JP2012139232A - 活性ビタミンk依存性タンパク質を生産するための方法及び組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ビタミンK依存性タンパク質をコードする第一の核酸を発現する細胞に、ビタミンKエポキシドレダクターゼ(VKOR)をコードする第二の異種核酸を、前記第一の核酸及び第二の核酸がそれぞれ発現されてビタミンK依存性タンパク質及びVKORを生産する条件下で導入することを含む、細胞内のカルボキシル化ビタミンK依存性タンパク質の量を増加させる方法。
【選択図】なし
Description
び5−R01 HL48318の助成を得て為された。米国政府は本発明に一定の権利を
有する。
法、並びにビタミンKエポキシドレダクターゼ(VKOR)遺伝子内の一塩基多型(SN
P)の特定及びワルファリンに対する感受性とのそれらの相関を対象とする方法及び組成
物に関する。
塩への修飾を必要とする。これらのビタミンK依存性(VKD)凝固タンパク質の中で、
FIX(クリスマス因子)、FVII及びプロトロンビンは最もよく知られている。マト
リックスGlaタンパク質についての遺伝子のノックアウトがマウス動脈の石灰化を生じ
させるという所見(Luo et al.(1997)「Spontaneous ca
lcification of arteries and cartilage in
mice lacking matrix GLA protein」Nature
386:78−81)は、凝固以外の機能を有するタンパク質にとってのビタミンKサイ
クルの重要性を強調する。さらに、Gas6及び未知の機能の他のGlaタンパク質が神
経組織において発現され、胎内でのワルファリン暴露は精神遅滞及び顔面異常を生じさせ
る。これは、Gla修飾を実行する酵素、VKDカルボキシラーゼの発現が一時的に組織
特異的に調節され、初期胚段階の間神経系において高発現されるという所見と一致する。
カルボキシル化と同時に、反応の共基質である還元型ビタミンKがビタミンKエポキシド
に変換される。ヒトの食事におけるビタミンKの量は限られているので、その枯渇を防ぐ
ためビタミンKエポキシドはビタミンKエポキシドレダクターゼ(VKOR)によって再
びビタミンKに戻されねばならない。最も広く使用されている抗凝固薬、ワルファリンは
、VKORを標的化し、ビタミンKの再生を予防する。その結果は還元型ビタミンKの濃
度低下であり、これは、γグルタミルカルボキシラーゼによるカルボキシル化の割合の低
下及び低カルボキシル化ビタミンK依存性タンパク質の産生を生じさせる。
、人口の約2%が長期的なワルファリン治療を受けていると報告された。抗凝固の治療の
ために必要なワルファリンの量は患者によって大きく異なるので、ワルファリンの使用は
副作用の重大な危険性を伴う。例えばワルファリン治療の開始後、重大な出血の発症が患
者の1〜2%で発生し、患者の0.1〜0.7%で死亡が起こったことが報告されている
。その危険性にもかかわらず、ワルファリンの使用は、誘発される出血の発症1回につき
20回の発作を予防することができ、おそらく誘発出血の恐れのために過少利用されてい
ると推定された。
関させ、それによって被験者への低い危険度でワルファリンの治療及び維持用量のより正
確で迅速な決定を可能にするための方法及び組成物を提供することにより、当分野におけ
るこれまでの欠点を克服する。
をワルファリンに対する高い又は低い感受性と相関させ、それによってワルファリンに対
して高い又は低い感受性を有する被験者を特定することを含む、ワルファリンに対して高
い又は低い感受性を有するヒト被験者を特定する方法を提供する。
い感受性と相関させること;及びb)被験者において工程(a)の一塩基多型を検出し、
それによってワルファリンに対して高い又は低い感受性を有する被験者を識別すること、
を含む、ワルファリンに対して高い又は低い感受性を有するヒト被験者を識別する方法が
提供される。
a)ワルファリンに対して高い又は低い感受性を有する被験者を識別する工程と、
b)被験者においてVKOR遺伝子内の一塩基多型の存在を検出する工程と、
c)工程(b)の一塩基多型の存在を、被験者におけるワルファリンへの高い又は低い
感受性と相関させ、それによってワルファリンに対する高い又は低い感受性と相関するV
KOR遺伝子内の一塩基多型を識別する工程と
を含む、ワルファリンに対する高い又は低い感受性と相関するVKOR遺伝子内の一塩基
多型を識別する方法を提供する。
別する工程と、b)(a)の被験者のVKOR遺伝子のヌクレオチド配列を決定する工程
と、c)工程(b)のヌクレオチド配列をVKOR遺伝子の野生型ヌクレオチド配列と比
較する工程と、d)(b)のヌクレオチド配列内の一塩基多型を検出する工程と、e)(
d)の一塩基多型を、(a)の被験者におけるワルファリンへの高い又は低い感受性と相
関させる工程とを含む、被験者のVKOR遺伝子内の一塩基多型をワルファリンに対する
高い又は低い感受性と相関させる方法を提供する。
動物(例えばヒト、ヒツジ、ウシ、サル等)VKORをコードする単離された核酸である
。例は、(a)配列番号8又は配列番号9に示すヌクレオチド配列を有する単離された核
酸などの、本明細書で開示する核酸;(b)上記(a)の単離された核酸又はその相補物
にハイブリダイズする(例えばストリンジェント条件下で)、及び/又は上記(a)の核
酸と実質的な配列同一性を有する(例えば上記(a)の核酸と80、85、90、95又
は99%同一である)、及びVKORをコードする核酸;及び(c)遺伝暗号の縮重によ
り上記(a)又は(b)の核酸とは異なるが、上記(a)又は(b)の核酸によってコー
ドされるVKORをコードする核酸を含む。
の産物を定義するために当分野で一般的に理解されているハイブリダイゼーション条件を
指す。ストリンジェンシー条件は、低、高又は中であり得、それらの用語は、当分野で一
般的に知られ、当業者によって広く認識されている通りである。相同なヌクレオチド配列
が本明細書で示すようなヌクレオチド配列にハイブリダイズすることを許容する高ストリ
ンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、当分野において周知である。一例として、
本明細書で開示する核酸分子へのそのような配列のハイブリダイゼーションは、約60%
の相同性の配列のハイブリダイゼーションを可能にするために、25%ホルムアミド、5
×SSC及び0.1%SDS、42℃の洗浄条件を伴って、25%ホルムアミド、5×S
SC、5×デンハルト溶液及び5%硫酸デキストラン中で42℃にて実施することができ
る。もう1つの例は、6×SSC、0.1%SDS、約45℃のハイブリダイゼーション
条件、続いて0.2×SSC、0.1%SDS、50〜65℃の洗浄条件を含む。ストリ
ンジェント条件のもう1つの例は、標準ハイブリダイゼーションアッセイ(引用すること
により本明細書の一部をなすものとする、SAMBROOK et al.,EDS.,
MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL 2d
ed.(Cold Spring Harbor,NY 1989)参照)を用いて、
0.3MのNaCl、0.03Mのクエン酸ナトリウム、0.1%SDS、60〜70℃
の洗浄ストリンジェンシーによって示される。様々な実施形態において、ストリンジェン
ト条件は、例えば高度にストリンジェントな(すなわち高ストリンジェンシー)条件(例
えば0.5MのNaHPO4、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、1mMのEDT
A中65℃でのろ過結合DNAへのハイブリダイゼーション、及び0.1×SSC/0.
1%SDS中68℃での洗浄)、及び/又は中等度にストリンジェントな(すなわち中ス
トリンジェンシー)条件(例えば0.2×SSC/0.1%SDS中42℃での洗浄)を
含んでもよい。
るビタミンKエポキシドレダクターゼをコードする核酸を含む組換え核酸である。
細胞は、植物、動物、哺乳動物、昆虫、酵母及び細菌細胞を含む。
イブリダイズするオリゴヌクレオチドである。
び精製されたVKOR(例えば均質に精製されたVKOR)である。例えば本発明のVK
ORは、配列番号10に示すアミノ酸配列を含んでもよい。
する核酸を発現し、ビタミンK依存性タンパク質を生産する宿主細胞を培養する工程と、
及びその後培養物からビタミンK依存性タンパク質を採集する工程とを含み、前記宿主細
胞が、ビタミンK依存性カルボキシラーゼをコードする異種核酸を含み及び発現し、及び
前記宿主細胞が、ビタミンKエポキシドレダクターゼ(VKOR)をコードする異種核酸
をさらに含み及び発現し、及び本明細書で述べるVKORを生産する、ビタミンK依存性
タンパク質を産生する方法である。そのため、本発明はさらに、ビタミンK依存性カルボ
キシラーゼをコードする異種核酸及びビタミンKエポキシドレダクターゼをコードする異
種核酸を含む細胞を提供する。細胞は、核酸が細胞にとって異種であり得るか又は細胞に
とって内在性であり得る、ビタミンK依存性タンパク質をコードする核酸をさらに含み得
る。
意味し得る。例えば「a」cellは、1個の細胞又は複数の細胞を意味し得る。
て、又は本発明に追加し得る全ての特徴を詳細に列挙するものであることを意図しない。
例えば1つの実施形態に関して説明する特徴が他の実施形態に組み込まれることが可能で
あり、特定の実施形態に関して説明する特徴がその実施形態から削除され得る。加えて、
本発明から逸脱しない、本明細書で示唆する様々な実施形態に対する数多くの変形及び追
加は、本開示に照らして当業者には明白である。そのため、以下の明細書は本発明の一部
の特定の実施形態を説明するものであり、その全ての置換、組合せ及び変形を網羅的に特
定することを意図しない。
細書の一部をなすものとする。
ごとくにその全体が、引用することにより本明細書の一部をなすものとする、Staff
ordとWuへの米国特許第5,268,275号及びStaffordとChangへ
の米国特許第6,531,298号に述べられているものを含むがそれらに限定されない
、当分野で公知の方法、成分及び特徴をさらに利用して実施し得る。
れた)DNA及びRNAとDNAのキメラを含む、RNA及びDNAの両方を包含する。
核酸は二本鎖又は一本鎖であり得る。一本鎖である場合、核酸はセンス鎖又はアンチセン
ス鎖であり得る。核酸は、オリゴヌクレオチド類似体又は誘導体(例えばイノシン又はホ
スホロチオエートヌクレオチド)を用いて合成し得る。そのようなオリゴヌクレオチドは
、例えば変化した塩基対合能力又はヌクレアーゼに対する高い抵抗性を有する核酸を産生
するために使用できる。
るコード配列の両方(一方は5’末端側及び一方は3’末端側)と直接隣接していないD
NA又はRNAである。1つの実施形態では、単離された核酸は、コード配列に直接隣接
する5’非コード(例えばプロモーター)配列の一部又は全部を含む。この用語は、例え
ばベクター、自律複製プラスミド又はウイルス、又は原核生物又は真核生物のゲノムDN
Aに組み込まれた、又は他の配列とは無関係に別の分子(例えばPCR又は制限エンドヌ
クレアーゼ処理によって生産されるcDNA又はゲノムDNAフラグメント)として存在
する、組換えDNAを含む。またこの用語は、付加的なポリペプチド配列をコードする雑
種遺伝子の一部である組換えDNAも包含する。
によって生産されるとき)、又は化学的前駆体又は他の化学物質(化学合成されるとき)
を実質的に含まない核酸又はポリペプチドを表わし得る。さらに、「単離された核酸フラ
グメント」は、フラグメントとして天然では生じず、天然の状態では認められない核酸フ
ラグメントである。
はハイブリダイゼーションアッセイ又はマイクロアレイにおけるプローブとして使用でき
る、少なくとも約6ヌクレオチドから約100ヌクレオチド、例えば約15から30ヌク
レオチド、又は約20から25ヌクレオチドの核酸配列を指す。オリゴヌクレオチドは、
天然又は合成であり得、例えばDNA、RNA、修飾された骨格等であり得る。
すると言われる場合、同一性パーセントは標準ヌクレオチド配列に対してである。例えば
100塩基長の標準ヌクレオチド配列に対して50%、75%、85%、90%、95%
又は99%同一であるヌクレオチド配列は、標準ヌクレオチド配列の50、75、85、
90、95又は99ヌクレオチドの配列と完全に同一である50、75、85、90、9
5又は99個の塩基を有し得る。前記ヌクレオチド配列はまた、その長さ全体にわたって
標準ヌクレオチド配列と50%、75%、85%、90%、95%又は99%同一である
100塩基長のヌクレオチド配列であり得る。言うまでもなく、同じ判定基準に同様に合
致する他のヌクレオチド配列が存在する。
番号9のヌクレオチド配列と少なくとも80%、85%、90%、95%又は99%同一
である。核酸の比較のために、標準核酸配列の長さは一般に少なくとも40ヌクレオチド
、例えば少なくとも60ヌクレオチド又はそれ以上のヌクレオチドである。配列同一性は
、配列解析ソフトウエア(例えばthe Genetics Computer Gro
up,University of Wisconsin Biotechnology
Center,1710 University Avenue,Madison,W
is.53705のSequence Analysis Software Pack
age)を用いて測定することができる。
るかどうかを識別するために多くの異なるプログラムが使用できる。配列同一性又は類似
性は、Smith & Waterman,Adv.Appl.Math.2,482(
1981)の局所的配列同一性アルゴリズム、Needleman & Wunsch,
J.Mol.Biol.48,443(1970)の配列同一性アラインメントアルゴリ
ズム、Pearson & Lipman,Proc.Natl.Acad.Sci.U
SA 85:2444(1988)の類似性検索法、これらのアルゴリズムのコンピュー
タでの実施(the Wisconsin Genetics Software Pa
ckageのGAP、BESTFIT、FASTA及びTFASTA、Genetics
Computer Group,575 Science Drive,Madiso
n,WI)、Devereux et al.,Nucl.Acid Res.12,3
87−395(1984)によって記述されたBest Fit配列プログラムを含むが
、これらに限定されない、当分野で公知の標準手法を用いて、好ましくはデフォルト設定
を用いて、又は検査によって決定し得る。
アラインメントを用いて関連配列の群から多重配列アラインメントを創りだす。また、ア
ラインメントを創りだすために使用したクラスター化関係を示すツリーを描画することが
できる。PILEUPは、Feng & Doolittle,J.Mol.Evol.
35,351−360(1987)の累進整列法の単純化を使用している。この方法は、
Higgins & Sharp,CABIOS 5:151−153(1989)が述
べた方法に類似する。
.Biol.215,403−410,(1990)及びKarlin et al.,
Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90,5873−5787(1993
)に述べられている、BLASTアルゴリズムである。特に有用なBLASTアルゴリズ
ムは、Altschul et al.,Methods in Enzymology
,266,460−480(1996)から得られたWU−BLAST−2プログラムで
ある。WU−BLAST−2は、好ましくはデフォルト値に設定された、いくつかの検索
パラメータを使用する。パラメータは動的な値であり、特定配列の組成物及びそれに対し
て関心ある配列を検索する特定データベースの組成物に依存して、プログラム自体によっ
て確立される。しかし、その数値は感受性を高めるように調整し得る。さらなる有用なア
ルゴリズムは、Altschul et al.Nucleic Acids Res.
25,3389−3402によって報告されたギャップBLASTである。
ムは、Higgins et al.(1988)Gene 73:237;Higgi
ns et al.(1989)CABIOS 5:151−153;Corpet e
t al.(1988)Nucleic Acids Res.16:10881−90
;Huang et al.(1992)CABIOS 8:155−65;及びPea
rson et al.(1994)Meth.Mol.Biol.24:307−33
1によって記載されている。
しては、1つの実施形態では、配列同一性のパーセンテージはヌクレオチド塩基の総数に
対する同一ヌクレオチドの数に基づいて決定されることが理解される。そのため、例えば
本明細書で特定して開示する配列よりも短い配列の配列同一性は、1つの実施形態では、
より短い配列のヌクレオチド塩基の数を用いて決定される。同一性パーセントの算定にお
いては、挿入、欠失、置換等のような配列変化の様々な徴候(manifestations)には相対
的な重みを割り当てない。
プチドを含むが、これらに限定されない。本発明はまた、天然に生じるアミノ酸配列が変
化又は欠失しているVKORポリペプチドの形態をコードする核酸配列も包含する。好ま
しい核酸は、通常の生理的条件下で可溶性であるポリペプチドをコードする。VKORの
全部又は一部が、無関係なポリペプチド(例えばマーカーポリペプチド又は融合パートナ
ー)に融合して創られている融合タンパク質をコードする核酸も、本発明の範囲内である
。例えばポリペプチドは、細菌において発現されるポリペプチドの精製を容易にするため
のヘキサヒスチジンタグ、又は真核細胞において発現されるポリペプチドの精製を容易に
するための赤血球凝集素タグ、又はアフィニティークロマトグラフィー又は免疫沈降法に
よるポリペプチドの精製を容易にするためのHPC4タグに融合することができる。本発
明はまた、第一部分と第二部分を含む単離されたポリペプチド(及びこれらのポリペプチ
ドをコードする核酸)を含む。第一部分は、例えばVKORポリペプチドの全部又は一部
を含み、第二部分は、例えば検出マーカーを含む。
そのような融合ポリペプチドは、典型的にはプレタンパク質と称される。分泌配列は、成
熟タンパク質を形成するために細胞によって切断され得る。不活性なプレタンパク質を生
産するためにポリペプチド配列に融合されたVKORをコードする核酸も本発明の範囲内
である。プレタンパク質は、不活性化配列の除去によって活性形態のタンパク質に変換さ
れ得る。
で定義するような)、配列番号1〜6、配列番号8又は配列番号9のヌクレオチド配列又
はそれらの相補物の全部又は一部にハイブリダイズする核酸を含む。特定の実施形態では
、ハイブリダイズする核酸のハイブリダイズ部分は、典型的には少なくとも15(例えば
20、30又は50)ヌクレオチドの長さである。ハイブリダイズする核酸のハイブリダ
イズ部分は、VKORポリペプチドをコードする核酸の一部又は全部の配列と少なくとも
80%、例えば少なくとも95%、少なくとも98%又は100%同一である。本明細書
に記載する種類のハイブリダイズ核酸は、例えばクローニングプローブ、プライマー(例
えばPCRプライマー)、又は診断プローブとして使用することができる。例えば本明細
書に記載する及び当分野において公知である活性アッセイにおいて測定したとき、VKO
Rの機能を阻害する阻害性低分子RNA(siRNA)及び/又はアンチセンスRNAも
本発明の範囲内に含まれる。
特徴とする。「形質転換された細胞」は、組換え核酸手法によって、VKORポリペプチ
ドの全部又は一部をコードする核酸、及び/又はアンチセンス核酸又はsiRNAが導入
されている(又はその祖先に導入されている)細胞である。原核細胞及び真核細胞の両方
、例えば細菌、酵母、昆虫、マウス、ラット、ヒト、植物等が含まれる。
に連結された本発明の核酸を含む核酸構築物(例えばベクター及びプラスミド)、例えば
発現ベクターを特徴とする。「作動可能に連結された」とは、選択された核酸、例えばV
KORポリペプチドをコードするDNA分子が、調節エレメントが選択された核酸の転写
及び/又は翻訳を制御できるように配列の転写及び/又は翻訳を指令する、1以上の調節
エレメント、例えばプロモーターに隣接して位置することを意味する。
ント又はオリゴヌクレオチドを提供する。そのため、一部の実施形態では、本発明のフラ
グメント又はオリゴヌクレオチドは、配列番号8又は配列番号9に示すヌクレオチド配列
の少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、6
5、70、75、80、85、90、100、125、150、175、200、250
、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750
、800、850、900、1000、1500、2000、2500又は3000の隣
接ヌクレオチドであるヌクレオチド配列である。本発明のオリゴヌクレオチドの例は、本
明細書に含まれる配列表において提供される。そのようなフラグメント又はオリゴヌクレ
オチドは、例えば、増幅(例えばPCR)アッセイにおけるプライマーとして使用すると
き、制限酵素切断部位を含むため及び/又は組み込むために、検出可能に標識又は修飾す
ることができる。
ペプチドを含む、基本的にそれらからなる及び/又はそれらからなるポリペプチドのよう
な、精製された又は単離されたVKORポリペプチドを特徴とする。そのようなフラグメ
ント又はペプチドは、典型的には配列番号10のアミノ酸配列の少なくとも約10アミノ
酸(例えば配列番号10のアミノ酸配列の15、20、25、30、35、40、45、
50、55、60、65、75、85、95、100、125又は150アミノ酸)であ
り、VKORタンパク質のアミノ酸配列(例えば配列番号10に示す)に隣接するアミノ
酸のペプチド又はフラグメントであり得る。本発明のフラグメント又はペプチドの生物活
性は、本明細書で提供する方法に従って及びVKOR活性を識別するために当分野におい
て公知であるように測定することができる。本発明のVKORタンパク質のフラグメント
及びペプチドはまた、抗体の産生のための抗原として活性であり得る。本発明のフラグメ
ント又はペプチド上のエピトープの特定は周知のプロトコールによって実施され、当業者
の技術範囲内である。
後の修飾(例えばグリコシル化、リン酸化又はN−ミリスチル化)に関わりなく、アミノ
酸の任意の鎖を意味する。そのため、「VKORポリペプチド」という用語は、それぞれ
完全長の天然に生じるVKORタンパク質、並びに完全長の天然に生じるVKORタンパ
ク質又は天然に生じる又は合成VKORポリペプチドの一部に対応する、組換え又は合成
によって生産されるポリペプチドを含む。
ば天然に生じる生物又はウイルスのその他の成分の少なくとも一部、例えば細胞又はウイ
ルス構造成分又はそのポリペプチドに関連して一般的に認められる他のポリペプチド又は
核酸から分離されているか、又はそれらを実質的に含まないVKORポリペプチド又は抗
体の少なくとも60重量%の組成物である。本明細書で使用する、「単離された」ポリペ
プチドは、少なくとも約25%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、9
0%、95%、97%、98%、99%以上(w/w)純粋である。好ましくは、調製品
は関心ある化合物の少なくとも75重量%(例えば少なくとも90重量%又は99重量%
)である。純度は、適切な標準的方法、例えばカラムクロマトグラフィー、ポリアクリル
アミドゲル電気泳動又はHPLC分析によって測定することができる。
と実質的に同一の配列を含む。本明細書で述べるVKORポリペプチド配列と「実質的に
同一の」ポリペプチドは、配列番号10のVKORポリペプチドのアミノ酸配列と少なく
とも80%又は85%(例えば90%、95%又は99%)同一であるアミノ酸配列を有
する。比較のために、標準VKORポリペプチドの長さは、一般に少なくとも16アミノ
酸、例えば少なくとも20、25、30、35、40、45、50、75又は100アミ
ノ酸である。
は、しかし必ずではないが、標準配列についての保存的置換である。保存的置換は、典型
的には以下の群の中での置換を含むが、これらに限定されない:グリシン及びアラニン;
バリン、イソロイシン及びロイシン;アスパラギン酸及びグルタミン酸;アスパラギン及
びグルタミン;セリン及びトレオニン;リシン及びアルギニン;及びフェニルアラニン及
びチロシン。
有すると言われるとき、同一性パーセントは標準ポリペプチドに対してである。そのため
、例えば100アミノ酸長の標準ポリペプチドに対して50%、75%、85%、90%
、95%又は99%同一であるポリペプチドは、標準ポリペプチドの50、75、85、
90、95又は99アミノ酸長部分と完全に同一である50、75、85、90、95又
は99アミノ酸のポリペプチドであり得る。それはまた、その長さ全体にわたって標準ポ
リペプチドと50%、75%、85%、90%、95%又は99%同一である100アミ
ノ酸長のポリペプチドであり得る。言うまでもなく、他のポリペプチドも同じ判定基準に
同様に合致する。
る精製された抗体又は単離された抗体を特徴とする。「特異的に結合する」とは、抗体が
、特定抗原、例えばVKORポリペプチド、又はVKORポリペプチドのフラグメント又
はペプチド上のエピトープを認識し、それに結合するが、試料中の他の分子を実質的に認
識せず、それに結合しないことを意味する。1つの実施形態では、抗体はモノクローナル
抗体であり、他の実施形態では、抗体はポリクローナル抗体である。キメラ抗体、ヒト化
抗体、一本鎖抗体、二重特異性抗体、抗体フラグメント等を含む、モノクローナル抗体と
ポリクローナル抗体の両方の生産が当分野において周知である。
を特徴とする。この方法は、試料を、VKORポリペプチド又はそのフラグメントに特異
的に結合する抗体と、抗体とVKORとの間での複合体の形成を可能にする条件下で接触
させる工程と、試料中のVKORポリペプチド又はそのフラグメントの検出として、もし
存在する場合は、複合体の形成を検出する工程とを含む。そのような免疫測定法は当分野
において周知であり、免疫沈降法、免疫ブロット法、免疫標識アッセイ、ELISA等を
含む。
又はVKOR又はそのフラグメントをコードする核酸の相補物と、ハイブリダイゼーショ
ン複合体が形成し得る条件下で接触させる工程と、ハイブリダイゼーション複合体の形成
を検出し、それによって試料中のVKORポリペプチドをコードする核酸を検出する工程
とを含む、試料中のVKORポリペプチドをコードする核酸を検出する方法を提供する。
そのようなハイブリダイゼーションアッセイは当分野において周知であり、プローブ検出
アッセイ及び核酸増幅アッセイを含む。
方法も、本発明に包含される。そのような方法は、VKORの全部又は一部をコードする
単離された核酸又はそのホモログを含む検出可能に標識されたプローブを得る工程又は産
生する工程と、核酸フラグメントライブラリーを、プローブがライブラリー内の核酸フラ
グメントにハイブリダイズすることを可能にする条件下にて、標識プローブでスクリーニ
ングする工程と、それによって核酸二重鎖を形成する工程と、標識された二重鎖を、もし
存在する場合は、単離する工程と、VKOR遺伝子に関連する遺伝子を得るために、標識
された二重鎖内の核酸フラグメントから完全長遺伝子配列を産生する工程と、を伴う。
する、ビタミンK依存性タンパク質をコードする核酸を発現する細胞を培養する工程と、
その後培地からビタミンK依存性タンパク質を採集する工程とを含み、前記細胞が、ビタ
ミンKエポキシドレダクターゼ(VKOR)をコードする外来性核酸を含み及び発現し、
それによってVKORを生産する、及び一部の実施形態では、前記細胞がビタミンK依存
性カルボキシラーゼをコードする外来性核酸を含み及び発現し、それによって本明細書で
述べるようにビタミンK依存性カルボキシラーゼを生産する、ビタミンK依存性タンパク
質を産生する方法である。一部の実施形態では、VKORをコードする核酸の発現及びV
KORの生産は、細胞に、VKORの非存在下で又はVKORとカルボキシラーゼの非存
在下で生産されるよりも高いレベルのビタミンK依存性タンパク質及び/又は高いレベル
の活性(例えば完全カルボキシル化)ビタミンK依存性タンパク質を生産させる。
a)ビタミンK依存性タンパク質をコードする核酸を、核酸が発現され、ビタミンKの
存在下でビタミンK依存性タンパク質が生産される条件下で、ビタミンK依存性カルボキ
シラーゼをコードする異種核酸を含み、ビタミンKエポキシドレダクターゼをコードする
異種核酸をさらに含む細胞に導入する工程と、
b)場合により細胞からビタミンK依存性タンパク質を収集する工程と
を含む、ビタミンK依存性タンパク質を生産する方法を提供する。
、ビタミンKエポキシドレダクターゼ(VKOR)をコードする第二の異種核酸を、前記
第一の核酸及び第二の核酸がそれぞれ発現されてビタミンK依存性タンパク質及びVKO
Rを生産する条件下で導入することを含む、細胞内のカルボキシル化ビタミンK依存性タ
ンパク質の量を増加させる方法を提供する。
ポキシドレダクターゼ(VKOR)をコードする第二の異種核酸を、前記第一の核酸及び
第二の核酸がそれぞれ発現されてビタミンK依存性タンパク質及びVKORを生産する条
件下で導入することを含む、ビタミンK依存性タンパク質のカルボキシル化を増加させる
方法が本明細書でさらに提供される。
胞に、ビタミンKエポキシドレダクターゼ(VKOR)をコードする第二の異種核酸を、
前記第一の核酸及び第二の核酸がそれぞれ発現されてビタミンK依存性タンパク質及びV
KORを生産する条件下で導入することを含み、VKORの存在下で細胞において生産さ
れるカルボキシル化ビタミンK依存性タンパク質の量が、VKORの非存在下で細胞にお
いて生産されるカルボキシル化ビタミンK依存性タンパク質の量に比べて増加している、
細胞においてカルボキシル化(例えば完全カルボキシル化)ビタミンK依存性タンパク質
を生産する方法を提供する。
胞に、ビタミンKエポキシドレダクターゼ(VKOR)をコードする第二の異種核酸を、
前記第一の核酸及び第二の核酸がそれぞれ発現されてビタミンK依存性タンパク質及びV
KORを生産する条件下で導入することを含み、VKORの存在下で細胞において生産さ
れるビタミンK依存性タンパク質の100%、90%、80%、70%又は60%がカル
ボキシル化(例えば完全カルボキシル化)されている、細胞においてビタミンK依存性タ
ンパク質を生産する方法を提供する。
ンKエポキシドレダクターゼ(VKOR)をコードする第二の異種核酸を、前記第一の核
酸及び第二の核酸がそれぞれ発現されてビタミンK依存性タンパク質及びVKORを生産
する条件下で導入することを含む、細胞においてビタミンK依存性タンパク質を生産する
方法も本明細書に含まれる。
であり得るが、これに限定されない、ビタミンK依存性カルボキシラーゼをコードする第
三の核酸をさらに含み得る。特定の実施形態では、ビタミンK依存性カルボキシラーゼは
、ビタミンKγグルタミルカルボキシラーゼ(VKGC)である。本発明の方法において
用いられるVKGCは、当分野において公知である、VKGCを生産する任意の脊椎動物
又は無脊椎動物種からのVKGCであり得る。
タンパク質の量を増加させる本発明の方法では、VKOR及び/又はVKGCの存在下で
細胞において生産されるカルボキシル化ビタミンK依存性タンパク質又は完全カルボキシ
ル化ビタミンK依存性タンパク質の量は、VKOR及び/又はVKGCの非存在下で細胞
において生産されるカルボキシル化ビタミンK依存性タンパク質又は完全カルボキシル化
ビタミンK依存性タンパク質の量と比較して、10%、20%、30%、40%、50%
、60%、70%、80%、90%、100%、125%、150%、200%又は30
0%増加し得る。
ミンK依存性タンパク質上の全ての部位(又は一部の実施形態では、部位の大部分)がカ
ルボキシル化されることを意味する。一部の実施形態では、完全カルボキシル化は、全て
のビタミンK依存性タンパク質がある程度までカルボキシル化されること、及び/又は全
てのビタミンK依存性タンパク質が全ての又は大部分のカルボキシル化部位でカルボキシ
ル化されることを意味し得る。カルボキシル化ビタミンK依存性タンパク質又は完全カル
ボキシル化ビタミンK依存性タンパク質は、活性タンパク質である。「活性タンパク質」
とは、ビタミンK依存性タンパク質が、その生物学的機能(例えば第IX因子又は第X因
子についての酵素活性)を実施する上で活性を有する又は活性化できることを意味する。
VII因子、第VIIA因子、第IX因子、第X因子、プロテインC、活性化プロテイン
C、プロテインS、骨Glaタンパク質(オステオカルシン)、マトリックスGlaタン
パク質及びプロトロンビン、及び本明細書で述べるそのようなタンパク質の修飾形態を含
むが、これらに限定されない、現在公知の又は後日それ自体が特定される任意のビタミン
K依存性タンパク質であり得る。
用することができるが、一部の実施形態では非ヒト又はさらに非哺乳動物細胞が使用でき
る。そのため、本発明の細胞又は細胞系は、例えばヒト細胞、動物細胞、植物細胞及び/
又は昆虫細胞であり得る。本明細書で述べるビタミンK依存性カルボキシラーゼをコード
する核酸及びビタミンK依存性タンパク質をコードする核酸は当分野において周知であり
、発現のための細胞へのそれらの導入は、常用のプロトコールに従って実施される。その
ため、一部の実施形態では、本発明は、ビタミンK依存性タンパク質をコードする核酸(
細胞にとって内因性又は外来性)を含む細胞を提供する。ビタミンK依存性タンパク質は
、ビタミンKの存在下で細胞において生産される。細胞は、ビタミンKエポキシドレダク
ターゼ(VKOR)及び/又はビタミンK依存性カルボキシラーゼをコードする異種(す
なわち外来性)核酸をさらに含む。細胞は、VKOR及び/又はビタミンK依存性カルボ
キシラーゼをコードする核酸が発現され、VKOR及び/又はカルボキシラーゼが細胞に
おいて生産される、当分野で公知の条件下に維持され得る。
験者のVKOR遺伝子内の1以上の一塩基多型の存在と相関し得るという発明者の発見に
基づく。そのため、本発明はまた、被験者においてVKOR遺伝子内の1以上の一塩基多
型(SNP)の存在を検出することを含み、一塩基多型がワルファリンに対する高い又は
低い感受性と相関付けられ、それによって被験者がワルファリンに対する高い又は低い感
受性を有すると特定する、ワルファリンに対して高い又は低い感受性を有するヒト被験者
を特定する方法を提供する。
及びこの配列の前後の約1000ヌクレオチドを含む標準配列である、配列番号11のヌ
クレオチド配列のヌクレオチド2581(配列番号12)におけるG→C変化(VKOR
遺伝子のイントロン2内;引用することにより本明細書の一部をなすものとする、Gen
Bankアクセッション番号refSNP ID:rs8050894)である。この配
列は、ゲノム位置「ヒト染色体16p11.2」を有する又はNCBIデータベースの物
理的地図においてヒト16番染色体:31009700−31013800と位置付ける
ことができる。
ド配列のヌクレオチド3294(配列番号13)におけるT→C変化(VKOR遺伝子の
イントロン2内;引用することにより本明細書の一部をなすものとする、GenBank
アクセッション番号refSNP ID:rs2359612)、及び配列番号11のヌ
クレオチド配列のヌクレオチド4769(配列番号14)におけるG→A変化(VKOR
遺伝子の3’UTR内;引用することにより本明細書の一部をなすものとする、GenB
ankアクセッション番号refSNP ID:rs7294)である。
ァリンの適切な治療又は維持用量が、正常被験者、すなわちワルファリンに対する高い感
受性の表現型を与えるVKOR遺伝子内のSNPを担持しない被験者にとって適切なワル
ファリンの治療又は維持用量よりも低い被験者である。逆に、本明細書で使用する、「ワ
ルファリンに対して低い感受性」を有する被験者は、ワルファリンの適切な治療又は維持
用量が、正常被験者、すなわちワルファリンに対する低い感受性の表現型を与えるVKO
R遺伝子内のSNPを担持しない被験者にとって適切なワルファリンの治療又は維持用量
よりも高い被験者である。正常被験者にとってのワルファリンの典型的な治療用量の一例
は1週当り35mgであるが、この量は異なってもよい(例えば1週当り3.5〜420
mgの用量範囲がAithal et al.(1999)Lancet 353:71
7−719に述べられている)。ワルファリンの典型的治療用量は、本明細書で述べる方
法に従って所与の試験群に関して決定することができ、前記治療用量は、この用量より高
い又は低い治療ワルファリン用量を有する被験者を特定するために使用でき、それによっ
てワルファリンに対して低い又は高い感受性を有する被験者を特定する。
い感受性と相関させること;及びb)被験者において工程(a)の一塩基多型を検出し、
それによってワルファリンに対して高い又は低い感受性を有する被験者を特定すること、
を含む、ワルファリンに対して高い又は低い感受性を有するヒト被験者を特定する方法が
本明細書で提供される。
定する工程と、b)被験者においてVKOR遺伝子内の一塩基多型の存在を検出する工程
と、c)工程(b)の一塩基多型の存在を、被験者におけるワルファリンへの高い又は低
い感受性と相関させ、それによってワルファリンに対する高い又は低い感受性と相関する
VKOR遺伝子内の一塩基多型を特定する工程とを含む、ワルファリンに対する高い又は
低い感受性と相関するVKOR遺伝子内の一塩基多型を特定する方法を提供する。
、b)(a)の被験者のVKOR遺伝子のヌクレオチド配列を決定する工程と、c)工程
(b)のヌクレオチド配列をVKOR遺伝子の野生型ヌクレオチド配列と比較する工程と
、d)(b)のヌクレオチド配列内の一塩基多型を検出する工程と、e)(d)の一塩基
多型を、(a)の被験者におけるワルファリンへの高い又は低い感受性と相関させる工程
とを含む、被験者のVKOR遺伝子内の一塩基多型をワルファリンに対する高い又は低い
感受性と相関させる方法も本発明において提供される。
維持用量を確立することによって、及びその被験者についての治療又は維持用量を、ワル
ファリンの平均治療又は維持用量が算定される正常被験者(例えばワルファリンに対する
高い又は低い感受性と相関するVKOR遺伝子内のSNPを持たない被験者)の集団の抗
凝固治療のためのワルファリンの治療又は維持用量と比較することによって、ワルファリ
ンに対して高い又は低い感受性を有すると特定される。ワルファリンの平均治療又は維持
用量(例えば治療的である又は野生型VKOR遺伝子を有する、すなわちワルファリン感
受性に関連する一塩基多型を持たない被験者についての維持用量を提供するワルファリン
の用量)よりも低いワルファリンの治療又は維持用量を有する被験者は、ワルファリンに
対して高い感受性を有すると特定される被験者である。ワルファリンの平均治療又は維持
用量より高いワルファリンの治療又は維持用量を有する被験者は、ワルファリンに対して
低い感受性を有すると特定される被験者である。野生型のVKOR遺伝子を有する被験者
についてのワルファリンの平均治療又は維持用量は、当業者によって容易に測定される。
及び本明細書で提供する実施例で述べるように決定される。例えばゲノムDNAを被験者
の細胞から抽出し、公知のプロトコールに従ってVKOR遺伝子を位置付け、配列決定す
る。VKOR遺伝子内の一塩基多型は、当分野で公知の野生型配列(例えば配列番号11
として本明細書で示す標準配列)と被験者の配列の比較によって特定される。
なわち平均用量より高い又は低いワルファリンの維持又は治療用量を有すると特定された
被験者のVKOR遺伝子内のSNP又は複数のSNPの存在を特定すること、及び統計分
析の周知の方法に従って、ワルファリンに対する高い又は低い感受性とSNPの関連性の
統計分析を実施することにより、ワルファリンに対する高い又は低い感受性と相関付けら
れる。SNP(遺伝子型)と高い又は低いワルファリン感受性(表現型)の間の統計的関
連性(例えば有意の関連性)を特定する分析は、被験者におけるSNPの存在とその被験
者におけるワルファリンへの高い又は低い感受性の間の相関を確立する。
者におけるワルファリンへの高い又は低い感受性と相関付けることができると考えられる
。そのような因子は、シトクロムp450 2C9多型、人種、年齢、性別、喫煙歴及び
肝疾患を含み得るが、これらに限定されない。
1以上のシトクロムp450 2C9多型、人種、年齢、性別、喫煙歴、肝疾患及びこれ
らの因子の2以上の任意の組合せからなる群より選択される、ワルファリンに対する高い
又は低い感受性と相関する因子の組合せの存在を被験者において特定することを含み、因
子の組合せがワルファリンに対する高い又は低い感受性と相関付けられ、それによってワ
ルファリンに対する高い又は低い感受性を有する被験者を特定する、ワルファリンに対す
る高い又は低い感受性を有するヒト被験者を特定する方法を提供する。
0 2C9多型、人種、年齢、性別、喫煙歴、肝疾患及びこれらの因子の2以上の任意の
組合せからなる群より選択される、因子の組合せの存在を、ワルファリンに対する高い又
は低い感受性と相関付ける工程と、b)被験者において工程(a)の因子の組合せを検出
し、それによってワルファリンに対する高い又は低い感受性を有する被験者を特定する工
程とを含む、ワルファリンに対する高い又は低い感受性を有するヒト被験者を特定する方
法が本明細書で提供される。
定する工程と、b)被験者において因子の組合せの存在を検出すること;及びc)工程(
b)の因子の組合せの存在を被験者におけるワルファリンへの高い又は低い感受性と相関
させ、それによってワルファリンに対する高い又は低い感受性と相関する因子の組合せを
特定する工程とを含み、前記因子がVKOR遺伝子の1以上の一塩基多型、1以上のシト
クロムp450 2C9多型、人種、年齢、性別、喫煙歴、肝疾患及びこれらの因子の2
以上の任意の組合せからなる群より選択される、ワルファリンに対する高い又は低い感受
性と相関する因子の組合せを特定する方法を提供する。
、b)被験者において因子の組合せの存在を特定する工程と、c)(b)の因子の組合せ
を(a)の被験者におけるワルファリンへの高い又は低い感受性と相関付ける工程とを含
み、前記因子がVKOR遺伝子の1以上の一塩基多型、1以上のシトクロムp450 2
C9多型、人種、年齢、性別、喫煙歴、肝疾患及びこれらの因子の2以上の任意の組合せ
からなる群より選択される、因子の組合せをワルファリンに対する高い又は低い感受性と
相関付ける方法が本明細書で提供される。
と特定された被験者において因子の組合せの存在を特定すること及び統計分析の周知の方
法に従って、ワルファリンに対する高い又は低い感受性と因子の組合せの関連性の統計分
析を実施することにより、ワルファリンに対する高い又は低い感受性と相関付けられる。
因子の組合せと(高い又は低い)ワルファリン感受性表現型の間の統計的関連性(例えば
有意の関連性)を特定する分析は、被験者における因子の組合せの存在とその被験者にお
けるワルファリンへの高い又は低い感受性の間の相関を確立する。
細書で提供される。そのため、本発明はさらに、配列番号12、13、14、15及び1
6に示すヌクレオチド配列を含む、基本的にそれらからなる及び/又はそれらからなる核
酸を提供する。核酸はベクター内に存在することができ、ベクターは細胞内に存在し得る
。さらに、配列番号12、13、14、15及び16に示すヌクレオチド配列を含む核酸
によってコードされるタンパク質、並びに配列番号12、13、14、15及び16に示
すヌクレオチド配列を含む核酸によってコードされるタンパク質に特異的に結合する抗体
も包含される。その数多くの修正及び変形が当業者に明白であるので、例示だけを意図す
る以下の実施例において本発明をより詳細に説明する。
関
VKOR遺伝子の最も一般的なアイソフォームは、約4kbの長さであり、3個のエク
ソンを有し、18.4kDaの質量を有する163アミノ酸の酵素をコードする。本研究
では、SNPと特定された3つの突然変異、vk2581(G>C)、vk3294(T
>C)及びvk4769(G>A)(それぞれ46.9%、46.8%及び46.3%の
ヘテロ接合率)を、被験者におけるそれらの存在と、治療的に有効な応答を達成するため
に必要なワルファリンの維持用量との間の相関に関して検討した。
被験者は、Ambulatory Care CeterのUNC Coagulat
ion Clinicから得た。熟達した遺伝学カウンセラーによってインフォームドコ
ンセントを得た。英語が堪能でない被験者は、通訳がいないことと同意の必要性のために
除外した。試験に適格であるために、被験者は少なくとも6ヶ月間ワルファリンを服用し
ており、18歳以上で、Ambulatory Care ClinicのUNC Co
agulation Clinicによってフォローアップされた。
ゲノムDNAを、QIAamp DNA Blood Mini Kit(QIAGE
Nカタログ番号51104)を用いて被験者の全血から抽出した。DNA濃度を10ng
/μLに調整した。
DNA約10ngをポリメラーゼ連鎖反応(PCR)アッセイのために使用した。VK
OR遺伝子を増幅するために使用したプライマーは以下の通りであった:5’−UTR及
びエクソン1領域に関しては、エクソン1−5’CCAATCGCCGAGTCAGAG
G(配列番号29)及びエクソン1−3’CCCAGTCCCCAGCACTGTCT(
配列番号30);エクソン2領域に関しては、エクソン2−5’AGGGGAGGATA
GGGTCAGTG(配列番号31)及びエクソン2−3’CCTGTTAGTTACC
TCCCCACA(配列番号32);及びエクソン3及び3’−UTR領域に関しては、
エクソン3−5’ATACGTGCGTAAGCCACCAC(配列番号33)及びエク
ソン3−3’ACCCAGATATGCCCCCTTAG(配列番号34)。VKOR遺
伝子内のSNPを検出するために自動化されたハイスループットキャピラリー電気泳動D
NA塩基配列決定法を使用した。
SNP遺伝子型決定のためのアッセイ試薬は、Assay−by−Design(商標
)サービス(Applied Biosystems製、カタログ番号4332072)
からであった。プライマー及びプローブ(FAM(商標)及びVIC(商標)染料標識)
は、Primer Expressソフトウエアを用いて設計し、Applied Bi
osystemsシンセサイザーで合成した。各々のSNPについてのプライマー対はS
NP部位の上流/下流に位置し、PCR反応において100bp未満の長さのDNAフラ
グメントを生成することができる。FAM(商標)及びVIC(商標)染料標識プローブ
は、15〜16ヌクレオチドの長さを有するSNP部位をカバーするように設計した。各
々のVKOR SNPについてのプライマー及びプローブ配列を表2に示す。
o AmpErase UNG(Applied Biosystems、カタログ番号
4324018)をPCR反応において使用した。リアルタイムPCRの40サイクルを
Opticon II(MJ Research)装置において実施した。95℃で10
分間の予備加熱、次いで92℃で15分間、60℃で1分間処理し、その後プレートを読
み取った。結果はFAM及びVIC染料のシグナル値に従って読み取った。
種々の遺伝子型の間の平均用量の差を、SASバージョン8.0(SAS,Inc.,
Cary,NC)を用いて分散分析(ANOVA)によって比較した。0.05未満の両
側p値を有意とみなした。SNP群における治療の平均用量についての分布及び残差の検
討は、分散の均一性の仮定を満たすためには対数変換が必要であることを指示した。
直接ゲノムDNA塩基配列決定及びSNPリアルタイムPCR検出により、5個のSN
PをVKOR遺伝子内で特定した:5’−UTR内に1個、イントロンII内に2個、コ
ード領域内に1個及び3’−UTR内に1個(表1)。
名の被験者のうち1名だけによって担持されていた(3’−UTRのSNP対立遺伝子も
担持する、3重ヘテロ接合)が、その他のSNPは17〜25名のヘテロ接合患者におい
て特定された。
子を有する患者についての平均ワルファリン用量は、週当たり、50.19±3.20m
g(n=26)であったが、一方この多型に関してヘテロ接合及びホモ接合である患者は
それぞれ週当たり35.19±3.73(n=17)及び31.14±6.2mg(n=
15)であったことを示す。図1Bは、野生型vk3294対立遺伝子を有する患者につ
いての平均ワルファリン用量は、週当たり、25.29±3.05mg(n=11)であ
ったが、一方ヘテロ接合及びホモ接合対立遺伝子を担持する患者は、それぞれ週当たり、
41.68±4.92(n=25)及び47.73±2.75mg(n=22)であった
ことを示す。図1Cは、vk4769 SNP野生型を有する患者についての平均ワルフ
ァリン用量は、週当たり、35.35±4.01mg(n=27)であったが、一方ヘテ
ロ接合及びホモ接合対立遺伝子を有する患者は、それぞれ週当たり、44.48±4.8
0(n=19)及び47.56±3.86mg(n=12)を必要としたことを示す。ま
た、P450 2C9*3は、先に報告されているように(Joffe et al.(
2004)「Warfarin dosing and cytochrome P45
0 2C9 polymorphisms」 Thromb Haemost 91:1
123−1128)、ワルファリン用量に有意な影響を及ぼすことが認められた(図1D
)。P450 2C9*1(野生型)を有する患者についての平均ワルファリン用量は、
週当たり43.82±2.75mg(n=50)であったが、一方、この対立遺伝子に関
してヘテロ接合である患者は週当たり22.4±4.34mg(n=8)を必要とした。
VKOR遺伝子内のSNPとLoge(ワルファリン平均用量)(LnDose)の関
連性を分散分析(ANOVA)によって検討した。VKOR SNPを除く、用量に影響
を及ぼし得る因子を特定するために一連の因子(人種、性別、喫煙歴、肝疾患、シトクロ
ムP450 2Y9遺伝子におけるSNP等)を検討する反復手順を行うため、最初にS
ASを使用した。P450 2C9*3はワルファリンの平均用量と有意に関連した。そ
のため、これをさらなる分析のために共変量として含めた。分析は、この共変量を含めた
とき、3個のVKOR SNPがまだ週当たりのワルファリン用量と有意に関連すること
を指し示した(vk2581、P<0.0001;vk3294、P<0.0001;及
びvk4769、P=0.0044)。
に試験するため、VKOR遺伝子内の2個のSNPをその他のSNPについての共変量と
して含まれる分析を反復した。3個のVKOR SNPは互いに2kbの距離に位置し、
密接に結びつくと予想される。少なくともコーカサス人に関しては、1個のハプロタイプ
(A=vk2581グアニン及びa=vk2581シトシン;B=vk3294チミン及
びb=vk3924シトシン;C=vk4769グアニン及びc=vk4769アデニン
)がAAbbccであり、もう1個がaaBBCCであることが検査から明らかであった
。患者における個々のSNPの分布はその他の分布と有意に相関することが認められた(
R=0.63〜0.87、p<0.001)。実際に、ハプロタイプAAbbccを有す
る被験者(n=7)(ワルファリン用量=48.98(3.93)は、ハプロタイプaa
BBCCを有する患者(25.29(3.05;p<0.001)に比べてワルファリン
の有意に高い用量を必要とした。
合理的設計アルゴリズムの改良版(Reynolds et al.(2004)「R
ational siRNA design for RNA interferenc
e」Nature Biotechnology 22:326−330)を用いてsi
RNAsを選択した。13個の遺伝子の各々について、最も高いスコアを有する4個のs
iRNAs二本鎖を選択し、Human ESTデータベースを用いてBLAST検索を
実施した。オフターゲットサイレンシング効果の潜在的可能性を最小限に抑えるため、無
関係な配列に対して4個以上のミスマッチを有する配列標的だけを選択した(Jacks
on et al.(2003)「Expression profiling rev
eals off−target gene regulation by RNAi」
Nat Biotechnol 21:635−7)。全ての二本鎖を、2’−ACE化
学の修正法(Scaringe(2000)「Advanced 5’−silyl−2
’−orthoester approach to RNA oligonucleo
tide synthesis」Methods Enzymol 317:3−18)
を用いてUU突出末端を有する21量体としてDharmacon(Lafayette
,CO)で合成し、最大活性を確保するためにAS鎖を化学的にリン酸化した(Mart
inez et al.(2002)「Single−stranded antise
nse siRNAs guide target RNA cleavage in
RNAi」Cell 110:563−74)。
トランスフェクションは、わずかな修正を加えて基本的に先に述べられている通りであ
った(Harborth et al.(2001)「Identification
of essential genes in cultured mammalian
cells using small interfering RNAs」J Ce
ll Sci 114:4557−65)。
siRNAトランスフェクトしたA549細胞をトリプシン処理し、低温PBSで2回
洗浄した。各々のVKORアッセイのために、1.5×107細胞を採取した。緩衝液D
(250mM Na2HPO4−NaH2PO4、500mM KCl、20%グリセロール
及び 0.75%CHAPS、pH7.4)200μLを細胞ペレットに加え、次に細胞
溶解産物を超音波処理した。可溶化したミクロソームのアッセイのために、記述されてい
るように(Lin et al.(2002)「The putative vitam
in K−dependent gamma−glutamyl carboxylas
e internal propeptide appears to be the
propeptide binding site」J Biol Chem 277:
28584−91)2×109細胞からミクロソームを調製した;可溶化したミクロソー
ム10〜50μLを、各々のアッセイに使用した。ビタミンKエポキシドを図の脚注に指
示されている濃度まで添加し、反応を開始させるためにDTTを4mMまで添加した。反
応混合物をイエローライト中30℃で30分間インキュベートし、0.05M AgNO
3:イソプロパノール(5:9)500μLを添加して停止させた。ヘキサン500μL
を添加し、ビタミンK及びビタミンKOを抽出するために、混合物を1分間強くボルテッ
クスした。5分間の遠心分離後、上部有機層を5mL褐色バイアルに移し、N2で乾燥し
た。ビタミンK及びビタミンKOを溶解するためにHPLC緩衝液、アセトニトリル:イ
ソプロパノール:水(100:7:2)150μLを添加し、試料をA C−18カラム
(Vydac、カタログ番号218TP54)でのHPLCによって分析した。
1×106細胞をPBSで2回洗い、全RNAを製造者のプロトコールに従って(In
vitrogen)トリゾール試薬で単離した。RNA1μgをRQ1 DNアーゼ1(
Promega社製)によって消化し、熱不活化した。第一鎖cDNAをM−MLV逆転
写酵素(Invitrogen社製)で作製した。cDNAをDyNAmo SYBR
Green qPCR pre−mix(Finnzymes)と混合し、Optico
n II PCRサーマルサイクラー(MJ Research)でリアルタイムPCR
を実施した。以下のプライマーを使用した:
13124769−5’(F):(TCCAACAGCATATTCGGTTGC、配
列番号1);
13124769−3(R)’:(TTCTTGGACCTTCCGGAAACT、配
列番号2);
GAPDH−F:(GAAGGTGAAGGTCGGAGTC、配列番号3);
GAPDH−R:(GAAGATGGTGATGGGATTTC、配列番号4);
Lamin−RT−F:(CTAGGTGAGGCCAAGAAGCAA、配列番号5)
及び
Lamin−RT−R:(CTGTTCCTCTCAGCAGACTGC、配列番号6)
。
mGC11276コード領域についてのcDNAを、HPC4タグ(EDQVDPRL
IDGK、配列番号7)と共にアミノ末端においてpVL1392(Pharminge
n)にクローニングし、記述されているように(Li et al.(2000)「Id
entification of a Drosophila vitamin K−d
ependent gamma−glutamyl carboxylase」J Bi
ol Chem 275:18291−6)Sf9細胞において発現させた。
VKOR遺伝子についての検索を、マーカーD16S3131とD16S419の間の
ヒト染色体16番に関して集中的に実施した。この領域は、遺伝子地図上の50cM〜6
5cM及び物理的地図上の26〜46.3Mbの染色体16番に相当する。この領域内の
190個の予測コード配列を、NCBI非重複タンパク質データベースのBLASTX検
索によって分析した。それらのヒト遺伝子及び公知の機能を有する関連種からのオーソロ
グを排除した。VKORは膜貫通タンパク質であると思われるので(Carlisle
& Suttie(1980)「Vitamin K dependent carbo
xylase:subcellular location of the carbo
xylase and enzymes involved in vitamin K
metabolism in rat liver」Biochemistry 19
:1161−7)、残りの遺伝子をNCBIデータベース内のcDNA配列に従って翻訳
し、膜貫通ドメインを有するものを予測するためにプログラムTMHMM及びTMAP(
Biology WorkBench,San Diego Supercompute
r System)で分析した。内在性膜タンパク質をコードすると予測される13個の
遺伝子をさらなる分析のために選択した。
戦略は、比較的高い量のVKOR活性を発現する細胞系を特定し、13個の候補遺伝子
全てを体系的にノックダウンするためにsiRNAを使用するというものであった。21
〜23ヌクレオチドの二本鎖RNAであるsiRNAは、細胞培養において特異的RNA
分解を引き起こすことが示された(Hara et al.(2002)「Raptor
,a binding partner of target of rapamyci
n (TOR), mediates TOR action」Cell 110:17
7−89;Krichevsky & Kosik(2002)「RNAi funct
ions in cultured mammalian neurons」Proc
Natl Acad Sci USA 99:11926−9;Burns et al
.(2003)「Silencing of the Novel p53 Targe
t Gene Snk/Plk2 Leads to Mitotic Catastr
ophe in Paclitaxel(Taxol)−Exposed Cells」
Mol Cell Biol 23:5556−71)。しかし、哺乳動物細胞における
大規模スクリーニングのためのsiRNAの適用は、特定の哺乳動物細胞mRNAについ
ての機能的標的を特定することの困難さの故にこれまで報告されていなかった(Hole
n et al.(2003)「Similar behaviour of sing
le−strand and double−strand siRNAs sugge
sts they act through a common RNAi pathw
ay」Nucleic Acids Res 31:2401−7)。siRNA設計の
ための合理的選択アルゴリズム(Reynolds et al.)の開発は、特異的s
iRNAが開発できる可能性を上昇させる。さらに、4個の合理的に選択されたsiRN
Asをプールすることによって成功の確率を上昇させ得る。これまでに特定されていない
遺伝子を検索するためにsiRNAを使用することは、VKOR活性が活性のために2個
以上の遺伝子の産物を必要とする場合でも、アッセイは酵素活性の損失を測定するのでス
クリーニングはまだ有効なはずであるという利点を有する。
なワルファリン感受性VKOR活性を示すと特定された。ごくわずかなVKOR活性を発
現する、2番目のヒト結腸直腸腺癌細胞系、HT29を標準として使用した。
siRNAの13のプールの各々を、三重に(in triplicate)A549
細胞にトランスフェクトし、72時間後にVKOR活性を検定した。遺伝子gi:131
24769に特異的な1つのsiRNAプールは、8回の別々のアッセイにおいてVKO
R活性を64%〜70%低下させた(図2)。
可能な理由は、哺乳動物タンパク質の半減期が大きく異なる(数分間から数日間)ことで
あり(Zhang et al.(1996)「The major calpain
isozymes are long−lived proteins.Design
of an antisense strategy for calpain dep
letion in cultured cells」J Biol Chem 271
:18825−30;Bohley(1996)「Surface hydrophob
icity and intracellular degradation of p
roteins」Biol Chem 377:425−35;Dice & Gold
berg (1975)「Relationship between in vivo
degradative rates and isoelectric point
s of proteins」Proc Natl Acad Sci USA 72:
3893−7)、酵素活性ではなくmRNA翻訳が阻害される。そのため、細胞を11日
間存続させ、それらのVKOR活性を追跡した。図3は、gi:13124769 mR
NAについてのmRNAのレベルが正常値の約20%まで急速に低下し、一方VKOR活
性はこの期間中持続的に低下したことを示す。VKDカルボキシラーゼ活性及びラミンA
/C mRNAのレベルは一定のままであったので、この活性の低下は、siRNAの一
般的作用又は細胞死の結果ではない。さらに、gi:132124769 mRNAのレ
ベルは、高いVKOR活性を示すA549細胞におけるよりも、低いVKOR活性を有す
るHT−29細胞において4倍低い。これらのデータは、gi:13124769がVK
OR遺伝子に対応することを指し示す。
VKORをコードするとここで特定した、遺伝子IMAGE 3455200(gi:
13124769、配列番号8)は、ヒト染色体16p11.2、マウス染色体7F3及
びラット染色体1:180.8Mbに位置付けられる。7つの異なるスプライシングパタ
ーンを示すNCBIデータベース内の338個のcDNAクローンが存在する(NCBI
AceViewプログラム)。これらは2〜4個のエクソンの全部又は一部からなる。
これらの中で、最も一般的なアイソフォーム、mGC11276は3個のエクソンを有し
、肺及び肝細胞において高レベルで発現される。この3個のエクソン転写産物(配列番号
9)は、18.2kDaの質量を有する163アミノ酸の予測タンパク質(配列番号10
)をコードする。これは、予測のために使用するプログラムに依存して、1〜3個の膜貫
通ドメインを有する推定上のN−ミリスチル化小胞体タンパク質である。7個のシステイ
ン残基を有し、酵素活性がチオール試薬に依存するという所見と一致する(Thijss
en et al.(1994)「Microsomal lipoamide red
uctase provides vitamin K epoxide reduct
ase with reducing equivalents」Biochem J
297:277−80)。7個のシステイン残基のうち5個は、ヒト、マウス、ラット、
ゼブラフィッシュ、ゼノパス属(アフリカツメガエル)及びアノフェレス属(ハマダラカ
)の間で保存されている。
クソン)をスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda
)、Sf9細胞において発現させた。Sf9細胞は測定可能なVKOR活性を有さないが
、mGC11276 cDNAでトランスフェクトしたときワルファリン感受性の活性を
示す(図4)。VKOR活性は、エピトープタグを有する構築物から、それらのアミノ又
はカルボキシル末端のいずれかで認められる。このタグはVKORの精製を助けるはずで
ある。
細胞からミクロソームを作製し、ワルファリン感受性に関して試験した。VKOR活性は
ワルファリン感受性である(図5)。
Aを使用することの最初の例を提供する。VKOR遺伝子の同一性は、昆虫細胞における
その発現によって確認された。VKOR遺伝子はいくつかのアイソフォームをコードする
。各々のアイソフォームの活性と発現パターンを特性決定することが重要である。世界中
で何百万もの人々が凝固を阻害するためにワルファリンを利用している。そのため、VK
ORをさらに特性決定することは、より正確な用量決定、又はより安全で、より有効な抗
凝固薬の設計を導き得るので、重要である。
グルタミン酸からγカルボキシグルタミン酸への翻訳後修飾は多くのタンパク質の活性
を必要とし、それらのタンパク質の大部分は凝固に関連する。これらのうちでいくつかは
、様々な出血性疾患を治療するための有用なツールとなってきた。例えば組換えヒト第I
X因子は現在、血友病B患者を治療するために使用される第IX因子の大部分を占める。
加えて、第VIIa因子は、第IX因子又は第VIII因子のいずれかに対する自己抗体
(阻害因子)を有する患者を治療するため及び一般的外傷から生じる出血のために広く使
用される。もう1つのGlaタンパク質、活性化プロテインCは、敗血症の治療のために
使用される。これらのビタミンK依存性タンパク質は、チャイニーズハムスター卵巣(C
HO)、ベビーハムスター腎細胞(BHK)及びヒト胚腎細胞(HEK293)などの細
胞を使用する細胞培養において生産することができる。これらの細胞系全てについて共通
の問題は、顕著な過剰生産が達成された場合、生産される組換えタンパク質の有意な分画
が低カルボキシル化される。最初は、カルボキシル化における制限因子はビタミンK依存
性γグルタミルカルボキシラーゼであると考えられた。しかし、その精製及びクローニン
グ後、第IX因子とカルボキシラーゼの共発現は、ヒト第IX因子を過剰発現するCHO
細胞系において第IX因子のカルボキシル化の程度を改善することができなかった。HE
K293細胞系におけるカルボキシル化第X因子のパーセンテージは、第X因子のプロペ
プチドの親和性を低下させることによって上昇させ得る。しかし、プロトロンビンプロペ
プチドを担持する第X因子の発現レベルが十分に高い場合、発現のレベルは、まだ細胞が
完全な翻訳後修飾を達成する能力を上回る。本研究は、第X因子を過剰発現する細胞系に
おいて第X因子の約50%だけがカルボキシル化される程度にビタミンKエポキシドレダ
クターゼを(プロトロンビンプロペプチドと)共発現することは、そのほぼ完全なカルボ
キシル化を生じさせることを明らかにする。
。Pfu DNAポリメラーゼはStratageneより入手した。リポフェクタミン
、ハイグロマイシンB及びpcDNA3.1/HygroベクターはInvitroge
nからであった。トリプシン−EDTA、ウシ胎仔血清及びダルベッコリン酸緩衝食塩水
はSigmaからであった。抗生物質−抗真菌薬、G418(Geneticin)及び
DMEM F−12はGIBCO社からであった。ピューロマイシン及びpIRESpu
ro3ベクターはBD Biosciences社からであった。ヒト第X因子はEnz
yme Research Laboratoriesからであった。ヤギ抗ヒト第X因
子(アフィニティー精製IgG)及びウサギ抗ヒト第X因子(IgG−ペルオキシダーゼ
複合体)は、Affinity Biologicals Corporationから
であった。ペルオキシダーゼ複合AffiniPureウサギ抗ヤギIgGはJacks
on ImmunoResearch Laboratories INCからであった
。Q−sepharose(商標)Fast FlowはAmersham Pharm
acia Biotechより入手した。カルシウム依存性モノクローナルヒトFX抗体
[MoAb、4G3]はDr.Harold James,University of
Texas,Tyler,TXから得た。Bio−Scale CHT5−Iヒドロキ
シアパタイトはBio−Rad Laboratoriesからであった。
に2個のプライマーを設計した。コザック配列(下線部)及び5’EcoRI部位に導入
したプライマー1:5’−CCGGAATTCGCCGCCACCATGGGCAGCA
CCTGGGGGAGCCCTGGCTGGGTGCGG(配列番号35)。cDNAの
3’末端のNotI部位に導入したプライマー2:5’−CGGGCGGCCGCTCA
GTGCCTCTTAGCCTTGCC(配列番号36)。PCR増幅とEcoRI及び
NotIでの消化後、PCR産物を、CMVウイルス主要最初期プロモーター/エンハン
サーを有し、形質転換細胞にピューロマイシン耐性を付与するpIRESpuro3に挿
入した。
個のプライマーを設計した。Bam H1部位及び5’末端のコザック配列(下線)に導
入したプライマー3:5’−CGCGGATCCGCCGCCACCATGGCGGTG
TCTGCCGGGTCCGCGCGGACCTC GCCC(配列番号37)及び3’
末端のNotI部位に導入したプライマー4:5’−CGGGCGGCCGCTCAGA
ACTCTGAGTGGACAGGATCAGGATTTGACTC(配列番号38)。
Bam HI及びNotIでの消化後、PCR産物を、CMVプロモーターを有し、形質
転換細胞にハイグロマイシン耐性を付与するpcDNA3.1/Hygroに挿入した。
完全カルボキシル化されている)を生産する突然変異型第X因子(HEK293−FXI
16L)を発現する細胞系を使用した。HEK293−FXI16Lを記述されているよ
うに(Camire,2000)作製し、ネオマイシン類似体、G418で選択した。H
EK293−FXI16Lを、製造者のプロトコールに従ってリポフェクチン(Invi
trogen製)を使用してプラスミドpIRESpuro3−VKORでトランスフェ
クトした。選択は、G418 450μl/ml及びピューロマイシン1.75μl/m
lで実施した。耐性コロニーを採取し、VKOR活性に関してスクリーニングした。最も
高いVKOR活性を有するコロニーをさらなる分析のために選択した。
ンを用いて、プラスミドpcDNA3.1/Hygro−HGGCXでトランスフェクト
した。形質転換コロニーをハイグロマイシン300μg/ml及びG418 450μg
/mlで選択し、18クローンを、低分子ペプチド基質FLEEL(配列番号39)によ
るGGCX活性の検定のために選択した。最も高いGGCX活性を有するコロニーをさら
なる試験のために選択した。
現するHEK293−FXI16L細胞系を得るため、HEK293−FXI16L−V
KORをプラスミドpcDNA3.1/Hygro−HGGCXでトランスフェクトし、
18個の耐性コロニーを分析のために選択した。HEK293−FXI16L−HGGC
XもHEK293−FXI16L−VKORでトランスフェクトし、この選択から、1個
の耐性コロニーだけを得た。HEK293−FXI16LをpIRESpuro3−VK
OR及びpcDNA3.1/Hygro−HGCの両方でトランスフェクトし、10個の
耐性コロニーを生じた。次に、29個の単離されたコロニーをVKOR及びGGCX活性
の両方に関して検定した。両方の活性の最も高いレベルを有するクローンをさらなる分析
のために選択した。
のために、ヤギ抗ヒト第X因子(アフィニティー精製IgG)IgG−ペルオキシダーゼ
複合体を捕獲抗体として使用し、及びウサギ抗ヒト第X因子を検出抗体として使用した。
P−ODを顕色のための基質として使用した。標準曲線を作成するためにヒト第X因子を
使用した。HEK293−FXI16L、HEK293−FXI16L−VKOR、HE
K293−FXI16L−HGGCX及びHEK293−FXI16L−VKOR−HG
GCXをT25フラスコにおいて集密まで増殖させ、その後培地を、ビタミンK1を含む
無血清培地と交換した。無血清培地を12時間目に交換し、24時間後に馴化培地を収集
して、FXI16Lの発現に関して分析した。
HEK293−FXI16L、HEK293−FXI16L−VKOR、HEK293−
FXI16L−HGGCX及びHEK293−FXI16L−VKOR−HGGCXをT
−225フラスコにおいて集密まで増殖させ、ローラーボトルに移した。24時間及び3
6時間目に培地を、ビタミンK1を含む無血清培地と交換した。合計3リットルが得られ
るまで24時間ごとに各々の細胞系から培地を収集した。
フィルターに通した。次にEDTAを5mMまで添加し、馴化培地1リットルにつき10
0×保存プロテアーゼ阻害剤カクテル0.25mlを添加した。馴化培地を、20mMト
リス(pH7.2)/60mM NaCl/5mM EDTAで平衡させたQ−seph
arose(商標)Fast Flowカラムに負荷し、基線が定常になるまでカラムを
同じ緩衝液で洗った。カラムからFXI16Lを溶出するために20mMトリス(pH7
.2)/700mM NaClを使用した。タンパク質含有画分をプールし、8mMトリ
ス(pH7.4)/60mM NaClに透析した。各々の試料を2mM CaCl2に
し、8mMトリス(pH7.4)/60mM NaCl/2mM CaCl2で平衡させ
ておいた免疫アフィニティー(4G3)カラムに適用した。同じ緩衝液で洗った後、溶出
した第X因子を同じ緩衝液中0〜8mM EDTAの直線勾配で溶出した。タンパク質を
含む画分をプールし、1mM Na2HPO4/NaH2PO4(pH6.8)に一晩透析し
た。透析した試料を、出発緩衝液であらかじめ平衡させたBio−Scale CHT5
−Iヒドロキシアパタイトカラムに適用した。カルボキシル化及び非カルボキシル化第X
因子を分離するために1〜400mM Na2HPO4/NaH2PO4(pH6.8)の直
線勾配を使用した。
−PAGE。Q−sepharose(商標)Fast Flowによる精製後、4つの
細胞系(HEK293−FXI16L、HEK293−FXI16L−VKOR、HEK
293−FXI16L−HGC及びHEK293−FXI16L−VKOR−HGC)か
らの画分をウエスタンブロット法によって特定した。ヤギ抗ヒト第X因子(アフィニティ
ー精製IgG)を第一抗体として使用し、ペルオキシダーゼ複合affinipureウ
サギ抗ヤギIgGを第二抗体として使用して、ECL基質を顕色のために使用した。アフ
ィニティー抗体クロマトグラフィーによる精製後、一部の試料を純度に関して検査した。
I16LのmRNA発現レベルの分析。各々の細胞系(HEK293−FXI16L、H
EK293−FXI16L−VKOR、HEK293−FXI16L−HGC及びHEK
293−FXI16L−VKOR−HGC)について合計1×106細胞を12穴プレー
トに接種した。全RNAを各細胞系から抽出した。
、HEK293−FXI16L−HGC及びHEK293−FXI16L−VKOR−H
GC)についてのVKOR及びHGC活性。pIRESpuro3−VKORをHEK2
93−FXI16Lにトランスフェクトし、1.75μg/mlピューロマイシン及び4
50μg/ml G418で選択した。18個の単一クローンをVKOR活性に関してス
クリーニングした。非常に高いレベルのVKOR活性を含む単一クローンを安定細胞系、
HEK293−FXI16L−VKORとして保持した。pcDNA3.1/Hygro
−HGCをHEK293−FXI16Lにトランスフェクトした後、トランスフェクタン
トを300μg/mlハイグロマイシン及び450μg/ml G418で選択すること
ができる。合計18個の単一クローンをHGC活性に関してスクリーニングした。非常に
高いレベルのHGC活性を含む単一クローンを安定細胞系、HEK293−FXI16L
−HGCとして保持した。
法を使用した。合計29個の単一クローンをVKOR及びHGC活性に関してスクリーニ
ングした。VKORとHGCの両方の高レベルを含む単一クローンを安定細胞系、HEK
293−FXI16L−VKOR−HGCとして保持した。
HEK293−FXI16L−HGC及びHEK293−FXI16L−VKOR−HG
Cは全て、少なくとも宿主細胞と同じ高さのレベルでFXI16Lを発現した。この実験
は比較のために25ml Tフラスコにおいて実施し、発現のレベルは、タンパク質をロ
ーラーボトルで調製したときよりも低かった。これらの実験は、カルボキシラーゼ又はV
KORを過剰生産する細胞を選択することは第X因子発現の損失を生じさせなかったこと
を示す。
X因子を、上述したようにQ−sepharose及び第X因子抗体アフィニティークロ
マトグラフィーによって精製した。
のrFXI16Lのカルボキシル化率の変化の分析。1mM Na2HPO4/NaH2P
O4(pH6.8)に透析した後、4G3後の画分をBio−Scale CHT5−I
ヒドロキシアパタイトカラムに適用した。400mM Na2HPO4/NaH2PO4(p
H6.8)の0〜100%の直線勾配を使用してカラムを溶出した。各々の試料から合計
2プールを得ることができる。第一プールは非カルボキシル化ヒトFXI16Lから構成
され、第二プールは完全γカルボキシル化ヒトFXI16Lから構成される。各々の細胞
系について、比率を得るために完全γカルボキシル化ヒトFXI16Lの量をカルボキシ
ル化ヒトFXI16Lの総量で除する。宿主細胞系HEK293−FXI16Lに関する
カルボキシル化率は52%である[4.5mg/(4.13mg+4.5mg)=52%
]。その他の3つの細胞系(HEK293−FXI16L−VKOR、HEK293−F
XI16L−HGC及びHEK293−FXI16L−VKOR−HGC)に関するカル
ボキシル化率は、それぞれ92%[10.5mg/(0.9mg+10.5mg)=92
%]、57%[6.4mg/(4.78mg+6.4mg)=57%]及び〜100%[
2.4mg/2.4mg=100%]である。
カルボキシル化率の大きな差は、VKORがインビボでγカルボキシル化反応を劇的に改
善することを指し示す。細胞系HEK293−FXI16LとHEK293−FXI16
L−HGCの間でのカルボキシル化率のより小さな差は、HGCはカルボキシル化反応を
触媒するが、インビボでのカルボキシル化反応の制限因子ではなく、インビボでわずかだ
けカルボキシル化反応を改善できることを示す。細胞系HEK293−FXI16L−V
KOR−HGCにおけるほぼ100%のカルボキシル化率は、VKORがインビボでのカ
ルボキシル化反応の制限因子であり得ることを指示する。VKORはビタミンKエポキシ
ド(KO)をビタミンKに還元するだけでなく、ビタミンKを還元型ビタミンK(KH2
)にも還元する。KをKH2に還元できる2番目の機能がなければ、ビタミンKはインビ
ボでカルボキシル化系において再利用されることができない。
る核酸が、第X因子などのビタミンK依存性タンパク質でトランスフェクトされ、ビタミ
ンK依存性タンパク質を生産する細胞にトランスフェクトされたとき、高いカルボキシル
化率を有するビタミンK依存性タンパク質の生産を生じさせ、それによって細胞内の活性
なビタミンK依存性タンパク質の量を増加させることを明らかにする。
プロトロンビンプロペプチドと共に)ヒト胚腎(HEK)細胞系を使用した。この第X因
子は、そのプロペプチドをプロトロンビンのプロペプチドで置換することによってあらか
じめ修飾されており(Camire et al.「Enhanced gamma−c
arboxylation of recombinant factor X usi
ng a chimeric construct containing the p
rothrombin propeptide」Biochemistry 39(46
):14322−9(2000))、第X因子の〜50%だけがカルボキシル化される程
度まで第X血液凝固因子を過剰発現した。
胞のために使用した。この発現レベルで、HEK細胞は、正常第X因子プロペプチドをプ
ロトロンビンペプチドに置き換えても、第X因子を完全にカルボキシル化することができ
なかった。約12〜14mg/Lの第X因子を発現するHEK293細胞を、1)ビタミ
ンKエポキシドレダクターゼ(VKOR)、2)ビタミンKγグルタミルカルボキシラー
ゼ、又は3)ビタミンKエポキシドレダクターゼとビタミンKγグルタミルカルボキシラ
ーゼ(VKGC)の両方、でトランスフェクトした。大量のカルボキシラーゼ、VKOR
又はVKORとカルボキシラーゼの両方を生産することを示したいくつかの細胞系を選択
した。これらの選択細胞系の各々において、第X因子の発現レベルは少なくとも出発細胞
系と同じ高さ(実験限界内)であった。これらの実験の結果を、図6A〜Dに示す。全て
の場合の比較は、約50%カルボキシル化される第X因子を発現する、もとの第X因子発
現細胞系に対してである。
抗体カラム及び最後にヒドロキシルアパタイトカラムで第X因子を精製した。示されてい
る図は、ヒドロキシルアパタイトカラムに関するものである。最初のピークは、非カルボ
キシル化第X因子であり、2番目のピークは完全カルボキシル化第X因子であることがこ
れまでに示されている(Camire et al.)。図6Aは、外来性VKOR又は
VKGCを含まないもとの細胞系における第X因子のカルボキシル化の結果を示す。2番
目のピーク(画分26付近に集中する)は完全カルボキシル化ピークである。面積にする
と、第X因子の52%が完全カルボキシル化される。図6Bは、第X因子を発現する細胞
系へのカルボキシラーゼ単独の付加はカルボキシル化第X因子のパーセンテージを有意に
上昇させなかったことを示す。完全カルボキシル化の程度は、かろうじて57%完全カル
ボキシル化まで上昇する。この場合、完全カルボキシル化ピークは画分25付近に集中す
る。図6Cは、VKOR単独でトランスフェクトした細胞が完全カルボキシル化第X因子
の劇的に高いレベルを示したことを示す。この場合、完全カルボキシル化ピーク(画分2
6付近に集中する)及び完全カルボキシル化の程度は、作製される第X因子全体の92%
まで上昇する。図6Dは、細胞をVKORとVKGCでトランスフェクトするとき、第X
因子の100%が完全カルボキシル化されることを示す。この状況では、VKOR遺伝子
の発現がビタミンK依存性タンパク質の完全カルボキシル化の主要決定因子である。基質
の代謝回転がより低い他の状況では、すなわちプロペプチドが第X因子よりもはるかに密
接にプロトロンビンプロペプチドと結合し、第X因子の過剰発現が非常に高いときには、
カルボキシラーゼ遺伝子の発現も制限的であると考えられる。これらの結果は、第X因子
に加えて、全てのビタミンK依存性タンパク質に拡大することができる。
依存性タンパク質の生産を促進することを明らかにする。これは、完全に活性な修飾タン
パク質を生産する効率を上昇させる機構を提供する。
は、以下の特許請求の範囲、及びその中に含まれる請求項の等価物によって定義される。
考文献が提示する文及び/又は段落に関する教示の全体が引用することにより本明細書の
一部をなすものとする。
Claims (10)
- ビタミンK依存性タンパク質をコードする第一の核酸を発現する細胞に、ビタミンKエ
ポキシドレダクターゼ(VKOR)をコードする第二の異種核酸を、前記第一の核酸及び
第二の核酸がそれぞれ発現されてビタミンK依存性タンパク質及びVKORを生産する条
件下で導入することを含む、細胞内のカルボキシル化ビタミンK依存性タンパク質の量を
増加させる方法。 - ビタミンK依存性タンパク質をコードする第一の核酸を発現する細胞に、ビタミンKエ
ポキシドレダクターゼ(VKOR)をコードする第二異種核酸を、前記第一の核酸及び第
二の核酸がそれぞれ発現されてビタミンK依存性タンパク質及びVKORを生産する条件
下で導入することを含む、ビタミンK依存性タンパク質のカルボキシル化を増加させる方
法。 - ビタミンK依存性タンパク質をコードする第一の核酸を発現する細胞に、ビタミンKエ
ポキシドレダクターゼ(VKOR)をコードする第二異種核酸を、前記第一の核酸及び第
二の核酸がそれぞれ発現されてビタミンK依存性タンパク質及びVKORを生産する条件
下で導入することを含み、VKORの存在下で細胞において生産されるカルボキシル化ビ
タミンK依存性タンパク質の量が、VKORの非存在下で細胞において生産されるカルボ
キシル化ビタミンK依存性タンパク質の量に比べて増加している、細胞においてカルボキ
シル化ビタミンK依存性タンパク質を生産する方法。 - 細胞が、ビタミンK依存性カルボキシラーゼをコードする第三の核酸をさらに含む、請
求項1から3のいずれかに記載の方法。 - 前記ビタミンK依存性タンパク質が、第VII因子、第IX因子、第X因子、プロテイ
ンC、プロテインS、プロトロンビン及びそれらの任意の組合せからなる群より選択され
る、請求項1から4のいずれかに記載の方法。 - 前記細胞が植物細胞である、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
- 前記細胞が昆虫細胞である、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
- 前記細胞が動物細胞である、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
- 前記ビタミンK依存性カルボキシラーゼが、ウシビタミンK依存性カルボキシラーゼで
ある、請求項1から8のいずれかに記載の方法。 - 前記ビタミンK依存性カルボキシラーゼが、ビタミンKγグルタミルカルボキシラーゼ
(VKGC)である、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
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WO2006089613A1 (en) * | 2005-02-28 | 2006-08-31 | Baxter International Inc. | Recombinant co-expression of vitamin k epoxide reductase subunit 1 to improve vitamin k dependent protein expression |
-
2012
- 2012-03-15 JP JP2012058816A patent/JP2012139232A/ja active Pending
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JPN6010064972; J. Biol. Chem. Vol.280, No.11, 20050107, P.10540-10547 * |
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