JP2012159281A - 断熱透過層を形成した集蓄熱一体型太陽熱温水器 - Google Patents

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Abstract

【課題】温暖地区の屋根に負担のかからない、設置が容易で安価に製造出来る太陽熱集蓄熱一体式太陽熱温水器を提供する。
【解決手段】太陽光線吸収折れ線フイルムを中に挟んで上下に同じ樹脂の透明フイルム2、4を置き、透明フイルムと太陽光線吸収フイルムとの間に一定の空間が保てる樣に、透明フイルム側より半導体レーザーヒーターにより折れ線部を線溶着して、上部には断熱透過層7、下部透明フイルム側から半導体レ−ザ−ヒ−タ−で前記折れ線フイルムに向け溶着して下部には貯湯層を構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は太陽熱集蓄熱器に係り、より詳しくはプラスチックフイルムを用いて,断熱性の高い透過層を形成すると同時に集蓄熱袋を構成する家庭用太陽熱温水器に関する。
昨今、COの排出削減が求められており、特に家庭環境の給湯負荷の熱源を自然エネルギーに依存する様、求められている。
従来の太陽熱温水器は鋼構造の物しか無く、屋根に負担がかかり、なお且 それから得られるエネルギー代は初期投資金に見合わない。
太陽熱集熱器の性能はJIS411−1997「住宅用太陽熱温水器」(非特許文献参照)に記載されている。
新しい太陽熱温水器として、透明なプラスチックを用いた太陽熱温水器が開示されている(例えば特許文献1参照)しかし、開示されている装置はキャンプなどに使うものであり、家庭で使う安価で実用的なものではない。
屋根の最上部に熱交換器として新たに設置場所を建築して太陽熱を取得する建築構造物が報告されている。(例えば特許文献2参照)しかし、太陽熱温水を取得するためにかかる建築費用は、集熱システムの他に建築費用が過大にかかり、初期投資した費用は、太陽熱として得る費用で回収するには長期間を要し、経済的でない。
寒冷地の場合、集熱器内の水が凍結するので内部が凍らないようにするための対策が必要となる。又、集熱器と外気温度との温度差は1日で100℃と大きく変化する為、熱膨張率が金属より大きいプラスチックの伸び縮みを吸収出来る構造が必要である。
特開平成05−79706 特開2007−64589
JISA411−1997(住宅用太陽熱利用温水器) 空気層と熱貫流率の関係
一番安価な太陽熱温水器の構造は集熱器と貯湯タンクを分離し、サーモサイホンによる自然対流を利用してタンクの温度を上昇させる方式である。現在、世界中でこの方法が一番出荷量が多く,普及しつつある。その欠点はタンクを屋根の上にのせる為、屋根の一部に集中加重がかかり、又、風圧により屋根を傷める為、日本国内で急速に設置台数が減少する傾向にある。[(社)ソーラーシステム振興協会]
以前普及した汲み置き型太陽熱温水器は集熱と蓄熱を分離せず真空管でできた貯湯タンクで、重量が有り、屋根を傷める為、普及しなかった。但し、プラスチック製の貯湯タンク汲み置き型は普及したが、大きな箱体を屋根に設置し、屋根を傷める為次第に減少し、又、効率が初期投資を短期間で回収する程良くなく、衰退した。
本発明は集熱部分と蓄熱する部分とを分離せず一体化する構造で、なお且、高さが5cm以下の薄い層で構成して面積を広く敷設する事により、外観に違和感が無く、所定の貯湯量を確保出来、又、集熱面積を広くとれる事により、集熱温度も高く,満足することができる。
集熱効率を上げる対策として、透過体と集蓄熱体との間に断熱透過層を設けて、対流熱損失を防ぎ、外側部及び底部に断熱材を挿入して、熱伝導損失を防ぎ、集蓄熱袋は選択吸収膜を形成した太陽熱吸収樹脂フイルムで作り、放熱の三要素(イ)対流熱損失、(ロ)伝導熱損失、(ハ)輻射熱損失を低減した太陽熱温水器を提供する事を目的とする。
0.38μm〜0.7μmのエネルギー密度の高い短波長の太陽光線は吸収し、0.8μm以上の長波長の太陽光線は反射する性能が出る様、原料樹脂に種々のフィラーを混入して作った集熱フイルム3を作り、その上側には透過率の高い同じフイルム2を、下側にはナチュラル透明フイルム4を交互に線溶着する。
図1の通り下側ナチュラル透明フイルム4を溶着線3−1及び3−2の2点に溶着し、その中間点2−1が上側透明フイルム2に溶着して図1の7の空間を作り、その三点3−1,2−1、3−2、に囲まれた空間、図1の8が蓄熱層になる。
その蓄熱層8の片側縁辺部3−2が溶着されておらず、従って図2の16の空間が出来、上側蓄熱層8−17と下側蓄熱層8−18を連通している。これらのフイルムは同質のフイルムからなる為、縁辺部全て熱溶着して密閉出来る。
下部注水口は取り出し継手をフイルムに熱溶着しており、そこより流入した水は左右交互に上側に流れ、最終的に最上部にある排湯口の接手より流出する。これが集蓄熱一体型貯湯袋であり、その側面及び最底部に断熱材9を取り付ける。
これでマット状の太陽熱温水器が出来上がるが、より断熱性を要求する場合は、別途強度のある部材でフレームを作り、そのフレームの最上部に前記透明フイルム、又は引き裂き抵抗のあるフイルム又は透明シートをフレームに固定して、その中に前記貯湯袋を入れれば良い。
貯湯袋は全て同じ樹脂で出来ており、熱融着は半導体レーザーヒーターを透明フイルムの外側から容易に、確実に、溶着出来、その縁辺部は止め具を設けられる様、適宜加工し、別途ぶらさげパイプに吊り下げ、そのパイプを家の周辺部に固定されたステンレスワイヤーにより引っ張り固定する。
本発明の太陽熱集蓄熱袋は太陽熱を効率よく吸収し、日射量が充分あって100℃以上に貯湯袋の温度が昇温する場合、沸騰水は上部排湯口より逃げ、貯湯袋の破損には至らない。
貯湯袋及び透明フイルムの材質は、最も安価な汎用プラスチックであるポリプロピレン又は耐熱ポリエチレン(PE−RT)で充分であり、安価に製造する為には厚さを出来るだけ1m/m以下に薄く作る。
同一樹脂により作られた太陽光線の透過率を高めたフイルム及び太陽光線の吸収率を高めたフイルム、及びナチュラル透明フイルムの三通りのフイルムを半導体レーザーヒーターで融着した太陽熱温水器の重量は軽く、貯めた水は均一に屋根に展張され、フイルムの厚さは0.5m/mで、その熱伝導率の悪さは問題にならず、太陽光線を受ければすぐ昇温する。但し、従来のタンクに貯湯する場合に比べて蓄熱性が低いが断熱透過層により、その日に貯めた分を使い切る場合にはその差は顕著ではなく、温暖な地区では有効である。積雪寒冷地では使用出来ないことは、従来の自然循環型太陽熱温水器と同様であるが別途凍結防止対策が可能である。
積雪寒冷地の場合、最上階の小屋裏(高気密、高断熱の為外気温度と同じ温度環境)に明かり取り窓を設け、内側よりこの集蓄熱一体型太陽熱温水器を取り付け、強制換気の排気をこの集熱器の最下段の断熱材との間に熱交換器用ダクト17を設け、そこを経由して排気すると良い。
本発明の一実施形態に係る断熱透過層が形成される断面模式図。 図1の平面図。 凍結防止対策の断面模式図。
表1
空気層と熱貫流率の関係。
発明を実施する為の形態
以下に図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に記載する。この記載は本発明を説明するためのものであって、この記載によって本発明の技術範囲を限定するものではなく、本発明の技術範囲から逸脱しない範囲内で、多様に変更して実施する事が可能である。
図1は本発明の一実施形態に係る断熱透過層の形成される概略を示す模式図である。
図1に示す様に太陽熱集熱器1は太陽熱を吸収する集熱フイルム3とナチュラル透明フィルム4により形成された貯湯袋8、及び透明フイルム2と集熱フィルム3により形成された断熱透過層7、及び底部断熱材9、及び上部透過体10から構成される。
水は水道圧により注水口5より給水され、15を通って上段に昇り、次に16を通って上段に昇り、順次最終排湯口6に達する。排湯口6より給水が出た時、水道のバルブを止め貯水完了する。
日中昇温した湯を使う時、水道のバルブを開け、給水を始めると排水口6より、昇温した湯が出る。排湯口6の先は大気開放して落水使用する配管構造である。
日中、太陽光線で蓄熱層の温度は昇温し始めるが、外気温度により高温になるに従って、断熱透過層内で空気の対流が起こり、対流熱損失が始まる。その対流の速度が早くなるに従い、放熱量が増える。従来の平板型集熱器の縦の長さは2mあり、対流速度は早く、対流熱損失が大きいが、本発明は縦の長さは100mm以下と短く、対流熱損失が小さい。(表1参照)又、その空気の厚さは三角形状になっており、その三つの頂点付近は空気の境膜により対流防止機能が働き、より放熱量が減少する。理想の対流防止機構が構成される。
図2は本発明の一実施形態に係るプラスチックフイルムシート状太陽熱集熱システムを示す平面模式図である。
本実施形態のフイルムは厚さ0.5m/mのポリプロピレンフイルムで作った。寸法は縦970m/m×横2120m/m有効集熱面積1.7mであった。
上側に透明ポリプロピレンフイルム、中間に集蓄熱用ブラックポリプロピレンフイルム(α=0.96、ε=0.6)、最下段にナチュラル透明ポリプロピレンフイルム、最下段に遮熱シートをセットし周囲を巾3cmで熱溶着し、周囲を25,4Φのパイプでかこみ、30°の傾斜で固定した。仕切り線は4列で5段の貯湯部が出来た。
実験場所は滋賀県マキノ町、日時は平成22年3月30日。
午前8時、遮閉用シートを取り除き注水した。給水温度は12.1℃、47.45L入れバルブを閉じた。この時の外気温度は6℃であった。午後4時外気温度9℃の時バルブを開いて採湯した。温度は67.2℃で、日射量は22068KJ/mであった。当日の最高外気温度は13℃であり、JIS条件15℃以上での実験にはならず、平均外気温度は10℃であり、厳しい環境で実験した。
この寒さの中でも給湯温度67.2℃を確保出来たことは対流防止機構が機能しており、この集蓄熱一体型太陽熱温水器は有効である。
1 太陽熱集熱器
2 上側透明フイルム
3 集熱フイルム
4 下側ナチュラル透明フイルム
5 注水口
6 排湯口
7 断熱透過層
8 貯湯袋
9 断熱材
10 最上面透過体
11 屋根勾配
12 下側ナチュラル透明フイルムと集熱フイルムとの溶着線
13 上側透明フイルムと集熱フイルムとの溶着線
14 ナチュラル透明フイルムと底部縁辺部周囲と集熱フイルムとの溶着線
15 集熱フイルムが下側ナチュラルフイルムに溶着していない最下段
16 同 上 2段目
17 熱交換用排気ダクト
日中、太陽光線で蓄熱層の温度は昇温し始めるが、外気温度により高温になるに従って、断熱透過層内で空気の対流が起り、対流熱損失が始まる。その対流の速度が速くなるに従い、放熱量が増える。従来の平板型集熱器の縦の長さは2mあり、対流速度は速く、対流熱損失が大きいが、本発明は縦の長さは10cm以下と短く、対流熱損失が小さい。(表1参照)又、その空気の厚さは三角形状になっており、その三つの頂点付近は空気の境膜により対流防止機能が働き、より放熱量が減少し、理想の対流防止機構が構成される。又、集熱面が三角形状になっている為、太陽光線の入力が一部反射してもその反射光線は隣の集熱面に当たって吸収される為、平面の集熱面より太陽光線の吸収率は上がる。

Claims (5)

  1. 太陽光線を良く通すフイルム(2)と、太陽光線を吸収して集熱する折れ線状に加工されたフイルム(3)と、原料樹脂より作ったナチュラル透明フイルム(4)とで出来た三種のフイルムを折れ線の頂点で熱溶着し、上部に空気層が、下部に貯湯層が出来る様、断面図で見ると三角形が上下交互に連接する様に熱溶着し、その溶着線が左右どちらかが一部溶着しないで下段と上段との間に空間を作り、外側及び底部に断熱材を入れて縁辺部を熱溶着して密閉した太陽熱温水器。
  2. 前記集蓄熱袋の高さが低くて平らなマット状にして縁辺部より固定用ステンレスワイヤーにて屋根に止められる支持金具が付いた太陽熱温水器。
  3. 前記集蓄熱袋の上部空間に透過体シート又はフイルムで覆った太陽熱温水器。
  4. 請求項1を作る時、中心に折れ線付き集熱フィルム(3)を置き、上側に透明フィルム(2),下側にナチュラル透明フィルム(4)を置き、溶着線を作る熱源を半導体レーザーヒーターを透明フイルム側から当てて作る太陽熱温水器。
  5. 請求項1の底部と断熱材との間に換気排熱交換ダクトを設けた凍結防止用太陽熱温水器
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