JP2012147052A - 画像処理装置、画像処理プログラム、及び、画像処理方法 - Google Patents

画像処理装置、画像処理プログラム、及び、画像処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】錐体応答による階調補正処理を高速に且つ/又は小さい演算回路で実施できるようにする。
【解決手段】階調補正する画像処理装置は、階調補正後の画像の画素値の対数tc'を、数式tc' = a・base'+b・white'+c を満たすよう演算する階調処理手段(24)を備える。ここで、base'は、階調処理前の画像に対しエッジ保存平滑化及び対数変換を行うことにより得られる第一の画像の画素値を表し、white'は、階調処理前の画像に対し平滑化及び対数変換を行なうことにより得られる第二の画像の画素値を表し、a、b及びcは、それぞれ、第一の定数、第二の定数、及び、第三の定数を表す。
【選択図】図5

Description

本発明は、画像処理装置、画像処理プログラム、及び、画像処理方法に関する。
通常のイメージセンサで取得した画像の輝度範囲、即ちダイナミックレンジは、人の知覚できるダイナミックレンジと比べると狭い。このため、近年では異なる輝度範囲を撮影した複数の画像を合成することにより広いダイナミックレンジの画像(HDR(high dynamic range)画像)を生成する技術が使われている。その結果、より見たままに近いシーンが記録できるようになった。しかし、表示デバイスである各種のディスプレイの多くは、依然低いダイナミックレンジを有する。低いダイナミックレンジの表示デバイスにHDR画像を表示する際には、不自然にならないように階調を圧縮する必要がある。
一方、人の視覚は広い輝度範囲を認識できるが、実際には見ている領域の明暗によってゲインを変えて知覚しており、知覚のダイナミックレンジはそれほど広くない。このような視覚特性をモデル化して、階調圧縮に応用する方法が提案されているが、その方法の一つとして、良好な階調圧縮ができる「iCAM06」が知られている(非特許文献1、2参照)。
また、「iCAM06」のような視覚モデルに基づいた階調補正は、低いダイナミックレンジで記録したLDR(low dynamic range)画像に対する階調補正処理に応用されても、良好な階調補正の結果を生じる。なお、LDRに対する階調補正には、例えば、暗部や明部を適正な明るさにする階調変換がある。
なお、以下、階調補正は、画像の暗部や明部を適正な明るさにしたりする階調変換の他、画像のダイナミックレンジを狭める階調圧縮などの階調変換も含む。
Kuang, J., Johnson, G. M., Fairchild M. D.,「iCAM06: A refined image appearance model for HDR image rendering」, Journal of Visual Communication and Image Representation, Volume 18, Issue 5, October 2007, Pages 406-414 Mark D. Fairchild著、"Color Appearance Models"、(英国)、第2版、John Wiley & Sons社、2005年1月1日
しかし、視覚モデルを応用した階調補正は、計算が複雑であり、多くの演算量を必要とする。このため、小さな回路規模の画像処理装置やソフトウェアが階調補正処理を行う場合に、静止画の階調補正処理に要する時間は多くなり、また、リアルタイムでの動画像の階調補正処理は困難である。
例えば、iCAM06において、国際標準のカラーアピアランスモデルであるCIE CAM02の錐体応答モデルを数式(1)及び(2)のように応用して、階調補正が行われている。
ここで、tcは、錐体応答の出力(階調補正値)で、tcを求める関数は錐体応答のモデルである。また、baseは、エッジ保存平滑化による平滑化画像(ベース成分画像)のリニア画素値であり、whiteは、平滑化した画像(平滑化画像)のリニア画素値で、基準の順応白色の輝度を示す。FLは、局所的な順応度合いを決定する中間計算値で、whiteから算出される。pは、コントラストを調整するユーザパラメータで標準値は0.75である。
実際には、エッジ保存平滑化の出力値及び錐体応答の出力値は対数であることが望ましい。このため、baseの対数値をbase’、錐体応答の出力の対数値をtc’とすると、錐体応答の演算式は、数式(3)となる。
このように錐体応答に基づく階調補正処理には、通常、多くの乗除算、冪演算、対数演算が含まれ、多くの演算量を必要とする。
本発明の目的は、錐体応答に基づく階調補正処理を高速に且つ/又は小さい演算回路で実施できるようにすることである。
本発明のある態様に係る画像処理装置は、階調補正する画像処理装置であって、階調補正後の画像の画素値の対数tc'を、数式tc' = a・base'+b・white'+c を満たすよう演算する階調処理手段を備える。ここで、base'は、階調処理前の画像に対しエッジ保存平滑化及び対数変換を行うことにより得られる第一の画像の画素値を表し、white'は、階調処理前の画像に対し平滑化及び対数変換を行なうことにより得られる第二の画像の画素値を表し、a、b及びcは、それぞれ、第一の定数、第二の定数、及び、第三の定数を表す。
本発明の別の態様に係る画像処理方法は、階調補正を行う画像処理方法であって、階調補正後の画像の画素値の対数tc'を、数式tc' = a・base'+b・white'+c を満たすよう演算する階調処理ステップを備える。
本発明のさらに別の態様に係る画像処理プログラムは、階調補正を行う画像処理プログラムであって、階調補正後の画像の画素値の対数tc'を、数式tc' = a・base'+b・white'+c を満たすよう演算する階調処理手順をコンピュータに実行させる。
本発明によると、錐体応答の演算が簡易に行える。従って、錐体応答に基づく階調補正処理が、高速に或いは/且つ小さい演算回路で実施できる。
第一実施形態に係る画像処理装置を示すブロック図である。 第一実施形態に係る補正処理部の詳細を示すブロック図である。 錐体応答の出力値tc’とAの関係を示すグラフである。 基準の順応白色の対数輝度値white’とlog(FL/white)との関係を示すグラフである。 第一実施形態に係る錐体応答演算部の機能ブロック図である。 第二実施形態に係る補正処理部の詳細を示すブロック図である。 (a)画像処理プログラムのメインルーチンを示すフローチャートである。(b)補正処理のサブルーチンを示すフローチャートである。(c)錐体応答演算処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
[第一実施形態]
<<画像処理装置>>
図1は、第一実施形態に係る画像処理装置1(又は画像処理システム)のブロック図である。画像処理装置1は電子機器に搭載される。電子機器の例として、テレビジョン受像機、プリンタ、スチルカメラ、ビデオカメラなどが挙げられる。画像処理装置1は、入力した画像に対して、簡略化した錐体応答の演算に基づく階調補正を行う。
画像処理装置1は、入力されたカラー画像(例えばRGB画像)に対して、階調補正処理を行う。画像処理装置1は、輝度画像生成部10、補正処理部11、ゲイン生成部12、ゲイン適用部13を備える。例えば、各部10−13は論理回路から構成してよいし、CPU(中央演算処理装置)と演算プログラムを格納するメモリなどから構成してもよい。
輝度画像生成部10は、カラー画像を輝度画像に変換するもので、例えば、画素ごとにRGB−XYZ変換などにより輝度値(Y)を得て、輝度値(Y)を画素値として有する輝度画像Iを生成する。補正処理部11は、輝度画像に対して階調補正処理を行う。ゲイン生成部12は、カラー画像の各色の階調変換などに使用するゲインを生成する。例えば、ゲイン生成部12は、補正処理部11による処理後の画像と処理前の画像との間の各画素における輝度値の比を、カラー画像の各色のゲインに設定する。ゲイン適用部13は、ゲイン生成部12で生成されたゲインを、カラー画像の各色の階調変換などに適用し、ゲイン適用部13は、入力したカラー画像の画素値にゲインを印加する。
なお、画像処理装置1が入力された単色(モノクロ)画像に対して、階調補正処理を行う場合、輝度生成部10、ゲイン生成部12、及び、ゲイン適用部13を省略して、補正処理部11の出力をそのまま画像処理装置1の出力としてよい。
<<補正処理部>>
図2は、補正処理部11の詳細を示すブロック図である。補正処理部11は、対数変換部20、エッジ保存平滑化部21、平滑化部22、ディテール成分生成部23、錐体応答演算部24、合成処理部25、リニア変換部26を備える。例えば、各部20−26は論理回路から構成してよいし、CPU(中央演算処理装置)と演算プログラムを格納するメモリなどから構成してもよい。
対数変換部20は、輝度画像生成部10から入力された輝度画像Iを対数変換して対数の輝度画像I’を生成する。エッジ保存平滑化部21は、対数変換部20から入力された対数輝度画像I’に対してエッジ保存平滑化を実施して、エッジが保存された平滑化画像(対数のベース成分画像B’)を生成する。例えば、エッジ保存平滑化には、公知のバイラテラルフィルタが使用される。
平滑化部22は、対数変換部20から入力された対数輝度画像I’に対して平滑化を行い、基準の順応白色の対数輝度画像として対数の平滑化画像W’を生成する。平滑化部22の平滑化は、エッジを保存しないものでよく、エッジ保存平滑化部21のエッジ保存平滑化とは異なる度合いで行われる。例えば、非特許文献1のようにガウシアンフィルタによる平滑化が行われる。
ディテール成分生成部23は、対数変換部20から入力された対数輝度画像I’とエッジ保存平滑化部21から入力された対数ベース成分画像B’の差を計算して、細部の成分に関するディテール成分画像D’(対数)を得る。錐体応答演算部24は、エッジ保存平滑化部21から入力された対数ベース成分画像B’と平滑化部22からの対数平滑化画像W’(基準の白色対数画像)を使用して、錐体応答モデルに基づいて対数画素値の階調の変換を行う。錐体応答演算部24は、階調処理手段又は階調処理部とも呼ばれる。
合成処理部25は、ディテール成分生成部23からのディテール成分画像D’と錐体応答演算部24からの対数階調補正画像S’との画素値の和を演算して、これら画像を合成する。リニア変換部26は、合成処理部25で生成された合成画像T’をリニア変換(対数変換の逆変換)して出力画像Rとして出力する。
<<錐体応答>>
次に、錐体応答演算部24が実施する錐体応答の演算について説明する。本実施形態では、錐体応答の演算式である前述の数式(3)の計算が簡易に行えるような工夫が施される。
演算の簡易化を考えるために、まず数式(3)は、数式(4)と数式(5)のように分離される。各式のlog関数は常用対数であるものとする。
図3のグラフの実線は、式(5)のtc’とAの関数を示す。しかし、実際には、tc’とAの関数のうち直線部が使われる場合がほとんどである。従って、図3のグラフの点線のように関数を直線近似して、直線部のみを使用しても実用上の問題は生じない。
即ち、数式(5)の代わりに、点線を表す数式(6)の直線近似式、即ち一次関数を使用してもよい。
一方、数式(4)は、次のように展開できる。
ここで、log(FL/white)は、whiteのみから計算される値であり、数式(2)を用いて、数式(8)のように展開できる。
さらに、whiteの対数値であるwhite’とlog(FL/white)との関係は、図4のグラフの実線のようにほぼ直線(一次関数)となる。white’がごく小さい場合には、white’とlog(FL/white)との関係は、曲線となる。しかし、図4のグラフ中に点線のように関数を直線近似して、直線部のみを使用しても実用上の問題は生じない。
即ち、数式(8)の代わりに、点線に対応する数式(9)の直線近似式、即ち一次関数を使用してもよい。
従って、数式(7)に示したAは、式(9)を代入して、数式(10)のように近似的に計算できる。
更にAの近似式(10)を錐体応答値tc’の近似計算である式(6)に代入すると式(11)が得られる。
ここで、a,b,cは、ユーザが決定してメモリに保存されるパラメータpによって計算される定数であるので、画素ごとの計算は不要である。
このように、錐体応答の近似を行うことで、視覚モデルに基づいた多くの演算を必要とする処理である数式(3)が、わずかな演算量で計算が行える数式(11)に近似できる。そして、錐体応答演算部24は、数式(11)の演算を行う。
<<錐体応答演算部>>
図5は、錐体応答演算部(階調処理手段)24の詳細の一例を示すブロック図である。錐体応答演算部24は、第一乗算部30、第二乗算部31、加算部32を備える。例えば、各部30−32は論理回路から構成してよいし、CPU(中央演算処理装置)と、演算プログラムを格納するメモリなどから構成してもよい。
第一乗算部30は、第一の入力画像としての対数ベース成分画像B’に第一の定数aを乗算する乗算処理を行う。即ち、第一乗算部30は、対数ベース成分画像B’の各画素の画素値base'に第一の定数aを乗算して第一の積a・base'を算出する。第二乗算部31は、第二の入力画像としての対数平滑化画像W’に第二の定数bを乗算する乗算処理を行う、即ち、第二乗算部31は、対数平滑化画像W’の各画素の画素値white'に第一の定数bを乗算して第二の積b・white'を算出する。
加算部32は、第一乗算部30の演算結果aBと第二乗算部31の演算結果bWと第三の定数cとを足し合わせる加算処理を行い、対数階調補正画像S’=aB’+bW’+cを出力する。即ち、加算部32は、数式(11)に基づいて、階調補正画像の画素値tc'(=a・base'+b・white'+c)を求める。このように加算部32は、base’を定数倍(a倍)したものとbase’を定数倍(b倍)したものを足し合わせ、base’とwhite’の線形和を計算する加算手段となる。
なお、数式(11)をtc'=a・{base'+(b/a)・white' }+cと変形して計算するような場合にも、錐体応答演算部24は、base’を定数倍(1倍)したものとbase’を定数倍(b/a倍)したものを足し合わせ、線形和{base'+(b/a)・white' }を計算する加算手段を有することになる。
数式(11)において、定数cは、対数値である各画素値に対して一様に加算(cがマイナスであれば減算)をする値である。対数値を逆演算してリニアに変換した画像に関して、定数cの加算は、一様に画素値を変倍(スケーリング)することに相当する。即ち、定数cの加算は、階調の補正には寄与しない。このため、加算部32は、定数cの加算を行わなくてもよい。この場合でも、階調補正の効果は得られる。
−作用効果−
階調補正する画像処理装置は、階調補正後の画像の画素値の対数tc'を、数式tc' = a・base'+b・white'+c(数式(11))を満たすよう演算する階調処理手段(錐体応答演算部24)を備える。ここで、base'は、階調処理前の画像に対しエッジ保存平滑化及び対数変換を行うことにより得られる第一の画像(B’)の画素値を表す。white'は、階調処理前の画像に対し平滑化及び対数変換を行なうことにより得られる第二の画像(W’)の画素値を表す。
これにより、錐体応答の演算式の計算が簡易に行える。従って、視覚モデルに基づいた階調補正処理が、高速に或いは/且つ小さい演算回路で実施できる。典型的には、数式(11)を用いる本実施形態の階調補正処理は、数式(3)を用いる階調補正処理より、処理時間は70分の1程度になる。また、数式(11)による階調補正処理を行う本実施形態の画像処理装置は、数式(3)による階調補正処理を行う画像処理装置より、回路規模は5分の1程度になる。
階調処理手段(錐体応答演算部24)は、第一の画像の各画素の画素値を定数倍した値を取得する第一の取得手段(例えば、第一乗算部30)と、第二の画像の各画素の画素値を定数倍した値を取得する第二の取得手段(例えば、第二乗算部31)と、を備える。さらに、階調処理手段は、第一の画像と第二の画像とで対応する画素同士について第一の積と第二の積を足し合わせる加算手段(例えば、加算部32)を備える。このため、好適に数式(11)が計算できる。
なお、第三の定数cがゼロであれば、数式(11)の演算が簡略化でき、錐体応答の演算式の計算がさらに高速に行える。
[第二実施形態]
第一実施形態では、輝度画像の階調補正の結果を得るために、ディテール成分画像D’を生成する。しかし、カラー画像を処理したい場合はゲインのみが取得できれば良いので、ディテール成分画像D’を生成する必要はない。
図6は、第二実施形態に係る補正処理部41とゲイン生成部42の詳細を示すブロック図である。補正処理部41では、第一実施形態に係る補正処理部11からディテール成分生成部23、合成処理部25、リニア変換部26が省略されている。ゲイン生成部42は、対数値ゲイン生成部44とリニア変換部45を備える。
ゲイン生成部42の対数値ゲイン生成部44は、錐体応答演算部24による階調補正処理前後のゲインの対数値log(base/tc)を演算する。対数値log(base/tc)は、base'−tc'であるため、ゲインを除算でなく減算で計算できる。リニア変換部45は、対数値log(base/tc)を逆対数変換してゲインbase/tcを求める。ゲイン適用部13は、ゲイン生成部42のリニア変換部45で生成されたゲインを、カラー画像の各色の階調変換などに適用する。
第二実施形態において、階調補正処理前後のゲインを除算でなく減算で計算できる。このため、ゲインの演算量が減少する。
[第三実施形態]
第三実施形態は、錐体応答による階調変換の数式(11)において定数a,b,cがとりうる値の範囲に関する。
数式(11)において、コントラスト調整の役割を持つユーザパラメータpは、0から2程度の範囲で調整可能である。また、数式(11)の定数bの計算に現れる値2/3は、順応度合い、即ち階調の圧縮の度合いを調整する値として機能する。このため、値2/3の代わりに順応度合いを調整するユーザパラメータdを使用しても良い。ユーザパラメータdは、極端な順応を行わせる値0から、順応させない値2程度の範囲で調整可能である。従って、ユーザパラメータpとdの積から決定される定数b(=−p・d)は、マイナス4から0程度までの値をとる。なお、ユーザパラメータpとdは、ユーザにより設定され、メモリに保存されている。
また、数式(11)は、近似計算であり、定数値cの計算で用いている値1.158などは厳密に用いずに、1から1.5程度の幅があっても問題ない。即ち、数式(11)での定数a,b,cがとりうる値の範囲は、数式(12)の通りに設定される。
第三実施形態によると、エッジ保存平滑化した画像が、階調補正を行いたい画像を常用対数で対数変換して生成した画像である。 第一の定数aは、0から2までの値であり、第二の定数bは、第一の定数に対してマイナス2倍から0倍した値であり、第三の定数cは、第一の定数をマイナス1倍したものに1から1.5までの値を加算した値である。従って、コントラストや階調の圧縮の度合いなどを適切に調整できる。
[第四実施形態]
第四実施形態において、第三の定数cは、ベース成分画像(リニア)の画素値baseと階調補正画像(リニア)の画素値tcの比が小さくなるように、階調補正画像の画素値tcをスケーリングするための調整値として用いられる。第三の定数cは、ユーザにより設定され、メモリに記憶しておくことができる。
カラー画像に対して階調補正する場合に、輝度成分の階調補正処理の前後のゲイン値が、カラー画像の各色の階調変換に適用される。この場合、ゲイン値が小さいほど、ビット数が少ない乗算を行え、処理時間の短縮、あるいはハードウェア規模の削減ができる。なお、ベース成分画像の画素値baseと階調補正画像の画素値tcの比が小さいほど、ゲイン値は小さい。
例えば、base及びwhiteが1から10000の値をとる場合に、その対数値であるbase'及びwhite'は0から4となる。さらに、pを標準値である0.75(c=0.408)として数式(11)を適用すると、base'=4且つwhite'=4のとき、baseとtcの比(base/tc)が、最大値391.74となる(数式(13))。
しかし、第三の定数cの値を増加して調整することにより、錐体応答の対数値tc’を対数ベース成分画像の画素値base'の範囲に近づけることができる。例えば、数式(11)において、第三の定数cを(-p+1.158)の代わりに1.5とすると、base'=4且つwhite'=4のとき、baseとtcの比(base/tc)は最大値31.63倍となり(数式(14))、よりビット数が少ないゲイン値を用いることができる。
第四実施形態によると、第三の定数cは、錐体応答の対数値tc’を第一の入力画像の画素値base'の範囲に近づける調整値である。従って、第三の定数cの調整により、ゲイン値を小さくして、ゲイン値を使用する演算の際にビット数が少ない高速の演算が行える。従って、階調補正処理の処理時間の短縮、あるいはハードウェア規模の削減ができる。
[その他の実施形態]
上述した各実施形態の説明では、画像処理装置が行う処理としてハードウェアによる処理を前提としていたが、このような構成に限定される必要はない。例えば、別途ソフトウェアにて処理する構成も可能である。この場合、画像処理装置は、コンピュータに相当し、CPU、RAM等の主記憶装置と、上記処理の全て或いは一部を実現させるためのプログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体とを備えている。ここでは、このプログラムを画像処理プログラムと呼ぶ。そして、CPUが上記記憶媒体に記憶されている画像処理プログラムを読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、上述の画像処理部と同様の処理を実現させる。
ここで、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、この画像処理プログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該画像処理プログラムを実行するようにしても良い。
図7(a)−(c)は、画像処理装置(コンピュータ)が実行するプログラムを例示する。図7(a)は、画像処理のメインルーチンを示す。図7(b)は、補正処理のサブルーチンを示す。図7(c)は、エッジ保存平滑化処理のサブルーチンを示す。図7(a)のステップS10―S13で行われる処理は、それぞれ、図1の各部10−13が行う処理に対応する。図7(b)のステップS20―S26で行われる処理は、それぞれ、図2の各部20−26が行う処理に対応する。図7(c)のステップS30―S32で行われる処理は、それぞれ、図5の各部30−32が行う処理に対応する。
本発明は上記の各実施形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
10 輝度画像生成部(輝度画像生成手段)
11 補正処理部(補正処理手段)
12 ゲイン生成部(ゲイン生成手段)
13 ゲイン適用部(ゲイン適用手段)
20 対数変換部(対数変換手段)
21 エッジ保存平滑化部(エッジ保存平滑化手段)
22 平滑化部(平滑化手段)
23 ディテール成分生成部(ディテール成分生成手段)
24 錐体応答演算部(錐体応答演算手段)
25 合成処理部(合成処理手段)
26 リニア変換部(リニア変換手段)
30 第一乗算部(第一乗算手段)
31 第二乗算部(第二乗算手段)
32 加算部(加算手段)

Claims (8)

  1. 階調補正する画像処理装置であって、
    階調補正後の画像の画素値の対数tc'を、数式
    tc' = a・base'+b・white'+c
    を満たすよう演算する階調処理手段を備え、
    ここで、base'は、階調処理前の画像に対しエッジ保存平滑化及び対数変換を行うことにより得られる第一の画像の画素値を表し、
    white'は、階調処理前の画像に対し平滑化及び対数変換を行なうことにより得られる第二の画像の画素値を表し、
    a、b及びcは、それぞれ、第一の定数、第二の定数、及び、第三の定数を表すことを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記階調処理手段は、
    前記第一の画像の各画素の画素値を定数倍した値を取得する第一の取得手段と、
    前記第二の画像の各画素の画素値を定数倍した値を取得する第二の取得手段と、
    前記第一の画像と前記第二の画像とで対応する画素同士について前記第一の積と前記第二の積を足し合わせる加算手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
  3. 前記階調補正は、視覚モデルに基づいたものであることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
  4. 前記第三の定数がゼロであることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
  5. 前記エッジ保存平滑化した画像が、前記階調補正を行いたい画像を常用対数で対数変換して生成した画像であり、
    前記第一の定数は、0から2までの値であり、
    前記第二の定数は、前記第一の定数に対してマイナス2倍から0倍した値であり、
    前記第三の定数は、第一の定数をマイナス1倍したものに1から1.5までの値を加算した値であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  6. 前記第三の定数は、前記対数tc'を前記第一の画像の画素値の範囲に近づける調整値であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  7. 階調補正を行う画像処理方法であって、
    階調補正後の画像の画素値の対数tc'を、数式
    tc' = a・base'+b・white'+c
    を満たすよう演算する階調処理ステップを備え、
    ここで、base'は、階調処理前の画像に対しエッジ保存平滑化及び対数変換を行うことにより得られる第一の画像の画素値を表し、
    white'は、階調処理前の画像に対し平滑化及び対数変換を行なうことにより得られる第二の画像の画素値を表し、
    a、b及びcは、それぞれ、第一の定数、第二の定数、及び、第三の定数を表すことを特徴とする画像処理方法。
  8. 階調補正を行う画像処理プログラムであって、
    階調補正後の画像の画素値の対数tc'を、数式
    tc' = a・base'+b・white'+c
    を満たすよう演算する階調処理手順をコンピュータに実行させ、
    ここで、base'は、階調処理前の画像に対しエッジ保存平滑化及び対数変換を行うことにより得られる第一の画像の画素値を表し、
    white'は、階調処理前の画像に対し平滑化及び対数変換を行なうことにより得られる第二の画像の画素値を表し、
    a、b及びcは、それぞれ、第一の定数、第二の定数、及び、第三の定数を表すことを特徴とする画像処理プログラム。
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