JP2012124826A - ハウリング防止装置、その方法及びそのプログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】従来技術は事前にピーク位置を検出して周波数フィルタのディップを設定するという事前作業が必要となる。また、従来技術では、事前設定したピーク位置が変位した場合、そのピーク位置に対してディップを持つ周波数フィルタを新たに生成してからフィルタリングに移るので、その処理が完了するまではハウリングが発生し続けてしまうという課題がある。そこで、ピーク位置の事前設定及び検出が不要なハウリング防止技術を提供することを目的とする。
【解決手段】最低周波数と最高周波数との間にディップ位置が均一に出現するように、ハウリングの有無にかかわらず、ディップ位置を変化させ、マイクロホンで収音された収音信号に適用する時間変動周波数ディップフィルタを用いる。
【選択図】図1

Description

本発明は、話者の音声をマイクロホンで収音し、電気的に増幅し、スピーカから再生する場内拡声システム等において生じるハウリングを防止するハウリング防止装置、その方法及びそのプログラムに関する。
講演会などで、講演者の声を、広い会場内にいる聴講者全員へ伝えるために、講演者の声をマイクロホンで収音し、電気的に増幅し、スピーカから再生するという場内拡声システムがある。この場内拡声システムにおいて、スピーカから再生された講演者の声が再度マイクロホンに収音されるという状態が繰り返されると、「キーン」という発振現象、すなわちハウリングが発生することがある。ハウリングの発生は、発言内容を阻害し、かつ耳障りでもあるため、場内拡声の品質を著しく劣化させる。このハウリングの発生を防止する従来技術として非特許文献1が知られている。
ハウリングは、スピーカの再生音がマイクロホンに回り込むことによって形成される閉ループにおいて、特定の周波数の利得が1以上になる場合に発振することで発生する。そのため、非特許文献1記載のハウリング防止装置は、ある空間にマイクロホンとスピーカを設置した後に、ハウリングが生じやすい周波数(以下「ピーク位置」という)を事前に検出し、ピーク位置に対してディップ(負の周波数ゲイン)を持つ周波数フィルタを収音信号に適用することによりハウリングの発生を抑える。また、マイクロホンの位置が変わることなどにより、事前設定したピーク位置が変位し、ハウリングが発生した場合は、変位したピーク位置を検出して、そのピーク位置対してディップ持ち周波数フィルタを新たに生成してハウリングを止める。
「DIGITAL AUDIO PROCESSOR[DP-M3]カタログ」、[online]、2009年、TOA株式会社、[平成22年12月1日検索]、インターネット<http://www.toa-products.com/contactus/pdfs/b-023.pdf>
しかしながら、従来技術は事前にピーク位置を検出して周波数フィルタのディップを設定するという事前作業が必要となる。また、従来技術では、事前設定したピーク位置が変位した場合、そのピーク位置に対してディップを持つ周波数フィルタを新たに生成してからフィルタリングに移るので、その処理が完了するまではハウリングが発生し続けてしまうという課題がある。本発明は、ピーク位置の事前設定及び検出が不要なハウリング防止技術を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明は、最低周波数と最高周波数との間にディップ位置が均一に出現するように、ディップ位置を変化させ、マイクロホンで収音された収音信号に適用する時間変動周波数ディップフィルタを用いる。
本発明は、ピーク置の有無に関わらず、ディップ位置を変化させ続けることで、周波数のピーク値が大きくなりすぎるのを防ぎ、ハウリングの発生を防ぐことができるという効果を奏する。
ハウリング防止装置100の機能構成例を示すブロック図。 時間変動周波数ディップフィルタ110の動作例を示す図。 時間変動周波数ディップフィルタ110の第一構成例及び第二構成例を示すブロック図。 時間変動周波数ディップフィルタ110の第一構成例及び第二構成例の処理フローを示す図。 時間変動周波数ディップフィルタ110の第三構成例を示すブロック図。図。 時間変動周波数ディップフィルタ110の第三構成例の処理フローを示す図。 ハウリング防止装置200の機能構成例を示すブロック図。 ハウリング防止装置200の処理フローを示す図。 時間変動周波数ディップフィルタ110及びピッチシフタ220の動作例を示す図。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
<ハウリング防止装置100>
図1を用いて、実施例1に係るハウリング防止装置100を説明する。ハウリング防止装置100は時間変動周波数ディップフィルタ110を備える。
スピーカ30からは講演者10の音声が場内に拡声されるため、マイクロホン20には講演者10の音声と共に場内拡声音が収音される。前述の通り、ハウリングは、スピーカ30からマイクロホン20に回り込むことによって形成される閉ループにおいて、特定の周波数の利得が1以上になる場合に発振することで発生する。ハウリング防止装置100は、以下説明する時間変動周波数ディップフィルタ110を用いて、ハウリングを防止する。
なお、マイクロホン20で収音された収音信号がアナログ信号の場合には、図示しないA/D変換部を時間変動周波数ディップフィルタ110の前段に設けて、デジタル収音信号に変換してから、以降の処理を行ってもよい。また、スピーカ30に対して、アナログ信号の再生信号を送る必要がある場合には、D/A変換部を時間変動周波数ディップ1110の後段に設けて、アナログ再生信号に変換してから出力する。
<時間変動周波数ディップフィルタ110>
時間変動周波数ディップフィルタ110は、マイクロホン20で収音された収音信号を入力とし、最低周波数と最高周波数との間に、ディップ位置が均一に出現するように、ハウリングの有無にかかわらず、周波数ディップの周波数上の位置(以下「ディップ位置」という)をΔt毎に変化させ、収音信号に適用し、スピーカ30で再生される再生信号を生成し、出力する。なお、周波数ディップとは時間変動周波数ディップフィルタ110上に設けられた周波数領域で狭帯域の阻止域であり、周波数ディップの最低周波数及び最高周波数は、ハウリングが発生する可能性のある周波数帯域の値で設定する。
例えば、時間変動周波数ディップフィルタ110は、コムフィルタの複数のディップ位置を、サンプリング周期(例えば、サンプリング周波数が48kHzの場合、0.0208ms)毎に、1Hzずつ小さくすることにより実現することができる。なお、コムフィルタ(櫛形フィルタ)とは、複数の倍音間隔で周波数ディップを備えるフィルタである。例えば、このコムフィルタは、最低ディップ位置が100Hz、ディップの深さを−60dBの時間フィルタとする。時間変動周波数ディップフィルタ110は、このコムフィルタで、サンプリング周期毎に取得した収音信号を畳み込む。
なお、ディップ位置を変化させなくとも(つまり、ディップ位置を固定した場合も)、周波数ディップに対応する周波数の抑圧が可能となるので、ディップ位置とピーク位置が合致していればハウリングを防止することができる。しかし、ディップ位置とピーク位置が異なる場合には、ハウリングを防止できない。本発明は、ディップ位置をΔt毎に変位させることにより、ピークを抑圧してハウリングを防止する。
図2に動作の模式図を示す。全ての図の縦軸は大きさ、横軸は周波数を表す。時刻tにおいて、ハウリングの原因となるピークが発生している。同時刻において時間変動周波数ディップフィルタ110のディップ位置とピーク位置とは合致していない。時刻2tにおいては、発生したピークは閉ループによって増大している。同時刻においてディップ位置はΔf1だけ低い周波数に移動しているが、まだピーク位置とディップ位置は合致していない。時刻3tにおいて、発生したピークはさらに増大している。同時刻において、ディップ位置はさらにΔf1だけ低い周波数に移動している。時刻3tにおいてピーク位置とディップ位置が合致する。この状態の時間変動周波数ディップフィルタ110を収音信号に適用することで、ディップによってピークが相殺されハウリングの発生を防止することができる。
<構成例>
図3〜図6を用いて、時間変動周波数ディップフィルタ110の3つの構成例について説明する。
(第一構成例)
図3の場合、時間変動周波数ディップフィルタ110は、ディップ位置変更部111とディップフィルタ113からなる。なお、ディップフィルタ113には、初期のディップ位置に対応する伝達係数が設定されているものとする。
図4に示すように、ディップフィルタ113は、サンプリング周期毎に、収音信号を受け取り(s1)、これを畳み込み(収音信号をフィルタリングし)、再生信号を生成し、出力する(s5)。所定の時間Δtが経過するまで、s1〜s5を繰り返す(s9)。ディップ位置変更部111は、所定の時間Δtが経過する度に(s9)、ディップ位置を変化させる伝達関数Hを生成し(s11)、コピーしてディップフィルタ113に出力する。ディップフィルタ113は、受け取った伝達関数を設定する(s13)。s1〜s13を処理が終了されるまで繰り返す(s15)。
このような構成とすることで、後述する第二構成例に比べ、周波数領域変換、時間領域変換のための計算コストを削減することができる。なお、所定の時間Δtが、サンプリング周期と同一の場合には、s9を削除してもよい。
(第二構成例)
第二構成例では、時間変動周波数ディップフィルタ110は、ディップ位置変更部111とディップフィルタ113と、図3中破線で示す周波数領域変換部114と時間領域変換部115とからなる。なお、この場合、ディップフィルタ113は周波数フィルタであり、初期のディップ位置に負の周波数ゲインを備える伝達係数が設定されているものとする。
図4に示すように、周波数領域変換部114は、サンプリング周期毎に、時間領域の収音信号を受け取り(s1)、1フレーム分の収音信号を蓄積し、フレーム単位で周波数領域の収音信号に変換する(図4中、破線で示すs3)。なお、変換方法としては、高速フーリエ変換(FFT)等を用いることができる。
ディップフィルタ113は、周波数領域の収音信号を受け取り、これを周波数領域で畳み込み(収音信号をフィルタリングし)、周波数領域の再生信号を生成し、時間領域変換部115に出力する(s5)。時間領域変換部115は、周波数領域の再生信号を、時間領域の再生信号に変換し、出力する(図4中、破線で示すs7)。なお、変換方法は、周波数領域変換部114に対応するものであり、例えば、逆高速フーリエ変換(IFFT)等を用いることができる。所定の時間Δtが経過するまで、s1〜s7を繰り返す(s9)。
ディップ位置変更部111は、所定の時間Δtが経過する度に(s9)、変化させたいディップ位置に負の周波数ゲインを備える伝達関数Hを生成し(s11)、コピーしてディップフィルタ113に出力する。ディップフィルタ113は、受け取った伝達関数Hを設定する(s13)。s1〜s13を処理が終了されるまで繰り返す(s15)。
(第三構成例)
図5の場合、時間変動周波数ディップフィルタ110は、ディップ位置変更部111と、予めディップ位置が異なる伝達係数を備えるN個のディップフィルタ113−nとからなる。但し、各ディップフィルタは時間フィルタであり、Nは1以上の整数であり、n=1,2,…,Nである。
図6に示すように、図示しない入力部と初期状態で接続されているディップフィルタ113−nは、サンプリング周期毎に、収音信号を受け取り(s1)、これを畳み込み(収音信号をフィルタリングし)、再生信号を生成し、出力する(s5)。所定の時間Δtが経過するまで、s1〜s5を繰り返す(s9)。ディップ位置変更部111は、所定の時間Δtが経過する度に(s9)、接続されるディップフィルタを切り替える制御信号を出力する(s12)。なお、前述の通り、N個のディップフィルタ113−nには、それぞれディップ位置が異なる伝達係数が記憶されているため、接続されるディップフィルタを切り替えることでディップ位置を変更することができる。s1〜s12を処理が終了されるまで繰り返す(s15)。なお、周波数領域でフィルタリング処理を行う場合には、第二構成例と同様にディップフィルタ113の前段及び後段に、それぞれ周波数領域変換部114及び時間領域変換部115を設ければよい。
<ディップ位置の変動方法>
最低周波数と最高周波数との間にディップ位置が均一に出現するように、ディップ位置を変化させる方法を3つ例示する。
(第一変動方法)
最低周波数と最高周波数との間にディップ位置が均一に出現するように、ランダムにディップ位置を変化させる。ハウリングの有無に関わらずディップ位置を変化させることで、事前にハウリングのピーク位置を検出して周波数ディップを設定するという事前作業が不要となる。また、ハウリングのピーク位置を検出し、そのピーク位置にディップを備えるフィルタを新たに生成するまでハウリングが発生し続けてしまうという問題を解消することができる。
例えば、100Hzから200Hzの間に、ランダムにディップ位置を変化させる。100回ディップ位置を変化させたときに、100Hzから200Hzの間の各周波数に1度だけ周波数ディップが位置するように制御すればよい。
(第二変動方法)
ディップ位置をΔt毎に連続的にΔf1ずつ変化させ、最低周波数と最高周波数との間を往復させる。ディップ位置をランダムに変化させるよりも、周波数上を連続的に変化させた場合のほうが、ディップ位置とピーク位置とが一致するまでの時間が平均的に短い。ディップ位置とピーク位置とが一致するまでの時間が長いほど、ピーク値が増大しハウリングの発生確率が高くなる。よって、このような構成とすることで、第一変動方法よりもハウリングの発生確率を下げることができる。
例えば、100Hzから200Hzまで、ディップ位置を1Hzずつ高くして、200Hzに到達したら、次に200Hzから100Hzまでディップ位置を1Hzずつ低くして、100Hzに到達したら、再度、ディップ位置を1Hzずつ高くするという処理を繰り返すように制御すればよい。
(第三変動方法)
ディップ位置をΔt毎に連続的にΔf1ずつ高くし最高周波数になったらディップ位置を最低周波数に戻すか、または、ディップ位置をΔt毎に連続的にΔf1ずつ低くし最低周波数になったらディップ位置を最高周波数に戻す。第三変動方法は、第二変動方法と比べて、特定の周波数に対して、均一な時間間隔で周波数ディップが到来する。そのため、第三変動方法の場合、各周波数位置に関する不均一性が発生することがなく、第二変動方法よりさらにハウリングの発生確率を下げることができる。つまり、第三変動方法の場合に最低周波数から最低周波数に戻ってくるまでに係る時間をuとすると、第二変動方法の場合には最低周波数から1往復して最低周波数に戻ってくるまでに係る時間は2uとなるので、ピーク値が増大し、第二変動方法のほうがハウリングの発生確率が高い。
例えば、100Hzから200Hzまで、ディップ位置を1Hzずつ高くし、200Hzに到達したら、100Hzに戻り、そこから200Hzまで、ディップ位置を1Hzずつ高くするという処理を繰り返すように制御すればよい。
<効果>
従来技術では、事前の設定が必要であり、また、事前に設定していないピーク位置でハウリングが発生するというという課題があった。本実施例では、ピーク位置の有無に関わらず、ディップ位置を変化させ続けるため、ピーク位置の事前設定及び検出が不要である。そして、時間変動周波数ディップフィルタのディップ位置をΔt毎に変化させ、マイクロホンで収音された収音信号に適用するのでピーク値が大きくなりすぎるのを防ぎ、ハウリングの発生を防止することができる。
<変形例>
ディップフィルタは、ノッチフィルタによって構成してもよい。ノッチフィルタとは、ある特定の周波数に対し周波数ディップを備えるフィルタである。さらに、複数のコムフィルタの組合せや、複数のノッチフィルタの組合せや、1つ以上のコムフィルタと一つ以上のノッチフィルタとの組合せによって所望の周波数ディップを備えるディップフィルタ113を構成することができる。
なお、ディップフィルタ113の備える周波数ディップの個数と再生信号の音質は、周波数ディップの個数が多ければ多いほど、ピーク値を抑圧することができるが、音質が変わってしまうというトレードオフの関係にある。また、周波数ディップの深さや幅も深ければ深いほど、広ければ広いほど、ピーク値を抑圧できるが、音質が変わってしまうというトレードオフの関係にある。よって、ハウリング防止装置100の設置環境や使用方法等に合わせて、事前に適宜設定すればよい。
所定の時間Δtは必ずしもサンプリング周期でなくともよく、適宜設定すればよい。また、Δf1は1Hzでなくともよく、周波数ディップの深さや幅に応じて適宜設定すればよい。また、Δf1は必ずしも固定でなくともよい。例えば、100Hz〜200Hzを移動するときには、Δf1を1Hzとし、200Hz〜400Hzを移動するときにはΔf1を2Hz等として、周波数帯域に応じてΔf1を変更してもよい。「ディップ位置が均一に出現する」とは、周波数上でリニアスケールにおいて均一に出現してもよいし、ログスケールまたはそれ以外において、均一に出現するものでもよい。
ハウリング防止装置100は、場内拡声システム以外のシステムで用いてもよい。例えば、TV会議システム等においても、スピーカの再生音がマイクロホンに回り込むことによって、閉ループが形成され、ハウリングが発生する。この場合も、閉ループの何れかの段階にハウリング防止装置100を挿入することでハウリングの発生を防止することができる。
ピークの増幅速度が速い場合、実施例1のハウリング防止装置100では、ディップ位置の移動が間に合わず、ピーク位置とディップ位置が一致するまでの間、ハウリングが発生する可能性がある。
そこで、本実施例のハウリング防止装置200は、後述するピッチシフタ220を利用することでハウリングの発生頻度を低減する。ピッチシフタ220は、入力信号の周波数を微小に変調する機能を有し、例えば、1000Hzにピークを有する入力信号をピッチシフタ220に1回通すと、出力信号のピーク位置は1010Hz、2回通すと1020Hzとなる。そのため、1000Hzで発振する閉ループの場合、そのピーク値が増大を続けないようにピッチシフトする(例えは、1010Hzに変調する)ことによって発振を防止する効果がある。しかし、閉ループの利得が1以上(発振する可能性の)ある周波数が数多くある場合(例えば、場内拡声システムのスピーカ30の音量が過大な場合やスピーカ30とマイクロホン20の設置位置が近い場合など)、ピッチシフタ220でシフトした後の周波数でハウリングが発生してしまう。そこで、本実施例のハウリング防止装置200は、時間変動周波数ディップフィルタ110と組合せることで、ピーク自体を低減(抑圧)し、ハウリングの発生を防止する。
<ハウリング防止装置200>
図7を用いて実施例2に係るハウリング防止装置200を説明する。実施例1と異なる部分のみ説明する。ハウリング防止装置200は、時間変動周波数ディップフィルタ110に加え、さらにピッチシフタ220を備える。
図8に示すように、時間変動周波数ディップフィルタ110は、マイクロホン20で収音された収音信号を受け取り、最低周波数と最高周波数との間に、ディップ位置が均一に出現するように、ディップ位置を変化させ、収音信号に適用し、再生信号を生成する(s21)。ピッチシフタ220は、入力信号の所定の値以上の周波数(つまり、ハウリングを生じやすい周波数であり、ピーク位置である)をピッチシフトする(s23)。なお、s21は、図4や図6で説明したs1〜s15を一つにまとめて表現したものである。
<ピッチシフタ220>
ピッチシフタ220は、ピーク位置を高く、または、低く変調する。言い換えると、ピーク位置を高く、または、低くシフトする。なお、ピッチシフタ220は、図7に示すように時間変動周波数ディップフィルタ110の後段に設けてもよいし、時間変動周波数ディップフィルタ110の前段に設けてもよい。入力信号とは、図7に示すように時間変動周波数ディップフィルタ110の出力信号でもよいし、マイクロホン20の出力信号でもよい。時間変動周波数ディップフィルタ110に入力される収音信号はピッチシフタ220を通過前の信号であっても、通過後の信号であってもよい。
図9にピッチシフタ220と時間変動周波数ディップフィルタ110を組合せた場合の動作の模式図を示す。縦軸、横軸は図2と同様である。時刻tでハウリングの原因となるピークが発生したとする。同時刻で時間変動周波数ディップフィルタ110のディップ位置とピーク位置とは合致していない。時刻2tにおいては、ピッチシフタ220によってピーク位置がΔf2分、高く変調され、同時に時間変動周波数ディップフィルタ110のディップ位置がΔf1分、低く移動したことを表している。時刻2tではまだピーク位置とディップ位置が合致しない。時刻3tにおいて、ピッチシフタ220によってピーク位置がさらにΔf2分、高く変調され、同時に時間変動周波数ディップフィルタ110のディップ位置もΔf1分、低く移動した。この時点でちょうどピーク位置とディップ位置とが合致し、ディップによってピークが相殺されハウリングの発生を防止することができる。ここで、例えば、Δtはサンプリング周期(例えば、48kHzサンプリングであれば、約0.0208ms)、Δf1及びΔf2は1Hzとする。
<効果>
実施例1と同様の効果に加え、ピッチシフタ220を組合せることで、ハウリングの原因となるピークが増大することを抑え、ハウリングの発生を防止することができる。入力信号中にピークが多数存在する場合にも、時間変動周波数ディップフィルタ110の働きにより、ハウリングの発生を防止することができる。
<変形例>
なお、ディップ位置の変化量Δf1とピーク位置の変化量Δf2の関係は、Δf1≠Δf2であってもよい。また、Δf1>Δf2とするとハウリング防止装置200の入力信号に対する出力信号の劣化を抑えることができる。これは、ピッチシフタ220の変位幅による音声劣化に比べて、ディップフィルタ113による劣化のほうが、影響が小さいためである。
なお、時間変動周波数ディップフィルタ110のディップ位置の変動方法として、前述の第一変動方法を用いることもできる。但し、ディップ位置とピーク位置を周波数上で連続的に変更するほうがディップ位置とピーク位置するまでの時間が短いため、第二変動方法及び第三変動方法のほうが好ましい。
また、ディップ位置を変更する方向とピーク位置をシフトする方向は、周波数軸上で、同一方向でもよいし、互いに向かい合うような反対方向でもよい。なお、反対方向とすれば、Δf1+Δf2でディップ位置とピーク位置が合致する方向に変位するため、最も早く合致することができ、ハウリングの発生確率を下げることができる。また、同一方向とする場合は、Δf1≠Δf2とすることが望ましい。Δf1=Δf2とすると、ディップ位置とピーク位置が合致しないため、ピークを抑圧することができないからである。
本実施例では、ディップ位置及びピーク位置の変動タイミングはΔtであり、同一であるが、異なるタイミングで変化させてもよい。Δf1、Δf2は1Hzでなくともよく、周波数ディップの深さや幅に応じて適宜設定すればよい。
<プログラム及び記録媒体>
上述したハウリング防止装置は、コンピュータにより機能させることもできる。この場合はコンピュータに、目的とする装置(各種実施例で図に示した機能構成を持つ装置)として機能させるためのプログラム、またはその処理手順(各実施例で示したもの)の各過程をコンピュータに実行させるためのプログラムを、CD−ROM、磁気ディスク、半導体記憶装置などの記録媒体から、あるいは通信回線を介してそのコンピュータ内にダウンロードし、そのプログラムを実行させればよい。
100,200 ハウリング防止装置
100 時間変動周波数ディップフィルタ
110 時間変動周波数ディップフィルタ
111 ディップ位置変更部
113 ディップフィルタ
114 周波数領域変換部
115 時間領域変換部
220 ピッチシフタ

Claims (9)

  1. マイクロホンで収音された収音信号を取得するステップと、
    時間変動周波数ディップフィルタを収音信号に適用するフィルタリングステップと、
    前記時間変動周波数ディップフィルタの周波数ディップの周波数上の位置(以下「ディップ位置」という)をΔt毎に連続的にΔf1ずつ高くし最高周波数になったらディップ位置を最低周波数に戻すか、または、ディップ位置をΔt毎に連続的にΔf1ずつ低くし最低周波数になったらディップ位置を最高周波数に戻すディップ位置変更ステップと、
    を備えるハウリング防止方法。
  2. マイクロホンで収音された収音信号を取得するステップと、
    時間変動周波数ディップフィルタを収音信号に適用するフィルタリングステップと、
    前記時間変動周波数ディップフィルタの周波数ディップの周波数上の位置(以下「ディップ位置」という)をΔt毎に連続的にΔf1ずつ変化させ、最低周波数と最高周波数との間を往復させるディップ位置変更ステップと、
    を備えるハウリング防止方法。
  3. 請求項1または請求項2記載のハウリング防止方法であって、
    入力信号の所定の値以上の周波数(以下「ピーク位置」という)を高く、または、低く変調するピッチシフトステップをさらに備える、
    ハウリング防止方法。
  4. 請求項3記載のハウリング防止方法であって、
    前記ディップ位置変更ステップにおいてディップ位置を変更する方向と、前記ピッチシフトステップにおいてピーク位置をシフトする方向は、周波数軸上で互いに向かい合うような反対方向である、
    ハウリング防止方法。
  5. 周波数ディップの周波数上の位置(以下「ディップ位置」という)をΔt毎に連続的にΔf1ずつ高くし最高周波数になったらディップ位置を最低周波数に戻すか、または、ディップ位置をΔt毎に連続的にΔf1ずつ低くし最低周波数になったらディップ位置を最高周波数に戻し、マイクロホンで収音された収音信号に適用する時間変動周波数ディップフィルタと、を備える、
    ハウリング防止装置。
  6. ディップ位置をΔt毎に連続的にΔf1ずつ変化させ、最低周波数と最高周波数との間を往復させ、マイクロホンで収音された収音信号に適用する時間変動周波数ディップフィルタと、を備える、
    ハウリング防止装置。
  7. 請求項5または請求項6記載のハウリング防止装置であって、
    入力信号の所定の値以上の周波数(以下「ピーク位置」という)を高く、または、低く変調するピッチシフタをさらに備える、
    ハウリング防止装置。
  8. 請求項7記載のハウリング防止装置であって、
    ディップ位置を変更する方向と、ピーク位置をシフトする方向は、周波数軸上で互いに向かい合うような反対方向である、
    ハウリング防止装置。
  9. 請求項1から請求項4の何れかに記載のハウリング防止方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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