JP2012183058A - 副資材含有種子被覆用鉄粉、副資材付着種子被覆用鉄粉、種子被覆用合金鋼粉及び、副資材含有種子被覆用鉄粉、副資材付着種子被覆用鉄粉または種子被覆用合金鋼粉で被覆された種子 - Google Patents

副資材含有種子被覆用鉄粉、副資材付着種子被覆用鉄粉、種子被覆用合金鋼粉及び、副資材含有種子被覆用鉄粉、副資材付着種子被覆用鉄粉または種子被覆用合金鋼粉で被覆された種子 Download PDF

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Abstract

【課題】播種工程のみならず輸送工程においても鉄粉の脱落が少ない被覆が実現でき、かつ種子の成長に有益な副資材を種子の成長に好ましい態様で種子に付着させることができる副資材含有種子被覆用鉄粉、副資材付着種子被覆用鉄粉、種子被覆用合金鋼粉及び、副資材含有種子被覆用鉄粉、副資材付着種子被覆用鉄粉または種子被覆用合金鋼粉で被覆された種子を得る。
【解決手段】本発明に係る副資材含有種子被覆用鉄粉は、鉄粉100質量部に対して副資材粉末を0.01〜100質量部含有し、前記鉄粉は、粒子径が45μm以下の鉄粉の質量比率が35%超、85%未満、かつ粒子径が63μm以下の鉄粉の質量比率が75%超であり、前記副資材粉末の平均粒子径が45μm以下であることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、種子被覆に好適で、かつ種子発芽に好適な副資材含有種子被覆用鉄粉、副資材付着種子被覆用鉄粉、種子被覆用合金鋼粉及び、副資材含有種子被覆用鉄粉、副資材付着種子被覆用鉄粉または種子被覆用合金鋼粉で被覆された種子に関するものである。
農業従事者の高齢化、農産物流通のグローバル化に伴い、農作業の省力化や農産物生産コストの低減が解決すべき課題となっている。これらの課題を解決するために、例えば、水稲栽培においては、育苗と移植の手間を省くことを目的として、種子を圃場に直接播く直播法が普及しつつある。その中でも、種子の比重を高めるために、鉄粉を被覆した種子を用いる手法は、水田における種子の浮遊や流出を防止し、かつ鳥害を防止するというメリットがあることで注目されている。
このように鉄粉を被覆した種子を用いて直播栽培法を活用するためには、輸送や播種の工程において被覆した鉄粉被膜が剥離しにくいことが求められる。鉄粉被膜が剥離すると、種子の比重が低下して前記のメリットが得られなくなるのみならず、剥離した被膜は輸送や播種の工程において、配管の目詰まりや回転機構部への噛み込みの原因となり、剥離した細かい鉄粉が粉塵を生じる原因にもなるからである。このようなことから、鉄粉被膜の剥離は極力抑制しなくてはならない。
稲種子表面に鉄粉を付着、固化させる技術としては、特許文献1に鉄粉被覆稲種子の製造法として以下のような技術が提案されている。
「稲種子に、鉄粉、並びに鉄粉に対する質量比で0.5〜2%の硫酸塩(但し、硫酸カルシウムは除く)及び/又は塩化物を加え、さらに水を添加して造粒し、水と酸素を供給して金属鉄粉の酸化反応によって生成した錆により、鉄粉を稲種子に付着、固化させた後、乾燥させることを特徴とする鉄粉被覆稲種子の製造法。」(特許文献1の請求項1参照)
特許文献1に記載の発明においては、稲種子が動力散布機や播種機を用いて播種されるため、機械的衝撃によって崩壊しない程度の強度特性が必要であることから、製造されたコーティング稲種子について、コーティングの崩壊程度の測定法(以下、コーティングの崩壊試験という)、すなわち1.3mの高さから厚さ3mmの鋼板に5回落下させ、機械的衝撃を与える方法で測定して、コーティングに実用的な強度が得られていることを確認している。
なお、特許文献1においては、特に鉄粉粒度分布に着目はされていないが、以下の表1に示す粒度分布を有する鉄粉をコーティングに使用した場合には、上記の鉄粉被覆稲種子の崩壊試験において、いずれも実用的な衝撃強度を維持できるとしている。
また、特許文献1においては、稲の生長に有益な栄養分や農薬等の副資材を鉄粉と同時にコーティングすることも可能であるとして、コーティング可能な栄養分の例としてシリカゲルを挙げている(特許文献1の段落[0030]参照)。
特許第4441645号公報
鉄粉被膜の付着強度に関し、特許文献1においては、特に播種工程における落下による衝撃に起因した鉄粉被覆の崩壊について検討されている。そのため、強度試験として、1.3mの高さから厚さ3mmの鋼板に5回落下させて機械的衝撃を与えるという崩壊試験が行われている。
しかしながら、稲種子は播種工程のみならず、輸送工程においても機械的な外力を受けることは前述の通りである。そして、輸送工程において稲種子が受ける機械的外力は、落下による衝撃の他、種子間もしくは種子と容器間で生じる滑りや転がりの摩擦力である。
落下による衝撃を受けた場合、鉄粉被覆は割れによって剥離するが、摩擦力を受けた場合には、磨り減りにより徐々に剥離するという形態をとる。
したがって、鉄粉被覆を播種工程のみならず輸送工程での鉄粉被膜の剥離を防止するには、摩擦力に対する強度を有する被覆が必要となる。
しかしながら、種子の滑りや転がり摩擦応力に対して十分な強度で稲種子を被覆できる鉄粉や、鉄粉を被覆した種子を実現する技術はなかった。
また、特許文献1に記載の鉄粉の粒度分布は、表1に示されるように、45μm以下の微粒径の割合が85%と多いか、もしくは、35%未満と少ないもののみが開示されている。
しかし、微粒状の鉄粉を多量に含有する鉄粉を使用した場合には、鉄粉が空気中の酸素と急激に反応し、発熱によって鉄粉を被覆した種子がダメージを受ける可能性や、大量取扱時には火災を引き起こしたりする懸念もある。加えて、微細な鉄粉は粉塵を生じやすいため、清浄な作業環境を維持しにくいという問題もある。
一方、微粒状の鉄粉の含有量が過小で、粗粒鉄粉の含有量が過大な場合には、鉄粉表面を被覆するための粒子数が不足し、均一な被膜形成が不可能になり、結果的に被膜強度が低下するおそれがある。
さらに、特許文献1においては、稲の生長に有益な栄養分や農薬等の副資材を鉄粉と同時にコーティングすることは述べられているものの、副資材をどのような形態で稲種子にコーティングするのが稲の生長に最も好ましいかについては何らの記載もされていない。
特許文献1では、その図2において、副資材が鉄粉と混ざり合って稲種子をコーティングしている様子が示されているが、そのような態様では、最外縁にある副資材は散逸し易く、効果的に稲種子の発芽に貢献できない可能性もある。
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、播種工程のみならず輸送工程においても鉄粉の脱落が少ない被覆が実現でき、かつ種子の成長に有益な副資材を種子の成長に好ましい態様で種子に付着させることができる副資材含有種子被覆用鉄粉、副資材付着種子被覆用鉄粉、種子被覆用合金鋼粉及び、副資材含有種子被覆用鉄粉、副資材付着種子被覆用鉄粉または種子被覆用合金鋼粉で被覆された種子を得ることを目的としている。
また、稲種子に対してダメージを与える可能性が少なく、さらには取り扱いも容易な副資材含有種子被覆用鉄粉、副資材付着種子被覆用鉄粉、種子被覆用合金鋼粉を得ることを目的としている。
発明者は、鉄粉の剥離防止及び副資材の付着のそれぞれについて、以下のような検討を行った。
<鉄粉の剥離防止>
発明者は稲種子の表面を観察して、如何なる鉄粉を用いることが剥離防止に効果的であるかについて検討した。
発明者が着目したのは、稲種子の表面構造である。図1は稲の種籾の走査型電子顕微鏡による二次電子像であり、図1(a)が全体像、図1(b)が一部の拡大写真、図1(c)がさらに拡大した写真を示している。
図1の写真から分かるように、稲の種籾の最外殻である籾殻の表面には、微細な凹凸があり、この凹凸における凹部に鉄粉が入り込んで付着することによって、より強固な被膜を形成することができるのではないかと考えた。
そこで、種子表面の微細な凹部へ入り込んで付着できる鉄粉粒子径について検討したところ45μ以下の粒子径の鉄粉を所定量含むことが好ましいとの知見を得た。
もっとも、微粒径の鉄粉を多量に含むと前述した発熱や作業環境上の問題を生ずることから所定の量以下であることも必要である。
次に、発明者が着目したのは、稲種子の表面の状態である。稲の種籾1の最外殻である籾殻3の表面には、図2に示すように、毛5が生えている。
「お米の微視的構造を見る(目崎孝昌 著)」の21ページにも示されているように、前記の毛5の生え方にも粗密がある。特に、毛5が密集した部位における毛5の間隔は50〜150μmである。
発明者は、種籾1に鉄粉をコーティングする際には、前述した凹部に入り込んで付着する他に毛5の弾性的作用によって毛5と毛5の間に配置された鉄粉が毛5に保持されることを通じて、付着力が高まると考えた。
また、発明者は、稲種子の毛5の保持力による付着の他、毛5をすり抜ける鉄粉で、凹部には入り込まないような粒径の鉄粉は、稲種子表面に貼りつくように直接付着することも知見した。
以上のような種子の表面の状態を検討し、毛5に保持されるもの、あるいは毛5をすり抜けて凹部には入り込まないが種子表面に付着するような鉄粉粒径について検討したところ、63μm以下の鉄粉を所定の量含むことが好ましいとの知見を得た。
そして、稲種子表面の凹部に入り込む鉄粉、凹部には入り込まない稲種子表面に付着する鉄粉、毛5によって保持される鉄粉を含有することで、稲種子の凹部には最も微細な鉄粉が入り込み、その上方には種子表面に鉄粉が付着し、さらにその上方には毛5によって鉄粉が保持され、鉄粉が三重にコーティングされる部位も存在することになり、種子の転がりや滑りに伴う、被覆膜の剥離量を小さくできるとの知見を得た。
また、鉄粉の粒子径が大きすぎると毛5の間隙に入りにくくなるのみならず、粒子に作用する重力が大きく、毛5が鉄粉を保持できなくなるので、付着効果が小さくなると推定される。従って粒子径が150μm以上の鉄粉の割合は所定の量以下にするのが好ましいとの知見も得た。
上記の検討は鉄粉のみを対象として行っているが、鉄粉に副資材が付着した場合には副資材付着鉄粉について当てはまるし、あるいは鉄粉と副資材が合金化した場合については合金鋼粉について当てはまる。
なお、上記の検討は稲種子を例に挙げて説明したが、種子表面の全体もしくは部分的に凹凸および/または毛を有する種子であれば、同様のことが言える。
<副資材の付着>
発明者は副資材としてモリブデン化合物に着目した。モリブデン化合物(例えば、酸化モリブデン)は、土中において種子の発芽を阻害する硫化物イオンの発生を抑制する作用があることが知られている。
そこで、発明者は、上記のように剥離防止効果の高い鉄粉で種子を被覆するに際して、酸化モリブデンの粉末をどのようにして種子に付着させることが最も効果的であるかについて検討した。
酸化モリブデンのような副資材は、直播された種子が発芽する際に、種子の近傍に存在することが、その発芽促進の効果を高める観点から好ましい。
種子の近傍に副資材を存在させる態様として、副資材の最適な粒子径を規定して混合すること、副資材を予め鉄粉に付着させること、及び副資材を鉄粉と一体化させることが好ましいとの知見を得た。
なお、上記の検討は稲種子を例に挙げて説明したが、稲種子と同様に表面に毛を有する種子、例えば、麦、ニンジン、トマトなどの種子であれば、同様のことが言える。
また、上記の検討では副資材として酸化モリブデンを例に挙げたが、種子の発芽に寄与できるものであれば、同様のことが言える。そのような副資材としては、例えば、酸化タングステン、酸化バナジウム、マンガン、銅、ニッケル、ホウ素、硫黄などが挙げられる。
本発明は上記の知見を基になされたものであり、具体的には以下の構成からなるものである。
(1)本発明に係る副資材含有種子被覆用鉄粉は、鉄粉100質量部に対して副資材粉末を0.01〜100質量部含有し、前記鉄粉は、粒子径が45μm以下の鉄粉の質量比率が35%超、85%未満、かつ粒子径が63μm以下の鉄粉の質量比率が75%超であり、前記副資材粉末の平均粒子径が45μm以下であることを特徴とするものである。
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記副資材がモリブデン単体もしくはモリブデン化合物であることを特徴とするものである。
(3)また、上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、粒子径が150μm超の鉄粉の質量比率が、10%未満であることを特徴とするものである。
(4)また、上記(1)乃至(3)のいずれかに記載のものにおいて、鉄粉が還元法もしくはアトマイズ法で製造されたことを特徴とするものである。
(5)本発明に係る種子は、上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の副資材含有種子被覆用鉄粉を種子に被覆してなることを特徴とするものである。
(6)また、上記(5)に記載のものにおいて、種子が稲種子であることを特徴とするものである。
(7)本発明に係る副資材付着種子被覆用鉄粉は、鉄粉に副資材が付着してなり、種子を被覆するのに用いられる副資材付着種子被覆用鉄粉であって、前記副資材付着種子被覆用鉄粉は、粒子径が45μm以下の副資材付着種子被覆用鉄粉の質量比率が35%超、85%未満、かつ粒子径が63μm以下の鉄粉の質量比率が75%超であることを特徴とするものである。
(8)また、上記(7)に記載のものにおいて、前記副資材付着種子被覆用鉄粉は、鉄粉100質量部に対して副資材を0.01〜100質量部付着してなることを特徴とするものである。
(9)また、上記(7)又は(8)に記載のものにおいて、前記副資材がモリブデン単体もしくはモリブデン化合物であることを特徴とするものである。
(10)また、上記(7)乃至(9)のいずれかに記載のものにおいて、粒子径が150μm超の副資材付着種子被覆用鉄粉の質量比率が、10%未満であることを特徴とするものである。
(11)また、上記(7)乃至(11)のいずれかに記載のものにおいて、前記鉄粉が還元法もしくはアトマイズ法で製造されたことを特徴とするものである。
(12)本発明に係る種子は、上記(7)乃至(11)のいずれかに記載の副資材付着種子被覆用鉄粉を種子に被覆してなることを特徴とするものである。
(13)また、上記(12)に記載のものにおいて、種子が稲種子であることを特徴とするものである。
(14)本発明に係る種子被覆用合金鋼粉は、鉄と副資材の合金からなり、種子を被覆するのに用いられる種子被覆用合金鋼粉であって、前記種子被覆用合金鋼粉は、粒子径が45μm以下の種子被覆用合金鋼粉の質量比率が35%超、85%未満、かつ粒子径が63μm以下の鉄粉の質量比率が75%超であることを特徴とするものである。
(15)また、上記(14)に記載のものにおいて、前記種子被覆用合金鋼粉は、鉄100質量部に対して副資材を0.01〜100質量部含有してなることを特徴とするものである。
(16)また、上記(14)又は(15)に記載のものにおいて、前記副資材がモリブデンであることを特徴とするものである。
(17)また、上記(14)乃至(16)のいずれかに記載のものにおいて、粒子径が150μm超の種子被覆用合金鋼粉の質量比率が、10%未満であることを特徴とするものである。
(18)また、上記(14)乃至(17)のいずれかに記載のものにおいて、前記種子被覆用合金鋼粉が還元法もしくはアトマイズ法で製造されたことを特徴とするものである。
(19)本発明に係る種子は、上記(14)乃至(18)のいずれかに記載の種子被覆用合金鋼粉を種子に被覆してなることを特徴とするものである。
(20)また、上記(19)に記載のものにおいて、種子が稲種子であることを特徴とするものである。
本発明によれば、種子表面に毛を有する例えば稲種子のような種子に対して毛による保持が期待でき、播種工程のみならず輸送工程においても鉄粉、副資材付着種子被覆用鉄粉、被覆用合金鋼粉の脱落が少ない被覆が実現できる。
また、種子の発芽に有益な副資材を、種子が発芽する際に、種子の近傍に存在するようにすることができ、発芽促進の効果を高めることができる。
稲種子の表面の二次電子像である。 稲種子の表面の状態を説明する説明図である。
[実施の形態1]
本実施の形態は、鉄粉と副資材を予め混合した副資材含有種子被覆鉄粉に関するものである。
本発明の一実施の形態に係る副資材含有種子被覆用鉄粉は、鉄粉100質量部に対して副資材粉末を0.01〜100質量部含有し、粒子径が45μm以下の鉄粉の質量比率が35%超、85%未満、かつ、粒子径が63μm以下の鉄粉の質量比率が75%超であり、前記副資材粉末の平均粒子径が45μm以下であることを特徴とするものである。
また、本実施の形態においては、粒子径が150μmを超える鉄粉の質量比率が10%未満としている。
以下、各構成を詳細に説明する。
<鉄粉>
粒子径が45μm以下の鉄粉の質量比率を35%超としたのは、鉄粉が種子表面の微細な凹凸の凹部に入り込んで付着し、強固な被膜を形成するためである。
また、粒子径が45μm以下の鉄粉の質量比率を85%未満としたのは、微粒径の鉄粉の含有量が増えると、鉄粉が空気中の酸素と急激に反応し、発熱によって鉄粉を被覆した種子がダメージを受ける可能性や、大量取扱時には火災を引き起こしたりする懸念があり、さらに、微細な鉄粉の含有量が多いと、粉塵を生じやすく清浄な作業環境を維持しにくいからである。
粒子径が63μm以下の鉄粉の質量比率を75%超としたのは、粒子径が63μm以下の鉄粉は種子の表面にある毛に保持され、あるいは毛の間をすり抜けて種子の表面に粒子間の付着力によって付着するので、このような粒子径の鉄粉を所定の量を含有することで、前述した三重被覆を実現する趣旨である。
粒子径が150μmを超える鉄粉の質量比率を10%未満とすることが好ましいのは、粒子径が150μmを超える鉄粉は毛による保持及び種子表面への直接の付着共に期待ができないので、この粒子径のものを少なくする趣旨である。
なお、鉄粉の粒度分布は、JIS Z2510−2004に定められた方法を用いてふるい分けすることによって評価できる。
本実施の形態における鉄粉としては、ミルスケールを還元して製造する還元鉄粉や溶鋼を水アトマイズして製造するアトマイズ鉄粉、電解鉄粉、粉砕鉄粉等を用いることができる。また、これらの鉄粉は高純度化のための熱処理を施さなくとも使用することができる。例えばアトマイズ鉄粉は、通常、アトマイズ後に還元性雰囲気(例えば水素雰囲気)中で加熱して鉄粉中からCとOを低減させる処理を施す。しかし、本発明の原料としての鉄粉にはこのような熱処理を施さない、いわゆる「アトマイズまま」の鉄粉を用いることも可能である。
<副資材>
副資材としては、種子の発芽に寄与でき、かつその平均粒子径が45μm以下のものである。
副資材としては、モリブデン単体もしくはモリブデン化合物が後述する効果を有するため好ましい。例えば酸化モリブデンが例示できる。
酸化モリブデンの作用は以下の通りである。
土中または土表面においては、硫酸イオン(SO 2―)が硫酸還元菌の作用によって硫黄と酸素に分解され、これによって発生する硫化物イオンが種子の発芽を阻害する。
酸化モリブデン(MoO)は、土中または土表面において、モリブデン酸イオン(MoO 2―)となって、硫酸イオンの硫化物イオンへの分解を抑制し、有害な硫化物イオンの発生を防止する。
副資材、例えば酸化モリブデン粉末の粒子径は、平均粒子径が45μm以下である。
副資材、例えば酸化モリブデン粉末の粒子径が上記の範囲にあるので、上記の鉄粉と混合して種子の被覆を行うことで、副資材(酸化モリブデン)が粒子径の小さい鉄粉と共に種子の表面に直接付着し、その周囲を粒子径の大きい鉄粉が被覆することになる。
このため、副資材含有種子被覆用鉄粉で被覆された種子を直播した場合、副資材(酸化モリブデン)が鉄粉で覆われるので、副資材(酸化モリブデン)が散逸することなく、種子の発芽に効果的な作用をする。
また、酸化モリブデンの粉末は白色であるため、白色の酸化モリブデンを仮に種子の表面に糊付けなどによって付着させると、白色は鳥類に見つけ易いため、直播した種子が鳥類に食べられ易くなるが、本実施形態のように、被覆した鉄粉が酸化して明度の低い茶褐色〜黒色を呈することにより、鳥類に目立ちにくくなり、種子が食べられ難くなるという効果もある。
なお、酸化モリブデンのような副資材の含有量は、鉄粉100質量部に対し0.01〜100質量部とすることが好ましい。0.01質量部以上であれば上記した副資材の効果が得られる。100質量部以下であれば、鉄粉被覆種子が白色に近くなることがなく、さらに鉄粉被覆種子の比重が小さくなることがなく、流出しない。
また、上記の検討では副資材として酸化モリブデンを例に挙げたが、種子の発芽に寄与でき、かつその平均粒子径が45μm以下のものであれば、同様のことが言える。
そのような副資材としては、例えば、酸化タングステン、酸化バナジウムなどが挙げられる。
鉄粉を種子被覆する方法に制限はない。
例えば「鉄コーティング湛水直播マニュアル2010(独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター 編)」に示されているように、手作業での被覆(コーティング)をはじめ、従来から公知の混合機を用いる方法等いずれを使用してもよい。
混合機としては、例えば、攪拌翼型ミキサー(たとえばヘンシェルミキサー等)や容器回転型ミキサー(たとえばV型ミキサー,ダブルコーンミキサー、傾斜回転型パン型混合機、回転クワ型混合機等)が使用できる。
また、上記の鉄コーティング湛水直播マニュアル2010に示されているように、鉄粉コーティングに際しては焼石膏などのコーティング強化剤を使用することもできる。
[実施の形態2]
本実施の形態は、鉄粉に副資材を付着させた副資材付着種子被覆用鉄粉に関するものである。
発明者は鉄粉に付着させる副資材としてモリブデン化合物に着目した。モリブデン化合物(例えば、酸化モリブデン)は、土中において種子の発芽を阻害する硫化物イオンの発生を抑制する作用があることが知られている。
そこで、発明者は、上記のように剥離防止効果の高い鉄粉で種子を被覆するに際して、モリブデンをどのようにして種子に付着させることが最も効果的であるかについて検討した。
酸化モリブデンのような副資材は、直播された種子が発芽する際に、種子の近傍に存在することが、その発芽促進の効果を高める観点から好ましい。このため、副資材は予め種子に付着させておくことが好ましい。
ところで、種子に上記のような副資材粉末を付着させる場合には、例えばPVA(ポリビニルアルコール)などのバインダーで予め種子を被覆した後に副資材粉末を付着させる方法を適用することができる。
しかしながら、このような方法では特に少量の副資材を付着させる場合、種子間での副資材の付着率に大きなばらつきが出やすいという問題がある。
そこで、発明者は、種子を被覆する鉄粉に予め副資材を付着させることが上記問題点の解決につながるのではないかと考えた。
つまり、上記の鉄粉にモリブデン化合物を予め付着させ、モリブデン化合物が付着した鉄粉によって種子を被覆することによって、モリブデンは、鉄粉と共に稲種子の表面に均一に付着させることができる。これによって、モリブデンは、散逸することなく、また種子間のばらつきなく種子を被覆することになるので、種子の発芽に効果的に寄与できる。
なお、上記の検討では副資材として酸化モリブデンを例に挙げたが、種子の発芽に寄与し、また植物の成長に必須の元素であれば同様のことが言える。
そのような副資材としては、例えばマンガン、銅、ニッケル、ホウ素、硫黄などが挙げられる。
本実施の形態の副資材付着種子被覆用鉄粉は上記の検討を基になされたものであり、具体的には以下のものである。
本発明の一実施の形態に係る副資材付着種子被覆用鉄粉は、鉄粉に副資材が付着してなることを特徴とし、また前記副資材付着種子被覆用鉄粉は、粒子径が45μm以下の副資材付着種子被覆用鉄粉の質量比率が35%超、85%未満、かつ、粒子径が63μm以下の副資材付着種子被覆用鉄粉の質量比率が75%超であることを特徴とするものである。
また、本実施の形態においては、粒子径が150μmを超える副資材付着種子被覆用鉄粉の質量比率が10%未満としている。
以下、各構成を詳細に説明する。
<副資材付着種子被覆用鉄粉>
粒子径が45μm以下の副資材付着種子被覆用鉄粉の質量比率を35%超としたのは、副資材付着種子被覆用鉄粉が種子表面の微細な凹凸の凹部に入り込んで付着し、強固な被膜を形成するためである。
また、粒子径が45μm以下の副資材付着種子被覆用鉄粉の質量比率を85%未満としたのは、微粒径の副資材付着種子被覆用鉄粉の含有量が増えると、副資材付着種子被覆用鉄粉が空気中の酸素と急激に反応し、発熱によって副資材付着種子被覆用鉄粉を被覆した種子がダメージを受ける可能性や、大量取扱時には火災を引き起こしたりする懸念があり、さらに、微細な副資材付着種子被覆用鉄粉の含有量が多いと、粉塵を生じやすく清浄な作業環境を維持しにくいからである。
粒子径が63μm以下の副資材付着種子被覆用鉄粉の質量比率を75%超としたのは、粒子径が63μm以下の副資材付着種子被覆用鉄粉は種子の表面にある毛に保持され、あるいは毛の間をすり抜けて種子の表面に粒子間の付着力によって付着するので、このような粒子径の副資材付着種子被覆用鉄粉を所定の量を含有することで、前述した三重被覆を実現する趣旨である。
粒子径が150μmを超える副資材付着種子被覆用鉄粉の質量比率を10%未満とすることが好ましいのは、粒子径が150μmを超える副資材付着種子被覆用鉄粉は毛による保持及び種子表面への直接の付着共に期待ができないので、この粒子径のものを少なくする趣旨である。
なお、副資材付着種子被覆用鉄粉の粒度分布は、JIS Z2510−2004に定められた方法を用いてふるい分けすることによって評価できる。
本実施の形態における副資材付着種子被覆用鉄粉の原料となる鉄粉としては、ミルスケールを還元して製造する還元鉄粉や溶鋼を水アトマイズして製造するアトマイズ鉄粉、電解鉄粉、粉砕鉄粉等を用いることができる。また、これらの鉄粉は高純度化のための熱処理を施さなくとも使用することができる。例えばアトマイズ鉄粉は、通常、アトマイズ後に還元性雰囲気(例えば水素雰囲気)中で加熱して鉄粉中からCとOを低減させる処理を施す。しかし、本発明の原料としての鉄粉にはこのような熱処理を施さない、いわゆる「アトマイズまま」の鉄粉を用いることも可能である。
<副資材>
副資材は、種子の発芽や成長に有益なものである。
副資材の例としては、モリブデン単体もしくはモリブデン化合物、例えば、酸化モリブデンが例示できる。
モリブデンの作用は、実施の形態1で述べた通り、以下のようなものである。
土中または土表面においては、硫酸イオン(SO 2―)が硫酸還元菌の作用によって硫化物イオン(S2−)と酸素(O)に分解され、これによって発生する硫化物イオン(S2−)が種子の発芽を阻害する。
モリブデン(Mo)は、土中または土表面において、モリブデン酸イオン(MoO 2―)となって、硫酸イオンの硫化物イオンへの分解を抑制し、有害な硫化物イオンの発生を防止する。
副資材(酸化モリブデン)が付着された副資材付着種子被覆用鉄粉を使用して種子の被覆を行うことで、副資材(酸化モリブデン)は副資材付着種子被覆用鉄粉として種子の表面に均一分散して付着させることになる。
このような種子を直播した場合には、副資材(酸化モリブデン)が散逸することなく、種子の発芽に効果的な作用をする。また、種子間の副資材(酸化モリブデン)付着率のばらつきが小さいので、発芽や成長のばらつきを抑制することができる。さらに、副資材(酸化モリブデン)は鉄粉の表面に付着しているので、比較的早い時期に副資材(酸化モリブデン)が溶け出し、早期に発芽に寄与することができる。
また、酸化モリブデンの粉末は白色であるため、白色の酸化モリブデンを仮に種子の表面に糊付けなどによって付着させると、白色は鳥類が見つけ易いため、直播した種子が鳥類に食べられ易くなるが、本実施形態のように種子を被覆した副資材付着種子被覆用鉄粉を構成する鉄粉が酸化して明度の低い茶褐色〜黒色を呈することにより、鳥類が見つけにくくなり、種子が食べられ難くなるという効果もある。
なお、酸化モリブデンのような副資材の付着量は、鉄粉100質量部に対し0.01〜100質量部とすることが好ましい。0.01質量部以上であれば上記した副資材の効果が得られる。酸化モリブデンが100質量部以下であれば、副資材付着種子被覆用鉄粉が白色に近くなることがなく、鳥類に食べられない。
また、副資材(酸化モリブデン)が100質量部以下であれば、副資材付着種子被覆用鉄粉の比重が小さくならず、よって副資材付着種子被覆用鉄粉で被覆した種子の比重も小さくならないので、当該種子が水田において浮遊や流出しない。
<鉄粉への副資材の付着方法>
鉄粉へ副資材を付着させる方法としては、熱処理によって鉄粉表面に副資材を拡散させて付着させる方法(以下、「拡散付着」という。)と、熱処理せずに糊剤を用いて鉄粉表面に副資材を付着させる方法(以下、「バインダー付着」という。)、あるいは衝突エネルギーによって機械的に付着する方法(以下、「機械的付着」という)が挙げられるが、付着方法を限定するものではない。
〔拡散付着〕
拡散付着の方法を、副資材粉末として酸化モリブデン粉末を用いる場合を例に挙げて概説する。
まず、鉄粉と酸化モリブデン粉末を、所定の比率で混合する。混合は、適用可能な任意の方法(例えばヘンシェルミキサーやコーン型ミキサーなどを用いる方法)を適用することができる。
鉄粉と副資材粉末の混合物を高温で保持し、鉄粉と酸化モリブデン粉末の接触面でモリブデン(Mo)を鉄粉中に拡散させて接合することにより、本発明の副資材付着種子被覆用鉄粉が得られる。
熱処理の雰囲気としては、還元性雰囲気が好適であり、水素含有雰囲気、好ましくは水素雰囲気が特に適している。なお、真空下で熱処理を行っても良い。また、好適な熱処理の温度は800〜1000℃の範囲である。なお、このような熱処理条件下では、酸化モリブデンは金属Moに還元されることが多い。
なお、副資材粉末として上記の例のように酸化モリブデン粉末を拡散付着させる場合は、鉄粉と酸化モリブデンとの付着性を改善するために、スピンドル油等を 0.1質量%程度添加することも可能である。
〔バインダー付着〕
バインダー付着を実施する場合、バインダーは特定の材質に限定しないが、バインダーとしては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの金属石鹸、エチレンビスステアロアミド、ステアリン酸モノアミドなどのアミド系ワックス、PVA(ポリビニルアルコール)、酢酸ビニルエチレン共重合体、フェノール樹脂等、従来から知られているバインダーを使用できる。
これらのバインダーは融点以上(共溶融点を含む)に加熱溶融することにより鉄粉表面に副資材粉末を付着させることができるが、バインダーによる付着はこの方法に限定されない。例えば、バインダー成分を溶剤に溶かして鉄粉および副資材粉末に塗布して両者を付着させ、その後、溶剤を揮発させるといった手段を用いても良い。金属石鹸など上記のバインダーを用いる場合は、融点が80〜150℃程度のものを含有させ、これらの融点以上に加熱して副資材粉末を付着させることが好ましい。
〔機械的付着〕
機械的付着とは、鉄粉と副資材粉末をミキサー等で混合し、その混合時に生じる粒子同士の接触に伴う衝突圧力を利用して副資材を鉄粉に付着させる方法である。
副資材付着種子被覆用鉄粉を用いて種子を被覆する方法に制限はない。
例えば「鉄コーティング湛水直播マニュアル2010(独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター編)」に示されているように、手作業での被覆(コーティング)をはじめ、従来から公知の混合機を用いる方法等いずれを使用してもよい。
混合機としては、例えば、攪拌翼型ミキサー(たとえばヘンシェルミキサー等)や容器回転型ミキサー(たとえばV型ミキサー、ダブルコーンミキサー、傾斜回転型パン型混合機、回転クワ型混合機等)が使用できる。
また、上記の鉄コーティング湛水直播マニュアル2010に示されているように、副資材付着種子被覆用鉄粉のコーティングに際しては焼石膏などのコーティング強化剤を使用することもできる。
[実施の形態3]
本実施の形態は、鉄粉に副資材を予合金した種子被覆用合金鋼粉に関するものである。
発明者は鉄粉に予合金化する副資材としてモリブデン化合物に着目した。モリブデン化合物(例えば、酸化モリブデン)は、土中において種子の発芽を阻害する硫化物イオンの発生を抑制する作用があることが知られている。
そこで、発明者は、上記のように剥離防止効果の高い鉄粉で種子を被覆するに際して、モリブデンをどのようにして種子に付着させることが最も効果的であるかについて検討した。
酸化モリブデンのような副資材は、直播された種子が発芽する際に、種子の近傍に存在することが、その発芽促進の効果を高める観点から好ましい。このため、副資材は予め種子に付着させておくことが好ましい。
ところで、種子に上記のような副資材粉末を付着させる場合には、例えばPVA(ポリビニルアルコール)などのバインダーで予め種子を被覆した後に副資材粉末を付着させる方法を適用することができる。
しかしながら、このような方法では特に少量の副資材を付着させる場合、種子間での副資材の付着率に大きなばらつきが出やすいという問題がある。
そこで、発明者は、副資材を散逸させることなく、かつ種子間でのばらつきなく種子に付着させる方法を検討した。
その結果、鉄粉と副資材を一体化させるのが好適であると考えた。そして、鉄にモリブデンを合金化することが可能である点に着目した。
つまり、上記の鉄にモリブデンを合金化して、合金鋼粉を生成することによって、モリブデンは合金鋼粉中に均一に分散するので、その結果としてモリブデンを鉄と共に稲種子の表面に均一に存在させることができる。これによって、モリブデンが散逸することなく、かつ種子間でのばらつきなく、種子の発芽に効果的に寄与できる。
合金元素として添加されたモリブデンは、土中で鉄の酸化溶解に伴って容易に放出されるので、前記の発芽阻害機構の抑制に効果を発揮することができる。
なお、上記の検討では副資材として酸化モリブデンを例に挙げたが、種子の発芽に寄与し、また植物の成長に必須の元素であれば同様のことが言える。
そのような副資材としては、例えばマンガン、銅、ニッケル、ホウ素、硫黄などが挙げられる。
本実施の形態種子被覆用合金鋼粉は、上記の検討を基になされたものであり、具体的には以下に示すものである。
本実施の形態に係る種子被覆用合金鋼粉は、鉄と副資材の合金からなり、前記種子被覆用合金鋼粉は、粒子径が45μm以下の種子被覆用合金鋼粉の質量比率が35%超、85%未満、かつ粒子径が63μm以下の鉄粉の質量比率が75%超であることを特徴とするものである。
また、本実施の形態においては、粒子径が150μmを超える種子被覆用合金鋼粉の質量比率が10%未満としている。
以下、各構成を詳細に説明する。
<種子被覆用合金鋼粉>
粒子径が45μm以下の種子被覆用合金鋼粉の質量比率を35%超としたのは、種子被覆用合金鋼粉が種子表面の微細な凹凸の凹部に入り込んで付着し、強固な被膜を形成するためである。
また、粒子径が45μm以下の種子被覆用合金鋼粉の質量比率を85%未満としたのは、微粒径の種子被覆用合金鋼粉の含有量が増えると、種子被覆用合金鋼粉が空気中の酸素と急激に反応し、発熱によって種子被覆用合金鋼粉を被覆した種子がダメージを受ける可能性や、大量取扱時には火災を引き起こしたりする懸念があり、さらに、微細な種子被覆用合金鋼粉の含有量が多いと、粉塵を生じやすく清浄な作業環境を維持しにくいからである。
粒子径が63μm以下の種子被覆用合金鋼粉の質量比率を75%超としたのは、粒子径が63μm以下の種子被覆用合金鋼粉は種子の表面にある毛に保持され、あるいは毛の間をすり抜けて種子の表面に粒子間の付着力によって付着するので、このような粒子径の種子被覆用合金鋼粉を所定の量を含有することで、前述した三重被覆を実現する趣旨である。
粒子径が150μmを超える種子被覆用合金鋼粉の質量比率を10%未満とすることが好ましいのは、粒子径が150μmを超える種子被覆用合金鋼粉は毛による保持及び種子表面への直接の付着共に期待ができないので、この粒子径のものを少なくする趣旨である。
なお、種子被覆用合金鋼粉の粒度分布は、JIS Z2510−2004に定められた方法を用いてふるい分けすることによって評価できる。
なお、種子被覆用合金鋼粉は、いわゆるアトマイズ法によって製造されたアトマイズ合金鋼粉が好ましい。アトマイズ合金鋼粉とは、合金成分を目的に応じて調整した溶鋼を水ないしガスで噴霧して得られる合金粉末である。溶鋼中にモリブデンを溶解することによって、鉄中にモリブデンが均一分散した合金鋼粉を製造することができる。アトマイズ合金鋼粉は、通常、アトマイズ後に還元性雰囲気(例えば水素雰囲気)中で加熱して粉中からCとOを低減させる処理を施す。しかし、本発明の原料としての合金粉末にはこのような熱処理を施さない、いわゆる「アトマイズまま」の合金粉を用いることも可能である。
なお、合金鋼粉の製造方法としては、成分さえ適合すれば、いわゆる還元法や、電解法、あるいは粉砕等も使用可能である。
<副資材>
副資材は、種子の発芽や成長に有益なものである。
副資材の例としては、モリブデンが例示できる。
モリブデンの作用は以下の通りである。
土中または土表面においては、硫酸イオン(SO 2―)が硫酸還元菌の作用によって硫化物イオン(S2−)と酸素(O)に分解され、これによって発生する硫化物イオン(S2−)が種子の発芽を阻害する。
モリブデン(Mo)は、土中または土表面において、モリブデン酸イオン(MoO 2―)となって、硫酸イオンの硫化物イオンへの分解を抑制し、有害な硫化物イオンの発生を防止する。
副資材(モリブデン)が予合金化された合金鋼粉を使用して種子の被覆を行うことで、副資材(モリブデン)は合金鋼粉の含有元素として種子の表面に均一分散することになる。
このような種子を直播した場合には、副資材(モリブデン)が散逸することなく、種子の発芽に効果的な作用をする。また、種子間の副資材(モリブデン)付着率のばらつきが小さいので、発芽や成長のばらつきを抑制することができる。
また、本実施の形態においては、副資材であるモリブデンを鉄に合金化しているので、モリブデンは鉄と共に比較的ゆっくりと溶解する。このため、副資材としての効果を長期間持続させることができる。
また、酸化モリブデンの粉末は白色であるため、白色の酸化モリブデンを仮に種子の表面に糊付けなどによって付着させると、白色は鳥類が見つけ易いため、直播した種子が鳥類に食べられ易くなるが、本実施形態の場合には、種子を被覆した種子被覆用合金鋼粉を構成する鉄分が酸化して明度の低い茶褐色〜黒色を呈することにより、鳥類が見つけにくくなり、種子が食べられ難くなるという効果もある。
なお、モリブデンのような副資材の含有量は、鉄100質量部に対し0.01〜100質量部とすることが好ましい。0.01質量部以上であれば上記した副資材の効果が得られる。モリブデンが100質量部以下であれば、種子被覆用合金鋼粉を構成する鉄粉が酸化した後に明度が高くなって白色に近くなることがなく、鳥類に食べられない。
また、副資材が100質量部以下であれば、種子被覆用合金鋼粉のコストが高くなることがない。
種子被覆用合金鋼粉を用いて種子を被覆する方法に制限はない。
例えば「鉄コーティング湛水直播マニュアル2010(独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター編)」に示されているように、手作業での被覆(コーティング)をはじめ、従来から公知の混合機を用いる方法等いずれを使用してもよい。
混合機としては、例えば、攪拌翼型ミキサー(たとえばヘンシェルミキサー等)や容器回転型ミキサー(たとえばV型ミキサー、ダブルコーンミキサー、傾斜回転型パン型混合機、回転クワ型混合機等)が使用できる。
また、上記の鉄コーティング湛水直播マニュアル2010に示されているように、種子被覆用合金鋼粉のコーティングに際しては焼石膏などのコーティング強化剤を使用することもできる。
[実施例1]
本発明の実施の形態1に係る副資材含有種子被覆用鉄粉の剥離防止効果を確認するために、本発明の発明例として種々の粒度分布の鉄粉に酸化モリブデンが含有された発明例1〜6を用いて稲種子の被覆を行った。また、比較例として、本発明の粒度分布の範囲を外れる粒度分布の鉄粉である比較例1〜3を用いて稲種子の被覆を行った。
鉄粉の被覆(コーティング)は、前述した「鉄コーティング湛水直播マニュアル2010」に記載された方法に準じて行った。具体的には以下の通りである。
はじめに種籾と焼石膏と数種の酸化モリブデン含有鉄粉を準備した。なお、酸化モリブデンの含有量は、鉄粉100質量部に対して2質量部とした。また、酸化モリブデン粉末の平均粒子径は20μmとした。
次に、傾斜回転型パン型混合機を用いて、適量の水を噴霧しながら種子(種籾)100gに対して酸化モリブデン含有鉄粉(鉄粉50g、酸化モリブデン1g)と5gの焼石膏をコーティングし、さらに2.5gの焼石膏を仕上げにコーティングした。
酸化モリブデン含有鉄粉を被覆(コーティング)された種子の転がり摩擦や滑り摩擦に対するコーティング被膜の強度評価方法は確立されていない。
そこで、JPMA P 11−1992 「金属圧粉体のラトラ値測定方法」に記載された試験方法に準じて被膜強度を調査した。なお、本試験方法をラトラ試験と称することとする。
ラトラ試験においては、酸化モリブデン含有鉄粉をコーティングした種子20±0.05gをラトラ試験器のかごに封入し、そのかごを回転速度87±10rpmで回転させた。
なお、回転数は上記試験方法に準ずると回転数は1000回となるが、以下に示す理由から回転数は1200回に設定した。
近年では、コーティング種子の生産量、輸送量、貯蔵量が大量になるにつれて種子への負荷が増大する傾向にあり、より高い耐摩耗性が必要となってきた。そこで本発明では、この状況を反映し、より苛酷な条件で試験を実施するために、ラトラ試験におけるかごの回転数を1200回に設定したものである。この方法によれば、かご内で種子が転がりながら流動することによって種子間および種子とかご容器内面との間で、転がりや滑りの摩擦力が負荷される。
したがって、本方法を適用すれば、転がり摩擦力と滑り摩擦力が複合的に負荷された場合の、コーティング被膜の強度を評価することができる。
表2に酸化モリブデン含有鉄粉の粒度分布とラトラ試験での重量減少率を示す。なお、重量減少率は以下の計算式から求めた。
重量減少率=(ラトラ試験で剥離した被膜の質量)/(試験前の種子質量)×100(%)
したがって、重量減少率が小さいほど、被膜の強度が高いと判定することができる。
表2に示されるように、発明例1〜6に記載のものは全て、「粒子径が45μm以下の鉄粉の質量比率が35%超、85%未満、かつ、粒子径が63μm以下の鉄粉の質量比率が、75%超」という本発明の粒度分布の範囲内であり、ラトラ試験での重量減少率が4%未満となっている。
他方、上記の粒度分布を外れる比較例1〜3では、ラトラ試験での重量減少率が4.5%以上である。
このことから、酸化モリブデン含有鉄粉の粒度分布を本発明の範囲内にすることで重量減少率を大幅に抑制できることが実証された。
なお、表2において比較例1〜3における粒度分布が本発明の範囲を外れる数字には下線を付してある。
また、発明例1、2、3、4、6では、粒子径が150μmを超える鉄粉の質量比率が10%未満であり、これらのラトラ試験での重量減少率は、3.5%以下と低くなっている。他方、発明例5では、粒子径が150μmを越える酸化モリブデン含有鉄粉の質量比率が12.8%と10%超になっている。このことから、粒子径が150μmを超える鉄粉の質量比率を10%未満に制御することで鉄粉の付着力をより高めることができることが分かる。
[実施例2]
実施の形態2に係る副資材付着種子被覆用鉄粉の剥離防止効果を確認するために、本発明の発明例として種々の粒度分布のモリブデン付着鉄粉である発明例7〜12を用いて稲種子の被覆を行った。また、比較例として、本発明の粒度分布の範囲を外れる粒度分布のモリブデン付着鉄粉である比較例4〜6を用いて稲種子の被覆を行った。
モリブデン付着鉄粉の被覆(コーティング)は、前述した「鉄コーティング湛水直播マニュアル2010」に記載された方法に準じて行った。具体的には以下の通りである。
アトマイズままの鉄粉に、Mo化合物粉末としてMoO粉末(平均粒径 2.5μm)を所定の比率添加し、V型混合器で15分間混合した。この混合粉を露点25℃の水素雰囲気で熱処理(保持温度 :900℃、保持時間:1hr)してMoO粉末をMo金属粉末に還元するとともに、鉄粉の表面に拡散付着させて、モリブデン付着鉄粉を作製した。なお、モリブデンの付着量は、鉄粉100質量部に対して酸化モリブデン換算値で2質量部とした。
また、水アトマイズ法で作製した鉄粉に、Mo化合物粉末としてMoO粉末(平均粒径5μm)を所定の比率で添加し、さらにバインダーとしてステアリン酸モノアミドを鉄粉に対して1.0質量部添加して、140℃に加熱しながら15分間混合し、鉄粉の表面にMoO粉末をバインダー付着させた粉末を作製した。なお、MoOの付着量は、鉄粉100質量部に対して2質量部とした。
さらに、種籾と焼石膏を準備した。
次に、傾斜回転型パン型混合機を用いて、適量の水を噴霧しながら種子(種籾)100gに対して上記二種類のモリブデン付着鉄粉50gと5gの焼石膏をコーティングし、さらに2.5gの焼石膏を仕上げにコーティングした。
モリブデン付着鉄粉を被覆(コーティング)された種子の転がり摩擦や滑り摩擦に対するコーティング被膜の強度評価方法は確立されていない。
そこで、JPMA P 11−1992 「金属圧粉体のラトラ値測定方法」に記載された試験方法に準じて被膜強度を調査した。なお、本試験方法をラトラ試験と称することとする。
ラトラ試験においては、モリブデン付着鉄粉をコーティングした種子20±0.05gをラトラ試験器のかごに封入し、そのかごを回転速度87±10rpmで回転させた。
なお、回転数は上記試験方法に準ずると回転数は1000回となるが、以下に示す理由から回転数は1200回に設定した。
近年では、コーティング種子の生産量、輸送量、貯蔵量が大量になるにつれて種子への負荷が増大する傾向にあり、より高い耐摩耗性が必要となってきた。そこで本発明では、この状況を反映し、より苛酷な条件で試験を実施するために、ラトラ試験におけるかごの回転数を1200回に設定したものである。この方法によれば、かご内で種子が転がりながら流動することによって種子間および種子とかご容器内面との間で、転がりや滑りの摩擦力が負荷される。
したがって、本方法を適用すれば、転がり摩擦力と滑り摩擦力が複合的に負荷された場合の、コーティング被膜の強度を評価することができる。
表3にモリブデン付着鉄粉の粒度分布とラトラ試験での重量減少率を示す。なお、重量減少率は以下の計算式から求めた。
重量減少率=(ラトラ試験で剥離した被膜の質量)/(試験前の種子質量)×100(%)
したがって、重量減少率が小さいほど、被膜の強度が高いと判定することができる。
表3に示されるように、発明例7〜12に記載のものは全て、「粒子径が45μm以下のモリブデン付着鉄粉の質量比率が35%超、85%未満、かつ、粒子径が63μm以下のモリブデン付着鉄粉の質量比率が、75%超」という本発明の粒度分布の範囲内であり、ラトラ試験での重量減少率が4%未満となっている。
他方、上記の粒度分布を外れる比較例4〜6では、ラトラ試験での重量減少率が4.5%以上である。
このことから、モリブデン付着鉄粉の粒度分布を本発明の範囲内にすることで重量減少率を大幅に抑制できることが実証された。
なお、表3において比較例4〜6における粒度分布が本発明の範囲を外れる数字には下線を付してある。
また、発明例7、8、9、10、12では、粒子径が150μmを越えるモリブデン付着鉄粉の質量比率が10%未満であり、これらのラトラ試験での重量減少率は、3.5%以下と低くなっている。他方、発明例5では、粒子径が150μmを越えるモリブデン付着鉄粉の質量比率が12.5%と10%超になっている。このことから、粒子径が150μmを越えるモリブデン付着鉄粉の質量比率を10%未満に制御することで鉄粉の付着力をより高めることができることが分かる。
[実施例3]
実施の形態3に係る種子被覆用合金鋼粉の剥離防止効果を確認するために、本発明の発明例として種々の粒度分布のモリブデン合金鋼粉である実施例13〜18を用いて稲種子の被覆を行った。また、比較例として、本発明の粒度分布の範囲を外れる粒度分布のモリブデン合金鋼粉である比較例7〜8を用いて稲種子の被覆を行った。
モリブデン合金鋼粉の被覆(コーティング)は、前述した「鉄コーティング湛水直播マニュアル2010」に記載された方法に準じて行った。具体的には以下の通りである。
はじめに種籾と焼石膏と水アトマイズ法で作製した数種のモリブデン合金鋼粉を準備した。なお、モリブデンの含有量は、鉄100質量部に対して2質量部とした。
次に、傾斜回転型パン型混合機を用いて、適量の水を噴霧しながら種子(種籾)100gに対して上記二種類のモリブデン合金鋼粉50gと5gの焼石膏をコーティングし、さらに2.5gの焼石膏を仕上げにコーティングした。
モリブデン合金鋼粉を被覆(コーティング)された種子の転がり摩擦や滑り摩擦に対するコーティング被膜の強度評価方法は確立されていない。
そこで、JPMA P 11−1992 「金属圧粉体のラトラ値測定方法」に記載された試験方法に準じて被膜強度を調査した。なお、本試験方法をラトラ試験と称することとする。
ラトラ試験においては、モリブデン合金鋼粉をコーティングした種子20±0.05gをラトラ試験器のかごに封入し、そのかごを回転速度87±10rpmで回転させた。
なお、回転数は上記試験方法に準ずると回転数は1000回となるが、以下に示す理由から回転数は1200回に設定した。
近年では、コーティング種子の生産量、輸送量、貯蔵量が大量になるにつれて種子への負荷が増大する傾向にあり、より高い耐摩耗性が必要となってきた。そこで本発明では、この状況を反映し、より苛酷な条件で試験を実施するために、ラトラ試験におけるかごの回転数を1200回に設定したものである。この方法によれば、かご内で種子が転がりながら流動することによって種子間および種子とかご容器内面との間で、転がりや滑りの摩擦力が負荷される。
したがって、本方法を適用すれば、転がり摩擦力と滑り摩擦力が複合的に負荷された場合の、コーティング被膜の強度を評価することができる。
表4にモリブデン合金鋼粉の粒度分布とラトラ試験での重量減少率を示す。なお、重量減少率は以下の計算式から求めた。
重量減少率=(ラトラ試験で剥離した被膜の質量)/(試験前の種子質量)×100(%)
したがって、重量減少率が小さいほど、被膜の強度が高いと判定することができる。
表4に示されるように、発明例13〜18に記載のものは全て、「粒子径が45μm以下のモリブデン合金鋼粉の質量比率が35%超、85%未満、かつ、粒子径が63μm以下のモリブデン合金鋼粉の質量比率が、75%超」という本発明の粒度分布の範囲内であり、ラトラ試験での重量減少率が4%未満となっている。
他方、上記の粒度分布を外れる比較例7〜9では、ラトラ試験での重量減少率が4.5%以上である。
このことから、モリブデン合金鋼粉の粒度分布を本発明の範囲内にすることで重量減少率を大幅に抑制できることが実証された。
なお、表4において比較例7〜9における粒度分布が本発明の範囲を外れる数字には下線を付してある。
また、発明例13、14、15、16、18では、粒子径が150μmを越えるモリブデン合金鋼粉の質量比率が10%未満であり、これらのラトラ試験での重量減少率は、3.5%以下と低くなっている。他方、発明例17では、粒子径が150μmを越えるモリブデン合金鋼粉の質量比率が12.5%と10%超になっている。このことから、粒子径が150μmを越えるモリブデン合金鋼粉の質量比率を10%未満に制御することで鉄粉の付着力をより高めることができることが分かる。
1 種籾
3 籾殻
5 毛

Claims (20)

  1. 鉄粉100質量部に対して副資材粉末を0.01〜100質量部含有し、
    前記鉄粉は、粒子径が45μm以下の鉄粉の質量比率が35%超、85%未満、かつ粒子径が63μm以下の鉄粉の質量比率が75%超であり、
    前記副資材粉末の平均粒子径が45μm以下であることを特徴とする副資材含有種子被覆用鉄粉。
  2. 前記副資材がモリブデン単体もしくはモリブデン化合物であることを特徴とする請求項1記載の副資材含有種子被覆用鉄粉。
  3. 粒子径が150μm超の鉄粉の質量比率が、10%未満であることを特徴とする請求項1又は2記載の種子被覆用鉄粉。
  4. 鉄粉が還元法もしくはアトマイズ法で製造されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の副資材含有種子被覆用鉄粉。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の副資材含有種子被覆用鉄粉を種子に被覆してなることを特徴とする種子。
  6. 種子が稲種子であることを特徴とする請求項5記載の種子。
  7. 鉄粉に副資材が付着してなり、種子を被覆するのに用いられる副資材付着種子被覆用鉄粉であって、
    前記副資材付着種子被覆用鉄粉は、粒子径が45μm以下の副資材付着種子被覆用鉄粉の質量比率が35%超、85%未満、かつ粒子径が63μm以下の鉄粉の質量比率が75%超であることを特徴とする副資材付着種子被覆用鉄粉。
  8. 前記副資材付着種子被覆用鉄粉は、鉄粉100質量部に対して副資材を0.01〜100質量部付着してなることを特徴とする請求項7記載の副資材付着種子被覆用鉄粉。
  9. 前記副資材がモリブデン単体もしくはモリブデン化合物であることを特徴とする請求項7又は8記載の副資材付着種子被覆用鉄粉。
  10. 粒子径が150μm超の副資材付着種子被覆用鉄粉の質量比率が、10%未満であることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか一項に記載の副資材付着種子被覆用鉄粉。
  11. 前記鉄粉が還元法もしくはアトマイズ法で製造されたことを特徴とする請求項7乃至10のいずれか一項に記載の副資材付着種子被覆用鉄粉。
  12. 請求項7乃至11のいずれか一項に記載の副資材付着種子被覆用鉄粉を種子に被覆してなることを特徴とする種子。
  13. 種子が稲種子であることを特徴とする請求項12記載の種子。
  14. 鉄と副資材の合金からなり、種子を被覆するのに用いられる種子被覆用合金鋼粉であって、
    前記種子被覆用合金鋼粉は、粒子径が45μm以下の種子被覆用合金鋼粉の質量比率が35%超、85%未満、かつ粒子径が63μm以下の鉄粉の質量比率が75%超であることを特徴とする種子被覆用合金鋼粉。
  15. 前記種子被覆用合金鋼粉は、鉄100質量部に対して副資材を0.01〜100質量部含有してなることを特徴とする請求項14記載の種子被覆用合金鋼粉。
  16. 前記副資材がモリブデンであることを特徴とする請求項14又は15記載の種子被覆用合金鋼粉。
  17. 粒子径が150μm超の種子被覆用合金鋼粉の質量比率が、10%未満であることを特徴とする請求項14乃至16のいずれか一項に記載の種子被覆用鉄粉。
  18. 前記種子被覆用合金鋼粉が還元法もしくはアトマイズ法で製造されたことを特徴とする請求項14乃至17のいずれか一項に記載の種子被覆用合金鋼粉。
  19. 請求項14乃至18のいずれか一項に記載の種子被覆用合金鋼粉を種子に被覆してなることを特徴とする種子。
  20. 種子が稲種子であることを特徴とする請求項19記載の種子。
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