JP2012167014A - ガラス板の製造方法及び製造設備 - Google Patents
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Abstract
【課題】ガラス板の大板化に伴う表面欠陥、破損等の問題や、歩留まり低下の問題等を回避して、生産性良く高品質のガラス板を得る方法の提供。
【解決手段】溶融ガラスAを成形体10に供給すると共に、該成形体10から溶融ガラスAを垂直方向に延びる搬送経路16に流下させて板状のガラスリボンBに延伸成形する成形工程、該ガラスリボンBの熱歪を除去するアニール工程、該ガラスリボンBを室温付近まで冷却する冷却工程、を含むガラス板Cの製造方法において、該冷却工程において、該ガラスリボンBの両縁部を支持ローラー19で挟持し、下降させることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】溶融ガラスAを成形体10に供給すると共に、該成形体10から溶融ガラスAを垂直方向に延びる搬送経路16に流下させて板状のガラスリボンBに延伸成形する成形工程、該ガラスリボンBの熱歪を除去するアニール工程、該ガラスリボンBを室温付近まで冷却する冷却工程、を含むガラス板Cの製造方法において、該冷却工程において、該ガラスリボンBの両縁部を支持ローラー19で挟持し、下降させることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、成形体から溶融ガラスを流下させて垂直方向にガラスリボンを延伸成形するガラス板の製造方法及びその製造設備に関するものである。
各種電子機器、とりわけ液晶ディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ用ガラス板の製造方法として、成形体から溶融ガラスを流下させて垂直方向(鉛直方向)にガラスリボンを延伸成形することによってガラス板とするダウンドロー法が知られている。
ダウンドロー法には、オーバーフローダウンドロー法とスロットダウンドロー法の二つの方法があり、特にオーバーフローダウンドロー法は、表面のうねりや粗さが非常に小さく、表面品位に優れたガラス板を得ることができる方法として知られている。
オーバーフローダウンドロー法とは、くさび状の断面形状を有する成形体の頂部に連続的に供給される溶融ガラスを、成形体の頂部から両側面に沿って流下させ、成形体の下端部で融合させることによって板状のガラスリボンとし、このガラスリボンの両縁部を、複数の引っ張りローラーで挟持しつつ垂直方向に延びる搬送経路を流下させてガラスリボンに延伸成形する方法である。これによってガラスリボンは、次第に固化していき、所定の幅と厚みを有するガラス板となる。また搬送経路の雰囲気温度は厳格に管理され、これによってガラス板の熱歪は十分に除去されてから、室温付近まで冷却される。
この場合、引っ張りローラーは、ガラスリボンの両縁部のみを挟持するのが通例であるため、その僅かな挟持部位(ガラス製品となる有効面から逸脱する部位)を除外すれば、何ものにも触れられていない表面を持つガラス板を成形することが可能となり、これにより表面品位に優れたガラス板が得られる。そのため、この成形方法によれば、コスト高の原因となる研磨工程が不要になるという利点がある。
ダウンドロー法において、ガラスリボンを下方に延伸成形するための引っ張りローラーは、まだ高温状態にあるガラスリボンの両縁部を挟持する必要があるため、800℃程度の温度に耐える必要があり、通常は、セラミック繊維と結合剤を含む無機材料から作製されている(例えば、特許文献1、2参照)。
近年、フラットパネルディスプレイ用ガラス板は、大板化が進められており、例えば最終的にガラス製品となる部位の幅寸法(有効幅)が2000mm以上のガラスリボンも成形されるようになってきている。しかしながらガラスリボンの幅寸法が大きくなると、その重量が大きくなり、ガラスリボンの自重で成形体付近の溶融ガラスを牽引し、落下するという現象が生じることがある。そのため、引っ張りローラーは、ガラスリボンを垂直方向に延伸成形するという従来の役割と共に、ガラスリボンの自重による落下を阻止し、その流下速度(板引き速度)を調整する役割も担うようになってきている。
しかしながら前述のとおり引っ張りローラーは、無機材料から作製されているため、ガラスリボンとの間でスリップが発生しやすく、ガラスリボンの流下速度を調整するという役割が十分に果たせない。すなわちガラスリボンと引っ張りローラーとの間でスリップが生じると、ガラスリボンの板引き速度が不安定となり、その結果としてガラスリボンの厚みが変動し、歩留まりが低下するという問題がある。またスリップが生じることによって、ガラスリボンの表面に擦り傷が形成されたり、ガラスリボンが破損するという問題もある。
ガラスリボンと引っ張りローラーとの間で生じるスリップを防止する方法として、ガラスリボンに対する引っ張りローラーの接触圧をより強くすることも考えられるが、接触圧を必要以上に強くすると、ガラスリボン内に無用の内部応力を生じさせ、ガラスリボンが破損する虞れがある。また引っ張りローラーの挟持部の表面が一部剥離し、それがガラスリボン上に付着して、ガラス板の表面欠陥となる虞れもある。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、ガラス板の大板化に伴う表面欠陥、破損等の問題や、歩留まり低下の問題等を回避して、生産性良く高品質のガラス板を得る方法を提供することを技術的課題とする。
本発明のガラス板の製造方法は、溶融ガラスを成形体に供給すると共に、該成形体から溶融ガラスを垂直方向に延びる搬送経路に流下させて板状のガラスリボンに延伸成形する成形工程、該ガラスリボンの熱歪を除去するアニール工程、該ガラスリボンを室温付近まで冷却する冷却工程、を含むガラス板の製造方法において、該冷却工程において、該ガラスリボンの両縁部を支持ローラーで挟持し、下降させることを特徴とする。
本発明のガラス板の製造方法によれば、成形工程で成形されたガラスリボンを、所定の温度勾配に設定されたアニール工程で徐冷することによって熱歪を除去した後、冷却工程において、ガラスリボンの両縁部を支持ローラーで挟持するため、ガラスリボンの重量が大きくなり、その自重で流下速度が変化しやすくなっても、ガラスリボンと引っ張りローラーとの間のスリップを防止することができる。
また本発明のガラス板の製造方法は、成形工程が、オーバーフローダウンドロー法、又はスロットダウンドロー法でガラスリボンを成形する工程であることを特徴とする。
特に表面品位に優れたガラス板を得る場合には、スロットダウンドロー法よりも、オーバーフローダウンドロー法を採用することが望ましい。尚、スロットダウンドロー法とは、耐熱性金属(成形体)の一部に形成された長孔状(スロット状)の開口部から溶融ガラスを引き出して板状のガラスリボンとし、このガラスリボンを垂直方向に延伸成形してガラス板を製造するという方法である。
また本発明のガラス板の製造方法は、ガラスリボンの有効幅が、2000mm以上であることを特徴とする。
ガラスリボンと引っ張りローラーとの間のスリップは、ガラスリボン(ガラス板)の有効幅が2000mm以上になり、重量が大きくなると顕著に現れるため、支持ローラーによるスリップ防止効果が大きくなる。そのため本発明は、ガラスリボンの有効幅が、2500mm以上、さらには3000mm以上の場合により有用となる。
また本発明のガラス板の製造方法は、支持ローラーが、合成ゴムから形成されてなることを特徴とする。
すなわち合成ゴムは、その硬度や柔軟性、表面平滑性等の物性を調整しやすいため、ガラスリボンを確実に挟持できる材質を得やすいという利点がある。そのため支持ローラーを合成ゴムから作製すると、ガラスリボンと引っ張りローラーとの間のスリップを確実に防止し、ガラスリボンの流下速度をコントロールすることが容易となる。
また本発明のガラス板の製造方法は、支持ローラーが、ガラスとの静摩擦係数が1.00以上の合成ゴムから形成されてなることを特徴とする。
すなわち支持ローラーが、ガラスとの静摩擦係数が1.00以上の合成ゴムからなると、支持ローラーとガラスリボンとの接触圧を小さくしても、ガラスリボンを確実に挟持することが可能となる。そのためガラスリボンに必要以上の内部応力が生じるという問題を可及的に回避することができる。合成ゴムの静摩擦係数は、1.20以上、さらに1.40以上であることが好ましい。ここで静摩擦係数は、周知の傾斜測定法、すなわち室温下において、ガラス板上に支持ローラー材の平面部を載置した状態で、ガラス板を徐々に傾斜させ、支持ローラー材が動き出した時の角度をθとする時、tanθを静摩擦係数とする方法で測定した。
また本発明のガラス板の製造方法は、支持ローラーが、耐熱温度が200℃以上の合成ゴムから形成されてなることを特徴とする。
本発明において、支持ローラーは、冷却工程に設置するが、できるだけ冷却工程の上部、すなわちアニール工程に近い位置に取り付ける方が、ガラスリボンを支持する効果が大きいため好ましい。しかしながらアニール工程を経た直後のガラスリボンの温度は、200℃以上の高温であるため、耐熱温度が低い合成ゴム、例えばニトリルゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、エピクロリヒドリンゴムといった合成ゴムでは熱変形を来す虞れがある。そのため耐熱温度が低い合成ゴムを使用する場合には、熱変形しないように、ガラスリボンと接触する部位の冷却機構が必要となったり、ガラスリボンの高温部を避けて設置するという制約がある。しかしながら耐熱温度が200℃以上の合成ゴムを使用すると、冷却機構は不要であり、ガラスリボンの高温部を挟持しても熱変形は起こらない。ここで耐熱温度とは、合成ゴムが熱により変形したり、粘着性が生じたりすることがなく、室温からの物性を維持できる最高温度を意味する。使用する合成ゴムの耐熱温度は、好ましくは250℃以上、より好ましくは270℃以上、さらに好ましくは300℃以上である。本発明で使用する合成ゴムとしては、シリコーンゴム、フッ素ゴムが好適である。これらの合成ゴムは、ガラスとの静摩擦係数が高く、耐熱温度が200℃以上であるため、高温雰囲気においても静摩擦係数等の物性を維持することが可能である。
尚、本発明においては、冷却工程におけるガラスリボンの高温部(例えば200℃以上の部分)を、耐熱温度が200℃以上の合成ゴムからなる支持ローラーで挟持し、ガラスリボンの低温部(例えば200℃未満の部分)を、耐熱温度が200℃未満の合成ゴムからなる支持ローラーで挟持しても良い。
また本発明のガラス板の製造方法は、支持ローラーを垂直方向(上下方向)に複数対(例えば3〜10対)配設し、各支持ローラーでガラスリボンの両縁部を挟持することを特徴とする。
本発明において、支持ローラーを垂直方向に複数対配設すると、ガラスリボンの重量が大きくなった場合でも、支持ローラー1個当たりの負荷を低減できるため、各支持ローラーの駆動部をコンパクトに設計することができる。また支持ローラーに要求される物性も緩和されるため、支持ローラーに採用できる材料の選択範囲が広くなる。
尚、ダウンドロー法で成形したガラスリボンは、均一に支持しなければ、ガラスリボンの厚み等が不均一になるため、左右の支持ローラーは、同期して回転させる必要がある。このため、左右の支持ローラーが、1本のローラー軸に取り付けられていると、各支持ローラーが同期して回転するため好ましい。また左右の支持ローラーを独立(離間)して設ける場合でも、これらを電気回路で同期して回転させる機構も設ければ、ガラスリボンを均一に支持することが可能である。
また本発明では、1本のローラー軸に、3個以上の支持ローラーを離間して取り付け、ガラスリボンの両縁部と中間部を挟持することを特徴とする。
本発明では、ガラスリボンの両縁部を挟持する2つの支持ローラーに加え、それらの支持ローラーの間に、他の支持ローラーを取り付けることが可能である。例えば、ガラスリボンの両縁部と中央部を、3個の支持ローラーで挟持するようにすると、ガラスリボンと支持ローラーとの接触面積が増加し、より小さな接触圧でもガラスリボンを挟持することができる。そのため、例えば幅3000mm以上で大重量のガラスリボンを形成する場合であっても、安定してガラスリボンを支持することができる。また、ガラスリボンの中間部(両縁部以外を部位)を挟持するための支持ローラーは、複数個取り付けることも可能である。また、支持ローラーを垂直方向に複数対配設する場合には、一部のローラー軸のみに、ガラスリボンの両縁部と中間部を挟持する支持ローラーを取り付けても良い。ただし、ガラスリボン表面のうち、支持ローラーによって挟持された部位は、汚れなどが付着しすいため、その部位は、後工程で切断除去することが望ましい。
また本発明のガラス板の製造方法は、冷却工程の後、さらにガラスリボンを垂直方向に流下させ、所定寸法に切断する切断工程を含むことを特徴とする。
つまり本発明では、切断工程において、冷却室から垂直方向に流下したガラスリボンを湾曲させ、水平方向に移動させながら切断することも可能であるが、ガラスリボンの厚みが薄くなると、湾曲時に破損したり、設備が複雑になりやすい。よって冷却室から垂直方向にガラスリボンを流下させ、所定寸法となるように水平方向(移動方向と直交する方向)に切断することが好ましい。
つまり本発明では、切断工程において、冷却室から垂直方向に流下したガラスリボンを湾曲させ、水平方向に移動させながら切断することも可能であるが、ガラスリボンの厚みが薄くなると、湾曲時に破損したり、設備が複雑になりやすい。よって冷却室から垂直方向にガラスリボンを流下させ、所定寸法となるように水平方向(移動方向と直交する方向)に切断することが好ましい。
本発明のガラス板の製造設備は、溶融ガラスを成形体に供給すると共に、該成形体から溶融ガラスを垂直方向に延びる搬送経路に流下させて板状のガラスリボンに延伸成形するための成形炉、該ガラスリボンの熱歪を除去するためのアニール炉、該ガラスリボンを室温付近まで冷却するための冷却室、を備えてなるガラス板の製造設備において、該冷却室には、該ガラスリボンを挟持しながら下降させるための支持ローラーが配設されてなることを特徴とする。
本発明のガラス板の製造設備によれば、成形炉で成形されたガラスリボンを、所定の温度勾配に設定されたアニール炉で徐冷することによって熱歪を除去した後、冷却室において、ガラスリボンの両縁部を支持ローラーで挟持するため、ガラスリボンの重量が大きくなり、その自重で流下しやすくなっても、ガラスリボンと引っ張りローラーとの間のスリップを防止することができる。
また本発明のガラス板の製造設備は、冷却室の直下に、ガラスリボンを所定長に切断するための切断室を備えてなることを特徴とする。
つまり本発明では、切断工程において、冷却室から垂直方向に流下したガラスリボンを湾曲させ、水平方向に移動させながら切断することも可能であるが、ガラスリボンの厚みが薄くなると、湾曲時に破損したり、設備が複雑になりやすい。よって冷却室の直下に切断室を設け、垂直方向に流下するガラスリボンを、所定寸法となるように水平方向に切断することが好ましい。
以上のように本発明によれば、ガラスリボンの重量が大きい場合でも、その両縁部を支持ローラーで挟持するため、ガラスリボンと引っ張りローラーとの間にスリップが発生せず、ダウンドロー法によるガラス板の製造を安定して行うことができる。
以下、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明のガラス板の製造設備を示す概略正面図、図2は、図1の概略側面図、図3は支持ローラーの拡大斜視図である。この製造設備は、オーバーフローダウンドロー法によって液晶ディスプレイ用のガラス板(ガラス基板)を製造するためのものであって、上方から順に、くさび状の断面形状を有する成形体10に供給される溶融ガラスAを頂部から溢れさせると共に、その下端部で融合させることで、ガラスリボンBを成形する成形炉11と、ガラスリボンBを徐冷しながらその熱歪を除去するためのアニール炉12と、徐冷されたガラスリボンBを十分に冷却する冷却室13と、冷却されたガラスリボンBを所定寸法に切断する切断室14とを備えている。成形炉11とアニール炉12は、炉壁15によって取り囲まれた状態で閉鎖され、成形炉11、アニール炉12、冷却室13及び切断室14の間は、ガラスリボンBが流下する搬送経路16で連通している。また切断室14には、図外の後続工程(例えば端面研磨工程等)へガラス板Cを搬送するための搬送経路が別途設けられている。
次に、上記ガラス板製造設備によるガラス板の製造工程を説明する。
この製造設備では、まず成形炉11内に設けられた成形体10の頂部に溶融ガラスAを供給し、その溶融ガラスAを成形体10の頂部から溢れ出させると共にその下端部で融合させて板状のガラスリボンBを成形する。成形体10の付近には、一対の冷却ローラー(エッジローラー)17が設けられ、ガラスリボンBは、この冷却ローラー17で両縁部を挟持され、幅方向の収縮が最小限に抑えられる。
次に、この成形されたガラスリボンBをアニール炉12で徐冷することによって熱歪を除去する。アニール炉12には、垂直方向に複数対の引っ張りローラー(アニールローラー)18が配置され、ガラスリボンBが表面張力等で幅方向に収縮しないように引っ張りローラー18で幅方向に引っ張りながら下方に牽引する。またアニール炉12内は、ヒーターによって所定の温度勾配となるように設定されており、ガラスリボンBはアニール炉12内を流下するに従って徐々に温度を低下させることで、内部に生じた熱歪が除去される。アニール炉12内の引っ張りローラー18は、セラミック繊維と結合材を含む無機材料からなる作製されている。引っ張りローラー18の周速度は、溶融ガラスの流量、ガラスリボンBの寸法等によって調整すれば良く、例えば200〜500cm/分となるように設定される。
アニール炉12の下方には、冷却室13が設けられている。冷却室13には、複数対の支持ローラー19が配置され、所定寸法に固化したガラスリボンBの両縁部を挟持しながら下降させるようになっている。ガラスリボンBは、冷却室13内でほぼ室温まで冷却される。冷却室13内に配置された支持ローラー19は、表層がシリコーンゴム(耐熱温度300℃以上、ガラス板との静摩擦係数1.40以上)から作製され、圧延鋼材からなる芯部19aを介して、炭素鋼からなるローラー軸(シャフト)20に取り付けられている。支持ローラー19の周速度も適宜調整すれば良く、例えば200〜500cm/分となるように設定される。
冷却室13の直下には、切断室14が設けられている。冷却室14で室温付近まで冷却されたガラスリボンは、切断室14で所定寸法のガラス板Cに切断された後、後続工程に搬送される。
上記のガラス板の製造設備を使用して、質量%で、SiO2 60%、Al2O3 15%、B2O3 10%、CaO 6%、SrO 6%、BaO 2%、清澄剤1%の組成を有し、有効幅が2000mm、厚み0.7mmの液晶ディスプレイ用ガラス板(日本電気硝子株式会社製OA−10)を成形した。ただし、ガラスリボンBの両縁部には、引っ張りローラー18で牽引するための耳部と呼ばれる引張代が必要であるため、ガラスリボンBの全幅としては、2300mm程度に設計した。
このガラス板Cは、幅寸法が大きいため、ガラスリボンBの重量も大きくなるが、ガラスリボンBと引っ張りローラー18との間でスリップは、全く認められなかった。そのためガラスリボンBの板引き速度は安定し、得られたガラス板Cは、厚みが0.7mm±0.05mmの範囲に収まる有効幅が2000mm以上であり、また表面傷や破損がなかった。
図4は、本発明の他の形態に係るガラス板の製造設備を示す概略正面図である。この製造設備は、冷却室13において、下段部に配設された2本ローラー軸に取り付けられた支持ローラー19によって、ガラスリボンBの両縁部と中間部の3カ所を挟持するようにしており、それ以外の構成は、図1、2の製造設備と同様である。
このガラス板の製造設備を使用して、有効幅が2500mm、厚み0.7mmの液晶ディスプレイ用ガラス板(日本電気硝子株式会社製OA−10)を成形したところ、ガラスリボンBと、アニール炉12内の引っ張りローラー18との間でスリップは、全く認められなかった。そのためガラスリボンBの板引き速度は安定し、切断室14で所定寸法のガラス板Cに切断された後のガラス板Cは、厚みが0.7mm±0.05mmの範囲に収まる有効幅が2500mm以上であり、また表面傷や破損がなかった。
尚、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施することができる。
例えば、上記の実施形態では、オーバーフローダウンドロー法によるガラス板の製造に本発明を適用した場合を説明したが、これ以外にも、例えばスロットダウンドロー法によるガラス板の製造にも同様にして本発明を適用することができる。
本発明のガラス板の製造方法及び製造設備は、液晶ディスプレイ用ガラス板を始めとして、プラズマディスプレイ、有機EL等のエレクトロルミネッセンスディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ等といった各種フラットパネルディスプレイに用いられるガラス板や、各種電子表示機能素子や薄膜を形成するための基材として用いられるガラス板の製造に使用することができる。
10 成形体
11 成形炉
12 アニール炉
13 冷却室
14 切断室
15 炉壁
16 搬送経路
17 冷却ローラー(エッジローラー)
18 引っ張りローラー(アニールローラー)
19 支持ローラー
19a 支持ローラーの芯部
20 ローラー軸(シャフト)
A 溶融ガラス
B ガラスリボン
C ガラス板
11 成形炉
12 アニール炉
13 冷却室
14 切断室
15 炉壁
16 搬送経路
17 冷却ローラー(エッジローラー)
18 引っ張りローラー(アニールローラー)
19 支持ローラー
19a 支持ローラーの芯部
20 ローラー軸(シャフト)
A 溶融ガラス
B ガラスリボン
C ガラス板
本発明のガラス板の製造方法は、溶融ガラスを成形体に供給すると共に、該成形体から溶融ガラスを垂直方向に延びる搬送経路に流下させて板状のガラスリボンに延伸成形する成形工程、前記ガラスリボンの熱歪を除去するアニール工程、前記ガラスリボンを室温付近まで冷却する冷却工程、を含むガラス板の製造方法において、前記成形工程が、オーバーフローダウンドロー法、又はスロットダウンドロー法でガラスリボンを成形する工程であり、前記アニール工程において、引っ張りローラーは前記ガラスリボンが幅方向に収縮しないように前記ガラスリボンの両端部を幅方向に引っ張りながら下方に牽引し、前記冷却工程において、前記ガラスリボンの両縁部を支持ローラーで挟持し、下降させることを特徴とする。
本発明のガラス板の製造方法によれば、成形工程で成形されたガラスリボンを、所定の温度勾配に設定されたアニール工程で徐冷することによって熱歪を除去した後、冷却工程において、ガラスリボンの両縁部を支持ローラーで挟持するため、ガラスリボンの重量が大きくなり、その自重で流下速度が変化しやすくなっても、ガラスリボンと引っ張りローラーとの間のスリップを防止することができる。特に表面品位に優れたガラス板を得る場合には、スロットダウンドロー法よりも、オーバーフローダウンドロー法を採用することが望ましい。尚、スロットダウンドロー法とは、耐熱性金属(成形体)の一部に形成された長孔状(スロット状)の開口部から溶融ガラスを引き出して板状のガラスリボンとし、このガラスリボンを垂直方向に延伸成形してガラス板を製造するという方法である。
本発明のガラス板の製造設備は、溶融ガラスを成形体に供給すると共に、該成形体から溶融ガラスを垂直方向に延びる搬送経路に流下させて板状のガラスリボンに延伸成形するための成形炉、前記ガラスリボンの熱歪を除去するためのアニール炉、前記ガラスリボンを室温付近まで冷却するための冷却室、を備えてなるガラス板の製造設備において、前記成形炉内には、オーバーフローダウンドロー法、又はスロットダウンドロー法でガラスリボンの延伸成形を行うための成形体が配設され、前記アニール炉内には、前記ガラスリボンが幅方向に収縮しないように前記ガラスリボンの両端部を幅方向に引っ張る引っ張りローラーが配設され、前記冷却室には、前記ガラスリボンの両縁部を挟持し、下降させるための支持ローラーが配設されてなることを特徴とする。
Claims (11)
- 溶融ガラスを成形体に供給すると共に、該成形体から溶融ガラスを垂直方向に延びる搬送経路に流下させて板状のガラスリボンに延伸成形する成形工程、該ガラスリボンの熱歪を除去するアニール工程、該ガラスリボンを室温付近まで冷却する冷却工程、を含むガラス板の製造方法において、
該冷却工程において、該ガラスリボンの両縁部を支持ローラーで挟持し、下降させることを特徴とするガラス板の製造方法。 - 成形工程が、オーバーフローダウンドロー法、又はスロットダウンドロー法でガラスリボンを成形する工程であることを特徴とする請求項1記載のガラス板の製造方法。
- ガラスリボンの有効幅が、2000mm以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス板の製造方法。
- 支持ローラーが、合成ゴムから形成されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガラス板の製造方法。
- 支持ローラーが、ガラスとの静摩擦係数が1.00以上の合成ゴムから形成されてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のガラス板の製造方法。
- 支持ローラーが、耐熱温度が200℃以上の合成ゴムから形成されてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のガラス板の製造方法。
- 支持ローラーを垂直方向に複数対配設し、各支持ローラーでガラスリボンの両縁部を挟持することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のガラス板の製造方法。
- 1本のローラー軸に、3個以上の支持ローラーを離間して取り付け、ガラスリボンの両縁部と中間部を挟持することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のガラス板の製造方法。
- 冷却工程の後、さらにガラスリボンを垂直方向に流下させ、所定寸法に切断する切断工程を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のガラス板の製造方法。
- 溶融ガラスを成形体に供給すると共に、該成形体から溶融ガラスを垂直方向に延びる搬送経路に流下させて板状のガラスリボンに延伸成形するための成形炉、該ガラスリボンの熱歪を除去するためのアニール炉、該ガラスリボンを室温付近まで冷却するための冷却室、を備えてなるガラス板の製造設備において、該冷却室には、該ガラスリボンの両縁部を挟持し、下降させるための支持ローラーが配設されてなることを特徴とするガラス板の製造設備。
- 冷却室の直下に、ガラスリボンを所定長に切断するための切断室を備えてなることを特徴とする請求項10記載のガラス板の製造設備。
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| KR20230167412A (ko) | 2021-04-09 | 2023-12-08 | 니폰 덴키 가라스 가부시키가이샤 | 유리판의 제조 장치, 및 유리판의 제조 방법 |
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-
2012
- 2012-05-11 JP JP2012109367A patent/JP2012167014A/ja not_active Withdrawn
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