JP2012144438A - 頭皮頭髪用化粧料 - Google Patents

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Abstract

【課題】長期間の使用においても、変色や腐敗し難く、且つ安全性に優れる、実用的な頭皮頭髪用化粧料を提供する。
【解決手段】銀化合物とヒスチジンとを、銀イオン1モル部に対してヒスチジン1〜5モル部の割合で、水に溶解させて水溶液を得、該水溶液を30℃〜70℃に加熱して析出混合液を得、該析出混合液を固相と液相とに分離し、次いで該固相を乾燥させることによって得られる水不溶性の銀−ヒスチジン多核錯体の微粉末を得、これをシャンプー成分を含有する液に添加して、頭皮頭髪用化粧料を得る。
【選択図】なし

Description

本発明は、頭皮頭髪用化粧料に関する。より詳細に、本発明は、長期間の使用においても、変色や腐敗し難く、且つ安全性に優れる、銀−アミノ酸錯体を含有する頭皮頭髪用化粧料に関する。
シャンプー、リンス、トリートメント、コンディショナー、ヘアリキッド、ヘアトニック、整髪料などの頭皮頭髪用化粧料は、雑菌が使用中に混入し、それが増殖することによって、腐敗または変質することがある。このため、頭皮頭髪用化粧料には、腐敗または変質を防止するために、パラオキシ安息香酸エステル(パラベン)、安息香酸塩、ソルビン酸塩、フェノキシエタノール、イソチアゾロン系化合物などの防腐剤若しくは殺菌剤が添加されている。これら殺菌剤が添加されている頭皮頭髪用化粧料は、使用者に不快な刺激感を与える場合がある。
また、頭皮または頭髪にて細菌や真菌が繁殖し、その細菌が原因となって発生する臭い、炎症、にきびなどや、真菌が原因となって発生する皮膚炎やフケなどを防止する目的で、頭皮頭髪用化粧料にはジンクピリチオンなどが添加されていることが多い。しかし、ジンクピリチオンは皮膚刺激性を伴うことがあり、頻繁な使用は好ましくない。また、ジンクピリチオンだけでは化粧料の腐敗を十分に防止できないので、他の防腐剤を添加する必要があった。
化粧料の腐敗や変質の防止のために、銀金属微粒子若しくは銀−アミノ酸錯体を添加することが提案されている。
例えば、特許文献1には、平均粒径1〜5nmの銀の超微粒子が水中に分散したコロイド溶液を含有するローションや乳液などの化粧料が記述されている。特許文献2には、0.1〜5.0ppmの銀イオンまたは5〜50ppmの銀ナノ粒子を含有したシャンプーやヘアートリートメントなどの化粧用組成物が記述されている。特許文献3には、基礎化粧品、香水、口紅、シャンプーなどの化粧品の防腐剤として、銀コロイド−L−ヒスチジン錯体が提案されている。また特許文献4には、水系溶媒に酸化銀およびフィチン酸を溶解させ、それにエチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸などのキレート剤を含有する抗菌剤を化粧品、医薬部外品、医薬品、その他雑貨などに利用することが提案されている。
特開2004−231534号公報 特開2008−120717号公報 特開2008−13492号公報 特開2010−202561号公報
銀イオンや銀金属微粒子は、それ自体着色していることがあり、また紫外線の影響によって変色することがある。また、特許文献3などに記載されている銀コロイド−L−ヒスチジン錯体を含有する防腐剤は、化粧料の主要成分のみを配合したモデル化粧料に対して防腐効果が認められるものの、実用に供されている頭皮頭髪用化粧料に対しては、主要成分以外の実用頭皮頭髪用化粧料に含まれる微量成分の影響によって、同様の防腐効果が認められない場合がある。
本発明は、長期間の使用においても、変色や腐敗し難く、且つ安全性に優れる、実用的な頭皮頭髪用化粧料を提供することを課題とするものである。
なお、本発明では、殺菌は細菌、酵母、真菌、ウイルスなどの微生物を死滅させることであり、抗菌はこれら微生物の増殖を抑制させることである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、銀−アミノ酸錯体を含有する頭皮頭髪用化粧料を得るに至った。特に、特定形態の銀−アミノ酸錯体を含有する頭皮頭髪用化粧料は、長期間の使用においても、変色や腐敗し難く、安全性に優れ、頭髪や頭皮に対する殺菌・抗菌効果が期待でき、実用的であることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいてさらに検討を重ねた結果、完成するに至ったものである。
すなわち本発明は、以下のものを含む。
〔1〕 銀−アミノ酸錯体を含有する頭皮頭髪用化粧料。
〔2〕 銀−アミノ酸錯体が銀イオン1モル部とアミノ酸1〜3モル部とからなるものである、〔1〕に記載の頭皮頭髪用化粧料。
〔3〕 銀−アミノ酸錯体が銀−ヒスチジン錯体である、〔1〕または〔2〕に記載の頭皮頭髪用化粧料。
〔4〕 銀−ヒスチジン錯体が銀−ヒスチジン多核錯体である、〔3〕に記載の頭皮頭髪用化粧料。
〔5〕 銀−ヒスチジン多核錯体が、
銀化合物とヒスチジンとを、銀イオン1モル部に対してヒスチジン1〜5モル部の割合で、水に溶解させて水溶液を得、該水溶液を30℃〜70℃に加熱して析出混合液を得、該析出混合液を固相と液相とに分離し、次いで該固相を乾燥させることによって得られる水不溶性の固体物質である、
〔4〕に記載の頭皮頭髪用化粧料。
〔6〕 銀−ヒスチジン錯体が酸化銀とヒスチジンから製造されたものである、〔3〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の頭皮頭髪用化粧料。
〔7〕 さらにヒドロキシカルボン酸、多価カルボン酸およびそれらの塩からなる群から選択される1種類以上の成分を含有する〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の頭皮頭髪用化粧料。
〔8〕 頭皮頭髪用化粧料が、シャンプー、リンス、トリートメント、コンディショナー、ヘアリキッド、ヘアトニック、または整髪料の少なくとも1種である〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の頭皮頭髪用化粧料。
〔9〕 銀−アミノ酸錯体の、〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の頭皮頭髪用化粧料における、抗菌成分もしくは殺菌成分としての使用。
本発明の頭皮頭髪用化粧料は、長期間の使用においても、変色や腐敗し難く、安全性に優れ、実用的である。また本発明の頭皮頭髪用化粧料は、頭髪や頭皮に対する殺菌・抗菌効果が期待できるので、細菌を原因とする臭い、炎症、にきびなど、または一部の真菌を原因とする皮膚炎やフケなどの発生を抑制する効果も期待できる。
本発明で使用される銀−アミノ酸錯体は、アミノ酸が銀イオンに配位することにより形成される、水溶性または水不溶性の錯体である。
本発明に用いられる銀−アミノ酸錯体は、銀イオンとアミノ酸とのモル比によって特に限定されないが、好ましくは銀イオン1モル部に対してアミノ酸1モル部以上、より好ましくは銀イオン1モル部に対してアミノ酸1〜3モル部、さらに好ましくは銀1モル部に対してアミノ酸1.5〜2.5モル部である。
銀−アミノ酸錯体の調製に用いる銀化合物は、特に限定されないが、酸化数1の銀化合物が特に好ましい。例えば、硝酸銀、酸化銀、塩化銀などを挙げることができる。これらのうち酸化銀が好ましい。該銀化合物は1種単独で若しくは2種以上を組み合わせて用いることができる。
銀−アミノ酸錯体の調製に用いるアミノ酸は、特に限定されない。具体的には、グリシン、アラニン、ロイシン、バリン、グルタミン、グルタミン酸、アスパラギン、アスパラギン酸、ヒスチジン、リジン、アルギニン、システイン、メチオニン、チロシン、トリプトファンなどを挙げることができる。これらは1種単独で若しくは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち塩基性アミノ酸であるヒスチジン、リジンおよびアルギニンが好ましく、特にヒスチジンが好ましい。ヒスチジンを用いる場合には、銀化合物として酸化銀を用いることが好ましい。酸化銀を用いた銀―ヒスチジン錯体を含有する頭皮頭髪用化粧料は、特に保存安定性に優れている。
銀−アミノ酸錯体の調製に用いるアミノ酸の量としては、銀イオン1モルに対してアミノ酸1モル以上であれば限定されないが、大量のアミノ酸は必要ない。具体的には銀イオン1モルに対してアミノ酸が1〜3モル存在すれば十分であり、このことはコストの面からも好ましい。
この銀−アミノ酸錯体は、銀化合物とアミノ酸とを共存させ、銀イオンにアミノ酸を配位させることによって得ることができる。
銀−アミノ酸錯体は、水溶性の銀化合物、例えば硝酸銀を用いる場合には、硝酸銀の水溶液とアミノ酸水溶液とを混合する、若しくは硝酸銀の水溶液にアミノ酸を直接溶解する、などの方法で、調製することができる。水に難溶性の銀化合物、例えば酸化銀や塩化銀を用いる場合には、予めアミノ酸水溶液を調製し、これに酸化銀または塩化銀を加えて撹拌し、溶解させる方法で、銀−アミノ酸錯体を調製することができる。
銀−ヒスチジン錯体には、水溶性のものと水不溶性のものとがある。
水溶性の銀−ヒスチジン錯体は、銀−ヒスチジン錯体溶液をエタノールに滴下して析出させることによって得られる有機溶媒に不溶の白色粉末である。この銀−ヒスチジン錯体を本発明の頭皮頭髪用化粧料に含有させる場合は、水溶液にして用いられる。
水不溶性の銀−ヒスチジン錯体としては、銀−ヒスチジン多核錯体を挙げることができる。本発明に用いられる銀−ヒスチジン錯体は、銀−ヒスチジン多核錯体が好ましい。
銀−ヒスチジン多核錯体として、銀−ヒスチジン錯体溶液をスローエバポレーションすることによって得られる水不溶性の無色板状乃至白色結晶を挙げることができる。また、別の銀−ヒスチジン多核錯体として、酸化銀とヒスチジンとを、銀イオン1モル部に対してヒスチジン1〜5モル部の割合で水に溶解させて水溶液を得、該水溶液を30℃〜70℃に加熱して析出混合液を得、該析出混合液を固相と液相とに分離し、次いで該固相を乾燥させることによって得られる白色乃至淡褐色の水不溶性の固体物質を挙げることができる。これらのうち、後者の白色乃至淡褐色の水不溶性の固体物質である銀−ヒスチジン多核錯体が好ましい。銀−ヒスチジン多核錯体は水不溶性の固体物質であるので、本発明の頭皮頭髪用化粧料に含有させる場合は、粉砕し水に懸濁させて用いられる。
銀−ヒスチジン多核錯体を含有する頭皮頭髪用化粧料は、水溶性の銀−ヒスチジン錯体を含有する頭皮頭髪用化粧料に比べて、高い安定性と殺菌・抗菌性を有し、しかも水不溶性であるため高濃度で存在しても安全性が非常に高いという特長がある。
本発明の頭皮頭髪用化粧料中の銀−アミノ酸錯体の含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.0005質量%〜20質量%、より好ましくは0.05質量%〜10質量%、さらに好ましくは0.25質量%〜5質量%である。
本発明の頭皮頭髪用化粧料には、銀−アミノ酸錯体以外に、既に市販されている頭皮頭髪用化粧料に含まれている成分と同じものが含まれていてもよいし、さらに他の成分が含まれていてもよい。頭皮頭髪用化粧料に含ませることができる成分としては、錯体安定化剤、界面活性剤、有機溶剤、増粘剤、酸化防止剤、光安定剤、香料、消泡剤などを挙げることができる。
本発明において錯体安定化剤とは、銀−アミノ酸錯体中の銀イオンが、還元されたり若しくは塩化物イオンや炭酸イオンなどと難溶性の塩を形成したりすることによる変質を防ぐ効果のある添加剤を指す。このような錯体安定化剤としては、ヒドロキシカルボン酸、多価カルボン酸やそれらの塩、過酸化水素または過酸化水素を発生させる化合物などを挙げることができる。特にクエン酸やグルクロン酸、それらのナトリウム塩、カリウム塩もしくはカルシウム塩、および過酸化水素が好ましく、また過酸化水素を発生させる化合物としては過酸化ナトリウムが好ましい。
界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、ポリヘキサメチレンビグアニドなどのカチオン性界面活性剤;アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルサルフェートアンモニウム塩、リグニンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、α−オレフィン脂肪酸塩、α−スルホ脂肪酸塩などのアニオン性界面活性剤;ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンヒマシ油、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルなどのノニオン系界面活性剤;アルキルメチルアミンオキシド、アルキルカルボキシベタイン、アルキルスルホベタインなどの両性界面活性剤を挙げることができる。
有機溶剤としては、エタノール、イソプロパノールなどの低級アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリンなどのグリコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、プロピレンカーボネートなどのケトン系溶剤;ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンなどの極性溶媒を挙げることができる。
増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガムなどを挙げることができる。
酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−メチレンビス[4−メチル−6−t−ブチルフェノール]、トコフェロールなどを挙げることができる。
光安定剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−セバケート)、2,4,6−トリス[4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]−1,3,5−トリアジンなどを挙げることができる。
また、本発明の頭皮頭髪用化粧料には、公知の殺菌剤、抗菌剤、防カビ剤、防腐剤、防藻剤などの活性成分が含有されていてもよい。
該活性成分としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムなどの第4級アンモニウム塩系化合物、ポリアミノプロピルビグアニド(PAPB)、グルコン酸クロルへキシジンなどのビグアナイド系化合物、セチルピリジニウムクロライド、ドデシルピリジニウムクロライドなどのピリジニウム系化合物、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、N−n−ブチル−1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンなどのイソチアゾリン系化合物、3−ヨード−2−プロピニル−ブチルカーバメートなどの有機ヨウ素系化合物、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジンなどのピリジン系化合物、ジンクピリチオン、ナトリウムピリチオンなどのピリチオン系化合物、テトラメチルチウラムジスルフィドなどのチオカーバメート系化合物、オルトフェニルフェノール、パラクロルフェノール、イソプロピルメチルフェノール、チモール、レゾルシンなどのフェノール類、フェノキシエタノールなどのアルコール類、安息香酸、サリチル酸、ソルビン酸などのカルボン酸またはその塩、クロラミンT、ヒノキチオールなどを挙げることができる。
これらの活性成分は、1種単独で若しくは2種以上を組み合わせて使用することができる。また、これら活性成分の配合割合は、用途に応じて任意に決定することができる。
本発明の頭皮頭髪用化粧料は、含有される化粧料主成分や微量成分の種類に係らず、変色若しくは腐敗し難い。本発明の頭皮頭髪用化粧料は、安全性に優れ、実用的である。また、本発明の頭皮頭髪用化粧料は、頭髪や頭皮に対する殺菌・抗菌効果が期待できるので、細菌を原因とする臭い、炎症、にきびなど、または一部の真菌を原因とする皮膚炎やフケなどの発生を抑制する効果も期待できる。
本発明の頭皮頭髪用化粧料は、限定されるものではないが、特に雑菌により変質を来すおそれが大きい水を主溶媒とする化粧料が好ましい。また使用時における殺菌効果を考慮すれば、頭皮に直接接触するシャンプー、リンス、トリートメント、コンディショナー、ヘアリキッド、ヘアトニック、整髪料などが好ましく、特に長時間にわたり頭皮若しくは頭髪に接触するヘアリキッド、ヘアトニック、整髪料などが好ましい。
次に、本発明の頭皮頭髪用化粧料について実施例を示すが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
実施例1(防腐効果の検討)
蒸留水650mlを室温にて撹拌しつつヒスチジン60gを加えて懸濁させた。これに酸化銀(I)43gを添加し、透明溶液になるまで撹拌した。次いで、ろ過によって固形不純物を取り除き、ろ液に蒸留水を加えて体積を850mlに調整した。これを温度40℃で48時間撹拌した。次いでろ過により沈殿物および壁面付着物を回収し、蒸留水200mlで3回洗浄し、40℃で乾燥させ、銀―ヒスチジン多核錯体94g(収率 98モル%)を得た。
得られた銀―ヒスチジン多核錯体を粉砕して微粉末にした。
3種の市販シャンプー(Herbal essences ANGEL SMOOTH;プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン社製、無添加せっけんシャンプー;ミヨシ石鹸社製、およびTSUBAKI HeadSpa;資生堂社製)をそれぞれ水で200倍に希釈し、これを試験管に10gずつ分注した。前記銀―ヒスチジン多核錯体微粉末を最終濃度が10〜500ppmになるように該試験管にそれぞれ添加し、攪拌混合して、本発明の頭皮頭髪用化粧料を得た。
細菌用普通培地で12時間振盪前培養した8種類(Bacillus subtilis、Enterobacter aerogenes、Escherichia coli、Pseudomonas aeruginosa、Pseudomonas fluorescens、Proteus mirabilis、Proteus vulgaris、およびStaphylococcus aureus subsp.)の試験菌液を等量混合した。これを普通培地で5倍希釈した。上記3種の頭皮頭髪用化粧料に該希釈液0.5mlをそれぞれ添加した。これらを32±1℃のインキュベーターで培養した。培養2週間経過後、液の濁りおよび臭気の発生有無で、腐敗の有無を確認した。結果を表1に示す。
比較例1
銀―ヒスチジン多核錯体微粉末の代わりにジンクピリチオン(アーチ・ケミカルズ社製)微粉末を用いた他は、実施例1と同じ手法で、腐敗の有無を確認した。結果を表1に示す。
なお、表1において、腐敗の確認された区を+、変化の見られなかった区を−と表示した。
表1の結果から、本発明の銀−ヒスチジン多核錯体を含有する頭皮頭髪用化粧料は、ジンクピリチオンを含有する頭皮頭髪用化粧料に比較して、腐敗し難いことがわかる。
Figure 2012144438
実施例2(殺菌効果の検討)
試験薬剤として、水溶性銀−ヒスチジン錯体(ベストサイド−SH;日本曹達社製、銀−ヒスチジン錯体を主成分とする水溶液組成物)および実施例1で製造した銀―ヒスチジン多核錯体(粉砕し水懸濁液としたもの)、を用いてマラセチア菌(Malassezia furfur (Robin) Baillon NBRC0650)に対する殺菌効果を検討した。
試験管に9mlの103培地(グルコース1.0%、ペプトン0.5%、酵母抽出物0.3%、麦芽抽出物0.3%、オリーブ油1.0%)、表2に記載した濃度となるように蒸留水で希釈した0.5mlの試験薬剤、および103培地で前培養した0.5mlの菌培養液を入れ、混合した。その後、31±1℃で72時間振盪培養した。菌の増殖状況を観察した。結果を表2に示す。表2において、増殖の確認された区を+、確認されなかった区を−と表示した。濃度(ppm)は、銀濃度を銀:ヒスチジン=1:1組成の錯体の濃度に換算して表示した。
Figure 2012144438
表2の結果から水溶性銀−ヒスチジン錯体および銀―ヒスチジン多核錯体は、マラセチア菌に対して、顕著な殺菌効果を示すことがわかる。マラセチア・フルフルMalassezia furfurを代表とするマラセチア菌は、皮膚常在性の好脂性真菌であり、これが増殖することが脂漏性皮膚炎やフケの悪化の原因になるとされているので、本発明の頭皮頭髪用化粧料には、細菌を原因とする臭い、炎症、にきびなど、または一部の真菌を原因とする皮膚炎やフケなどの発生を抑制する効果が期待できる。

Claims (9)

  1. 銀−アミノ酸錯体を含有する頭皮頭髪用化粧料。
  2. 銀−アミノ酸錯体が銀イオン1モル部とアミノ酸1〜3モル部とからなるものである、請求項1に記載の頭皮頭髪用化粧料。
  3. 銀−アミノ酸錯体が銀−ヒスチジン錯体である、請求項1または2に記載の頭皮頭髪用化粧料。
  4. 銀−ヒスチジン錯体が銀−ヒスチジン多核錯体である、請求項3に記載の頭皮頭髪用化粧料。
  5. 銀−ヒスチジン多核錯体が、
    銀化合物とヒスチジンとを、銀イオン1モル部に対してヒスチジン1〜5モル部の割合で、水に溶解させて水溶液を得、該水溶液を30℃〜70℃に加熱して析出混合液を得、該析出混合液を固相と液相とに分離し、次いで該固相を乾燥させることによって得られる水不溶性の固体物質である、
    請求項4に記載の頭皮頭髪用化粧料。
  6. 銀−ヒスチジン錯体が酸化銀とヒスチジンから製造されたものである、請求項3〜5のいずれか1項に記載の頭皮頭髪用化粧料。
  7. さらにヒドロキシカルボン酸、多価カルボン酸およびそれらの塩からなる群から選択される1種類以上の成分を含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の頭皮頭髪用化粧料。
  8. 頭皮頭髪用化粧料が、シャンプー、リンス、トリートメント、コンディショナー、ヘアリキッド、ヘアトニック、または整髪料の少なくとも1種である請求項1〜7のいずれか1項に記載の頭皮頭髪用化粧料。
  9. 銀−アミノ酸錯体の、請求項1〜8のいずれか1項に記載の頭皮頭髪用化粧料における、抗菌成分もしくは殺菌成分としての使用。
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