃比(触媒前空燃比A/Ff)に比例した大きさの電圧信号Vfを出力する。排気空燃比がストイキ(理論空燃比、例えばA/F=14.5)であるときの出力電圧はVreff(例えば約3.3V)である。
他方、触媒後センサ21は所謂O2センサからなり、ストイキを境に出力値が急変する特性を持つ。図2に触媒後センサ21の出力特性を示す。図示するように、排気空燃比(触媒後空燃比A/Fr)がストイキであるときの出力電圧、すなわちストイキ相当値はVrefr(例えば0.45V)である。触媒後センサ21の出力電圧は所定の範囲(例えば0〜1V)内で変化する。概して排気空燃比がストイキよりリーンのとき、触媒後センサの出力電圧Vrはストイキ相当値Vrefrより低くなり、排気空燃比がストイキよりリッチのとき、触媒後センサの出力電圧Vrはストイキ相当値Vrefrより高くなる。
上流触媒18及び下流触媒19は三元触媒からなり、それぞれに流入する排気ガスの空燃比A/Fがストイキ近傍のときに排気中の有害成分であるNOx、HCおよびCOを同時に浄化する。この三者を同時に高効率で浄化できる空燃比の幅(ウィンドウ)は比較的狭い。
そこで、エンジンの通常運転時、上流触媒18に流入する排気ガスの空燃比をストイキ近傍に制御するための空燃比制御(ストイキ制御)がECU100により実行される。この空燃比制御は、触媒前センサ20によって検出された排気空燃比が所定の目標空燃比であるストイキになるように混合気の空燃比(具体的には燃料噴射量)をフィードバック制御する主空燃比制御(主空燃比フィードバック制御)と、触媒後センサ21によって検出された排気空燃比がストイキになるように混合気の空燃比(具体的には燃料噴射量)をフィードバック制御する補助空燃比制御(補助空燃比フィードバック制御)とからなる。
このように本実施形態において、空燃比の基準値はストイキであり、このストイキに相当する燃料噴射量(ストイキ相当量という)が燃料噴射量の基準値である。但し、空燃比および燃料噴射量の基準値は他の値とすることもできる。
空燃比制御はバンク単位で若しくはバンク毎に行われる。例えば第1のバンクB1側の触媒前センサ20および触媒後センサ21の検出値は、第1のバンクB1に属する#1,#3,#5,#7気筒の空燃比フィードバック制御にのみ用いられ、第2のバンクB2に属する#2,#4,#6,#8気筒の空燃比フィードバック制御には用いられない。逆も同様である。あたかも独立した直列4気筒エンジンが二つあるように、空燃比制御が実行される。また空燃比制御においては、同一バンクに属する各気筒に対し同一の制御量が一律に用いられる。
さて、例えば全気筒のうちの一部の気筒(特に1気筒)において、インジェクタ2の故障等が発生し、気筒間に空燃比のばらつき(インバランス:imbalance)が発生することがある。例えば第1のバンクB1について、インジェクタ2の閉弁不良により#1気筒の燃料噴射量が他の#3,#5,#7気筒の燃料噴射量よりも多くなり、#1気筒の空燃比が他の#3,#5,#7気筒の空燃比よりも大きくリッチ側にずれる場合である。
このときでも、前述の空燃比フィードバック制御により比較的大きな補正量を与えれば、触媒前センサ20に供給されるトータルガス(合流後の排気ガス)の空燃比をストイキに制御できる場合がある。しかし、気筒別に見ると、#1気筒がストイキより大きくリッチ、#3,#5,#7気筒がストイキよりリーンであり、全体のバランスとしてストイキとなっているに過ぎず、エミッション上好ましくないことは明らかである。そこで本実施形態では、かかる気筒間空燃比ばらつき異常を検出する装置が装備されている。
ここで、気筒間空燃比のばらつき度合いを表す指標値としてインバランス率なる値を用いる。インバランス率とは、複数の気筒のうちある1気筒のみが燃料噴射量ズレを起こしている場合に、その燃料噴射量ズレを起こしている気筒(インバランス気筒)の燃料噴射量がどれくらいの割合で、燃料噴射量ズレを起こしていない気筒(バランス気筒)の燃料噴射量即ち基準噴射量からズレているかを示す値である。インバランス率をIB(%)、インバランス気筒の燃料噴射量をQib、バランス気筒の燃料噴射量即ち基準噴射量をQsとすると、IB=(Qib−Qs)/Qs×100で表される。インバランス率IBが大きいほど、インバランス気筒のバランス気筒に対する燃料噴射量ズレが大きく、空燃比ばらつき度合いは大きい。
他方、本実施形態においては、所定の対象気筒の燃料噴射量をアクティブに若しくは強制的に変更(増量または減量)し、少なくとも変更後(すなわち増量または減量後)の対象気筒の回転変動に基づき、ばらつき異常を検出する。
まず、回転変動について説明する。回転変動とは、エンジン回転速度あるいはクランクシャフト回転速度の変化をいい、例えば次に述べるような値で表すことができる。本実施形態においては気筒毎の回転変動が検出可能である。
図3には回転変動を説明するためのタイムチャートを示す。図示例は直列4気筒エンジンの例であるが、本実施形態のようなV型8気筒エンジンにも適用可能であることが理解されよう。点火順序は#1,#3,#4,#2気筒の順である。
図3において、(A)はエンジンのクランク角(°CA)を示す。1エンジンサイクルは720(°CA)であり、図には逐次的に検出される複数サイクル分のクランク角が鋸歯状に示されている。
(B)は、クランクシャフトが所定角度だけ回転するのに要した時間、すなわち回転時間T(s)を示す。ここでは所定角度が30(°CA)であるが、他の値(例えば10(°CA))としてもよい。回転時間Tが長いほどエンジン回転速度は遅く、逆に回転時間Tが短いほどエンジン回転速度は速い。この回転時間Tはクランク角センサ22の出力に基づきECU100により検出される。
(C)は、後に説明する回転時間差ΔTを示す。図中、「正常」とは、いずれの気筒にも空燃比ずれが生じていない正常な場合を示し、「リーンずれ異常」とは、#1気筒のみに大きな(例えばインバランス率IB=−30(%)以上の)リーンずれが生じている異常な場合を示す。リーンずれ異常は例えばインジェクタの噴孔詰まりや開弁不良により生じ得る。
まず、各気筒の同一タイミングにおける回転時間TがECUにより検出される。ここでは各気筒の圧縮上死点(TDC)のタイミングにおける回転時間Tが検出される。この回転時間Tが検出されるタイミングを検出タイミングという。
次いで、検出タイミング毎に、当該検出タイミングにおける回転時間T2と、直前の検出タイミングにおける回転時間T1との差(T2−T1)がECUにより算出される。この差が(C)に示す回転時間差ΔTであり、ΔT=T2−T1である。
通常、ある気筒のクランク角がTDCを超えた後の燃焼行程では回転速度が上昇するため回転時間Tが低下し、その後の次気筒の圧縮行程では回転速度が低下するため回転時間Tが増大する。
しかしながら、(B)に示すように#1気筒がリーンずれ異常の場合、#1気筒を点火させても十分なトルクが得られず、回転速度が上昇しづらいので、その影響で#3気筒TDCにおける回転時間Tは大きくなっている。それ故、#3気筒TDCにおける回転時間差ΔTは、(C)に示すように大きな正の値となる。この#3気筒TDCにおける回転時間および回転時間差をそれぞれ#1気筒の回転時間および回転時間差とし、それぞれT1およびΔT1で表す。他の気筒についても同様である。
次に、#3気筒は正常であるので、#3気筒を点火させたときには回転速度が急峻に上昇する。これにより次の#4気筒TDCのタイミングでは、#3気筒TDCのときに比べ回転時間Tが若干低下しているに過ぎない。それ故、#4気筒TDCにおいて検出された#3気筒の回転時間差ΔT3は、(C)に示すように小さな負の値となる。このようにある気筒の回転時間差ΔTが、次点火気筒TDC毎に検出される。
以降の#2気筒TDCおよび#1気筒TDCにおいても#4気筒TDCのときと同様の傾向が見られ、両タイミングにおいて検出された#4気筒の回転時間差ΔT4および#2気筒の回転時間差ΔT2はともに小さな負の値となっている。以上の特性が1エンジンサイクル毎に繰り返される。
このように、各気筒の回転時間差ΔTは、各気筒の回転変動を表す値であり、各気筒の空燃比ずれ量に相関した値であることが分かる。そこで各気筒の回転時間差ΔTを各気筒の回転変動の指標値として用いることができる。各気筒の空燃比ずれ量が大きいほど、各気筒の回転変動は大きくなり、各気筒の回転時間差ΔTは大きくなる。
他方、図3(C)に示すように、正常の場合には回転時間差ΔTが常時ゼロ付近である。
図3の例ではリーンずれ異常の場合を示したが、逆のリッチずれ異常、すなわち1気筒のみに大きなリッチずれが生じている場合にも、同様の傾向がある。大きなリッチずれが生じた場合、点火しても燃料過多のため燃焼が不十分となり、十分なトルクが得られず、回転変動が大きくなるからである。
次に、図4を参照して、回転変動を表す別の値を説明する。(A)は図3(A)と同様にエンジンのクランク角(°CA)を示す。
(B)は、前記回転時間Tの逆数である角速度ω(rad/s)を示す。ω=1/Tである。当然ながら、角速度ωが大きいほどエンジン回転速度は速く、角速度ωが小さいほどエンジン回転速度は遅い。角速度ωの波形は、回転時間Tの波形を上下反転した形となる。
(C)は、前記回転時間差ΔTと同様、角速度ωの差である角速度差Δωを示す。角速度差Δωの波形も、回転時間差ΔTの波形を上下反転した形となる。図中の「正常」および「リーンずれ異常」については図3と同様である。
まず、各気筒の同一タイミングにおける角速度ωがECUにより検出される。ここでも各気筒の圧縮上死点(TDC)のタイミングにおける角速度ωが検出される。角速度ωは、1を前記回転時間Tで除することにより算出される。
次いで、検出タイミング毎に、当該検出タイミングにおける角速度ω2と、直前の検出タイミングにおける角速度ω1との差(ω2−ω1)がECUにより算出される。この差が(C)に示す角速度差Δωであり、Δω=ω2−ω1である。
通常、ある気筒のクランク角がTDCを超えた後の燃焼行程では回転速度が上昇するため角速度ωが上昇し、その後の次気筒の圧縮行程では回転速度が低下するため角速度ωが低下する。
しかしながら、(B)に示すように#1気筒がリーンずれ異常の場合、#1気筒を点火させても十分なトルクが得られず、回転速度が上昇しづらいので、その影響で#3気筒TDCにおける角速度ωは小さくなっている。それ故、#3気筒TDCにおける角速度差Δωは、(C)に示すように大きな負の値となる。この#3気筒TDCにおける角速度および角速度差をそれぞれ#1気筒の角速度および角速度差とし、それぞれω1およびΔω1で表す。他の気筒についても同様である。
次に、#3気筒は正常であるので、#3気筒を点火させたときには回転速度が急峻に上昇する。これにより次の#4気筒TDCのタイミングでは、#3気筒TDCのときに比べ角速度ωが若干上昇するに過ぎない。それ故、#4気筒TDCにおいて検出された#3気筒の角速度差Δω3は、(C)に示すように小さな正の値となる。このようにある気筒の角速度差Δωが、次点火気筒TDC毎に検出される。
以降の#2気筒TDCおよび#1気筒TDCにおいても#4気筒TDCのときと同様の傾向が見られ、両タイミングにおいて検出された#4気筒の角速度差Δω4および#2気筒の角速度差Δω2はともに小さな正の値となっている。以上の特性が1エンジンサイクル毎に繰り返される。
このように、各気筒の角速度差Δωは、各気筒の回転変動を表す値であり、各気筒の空燃比ずれ量に相関した値であることが分かる。そこで各気筒の角速度差Δωを各気筒の回転変動の指標値として用いることができる。各気筒の空燃比ずれ量が大きいほど、各気筒の回転変動は大きくなり、各気筒の角速度差Δωは小さくなる(マイナス方向に大きくなる)。
他方、図4(C)に示すように、正常の場合には角速度差Δωが常時ゼロ付近である。
逆のリッチずれ異常の場合にも同様の傾向がある点は上述した通りである。
次に、ある1気筒の燃料噴射量をアクティブに増量または減量したときの回転変動の変化を、図5を参照して説明する。
図5において、横軸はインバランス率IBを示し、縦軸は回転変動の指標値としての角速度差Δωを示す。ここでは、全8気筒のうちある1気筒のみのインバランス率IBを変化させ、このときの当該1気筒のインバランス率IBと、当該1気筒の角速度差Δωとの関係を線aで示す。当該1気筒をアクティブ対象気筒という。他の気筒は全てバランス気筒であり、基準噴射量Qsとしてストイキ相当量を噴射しているものとする。
横軸において、IB=0(%)とは、アクティブ対象気筒のインバランス率IBが0(%)で、アクティブ対象気筒がストイキ相当量を噴射している正常な場合を意味する。このときのデータが線a上のプロットbで示される。このIB=0(%)の状態から図中左側に移動すると、インバランス率IBがプラス方向に増加し、燃料噴射量としては過多すなわちリッチな状態となる。逆に、IB=0(%)から図中右側に移動すると、インバランス率IBがマイナス方向に増加し、燃料噴射量としては過少すなわちリーンな状態となる。
特性線aから分かるように、アクティブ対象気筒のインバランス率IBが0(%)からプラス方向に増加してもマイナス方向に増加しても、アクティブ対象気筒の回転変動は大きくなり、アクティブ対象気筒の角速度差Δωが0付近からマイナス方向に大きくなる傾向にある。そして、インバランス率IBが0(%)から離れるほど、特性線aの傾きが急になり、インバランス率IBの変化に対する角速度差Δωの変化は大きくなる傾向にある。
ここで、矢印cで示すように、アクティブ対象気筒の燃料噴射量を、ストイキ相当量(IB=0(%))から所定量、強制的に増量したとする。図示例ではインバランス率で約40(%)相当の増量がなされている。このとき、IB=0(%)の近辺では特性線aの傾きが緩やかであることから、増量後においても角速度差Δωは増量前とほぼ変わらず、増量前後の角速度差Δωの差は極小さい。
他方、プロットdで示すように、アクティブ対象気筒において既にリッチずれが生じており、そのインバランス率IBが比較的大きなプラス側の値になっているときを考える。図示例ではインバランス率で約50(%)のリッチずれが生じている。この状態から矢印eで示すように、アクティブ対象気筒の燃料噴射量を同一量、強制的に増量したとすると、この領域では特性線aの傾きが急であることから、増量後の角速度差Δωは増量前より大きくマイナス側に変化し、増量前後の角速度差Δωの差は大きくなる。すなわち燃料噴射量の増量により、アクティブ対象気筒の回転変動は大きくなる。
よって、アクティブ対象気筒の燃料噴射量を強制的に所定量増量したときの少なくとも増量後のアクティブ対象気筒の角速度差Δωに基づき、ばらつき異常を検出することが可能である。
すなわち、増量後の角速度差Δωが図示するように所定の負の異常判定値αより小さい場合(Δω<α)には、ばらつき異常有りと判定し、且つアクティブ対象気筒を異常気筒と特定することができる。逆に、増量後の角速度差Δωが異常判定値αより小さくない場合(Δω≧α)には、少なくともアクティブ対象気筒を正常と判定することができる。
あるいは代替的に、図示するように、増量前後の角速度差Δωの差dΔωに基づき、ばらつき異常を検出することも可能である。この場合、増量前の角速度差をΔω1、増量後の角速度差をΔω2とすると、両者の差dΔωをdΔω=Δω1−Δω2と定義することができる。そして差dΔωが所定の正の異常判定値β1を超えた場合(dΔω>β1)、ばらつき異常有りと判定し、且つアクティブ対象気筒を異常気筒と特定することができる。逆に、差dΔωが異常判定値β1を超えない場合(dΔω≦β1)、少なくともアクティブ対象気筒を正常と判定することができる。
インバランス率が負の領域で強制減量を行ったときも同様のことが言える。矢印fで示すように、アクティブ対象気筒の燃料噴射量をストイキ相当量(IB=0(%))から所定量、強制的に減量したとする。図示例ではインバランス率で約10(%)相当の減量がなされている。増量量に比べ減量量が少ないのは、リーンずれ異常気筒に対しあまりに多くの減量を行ってしまうと失火してしまうからである。このとき、特性線aの傾きが比較的緩やかであることから、減量後の角速度差Δωは減量前より若干小さくなっているだけで、増量前後の角速度差Δωの差は小さい。
他方、プロットgで示すように、アクティブ対象気筒において既にリーンずれが生じており、そのインバランス率IBが比較的大きなマイナス側の値になっているときを考える。図示例ではインバランス率で約−20(%)のリーンずれが生じている。この状態から矢印hで示すように、アクティブ対象気筒の燃料噴射量を同一量、強制的に減量したとすると、この領域では特性線aの傾きが比較的急であることから、減量後の角速度差Δωは減量前より大きくマイナス側に変化し、減量前後の角速度差Δωの差は大きくなる。すなわち燃料噴射量の減量により、アクティブ対象気筒の回転変動は大きくなる。
よって、アクティブ対象気筒の燃料噴射量を強制的に所定量減量したときの少なくとも減量後のアクティブ対象気筒の角速度差Δωに基づき、ばらつき異常を検出することが可能である。
すなわち、減量後の角速度差Δωが図示するように所定の負の異常判定値αより小さい場合(Δω<α)には、ばらつき異常有りと判定し、且つアクティブ対象気筒を異常気筒と特定することができる。逆に、減量後の角速度差Δωが異常判定値αより小さくない場合(Δω≧α)には、少なくともアクティブ対象気筒を正常と判定することができる。
あるいは代替的に、図示するように、減量前後の角速度差Δωの差dΔωに基づき、ばらつき異常を検出することも可能である。この場合も両者の差dΔωをdΔω=Δω1−Δω2と定義することができる。差dΔωが所定の正の異常判定値β2を超えた場合(dΔω≧β2)、ばらつき異常有りと判定し、且つアクティブ対象気筒を異常気筒と特定することができる。逆に、差dΔωが異常判定値β2を超えない場合(dΔω<β2)、少なくともアクティブ対象気筒を正常と判定することができる。
ここでは増量量が減量量より顕著に多いため、増量時の異常判定値β1を減量時の異常判定値β2より大きくしている。しかしながら、両異常判定値は、特性線aの特性や増量量と減量量のバランス等を考慮して任意に定めることができる。両異常判定値を同じ値とすることも可能である。
各気筒の回転変動の指標値として回転時間差ΔTを用いた場合にも、同様の方法で異常検出および異常気筒特定が可能であることが理解されるであろう。また、各気筒の回転変動の指標値としては、上述した以外の他の値を用いることも可能である。
図6には、全8気筒についての燃料噴射量の増量と、増量前後の回転変動の変化との様子を示す。上段が増量前、下段が増量後である。左右方向の左端列に示されているように、増量の方法としては、全気筒一律且つ同時に同一量増量している。すなわちここでは所定の対象気筒が全気筒である。増量前は全気筒のインジェクタ2に対し、ストイキ相当量の燃料を噴射するよう開弁指令がなされており、増量後は全気筒のインジェクタ2に対し、ストイキ相当量より所定量多い燃料を噴射するよう開弁指令がなされている。
この増量の仕方は、全気筒同時に行う方法の他、任意数の気筒ずつ順番に且つ交互に行う方法がある。例えば1気筒ずつ増量したり、2気筒ずつ増量したり、4気筒ずつ増量したりする方法がある。増量を行う対象気筒の数および気筒番号は任意に設定できる。
対象気筒数が多いほど、全増量時間を短縮できるメリットがあり、排気エミッションが悪化するデメリットがある。逆に対象気筒数が少ないほど、排気エミッションの悪化を抑制できるメリットがあるが、全増量時間が長期化するデメリットがある。
各気筒の回転変動の指標値として、図5と同様、角速度差Δωを用いている。
例えば左右方向の中央列に示されている正常時、すなわちいずれの気筒においても空燃比ずれ異常が生じていない場合だと、増量前では全気筒の角速度差Δωがほぼ等しく0付近にあり、全気筒の回転変動が少ない。また増量後でも全気筒の角速度差Δωがほぼ等しく若干マイナス方向に大きくなるだけであり、全気筒の回転変動はそれ程大きくならない。故に、増量前後の角速度差の差dΔωは小さい。
しかしながら、左右方向の右端列に示されている異常時だと、正常時とは異なる挙動を示す。この異常時では、#8気筒にのみインバランス率で50%相当のリッチずれ異常が生じており、#8気筒のみが異常気筒である。この場合、増量前では、#8気筒以外の残部気筒の角速度差Δωはほぼ等しく0付近にあるが、#8気筒の角速度差Δωは残部気筒の角速度差Δωより若干マイナス方向に大きい。
しかしながらそれでも、#8気筒の角速度差Δωと残部気筒の角速度差Δωとの間にはそれ程差がない。よって増量前の角速度差Δωによっては、異常検出と異常気筒特定を十分な精度で行うことができない。
他方、増量後だと増量前に比べて、残部気筒の角速度差Δωはほぼ等しく若干マイナス方向に変化するだけであるが、#8気筒の角速度差Δωは大きくマイナス方向に変化する。よって#8気筒の増量前後の角速度差の差dΔωは、残部気筒のそれより顕著に大きくなる。よってこの違いを利用し、異常検出と異常気筒特定を十分な精度で行うことができる。
この場合、#8気筒の差dΔωのみが前記異常判定値β1より大きくなるので、#8気筒にリッチずれ異常があることを検出できる。
燃料噴射量を強制減量して何れかの気筒のリーンずれ異常を検出する場合にも、同様の方法を採用できることが理解されるであろう。
以上が本実施形態におけるばらつき異常検出の概要である。以下、特に言及しない限り、各気筒の回転変動の指標値として角速度差Δωを用いるものとする。
ところで、燃料噴射量の強制増量は排気エミッション(特にHC、CO)を少なからず悪化させてしまう。燃料噴射量をストイキ相当量からずらすからである。このため、燃料噴射量を強制増量して何れかの気筒のリッチずれ異常を検出する場合、排気エミッションを極力悪化させないタイミングで検出を行うのが望ましい。
そこで燃料噴射量の強制増量を、他の増量制御と重複して行うことが考えられる。すなわち、他の増量制御のタイミングを利用し、これに相乗りするような形で燃料噴射量の強制増量を実行する。こうすれば異常検出用の強制増量を単独で行うことを回避し、異常検出実行による排気エミッション悪化を極力防止することができる。
しかし、他の増量制御の種類によっては、このような重複実施により増量制御本来の目的を達成できなくなったりする虞がある。
そこで本実施形態では、以下に述べるような他の増量制御の実行中には、燃料噴射量の異常検出用の強制変更、特に異常検出用の強制増量を行うことを禁止する。これにより、異常検出用以外の他の増量制御が阻害されることを未然に防止することができる。
ここで、他の増量制御の実行中に異常検出用強制増量を行うこととは、増量制御による増量が行われている状態をベースとして、この状態からさらに異常検出用の強制増量を行うことをいう。従って異常検出用の強制増量が禁止されると、増量制御による増量のみが実行されることとなる。
異常検出用の強制増量が禁止される他の増量制御は、下記の増量制御1〜5のうちの少なくとも一つからなる。なお下記の増量制御1〜6は全てECU100により実行され、その実行中にはストイキ制御が停止されると共に燃料噴射量がオープン制御により制御される。そして全気筒の燃料噴射量が一律にストイキ相当量よりも所定量増量される。
1.暖機増量制御
暖機増量制御は、エンジンの冷間始動後に暖機完了時点まで行われる制御である。公知のように、エンジンの冷間始動後には、ドライバビリティおよび排気エミッションの観点から、エンジン(触媒を含む)を速やかに暖機させて所望の性能を発揮できるようにする必要がある。このため暖機増量制御が実行される。
暖機増量制御の実行中に異常検出用強制増量を行うと、検出精度が低下したり、増量過剰で燃焼がくすぶる等の問題が懸念される。よって暖機増量制御の実行中には異常検出用強制増量が禁止される。
水温センサ24で検出された水温が所定値(例えば20℃)以下のときにエンジンが始動されると、この始動は冷間始動と判断される。そしてこの始動後、暖機増量制御が実行され、検出水温に応じた値だけ燃料噴射量が基本噴射量に対し増量される。なお周知のように、基本噴射量とは、エンジンの回転数と負荷、または吸入空気量に基づき定まる大凡ストイキ噴射量に近い燃料噴射量である。増量量は検出水温の上昇と共に徐々に減少する。検出水温が所定の暖機完了温度に達すると増量量はゼロとなり、暖機増量制御が終了される。この時点が暖機完了時点である。
2.始動後増量制御
始動後増量制御は、エンジンの冷間始動後に、エンジンの暖機が完了する前の所定時点まで行われる制御である。すなわち始動後増量制御は、その開始タイミングが暖機増量制御の開始タイミングと同じであるが、その終了タイミングが暖機増量制御の終了タイミングより前である。始動後増量制御の実行期間は暖機増量制御の実行期間より短期である。
エンジンの冷間始動直後には特にエンジンの回転が不安定であることから、この不安定性を解消するために、暖機増量制御に加えて別途、始動後増量制御が行われる。始動後増量制御と暖機増量制御が同時に行われているとき、両制御に対する個別の増量量が設定され、これら増量量が基本噴射量に加算される。
暖機増量制御のときと同様、始動後増量制御の実行中に異常検出用強制増量を行うと、検出精度が低下したり、増量過剰で燃焼がくすぶる等の問題が懸念される。よって始動後増量制御の実行中には異常検出用強制増量が禁止される。
始動後増量制御の方法は暖機増量制御の方法と同様である。すなわち、冷間始動後、検出水温に応じた増量量が決定され、この増量量だけ燃料噴射量が増量される。増量量は検出水温の上昇と共に徐々に減少する。検出水温が所定の終了温度に達すると増量量はゼロとなり、始動後増量制御が終了される。このタイミングは暖機増量制御の終了タイミングより前である。
3.高温再始動後増量制御
高温再始動後増量制御は、エンジンの高温再始動後に所定時間が経過するまで行われる制御である。エンジンが高温状態で停止状態にあると、各気筒のインジェクタ2に燃料を供給する燃料供給通路(特にデリバリパイプ)内にベーパ(気泡)が発生することがある。そしてこの状態からエンジンが再始動されると、噴射燃料にベーパが混入して燃料噴射量が不足することがある。この不足分を補うため、高温再始動後増量制御が実行される。
高温再始動後増量制御の実行中に異常検出用強制増量を行うと、元々のベース燃焼が不安定な状態で強制増量することとなり、検出精度の低下が懸念される。よって高温再始動後増量制御の実行中には異常検出用強制増量が禁止される。
水温センサ24で検出された水温と、図示しない吸気温センサで検出された吸気温とがそれぞれ所定値以上のときにエンジンが始動されると、この始動は高温再始動と判断される。そしてこの高温再始動後、高温再始動後増量制御が実行される。増量量の初期値が、高温再始動時点の検出水温と検出吸気温に基づき所定のマップ(関数でもよい。以下同様。)から算出され、制御開始時にはこの初期値分だけ燃料噴射量が増量される。増量量は、制御開始時からの経過時間に応じて徐々に減少され、やがてゼロとなる。この時点が高温再始動後増量制御の終了時点である。
4.小空気量増量制御
小空気量増量制御は、エンジンの負荷が所定値以下の小空気量運転時に行われる制御である。例えば自動車が下り坂をゆっくり走行しており、且つユーザがアクセルペダルを僅かに踏み込んでいるような場合、車輪からはエンジンへの逆駆動トルクが伝達されているので、エンジンはかなりの軽負荷で運転されている状態となる。そしてこの状態ではアクセル開度ひいてはスロットル開度が小なので、吸入空気量は非常に少ない。かかる状態だと、筒内の吸入空気量が少ないため失火する虞がある。この失火を防止する目的で小空気量増量制御が実行される。
なお、ユーザがアクセルペダルを完全に解放していればフューエルカット制御が実行される。しかしながらこの場合には、ユーザがアクセルペダルを僅かに踏み込んでいるためフューエルカット制御が実行されない。小空気量増量制御は、フューエルカット制御の実行条件成立寸前のときに実行される制御である。
小空気量増量制御の実行中に異常検出用強制増量を行うと、元々のベース燃焼が不安定な状態で強制増量することとなり、検出精度の低下が懸念される。よって小空気量増量制御の実行中には異常検出用強制増量が禁止される。
小空気量増量制御は、エンジン回転数が所定回転数(例えば1200rpm)以上で、且つエンジン負荷が所定の負荷範囲(例えば1〜6%)内のときに実行される。所定回転数は、フューエルカット制御からの復帰回転数(例えば1800rpm)より低い値に設定することができ、所定の負荷範囲は、フューエルカット制御実行条件が成立する負荷(例えば0%)より大きい値に設定することができる。
5.エンスト防止増量制御
エンスト防止増量制御は、エンジンの無負荷運転時(すなわち負荷が0%の時)で且つエンジン回転数が所定値(例えば1500rpm)以下のときに行われる制御である。この所定値は前記復帰回転数より低い値である。
ユーザがアクセルペダルを完全に解放している場合、エンジンは無負荷運転状態となる。そしてエンジン回転数が所定値以下の場合、フューエルカット制御は実行されておらず、エンジンは燃料噴射状態でアイドルに向かっている。つまりエンジン回転数は下降中である。このとき、慣性によりエンジン回転数がアイドル回転数より低下したり、筒内の実際の吸入空気量が検出吸入空気量より一時的に多くなったりして、エンストに陥ることがある。このエンストを予め防止する目的で、エンスト防止増量制御が実行される。
エンスト防止増量制御の実行中に異常検出用強制増量を行うと、元々のベース燃焼が不安定な状態で強制増量することとなり、検出精度の低下が懸念される。よってエンスト防止増量制御の実行中には異常検出用強制増量が禁止される。
このように、上記増量制御1〜5の少なくとも一つの実行中には異常検出用強制増量を禁止するので、各増量制御の目的を確実に達成でき、各増量制御が阻害されることを未然に防止することができる。また、各増量制御に重複して異常検出用強制増量を実施することによる検出精度低下、ドライバビリティ悪化、排気エミッション悪化等の諸問題をも回避することができる。
加えて、本実施形態では、上記増量制御1〜5の少なくとも一つの実行中には、異常検出用の強制減量も禁止される。そもそも強制減量は増量制御と相反するものなので、これを禁止することにより、増量制御が阻害されることを未然に防止することができる。
ここで、他の増量制御の実行中に異常検出用強制減量を行うこととは、増量制御による増量が行われている状態をベースとして、この状態からさらに異常検出用の強制減量を行うことをいう。従って異常検出用の強制減量が実施されれば、自ずと、増量制御による増量量は減少されることとなる。
例えば、暖機増量制御の実行中に異常検出用強制減量を行うと、暖機速度が低下する虞がある。始動後増量制御の実行中に異常検出用強制減量を行うと、始動直後のエンジン回転が不安定となりドライバビリティが悪化する虞がある。高温再始動後増量制御の実行中に異常検出用強制減量を行うと、燃料噴射量が不足しドライバビリティが悪化する虞がある。小空気量増量制御の実行中に異常検出用強制減量を行うと、失火する虞がある。エンスト防止増量制御の実行中に異常検出用強制減量を行うと、エンストする虞がある。各増量制御の実行中に異常検出用強制減量を禁止することで、これらの問題を解消できる。
また、異常検出用の強制減量が禁止される他の増量制御は、下記の増量制御6,7のうちの少なくとも一つからなってもよい。なおこれら増量制御6,7もECU100により実行され、その実行中にはストイキ制御が停止されると共に燃料噴射量がオープン制御により制御される。そして全気筒の燃料噴射量が一律にストイキ相当量よりも所定量増量される。
6.昇温抑制増量制御
昇温抑制増量制御は、上流触媒18の温度上昇を抑制するために実行される制御である。すなわち、エンジンが比較的長時間高負荷運転されると、上流触媒18が温度上昇して過昇温となることがある。この過昇温は上流触媒18に熱損傷等のダメージを与える可能性がある。そこで燃料噴射量をストイキ相当量よりも所定量増量する昇温抑制増量制御を行って、上流触媒18の過昇温を未然に防止する。
昇温抑制増量制御が実行されると、筒内混合気が燃料過多且つ酸素不十分な状態となり、その結果排気温度が低下する。従ってこの温度低下した排気ガスを上流触媒18に供給することにより、上流触媒18の温度上昇を抑制し、あるいはその温度を低下させ、過昇温を防止できる。
昇温抑制増量制御は、上流触媒18の温度すなわち触媒温度Tcが所定温度以上となったときに実行される。触媒温度Tcは、温度センサで直接検出してもよいが、本実施形態ではエンジン運転状態を表すエンジンパラメータ(例えば回転数と負荷)に基づきECU100により推定される。なお、触媒温度Tcとしては、例えば両バンクの二つの上流触媒18の触媒温度Tcを単純平均化した値を使用できる。あるいは代替的に、安全のため、高温側の一方の上流触媒18の触媒温度Tcを使用してもよい。
代替的に、上流触媒18の温度が所定温度以上となるような高回転且つ高負荷の所定運転領域にエンジンパラメータが入ったとき、昇温抑制増量制御を実行するようにしてもよい。
7.加速増量制御
加速増量制御は、エンジンの加速時に実行される制御である。すなわち、ユーザからの加速要求があったときには速やかにエンジンを加速させる必要がある。よってこのときにエンジン出力を高応答で高めるため、燃料噴射量をストイキ相当量よりも増量する加速増量制御が実行される。加速増量制御は、少なくとも、検出されたエンジン負荷が所定値以上となったときに実行される。
例えば、昇温抑制増量制御の実行中に異常検出用強制減量を行うと、上流触媒18が過昇温となる虞がある。また加速増量制御の実行中に異常検出用強制減量を行うと、加速性能が悪化する虞がある。これら各増量制御の実行中に異常検出用強制減量を禁止することで、これらの問題を解消できる。
一方、本実施形態では、フューエルカット制御の終了直後にフューエルカット後リッチ制御(以下、F/C後リッチ制御という)なるものが行われる。このF/C後リッチ制御は、上記増量制御1〜7とは異なる別の増量制御である。F/C後リッチ制御を行う理由は、主に上流触媒18の性能を復活させるためである。
すなわち、上流触媒18は酸素吸蔵能を有し、触媒内の雰囲気ガスがストイキよりリーンのとき過剰酸素を吸蔵し、NOxを還元浄化し、触媒内の雰囲気ガスがストイキよりリッチのとき吸蔵酸素を放出し、HCおよびCOを酸化して浄化するという特性を有する。なおこの点は下流触媒19も同様である。
フューエルカット制御の実行中には触媒に酸素が吸蔵され続ける。このとき触媒が吸蔵能一杯まで酸素を吸蔵してしまうと、フューエルカットからの復帰後にそれ以上酸素を吸蔵できなくなり、NOxを浄化できなくなる虞がある。そこでF/C後リッチ制御を行って燃料噴射量をストイキ相当量よりも増量し、排気空燃比をストイキよりもリッチ化し、吸蔵酸素を強制的に放出させ、触媒の性能を回復させるのである。
ところで、このF/C後リッチ制御の実行中は、異常検出用強制増量を行うタイミングとして非常に好適である。これらを同時に実行しても、F/C後リッチ制御の目的を阻害したり、検出精度を低下させたり、ドライバビリティを悪化させたり、排気エミッションを悪化させたりするなどの背反が特に存在しないからである。
そこで本実施形態では、F/C後リッチ制御の実行中には、異常検出用強制増量の実行を許可する。この結果、F/C後リッチ制御のタイミングを利用し、これに相乗りまたは重複するような形で異常検出用強制増量を実行できる。そして異常検出用の強制増量を単独で行うことを回避し、異常検出実行による排気エミッション悪化を極力防止することができる。
なお周知のように、フューエルカット制御は、全気筒のインジェクタ2からの燃料噴射を停止する制御である。フューエルカット制御は、検出されたアクセル開度が全閉相当の値(すなわち負荷が0%)であり、且つエンジン回転数が前記復帰回転数以上のときに実行される。
フューエルカット制御の実行中にエンジン回転数が復帰回転数を下回ると、フューエルカット制御が終了され、同時にF/C後リッチ制御と異常検出用強制増量とが開始される。
F/C後リッチ制御の実行により、燃料噴射量は基本噴射量に対し増量される。F/C後リッチ制御による増量量は例えば空燃比で0.6相当である。
また異常検出用強制増量の実行により、燃料噴射量は基本噴射量に対しさらに増量される。異常検出用強制増量による増量量は例えば空燃比で0.4相当である。
なお、F/C後リッチ制御の実行中には異常検出用強制減量を禁止することができるが、これを許可することも可能である。この場合、F/C後リッチ制御の最中にこれを一時的に中断し、この中断中に異常検出用強制減量を実行するのが好ましい。すなわち、フューエルカット制御の終了直後にまずF/C後リッチ制御を所定時間行い、上流触媒18の吸蔵酸素を所定量放出させる。上流触媒18の吸蔵酸素量を常時モニタリングし、吸蔵酸素量が所定値まで減少した時点でF/C後リッチ制御を中断し、同時に異常検出用強制減量を開始する。異常検出用強制減量が開始されると、燃料噴射量がストイキ相当量よりも少なくなり、排気空燃比がストイキよりリーンとなるので、上流触媒18の吸蔵酸素量は徐々に増加する。モニタリングされている吸蔵酸素量が所定値まで増大した時点で異常検出用強制減量を終了し、同時にF/C後リッチ制御を再開する。こうすることでF/C後リッチ制御の実行中にも異常検出用強制減量を実行することができる。
図7に異常検出ルーチンを示す。このルーチンはECU100により所定の演算周期毎に繰り返し実行される。
まずステップS101では、異常検出を行うための所定の前提条件が成立したか否かが判断される。非成立なら終了され、成立ならステップS102に進む。前提条件は、例えばエンジンが始動されたこと、燃料噴射が実行されていることといった条件を含むことができる。
ステップS102では、増量制御が実行中であるか否かが判断される。ここでいう増量制御には、前記増量制御1〜5およびF/C後リッチ制御が含まれ、これらのうちの少なくとも一つが実行中であると判定はイエスとなり、何れも実行中でないと判定はノーとなる。
判定がイエスのとき、ステップS103において、F/C後リッチ制御が実行中であるか否かが判断される。
F/C後リッチ制御が実行中である場合、ステップS104に進んで、異常検出用強制増量と、この増量前後の角速度差の差dΔωの算出とを行う処理が実行される。この処理は次の手順で行われる。
すなわち、強制増量直前のタイミングにおける全気筒の角速度差Δωが検出される。なお全気筒の角速度差Δωを常時検出し、強制増量直前のタイミングにおける全気筒の角速度差Δωを取得するようにしてもよい。
次いで異常検出用強制増量の実行中、図6に示したように全気筒に対し同時に増量がなされ、この間、増量後の全気筒の角速度差Δωが検出される。全気筒の角速度差Δωが所定サンプル数(例えば100個)検出されたならば、異常検出用強制増量が終了される。なお併せてF/C後リッチ制御が終了されてもよい。そしてこれら複数のサンプルが単純平均化され、最終的な増量後の全気筒の角速度差Δωが算出される。そして、増量前後の全気筒の角速度差の差dΔωが算出される。
次のステップS105では、差dΔωの算出が終了したか否かが判断される。終了してなければルーチンが終了され、終了したならばステップS106に進む。
ステップS106では、算出された全気筒の差dΔωが異常判定値β1と比較される。何れかの気筒(#i気筒)の差dΔωが異常判定値β1を超えている場合、ステップS107に進んで、当該#i気筒にリッチずれ異常が生じている旨が判定される。他方、全気筒の差dΔωが異常判定値β1を超えていない場合、ステップS108に進んで、何れの気筒にもリッチずれ異常が生じていない旨が判定される。
ステップS102で判定がノーのときは、ステップS103をスキップしてステップS104に進む。
ステップS103において、F/C後リッチ制御実行中でないと判断された場合、ステップS109に進んで、異常検出用の強制増量と強制減量とが禁止される。
すなわち、実行中の増量制御がF/C後リッチ制御であるとき(ステップS102,S103がイエスのとき)のみ、強制増量が許可および実行され、増量前後の差dΔωに基づく異常検出が実行される。しかしながら、実行中の増量制御がF/C後リッチ制御でないとき(ステップS102がイエスでステップS103がノーのとき)、特に前記増量制御1〜5の少なくとも一つであるときには、強制増量および強制減量が禁止され、差dΔωに基づく異常検出も実行されない。
以上、本発明の好適な実施形態を詳細に述べたが、本発明の実施形態は他にも様々なものが考えられる。例えば、増量前の角速度差Δω1と増量後の角速度差Δω2との差dΔωを用いる代わりに、両者の比を用いることができる。この点、減量前後の角速度差の差dΔω、または増量もしくは減量前後の回転時間差ΔTの差についても同様のことが言える。本発明はV型8気筒エンジンに限らず、他の様々な形式および気筒数のエンジンに適用可能である。触媒後センサとして、触媒前センサと同様の広域空燃比センサを用いてもよい。
本発明の実施形態は前述の実施形態のみに限らず、特許請求の範囲によって規定される本発明の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が本発明に含まれる。従って本発明は、限定的に解釈されるべきではなく、本発明の思想の範囲内に帰属する他の任意の技術にも適用することが可能である。
1 内燃機関(エンジン)
2 インジェクタ
11 エアフローメータ
12 スロットルバルブ
13 点火プラグ
18 上流触媒
20 触媒前センサ
22 クランク角センサ
23 アクセル開度センサ
24 水温センサ
100 電子制御ユニット(ECU)

Claims (6)

  1. 燃料噴射量を増量する所定の増量制御を実行する増量制御手段と、
    所定の対象気筒の燃料噴射量を強制変更し、少なくとも当該強制変更後の前記対象気筒の回転変動に基づき、気筒間空燃比ばらつき異常を検出する検出手段と、
    を備え、
    前記検出手段は、前記増量制御手段による前記増量制御の実行中に、前記燃料噴射量の強制変更を禁止する
    ことを特徴とする多気筒内燃機関の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置。
  2. 前記所定の増量制御が、
    前記内燃機関の冷間始動後に暖機完了時点まで行われる暖機増量制御、
    前記内燃機関の冷間始動後に前記内燃機関の暖機が完了する前の所定時点まで行われる始動後増量制御、
    前記内燃機関の高温再始動後に所定時間が経過するまで行われる高温再始動後増量制御、
    前記内燃機関の負荷が所定値以下の小空気量運転時に行われる小空気量増量制御、および
    前記内燃機関の無負荷運転時で且つ前記内燃機関の回転速度が所定値以下のときに行われるエンスト防止増量制御
    の少なくとも一つからなる
    ことを特徴とする請求項1に記載の多気筒内燃機関の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置。
  3. 前記検出手段は、所定の対象気筒の燃料噴射量を強制減量し、少なくとも当該強制減量後の前記対象気筒の回転変動に基づき、気筒間空燃比ばらつき異常を検出可能であり、且つ、前記増量制御手段による前記増量制御の実行中に、前記燃料噴射量の強制減量を禁止する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の多気筒内燃機関の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置。
  4. 前記所定の増量制御が、排気通路に設けられた触媒の温度上昇を抑制するために実行される昇温抑制増量制御、および前記内燃機関の加速時に実行される加速増量制御の少なくとも一つからなり、
    前記検出手段は、所定の対象気筒の燃料噴射量を強制減量し、少なくとも当該強制減量後の前記対象気筒の回転変動に基づき、気筒間空燃比ばらつき異常を検出可能であり、且つ、前記増量制御手段による前記昇温抑制増量制御および前記加速増量制御の少なくとも一つの実行中に、前記燃料噴射量の強制減量を禁止する
    ことを特徴とする請求項1に記載の多気筒内燃機関の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置。
  5. 前記増量制御とは異なる別の増量制御を実行する別の増量制御手段をさらに備え、
    前記検出手段は、前記別の増量制御の実行中に、前記燃料噴射量の強制増量を許可する
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の多気筒内燃機関の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置。
  6. 前記別の増量制御が、フューエルカット制御の終了直後に行われるフューエルカット後リッチ制御からなる
    ことを特徴とする請求項5に記載の多気筒内燃機関の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置。
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