JP2012187487A - 高温発酵槽 - Google Patents

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Abstract

【課題】家畜等の糞尿、業務又は家庭排出生ゴミ、汚泥、家畜残渣、水産残渣等の有機性廃棄物や草木等を高温発酵させ、堆肥又はメタンガス等のバイオガスを製造する発酵プラントで使われる高温発酵槽等の運転エネルギーを省力化することにある。
【解決手段】有機性廃棄物や草木等を高温発酵させ、メタンガス等のバイオガス又は堆肥を製造する発酵プラントで使われる高温発酵槽において、発酵槽外壁又は内壁、壁中等に蓄熱素材を配置した高温発酵槽。
【選択図】なし

Description

本発明は、家畜等の糞尿、業務又は家庭排出生ゴミ、汚泥、家畜残渣、水産残渣等の有機性廃棄物や草木等を高温発酵させ、堆肥又はメタンガス等のバイオガスを製造する発酵プラントで使われる高温発酵槽の運転エネルギーの省力化に関するものである。
近年ゴミ処理量の増加に伴い、家畜等の糞尿、業務又は家庭排出生ゴミ、汚泥、家畜残渣、水産残渣等の有機性廃棄物を微生物等で分解処理することにより、ゴミ処理量を減量し、且つ優良な堆肥を製造供給する取り組みが成されている。また有機性廃棄物や草木等を微生物等で分解処理し、発生するメタンガス等をバイオガスとして発電に利用したりする提案や取り組みも行われている。
しかし、一般的には、家畜等の糞尿、業務又は家庭排出生ゴミ、汚泥、家畜残渣、水産残渣等の有機性廃棄物を微生物等により発酵処理すると悪臭が発生するため、建物の密閉化・脱臭装置の設置等の対策が必要とされる。その悪臭対策の一つとして高温発酵処理があり、悪臭の発生対策以外にも発酵時間を短縮し、省スペース、省エネルギー、低コストで良質の堆肥を製造したり、バイオガスの製造や発電したりすることを目的とした発酵プラントが提案されている(例えば、特許文献1〜2参照)。しかし、高温発酵処理を行うためには、一定の発酵槽内温度を数日〜数十日管理する必要があり、温度調節のための運転エネルギー費用が嵩むという課題があった。
特開2002−355694号公報 特開2005−152851号公報
家畜等の糞尿、業務又は家庭排出生ゴミ、汚泥、家畜残渣、水産残渣等の有機性廃棄物や草木等を高温発酵させ、堆肥又はメタンガス等のバイオガスを製造する発酵プラントで使われる高温発酵槽等において、運転エネルギーを省力化した新規高温発酵槽を提供することにある。
上記課題を解決するために、以下の発明を見出した。
(1)有機性廃棄物や草木を高温発酵させ、メタンガスのバイオガス又は堆肥を製造する発酵プラントで使われる高温発酵槽において、発酵槽外壁又は内壁、壁中に蓄熱素材を配置した高温発酵槽。
(2)相変化温度が40〜110℃である相変化型蓄熱物質を蓄熱素材に使用した(1)の高温発酵槽。
(3)樹脂や金属等の包材に相変化型蓄熱物質が充填された蓄熱素材を配置した(1)又は(2)の高温発酵槽。
(4)相変化型蓄熱物質を内包したマイクロカプセルを蓄熱素材として使用した(1)〜(3)いずれかの高温発酵槽。
(5)(1)〜(4)いずれかの高温発酵槽を使用したメタンガスのバイオガス又は堆肥を製造する発酵プラント。
本発明の蓄熱素材を配置した高温発酵槽によれば、家畜等の糞尿、業務又は家庭排出生ゴミ、汚泥、家畜残渣、水産残渣等の有機性廃棄物や草木等を高温発酵させ、メタンガス等のバイオガス又は堆肥を製造する発酵プラントで使われる高温発酵槽等の運転エネルギーを省力化することができる。
発酵プラントで使用する本発明の高温発酵槽は、有機性廃棄物や草木等に発酵菌等を混合装入、発酵菌による発酵熱を利用し、必要に応じて発酵槽内を温調して有機性廃棄物の発酵を促進させて有機性廃棄物を処理する装置である。そして、本発明の高温発酵槽を含む発酵プラントは、有機性廃棄物等を発酵させることにより、メタンガス等のバイオガスを製造して発電等に利用したり、堆肥を製造したりする。
本発明の高温発酵槽は、有機性廃棄物や草木等を発酵菌により発酵処理するものであり、好気性微生物発酵及び嫌気性微生物発酵のいずれの発酵形態を用いても良い。有機性廃棄物や草木等と一緒に装入する発酵菌の種類、発酵速度、処理量、悪臭発生の制御の度合い等によって適宜発酵温度は選択される。発酵温度が40℃より低い場合、発酵槽の温度調節装置に使われる運転エネルギーが少なくて済むメリットがある反面、使用する発酵菌の種類にもよるが、発酵期間が長期化して処理効率が低下するため好ましくない。また、発酵温度が110℃より高い場合、適用できる発酵菌種が皆無になるため好ましくない。このため、高温発酵槽の発酵温度は、40〜110℃、好ましくは40〜105℃、更に好ましくは45℃〜100℃に温度管理するのが良い。
高温発酵槽の温度調節装置に使われる運転エネルギーは、化石燃料やガス、電気等、適宜選択される。
本発明で使用する有機性廃棄物等は、重金属や特化物等の毒性物質を含まず、生分解性のある生物起源の有機廃棄物である。具体的には畜産農家や一般家畜から排出される家畜等の糞尿、業務又は一般家庭から排出される生ゴミや紙ゴミ、工場や排水処理で排出される有機性汚泥、畜産加工施設や水産加工施設等から排出される家畜残渣や水産残渣、野菜や花、草木等の農林園芸廃棄物等であり、発酵処理が可能である有機性廃棄物等である。
本発明で使用される蓄熱素材を、高温発酵槽の内壁、外壁、壁の内部に入れたりすることにより、高温発酵槽に蓄熱機能を持たせることができる。蓄熱素材としては、相変化型蓄熱物質、相変化型蓄熱物質を内包したマイクロカプセルのスラリー、相変化型蓄熱物質を内包したマイクロカプセルの固形物を樹脂やアルミ等の金属の包材に充填したもの、相変化蓄熱物質を内包したマイクロカプセルの固形物や相変化蓄熱物質を内包したマイクロカプセルを担持したシート、相変化蓄熱物質を内包したマイクロカプセルを含有してなるゴムシート等が使用することができる。相変化型蓄熱物質、相変化型蓄熱物質を内包したマイクロカプセルのスラリー、相変化型蓄熱物質を内包したマイクロカプセルの固形物を樹脂や金属の包材に充填したものを、高温発酵槽の内壁又は外壁に貼り付けることでも、高温発酵槽に蓄熱機能を持たせることができる。
相変化型蓄熱物質としては、n−パラフィン類や、無機共晶物及び無機系水和物、カプリン酸等の脂肪酸類、o−クレゾール等の芳香族炭化水素化合物、パルミチン酸メチル等のエステル化合物、ラウリルアルコールやミリスチルアルコール、ポリエチレングリコール等のアルコール類等の化合物が挙げられ、化学的、物理的に安定なものが用いられる。また、融点の異なる蓄熱物質を2種以上混合しても良いし、必要に応じ過冷却防止剤、比重調整剤、劣化防止剤、増粘剤等を添加することができる。
使用する相変化型蓄熱物質の融解温度は、高温発酵槽の運転温度に応じて適宜選択されるが、前述のように高温発酵槽の発酵温度は、40〜110℃に設定することが好ましいため、相変化型蓄熱物質の融解温度も40〜110℃のものを使用することが好ましい。例えば、高温発酵槽の発酵温度を75℃程度に保持する場合には、融解温度が70〜80℃の相変化型蓄熱物質を使用する。
本発明で使用される蓄熱素材は、相変化型蓄熱物質、相変化型蓄熱物質を内包したマイクロカプセルのいずれでも使用できる。特に、相変化型蓄熱物質を内包したマイクロカプセルは、該蓄熱物質の相変化(融解・凝固)に伴う外観上の状態変化が小さくなるため、相変化型蓄熱物質単体を使用した場合と比較して、取り扱いが容易になるため好ましい。
相変化型蓄熱物質をマイクロカプセル化する方法としては、複合エマルジョン法によるカプセル化法(特開昭62−1452号公報)、蓄熱物質粒子の表面に熱可塑性樹脂を噴霧する方法(特開昭62−45680号公報)、蓄熱物質粒子の表面に液中で熱可塑性樹脂を形成する方法(特開昭62−149334号公報)、蓄熱物質粒子の表面でモノマーを重合させ被覆する方法(特開昭62−225241号公報)、界面重縮合反応によるポリアミド皮膜マイクロカプセルの製法(特開平2−258052号公報)等に記載されている方法を用いることが可能である。
相変化型蓄熱物質を内包したマイクロカプセルの膜材としては、界面重合法、インサイチュー法、ポリマー重合法等の手法で得られるポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリアクリルアミド、エチルセルロース、ポリウレタン、アミノプラスト樹脂、ゼラチンとカルボキシメチルセルロースもしくはアラビアゴムとのコアセルベーション法を利用した合成あるいは、天然樹脂が用いられる。
相変化型蓄熱物質を内包したマイクロカプセルの平均粒子径は、物理的圧力による破壊を防止するために10μm以下、特に好ましくは5μm以下に設定することが好ましい。粒子径が10μmを超えると、マイクロカプセルが外圧で容易に壊れやすくなったり、蓄熱物質の比重が分散媒のそれと大きく差がある場合など、浮遊したり、沈降したりしやすくなり、取り扱う上で不都合を生じるので好ましくない。なお、マイクロカプセルの粒子径は、乳化剤の種類と濃度、乳化時の乳化液の温度、乳化比(水相と油相の体積比率)、乳化機、分散機等と称される微粒化装置の運転条件(撹拌回転数、時間等)等を適宜調節して所望の粒子径に設定する。
なお、本発明でのマイクロカプセルの平均粒子径は、体積平均粒子径をいう。体積平均粒子径とは、マイクロカプセル粒子の体積換算値の平均粒子径を表わすものであり、原理的には、一定体積の粒子を小さいものから順に篩分けし、その50%体積に当たる粒子が分別された時点での粒子径を意味する。体積平均粒子径の測定は顕微鏡観察による実測でも測定可能であるが、市販の電気的、光学的粒子径測定装置を用いることにより自動的な測定が可能である。なお、後述する実施例における分散液の体積平均粒子径は、米国ベックマンコールター社製粒度測定装置コールターマルチサイザーII型を用いて測定したものである。
相変化型蓄熱物質を内包したマイクロカプセルの固形物は、作製したマイクロカプセルスラリーを棚乾燥機等で乾燥させた固形物や、スプレードライヤー等で乾燥した粉体物、造粒機等で造粒後乾燥して作製した造粒物の形態等で得ることができる。なお、後述する実施例におけるマイクロカプセルの粉体の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(商品名:HELOS、独国SYMPATEC社製)を用いて体積平均粒子径を測定したものである。同様に、マイクロカプセルの固形物や顆粒状物、造粒物の平均粒子径は、任意で選んだマイクロカプセルの固形物や顆粒状物、造粒物について、サンプル50個をノギスで測定した長さ径平均値を平均粒子径とした。
相変化型蓄熱物質を内包したマイクロカプセルを担持したシートは、相変化型蓄熱物質を内包したマイクロカプセルと必要に応じて添加されるバインダーを混合したものをシート状支持体に塗工又は含浸して作製する。シート状支持体の具体例として、硬質ポリウレタン樹脂、発泡ポリスチレン樹脂、発泡ポリエチレン樹脂、ガラスシート、羊毛シート、紙、石綿等が使用可能であるが、好ましくは、アクリル繊維、ナイロン等のポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維、ビニロン繊維、ポリウレタン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、アセテート繊維、キュプラ繊維、レーヨン繊維、セルロース繊維等を乾式もしくは湿式で抄造した不織布が用いられる。なお、シート状支持体は必要に応じて、厚み、面積を適宜選択する。
上記のシート状支持体に塗工又は含浸する際のマイクロカプセル塗布量は、必要に応じて適宜変えることができる。
また、上記シート状支持体にマイクロカプセルを塗工する場合、片面に塗工されるが、その反対面に断熱性を高めるために合成又は天然の中空粒子等を塗工し、断熱性を付与することもできる。
また、上記シート状支持体にマイクロカプセルを塗工又は含浸して作製した蓄熱シートの片面、又は両面に断熱性を有するシートを貼り合わせ、断熱性を付与することもできる。
マイクロカプセルとともに必要があれば、バインダー、緩衝剤、分散剤、消泡剤、染料、顔料などの着色剤、吸湿材、酸化防止剤、難燃剤、香料などを添加し、相変化型蓄熱物質を内包したマイクロカプセルを担持したシートを作製することもできる。
他方、相変化型蓄熱物質を内包したマイクロカプセルを含有してなるゴムシートは、相変化型蓄熱物質を内包したマイクロカプセルとゴム基材等を練り込み、加熱プレスして作製される。相変化型蓄熱物質を内包したマイクロカプセルを含有してなるゴムシートで使われるゴム材料としては、天然ゴム、イソプレンゴム等のイソプレン系ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム等のブタジエン系ゴム、ニトリルゴム、ニトリルブタジエンゴム、クロロプレンゴム、水素化ニトリルゴム等のジエン系特殊ゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム等のオレフィン系ゴム、エピクロロヒドリンゴム、エチレンオキシド−エピクロロヒドリンゴム等のポリエーテル系ゴム、多硫化ゴム等のポリスルフィド系ゴム、ポリエステルウレタンゴム、ポリエーテルウレタンゴム等のポリウレタン系ゴム、フッ化ビニリデン系ゴム、フルオロシリコーン系ゴム、テトラフルオロエチレン−プロピレン系ゴム、フルオロホスファゼン系ゴム、テトラフルオロエチレン−パーフルオロビニルエーテル系ゴム等のフッ素ゴム、ポリジメチルシリコーンゴム、メチルビニルシリコーンゴム、メチルフェニルシリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム等のシリコーンゴム等が挙げられる。これらは単独又は二種類以上組み合わせて使用しても良い。
上述のゴム材料に必要があれば、加硫剤、加硫促進剤、架橋剤、老化防止剤、酸化防止剤、可塑剤、発泡剤、難燃剤、粘着付与剤、滑剤、しゃく解剤(素練り促進剤)、着色剤、硬化剤、分散剤、溶剤等の他に、綿、ナイロン、ポリエステル、ビニロン、ガラス、カーボンなどの各種繊維類等、金属粉などの熱伝導を向上させる素材等を混合しても良い。
以下、本発明のモデル実施例を説明するが、これらの例のみに限定されずに適用できる。また、実施例において、特にことわりのない百分率、部数は質量基準である。
[相変化型蓄熱物質充填袋の作製1]
相変化型蓄熱物質であるパラフィンワックス(商品名:HNP−9、日本精蝋(株)製、融解温度約75℃)をチャック付きアルミ袋(商品名:ラミジップAL−16、(株)生産日本社製)に300g充填し、相変化型蓄熱物質充填袋1を得た。
[相変化型蓄熱物質充填袋の作製2]
相変化型蓄熱物質であるノルマルエイコサン(東京化成工業(株)試薬、融解温度約36℃)をチャック付きアルミ袋(商品名:ラミジップAL−16、(株)生産日本社製)に300g充填し、相変化型蓄熱物質充填袋2を得た。
[相変化型蓄熱物質充填袋の作製3]
相変化型蓄熱物質であるパラフィンワックス(商品名:PW−115、日本精蝋(株)製、融解温度約45℃)をチャック付きアルミ袋(商品名:ラミジップAL−16、(株)生産日本社製)に300g充填し、相変化型蓄熱物質充填袋3を得た。
[相変化型蓄熱物質を内包したマイクロカプセル分散液充填袋1の作製]
メラミン粉末12質量部に37質量%ホルムアルデヒド水溶液15.4質量部と水40質量部を加え、pHを8に調整した後、80℃まで加熱してメラミン−ホルムアルデヒド初期縮合物水溶液を得た。pHを4.5に調整した10質量%スチレン−無水マレイン酸共重合体のナトリウム塩水溶液100質量部を90℃に加温した中に、相変化型蓄熱物質として、90℃に加温したパラフィンワックス(商品名:HNP−9、日本精蝋(株)製、融解温度約75℃)80質量部を激しく撹拌しながら添加し、平均粒子径が3.0μmになるまで乳化を行い、乳化液を得た。得られた乳化液に、上記メラミン−ホルムアルデヒド初期縮合物水溶液全量を添加して90℃で2時間撹拌を施した後、pHを9まで上げて水を添加して乾燥固形分濃度40%の相変化型蓄熱物質を内包したマイクロカプセル分散液1を得た。マイクロカプセル分散液1をチャック付きアルミ袋(商品名:ラミジップAL−16、(株)生産日本社製)に300g充填し、マイクロカプセル分散液充填袋を得た。
[相変化型蓄熱物質を内包したマイクロカプセル分散液充填袋2の作製]
メラミン粉末12質量部に37質量%ホルムアルデヒド水溶液15.4質量部と水40質量部を加え、pHを8に調整した後、80℃まで加熱してメラミン−ホルムアルデヒド初期縮合物水溶液を得た。pHを4.5に調整した10質量%スチレン−無水マレイン酸共重合体のナトリウム塩水溶液100質量部を90℃に加温した中に、相変化型蓄熱物質として、90℃に加温したノルマルエイコサン(東京化成工業(株)試薬、融解温度約36℃)80質量部を激しく撹拌しながら添加し、平均粒子径が3.0μmになるまで乳化を行い、乳化液を得た。得られた乳化液に、上記メラミン−ホルムアルデヒド初期縮合物水溶液全量を添加して90℃で2時間撹拌を施した後、pHを9まで上げて水を添加して乾燥固形分濃度40%の相変化型蓄熱物質を内包したマイクロカプセル分散液2を得た。マイクロカプセル分散液2をチャック付きアルミ袋(商品名:ラミジップAL−16、(株)生産日本社製)に300g充填し、マイクロカプセル分散液充填袋2を得た。
[相変化型蓄熱物質を内包したマイクロカプセル分散液充填袋3の作製]
メラミン粉末12質量部に37質量%ホルムアルデヒド水溶液15.4質量部と水40質量部を加え、pHを8に調整した後、80℃まで加熱してメラミン−ホルムアルデヒド初期縮合物水溶液を得た。pHを4.5に調整した10質量%スチレン−無水マレイン酸共重合体のナトリウム塩水溶液100質量部を90℃に加温した中に、相変化型蓄熱物質として、90℃に加温したパラフィンワックス(商品名:PW−115、日本精蝋(株)製、融解温度約45℃)80質量部を激しく撹拌しながら添加し、平均粒子径が3.0μmになるまで乳化を行い、乳化液を得た。得られた乳化液に、上記メラミン−ホルムアルデヒド初期縮合物水溶液全量を添加して90℃で2時間撹拌を施した後、pHを9まで上げて水を添加して乾燥固形分濃度40%の相変化型蓄熱物質を内包したマイクロカプセル分散液3を得た。マイクロカプセル分散液3をチャック付きアルミ袋(商品名:ラミジップAL−16、(株)生産日本社製)に300g充填し、マイクロカプセル分散液充填袋3を得た。
[相変化型蓄熱物質を内包したマイクロカプセル粉体充填袋1の作製]
マイクロカプセル分散液1をスプレードライヤーで水分含有率3質量%以下まで乾燥し、平均粒子径50μmのマイクロカプセル粉体1を得た。次いで、マイクロカプセル粉体1をチャック付きアルミ袋(商品名:ラミジップAL−16、(株)生産日本社製)に300g充填し、相変化型蓄熱物質を内包したマイクロカプセル粉体充填袋を得た。
[相変化型蓄熱物質を内包したマイクロカプセル粉体充填袋2の作製]
マイクロカプセル分散液2をスプレードライヤーで水分含有率3質量%以下まで乾燥し、平均粒子径47μmのマイクロカプセル粉体2を得た。次いで、マイクロカプセル粉体2をチャック付きアルミ袋(商品名:ラミジップAL−16、(株)生産日本社製)に300g充填し、相変化型蓄熱物質を内包したマイクロカプセル粉体充填袋2を得た。
[相変化型蓄熱物質を内包したマイクロカプセル粉体充填袋3の作製]
マイクロカプセル分散液3をスプレードライヤーで水分含有率3質量%以下まで乾燥し、平均粒子径54μmのマイクロカプセル粉体3を得た。次いで、マイクロカプセル粉体3をチャック付きアルミ袋(商品名:ラミジップAL−16、(株)生産日本社製)に300g充填し、相変化型蓄熱物質を内包したマイクロカプセル粉体充填袋3を得た。
[相変化型蓄熱物質を内包したマイクロカプセルを担持したシートの作製]
100質量部のマイクロカプセル分散液1にバインダーとしてガラス転移点温度−10℃のアクリル樹脂ラテックスを固形質量で8質量部添加し、マイクロカプセル塗工液を得た。このマイクロカプセル塗工液をディップ塗工装置にて、厚さ3.1mm、坪量110g/mのポリエステル製不織布(熱伝導率0.033kcal/m・hr・deg)に固形質量塗工量が800g/mになるように塗工し、80℃の熱風乾燥を施して、厚さ4mmの相変化型蓄熱物質を内包したマイクロカプセルを担持したシートを得た。
[相変化型蓄熱物質を内包したマイクロカプセルを含有してなるゴムシートの作製]
100質量部のマイクロカプセル分散液1とガラス転移温度80℃のスチレン・ブタジエンゴムラテックス(乾燥固形分濃度48%)200質量部を十分に混練りした後、80℃加熱して水分を完全に無くした厚み10mmの相変化型蓄熱物質を内包したマイクロカプセルを含有してなるゴムシートを得た。
実施例1
恒温槽内壁に相変化型蓄熱物質充填袋1を10個設置し、槽内温度を75℃に設定した恒温槽(機器名:小型環境試験器SU−220、エスペック(株)製)を準備した。容量3Lのステンレスミキシングボールに、家庭から排出された厨芥1kgと発酵菌1g(商品名:ビオグリーン、豊栄物産(株)製)(高温発酵菌)を混合したものを恒温槽に入れて、高温発酵を開始した。約8時間毎に厨芥物を撹拌混合して発酵を促進させ、30日後に完熟した堆肥が得られた。
実施例2
恒温槽内壁に相変化型蓄熱物質を内包したマイクロカプセル分散液充填袋1を20個設置し、槽内温度を75℃に設定した恒温槽(機器名:小型環境試験器SU−220、エスペック(株)製)を準備した。容量3Lのステンレスミキシングボールに、家庭から排出された厨芥1kgと発酵菌1g(商品名:ビオグリーン、豊栄物産(株)製)を混合したものを恒温槽に入れて、高温発酵を開始した。約8時間毎に厨芥物を撹拌混合して発酵を促進させ、30日後に完熟した堆肥が得られた。
実施例3
恒温槽内壁に相変化型蓄熱物質を内包したマイクロカプセル粉体充填袋1を10個設置し、槽内温度を75℃に設定した恒温槽(機器名:小型環境試験器SU−220、エスペック(株)製)を準備した。容量3Lのステンレスミキシングボールに、家庭から排出された厨芥1kgと発酵菌1g(商品名:ビオグリーン、豊栄物産(株)製)を混合したものを恒温槽に入れて、高温発酵を開始した。約8時間毎に厨芥物を撹拌混合して発酵を促進させ、30日後に完熟した堆肥が得られた。
実施例4
恒温槽内壁に相変化型蓄熱物質を内包したマイクロカプセルを担持したシートを30枚(20cm×20cm)を設置し、槽内温度を75℃に設定した恒温槽(機器名:小型環境試験器SU−220、エスペック(株)製)を準備した。容量3Lのステンレスミキシングボールに、家庭から排出された厨芥1kgと発酵菌1g(商品名:ビオグリーン、豊栄物産(株)製)を混合したものを恒温槽に入れて、高温発酵を開始した。約8時間毎に厨芥物を撹拌混合して発酵を促進させ、30日後に完熟した堆肥が得られた。
実施例5
恒温槽内壁に相変化型蓄熱物質を内包したマイクロカプセルを含有してなるゴムシートを40枚(20cm×20cm)を設置し、槽内温度を75℃に設定した恒温槽(機器名:小型環境試験器SU−220、エスペック(株)製)を準備した。容量3Lのステンレスミキシングボールに、家庭から排出された厨芥1kgと発酵菌1g(商品名:ビオグリーン、豊栄物産(株)製)を混合したものを恒温槽に入れて、高温発酵を開始した。約8時間毎に厨芥物を撹拌混合して発酵を促進させ、30日後に完熟した堆肥が得られた。
実施例6
恒温槽内壁に相変化型蓄熱物質充填袋2を10個設置し、槽内温度を35℃に設定した恒温槽(機器名:小型環境試験器SU−220、エスペック(株)製)を準備した。容量3Lのステンレスミキシングボールに、家庭から排出された厨芥1kgと発酵菌20g(商品名:EMボカシ、(有)ほんだ製)(米糠等と発酵菌を混合したもの、中温発酵菌)を混合したものを恒温槽に入れて、発酵を開始した。約8時間毎に厨芥物を撹拌混合、水分除去して発酵を促進させたが、30日後では完熟が不完全であった。更に15日間発酵させ、完熟した堆肥が得られた。
実施例7
恒温槽内壁に相変化型蓄熱物質を内包したマイクロカプセル分散液充填袋2を20個設置し、槽内温度を35℃に設定した恒温槽(機器名:小型環境試験器SU−220、エスペック(株)製)を準備した。容量3Lのステンレスミキシングボールに、家庭から排出された厨芥1kgと発酵菌20g(商品名:EMボカシ、(有)ほんだ製)を混合したものを恒温槽に入れて、高温発酵を開始した。約8時間毎に厨芥物を撹拌混合して発酵を促進させたが、30日後では完熟が不完全であった。更に15日間発酵させ、完熟した堆肥が得られた。
実施例8
恒温槽内壁に相変化型蓄熱物質を内包したマイクロカプセル粉体充填袋2を10個設置し、槽内温度を75℃に設定した恒温槽(機器名:小型環境試験器SU−220、エスペック(株)製)を準備した。容量3Lのステンレスミキシングボールに、家庭から排出された厨芥1kgと発酵菌20g(商品名:EMボカシ、(有)ほんだ製)を混合したものを恒温槽に入れて、高温発酵を開始した。約8時間毎に厨芥物を撹拌混合して発酵を促進させたが、30日後では完熟が不完全であった。更に15日間発酵させ、完熟した堆肥が得られた。
実施例9
恒温槽内壁に相変化型蓄熱物質充填袋3を10個設置し、槽内温度を45℃に設定した恒温槽(機器名:小型環境試験器SU−220、エスペック(株)製)を準備した。容量3Lのステンレスミキシングボールに、家庭から排出された厨芥1kgと発酵菌20g(商品名:EMボカシ、(有)ほんだ製)(米糠等と発酵菌を混合したもの、中温発酵菌)を混合したものを恒温槽に入れて、発酵を開始した。約8時間毎に厨芥物を撹拌混合、水分除去して発酵を促進させたが、30日後では完熟が不完全であった。更に5日間発酵させ、完熟した堆肥が得られた。
実施例10
恒温槽内壁に相変化型蓄熱物質を内包したマイクロカプセル分散液充填袋3を20個設置し、槽内温度を45℃に設定した恒温槽(機器名:小型環境試験器SU−220、エスペック(株)製)を準備した。容量3Lのステンレスミキシングボールに、家庭から排出された厨芥1kgと発酵菌20g(商品名:EMボカシ、(有)ほんだ製)を混合したものを恒温槽に入れて、高温発酵を開始した。約8時間毎に厨芥物を撹拌混合して発酵を促進させたが、30日後では完熟が不完全であった。更に5日間発酵させ、完熟した堆肥が得られた。
実施例11
恒温槽内壁に相変化型蓄熱物質を内包したマイクロカプセル粉体充填袋3を10個設置し、槽内温度を75℃に設定した恒温槽(機器名:小型環境試験器SU−220、エスペック(株)製)を準備した。容量3Lのステンレスミキシングボールに、家庭から排出された厨芥1kgと発酵菌20g(商品名:EMボカシ、(有)ほんだ製)を混合したものを恒温槽に入れて、高温発酵を開始した。約8時間毎に厨芥物を撹拌混合して発酵を促進させたが、30日後では完熟が不完全であった。更に5日間発酵させ、完熟した堆肥が得られた。
比較例1
槽内温度を75℃に設定した恒温槽(機器名:小型環境試験器SU−220、エスペック(株)製)を準備した。容量3Lのステンレスミキシングボールに、家庭から排出された厨芥1kgと発酵菌1g(商品名:ビオグリーン、豊栄物産(株)製)を混合したものを恒温槽に入れて、高温発酵を開始した。約8時間毎に厨芥物を撹拌混合して発酵を促進させ、30日後に完熟した堆肥が得られた。
比較例2
槽内温度を35℃に設定した恒温槽(機器名:小型環境試験器SU−220、エスペック(株)製)を準備した。容量3Lのステンレスミキシングボールに、家庭から排出された厨芥1kgと発酵菌20g(商品名:EMボカシ、(有)ほんだ製)を混合したものを恒温槽に入れて、高温発酵を開始した。約8時間毎に厨芥物を撹拌混合して発酵を促進させ、35日後に完熟した堆肥が得られた。
比較例3
槽内温度を45℃に設定した恒温槽(機器名:小型環境試験器SU−220、エスペック(株)製)を準備した。容量3Lのステンレスミキシングボールに、家庭から排出された厨芥1kgと発酵菌20g(商品名:EMボカシ、(有)ほんだ製)を混合したものを恒温槽に入れて、高温発酵を開始した。約8時間毎に厨芥物を撹拌混合して発酵を促進させ、35日後に完熟した堆肥が得られた。
Figure 2012187487
実施例1〜11と比較例1〜3における30日間の恒温槽の使用電力量を、電力測定装置((株)計測技術研究所、商品名:ワットチェッカーMODEL2000MS1)を使って調べた結果を表1に示す。表1より、実施例1〜5の総電力使用量は、比較例1の総電力使用量と比べて少なかった。一方、実施例6の総電力使用量は、比較例2の総電力使用量と比較して少なかった。また、実施例9の総電力使用量は、比較例3の総電力使用量と比較して少なかった。
また、実施例9と実施例6では、実施例9の方が完熟した堆肥が得られる期間が短いため、堆肥化の効率が良い。他方、前述のように発酵温度が110℃より高い場合は、適用できる発酵菌種が皆無になるため、好ましくない。よって、相変化温度が40〜110℃である相変化型蓄熱物質を高温発酵槽に適用することが好ましい。
これらの結果より、有機性廃棄物や草木等を高温発酵させ、メタンガス等のバイオガス又は堆肥を製造する発酵プラントで使われる高温発酵槽において、発酵槽外壁又は内壁、壁中等に蓄熱素材を配置した高温発酵槽は、運転エネルギーを省力化することができることが分かる。
今回は、モデルによって本発明の高温発酵槽の効果を説明したが、実際の発酵プラントでは、高温発酵槽が大きく、温度調節に必要なエネルギー使用量も大きくなるため、本発明によるエネルギー省力効果の総量も大きくなる。このため本発明の高温発酵槽によれば、家畜等の糞尿、業務又は家庭排出生ゴミ、汚泥、家畜残渣、水産残渣等の有機性廃棄物や草木等を高温発酵させ、メタンガス等の燃料ガス又は堆肥を製造する発酵プラントで使われる高温発酵槽等の運転エネルギーを省力化することができる。

Claims (5)

  1. 有機性廃棄物や草木を高温発酵させ、メタンガスのバイオガス又は堆肥を製造する発酵プラントで使われる高温発酵槽において、発酵槽外壁又は内壁、壁中に蓄熱素材を配置した高温発酵槽。
  2. 相変化温度が40〜110℃である相変化型蓄熱素材を蓄熱素材に使用した請求項1記載の高温発酵槽。
  3. 樹脂や金属の包材に相変化型蓄熱物質が充填された蓄熱素材を配置した請求項1又は2記載の高温発酵槽。
  4. 相変化型蓄熱物質を内包したマイクロカプセルを蓄熱素材として使用した請求項1〜3のいずれかに記載の高温発酵槽。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の高温発酵槽を使用したメタンガスのバイオガス又は堆肥を製造する発酵プラント。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103524176A (zh) * 2013-10-15 2014-01-22 北京盈和瑞环保工程有限公司 一种利用沼液生产液体复合肥的方法
CN105016799A (zh) * 2015-06-26 2015-11-04 云南福湾农业科技有限公司 沼液发酵原料以及利用该原料发酵沼液的方法
CN113716244A (zh) * 2021-06-24 2021-11-30 哈尔滨理工大学 厨余垃圾桶

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