JP2012174929A - 太陽電池用裏面保護フィルム及び太陽電池モジュール - Google Patents

太陽電池用裏面保護フィルム及び太陽電池モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】表面に太陽光等を受光した際の光電変換効率、暗色色調の外観、耐熱性、可撓性及び成形性に優れた太陽電池用裏面保護フィルム及び太陽電池モジュールの提供。
【解決手段】本発明の太陽電池用裏面保護フィルム(1)は、少なくとも2種の着色剤から成る赤外線透過性着色剤混合物及び熱可塑性樹脂を含む層(A層)(11)と、平均一次粒子径0.24μm以上の酸化チタン及び熱可塑性樹脂を含む層(B層)(12)と、フッ素樹脂を含む層(C層)(13)とを、順次、備える積層フィルムであって、波長740nmの光を上記積層フィルムの上記A層側の表面に放射した場合、上記光に対する反射率が20%以上である。
【選択図】図1

Description

本発明は、暗色系外観を有し、光線が照射された場合に光電変換効率に優れ、耐熱性、可撓性及び耐傷性に優れた太陽電池用裏面保護フィルム及び太陽電池モジュールに関する。
近年、地球温暖化の原因となる二酸化炭素を形成するエネルギー源である石油に代わって、太陽電池がエネルギー供給手段として、一層の注目を浴びている。太陽電池の需要も増しており、太陽電池に含まれる太陽電池モジュールを構成する各種部材の安定供給及び低コスト化が求められるようになってきた。また、太陽電池の発電効率の改良要求も高まってきた。
太陽電池モジュールは、板状の太陽電池素子を多数配置するとともに、これらを、直列、並列に配線し、この素子を保護するためにパッケージして、ユニット化させたものである。そして、この太陽電池モジュールは、通常、太陽電池素子における、太陽光が当たる面をガラス板で覆い、例えば、透明性が高く耐湿性に優れるエチレン・酢酸ビニル共重合体等を含む組成物を用いて、太陽電池素子の間隙を充填して充填材部とし、裏面(充填材部の下面)を、太陽電池用裏面保護フィルムで封止させた構造となっている。
太陽電池モジュールを備える太陽電池を、家屋の屋根等に配置する場合には、外観性の観点から、黒色等の暗色系の色に着色されることが好まれており、そのために、暗色系の色に着色された太陽電池用裏面保護フィルムが用いられるようになってきた。
暗色系の色に着色されたフィルムとしては、例えば、熱可塑性樹脂と、赤外線反射特性を有する無機顔料とを含む低蓄熱性熱可塑性樹脂組成物から成るシート(特許文献1参照)、ペリレン系顔料を含有させた黒色樹脂層を表面に備え、波長800〜1,100nmの光の反射率を30%以上として近赤外線を反射させることにより蓄熱を防止したシート(特許文献2参照)等が知られている。
また、耐熱性の高い熱可塑性樹脂層の一方側に、赤外線透過性の着色樹脂層を配置し、他方の側に光の反射性の高い着色樹脂層を配置した積層体も知られている(特許文献3参照)。
特開2007−103813号公報 特開2007−128943号公報 特開2009−119864号公報
本発明は、暗色系外観を有する表面に太陽光等を受光した際の光電変換効率、耐熱性、可撓性及び耐傷性に優れた太陽電池用裏面保護フィルム及び太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
本発明は以下に示される。なお、以下の記載において、色相記号は、JIS記号とも呼ばれるが、マンセル色相環に基づくものである。
1.少なくとも2種の着色剤から成る赤外線透過性着色剤混合物及び熱可塑性樹脂を含む層(A層)と、平均一次粒子径0.24μm以上の酸化チタン及び熱可塑性樹脂を含む層(B層)と、フッ素樹脂を含む層(C層)とを、順次、備える積層フィルムであって、積層フィルムのA層側の表面に波長740nmの光を放射した場合、該光に対する反射率が20%以上であることを特徴とする太陽電池用裏面保護フィルム。
2.少なくとも2種の着色剤が、赤色系の着色剤と緑色系の着色剤、紫色系の着色剤と黄色系の着色剤;および、オレンジ色の着色剤と青色の着色剤から成る群より選択される着色剤の少なくとも1種の組み合わせを含む上記1に記載の太陽電池用裏面保護フィルム。
3.少なくとも2種の着色剤が、少なくとも4種の着色剤である上記1に記載の太陽電池用裏面保護フィルム。
4.少なくとも4種の着色剤が、赤色系の着色剤、緑色系の着色剤、黄色系の着色剤、および、紫色系の着色剤を含む上記3に記載の太陽電池用裏面保護フィルム。
5.熱可塑性樹脂が、ゴム含有芳香族ビニル系樹脂である上記1乃至4の何れかに記載の太陽電池用裏面保護フィルム。
6.フッ素系樹脂が、ポリフッ化ビニリデン樹脂である上記1乃至5のいずれかに記載の太陽電池用裏面保護フィルム。
7.太陽電池用裏面保護フィルムにおけるA層側の表面に波長400〜700nmの光を放射した場合、該光に対する吸収率が60%以上である上記1乃至6の何れかに記載の太陽電池用裏面保護フィルム。
8.太陽電池用裏面保護フィルムにおけるA層側の表面に波長800〜1,400nmの光を放射した場合、該光に対する反射率が50%以上である上記1乃至7の何れかに記載の太陽電池用裏面保護フィルム。
9.積層フィルムの中間層として、水蒸気バリア層を備える上記1乃至8の何れか一項に記載の太陽電池用裏面保護フィルム。
10.水蒸気バリア層が、その表面に、金属及び/又は金属酸化物を含む膜が形成されて成る蒸着フィルムから成る上記9に記載の太陽電池用裏面保護フィルム。
11.厚さが30〜900μmである上記1乃至10の何れかに記載の太陽電池用裏面保護フィルム。
12.上記1乃至11の何れかに記載の太陽電池用裏面保護フィルムを備えることを特徴とする太陽電池モジュール。
本発明の太陽電池用裏面保護フィルムによれば、A層側の表面に太陽光等を受光したとき、暗色色調、特に黒色の外観に優れ、光電変換効率に優れ、熱変形が抑制されて耐熱性に優れ、可撓性及び耐傷性に優れ、加工性及びその取扱い性が良好である。また、B層が白色系樹脂層であることから、太陽光等がA層側から入射された場合に、A層を透過した光をB層によって反射させることができ、A層表面を、太陽電池素子及びこれを包埋し、その間隙を充填するエチレン・酢酸ビニル共重合体を含む充填材部に接着させて太陽電池モジュールとした場合に、反射光により、光電変換効率を改良することができる。
少なくとも2種の着色剤が、赤色系の着色剤と緑色系の着色剤、紫色系の着色剤と黄色系の着色剤;および、オレンジ色の着色剤と青色系の着色剤から成る群より選択される着色剤の少なくとも1種の組み合わせを含む場合には、光電変換効率に優れ、暗色系外観の太陽電池用裏面保護フィルムを得ることができる。
少なくとも2種の着色剤が、少なくとも4種の着色剤である場合には、光電変換効率に優れ、優れた暗色外観の太陽電池用裏面保護フィルムを得ることができる。
少なくとも4種の着色剤が、赤色系の着色剤、緑色系の着色剤、黄色系の着色剤、および、紫色系の着色剤を含む場合には、光電変換効率に優れ、極めて優れた暗色外観の太陽電池用裏面保護フィルムを得ることができる。
熱可塑性樹脂が、ゴム含有芳香族ビニル系樹脂である場合には、着色性、成形性に優れ、更にエチレン・酢酸ビニル共重合体を含む部材との密着性に優れた太陽電池用裏面保護フィルムを得ることができる。
太陽電池用裏面保護フィルムにおけるA層の表面に波長400〜700nmの光を放射したときに、該光に対する吸収率が60%以上である場合には、A層に配合された赤外線透過性混合着色剤の色に準じて暗色系外観に優れた太陽電池モジュールを提供することができ、この太陽電池用裏面保護フィルムを備える太陽電池モジュールを家屋の屋根等に配置した場合に、優れた外観性、意匠性等を得ることができる。
太陽電池用裏面保護フィルムにおけるA層の表面に波長800〜1,400nmの光を放射したときに、該光に対する反射率が50%以上である場合には、太陽光が、隣り合う太陽電池素子の隙間から、裏面保護フィルムの方へ漏れたときに、裏面保護フィルムにおける蓄熱が抑制される。そして、反射光を太陽電池素子に入射させることができ、発電効率を向上させることができる。
積層フィルムの中間層として、水蒸気バリア層を備える場合には、A層側の表面、及びC層側の表面からの水蒸気バリア性に優れた太陽電池用裏面保護フィルムとすることができる。
水蒸気バリア層が、その表面に、金属及び/又は金属酸化物を含む膜が形成されて成る蒸着フィルムから成る場合には、極めて優れた水蒸気バリア性を有する太陽電池用裏面保護フィルムとすることができる。
本発明の太陽電池用裏面保護フィルムの厚さが30〜900μmである場合には、可撓性に優れる。
本発明の太陽電池モジュールは、本発明の太陽電池用裏面保護フィルムを備えることから、太陽光や風雨に長期間曝される屋外での使用に好適であり、太陽電池における発電効率に優れる。
図1は太陽電池用裏面保護フィルムの一例を示す概略断面図である。 図2は太陽電池用裏面保護フィルムの他の例を示す概略断面図である。 図3は太陽電池用裏面保護フィルムの他の例を示す概略断面図である。 図4は太陽電池用裏面保護フィルムの他の例を示す概略断面図である。 図5は太陽電池モジュールの一例を示す概略断面図である。
以下、本発明を詳しく説明する。本明細書において、「(共)重合」とは、単独重合及び共重合を意味する。また、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートを意味する。
本発明の太陽電池用裏面保護フィルムは、A層、B層及びC層を、順次、備える積層型フィルムから成り、その概略断面は、図1に例示される。即ち、図1の太陽電池用裏面保護フィルム1は、A層11、B層12及びC層13を、順次、備える積層型フィルムである。
また、本発明の太陽電池用裏面保護フィルムにおいて、A層及びB層の間、及び/又は、B層及びC層の間に、水蒸気バリア層を備える場合の概略断面は、図2、図3及び図4に例示される。即ち、図2の太陽電池用裏面保護フィルム1は、A層11、水蒸気バリア層14、B層12及びC13を、順次、備える積層型フィルムである。図3の太陽電池用裏面保護フィルム1は、A層11、B層12、水蒸気バリア層14及びC層13を、順次、備える積層型フィルムである。また、図4の太陽電池用裏面保護フィルム1は、A層11、水蒸気バリア層14a、B層12、水蒸気バリア層14b及びC層13を、順次、備える積層型フィルムである。
<A層>
A層は、少なくとも2種の着色剤から成る赤外線透過性着色剤混合物及び熱可塑性樹脂を含む暗色樹脂層であり、必要に応じて、後述する、他の樹脂又は重合体(以下、両者を併せて「他の樹脂」という)及び添加剤等を含有してもよい。赤外線透過性着色剤混合物は、赤外線帯域で透過性を有し且つ可視光線帯域の一部の帯域で吸収スペクトルのピークを有する着色剤を2種類以上混合(混色)し、各着色剤の吸収スペクトルを重ね合わせることによって可視光線帯域の全域に吸収スペクトルが及ぶようにした着色剤混合物である。斯かる着色剤混合物の混合により、目視外観は暗色であって、赤外線を透過する樹脂組成物が得られる。以下、A層を構成する組成物を熱可塑性樹脂組成物(I)として説明する。
A層を構成する熱可塑性樹脂(I)としては、芳香族ビニル系樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂(例えば、(メタ)アクリル酸エステル化合物の(共)重合体等)、フッ素樹脂、エチレン・酢酸ビニル系樹脂等が挙げられる。これらは2種以上を用いてもよい。また、上記のうち、太陽電池素子を包埋する、エチレン・酢酸ビニル共重合体を含む充填材部との密着性の観点からは、好ましくは、ゴム含有芳香族ビニル系樹脂などが挙げられ、耐熱性の観点からは、好ましくは、飽和ポリエステル樹脂などが挙げられ、特に好ましくは、ゴム含有芳香族ビニル系樹脂が挙げられる。
A層に含まれる熱可塑性樹脂(I)が飽和ポリエステル樹脂である場合、具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサン−1,4−ジメチルテレフタレート、ポリネオペンチルテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリヘキサメチレンナフタレート等のポリアルキレンナフタレート等の単独重合ポリエステル、アルキレンテレフタレート単位及び/又はアルキレンナフタレート単位を主として含有する共重合ポリエステル、液晶ポリエステル等が挙げられる。これらのうち、ポリブチレンテレフタレートが好ましい。また、これらは2種以上を用いてもよい。
飽和ポリエステル樹脂は、好ましくは、ジカルボン酸成分とグリコール成分とを重縮合反応させることによって得られた樹脂である。
ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキシンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸;p−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸等が挙げられる。
グリコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール;ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール;1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール;ビスフェノールA、ビスフェノールS等の芳香族グリコール等が挙げられる。
上記のジカルボン酸成分及びグリコール成分は、それぞれ、1種のみ用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
飽和ポリエステル樹脂としては、テレフタル酸あるいはテレフタル酸ジメチルと、エチレングリコールとをエステル化反応もしくはエステル交換反応を利用した重縮合反応によって得られた、エチレンテレフタレートを主たる構成単位として含む飽和ポリエステル樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂組成物(I)が、エチレンテレフタレートを主たる構成単位として含む飽和ポリエステル樹脂の1種又は2種以上を含有することにより、機械強度、加工性、熱特性等に優れる。尚、「主たる構成単位」とは、1の飽和ポリエステル樹脂を構成するエチレンテレフタレートの含有量が30モル%以上であることを意味する。
前述のように、熱可塑性樹脂組成物(I)は、飽和ポリエステル樹脂のみから成るものであってもよいし、飽和ポリエステル樹脂と、他の樹脂とから成るものであってもよい。
他の樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステル化合物に由来する構造単位を含むアクリル樹脂;芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を含む芳香族ビニル系樹脂;ポリオレフィン樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂;ポリ塩化ビニリデン樹脂;ポリ酢酸ビニル樹脂;ポリカーボネート樹脂;フッ素樹脂;エチレン・酢酸ビニル系樹脂等が挙げられる。これらは2種以上を用いてもよい。
A層に含まれる熱可塑性樹脂(I)が飽和ポリエステル樹脂であり、熱可塑性樹脂組成物(I)が、他の樹脂を含む場合、その含有量は、飽和ポリエステル樹脂に対して、通常50質量%未満、好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。上記の含有割合が高すぎると、物性が維持できなくなる場合があり、飽和ポリエステル樹脂の効果が低下する傾向にある。
A層に含まれる熱可塑性樹脂(I)が、ゴム含有芳香族ビニル系樹脂である場合、ゴム含有芳香族ビニル系樹脂は、ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体を重合して得られたゴム強化芳香族ビニル系樹脂(以下「樹脂(A1)」という)を少なくとも含有する樹脂であり、この樹脂(A1)と、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位及びシアン化ビニル化合物に由来する構造単位を含む共重合体(以下「共重合体(A2)」という)とから成る樹脂であってもよい。
ゴム含有芳香族ビニル系樹脂に含まれるゴム質重合体の含有量は、成形品における耐衝撃性及び耐熱性の観点から、通常5〜40質量%、好ましくは8〜30質量%、更に好ましくは10〜20質量%、特に好ましくは12〜18質量%である。
ゴム含有芳香族ビニル系樹脂は、上記のように、樹脂(A1)又は、樹脂(A1)及び共重合体(A2)の組み合わせ、から成るものである。樹脂(A1)及び共重合体(A2)は、何れも1種ずつ含むものであってもよいし、2種以上含むものであってもよい。
樹脂(A1)は、ゴム質重合体(以下「ゴム質重合体(a1−1)」という)の存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体(以下「ビニル系単量体(a1−2)」という)を重合して得られたゴム強化芳香族ビニル系樹脂であり、通常、芳香族ビニル化合物を含むビニル系単量体(a1−2)がゴム質重合体(a1−1)にグラフト共重合した共重合樹脂と、ゴム質重合体(a1−1)にグラフトしていない未グラフト成分、即ち、残部のビニル系単量体(a1−2)による(共)重合体とが含まれる。
樹脂(A1)の形成に用いられるゴム質重合体(a1−1)は、室温でゴム質であれば、特に限定されず、単独重合体及び共重合体の何れでもよい。また、このゴム質重合体(a1−1)は、架橋重合体及び非架橋重合体の何れでもよい。
ゴム質重合体(a1−1)としては、特に限定されないが、共役ジエン系ゴム、水添共役ジエン系ゴム、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム、アクリル系ゴム、シリコーンゴム、シリコーン・アクリル複合ゴム等が挙げられる。これらは2種以上を用いてもよい。耐候性の観点からは、アクリル系ゴム、シリコーンゴム、シリコーン・アクリル複合ゴム、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム及び水添共役ジエン系ゴム等が好ましい。
ゴム質重合体(a1−1)の形状は、特に限定されず、粒子状(球状、略球状)、直線状、曲線状等とすることができる。粒子状である場合、その体積平均粒子径は、通常5〜2,000nmであり、好ましくは10〜1,800nmであり、更に好ましくは50〜1,500nmである。体積平均粒子径が上記の範囲にあれば、熱可塑性樹脂組成物の加工性及び耐衝撃性等に優れる。尚、体積平均粒子径は、電子顕微鏡写真を用いた画像解析、レーザー回折法、光散乱法等により測定することができる。
共役ジエン系ゴムとしては、ポリブタジエン、ブタジエン・スチレンランダム共重合体、ブタジエン・スチレンブロック共重合体、ブタジエン・アクリロニトリル共重合体等が挙げられる。これらは2種以上を用いてもよい。
本発明において、共役ジエン系ゴムは、可撓性、低温衝撃性等の観点から、そのTgが−20℃以下であることが好ましい。
アクリル系ゴムとしては、アルキル基の炭素数が2〜8のアクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位を、アクリル系ゴムを構成する構造単位の全量に対して80質量%以上含む(共)重合体が好ましい。
アルキル基の炭素数が2〜8のアクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。これらは2種以上を用いてもよい。好ましいアクリル酸アルキルエステルは、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル及びアクリル酸2−エチルヘキシルである。
アクリル系ゴムが、他の単量体に由来する構造単位を含む場合、他の単量体としては、アクリロニトリル、ビニルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸、スチレン等の単官能性単量体;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のモノ又はポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルマレエート、ジアリルサクシネート、トリアリルトリアジン等のジ又はトリアリル化合物、アリル(メタ)アクリレート等のアリル化合物等の共役ジエン系化合物等の架橋性単量体等が挙げられる。
アクリル系ゴムは、可撓性、低温衝撃性等の観点から、そのTgが−10℃以下であることが好ましい。上記Tgを有するアクリル系ゴムは、通常、架橋性単量体に由来する構造単位を含む共重合体である。
好ましいアクリル系ゴムを構成する、架橋性単量体に由来する構造単位の含有量は、構造単位の全量に対して、通常0.01〜10質量%、好ましくは0.05〜8質量%、更に好ましくは0.1〜5質量%である。
アクリル系ゴムの体積平均粒子径は、可撓性、低温衝撃性等の観点から、通常5〜500nm、好ましくは10〜450nm、更に好ましくは20〜400nmである。
アクリル系ゴムは、公知の方法で製造されるが、好ましい製造方法は、乳化重合法である。
シリコーンゴムとしては、ゴム強化芳香族ビニル系樹脂の製造に好適な方法である乳化重合を容易なものとするために、ラテックスに含まれるゴムであることが好ましい。従って、このシリコーンゴムは、例えば、米国特許第2,891,920号明細書、同第3,294,725号明細書等に記載された方法により製造されたポリオルガノシロキサン系ゴム等とすることができる。
ポリオルガノシロキサン系ゴムは、例えば、ホモミキサー又は超音波混合機を用い、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸等のスルホン酸系乳化剤の存在下に、オルガノシロキサンと水とを剪断混合し、その後、縮合する方法により得られたラテックスに含まれるシリコーンゴムであることが好ましい。アルキルベンゼンスルホン酸は、オルガノシロキサンの乳化剤として作用するとともに、重合開始剤としても作用するので好適である。この際、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩、アルキルスルホン酸金属塩等を併用すると、ゴム強化芳香族ビニル系樹脂を製造する際に、シリコーンゴムを安定に維持する効果があるので好ましい。
尚、ポリオルガノシロキサン系ゴムの重合体末端は、例えば、ヒドロキシル基、アルコキシ基、トリメチルシリル基、メチルジフェニルシリル基等で封止されていてもよい。また、必要により、本発明の目的の性能を損なわない範囲で、グラフト交叉剤及び/又は架橋剤を共縮合させてもよい。これらを用いることにより、耐衝撃性を改良することができる。
上記反応に用いるオルガノシロキサンは、例えば、一般式〔R SiO(4−m)/2〕(式中、Rは置換又は非置換の1価の炭化水素基であり、mは0〜3の整数を示す。)で表される構造単位を有する化合物である。この化合物の構造は、直鎖状、分岐状又は環状であるが、好ましくは環状構造を有するオルガノシロキサンである。このオルガノシロキサンが有するR、即ち、1価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;及び、これら炭化水素基における炭素原子に結合した水素原子の一部がハロゲン原子、シアノ基等で置換された基;並びにアルキル基の水素原子の少なくとも1個がメルカプト基で置換された基等が挙げられる。
オルガノシロキサンとしては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、トリメチルトリフェニルシクロトリシロキサン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサン等の環状化合物の他に、直鎖状又は分岐状のオルガノシロキサンを用いることができる。これらは2種以上を用いてもよい。。
尚、オルガノシロキサンは、予め縮合された、例えば、Mwが500〜10,000程度のポリオルガノシロキサンであってもよい。また、オルガノシロキサンがポリオルガノシロキサンである場合、その分子鎖末端は、ヒドロキシル基、アルコキシ基、トリメチルシリル基、メチルジフェニルシリル基等で封止されていてもよい。
グラフト交叉剤は、通常、炭素−炭素不飽和結合とアルコキシシリル基とを有する化合物であり、例えば、p−ビニルフェニルメチルジメトキシシラン、2−(p−ビニルフェニル)エチルメチルジメトキシシラン、3−(p−ビニルベンゾイロキシ)プロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
グラフト交叉剤の使用量は、オルガノシロキサン、グラフト交叉剤及び架橋剤の合計を100質量部とした場合、通常10質量部以下、好ましくは0.2〜10質量部、更に好ましくは0.5〜5質量部である。グラフト交叉剤の使用量が多すぎると、グラフト共重合体の分子量が低下し、その結果、十分な耐衝撃性が得られない場合がある。
架橋剤としては、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン等の3官能性架橋剤、テトラエトキシシラン等の4官能性架橋剤等が挙げられる。尚、これらの化合物を予め縮重合させて成る架橋性プレポリマーを用いてもよい。これらは2種以上を用いてもよい。
架橋剤の使用量は、オルガノシロキサン、グラフト交叉剤及び架橋剤の合計を100質量部とした場合、通常10質量部以下、好ましくは5質量部以下、更に好ましくは0.01〜5質量部である。架橋剤の使用量が多すぎると、得られるポリオルガノシロキサン系ゴムの柔軟性が損なわれ、フィルムの可撓性が低下する場合がある。
シリコーンゴムの体積平均粒子径は、通常5〜500nm、好ましくは10〜400nm、更に好ましくは50〜400nmである。この体積平均粒子径は、製造時に用いる乳化剤及び水の量、ホモミキサー又は超音波混合機を用いて混合したときの分散の程度又はオルガノシロキサンのチャージ方法によって、容易に制御することができる。体積平均粒子径が500nmを超えると、光沢が低下する等、外観性が劣る場合がある。
シリコーン・アクリル複合ゴムは、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴムを含有するゴム質重合体である。好ましいシリコーン・アクリル複合ゴムは、ポリオルガノシロキサンゴム及びポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴムが分離できないように相互に絡み合った構造を有する複合ゴムである。
ポリオルガノシロキサン系ゴムとしては、好ましくは、オルガノシロキサンを共重合したものを用いることができる。オルガノシロキサンとしては、3員環以上の各種の還元体が挙げられ、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、トリメチルトリフェニルシクロトリシロキサン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサン等が好ましい。そして、これらのオルガノシロキサンは2種以上を用いてもよい。
ポリオルガノシロキサン系ゴムを構成する、オルガノシロキサンに由来する構造単位の含有量は、構造単位の全量に対して、通常50質量%以上、好ましくは70質量%以上である。
ポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴムとしては、好ましくは、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、メトキシトリプロピレングリコールアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系化合物を含む単量体を(共)重合して得られたゴムである。これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステル系化合物は2種以上を用いてもよい。
また、上記単量体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系化合物以外に、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;メタクリル酸変性シリコーン、フッ素含有ビニル化合物等の各種のビニル系単量体を30質量%以下の範囲で含んでいてもよい。
ポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴムは、フィルムに十分な可撓性を付与することができることから、2つ以上のTgを有する共重合体であることが好ましい。
シリコーン・アクリル複合ゴムは、例えば、特開平4−239010号公報、特開平4−100812号公報等に記載された方法により製造されたものを用いることができる。
シリコーン・アクリル複合ゴムの体積平均粒子径は、可撓性、低温衝撃性等の観点から、通常5〜500nm、好ましくは10〜450nm、更に好ましくは20〜400nmである。
エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムは、エチレン単位と、炭素数3以上のα−オレフィンから成る構造単位とを含む共重合体であり、エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体等が挙げられる。
エチレン・α−オレフィン共重合体としては、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン−1共重合体等が挙げられる。また、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体としては、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体、エチレン・ブテン−1・非共役ジエン共重合体等が挙げられる。
水添共役ジエン系ゴムは、共役ジエン系化合物に由来する構造単位を含む(共)重合体を水素添加して成る(共)重合体であれば、特に限定されない。
水添共役ジエン系ゴムとしては、共役ジエンブロック共重合体の水素添加物が挙げられる。即ち、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位から成る重合体ブロックA;1,2−ビニル結合含量が25モル%を超える共役ジエン系化合物に由来する構造単位から成る重合体の二重結合部分を95モル%以上水素添加して成る重合体ブロックB;1,2−ビニル結合含量が25モル%以下の共役ジエン系化合物に由来する構造単位から成る重合体の二重結合部分を95モル%以上水素添加して成る重合体ブロックC;並びに、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位と共役ジエン系化合物に由来する構造単位とから成る共重合体の二重結合部分を95モル%以上水素添加して成る重合体ブロックDのうち、2種以上を組み合わせたものから成るブロック共重合体である。
水添共役ジエン系ゴムとしては、水添ポリブタジエン、水添スチレン・ブタジエンゴム、スチレン・エチレンブチレン・オレフィン結晶ブロックポリマー、オレフィン結晶・エチレンブチレン・オレフィン結晶ブロックポリマー、スチレン・エチレンブチレン・スチレンブロックポリマー、ブタジエン・アクリロニトリル共重合体の水素添加物等が挙げられる。
樹脂(A1)の形成に用いられるビニル系単量体(a1−2)は、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含む。即ち、このビニル系単量体(a1−2)は、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物のみから成るものであってもよいし、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物と、更にこれらの化合物と共重合可能な他の単量体とから成るものであってもよい。他の単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル化合物、マレイミド系化合物、不飽和酸無水物、カルボキシル基含有不飽和化合物、ヒドロキシル基含有不飽和化合物、エポキシ基含有不飽和化合物、オキサゾリン基含有不飽和化合物等が挙げられる。これらは2種以上を用いてもよい。
芳香族ビニル化合物は、少なくとも1つのビニル結合と、少なくとも1つの芳香族環とを有する化合物であれば、特に限定されない。その例としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、β−メチルスチレン、エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレン、フルオロスチレン等が挙げられる。これらの化合物は2種以上を用いてもよい。また、これらのうち、スチレン及びα−メチルスチレンが好ましく、スチレンが特に好ましい。
シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリル、α−イソプロピルアクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−フルオロアクリロニトリル等が挙げられる。これらの化合物は2種以上を用いてもよい。また、これらのうち、アクリロニトリルが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられる。これらの化合物2種以上を用いてもよい。
マレイミド系化合物としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−ドデシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(4−メチルフェニル)マレイミド、N−(2、6−ジメチルフェニル)マレイミド、N−(2、6−ジエチルフェニル)マレイミド、N−(2−メトキシフェニル)マレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−ナフチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。これらのうち、N−フェニルマレイミドが好ましい。また、これらの化合物は2種以上を用いてもよい。
尚、樹脂(A1)に、マレイミド系化合物に由来する構造単位を導入する他の方法としては、例えば、無水マレイン酸の不飽和ジカルボン酸無水物を共重合し、その後イミド化する方法でもよい。
不飽和酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられる。これらの化合物は2種以上を用いてもよい。
カルボキシル基含有不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸等が挙げられる。これらの化合物は2種以上を用いてもよい。
ヒドロキシル基含有不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシメチル等のヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル;o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン等が挙げられる。これらの化合物は2種以上を用いてもよい。
エポキシ基含有不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸3,4−オキシシクロヘキシル、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、メタリルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらの化合物は2種以上を用いてもよい。
オキサゾリン基含有不飽和化合物としては、ビニルオキサゾリン等が挙げられる。
本発明において、ビニル系単量体(a1−2)に含まれる、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物の合計含有量は、成形加工性、耐薬品性、耐加水分解性、寸法安定性、成形外観性等の観点から、ビニル系単量体(a1−2)全量に対し、通常70〜100質量%、好ましくは80〜100質量%である。また、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物の使用比率は、成形加工性、耐薬品性、耐加水分解性、寸法安定性、成形外観性等の観点から、これらの合計を100質量%とした場合、それぞれ、通常5〜95質量%及び5〜95質量%、好ましくは50〜95質量%及び5〜50質量%、更に好ましくは60〜95質量%及び5〜40質量%である。
樹脂(A1)として、好ましい樹脂は、以下の通りである。
[1−1]ゴム質重合体(a1−1)の存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物から成るビニル系単量体(a1−2)を重合して得られたゴム強化芳香族ビニル系樹脂。
[1−2]ゴム質重合体(a1−1)の存在下に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及びマレイミド系化合物から成るビニル系単量体(a1−2)を重合して得られたゴム強化芳香族ビニル系樹脂。
[1−3]ゴム質重合体(a1−1)の存在下に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及びメタクリル酸エステル化合物から成るビニル系単量体(a1−2)を重合して得られたゴム強化芳香族ビニル系樹脂。
樹脂(A1)は、ゴム質重合体(a1−1)の存在下に、ビニル系単量体(a1−2)を重合することにより製造することができる。重合方法としては、乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合、又は、これらを組み合わせた重合法とすることができる。
尚、樹脂(A1)の製造の際には、ゴム質重合体(a1−1)及びビニル系単量体(a1−2)は、反応系において、ゴム質重合体(a1−1)全量の存在下に、ビニル系単量体(a1−2)を一括添加して重合を開始してもよいし、分割して又は連続的に添加しながら重合を行ってもよい。また、ゴム質重合体(a1−1)の一部存在下、又は、非存在下に、ビニル系単量体(a1−2)を一括添加して重合を開始してもよいし、分割して又は連続的に添加してもよい。このとき、ゴム質重合体(a1−1)の残部は、反応の途中で、一括して、分割して又は連続的に添加してもよい。
乳化重合により樹脂(A1)を製造する場合には、重合開始剤、連鎖移動剤(分子量調節剤)、乳化剤、水等が用いられる。
重合開始剤としては、公知の有機過酸化物と、含糖ピロリン酸処方、スルホキシレート処方等の還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤;公知の過硫酸塩;公知の過酸化物等が挙げられる。これらは2種以上を用いてもよい。また、重合開始剤の使用量は、上記ビニル系単量体(a1−2)全量に対し、通常0.1〜1.5質量%である。尚、重合開始剤は、反応系に一括して、又は、連続的に添加することができる。
連鎖移動剤としては、メルカプタン類;ターピノーレン類、α−メチルスチレンのダイマー等が挙げられる。これらは2種以上を用いてもよい。連鎖移動剤の使用量は、ビニル系単量体(a1−2)全量に対し、通常0.05〜2.0質量%である。尚、連鎖移動剤は、反応系に一括して、又は、連続的に添加することができる。
乳化剤としては、アニオン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤が挙げられる。アニオン系界面活性剤としては、高級アルコールの硫酸エステル;アルキルベンゼンスルホン酸塩;脂肪族スルホン酸塩;高級脂肪族カルボン酸塩;脂肪族リン酸塩等が挙げられる。また、ノニオン系界面活性剤としては、ポリエチレングリコールのアルキルエステル型化合物、アルキルエーテル型化合物等が挙げられる。これらは2種以上を用いてもよい。乳化剤の使用量は、ビニル系単量体(a1−2)全量に対し、通常0.3〜5.0質量%である。
乳化重合は、ビニル系単量体(a1−2)、重合開始剤等の種類に応じ、公知の条件で行うことができる。この乳化重合により得られたラテックスは、通常、凝固剤により凝固させ、樹脂成分を粉末状とし、その後、これを水洗、乾燥することによって、精製された樹脂が得られる。この凝固剤としては、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム等の無機塩;硫酸、塩酸等の無機酸;酢酸、乳酸等の有機酸等が用いられる。
尚、熱可塑性樹脂組成物(I)に、樹脂(A1)を2種以上含有させる場合には、1のラテックスから凝固した樹脂(A1−a)と、他のラテックスから凝固した樹脂(A1−b)とを混合する方法、1のラテックスと、他のラテックスとから成る混合物を調製した後、凝固する方法等を適用することができる。
溶液重合、塊状重合及び塊状−懸濁重合による樹脂(A1)の製造方法は、公知の方法を適用することができる。
尚、樹脂(A1)としては、シリコーンゴム強化芳香族ビニル系樹脂、シリコーン・アクリル複合ゴム強化芳香族ビニル系樹脂等の構成を有する市販品を用いることができる。例えば、ゴム質重合体(a1−1)としてシリコーン・アクリル複合ゴムを用いて成る樹脂(A1)としては、例えば、特開平4−239010号公報に記載された方法による市販品である、三菱レイヨン社製「メタブレンSX−006」(商品名)等が挙げられる。
樹脂(A1)のグラフト率は、通常20〜170%であり、好ましくは30〜170%、更に好ましくは40〜150%である。このグラフト率が低すぎると、可撓性が十分でない場合がある。一方、グラフト率が高すぎると、この樹脂(A1)の粘度が高くなる傾向にあり、熱可塑性樹脂組成物(I)による薄肉化が困難になる場合がある。
グラフト率は、下記式により求めることができる。
[数1]
グラフト率(%)={(S−T)/T}×100
上記式中、Sは樹脂(A1)1グラムをアセトン20mlに投入し、25℃の温度条件下で、振とう機により2時間振とうした後、5℃の温度条件下で、遠心分離機(回転数;23,000rpm)で60分間遠心分離し、不溶分と可溶分とを分離して得られる不溶分の質量(g)であり、Tは樹脂(A1)1グラムに含まれるゴム質重合体(a1−1)の質量(g)である。このゴム質重合体(a1−1)の質量は、重合処方及び重合転化率から算出する方法、赤外線吸収スペクトル(IR)により求める方法等により得ることができる。
グラフト率は、樹脂(A1)を製造する際に用いる、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤、溶剤等の種類や量、更には重合時間、重合温度等を調整することにより、容易に制御することができる。
樹脂(A1)は2種以上を用いてもよい。
樹脂(A1)とともにゴム含有芳香族ビニル系樹脂を構成する共重合体(A2)は、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位(以下「構造単位(sa−1)」という)及びシアン化ビニル化合物に由来する構造単位(以下「構造単位(sa−2)」という)を含む共重合体である。
共重合体(A2)は、構造単位(sa−1)及び(sa−2)のみから成るものであってもよいし、構造単位(sa−1)及び(sa−2)と、更に芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物と共重合可能な他の単量体に由来する構造単位(以下「構造単位(sa−3)」という)とから成るものであってもよい。他の単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル化合物、マレイミド系化合物、不飽和酸無水物、カルボキシル基含有不飽和化合物、ヒドロキシル基含有不飽和化合物、エポキシ基含有不飽和化合物、オキサゾリン基含有不飽和化合物等が挙げられる。上記の各化合物は、ビニル系単量体(a1−2)において例示した化合物が適用される。構造単位(sa−3)は、1種の単量体に由来する構造単位であってもよいし、2種以上の単量体に由来する2種以上の構造単位であってもよい。また、構造単位(sa−3)としては、マレイミド系化合物に由来する構造単位等が好ましい。
共重合体(A2)に含まれる構造単位(sa−1)及び(sa−2)の合計含有量は、構造単位(sa−1)、(sa−2)及び(sa−3)の合計を100質量%とした場合、通常40〜100質量%、好ましくは50〜100質量%である。また、構造単位(sa−1)及び(sa−2)の含有割合は、成形加工性、耐薬品性、耐加水分解性、寸法安定性、成形外観性等の観点から、これらの合計を100質量%とした場合、それぞれ、通常5〜95質量%及び5〜95質量%、好ましくは40〜95質量%及び5〜60質量%、更に好ましくは50〜90質量%及び10〜50質量%である。
共重合体(A2)が、構造単位(sa−3)を含み、この構造単位(sa−3)が、マレイミド系化合物に由来する構造単位である場合には、耐熱性を付与することができる。
共重合体(A2)として、好ましい重合体は、以下の通りである。
[1−5]構造単位(sa−1)及び(sa−2)から成る共重合体。
[1−6]構造単位(sa−1)及び(sa−2)と、マレイミド系化合物に由来する構造単位(以下「構造単位(sa−3m)」という)とから成る共重合体。
共重合体(A2)が、態様[1−5]の場合、構造単位(sa−1)及び(sa−2)の含有割合は、成形加工性、耐薬品性、耐加水分解性、寸法安定性、成形外観性等の観点から、これらの合計を100質量%とした場合、それぞれ、通常5〜95質量%及び5〜95質量%、好ましくは40〜95質量%及び5〜60質量%、更に好ましくは50〜90質量%及び10〜50質量%である。
態様[1−5]の共重合体としては、スチレン・アクリロニトリル共重合体、α−メチルスチレン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・α−メチルスチレン・アクリロニトリル共重合体等が挙げられる。
共重合体(A2)が、態様[1−6]の場合、構造単位(sa−1)、(sa−2)及び(sa−3m)の含有割合は、成形加工性、耐熱性、耐薬品性、耐加水分解性、寸法安定性、可撓性等の観点から、これらの合計を100質量%とした場合、それぞれ、通常10〜90質量%、9.5〜70質量%及び0.5〜30質量%、好ましくは20〜85質量%、14〜60質量%及び1〜20質量%、更に好ましくは30〜80質量%、18〜50質量%及び2〜15質量%である。
態様[1−6]の共重合体としては、スチレン・アクリロニトリル・N−フェニルマレイミド共重合体等が挙げられる。
共重合体(A2)としては、スチレン・アクリロニトリル・メタクリル酸メチル共重合体等を用いることもできる。
共重合体(A2)は、重合開始剤の存在下又は非存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体(以下「ビニル系単量体(a2)」という)を重合することにより製造することができる。重合方法は、重合開始剤を用いる場合には、溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合等が好適であり、これらの重合方法を組み合わせて用いてもよい。また、重合開始剤を用いない場合は、熱重合とすることができる。
重合開始剤としては、樹脂(A1)の製造方法の説明にて例示した化合物を、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。重合開始剤の使用量は、ビニル系単量体(a2)全量に対し、通常0.1〜1.5質量%である。
尚、重合方法に応じて、樹脂(A1)の製造時に使用可能な連鎖移動剤、乳化剤等を用いることができる。
共重合体(A2)の製造の際には、ビニル系単量体(a2)の全量を反応系に収容した状態で重合を開始してもよいし、任意に選択した単量体成分を分割添加又は連続添加して重合を行ってもよい。更に、重合開始剤を用いる場合には、反応系に一括して又は連続的に添加することができる。
共重合体(A2)は2種以上を用いてもよい。
ゴム含有芳香族ビニル系樹脂のアセトンに可溶な成分の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、通常0.1〜2.5dl/g、好ましくは0.2〜1.5dl/g、更に好ましくは0.25〜1.2dl/gである。この極限粘度[η]が上記範囲内であると、熱可塑性樹脂組成物(I)の成形加工性に優れ、肉厚精度にも優れる。
ここで、極限粘度[η]は、以下の要領で求めることができる。すなわち、樹脂(A1)におけるグラフト率を求める際に、遠心分離後に回収されたアセトン可溶分をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度の異なるものを5点調製し、ウベローデ粘度管を用いて、30℃で各濃度の還元粘度を測定することにより、極限粘度[η]が求められる。
極限粘度[η]は、樹脂(A1)及び共重合体(A2)を製造する際に用いる、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤、溶剤等の種類や量、更には重合時間、重合温度等を調整することにより、容易に制御することができる。
また、極限粘度[η]は、極限粘度[η]が互いに異なる樹脂(A1)及び共重合体(A2)を、適宜、選択することにより調整することもできる。
前述のように、熱可塑性樹脂組成物(I)は、ゴム含有芳香族ビニル系樹脂のみから成るものであってもよいし、ゴム含有芳香族ビニル系樹脂と、他の樹脂とから成るものであってもよい。
他の樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステル化合物に由来する構造単位を含むアクリル樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の飽和ポリエステル樹脂;ポリオレフィン樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂;ポリ塩化ビニリデン樹脂;ポリ酢酸ビニル樹脂;ポリカーボネート樹脂;フッ素樹脂;エチレン・酢酸ビニル系樹脂等が挙げられる。これらは2種以上を用いてもよい。
A層に含まれる熱可塑性樹脂(I)がゴム含有芳香族ビニル系樹脂であり、熱可塑性樹脂組成物(I)が、他の樹脂を含む場合、その含有量は、ゴム含有芳香族ビニル系樹脂に対して、通常50質量%未満、好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。上記の含有割合が高すぎると、本発明に係る樹脂(A1)を用いる効果が小さくなる。
尚、熱可塑性樹脂組成物(I)における樹脂(A1)及び共重合体(A2)、並びに、必要に応じて併用される他の樹脂の含有割合は、樹脂(A1)に由来するゴム質重合体(a1−1)の含有量が、通常5〜40質量%、好ましくは8〜30質量%、更に好ましくは10〜20質量%、特に好ましくは12〜18質量%となるように調整される。熱可塑性樹脂組成物(I)に含まれるゴム質重合体(a1−1)の含有量が40質量%を超えると、耐熱性が十分でない場合がある。一方、上記含有量が5質量%未満となると、耐衝撃性が十分でない場合がある。
熱可塑性樹脂組成物(I)は、少なくとも2種の着色剤から成る赤外線透過性着色剤混合物を含有する。赤外線透過性着色剤混合物についての説明は後述する。
熱可塑性樹脂組成物(I)は、目的、用途等に応じて、添加剤を含有したものとすることができる。この添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、可塑剤、蛍光増白剤、耐候剤、充填剤、帯電防止剤、難燃剤、防曇剤、抗菌剤、防かび剤、防汚剤、粘着付与剤、シランカップリング剤等が挙げられる。これらの添加剤における具体的な化合物及びその含有量は、後述する。
A層の厚さは、本発明の太陽電池用裏面保護フィルムの強度及び可撓性の観点から、通常10〜300μmであり、好ましくは15〜250μm、更に好ましくは20〜200μmである。
<B層>
B層は、平均一次粒子径0.24μm以上の酸化チタン及び熱可塑性樹脂を含有する白色系樹脂層であり、主として、A層を透過した赤外線及び可視光を反射させ、本発明の太陽電池用裏面保護フィルムが有する可撓性のバランスを保持する作用を有する層である。
B層に含まれる熱可塑性樹脂組成物は、A層における熱可塑性樹脂と同一であってもよいし、異なってもよく、その説明(構成及び製造方法)が適用される。また、必要に応じて、A層におけると同様の、他の樹脂、添加剤等を含有してもよい。耐加水分解性及び寸法安定性の観点から、好ましくは、芳香族ビニル系樹脂が用いられ、特に好ましくは、ゴム含有芳香族ビニル系樹脂が用いられる。以下、B層を構成する組成物を熱可塑性樹脂組成物(II)として説明する。
B層に含まれる好ましい樹脂(A1)は、以下の通りである。
[2−1]ゴム質重合体(a1−1)の存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物から成るビニル系単量体(a1−2)を重合して得られたゴム強化芳香族ビニル系樹脂である。
[2−2]ゴム質重合体(a1−1)の存在下に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及びマレイミド系化合物から成るビニル系単量体(a1−2)を重合して得られたゴム強化芳香族ビニル系樹脂。
[2−3]ゴム質重合体(a1−1)の存在下に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及びメタクリル酸エステル化合物から成るビニル系単量体(a1−2)を重合して得られたゴム強化芳香族ビニル系樹脂である。
上記態様において、好ましい構成は、A層における[1−1]〜[1−3]の説明が適用される。
樹脂(A1)は2種以上を用いてもよい。
また、好ましい共重合体(A2)は、以下の通りである。
[2−5]構造単位(sa−1)及び(sa−2)から成る共重合体。
[2−6]構造単位(sa−1)、(sa−2)及び(sa−3m)から成る共重合体。
上記態様において、好ましい構成は、A層における[1−5]及び[1−6]の説明が適用される。特に、態様[2−6]において、構造単位(sa−3m)の含有量を2〜15質量%とした場合には、冷熱サイクルにおける耐久性に優れたものとすることができる。
共重合体(A2)は2種以上を用いてもよい。
熱可塑性樹脂組成物(II)が、他の樹脂を含有する場合、その含有量は、ゴム含有芳香族ビニル系樹脂に対して、通常50質量%未満、好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。上記の含有割合が高すぎると、本発明に係る樹脂(A1)を用いる効果が小さくなる。
熱可塑性樹脂組成物(II)は、平均一次粒子径0.24μm以上の酸化チタンを含有する。酸化チタンとしては、結晶形として、アナタース形、ルチル形などの酸化チタンを用いることができるが、ルチル形が好ましい。酸化チタンの平均一次粒子径は、通常0.25μm以上であり、好ましくは0.26μm以上である。酸化チタンの平均一次粒子径は、例えば、透過型電子顕微鏡写真をもとに画像解析装置により測定できる。酸化チタンの平均一次粒子径の上限は、通常0.5μm程度であり、好ましくは0.4μm程度である。平均一次粒子径0.24μm以上の酸化チタンとしては、市販品として、例えば、石原産業社製の商品、「タイペークCR−95」(平均一次粒子径0.28μm)、「タイペークCR−58−2」(平均一次粒子径0.28μm)、「タイペークCR−50−2」(平均一次粒子径0.25μm)などが挙げられる。
平均一次粒子径0.24μm以上の酸化チタンの含有量は、波長700〜1,400nmの光に対する反射性の観点から、ゴム含有芳香族ビニル系樹脂に対して、通常1〜45質量%、好ましくは3〜40質量%、更に好ましくは5〜30質量%である。平均一次粒子径0.24μm以上の酸化チタンの含有量が多すぎると、本発明の太陽電池用裏面保護フィルムの可撓性が低下する場合がある。
B層は白色系樹脂層であり、その単独層から成るフィルムの表面におけるL値(明度)が、通常60以上、好ましくは65以上、更に好ましくは70以上の性能を有する。
熱可塑性樹脂組成物(II)は、上記L値を低下させないものであれば、酸化チタンのような白色系着色剤以外の他の着色剤(例えば、黄色系着色剤、青色系着色剤等)を含んでもよい。他の着色剤を用いる場合、その含有量は、熱可塑性樹脂組成物(II)に対して、通常10質量%以下である。
熱可塑性樹脂組成物(II)が、添加剤を含有する場合、その具体的な化合物及び含有量は、後述される。
B層の厚さは、通常10〜300μmであり、好ましくは15〜250μm、更に好ましくは20〜200μmである。厚さが上記範囲にあることにより、本発明の太陽電池用裏面保護フィルムにおける可撓性のバランスを高度に維持することができる。
<C層>
C層は、フッ素樹脂を含有する樹脂層である。このC層は、主として、本発明の太陽電池用裏面保護フィルムに耐熱性及び難燃性を付与する層である。即ち、このような性質を有するC層を備える本発明の太陽電池用裏面保護フィルムにおいては、太陽電池の使用による熱変形が抑制され、耐熱性に優れ、難燃性にも優れる。このC層が白色系着色剤を含有する場合には、A層及びB層を透過した光を、A層側へ反射させることができる。
以下、C層を構成する組成物を熱可塑性樹脂組成物(III)として説明する。即ち、この熱可塑性樹脂組成物(III)は、フッ素系樹脂を含有する組成物であり、必要に応じて、他の樹脂又は重合体や、着色剤、A層やB層におけると同様の添加剤等を含有してもよい。
熱可塑性樹脂組成物(III)は、フッ素系樹脂を含み、必要に応じて、他の樹脂又は重合体を含んでもよい。フッ素系樹脂としては、ETFE(エチレン・四フッ化エチレン共重合体)、PCTEFE(三フッ化塩化エチレン樹脂)、PFA(四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体)、PVDF(フッ化ビニリデン樹脂)、PVF(フッ化ビニル樹脂)等が挙げられ、接着性と成形性の観点から、好ましくは、PVDFが挙げられる。
PVDF樹脂としては、フッ化ビニリデン単独重合体、フッ化ビニリデンを構成単位として70モル%以上含有する共重合体、さらにこれら重合体の混合物であってもよい。フッ化ビニリデンと共重合されるモノマーとしては、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレン、三フッ化エチレン、三フッ化塩化エチレン、フッ化ビニルなどが挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。PVDF樹脂の融点は、146〜178℃の範囲であるが、フィルムの粘着性やフィルム外観の観点から、好ましくは、165℃以上、より好ましくは170℃以上である。
また、他の樹脂層との接着性を高める目的で、フッ素系樹脂以外の他の樹脂を混合することもできる。他の樹脂としては、アクリル系樹脂が挙げられる。アクリル系樹脂としてはMMA(メタクリル酸メチル)単独重合体の他、MMA単量体を構成単位として50モル%以上とアクリル酸エステル、あるいはMMA以外のメタクリル酸エステルを50モル%未満含有する共重合体、さらにこれら重合体の2種以上の混合物などが挙げられる。
アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル(BA)などを、またMMA以外のメタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピルなどを例示できる。上記共重合体としてはランダム共重合体に限らず、例えばグラフト共重合体なども用いられる。フッ素系樹脂を主成分とし、他の樹脂を加えた混合樹脂としては、例えば、PVDF50〜95質量%と上記アクリル樹脂5〜50質量%との混合樹脂が挙げられる。
熱可塑性樹脂組成物(III)が、他の樹脂を含む場合、その含有量は、フッ素系樹脂に対して、好ましくは50質量%未満、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。上記の含有割合が高すぎると、C層の物性が維持できなくなる場合があり、フッ素系樹脂を用いる効果が低下する傾向にある。
C層は、着色樹脂層であってもよいし、無着色樹脂層であってもよい。従って、熱可塑性樹脂組成物(III)は、着色剤を含有してもよいし、含有しなくてもよい。
C層が、光反射性を有する場合には、太陽光が、隣り合う太陽電池素子の隙間から、太陽電池用裏面保護フィルム(A層側)の方に漏れて、A層及びB層を透過した光を、C層から反射させることができ、反射光を太陽電池素子に入射させ、発電効率を向上させることができる。
光反射性を有するC層とする場合には、熱可塑性樹脂組成物(III)は、白色系着色剤を含有することが好ましい。白色系着色剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、アルミナ、シリカ、2PbCO・Pb(OH)、[ZnS+BaSO]、タルク、石膏等が挙げられる。これらは2種以上を用いてもよい。
白色系着色剤の含有量は、後述する波長800〜1,400nmの光に対する反射性の観点から、フッ素系樹脂に対して、通常1〜45質量%、好ましくは3〜40質量%、更に好ましくは5〜30質量%である。白色系着色剤の含有量が多すぎると、本発明の太陽電池用裏面保護フィルムの可撓性が低下する場合がある。
熱可塑性樹脂組成物(III)は、白色系着色剤以外の他の着色剤(例えば、黄色系着色剤、青色系着色剤等)を含んでもよい。他の着色剤を用いる場合、その含有量は、熱可塑性樹脂組成物(III)に対して、通常10質量%以下である。
熱可塑性樹脂組成物(III)が、添加剤を含有する場合、その具体的な化合物及び含有量は、後述される。
C層には、市販のフッ素系樹脂フィルムを用いることもできる。
C層の厚さは、通常10〜300μmであり、好ましくは15〜250μm、更に好ましくは20〜200μmである。上記厚さが薄すぎると、本発明の太陽電池用裏面保護フィルムのC層側表面における保護作用が不十分であり、厚すぎると、太陽電池用裏面保護フィルムの可撓性が不十分である。
<積層体(太陽電池用裏面保護フィルム)>
本発明の太陽電池用裏面保護フィルムにおける好ましい態様は、以下に示される。
(I)A層が赤外線透過性着色樹脂層であり、B層が白色系樹脂層であり、C層が白色系着色剤を含む白色系樹脂層であるフィルム。
(II)A層が赤外線透過性着色樹脂層であり、B層が白色系樹脂層であり、C層が白色以外に着色された、又は、未着色の樹脂層であるフィルム。
本発明の裏面保護フィルムにおいて、A層11、B層12及びC層13は、連続的な積層状態であってもよいし(図1参照)、A層11及びB12、並びに/又は、B層12及びC層13が、接着層を介して接合されて成る構造を有してもよい(図示せず)。これらの場合、接着層の構成は、ポリウレタン樹脂組成物等とすることができる。
本発明の太陽電池用裏面保護フィルムの製造方法としては、A層形成用フィルムと、B層形成用フィルムと、C層形成用フィルムとを接合する方法が挙げられる。この具体的な方法としては、3つのフィルムを同時に接合する方法(以下「方法(21)」という)、A層形成用フィルムとB層形成用フィルムとを接合した後、C層形成用フィルムを接合する方法(以下「方法(22)」という)、B層形成用フィルムとC層形成用フィルムとを接合した後、A層形成用フィルムを接合する方法(以下「方法(23)」という)等が挙げられる。
方法(21)の場合、接着剤の使用、熱融着、ドライラミネート等が適用される。
また、方法(22)の場合、接着剤の使用、熱融着、ドライラミネート等によりA層形成用フィルム及びB層形成用フィルムを接合して積層フィルムを得た後、この積層フィルムにおけるB層形成用フィルム側の表面と、C層形成用フィルムとを、接着剤の使用、熱融着、ドライラミネート等により接合することができる。また、熱可塑性樹脂組成物(I)及び熱可塑性樹脂組成物(II)を用いた共押出法(Tダイキャストフィルム成形法等)により、A層及びB層から成る積層フィルムを得た後、この積層フィルムにおけるB層側の表面と、C層形成用フィルムとを、接着剤の使用、熱融着、ドライラミネート等により接合することができる。
更に、方法(23)の場合、接着剤の使用、熱融着、ドライラミネート等によりB層形成用フィルム及びC層形成用フィルムを接合して積層フィルムを得た後、この積層フィルムにおけるB層側の表面と、A層形成用フィルムとを、接着剤の使用、熱融着、ドライラミネート等により接合することができる。
本発明の太陽電池用裏面保護フィルムを他の方法により製造する場合、例えば、熱可塑性樹脂組成物(I)と、熱可塑性樹脂組成物(II)と、熱可塑性樹脂組成物(III)とを用いた共押出法(Tダイキャストフィルム成形法等)により、A層、B層及びC層が接合された太陽電池用裏面保護フィルムを製造することができる。
本発明の太陽電池用裏面保護フィルムは、A層11とB層12との間、及び/又は、B層12とC層13との間に、水蒸気バリア層14を備える態様とすることができる(図2〜図4参照)。
水蒸気バリア層は、JIS K7129に準じて、温度40℃及び湿度90%RHの条件で測定した透湿度(以下「水蒸気透湿度」ともいう。)が、通常3g/(m・day)以下、好ましくは1g/(m・day)以下、更に好ましくは0.7g/(m・day)以下である性能を有する層である。水蒸気バリア層は、好ましくは、電気絶縁性を有する材料から成る層である。
水蒸気バリア層は、1種の材料から成る単層構造又は多層構造であってもよいし、2種以上の材料から成る多層構造であってもよい。本発明においては、その表面に金属及び/又は金属酸化物から成る膜が形成されて成る蒸着フィルムであることが好ましい。金属及び金属酸化物は、何れも、単一物質であってもよいし、2種以上であってもよい。
金属としては、アルミニウム等が挙げられる。また、金属化合物としては、ケイ素、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、スズ、ナトリウム、ホウ素、チタン、鉛、ジルコニウム、イットリウム等の元素の酸化物が挙げられる。これらのうち、水蒸気バリア性の観点から、酸化珪素、酸化アルミニウム等が特に好ましい。
金属及び/又は金属酸化物から成る膜は、メッキ、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング、プラズマCVD、マイクロウェーブCVD等の方法により形成されたものとすることができる。これらのうちの2つ以上の方法を組み合わせてもよい。
蒸着フィルムにおける樹脂層としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム;ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、フッ素樹脂フィルム、ポリスルホンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルニトリロフィルム、ポリイミドフィルム等が挙げられる。この樹脂膜の厚さは、通常5〜50μm、好ましくは8〜20μmである。
水蒸気バリア層は、市販品を用いて形成されたものとすることができる。例えば、三菱樹脂社製「テックバリアAX」(商品名)、「テックバリアLX」(商品名)、凸版印刷社製「GXフィルム」(商品名)、東洋紡社製「エコシアールVE500」(商品名)等を、水蒸気バリア層形成用シート(又はフィルム)として用いることができる。
A層とB層との間、及び/又は、B層とC層との間における水蒸気バリア層の配置は、特に限定されず、金属及び/又は金属酸化物から成る膜が、A層及びC層の何れに面してもよい。
水蒸気バリア層は、金属及び/又は金属酸化物から成る膜が、上層側樹脂部と、下層側樹脂部との間に配された3層型フィルムから形成されたものであってもよい。
水蒸気バリア層の厚さは、通常5〜300μm、好ましくは8〜250μm、更に好ましくは10〜200μmである。水蒸気バリア層が薄すぎると、水蒸気バリア性が不十分になる場合があり、厚すぎると、本発明の太陽電池用裏面保護フィルムとしての柔軟性が十分でない場合がある。
本発明の太陽電池用裏面保護フィルムが、水蒸気バリア層を備える場合、A層及び/又はB層と、水蒸気バリア層との間、B層及び/又はC層と、水蒸気バリア層との間に、接着層を備えることができる。接着層の構成は、ポリウレタン樹脂組成物、エポキシ樹脂組成物、アクリル系樹脂組成物等とすることができる。
本発明の太陽電池用裏面保護フィルムは、以下の4種が挙げられる。
[P]A層と、B層と、C層を、順次、備えるフィルム。
[Q]A層と、水蒸気バリア層と、B層と、C層を、順次、備えるフィルム。
[R]A層と、B層と、水蒸気バリア層と、C層を、順次、備えるフィルム。
[S]A層と、水蒸気バリア層と、B層と、水蒸気バリア層と、C層を、順次、備えるフィルム。
本発明の太陽電池用裏面保護フィルムの厚さは、可撓性、他の物品に配設する際の形状追随性、作業性等の観点から、通常30〜900μm、好ましくは40〜700μm、更に好ましくは50〜600μmである。
本発明の太陽電池用裏面保護フィルムは、前記のような積層フィルムから成り、その特徴の1つは、当該積層フィルムのA層側の表面に波長740nmの光を放射した場合、該光に対する反射率が20%以上である点にある。
従来より、暗色系の着色剤としては、赤外線領域の波長の光を吸収する、カーボンブラックが知られている。A層を、赤外線透過性着色剤に代えてカーボンブラックを用いた組成物により形成させた太陽電池用裏面保護フィルムのA層の表面に太陽光を受光させた場合、このA層における蓄熱が顕著となる。従って、この態様における太陽電池用裏面保護フィルムにおけるA層側の表面と、太陽電池素子を包埋する、エチレン・酢酸ビニル共重合体組成物等を含む充填材部とを接合させて太陽電池モジュールとした場合、太陽光が、カーボンブラックを含むA層へ漏れたときに、蓄熱した太陽電池用裏面保護フィルムから、太陽電池素子を含む充填材部の温度を上昇させることとなり、発電効率を低下させる不具合がある。従って、本発明において、カーボンブラックではなく、少なくとも2種の着色剤から成る赤外線透過性着色剤混合物を用いることにより、低蓄熱性を保持し、太陽電池用途等における上記のような不具合を抑制することができる。
また、前述の特許文献2には、暗色系着色剤としてペリレン系顔料の使用が提案されている。そして、ペリレン系顔料として、「Paliogen Black S 0084」、「Paliogen Black L 0086」、「Lumogen Black FK4280」、「Lumogen Black FK4281」(以上、何れもBASF社製商品名)等の市販品が知られている。しかしながら、斯かるペリレン系顔料は、波長740nm付近の光を吸収するため、ペリレン系顔料を含有する樹脂層から成る積層フィルムにあっては、波長740nmの積層フィルムの表面に放射した場合、光に対する反射率は20%未満になり、発電効率が不十分である。
更にまた、前述の特許文献3には、本発と同様のA層として、波長800〜1400nmの光の吸収率が10%以下の着色樹脂層が提案されている。具体的には、赤外線透過性着色剤として、上記と同様にペリレン系黒色顔料を用いる提案であるが、ペリレン系黒色顔料と他の顔料との組合せも提案されている。すなわち、ペリレン系黒色顔料に黄色系顔料を組み合わせて用いると、茶色の層(A)が得られ、青色系顔料を組み合わせて用いると、紺色の層(A)が得られ、白色系顔料を組み合わせて用いると、灰色の層(A)が得られるとされている。しかしながら、特許文献3の上記の組合せの提案は、波長800〜1400nmの光の吸収率が10%以下の着色樹脂層を得るとの条件下での提案であり、波長740nmの光に対する反射率を20%以上にするという本願発明とは直接関係するものではない。
太陽光のスペクトルは紫外線から赤外線まで幅広く分布する。そして、本発明者らの知見によれば、太陽電池用裏面保護フィルムを構成する前述の積層フィルムのA層側の表面に波長740nmの光を放射した場合の当該光に対する反射率が20%以上という特性を満足する場合は優れた光電変換効率が得られるが、その理由は、B層で反射されて太陽電池素子に導入される選択反射光、すなわち、A層で吸収されずに透過する光電変換可能な可視光線から近赤外線帯域の光の光量が増加することに起因していると考えられる。
そして、A層で吸収されずに透過する光電変換可能な可視光線から近赤外線帯域の光の光量は、前述した積層フィルムの各条件を満足する限り、後述の数多くの実施例に示すように、A層における2種の着色剤からなる赤外線透過性着色剤混合物を適切に選択することにより、増加させることが出来、積層フィルムのA層側の表面に波長740nmの光を放射した場合の当該光に対する反射率が20%以上であるという特性を満足させることが出来る。上記の反射率は、好ましくは30%以上であり、更に好ましくは40%以上である。
本発明の好ましい態様においては、積層フィルムのA層側の表面に波長400〜700nmの光を放射した場合、該光に対する吸収率が60%以上である。この吸収率が高いほど、A層側から見た積層フィルムの明度が低下し、暗色系の積層フィルムが形成されることとなる。これにより、透明部材又は半透明部材と、A層の表面とを接合させて複合部材を作製した場合、透明部材等の側から見た外観性及び意匠性に優れる。例えば、積層フィルムを、太陽電池用バックシートとして用い、太陽電池モジュールを作製し、その後、太陽電池とした場合、家屋の屋根等に配設された太陽電池の外観性及び意匠性に優れる。
尚、「波長400〜700nmの光に対する吸収率が60%以上」とは、400nmから700nmまでの波長域における光の吸収率を、400nm又は700nmから20nm毎に測定し、各吸収率を用いて算出される平均値が60%以上であることを意味し、上記波長域における光の吸収率が全て60%以上であることを要求するものではない。上記の吸収率は、好ましくは60%以上、更に好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上である。
本発明の好ましい態様においては、積層フィルムのA層側の表面に波長800〜1,400nmの光を放射した場合、該光に対する反射率が50%以上である。この反射率が高いほど、少なくとも上記波長を有する光を、より多くA層側の方へ反射させることができる。例えば、積層フィルムを、太陽電池用バックシートとして用い、太陽電池モジュールを作製した場合、少なくとも上記波長を有する光を、太陽電池素子の方へ反射させることができ、光電変換効率を向上させることができる。
尚、「波長800〜1,400nmの光に対する反射率が50%以上である」とは、800nmから1,400nmまでの波長域における光の反射率を、800nm又は1,400nmから20nm毎に測定し、各反射率を用いて算出される平均値が50%以上であることを意味し、上記波長域における光の反射率が全て50%以上であることを要求するものではない。上記の反射率は、好ましくは60%以上、更に好ましくは70%以上である。
上記の好ましい性能を備えることにより、本発明の太陽電池用裏面保護フィルムにおいては、好ましくは、A層の表面に放射された、波長400〜700nmの光の60%以上が吸収され、波長800〜1,400nmの光が透過し、この光がB層に達した場合、B層によって、この光を十分に反射させることができ、光による熱変形の発生を抑制することができる。また、本発明の太陽電池用裏面保護フィルムのA層側の表面と、太陽電池素子を包埋するエチレン・酢酸ビニル共重合体組成物から成る充填部とを接着させて成る太陽電池モジュールとした場合に、反射光を光電変換に利用し、発電効率を改良することができる。
波長400〜700nmの光に対する吸収率が60%以上であるという上記の特性および波長800〜1,400nmの光に対する反射率が50%以上であるという上記の特性は、何れも、後述の数多くの実施例に示すように、A層における2種の着色剤からなる赤外線透過性着色剤混合物を適切に選択することにより、達成することが出来る。
本発明における赤外線透過性着色剤混合物は、可視光線を吸収し、赤外線を透過させる性質を有する混合着色剤であり、通常、白色以外の有色を呈しており、好ましくは黒色、褐色、濃青色、深緑色等の暗色であり、より好ましくは黒色である。
着色剤混合物を構成する着色剤としては、可視光線帯域の一部にのみ吸収のピークを有し且つ赤外線帯域で透過性を有し、更に、波長740nmの光に対するフィルムの透過率が、通常70%以上、好ましくは80%以上、更に好ましくは85%以上となる染料及び顔料を用いる。これらの着色剤は太陽光線に曝露することが前提となるため、所望の耐候性を有するものを選ぶことが好ましく、例えば、黄鉛、チタニウムレッド、弁柄、朱、カドミウムレッド、群青、紺青、コバルトブルー、イソインドリノン、キナクリドンレッド、フタロシアニンブルー、インダスレンブルー等を挙げられる。
赤外線透過性着色剤混合物として、黒色を得る上では、少なくとも2種の着色剤から成る。着色剤の種類としては、好ましくは、アントラキノン類、アゾ類、アントラピリドン類、ペリレン類、アントラセン類、ペリノン類、インダンスロン類、キナクリドン類、キサンテン類、チオキサンテン類、オキサジン類、オキサゾリン類、インジゴイド類、チオインジゴイド類、キノフタロン類、ナフタルイミド類、シアニン類、メチン類、ピラゾロン類、ラクトン類、クマリン類、ビス−ベンズオキサゾリルチオフェン類、ナフタレンテトラカルボン酸類、フタロシアニン類、トリアリールメタン類、アミノケトン類、ビス(スチリル)ビフェニル類、アジン類、ローダミン類、前述のものの誘導体、および、それらの混合物が挙げられる。
少なくとも2種の着色剤のなかで、具体的な染料としては、赤色系染料、オレンジ色系染料、黄色系染料、緑色系染料、青色系染料及び紫色系染料が挙げられる。
赤色系染料としては、ソルベントレッド1、ソルベントレッド8、ソルベントレッド23、ソルベントレッド24、ソルベントレッド25、ソルベントレッド49、ソルベントレッド52、ソルベントレッド109、ソルベントレッド111、ソルベントレッド119、ソルベントレッド122、ソルベントレッド132、ソルベントレッド135、ソルベントレッド145、ソルベントレッド146、ソルベントレッド149、ソルベントレッド179、ソルベントレッド195、ソルベントレッド196、ソルベントレッド197、ソルベントレッド207、ソルベントレッド218、ソルベントレッド242などが挙げられる。
オレンジ色系染料としては、ソルベントオレンジ3、ソルベントオレンジ14、ソルベントオレンジ45、ソルベントオレンジ54、ソルベントオレンジ60、ソルベントオレンジ62、ソルベントオレンジ63、ソルベントオレンジ86、ソルベントオレンジ107、ディスパースオレンジ47などが挙げられる。
黄色系染料としては、ソルベントイエロー14、ソルベントイエロー16、ソルベントイエロー18、ソルベントイエロー19、ソルベントイエロー21、ソルベントイエロー33、ソルベントイエロー56、ソルベントイエロー82、ソルベントイエロー93、ソルベントイエロー98、ソルベントイエロー114、ソルベントイエロー145、ソルベントイエロー160、ソルベントイエロー163、ソルベントイエロー176、ディスパースイエロー54、ディスパースイエロー64、ディスパースイエロー160、ディスパースイエロー201、ディスパースイエロー211などが挙げられる。
緑色系染料としては、ソルベントグリーン3、ソルベントグリーン5、ソルベントグリーン20、ソルベントグリーン28などが挙げられる。
青色系染料としては、ソルベントブルー4、ソルベントブルー5、ソルベントブルー6、ソルベントブルー35、ソルベントブルー36、ソルベントブルー38、ソルベントブルー59、ソルベントブルー70、ソルベントブルー78、ソルベントブルー97、ソルベントブルー104、ソルベントブルー122などが挙げられる。
紫色系染料としては、ソルベントバイオレット8、ソルベントバイオレット9、ソルベントバイオレット13、ソルベントバイオレット26、ソルベントバイオレット28、ソルベントバイオレット31、ソルベントバイオレット36、ソルベントバイオレット37、ソルベントバイオレット56などが挙げられる。
着色剤混合物の混合比率は通常各着色剤を大体等分(2種類の場合、1:1であり、4種類の場合、補色の関係にある2色がそれぞれ1:1である)とすることが基本であるが、所望の暗色の色相によって、或いは着色剤の混色特性に応じて適宜増減する。例えば、4種類の場合、補色の関係にある一方の2色が1:1であり、補色の関係にある他方の2色が0.5:0.5等とすることが出来、必ずしも、4種類の着色剤が等量である必要はない。着色剤混合物の添加量は、通常、熱可塑性樹脂に対し、通常0.1〜20重量%であり、好ましくは0.2〜15重量%であり、更に好ましくは0.3〜10重量%であり、具体的には熱可塑性樹脂に添加し、所定の層厚に形成した状態で、赤外線の全帯域において好ましくは70%以上の透過率を有し、且つ可視光線帯域内において所望の暗色となるように添加量を適宜調整する。
暗色とは、黒色の他、褐色、紺色、深緑色等の明度が低い有彩色、又は無彩色のことであり、可視光線の範囲の全帯域にわたって吸収スペクトルを有する色をいう。組み合わせる着色剤は最低2種類以上であり、2種類の場合は所謂「補色」関係にある色相の着色剤を組み合わせる。例えば、緑色系の着色剤と赤色系の着色剤を組み合せる場合、緑色系の色の色相記号は、通常1GY〜10BG、好ましくは5GY〜5BGであり、赤色系の色の色相記号は、通常1RP〜10YR、好ましくは5RP〜5YRである。紫色系の着色剤と黄色系の着色剤を組み合せる場合、紫色系の色の色相記号は、通常1PB〜10RP、好ましくは5PB〜5RPであり、黄色系の色の色相記号は、通常1YR〜10GY、好ましくは5YR〜5GYである。オレンジ(橙)系の着色剤と青色系の着色剤を組み合せる場合、オレンジ(橙)系の色の色相記号は、通常5R〜5Y、好ましくは1YR〜10YRであり、青色系の色の色相記号は、通常1BG〜10PB、好ましくは5BG〜5PBである。
3種類以上の場合は、例えば、黄色系の着色剤、赤色系の着色剤、青色系の着色剤を組み合わせることにより、3種類の吸収スペクトルを合成した時に可視光線の全帯域を満たすように選択する。尚、3種類の各着色剤は、互いに色の色相記号が異なるように選択する。
4種類以上の場合は、例えば、赤色系の着色剤と緑色系の着色剤の組み合わせと紫色系の着色剤と黄色系の着色剤の組み合わせを併用することにより、4種類の吸収スペクトルを合成した時に可視光線の全帯域を満たすように選択する。尚、4種類の各着色剤は、互いに色の色相記号が異なるように選択する。
本発明においては、少なくとも3種の着色剤を用いることが好ましく、更に、少なくとも4種の着色剤を用いることがより好ましい。例えば、赤色系(色相記号:通常1RP〜10YR、好ましくは5RP〜5YR)の着色剤と緑色系(色相記号:通常1GY〜10BG、好ましくは5GY〜5BG)の着色剤の組み合わせ、紫色系(色相記号:通常1PB〜10RP、好ましくは5PB〜5RP)の着色剤と黄色系(色相記号:通常1YR〜10GY、好ましくは5YR〜5GY)の着色剤の組み合わせ、および、オレンジ(橙)色(色相記号:通常5R〜5Y、好ましくは1YR〜10YR)の着色剤と青色系(色相記号:通常1BG〜10PB、好ましくは5BG〜5PB)の着色剤の組み合わせから選択される少なくとも2種の染料の組み合わせを含むことは、より好ましい。尚、各着色剤は、互いに色の色相記号が異なるように選択する。
少なくとも2種の着色剤としては、少なくとも2種の染料であることが好ましく、例えば、ソルベントレッド染料とソルベントグリーン染料、ソルベントバイオレット染料と、ソルベントイエロー染料またはディスパーズイエロー染料、および、ソルベントオレンジ染料とソルベントブルー染料から成る群より選択される少なくとも1種の染料の組み合わせを含むことが好ましい。また、少なくとも2種の染料は、少なくとも2種の染料の組み合わせを含んでいること、また、このような少なくとも3種との染料の組み合わせを含んでいることは好ましい。
少なくとも2種の着色剤が補色の関係にある2種の着色剤を含む場合、これら2種の着色剤の重量比は、通常0.5〜2程度、好ましくは0.7〜1.5程度であることが好ましい。
A層は暗色系樹脂層であり、フィルムの表面におけるL値(明度)は、通常50以下、好ましくは40以下、更に好ましくは35以下の性能を有する。
また、本発明の太陽電池用裏面保護フィルムが、態様[Q]、[R]及び[S]の場合、A層側及びC層側からの水蒸気バリア性に優れ、太陽電池用裏面保護フィルムの水蒸気透湿度を、JIS K7129に準じて、温度40℃及び湿度90%RHの条件で測定した場合、通常3g/(m・day)以下、好ましくは1g/(m・day)以下とすることができる。上記性能を有することから、本発明の太陽電池用裏面保護フィルムを用いて、太陽電池モジュールを作製した場合、水、水蒸気等の侵入に伴う太陽電池素子の劣化、更には、発電効率の低下を抑制することができ、その耐久性に優れる。
更に、本発明の太陽電池用裏面保護フィルムは、耐熱性に優れ、例えば、135℃で30分間放置した場合、その前後の寸法変化率は、通常±1.5%以下、好ましくは±1.2%以下、更に好ましくは±1.0%以下である。
本発明においては、本発明の効果を損なわない限り、A層(熱可塑性樹脂組成物(I))、B層(熱可塑性樹脂組成物(II))及びC層(熱可塑性樹脂組成物(III))に各種の添加剤(他の着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、可塑剤、難燃剤)を含有されることが出来る。
酸化防止剤としては、ヒンダードアミン系化合物、ハイドロキノン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、含硫黄化合物、含リン化合物等が挙げられる。これらは2種以上を用いてもよい。酸化防止剤の含有量は、熱可塑性樹脂組成物(I)、熱可塑性樹脂組成物(II)又は熱可塑性樹脂組成物(III)に対して、通常0.05〜10質量%である。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物等が挙げられる。これらは2種以上を用いてもよい。紫外線吸収剤の含有量は、熱可塑性樹脂組成物(I)、熱可塑性樹脂組成物(II)又は熱可塑性樹脂組成物(III)に対して、通常0.05〜10質量%である。
老化防止剤としては、アミン系化合物、キノリン系化合物、ヒドロキノン誘導体系化合物、フェノール系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、亜リン酸エステル系化合物、イミダゾール系化合物、リン酸系化合物等が挙げられる。これらは2種以上を用いてもよい。老化防止剤の含有量は、熱可塑性樹脂組成物(I)、熱可塑性樹脂組成物(II)又は熱可塑性樹脂組成物(III)に対して、通常0.05〜10質量%である。
可塑剤としては、フタル酸エステル類;脂肪酸エステル類;トリメリット酸エステル類等が挙げられる。これらは2種以上を用いてもよい。可塑剤の含有量は、熱可塑性樹脂組成物(I)、熱可塑性樹脂組成物(II)又は熱可塑性樹脂組成物(III)に対して、通常0.05〜10質量%である。
難燃剤としては、有機系難燃剤、無機系難燃剤、反応系難燃剤等が挙げられる。これらは2種以上を用いてもよい。
有機系難燃剤としては、臭素化エポキシ系化合物、臭素化ビスフェノール系エポキシ樹脂、臭素化ポリスチレン樹脂等のハロゲン系難燃剤;トリメチルホスフェート等のリン酸エステルやこれらを各種置換基で変性した化合物、各種の縮合型のリン酸エステル化合物、リン元素及び窒素元素を含むホスファゼン誘導体等のリン系難燃剤;ポリテトラフルオロエチレン、グアニジン塩、シリコーン系化合物、ホスファゼン系化合物等が挙げられる。これらは2種以上を用いてもよい。
無機系難燃剤としては、水酸化アルミニウム、酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛等が挙げられる。これらは2種以上を用いてもよい。
反応系難燃剤としては、テトラブロモビスフェノールA、ジブロモフェノールグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは2種以上を用いてもよい。
難燃剤の含有量は、熱可塑性樹脂組成物(I)、熱可塑性樹脂組成物(II)又は熱可塑性樹脂組成物(III)に対して、通常10質量%以下である。
尚、熱可塑性樹脂組成物に難燃剤を含有させる場合には、難燃助剤を用いることが好ましい。この難燃助剤としては、三酸化二アンチモン等のアンチモン化合物や、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、水和アルミナ、酸化ジルコニウム、ポリリン酸アンモニウム、酸化スズ等が挙げられる。これらは2種以上を用いてもよい。
また、本発明の太陽電池用裏面保護フィルムおけるA層とB層との間、B層とC層との間、及び/又は、A層の外表面やC層の外表面には、本発明の特徴および本発明の効果を損なわない範囲で、所望により、透明樹脂層、加飾層、塗布層、製造時に生じるリサイクル樹脂から成る層等の他の層を配設することもできる。
本発明の太陽電池用裏面保護フィルムを製造する方法は、各層の構成材料、即ち、各熱可塑性樹脂組成物によって選択され、特に限定されない。
態様[P]のフィルムは、本発明の太陽電池用裏面保護フィルムの製造方法の通りである。
態様[Q]のフィルムの製造方法としては、例えば、A層形成用フィルムと、水蒸気バリア層形成用フィルムとを、熱融着又はドライラミネート若しくは接着剤により接合させて第1積層フィルムとした後、この第1積層フィルムにおける水蒸気バリア層側表面と、B層形成用フィルムとを、接着剤により接合させて第2積層フィルムとし、次いで、この第2積層フィルムにおけるB層側表面と、C層形成用フィルムとを、接着剤により接合させる方法等が挙げられる。
態様[R]のフィルムの製造方法としては、例えば、A層及びB層から成る第1積層フィルムを作製した後、この第1積層フィルムにおけるB層側表面と、水蒸気バリア層形成用フィルムとを、熱融着又はドライラミネート若しくは接着剤により接合させて第2積層フィルムとし、次いで、この第2積層フィルムにおける水蒸気バリア層側表面と、C層形成用フィルムとを、接着剤により接合させる方法等が挙げられる。
また、態様[S]のフィルムの製造方法としては、例えば、A層形成用フィルムと、水蒸気バリア層形成用フィルムとを、熱融着又はドライラミネート若しくは接着剤により接合させて第1積層フィルムとした後、この第1積層フィルムにおける水蒸気バリア層側表面と、B層形成用フィルムとを、接着剤により接合させて第2積層フィルムとし、次いで、この第2積層フィルムにおけるB層側表面と、水蒸気バリア層形成用フィルムとを、熱融着又はドライラミネート若しくは接着剤により接合させて第3積層フィルムとし、その後、この第3積層フィルムにおける水蒸気バリア層側表面と、C層形成用フィルムとを、接着剤により接合させる方法等が挙げられる。
<太陽電池モジュール>
本発明の太陽電池用裏面保護フィルムを太陽電池用バックシートとして用いる場合、本発明の裏面保護フィルムを備える太陽電池モジュールの概略図は、図2に示される。
図2の太陽電池モジュール2は、太陽光の受光面側(図面で上側)から、表面側透明保護部材21、表面側封止膜(表面側充填材部)23、太陽電池素子25、裏面側封止膜(裏面側充填材部)27、及び本発明の裏面保護フィルム1が、この順で配設されたものとすることができる。尚、本発明の太陽電池モジュールは、必要に応じて、上記構成要素以外に、適宜、必要に応じて、各種部材を備えることもできる(図示せず)。
表面側透明保護部材21としては、水蒸気バリア性に優れた材料から成るものが好ましく、通常、ガラス、樹脂等から成る透明基板が用いられる。尚、ガラスは、透明性及び耐候性に優れるが、耐衝撃性が十分ではなく、重いため、家屋の屋根に載せる太陽電池とする場合には、耐候性の透明樹脂を用いることが好ましい。透明樹脂としては、フッ素系樹脂等が挙げられる。
表面側透明保護部材21の厚さは、ガラスを用いた場合は、通常1〜5mm程度であり、透明樹脂を用いた場合は、通常0.1〜5mm程度である。
太陽電池素子25は、太陽光の受光により発電機能を有するものである。このような太陽電池素子としては、光起電力としての機能を有するものであれば、特に限定されることなく、公知のものを用いることができる。例えば、単結晶シリコン型太陽電池素子、多結晶シリコン型太陽電池素子等の結晶シリコン太陽電池素子;シングル結合型若しくはタンデム構造型等から成るアモルファスシリコン太陽電池素子;ガリウムヒ素(GaAs)やインジウム燐(InP)等のIII−V族化合物半導体太陽電池素子;カドミウムテルル(CdTe)や銅インジウムセレナイド(CuInSe2)等のII−VI族化合物半導体太陽電池素子等が挙げられる。これらのうち、結晶シリコン太陽電池素子が好ましく、多結晶シリコン型太陽電池素子が特に好ましい。尚、薄膜多結晶性シリコン太陽電池素子、薄膜微結晶性シリコン太陽電池素子、薄膜結晶シリコン太陽電池素子とアモルファスシリコン太陽電池素子とのハイブリッド素子等を用いることができる。
図5において、図示していないが、太陽電池素子25は、通常、配線電極及び取り出し電極を備える。配線電極は、太陽光の受光により、複数の太陽電池素子において生じた電子を集める作用を有するものであり、例えば、表面側封止膜(表面側充填材部)21側の太陽電池素子と、裏面側封止膜(裏面側充填材部)27側の太陽電池素子とを連結するように接続される。また、取り出し電極は、上記配線電極等により集められた電子を電流として取り出す作用を有するものである。
表面側封止膜(表面側充填材部)21及び裏面側封止膜(裏面側充填材部)27(以下、これらを併せて「封止膜」という)は、通常、互いに同一又は異なる封止膜形成材料を用いて、予め、シート状又はフィルム状の封止膜とした後、表面側透明保護部材21及び太陽電池用裏面保護フィルム1の間において、太陽電池素子25等を熱圧着して形成される。
各封止膜(充填材部)の厚さは、通常100μm〜4mm程度、好ましくは200μm〜3mm程度、更に好ましくは300μm〜2mm程度である。厚さが薄すぎると、太陽電池素子25が損傷する場合があり、一方、厚さが厚すぎると、製造コストが高くなり好ましくない。
上記封止膜形成材料は、通常、樹脂組成物又はゴム組成物である。樹脂としては、オレフィン系樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等が挙げられる。また、ゴムとしては、シリコーンゴム、水添共役ジエン系ゴム等が挙げられる。これらのうち、オレフィン系樹脂及び水添共役ジエン系ゴムが好ましい。
オレフィン系樹脂としては、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン、又は、ジオレフィンを重合して得られた重合体等のほか、エチレンと、酢酸ビニル、アクリル酸エステル等の他のモノマーとの共重合体、アイオノマー等を用いることができる。具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、エチレン・塩化ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等が挙げられる。これらのうち、エチレン・酢酸ビニル共重合体及びエチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体が好ましく、エチレン・酢酸ビニル共重合体が特に好ましい。
また、水添共役ジエン系ゴムとしては、水添スチレン・ブタジエンゴム、スチレン・エチレンブチレン・オレフィン結晶ブロックポリマー、オレフィン結晶・エチレンブチレン・オレフィン結晶ブロックポリマー、スチレン・エチレンブチレン・スチレンブロックポリマー等が挙げられる。
封止膜形成材料は、必要に応じて、架橋剤、架橋助剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、ヒンダードフェノール系やホスファイト系の酸化防止剤、ヒンダードアミン系の光安定剤、光拡散剤、難燃剤、変色防止剤等の添加剤を含有することができる。
上記のように、表面側封止膜(表面側充填材部)23を形成する材料と、裏面側封止膜(裏面側充填材部)27を形成する材料は、同一であっても異なってもよいが、接着性の点から同じであることが好ましい。
本発明の太陽電池モジュールは、例えば、表面側透明保護部材、表面側封止膜、太陽電池素子、裏面側封止膜及び本発明の太陽電池用裏面保護フィルムを、この順に配置した後、これらを一体として、真空吸引しながら加熱圧着する、ラミネーション法等により製造することができる。このラミネーション法におけるラミネート温度は、本発明の太陽電池用裏面保護フィルムの接着性の観点から、通常100℃〜250℃程度である。また、ラミネート時間は、通常3〜30分程度である。
以下に、実施例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明の主旨を超えない限り、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。尚、下記において、部及び%は、特に断らない限り、質量基準である。
<評価方法>
各種評価項目の測定方法を以下に示す。
(1)ゴム含有芳香族ビニル系樹脂中のゴム含有率:
ゴム含有芳香族ビニル系樹脂の全量に対する、全てのゴム成分の合計量の割合を計算した。
(2)ゴム含有芳香族ビニル系樹脂中のN−フェニルマレイミド単位含有量:
ゴム含有芳香族ビニル系樹脂を構成する構造単位の全量に対する、N−フェニルマレイミド単位量の割合を算出した。
(3)波長740nmの光に対する反射率(%)
裏面保護フィルム(50mm×50mm、厚さは表に記載)を測定試料とし、日本分光社製紫外可視近赤外分光光度計「V−670」(型式名)により、反射率を測定した。即ち、測定試料のA層表面に、光を放射し、波長740nmにおける反射率を測定した。
(4)波長400〜700nmの光に対する吸収率(%):
裏面保護フィルム(50mm×50mm、厚さは表に記載)を測定試料とし、日本分光社製紫外可視近赤外分光光度計「V−670」(型式名)により、透過率及び反射率を測定した。即ち、測定試料のA層表面に、光を放射し、400nmから700nmまでの波長域における透過率及び反射率を、20nm毎に測定し、これらの平均値を算出した。吸収率は、透過率の平均値及び反射率の平均値を用いて、下記式により算出した。
[数2]
吸収率(%)=100−{透過率(%)+反射率(%)}
(5)波長800〜1,400nmの光に対する反射率(%):
裏面保護フィルム(50mm×50mm、厚さは表に記載)を測定試料とし、日本分光社製紫外可視近赤外分光光度計「V−670」(型式名)により、反射率を測定した。即ち、測定試料のA層表面に、光を放射し、800nmから1,400nmまでの波長域における反射率を、20nm毎に測定し、これらの平均値を算出した。
(6)光電変換効率向上率:
温度23℃±2℃、及び、湿度50±5%RHに調整された室において、ワコム電創社製スーパーソーラーシュミレーター「WXS−155S−10AM1.5GMM」(型式名)を用いて、多結晶シリコンセル(100mm×100mm)の表面に、厚さ3mmのガラスを、裏面に、太陽電池用裏面保護フィルムを、それぞれ、配置して、シリコンセルを挟み、ガラス及びフィルムの間にEVAを導入してシリコンセルを封止し太陽電池モジュールを作製した。その後、温度の影響を低減させるために、光を照射後すぐに光電変換効率を測定した。バックシート開放率14%でのモジュールの光電変換効率(A)と、バックシート開放率0%でのモジュールの光電変換効率(B)とを用いて、光電変換効率向上率を求めた。但し、バックシート開放率=(バックシートの開放面積/セル面積)×100である。
[数3]
光電変換効率向上率(%)={((A)−(B))÷(B)}×100
(7)暗色外観:
太陽電池用裏面保護フィルム(50mm×50mm、厚さは表に記載)におけるA層表面を目視により観察した。深みのある黒色である場合を「3」、他の色が混在している黒色(茶系の黒色、紫系の黒色、緑系の黒色など。)である場合を「2」、灰色である場合を「1」として評価した。
(8)L値:
日本分光社製分光光度計「V−670」(型式名)を用いて、太陽電池用裏面保護フィルム(50mm×50mm、厚さは表に記載)におけるA層表面及びC層表面のL値を測定した。
(9)EVAフィルムとの密着性:
上記のように、太陽電池用裏面保護フィルムを、太陽電池モジュールを構成する部材として用いる場合、このフィルムは、A層の表面と、太陽電池モジュールに含まれる太陽電池素子を包埋して形成された裏面側封止膜とを密着させるために用いられる。裏面側封止膜の形成材料として、エチレン・酢酸ビニル共重合体組成物が広く用いられていることから、太陽電池用裏面保護フィルムにおけるA層表面と、下記のEVAフィルムとの密着性を評価した。
太陽電池用裏面保護フィルムを切削加工して、短冊状(200mm×15mm、厚さは表に記載)とし、2枚の評価用フィルムを得た。エチレン・酢酸ビニル共重合体から成る長さ100mm、幅15mm及び厚さ400μmのEVAフィルム(商品名「ウルトラパール」、サンビック社製)、を2枚の評価用フィルムにおけるA層の間に位置するように配置し、積層状態でラミネーターに入れた。その後、ラミネーターの上部及び下部を真空状態にし、150℃で5分間予熱した。次いで、上部を大気圧に戻して15分間プレスし、剥離強度測定用試料を得た。得られた剥離強度測定用試料において、評価用フィルムがEVAフィルムと密着していない部分からT字剥離することにより剥離強度を測定した。また剥離状態を目視にて観察し、下記基準で判定した。
「2」:フィルムが破壊された。
「1」:EVAフィルムと評価用フィルムの界面で剥離した。
(10)可撓性:
太陽電池用裏面保護フィルム(厚さは表に記載)を切削加工し、100mm(MD)×100mm(TD)の大きさの試験片を作製した。次いで、MD方向の対称軸に沿って折り曲げた後、TD方向の対称軸に沿って折り曲げた。折り曲げた試験片を、JIS Z0237に準拠し手動式圧着ロール(2,000g)を用い、5mm/秒の速度で各折り目上を2往復させた。その後、折り目を広げて元の状態に戻し、試験片を目視にて観察し、下記基準で判定した。折り目が割れていないものが可撓性に優れる。
「3」:折り目が割れておらず、再度、折り曲げても広げても折り目が割れなかった。
「2」:折り目が割れていないが、再度折り曲げて広げたら折り目が割れた。
「1」:折り目が割れた。
(11)難燃性:
太陽電池用バックシート(20mm×100mm、厚さは表に記載)を試験片とし、この試験片を縦長に吊るし、UL94のVテスト用のバーナーを用いて、バーナー先端から試験片下端まで10mm離した状態で、試験片の下端を5秒間接炎した。接炎終了後、試験片の接炎部分の燃焼状態を目視で観察し、下記基準で判定した。
「2」:着火しなかった。
「1」:着火した。
(12)水蒸気バリア性:
JIS K7129Bに準じて、MOCON社製水蒸気透過率測定装置「PERMATRAN W3/31」(型式名)により、水蒸気透湿度を測定した。尚、測定条件は、温度40℃、及び、湿度90%RHであり、透過面として、C層側の表面を水蒸気側に配置した。
<太陽電池用裏面保護フィルムの製造原料>
(1)シリコーン・アクリル複合ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(ゴム強化樹脂(A1−1)):
三菱レイヨン社製「メタブレン SX−006」(商品名)を用いた。これは、シリコーン・アクリル複合ゴムにアクリロニトリル・スチレン共重合体をグラフトさせて成る樹脂である。シリコーン・アクリル複合ゴムの含有量は50%、グラフト率は80%、アセトン可溶分の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃)は0.38dl/g、ガラス転移温度(Tg)は135℃である。
(2)シリコーンゴム強化芳香族ビニル系樹脂(ゴム強化樹脂(A1−2)):
次の方法で製造したものを用いた。
p−ビニルフェニルメチルジメトキシシラン1.3部及びオクタメチルシクロテトラシロキサン98.7部を混合し、これを、ドデシルベンゼンスルホン酸2.0部を溶解した蒸留水300部中に入れ、ホモジナイザーにより3分間攪拌して乳化分散させた。この乳化分散液を、コンデンサー、窒素導入口及び攪拌機を備えたセパラブルフラスコに移し、攪拌しながら、90℃で6時間加熱した。次いで、5℃で24時間保持し、縮合を完結させ、ポリオルガノシロキサン系ゴムを含むラテックスを得た。縮合率は93%であった。その後、このラテックスを、炭酸ナトリウム水溶液を用いてpH7に中和した。得られたポリオルガノシロキサン系ゴムの体積平均粒子径は300nmであった。
次に、攪拌機を備えた内容積7リットルのガラス製フラスコに、イオン交換水100部、オレイン酸カリウム1.5部、水酸化カリウム0.01部、tert−ドデシルメルカプタン0.1部、上記ポリオルガノシロキサン系ゴム40部を含む、pH7に調製されたラテックス、スチレン15部及びアクリロニトリル5部から成るバッチ重合成分を加え、攪拌しながら昇温した。温度が45℃に達した時点で、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.1部、硫酸第1鉄0.003部、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシラート・二水塩0.2部及びイオン交換水15部より成る活性剤水溶液、並びにジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド0.1部を添加し、1時間重合を行った。
その後、上記反応系に、イオン交換水50部、オレイン酸カリウム1部、水酸化カリウム0.02部、tert−ドデシルメルカプタン0.1部、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド0.2部、スチレン30部及びアクリロニトリル10部より成るインクレメント重合成分を、3時間に渡って連続的に添加し、重合を続けた。添加終了後、更に攪拌を継続した。1時間後、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)0.2部を添加し、重合を終了し、シリコーンゴム強化芳香族ビニル系樹脂(ゴム強化樹脂A1−2)を含むラテックスを得た。
次いで、上記ラテックスに、硫酸1.5部を加えて、樹脂成分を90℃で凝固させ、その後、樹脂成分の水洗、脱水及び乾燥を行って、シリコーンゴム強化芳香族ビニル系樹脂(ゴム強化樹脂A1−2)を得た。ガラス転移温度(Tg)は108℃、ポリオルガノシロキサン系ゴムの含有量は40%、グラフト率は84%、アセトン可溶分の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃)は0.60dl/gであった。
(3)アクリル系ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(ゴム強化樹脂(A1−3)):
反応器に、アクリル酸n−ブチル99部と、アリルメタアクリレート1部とを乳化重合して得られたアクリル系ゴム質重合体(体積平均粒子径:100nm、ゲル含率:90%)を含む固形分濃度40%のラテックス50部(固形分換算)を入れ、更に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1部及びイオン交換水150部を入れて希釈した。その後、反応器内を窒素ガスで置換し、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.02部、硫酸第一鉄0.005部及びホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム0.3部を加え、撹拌しながら、60℃まで昇温した。
一方、容器に、スチレン37.5部及びアクリロニトリル12.5部の混合物50部と、ターピノーレン1.0部及びクメンハイドロパーオキサイド0.2部とを入れ、容器内を窒素ガスで置換し、単量体組成物を得た。
次いで、上記単量体組成物を、5時間かけて、一定流量で上記反応器に添加し、70℃で重合を行い、ラテックスを得た。このラテックスに、硫酸マグネシウムを添加し、樹脂成分を凝固させた。その後、水洗、乾燥することにより、アクリル系ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(ゴム強化樹脂A1−3)を得た。アクリル系ゴム質重合体の含有量は50%、グラフト率は93%、アセトン可溶分の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃)は0.30dl/g、ガラス転移温度(Tg)は108℃であった。
(4)シリコーンゴム強化芳香族ビニル系樹脂(ゴム強化樹脂(A1−4)):
p−ビニルフェニルメチルジメトキシシラン1.3部及びオクタメチルシクロテトラシロキサン98.7部を混合し、これを、ドデシルベンゼンスルホン酸2.0部を溶解した蒸留水300部中に入れ、ホモジナイザーにより3分間攪拌して乳化分散させた。この乳化分散液を、コンデンサー、窒素導入口及び攪拌機を備えたセパラブルフラスコに移し、攪拌しながら、90℃で6時間加熱した。次いで、5℃で24時間保持し、縮合を完結させ、ポリオルガノシロキサン系ゴムを含むラテックスを得た。縮合率は93%であった。その後、このラテックスを、炭酸ナトリウム水溶液を用いてpH7に中和した。得られたポリオルガノシロキサン系ゴムの体積平均粒子径は300nmであった。
次に、攪拌機を備えた内容積7リットルのガラス製フラスコに、イオン交換水100部、オレイン酸カリウム1.5部、水酸化カリウム0.01部、tert−ドデシルメルカプタン0.3部、上記ポリオルガノシロキサン系ゴム15部を含む、pH7に調製されたラテックス、スチレン18部及びアクリロニトリル6部から成るバッチ重合成分を加え、攪拌しながら昇温した。温度が45℃に達した時点で、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.1部、硫酸第1鉄0.003部、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシラート・二水塩0.2部及びイオン交換水15部より成る活性剤水溶液、並びにジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド0.03部を添加し、1.5時間重合を行った。
その後、上記反応系に、イオン交換水50部、オレイン酸カリウム1部、水酸化カリウム0.02部、tert−ドデシルメルカプタン0.3部、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド0.08部、スチレン45.5部及びアクリロニトリル15.5部より成るインクレメント重合成分を、3時間に渡って連続的に添加し、重合を続けた。添加終了後、更に攪拌を継続した。1時間後、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)0.2部を添加し、重合を終了し、シリコーンゴム強化芳香族ビニル系樹脂(ゴム強化樹脂A1−4)を含むラテックスを得た。次いで、上記ラテックスに、硫酸1.5部を加えて、樹脂成分を90℃で凝固させ、その後、樹脂成分の水洗、脱水及び乾燥を行って、シリコーンゴム強化芳香族ビニル系樹脂(ゴム強化樹脂A1−4)を得た。ガラス転移温度(Tg)は108℃、ポリオルガノシロキサン系ゴムの含有量は40%、グラフト率は40%、アセトン可溶分の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃)は0.40dl/gであった。
(5)アクリロニトリル・スチレン共重合体(A2−1):
テクノポリマー社製AS樹脂「SAN−H」(商品名)を用いた。ガラス転移温度(Tg)は108℃である。
(6)アクリロニトリル・スチレン・N−フェニルマレイミド共重合体(A2−2):
日本触媒社製アクリロニトリル・スチレン・N−フェニルマレイミド共重合体「ポリイミレックス PAS1460」(商品名)を用いた。N−フェニルマレイミド単位量は40%、アクリロニトリル単位量9%、スチレン単位量は51%、GPCによるポリスチレン換算のMwは120,000である。ガラス転移温度(Tg)は173℃である。
(7)ポリエチレンテレフタレート樹脂(A3):
三菱化学社製ポリエチレンテレフタレート「ノバペックスGM700Z」(商品名)を用いた。
(8)赤色系着色剤(R):
ソルベントレッド52を用いた。
(9)黄色系着色剤(Y):
ソルベントイエロー163を用いた。
(10)緑色系着色剤:(G)
ソルベントグリーン3を用いた。
(11)紫色系着色剤(P):
ソルベントバイオレット13を用いた。
(12)黒色系着色剤:
BASF社製ペリレン系黒色顔料「Lumogen BLACK FK4280」(商品名)を用いた。
(13)黄色系着色剤:
BASF社製キノフタロン系黄色顔料「Paliotol Yellow K0961HD」(商品名)を用いた。
(14)カーボンブラック:
三菱化学社製「カーボンブラック#45」(商品名)を用いた。
(15)白色系着色剤
石原産業社製酸化チタン「タイペークCR−95」(商品名)、平均粒子径0.28μmを用いた。
(16)白色系着色剤:
石原産業社製酸化チタン「タイペークCR−60−2」(商品名)、平均一次粒子径0.21μmを用いた。
(16)C層形成用フィルム:
ダイ幅1,400mm及びリップ間隔1.5mmのTダイを有し、スクリュー径65mmの押出機1機を備えるフィルム成形機を用い、押出機に、フッ化ビニリデン樹脂(株式会社クレハ製、KFポリマーT#1000)を供給した。そして、Tダイから、240℃で溶融させた組成物を吐出させ、薄肉体とした。その後、この薄肉体を、エアーナイフにより、表面温度が65℃に制御されたキャストロールに面密着させて冷却固化させ、厚さ50μmのフィルムを得た。フィルムの厚さは、ミツトヨ社製シックネスゲージ「ID−C1112C」(型式名)を用い、フィルムの製造開始から1時間経過後のフィルムを切り取り、フィルム幅方向の中心、及び、中心より両端に向けて、10mm間隔で厚さを測定し(n=100)、その平均値とした。フィルムの端部から20mmの範囲にある測定点の値は、上記平均値の計算から除去した。
(17)水蒸気バリア層(D層)形成用フィルム(S1):
三菱樹脂社製透明蒸着フィルム「テックバリアLX」(商品名)を用いた。PETフィルムの片面にシリカ蒸着膜を有する透明フィルムであり、厚さは12μm、水蒸気透湿度(JIS K7129)は0.2g/(m・day)である。
(18)水蒸気バリア層(D層)形成用フィルム(S2):
東洋紡社製無機2元蒸着バリアフィルム「エコシアールVE500」(商品名)を用いた。PETフィルムの片面に(シリカ/アルミナ)の蒸着を施した透明フィルムであり、厚さは12μm、水蒸気透湿度は0.5g/(m・day)である。
<熱可塑性樹脂組成物(I)の調製>
製造例1−1:
ゴム強化樹脂(A1−1)と、アクリロニトリル・スチレン共重合体(A2−1)と、着色剤とを、表1に示す割合で、ヘンシェルミキサーにより混合した。その後、日本製鋼所社製二軸押出機「TEX44」(型式名)を用いて、バレル温度240℃で溶融混練し、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物(I−1)を得た(表1参照)。
製造例1−2〜1−12:
表1に示す各原料を、表1に示す割合で用いた以外は、製造例1−1と同様にして、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物(I−2)〜(I−12)を得た(表1参照)。
Figure 2012174929
<熱可塑性樹脂組成物(II)の調製>
製造例2−1:
ゴム強化樹脂(A1−1)と、アクリロニトリル・スチレン共重合体(A2−1)と、着色剤(酸化チタン)とを、表2に示す割合で、ヘンシェルミキサーにより混合した。その後、日本製鋼所製二軸押出機「TEX44」(型式名)を用いて、バレル温度240℃で溶融混練し、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物(II−1)を得た(表2参照)。
製造例2−2〜2−9:
表2に示す各原料を、表2に示す割合で用いた以外は、製造例2−1と同様にして、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物(II−2)〜(II−9)を得た(表2参照)。
Figure 2012174929
<太陽電池用裏面保護フィルムの製造及び評価(1)>
実施例1:
ダイ幅1,400mm及びリップ間隔1.5mmのTダイを有し、スクリュー径65mmの押出機2機を備える多層フィルム成形機を用い、各押出機に、熱可塑性樹脂組成物(I−1)及び熱可塑性樹脂組成物(II−1)を供給した。そして、Tダイから、240℃で溶融させた各組成物を吐出させ、2層型薄肉体とした。その後、この2層型薄肉体を、エアーナイフにより、表面温度が65℃に制御されたキャストロールに面密着させて冷却固化させ、厚さ160μmの2層型フィルムを得た。フィルムの厚さは、ミツトヨ社製シックネスゲージ「ID−C1112C」(型式名)を用い、フィルムの製造開始から1時間経過後のフィルムを切り取り、フィルム幅方向の中心、及び、中心より両端に向けて、10mm間隔で厚さを測定し(n=100)、その平均値とした。フィルムの端部から20mmの範囲にある測定点の値は、上記平均値の計算から除去した。
次に、上記2層型フィルムにおけるB層の表面に、表3に記載のC層形成用フィルム(III−1)を、ポリウレタン系の接着剤を用いて接着させ、太陽電池用裏面保護フィルムを得た。そして、この太陽電池用裏面保護フィルムについて、各種評価を行い、その結果を表3に併記した。
実施例2〜11:
表3に示した熱可塑性樹脂組成物(I)、熱可塑性樹脂組成物(II)及びC層形成用フィルム等を用い、実施例1と同様にして、太陽電池用裏面保護フィルムを得た。そして、これらの太陽電池用裏面保護フィルムについて、各種評価を行い、その結果を表3に併記した。
Figure 2012174929
比較例1〜6:
表4に示した熱可塑性樹脂組成物(I)、熱可塑性樹脂組成物(II)及びC層形成用フィルム等を用い、実施例1と同様にして、太陽電池用裏面保護フィルムを得た。そして、これらの太陽電池用裏面保護フィルムについて、各種評価を行い、その結果を表4に併記した。
Figure 2012174929
<太陽電池用裏面保護フィルムの製造及び評価(2)>
実施例12:
ダイ幅1,400mm及びリップ間隔1.5mmのTダイを有し、スクリュー径65mmの押出機2機を備える多層フィルム成形機を用い、各押出機に、熱可塑性樹脂組成物(I−2)及び熱可塑性樹脂組成物(II−2)を供給した。そして、Tダイから、240℃で溶融させた各組成物を吐出させ、2層型薄肉体とした。その後、この2層型薄肉体を、エアーナイフにより、表面温度が65℃に制御されたキャストロールに面密着させて冷却固化させ、厚さ160μmの2層型フィルムを得た。
次に、上記2層型フィルムにおけるB層側の表面に、水蒸気バリア層形成用フィルムを、蒸着膜が外表面となるようにして、ポリウレタン系の接着剤を用いて接着させた。更に、水蒸気バリア層における蒸着膜の表面に、表5に記載のC層形成用フィルムをポリウレタン系の接着剤を用いて接着させ、太陽電池用裏面保護フィルムを得た。そして、この太陽電池用裏面保護フィルムについて、各種評価を行い、その結果を表5に併記した。
実施例13:
水蒸気バリア層形成用フィルムとして、表5に示すものを用いた以外は、実施例12と同様にして、太陽電池用裏面保護フィルムを得た。そして、この太陽電池用裏面保護フィルムについて、各種評価を行い、その結果を表5に併記した。
Figure 2012174929
本発明の一態様である、A層、B層及びC層を備える裏面保護フィルムにおいて、A層に光が放射された場合に、優れた暗色色調の外観である上、光電変換効率に優れ、A層を透過した光の、B層における反射性に優れる。また、C層を備えることにより裏面からの熱や外力などに対する保護に優れる。そして、高温環境下、受光等による熱変形が抑制されて耐熱性に優れ、難燃性にも優れ、長期に渡って意匠性及び耐候性を維持することができる。また、加工性及びその取扱い性が良好である。従って、C層側に支持部等を備える物品、エチレン・酢酸ビニル共重合体を含む部材が、A層側表面に接合された物品等として、例えば、太陽光や風雨に長時間曝され、長期に渡って形状安定性等が求められる用途に好適である。なかでも、家屋、建物等の屋根等に配設される太陽電池を構成する太陽電池モジュールの構成部材、即ち、太陽電池用バックシートとして有用である。この裏面保護フィルムは、可撓性に優れるので、太陽電池モジュールの形状に依存することなく、即ち、太陽電池モジュールに含まれる太陽電池素子の間隙を充填する充填材部の表面形状に応じて配設することができ、太陽電池素子の保護に好適である。
また、本発明の他態様である、A層、B層及びC層に加えて、更に、A層とB層との間、及び/又は、B層とC層との間に、水蒸気バリア層を備える裏面保護フィルムにおいて、A層に光が放射された場合に、優れた暗色色調の外観である上、光電変換効率に優れ、A層及び水蒸気バリア層を透過した光の、B層における反射性に優れる。また、C層を備えることにより裏面からの熱や外力などに対する保護に優れる。そして、高温環境下、受光等による熱変形が抑制されて耐熱性に優れ、難燃性にも優れ、長期に渡って意匠性及び耐候性を維持することができる。また、A層側の表面、及び、C層側の表面のいずれにおいても、水蒸気バリア性に優れ、加工性及びその取扱い性が良好である。従って、C層側に支持部等を備える物品、エチレン・酢酸ビニル共重合体を含む部材が、A層側表面に接合された物品等として、例えば、太陽光や風雨に長時間曝され、長期に渡って形状安定性等が求められる用途に好適である。なかでも、家屋、建物等の屋根等に配設される太陽電池を構成する太陽電池モジュールの構成部材、即ち、太陽電池用バックシートとして有用である。この裏面保護フィルムは、可撓性に優れるので、太陽電池モジュールの形状に依存することなく、即ち、太陽電池モジュールに含まれる太陽電池素子の間隙を充填する充填材部の表面形状に応じて配設することができ、太陽電池素子の保護に好適である。
1:太陽電池用裏面保護フィルム
11:A層
12:B層
13:C層
2:太陽電池モジュール
21:表面側透明保護部材
23:表面側封止膜
25:太陽電池素子
27:裏面側封止膜

Claims (12)

  1. 少なくとも2種の着色剤から成る赤外線透過着色剤混合物及び熱可塑性樹脂を含む層(A層)と、平均一次粒子径0.24μm以上の酸化チタン及び熱可塑性樹脂を含む層(B層)と、フッ素樹脂を含む層(C層)とを、順次、備える積層フィルムであって、積層フィルムのA層側の表面に波長740nmの光を放射した場合、該光に対する反射率が20%以上であることを特徴とする太陽電池用裏面保護フィルム。
  2. 少なくとも2種の着色剤が、赤色系の着色剤と緑色系の着色剤、紫色系の着色剤と黄色系の着色剤;および、オレンジ色の着色剤と青色系の着色剤から成る群より選択される着色剤の少なくとも1種の組み合わせを含む請求項1に記載の太陽電池用裏面保護フィルム。
  3. 少なくとも2種の着色剤が、少なくとも4種の着色剤である請求項1に記載の太陽電池用裏面保護フィルム。
  4. 少なくとも4種の着色剤が、赤色系の着色剤、緑色系の着色剤、黄色系の着色剤、および、紫色系の着色剤を含む請求項3に記載の太陽電池用裏面保護フィルム。
  5. 熱可塑性樹脂が、ゴム含有芳香族ビニル系樹脂である請求項1乃至4の何れかに記載の太陽電池用裏面保護フィルム。
  6. フッ素系樹脂が、ポリフッ化ビニリデン樹脂である請求項1乃至5のいずれかに記載の太陽電池用裏面保護フィルム。
  7. 太陽電池用裏面保護フィルムにおけるA層側の表面に波長400〜700nmの光を放射した場合、該光に対する吸収率が60%以上である請求項1乃至6の何れかに記載の太陽電池用裏面保護フィルム。
  8. 太陽電池用裏面保護フィルムにおけるA層側の表面に波長800〜1,400nmの光を放射した場合、該光に対する反射率が50%以上である請求項1乃至7の何れかに記載の太陽電池用裏面保護フィルム。
  9. 積層フィルムの中間層として、水蒸気バリア層を備える請求項1乃至8の何れか一項に記載の太陽電池用裏面保護フィルム。
  10. 水蒸気バリア層が、その表面に、金属及び/又は金属酸化物を含む膜が形成されて成る蒸着フィルムから成る請求項9に記載の太陽電池用裏面保護フィルム。
  11. 厚さが30〜900μmである請求項1乃至10の何れかに記載の太陽電池用裏面保護フィルム。
  12. 請求項1乃至11の何れかに記載の太陽電池用裏面保護フィルムを備えることを特徴とする太陽電池モジュール。
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