JP2012189041A - ディーゼルエンジン - Google Patents

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Abstract

【課題】低負荷運転時におけるCO及び未燃HCの低減効果と、高負荷運転時における黒煙の低減効果とを向上させる。
【解決手段】キャビティ部22のリップ部には、ピストン頂面の外周部24(バルブリセス26が形成されていない部分28)に対してシリンダ下側へ窪んで段差を成す段付部30がシリンダ周方向の全周に渡って形成され、バルブリセス26の形成された位置での段差が、バルブリセス26の形成されていない位置での段差より小さい。ピストン頂面の外周部24(バルブリセス26が形成されていない部分28及び各バルブリセス26の底面26a)と段付部30の底面30aとをシリンダ周方向の全周に渡って繋ぐ段付部30の内側面30bの内径は、段付部30の底面30a側からピストン頂面の外周部24側へ向かうにつれて徐々に増加する。
【選択図】図4

Description

本発明は、ディーゼルエンジンに関し、特に、シリンダ内に面するピストン頂面の中央部に燃料の噴射されるキャビティが形成されたディーゼルエンジンに関する。
この種のディーゼルエンジンの関連技術が下記特許文献1,2に開示されている。特許文献1のディーゼルエンジンにおいては、ピストン頂面の中央部に凹設したキャビティのリップ部の上面に、段差を有した凹部であり、底面及び段差面を有する空気溜り部を凹設している。逆スキッシュ流により吹き上がった火炎は空気溜り部にある空気によって燃焼を完結することで、スモークの発生を防いでいる。
特許文献2のディーゼルエンジンにおいては、ピストン頂面に燃焼室の大半を成すように窪むキャビティを備え、キャビティの開口の外周部にピストン頂面に対し所要深さだけ窪んで段差を成す抉り部を設けることで、ピストン頂面から一段下がった位置に入口リップ部が形成されるように構成している。ピストン頂面から一段下がった位置にあるリップ先端により噴霧が上下に分割され、低速時には、スキッシュエリアへの燃料分配量を増やし、キャビティ内に燃料が多量に留まることを防いで黒煙を低減している。抉り部をシリンダ外側に向かう燃料はシリンダ上向きの流れを形成し、ピストン下降動作と相まって縦向きの旋回渦をスキッシュエリア内で形成し、スキッシュエリア内での拡散を促進している。
特開2001−207853号公報 特開2007−211644号公報
Philipp Adomeit他,"Potential Soot and CO Reduction for HSDI Diesel Combustion Systems",SAE Paper 2006-01-1417,Society of Automotive Engineers,2006
ディーゼルエンジンにおいては、燃料の着火遅れを減らして燃焼騒音を低減するために、燃料の主噴射(メイン噴射)に先行してパイロット噴射が行われる。圧縮行程時(特に圧縮行程後期)には、スキッシュエリアのガスがピストンの上死点側への移動により押し出されてキャビティに流入することでスキッシュ流が発生するため、パイロット噴霧がこのスキッシュ流に煽られて拡散する。そして、膨張行程時(特に膨張行程前期)には、ピストンの下死点側への移動により、キャビティからスキッシュエリアにガスが流出する逆スキッシュ流が発生するため、パイロット噴霧の着火による火炎がこの逆スキッシュ流に煽られて拡散する。そのため、低負荷運転時にパイロット噴射を行う場合に、スキッシュ流速や逆スキッシュ流速が高くなり過ぎることで、パイロット噴霧・火炎が過拡散すると、CO(一酸化炭素)が瞬時に酸化されるのに必要な温度まで燃焼温度が達しないことで、燃料中の炭素原子の酸化過程がCOで止まり、CO2(二酸化炭素)まで酸化されずに排出されることになる。同様に、未燃HC(炭化水素)についても、酸化に必要な温度まで達せず排出されることになる。また、高負荷運転時に、逆スキッシュ流速が高くなり過ぎると、圧縮上死点後に燃料噴霧が逆スキッシュ流に煽られることで、キャビティからスキッシュエリアへ拡散する燃料噴霧が増加し、スキッシュエリアに燃料噴霧の濃い領域が局所的に形成されて黒煙の増加を招きやすくなる。
特許文献1,2においては、キャビティのリップ部に段付部(特許文献1では空気溜り部、特許文献2では抉り部)を設け、燃料噴霧の燃焼を段付部で促進させることで、黒煙の低減を図っている。ただし、吸気弁や排気弁とピストンとの干渉を防ぐために、ピストン頂面におけるキャビティより外周部にバルブリセス(窪み)を部分的に形成した場合は、段付部とバルブリセスが互いに干渉することになり、段付部の段差は、バルブリセスの形成された位置での段差がバルブリセスの形成されていない位置での段差より小さくなることで、シリンダ周方向に関して変動する。その結果、シリンダ周方向に関してバルブリセスの形成された位置とバルブリセスの形成されていない位置とで、段付部での流れが大きく変動することで、燃料噴霧の燃焼を段付部で促進させる効果も大きく変動する。
本発明に係るディーゼルエンジンは、ピストン頂面におけるキャビティより外周部にバルブリセスが部分的に形成される場合に、低負荷運転時におけるCO及び未燃HCの低減効果と、高負荷運転時における黒煙の低減効果とを向上させることを目的とする。
本発明に係るディーゼルエンジンは、上述した目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明に係るディーゼルエンジンは、シリンダ内に面するピストン頂面の中央部に燃料の噴射されるキャビティが形成され、ピストン頂面におけるキャビティより外周部にバルブリセスが部分的に形成され、燃料の主噴射に先行してパイロット噴射を行うディーゼルエンジンであって、キャビティのリップ部には、ピストン頂面の外周部に対して窪んで段差を成す段付部であって、バルブリセスの形成された位置での段差がバルブリセスの形成されていない位置での段差より小さい段付部がシリンダ周方向の全周に渡って形成されており、ピストン頂面の外周部におけるバルブリセスの形成されていない部分及びバルブリセスの底面と、段付部の底面とをシリンダ周方向の全周に渡って繋ぐ段付部の内側面の内径が、段付部の底面側からピストン頂面の外周部側へ向かうにつれて徐々に増加することを要旨とする。
本発明の一態様では、段付部における内側面のシリンダ径方向幅と底面のシリンダ径方向幅との比が2以上であることが好適である。
本発明によれば、ピストン頂面におけるキャビティより外周部にバルブリセスが部分的に形成される場合に、シリンダ周方向に関してバルブリセスの形成された位置とバルブリセスの形成されていない位置とで、スキッシュ流及び逆スキッシュ流が変動するのを抑えることで、低負荷運転時にパイロット噴霧・火炎の過拡散を段付部で抑える効果が変動するのを抑えることができるとともに、高負荷運転時に燃料噴霧の燃焼を段付部で促進させる効果が変動するのを抑えることができる。その結果、低負荷運転時におけるCO及び未燃HCの低減効果と、高負荷運転時における黒煙の低減効果とを向上させることができる。
本発明の実施形態に係るディーゼルエンジンの概略構成を示す図である。 本発明の実施形態に係るディーゼルエンジンの概略構成を示す図である。 本発明の実施形態に係るディーゼルエンジンの概略構成を示す図である。 本発明の実施形態に係るディーゼルエンジンの概略構成を示す図である。 本発明の実施形態に係るディーゼルエンジンの概略構成を示す図である。 キャビティ部のリップ部に形成された段付部の内側面がシリンダ軸線方向に沿った円筒面であるディーゼルエンジンの構成例を示す図である。 キャビティ部のリップ部に形成された段付部の内側面がシリンダ軸線方向に沿った円筒面であるディーゼルエンジンの構成例を示す図である。 キャビティ部のリップ部に形成された段付部の内側面がシリンダ軸線方向に沿った円筒面であるディーゼルエンジンの構成例を示す図である。 本発明の実施形態に係るディーゼルエンジンのCO低減効果を確認した実験結果を示す図である。 本発明の実施形態に係るディーゼルエンジンの未燃HC低減効果を確認した実験結果を示す図である。 本発明の実施形態に係るディーゼルエンジンのNOx低減効果を確認した実験結果を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下実施形態という)を図面に従って説明する。
図1〜4は、本発明の実施形態に係るディーゼルエンジン(圧縮着火式内燃機関)10の概略構成を示す図である。図1は全体構成の概略を示し、図2はシリンダ上側から見たピストン12の頂面の概略構成を示し、図3は図2のA−A断面図を示し、図4は図2のB−B断面図を示す。図1では、1気筒分の構成を示しているが、多気筒の場合も同様の構成である。ディーゼルエンジン10は、例えばピストン−クランク機構を用いて構成可能である。ディーゼルエンジン10では、吸気行程にて吸気ポート14からシリンダ11内に吸気(空気)が吸入され、圧縮行程にてシリンダ11内に吸入された吸気がピストン12により圧縮される。ここでは、シリンダ11内への吸気を図示しないターボチャージャー等の過給器で加圧することもできる。そして、例えばピストン12が圧縮上死点付近に位置するときに燃料(例えば軽油等の液体燃料)をインジェクタ13からシリンダ11内に直接噴射することで、シリンダ11内の燃料が自着火して燃焼(ディーゼル燃焼)する。燃焼後の排出ガスは、排気行程にて排気ポート15へ排出される。ディーゼルエンジン10においては、排気ポート15と吸気ポート14とを繋ぐ還流通路16が設けられており、燃焼後の排出ガスの一部が還流通路16を通って吸気ポート14(吸気側)へEGRガスとして供給される排気再循環(EGR)が行われる。還流通路16にはEGR制御弁17が設けられており、EGR制御弁17の開度を制御することで、排気ポート15から吸気ポート14への排出ガス(EGRガス)の還流量が制御され、吸気側へ供給され筒内に吸入されるEGRガス量(EGR率)が制御される。
図2〜4に示すように、シリンダ11内に面するピストン12の頂面の中央部には、キャビティ部22が形成されている。図2〜4に示す例では、キャビティ部22の形状がリエントラント型であり、キャビティ部22の外周部の深さがキャビティ部22の中央部の深さよりも大きい。インジェクタ13は、その先端部がキャビティ部22の中央部に臨む状態でシリンダヘッド9に配置されている。圧縮上死点付近にてインジェクタ13の先端部に形成された噴孔13aからキャビティ部22の外周部へ向けて燃料が放射状に噴射され、キャビティ部22が燃焼室として機能する。
ピストン12の頂面におけるキャビティ部22より外周部24には、複数のバルブリセス(窪み)26が部分的に形成されている。バルブリセス26の深さは、キャビティ部22の深さよりも小さい。図2〜4に示す例では、2つの吸気弁及び2つの排気弁に対応して4つのバルブリセス26がピストン頂面の外周部24に形成され、シリンダ周方向に関して4つのバルブリセス26が互いに間隔をおいて配置されている。吸気弁及び排気弁に挟み角がある場合は、各バルブリセス26の深さは、シリンダ軸線方向及びクランクシャフト軸線方向と直交する方向(図2の左右方向)に関して、内側から外側へ向かうにつれて徐々に大きくなり、各バルブリセス26の底面26aは、ピストン頂面の外周部24(バルブリセス26が形成されていない部分28)に対して、図2の左右方向の内側から外側にかけてシリンダ下側へ傾斜して形成される。
本実施形態では、キャビティ部22のリップ部には、ピストン頂面の外周部24(バルブリセス26が形成されていない部分28)に対してシリンダ下側へ窪んで段差を成す段付部30がシリンダ周方向の全周に渡って形成されている。段付部30の底面30aは、シリンダ軸線方向にほぼ垂直な面であり、その内周端部にてキャビティ部22の内側面22aのシリンダ上側端部とシリンダ周方向の全周に渡って繋がれている。段付部30の内側面(段差面)30bは、シリンダ下側端部にて段付部30の底面30aの外周端部とシリンダ周方向の全周に渡って繋がれ、シリンダ上側端部にてピストン頂面の外周部24(バルブリセス26が形成されていない部分28及び各バルブリセス26の底面26a)の内周端部とシリンダ周方向の全周に渡って繋がれている。段付部30の段差は、内側面30bのシリンダ上側端部とシリンダ下側端部との高さ差で表され(図5のH参照)、バルブリセス26の形成された位置での段差(バルブリセス26の底面26aの内周端部と段付部30の底面30aとの高さ差)が、バルブリセス26の形成されていない位置での段差(バルブリセス26が形成されていない部分28と段付部30の底面30aとの高さ差)より小さくなる。
さらに、本実施形態では、ピストン頂面の外周部24(バルブリセス26が形成されていない部分28及び各バルブリセス26の底面26a)と段付部30の底面30aとをシリンダ周方向の全周に渡って繋ぐ段付部30の内側面30bは、その内径が段付部30の底面30a側(シリンダ下側)からピストン頂面の外周部24側(シリンダ上側)へ向かうにつれて徐々に増加するように、シリンダ軸線方向に対してその下側から上側にかけてシリンダ外周側へ傾斜して形成されたテーパ面である。さらに、段付部30における内側面30bのシリンダ径方向幅と底面30aのシリンダ径方向幅との比が2以上に設定されている。段付部30の内側面30bのシリンダ径方向幅は、内側面30bのシリンダ上側端部の直径(外周部24の内周端部の直径、図5のD3参照)と内側面30bのシリンダ下側端部の直径(底面30aの外周端部の直径、図5のD2参照)との差を2で割った値(D3−D2)/2で表される。段付部30の底面30aのシリンダ径方向幅は、底面30aの外周端部の直径(内側面30bのシリンダ下側端部の直径)D2と底面30aの内周端部の直径(キャビティ部22の直径、図5のD1参照)との差を2で割った値(D2−D1)/2で表される。つまり、(D3−D2)/(D2−D1)が2以上に設定されている。図2〜4は、その一例として、段付部30における内側面30bのシリンダ径方向幅(D3−D2)/2と底面30aのシリンダ径方向幅(D2−D1)/2との比(D3−D2)/(D2−D1)が2.0である場合を示している。
ディーゼルエンジン10において、拡散燃焼(ディーゼル燃料)を行う場合には、燃料の着火遅れを減らして燃焼騒音を低減するために、燃料の主噴射(メイン噴射)に先行してパイロット噴射が行われる。ここでのパイロット噴射は、圧縮上死点前(例えば圧縮上死点前30°以降)に単発もしくは複数回に分けて行われる。圧縮行程時(特に圧縮行程後期)には、ピストン頂面の外周部24とシリンダヘッド9の下面との間に形成されるスキッシュエリア32のガスがピストン12の上死点側への移動により押し出されてキャビティ部22に流入することでスキッシュ流が発生するため、パイロット噴霧がこのスキッシュ流に煽られて拡散する。そして、膨張行程時(特に膨張行程前期)には、ピストン12の下死点側への移動により、キャビティ部22からスキッシュエリア32にガスが流出する逆スキッシュ流が発生するため、パイロット噴霧の着火による火炎がこの逆スキッシュ流に煽られて拡散する。そのため、低負荷運転時(例えば図示平均有効圧力100kPa未満)にパイロット噴射を行う場合に、スキッシュ流速や逆スキッシュ流速が高くなり過ぎることで、パイロット噴霧・火炎が過拡散すると、CO(一酸化炭素)が瞬時に酸化されるのに必要な温度(1500K程度)まで燃焼温度が達しないことで、燃料中の炭素原子の酸化過程がCOで止まり、CO2(二酸化炭素)まで酸化されずに排出されることになる。同様に、未燃HC(炭化水素)についても、酸化に必要な温度まで達せず排出されることになる。また、高負荷運転時に、逆スキッシュ流速が高くなり過ぎると、圧縮上死点後に燃料噴霧が逆スキッシュ流に煽られることで、キャビティ部22からスキッシュエリア32へ拡散する燃料噴霧が増加し、スキッシュエリア32に燃料噴霧の濃い領域が局所的に形成されて黒煙の増加を招きやすくなる。
これに対して本実施形態では、キャビティ部22のリップ部に段付部30を設けることで、圧縮上死点前ではスキッシュ流速を段付部30で低減してパイロット噴霧の過拡散を抑えることができ、圧縮上死点後では逆スキッシュ流速を段付部30で低減してパイロット噴霧の着火による火炎の過拡散を抑えることができる。したがって、低負荷運転時に、燃焼温度をCO及び未燃HCの酸化に必要な温度以上に上昇させることができ、CO及び未燃HCを低減することができる。その結果、CO排出量を増やすことなくEGR量を増やすことで、窒素酸化物(NOx)を低減することができる。また、高負荷運転時には、圧縮上死点後では逆スキッシュ流速を段付部30で低減してキャビティ部22からスキッシュエリア32への燃料噴霧の拡散を段付部30で抑えることができ、スキッシュエリア32に燃料噴霧の濃い領域が局所的に形成されるのを抑えることができる。したがって、高負荷運転時に、燃料噴霧の燃焼を段付部30で促進させることができ、黒煙を低減することができる。
ただし、ピストン頂面の外周部24にバルブリセス26が部分的に形成されている場合は、段付部30とバルブリセス26が互いに干渉することになり、段付部30の段差Hは、バルブリセス26の形成された位置での段差がバルブリセス26の形成されていない位置での段差より小さくなることで、シリンダ周方向に関して変動する。図6〜8に示すように、段付部30の内側面30bがシリンダ軸線方向に沿った円筒面である場合には、バルブリセス26の形成されていない位置での逆スキッシュ流は、図7の矢印Aに示すように、段付部30の内側面30bでシリンダ上向きに曲げられるのに対して、バルブリセス26の形成された位置での逆スキッシュ流は、図8の矢印Bに示すように、内側面30bの高さが不足するために、シリンダ上向きへあまり曲げられずにシリンダ外向きへ流れる。したがって、図6〜8に示す場合は、シリンダ周方向に関してバルブリセス26の形成された位置とバルブリセス26の形成されていない位置とで、逆スキッシュ流の方向及び速度が大きく変動することで、高負荷運転時に燃料噴霧の燃焼を段付部30で促進させる効果も大きく変動する。その結果、高負荷運転時に黒煙を低減する効果が低下する。同様に、スキッシュ流についても、シリンダ周方向に関してバルブリセス26の形成された位置とバルブリセス26の形成されていない位置とで、気流方向及び速度が大きく変動することで、低負荷運転時にパイロット噴霧の過拡散を段付部30で抑える効果も大きく変動する。その結果、低負荷運転時にCO及び未燃HCを低減する効果も低下する。
これに対して本実施形態では、段付部30の内側面30bを、段付部30の底面30a側からピストン頂面の外周部24側にかけてシリンダ外周側へ傾斜させたスロープ形状にすることで、バルブリセス26の底面26aのシリンダ内周よりの部分を削り取った形状としている。これによって、バルブリセス26の形成されていない位置での逆スキッシュ流は、図3の矢印Aに示すように、段付部30の内側面30bに沿って僅かにシリンダ上向きに傾いたほぼシリンダ外向きへの流れとなる。そして、バルブリセス26の形成された位置での逆スキッシュ流も、図4の矢印Bに示すように、段付部30の内側面30bに沿って僅かにシリンダ上向きに傾いたほぼシリンダ外向きへの流れとなり、段付部30の内側面30bとバルブリセス26の底面26aとを結ぶ位置が図6〜8に示す場合と比較してシリンダ外周側に位置するため、バルブリセス26による気流方向の変化は小さくなる。したがって、シリンダ周方向に関してバルブリセス26の形成された位置とバルブリセス26の形成されていない位置とで、逆スキッシュ流の方向及び速度が変動するのを抑えることができ、高負荷運転時に燃料噴霧の燃焼を段付部30で促進させる効果が変動するのも抑えることができる。その結果、高負荷運転時に黒煙を低減する効果を向上させることができる。同様に、スキッシュ流についても、シリンダ周方向に関してバルブリセス26の形成された位置とバルブリセス26の形成されていない位置とで、気流方向及び速度が変動するのを抑えることができ、低負荷運転時にパイロット噴霧の過拡散を段付部30で抑える効果が変動するのも抑えることができる。その結果、低負荷運転時にCO及び未燃HCを低減する効果を向上させることができる。
なお、シリンダ周方向に関してバルブリセス26の形成された位置とバルブリセス26の形成されていない位置とで、逆スキッシュ流とスキッシュ流の方向及び速度が変動するのを抑える効果をより向上させるためには、段付部30における内側面30bのシリンダ径方向幅(D3−D2)/2を底面30aのシリンダ径方向幅(D2−D1)/2に比べて広くしてスロープの傾斜を緩やかにすることが好ましく、より具体的には、段付部30における内側面30bのシリンダ径方向幅(D3−D2)/2と底面30aのシリンダ径方向幅(D2−D1)/2との比(D3−D2)/(D2−D1)を2.0以上にすることが好ましい。これによって、低負荷運転時に、パイロット噴霧の過拡散を段付部30で抑える効果がシリンダ周方向に関して変動するのをさらに抑えることで、CO及び未燃HCを低減する効果をさらに向上させることができ、高負荷運転時に、燃料噴霧の燃焼を段付部30で促進させる効果が変動するのをさらに抑えることで、黒煙を低減する効果をさらに向上させることができる。また、高負荷運転時に、燃料噴霧の燃焼を段付部30で促進させるためには、シリンダ上下方向にまとまった空間が必要であり、段付部30の高さHが低すぎると、上下の壁への熱伝達の影響により温度が下がり燃焼が緩慢になりやすい。より具体的には、バルブリセス26の形成されていない位置での段付部30の高さHが2mm以上であることが好ましい。
本実施形態に係るディーゼルエンジン10において、CO低減効果を確認した実験結果を図9に示し、未燃HC低減効果を確認した実験結果を図10に示し、NOx低減効果を確認した実験結果を図11に示す。実験の際には、シリンダボア径を86mm、ストロークを86mm、圧縮比を15.8、機関回転数を1660rpm、図示平均有効圧力を65kPa、燃料噴射量を7mm3/stとしている。図9〜11において、「従来型燃焼室」は、キャビティ部22のリップ部に段付部30が形成されていない仕様を表し、「段付リップ」は、キャビティ部22のリップ部に段付部30が形成されており、燃料噴射圧力が48MPaである仕様を表し、「段付+低噴射圧」は、キャビティ部22のリップ部に段付部30が形成されており、燃料噴射圧力が35MPaである仕様を表す。「段付リップ」及び「段付+低噴射圧」の仕様では、バルブリセス26の形成されていない位置での段付部30の高さHを2.5mm、段付部30における内側面30bのシリンダ径方向幅(D3−D2)/2と底面30aのシリンダ径方向幅(D2−D1)/2との比(D3−D2)/(D2−D1)を2.0としている。図9,10に示すCO低減効果の確認実験及び未燃HC低減効果の確認実験の際には、各仕様でNOx排出量が等しくなるようにEGR率を設定し、図11に示すNOx低減効果の確認実験の際には、各仕様でCO排出量が等しくなるようにEGR率を設定している。キャビティ部22のリップ部に段付部30を設けることで、図9,10に示すように等NOx条件でCO及び未燃HCを低減でき、図11に示すように等CO条件でNOxを低減できていることがわかる。さらに、燃料噴射圧力を下げることで、図9,10に示すように等NOx条件でCO及び未燃HCをさらに低減でき、図11に示すように等CO条件でNOxをさらに低減できていることがわかる。なお、パイロット噴霧の貫徹力を弱めることでパイロット噴霧の過拡散をさらに抑えるためには、燃料噴射圧力を40MPa未満まで下げることが好ましい。その際には、噴孔13aの直径を0.11mm未満とすることが好ましい。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
10 ディーゼルエンジン、11 シリンダ、12 ピストン、13 インジェクタ、13a 噴孔、14 吸気ポート、15 排気ポート、16 還流通路、17 EGR制御弁、22 キャビティ部、22a,30b 内側面、26 バルブリセス、26a,30a 底面、30 段付部、32 スキッシュエリア。

Claims (2)

  1. シリンダ内に面するピストン頂面の中央部に燃料の噴射されるキャビティが形成され、ピストン頂面におけるキャビティより外周部にバルブリセスが部分的に形成され、燃料の主噴射に先行してパイロット噴射を行うディーゼルエンジンであって、
    キャビティのリップ部には、ピストン頂面の外周部に対して窪んで段差を成す段付部であって、バルブリセスの形成された位置での段差がバルブリセスの形成されていない位置での段差より小さい段付部がシリンダ周方向の全周に渡って形成されており、
    ピストン頂面の外周部におけるバルブリセスの形成されていない部分及びバルブリセスの底面と、段付部の底面とをシリンダ周方向の全周に渡って繋ぐ段付部の内側面の内径が、段付部の底面側からピストン頂面の外周部側へ向かうにつれて徐々に増加する、ディーゼルエンジン。
  2. 請求項1に記載のディーゼルエンジンであって、
    段付部における内側面のシリンダ径方向幅と底面のシリンダ径方向幅との比が2以上である、ディーゼルエンジン。
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