JP2012196053A - 電力利用調整装置、システムおよびプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】需要家のプライバシーを保護しつつ、電力利用の調整を行うことが可能な電力利用調整装置、システムおよびプログラムを提供することである。
【解決手段】実施形態の電力利用調整装置は、第1の受信部と、グループ分割部と、第1の送信部と、第2の受信部と、調整部と、第2の送信部とを備える。第1の受信部は、複数の需要家装置から変換情報を受信する。グループ分割部は、複数の需要家装置をグループ分けする。第1の送信部は、情報処理装置にグループ情報を送信する。第2の受信部は、情報処理装置から統合差分情報を受信する。調整部は、グループごとの変換情報の総和と統合差分情報との差分である統合予定情報を生成し、一の時間帯に予定される電力利用量のすべてを他の時間帯にシフトさせる調整を行う。第2の送信部は、統合予定情報に対して調整が行われたグループに属する複数の需要家装置に調整情報を送信する。
【選択図】図4
【解決手段】実施形態の電力利用調整装置は、第1の受信部と、グループ分割部と、第1の送信部と、第2の受信部と、調整部と、第2の送信部とを備える。第1の受信部は、複数の需要家装置から変換情報を受信する。グループ分割部は、複数の需要家装置をグループ分けする。第1の送信部は、情報処理装置にグループ情報を送信する。第2の受信部は、情報処理装置から統合差分情報を受信する。調整部は、グループごとの変換情報の総和と統合差分情報との差分である統合予定情報を生成し、一の時間帯に予定される電力利用量のすべてを他の時間帯にシフトさせる調整を行う。第2の送信部は、統合予定情報に対して調整が行われたグループに属する複数の需要家装置に調整情報を送信する。
【選択図】図4
Description
本発明の実施形態は、電力利用調整装置、システムおよびプログラムに関する。
スマートグリッドと呼ばれる次世代エネルギー供給システムは、情報ネットワーク技術を利用して電力の需要と供給のバランスを制御することで、再生可能エネルギーの有効利用を図りながら、電力のより一層の安定供給を実現する仕組みである。太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーを利用した発電は、気象条件などによる出力変動が大きいため、その出力変動を他の制御可能な電源や蓄電池、電力需要の調整などにより吸収するための需給制御を行うことが求められる。このような需給制御の需要側における取り組みとして、デマンドレスポンスと呼ばれる技術がある。
デマンドレスポンスは、需要逼迫時の需要ピーク抑制、軽負荷時への需要シフトによる負荷平準化、再生可能エネルギー大量導入時の短周期変動抑制などを目的として、ユーティリティ事業者側からの要請に基づき需要家側での電力利用を制限するものである。デマンドレスポンスの実現方式としては、様々な方式が考えられる。例えば、ユーティリティ事業者などに設けたサーバが、電力供給の契約を結んだ各需要家から電力の利用予定に関する情報を収集し、将来の想定される電力使用量の総量を見積もって上述したデマンドレスポンスの目的に合わせた調整を行い、一部の需要家に対して電力の利用予定の変更を依頼する方式などが、その一例として挙げられる。
このような方式でデマンドレスポンスを実現する場合、サーバが収集する情報が不正に盗み出されると、この情報から需要家の生活パターンなどを推察することができるため、プライバシーの侵害に繋がる。
松山隆司、「エネルギーの情報化とは?背景,目的,基本アイディア,実現手法」、会誌「情報処理」、一般社団法人情報処理学会、2010年8月15日、Vol.51 No.8、p.926-933
本発明が解決しようとする課題は、需要家のプライバシーを保護しつつ、電力利用の調整を行うことが可能な電力利用調整装置、システムおよびプログラムを提供することである。
実施形態の電力利用調整装置は、第1の受信部と、グループ分割部と、第1の送信部と、第2の受信部と、調整部と、第2の送信部と、を備える。第1の受信部は、需要家ごとに設けられ、需要家が予定している時間帯ごとの電力利用量を表す予定情報を記憶した複数の需要家装置から、前記予定情報を変換した変換情報を受信する。グループ分割部は、複数の前記需要家装置を複数のグループにグループ分けする。第1の送信部は、複数の前記需要家装置から前記変換情報と前記予定情報との差分を表す差分情報を受信する情報処理装置に対して、前記グループ分けの結果を表すグループ情報を送信する。第2の受信部は、前記情報処理装置から、複数の前記グループごとに、各グループに属する複数の前記需要家装置から受信した複数の前記差分情報の総和である統合差分情報を受信する。調整部は、複数の前記グループごとに、各グループに属する複数の前記需要家装置から受信した複数の前記変換情報の総和と該グループに対応する前記統合差分情報との差分である統合予定情報を生成し、生成した前記統合予定情報の一の時間帯における電力利用量のすべてを他の時間帯にシフトさせる調整を行う。第2の送信部は、前記統合予定情報に対して前記調整が行われた前記グループに属する複数の前記需要家装置に対して、前記調整の結果を表す調整情報を送信する。
[電力利用調整システムの概要]
まず、本実施形態にかかる電力利用調整システムの概要について説明する。本実施形態にかかる電力利用調整システムは、電力の供給に関わる事業を展開するユーティリティ事業者が、当該ユーティリティ事業者との間で契約を結んだ需要家に対して、電力利用の制限を受け入れることを要請し、その要請に従うようなインセンティブを需要家に与えることで、デマンドレスポンスを実現するシステムである。
まず、本実施形態にかかる電力利用調整システムの概要について説明する。本実施形態にかかる電力利用調整システムは、電力の供給に関わる事業を展開するユーティリティ事業者が、当該ユーティリティ事業者との間で契約を結んだ需要家に対して、電力利用の制限を受け入れることを要請し、その要請に従うようなインセンティブを需要家に与えることで、デマンドレスポンスを実現するシステムである。
本実施形態では、ユーティリティ事業者側に設けられた電力利用調整サーバ(電力利用調整装置)と、各需要家の家庭に設けられたHEMS(Home Energy Management System)サーバ(需要家装置)とが、通信ネットワークを介して通信可能に接続されたシステム構成を想定している。各HEMSサーバは、各需要家が予定している時間帯ごとの電力利用量を表す予定情報を記憶しており、この予定情報を電力利用調整サーバに対して各需要家が予定している時間帯ごとの電力利用量を表す予定情報を送信する。電力利用調整サーバは、各HEMSサーバからの予定情報を収集し、電力供給を行う設備への負担が少なくなるように少なくとも一部の予定情報を調整(アレンジ)し、調整を行った予定情報の送信元であるHEMSサーバに対して、調整の結果を表す調整情報を送信する。電力利用調整サーバがHEMSサーバに送信する調整情報は、その家庭での電力利用について、ある時間帯で予定されている電力利用量を他の時間帯にシフトするような電力利用時間の変更を依頼する情報を含んでいる。
なお、本実施形態では、家庭単位での需要家を想定しているが、オフィスビルなどの建物を単位とした需要家や、工場を単位とした需要家、地域を単位とした需要家などが含まれる場合にも、同様の電力利用調整システムを構築できる。オフィスビルなどの建物を単位とした需要家の場合は、上記HEMSサーバを、BEMS(Building Energy Management System)サーバに置き換えればよい。また、工場を単位とした需要家の場合は、上記HEMSサーバを、FEMS(Factory Energy Management System)サーバに置き換えればよい。また、地域を単位とした需要家の場合は、上記HEMSサーバを、CEMS(Community Energy Management System)サーバに置き換えればよい。
図1は、本実施形態にかかる電力利用調整システムにおいて、HEMSサーバから電力利用調整サーバに送信される予定情報の一例を説明する説明図である。予定情報は、一例として、図1に示すように、単位時間ごとの電力利用量がグラフ形式で表現される情報である。図1における横軸は時間帯を表す時間枠で区切った時刻を表し、縦軸は各時間枠における電力利用量を表している。この図1に例示する予定情報は、各時間枠において矩形ブロックの個数分だけの電力を利用する予定であることを示している。なお、予定情報の起算点(図1の横軸の開始点)や時間枠の大きさ、時間枠の数、一ブロックに相当する電力量、予定情報を送信するタイミングなどは、電力利用調整システムで統一したルールを予め定めておけばよい。また、そのルールを月ごと、季節ごとなどといった所定期間ごとに随時変更することも可能である。各HEMSサーバは、上記のルールに従って、予め定められたタイミングで予め定められた期間についての予定情報を送信する。
電力利用調整サーバは、複数のHEMSサーバから収集した予定情報を統合して、時間枠ごとの電力利用量の総和を求める。また、電力利用調整サーバは、例えば、電力供給設備の監視や制御を行うグリッド監視制御装置などから、時間帯ごとの供給可能な電力量の分布を表す供給電力情報を取得する。そして、電力利用調整サーバは、例えば、電力利用量の総和が供給可能な電力量を超える時間枠、あるいは、電力利用量の総和が時間枠ごとに設定した目標値に対して大きく乖離している時間枠があれば、少なくとも一部の予定情報を調整することによって、その時間枠での一部の電力利用量を他の時間枠にシフトさせて、電力供給設備の負担を軽減させる。そして、電力利用調整サーバは、この調整の結果を表す調整情報を、調整を行った予定情報の送信元であるHEMSサーバに送信し、調整結果の受け入れを要請する。
本実施形態にかかる電力利用調整システムは、以下のような従来にない特徴を持つ。すなわち、従来のデマンドレスポンスを実現するシステムでは、需要家側に対してある時間帯での電力利用の制限のみを要請するのに対して、本実施形態にかかる電力利用調整システムでは、需要家に対して、複数の時点において相補的に電力利用を調整することを要請するものとなっている。つまり、本実施形態にかかる電力利用調整システムは、需要家の電力利用をある時間帯で制限した場合、その制限される電力量を他の時間帯での電力供給により補完するシステムとなっている。
具体的には、例えば、あるHEMSサーバから送信された予定情報に対して、電力利用調整サーバが、ある時間枠における電力利用量を50W減らすような調整を行う場合、これと同時に、別の時間枠における電力利用量を50W増やす調整を行う。つまり、電力利用調整サーバは、ある時間枠における50Wの電力利用量を別の時間枠にシフトさせるような調整を行う。そして、この予定情報を送信したHEMSサーバに対して、ある時間枠における50Wの電力利用量を他の時間枠にシフトさせるような調整の受け入れ要請を含む調整情報を送信する。なお、別の時間枠における電力利用量の補完は必ずしも完全な補完でなくてもよく、ある時間枠において制限した電力利用量の一部を別の時間枠において補完するようにしてもよい。
ユーティリティ事業者との間で契約を結んだ需要家は、電力利用調整サーバによる調整結果を受け入れることでインセンティブが与えられるため、多くの場合、この調整結果を受け入れることになる。ここで、需要家に対してインセンティブを与える方法としては様々なものが考えられるが、本実施形態では、電気料金を低額にするようなインセンティブを想定する。
図2は、本実施形態で想定している各家庭での電気利用状況を模式的に示す概念図である。ユーティリティ事業者との間で契約を結んだ需要家の家庭に対しては、普通電力と特殊電力との2種類の電力を供給する。普通電力は、特段の手続きを必要とせず、電気機器をコンセントに接続すれば供給される電力である。一方、特殊電力は、電気機器をHEMSサーバに接続した上でコンセントに接続することで供給される電力、あるいは、HEMSサーバに接続されたコンセントに電気機器を接続することで供給される電力である。
特殊電力は普通電力に比べて利用料金が低額であるが、電力利用調整サーバからの要請に従って利用が制限される。つまり、電力利用調整サーバから送信された調整情報に従ってHEMSサーバが供給を制限する電力が、特殊電力である。この特殊電力を利用する場合は、普通電力を利用する場合に比べて利便性が低下する。このような利便性低下の代償として、特殊電力は低額な利用料金で利用することができる。なお、上記のように利用が制限される特殊電力の利用料金を低額にすること以外にも、例えば、特殊電力を利用する電気機器の購入代金を低額にするといった方法も考えられる。
電力利用調整サーバは、各HEMSサーバから送信される予定情報に対して、契約によって定められた延長倍率(契約倍率)の範囲内で電力利用量のシフトを行うことが可能である。ここで、延長倍率とは、予定情報における電力利用量のシフト幅を表す指標であり、例えば、延長倍率2倍は、ある時間枠Tにおける電気利用量を時間枠2Tまでシフトすることを意味し、延長倍率4倍は、ある時間枠Tにおける電気利用量を時間枠4Tまでシフトすることを意味する。一般的に、上記の特殊電力の利用料金は契約倍率に応じて定められ、契約倍率が大きいほど特殊電力の利用料金が低額となる。
[プライバシー保護の必要性]
以上説明したように、本実施形態にかかる電力利用調整システムでは、電力利用調整サーバが、複数のHEMSサーバから各需要家が予定している時間帯ごとの電力利用量を表す予定情報を収集して調整を行う。ここで、電力利用調整サーバが収集する予定情報は各需要家の生活パターンなどを推察できる情報であるため、電力利用調整サーバに対する攻撃などによって予定情報そのものが流出する可能性があると、各需要家のプライバシーの侵害に繋がる。このような課題に対して、本実施形態にかかる電力利用調整システムでは、仮に電力利用調整サーバが攻撃されたとしても、予定情報そのものが電力利用調整サーバから流出しないようにしておくことで、需要家のプライバシー保護を図る仕組みを取り入れている。
以上説明したように、本実施形態にかかる電力利用調整システムでは、電力利用調整サーバが、複数のHEMSサーバから各需要家が予定している時間帯ごとの電力利用量を表す予定情報を収集して調整を行う。ここで、電力利用調整サーバが収集する予定情報は各需要家の生活パターンなどを推察できる情報であるため、電力利用調整サーバに対する攻撃などによって予定情報そのものが流出する可能性があると、各需要家のプライバシーの侵害に繋がる。このような課題に対して、本実施形態にかかる電力利用調整システムでは、仮に電力利用調整サーバが攻撃されたとしても、予定情報そのものが電力利用調整サーバから流出しないようにしておくことで、需要家のプライバシー保護を図る仕組みを取り入れている。
この仕組みを簡単に説明すると、まず、各HEMSサーバが、予定情報を変換した変換情報を電力利用調整サーバに送信するとともに、電力利用調整サーバに送信した変換情報と元の予定情報との差分である差分情報を、各HEMSサーバおよび電力利用調整サーバに対して通信ネットワークを介して通信可能に接続された情報処理装置に送信する。ここで、各HEMSサーバは、例えば、マスクによる暗号化によって予定情報を変換する。以下では、マスクによる暗号化によって予定情報を変換することで得られる変換情報を暗号化情報といい、暗号化情報と元の予定情報との差分である差分情報をマスク情報という。また、各HEMSサーバからマスク情報を受信する情報処理装置をマスクサーバという。
電力利用調整サーバは、暗号化情報を送信した複数のHEMSサーバを複数のグループにグループ分けし、そのグループ分けの結果を表すグループ情報をマスクサーバに送信する。マスクサーバは、各HEMSサーバから受信したマスク情報と、電力利用調整サーバから受信したグループ情報とに基づいて、複数のグループごとに、各グループに属する複数のHEMSサーバに対応する複数のマスク情報の総和である統合マスク情報を生成して電力利用調整サーバに送信する。電力利用調整サーバは、複数のグループごとに、各グループに属する複数のHEMSサーバから送信された複数の暗号化情報の総和と該グループに対応する統合マスク情報との差分である統合予定情報を生成し、生成した統合予定情報の一の時間帯に予定される電力利用量のすべてを他の時間帯にシフトさせる調整を行う。そして、電力利用調整サーバは、統合予定情報に対して調整が行われたグループに属する各HEMSサーバに対して、調整の結果を表す調整情報を送信する。調整情報を受信した各HEMSサーバは、受信した調整情報に従った特殊電力の供給制御を実行する。以下、このようなプライバシー保護のための仕組みを中心に、本実施形態にかかる電力利用調整システムの具体例について、さらに詳しく説明する。
[電力利用調整システムの構成]
図3は、本実施形態にかかる電力利用調整システムの一構成例を示す構成図である。本実施形態にかかる電力利用調整システムは、図3に示すように、電力利用調整サーバ10と、複数のHEMSサーバ20と、マスクサーバ30とが、通信ネットワーク40を介して通信可能に接続された構成である。通信ネットワーク40は、例えば、LAN(Local Area Network)、イントラネット、イーサネット(登録商標)またはインターネットなどである。
図3は、本実施形態にかかる電力利用調整システムの一構成例を示す構成図である。本実施形態にかかる電力利用調整システムは、図3に示すように、電力利用調整サーバ10と、複数のHEMSサーバ20と、マスクサーバ30とが、通信ネットワーク40を介して通信可能に接続された構成である。通信ネットワーク40は、例えば、LAN(Local Area Network)、イントラネット、イーサネット(登録商標)またはインターネットなどである。
電力利用調整サーバ10およびマスクサーバ30は、装置全体の制御や基本演算を実行するCPU(Central Processing Unit)などの制御部と、各種データや各種プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの主記憶部と、各種データや各種プログラムを記憶するHDD(Hard Disk Drive)やCD(Compact Disc)ドライブ装置などの補助記憶部と、これらを接続するバスとを備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。また、電力利用調整サーバ10およびマスクサーバ30は、通信ネットワーク40を介して通信を行う通信I/F(Interface)をさらに備える。
HEMSサーバ20は、装置全体を制御するCPU(Central Processing Unit)などの制御部と、各種データや各種プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの主記憶部と、各種データや各種プログラムを記憶する不揮発性メモリ等の補助記憶部と、外部の装置と通信を行う通信I/F(Interface)と、これらを接続するバスとを備えており、専用ハードウェアあるいは組み込み機器と同様の構成となっている。また、HEMSサーバ20は、通信ネットワーク40を介して通信を行う通信I/F(Interface)をさらに備える。また、HEMSサーバ20には、各種情報を表示する表示装置と、需要家による操作入力を受け付ける操作ボタンやキーボードなどの入力装置とが接続される。
図4は、本実施形態にかかる電力利用調整システムを構成する電力利用調整サーバ10、HEMSサーバ20およびマスクサーバ30において実現される機能構成の一例を示す機能ブロック図である。なお、図4においては、図示を簡略化するためにHEMSサーバ20を1つのみ図示しているが、複数のHEMSサーバ20の各々が図4に示す機能構成を共通に備えている。
HEMSサーバ20は、図4に示すように、予定情報生成部21、暗号化部22、暗号化情報送信部23、マスク情報送信部24、調整情報受信部25および電力供給制御部26を備えている。予定情報生成部21、暗号化部22および電力供給制御部26の機能は、上記のCPUが主記憶部や補助記憶部に記憶された各種プログラムを実行することにより実現される。また、暗号化情報送信部23、マスク情報送信部24および調整情報受信部25の機能は、CPUが主記憶部や補助記憶部に記憶された各種プログラムを実行して通信I/Fの動作を制御することにより実現される。
予定情報生成部21は、入力装置27を利用した需要家による操作入力に応じて、需要家が予定している時間帯ごとの電力利用量を表す予定情報(図1に例示した時間枠ごとの電力利用量がグラフ形式で表現される情報)を生成する。なお、ここでは、需要家が入力装置27を用いて電力利用の予定を直接入力する場合を想定しているが、過去に利用した時間帯ごとの電力利用量の実績を履歴データとして保存しておき、この履歴データに基づいて将来の電力利用を予測して予定情報を生成するようにしてもよい。
暗号化部22は、予定情報生成部21が生成した予定情報を暗号化して暗号化情報を生成し、生成した暗号化情報を記憶する。この暗号化部22により生成される暗号化情報は、マスクとして機能する情報(マスク情報)により元の予定情報を変換した情報である。ここで、マスク情報は、暗号化情報と元の予定情報との差分を表し、暗号化情報とマスク情報との差分をとることで、元の予定情報を復元できる。この暗号化部22による暗号化の一例としては、後述の加法準同型関数を用いた暗号化が挙げられる。なお、暗号化部22により暗号化される前の予定情報を記憶しておくようにしてもよい。
暗号化情報送信部23は、暗号化部22により生成された暗号化情報を、通信ネットワーク40を介して電力利用調整サーバ10に送信する。このとき、暗号化情報送信部23は、契約によって定められた契約倍率の情報を、暗号化情報に付加して電力利用調整サーバ10に送信することが望ましい。
マスク情報送信部24は、暗号化部22により生成された暗号化情報と元の予定情報との差分であるマスク情報を、通信ネットワーク40を介してマスクサーバ30に送信する。
調整情報受信部25は、電力利用調整サーバ10から通信ネットワーク40を介して送信された調整情報を受信する。この電力利用調整サーバ10から送信された調整情報は、上述したように、ある時間帯で予定されている電力利用量を他の時間帯にシフトするような電力利用時間の変更を依頼する情報を含んでいる。
電力供給制御部26は、調整情報受信部25が受信した調整情報に従って、上述した特殊電力の供給を制御する。このとき、元の予定情報に対してどのように調整が行われたかを需要家が認識できるように、調整後の予定情報をグラフ形式で表示装置28に表示することが望ましい。
マスクサーバ30は、図4に示すように、マスク情報受信部31、グループ情報受信部32、統合マスク情報生成部33および統合マスク情報送信部34を備えている。統合マスク情報生成部33の機能は、上記のCPUが主記憶部や補助記憶部に記憶された各種プログラムを実行することにより実現される。また、マスク情報受信部31、グループ情報受信部32および統合マスク情報送信部34の機能は、CPUが主記憶部や補助記憶部に記憶された各種プログラムを実行して通信I/Fの動作を制御することにより実現される。
マスク情報受信部31は、各HEMSサーバ20から通信ネットワーク40を介して送信されたマスク情報を受信する。
グループ情報受信部32は、電力利用調整サーバ10から通信ネットワーク40を介して送信されたグループ情報を受信する。ここで、グループ情報は、電力利用調整サーバ10により実施された複数のHEMSサーバ20に対するグループ分けの結果を表す情報である。
統合マスク情報生成部33は、マスク情報受信部31が各HEMSサーバ20から受信したマスク情報と、グループ情報受信部32が電力利用調整サーバ10から受信したグループ情報とに基づいて、電力利用調整サーバ10によりグループ分けされた各グループごとに、グループに属するHEMSサーバ20から送信されたマスク情報の総和である統合マスク情報を生成する。
統合マスク情報送信部34は、統合マスク情報生成部33により生成された統合マスク情報を、通信ネットワーク40を介して電力利用調整サーバ10に送信する。
電力利用調整サーバ10は、図4に示すように、暗号化情報受信部(第1の受信部)11、グループ分割部12、グループ情報送信部(第1の送信部)13、統合マスク情報受信部(第2の受信部)14、調整部15および調整情報送信部(第2の送信部)16を備えている。グループ分割部12および調整部15の機能は、上記のCPUが主記憶部や補助記憶部に記憶された各種プログラム(電力利用調整プログラム)を実行することにより実現される。また、暗号化情報受信部11、グループ情報送信部13、統合マスク情報受信部14および調整情報送信部16の機能は、CPUが主記憶部や補助記憶部に記憶された各種プログラム(電力利用調整プログラム)を実行して通信I/Fの動作を制御することにより実現される。
暗号化情報受信部11は、各HEMSサーバ20から通信ネットワーク40を介して送信された暗号化情報を受信する。この暗号化情報は、各HEMSサーバ20によって管理される需要家の予定情報をマスク情報によって変化させた情報である。
グループ分割部12は、暗号化情報受信部11が受信した暗号化情報の送信元である複数のHEMSサーバ20を、複数のグループにグループ分けする。ここで、グループ分割部12によるグループ分けの基準としては様々なものが考えられるが、一例として、契約倍率が近い需要家のHEMSサーバ20を同じグループにするようなグループ分けが挙げられる。各HEMSサーバ20から電力利用調整サーバ10に対して暗号化情報を送信する際に、契約倍率の情報を暗号化情報に付加して送信するようにすれば、電力利用調整サーバ10側で各需要家の契約倍率を知ることができ、グループ分割部12は、契約倍率が近い需要家のHEMSサーバ20を同じグループにするようなグループ分けを行うことができる。
グループ情報送信部13は、グループ分割部12によるグループ分けの結果を表すグループ情報を、通信ネットワーク40を介してマスクサーバ30に送信する。
統合マスク情報受信部14は、マスクサーバ30から通信ネットワーク40を介して送信された統合マスク情報を受信する。ここで、統合マスク情報は、グループ分割部12によりグループ分けされた各グループごとのマスク情報の総和である。
調整部15は、グループ分割部12によりグループ分けされた各グループごとに、各グループに属する複数のHEMSサーバ20から受信した暗号化情報の総和とマスクサーバ30から受信した各グループごとの統合マスク情報の差分である統合予定情報を生成する。各HEMSサーバ20から受信した暗号化情報は、上述したように、予定情報をマスク情報によって変化させた情報である。ここで、グループごとの暗号化情報の総和と、そのグループに対応する統合マスク情報との差分を取れば、元の予定情報の総和が得られる。このグループごとの元の予定情報の総和を表す情報が、統合予定情報である。
調整部15は、以上のように生成した各グループごとの統合予定情報について、ある時間枠(単位時間で区切られる一の時間帯)に予定される電力利用量のすべてを他の時間枠(他の時間帯)にシフトさせるような調整を行う。これは、同じグループに属するHEMSサーバ20が生成した予定情報に対しては、同じ時間枠を調整の対象とし、しかもその時間枠に予定している電力利用量のすべてを他の時間枠にシフトさせるような調整を行うことを意味する。つまり、調整部15は、グループ分割部12によりグループ分けされた個々のグループごとに時間枠単位で調整を行い、複数のグループを含めたシステム全体で電力供給設備への負担を少なくできるように、予定情報の調整を行う。なお、電力供給設備への負担を少なくできるような調整とは、例えば、電力利用量の総和が供給可能な電力量を超える時間枠や、電力利用量の総和が時間枠ごとに設定した目標値に対して大きく乖離している時間枠がある場合に、その時間枠での電力利用量の一部を他の時間枠にシフトさせるような調整である。
調整部15による予定情報の調整は、上記のようにグループごとに行われるため、グループの数が多いほど、調整の自由度が増す。ただし、グループの数が多いということは、個々のグループに属するHEMSサーバ20の数は少なくなることを意味し、各グループの統合予定情報が個々の予定情報に近づくため、プライバシー保護の観点からは望ましくない。
そこで、グループ分割部12と調整部15とが連携し、まずグループ分割部12が少ないグループ数でのグループ分けを行い、そのグループ分けでは調整部15で所望の調整結果が得られない場合に、調整部15からの要求に従い、グループ分割部12が、前回のグループ分けよりもグループ数を多くして新たなグループ分けを行うようにすることが望ましい。グループ分割部12が調整部15からの要求に従って新たなグループ分けを行った場合には、グループ情報送信部13が新たなグループ分けの結果を表すグループ情報をマスクサーバ30に送信し、統合マスク情報受信部14が、新たなグループ分けによる各グループごとの統合マスク情報をマスクサーバ30から受信する。そして、調整部15が、新たなグループ分けによる各グループごとの統合予定情報を生成し、統合予定情報の調整を行う。
調整情報送信部16は、調整部15によって統合予定情報に対して調整が行われたグループに属する各HEMSサーバ20に対して、調整部15により行われた調整の結果を表す調整情報を送信する。ここで、調整情報送信部16が送信する調整情報は、上述したように、ある時間帯(時間枠)で予定されている電力利用量を他の時間帯(時間枠)にシフトするような電力利用時間の変更を依頼する情報を含んでいるが、同じグループに属するHEMSサーバ20に対しては、同じ内容の調整情報が送信されることになる。この調整情報を受信した各HEMSサーバ20は、上述したように、受信した調整情報に従って需要家に対する特殊電力の供給を制御する。
なお、本実施形態にかかる電力利用調整システムでは、上記のように、電力利用調整サーバ10のグループ分割部12と調整部15とが連携し、調整部15で所望の調整結果が得られるまで、グループ数を徐々に増加しながらグループごとの統合予定情報の調整を行うようにしている。しかしながら、グループ分割部12でグループ数が最大となるグループ分けを行った状態であっても、調整部15において所望の調整結果が得られない場合も想定される。このような場合には、ユーティリティ事業者から各家庭に供給される普通電力と特殊電力との2種類の電力のうち、特殊電力に関して供給の停止または制限が行われる。普通電力は供給の停止や制限がされないので、各需要家は、安定的な電力供給を受ける必要がある用途については、普通電力を利用すればよい。このような特殊電力の供給停止や制限については、ユーティリティ事業者と各需要家との間の契約において、契約倍率に関わらず特殊電力の供給停止や制限が生じる可能性があることを特約として定めておけばよい。
なお、ユーティリティ事業者は、各需要家との間の契約倍率に基づいて、上述した制御条件を満たさない事態が極力発生しないように、電力供給設備に対する管理運営を行っている。したがって、最終的には、グループ分割部12が、契約倍率が同じ需要家のHEMSサーバ20を同じグループにするようなグループ分けを行い、調整部15が、各統合予定情報に対して契約倍率まで電力利用をシフトさせる調整を行うことによって、上述した制御条件を満たさない事態を極力回避することができる。各需要家の契約倍率は、上述したように、各HEMSサーバ20から電力調整サーバ10に対して暗号化情報とともに送信すればよい。
[プライバシー保護方式の原理]
次に、本実施形態によるプライバシー保護方式の原理について、図5乃至図9を参照して説明する。ここでは、本実施形態によるプライバシー保護方式の原理を分かりやすく説明するために、2つのHEMSサーバ(以下、一方のHEMSサーバをα、他方のHEMSサーバをβと表記する。)のみが属するグループAの統合予定情報に対して調整を行う場合を例に挙げて説明する。
次に、本実施形態によるプライバシー保護方式の原理について、図5乃至図9を参照して説明する。ここでは、本実施形態によるプライバシー保護方式の原理を分かりやすく説明するために、2つのHEMSサーバ(以下、一方のHEMSサーバをα、他方のHEMSサーバをβと表記する。)のみが属するグループAの統合予定情報に対して調整を行う場合を例に挙げて説明する。
図5は、HEMSサーバαから電力利用調整サーバ10に対して送信された暗号化情報を図1のようなグラフ形式で表したイメージ図であり、図6は、HEMSサーバβから電力利用調整サーバ10に対して送信された暗号化情報を図1のようなグラフ形式で表したイメージ図である。図中のハッチングを付したブロックが、元の予定情報における時間枠ごとの電力利用量を表し、白抜きのブロックがマスク情報に相当する部分である。
HEMSサーバαの予定情報は、図5に示すように、時間枠T1,T2においてそれぞれ1ブロック分の電力利用の予定があることを示したものである。そして、この予定情報がマスク情報によってマスクされることで、時間枠T1において2ブロック、時間枠T2において1ブロック、時間枠T3において1ブロック分の電力利用の予定があるような、元の予定情報とは異なった内容の暗号化情報に暗号化されている。このように、マスク情報によってHEMSサーバαの予定情報がマスクされることで、HEMSサーバαの予定情報は秘匿化されている。
HEMSサーバαは、このようにマスク情報によって元の予定情報を秘匿化した暗号化情報を、電力利用調整サーバ10に送信する。また、HEMSサーバαは、電力利用調整サーバ10に送信した暗号化情報と元の予定情報との差分であるマスク情報をマスクサーバ30に送信する。HEMSサーバαからマスクサーバ30に送信するマスク情報は、図5に示すように、時間枠T1における1ブロック分の電力利用量および時間枠T3における1ブロック分の電力利用量を表したものとなる。
また、HEMSサーバβの予定情報は、図6に示すように、時間枠T1,T3においてそれぞれ1ブロック分の電力利用の予定があることを示したものである。そして、この予定情報がマスク情報によってマスクされることで、時間枠T1において2ブロック、時間枠T2において1ブロック、時間枠T3において1ブロック分の電力利用の予定があるような、元の予定情報とは異なった内容の暗号化情報に暗号化されている。このように、マスク情報によってHEMSサーバβの予定情報がマスクされることで、HEMSサーバβの予定情報は秘匿化されている。
HEMSサーバβは、このようにマスク情報によって元の予定情報を秘匿化した暗号化情報を、電力利用調整サーバ10に送信する。また、HEMSサーバβは、電力利用調整サーバ10に送信した暗号化情報と元の予定情報との差分であるマスク情報をマスクサーバ30に送信する。HEMSサーバβからマスクサーバ30に送信するマスク情報は、図6に示すように、時間枠T1における1ブロック分の電力利用量および時間枠T2における1ブロック分の電力利用量を表したものとなる。
図7は、グループAに属するHEMSサーバα,βから送信された暗号化情報の総和を図1のようなグラフ形式で表したイメージ図であり、図8は、グループAに属するHEMSサーバα,βから送信されたマスク情報の総和である統合マスク情報を図1のようなグラフ形式で表したイメージ図である。また、図9は、グループAについての調整の対象となる統合予定情報を図1のようなグラフ形式で表したイメージ図である。
電力利用調整サーバ10は、グループAに対する調整を行う際に、まず、HEMSサーバαから受信した図5のような暗号化情報と、HEMSサーバβから受信した図6のような暗号化情報との総和を計算して、図7に示すように、時間枠T1で4ブロック、時間枠T2で2ブロック、時間枠T3で2ブロック分の電力利用の予定があるような情報を得る。
また、マスクサーバ30は、電力利用調整サーバ10から受信したグループ情報に基づいて、グループAにHEMSサーバα,βが属することを認識する。そして、マスクサーバ30は、HEMSサーバαから受信したマスク情報と、HEMSサーバβから受信したマスク情報との総和を計算して、図8に示すように、時間枠T1で2ブロック、時間枠T2で1ブロック、時間枠T3で1ブロック分の電力利用の予定があるような、グループAについての統合マスク情報を生成する。そして、マスクサーバ30は、この統合マスク情報を電力利用調整サーバ10に送信する。
電力利用調整サーバ10は、マスクサーバ30からグループAについての統合マスク情報を受信すると、図7に示したHEMSサーバα,βの暗号化情報の総和と、図8に示したグループAについての統合マスク情報との差分を計算し、図9に示すような統合予定情報を生成する。この図9に示す統合予定情報は、時間枠T1で2ブロック、時間枠T2において1ブロック、時間枠T3において1ブロック分の電力利用の予定があることを示す情報となっており、グループAに属するHEMSサーバα,βの予定情報の総和と一致する。
電力利用調整サーバ10は、グループAの統合予定情報を調整する場合、例えば、時間枠T1の2ブロック分の電力利用量を他の時間枠Tn(nは1以外の任意の数)にシフトさせるといったように、1つの時間枠で予定される電力利用量のすべてを他の時間枠にシフトさせる調整を行う。そして、電力利用調整サーバ10は、上記のような調整の結果を表す調整情報を、グループAに属するHEMSサーバα,βに送信する。
以上のように、本実施形態では、電力利用調整サーバ10が、グループごとの暗号化情報の総和と統合マスク情報との差分を計算して統合予定情報を生成し、統合予定情報に対して、1つの時間枠で予定される電力利用量のすべてを他の時間枠にシフトさせるような調整を行うようにしている。したがって、電力利用調整サーバ10に各需要家の予定情報そのものを開示することなく、電力利用調整サーバ10において電力供給設備への負担を少なくするような所望の調整を行うことができ、需要家のプライバシーを保護しつつ、電力利用の調整を行うことが可能となる。
本実施形態によるプライバシー保護方式により各需要家のプライバシーを保護できる理由は、以下のように要約できる。すなわち、グループiに属するj番目のHEMSサーバ20で生成された予定情報について、時間枠kにおける電力利用量のデータをuijkとする。ここで、同一のグループに対して1つの時間枠で予定されている電力利用量のすべてを他の時間枠にシフトさせる調整を行うという条件のもとでは、任意のiとkに対し、ui1k、ui2k、・・・、uilkは一体となって調整される。したがって、uijkは常にΣjuijkによって秘匿されることになり、uijkそのものが明らかになることはない。
[加法準同型関数を用いた暗号化による一般化]
以上説明した本実施形態によるプライバシー保護方式は、予定情報の暗号化に加法準同型関数を用いることにより、以下のように一般化することができる。
以上説明した本実施形態によるプライバシー保護方式は、予定情報の暗号化に加法準同型関数を用いることにより、以下のように一般化することができる。
HEMSサーバ20が予定情報の暗号化を行う関数をψ()とし、ψ()が加法準同型関数であるとする。つまり、ψ(P1)+ψ(P2)=ψ(P1+P2)が成り立つとする。
ここで、任意のHEMSサーバjで生成された予定情報をPjとすると、この予定情報Pjを加法準同型関数ψ()により暗号化することで得られる暗号文はψ(Pj)となる。ここで、暗号化による変化分の情報(つまり、マスク情報)はψ(Pj)−Pjとなり、これをξ(Pj)とする。すると、ξ(P1+P2)=ψ(P1+P2)−(P1+P2)=ψ(P1)+ψ(P2)−P1−P2=ξ(P1)+ξ(P2)となる。
同一グループに属するHEMSサーバ20で生成された予定情報をP1、P2、・・・、Plとすると、電力利用調整サーバ10において生成される暗号化された予定情報(暗号化情報)の総和は、ψ(P1)+ψ(P2)+・・・+ψ(Pl)=ψ(P1+P2+・・・+Pl)となる。一方、マスクサーバ30において生成される統合マスク情報は、ξ(P1)+ξ(P2)+・・・+ξ(Pl)=ξ(P1+P2+・・・+Pl)となる。したがって、電力利用調整サーバ10が、暗号化情報の総和と統合マスク情報との差分から求める統合予定情報は、ψ(P1+P2+・・・+Pl)−ξ(P1+P2+・・・+Pl)=P1+P2+・・・+Plとなり、グループに属する各HEMSサーバ20で生成された予定情報P1、P2、・・・、Plの総和と一致する。
[実施形態の効果]
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態にかかる電力利用調整システムによれば、各HEMSサーバ20が、予定情報を暗号化した暗号化情報を電力利用調整サーバ10に送信するとともに、暗号化情報と元の電力利用予定情報との差分であるマスク情報をマスクサーバ30に送信する。電力利用調整サーバ10は、暗号化情報を送信した各HEMSサーバ20を複数のグループにグループ分けし、そのグループ分けの結果を表すグループ情報をマスクサーバ30に送信する。マスクサーバ30は、各HEMSサーバ20から受信したマスク情報と、電力利用調整サーバ10から受信したグループ情報とに基づいて、各グループごとの統合マスク情報を生成し、生成した統合マスク情報を電力利用調整サーバ10に送信する。電力利用調整サーバ10は、各グループごとに、HEMSサーバ20から受信した暗号化情報の総和とマスクサーバ30から受信した統合マスク情報との差分を計算し、各グループの統合予定情報を生成する。そして、電力利用調整サーバ10は、生成した統合予定情報について、ある時間枠に予定されている電力利用量のすべてを他の時間枠にシフトさせるような調整を行い、調整の結果を表す調整情報を、調整を行ったグループに属するHEMSサーバ20に送信する。したがって、例えば電力利用調整サーバ10に対する攻撃などによって仮に電力利用調整サーバ10から情報が流出したとしても、流出する情報は、予定情報を暗号化した暗号化情報、もしくは予定情報をグループ単位で足し合わせた統合予定情報であり、個々の需要家の予定情報そのものが流出することはないため、需要家のプライバシー保護が図られることになる。このように、本実施形態にかかる電力利用調整システムによれば、需要家のプライバシーを保護しつつ、電力供給設備の負担を軽減させるような電力利用の調整を適切に行うことができる。
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態にかかる電力利用調整システムによれば、各HEMSサーバ20が、予定情報を暗号化した暗号化情報を電力利用調整サーバ10に送信するとともに、暗号化情報と元の電力利用予定情報との差分であるマスク情報をマスクサーバ30に送信する。電力利用調整サーバ10は、暗号化情報を送信した各HEMSサーバ20を複数のグループにグループ分けし、そのグループ分けの結果を表すグループ情報をマスクサーバ30に送信する。マスクサーバ30は、各HEMSサーバ20から受信したマスク情報と、電力利用調整サーバ10から受信したグループ情報とに基づいて、各グループごとの統合マスク情報を生成し、生成した統合マスク情報を電力利用調整サーバ10に送信する。電力利用調整サーバ10は、各グループごとに、HEMSサーバ20から受信した暗号化情報の総和とマスクサーバ30から受信した統合マスク情報との差分を計算し、各グループの統合予定情報を生成する。そして、電力利用調整サーバ10は、生成した統合予定情報について、ある時間枠に予定されている電力利用量のすべてを他の時間枠にシフトさせるような調整を行い、調整の結果を表す調整情報を、調整を行ったグループに属するHEMSサーバ20に送信する。したがって、例えば電力利用調整サーバ10に対する攻撃などによって仮に電力利用調整サーバ10から情報が流出したとしても、流出する情報は、予定情報を暗号化した暗号化情報、もしくは予定情報をグループ単位で足し合わせた統合予定情報であり、個々の需要家の予定情報そのものが流出することはないため、需要家のプライバシー保護が図られることになる。このように、本実施形態にかかる電力利用調整システムによれば、需要家のプライバシーを保護しつつ、電力供給設備の負担を軽減させるような電力利用の調整を適切に行うことができる。
なお、需要家による電力利用の予定を考慮して電力供給の制御を行う技術としては、非特許文献1に記載された技術が知られている。しかしながら、この非特許文献1に記載された技術では、需要家のプライバシー保護については想定されておらず、需要家のプライバシーを保護するための仕組みが検討されていない。また、この非特許文献1に記載された技術を適用した場合の電力供給制御は、需要家による電力利用の予定に合わせて無駄な電力供給を制限するような制御となる。これに対して、本実施形態にかかる電力利用調整システムでは、需要家の電力利用をある時間帯で制限した場合、その制限される電力量を他の時間帯での電力供給により補完するようにしており、需要家に対して、複数の時点において相補的に電力利用を調整することを要請するシステムとなっている。このように、需要家に対して必要な電力量の供給を保証しながら電力利用の制限を要請するシステムであるため、利便性の高いデマンドレスポンスを実現することができる。
また、本実施形態にかかる電力利用調整システムでは、電力利用調整サーバ10が複数のHEMSサーバ20を複数のグループにグループ分けして、各グループごとに統合予定情報の調整を行い、満足のいく調整結果が得られない場合は、グループ分けを変更して新たなグループごとに統合予定情報の調整を行うようにしており、最終的にどのような調整を行うかが調整の中間結果に依存する。ここで、需要家のプライバシー保護を図るために、例えば、電力利用調整サーバ10が予定情報の暗号化情報をそのまま処理する方法を採用した場合は、調整の中間結果を把握することができず、適切な調整を行うことが困難となる。これに対して、本実施形態にかかる電力利用調整システムでは、グループごとの予定情報の総和である統合予定情報に対して調整を行うことにより個々の予定情報を秘匿することで需要家のプライバシー保護を図るようにしているため、調整の中間結果を正確に把握しながら、統合予定情報に対する調整を適切に行うことができる。
なお、本実施形態にかかる電力利用調整システムにおいて、中心的な役割を果たす電力利用調整サーバ10は、上述したように、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成を採用し、コンピュータによって実行される電力利用調整プログラムにより、上述した各機能構成を実現する構成とすることができる。
電力利用調整サーバ10で実行される電力利用調整プログラムは、例えば、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disc)などのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
また、電力利用調整サーバ10で実行される電力利用調整プログラムを、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、電力利用調整サーバ10で実行される電力利用調整プログラムを、インターネットなどのネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。さらに、電力利用調整サーバ10で実行される電力利用調整プログラムを、ROMなどに予め組み込んで提供するように構成してもよい。
電力利用調整サーバ10で実行される電力利用調整プログラムは、上述した暗号化情報受信部11、グループ分割部12、グループ情報送信部13、統合マスク情報受信部14、調整部15および調整情報送信部16を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記記憶媒体から電力利用調整プログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶部上にロードされ、暗号化情報受信部11、グループ分割部12、グループ情報送信部13、統合マスク情報受信部14、調整部15および調整情報送信部16が主記憶部上に生成されるようになっている。
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上記の新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記の実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、上記の実施形態として説明した電力利用調整システムでは、電力利用調整サーバ10が、暗号化情報受信部11、グループ分割部12、グループ情報送信部13、統合マスク情報受信部14、調整部15および調整情報送信部16を機能構成として備えているが、これらの各機能が複数の装置(ハードウェア)に分かれて実現される構成としてもよい。
10 電力利用調整サーバ
11 暗号化情報受信部
12 グループ分割部
13 グループ情報送信部
14 統合マスク情報受信部
15 調整部
16 調整情報送信部
20 HEMSサーバ
30 マスクサーバ
40 通信ネットワーク
11 暗号化情報受信部
12 グループ分割部
13 グループ情報送信部
14 統合マスク情報受信部
15 調整部
16 調整情報送信部
20 HEMSサーバ
30 マスクサーバ
40 通信ネットワーク
Claims (6)
- 需要家ごとに設けられ、需要家が予定している時間帯ごとの電力利用量を表す予定情報を記憶した複数の需要家装置から、前記予定情報を変換した変換情報を受信する第1の受信部と、
複数の前記需要家装置を複数のグループにグループ分けするグループ分割部と、
複数の前記需要家装置から前記変換情報と前記予定情報との差分を表す差分情報を受信する情報処理装置に対して、前記グループ分けの結果を表すグループ情報を送信する第1の送信部と、
前記情報処理装置から、複数の前記グループごとに、各グループに属する複数の前記需要家装置から受信した複数の前記差分情報の総和である統合差分情報を受信する第2の受信部と、
複数の前記グループごとに、各グループに属する複数の前記需要家装置から受信した複数の前記変換情報の総和と該グループに対応する前記統合差分情報との差分である統合予定情報を生成し、生成した前記統合予定情報の一の時間帯における電力利用量のすべてを他の時間帯にシフトさせる調整を行う調整部と、
前記統合予定情報に対して前記調整が行われた前記グループに属する複数の前記需要家装置に対して、前記調整の結果を表す調整情報を送信する第2の送信部と、を備えることを特徴とする電力利用調整装置。 - 前記変換情報は、予め定められた変換規則で前記予定情報を変換した情報であり、
前記変換規則は、複数の前記予定情報それぞれを変換した複数の前記変換情報の総和と、複数の前記予定情報の総和を変換した前記変換情報とが一致する規則であること、を特徴とする請求項1に記載の電力利用調整装置。 - 前記変換情報は、前記予定情報を加法準同型関数により暗号化した情報であることを特徴とする請求項2に記載の電力利用調整装置。
- 前記グループ分割部は、前記調整部から要求があった場合に、複数の前記需要家装置に対する新たなグループ分けを行い、
前記第1の送信部は、前記グループ分割部が新たなグループ分けを行った場合、新たなグループ分けの結果を表す前記グループ情報を送信し、
前記第2の受信部は、前記グループ分割部が新たなグループ分けを行った場合、新たなグループ分けによる複数の前記グループごとの前記統合差分情報を受信し、
前記調整部は、前記グループ分割部が新たなグループ分けを行った場合、新たなグループ分けによる複数の前記グループごとに新たな前記統合予定情報を生成し、生成した前記統合予定情報に対して前記調整を行うこと、を特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電力利用調整装置。 - 需要家ごとに設けられ、需要家が予定している時間帯ごとの電力利用量を表す予定情報を記憶した複数の需要家装置と、通信ネットワークを介して前記複数の需要家装置に接続された情報処理装置と、前記通信ネットワークを介して前記情報処理装置および複数の前記需要家装置に接続された電力利用調整装置と、を備え、
複数の前記需要家装置は、前記電力利用調整装置に対して、前記予定情報を変換した変換情報を送信するとともに、前記情報処理装置に対して、前記変換情報と前記予定情報との差分を表す差分情報を送信する機能を有し、
前記情報処理装置は、複数の前記需要家装置から前記差分情報を受信するとともに、前記電力利用調整装置から、複数の前記需要家装置を複数のグループにグループ分けした結果を表すグループ情報を受信し、複数の前記グループごとに、各グループに属する複数の前記需要家装置から受信した複数の前記差分情報の総和である統合差分情報を生成して、生成した前記統合差分情報を前記電力利用調整装置に対して送信する機能を有し、
前記電力利用調整装置は、
複数の前記需要家装置から複数の前記変換情報を受信する第1の受信部と、
複数の前記需要家装置を複数のグループにグループ分けするグループ分割部と、
前記情報処理装置に対して前記グループ情報を送信する第1の送信部と、
前記情報処理装置から前記統合差分情報を受信する第2の受信部と、
複数の前記グループごとに、各グループに属する複数の前記需要家装置から受信した複数の前記変換情報の総和と該グループに対応する前記統合差分情報との差分である統合予定情報を生成し、生成した前記統合予定情報の一の時間帯における電力利用量のすべてを他の時間帯にシフトさせる調整を行う調整部と、
前記統合予定情報に対して前記調整が行われた前記グループに属する複数の前記需要家装置に対して、前記調整の結果を表す調整情報を送信する第2の送信部と、を有することを特徴とする電力利用調整システム。 - 需要家ごとに設けられ、需要家が予定している時間帯ごとの電力利用量を表す予定情報を記憶した複数の需要家装置から、前記予定情報を変換した変換情報を受信する機能と、
複数の前記需要家装置を複数のグループにグループ分けする機能と、
複数の前記需要家装置から前記変換情報と前記予定情報との差分を表す差分情報を受信する情報処理装置に対して、前記グループ分けの結果を表すグループ情報を送信する機能と、
前記情報処理装置から、複数の前記グループごとに、各グループに属する複数の前記需要家装置から受信した複数の前記差分情報の総和である統合差分情報を受信する機能と、
複数の前記グループごとに、各グループに属する複数の前記需要家装置から受信した複数の前記変換情報の総和と該グループに対応する前記統合差分情報との差分である統合予定情報を生成し、生成した前記統合予定情報の一の時間帯における電力利用量のすべてを他の時間帯にシフトさせる調整を行う機能と、
前記統合予定情報に対して前記調整が行われた前記グループに属する複数の前記需要家装置に対して、前記調整の結果を表す調整情報を送信する機能と、をコンピュータに実現させるための電力利用調整プログラム。
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Title |
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JPN6013024809; 佐野夏樹、篠原靖志: 'プライバシーを保護した需要データの収集・公開に関する調査' 電力中央研究所報告 調査報告:R06019, 200705, 財団法人電力中央研究所 * |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR100688482B1 (ko) * | 2000-11-08 | 2007-03-08 | 삼성전자주식회사 | 평탄화층 및 보호막의 접착력을 향상시킨 고체 촬상소자제조방법 |
JP2013134665A (ja) * | 2011-12-27 | 2013-07-08 | Toshiba Corp | 情報処理装置および電力利用調整システム |
JP2015216628A (ja) * | 2014-05-09 | 2015-12-03 | 富士通株式会社 | 確認可能なノイズを使用した電気使用データ開示のための信頼できるプライバシィ保護方法およびプログラム |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP5300899B2 (ja) | 2013-09-25 |
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