JP2012187542A - ビニルエステル樹脂塗膜の水による変色および汚染を防止する保護膜の形成方法 - Google Patents
ビニルエステル樹脂塗膜の水による変色および汚染を防止する保護膜の形成方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】ビニルエスエステル樹脂塗膜の水白化および汚染を防止する保護膜の形成方法を提供する。
【解決手段】パラフィンワックスと、前記パラフィンワックスを溶解する溶剤とを含み、前記パラフィンワックスが前記溶剤に溶解した保護塗料を前記塗膜上に塗布する。
【選択図】なし
【解決手段】パラフィンワックスと、前記パラフィンワックスを溶解する溶剤とを含み、前記パラフィンワックスが前記溶剤に溶解した保護塗料を前記塗膜上に塗布する。
【選択図】なし
Description
本発明は、ビニルエスエステル樹脂塗膜の変色および汚染を防止する保護膜の形成方法に関する。より詳しくは、本発明は、大型鋼構造物の表面に形成されたビニルエステル樹脂塗膜に保護塗料を塗布して、変色や汚染を防止するために、塗膜上にパラフィンワックスを含む保護膜を形成する方法に関する。
ビニルエステル樹脂塗料は、耐水性、耐海水性、耐薬品性、耐衝撃性、耐摩耗性などに優れ、長期の耐久性を保持する。そのため、石油タンクの防食のみならず、海洋鋼構造物、化学工場施設、他のタンク施設など、長期防食が期待される大型鋼構造物の塗装に用いられている。
しかしながら、ビニルエステル樹脂塗料は耐候性が悪く、景観が求められる大気部での使用には向かず、タンク、船底、排気ダクトなど、屋内および水中や土中で、耐久性を必要とするが、美観を求められないものの塗装に用いられる。
しかしながら、ビニルエステル樹脂塗料は耐候性が悪く、景観が求められる大気部での使用には向かず、タンク、船底、排気ダクトなど、屋内および水中や土中で、耐久性を必要とするが、美観を求められないものの塗装に用いられる。
ビニルエステル樹脂塗料の塗膜に雨水等が溜まり、塗膜が水に浸漬されると塗膜表層に水が含浸し、塗膜表層の色相が白っぽく変色する現象(以下、「白化」と称する。)が起こる。
可動堰の門扉などの可動部分は、工場などの施設で予め塗装されてから現場に搬入し、組み立てられるため、保管、搬送、組立て、架設時に風雨にさらされることが頻繁に起こる。このような場合には、塗装した部材に雨水がたまり、部分的に白く変色してしまう。変色が確認されると、本来塗膜に求められる耐久性に関する特性には影響がないものの、塗膜が劣化しているとみなされ、納入先から欠陥品として返品されたり、竣工検査前に手直しを要求されたりすることがある。
また、現場で架設するまでの間に塵や埃等によって塗膜表面が汚染され、竣工検査前に水洗が必要になる場合がある。
可動堰の門扉などの可動部分は、工場などの施設で予め塗装されてから現場に搬入し、組み立てられるため、保管、搬送、組立て、架設時に風雨にさらされることが頻繁に起こる。このような場合には、塗装した部材に雨水がたまり、部分的に白く変色してしまう。変色が確認されると、本来塗膜に求められる耐久性に関する特性には影響がないものの、塗膜が劣化しているとみなされ、納入先から欠陥品として返品されたり、竣工検査前に手直しを要求されたりすることがある。
また、現場で架設するまでの間に塵や埃等によって塗膜表面が汚染され、竣工検査前に水洗が必要になる場合がある。
ビニルエステル樹脂塗料には、鱗片状のガラスフレークを含有させたものがある。塗膜中でガラスフレークを塗膜面に平行に配向させることによって、表面から、水などの腐食性物質の浸透を著しく遅らせることによって、優れた耐食性を発揮する。しかしながら、ガラスフレークを含有させても、変色は防止できない。
ビニルエステル樹脂塗料はラジカル反応により硬化が進行し、被塗物面とは反対側の面、すなわち、大気に露出した塗膜表層は酸素の影響を受けて、硬化障害を起こすことが知られている。
ビニルエステル樹脂塗料を用いて約200μm厚の硬化塗膜を形成し、表面から50μm程度の深さまで研磨したサンプルを作成し、未研磨のサンプルとともに、室温にて水に96時間浸漬して表面を観察すると、未研磨サンプルの表面は水により白く変色し、顕著に色調が変化するが、研磨したサンプルの表面に変色は確認されない。このことから、ビニルエステル樹脂塗膜の表層での硬化障害が変色を引き起こしていると考えられる。
塗料を塗装した後の硬化条件の制御は困難であり、変色を避けるためには、塗膜への水の付着を避けるしかなかった。
ビニルエステル樹脂塗料を用いて約200μm厚の硬化塗膜を形成し、表面から50μm程度の深さまで研磨したサンプルを作成し、未研磨のサンプルとともに、室温にて水に96時間浸漬して表面を観察すると、未研磨サンプルの表面は水により白く変色し、顕著に色調が変化するが、研磨したサンプルの表面に変色は確認されない。このことから、ビニルエステル樹脂塗膜の表層での硬化障害が変色を引き起こしていると考えられる。
塗料を塗装した後の硬化条件の制御は困難であり、変色を避けるためには、塗膜への水の付着を避けるしかなかった。
そこで、塗膜の表層での硬化障害を防止するために、ビニルエステル樹脂塗料にパラフィンワックスを添加することが行われている。パラフィンワックスが塗膜の表面に浮き上がって表面を保護し、主成分であるビニルエステルのラジカル重合への酸素の影響を妨げるため、表層近傍も硬化が促進され、水による変色を抑制することができる(以下、「耐水白化性」と称す)。
しかしながら、ビニルエステル樹脂塗料内にパラフィンを添加した場合、塗膜内にパラフィンワックスが均一に分布するため、塗膜表面のワックス量が極めて少なく、充分な耐水白化性を発揮することができない。一方、塗膜表面のワックス量を確保するために、ビニルエステル樹脂塗料にパラフィンワックスを大量に添加すると塗料貯蔵中にパラフィンワックスが結晶化して析出し、均一な塗膜が得られない。
しかしながら、ビニルエステル樹脂塗料内にパラフィンを添加した場合、塗膜内にパラフィンワックスが均一に分布するため、塗膜表面のワックス量が極めて少なく、充分な耐水白化性を発揮することができない。一方、塗膜表面のワックス量を確保するために、ビニルエステル樹脂塗料にパラフィンワックスを大量に添加すると塗料貯蔵中にパラフィンワックスが結晶化して析出し、均一な塗膜が得られない。
特開2000−144021号公報は、大型鋼構造物の表面保護方法及び保護膜を提案する。この方法によれば、低融点ワックスを適当な乳化剤を用いて水溶液またはアルコール溶液に分散させて調製したワックスエマルションを用いて、塗膜上にワックス被膜を形成して、塗膜表面を損傷や汚染から保護する。例えば、表1には、樹炭ワックス、脂肪酸およびエチレンエステル、アクリル塩酸樹脂等の水性ワックスエマルションが開示されている。すなわち、このワックスエマルションは水を含むことから、ビニルエステル樹脂塗膜の耐水白化性を意図したものではない。
かくして、本発明は、大型鋼構造物の塗装面の変色および汚染を防止するために、簡便に、かつ、有効に、保護する被膜を形成する方法を提供する。
本発明者らは、パラフィンワックスに対する溶解性の高い溶剤に溶解して得られたワックス溶液をビニルエステル塗膜上に塗布すると、撥水性に優れた保護膜が形成され、その結果、耐水白化性と低汚染性とを同時に付与できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、より具体的には、
(項1)
大型鋼構造物の表面上に形成された塗膜に保護塗料を塗布して、変色および汚染から保護する方法であって、
パラフィンワックスと、前記パラフィンワックスを溶解する溶剤とを含み、前記パラフィンワックスが前記溶剤に溶解した保護塗料を前記塗膜上に塗布することによって、保護膜を形成する、塗膜の保護方法;
(項2)
前記塗膜がビニルエステル樹脂を含む、前記項1に記載の方法;
(項3)
前記パラフィンワックスの融点が46℃以上かつ62℃以下である、前記項1または2に記載の方法;
(項4)
前記保護塗料中のパラフィンワックスの含有量が2〜10質量%である、請前記項1〜3いずれかに記載の方法;
(項5)
前記ビニルエステル樹脂塗料がガラスフレークライニング材である、前記項2に記載の方法;
(項6)
保護膜の膜厚が1〜8μmである、前記項1〜5いずれかに記載の方法;
(項7)
前記項1〜6いずれかの方法により、表面上に形成された塗膜が保護された大型鋼構造物
を提供する。
(項1)
大型鋼構造物の表面上に形成された塗膜に保護塗料を塗布して、変色および汚染から保護する方法であって、
パラフィンワックスと、前記パラフィンワックスを溶解する溶剤とを含み、前記パラフィンワックスが前記溶剤に溶解した保護塗料を前記塗膜上に塗布することによって、保護膜を形成する、塗膜の保護方法;
(項2)
前記塗膜がビニルエステル樹脂を含む、前記項1に記載の方法;
(項3)
前記パラフィンワックスの融点が46℃以上かつ62℃以下である、前記項1または2に記載の方法;
(項4)
前記保護塗料中のパラフィンワックスの含有量が2〜10質量%である、請前記項1〜3いずれかに記載の方法;
(項5)
前記ビニルエステル樹脂塗料がガラスフレークライニング材である、前記項2に記載の方法;
(項6)
保護膜の膜厚が1〜8μmである、前記項1〜5いずれかに記載の方法;
(項7)
前記項1〜6いずれかの方法により、表面上に形成された塗膜が保護された大型鋼構造物
を提供する。
本発明の方法によれば、大型鋼構造物の表面に形成された塗膜、特に、ビニルエステル樹脂塗料を用いて形成された塗膜に保護塗料を塗布して、変色および汚染を簡便かつ有効に防止することができる。
本発明は、パラフィンワックスと前記パラフィンワックスを溶解する溶剤とを含む保護塗料を、大型鋼構造物の表面に形成された塗膜の表面に塗布して、前記塗膜の変色および汚染を同時に防止する方法である。
本発明において、大型鋼構造物とは、鋼を主材料として作られた構造物である。鋼は品質管理された信頼性の高い材料であり、設計や施工が良好であれば、きわめて安全性の高い構造物となる。橋梁、パイプライン、タンク、鉄塔、海洋構造物などに広く用いられている。
本発明の方法は、特に、耐水性、耐海水性、耐薬品性、耐衝撃性、耐摩耗性などにすぐれ、長期の耐久性は要求されるが、美観が要求されない大型鋼構造物に適用される。このような大型鋼構造物として、例えば、石油タンク、船底、排気ダクト、水門没水部などを含む海洋鋼構造物、化学工場施設、他のタンク施設が挙げられる。
本発明の方法は、特に、耐水性、耐海水性、耐薬品性、耐衝撃性、耐摩耗性などにすぐれ、長期の耐久性は要求されるが、美観が要求されない大型鋼構造物に適用される。このような大型鋼構造物として、例えば、石油タンク、船底、排気ダクト、水門没水部などを含む海洋鋼構造物、化学工場施設、他のタンク施設が挙げられる。
本発明に使用されるパラフィンワックスは、石油の精製工程から製造される結晶性の良い、常温で固体の白色のワックスであり、通常市販されている製品でかまわない。
本発明に使用されるパラフィンワックスの融点が46℃から62℃までであることが好ましい。融点が46℃より低い場合、ビニルエステル塗膜内部に浸透するため、撥水性が低下し、耐水白化性と耐汚染性が低下する。さらに、架設までの期間中に太陽光によって部材が加熱されパラフィンワックスが溶融し、保護膜が消失する可能性がある。また、融点が62℃を超える場合、溶剤に溶解しにくくなり、低温で貯蔵あるいは塗装した際にパラフィンワックスが析出し透明な保護膜が得られない。
本発明に使用されるパラフィンワックスの融点が46℃から62℃までであることが好ましい。融点が46℃より低い場合、ビニルエステル塗膜内部に浸透するため、撥水性が低下し、耐水白化性と耐汚染性が低下する。さらに、架設までの期間中に太陽光によって部材が加熱されパラフィンワックスが溶融し、保護膜が消失する可能性がある。また、融点が62℃を超える場合、溶剤に溶解しにくくなり、低温で貯蔵あるいは塗装した際にパラフィンワックスが析出し透明な保護膜が得られない。
溶剤としては、パラフィンワックスを溶解できるものであれば特に制限はない。具体的には、トルエン、キシレン、スチレン等の炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトンが挙げられる。パラフィンワックスに対する溶解性が高いことから、炭化水素が好ましく、トルエン、キシレンおよびスチレンが特に好ましい。
保護塗料中のパラフィンワックスの含有量に制限はないが2〜10質量%であることが好ましい。
含有量が2質量%以下の場合、保護膜が薄くなり耐水白化性が低下する。含有量が10質量%以上の場合、塗料貯蔵中あるいは塗装された塗膜上にパラフィンワックスが多量に結晶化し、塗装した際に透明な保護膜が得られない。
含有量が2質量%以下の場合、保護膜が薄くなり耐水白化性が低下する。含有量が10質量%以上の場合、塗料貯蔵中あるいは塗装された塗膜上にパラフィンワックスが多量に結晶化し、塗装した際に透明な保護膜が得られない。
上記その他の成分としては、例えば、レベリング剤、増粘剤、消泡剤、防腐剤、防カビ剤、抗菌剤、凍結防止剤、シランカップリング剤等、通常、塗料組成物に使用する添加剤が挙げられる。このようなその他の成分の種類および使用量は、目的に応じて適切に選択され得る。
保護塗料を製造する方法としては、任意の適切な方法を採用し得る。例えば、パラフィンワックスと溶剤とをディスパーなどを用いて混合する。
本発明の保護塗料は、変色や汚染が生じやすい塗膜、特に、ビニルエステル樹脂塗料を用いて形成された塗膜の上に使用することが有用である。
ビニルエステル樹脂とは、一般に分子末端にのみエステル基を持っており、主鎖の中にはエステル基を持っていないものである。硬化剤としては有機過酸化物を使用し、硬化はラジカル反応によって進行する。ビニルエステル樹脂には腐食性物質の透過を著しく遅らせる目的で鱗片状のガラスフレークを混合しても構わない。ガラスフレークは通常、厚さ約3〜7μm、大きさ約50〜300μmの鱗片状のものを使用する。
ビニルエステル樹脂とは、一般に分子末端にのみエステル基を持っており、主鎖の中にはエステル基を持っていないものである。硬化剤としては有機過酸化物を使用し、硬化はラジカル反応によって進行する。ビニルエステル樹脂には腐食性物質の透過を著しく遅らせる目的で鱗片状のガラスフレークを混合しても構わない。ガラスフレークは通常、厚さ約3〜7μm、大きさ約50〜300μmの鱗片状のものを使用する。
本発明の保護塗料の塗装方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。代表的には、上記塗料組成物を充分に乾燥したビニルエステル樹膜上に塗布し、常温で乾燥する方法が挙げられる。塗布方法は、任意の適切な方法が採用され得る。例えば、刷毛、ローラー、エアスプレー、エアレススプレー等による塗布が挙げられる。
本発明の方法により形成される保護膜の膜厚は、1〜8μm、好ましくは2〜6μmである。膜厚が1μm未満の場合、耐水白化性が低下し、膜厚が8μmを超えると、保護膜が半透明となる。
(1)保護塗料の製造
溶剤をディスパーで攪拌しながら、50℃に加温した。次いで、所定量のパラフィンワックスを加え、パラフィンワックスが完全に溶解した事を確認した後攪拌を終了し、保護塗料とした。パラフィンワックスは全て(和光純薬工業(株)製)を使用した。保護塗料の組成を表1に示す。
溶剤をディスパーで攪拌しながら、50℃に加温した。次いで、所定量のパラフィンワックスを加え、パラフィンワックスが完全に溶解した事を確認した後攪拌を終了し、保護塗料とした。パラフィンワックスは全て(和光純薬工業(株)製)を使用した。保護塗料の組成を表1に示す。
(2)試験板の作成
ブラスト処理した鋼板の上にビニルエステル樹脂塗料(ニッペライニングPGプライマー/日本ペイント(株)製)をエアスプレーを用いて乾燥膜厚が40μmになるように塗布し、1昼夜乾燥した。次いでビニルエステル樹脂塗料(ニッペライニングPG/日本ペイント(株)製)をエアスプレーを用いて乾燥膜厚が300μm塗布になるように塗布し、7日間乾燥させた。次いで保護塗料をロ−ラーを用いて塗布し、室温で1日間乾燥し、試験片とした。なお、保護塗料の塗布量は50g/m2である。
ブラスト処理した鋼板の上にビニルエステル樹脂塗料(ニッペライニングPGプライマー/日本ペイント(株)製)をエアスプレーを用いて乾燥膜厚が40μmになるように塗布し、1昼夜乾燥した。次いでビニルエステル樹脂塗料(ニッペライニングPG/日本ペイント(株)製)をエアスプレーを用いて乾燥膜厚が300μm塗布になるように塗布し、7日間乾燥させた。次いで保護塗料をロ−ラーを用いて塗布し、室温で1日間乾燥し、試験片とした。なお、保護塗料の塗布量は50g/m2である。
(3)貯蔵安定性試験
保護塗料を製造後20℃で7日間保管した後、塗料状態を目視で判定した。結果を表1に示す。
保護塗料を製造後20℃で7日間保管した後、塗料状態を目視で判定した。結果を表1に示す。
(4)耐水白化性試験
室温において試験片をイオン交換水の中に4日間浸漬した。次いで試験片を引き上げて塗膜を自然乾燥させた後、塗膜の外観を目視で評価した。結果を表1に示す。
[評価基準]
○: 白化が認められない
△: 白化が認められる。
×: 著しい白化が認められる。
室温において試験片をイオン交換水の中に4日間浸漬した。次いで試験片を引き上げて塗膜を自然乾燥させた後、塗膜の外観を目視で評価した。結果を表1に示す。
[評価基準]
○: 白化が認められない
△: 白化が認められる。
×: 著しい白化が認められる。
(5)接触角測定
塗膜の撥水性を評価するために水に対する接触角を測定した。接触角計(自動接触角計Drop Master 500 協和界面科学株式会社)を用いて測定した。測定は室温にて行なった。結果を表1に示す。
塗膜の撥水性を評価するために水に対する接触角を測定した。接触角計(自動接触角計Drop Master 500 協和界面科学株式会社)を用いて測定した。測定は室温にて行なった。結果を表1に示す。
(6)汚染試験
汚染試験法(中華人民共和国国家規準 GB/T9780−2005)に準じて行った。
より具体的には、試験片作成3日後、汚染ペーストを塗布し、2時間後に水洗いして、1日間放置した。これを1サイクルとして、合計5サイクル実施し、塗膜の外観を目視で評価した。結果を表1に示す。
汚染試験法(中華人民共和国国家規準 GB/T9780−2005)に準じて行った。
より具体的には、試験片作成3日後、汚染ペーストを塗布し、2時間後に水洗いして、1日間放置した。これを1サイクルとして、合計5サイクル実施し、塗膜の外観を目視で評価した。結果を表1に示す。
[評価基準]
0点 汚染なし
1点 やや汚染あり
2点 汚染あり
3点 さらに汚染あり
4点 著しい汚染あり
0点 汚染なし
1点 やや汚染あり
2点 汚染あり
3点 さらに汚染あり
4点 著しい汚染あり
パラフィンワックス膜の理論膜厚は、塗布量から、塗布面積、パラフィンワックスを含む不揮発分およびパラフィンワックス保護塗料の比重を用いて換算した。
具体的には、パラフィンワックス保護塗料50gを1m×1mの領域に塗布する。パラフィンワックス保護塗料の比重は0.9g/cm3であるので、ウェット膜厚は55.6μmと算出される。ウェット膜厚に、不揮発分をかけることによって、各塗料のパラフィンワックス膜の理論膜厚を算出した。例えば、実施例1の保護塗料の不揮発分(パラフィンワックス含有量)は5%なので、理論膜厚は55.6μmに5%をかけて約3μmとなる。
具体的には、パラフィンワックス保護塗料50gを1m×1mの領域に塗布する。パラフィンワックス保護塗料の比重は0.9g/cm3であるので、ウェット膜厚は55.6μmと算出される。ウェット膜厚に、不揮発分をかけることによって、各塗料のパラフィンワックス膜の理論膜厚を算出した。例えば、実施例1の保護塗料の不揮発分(パラフィンワックス含有量)は5%なので、理論膜厚は55.6μmに5%をかけて約3μmとなる。
実施例1、3および5ならびに比較例1および2の保護塗料の試験結果から、本発明の方法において、融点が46℃から62℃までのパラフィンワックスを用いた保護塗料が、良好な耐水白化性および耐汚染性を示した。
実施例2、3および4ならびに比較例3および4の保護塗料の試験結果から、本発明の方法において、パラフィンワックスの含有量が2から10%までの保護塗料が、良好な耐水白化性および耐汚染性を示した。
実施例2、3および4ならびに比較例3および4の保護塗料の試験結果から、本発明の方法において、パラフィンワックスの含有量が2から10%までの保護塗料が、良好な耐水白化性および耐汚染性を示した。
本発明の方法によれば、大型鋼構造物の塗装面の水による変色および汚染を防止するために、簡便に、かつ、有効に、保護被膜を形成することができるため、特に、ビニルエステル樹脂塗料の適用範囲を拡大することができる。
Claims (7)
- 大型鋼構造物の表面上に形成された塗膜に保護塗料を塗布して、変色および汚染から保護する方法であって、
パラフィンワックスと、前記パラフィンワックスを溶解する溶剤とを含み、前記パラフィンワックスが前記溶剤に溶解した保護塗料を前記塗膜上に塗布することによって、保護膜を形成する、塗膜の保護方法。 - 前記塗膜がビニルエステル樹脂を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記パラフィンワックスの融点が46℃以上かつ62℃以下である、請求項1または2に記載の方法。
- 前記保護塗料中のパラフィンワックスの含有量が2〜10質量%である、請求項1〜3いずれかに記載の方法。
- 前記ビニルエステル樹脂塗料がガラスフレークライニング材である、請求項2に記載の方法。
- 保護膜の膜厚が1〜8μmである、請求項1〜5いずれかに記載の方法。
- 請求項1〜6いずれかの方法により、表面上に形成された塗膜が保護された大型鋼構造物。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2011054426A JP2012187542A (ja) | 2011-03-11 | 2011-03-11 | ビニルエステル樹脂塗膜の水による変色および汚染を防止する保護膜の形成方法 |
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