JP2012147347A - 振動片、振動子、発振器及び電子機器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】水晶振動片1は、基部10と、基部10からY軸方向に延びる振動腕11a,11b,11cと、を備え、振動腕11a,11b,11cは、平面視において、Y軸方向と直交するX軸方向に腕幅を有し、Y軸方向とX軸方向とで特定される平面に沿った主面10a,10bの少なくとも一方に、主面10aと直交するZ軸方向に振動腕11a,11b,11cを振動させる励振電極12a,12b,12cが設けられ、振動腕11a,11b,11cのY軸方向の腕長さをL、X軸方向の腕幅をW、励振電極12a,12b,12cのY軸方向の電極長さをL1、X軸方向の電極幅をW1としたとき、0.3≦W1/W<1.0、且つ、0.1≦L1/L≦0.5であることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
振動片は、小型化の進展に伴い、振動部に形成される電極の大きさや位置などの、Q値に及ぼす影響の度合いが増大してきている。
この点において、上記特許文献1の振動片は、振動部における主面の全部に電極が形成された構成となっていることから、振動部が屈曲振動する振動片に適用した場合、電極に起因した熱弾性損失(屈曲振動する振動片の圧縮部(温度が高くなる)と伸張部(温度が低くなる)との間で発生する熱伝導(温度平衡化現象)により生じる振動エネルギーの損失)の増大などによりQ値が低下する虞がある。
なお、上記範囲は、発明者らがシミュレーションや実験による解析の結果などから得た知見に基づいて設定したものである。
従って、振動片は、基材(構成の基本となる材料)に必ずしも圧電材料を用いる必要がないことから、基材の選択肢が広がり、例えば、シリコンなどの半導体材料を基材として用いることができる。
このことから、振動片は、振動腕から基部への振動漏れが低減され、Q値を向上させることができる。
ここでは、振動片の一例として、基材に水晶を用いた水晶振動片について説明する。
図1は、第1実施形態の水晶振動片の概略構成を示す模式図である。図1(a)は、平面図、図1(b)は、図1(a)のA−A線での断面図である。なお、各配線は省略してあり、各構成要素の寸法比率は実際と異なる。
基部10は、パッケージなどの外部部材に固定されることから、所定の剛性(強度)を確保するために、振動腕11a,11b,11cよりも厚く形成されている。
振動腕11a,11b,11cは、略角柱状に形成され、平面視において、Y軸方向と直交する第2方向としての水晶結晶軸のX軸方向に腕幅を有している。
振動腕11a,11b,11cは、Y軸方向とX軸方向とで特定される平面に沿った主面10a,10bの少なくとも一方に(ここでは主面10aに)、主面10aと直交する第3方向としての水晶結晶軸のZ軸方向(図1(b)の矢印方向)に振動腕11a,11b,11cを屈曲振動(面外振動:主面10aに沿わない方向の振動)させる励振電極12a,12b,12cが設けられている。
励振電極12a,12b,12cの第1電極12a1,12b1,12c1、第2電極12a2,12b2,12c2には、例えば、Cr、Auなどの導電性の高い金属の膜が用いられ、圧電体13には、ZnO、AlN、PZTなどの圧電性の高い圧電材料の膜が用いられている。
なお、励振電極12a,12b,12cは、振動腕11a,11b,11cの根元部(基部10との境界部分)から先端部に延びるように設けられているのが好ましい。
図2は、図1(a)のB−B線での断面図及び各励振電極の配線図である。
図2に示すように、水晶振動片1の励振電極12a,12b,12cは、第1電極12a1,12b1,12c1と第2電極12a2,12b2,12c2とが交差配線によって交流電源に接続され、駆動電圧としての交番電圧が印加されるようになっている。
水晶振動片1は、上記交差配線によって励振電極12a,12cと励振電極12bとに発生する電界の方向を逆にして、圧電体13の伸縮が、振動腕11a,11cと振動腕11bとの間で逆になるように構成されている。具体的には、振動腕11a,11cの圧電体13が伸張したとき、振動腕11bの圧電体13が収縮し、振動腕11a,11cの圧電体13が収縮したとき、振動腕11bの圧電体13が伸張する。
これを繰り返すことで、水晶振動片1は、振動腕11a,11b,11cがZ軸方向に屈曲振動(面外振動)をすることになる。この際、隣り合う振動腕(ここでは、11aと11b、11bと11c)は、互いに逆方向に(逆相で)屈曲振動する。
上記範囲内において、水晶振動片1は、励振電極12a,12b,12cによる振動腕11a,11b,11cの効率的な振動によって発熱量(圧縮部と伸張部との温度差)が減少し、熱弾性損失が抑制され、上記範囲外の水晶振動片よりもQ値を向上させることができる。
なお、上記範囲は、発明者らがシミュレーションや実験による解析の結果などから得た知見に基づいて設定したものである。
図3は、水晶振動片のQ値と励振電極との関係を示したグラフである。
図3(a)は、水晶振動片のQ値と、励振電極のY軸方向の電極長さL1/振動腕のY軸方向の腕長さLとの関係を示すグラフであり、図3(b)は、水晶振動片のQ値と、励振電極のX軸方向の電極幅W1/振動腕のX軸方向の腕幅Wとの関係を示すグラフである。
なお、図3(a)においては、横軸がL1/Lを表し、縦軸が、W1/W=1のときのQ値を1として、Q値の変化を指数で表している。また、図3(b)においては、横軸がW1/Wを表し、縦軸が、W1/W=1のときのQ値を1として、Q値の変化を指数で表している。
図3(b)の折れ線グラフは、□がL1/L=0.4の本実施形態品を示し、◇が後述するL1/L=0.4の励振電極を分割した変形例品を示す。
なお、各品とも水晶振動片における励振電極以外のサイズは同一の設定で、シミュレーションや実験が行われている。
また、図3(b)に示すように、W1/Wについては、0.1以上〜1未満の範囲において、1から0.3強まで減少するに連れて2品ともQ値が漸増し、0.3強から0.1にかけて2品ともQ値が急増している。
しかしながら、W1/Wが0.1以上〜0.3未満の範囲においては、通常の駆動電力下での励振電極12a,12b,12cに生じる電界が、圧電体13の伸縮によって振動腕11a,11b,11cを安定して振動させ得る電界強度に達しない虞があることから、この範囲を除外することが好ましい。
図4に示すように、例えば、Q値を実用上十分な値である10000以上にするためには、水晶振動片の抵抗値を100kΩ以下にして、振動腕11a,11b,11cを安定して振動させ得る電界強度を得る必要がある。
図4によれば、これを満たすW1/Wの範囲は、0.3以上であることが分かる。
従って、W1/Wについては、0.3以上〜1.0未満が実用上の好適な範囲となる。
従って、水晶振動片1は、基材に必ずしも水晶などの圧電材料を用いる必要がないことから、基材の選択肢が広がり、例えば、シリコンなどの半導体材料を基材として用いることができる。
これにより、水晶振動片1は、振動腕11a,11b,11cから基部10への振動漏れが低減され、Q値を向上させることができる。
(変形例)
図5は、変形例の水晶振動片の概略構成を示す模式図である。図5(a)は、平面図、図5(b)は、図5(a)のC−C線での断面図であり、図5(c)は、図5(a)のD−D線での断面図である。なお、上記実施形態との共通部分には同一符号を付して詳細な説明を省略し、上記実施形態と異なる部分を中心に説明する。
そして、水晶振動片2は、分割された各励振電極が、各振動腕のX軸方向の両端部に配置されている。
具体的には、振動腕11aのX軸方向の一方の端部に励振電極12a(1)、他方の端部に励振電極12a(2)が配置され、振動腕11bのX軸方向の一方の端部に励振電極12b(1)、他方の端部に励振電極12b(2)が配置され、振動腕11cのX軸方向の一方の端部に励振電極12c(1)、他方の端部に励振電極12c(2)が配置されている。
2分割された各励振電極の各第1電極、各第2電極は、同様にそれぞれ2分割され、第1電極12a(1)1,12a(2)1,12b(1)1,12b(2)1,12c(1)1,12c(2)1、第2電極12a(1)2,12a(2)2,12b(1)2,12b(2)2,12c(1)2,12c(2)2となっている。
上記の各励振電極における分割された第1電極同士(例えば、12a(1)1,12a(2)1)、第2電極同士(例えば、12a(1)2,12a(2)2)は、互いに図示しない配線で接続されている。
なお、水晶振動片2の動作に関しては、基本的に上記実施形態と同様なので説明を省略する。
具体的には、前述した図3のグラフに示すように、本変形例に相当する変形例品は、0.3≦W1/W<1.0、且つ、0.1≦L1/L≦0.5の範囲内において、上記実施形態品に対して、同等以上のQ値の向上を得ることができる。
いずれの構成にしても、水晶振動片2は、各励振電極が分割されることにより、各振動腕の振動がより効率的となることで発熱量がより減少し、熱弾性損失がより抑制され、Q値をより向上させることができる。
次に、上記第1実施形態及び変形例で述べた水晶振動片(振動片)を備えた振動子としての水晶振動子について説明する。
図6は、第2実施形態の水晶振動子の概略構成を示す模式図である。図6(a)は、リッド(蓋体)側から俯瞰した平面図であり、図6(b)は、図6(a)のE−E線での断面図である。なお、平面図では、リッドを省略してある。また、各配線は省略してある。
なお、上記第1実施形態との共通部分には、同一符号を付して詳細な説明を省略し、上記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
パッケージベース21には、セラミックグリーンシートを成形して積層し焼成した酸化アルミニウム質焼結体、水晶、ガラス、シリコンなどが用いられている。
リッド22には、パッケージベース21と同材料、または、コバール、42アロイ、ステンレス鋼などの金属が用いられている。
内部端子24,25は、水晶振動片1の基部10に設けられた接続電極18a,18bの近傍となる位置に略矩形状に形成されている。接続電極18a,18bは、図示しない配線により、水晶振動片1の各励振電極(12bなど)の第1電極(12b1など)及び第2電極(12b2など)に接続されている。
例えば、図2の配線において、交流電源の一方側の配線が接続電極18aに接続され、他方側の配線が接続電極18bに接続される。
外部端子27,28は、図示しない内部配線によって内部端子24,25と接続されている。例えば、外部端子27は、内部端子24と接続され、外部端子28は、内部端子25と接続されている。
内部端子24,25及び外部端子27,28は、W(タングステン)などのメタライズ層にNi、Auなどの各被膜をメッキなどの方法により積層した金属膜からなる。
そして、水晶振動子5は、水晶振動片1の接続電極18a,18bが、Au、Alなどの金属ワイヤー31により内部端子24,25と接続されている。
水晶振動子5は、水晶振動片1がパッケージベース21の内部端子24,25と接続された状態で、パッケージベース21がリッド22により覆われ、パッケージベース21とリッド22とがシームリング、低融点ガラス、接着剤などの接合部材29で接合されることにより、パッケージ20の内部が気密に封止されている。
なお、パッケージ20の内部は、減圧状態(真空度の高い状態)または窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスが充填された状態となっている。
なお、水晶振動子5は、水晶振動片1に代えて変形例の水晶振動片2を備えた場合においても、上記と同様の効果を上記と同等以上に奏する振動子を提供することができる。
次に、上記第1実施形態及び変形例で述べた水晶振動片(振動片)を備えた発振器としての水晶発振器について説明する。
図7は、第3実施形態の水晶発振器の概略構成を示す模式図である。図7(a)は、リッド側から俯瞰した平面図であり、図7(b)は、図7(a)のE−E線での断面図である。なお、平面図では、リッド及び一部の構成要素を省略してある。また、各配線は省略してある。
なお、上記第1実施形態及び第2実施形態との共通部分には、同一符号を付して詳細な説明を省略し、上記第1実施形態及び第2実施形態と異なる部分を中心に説明する。
発振回路を内蔵するICチップ40は、パッケージベース21の内底面23に、図示しない接着剤などを用いて固定されている。
ICチップ40は、図示しない接続パッドが、Au、Alなどの金属ワイヤー41により内部接続端子23aと接続されている。
なお、ICチップ40の接続パッドと内部接続端子23aとの接続には、金属ワイヤー41を用いたワイヤーボンディングによる接続方法以外に、ICチップ40を反転させてのフリップチップ実装による接続方法などを用いてもよい。
そして、水晶発振器6は、この発振に伴って生じる発振信号をICチップ40、内部接続端子23a、外部端子27,28などを経由して外部に出力する。
なお、水晶発振器6は、水晶振動片1に代えて変形例の水晶振動片2を備えた場合においても、上記と同様の効果を上記と同等以上に奏する発振器を提供することができる。
また、水晶発振器6は、ICチップ40をパッケージ20に内蔵ではなく、外付けした構成のモジュール構造(例えば、1つの基板上に水晶振動子及びICチップが搭載されている構造)としてもよい。
次に、上記第1実施形態及び変形例で述べた水晶振動片(振動片)を備えた電子機器としての携帯電話について説明する。
図8は、第4実施形態の携帯電話を示す模式斜視図である。
図8に示す携帯電話700は、上記第1実施形態及び変形例で述べた水晶振動片のいずれか(例えば、水晶振動片1)を、基準クロック発振源などとして備え、更に液晶表示装置701、複数の操作ボタン702、受話口703、及び送話口704を備えて構成されている。
また、振動片の基材としては、水晶に限定するものではなく、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、四ホウ酸リチウム(Li2B4O7)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、酸化亜鉛(ZnO)、窒化アルミニウム(AlN)などの圧電材料、またはシリコンなどの半導体材料であってもよい。
また、振動片の振動腕の数は、3本に限定するものではなく、1本または2本でもよく、4本以上のn本(nは5以上の自然数)でもよい。
なお、振動片の基部の厚さは、振動腕と同じ厚さにしてもよい。これによれば、振動片は、平板状となることから、製造が容易となる。
Claims (8)
- 基部と、
前記基部から第1方向に延びる振動腕と、を備え、
前記振動腕は、平面視において、前記第1方向と直交する第2方向に腕幅を有し、且つ、前記第1方向と前記第2方向とで特定される平面に沿った前記振動腕の主面の少なくとも一方に、前記主面と直交する第3方向に前記振動腕を振動させる励振電極が設けられ、
前記振動腕の前記第1方向の腕長さをL、前記第2方向の前記腕幅をW、前記励振電極の前記第1方向の電極長さをL1、前記第2方向の電極幅をW1としたとき、
0.3≦W1/W<1.0、且つ、0.1≦L1/L≦0.5であることを特徴とする振動片。 - 請求項1に記載の振動片において、前記励振電極は、前記主面側に設けられた第1電極と、
前記第1電極に対向して設けられた第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に延在する圧電体と、
を備えたことを特徴とする振動片。 - 請求項1または請求項2に記載の振動片において、前記励振電極は、前記第2方向に並ぶように分割して設けられ、
分割された前記励振電極の一方の前記第2方向の電極幅をW2とし、他方の前記第2方向の電極幅をW3としたとき、W1=W2+W3であることを特徴とする振動片。 - 請求項3に記載の振動片において、分割された前記励振電極が、前記振動腕の前記第2方向の両端部に配置されていることを特徴とする振動片。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の振動片において、前記振動腕を複数備えたことを特徴とする振動片。
- 請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の振動片と、
前記振動片を収容したパッケージと、
を備えたことを特徴とする振動子。 - 請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の振動片と、
前記振動片を発振させる発振回路と、
を備えたことを特徴とする発振器。 - 請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の振動片を備えたことを特徴とする電子機器。
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