JP2012196411A - 輸液ポンプ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】気泡センサ51のガイド溝部350は、開閉カバー5の回転軸5Aから遠い側の第1案内面351と、回転軸5Aに近い側の第2案内面352を有し、第1案内面351は、超音波発振素子331と平行な面であり、第2案内面352は、超音波発振素子331に対して傾斜した面であり、ガイド溝部350の内部に進むに従って第1案内面351と第2案内面352の間隔が狭く形成され、開閉カバー5の内側には、開閉カバーを閉じるとガイド溝部350内に入り込んで輸液チューブの一部をガイド溝部内に保持させる突起320が設けられている。
【選択図】図8
Description
輸液ポンプの本体内では、定位置にセットされた輸液チューブの外周面が、本体内の複数のフィンガと開閉扉の内面との間に挟まれている。この輸液ポンプは、送液駆動部の複数のフィンガが個別駆動されることで、複数のフィンガが輸液チューブの外周面を長さ方向に沿って順次押圧して薬剤の送液を行う蠕動式輸液ポンプである(特許文献1を参照)。
これに対して、輸液チューブを輸液ポンプの本体内において水平方向に通して保持する輸液ポンプが提案されている。このように、輸液チューブを輸液ポンプの本体において水平方向に通して保持する構造を採用しようとするのは、輸液チューブが輸液ポンプの本体内を上から下に向けて垂直に通っている輸液ポンプとは異なり、複数の輸液ポンプを上下位置にスタックした状態で重ねて保持しても輸液チューブが邪魔にならないという利点があるからである。例えば、輸液ポンプの本体に対して向かって右側部分に輸液チューブの上流側が配置され、輸液ポンプの本体に対して向かって左側部分に輸液チューブの下流側が配置されるように予め決められている場合には、輸液チューブの上流側を輸液ポンプの本体の右側部分に配置し、輸液チューブの下流側を輸液ポンプの本体の左側部分に配置すれば、送液駆動部が駆動することで、薬剤が上流側から下流側に向かって予め定めた送液方向に沿って送液でき、患者に対して正しく送液できる。
しかし、製造上の公差のため、外径に若干バラツキや製造メーカーの違いによる複数種類の輸液チューブが輸液ポンプに装着されても、輸液チューブ内の気泡を確実に検出できることが要望されている。
上記構成によれば、センサ本体の凹部は、超音波発振素子からの超音波がガイド溝部内の輸液チューブの一部を通らずにセンサ本体部内を伝播して超音波受信素子に受信されることを阻止できるので、超音波受信素子にノイズが入るのを防ぎ、気泡センサは輸液チューブ内の気泡を検出できる。
上記構成によれば、第2案内面が傾斜していても、超音波発振素子からの前記超音波を、第1案内面と輸液チューブの一部を通って第2案内面を経て超音波受信素子により受信でき、気泡センサは輸液チューブ内の気泡を検出できる。
上記構成によれば、医療従事者は、本体の上部分の表示部の情報を確認しながら、チューブ装着部への輸液チューブの装着を行って、開閉カバーを閉じることができる。そして、医療従事者は、本体の上部分の表示部の情報を確認しながら、操作パネル部の操作ボタンを操作することができる。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。 図1は、本発明の輸液ポンプの好ましい実施形態を示す斜視図である。図2は、図1に示す輸液ポンプをW方向から見た斜視図である。
輸液ポンプ1は、本体カバー2と取手2Tを有しており、取手2Tは水平方向であるN方向に伸ばしたり水平方向であるT方向に収納したりすることができる。この本体カバー2は、本体ともいい、耐薬品性を有する成型樹脂材料により一体成型されており、仮に薬剤等がかかっても輸液ポンプ1の内部に侵入するのを防ぐことができる防沫処理構造を有している。このように、本体カバー2が防沫処理構造を有しているのは、上方に配置されている薬剤バッグ170内の薬剤171がこぼれ落ちたり、周辺で用いる消毒液等が飛散して付着することがあるためである。
図1と図2に示すように、本体カバー2の上部分2Aには、表示部3と、操作パネル部4が配置されている。表示部3は、画像表示装置であり、例えばカラー液晶表示装置を用いている。この表示部3は、日本語表記による情報表記だけでなく、必要に応じて複数の外国語による情報の表示を行うことができる。表示部3は、本体カバー2の上部分2Aの左上位置であって、開閉カバー5の上側に配置されている。
表示部3は、例えばポリエステル膜で表面がおおわれており、艶がある。これに対して、操作パネル部4の表面は、例えば艶消し処理が施されている。本体カバー2の上部分2Aは、本体カバー2の上半分の部分である。本体カバー2の下部分2Bは、本体カバー2の下半分の部分である。本体カバー2の周囲部分もしくは一部分には、好ましくは本体カバー2の表面色とは異なる色、例えば黄色や赤色のシール材を貼ったり、塗装をすることで、ポンプの目印を表示することができる。このポンプの目印が設けられることで、複数台の輸液ポンプ1を積み重ねて使用したり、あるいはこの輸液ポンプ1と他の種類のポンプ例えばシリンジポンプ等を積み重ねて使用する場合には、各ポンプの境目が視覚的に明確になるメリットがある。
操作パネル部4は、本体カバー2の上部分2Aにおいて表示部3の右側に配置され、操作パネル部4には、操作ボタンとしては、図示例では、例えば、内部にLEDを含み、赤色,緑色,オレンジ色のいずれかで、光拡散剤を介して発光・表示して輸液ポンプ1の動作状態を示すために、本体カバー2から2mm程度ドーム状に突出したパイロットランプ4A、設定流量(mL/h)より早い注入速度で薬液を注入するための早送りスイッチボタン4B、開始スイッチボタン4C、停止スイッチボタン4D、メニュー選択ボタン4E等が配置されている。電源スイッチボタンは操作パネル部4とは別の位置に配置されている。
図2に示すように、開閉カバー5の表面には、好ましくは必要に応じて、輸液チューブ200をセットする際に、正しい送液方向であるT方向を明確に表示するための輸液チューブ設定方向表示部150が設けられている。輸液チューブ設定方向表示部150は、薬剤バッグ側を表示する薬剤バッグ表示部151と、患者側を表示する患者側表示部152と、薬剤の送液方向を明示する送液方向表示部153を有する。
図2に示すように、薬剤バッグ表示部151は、輸液チューブ200の薬剤バッグ170側が開閉カバー5において向かって右側部分にくることを目視で確認するために配置され、患者側表示部152は、輸液チューブ200の患者P側が開閉カバー5において向かって左側部分に位置されることを目視で確認するために配置されている。そして、送液方向表示部153は、開閉カバー5の内側にセットされた輸液チューブ200による薬剤171の正しい方向の送液方向(T方向)を明示するために配置されており、薬剤バッグ表示部151から患者側表示部152に向かっているT方向に沿った矢印である。この輸液チューブ設定方向表示部150は、開閉カバー5の表面側に、後付けで貼り付けても良い。
なお、図1と図2におけるX方向、Y方向、Z方向は互いに直交しており、Z方向は上下方向である。X方向はT方向と平行であり輸液ポンプ1の左右方向で、Y方向は輸液ポンプ1の前後方向である。
図3と図4に示すように、チューブ装着部50は、輸液ポンプ1の本体部1B側に設けられており、チューブ装着部50は、表示部3と操作パネル部4の下部においてX方向に沿って設けられている。チューブ装着部50は、図2に示すように開閉カバー5を、回転軸5Aを中心としてCR方向に閉じると開閉カバー5により覆うことができる。
このように、医療従事者は、本体カバー2の上部分2Aの表示部3にカラーで表示される、輸液チューブ200の装着状況の情報を確認しながら、チューブ装着部50への輸液チューブ200の装着を行って、開閉カバー5を閉じることができる。そして、医療従事者は、本体カバー2の上部分2Aの表示部3の情報を確認しながら、操作パネル部4の操作ボタンを操作することができる。
図3と図4に示すように、チューブ装着部50は、気泡センサ51と、上流閉塞センサ52と、下流閉塞センサ53と、右側位置の第1輸液チューブガイド部54と左側位置の第2輸液チューブガイド部55と、開閉カバー5を有している。チューブ装着部50には、チューブクランプ部270が配置されている。
図3と図4に示すように、開閉カバー5は、輸液ポンプ1を軽量化するために、薄い成型樹脂部材により作られている板状の部材であり、この軽量化を図るために、開閉カバー5には、電気スイッチ等の電装部品は装着されていない構造になっている。これにより、開閉カバー5の重量を軽減できるとともに、チューブ装着部50側から開閉カバー5側への電気配線を省略して構造を簡単化することができる。
図3と図4に示すように、開閉カバー5は、チューブ装着部50を、回転軸5Aを中心としてCS方向とCR方向に沿って開閉カバー5の内面が上面を向くように開閉可能に覆うことができるようにするために、2つのヒンジ部2H、2Hにより本体カバー2の下部2Vに対して支持されている。2つのヒンジ部2H、2Hは、係合締付け部を構成するための複数の押え部としての第1フック部材5Dと第2フック部材5Eにそれぞれ対応して配置されている。
医療従事者は、表示部3に表示されている表示内容を確認しながら、輸液チューブ200を輸液ポンプ1の本体の下半分の部分に水平方向に沿ってセットでき、輸液チューブ200がチューブ装着部50にセットされた後に、開閉カバー5は輸液チューブ200を覆うことができる。
なお、係合締付け部としては、本実施形態のようなフック構造に限らず、カバー側に止め雄ネジ、本体側を雌ネジとする複数のボルト締付け構造や、締めつけ力を調整できる挟持構造等、本体側から動作時に開閉カバーに加えられる力に対向して、閉止状態をしっかり保持できるものであれば種々の構造を採用できる。
図5(A)に示すように、開閉カバー5の内面側5Iには、フック部材5Dが基部301から突出して設けられ、フック部材5Eが基部302から突出して設けられている。この基部301は、開閉カバー5の右端部側の近くの位置に配置され、基部302は、開閉カバー5の左端部側に配置されている。図4に示すように、チューブ装着部50では、フック部材5Dとフック部材5Eの間の位置に対応して、送液駆動部60と、下流閉塞センサ53と、チューブクランプ部270が配置されている。しかし、チューブ装着部50では、気泡センサ51と上流閉塞センサ52は、フック部材5Dよりもさらに右側の位置に対応して配置されている。
フック部材5D、5Eは、例えば金属製の連結部材305と2つのピン306,307により連結されている。開閉操作レバー260の一端部は、このピン306を用いて基部301に連結されている。このため、医療従事者が開閉操作レバー260をRR方向に回すことで、フック部材5D、5Eは、連結部材305により連動することでRT方向に同時に回転する。
逆に、図5(C)に示す状態から図5(B)に示すように、医療従事者がチューブ装着部50を開けようとする際には、図5(C)から図5(B)に示すように、開閉操作レバー260をRS方向に回転操作すれば、フック部材5Dとフック部材5Eは、RU方向に回転して本体部1B側の固定部分1D、1Eからそれぞれ同時に離脱する。このため、医療従事者が開閉カバー5を開けることにより、チューブ装着部50を露出させることができる。
図6と図4に示すように、第1輸液チューブガイド部54は、2つの突起54B,54Cと、傾斜案内部54Tを有している。2つの突起54B,54Cは、輸液チューブ200を水平方向にセットする際に、輸液チューブ200の上流側200Aを着脱可能に挟んで保持するために、本体部1Bに形成されている。
傾斜案内部54Tは、2つの突起54B、54Cから、図7において斜め右上方向(上流側に向かって徐々に上昇するように傾斜して)形成された下向き段部であり、輸液チューブ200の上流側200Aを斜めに案内する部分である。この傾斜案内部54Tを設けることにより、医療従事者は輸液チューブ200の上流側200Aをこの傾斜案内部54Tである段部に押し付けるようにセットするだけで、輸液チューブ200Aの上流側が正しくセットされたことを視覚的に確認することができる。これにより、輸液チューブ200の上流側200Aを急激に曲げないようにして保持することができる。また、この傾斜案内部54Tが開閉カバー5により覆われずに露出しているので、医療従事者はこの傾斜案内部54Tを直接目視することで、輸液チューブ200の上流側200Aを傾斜案内部54T側に配置すれば良いことを確認できる。
図4に示す第1輸液チューブガイド部54と第2輸液チューブガイド部55は、輸液チューブ200を開閉カバー5とチューブ装着部50との間に挟み込んで潰してしまうことが無いように、チューブ装着部50内に確実に装着できるようにするために設けられている。
図1と図2に示すように、開閉カバー5の右側の側面部5Kは、斜め左上方向に向かって傾斜して形成されている。これにより、開閉カバー5を閉じた状態であっても、開閉カバー5が第1輸液チューブガイド部54の2つの突起54B,54Cと、傾斜案内部54Tの上にかぶらないようにしている。これにより、開閉カバー5を閉じた状態であっても、医療従事者は、2つの突起54B,54Cと、傾斜案内部54Tを露出させて、輸液チューブ200の上流側200Bの装着状態を、目視で確認できる。
図7(A)と図4に示すように、開閉カバー5の内面側の気泡センサ51に対応する位置には、突起320が設けられている。図7(A)と図7(C)に示すように、気泡センサ51は、プラスチック製のセンサ本体部330と、超音波発振素子331と、超音波受信素子332を有している。
センサ本体部330は、チューブ装着部50の表面50Sに形成されている設定用の穴部329内にはめ込むことで固定されている。センサ本体部330は、中央部分341と上側保持部342と下側保持部343を有している。中央部分341は、上側保持部342と下側保持部343の中央位置にあり、上側保持部342と下側保持部343は、穴部329内にはめ込んで固定されている。中央部分341と上側保持部342の隙間361には、超音波発振素子331が固定されている。中央部分341と下側保持部343の隙間362には、超音波受信素子332が固定されている。超音波発振素子331と超音波受信素子332は、Y方向に平行にあるように設定されている。
第2案内面352は、X方向に沿って形成されている平坦面である。このように、第2案内面352がY方向とZ方向に対して傾斜面であると、異なる直径を有する各種の輸液チューブ200をガイド溝部350に入れて保持する際に、ガイド溝部350は輸液チューブ200の異なる直径に対応して保持できる。輸液チューブ200の直径の範囲の例としては、例えば3.3mm〜4.5mmの範囲である。
図8(A)は、本発明の実施形態におけるガイド溝部350の第2案内面352の好ましい形成例では、傾斜面である第2案内面352が第1案内面351よりも下側、即ち、回転軸5Aに対して近位側に位置されている。開閉カバー5の突起320が、回転軸5Aを中心として、CR方向に回転してガイド溝部350内に入り込むと、輸液チューブ200は、突起320により押されて、突起320とガイド溝部350の第1案内面351と第2案内面352の間に、潰されないようにして保持することができる。
このように、輸液チューブ200が突起320と傾斜された傾斜面1002との間に挟まれて潰れてしまうことを防ぐために、本発明の実施形態では、図8(A)に示すように、開閉カバー5のヒンジ部2H(開閉カバー5の回転軸5A)側に近い方の案内面である第2案内面352が傾斜面となっていて、ヒンジ部2H側には遠い方の案内面である第1案内面351はY方向に沿った平坦面となっている。
図9(A)は、図7(A)に示す本発明の実施形態における底部分353の凹部372を有している場合の超音波の伝播例を示している。図9(A)に示すように、超音波発振素子331からの超音波HHは、凹部372が有ることにより回り込むことを阻止することができる。これにより、超音波発振素子331からの超音波HHは、凹部372が有ることから回り込んで伝播せず、ノイズが超音波受信素子332に受信されてしまうことがないので、輸液チューブ200内の気泡の検出精度が低下することを防げる。
これにより、枠部材401を穴部400に装着し、基部405は例えばコイルスプリングであるスプリング407を保持しながら、開口部402と収容穴部404内に挿入するだけで、上流閉塞センサ52と下流閉塞センサ53は、チューブ装着部50の表面50Sに対して簡単に装着することができ、上流閉塞センサ52と下流閉塞センサ53の組み立て作業性を向上できる。
図11(A)と図11(E)に示すように、押圧部材452、453の支持構造440は、付勢部材としてのスプリング441と、支持部材442と、2つの抜け止め部443を有している。押圧部材452(453)は、筒部分444を有しており、2つの抜け止め部443は筒部分444の左右反対側の位置に形成されている。この筒部分444内には、スプリング441の一端部から途中部分までが収容され、スプリング441の他端部は支持部材442の突起445にはめ込まれて保持されている。これにより、組立作業者は、押圧部材452(453)は、スプリング441の力に抗して、図11(B)に示すようにM方向に押すことができる。
図11(B)に示すように、組立作業者は、押圧部材452(453)をスプリング441の力に抗してM方向に押したままで、図11(C)に示すように90度だけJ方向に回転する。そして、組立作業者は、図11(D)に示すように各抜け止め部443を、開閉カバー5側の係合部分460にはめ込む。これにより、押圧部材452(453)は、支持部材442において図11(D)に示す状態を維持して回転しないようにして、スプリング441の力に抗してM方向押すことができるとともに、押圧部材452(453)は、支持部材442においてスプリング441の力によりM1方向に復帰できる。
図10に示すように、スプリング441の中心軸方向とスプリング407の中心軸方向は一致しており、スプリング441,407は、押圧部材452(453)と先端部406の間に輸液チューブ200を挟むことで、輸液チューブ200の直径方向に沿って輸液チューブ200に対して加圧力を与えることができる。このため、閉塞センサ52,53は、輸液チューブ200の閉塞状態を精度よく検出できる。
輸液チューブ200は、輸液チューブ200内で送液されている薬剤の作用により発生する内圧が一定の場合で会っても、輸液チューブ200周辺の温度が変化するのに伴って、その膨らみ量も変化する。輸液チューブ200として使用される一般的な塩化ビニル製チューブやシリコンチューブは、温度が高くなると軟化し、逆に、温度が低くなると硬化する傾向がある。このため、一定のチューブ内圧が作用していても、温度が高くなると輸液チューブ200は膨らみ易くなり、逆に、温度が低くなる輸液チューブ200は膨らみ難くなる。
このため、好ましくは、輸液ポンプ1の使用環境温度を検出するためにサーミスタ等の温度センサ(不図示)を設け、温度センサで検出した使用環境温度を例えば0〜40℃の間で5℃毎に閉塞圧検知の閾値(閉塞センサ52,53を形成するスライダ403の移動量の閾値)を変更することで、輸液チューブ200の閉塞状態を精度よく検出できる。例えば、20〜30℃の時のスライダ403の移動量を100として、5〜10℃の時のスライダ403の移動量を0.96、10〜15℃の時のスライダ403の移動量を0.97、15〜20℃の時のスライダ403の移動量を0.98、30〜35℃の時のスライダ403の移動量を1.02、35〜40℃の時のスライダ403の移動量の1.03として閾値を変更する。こうすることで、輸液チューブ200が膨らみ易くなったり、膨らみ難くなってもそれに対応して輸液チューブ200内の閉塞圧をほぼ一定のレベルで検知できる。
図12に示すように、送液駆動部60は、後で説明するが、駆動モータ61と、この駆動モータ61により回転駆動される複数個のカムを有するカム構造体62と、このカム構造体62の各カムにより移動される複数のフィンガを有するフィンガ構造体63を有している。
カム構造体62は、複数のカム、例えば6個のカム62A〜62Fを有しており、フィンガ構造体63は、6個のカム62A〜62Fに対応して6個のフィンガ63A〜63Fを有している。6個のカム62A〜62Fは互いに位相差を付けて配列されており、カム構造体62は、駆動モータ61の出力軸61Aに連結されている。
図2は、輸液ポンプ1と、薬剤バッグ170と、輸液ポンプ1に対して正しい送液方向であるT方向に沿ってセットされた輸液チューブ200を示している。図2に示すように、輸液チューブ200の一端部はクレンメ179を介して薬剤バッグ170に接続され、輸液チューブ200の他端部は患者P側の留置針172に接続される。薬剤バッグ170内の薬剤171は、送液駆動部60の駆動により、輸液チューブ200と留置針172を通じて正しい方向であるT方向に送液されることで患者Pに投与される。
上流閉塞センサ52と下流閉塞センサ53は、輸液回路の内圧が輸液ポンプ1内の設定圧を越えて、薬剤を送液できない状態を検出することができ、制御部100に出力されるアラームである。輸液回路の内圧が輸液ポンプ1内の設定圧を越える原因としては、輸液用の留置針や輸液チューブ200の詰まっている場合、輸液チューブ200がつぶれているまたは折れている場合、高粘度の薬剤を使用している場合等である。
図13において、早送りスイッチボタン4B、開始スイッチボタン4C、停止スイッチボタン4D、メニュー選択ボタン4Eは、制御部100に電気的に接続されている。
図3に示すように医療従事者が、開閉カバー5を開けてチューブ装着部50に輸液チューブ200を設定する前に、図2に示す開閉カバー5の上に配置された輸液チューブ設定方向表示部150を見て輸液チューブ200のセット方向を目視で確認する。すなわち、図2に示すように、医療従事者が輸液チューブ200を輸液ポンプ1に対してT方向に沿って正しくセットできるようにするために、まず、医療従事者は、図2に示すように、開閉カバー5上の輸液チューブ設定方向表示部150の薬剤バッグ側を表示する薬剤バッグ表示部151と、患者側を表示する患者側表示部152と、そして薬剤の送液方向を明示する送液方向表示部153を目視で確認する。
そして、医療従事者は、開閉カバー5を開けて、輸液チューブ200の上流側200Aを本体部1Bおいて向かって右側部分の第1輸液チューブガイド部54側に配置し、輸液チューブ200の下流側200Bを本体部1Bにおいて向かって左側部分の第2輸液チューブガイド部55側に配置すれば良い。
このように、開閉カバー5を閉じると、輸液チューブ押さえ部材5Cが送液駆動部60に対して輸液チューブ200を当てて、かつ開閉カバー5の突起275はチューブクランプ部270を押して輸液チューブ200の一部を閉塞させるが、この際に開閉カバー5が輸液チューブ押さえ部材5Cからの受ける力とチューブクランプ部270から受ける力は、第1フック部材5Dと第2フック部材5Eにより受け止めることができるので、開閉カバー5が撓むことを防止できる。しかも、開閉カバー5を閉じると、開閉カバー5は第1押圧部材452と第2押圧部材453からも力を受けるが、これらの力は第1フック部材5Dと第2フック部材5Eにより受け止めることができるので、開閉カバー5が撓むことを防止できる。
図13(C)に示す本発明の別の実施形態では、輸液ポンプ1の開閉カバー5のフック5Dは、開閉カバー5の最も右側に配置され、フック5Eは、開閉カバー5の最も左側に配置され、しかももう1つのフック5Nが開閉カバーの中央位置に配置されている。このように、開閉カバー5には、少なくともフック5Dが右側の位置に配置され、フック5Eが左側の位置に配置されているが、さらに開閉カバー5の中央位置に小さなフック5Nを追加して配置することも可能である。これにより、開閉カバー5はさらに強い力で本体部1B側に固定できる。
なお、開閉カバー5において、X方向に関して中央位置にだけ1つの大きなサイズのフックを設けると、開閉カバー5の高さ寸法が大きくなるので、輸液ポンプ1のサイズが大型になるおそれがある。また開閉カバー5において、X方向に関して右側位置にだけ1つのフックを設けると、送液駆動部60が輸液チューブ200をしごく動作をすると、開閉カバー5が撓んでしまうので良くない。
このように、同じ種類の複数台の輸液ポンプ1を重ねるようにして配置したり、輸液ポンプ1と、この輸液ポンプ1とは異なる種類のポンプ、例えばシリンジポンプ1100を積み重ねて配置する際には、輸液ポンプ1の本体カバー2の周囲部分もしくは一部分と、シリンジポンプ1100の本体カバー2の周囲部分もしくは一部分には、好ましくは本体カバー2の色とは異なる色、例えば黄色や赤色のシール材を貼ったり、塗装をすることで、ポンプの目印770を表示することができる。これにより、ポンプの目印770が設けられることで、複数台の輸液ポンプ1を積み重ねて使用したり、あるいは輸液ポンプ1と他の種類のポンプ例えばシリンジポンプ等を積み重ねて使用する場合には、医療従事者が各ポンプの境目を視覚的に明確に認識できるメリットがある。
輸液ポンプ1では、医療従事者が、輸液チューブを本体の下部分に装着して開閉カバーにより輸液チューブを覆う際に、開閉カバーが撓むことを防止して、薬剤を輸液チューブにより正しく送液することができる。すなわち、開閉カバーがチューブ装着部と送液駆動部を閉じる際に、開閉カバーがチューブクランプ部から力を受けても、少なくとも第1フック部材と第2フック部材より、開閉カバーが撓むことを防止できるので、送液駆動部が駆動しても薬剤を送液方向に沿って正しく送液することができる。
図1と図2に示す例では、輸液チューブ200は、チューブ装着部50により水平方向であるT方向に沿ってセットされているが、これに限らず、例えばチューブ装着部50は、輸液チューブ200の上流側200Aから下流側200Bにかけて所定の角度分下がるように傾斜して横方向にセットするような構造を採用しても良い。
Claims (4)
- 本体と、
薬剤バッグの薬剤を患者側に輸液する輸液チューブを前記本体の横方向に装着するチューブ装着部と、
前記輸液チューブを前記横方向に装着した状態で、前記薬剤を前記横方向に沿って予め定めてある送液方向に送液するための送液駆動部と、
前記横方向に沿った回転軸を中心にして開閉可能であり、閉じることで前記チューブ装着部と前記送液駆動部を覆う開閉カバーと、
前記輸液チューブを前記横方向に装着した状態で、前記輸液チューブ内の気泡を検出する気泡センサと
を有し、
前記気泡センサは、
前記輸液チューブの一部を挿入するための凹状のガイド溝部を有するセンサ本体部と、前記センサ本体部に配置されて前記ガイド溝部内の前記輸液チューブの一部に超音波を付与する超音波発振素子と、前記超音波発振素子に間隔をおいて対向して前記センサ本体部に配置されて前記輸液チューブの一部を通った前記超音波を受ける超音波受信素子と
を有し、
前記ガイド溝部は、前記開閉カバーの前記回転軸から遠い側の第1案内面と、前記回転軸に近い側の第2案内面を有し、
前記第1案内面は、前記ガイド溝部の奥行き方向に沿って略垂直な面であり、
前記第2案内面は、前記ガイド溝部の奥行き方向に沿って溝幅を減少させるように延びる傾斜した面であり、これにより前記ガイド溝部の内部に進むに従って前記第1案内面と前記第2案内面の間隔が狭くなるように形成され、
前記開閉カバーの内側には、前記開閉カバーを閉じると前記ガイド溝部内に入り込んで前記輸液チューブの一部を前記ガイド溝部内に保持させる突起が設けられていることを特徴とする輸液ポンプ。 - 前記センサ本体の前記ガイド溝部の内底部には、前記超音波発振素子の端部の位置よりもさらに深く形成され、前記超音波発振素子からの前記超音波が前記ガイド溝部内の前記輸液チューブの一部を通らずに前記センサ本体部内を伝播して前記超音波受信素子に受信されることを阻止する凹部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の輸液ポンプ。
- 前記超音波受信素子が、前記超音波発振素子からの前記超音波を、前記第1案内面と前記輸液チューブの一部を通って前記第2案内面を経て受信する際に、前記超音波が傾斜した前記第2案内面において屈折して前記超音波受信素子に受信される分だけ、前記超音波受信素子の位置が前記超音波発振素子の位置に対してずらして配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の輸液ポンプ。
- 前記本体の上部分には、情報を表示する表示部と、操作ボタンを有する操作パネル部が配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の輸液ポンプ。
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