JP2012178985A - 骨量増加剤のスクリーニング方法 - Google Patents

骨量増加剤のスクリーニング方法 Download PDF

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健一 武山
Kazufumi Saito
一史 齋藤
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Abstract

【課題】本発明は、被験物質の結合による、ビタミンD受容体蛋白質の被分解特性を指標として評価を行うことを特徴とする、骨量増加剤のスクリーニング方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明者らは、上記課題を解決するために、ED-71を投与した野生型マウス及びヒト骨芽細胞由来の培養細胞においてVDRタンパク量を検討した。その結果、VDRタンパク量が顕著に減少することを見出した。また、このタンパク分解はカルシウム依存性のシステインプロテアーゼであるカルパイン分解系によることを明らかにした。さらに、ED-71が結合するVDRはカルパイン制御サブユニットs1と相互作用し、積極的に分解されることを明らかにした。
【選択図】なし

Description

本発明は、本発明は、被験物質の結合による、ビタミンD受容体蛋白質の被分解特性を指標として評価を行うことを特徴とする、骨量増加剤のスクリーニング方法に関する。また、被験物質の存在による、ビタミンD受容体蛋白質とカルパイン蛋白質との結合活性を指標として評価を行うことを特徴とする、骨量増加剤のスクリーニング方法に関する。
活性型ビタミンD3(1α,25(OH)2D3:式1)は生体内カルシウムの恒常性維持をはじめとして、細胞の分化増殖を介した骨量増加や免疫応答等の作用が知られている脂溶性生理活性物質である。しかし、活性型ビタミンD3の過剰摂取は高カルシウム血症を招くことから、骨量増加やその他の生理作用の改善を目的とした薬剤として不適であった。すなわち、活性型ビタミンD3の薬効を評価する上で、如何にカルシウム作用とその他の生理作用を乖離させ、その薬効のみを導くかが課題点であった。
〔式1〕
腎臓において産生された活性型ビタミンD3は血中を介して標的組織へと運ばれる。血中にはビタミンD結合タンパク質(DBP)が活性型ビタミンD3と安定化して結合する。標的組織において活性型ビタミンD3は、リガンド依存性の転写制御因子である核内受容体ファミリーに属するビタミンD受容体(VDR)を介し、標的遺伝子の遺伝子発現を調節することにより、その生理作用を発揮させる。ヒトVDRはDNA結合ドメインおよびリガンド結合ドメインを含む全長427aa(48.3kDa)から構成されている。一般的な核内受容体に共通して認められるN末端領域は27aaと非常に短く、転写活性化領域はC末端のリガンド結合領域のみである。げっ歯類とヒトにおけるVDRの構造および機能は高く保存され、標的遺伝子もほぼ同一である。VDRの標的遺伝子は、組織特異的な発現を示す。以下によく知られている代表的なVDR標的遺伝子を記述するが、活性型ビタミンD3とその誘導体やVDRと結合してビタミンD様の作用を示す化合物(ビタミンD受容体モジュレーター:VDRM)において、調節される遺伝子発現量の強弱は知られているが、活性型ビタミンD3誘導体またはVDRM特異的に発現制御される遺伝子群は報告されていない。
活性型ビタミンD3が結合したVDRは、転写機能を発揮するが、その際、基本転写装置群と仲介するために転写共役因子と相互作用し、複合体を形成する。近年、この複合体は複数存在し、クロマチン構造変換のためのヒストン修飾因子やクロマチンリモデリング因子が存在することが明らかとなっている。ヒストン修飾によるクロマチンの構造変化は、遺伝子発現状態を規定している。また近年ではDNAのメチル化修飾ともヒストン修飾が連動して生じることも明らかとなっている。これらDNAの足場を整えるクロマチン構造の組織特異的変化をもたらすことが、組織特異的な遺伝子発現制御の根幹であると考えられている。したがって、VDR機能を組織特異的に調節する転写共役因子群の解明は活性型ビタミンD3の作用機構を理解する上で必須であるといえる。しかしながら、現在までカルシウム作用とその他の生理作用を乖離する分子機構は不明のままである。
活性型ビタミンD3作用を有する化合物には、活性型ビタミンD3の誘導体とステロイド骨格をもたない化合物(nonsteroidal compounds)に大別され創製されている。これら化合物の評価系として、細胞分化能、細胞増殖能、転写活性能、VDRや血中結合タンパクDBPとの結合親和性、また先述した既知転写共役因子とVDRの結合能の検討が指標とされている。これら指標を標準として、様々な薬理的な生理作用が検討されている。生理作用の評価は、常に高カルシウム血症が惹起しない活性型ビタミンD3作用と同程度であることを基準値として、様々な生理作用効果が検討されている。したがって、骨増強作用における化合物評価は、活性型ビタミンD3に対する血清カルシウム濃度の正常維持と骨量増加作用が評価系されている。しかし、これらの評価系では化合物の活性型ビタミンD3と比較した生理活性の強弱は検討できるが、具体的な作用機序の特異性は不明である。
「ED-71」(式2)は中外製薬が創製した活性型ビタミンD3誘導体で、国内で広く骨粗鬆症治療薬として使用されている活性型ビタミンD3製剤(アルファロール)の骨に対する作用を高め、更なるQOLを高めることが期待されている。これまでに骨粗鬆症患者を対象とした「ED-71」の有効性および安全性は、第III相臨床試験にて評価され、有意な結果が得られている。「ED-71」は骨量増加のみならず、骨折発生頻度の低下が認められ、骨折予防効果に関する優越性が証明された。しかし、この薬効における生体内の作用機序は不明であった。
〔式2〕
ED-71の骨量増加作用は、ヒト及びラットにおいて、活性型ビタミンD3と同等の血清カルシウム濃度維持条件下にて、活性型ビタミンD3よりも有意に強いことが認められている。骨形態計測の結果、ED-71の骨組織への作用の一部は、破骨細胞の減少を伴う骨吸収の抑制であることが判明している。一方、ED-71の細胞分化誘導能や細胞増殖活性、VDRに対する親和性は、活性型ビタミンD3と比較して弱く、唯一DBPに対する高親和性を示す。また、転写活性能の検討(ルシフェラーゼアッセイ)の結果、ED-71はVDR転写活性を促進するものの、活性型ビタミンD3と比較すると、その活性は顕著に弱い。細胞種に対する依存性も無く、約1/3程度の転写活性能である。この結果は、当初、ED-71は活性型ビタミンD3が結合した状態とは異なるVDR立体構造を形成し、標的遺伝子の転写調節を減弱させると考えられた。しかし、血清非存在下でのED-71依存的なVDR転写活性能は、活性型ビタミンD3と同等の活性を発揮する。また、フランスIGBMCのDino Morusらの私信、2006年ビタミンDワークショップ(ビクトリア、カナダ)での伊藤らの報告によると、活性型ビタミンD3とED-71が結合したVDR(LBD)の立体構造解析では、両者の高次構造変化に大きな差はなく、ほぼ同様の立体構造を形成することが判明し、特異的な転写共役因子の相互作用は考えにくいことが明らかとなった。したがって、ED-71と活性型ビタミンD3のVDRを介した作用機序には、標的遺伝子が異なるといった明確な違いはなく、その分子機構解明には、血清中の液性因子等のシグナル伝達系とED-71による作用の細胞内における相互作用がVDR転写活性能の減弱をもたらすという分子機構が唯一の糸口であった。
これらの通り、VDRを介した転写制御機構の一部は理解されているが、カルシウム作用とそれ以外の生理作用を乖離させる分子機構は不明であった。以上のことより、カルシウム作用と骨量増加作用を乖離させることが化合物の作用機構解明には必須であると考えられてきた。すなわち、ED-71における骨量増加作用の分子機構において、その分子機構を明確にすることが、これまで求められてきた。
中村利孝、松本俊夫、加藤茂明監修、骨代謝と活性型ビタミンD−過去と現在、そして未来−、ライフサイエンス出版株式会社、2006年9月25日発行(ISBN4-89775-225-6) 中川公恵ら, 骨粗鬆症学会雑誌、平成20年12月号 Tanaka H. and Seino Y., J Steroid Biochem Mol Biol., 89-90(1-5), 343-5, 2004 Shimada M. et.al., J Biol. Chem., 283(30), 21002-10, 2008
これまで本発明者らは、VDRの生体内の高次機能を捉えるため、VDR遺伝子欠損マウスの作出・解析を行ってきた。VDR遺伝子完全欠損-/-(ホモ)マウスはヒト遺伝病として報告のある、ビタミンD依存性II型くる病と同様な低カルシウム血症、骨量減少および骨形成不全の表現型を呈した。このマウスは正常食で飼育した場合には上記の状態を示すが、高カルシウム・高リン食(レスキュー食)を与えた場合には、低カルシウム血症、骨量減少および骨形成不全といった表現型はほぼ正常化した。つまり、VDRの生体内機能は、主として血中カルシウムの恒常性維持作用であり、直接的な骨組織での作用は不明確であった(図1;中村利孝、松本俊夫、加藤茂明監修、骨代謝と活性型ビタミンD−過去と現在、そして未来−、ライフサイエンス出版株式会社、2006年9月25日発行(ISBN4-89775-225-6)の第38頁の図2)。VDR欠損マウス胎児頭蓋骨から取り出した骨芽細胞初代培養細胞は、野生型マウス胎児頭蓋骨から取り出した骨芽細胞初代培養細胞に比べて増殖能やALP活性が高く、速やかに石灰化した(中川公恵ら, 骨粗鬆症学会雑誌、平成20年12月号)。またVDR欠損マウスから摘出した骨を野生型マウスに移植すると移植骨の骨量が著しく増加した(Tanaka H and Seino Y, J Steroid Biochem Mol Biol. 89-90(1-5):343-5, 2004)。これらの結果から、骨芽細胞においてVDRは抑制的に働いている可能性が示唆された。
一方、本発明者らは、驚いたことに、VDR+/-(ヘテロ)マウスの骨量がVDR+/+マウスよりも増加していることを、図1から見出した。このマウスでは血清カルシウム濃度をはじめ、その他の標的組織における遺伝子発現や血中パラメーターは一切変化がなく、改めて骨組織におけるVDR機能の意義が疑問となっていた。本発明者らは骨組織における直接的な活性型ビタミンD3およびVDRの機能を探るため、骨芽細胞特異的VDR遺伝子欠損マウスの作出・解析を試みた。このマウスの骨組織の表現型は、骨量が増えており、骨芽細胞におけるVDRは骨量増加において、抑制的に働くと考えられた(山本ら、「活性型ビタミンDの現状と未来,松本俊夫編2008年版」)。以上のことより、骨組織におけるVDRのタンパク量の減少、あるいは転写活性能を低下させることが、骨量増加に繋がると予想された。
一方で、VDRと同様の核内受容体であるエストロゲン受容体(ER)ではリガンド依存的にユビキチン化されて、細胞内プロテオソームによってタンパク分解されることが知られてきた。また細胞内では核内受容体はプロテオソームだけでなくカスパーゼやカテプシン、カルパインなどのタンパク分解酵素でも分解を受けることが知られている。骨芽細胞特異的にカルパイン制御サブユニット(capn4)を欠損させたマウスでは骨形成が低下して骨粗鬆症様を呈することが報告されている(Shimada M et.al., J Biol. Chem. 283(30), 21002-10, 2008)。
本発明は、以上の状況を鑑みてなされたものであり、その目的は、「ED-71」の作用機序を解明することにより、これまで活性型ビタミンD3について知られていたものとは異なる新たな作用点を見出し、その作用機序を指標とした新たな物質のスクリーニング方法を提供することにある。より具体的には、本発明は、被験物質の結合による、ビタミンD受容体蛋白質の被分解特性を指標として評価を行うことを特徴とする、骨量増加剤のスクリーニング方法を提供することを課題とする。また、被験物質の存在による、ビタミンD受容体蛋白質とカルパイン蛋白質との結合活性を指標として評価を行うことを特徴とする、骨量増加剤のスクリーニング方法を提供することを課題とする。
本発明者は上記課題を解決するために、ED-71における骨量増加作用の分子機構に注目し、鋭意研究を行った。
本発明者らは、ED-71を投与した野生型マウス及びヒト骨芽細胞由来の培養細胞においてVDRタンパク量を検討した。その結果、VDRタンパク量が顕著に減少することを見出した。また、このタンパク分解はカルシウム依存性のシステインプロテアーゼであるカルパイン分解系によることを明らかにした。さらに、ED-71が結合するVDRはカルパイン制御サブユニットs1と相互作用し、積極的に分解されることを明らかにした。また、ED-71とcalcitriol投与によるラット骨組織におけるカルパイン遺伝子発現変化を検討したところ、ED-71投与群においてカルパイン遺伝子の発現が上昇することが明らかとなった。
以上のことから、ED-71における骨量増加作用の分子機構を解明することに成功し、本発明を完成するに至った。
本発明は、より具体的には以下の〔1〕〜〔14〕を提供するものである。
〔1〕被験物質の結合による、ビタミンD受容体蛋白質の被分解特性を指標として評価を行うことを特徴とする、骨量増加剤のスクリーニング方法。
〔2〕前記ビタミンD受容体蛋白質の分解が、カルパイン蛋白質によるものであることを特徴とする、〔1〕に記載のスクリーニング方法。
〔3〕下記(1)〜(4)に記載された工程を含むことを特徴とする、〔1〕または〔2〕に記載のスクリーニング方法;
(1)被験物質をビタミンD受容体蛋白質と接触させて複合体を形成させる工程、
(2)(1)の複合体にカルパイン蛋白質を接触させる工程、
(3)ビタミンD受容体蛋白質の量を測定する工程、および
(4)ビタミンD受容体蛋白質の量を減少させる被験物質を同定する工程。
〔4〕ビタミンD受容体蛋白質とカルパイン蛋白質の両方を産生する細胞または該細胞の細胞調製物を用いて行うことを特徴とする、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のスクリーニング方法。
〔5〕被験物質の存在による、ビタミンD受容体蛋白質とカルパイン蛋白質との結合活性を指標として評価を行うことを特徴とする、骨量増加剤のスクリーニング方法。
〔6〕被験物質がビタミンD受容体蛋白質と親和性を有する物質であることを特徴とする、〔5〕に記載のスクリーニング方法。
〔7〕下記(1)〜(4)に記載された工程を含むことを特徴とする、〔5〕または〔6〕に記載のスクリーニング方法;
(1)被験物質をビタミンD受容体蛋白質と接触させて複合体を形成させる工程、
(2)(1)の複合体にカルパイン蛋白質を接触させる工程、
(3)(1)の複合体とカルパイン蛋白質の結合能を測定する工程、および
(4)(3)において結合能を生じさせる被験物質を同定する工程。
〔8〕ビタミンD受容体蛋白質とカルパイン蛋白質の両方を産生する細胞または該細胞の細胞調製物を用いて行うことを特徴とする、〔5〕〜〔7〕のいずれかに記載のスクリーニング方法。
〔9〕前記ビタミンD受容体蛋白質が、ビタミンD3受容体蛋白質であることを特徴とする、〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載のスクリーニング方法。
〔10〕前記ビタミンD3受容体蛋白質が2種類以上であり、うち1種類以上が蛋白質修飾を受けていることを特徴とする、〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載のスクリーニング方法。
〔11〕前記蛋白質修飾が、ビタミンD3受容体蛋白質の、アミノ酸66位のアルギニンのメチル化修飾、および/または、アミノ酸407位のリシンの水酸化修飾であることを特徴とする、〔10〕に記載のスクリーニング方法。
〔12〕前記ビタミンD3受容体蛋白質が、ビタミンD3受容体蛋白質のリガンド結合領域であることを特徴とする、〔9〕〜〔11〕のいずれかに記載のスクリーニング方法。
〔13〕下記(1)〜(3)に記載された工程を含むことを特徴とする、骨量増加剤のスクリーニング方法;
(1)カルパイン遺伝子を発現する細胞または該細胞の細胞調製物に、被験物質を接触させる工程、
(2)カルパイン遺伝子の発現量の変化を測定する工程、および
(3)カルパイン遺伝子の発現量を増加させた被験物質を同定する工程。
〔14〕下記(1)〜(4)に記載された工程を含む、被験物質がビタミンD受容体蛋白質を分解する能力を評価する方法;
(1)被験物質をビタミンD受容体蛋白質と接触させて複合体を形成させる工程、
(2)(1)の複合体にカルパイン蛋白質を接触させる工程、
(3)ビタミンD受容体蛋白質の量を測定する工程、および
(4)ビタミンD受容体蛋白質の量を減少させる被験物質を同定する工程。
ビタミンD受容体分解、特にカルパインによるビタミンD受容体分解を標的とする、骨量を増加させる物質の新たなスクリーニング方法が提供される。本発明は、骨量を増加を選択的に促進する薬剤の開発を可能とする。このような薬剤は、血中カルシウム濃度への作用とは乖離し、骨量を効果的に増加させる副作用の少ない薬剤として有用である。
骨量の減少は、原発性及び続発性骨粗鬆症を含む代謝性骨疾患、骨・軟骨形成不全、骨折及び骨欠損を含む様々な骨減少性疾患の原因であることから、本発明により得られる薬剤は、これらの骨疾患の治療へ応用できる。
VDR+/+マウス、VDR+/-マウス及びVDR-/-マウスの、大腿骨、脛骨および腓骨のX線解析の結果を示す写真である。VDR-/-マウスの骨量が著しく減少したことを示しており、また、VDR+/-マウスの骨量がVDR+/+マウスよりも増加したことが理解できる。 A:卵巣摘出手術(OVX)後12週間1α,25(OH)2D3(0.3μg/kg/day)あるいは、ED-71(0.15μg/kg/day)投与を行った46週齢の雌性マウスから摘出した大腿骨の軟X線写真像(上パネル)及び、同マウスの大腿骨遠位端のマイクロCT画像(下パネル)を示す写真および図である。 B:46週のマウスより摘出した大腿骨の骨密度を示す図である。遠位端から近位端までを20分割した測定値を示す。上パネルでは、OVX(実線)とOVX+1α,25(OH)2D3投与(破線)の比較を、下パネルでは、OVX(実線)とOVX+ED-71投与(破線)の比較をそれぞれ示す。数値は、それぞれ平均値+標準誤差、n=6〜7とした。 C:カルセイン投与を行ったマウスより摘出した椎骨の骨形態計測結果を示す図である。グラフは、それぞれ偽手術(S,濃灰色)、OVX(V,白色)、OVX+1α,25(OH)2D3投与(D3,黒色)、OVX+ED-71投与(ED,淡灰色)を示す。上段左からBMD: 骨密度、BV/TV:単位骨量、Ob.S/BS: 骨芽細胞面、中段左から、MS/BS:骨石灰化面、MAR:骨石灰化速度、BFR/BS:骨形成速度、下段左から、ES/BS:骨吸収面、N.Oc/B.Pm:破骨細胞数、Oc.S/BS:破骨細胞面を示す。数値は、それぞれ平均値±標準誤差、n=6〜7とした。 A:野生型マウスの体重変化を示す図である。グラフは、それぞれ偽手術(Sham,丸印破線)、OVX(OVX,四角印破線)、OVX+1α,25(OH)2D3投与(D3,三角印実線)、OVX+ED-71投与(ED,バツ印実線)を示す。数値は、それぞれ平均値±標準誤差、n=6〜7とした。 B:卵巣摘出とビタミンD投与が野生型マウスの血中生化学値に及ぼす影響を示す図である。グラフは、それぞれ偽手術(S,濃灰色)、OVX(V,白色)、OVX+1α,25(OH)2D3投与(D3,黒色)、OVX+ED-71投与(ED,淡灰色)を示す。上段左から、カルシウム(Ca)、リン(P)、アルカリホスファターゼ(ALP)、下段左から、クレアチニン、副甲状腺ホルモン(PTH)、FGF23を示す。数値は、それぞれ平均値±標準誤差、n=6〜7とした。 C、D、F:卵巣摘出とビタミンD投与よる各種遺伝子発現量の変化を示す図である。グラフは、それぞれ偽手術(S,濃灰色)、OVX(V,白色)、OVX+1α,25(OH)2D3投与(D3,黒色)、OVX+ED-71投与(ED,淡灰色)を示す。上段左から、腎臓におけるCyp24a1、Cyp27b1、Trpv5、中段左から、小腸におけるCalbindn9k、Trpv6、Vdr、下段左から、大腿骨におけるFgf23、Osteocalcin、Osteopontin、の遺伝子発現量をリアルタイムPCRにより定量した結果を示す。数値は、それぞれ平均値±標準誤差、n=6〜7とした。 A:HEK293T細胞を用いたルシフェラーゼアッセイの結果を示す図である。VDR低分子干渉RNA(Si RNA)0.1μgを遺伝子導入48時間後のHEK293T細胞を用いて、レポーター遺伝子(DR3-TATA-luciferase gene)0.5μg、トランスフェクション効率補正遺伝子(pPL-CMV-luciferase gene)0.0025μgを遺伝子導入した。1α,25(OH)2D3あるいは、ED-71を終濃度10-8M添加し、MG132 10-6M存在、非存在下において6時間後に培地交換し、24時間後にルシフェラーゼアッセイで検討した。 B:免疫沈降法による内在性VDRの検出結果を示す図である。HEK293T細胞に1α,25(OH)2D3(D3,黒)あるいは、ED-71(ED,灰色)を終濃度10-8M、プロテアソーム阻害剤(MG132) 終濃度10-6M添加し、3時間(左図)あるいは、24時間(右図)処理後、抗VDR抗体を用いて、免疫沈降した。Western BlotによりVDR、内部標準としてβ-Actinを検出した。以下、図中の「α-蛋白質名」は、「蛋白質の抗体」を示す。 C:VDRの機能領域を示す図である。VDR変異体。VDRのA/B領域欠損変異体:VDR(ΔA/B)、VDRのA/B/C領域欠損変異体:VDR(ΔA/B/C)、 DNA結合領域(DBD,黒)、リガンド結合領域(LBD,灰色)を示す。 D、E: 各種VDR変異体を用いたVDR分解調節領域の検討結果を示す図である。HEK293T細胞にそれぞれFlagタグ付き(Flag)VDRの全長、VDR (ΔA/B)、VDR (ΔA/B/C)のプラスミド1.0μgを遺伝子導入した。6時間後、1α,25(OH)2D3あるいは、ED-71を終濃度10-8M、プロテアソーム阻害剤(MG132) 終濃度10-6M添加し、24時間後、抗Flag抗体を用いて免疫沈降した。VDR (ΔA/B) (左図)、VDR (ΔA/B/C) (右図)を示す。Western blotによりVDR、内部標準としてβ-Actinを検出した。 F:ED-71依存的なVDRタンパク分解の検討結果を示す図である。HEK293T細胞にそれぞれFlagタグ付き(Flag)VDR1.0μgを遺伝子導入した。6時間後、血清非存在下の培地に1α,25(OH)2D3あるいは、ED-71を終濃度10-8Mで添加し、24時間後、抗Flag抗体を用いて免疫沈降した。Western blotによりVDR、内部標準としてβ-Actinを検出した。 A:様々なシステインプロテアーゼ阻害剤を用いたED-71依存的なVDR分解系の検討結果を示す図である。免疫沈降免疫沈降法による内在性VDRを検出するため、MG63細胞に1α,25(OH)2D3(D3,黒)あるいは、ED-71(ED,灰色)、を終濃度10-8Mおよび各種システインプロテアアーゼ阻害剤(A)カルパイン阻害剤MG101, カテプシン阻害剤 Boc-DFMK, カスペース阻害剤 E-64-d)を終濃度10-6Mで添加し、24時間後、抗VDR抗体を用いて、免疫沈降した。免疫沈降産物はWestern BlotによりVDR、内部標準としてβ-Actinを検出した。 B:ED-71依存的なVDR分解系はCapns1により調節される。Capns1低分子干渉RNA(Si RNA)0.1μgをMG63細胞に遺伝子導入した。48時間後、1α,25(OH)2D3あるいは、ED-71を終濃度10-8M添加し、24時間後、抗Flag抗体を用いて免疫沈降した。免疫沈降産物はWestern BlotによりVDR、全細胞抽出液中のcapns1と内部標準としてβ-Actinを検出した。 C:ED-71が結合したVDRとcapns1の相互作用の検討。1α,25(OH)2D3(D3,黒)あるいは、ED-71(ED,灰色)、を終濃度10-8Mおよびカルパイン阻害剤MG101を終濃度10-6Mで添加し、24時間後、内因性VDRは抗VDR抗体を用いて免疫沈降した。Western BlotによりVDRを検出すると共に、全細胞抽出液中のVDRと capns1および内部標準としてβ-Actinを検出した。 D:HEK293T細胞を用いたルシフェラーゼアッセイ。Capns1 、m-Calpainまたはμ-Calpainの低分子干渉RNA(Si RNA)0.1μgを遺伝子導入48時間後のHEK293T細胞に、レポーター遺伝子(DR3-TATA-luciferase gene)0.5μg、トランスフェクション効率補正遺伝子(pPL-CMV-luciferase gene)0.0025μgを遺伝子導入した。6時間後、1α,25(OH)2D3あるいは、ED-71を終濃度10-8M添加し、MG101-6M存在、非存在下で培養し、24時間後にルシフェラーゼアッセイを行った。 HEK293細胞にFLAGタグ付きヒトVDR・R66K変異体またはFLAGタグ付きヒトVDR・K407R変異体を強制発現させ、リガンド依存的な分解を観察した図である。野生型VDRでは1α,25(OH)2D3の添加によってVDRが発現亢進されるが、ED-71の添加によってVDR分解が起こる。R66K変異体は1α,25(OH)2D3の添加によってもED-71の添加によってもタンパク分解を起さない。K407R変異体では1α,25(OH)2D3とEDとの間に差が見られなかった。
本発明は、被験物質の結合による、ビタミンD受容体蛋白質(以下VDRと記載することもある)の被分解特性を指標として評価を行うことを特徴とする、骨量増加剤のスクリーニング方法に関する。本発明は、ビタミンD受容体蛋白質がリガンド依存的に分解された場合に、対象において骨量の増加が見られたという発見に基づくものである。
本発明において、ビタミンD受容体蛋白質(VDR)とは哺乳類動物に由来する核内タンパク質で、好ましい例として活性型ビタミンD3(1α,25(OH))への結合活性を有するものを挙げることができる。そのようなVDRとしては、好ましくはヒト、マウス、ラットのVDRが挙げられ、より好ましくはヒトのVDRが挙げられる。これらのVDRのアミノ酸配列は、例えばヒトであればSwissprot Accession No.P11473、マウスであればSwissprot Accession No.P48281、ラットであればSwissprot Accession No.P13053に開示されている情報を参照することができる。本発明において、ビタミンD受容体蛋白質は、好ましくはビタミンD3受容体蛋白質のリガンド結合領域、又は当該領域を含むアミノ酸配列であってもよい。また本発明においては少なくともVDRアミノ酸配列のビタミンD結合領域を含む配列を有し、DNA結合領域などを欠損したVDRも含まれる。このようなVDRの例としては、上述のSwissprot Accession No.P11473に開示されているヒトVDRのアミノ酸配列のうち、1α,25(OH)への結合領域を含むアミノ酸配列が挙げられる。さらに、本発明におけるVDRには、上述のVDRとは別の機能を有するタンパク質・ペプチドとの融合タンパク質も含まれる。そのようなものの例としては、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、GAL4−DNA結合ドメインタンパク質、VP16転写活性化ドメインタンパク質や蛍光タンパク質等とVDRの融合タンパク質が挙げられる。
本発明の方法における「被験物質」としては、特に制限はなく、例えば、天然化合物、有機化合物、無機化合物、タンパク質、抗体、ペプチド、アミノ酸等の単一化合物、並びに、化合物ライブラリー、遺伝子ライブラリーの発現産物、細胞抽出物、細胞培養上清、発酵微生物産生物、海洋生物抽出物、植物抽出物、原核細胞抽出物、真核単細胞抽出物もしくは動物細胞抽出物等を挙げることができる。これらは精製物であっても、また植物、動物又は微生物等の抽出物等のように粗精製物であってもよい。また被験物質の製造方法も特に制限されず、天然物から単離されたものであっても、化学的又は生化学的に合成されたものであっても、また遺伝子工学的に調製されたものであってもよい。
上記被験試料は必要に応じて適宜標識して用いることができる。標識としては、例えば、放射標識、蛍光標識等を挙げることができる。また、上記被験試料に加えて、これらの被験試料を複数種混合した混合物も含まれる。
本発明において「骨量増加」とは、「骨形成促進」によるものでもよく、また「骨吸収抑制」によるものであってもよい。
本発明において、ビタミンD受容体蛋白質の分解される場合、その原因は特に限定されるものではないが、カルパイン蛋白質によるビタミンD受容体蛋白質の分解を好ましい例として挙げることができる。
カルパインは、細胞内シグナル伝達において重要な2次メッセンジャーであるCa2+によって活性化される細胞内中性システインプロテアーゼであり、生体内でヘテロダイマーとして存在し、プロテアーゼドメインとCa2+締合ドメインを有する大サブユニット(μ-カルパイン、m-カルパイン)と、Ca2+備合ドメインを有する小サブユニット(Capns1:calpain small subunit 1;Capn4)からなる。カルパインは、カスパーゼのプロセッシングやリソソームの崩壊とカテプシンの放出などを介して細胞死を誘発すること、および基質に対する作用として、細胞骨格関連タンパク質や酵素を限定分解し、機能修飾や活性化を行うことが知られている。また、カルパインは、筋ジストロフィーや癌等の病態に関与している事が知られており、カルパインの活性化機構に関しては現在までに、大小サブユニットのN末の自己消化、Ca2+存在下での大小サプユニットの解離等によるCa2+感受性の昂進がその候補として報告されている。
本発明においてカルパイン蛋白質は、好ましくはヒト、マウス、ラットのカルパイン蛋白質が挙げられ、より好ましくはヒトのカルパイン蛋白質が挙げられる。
当該スクリーニング方法は、より具体的には下記(1)〜(4)に記載された工程を含んでいてもよい。
(1)被験物質をビタミンD受容体蛋白質と接触させて複合体を形成させる工程、
(2)(1)の複合体にカルパイン蛋白質を接触させる工程、
(3)ビタミンD受容体蛋白質の量を測定する工程、および
(4)ビタミンD受容体蛋白質の量を減少させる被験物質を同定する工程。
本発明のスクリーニング方法は、VDRとカルパイン蛋白質の両方を産生する細胞または該細胞の細胞調製物を用いて行なうことができる。すなわち、該細胞を被験物質存在下で培養したり、該細胞の培地中に被験物質を混合させたりすることにより、被験物質を細胞に直接接触させてもよいし、該細胞を調製し、ライセート等の細胞調製物に被験物質を混合させてもよい。このように、本発明のスクリーニング方法は、細胞を用いる細胞評価系、および細胞調製物等を用いる無細胞評価系など、in vitroで行なうことができる。
細胞の細胞調製物は、当業者であれば適宜調製することができる。本発明のスクリーニング方法で使用できる細胞調製物としては、例えば、核抽出タンパク質、細胞溶解液などが挙げられる。細胞質タンパク質はリガンド存在下でのVDR結合タンパク質を精製する場合に狹雑タンパク質となるため、本発明のスクリーニング方法に用いる細胞調製物としては、特に、核抽出タンパク質が、スクリーニングの過程でノイズとなる細胞質中のタンパク質を減少させることができる点で好ましい。
本発明のスクリーニングに使用される細胞は、VDRとカルパイン蛋白質の両方を産生する細胞であれば良いため、内在性のVDR等を発現している細胞を例示することができる。内在性のVDR等を発現している細胞としては、培養細胞などを挙げることができるが、これに限定されるものではない。上記培養細胞としては、特に制限はなく、例えば、市販のものを用いることが可能である。内在性のVDR等を発現している細胞が由来する生物種としては、特に制限はなく、ヒト、サル、イヌ、ブタ等の哺乳類、マウス、ラット等のげっ歯類、酵母、昆虫などが挙げられる。細胞の種類としては、骨組織由来の細胞(骨髄細胞、骨細胞、破骨細胞および骨芽細胞)を好ましい例として挙げることができる。
また、本発明のスクリーニングに使用される細胞として外来性のVDR等を発現している細胞、例えば、VDR遺伝子およびカルパイン遺伝子を導入させた細胞も使用することができる。
VDR遺伝子等の導入は、当業者であれば適宜選択し実施することができる。遺伝子導入方法としては、例えば、リポフェクション法、リン酸カルシウム法、DEAEデキストラン法、エレクトロポレーション法などが挙げられる。遺伝子導入される宿主細胞も、当業者であれば適宜選択し実施することができる。かかる宿主細胞としては、例えば、HOS細胞、SaM−1細胞、ジャーカット細胞、HeLa細胞、MCF−7細胞、HepG2、CaCO−2、SaOS、K562、CV−1、COS−1、COS−7、NIH3T3、L929、F9、MC−3T3−E1、PC−12、ROS17/2.8、CHO−K1、BHK−21などが挙げられる。また上述の哺乳類に由来する細胞以外にも、出芽酵母細胞や分裂酵母細胞、大腸菌等の微生物など当業者で有れば適宜選択し、目的に応じた方法で遺伝子を導入して使用することができる。
本発明のスクリーニング方法は、VDRおよびカルパイン蛋白質の少なくともいずれかが精製されたものを用いることも可能である。VDRおよびカルパイン蛋白質の精製は当業者に公知の方法で行うことができる。
本発明において、「接触」とは、VDRとカルパイン蛋白質の状態に応じて行う。例えば、VDRが精製された状態であれば、精製標品に被験物質を添加することにより行うことができる。また、上述の通り細胞内に発現した状態または細胞抽出液内に発現した状態であれば、それぞれ、細胞の培養液または該細胞抽出液に被験試料を添加することにより行うことができる。被験物質がタンパク質の場合には、例えば、該タンパク質をコードするDNAを含むベクターを、VDRが発現している細胞へ導入する、または該ベクターをVDRが発現している細胞抽出液に添加することで行うことも可能である。また、例えば、酵母または動物細胞等を用いた2ハイブリッド法を利用することも可能である。
本発明において、ビタミンD受容体蛋白質の量を測定は、当業者に公知の方法により行うことができる。
例えば、ビタミンD受容体蛋白質を含む画分を定法に従って回収し、該ビタミンD受容体蛋白質の量をSDS-PAGE等の電気泳動法で検出することができる。また、ビタミンD受容体蛋白質に対する抗体を用いて、ウェスタンブロッティング法を実施し、ビタミンD受容体蛋白質の量を検出することが可能である。
本発明において、ビタミンD受容体蛋白質の量を減少させる被験物質を同定する際には、被験物質を接触させていない場合または1α,25(OH)などを標準物質として用いた場合と比較して、該ビタミンD受容体蛋白質の量を減少させた被験物質を選択する。選択された物質には、ビタミンD受容体蛋白質の量を減少させる物質が含まれ、ビタミンD受容体蛋白質の量を減少させることによって、結果的に骨量を増加させ、骨減少性疾患を治療または予防する効果を示すものと考えられる。
また、本発明は下記(1)〜(3)に記載された工程を含む、被験物質がビタミンD受容体蛋白質を分解する能力を評価する方法に関する。
(1)被験物質をビタミンD受容体蛋白質と接触させて複合体を形成させる工程、
(2)(1)の複合体にカルパイン蛋白質を接触させる工程、
(3)ビタミンD受容体蛋白質の量を測定する工程、および
(4)ビタミンD受容体蛋白質の量を減少させる被験物質を同定する工程。
当該工程における、「接触」および「ビタミンD受容体蛋白質の量の測定」は上述した方法により行うことができる。
本発明において用いられるビタミンD受容体蛋白質は、ビタミンD3受容体蛋白質であることが好ましい。また、本発明において用いられるビタミンD3受容体蛋白質としては、2種類以上ビタミンD3受容体蛋白質を含み、うち1種類以上が蛋白質修飾を受けているものであってもよい。ビタミンD3受容体蛋白質の蛋白質修飾としては、ビタミンD3受容体蛋白質の、アミノ酸66位のアルギニンのメチル化修飾、および/または、アミノ酸407位のリシンの水酸化修飾を好ましい例として挙げることができる。アミノ酸66位のアルギニンのメチル化修飾のみの蛋白質修飾を受けたビタミンD3受容体蛋白質は、リガンドの結合によるビタミンD3受容体蛋白質の分解を受けないと考えられることから、リガンドの有無を指標とした(リガンド存在依存)タンパク分解のネガティブコントロールとして使用することができる。また、アミノ酸407位のリシンの水酸化修飾のみの蛋白質修飾を受けたビタミンD3受容体蛋白質は、リガンドの種類を問わずビタミンD3受容体蛋白質の分解を受けることから、リガンドの種類を指標とした(リガンド種類依存)タンパク分解のネガティブコントロール、すなわち活性型ビタミンD3と被験物質(例えばED−71)との差を見るためのネガティブコントロールとして使用することができる。蛋白質修飾を受けていないビタミンD3受容体蛋白質を、前記蛋白質修飾を受けたビタミンD3受容体蛋白質の1種類又は2種類と組み合わせて使用することで、スクリーニングの精度を上げることができる。また、ED−71をポジティブコントロールとして使用することによっても、スクリーニングの精度を上げることができる。
また、本発明は、被験物質の存在による、ビタミンD受容体蛋白質とカルパイン蛋白質との結合活性を指標として評価を行うことを特徴とする、骨量増加剤のスクリーニング方法に関する。本発明は、ビタミンD受容体蛋白質とカルパイン蛋白質が、VDRリガンド依存的に結合するという発見に基づくものである。
本発明のスクリーニング方法の目的は、ビタミンD受容体蛋白質とカルパイン蛋白質との結合を量的または速度論的に亢進する物質の取得であるため、本発明のスクリーニング方法においてスクリーニングされる物質としては、ビタミンD受容体蛋白質に親和性を有する物質が挙げられる。また、本発明において、ビタミンD受容体蛋白質に親和性を有する物質は、VDRリガンド、VDRとカルパイン蛋白質との結合を亢進する物質、またはカルパイン蛋白質によるビタミンD受容体蛋白質の分解活性を亢進する物質とも言う。
本発明のスクリーニング方法において用いられるVDRとカルパイン蛋白質の組み合わせは、それぞれの配列が由来する種が異なってもかまわないが、好ましくは同じ種に由来する配列を含むVDRとカルパイン蛋白質の組み合わせが用いられ、さらに好ましくはヒトのVDRとカルパイン蛋白質の配列に由来するものの組み合わせが用いられる。
VDRとカルパイン蛋白質を結合させる被験物質は、骨量増加を亢進させることから、本発明のスクリーニング方法により、骨量増加に関与する被験物質を取得することができる。
当該スクリーニング方法は、より具体的には下記(1)〜(4)に記載された工程を含んでいてもよい。
(1)被験物質をビタミンD受容体蛋白質と接触させて複合体を形成させる工程、
(2)(1)の複合体にカルパイン蛋白質を接触させる工程、
(3)(1)の複合体とカルパイン蛋白質の結合能を測定する工程、および
(4)(3)において結合能を生じさせる被験物質を同定する工程。
当該スクリーニング方法も、上述した通り、VDRとカルパイン蛋白質の両方を産生する細胞または該細胞の細胞調製物を用いて行なうことができる。
本発明のスクリーニング方法において、VDRとカルパイン蛋白質との結合は、被験物質が、VDRとカルパイン蛋白質の結合を量的または速度論的に亢進する作用により検出することができる。
VDRとカルパイン蛋白質の結合を量的に解析する系としては、例えば、プルダウンアッセイや免疫沈降法など当業者に公知の方法を用いることができる。例えばプルダウンアッセイにおいては、VDRにGST蛋白質を融合させたGST−VDRに、被験物質の存在下または非存在下で、精製されたまたはカルパイン蛋白質を含有する細胞核抽出物などを反応させ、グルタチオン結合レジンを用いてGST−VDRを沈降させ、結合したカルパイン蛋白質を、ウエスタンブロティングなどの方法で検出することによって、VDRと結合したカルパイン蛋白質の量を検出することが可能である。
VDRとカルパイン蛋白質の結合を速度論的に解析する系としては、例えば表面プラズモン共鳴法などを使う方法も挙げられる(The Journal of Biological Chemistry Vol.278, Issue 15, 13271-13277, 2003)。この方法では例えばBiacore(登録商標)タンパク質相互作用解析システムにおいてVDRをセンサーチップ上に固定化し、被験物質を反応後または共存させた状態で、精製されたカルパイン蛋白質またはカルパイン蛋白質を含む細胞核抽出物を反応させたときに得られるシグナルから、VDRとカルパイン蛋白質の間の結合速度・解離速度やVDRに対するカルパイン蛋白質の結合量などで測定することが可能である。速度論的な解析においては結合速度がより高いおよび/または解離速度が遅い作用を示す物質は、VDRとカルパイン蛋白質の結合をより促進する物質として評価される。
その他のVDRとカルパイン蛋白質の結合を検出するスクリーニング系の例としては、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)法が挙げられる(THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY VOL.275,ISSUE 52,41114-41123,2000)。例えば、VDRとカルパイン蛋白質をそれぞれgreen fluorescent protein(GFP)およびblue fluorescent protein(BFP)との融合タンパク質として発現させ、それらの融合タンパク質が存在する状態で、被験物質を反応させた時のVDRとカルパイン蛋白質の結合を検出できる。この場合、VDRとカルパイン蛋白質間の結合が亢進した状態は融合タンパク質として発現しているBFPの励起波長(370-390nm付近)の励起光を当てたときのBFPの蛍光波長(435-485nM付近)の光強度の減少および/またはGFPの蛍光波長(515-555nM付近)の光高度の上昇を計測することによって測定することができる。また、VDR融合タンパク質とカルパイン蛋白質融合タンパク質が存在している状態で、被験物質を反応させてからの時間経過でのBFPの蛍光波長における光強度の減少および/またはGFPの蛍光波長での光強度の上昇を測定することによって、VDRとカルパイン蛋白質の結合の速度を測定することも可能である。さらに、細胞内でVDR蛍光タンパク質およびカルパイン蛋白質融合タンパク質を発現させ、被験物質を反応させたときに、蛍光顕微鏡を用いて観察することによって、細胞内の局所、例えば核内においてのVDRとカルパイン蛋白質との結合を観察することも可能であり、イメージアナライザーなどとの組み合わせによって、その蛍光強度の増減を測定することも可能である。
上記のスクリーニング系においては、被験物質によるVDRとカルパイン蛋白質の結合の程度を量的または速度論的な数値として比較することに加えて、被験物質が存在しない場合または1α,25(OH)などを標準物質として用いた場合での数値との相対値として比較することも可能である。
また、本発明は、下記(1)〜(3)に記載された工程を含むことを特徴とする、骨量増加剤のスクリーニング方法に関する。
(1)カルパイン遺伝子を発現する細胞または該細胞の細胞調製物に、被験物質を接触させる工程、
(2)カルパイン遺伝子の発現量の変化を測定する工程、および
(3)カルパイン遺伝子の発現量を増加させた被験物質を同定する工程。
カルパイン遺伝子の発現レベルの測定は、当業者に公知の方法によって行うことができる。例えば、該遺伝子のmRNAを定法に従って抽出し、このmRNAを鋳型としたノーザンハイブリダイゼーション法、またはRT-PCR法を実施することによって該遺伝子の転写レベルの測定を行うことができる。さらに、実施例5に記載されたようなDNAアレイ技術を用いて、該遺伝子の発現レベルを測定することも可能である。
また、該遺伝子からコードされるカルパイン蛋白質を含む画分を定法に従って回収し、該カルパイン蛋白質の発現をSDS-PAGE等の電気泳動法で検出することにより、遺伝子の翻訳レベルの測定を行うこともできる。また、カルパイン蛋白質に対する抗体を用いて、ウェスタンブロッティング法を実施し、カルパイン蛋白質の発現を検出することにより、遺伝子の翻訳レベルの測定を行うことも可能である。
本発明において、カルパイン遺伝子の発現量を増加させる被験物質を同定する際には、被験物質を接触させていない場合または1α,25(OH)などを標準物質として用いた場合と比較して、該カルパイン遺伝子の発現量を増加させた被験物質を選択する。選択された物質には、カルパイン遺伝子の発現量を増加させる物質が含まれ、カルパイン遺伝子の発現量を増加させることによってビタミンD受容体蛋白質の分解を促進し、結果的に骨量を増加させ、骨減少性疾患を治療または予防する効果を示すものと考えられる。
また、上記のスクリーニング系によって選別された候補物質は、骨の形態解析、生化学解析、または遺伝子発現解析の結果を指標にして、該物質の骨量増加への作用を検証することができる。例えば、実施例1に示したように、骨密度(大腿骨・腰椎)、骨形態計測(脛骨・腰椎)、骨強度(大腿骨)、μCT(大腿骨)、若しくは軟X線(大腿骨)等の骨の形態解析、血中カルシウム、リン、PTH、FGF23、Alkaline phosphatase(ALP)、若しくはCreatinineを測定する生化学解析、又は、腎臓;Cyp24A, Cyp27B1, 小腸; Calbindin 9k, TRPV6, 骨(脛骨); FGF23, osteocalcin等の様々な部位での遺伝子発現解析の結果を指標にして、その候補物質の骨量増加作用を検証できる。
また動物での候補物質の効果の検証については、正常非ヒト動物などの病態モデル動物に候補物質を投与して、その動物における骨密度(BMD)やMicroCT・組織標本での骨組織の解析などを行うことで、候補物質の骨量増加など活性を検証することが可能である。モデルとなる病態としては、原発性及び続発性骨粗鬆症を含む代謝性骨疾患、骨・軟骨形成不全、骨折及び骨欠損を含む様々な骨減少性疾患を挙げることができる。
さらに本発明は、前記スクリーニング方法により選択される物質、例えば、VDRに親和性を有する物質、VDRとの結合によりカルパイン蛋白質によるVDRの分解を促進する物質、または、VDRとカルパイン蛋白質との結合を量的または速度論的に亢進する物質に関する。かかる物質としては、例えば、VDRリガンド、またはVDRに親和性を有する物質などが挙げられる。具体的には、かかる物質としては、例えばビタミンD誘導体が挙げられるが、VDRとの結合によりカルパイン蛋白質によるVDRの分解を促進する物質、またはVDRとカルパイン蛋白質との結合を量的または速度論的に亢進する物質であればこれに限定されるものではない。このようにして選別される物質は、さらにその構造解析結果に基づいて、化学的合成、生化学的合成(発酵)又は遺伝子学的操作によって、工業的に製造することもできる。
さらに本発明は、前記物質を含む、骨減少性疾患の治療薬にも関する。該骨減少性疾患としては、たとえば原発性及び続発性骨粗鬆症を含む代謝性骨疾患、骨・軟骨形成不全、骨折及び骨欠損を含む様々な骨減少性疾患を挙げることができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。
〔実施例1〕 ED-71はマウスにおいて骨吸収を抑制し、骨量を顕著に増強する
実験方法:
野生型マウス・雌46〜67週齢・ShamおよびOVX
投与1α,25(OH)2D3; 0.3μg/kg, ED-71; 0.15μg/kg,
期間 12週間(週5日投薬)
解析項目:
<骨解析>
骨密度(大腿骨・腰椎)、骨形態計測(脛骨・腰椎)、骨強度(大腿骨)、μCT(大腿骨)、軟X線(大腿骨)
骨の蛍光二重標識を行う場合には、剖検5日前にテトラサイクリン(20 mg/kg)を、2日前にカルセイン(6 mg/kg)をそれぞれ皮下投与した。70%エタノール中に保存した脛骨の二次海綿骨部分と骨幹部の皮質骨部分について骨形態計測を実施した。
骨の形態計測は当業者に公知の方法(例えば、「図解 わかる骨形態計測〜骨の中をのぞいてみよう〜」 伊藤明美・池田恭治 著 医薬ジャーナル社刊 2010年7月発行、又はBone histomorphometry: Standardization of nomenclature, symbols, and units: Report of the asbmr histomorphometry nomenclature committee, J Bone Mineral Research, 2, 6 (1987) 595-610に記載された方法)により行った。
<生化学解析>
血中カルシウム、リン、PTH、FGF23、Alkaline phosphatase(ALP)、Creatinine
<遺伝子発現解析>
腎臓;Cyp24A, Cyp27B1, 小腸; Calbindin 9k, TRPV6, 骨(脛骨); FGF23, osteocalcin
結果:骨解析
野生型マウスの各群の体重変化は図2Aに示す。軟X線およびマイクロ-CT解析の結果、骨密度は大腿骨・腰椎ともにED-71投与群で顕著な増強が認められた。これは活性型ビタミンD3投与群と比較して骨密度は約20%以上亢進しており、皮質骨および海綿骨の全体に認められた(図2AおよびB)。
骨形態計測の結果、骨芽細胞面、骨石灰化速度、骨形成速度の変化はリガンドによる差は認められなかった(図2C)。一方、破骨細胞面および破骨細胞数はともにED-71投与群により顕著に減少していた(図2C)。
以上の結果より、マウスにおいてもED-71により顕著な骨量増加が認められ、骨形成促進ではなく、骨吸収抑制を亢進した効果であることが明確となった。しかし、実際にED-71がどの標的組織のVDRを介して骨量増加しているかは不明である。
結果:生化学
ED-71投与群は血清カルシウムおよびリン濃度は活性型ビタミンD3投与群に比べ10%程、高値を示した。それに伴いPTHおよびALPは低下し、FGF23は顕著に上昇していた(図3B)。一方、血中クレアチニンの変動は認められなかった(図3B)。
以上の結果から、ED-71と活性型ビタミンD3投与群のこれら生化学的結果の相違からは、骨量変化の違いは考えにくいと予想される。但し、ED-71投与群によるFGF23の亢進は興味深いと考えられる。
結果:遺伝子発現解析
腎臓および小腸におけるVDR標的遺伝子の発現量は、活性型ビタミンD3およびED-71投与に依存して調節されたが、その差は認められなかった(図3CおよびD)。一方、骨におけるVDR標的遺伝子発現量においてosteocalcinやosteopontinは誘導されないものの、FGF23ではED-71投与群で亢進が認められた(図3E)。
以上の結果より、腎臓や小腸におけるED-71の作用は、活性型ビタミンD3とほぼ同等であると考えられた。しかし、骨におけるFGF23遺伝子発現量の亢進は、血中FGF23濃度を反映する結果を示しており、ED-71作用点の一部は骨組織であり得ることが示された。しかし、骨吸収抑制が、直接破骨細胞に作用した効果であるか、骨芽細胞や骨細胞に対する間接的な効果であるのかは不明のままである。
次に、これらの薬理効果の作用機序としてVDRタンパク量への変動を検討することとした。これまで大竹らは、エストロゲン受容体(ERα)がエストロゲン依存的にアリルハイドロカーボン受容体(AhR)を含む核内複合体を形成し、この複合体構成因子に含まれるユビキチンE3 ligaseにより、ユビキチン化活性を示すことを見出している(Ohtake F et al., BIOCHEMICAL PHARMACOLOGY, 77 (2009) 474-484、Ohtake F et al., nature, 446 (2007) 563-566)。実際、この複合体中のERαはユビキチン化され、プロテアソーム中でタンパク分解され、ERαの転写活性を減弱させる。したがって、核内受容体のタンパク安定性は転写活性に顕著に反映されると考えられた。そこでED-71依存的なVDR転写活性が、VDRのタンパク安定性に調節されるかを検討するため、細胞内VDRタンパク量を評価した。
〔実施例2〕 ED-71はVDRの分解を促進する
(1)ED-71依存的なVDR転写活性能はタンパク分解に依存する
実験方法:
VDR低分子干渉RNA(Si RNA)0.1μgを遺伝子導入48時間後のHEK293T細胞を用いて、HEK293T細胞(ヒト胚腎臓由来)1 X 104 cell/wellにレポーター遺伝子(pGL3 vector DR3-TATA-luciferase gene)0.5μgおよびトランスフェクション効率補正遺伝子(pGL3 vector CMV-luciferase gene)0.025μgをlipofection法にてトランスフェクションした。6時間後、血清10%含有のmediumに換え、リガンドおよびプロテアソーム阻害剤を添加した。リガンドおよびプロテアソーム阻害剤の終濃度は以下の通りである。
1α,25(OH)2D3;1x10-8M, ED-71;1x10-8M
プロテアソーム阻害剤; MG132 1x10-6M
24時間後、細胞をlysis bufferにて溶解・回収した。
Luciferase反応はプロメガのluciferase assay kitを用い、ルミノメーターで検出した。
これらの実験は一群として6 well行い、平均値および標準偏差を算出した。
結果:
ED-71によるVDRの転写活性は活性型ビタミンD3よりも顕著に弱いことを確認した(図4A)。一方、MG132添加で活性型ビタミンD3のVDR転写活性は亢進するのに対し、ED-71では亢進が全く認められなかった(図4A)。この結果から、活性型ビタミンD3によりプロテアソームにおけるVDR分解が生じていると考えられるが、ED-71ではむしろ、プロテアソームを介さない分解系が存在し得ることが示された。次に、リガンド依存的なVDRタンパク量を経時的に検討した。
(2)ED-71はVDRタンパク量を制御する
実験方法:
HEK293T細胞(1x105 cell)に活性型ビタミンD3およびED-71をそれぞれ終濃度1x10-8Mで添加後、3および24時間後に細胞をlysis bufferにて溶解・回収した。内在性VDRタンパク量を検出するため、細胞抽出液はVDR抗体にて16hr免疫沈降し、その後プロテインAアガロースを加えて回収した。回収した濃縮されたVDRタンパクはSDS-PAGEにてVDR抗体で検出した。尚、細胞内タンパクの定量性はβ-Actinタンパク量で補正した。これらの実験は3 回行い、代表的な結果を示す。
結果:
添加後3時間ではタンパク量の変動はいずれの処理においても認められなかったが、24時間では顕著に変動した。活性型ビタミンD3添加ではMG132依存的にVDRタンパクの蓄積が亢進した。一方、ED-71ではVDR分解が促進しており、MG132のプロテアソーム分解抑制は認められなかった(図4B)。
以上の結果より、ED-71の結合したVDRはタンパク量が減少しており、またMG132によるタンパク阻害効果は認められないことから、ユビキチン-プロテアソーム以外の経路により分解促進されると考えられた。続いて、VDRが分解される領域を同定するため、各種VDR変異体を用いて検討した。
(3)ED-71依存的なタンパク分解はVDRのDNA結合領域(DBD)にて調節される
実験方法:
HEK293T細胞1 X 105 cellにヒトVDR遺伝子(pcDNA3 FLAG-ヒトVDR cDNA:FLAG-VDR全長)1.0μgおよびヒトVDR部分欠損変異遺伝子(pcDNA3 FLAG-ヒトVDRΔA/B cDNA,pcDNA3 FLAG-ヒトVDRΔA/B/C cDNA)(図4Cを参照)をlipofection法にてトランスフェクションした。6時間後、血清10%含有のmediumに換え、リガンドおよびプロテアソーム阻害剤を添加した。リガンドおよびプロテアソーム阻害剤の終濃度は以下の通りである。
1α,25(OH)2D3;1x10-8M, ED-71;1x10-8M
プロテアソーム阻害剤; MG132 1x10-6M
24時間後、細胞をlysis bufferにて溶解・回収した。遺伝子導入したFLAG-VDRタンパク量を検出するため、細胞抽出液はFLAG-M2レジン抗体にて16時間免疫沈降し、回収した。回収した濃縮されたVDRタンパクはSDS-PAGEにてVDR抗体で検出した。尚、細胞内タンパクの定量性はβ-Actinタンパク量で補正した。これらの実験は6 回行い、平均値および標準偏差を算出した。
結果:
FLAG-VDR全長は内在性VDRタンパクと同一の結果となった(図4Dおよび図4B)。したがって遺伝子導入したVDRもタンパク分解を評価できると判断し、欠損変異体の安定性を検討した。VDRのA/B領域の欠損では全長と同一の結果であるのに対し、A/B/C領域の欠損では、VDRのタンパク分解は抑制されることが判明した(図4E)。
これら結果を踏まえると、VDRの分解促進はリガンド依存性があることが明確となり、その分解制御領域はDBDであることが判明した。
(4)ED-71依存的なVDRタンパク分解は血清存在下で生じる
実験方法:
実験条件は図4Dおよび 図4Eに示した結果を得た際 と同条件であるが、トランスフェクション後のmedium交換の際に血清を除いた。ED-71によるVDR転写活性は、血清非存在下にて活性型ビタミンD3同等に亢進する。そこで、血清非存在下にてVDRタンパク量の変動を検討した。
結果:
ED-71依存的なVDRタンパク分解は血清非存在下で減弱し、殆どのVDRを検出した(図4FF)。以上の結果より、ED-71依存的なVDRタンパク分解は血清中の因子(液性因子)を介して、誘導されることが示唆され、このシグナルがED-71の結合したVDRを特異的に分解制御し得ることが示された。
〔実施例3〕 ED-71依存的なVDRタンパク分解はカルパイン分解系にて生じる
(1)ED-71はカルパイン分解系にてVDRタンパク分解を誘導する
実験方法:
MG63細胞(ヒト骨肉腫由来)1x105 cell/wellに活性型ビタミンD3およびED-71をそれぞれ終濃度1x10-8Mおよびタンパク分解阻害剤(カルパイン系阻害剤MG101, カテプシン系阻害剤,カスパーゼ系阻害剤)で添加し、24時間後に細胞をlysis bufferにて溶解・回収した。内在性VDRタンパク量を検出するため、細胞抽出液はVDR抗体にて16時間免疫沈降し、その後プロテインAアガロースを加えて回収した。回収した濃縮されたVDRタンパクはSDS-PAGEにてVDR抗体で検出した。尚、細胞内タンパクの定量性はβ-Actinタンパク量で補正した。これらの実験は3回行い、代表的な結果を示す。
結果:
ED-71依存的なVDRタンパク分解は、各種阻害剤を添加した結果、MG101存在下で安定化した(図5A)。
以上の結果より、ED-71が結合したVDRはカルパイン系のタンパク分解経路により分解促進され得ることが示された。
(2)ED-71依存的なVDR分解系はCapns1により調節される
実験方法:
Capns1低分子干渉RNA(Si RNA)0.1μgを遺伝子導入48時間後のMG63細胞1x105 cell/wellを用いて、活性型ビタミンD3およびED-71をそれぞれ終濃度1x10-8M添加し、24時間後に細胞をlysis bufferにて溶解・回収した。内在性VDRタンパク量を検出するため、細胞抽出液はVDR抗体にて16時間免疫沈降し、その後プロテインAアガロースを加えて回収した。回収した濃縮されたVDRタンパクはSDS-PAGEにて抗VDR抗体で検出した。また、全細胞抽出液は細胞内タンパクの定量性はβ-Actinタンパク量で補正した。これらの実験は3 回行い、代表的な結果を示す。
結果:
ED-71依存的なVDRタンパク分解量は、Capns1のノックダウンにより減弱した(図5B)。また、この効果は活性型ビタミンD3と比較しED-71において効果的に認められた。以上の結果より、ED-71の結合したVDRはCapns1を介したタンパク分解経路により積極的に分解促進され得ることが示された。
(3)ED-71結合型VDRはカルパイン制御サブユニットs1と結合する
実験方法:
MG63細胞に活性型ビタミンD3およびED-71をそれぞれ終濃度1x10-8Mおよびカルパイン系阻害剤MG101を添加後、24時間後に細胞をlysis bufferにて溶解・回収した。内在性Capns1タンパクで免疫沈降するため、細胞抽出液は抗Capns1抗体にて16時間免疫沈降し、その後プロテインAアガロースを加えて回収した。回収した濃縮されたタンパクはSDS-PAGE後、抗VDR抗体あるいは抗Capns1抗体で検出した。尚、細胞内タンパクの定量性はβ-Actinタンパク量で補正した。これらの実験は3 回行い、代表的な結果を示す。
結果:
VDRとCapns1の相互作用はMG101依存的に認められ、MG101依存性はED-71処理により顕著に亢進した(図5C)。以上の結果より、VDRはCapns1と結合し、ED-71は、その結合を活性型ビタミンD3よりも促進し得ることが示された。
(4)カルパインタンパク分解系を介してED-71依存的なVDR転写活性能は減弱する
実験方法:
Capns1 、m-Calpainまたはμ-Calpainの低分子干渉RNA(Si RNA)0.1μgを遺伝子導入48時間後のMG63細胞1x105 cell/wellを用いて、レポーター遺伝子(pGL3 vector DR3-TATA-luciferase gene)0.5μg,およびトランスフェクション効率補正遺伝子(pGL3 vector CMV-luciferase gene)0.025μgをlipofection法にてトランスフェクションした。6時間後、血清10%含有のmediumに換え、リガンドおよびMG101を添加した。リガンドおよびMG101の終濃度は以下の通りである。
1α,25(OH)2D3;1x10-8M, ED-71;1x10-8M
プロテアソーム阻害剤; MG101 1x10-6M
24時間後、細胞をlysis bufferにて溶解・回収した。Luciferase反応はプロメガのluciferase assay kitを用い、ルミノメーターで検出した。これらの実験は一群として6 well行い、平均値および標準偏差を算出した。
結果:
活性型ビタミンD3と比較して低いED-71のVDR転写活性は、MG101添加により顕著に亢進し、活性型ビタミンD3の転写活性能と同等であった(図5D)。またこの効果はCapns1およびμ-Calpainのノックダウンでも認められた。これらの結果から、カルパイン系によるED-71によるVDR分解は、VDR転写活性を抑制することが明らかとなった。
〔実施例4〕VDRを含む核内受容体群は細胞内では化学修飾を受けている
活性型ビタミンD3およびED-71のVDRタンパク分解の作用点の違いは、これらリガンドが結合するVDRの構造変化に依存すると考えられる。これまで、VDRのリガンド結合領域は結晶構造解析により明らかとなり、活性型ビタミンD3およびED-71が結合したVDR構造は、ほぼ同一であり変化がないことが構造予測されていた。しかしながら、近年、VDRを含む核内受容体群は細胞内では化学修飾受けていると予測されており、その化学修飾依存的に各々リガンド結合に伴う構造変化が導かれると考えられる。そこで、VDRを強制発現させたHEK293T細胞およびMG63細胞よりVDRを精製し、そのタンパク修飾の同定を試みた。
実験方法:
HEK293T細胞1 X 105 cell, MG63細胞1x105 cellにヒトVDR遺伝子(pcDNA3 FLAG-ヒトVDR cDNA)20μgをlipofection法にてトランスフェクションした。24時間後、細胞をlysis bufferにて溶解・回収した。細胞抽出液は、FLAG精製を行いFLAG-M2レジン抗体にて3時間免疫沈降し、さらにペプチド精製をしてより純粋にした。その後、SDS-PAGE及びCBP染色によってタンパク質を分離・可視化後、解析したいバンド(52kDa付近)を切り出し、プロテアーゼを用いてペプチド断片にまで分解する in gel digestion 法を行った。その後、LC/MS測定を行い、タンパク修飾を検出した。
結果:
66番目のArginineにメチル化修飾、407番目のLysineに水酸化修飾が検出された。また、MG63細胞における血清含有条件では、66番目のArginineのメチル化修飾は、検出されなかった。これらの実験は3 回行った。
次に、この修飾を確認するため、Anti-Methylarginine抗体でウエスタンブロッティングにて検討した。
実験方法:
HEK293T細胞1 X 105 cell,MG63細胞1x105 cellにヒトVDR遺伝子(pcDNA3 FLAG-ヒトVDR cDNA)5μgをlipofection法にてトランスフェクションした。6時間後、血清10%含有のmediumに換え、翌日リガンドを添加し、3時間後に細胞をlysis bufferにて溶解・回収した。回収した濃縮されたVDRタンパクはSDS-PAGEにてAnti-Methylarginine抗体で検出した。尚、細胞内タンパクの定量性はβ-Actinタンパク量で補正した。
結果:
HEK293T細胞では、Anti-Methylarginine抗体でdetect出来たが、MG63細胞では、detectされなかった。この結果は、LC/MS測定の結果と一致していた。一方、水酸化修飾は、現在水酸化修飾を検出する抗体が存在しないため、確認できない。
次に、VDRタンパク分解はこれらの修飾に依存するかどうか検討するため、VDR点変異体を作出し、リガンド依存的なタンパク分解を検討した。
実験方法:
HEK293T細胞1 X 105 cell,MG63細胞1x105 cellにヒトVDR点変異遺伝子(pcDNA3 FLAG-ヒトVDR・R66K (DBD) cDNA, pcDNA3 FLAG-ヒトVDR・K407R (LBD) cDNA, FLAG-VDR全長(WT) cDNA lipofection法にてトランスフェクションした。6時間後、血清10%含有のmediumに換え、翌日リガンドを添加し、3時間後に細胞をlysis bufferにて溶解・回収した。回収した濃縮されたVDRタンパクはSDS-PAGEにてVDR抗体で検出した。
結果:
VDR (WT)で認められるリガンド依存的なタンパク分解が、VDR・R66Kではリガンド有無にかかわらず安定化する、すなわち1α,25(OH)2D3の添加またはED-71の添加どちらの場合でもVDR分解が起こらないことを見出した。一方、VDR・K407Rでは、1α,25(OH)2D3の添加またはED-71の添加どちらの場合でもVDR分解が起こり、ED-71依存的なタンパク分解は認められなかった(図6)。以上の結果から、VDR・R66のメチル化修飾はタンパク分解を調節する部位であり、VDR・K407の水酸化修飾はED-71特異的な構造をもたらす部位である可能性が示唆された。従って、VDR・R66K変異体は、リガンド依存的タンパク分解のネガティブコントロールとして使用することができ、また、VDR・K407R変異体は、活性型ビタミンD3とED-71との差を見るためのネガティブコントロールとして使用できる。従って、これらの変異体を野生型のVDRと併せて使用することで、骨量増加剤のスクリーニングの精度を上げることができる。
〔実施例5〕ED-71とcalcitriol投与によるラット骨組織における遺伝子発現変化比較試験
実験概要
馴化期間終了後の6週齢雌性ラット(Crlj:WI, Wistar)に、ED-71(250ng/kg)、calcitriol(1000ng/kg)またはmedium chain triglyceride(MCT)を14日間連日経口投与し、最終投与6時間後に骨組織を摘出した。Trizol法にてRNAを抽出し、GeneChip(Affymetrix Rat 230 2.0)を用いて遺伝子発現を網羅的に解析した。各遺伝子発現割合は、平均信号(average signal:log2 value)で表示した。投与群間の比較は、ログ比(log ratio)で表示し、数値が大きいほど差が大きいことをあらわす。統計解析は、それぞれの群についてT検定(t-test)を行った。今回、カルパイン,スモールサブユニット1(calpain, small subunit 1)は、ED-71-MCT投与群との比較において、ED-71投与群は、MCT投与群よりも有意に発現が上昇し、calcitriol投与群では有意な差は見られなかった。
使用物質
<被験物質>
検体名: ED-71
分子式(分子量): C30H50O5(490.72)
物理化学的性質: エタノール溶液(1 mg/mL)

<陽性対照物質>
慣用名(略称): 1α,25-dihydroxyvitamin D3(1α,25(OH)2D3
物理化学的性質: エタノール溶液(0.2 mg/mL)

<陰性対照物質>
慣用名(略称): 中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)
調製方法
<被験物質の調製>
物質名: ED-71
投与剤型: MCT溶液
調製方法: 1 mg/mL エタノール溶液5 μLを20 mLのMCTに加えて、0.25 μg/mLの投与液を調製した。
<陽性対照物質の調製>
物質名: 1α,25(OH)2D3
投与剤型: MCT溶液
調製方法: 0.2 mg/mLエタノール溶液95 μLを19 mLのMCTに加えて、1 μg/mLの投与液を調製した。
使用動物
動物種: ラット
系統: Crlj:WI, Wistar
性別: 雌
週齢: 入荷時5週齢
使用数: 9匹
入手先: 日本チャールス・リバー
使用動物の処理: 剖検時に麻酔下で全血採血し、放血死させた。
飼育環境
ケージ: ポリ製ケージ M-3
飼育密度: 3匹/ケージ
温湿度: 20〜26℃、35〜75%RH
基準換気回数: 10回/時以上
照明時間: 12時間(午前7時〜午後7時)
飼料: CE-2(日本クレア)を摂取させた。
飲料水: 水道水を自由摂取させた。
試験方法
入荷後、ラットの体重を測定し群分けを行った。2日ごとに体重を測定し、MCT、ED-71あるいは1α,25(OH)2D3を7日間連日経口投与した。最終投与6時間後、麻酔下で全血採血して放血死させ、大腿骨を採取した。
群分け
入荷時に体重を測定し、各群の平均とばらつきが同程度になるように群分けを行った。
群構成、投与量及び投与方法
<群構成>
<投与方法>
すべての群において、ラット用経口ゾンデを用いて1日1回、1 mL/kgの容量で7日間経口投与を行った。
測定項目及び測定方法
<体重の測定>
測定機器: プリンター付き体重計
測定頻度: 体重測定は、2日ごとに実施した。
<遺伝子発現の解析>
動物を放血死させた後、大腿骨を採取し、液体窒素にて凍結した。凍結した組織は、TRIzol (Invitrogen社製) 中でHyscotron (Microtec nition社製)で粉砕した。粉砕した組織より、RNeasy Mini Kit (QIAGEN社製)を用いてtotal RNAを抽出した。total RNAから逆転写反応によりcDNAを合成し、in vitro 転写反応にてbiotin 標識cRNAを合成した。その後、GeneChip(Affymetrix Rat 230 2.0)を用いて遺伝子発現を網羅的に解析した。各遺伝子発現割合は、平均信号(average signal:log2 value)で表示した。投与群間の比較は、ログ比(log ratio)で表示し、数値が大きいほど差が大きいことをあらわす。統計解析は、それぞれの群についてT検定(t-test)を行った。
結果
表2に、calpain, small subunit 1、プロテアソーム及びユビキチン関連因子の遺伝子発現についてまとめた。ED-71投与群において、MCT投与群よりも有意にカルパイン,スモールサブユニット1(calpain, small subunit 1)の発現が上昇した。一方、calcitriol投与群では有意な差は見られなかった(表2)。
骨組織における骨代謝関連遺伝子の変化

Claims (14)

  1. 被験物質の結合による、ビタミンD受容体蛋白質の被分解特性を指標として評価を行うことを特徴とする、骨量増加剤のスクリーニング方法。
  2. 前記ビタミンD受容体蛋白質の分解が、カルパイン蛋白質によるものであることを特徴とする、請求項1に記載のスクリーニング方法。
  3. 下記(1)〜(4)に記載された工程を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のスクリーニング方法;
    (1)被験物質をビタミンD受容体蛋白質と接触させて複合体を形成させる工程、
    (2)(1)の複合体にカルパイン蛋白質を接触させる工程、
    (3)ビタミンD受容体蛋白質の量を測定する工程、および
    (4)ビタミンD受容体蛋白質の量を減少させる被験物質を同定する工程。
  4. ビタミンD受容体蛋白質とカルパイン蛋白質の両方を産生する細胞または該細胞の細胞調製物を用いて行うことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のスクリーニング方法。
  5. 被験物質の存在による、ビタミンD受容体蛋白質とカルパイン蛋白質との結合活性を指標として評価を行うことを特徴とする、骨量増加剤のスクリーニング方法。
  6. 被験物質がビタミンD受容体蛋白質と親和性を有する物質であることを特徴とする、請求項5に記載のスクリーニング方法。
  7. 下記(1)〜(4)に記載された工程を含むことを特徴とする、請求項5または6に記載のスクリーニング方法;
    (1)被験物質をビタミンD受容体蛋白質と接触させて複合体を形成させる工程、
    (2)(1)の複合体にカルパイン蛋白質を接触させる工程、
    (3)(1)の複合体とカルパイン蛋白質の結合能を測定する工程、および
    (4)(3)において結合能を生じさせる被験物質を同定する工程。
  8. ビタミンD受容体蛋白質とカルパイン蛋白質の両方を産生する細胞または該細胞の細胞調製物を用いて行うことを特徴とする、請求項5〜7のいずれかに記載のスクリーニング方法。
  9. 前記ビタミンD受容体蛋白質が、ビタミンD3受容体蛋白質であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載のスクリーニング方法。
  10. 前記ビタミンD3受容体蛋白質が2種類以上であり、うち1種類以上が蛋白質修飾を受けていることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載のスクリーニング方法。
  11. 前記蛋白質修飾が、ビタミンD3受容体蛋白質の、アミノ酸66位のアルギニンのメチル化修飾、および/または、アミノ酸407位のリシンの水酸化修飾であることを特徴とする、請求項10に記載のスクリーニング方法。
  12. 前記ビタミンD3受容体蛋白質が、ビタミンD3受容体蛋白質のリガンド結合領域であることを特徴とする、請求項9〜11のいずれかに記載のスクリーニング方法。
  13. 下記(1)〜(3)に記載された工程を含むことを特徴とする、骨量増加剤のスクリーニング方法;
    (1)カルパイン遺伝子を発現する細胞または該細胞の細胞調製物に、被験物質を接触させる工程、
    (2)カルパイン遺伝子の発現量の変化を測定する工程、および
    (3)カルパイン遺伝子の発現量を増加させた被験物質を同定する工程。
  14. 下記(1)〜(4)に記載された工程を含む、被験物質がビタミンD受容体蛋白質を分解する能力を評価する方法;
    (1)被験物質をビタミンD受容体蛋白質と接触させて複合体を形成させる工程、
    (2)(1)の複合体にカルパイン蛋白質を接触させる工程、
    (3)ビタミンD受容体蛋白質の量を測定する工程、および
    (4)ビタミンD受容体蛋白質の量を減少させる被験物質を同定する工程。
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