JP2012166414A - テストシート、印刷装置、及びテストシートの製造方法 - Google Patents

テストシート、印刷装置、及びテストシートの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】スケールの認識率を低下させることなく、高い分解能を実現することが可能なスケールを備えるテストシートの提供を目的とする。
【解決手段】ドット列毎のドットの発生率を調整する補正値を算出するために用いられるテストシートであって、所定方向に沿った、分解能V1で形成されたドット列が前記所定方向と交差する交差方向において複数並んだ、互いに色が異なる二以上のテストパターンと、前記テストパターン間に形成され、所定方向に並ぶ目盛りを備えるスケール列により構成され、各スケール列の目盛り間での前記所定方向の間隔が(1/V1)の間隔となるスケールとを有する
【選択図】図11

Description

本発明は、ドット列毎のドットの発生率を調整する補正値を算出するために用いられるテストシート、このテストシートの製造方法、及びこのテストシートを印刷する印刷装置、に関する。
媒体(例えば紙や布等)を搬送方向に搬送し、この媒体に印刷を行う印刷装置として、例えば、インクジェットプリンターが知られている。このような印刷装置により印刷が行われた際に、印刷された画像に濃度ムラ(例えば、白スジや黒スジ)が生じると、画像の画質が劣化する。そこで、この問題を解決するための方法として、媒体に形成されたテストシートをスキャナーにより読取り、読み取った画像データを基に算出されるドット列(又は、ラスタラインとも言う)毎の濃度補正値に基づいて画像の濃度を補正する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
上記した濃度ムラの補正方法に用いられるテストシートは、各色で構成されたテストパターンと、このテストパターンの読取り位置を特定するためのスケールとを備えて構成されている。即ち、スケールは、スキャナーにより読み取られた画像データにおける所定方向での位置を示すことで、テストパターンを構成する各ドット列の位置を判断することが可能となる。
特開2009−226802号公報
上記したスケールは、その分解能が高いほどテストパターンの位置情報を正確に取得することが可能となる。ここで、分解能とは、媒体に形成された近接したドットを異なるものとして認識できる能力をいい、本発明では、特に、所定面積に形成されたドットの解像度を示すdpi(dots per inch)を用いてその値を評価する。そのため、スケールの分解能が760dpiより1080dpiのほうが、テストパターンの位置情報をより精度よく求めることが可能となる。一方で、スケールの分解能を高めるためには、理論的には目盛りの間隔を狭くすればよいが、目盛りの形成にも物理的な限界がある。また、目盛りの間隔を狭くすればそれだけ形成される目盛りも小さくなるため、スケールの視認性が悪くなり、スキャナーでの認識率が低下する場合も起こりうる。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、スケールの認識率を低下させることなく、高い分解能を実現することが可能なスケールを備えるテストシートの提供を目的とする。
上記課題を解決するために、本発明では、ドット列毎のドットの発生率を調整する補正値を算出するために用いられるテストシートであって、所定方向に沿った、分解能V1で形成されたドット列が前記所定方向と交差する交差方向において複数並んだ、互いに色が異なる二以上のテストパターンと、前記テストパターン間に配列する、所定方向に並ぶ目盛りを備えるスケール列により構成され、各スケール列の目盛り間での前記所定方向の間隔が(1/V1)の間隔となるスケールとを有する構成としてある。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
印刷システムのブロック構成図である。 ヘッド41の下面におけるノズルの配列を示す説明図である。 通常印刷の説明図である。 先端印刷及び後端印刷の説明図である。 スキャナー150の構成を説明する図である。 濃度ムラを説明するための図である。 スキャナーの読み取り位置の誤差のグラフである。 スキャナーの読取り位置の誤差を説明するための図である。 本実施形態の全体の流れのフロー図である。 BRS補正値の取得処理のフロー図である。 テストシートTSにテストパターンとスケールが形成された様子を示した模式図である。 スケールを説明するための図である。 ステップS203において実行される処理を説明するフロー図である。 1次元の画像データのグラフである。 演算範囲の画素データの説明図である。 テストパターンに係る画像データの修正を説明するための図である。 濃度算出位置に相当する画素データの算出の様子の説明図である。 シアンの5種類の帯状パターンの濃度の取得結果をまとめた取得値テーブルである。 シアンの濃度30%、濃度40%及び濃度50%の帯状パターンの取得値のグラフである。 指令階調値と目標指令階調値との関係を説明する図である。 シアンの補正値テーブルの説明図である。 シアンのn番目の列領域の濃度補正処理の説明図である。 第2の実施形態において解決しようとする課題を説明する図である。 第2の実施形態において実行されるBRS補正値取得処理のフロー図である。 第2の実施形態において実行されるBRS補正値取得処理のフロー図である。 第2の実施形態において実行されるBRS補正値取得処理のフロー図である。
以下、図を参照して、この発明に係る画像処理装置を具体化した第1の実施の形態について説明する。
1.第1の実施形態:
1.1.印刷システムの構成:
1.2.濃度ムラ(バンディング):
1.3.スキャナーの読取位置の誤差:
1.4.BRS補正値取得方法:
1.5.変形例:
2.第2の実施形態:
2.1.BRS補正値取得方法:
2.2.変形例1:
2.3.変形例2:
3.その他の実施形態:
1.第1の実施形態:
1.1.印刷システムの構成:
図1は、印刷システムのブロック構成図である。この印刷システム100は、プリンター1と、コンピューター110と、表示装置120と、入力装置130と、記録再生装置140と、画像入力装置の一例としてのスキャナー150とを備えている。プリンター1は、紙、布、フィルム等の媒体に画像を印刷する印刷装置である。コンピューター110は、プリンター1と通信可能に接続されており、プリンター1に画像を印刷させるため、印刷させる画像に応じた印刷データをプリンター1に出力する。
コンピューター110にはプリンタドライバがインストールされている。プリンタドライバは、表示装置120にユーザインタフェースを表示させ、アプリケーションプログラムから出力された画像データを印刷データに変換させるためのプログラムである。このプリンタドライバは、インターネットを介してコンピューター110にダウンロードすることも可能である。なお、このプログラムは、各種の機能を実現するためのコードから構成されている。
<<<プリンター1の構成>>>
プリンター1は、搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40、検出器群50、及びコントローラ60を有する。外部装置であるコンピューター110から印刷データを受信したプリンター1は、コントローラ60によって各ユニット(搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40)を制御する。コントローラ60は、コンピューター110から受信した印刷データに基づいて、各ユニットを制御し、紙に画像を印刷する。プリンター1内の状況は検出器群50によって監視されており、検出器群50は、検出結果をコントローラ60に出力する。コントローラ60は、検出器群50から出力された検出結果に基づいて、各ユニットを制御する。
搬送ユニット20は、媒体(例えば、紙Sなど)を搬送方向に搬送させるためのものである。この搬送ユニット20は、不図示の、給紙ローラと、搬送モータと、搬送ローラと、プラテンと、排紙ローラとを有する。
キャリッジユニット30は、ヘッドを所定方向(以下、移動方向とも呼ぶ)に移動(「走査」とも呼ばれる)させるためのものである。キャリッジユニット30は、不図示のキャリッジと、キャリッジモータとを有する。キャリッジは、移動方向に往復移動可能であり、キャリッジモータによって駆動される。また、キャリッジは、液体の一例としてのインクを収容するインクカートリッジを着脱可能に保持している。
ヘッドユニット40は、紙にインクを噴射するためのものである。ヘッドユニット40は、複数のノズルを有するヘッドを備える。このヘッドはキャリッジユニット30に設けられているため、キャリッジユニット30が移動方向に移動すると、ヘッドも移動方向に移動する。そして、ヘッドが移動方向に移動中にインクを断続的に噴射することによって、移動方向に沿ったドット列(ラスタライン)が紙に印刷される。
コントローラ60は、プリンターの制御を行うための制御ユニット(制御部)である。コントローラ60は、インターフェース部61と、CPU62と、メモリ63と、ユニット制御回路64とを有する。インターフェース部61は、外部装置であるコンピューター110とプリンター1との間でデータの送受信を行う。CPU62は、プリンター全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリ63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM等の記憶素子を有する。CPU62は、メモリ63に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路64を介して各ユニットを制御する。
図2は、ヘッド41の下面におけるノズルの配列を示す説明図である。ヘッド41の下面には、ブラックインクノズル群Kと、シアンインクノズル群Cと、マゼンタインクノズル群Mと、イエローインクノズル群Yが形成されている。各ノズル群は、所定方向(移動方向)と交差する交差方向(搬送方向)において、各色のインクを噴射するための噴射口であるノズルが複数並んだものであり、ノズルを90個備えている。
各ノズル群の複数のノズルは、搬送方向に沿って、一定の間隔(ノズルピッチ:k・D)でそれぞれ整列している。ここで、Dは、搬送方向における最小のドットピッチ(つまり、紙Sに形成されるドットの最高解像度での間隔)である。また、kは、1以上の整数である。例えば、ノズルピッチが90dpi(1/90インチ)であって、搬送方向のドットピッチが360dpi(1/360インチ)である場合、k=4である。
各ノズル群のノズルは、下流側のノズルほど小さい数の番号が付されている(♯1〜♯90)。つまり、ノズル♯1は、ノズル♯90よりも搬送方向の下流側に位置している。各ノズルには、それぞれインクチャンバー(不図示)と、ピエゾ素子が設けられている。ピエゾ素子の駆動によってインクチャンバーが伸縮・膨張し、ノズルからインク滴が噴射される。
<<<プリンター1の印刷動作>>>
プリンター1は、紙Sに印刷を行う際に、移動方向に移動するヘッド41のノズルからインクを噴射して紙にドットを形成するドット形成動作と、搬送ユニット20によって紙Sを搬送方向に搬送する搬送動作と、を交互に繰り返す。ドット形成動作の際には、ノズルからインクが断続的に噴射され、移動方向に沿う複数のドットから構成されるドット列が形成される。このドット列のことを「ラスタライン」とも言う。
まず、通常印刷について説明する。通常印刷は、インターレース印刷と呼ばれる印刷方法により行われる。ここで、『インターレース印刷』とは、1回のパスで記録されるラスタライン間に、記録されないラスタラインが挟まれるような印刷を意味する。また、『パス』とはドット形成処理を指し、以下の説明で『パスn』とはn回目のドット形成処理を意味する。
図3は、通常印刷の説明図である。図3Aは、パスn〜パスn+3におけるヘッドの位置とドットの形成の様子を示し、図3Bは、パスn〜パスn+4におけるヘッドの位置とドットの形成の様子を示している。
説明の便宜上、複数あるノズル群のうちの一つのノズル群のみを示し、ノズル群のノズル数も少なくしている。また、ヘッド41(又はノズル群)が紙に対して移動しているように描かれているが、同図はヘッド41と紙との相対的な位置を示すものであって、実際には紙が搬送方向に移動される。また、説明の都合上、各ノズルは数ドット(図中の丸印)しか形成していないように示されているが、実際には、移動方向に移動するノズルから間欠的にインク滴が噴射されるので、移動方向に多数のドットが並ぶことになる(このドットの列がラスタラインである)。もちろん、画素データに応じて、ドットが非形成のこともある。
同図において、黒丸で示されたノズルはインクを噴射可能なノズルであり、白丸で示されたノズルはインクを噴射不可なノズルである。また、同図において、黒丸で示されたドットは、最後のパスで形成されるドットであり、白丸で示されたドットは、それ以前のパスで形成されたドットである。
このインターレース印刷では、紙が搬送方向に一定の搬送量Fで搬送される毎に、各ノズルが、その直前のパスで記録されたラスタラインのすぐ上のラスタラインを記録する。但し、この通常印刷のみでは、搬送方向に連続してラスタラインを形成できない箇所がある。そこで、先端印刷及び後端印刷と呼ばれる印刷方法が、通常印刷の前後に行われる。
図4は、先端印刷及び後端印刷の説明図である。最初の5回のパスが先端印刷であり、最後の5回のパスが後端印刷である。
先端印刷では、印刷画像の先端付近を印刷する際に、通常印刷時の搬送量(7・D)よりも少ない搬送量(1・D又は2・D)にて、紙が搬送される。また、先端印刷では、インクを噴射するノズルが一定していない。後端印刷では、先端印刷と同じように、印刷画像の後端付近を印刷する際に、通常印刷時の搬送量(7・D)よりも少ない搬送量(1・D又は2・D)にて、紙が搬送される。また、後端印刷では、先端印刷と同じように、インクを噴射するノズルが一定していない。これにより、先頭ラスタラインから最終ラスタラインまでの間に、搬送方向に連続して並ぶ複数のラスタラインを形成することができる。
通常印刷だけでラスタラインが形成される領域を「通常印刷領域」と呼ぶ。また、通常印刷領域よりも紙の先端側(搬送方向下流側)に位置する領域を「先端印刷領域」と呼ぶ。また、通常印刷領域よりも後端側(搬送方向上流側)に位置する領域を「後端印刷領域」と呼ぶ。先端印刷領域には、30本のラスタラインが形成される。同様に、後端印刷領域にも、30本のラスタラインが形成される。これに対し、通常印刷領域には、紙の大きさにもよるが、およそ数千本のラスタラインが形成される。
通常印刷領域のラスタラインの並び方には、搬送量に相当する個数(ここでは7個)のラスタライン毎に、規則性がある。図4の通常印刷領域の最初から7番目までのラスタラインは、それぞれ、ノズル♯3、ノズル♯5、ノズル♯7、ノズル♯2、ノズル♯4、ノズル♯6、ノズル♯8、により形成され、次の8番目以降の7本のラスタラインも、これと同じ順序の各ノズルで形成されている。
一方、先端印刷領域及び後端印刷領域のラスタラインの並びには、通常印刷領域のラスタラインと比べると、規則性を見出し難い。
<<<スキャナーの構成>>>
図5は、スキャナー150の構成を説明する図である。図5Aは、スキャナー150の断面図である。図5Bは、上蓋151を外した状態のスキャナー150の上面図である。
スキャナー150は、上蓋151と、原稿5が置かれる原稿台ガラス152と、この原稿台ガラス152を介して原稿5と対面しつつ副走査方向に移動する読取キャリッジ153と、読取キャリッジ153を副走査方向に案内する案内部154と、読取キャリッジ153を移動させるための移動機構155と、スキャナー150内の各部を制御するスキャナコントローラ(不図示)とを備えている。読取キャリッジ153には、原稿5に光を照射する露光ランプ157と、主走査方向(図5Aにおいて紙面に垂直な方向)のラインの像を検出する読み取り部の一例としてのラインセンサ158と、原稿5からの反射光をラインセンサ158へ導くための光学系159とが設けられている。図中の読取キャリッジ153の内部の破線は、光の軌跡を示している。
1.2.濃度ムラ(バンディング):
プリンターが印刷を行うとき、濃度ムラが生じる。ここでは、説明の簡略化のため、単色印刷された画像中に生じる濃度ムラの発生原因について説明する。なお、多色印刷の場合、以下に説明する濃度ムラの発生原因が色毎に生じている。
以下の説明において、「単位領域」とは、紙等の媒体上に仮想的に定められた矩形状の領域を指し、印刷解像度に応じて大きさや形が定められる。例えば、印刷解像度が360dpi(移動方向)×360dpi(搬送方向)の場合、単位領域は、約70.56μm×70.56μm(≒1/360インチ×1/360インチ)の大きさの正方形状の領域になる。理想的にインク滴が噴射されると、この単位領域の中心位置にインク滴が着弾し、その後インク滴が媒体上で広がって、単位領域にドットが形成される。なお、一つの単位領域には、画像データを構成する一つの画素が対応している。また、各単位領域に画素が対応付けられるので、各画素の画素データも、各単位領域に対応付けられることになる。
また、以下の説明において、「列領域」とは、移動方向に並ぶ複数の単位領域によって構成される領域をいう。例えば印刷解像度が360dpi×360dpiの場合、列領域は、搬送方向に70.56μm(≒1/360インチ)の幅の帯状の領域になる。移動方向に移動するノズルから理想的にインク滴が断続的に噴射されると、この列領域にラスタラインが形成される。なお、列領域には、移動方向に並ぶ複数の画素が対応付けられることになる。
図6は、濃度ムラを説明するための図である。図6Aは、理想的にドットが形成されたときの様子の説明図である。同図では、理想的にドットが形成されているので、各ドットは単位領域に正確に形成され、ラスタラインは列領域に正確に形成される。図中、列領域は、点線に挟まれる領域として示されており、ここでは1/360インチの幅の領域である。各列領域には、その領域の着色に応じた濃度の画像片が形成されている。ここでは、説明の簡略化のため、ドット生成率が50%となるような一定濃度の画像を印刷するものとする。
図6Bは、濃度ムラの説明図である。ここでは、5番目の列領域に向かって噴射されたインク滴のインク量が少なく、5番目の列領域に形成されるドットが小さくなっている。
本来であれば同じ濃度の画像片が各列領域に形成されるべきであるにもかかわらず、列領域に応じて画像片に濃淡が発生する。例えば、5番目の列領域の画像片は、比較的淡くなる。
そして、このようなラスタラインからなる印刷画像を巨視的に見ると、キャリッジの移動方向に沿う縞状の濃度ムラが視認される。この濃度ムラは、印刷画像の画質を低下させる原因となる。
図6Cは、本実施形態の印刷方法によりドットが形成されたときの様子の説明図である。本実施形態では、濃く視認されやすい列領域に対しては、淡く画像片が形成されるように、その列領域に対応する画素の画素データ(CMYK画素データ)の階調値を補正する。また、淡く視認されやすい列領域に対しては、濃く画像片が形成されるように、その列領域に対応する画素の画素データの階調値を補正する。例えば、5番目の列領域のドットの生成率が高くなるように、各列領域に対応する画素の画素データの階調値が補正される。これにより、各列領域のラスタラインのドット生成率が変更され、列領域の画像片の濃度が補正されて、印刷画像全体の濃度ムラが抑制される。すなわち、本実施形態では、列領域毎に設定される補正値(後述するBRS補正値(濃度ムラを補正するための補正値))に基づいて、画素データの階調値を補正している。
1.3.スキャナーの読取位置の誤差:
ここでは、720dpi(主走査方向)×720dpi(副走査方向)の解像度で画像を読み取ることを前提にして説明を行う。
図7は、スキャナーの読み取り位置の誤差のグラフである。グラフの横軸は、読み取り位置(理論値)を示している(すなわち、グラフの横軸は、読取キャリッジ153の位置(理論値)を示している)。グラフの縦軸は、読み取り位置の誤差(読み取り位置の理論値と実際の読み取り位置との差)を示している。このグラフによれば、例えば、読取キャリッジ153を1インチ(=25.4mm)移動させると、約60μmの誤差が生じることになる。
仮に、読み取り位置の理論値と実際の読み取り位置が一致していれば、基準位置(読み取り位置がゼロの位置)を示す画素から副走査方向に720画素離れた画素は、基準位置からちょうど1インチ離れた位置の画像を示すはずである。しかし、グラフに示すような読み取り位置の誤差が生じた場合、基準位置を示す画素から副走査方向に720画素離れた画素は、基準位置から1インチ離れた位置よりも60μmだけ更に離れた位置の画像を示すことになる。
また、仮に、グラフの傾きがゼロであれば、1/720インチ毎に等間隔に、画像が読み取られるはずである。しかし、グラフの傾きがプラスの位置では、1/720インチよりも長い間隔で画像が読み取られることになる。また、グラフの傾きがマイナスの位置では、1/720インチよりも短い間隔で画像が読み取られることになる。
図8は、スキャナーの読取り位置の誤差を説明するための図である。図8Aは、スキャナーの読み取り位置が正確な場合の原稿と画像データの関係の説明図である。なお、読取キャリッジ153は、原稿に対して、図中の縦方向に相対的に移動する。また、画像データの示す画像は、1/720インチ(主走査方向)×1/720インチ(副走査方向)の大きさの正方形状の画素がマトリクス状に並べられて構成されている。
ここでは、説明の簡略化のため、原稿は、高さが約2000/720インチの正三角形とする。また、説明の都合上、この正三角形の高さの半分の位置(正三角形の頂点から1000/720インチ離れた位置)には、白ラインが形成されている。以下の説明では、読み取り位置の副走査方向の基準は正三角形の頂点の位置とし、また、画像データにおける画素の位置の基準は正三角形の頂点の画素とする。
スキャナー150の読み取り位置が正確な場合、原稿は、読取キャリッジ153が副走査方向に1/720インチ移動する毎に、等間隔に、読み取られる(左図参照)。このように読み取られた画像データの画像は、原稿の示す画像の通りになる(右図参照)。なお、原稿中の白ラインは、1001回目の読み取り時に読み取られ、基準画素から1000画素離れた画素の画素データとして読み取られている。
図8Bは、スキャナーの読み取り位置に誤差がある場合の原稿と画像データの関係の説明図である。ここでは、基準位置に近い位置では1/720インチよりも短い間隔で(即ち密に)画像が読み取られ、基準位置から遠い位置では1/720インチよりも長い間隔で(即ち粗く)画像が読み取られる(左図参照)。このように読み取られた画像データの画像は、原稿の示す形状から変形している(右図参照)。なお、1001回目の読み取り時には、原稿中の白ラインよりも上の位置の画像が読み取られる(左図参照)。また、原稿中の白ラインは、約1200回目の読み取り時に読み取られ(左図参照)、基準画素から約1200画素離れた画素の画素データとして読み取られている(右図参照)。この結果、画像データにおける白ラインは、原稿の白ラインよりも、相対的に下側に位置している。
ところで、後述するように、本実施形態では、濃度ムラを補正するためのBRS補正値を算出する際に、プリンターが印刷したBRS補正用のテストパターンをスキャナーが読み取っている。しかし、スキャナーの読み取り位置に誤差があると、BRS補正用のテストパターンを正確に読み取ることができず、この結果、補正値を正確に算出できなくなる。そこで、スキャナー150によって読み取られた画像データに基づいて補正値を算出する際に、スキャナー150の特性を考慮する必要がある。
1.4.BRS補正値取得方法:
図9は、本実施形態の全体の流れのフロー図である。これらの処理は、プリンター製造工場の検査工程において行われる。
まず、検査者は、検査対象となるプリンター1をコンピューター110に取り付ける(S100、図1参照)。
プリンターの取り付け後、コンピューター110は、濃度ムラを補正するためのBRS補正値の取得処理を行う(S200)。なお、BRS補正値の取得処理の際には、スキャナー150がBRS補正用のテストパターン(後述)を読み取ると共にスケール(後述)を読み取ることになる。
そして、他のプリンターの検査を更に行う場合には(S300でYES)、S100及びS200の処理を繰り返し行う。
なお、検査を終えたプリンターのメモリ63には、BRS補正値が記憶されており、このプリンターが工場から出荷され、プリンターを購入したユーザへ届く。ユーザが印刷を行うとき、BRS補正値によって濃度ムラが補正され、高画質な印刷結果が得られる。
以下、S200のBRS補正値の取得処理について詳しく説明する。
===BRS補正値の取得処理(S200)===
図10は、BRS補正値の取得処理のフロー図である。なお、BRS補正値とは、画像の濃度(濃度ムラ)を補正するときに用いる濃度補正値である。各処理は、コンピューター110にインストールされたBRS補正用プログラムによって実現される。
まず、コンピューター110が印刷データをプリンター1に送信し、プリンター1が媒体の一例としてのテストシートTSに、BRS補正用のテストパターン(以下、単に、テストパターンと呼ぶ)を形成するとともに、目盛りが複数並んだスケールを形成する(S201)。次に、検査者はテストシートTSをスキャナー150にセットし、スキャナー150にテストパターンとスケールとを読み取らせ、テストパターンとスケールの画像データを取得する(S202)。次に、コンピューター110は、スケールの画像データに基づいて、該画像データにおける目盛りの位置を示す位置情報を取得する(S203)。そして、コンピューター110は、当該位置情報とテストパターンの画像データとに基づいて、BRS補正値をドット列毎(列領域毎)に算出する(S204)。そして、コンピューター110は、補正データをプリンター1に送信し、プリンター1のメモリ63にBRS補正値を記憶させる(S204)。プリンターに記憶されるBRS補正値は、個々のプリンターの濃度ムラ特性を反映したものになる。
なお、BRS補正値を記憶したプリンターは、梱包されてユーザの下に届けられる。ユーザがプリンターで画像を印刷する際に、プリンターは、印刷すべき画像の画像データをBRS補正値に基づいて補正し、補正後の画像データに基づいて印刷を行う。これにより、印刷された画像は、濃度ムラの軽減した画像になる。
以下、BRS補正値の取得処理における各処理について説明する。
<<<テストパターンとスケールの形成ステップ(S201)>>>
図11は、テストシートTSにテストパターンとスケールが形成された様子を示した模式図である。図12は、スケールを説明するための図である。なお、図11においては、図を分かり易くするために、目盛りの間隔が実際の間隔よりも広いスケールが表されている。
本ステップにおいては、所定方向に沿った、分解能V1(本実施形態では720dpi)で形成されたドット列が前記搬送方向において複数並んだテストパターンと、このテストパターン間に形成され、所定方向に並ぶ目盛りを備えるスケール列により構成され、各スケール列の目盛り間での所定方向の間隔が(1/V1)の間隔となるスケールをテストシートTSに形成する。
より具体的には、図11に示すように、各々のテストパターンは、前記移動方向に沿ったドット列(ラスタライン)を該ドット列(ラスタライン)が前記搬送方向において1/720インチ間隔で複数並ぶように印刷することにより形成される。
かかるテストパターンとして、互いに色が異なる二以上のテストパターンを、該四つのテストパターンが前記移動方向において並ぶように(本実施の形態においては、左から右へ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順に並ぶ)テストシートTSに形成する。
各々のテストパターンは、5種類の濃度の帯状パターンにより構成される。帯状パターンは、それぞれ一定の階調値の画像データから生成されたものであり、左の帯状パターンから順に階調値76(濃度30%)、102(濃度40%)、128(濃度50%)、153(濃度60%)及び179(濃度70%)となり、順に濃い濃度のパターンになっている。なお、これらの5種類の階調値(濃度)を「指令階調値(指令濃度)」と呼び、記号でSa(=76)、Sb(=102)、Sc(=128)、Sd(=153)、Se(=179)と表す。
そして、スケールを該スケールが前記二以上のテストパターン(四つのテストパターン)のうちの一のテストパターン(本実施の形態においては、マゼンタ色のテストパターン)と他のテストパターン(本実施の形態においては、シアン色のテストパターン)との間に位置するように形成する。なお、本実施の形態においては、スケールを、テストシートTSの移動方向の中心に位置するよう2つのテストパターンと2つのテストパターンとの間に位置するように形成する。つまり、移動方向(例えば、図11中、左から右へ向かう移動方向)においてスケールよりも上流側に位置するテストパターンの数が下流側に位置するテストパターンの数と同じになるようにスケールを形成する。
また、図12に示すように、本実施形態に係るスケールは、各スケール列S1〜S8がテストパターンの分解能(720dpi)の約数となる分解能V2(本実施形態では90dpi)の目盛りを備え、移動方向で隣り合う各スケール列Sの各目盛は、搬送方向でこのスケールが所望とする分解能を取得できるよう所定幅だけずれて印刷されている。即ち、90dpiの目盛り幅(1/90インチ)を備えるスケール列Sを移動方向に8本配列させ、各スケール列S1〜S8はその目盛りが1/720インチ毎にずれて配置するよう印刷されている。そのため、スケールは各スケール列S1〜S8の目盛りを搬送方向に昇順に合成することで、理論的には、ラスタラインと同様の分解能(720dpi=90dpi×8)を備えることとなる。また、本実施形態に係る目盛りの移動方向の長さは4mmである。
上記例以外にも、スケールが1080dpiの分解能を必要とする場合は、90dpiの分解能を備えるスケール列を移動方向に、各目盛りのズレが(1080dpi=90×12)となるよう移動方向に12本配列させればよい。無論、スケール列Sの分解能は、90dpiに限定されず、各スケール列Sの分解能を180dpiとし、スケール列の数を6本とすれば、同様の分解能(1080dpi=180dpi×6)とすることができる。
上記したテストパターンとスケールは、前述した印刷方法(<<<プリンター1の印刷動作>>>の項で図3A及び図3Bを参照して説明した方法)により形成される。すなわち、テストパターンとスケールは、ヘッド41のノズル群とテストシートTSとの前記移動方向における相対位置を移動させながら、該ノズル群からインクを噴射してテストシートTSにドット(ドット列)を形成するドット形成処理(より具体的には、ヘッド41(のノズル群)を前記移動方向に移動させながら、該ノズル群からインクを噴射してテストシートTSにドット(ドット列)を形成するドット形成処理)と、搬送ユニット20によってテストシートTSを搬送方向に搬送する搬送処理と、を交互に繰り返して、前述した先端印刷、通常印刷、後端印刷を順に実施することにより、形成される。この結果、ドット列(ラスタライン)が、上から数えて1番目のドット列(ラスタライン)から最終のドット列(ラスタライン)まで数千個(ラスタラインが、先端印刷で30個、通常印刷で数千個、後端印刷で30個形成される)並ぶことによりテストパターンが形成されることとなる。
<<<テストパターンとスケールの画像データ取得ステップ(S202)>>>
テストパターン及びスケールの形成後、検査者は、テストシートTSをスキャナー150にセットする。そして、コンピューター110は、スキャナー150にテストパターンとスケールを読み取らせ、各々の画像データを取得する。すなわち、スキャナー150は、スキャナー150のラインセンサ158を前記所定方向(テストシートTSに形成されたドット列が沿う方向)と交差する交差方向(テストシートTSに形成されたドット列が並ぶ方向)に移動させながら該ラインセンサ158によりテストパターンとスケールを読み取って、各々の画像データが取得される。
このときの読み取り解像度は、本実施の形態において、2880dpi(所定方向(主走査方向とも呼ぶ))×2880dpi(交差方向(副走査方向とも呼ぶ))である。画像データは、x方向(主走査方向に対応する方向)とy方向(副走査方向に対応する方向)の2次元に並ぶ画素の画素データから構成されることとなる。しかしながら、スキャナー150の読み取り位置に誤差があると、各画素の対応する副走査方向の長さは、長くなったり、短くなったりする。この結果、読み取り位置の誤差のため、画像データの示すテストパターンの画像は副走査方向(y方向)に歪んだ画像になり、また、画像データの示すスケールの目盛りは、等間隔にはならず、実際のスケールと異なる。
<<<スケールの目盛りの位置情報取得ステップ(S203)>>>
本ステップにおいては、スケールの画像データ(画素データ)に基づいて、該画像データにおける目盛りの前記交差方向における位置を示す位置情報を取得する。ここで、スケールは、移動方向に並ぶ複数のスケール列Sにより構成されるため、各スケール列Sの目盛りの位置情報をy方向の位置に応じて合成することでスケール全体での位置情報を取得する。
図13は、ステップS203において実行される処理を説明するフロー図である。
ステップS2031では、コンピューター110は、所定のスケール列Sに対して、目盛りの位置を示す位置情報を算出する。そのため、コンピューター110は、まず、スケール列S1に係る画像データに対して、2次元の画像データのx方向に並ぶ画素の画素データの階調値を平均化する。これにより、y方向の1次元の画像データが作成される。この1次元の画像データは、y方向に2880dpiで並ぶ画素の画素データから構成される。
図14は、1次元の画像データのグラフである。グラフの縦軸は階調値であり、横軸は画素のy方向の位置を示している。なお、最初の画素のy方向の位置は0であり、この画素から100画素離れた画素のy方向の位置は100である。
1/90インチ間隔の目盛りからなるスケールが2880dpiの解像度で読み取られたため、目盛りの位置を示すピークが約32画素ごとにグラフ上に現れている。但し、スキャナー150の読み取り位置に誤差があるため、ピークの間隔は必ずしも32画素にはなっていない。そこで、コンピューターは、以下の処理によって、画像データにおける目盛りの位置を算出する。
まず、コンピューター110は、最初のピークの前後の32画素(図14の点線の範囲)の画素データを演算範囲として取り出す。
図15は、演算範囲の画素データの説明図である。又、図15Aは、32画素毎に取得された演算範囲の画素データの説明図である。y方向の整数の位置に、離散的に画素データ(階調値)がある。コンピューター110は、これらの画素データの最小値を求め、各画素データを最小値で減算する。これにより、画素データの最小値は0になる。
次に、コンピューターは、画素データの正規化を行う。正規化は、32個の画素データの階調値の合計を求め、各画素データの階調値を合計値で割ることによって実現される。これにより、正規化後の32個の画素データの階調値の合計は1になる。
図15Bは、正規化後の画素データの説明図である。コンピューター110は、目盛りの位置として、正規化後の画素データの重心位置を算出する。画素データの重心位置は、画素毎に画素データの階調値とy方向の位置とを乗算し、その総和を算出することによって求められる。
そして、コンピューター110は、算出された重心位置を、目盛りの位置として記憶する。なお、画素データはy方向の整数位置に対応しているが、前記重心位置は必ずしも整数位置にはならない。
コンピューター110は、上記の処理を繰り返し行い、画像データにおける目盛りのy方向における位置を全て算出し、当該位置を示す位置情報を取得する。なお、次の演算範囲は、直前に算出した重心位置から32画素分だけ離れた位置を中心にした前後の32画素の画素データとなる。
仮にスキャナー150の読み取り位置に誤差が無ければ、算出された目盛りの位置の間隔は、32(画素)になるはずである。しかし、実際には読み取り位置の誤差があるため、算出された目盛りの位置の間隔は32(画素)にならない。但し、算出された目盛りの位置を示す位置情報は、スキャナー150の読み取り位置の誤差を反映した情報になる。
次に、全てのスケール列に対して目盛りの位置情報が取得されていなければ(ステップS2032:NO)、ステップS2033では、位置情報を取得するためのスケール列Sを変更し、このスケール列Sに対しても目盛りの位置情報を取得する。
全てのスケール列Sに対して目盛りの位置情報が取得された場合は(ステップS2032:YES)、ステップS2034では、全てのスケール列において取得した位置情報を、y方向の位置に応じて昇順にソートし、位置情報を合成する。例えば、図11に示すスケールでは、各スケール列Sは隣り合うスケール列Sに対して目盛りが1/720ドットずつ搬送方向にずれるため、スケール列Sの並びに応じて、スケール列S1の目盛り、スケール列S2の目盛り…スケール列S8の目盛りの順序で、位置情報が記録される。
本ステップにより、各スケール列Sの目盛りは、720dpiの分解能を備える仮想的なスケールの目盛りとして合成される。即ち、理論的には、隣り合うスケール列S間の目盛りのズレ量を分解能とする仮想的なスケールの目盛り位置が算出される。
算出された目盛りの位置はコンピューター110に記憶され、後述するBRS補正値取得ステップ(S204)にて使用される。
<<<BRS補正値取得ステップ(S204)>>>
本ステップにおいては、S203で取得した位置情報とテストパターンの画像データとに基づいて、BRS補正値をドット列(ラスタライン)毎に取得する。本実施の形態においては、先ず、当該位置情報に基づいてテストパターンの画像データを修正する。そして、修正された画像データに基づいて、BRS補正値をドット列(ラスタライン)毎に取得する。
まず、コンピューター110は、S203で取得した位置情報に基づいて、「濃度算出位置」を算出する。「濃度算出位置」は、実際の1/2880インチ間隔(等間隔)の位置が画像データ上でどの位置にあるのかを示すものである。S203で算出した目盛りの位置は、スケール列Sの目盛りの位置情報を合成して作成された1/720インチ間隔の位置が画像データ上でどの位置にあるかを示しているので、濃度算出位置は、S203で算出した目盛りの位置を4分割することによって算出される。つまり、スケールの目盛りの間の3点の位置を補間することにより、濃度算出位置が求められる。
仮にスキャナー150の読み取り位置に誤差がなければ、算出された濃度算出位置の間隔は、1(画素)になるはずである。しかし、実際には読み取り位置の誤差があるため、算出された濃度算出位置の間隔は1(画素)にならない。また、大抵の場合、濃度算出位置は整数にはならない。
次に、コンピューター110は、濃度算出位置に相当するテストパターンの画素データ(階調値)を算出し、算出された画素データに基づいてテストパターンの画像データを修正する。
図16は、テストパターンに係る画像データの修正を説明するための図である。図16Aは、テストパターンの修正前の画像データの説明図である。図中の横軸は、画素のy方向の位置を示している。横軸の目盛は、y方向の整数の位置を示しており、各画素の対応する位置を示している。なお、最初の画素のy方向の位置は0であり、この画素から100画素離れた画素のy方向の位置は100である。図中の縦軸は、画素データの示す階調値を示している。ここでは、2次元の画像データのy方向に並ぶ画素の画素データの階調値が、離散的なデータとして黒丸として示されている。
図16Bは、濃度算出位置に相当する画素データの算出方法の説明図である。図中の矢印の位置は、濃度算出位置を示している。既に説明したように、読み取り位置の誤差のため、濃度算出位置の間隔は1にならず、濃度算出位置は整数にならない。コンピューター110は、直線補間によって、濃度算出位置に相当する階調値を算出する。
そして、1番目の濃度算出位置の階調値をy方向1番目の画素の画素データとし、n番目の濃度算出位置の階調値をy方向n番目の画素の画素データとし、テストパターンの画像データが修正される。この結果、当該画像データの画像の副走査方向(y方向)の歪が修正される。つまり、テストパターンの画像の副走査方向(y方向)の歪が修正される。
図17は、濃度算出位置に相当する画素データの算出の様子の説明図である。例えば22番目の濃度算出位置が「22.264」の場合、y方向の位置が「22」の画素Aの画素データと「23」の画素Bの画素データとに基づいて、この濃度算出位置の階調値が直線補間によって算出され、算出された階調値が画素Cの画素データになる。なお、画素Cの右隣の画素の画素データは、画素Aの右隣の画素の画素データと、画素Bの右隣の画素の画素データとに基づいて、直線補間によって算出されることになる。
そして、コンピューター110は、2880dpiのテストパターンの画像が720dpiの画像となるように解像度変換する。この解像度変換により、y方向に並ぶ画素数と、テストパターンを構成するラスタラインの数とが同数になる。この結果、解像度変換後の画像データ上でx方向に並ぶ画素の列が、列領域に対応することになる。例えば、1番上に位置するx方向の画素列は1番目の列領域に対応し、その下に位置する画素列は2番目の列領域に対応する。
次に、コンピューター110は、各列領域における5種類の帯状パターンのそれぞれの濃度を取得する。x方向に並ぶ各画素列には5種類の濃度のパターンの部分がそれぞれ含まれているため、例えばある列領域の濃度30%のパターンの濃度を取得する場合、コンピューター110は、その列領域に対応する画素列における濃度30%のパターンの画像を構成する画素の階調値を平均して、濃度を算出する。
図18は、シアンの5種類の帯状パターンの濃度の取得結果をまとめた取得値テーブルである。このように、コンピューター110は、列領域毎に、5種類の帯状パターンの濃度の取得値を対応付けて、取得値テーブルを作成する。他の色についても、取得値テーブルが作成される。なお、以下の説明では、ある列領域について、階調値Sa〜Seの帯状パターンの取得値をそれぞれMa〜Meとしている。
図19は、シアンの濃度30%、濃度40%及び濃度50%の帯状パターンの取得値のグラフである。各帯状パターンは、それぞれ指令階調値で一様に形成されたにも関わらず、列領域毎に濃淡が生じている。この列領域の濃淡差が、印刷画像の濃度ムラの原因である。
濃度ムラをなくすためには、各帯状パターンの取得値が一定になることが望ましい。そこで、階調値Sb(濃度40%)の帯状パターンの取得値を一定にするための処理について検討する。ここでは、階調値Sbの帯状パターンの全列領域の取得値の平均値Cbtを、濃度40%の目標値と定める。この目標値Cbtよりも取得値が淡い列領域iでは、階調値を濃くする方へ補正すれば良いと考えられる。一方、目標値Cbtよりも取得値が濃い列領域jでは、階調値を淡くする方へ補正すれば良いと考えられる。
そこで、コンピューター110は、列領域毎に補正値を算出する。ここでは、ある列領域における指令階調値Sbに対する補正値の算出について説明する。以下に説明するように、図19の列領域iの指令階調値Sb(濃度40%)に対する補正値は、階調値Sb及び階調値Sc(濃度50%)の取得値に基づいて算出される。一方、列領域jの指令階調値Sbに対する補正値は、階調値Sb及び階調値Sa(濃度30%)の取得値に基づいて算出される。
図20は、指令階調値と目標指令階調値との関係を説明する図である。図20Aは、列領域iにおける指令階調値Sbに対する目標指令階調値Sbtの説明図である。この列領域iでは、指令階調値Sbで形成された帯状パターンの濃度の取得値Mbは、目標値Mbtよりも小さい階調値を示す(この列領域の濃度は、平均濃度よりも淡い)。仮に、この列領域に目標値Mbtの濃度のパターンをプリンターに形成させるならば、プリンタドライバは、次式(直線BCに基づく直線補間)により算出される目標指令階調値Sbtに基づいて指令すればよいと考えられる。
Sbt=Sb+(Sc−Sb)×{(Mbt−Mb)/(Mc−Mb)}
図20Bは、列領域jにおける指令階調値Sbに対する目標指令階調値Sbtの説明図である。この列領域jでは、指令階調値Sbで形成された帯状パターンの濃度の取得値Mbは、目標値Mbtよりも大きい階調値を示す(この列領域の濃度は、平均濃度よりも濃い)。仮に、この列領域に目標値Mbtの濃度のパターンをプリンターに形成させるならば、プリンタドライバは、次式(直線BCに基づく直線補間)により算出される目標指令階調値Sbtに基づいて指令すればよいと考えられる。
Sbt=Sb−(Sb−Sa)×{(Mbt−Mb)/(Ma−Mb)}
このようにして目標指令階調値Sbtを算出した後、コンピューター110は、次式により、この列領域における指令階調値Sbに対する補正値Hbを算出する。
Hb=(Sbt−Sb)/Sb
コンピューター110は、列領域毎に、階調値Sb(濃度40%)に対する補正値Hbを算出する。同様に、階調値Sc(濃度50%)に対する補正値Hcを、各列領域の取得値Mcと、取得値Mb又はMdに基づいて、列領域毎に算出する。同様に、階調値Sd(濃度60%)に対する補正値Hdを、各列領域の取得値Mdと、取得値Mc又はMeに基づいて、列領域毎に算出する。また、他の色についても、列領域毎に、3つの補正値(Hb、Hc、Hd)を算出する。
ところで、通常印刷領域には、数千個のラスタラインがあるが、7個のラスタライン毎に規則性がある。通常印刷領域の補正値の算出では、この規則性が考慮される。
コンピューター110は、通常印刷領域の1番目の列領域(印刷領域全体の31番目の列領域)における補正値を算出するとき、前述の取得値Maには、通常印刷領域の1、8、15、22、29、36、43、50、・・・番目の列領域の濃度30%の取得値の平均値が用いられる。同様に、通常印刷領域の1番目の列領域(印刷領域全体の31番目の列領域)における補正値を算出するとき、前述の取得値Mb〜Meには、通常印刷領域の1、8、15、22、29、36、43、50、・・・番目の列領域の各濃度の取得値の平均値がそれぞれ用いられる。そして、このような取得値Ma〜Meに基づいて、前述の通りに、通常印刷領域の1番目の列領域の補正値(Hb、Hc、Hd)が算出される。このように、通常印刷領域の列領域の補正値は、7個おきの列領域の各濃度の取得値の平均に基づいて、算出される。この結果、通常印刷領域では、1番目〜7番目の7個の列領域に対してだけ補正値が算出され、8番目以降の列領域に対する補正値の算出は行なわれない。言い換えると、通常印刷領域の1番目〜7番目の7個の列領域に対する補正値が、8番目以降の列領域に対する補正値にもなる。これらの補正値が、濃度ムラを補正するためのBRS補正値になる。
次に、コンピューター110は、補正値をプリンター1のメモリ63に記憶する。
図21は、シアンの補正値テーブルの説明図である。補正値テーブルには、先端印刷領域用、通常印刷領域用、後端印刷領域用の3種類ある。各補正値テーブルには、3つの補正値(Hb、Hc、Hd)が、列領域毎に対応付けられている。例えば、各列領域のn番目のラスタラインには、3つの補正値(Hb_n、Hc_n、Hd_n)が対応付けられている。3つの補正値(Hb_n、Hc_n、Hd_n)は、それぞれ、指令階調値Sb(=102)、Sc(=128)及びSd(=153)に対応する。なお、他の色の補正値テーブルも同様である。
プリンター1のメモリ63に補正値を記憶させた後、BRS補正値取得処理は終了する。その後、プリンター1とコンピューター110との接続が外され、プリンター1に対する他の検査を終えて、プリンター1が工場から出荷される。プリンター1には、プリンタドライバを記憶したCD−ROMも同梱される。
<<<濃度ムラの補正(参考)>>>
参考までに、BRS補正値を用いた印刷方法について説明する。但し、BRS補正値を用いた印刷方法は、ユーザ下での印刷動作の際に行われるものであり、上記の「BRS補正値の取得処理」の際に行われるわけではない。
プリンター1を購入したユーザは、自身の所有するコンピューター110(もちろん、プリンター製造工場のコンピューターとは別のコンピューター)にプリンター1を接続する。そして、同梱されているCD−ROMがコンピューター110にセットされると、コンピューター110にプリンタドライバがインストールされる。このとき、プリンタドライバは、プリンター1に対して補正値の送信を要求し、プリンターから送られてくるBRS補正値をメモリに記憶する。
プリンタドライバは、ユーザからの印刷命令を受けると、解像度変換処理、色変換処理、濃度補正処理、ハーフトーン処理、ラスタライズ処理を行う。なお、BRS補正値は、この濃度補正処理に用いられる。以下、これらの処理について説明する。
解像度変換処理は、アプリケーションプログラムから出力された画像データ(テキストデータ、イメージデータなど)を、紙に印刷する際の解像度に変換する処理である。例えば、紙に画像を印刷する際の解像度が720×720dpiに指定されている場合、アプリケーションプログラムから受け取った画像データを720×720dpiの解像度の画像データに変換する。なお、解像度変換処理後の画像データは、RGB色空間により表される256階調のデータ(RGBデータ)である。
色変換処理は、RGBデータをCMYK色空間により表されるCMYKデータに変換する処理である。この色変換処理により、各画素についてのRGBデータが、インク色に対応するCMYKデータに変換される。なお、色変換処理後のデータは、CMYK色空間により表される256階調のCMYKデータである。
濃度補正処理は、各画素データの階調値を、その画素データの属する列領域の対応する補正値に基づいて補正する処理である。
図22は、シアンのn番目の列領域の濃度補正処理の説明図である。同図は、シアンのn番目の列領域に属する画素の画素データの階調値S_inを補正する様子を示している。なお、補正後の階調値はS_outである。
仮に補正前の画素データの階調値S_inが指令階調値Sbと同じであれば、プリンタドライバは、階調値S_inを目標指令階調値Sbtに補正すれば、その画素データの対応する単位領域に目標濃度Mbtの画像を形成することができる。つまり、補正前の画素データの階調値S_inが指令階調値Sbと同じであれば、指令階調値Sbに対応する補正値Hbを用いて、階調値S_in(=Sb)をSb×(1+Hb)に補正するのが良い。同様に、補正前の画素データの階調値Sが指令階調値Scと同じであれば、階調値S_in(=Sc)をSc×(1+Hc)に補正するのが良い。
これに対し、補正前の階調値S_inが指令階調値とは異なる場合、図に示すような直線補間によって、出力すべき階調値S_outが算出される。図中の直線補間では、各指令階調値(Sb、Sc、Sd)に対応する補正後の各階調値S_out(Sbt、Sct、Sdt)の間を直線補間している。
先端印刷領域の1番目〜30番目の各列領域の画素データに対しては、プリンタドライバは、先端印刷領域用の補正値テーブルに記憶されている1番目〜30番目の各列領域に対応する補正値に基づいて、濃度補正処理を行う。例えば、先端印刷領域の1番目の列領域の画素データに対しては、プリンタドライバは、先端印刷用の補正値テーブルの1番目の列領域の補正値(Hb_1、Hc_1、Hd_1)に基づいて、濃度補正処理を行う。
通常印刷領域の1番目〜7番目の各列領域(印刷領域全体の31番目〜38番目の各列領域)の画素データに対しては、プリンタドライバは、通常印刷領域用の補正値テーブルに記憶されている1番目〜7番目の各列領域に対応する補正値に基づいて、濃度補正処理を行う。但し、通常印刷領域には数千個の列領域が存在するが、通常印刷領域用の補正値テーブルには、7個分の列領域に対応する補正値しか記憶されていない。そこで、通常印刷領域の8番目〜14番目の各列領域の画素データに対しては、プリンタドライバは、通常印刷領域用の補正値テーブルに記憶されている1番目〜7番目の各列領域に対応する補正値に基づいて、濃度補正処理を行う。このように、通常印刷領域の列領域に対しては、プリンタドライバは、7個の列領域毎に、1番目〜7番目の各列領域に対応する補正値を繰り返して用いる。通常印刷領域では7個の列領域毎に規則性があるため、濃度ムラの特性も同じ周期で繰り返されると考えられるため、同じ周期で補正値を繰り返し用いることにより、記憶すべき補正値のデータ量を削減している。
後端印刷領域では先端印刷領域と同様に、後端印刷領域の1番目〜30番目の各列領域の画素データに対しては、プリンタドライバは、後端印刷領域用の補正値テーブルに記憶されている1番目〜30番目の各列領域に対応する補正値に基づいて、濃度補正処理を行う。
以上の濃度補正処理により、濃く視認されやすい列領域に対しては、その列領域に対応する画素の画素データ(CMYKデータ)の階調値が低くなるように補正される。逆に、淡く視認されやすい列領域に対しては、その列領域に対応する画素の画素データの階調値が高くなるように補正される。なお、他の色の他の列領域に対しても、プリンタドライバは、同様に補正処理を行う。
ハーフトーン処理は、高階調数のデータを、プリンターが形成可能な階調数のデータに変換する処理である。例えば、ハーフトーン処理により、256階調を示すデータが、2階調を示す1ビットデータや4階調を示す2ビットデータに変換される。ハーフトーン処理では、ディザ法・誤差拡散法などを利用して、プリンターがドットを分散して形成できるように画素データを作成する。ハーフトーン処理されたデータは、前述のRGBデータと同等の解像度(例えば720×720dpi)を有している。また、ハーフトーン処理された画素データは、ドットの形成状態を表す。ハーフトーン処理後の画素データが2ビットデータの場合、その画素データは、ドットなし、小ドット形成、中ドット形成、大ドット形成を示す。
本実施形態では、プリンタドライバは、濃度補正処理によって補正された階調値の画素データに対して、ハーフトーン処理が行われることになる。この結果、濃く視認されやすい列領域では、その列領域の画素データの階調値が低くなるように補正されているので、その列領域のラスタラインを構成するドットのドット生成率が低くなる。逆に、淡く視認されやすい列領域では、ドット生成率が高くなる。
ラスタライズ処理は、マトリクス状の画像データを、プリンターに転送すべきデータ順に変更する処理である。ラスタライズ処理されたデータは、印刷データに含まれる画素データとして、プリンターに出力される。
このようにして生成された印刷データに基づいてプリンターが印刷処理を行えば、各列領域のラスタラインのドット生成率が変更され、列領域の画像片の濃度が補正されて、印刷画像全体の濃度ムラが抑制される。
1.5.変形例:
スケールを構成するスケール列Sの搬送方向における目盛りは同じ間隔でなくともよい。本実施形態では、搬送方向での目盛り間隔がドット列(ラスタライン)の分解能の約数(例えば、720dpi)となるよう設定されればよいため、各スケール列Sを組み合わせた間隔が所望とする分解能となればよい。
以上、説明したように、第1の実施形態では、テストシートTSに印刷されるスケールは、移動方向に並ぶスケール列Sにより構成され、各スケール列Sの目盛りの間隔を、このスケールが所望とする分解能に即した間隔より大きく取ることができるため、スケールの認識率を低下させることなく、高い分解能を実現することができる。
また、テストシートTSが印刷される媒体の所定方向の中心に、スケールを形成すれば、スキャナーの読取り位置の誤差による傾きを最小限に抑えることができる。
2.第2の実施形態:
2.1.BRS補正値取得方法:
上述のように、印刷画像を構成するラスタライン(画素データ)は、印刷データにより指定される列領域に印字される。しかしながら、印刷画像の解像度を高めていくと、印刷データにより指定された列領域にドットが印刷されない場合もある。即ち、印刷画像の解像度を高めるにつけドットが形成される単位領域の幅が狭くなるため列領域の幅も狭くなり、指定された列領域とは異なる列領域にドットが印刷される場合も起こりうる。
図23は、第2の実施形態において解決しようとする課題を説明する図である。図23に示すスケールでは、10番目の列領域に指定されるラスタラインの形成過程において、該ラスタラインが11番目の列領域に形成されるラスタラインより下流側に形成されてしまい、搬送方向においてラスタラインの入れ替わりが生じている。この状態で各列領域の階調値に対して補正値を算出すると、スケールの各目盛りは昇順に列領域を指定するため、ラスタラインが入れ替わった列領域において、算出された補正値が補正対象となる列領域に対応しないという問題が生じる。
例えば、図23では、11番目の列領域に対して算出される補正値は、印刷データにより10番目の列領域に対して指定された画素データを基に算出される補正値であるため、補正値の対応が正しくなく、BRS補正を効果的に実現できない場合もおこりうる。そのため、第2の実施形態では、第1の実施形態で示した処理に以下の処理を加えることで、このような課題を解決している。
図24は、第2の実施形態において実行されるBRS補正値取得処理のフロー図である。なお、図24に示す処理は第1の実施形態において説明した図10のBRS補正値取得処理とステップS201〜ステップS203において同一であり、ステップS204〜S206の処理において異なる。
ステップS201において、コンピューター110がプリンター1に、テストパターンとスケールを形成させる。次に、ステップS202において、検査者はテストシートTSをスキャナー150にセットし、スキャナー150にテストパターンとスケールとを読み取らせ、テストパターンとスケールの画像データを取得する。そして、ステップS203では、コンピューター110は、スケールの画像データに基づいて、該画像データにおける目盛りの位置を示す位置情報を取得する。
<<<画素の入れ替わりが生じている列領域(領域)特定ステップ(S204)>>>
本ステップにおいて、コンピューター110は、取得した位置情報から搬送方向(画像データではy方向)での印刷位置の入れ替わりが生じている目盛りが属する列領域を特定する。即ち、本実施形態では、目盛り位置の入れ替わりが生じている列領域は、この列領域に属する画素データの位置ズレも生じていると見なし、以後の処理を行なう。
ここで、移動方向の位置の昇順でソートされる目盛りの位置はスケール列Sの並びに依存する。本実施形態では、合成される目盛りの位置情報は、理論的にはスケール列S1の目盛り、スケール列S2の目盛り…、スケール列Sn(本実施形態ではn=8)の目盛りという順番で記録されている。そのため、各目盛りに対して予め所属するスケール列Sを特定するIDを付与しておき、このIDが一定の規則とならない位置情報に対しては、目盛りの入れ替わりが生じていると判断すればよい。コンピューター110は、こうして判断された目盛りが属する列領域において、ラスタラインのズレが生じていると判断する。
<<<BRS補正値取得ステップ(S205)>>>
本ステップにおいて、コンピューター110は、取得した位置情報を基に、列領域毎に補正値を算出する。このとき、コンピューター110は、目盛り位置の入れ替わりが生じている列領域に対しては、この列領域に属する画素データの階調値を入れ替えた後、入替え後の画素データの階調値からBRS補正値を取得する。即ち、まず、コンピューター110は、テストパターン画像に対して、各列領域に所属する画素データの色毎(シアン、マゼンダ、イエロー、ブラック)の階調値の平均値を取得する。そして、コンピューター110は、ステップS204において判断した、位置が入れ替わった目盛りが属する列領域に対しては、平均値の入替えを行う。
例えば、図23において、10番目の列領域に属する目盛りと11番目の列領域に属する目盛りとの間で搬送方向での入れ替わりが生じている場合、10番目の列領域に属する階調値から算出された平均値を11番目の列領域の階調値の平均値とし、11番目の列領域に属する階調値から算出された平均値を10番目の列領域の階調値の平均値とする入替えを行う。そして、コンピューター110は、入替え後の平均値により算出される値をもとに補正値を算出する。
<<<補正値記録ステップ(S206)>>>
本ステップでは、コンピューター110は、算出した補正値を補正値テーブルに記録する。そのため、ステップS205において算出される列領域毎のBRS補正値は、印刷データにより指定された画素データをもとに作成されたものに修正されるため、ステップS205において算出される列領域毎のBRS補正値は、実際の列領域に対応するものとなる。
2.2.変形例1:
テストパターンの形成時において目盛り位置の反転が生じている場合に、反転が生じている目盛り位置に対応する列領域に属する画素データの入替えを行うものであってもよい。図25は、第2の実施形態において実行されるBRS補正値取得処理のフロー図である。
以下、ステップS1201〜S1204までの処理は、図24に示すステップS201〜S204の処理と同様であるため、省略する。
ステップS1204において、コンピューター110は、取得した位置情報から搬送方向(画像データではy方向)での位置の入れ替わりが生じている目盛りが属する列領域を特定すると、ステップS1205において、コンピューター110は、特定された列領域に対して、この列領域に属する画素データの入れ替えを行う。例えば、ステップS1204において、10番目の列領域と11番目の列領域とが特定された場合、コンピューター110は、ステップS1202で取得したテストパターンに係る画像データに対して10番目の列領域に属する画素データと11番目の列領域に属する画素データとを入れ替える。
そして、ステップS1206において、コンピューター110は、処理後の列領域に属する色毎の補正値を算出する。このとき、各列領域に係る画素データは、印刷データにより指定された順序に従って修正されているため、ステップS1206において算出される列領域毎のBRS補正値は、実際の列領域に対応するものとなる。以上、変形例1では、ステップS1205及びS1206の処理により本発明の補正値取得ステップが実現される。そして、ステップS1207において、コンピューター110は、算出した補正値を補正値テーブルに記録する。
2.3.変形例2
テストパターンの形成時において目盛りの位置の反転が生じている場合に、入れ替わりが生じている目盛りが属する列領域に対して算出されたBRS補正値を入れ替える構成としてもよい。図26は、第2の実施形態において実行されるBRS補正値取得処理のフロー図である。
以下、ステップS2201〜S2204までの処理は、図24に示すステップS201〜S204の処理と同様であるため、省略する。
ステップS2204において、コンピューター110は、取得した目盛りの位置情報をもとに、位置が入れ替わった列領域を特定すると、ステップS2205において、コンピューター110は、位置情報をもとに列領域に属する色毎の補正値を算出する。本ステップにおいては、ステップS2202により取得されたテストパターンに係る画像データに基づいて列領域毎の補正値が作成される。即ち、例えば、10番目の列領域に属する画素データと11番目に属する画素データ列領域とが入れ替わっている場合でも、取得したテストパターンに係る画像データに従って補正値を算出する。
ステップS2206において、コンピューター110は、算出した補正値を補正値テーブルに記録する。さらに、ステップS2207において、コンピューター110は、補正値テーブルに対して、ステップS2204で特定された列領域に係る補正値の入替えを行う。例えば、ステップS2204において、10番目の列領域と、11番目の列領域とが特定された場合、コンピューター110は、10番目の列領域に属する画素データから生成された補正値を11番目の列領域に対応する補正値とし、11番目の列領域に属する画素データから生成された補正値を10番目の列領域に対応する補正値となるよう補正テーブルの入替えを行う。以上、変形例2では、ステップS2205〜S2207の処理により本発明の補正値取得ステップが実現される。
本処理により、各列領域に対応するBRS補正値は、印刷データにより指定された補正値に入れ替えられる。
以上説明したように、この第2の実施形態では、印刷画像が高解像度化することで、ラスタデータの入れ替わりが生じている場合でも、印刷データの各列領域に対して適切なBRS補正値を算出することが可能となり、補正効果を高めることが可能となる。
3.その他の実施形態:
上記実施の形態においては、インクジェットプリンターの一例として、ノズルを備えたヘッドが前記媒体に対して前記所定方向に移動して該ノズルからインクを噴射するシリアルプリンタを挙げたが、これに限定されるものではなく、例えば、ノズルを備えた移動しないラインヘッドに対し前記所定方向に移動する媒体に該ノズルからインクを噴射するラインプリンタであってもよい。
即ち、上記実施の形態に係る補正値取得方法においては、前記形成ステップで、シリアルプリンタによりテストパターンやスケールが形成されることとしたが、これに限定されるものではなく、ラインプリンタによりテストパターンやスケールが形成される例にも本補正値取得方法を適用することができる。
また、ラインヘッドプリンタでは、印刷時に発生する用紙等の媒体の伸びが、インクジェットプリンターより大きくなる傾向がある。ここで、本実施形態に係るテストシートは、スケールを移動方向に並ぶ複数のスケール列Sにより構成するため、各スケール列Sにおける目盛りの間隔を広く取ることができ、且つ、各スケール列Sを移動方向に分けて印刷することができる。そのため、媒体の伸びの影響を低減することが可能となる。
なお、本発明は上記実施例に限られるものでないことは言うまでもない。即ち、上記実施例の中で開示した相互に置換可能な部材および構成等を適宜その組み合わせを変更して適用すること、上記実施例の中で開示されていないが、公知技術であって上記実施例の中で開示した部材および構成等と相互に置換可能な部材および構成等を適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること、上記実施例の中で開示されていないが、公知技術等に基づいて当業者が上記実施例の中で開示した部材および構成等の代用として想定し得る部材および構成等と適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること、は本発明の一実施例として開示されるものである。
1…プリンター、20…搬送ユニット、30…キャリッジユニット、40…ヘッドユニット、41…ヘッド、50…検出器群、60…コントローラ、61…インターフェース部、62…CPU、63…メモリ、64…ユニット制御回路、100…印刷システム、110…コンピューター、120…表示装置、130…入力装置、140…記録再生装置、150…スキャナー、151…上蓋、152…原稿台ガラス、153…読取キャリッジ、154…案内部、155…移動機構、157…露光ランプ、158…ラインセンサ、159…光学系

Claims (5)

  1. ドット列毎のドットの発生率を調整する補正値を算出するために用いられるテストシートであって、
    所定方向に沿った、分解能V1で形成されたドット列が前記所定方向と交差する交差方向において複数並んだ、互いに色が異なる二以上のテストパターンと、
    前記テストパターン間に配列する、所定方向に並ぶ目盛りを備えるスケール列により構成され、各スケール列の目盛り間での前記所定方向の間隔が(1/V1)の間隔となるスケールとを有することを特徴とするテストシート。
  2. 前記スケール列は、分解能V1の約数となる分解能V2を備える目盛りを備え、
    前記交差方向にn列(ただし、V1=V2×n、nは整数)にわたって形成されることを特徴とする請求項1に記載のテストシート。
  3. 前記スケールは、当該テストシートが形成される媒体の前記交差方向における中心付近に配置されるよう形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか一項に記載のテストシート。
  4. 前記テストシートに係る画像データを記録する記録手段と、
    前記記録された画像データを、色材を用いて媒体に記録する印刷手段と、を有することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
  5. ドット列毎のドットの発生率を調整する補正値を算出するために用いられるテストシートの製造方法であって、
    印刷装置に、
    所定方向に沿った分解能V1で形成されたドット列が前記所定方向と交差する交差方向において複数並んだ、互いに色が異なる二以上のテストパターンと、
    前記テストパターン間に形成され、所定方向に並ぶ目盛りを備えるスケール列により構成され、各スケール列の目盛り間での前記所定方向の間隔が(1/V1)の間隔となるスケールと、を印刷させる形成ステップを有することを特徴とするテストシートの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN115008904A (zh) * 2022-05-30 2022-09-06 深圳市国人光速科技有限公司 一种喷孔堵塞检测用标尺以及喷孔堵塞检测方法

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