噴火や地震等の災害や広範囲の通信設備の障害発生等により、一又は複数の基地局が機能停止(ダウン)状態となった場合、配下の通信エリアの端末に通信サービスを提供することができない状態となる。図1〜図3は、移動体通信の監視システムで、機能停止状態となった基地局(以下、障害基地局ともいう)を検知して特定し、該基地局配下の通信不能端末を検出し、該端末の通信を救済する動作例の概要を示している。また、図4は、障害基地局の機能が復旧したときの動作例の概要を示している。
以下、図面を参照して開示の移動体通信救済方法、監視システム、基地局及び端末装置の実施形態について説明する。なお、以下の説明は一実施形態の説明であり、本発明は該実施形態に限定されるものではない。
なお、以下の図において、120aは、機能停止状態となり、利用不可能となった基地局(障害基地局)であり、120bは、障害基地局120aに隣接し、通信サービスに利用することができる正常動作中の基地局(以下、生存基地局ともいう)である。
また、130aは、障害基地局120aの通信障害により、通信サービスを受けられなくなった携帯端末である。130bは、生存基地局120bとの通信が可能であり、通信サービスを継続して受けることができる携帯端末である。
また、100は、無線ネットワーク制御装置(図示省略)を経由して基地局120に対して、更には、基地局120を介して携帯端末130に対して、指示情報を送信し、また、基地局120から、又は基地局120を介して携帯端末130から、障害情報を収集する監視システムである。
図1を参照し、監視システム100で障害基地局120aを検知して特定する動作例を説明する。基地局120aが機能停止状態(利用不可能な状態)となると、該基地局120aに隣接する他の利用可能な生存基地局120bは、該障害基地局120aとの通信断を検知し(1−1)、該障害基地局120aとの通信不能を監視システム100へ通知する(1−2)。
また、障害基地局120aの配下で通信サービスを受けていた携帯端末130bは、障害基地局120aとの通信断を検知し(1−3)、該障害基地局120aとの通信断を、隣接する生存基地局120bへ通知する。該生存基地局120bは、該障害基地局120aの通信断を監視システム100へ通知する(1−4)。
また、監視システム100は、気象庁等の外部システムの災害情報データベース160から災害情報を取得する(1−5)。監視システム100は、これらの複数の情報を元に、障害基地局120aの存否を判断し、障害基地局120aを特定する。また、監視システム100は、障害基地局120aと生存基地局120bとの位置関係(距離等)を把握する。
次に、障害基地局120a配下の通信不能端末130aを監視システム100で検出する動作例を、図2を参照して説明する。監視システム100は、障害基地局120aを特定した後、基地局120aとの通信が不能の携帯端末130aを検出するために、端末検出用信号をブロードキャストで送信するよう、近隣の生存基地局120bに指示する(2−1)。
該生存基地局120bは、該指示に従って端末検出用信号をブロードキャストで送信する(2−2)。携帯端末130a,130bには、端末検出用信号を受信したとき、利用可能な基地局が存在しない場合に、該端末検出用信号に対する応答信号を送信する機能を設けておく。
利用可能な基地局が存在しない携帯端末130aは、該端末検出用信号を受信すると、その応答信号を返送する(2−3)。しかし、利用可能な基地局が存在する携帯端末130bは、該端末検出用信号を受信しても応答信号は送信しない。
生存基地局120bは、携帯端末130aからの応答信号を受信すると、該応答信号を送信した携帯端末数(応答数)を、監視システム100へ通知する(2−4)。監視システム100は、該通知により障害基地局120a配下の通信不能携帯端末130aの台数を把握する。
次に、図3を参照して通信不能携帯端末130aの通信を救済する動作例について説明する。障害基地局120aの配下の通信不能携帯端末130aの台数を把握した監視システム100は、近隣の生存基地局120bに対して通信救済を指示する。該通信救済の指示情報には、生存基地局120bでの送信電波の出力レベルの低下若しくは増強、又は最大管理携帯端末数の閾値の増大の指示等が含まれる。
まず、監視システム100は、生存基地局120bに対して送信電波の出力レベルの低下させる指示を送信する(3−1)。該生存基地局120bは、該指示に従って、一旦、送信電波の出力レベルを下げ、自基地局120b内で管理している携帯端末120bを、隣接する他の基地局120cの配下に移動(ハンドオーバ)させ、自基地局120b内の携帯端末130bの管理台数を減少させる。
ここで、基地局120cは、障害基地局120aに隣接していない基地局であり、正常に機能しており、通信サービスに利用することができる基地局である。なお、基地局120cの配下へ移動(ハンドオーバ)させた携帯端末130bに対して、基地局120bの配下への再度のハンドオーバを実施させないよう、ハンドオーバを制限する制御情報を保持するよう指示する。
その後、監視システム100は、生存基地局120bに対して、送信電波の出力レベルを上げ、最大管理端末台数の閾値を上げるよう指示する(3−3)。こうすることにより、障害基地局120a配下の携帯端末130aの通信可能エリアを拡大させる。その結果、該携帯端末130aは、生存基地局120bからの制御信号を受信することができるようになり、生存基地局120bを介して通常どおりの通信状態へ遷移する(3−4)。
次に、基地局120aが障害状態から復旧したときの動作例について図4を参照して説明する。基地局120bにより救済された携帯端末130aが、基地局120aとの通信の復旧を検知すると(4−1)、基地局120bを経由してその旨を監視システム100へ通知する(4−2)。
監視システム100は、基地局120aの復旧の旨の通知を受け、隣接基地局120c配下へ移動(ハンドオーバ)させていた携帯端末130bに対し、基地局120bへのハンドオーバを制限する制御情報を解除する指示を、基地局120cを経由して通知する(4−3)。携帯端末130bは、該指示を受けるとハンドオーバ制限の制御情報を解除し、基地局120b配下への移動(ハンドオーバ)が可能な状態にし、以降、通常の通信状態へ遷移する(4−4)。
上述の移動体通信救済を行う監視システム、基地局及び携帯端末の構成例及び動作フロー例について以下に詳述する。図5は、障害基地局及び生存基地局の配置例を示している。図5に示すように、噴火や地震等の災害や広範囲に亘る通信設備の障害等により複数の基地局120aが機能停止状態となった場合、該基地局120aは、配下の携帯端末130aに通信サービスを提供することができない状態となる。
基地局120bは、障害基地局120aに隣接する生存基地局であり、通信サービスに利用することができる状態にある。基地局120cは、障害基地局120aに隣接していない基地局であり、正常に機能しており、通信サービスに利用することができる状態にある。
携帯端末130aは、障害基地局120aの通信障害により、通信サービスを受けられない状態にある。携帯端末130bは、他の正常な生存基地局120bとの通信が可能であり、通信サービスを継続して受けられる状態にある。携帯端末130cは、基地局120cの配下に在圏するが、周辺基地局120bからも通信サービスを受けられる状態にある。
図6は、障害基地局120a配下のエリアの携帯端末130aの通信を救済する基地局の配置例を示している。図6に示すように、障害基地局120aに隣接する生存基地局120bは、障害基地局120aの配下の携帯端末130aの救済を行う。該携帯端末130aは、該生存基地局120bを通して通信サービスを受ける。
図7は、移動体通信ネットワークの構成例を示す。図7において、監視システム100は、コアネットワーク150及び気象庁等の外部システムの災害情報データベース(DB)160に接続されている。災害情報データベース160は、監視システム100及びコアネットワーク150に接続されている。
移動体通信ネットワークは、基地局(BTS)120と無線ネットワーク制御装置(BSC)110とを備え、基地局120は、携帯端末130との無線区間通信路を終端する。各基地局120を制御する無線ネットワーク制御装置110は、複数の基地局120を収容し、交換機140を通じてコアネットワーク150に接続される。交換機140は、各無線ネットワーク制御装置110を管理する。
図8は、監視システム100の構成例を示す。監視システム100は、障害情報監視部230と、基地局障害(電波0基地局障害)情報受信部240と、基地局復旧情報受信部250と、端末検出用信号処理部260と、救済処理部270と、周辺基地局の情報を蓄積する周辺基地局データベース280と、携帯端末の救済情報を蓄積する救済情報データベース290とを備える。
障害情報監視部230は、災害情報取得部201と、情報収集部202と、障害エリア特定部203と、障害−災害エリア比較部204と、救済判断部205とを備える。災害情報取得部201は、ネットワークを介して、災害情報データベース160と通信を行う機能を備える。情報収集部202は、ネットワークを介して、基地局位置情報データベース170と通信を行う機能を備える。救済判断部205は、ネットワークを介して、基地局地図情報データベース180と通信を行う機能を備える。
基地局障害(電波0基地局障害)情報受信部240は、ネットワークを介して、無線ネットワーク制御装置110との通信を行う機能を備える。基地局復旧情報受信250は、ハンドオーバ端末検索部206と、制御情報解除端末情報受信部207とを備える。ハンドオーバ端末検索部206と、制御情報解除端末情報受信部207は、ネットワークを介して、無線ネットワーク制御装置110及びホームロケーションレジスタ(HLR)190と通信を行う機能を備える。ホームロケーションレジスタ(HLR)190は、ユーザー情報を管理するデータベースである。
端末検出用信号処理部260は、端末検出用信号処理制御部208と、応答端末数算出処理部209と、端末検出用信号送信部210と、応答信号受信部211とを備える。端末検出用信号送信部210と、応答信号受信部211は、ネットワークを介して、無線ネットワーク制御装置110との通信を行う機能を備える。
救済処理部270は、救済処理制御部212と、処理指示部213と、出力増減指示部214と、制御情報解除送信部215と、管理端末数変更指示部216と、指示送信部217と、ハンドオーバ・救済端末数受信部218とを備える。指示送信部217と、ハンドオーバ・救済端末数受信部218は、ネットワークを介して、無線ネットワーク制御装置110との通信を行う機能を備える。
監視システム100は、気象庁等の災害情報データベース160から取得した情報、携帯端末130aから通知された情報、又は隣接する生存基地局120bから通知された情報等、取得した各情報を照合する。該照合の結果、基地局120aが、配下の携帯端末130aに対して、継続的に通信サービスに利用することができない機能停止状態であるか否かを判断する。基地局120aが、機能停止状態であると判断された場合、隣接する生存基地局120bを介して、該携帯端末130aの救済を行うよう指示する。
図9は、基地局120の構成例を示す。基地局120は、周辺基地局監視部320と、監視システム向け送信部330と、指示受信部340と、情報受信部350と、携帯端末向け送信部360と、救済必要数比較処理部380と、端末検出用信号監視部390と、電波出力増減処理部400と、管理端末数変更処理部410と、ハンドオーバ端末検索部420と、周辺基地局情報を蓄積する周辺基地局データベース430と、救済情報を蓄積する救済情報データベース370とを備える。
周辺基地局監視部320は、ネットワークを介して周辺基地局と通信を行う機能を備える。監視システム向け送信部330は、通信不可周辺基地局(電波0基地局障害)情報送信部301と、障害基地局復旧情報送信部302と、制御解除通知送信部303と、救済必要数送信部304と、端末検出用応答信号送信部305とを備える。
指示受信部340は、端末検出用信号受信部306と、電波出力増減処理指示受信部307と、管理端末数変更指示受信部308と、制御情報解除指示受信部309とを備える。情報受信部350は、電波0基地局障害情報受信部310と、障害基地局復旧通知受信部311と、制御解除通知受信部312と、携帯位置登録受信部313と、端末検出用応答信号受信部314とを備える。携帯端末向け送信部360は、端末検出用信号送信部315と、制御情報解除指示送信部316とを備える。
基地局120は、監視システム100からの指示情報を受信し、該指示情報に従い、携帯端末130に端末検出用信号を送信し、逆に、携帯端末130からの応答信号を受信し、その応答を監視システム100に通知する機能を有する。また、基地局120は、監視システム100からの指示情報に従い、ハンドオーバ制限又は制限解除の制御情報を携帯端末130に送信する機能を有する。
図10は、携帯端末130の構成例を示す。携帯端末130は、通信処理部530と、周辺基地局電波状態監視部540と、電波出力減基地局対応部550と、電波0基地局対応部560と、電波出力増基地局対応部570と、端末検出用信号送受信部580と、端末検出用信号監視部590と、周辺基地局情報を蓄積する周辺基地局データベース600と、端末情報を蓄積する端末情報データベース610と、制御情報を蓄積する制御情報データベース620とを備える。
通信処理部530は、基地局120との通信を行う機能を備える。端末検出用信号送受信部580は、基地局120との通信を行う機能を備える。通信処理部530は、受信部501と送信部502とを備える。周辺基地局電波状態監視部540は、基地局電波状態収集部503と、電波0基地局検出部504と、電波出力減基地局検出部505と、電波出力増基地局検出部506とを備える。
電波出力減基地局対応部550は、制御情報取得部507と、制御情報保存部508とを備える。電波0基地局対応部560は、電波0基地局監視部510と、周辺基地局情報参照部511と、電波0基地局情報送信部512とを備える。電波出力増基地局対応部570は、ハンドオーバ制御部513と、制御情報削除部514と、制御情報参照部515と、ハンドオーバ実施保存部516と、周辺基地局情報参照部517と、基地局復旧情報、位置登録情報及び制御情報解除を通知する通知部518とを備える。
端末検出用信号送受信部580は、端末検出用信号受信部519と、端末検出用信号応答信号送信部520とを備える。端末検出用信号監視部590は、端末検出用信号制御部521と、端末検出用信号応答信号生成部522とを備える。
携帯端末130は、監視システム100からの指示情報に従って基地局120から送信される端末検出用信号を受信し、その応答を返送する機能を有し、また、基地局120から送信されるハンドオーバ制限又はその解除の制御情報に従って、ハンドオーバを制限し、又は該制限を解除する機能を備える。
図11〜図14に、障害基地局の検知、障害基地局配下の通信不可携帯端末の検出、通信不可携帯端末の通信の救済、障害基地局の復旧後の動作シーケンス例を示す。図11は、基地局の障害を検知する動作シーケンス例を示す。基地局120bは、他の基地局120aとの通信状態を監視している(11−1)。携帯端末130a及び携帯端末130bは、複数の基地局120a,120bからの受信電波を監視している(11−2,11−3)。
基地局120aが障害により機能停止状態になったとする。基地局120bは、基地局120aとの通信不可を検知し(11−4)、基地局120aの基地局情報を周辺基地局データベース430に保存し(11−5)、監視システム100に対して、基地局aの基地局情報を送信する(11−6)。
監視システム100は、基地局120bから基地局120aの基地局情報を含む障害情報を受信する(11−7)。これにより、監視システム100は、基地局120aが機能停止状態となり、通信サービスに利用することができない状態であることを認識する。
また、携帯端末130bは、基地局120aの受信電波のレベルがゼロとなったことを検知し(11−8)、基地局120aの基地局情報を周辺基地局データベース600に保存し(11−9)、報知情報が受信される基地局120bに対して、基地局aの基地局情報を送信し、通知する(11−10)。
基地局120aの基地局情報を受信した基地局120bは、監視システム100に対して、基地局aの基地局情報を送信する(11−11)。これにより、監視システム100は、基地局120aが機能停止状態となり、通信サービスを提供することができない状態であることを認識する(11−12)。
また、携帯端末130aは、基地局120aの受信電波のレベルがゼロとなったことを検知し(11−13)、基地局120aの基地局情報を周辺基地局データベース600に保存し(11−14)、他の基地局に対して、基地局aの基地局情報を送信しようとする。しかし、報知情報が受信される他の基地局が存在しない(どの基地局とも通信不可状態)と判断し(11−15)、端末検出用信号受信状態に遷移する(11−16)。これにより、携帯端末130aは、監視システム100からの端末検出用信号を受信し得る状態となる(11−17)。
図12は、障害基地局配下の通信不能携帯端末を検出する動作シーケンス例を示す。監視システム100は、障害基地局120aの周辺の生存基地局を基地局位置データベース170により検索する(12−1)。該検索によって抽出した生存基地局120bの基地局情報(ID)を周辺基地局データベース280に保存する(12−2)。その後、生存基地局120bに対し、端末検出用信号の送信指示を行う(12−3)。
生存基地局120bは、端末検出用信号の送信指示を受信すると、障害基地局120a配下エリアを含むエリアに向けて、端末検出用信号を発信する(12−4)。障害基地局120a配下の携帯端末130aは、端末検出用信号を受信すると(12−5)、端末識別情報(ID)及び在圏エリア情報を端末情報データベース610に保存する(12−6)。
そして、端末識別情報(ID)及び在圏エリア情報を含む端末情報を応答信号に付与し、生存基地局120bに対して送信する(12−7)。これにより、携帯端末130aは、端末検出用信号に応答した状態となる。生存基地局120bは、受信した応答信号(端末情報)を、監視システム100に送信する(12−8)。
監視システム100は、受信した端末情報を、端末検出用信号の送信に応答した携帯端末であると認識し、該携帯端末の台数を、救済を要する携帯端末台数として集計し、該携帯端末台数を、救済情報データベース290に保存する(12−9)。これにより、監視システム100は、救済すべき携帯端末台数を把握する。
図13は、障害基地局配下の携帯端末を救済する動作シーケンス例を示す。監視システム100は、生存基地局を周辺基地局データベース280から抽出し(13−1)、抽出した生存基地局120bに対し、電波出力レベルを低下させるよう指示する。(13−2)
基地局120bは、電波出力レベル低下の指示を受信すると、送信電波の出力レベルを低下させ、配下の携帯端末130bに対し、基地局120bへのハンドオーバを制限する制御情報を報知情報に付与して送信する(13−3)。これにより、基地局120bは、自基地局内の管理端末数を減らすことができる。
携帯端末130bは、電波出力レベルを低下させた基地局120bからの報知情報内の制御情報を検知すると、基地局120bより受信電波レベルの強い他の基地局が存在するか否かを判定する。そして、より受信電波レベルの強い基地局120cが存在すると判定すると、基地局120bの報知情報内の制御情報及び基地局120bの基地局識別情報(ID)を、制御情報データベース620に保存する(13−4)。
その後、携帯端末130bは、より受信電波の強い基地局120cへのハンドオーバを実施する(13−5)。ハンドオーバの実施後、携帯端末130bは、ハンドオーバ先の基地局120cの基地局識別情報(ID)及びハンドオーバ実施情報を、制御情報データベース620に保存する(13−6)。そして、ハンドオーバの完了を基地局120bに通知する(13−7)。
一方、電波出力レベルの低下により基地局120cへハンドオーバさせ、配下の通信サービス利用携帯端末数を減少させた基地局120bは、ハンドオーバさせた携帯端末の情報を監視システム100に通知する(13−8)。監視システム100は、基地局120bから通知された携帯端末の情報を救済情報データベース290に保存する(13−9)。
その後、監視システム100は、基地局120bに対し、電波出力レベルの増強及び管理端末数の増加を実施させる指示を行う(13−10)。基地局120bは、電波出力レベルの増強及び管理端末数の増加の指示を受信すると、電波の出力レベルを増大させ、管理端末数の閾値を大きな値に設定する(13−11)。
これにより、基地局120bからの報知情報が携帯端末120aで受信され、携帯端末120aからの位置登録要求が基地局120bで受信され(13−12)、携帯端末130aが基地局120bへハンドオーバすることができるようになる。その結果、通信サービスの利用が不可となった携帯端末130aは、基地局120bを介して通信サービスを受けられるようになり、救済される。
基地局120bは、ハンドオーバにより救済した携帯端末130aの端末情報を救済端末情報として、監視システム100に通知する(13−13)。監視システム100は、基地局120bから救済端末情報を受信すると、救済情報データベース290に該救済端末情報を保存する(13−14)。これにより、監視システム100は、救済された携帯端末を把握することができる。
図14は、障害基地局の復旧後の動作シーケンス例を示す。機能停止状態となっていた基地局120aの機能が復旧し、報知情報の電波の送信を開始したとする。生存基地局120bの管理配下に移動した携帯端末130aは、基地局120aからの電波を受信する(14−1)。
携帯端末130aは、受信した基地局120aからの報知情報が、以前、受信電波レベルがゼロとなった基地局のものかどうかを、周辺基地局データベース600を検索して判定する。受信電波レベルがゼロとなった基地局のものと判定された場合、携帯端末130aは、基地局120aが復旧したと判断し、基地局120aの基地局情報を基地局120bに通知する(14−2)。
基地局120bは、携帯端末携帯端末130aから、基地局120aの基地局情報を受信すると、該基地局情報を監視システム100に通知する(14−3)。監視システム100は、該基地局情報の通知を受けると、携帯端末130bを管理している基地局120cに対し、該携帯端末130bの基地局120bへのハンドオーバを制限する制御情報の削除を指示する信号を送信する(14−4)。
基地局120cは、該制御情報削除の指示を受信すると、携帯端末130bに対し、基地局120bへのハンドオーバを制限する制御情報の削除を指示する(14−5)。携帯端末120bは、該制御情報の削除の指示を受信すると、制御情報データベース620に蓄積されている基地局120bへのハンドオーバ制限の制御情報を削除する(14−6)。
携帯端末130bは、該ハンドオーバ制限の制御情報の削除の完了を基地局120cへ通知し(14−7)、基地局120cは、該通知を受けると、その旨を監視システム100へ通知する(14−8)。これにより、携帯端末130bは、基地局120bへのハンドオーバの実施が可能となり(14−9)、また、携帯端末130aは、復旧した基地局120aへのハンドオーバも可能になる(14−10)。
図15は、基地局の異常を検知する携帯端末の動作フロー例を示す。携帯端末130a及び携帯端末130bは、基地局120aから定期的に送信される報知情報が通信処理部530で受信されるか監視している(15−1)。基地局120aが機能停止状態となった場合、基地局120aからの電波出力レベルは瞬時にゼロとなり、携帯端末130a及び携帯端末130bは、それを電波0基地局検出部504で検知する(15−2)。
携帯端末130a及び携帯端末130bは、基地局からの受信する電波レベルがゼロであることを電波0基地局監視部510で一定時間監視し(15−3)、一定時間継続していると確認すると、受信電波レベルがゼロとなった基地局識別情報(ID)を、周辺基地局データベース600に保存する(15−4)。
携帯端末130a及び携帯端末130bは、基地局120a以外から報知情報の電波が受信される基地局が存在するか否かを確認する(15−5)。電波が受信される他の基地局120bが存在すると判断した携帯端末130bは、受信電波レベルがゼロとなった基地局120aの基地局識別情報(ID)を障害情報として、電波0基地局情報送信部512から、基地局120bに送信する(15−6)。電波が受信される他の基地局120bが存在しないと判断した携帯端末130aは、端末検出用信号制御部521を端末検出用信号受信状態に遷移させる(15−7)。
図16は、基地局の障害を検知する他の基地局の動作フロー例を示す。図16の(a)を参照して、基地局120b自身が検知する動作フロー例について説明する。基地局120bは、周辺基地局監視部320により、周辺の基地局の通信可否状態を定期的に監視している(16−1)。機能停止により基地局120aが通信不可の状態となっていることを検知すると(16−2)、一定時間、通信不可が継続しているか否かを確認する(16−3)。
通信不可が一定時間継続していると判断した場合、機能停止状態となった基地局120aの基地局識別情報(ID)を周辺基地局データベース430に保存する(16−4)。その後、基地局120bは、監視システム100と通信可能か否かを判定し(16−5)、通信可能と判定した場合、通信不可周辺基地局情報送信部301により、機能停止状態となった基地局識別情報(ID)を監視システム100に送信する(16−6)。
次に、図16の(b)を参照して、携帯端末130bからの通知により基地局120aの障害を検知する動作フロー例について説明する。基地局120bは、電波0基地局障害情報受信部310により、携帯端末130bからも基地局120aの障害情報を受信することができる。
基地局120bは、携帯端末からの基地局の障害情報の受信を監視する(16−7)。障害基地局120aの通信不可を検知した携帯端末130bから、基地局120aの障害情報を受信すると(16−8)、基地局120aの基地局識別情報(ID)を周辺基地局データベース430に保存する(16−9)。
その後、基地局120bは、監視システム100と通信可能か否か判定し(16−10)、通信可能な場合、監視システム100に対し、通信不可周辺基地局情報送信部301により、通信不可となった基地局識別情報(ID)を監視システム100に送信する(16−11)。
図17及び図18は、監視システム100における基地局障害の判断の動作フロー例を示す。監視システム100は、基地局障害情報受信部240により、基地局120b又は携帯端末130aから通知される基地局の障害情報を監視している(17−1)。監視システム100は、基地局120aの障害情報を受信すると(17−2)、通信不可となった基地局120aの基地局識別情報(ID)を周辺基地局データベース280に保存する(17−3)。
そして、監視システム100は、情報収集部202により、基地局位置情報データベース170を参照し、障害エリア特定部203により、通信不可となった基地局120aの基地局識別情報(ID)から障害基地局エリアを特定する(17−4)。特定したエリア名称を周辺基地局データベース280に保存する(17−5)。監視システム100は、災害情報取得部201により、気象庁等の災害情報データベース160からも災害情報を取得し、災害が発生しているかを確認する(17−6)。
監視システム100は、災害情報データベース160から取得した災害情報を基に、基地局120aの障害検知の時刻の直前に災害が発生したか否かを判定し(18−1)、直前に災害が発生したと判定される場合、障害−災害エリア比較部204により、通信不可となった基地局120aのエリアと、災害発生のエリアとを比較する(18−2)。
そして、両者のエリアが一致するか否かを判定し(18−3)、両者のエリアが一致する場合、基地局120b又は携帯端末130bからの通知は正しく、基地局120aのエリアに災害が発生し、基地局120aが継続的に通信不可の状態となったと判断する(18−4)。その後、監視システム100は、基地局120a配下の携帯端末130aに対する通信の救済処理を行う。
一方、障害−災害エリア比較部204により比較した結果、通信不可となった基地局120aのエリアと、災害発生のエリアとが一致しない場合、救済判断部205により、基地局位置情報データベース170及び地図情報データベース180を参照し、通信不可となった基地局周辺の地形が、通信障害を起こしやすい地形か否かを評定する(18−5)。
通信不可となった基地局周辺の地形が、例えば、トンネル等のように、急激に受信電波を悪化させる障害物が存在する地形か否かを判定し(18−6)、そのような地形ではないと判定した場合、基地局120b又は携帯端末130bからの通知は正しく、基地局120aが継続的に通信不可の状態であると判断する(18−4)。その後、監視システム100は、基地局120a配下の携帯端末130aに対する救済処理の指示を行う。
通信不可となった基地局周辺の地形が、トンネル等、急激に受信電波を悪化させる障害物が存在する地形であると判定された場合、通信不可状態として検知した基地局120aの識別情報(ID)が、過去の一定期間内に所定の回数以上、通信不可状態として検知された基地局の識別情報(ID)と一致するかを、周辺基地局データベース280を用いて判定する(18−7)。
通信不可状態として検知した基地局の識別情報(ID)が、過去の一定期間内に所定の回数以上、通信不可状態として検知された基地局の識別情報(ID)と一致する場合(18−8)、基地局120b又は携帯端末130bからの通知は正しく、基地局120aは継続的に通信不可の状態であると判断する(18−4)。その後、監視システム100は、基地局120a配下の携帯端末130aに対する救済処理の指示を行う。
通信不可状態として検知した基地局の識別情報(ID)が、過去の一定期間内に所定の回数以上、通信不可状態として検知された基地局の識別情報(ID)と一致しない場合、基地局120b又は携帯端末130bからの通信障害の通知は、一時的な通信障害の通知と判断し、監視システム100は、基地局120a配下の携帯端末130aの救済処理の指示は行わない(18−9)。
図19は、障害基地局120a配下の携帯端末130aを検出する監視システム100の動作フロー例を示す。監視システム100は、通信不可となった基地局120a配下の携帯端末130aに対し、救済処理を実施するために、救済すべき携帯端末の台数を調査する。
そのために、監視システム100は、基地局位置情報データベース170を参照し、障害基地局120aの周辺の生存基地局120bを検索する(19−1)。検索した生存基地局120bの基地局識別情報(ID)を周辺基地局データベース280に保存する(19−2)。
そして、監視システム100は、端末検出用信号送信部210により、生存基地局120bに対して、端末検出用信号の送信指示を行う(19−3)。監視システム100は、応答信号受信部211により、基地局120bからの指示結果の応答を待ち(19−4)、該指示結果の応答を受信すると(19−5)、応答端末数算出処理部209により、端末検出用信号に応答した携帯端末の台数の集計を行う。そして、該集計の結果を救済情報データベース290に保存する(19−6)。これにより、監視システム100は、救済する携帯端末の台数を把握する。
図20は、障害基地局120a配下の携帯端末130aを検出する基地局120bの動作フロー例を示す。障害基地局120aに隣接する生存基地局120bは、端末検出用信号受信部306により、監視システム100から端末検出用信号の送信指示の受信を監視し(20−1)、該端末検出用信号の送信指示を受信すると、端末検出用信号送信部315により、障害基地局120a配下のエリアに向けて(携帯端末130aに対して)、端末検出用信号を送信する(20−3)。
基地局120bは、端末検出用信号監視部390により、携帯端末130aからの応答信号の受信を監視し(20−4)、端末検出用応答信号受信部314により、応答信号を受信すると(20−5)、受信信号内の携帯端末130aの端末情報を救済情報データベース370に保存する(20−6)。
基地局120bは、端末検出用信号の送信後、一定時間の経過を監視し(20−7)、該一定時間の経過後、端末検出用応答信号送信部305により、監視システム100に対して応答結果を送信する(20−8)。
図21は、障害基地局120a配下の携帯端末130aの検出における携帯端末130aの動作フロー例を示す。障害基地局120a配下の携帯端末130aは、電波が受信されハンドオーバをすることができる基地局が存在しないと判断すると、端末検出用信号制御部521により、端末検出用信号受信状態に遷移し(21−1)、端末検出用信号の受信の監視を行う(21−2)。
端末検出用信号受信部519により、基地局120bからの端末検出用信号が受信されると(21−3)、端末検出用信号制御部521により、端末情報データベース610から130aの端末情報を取得する(21−4)。該端末情報の取得後、端末検出用信号応答信号生成部522により、応答信号を生成し、端末検出用信号応答信号送信部520から、基地局120bに応答信号を送信する(21−5)。これにより、障害基地局120a配下の携帯端末130aは、通信サービス継続不可の状態を監視システム100に通知することができ、救済を受けることが可能となる。
図22は、通信サービス利用不可の携帯端末130aを救済する監視システム100の動作フロー例を示す。救済する携帯端末130aの台数を把握した監視システム100は、携帯端末130aの通信を利用可能な生存基地局120bで救済させるために、救済処理制御部212により、利用可能な生存基地局120bの基地局識別情報(ID)を周辺基地局データベース280から取得する(22−1)。
そして、監視システム100は、処理指示部213により生存基地局120bの電波出力レベルの低下指示を決定し、出力増減指示部214により電波出力レベルの低下の指示のメッセージを生成し、指示送信部217から電波出力レベルの低下の指示を生存基地局120bに送信する(22−2)。
監視システム100は、ハンドオーバ・救済端末数受信部218により、生存基地局120bから他の基地局120cへハンドオーバした携帯端末130bの端末情報を含む指示結果の応答を待ち(22−3)、該応答を受信すると(22−4)、救済処理制御部212により、救済情報データベース290にその端末情報を保存する(22−5)。
その後、監視システム100は、処理指示部213により、生存基地局120bに対し、電波出力レベルを増強させ、管理端末数の閾値を増加させる指示を決定する。そして、出力増減指示部214により電波出力レベルの増強の指示を生成し、管理端末数変更指示部216により管理端末数の閾値増加の指示を生成し、指示送信部217から生存基地局120bに対して、電波出力レベル増大、管理端末数増加の指示を送信する(22−6)。
監視システム100は、ハンドオーバ・救済端末数受信部218により、生存基地局120bから、救済した携帯端末130aの端末情報を含む指示結果の応答を待ち(22−7)、該応答を受信すると(22−8)、救済処理制御部212により、救済情報データベース290に、その端末情報を保存する(22−9)。これにより、監視システム100は、利用可能な生存基地局120bに、通信サービス利用不可となっている携帯端末130aを救済させることができる。
図23及び図24は、通信サービス利用不可の携帯端末130aを救済する基地局120bの動作フロー例を示す。障害基地局120aに隣接する生存基地局120bは、監視システム100からの電波出力レベルの低下の指示の受信を監視し(23−1)、電波出力増減処理指示受信部307で電波出力レベルの低下の指示を受信すると(23−2)、電波出力増減処理部400により電波出力レベルを低下させる処理を行う(23−3)。
その後、基地局120bは、該電波出力レベルの低下により、他の基地局120cへハンドオーバした携帯端末130bからの応答(位置登録)を待ち(23−4)、該応答を携帯位置登録受信部313で受信すると(23−5)、ハンドオーバした携帯端末130bの端末情報を救済情報データベース370に保存する(23−6)。
該保存の後、救済必要数比較処理部380により、ハンドオーバした携帯端末数と、救済に必要な携帯端末数とを比較する(23−7)。ハンドオーバした携帯端末数が、救済を要する携帯端末数よりも少ない場合(23−8no)、基地局120bの電波出力レベルを更に低下させる処理が必要であると判断し、電波出力増減処理部400により、電波出力レベルを更に低下させる処理を行う(23−3)。
一方、ハンドオーバした携帯端末数が、救済を要する携帯端末数よりも多い場合(23−8yes)、基地局120bの電波出力レベルを更に低下させる処理は不要と判断し、救済必要数送信部304により、監視システム100に対して、電波出力レベルの低下の処理結果を送信する(23−9)。
その後、基地局120bは、監視システム100からの電波出力増の指示の受信を監視し(24−1)、電波出力増減処理指示受信部307により、監視システム100からの電波出力レベル増加の指示を受信すると(24−2)、電波出力増減処理部400により、電波の出力レベルを増大させる。また、管理端末数変更指示受信部308により、監視システム100から管理端末数を増加させる変更の指示を受信すると、管理端末数変更処理部410により、管理端末数の閾値を増加させる処理を行う(24−3)。
その後、携帯位置登録受信部313により、救済した携帯端末130aの応答(位置登録)を待ち(24−4)、該応答を受信すると(24−5)、救済した携帯端末130aの端末情報を救済情報データベース370に保存する(24−6)。その後、救済必要数送信部304により、監視システム100に対して、電波出力レベルの増強、管理端末数増加の変更の処理結果を送信する(24−7)。これにより、基地局120bは、通信サービス利用不可となった携帯端末130aを救済することが可能となる。
図25及び図26は、通信サービス利用不可の携帯端末130aの救済時の他の携帯端末130bの動作フロー例を示す。図25は、他の基地局120cへの強制的なハンドオーバの実施時の動作フロー例を示し、図26は、該強制的なハンドオーバ実施後の動作フロー例を示している。
障害基地局120aに隣接する生存基地局120bの配下の携帯端末130bは、生存基地局120bから定期的に送信される報知情報の受信を通信処理部530で監視し、基地局電波状態収集部503で収集している(25−1)。該携帯端末130bは、基地局120bからの電波出力レベルの低下及び強制ハンドオーバの制御情報を電波出力減基地局検出部505で検知すると(25−2)、より受信電波の強い基地局が存在しないか否かを確認する(25−3)。
携帯端末130bは、より電波の強い基地局120cが存在することを確認すると、受信制御情報取得部507により、基地局120bの基地局識別情報(ID)及び制御情報を取得し、取得した基地局識別情報(ID)及び制御情報を、制御情報保存部508により、制御情報データベース620に保存する(25−4)。その後、携帯端末130bは、より受信電波の強い基地局120cへの強制ハンドオーバを実施する(25−5,25−6)。
携帯端末130bは、基地局120cへのハンドオーバの実施完了後、基地局120bの制御情報に基づき、基地局120cへのハンドオーバ実施完了の情報を、ハンドオーバ実施保存部516により、制御情報データベース620に保存する(25−7)。その後、通知部518により、ハンドオーバ完了を基地局120cに通知する(25−8)。これにより、携帯端末130bは、基地局120bに隣接する基地局120cの管理下に移動し、その結果、基地局120bで、通信サービス利用不可となっている携帯端末130aを収容し、救済可能な環境とすることができる。
携帯端末130bが、基地局120cへのハンドオーバを実施した後に、基地局120bの電波出力レベルを増強させたときの動作について次に説明する。携帯端末130bは、基地局からの受信電波を周辺基地局電波状態監視部540で監視する(26−1)。そして、基地局120bからの電波出力レベルが増加したことを、電波出力増基地局検出部506で検知すると(26−2)、制御情報参照部515により、検知した基地局120bの基地局情報が、制御情報データベース620に保存されていないかを確認する(26−3)。
制御情報データベース620に、該基地局120bの制御情報が含まれている場合(26−4yes)、携帯端末130bは、該基地局120bから強制的にハンドオーバした経緯があると判断し、該基地局120bに対してのハンドオーバを行わない(26−5)。
制御情報データベース620に、該基地局120bの制御情報が含まれていない場合(26−4no)、携帯端末130bは、基地局120bに対してハンドオーバ制御部513により通常のハンドオーバを実施する(26−6)。これにより、携帯端末130bが、基地局120bの電波出力レベル増強時に基地局120bへの再ハンドオーバの実施を防ぐことができる。
図27は、通信サービス利用不可の携帯端末130aの救済時の該携帯端末130aの動作フロー例を示す。障害基地局120a配下の携帯端末130aは、基地局から定期的に送信される報知情報を通信処理部530で受信し、基地局電波状態収集部503で収集している(27−1)。
基地局120bからの電波出力レベルが上昇したことを、電波出力増基地局検出部506で検知すると(27−2)、携帯端末130aは、基地局120bへのハンドオーバを実施するために、基地局120bへ位置登録を行う(27−3)。これにより、携帯端末130aは、基地局120bにより救済され、基地局120bを介して通常の運用状態による待ち受け及び通信サービスを受けることができる(27−4)。
図28は、障害基地局復旧時の監視システム100の動作フロー例を示す。監視システム100は、生存基地局120bから、障害基地局120aが復旧したことを示す基地局情報の受信を監視し(28−1)、該基地局情報を受信すると(28−2)、ハンドオーバ端末検索部206で、ホームロケーションレジスタ(HLR)190及び救済情報データベース290を検索することにより、強制ハンドオーバを実施した携帯端末130bの端末情報を抽出する(28−3)。
そして、該端末情報の抽出後、ハンドオーバ端末検索部206で、周辺基地局データベース280を検索することにより、強制ハンドオーバした携帯端末130bを管理している基地局120cを抽出する(28−4)。そして、抽出した基地局120cに対し、制御情報解除送信部215から、制御情報解除(携帯端末130bによる基地局120bへのハンドオーバ制限の解除)の報知を指示する(28−5)。
その後、監視システム100は、制御情報解除端末情報受信部207により、基地局120cからの制御情報解除の指示結果の応答を待ち(28−6)、該指示結果の応答を受信すると(28−7)、該指示結果の応答に含まれる携帯端末130bの端末情報を、救済情報データベース290に保存する(28−8)。これにより、監視システム100は、基地局120bへのハンドオーバを制限していた携帯端末130bに対して、基地局120bへのハンドオーバを可能にする。
図29は、障害基地局復旧時の基地局の動作フロー例を示す。図29の(a)は、基地局120bの動作フロー例を示し、図29の(b)は、基地局120cの動作フロー例を示している。救済した携帯端末130aを収容している基地局120bは、障害基地局復旧通知受信部311で、携帯端末130aからの基地局120aの復旧通知の受信を監視し(29−1)、該復旧通知を受信すると(29−2)、基地局120aの基地局情報を周辺基地局データベース430に保存する(29−3)。
その後、基地局120bは、障害基地局復旧情報送信部302により、監視システム100に対して、復旧した基地局120aの基地局情報を送信する(29−4)。これにより、監視システム100は、基地局120aが復旧したことを把握することができる。
一方、強制ハンドオーバを実施した携帯端末130bを収容している基地局120cは、制御情報解除指示受信部309で、監視システム100からの制御情報解除指示の受信を監視し(29−5)、該制御情報解除指示を受信すると(29−6)、ハンドオーバ端末検索部420により、ホームロケーションレジスタ(HLR)190を検索し、強制的にハンドオーバさせた携帯端末130bを抽出する(29−7)。
強制的にハンドオーバさせた携帯端末130bの抽出の後、制御情報解除指示送信部316により、強制ハンドオーバさせた携帯端末130bに対して、制御解除指示を報知情報に付与して送信する(29−8)。
その後、制御解除通知受信部312で、携帯端末130bからの制御解除(基地局120bへのハンドオーバ制限の解除)の結果の通知の受信を監視し(29−9)、該制御解除の結果の通知を受信すると(29−10)、制御解除通知送信部303から、監視システム100に対して、制御解除結果を通知する(29−11)。これにより、基地局120bへのハンドオーバが制限されていた携帯端末130bが、基地局120bへのハンドオーバを実施することが可能となる。
図30は、障害基地局復旧時の救済された携帯端末130aの動作フロー例を示す。基地局120bに救済された携帯端末130aは、基地局から定期的に送信される報知情報の受信を監視し、基地局電波状態収集部503で収集する(30−1)。そして、電波出力増基地局検出部506で、基地局120aからの電波出力レベルが上昇したことを検知すると(30−2)、周辺基地局情報参照部517により、検知した基地局120aが、以前受信電波レベルがゼロとなった基地局と一致するかを、周辺基地局データベース600を検索してチェックする(30−3)。
検知した基地局120aが、以前受信電波レベルがゼロとなった基地局と一致した場合(30−4yes)、基地局120aの機能停止状態が復旧したと判断し、通知部518から、基地局120bに対して、基地局復旧を通知する(30−5)。これにより、監視システム100は、基地局120bを経由して、基地局120aが復旧したことを把握することができる。
図31は、障害基地局復旧時の救済支援した携帯端末130bの動作フロー例を示す。基地局120cへの強制的なハンドオーバを実施した携帯端末130bは、通信処理部530で、基地局120cからの報知情報に含まれる制御解除指示(基地局120bへのハンドオーバ制限の解除指示)の受信を監視し(31−1)、該制御解除指示を受信すると(31−2)、制御情報削除部514により、制御情報データベース620に含まれる、ハンドオーバ制限対象となっている基地局120bの基地局情報を削除する(31−3)。
該基地局情報の削除後、携帯端末130bは、通知部518から、基地局130cに対して、該制御情報を削除したことを通知する(31−4)。これにより、基地局120bへのハンドオーバが制限されていた携帯端末130bは、基地局120bへのハンドオーバの実施が可能となる。
図32は、監視システム100で保有するデータベースの蓄積情報の例を示す。周辺基地局データベース280は、(1)受信電波出力レベルがゼロの障害基地局を携帯端末が検知した場合に、その基地局に関する情報として、基地局識別子及び検知日時を格納する「受信電波0の基地局情報」と、(2)基地局が通信不可の障害基地局を検知した場合に、その基地局に関する情報として、基地局識別子及び検知日時を格納する「通信不可の基地局情報」と、(3)基地局位置情報データベース170を参照し、携帯端末又は基地局が検知した上記障害基地局の基地局識別子及び設置場所名を格納する「障害基地局のエリア名称」とを保有する。
基地局位置情報データベース170は、(1)上記障害基地局の設置場所とエリア名称を格納する「エリア名称」と、(2)障害基地局の周辺に存在する近隣基地局識別子を格納する「周辺基地局情報」とを有する。災害情報データベース160は、(1)外部システムが保有する災害情報から入手する、発生日時・発生エリア・規模を格納する「災害発生情報」を保有する。
地図情報データベース180は、(1)外部システムが保有する地図情報から入手する、地域名と緯度経度を格納する「エリア名称」と、(2)同じく外部システムが保有する地図情報から地形情報として入手する、トンネル有無、山岳の有無、高層ビル有無を格納する「地形情報」とを保有する。
救済情報データベース290は、(1)通信不可となっている携帯端末の救済を試みた際に、端末検出用信号に応答した携帯端末の情報である、応答した携帯識別子と応答日時、及び応答端末数を格納する「端末検出用信号の応答数」と、(2)強制的にハンドオーバした携帯端末からの応答情報である、ハンドオーバした携帯識別子とハンドオーバ日時、及びハンドオーバ端末数を格納する「ハンドオーバ端末情報」と、(3)通信不可から救済された携帯端末からの応答情報である、救済した携帯識別子と救済日時及び救済端末数を格納する「救済端末情報」とを保有する。
図33は、基地局で保有するデータベースの蓄積情報の例を示す。周辺基地局データベース430は、(1)受信電波レベルがゼロの障害基地局を携帯端末が検知したときに、その基地局に関する情報として、基地局識別子及び検知日時を格納する「受信電波0の基地局情報」と、(2)基地局が通信不可の障害基地局を検知したときに、その基地局に関する情報として、基地局識別子及び検知日時を格納する「通信不可の基地局情報」とを保有する。
救済情報データベース370は、(1)通信不可となっている携帯端末の救済を試みた際に、端末検出用信号に応答した携帯端末の情報である、応答した携帯識別子、応答日時、及び応答端末数を格納する「端末検出用信号の応答数」と、(2)強制的にハンドオーバさせた携帯端末からの応答情報である、ハンドオーバを実施した携帯端末の識別子とハンドオーバ日時、及びハンドオーバ端末数を格納する「ハンドオーバ端末情報」と、(3)通信不可の状態から救済された携帯端末からの応答情報である、救済した携帯識別子、救済日時、及び救済端末数を格納する「救済端末情報」とを保有する。
図34は、携帯端末において保有するデータベースの蓄積情報の例を示す。周辺基地局データベース600は、(1)受信電波レベルがゼロの障害基地局を携帯端末が検知した場合に、その基地局に関する情報として、基地局識別子及び検知日時を格納する「受信電波0の基地局情報」を保有する。
制御情報データベース620は、(1)強制的なハンドオーバの実施前の基地局識別子を格納する「ハンドオーバ前情報」と、(2)強制的なハンドオーバの実施後の基地局識別子、ハンドオーバ日時、及びハンドオーバ実施結果を格納する「ハンドオーバ後情報」とを保有する。
端末情報データベース610は、(1)端末検出用信号受信状態に遷移した携帯端末が、端末検出用信号の応答を返す際に必要となる、端末識別子及び在圏していたエリアを格納する「端末情報」を保有する。
以上説明したように、開示の監視システムは、基地局障害発生時に、障害基地局配下の携帯端末を把握し、生存基地局にて救済することにより、通信サービスの続行を実現することができる。また、基地局は、監視システムからの指示により、電波出力レベルの増減を行い、又は管理端末数を変更(増加)することにより、障害基地局配下の携帯端末を受け入れることが可能とる。
また、通信不能状態の携帯端末は、端末検出用信号の応答信号を送信することにより、障害基地局から隣接基地局へのハンドオーバにより通信が救済され、通信サービスを続行することが可能となる。また、救済を行う隣接基地局の配下の通信可能状態の携帯端末は、該隣接基地局から更に別の隣接基地局へのハンドオーバを実施することにより、救済する隣接基地局において、自局配下の制御中又は通信中の携帯端末の台数が、管理可能な上限に達している場合でも、管理中の端末数を減らすことができ、該隣接基地局により、障害基地局配下の携帯端末の通信を救済することが可能となる。
また、通信サービスを受ける携帯端末側で、在圏基地局の障害を検知し、該障害基地局を監視システムに通知することができるため、上位の監視システムでは把握することができない通信サービスの障害を把握することが可能となる。
以上の実施例を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
移動体通信に利用される複数の基地局のうち、一又は複数の基地局が障害状態となったとき、該障害状態となった基地局(以下、障害基地局という)を監視システムで検知し、特定するステップと、
前記障害基地局に隣接する、障害状態でない基地局(以下、生存基地局という)に対して、前記障害基地局配下のエリアに端末検出用信号を送信させ、該端末検出用信号に対する前記障害基地局配下の通信不能端末からの応答信号を前記監視システムに返送させるステップと、
前記監視システムにおいて、前記応答信号を基に、通信不能端末の台数を算定し、該算定した台数に基づいて所定台数の端末との通信を可能とする指示を、前記生存基地局に対して送信するステップと、
を含むことを特徴とする移動体通信救済方法。
(付記2)
前記生存基地局において、前記所定台数の端末との通信を可能とする指示を受信すると、送信電波の出力レベルを一旦低下させると共に、該生存基地局配下の端末に対して、該生存基地局の配下へのハンドオーバを実施させないよう、ハンドオーバを制限するよう制御した後、送信電波の出力レベルを上昇させるステップを含むことを特徴とする付記1に記載の移動体通信救済方法。
(付記3)
前記障害基地局の通信異常を前記生存基地局で検知し、該生存基地局から該障害基地局の情報を前記監視システムに通知し、又は、該障害基地局の通信異常を、該障害基地局配下の端末で検知し、該障害基地局の情報を、前記生存基地局を介して前記監視システムに通知するステップと、
前記監視システムにおいて、前記生存基地局又は前記端末から通知された障害基地局の情報、及び外部システムから取得した災害情報又は地形情報を含む複数の情報を基に、継続的な障害状態の基地局を検知し特定するステップと、
を含むことを特徴とする付記1に記載の移動体通信救済方法。
(付記4)
移動体通信に利用される複数の基地局に対して、障害情報の収集及び指示情報の送信を行う監視システムであって、
障害状態となった基地局(以下、障害基地局という)の情報の通知を受信する受信手段と、
前記障害基地局に隣接する、障害状態でない基地局(以下、生存基地局という)に対して、前記障害基地局配下のエリアに端末検出用信号を送信させ、該障害基地局配下の端末からの該端末検出用信号に対する応答信号を返送させる指示を送信し、該返送された応答信号を基に、通信不能端末の台数を算定する通信不能端末検出手段と、
前記算定した台数に基づいて所定台数の端末との通信を可能とする指示を、前記生存基地局に対して送信する救済処理手段と、
を備えたことを特徴とする移動体通信の監視システム。
(付記5)
前記所定台数の端末との通信を可能とする指示として、前記生存基地局の送信電波の出力レベルを一旦低下させると共に、該生存基地局配下の端末に対して、該生存基地局の配下へのハンドオーバを実施させないよう、ハンドオーバを制限するよう制御した後、送信電波の出力レベルを上昇させる指示を送信する手段を備えたことを特徴とする付記4に記載の移動体通信の監視システム。
(付記6)
前記障害基地局の情報の通知を、前記生存基地局から、又は該障害基地局配下の端末から該生存基地局を介して受信する基地局障害情報の受信手段と、
前記生存基地局又は前記端末から通知された障害基地局の情報、及び外部システムから取得した災害情報又は地形情報を含む複数の情報を基に、継続的な障害状態の基地局を検知し特定する障害情報監視手段と、
を備えたことを特徴とする付記4に記載の移動体通信の監視システム。
(付記7)
移動体通信に利用される基地局であって、
隣接する障害状態の基地局(以下、障害基地局という)との通信異常の検知により検出した障害基地局の情報、又は、該障害基地局配下の端末で検知され、該端末から通知された障害基地局の情報を、監視システムに通知する障害基地局情報送信手段と、
前記監視システムから通知される指示に従って、前記障害基地局配下のエリアに端末検出用信号を送信し、該端末検出用信号に対する前記障害基地局配下の通信不能端末からの応答信号を受信し、該応答信号を前記監視システムに返送する通信不能端末検出の処理手段と、
前記応答信号を基に通信不能端末の台数を算定した前記監視システムからの、所定台数の端末との通信を可能とする指示に従い、該算定した台数の端末を収容する救済処理手段と、
を備えたことを特徴とする移動体通信の基地局。
(付記8)
前記救済処理手段は、送信電波の出力レベルを一旦低下させると共に、該生存基地局配下の端末に対して、該生存基地局の配下へのハンドオーバを実施させないよう、ハンドオーバを制限するよう制御した後、送信電波の出力レベルを上昇させる手段を備えたことを特徴とする付記7に記載の移動体通信の基地局。
(付記9)
移動体通信に利用される端末装置であって、
障害状態の基地局(以下、障害基地局という)の配下に在圏し、移動体通信のサービスを利用することができない場合、該障害基地局に隣接する、障害状態でない基地局(以下、生存基地局という)から送信される端末検出用信号を受信したとき、該端末検出用信号に対して、応答信号を前記生存基地局に返送する応答送信手段と、
前記生存基地局から送信される報知情報を受信したとき、該生存基地局へのハンドオーバを実施するハンドオーバ実施手段と、
を備えたことを特徴とする移動体通信の端末装置。
(付記10)
前記障害基地局との通信異常を検知し、該障害基地局の情報を、前記生存基地局を介して監視システムに通知する送信手段を備えたことを特徴とする付記9に記載の移動体通信の端末装置。
(付記11)
前記生存基地局からの送信電波の出力レベルの低下により、他の基地局へのハンドオーバを実施すると共に、該生存基地局から通知される、該生存基地局の配下へのハンドオーバを制限する制御情報に従って、該生存基地局の送信電波の出力レベルの上昇時に、該生存基地局の配下へのハンドオーバを制限するハンドオーバ制限手段を備えたことを特徴とする付記9に記載の移動体通信の端末装置。