JP2012165813A - 内視鏡装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 観察窓に付着する汚れを落とすための表面弾性波への変換(偏向)効率が低下することなく、観察窓へ表面弾性波を安定供給することができる内視鏡装置の提供。
【解決手段】 内視鏡2の挿入部11先端に撮像用光学系34に対向して設けられた観察窓32と、観察窓32の内表面に配設された振動子37と、振動子37に対向する観察窓32の外表面部分に形成された複数の溝部40aに観察窓32とは異なる材質の溝部充填材61を充填形成してなる、振動子37からの超音波振動fを観察窓32の外表面を伝播する表面弾性波Φに偏向する偏向部40と、を具備する内視鏡装置1。
【選択図】図8

Description

本発明は、観察窓表面に付着する汚れを容易に除去することで、観察性を向上させる内視鏡装置、特に外科用の内視鏡装置に関する。
近年低侵襲医療を目的として内視鏡を用いた外科手術が普及している。このような内視鏡下の手術においては、血液、脂などの汚れ飛散が起こりやすく、それらが、内視鏡の観察窓に付着することによって、視野が妨げられることが課題となっている。
この課題に対する対策としては、例えば、特許文献1に開示された内視鏡装置の技術が知られている。この特許文献1には、内視鏡装置の観察窓に付着した汚れを、超音波振動またはそれを回折格子によって変換した表面弾性波によって、取り除く方法が提案されている。
従来の内視鏡装置では、観察窓となるガラス板の外表面に偏向部として断面形状が矩形状の回折格子形状の溝が形成されており、この回折格子形状の溝の形成面(外表面)からガラス板の圧電振動子の貼着面(内表面)に向けて溝を投影した時に、圧電振動子の少なくとも一部の表面が溝の投影領域内に位置している。
このガラス板では、圧電振動子により発生した超音波振動が、回折格子形状の溝により回折(偏向)されて、少なくとも一部がガラス板の前述の中心方向、つまり、撮像モジュール34の観察視野領域と対向する部分の中心方向に効率的に伝播するようになり、効率よく、ガラス板上の汚れを除去することが可能となっている。
特開2009−254571号公報
しかしながら従来の内視鏡装置のように、観察窓上に形成された回折格子を用いて、表面波を発生させ、観察窓に付着した汚れを除去する構成では、回折格子は体内(外部)にむき出しに形成されているため、術中に脂、血液などの汚れが堆積して、超音波振動から表面弾性波への変換率が低下し、観察窓に付着した汚れを落とすための表面弾性波を安定供給することができない可能性がある。
そこで、本願は、上記問題を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、観察窓に付着する汚れを落とすための表面弾性波への変換(偏向)効率が低下することなく、観察窓へ表面弾性波を安定供給することができる内視鏡装置を提供することにある。
上記目的を達成すべく、本発明の内視鏡装置は、内視鏡の挿入部先端に撮像用光学系に対向して設けられた観察窓と、前記観察窓の内表面に配設された振動子と、前記振動子に対向する前記観察窓の外表面部分に形成された複数の溝部に前記観察窓とは異なる材質の溝部充填材を充填形成してなる、前記振動子からの超音波振動を前記観察窓の外表面を伝播する表面弾性波に偏向する偏向部と、を具備する。
本発明によれば、観察窓の汚れ落としのための表面弾性波への変換(偏向)効率が低下することなく、観察窓へ表面弾性波を安定供給することができる内視鏡装置を提供することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る内視鏡システムの全体構成 同、内視鏡システムの電気的構成を主に示すブロック図 同、硬性内視鏡の先端部分の構成を示す断面図 同、図3のIV−IV線断面図 同、送水シースの先端部分の構成を示す断面図 同、図5の矢視VI方向の送水シースの構成を示す平面図 同、硬性内視鏡の挿入部が送水シースに挿通配置された状態を示す先端部分の斜視図 同、硬性内視鏡の先端部分の構成を示す部分断面図 同、回折格子の形状を拡大して示すガラス板の部分断面図 同、第1の変形例の硬性内視鏡の先端部分の構成を示す部分断面図 同、図10の回折格子の形状を拡大して示すガラス板の部分断面図 同、第2の変形例の硬性内視鏡の先端部分の構成を示す部分断面図 同、図12の回折格子の形状を拡大して示すガラス板の部分断面図
以下、本発明である内視鏡装置について説明する。なお、以下の説明において、各実施の形態に基づく図面は、模式的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、夫々の部分の厚みの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
先ず、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の説明において、例えば、腹腔鏡下外科手術を行う硬性内視鏡を例示する。
また、図1から図13は本発明の第1の実施の形態に係り、図1は内視鏡システムの全体構成、図2は内視鏡システムの電気的構成を主に示すブロック図、図3は硬性内視鏡の先端部分の構成を示す断面図、図4は図3のIV−IV線断面図、図5は送水シースの先端部分の構成を示す断面図、図6は図5の矢視VI方向の送水シースの構成を示す平面図、図7は硬性内視鏡の挿入部が送水シースに挿通配置された状態を示す先端部分の斜視図、図8は硬性内視鏡の先端部分の構成を示す部分断面図、図9は回折格子の形状を拡大して示すガラス板の部分断面図、図10は第1の変形例の硬性内視鏡の先端部分の構成を示す部分断面図、図11は図10の回折格子の形状を拡大して示すガラス板の部分断面図、図12は第2の変形例の硬性内視鏡の先端部分の構成を示す部分断面図、図13は図12の回折格子の形状を拡大して示すガラス板の部分断面図である。
図1および図2に示すように、本実施の形態の内視鏡装置である内視鏡システム1は、硬性内視鏡(以下、単に内視鏡という)2と、この内視鏡2の挿入部11が内部に挿通配置される洗浄液供給手段を構成する送水シース3と、ビデオプロセッサ5と、光源装置4と、モニタ6と、によって、主に構成されている。
内視鏡2は、硬質な挿入部11に連設された操作部12と、この操作部12に設けられたスイッチ類13と、操作部12から延出する複合ケーブルであるユニバーサルケーブル14と、このユニバーサルケーブル14の延出端に配設された光源コネクタ15と、この光源コネクタ15の側部から延出する電気ケーブル16と、この電気ケーブル16の延出端に配設された電気コネクタ17と、を有して構成されている。なお、光源コネクタ15は、光源装置4に着脱自在に接続される。また、電気コネクタ17は、ビデオプロセッサ5に着脱自在に接続されている。
ビデオプロセッサ5は、光源装置4、およびモニタ6に電気的に接続されている。ビデオプロセッサ5は、内視鏡2が撮像した画像データを映像信号化して、モニタ6に表示させる。さらに、ビデオプロセッサ5は、内視鏡2の操作部12に配設されたスイッチ類13の操作信号が入力され、これら信号に基づいて、光源装置4を制御したり、生理的食塩水などの洗浄水が貯留された送水タンク24にビデオプロセッサ5からエアーを送り、この送水タンク24内の洗浄水を送水シース3に送液制御したりするための制御手段である制御装置を構成している。なお、送水タンク24は、ビデオプロセッサ5に着脱自在な送気コネクタ26が端部に設けられた送気チューブ25が接続されている。
次に、内視鏡システム1の主に電気的な構成について、図2に基づいて、以下に説明する。
図2に示すように、ビデオプロセッサ5は、CPUである制御部51と、電源/映像信号処理回路52と、圧電振動子加振回路53と、ポンプ制御回路54と、コンプレッサであるポンプ55と、を有して構成されている。
制御部51は、電源/映像信号処理回路52、圧電振動子加振回路53およびポンプ制御回路54と電気的に接続されており、各回路を制御する。また、電源/映像信号処理回路52は、モニタ6とも電気的に接続され、モニタ6へ内視鏡画像信号を出力する。
圧電振動子加振回路53は、内視鏡2の圧電振動子37を振動させる機能を有し、制御部51の制御により、圧電振動子37の振動強度を出力する電力量により可変制御する。
ポンプ制御回路54は、ポンプ55と電気的に接続され、制御部51の制御により、ポンプ55を駆動制御する電気信号を出力する。
光源装置4は、ハロゲンランプ等の光源56と、この光源56を駆動する光源制御回路57と、を有して構成されている。光源制御回路57は、ビデオプロセッサ5の制御部51と電気的に接続されて、この制御部51により制御される。
次に、内視鏡2の挿入部11の先端部分の構成について、図3および図4に基づいて、以下に説明する。
内視鏡2の挿入部11は、図3および図4に示すように、挿入部外装を構成する金属製の管状部材31の先端に、観察窓である透明部材の略円盤状のガラス板32が接合されている。
管状部材31の内部には、撮像用光学系を含む撮像モジュール34と、ここでは2本の照明用のライトガイド33が配置されている。撮像用光学系を構成する撮像モジュール34の内部には、詳細には図示しないが、結像用光学系、固体撮像素子、およびそのドライバチップが組み込まれており、通信ケーブル35が根元方向へ引き出されている。
また、ガラス板32の内表面(裏面)には、観察視野を妨げない位置、つまり対向配置された撮像モジュール34の外方(ここでは外周一部から所定距離だけ離間した方向)の一領域側に、例えば、PZTからなる矩形状の圧電振動子37が貼着されている。圧電振動子37には、配線36が接続され、電気的に駆動されるようになっている。つまり、圧電振動子37には、加振のための電圧を供給する配線36が内視鏡2の根元方向に引き出されている。また、圧電振動子37のガラス板32への固定は、接着剤による固定に限定することなく、半田等を用いてもよい。この圧電振動子37は、その共振周波数または共振周波数近傍で駆動され、超音波振動をガラス板32内に発生させる。
ガラス板32は、図3に示すように、内表面(裏面)に貼着された圧電振動子37に対向した外表面の位置に、超音波振動を回折して表面弾性波に変換(偏向)する偏向部の回折格子40が設けられている。
上述の圧電振動子37から発生された超音波振動は、主として圧電振動子37の貼着面(ガラス板32の内表面)に垂直な方向に伝播し、圧電振動子37に対向したガラス板32の回折格子40に入射する。この回折格子40に入射した超音波振動は、回折格子40によりガラス板32の外表面を伝播する表面弾性波に変換(偏向)される。なお、この回折格子40の詳細構成については、後述する。
また、内視鏡2の構成部品は、管状部材31と、接合されたガラス板32によって封止されており、高圧蒸気による滅菌処理に耐え得る構造となっている。
さらに、本実施形態においては、ガラス板32の撮像モジュール34の撮像光学系と対向する内表面は平面状としているが、撮像光学系に対向する面の一部が凸状もしくは凹形状となって、撮像光学系の一部を構成しても良い。
また、本実施の形態のライトガイド33は、ユニバーサルケーブル14へ延設され、ライトガイド33が光源コネクタで終端されている。そして、通信ケーブル35、および配線36が電気ケーブル16を介して、電気コネクタ17に接続されている。
つまり、内視鏡2は、ユニバーサルケーブル14および電気ケーブル16を介して、ライトガイド33が光源制御回路57を含む光源装置4の光源56に、撮像モジュール34から引き出された通信ケーブル35がビデオプロセッサ5の電源/映像信号処理回路52に、圧電振動子37から引き出された配線36がビデオプロセッサ5の加振手段を構成する圧電振動子加振回路53に、夫々接続される構成となっている。
次に、送水シース3について図5および図6に基づいて、以下に説明する。
送水シース3は、先端部材を備えた被覆チューブ21と、この被覆チューブ21の基端に連設された接続部22と、この接続部22の側部から延出する送水チューブ23と、を有して構成されている。なお、送水チューブ23の延出端は、送水タンク24に接続されている。この送水タンク24には、ビデオプロセッサ5の送気コネクタ26に一端が接続された送気チューブ25の他端が接続されている。
送水シース3の被覆チューブ21は、チューブ本体41と、このチューブ本体41の先端に嵌着された略円筒形状の先端部材42と、を有して構成されている。チューブ本体41の肉厚部分の一部には、送水用の断面円形状の送水路43が1つ形成されている。この送水路43は、接続部22まで配設され、この接続部22を介して送水チューブ23と連通している。
先端部材42は、チューブ本体41の送水路43に対向する位置の開口端面に沿った板体である、ひさし部44を有している。
このように構成された送水シース3は、送水路43が送水タンク24と送水チューブ23を介して連通するように接続される。そして、送水タンク24内の洗浄水である生理食塩水等は、ポンプ制御回路54によって制御されるポンプ55からのエアーにより送水タンク24内の圧力が上昇されることで、送水路43中に送液されて内視鏡先端部へ流れるようになっている。
以上に説明した本実施の形態の内視鏡システム1は、図7に示すように、内視鏡2の挿入部11が送水シース3の被覆チューブ21に挿通配置され、例えば、腹腔鏡下外科手術に用いられる。
ここで、本実施の形態の観察窓であるガラス板32に配設される偏向部である回折格子40の構成について、図8および図9に基づいて、以下に説明する。
図8および図9に示すように、偏向部である回折格子40は、ガラス板32の外表面から内部方向(厚さ方向)に断面矩形状の矩形回折格子となる複数、ここでは5つの凹状形成された長溝である溝部40aと、これら溝部40aのそれぞれに充填された複数の溝部充填材61と、によって構成されている。この回折格子40は、圧電振動子37からの超音波振動fを回折してガラス板32の外表面に伝播する表面弾性波Φに変換(偏向)する。
複数の溝部40aは、ガラス板32の外表面上に等間隔で並設され、それぞれがガラス板32の板面に半導体製造プロセス、機械加工などにより形成された平行な直線状の溝群である。隣接する溝部40aの間隔(離間距離)は、表面弾性波Φの波長λの一周期分(1波長:1.0λ)と等しく(同一距離)、溝部40bの幅(横)方向の寸法(W1)が表面弾性波Φの波長の一周期の半分(半波長:0.5λ)程度であることが好ましい。そして、回折格子40に入射する超音波振動fから表面弾性波Φへの変換効率が最大となるのは、回折格子40における一組の凸部と凹部(溝部40b)の周期(幅方向の寸法)が表面弾性波Φの波長λと同一(W2=λ)であると共に、回折格子40の凸部と凹部の幅方向の寸法比率が1:1(W2−W1:W1)のときである。つまり、回折格子40の各凸部と各凹部のそれぞれの幅方向の寸法(W1,W2−W1)が共に表面弾性波Φの半波長(W1=W2−W1=0.5λ)のときである。なお、回折格子40に入射する超音波振動fから表面弾性波Φへの変換効率が最大となる最適な溝部40aの深さdは、各溝部40aに充填される溝部充填材61の材質に依存されるものである。
そして、各溝部充填材61は、溝部40aのそれぞれに充填されて回折格子40の外表面が平坦化するように配設される。これにより、観察窓であるガラス板32は、外表面全体が凹凸のない平滑な面となる。また、各溝部充填材61は、ガラス板32を形成する材質とは異なる材質が用いられる。
また、各溝部充填材61は、その音響インピーダンスが、ガラス板32の音響インピーダンスと大きく異なる材質のほうが望ましい。例えば、ガラス板32の音響インピーダンスをZ1とし、溝部充填材61の音響インピーダンスをZ2とすると、Z2/Z1の比が1よりもできるだけ大きい(Z2/Z1≫1)溝部充填材61の材質を用いることが好ましい。
具体的には、溝部充填材61に適した材料は、ガラス板32の音響インピーダンスをZ1より大きな音響インピーダンスZ2を有する、例えば、金、白金またはタングステンが適している。なお、溝部充填材61は、ガラス板32の音響インピーダンスZ1より非常に小さな音響インピーダンスZ2の材質を用いて、Z2/Z1が0に近く(Z2/Z1≒0)なるようにしても良い。さらに、溝部充填材61の材料は、外表面が体腔内の生体組織に接するため、生体適合性を有する物質とする必要がある。
なお、ここでの音響インピーダンスZとは、下記の式1に示すように、応力Tと粒子速度vの比で定義され、
Z=T/v …式1
その値は、材料によって固有であり媒質の音速Vと密度ρを利用して、下記の式2でも計算されるものである。
Z=ρV …式2
なお、材質が異なる2つの材料、ここではガラス板32と溝部充填材61の反射係数Rは、下記の式3で計算される。
R=(Z2−Z1)/(Z2+Z1) …式3
材質が異なる2つの材料の界面においての音響インピーダンスZの差が大きいほど、反射係数Rの絶対値も大きくなり、ここでのガラス板32と溝部充填材61の界面での超音波振動fが強く反射されるものである。
つまり、材質が異なる2つの材料の界面では、音響インピーダンスZの差が大きいほど、超音波振動fが強く反射され、音響インピーダンスZの差が小さいほど、超音波振動fの反射が小さくなる特性がある。そのため、上述したように、各溝部充填材61は、その音響インピーダンスZ2が、ガラス板32の音響インピーダンスZ1と大きく異なる材質が最適となる。
以上のように構成された内視鏡システム1は、術中にガラス板32の外表面に粘膜、血液、脂肪などの汚れが付着して視界が悪化した場合に、医師であるユーザが内視鏡2の操作部に設けられたスイッチ類のリモートスイッチを操作する。すると、このスイッチ操作による制御信号に応じて、圧電振動子37には、ビデオプロセッサ5の圧電振動子加振回路53から励振信号が供給され、超音波振動fがガラス板32中に発生する(図8参照)。
これに先立ち、上記スイッチ類の操作により、送水シース3からガラス板32の外表面に洗浄水が供給される。つまり、コンプレッサであるポンプ55から送水タンク24内にエアーが供給され、送水タンク24内の洗浄水が送水シース3に供給される。この洗浄水は、送水シース3のチューブ本体41に形成された送水路43を介して、チューブ本体41の先端から噴出し、ひさし部44に当たって、ガラス板32の略外表面全面に沿って流れ出すことになる。
そして、ガラス板32の圧電振動子37が貼着された内表面(裏面)である振動面で発生した超音波振動fは、ガラス板32内部を略垂直方向に伝播する。この超音波振動fは、回折格子40に到達して、この回折格子40によりガラス板32の外表面を伝播する表面弾性波に変換(偏向)され、ガラス板32の中心側およびこの中心側に対して回折格子40を挟んだ反対側の外周部に向かってガラス板32外表面を横方向に直線的に表面弾性波Фとして伝播する(図8参照)。なお、回折格子40に超音波振動fが入射すると、各溝部40aに溝部充填材61が設けられていても、それぞれの音響インピーダンス(Z1,Z2)に差があるため、その回折格子40の形状に応じた応力分布が生じ、それが振動源となって回折格子40から表面弾性波Φが放射される。
こうして、表面弾性波Фは、ガラス板32の外表面上に付着している粘膜、血液、脂肪などの汚れを、洗浄水の供給と共に伝播方向に押し出して除去する。なお、表面弾性波Фは、その振動をガラス板32の外表面に集中させて伝播するので、ガラス板32の外表面に付着した汚れに効率的に振動を伝えて、汚れを除去することができる。
このように、内視鏡2は、指向性の高い高周波の超音波振動fが回折格子40により変換(偏向)されて、ガラス板32の外表面に効率的に表面弾性波Фとして伝播させることが可能となり、付着した汚れを洗浄水と混合させ、一部は霧状となり、また一部は洗浄水とともに押し流すことにより、付着する汚れを効率良く確実に除去することが可能となる。
これにより、ガラス板32の外表面上に付着した粘膜、血液、脂肪などの汚れが表面弾性波Фによる振動により容易に除去される。加えて、ガラス板32は、各溝部40aに溝部充填材61が充填されて、外表面が回折格子40による凹凸の溝が形成されていない平滑面となっている。そのため、回折格子40の各溝部40aには、粘膜、血液、脂肪などの汚れが堆積することなく、超音波振動fから表面弾性波Φへの変換(偏向)効率の低下が防止される。
さらに、ガラス板32の外表面が平滑面となるため、内視鏡2の使用前後に行なう滅菌消毒時に、回折格子40の凹凸溝に堆積する汚れを除去する作業も必要なくなる。つまり、回折格子40の各溝部40aの内部および底部に、手術中に液体または液体状の汚れ(水、血液、脂肪など)が付着することがなく、内視鏡2の滅菌消毒の作業時間も短縮され、その作業効率も向上する。このように、回折格子40の各溝部40aに溝部充填材61が充填されて平坦化されているので、手術中に液体または液体状の汚れ(水、血液、脂肪など)の付着し易さは、従来の回折格子40がない内視鏡と同程度であり、従来の内視鏡と同程度な消毒・滅菌作業の作業性を維持することが可能となる。
また、ガラス板32と溝部充填材61のそれぞれの音響インピーダンスの比(Z2/Z1)を1よりもできるだけ大きくすることで、内視鏡2の使用中に音響インピーダンスの低い水が回折格子40上に付着しても、超音波振動fから表面弾性波Φへの変換(偏向)効率が低下し難いという効果もある。
以上に説明したように、本実施の形態の内視鏡システム1は、内視鏡2のガラス板32の内部に回折格子40を形成することにより、内視鏡2による手術中に、回折格子40に汚れが堆積することがなく、超音波振動fから表面弾性波Φへの変換(偏向)効率の低下を防ぐことができると共に、内視鏡2の使用前後に行なう滅菌消毒の作業性も向上させることができる構成となる。
(第1の変形例)
図10および図11に示すように、各溝部40aのそれぞれに充填された溝部充填材61ではなく、回折格子40の上部を含む観察視野外の範囲にのみ、少なくとも回折格子40の全域を覆うように、各溝部40aを一体的に充填してガラス板32の外表面から突出する溝部充填材62としても良い。つまり、溝部充填材62は、複数の溝部40aの間のガラス板32の外表面も覆うように回折格子40全域の外表面を形成するように配設されている。また、溝部充填材62は、ガラス板32の外表面と段差が生じないように、全ての縁辺の角部にテーパ面62aが形成されている。
このような構成では、回折格子40の平坦化による洗浄性の向上に加えて、ガラス板32の外表面から超音波振動fが抜け難くなり、超音波振動fから表面弾性波Φへの変換(偏向)効率を安定化させることが可能となる。
つまり、内視鏡2の使用時に、水、脂肪などの音響インピーダンスの低い付着物が回折格子40上に付着する可能性がある。それら水、脂肪などが付着すると、超音波振動fの振動エネルギーが付着物に伝わり、回折格子40により超音波振動fから表面弾性波Φへの変換(偏向)効率が低下してしまう。本変形例の構成では、溝部充填材62が回折格子40の全域を覆うように配設されているため、回折格子40による超音波振動fから表面弾性波Φへの変換(偏向)効率の低下を防止することができる。
換言すると、本変形例の構成では、回折格子40全域を音響インピーダンスの高い材料から形成された溝部充填材62により覆うことにより、ガラス板32から付着物への振動エネルギーの伝播を抑制して、超音波振動fから表面弾性波Φへの変換(偏向)効率が付着物の影響を受け難くすることができる。したがって、回折格子40の超音波振動fから表面弾性波Φへの変換(偏向)効率が向上する。
(第2の変形例)
さらに、図12および図13に示すように、ガラス板32と溝部充填材63との段差が生じないように、ガラス板32に溝部充填材63によって各溝部40aを一体的に充填する凹部32aを形成して、ガラス板32および溝部充填材63の外表面が段差のない同一面内に位置するようにしても良い。
以上の実施の形態に記載した発明は、その実施の形態、及び変形例に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。さらに、上記実施の形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより種々の発明が抽出され得るものである。
例えば、実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、述べられている課題が解決でき、述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得るものである。
1…内視鏡システム
2…硬性内視鏡
3…送水シース
11…挿入部
12…操作部
32…ガラス板
34…撮像モジュール
37…圧電振動子
40…回折格子
40a…溝部
61,62,63…溝部充填材
f…超音波振動
Z1,Z2,Z3…音響インピーダンス
λ…波長
Φ…表面弾性波

Claims (5)

  1. 内視鏡の挿入部先端に撮像用光学系に対向して設けられた観察窓と、
    前記観察窓の内表面に配設された振動子と、
    前記振動子に対向する前記観察窓の外表面部分に形成された複数の溝部に前記観察窓とは異なる材質の溝部充填材を充填形成してなる、前記振動子からの超音波振動を前記観察窓の外表面を伝播する表面弾性波に偏向する偏向部と、
    を具備することを特徴とする内視鏡装置。
  2. 前記偏向部の外表面が平坦化するように、前記溝部充填材を前記複数の溝部に充填したことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
  3. 前記偏向部の外表面と前記観察窓の外表面とが同一面内となるように前記溝部充填材を前記複数の溝部に充填したことを特徴とする請求項2に記載の内視鏡装置。
  4. 前記溝部充填材は、前記複数の溝部の間にある前記観察窓の外表面を覆うように、前記複数の溝部を一体的に覆うよう充填形成し、前記偏向部の外表面を形成することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の内視鏡装置。
  5. 前記溝部充填材の材質は、前記観察窓を形成する材質の音響インピーダンスよりも大きい音響インピーダンスを有していることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の内視鏡装置。
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