JP2012122899A - 粉末試料中の鉛の蛍光x線分析法 - Google Patents

粉末試料中の鉛の蛍光x線分析法 Download PDF

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Abstract

【課題】鉛含有量を簡易かつ正確に測定することのできる蛍光X線分析法および装置を提供する。
【解決手段】鉛含有量が既知の標準試料により得られる鉛含有量と鉛特性X線強度との関係と、鉛特性X線強度とに基づいて鉛含有量を求める蛍光X線分析法において、X線管球電圧を変えながらX線透視像を観察し、X線透視像に投影された鉛含有粒子の影の有無を調べることにより、所定のX線管球電圧でのX線が貫通していない鉛含有粒子を有しているか否かを判定基準として、貫通していない鉛含有粒子を有しないグループ1と、貫通していない鉛含有粒子を有するグループ2とに分類し、グループ1の蛍光X線分析については、所定のX線管球電圧でのX線が貫通していない鉛含有粒子を有しないものを標準試料として選定し、グループ2の蛍光X線分析については、所定のX線管球電圧でのX線が貫通していない鉛含有粒子を有するものを標準試料として選定する。
【選択図】図3

Description

本発明は、粉末状の土壌や鉱石、顔料、産業廃棄物、焼却灰、ガラス、プラスチックに含まれる有害元素である鉛量を簡易、迅速、かつ比較的正確に分析する蛍光X線分析法及び該分析法に使用する蛍光分析装置に関する。
土壌や鉱石、顔料、産業廃棄物、焼却灰、ガラス、プラスチックなどに含まれる鉛の分析法として普及している技術は、(1)試料を粉砕した後に酸などで湿式分解し、鉛を溶液中において原子レベルで均一にし、原子吸光光度計やICP発光分光分析計、ICP質量分析計を用いて検量線法で溶液中の鉛濃度を測定し、試料の鉛含有量を決定する方法と、(2)試料を粉砕した後に四ホウ酸リチウムなどの融剤を用いて溶解し、鉛をガラスビード中において原子レベルで均一にした後、蛍光X線分析装置を用いて、検量線法やファンダメンタルパラメータ法(FP法)によりガラスビード中の鉛含有量を測定する方法がある。しかし、これらの方法は試料の前処理作業に多大な時間と労力を要する。また試料によっては可燃性でガラスビード作成が困難な物性を有する場合がある。
そのため、蛍光X線分析法において、試料を粉砕してルーズパウダーとすることにより試料の前処理作業の簡易化を図り、このルーズパウダーを対象に検量線法で蛍光X線分析することが検討されているが(特許文献1参照)、こうした試料の簡易な前処理に関し、次のような問題点を考慮する必要がある。例えば、鉛を含む試料にX線を照射して蛍光X線分析する場合、X線がこれらの試料内部に侵入する過程で減衰するため、X線が侵入できない試料内部に存在する鉛の特性X線を発生させることはできない。従って、土壌や鉱石、顔料、焼却灰、ガラス、プラスチックなどに鉛が不均一に含まれる場合には、これらの試料を粉砕してX線が貫通できる粒子径にして、鉛含有粒子に含まれる全ての鉛の特性X線を発生させる必要がある。
また、X線が粒子を貫通したときに発生した鉛の特性X線は、粒子の自己吸収により減衰するため、X線が粒子を貫通して通路内の全ての鉛の特性X線が発生したとしても、その一部の特性X線のみが蛍光X線分析装置で検出される。従って、鉛含有量が既知の土壌や鉱石、顔料、焼却灰、ガラス、プラスチックなどの標準試料を作成し、これらの標準試料の鉛の特性X線強度と、分析対象試料の鉛の特性X線強度との比較から分析対象試料の鉛含有量を求める場合、分析対象試料と標準試料の鉛含有粒子の粒子径や平均原子番号が類似しており、鉛の特性X線の減衰率に大きな隔たりがないことが重要である。例えば鉛の塩化物などの試薬を担持材と混合し、担持材に鉛を付着させた土壌標準試料の製造方法が検討されているが(特許文献2参照)、こうした担持材に鉛を付着させて作られた、担持材表面のみに鉛が含有される粒子の粒子径や平均原子番号は、リン酸鉛のように鉛が粒子表面のみならず粒子内部にも存在する鉛含有粒子の粒子径や平均原子番号とは異なる場合が多い。そうした場合、担持材に鉛を付着させて作成した土壌標準試料を用いて、リン酸鉛が含まれる汚染土壌を分析することは困難である。
このような試料の簡易な前処理に関する問題点を解決しようとする蛍光X線分析方法として、JIS規格番号JIS K0470の“土砂類中の全ひ素及び全鉛の定量-エネルギー分散方式蛍光X線分析法”(以下ではJIS K0470と呼ぶ)が考えられた。
JIS K0470による鉛分析の原理は、土砂類試料を粉砕して得られる約2gの粉末試料(ルーズパウダー)をポリプロピレン、ポリエチレン製などの容器(外径約30mm、容量約10mlの円筒形容器で、底部に高分子膜を取り付けたもの)に詰めてX線を照射し、鉛の特性X線(Lα線やLβ線)強度を測定し、鉛含有量が既知の標準試料のルーズパウダーの鉛の特性X線強度と比較することにより土砂類試料の鉛含有量を求めるもので、鉛含有量が既知の標準試料のルーズパウダーを複数用意して検量線を作成して分析精度を担保している。また試料を粉砕してルーズパウダーとしても、粉砕過程では鉛を原子レベルで均一にすることが困難であるため、JIS K0470ではファンダメンタルパラメータ法(FP法)を採用せずに検量線法で分析を行うとしている。
JIS K0470の試料調整方法(ルーズパウダー法)はガラスビードを作成する方法に比べて簡単であり、土砂類中の鉛含有量を迅速に分析することが可能である。ただし、JIS K0470は土砂類試料を粉砕して得られる粉末試料中の鉛含有粒子や標準試料の鉛含有粒子をX線が貫通し、かつ、土砂類試料を粉砕して得られる粉末試料の鉛含有粒子の平均原子番号と標準試料の鉛含有粒子の平均原子番号が類似し、また、土砂類試料と標準試料に含まれる鉛含有粒子以外の粒子の平均原子番号に大きな隔たりがない標準試料を選定し、鉛含有粒子から発生した鉛の特性X線が、X線検出器に到達するためのすべての行程における鉛の特性X線の減衰が分析精度に与える影響を最小限にすることを前提にしている。そのためJIS K0470では土砂類分析に使用可能な標準試料として、土壌(例えば日本分析化学会の土壌認証標準物質のJSAC0403)や堆積物(例えば産業技術総合研究所の地質標準試料JSd1)などが指定され、鉱石(例えば産業技術総合研究所の地質標準試料JZn-1)などが排除されている。
JIS K0470を鉱石、顔料、産業廃棄物、焼却灰、ガラス、プラスチックなどの鉛分析に応用する場合の問題点は標準試料が未整備であることである。例えば、プラスチック分析用の鉛標準ディスク試料は存在するが、プラスチック成型品用のディスクであるため、粉末状プラスチックの分析には向いていない。そのため、このJIS K0470を鉱石、顔料、産業廃棄物、焼却灰、ガラス、プラスチックなどに応用する場合には、これらの分析対象試料に適した標準試料を作成しなくてはならないと考えられる。この場合、分析対象試料を粉砕して得られる鉛含有粒子や、標準試料を粉砕して得られる粉末試料中の鉛含有粒子をX線が貫通できるかを把握する必要があるし、また、分析対象試料や標準試料の鉛含有粒子の平均原子番号が類似していることを確認する必要があると考えられる。
しかしながら、粉末試料中の鉛含有粒子をX線が貫通できるか否かや、分析対象試料と標準試料の鉛含有粒子の平均原子番号が類似しているか否かを簡易に行う手法について、従来十分に検討されていないし、まして、粉末試料中の鉛含有粒子をX線が貫通できない場合においても鉛含有量を分析することは、全く検討されていなかった。したがって、どのような試料であっても鉛含有量を簡易にかつ比較的正確に測定する蛍光X線分析方法は存在しなかった。
特開2006-349514号公報 特開2009-36550号公報
本発明は、以上のような従来技術の問題点を解決し、分析対象試料がどのようなものであっても、その鉛含有量を簡易にかつ比較的正確に測定することのできる蛍光X線分析法及び該分析法に使用する蛍光分析装置を提供することを課題とする。
本発明は、従来の蛍光X線分析法では活用していない透過X線を用いて、X線が分析対象試料と標準試料の鉛含有粒子を貫通しているか把握するとともに、分析対象試料と標準試料の鉛含有粒子の粒子径や平均原子番号の相違を判定し、またX線が分析対象試料と標準試料の鉛含有粒子を貫通しない場合でも分析対象試料と標準試料の鉛含有粒子の平均粒子径などの情報を活用して蛍光X線分析する方法を提案するものである。
前述のように、JIS K0470は粉末試料中の鉛含有粒子や標準試料の鉛含有粒子をX線が貫通することを前提としているように、粉末試料中の全ての鉛含有粒子をX線が貫通しない場合、JIS K0470によっては、鉛含有量の信頼性のある測定は事実上不可能である。
そのため、本発明では、まず、JIS K0470に規定された試料容器に貼られた高分子膜上に分析対象試料の粒子があまり重ならないように留意しながら並べ、X線管球電圧を変えながら、分析対象試料の粒子のX線透視像を観察し、X線透視像に投影された鉛含有粒子の影の有無を調べることにより、所定のX線管球電圧(例えば、使用する蛍光X線分析装置におけるX線管球電圧の最高値又は最高値に近い値)でのX線が分析対象試料の全ての鉛含有粒子を貫通しているか否か(すなわち、X線が貫通していない鉛含有粒子を分析対象試料が有しているか否か)を判定し、貫通していない鉛含有粒子を有しないグループ1の分析対象試料と、貫通していない鉛含有粒子を有するグループ2の分析対象試料とに分類する。
X線が貫通していない鉛含有粒子を有しない(すなわち、所定のX線管球電圧でのX線が分析対象試料の全ての鉛含有粒子を貫通している)と判定されたグループ1の分析対象試料については、JIS K0470の規則に沿うものであり、該分析対象試料と同様に所定のX線管球電圧でのX線が貫通していない鉛含有粒子を有しないものを標準試料として選定することによって鉛含有量のある程度正確な測定が可能であると考えられる。
一方、X線が貫通していない鉛含有粒子を有する(すなわち、所定のX線管球電圧でのX線が分析対象試料の少なくとも一部の鉛含有粒子を貫通していない)と判定されたグループ2の分析対象試料については、該分析対象試料と同様に所定のX線管球電圧でのX線が貫通していない鉛含有粒子を有するものを標準試料として選定することにより、JIS K0470では不可能であった鉛含有量の測定がある程度の精度で可能となった。
グループ1の分析対象試料について、鉛含有量の測定をより正確にするためには、分析対象試料の鉛含有粒子の平均原子番号と標準試料の鉛含有粒子の平均原子番号が類似していることが望ましい。本発明では、そのような適切な標準試料を選択するため、X線管球電圧を変えながら、分析対象試料のX線透視像を観察し、X線透視像に投影された鉛含有粒子の影の粒子径と、該影がX線透視像から消滅するX線管球電圧(X線透視像消滅電圧)とを鉛含有粒子ごとに測定し、X線透視像消滅電圧と粒子径との関係から、粒子径が増加する際のX線透視像消滅電圧の増加量の割合であるX線透視像消滅電圧増加率(単位はkV/mm)を求め、該分析対象試料と同様に所定のX線管球電圧でのX線が試料の全ての鉛含有粒子を貫通しているものであって、かつ、該分析対象試料とX線透視像消滅電圧増加率が類似するものを標準試料として選定する。
なお、粒子径はX線管球電圧によって変化するため、様々な粒子の粒子径を比較する場合には、同じX線管球電圧下で粒子径を測定する必要がある。グループ1の分析対象試料の場合には、小さな鉛含有粒子から大きな鉛粒子までの様々な粒子径を測定したり、鉛含有量が多い粒子から鉛含有量が少ない粒子までの様々な粒子径を測定しなくてはならないため、X線管球電圧を前記所定のX線管球電圧の1/2〜2/3の値(好ましくは、1/2〜3/5の値)、例えば、27.5kV程度に設定しないと小さな鉛含有粒子や鉛含有量が低い粒子を見落とす可能性がある。
一方、グループ2の分析対象試料について鉛含有量の測定をより正確にするため、本発明では、上記所定のX線管球電圧でのX線が貫通していない鉛含有粒子の平均粒子径〔=(ΣDi)/n;ここでDiは各鉛含有粒子の粒子径、nは鉛含有粒子の個数〕を計測し、該分析対象試料と同様に所定のX線管球電圧でのX線が標準試料の全ての鉛含有粒子を貫通しているものであって、かつ、該分析対象試料の鉛含有粒子の平均粒子径と類似する平均粒子径を有する鉛含有粒子の試料を標準試料として選定する。
所定のX線管球電圧でのX線が分析対象試料や標準試料の鉛含有粒子を貫通しているか否かを判定するために、本発明では、X線CCD(Charge Coupled Device)カメラを蛍光X線分析装置に装着して分析対象試料や標準試料のX線透視像を得る。このようなX線CCDカメラを含む蛍光X線分析装置により、X線透視像を撮影するとともに、コリメータなどでX線を絞ってX線透視像で観察される分析対象試料や標準試料中の各粒子にX線を照射して粒子ごとに蛍光X線分析して特性X線を検出し、鉛含有粒子であるか否かを判定し、鉛含有粒子が存在する場合には、所定のX線管球電圧でのX線が分析対象試料や標準試料の全ての鉛含有粒子を貫通しているか否かを判定する(図1参照)。
蛍光X線分析装置のX線管球の焦点サイズが、X線透視装置(レントゲン撮影装置)のX線管球の焦点サイズのように小さければ、X線透視装置と同様の原理によりX線CCDカメラで分析対象試料や標準試料のX線透視像を得ることができる。X線が試料中の鉛含有粒子を貫通すれば鉛含有粒子が透明となり、X線透視像には鉛含有粒子の影が投影されない。一方、X線が鉛含有粒子を貫通できなければ鉛含有粒子の影がX線透視像に投影される。
グループ1、2のいずれの分析対象試料についても、その鉛含有量の測定をより正確にするため、本発明では、分析対象試料や標準試料の鉛含有粒子の粒子径を測定する。本発明では、X線の進行方向に沿った鉛含有粒子の長さを粒子の厚みと定義する。X線透視像に投影された鉛含有粒子の影からは鉛含有粒子の厚さを計測することはできないが、X線の進行方向(Z軸)に直交するX線透視像面(X軸とY軸からなる面)の鉛含有粒子の長さはX線透視像に投影される粒子の影を用いて計測できる(図2参照)。X線透視像に投影される鉛含有粒子の影の重心を通る外周の2点を結んだ線(径)の長さを例えば2〜60度刻みに画像解析ソフトなどで測定することにより、合計90〜3個の線(径)の長さを測定することができるので、これらの線(径)の長さの平均値を“粒子径”とする(図2参照)。鉛含有粒子が平板状の場合には粒子径は厚みより大きく、立方体の場合には粒子径は厚みと等価となる。また柱状の粒子の場合には長軸がZ軸と平行になれば厚みが粒子径を超えるが、柱状の鉛含有粒子はJIS K0470に規定された試料容器に貼られた高分子膜上に分析対象試料の粒子があまり重ならないように留意しながら並べる際に倒れてしまい、長軸が試料台と平行となってしまうため、現実には鉛含有粒子の粒子径は厚みより大きな値となり、柱状の粒子でも粒子径が厚みを超えることはない。
なお、粒子径はX線管球電圧によって変化するため、様々な粒子の粒子径を比較する場合には、同じX線管球電圧下で粒子径を測定する必要がある。グループ1の分析対象試料の場合には、小さな鉛含有粒子から大きな鉛粒子までの様々な粒子径を測定したり、鉛含有量が多い粒子から鉛含有量が少ない粒子までの様々な粒子径を測定しなくてはならないため、X線管球電圧を前記所定のX線管球電圧の1/2〜2/3の値(好ましくは、1/2〜3/5の値)、例えば、27.5kV程度に設定しないと小さな鉛含有粒子や鉛含有量が低い粒子を見落とす可能性がある。ただしこうした比較的低いX線管球電圧で粒子径を測定する場合には、鉛含有粒子を識別するために、コリメータでX線を絞って各粒子に鉛が含有されているか把握する必要がある。一方、X線管球電圧を最大値にしてもX線が貫通できない鉛含有粒子が存在することが判明した場合には、グループ2の分析対象試料となるため、X線管球電圧を最大値にしたときの粒子径を測定することができる。
X線管球の焦点サイズがX線透視装置より大きい場合でも、コリメータやモノキャピラリー、ポリキャピラリーなどのX線集光素子を用いてX線を絞り、シンチレーションカウンターなどのX線検出器を用いてX線が照射された鉛含有粒子部位の透視X線強度を測定できる。さらに、X線の照射部位を移動させながら各部位の透視X線強度を連続的に測定すれば、X線透視像を得ることができる。
蛍光X線分析装置のX線管球電圧を上げるとX線の波長が短くなり、X線が鉛含有粒子を侵入する深さも増加する。従って、鉛含有粒子のX線透視像をX線管球電圧を上げながら観察し、X線透視像から鉛含有粒子の影が消滅することを確認すれば、X線が侵入できる深さが鉛含有粒子の厚さより長くなり、X線が鉛含有粒子を貫通したと判断できる。
平均原子番号が大きい鉛含有粒子ほどX線が侵入できる深さが減少するため、平均原子番号が大きい鉛含有粒子に対するX線の貫通力を増大させるためには、X線管球電圧を上げてX線の波長を短くする必要がある。そのため、X線透視像を用いて鉛含有粒子の粒子径を測定した後に、これらの粒子が透明となるX線管球電圧(X線透視像消滅電圧)を調べると、鉛含有粒子の厚さと粒子径に正の相関がある限り、平均原子番号が大きい鉛含有粒子ほど小さな粒子径でもX線透視像消滅電圧が高くなるはずである。従って、試料中の各鉛含有粒子の粒子径とX線透視像消滅電圧を測定し、粒子径が増加する際のX線透視像消滅電圧の増加量の割合であるX線透視像消滅電圧増加率(単位はkV/mm)を求めることにより、鉛含有粒子の平均原子番号に関する知見が得られる。
本発明は、上記のような特徴を有するものであり、整理すると、次のとおりである。
(1)鉛含有量が既知の標準試料により得られる鉛含有量と鉛特性X線強度との関係と、分析対象試料の鉛特性X線強度とに基づいて分析対象試料の鉛含有量を求める蛍光X線分析法において、X線管球電圧を変えながら、分析対象試料のX線透視像を観察し、X線透視像に投影された鉛含有粒子の影の有無を調べることにより、所定のX線管球電圧でのX線が貫通していない鉛含有粒子を分析対象試料が有しているか否かを判定基準として、貫通していない鉛含有粒子を有しないグループ1の分析対象試料と、貫通していない鉛含有粒子を有するグループ2の分析対象試料とに分類し、グループ1の分析対象試料の鉛含有量の蛍光X線分析については、該分析対象試料と同様に前記所定のX線管球電圧でのX線が貫通していない鉛含有粒子を有しないものを標準試料として選定し、グループ2の分析対象試料の鉛含有量の蛍光X線分析については、該分析対象試料と同様に前記所定のX線管球電圧でのX線が貫通していない鉛含有粒子を有するものを標準試料として選定することを特徴とする蛍光X線分析法。
(2)上記所定のX線管球電圧でのX線が貫通していない鉛含有粒子を有するグループ2の分析対象試料については、該試料を粉砕し、グループ1の鉛含有粒子にしたものを分析対象試料として用いる上記(1)に記載の蛍光X線分析法。
(3)上記グループ1の分析対象試料については、X線管球電圧を前記所定のX線管球電圧の1/2〜2/3の値に設定したときのX線透視像に投影された各鉛含有粒子の影の粒子径と、各鉛含有粒子の影がX線透視像から消滅するX線管球電圧(以下、「X線透視像消滅電圧」という。)とから、粒子径が増加する際のX線透視像消滅電圧の増加量の割合であるX線透視像消滅電圧増加率を求め、該分析対象試料と同様に前記所定のX線管球電圧でのX線が貫通していない鉛含有粒子を有しないものであって、かつ、該分析対象試料の鉛含有粒子とX線透視像消滅電圧増加率が類似する試料を標準試料として選定することを特徴とする上記(1)に記載の蛍光X線分析法。
(4)分析対象試料の鉛含有粒子とのX線透視像消滅電圧増加率の差異が50kV/mm以下である鉛含有粒子の標準試料を用いることを特徴とする上記(3)に記載の蛍光X線分析法。
(5)上記グループ2の分析対象試料については、上記所定のX線管球電圧でのX線が貫通していない鉛含有粒子の平均粒子径を計測し、該分析対象試料と同様に前記所定のX線管球電圧でのX線が貫通していない鉛含有粒子を有するものであって、かつ、該分析対象試料の鉛含有粒子の平均粒子径と類似する平均粒子径を有する鉛含有粒子の試料を標準試料として選定することを特徴とする請求項1に記載の蛍光X線分析法。
(6)分析対象試料との鉛含有粒子の平均粒子径の差異が0.1mm以下である標準試料を用いることを特徴とする上記(5)に記載の蛍光X線分析法。
(7)試料にX線を照射するX線管球と、X線管球と試料との間に装設・脱設自在で、X線管球からのX線を絞ることができるX線絞り手段と、試料からの蛍光X線を検出するX線検出器と、試料を透過したX線透視像であって、X線を透過しない粒子を影として示すX線透過像を得ることのできるX線CCDカメラと、制御・分析装置とを具備し、鉛含有量が既知の標準試料により得られる鉛含有量と鉛特性X線強度との関係と、分析対象試料の鉛特性X線強度とに基づいて分析対象試料の鉛含有量を求める際に使用する蛍光X線分析装置であって、前記制御・分析装置は、X線管球電圧を変化させ、各X線管球電圧のときにX線CCDカメラで得られる透過X線透過像を取り込み、透過X線透過像に影として示された粒子について、絞られたX線を各粒子に照射するようにX線管球やX線絞り手段と試料との相対位置を制御し、各粒子の蛍光X線を検出するX線検出器からのデータに基づき各粒子が鉛含有粒子か否かを判定し、所定のX線管球電圧でのX線が貫通していない鉛含有粒子を分析対象試料が有しているか否かを判定基準として、貫通していない鉛含有粒子を有しないグループ1の分析対象試料と、貫通していない鉛含有粒子を有するグループ2の分析対象試料とに分類するものであることを特徴とする蛍光X線分析装置。
(8)上記制御・分析装置は、さらに、上記グループ1の分析対象試料について、X線管球電圧を前記所定のX線管球電圧の1/2〜2/3の値に設定したときのX線透視像に投影された各鉛含有粒子の影の粒子径と、各鉛含有粒子の影がX線透視像から消滅するX線管球電圧(以下、「X線透視像消滅電圧」という。)とから、粒子径が増加する際のX線透視像消滅電圧の増加量の割合であるX線透視像消滅電圧増加率を求めるものである上記(7)に記載の蛍光X線分析装置。
(9)前記制御・分析装置は、さらに、上記グループ2の分析対象試料について、上記所定のX線管球電圧でのX線が貫通していない鉛含有粒子の平均粒子径を計測するものであることを特徴とする上記(7)に記載の蛍光X線分析装置。
土壌や鉱石、顔料、産業廃棄物、焼却灰、ガラス、プラスチックなどの粉末粒子にX線を照射して蛍光X線法で鉛の分析をする場合、本発明により以下の効果が得られる。
[請求項1]に記載の発明によれば、X線管球電圧を上げながらX線透視像に投影される分析対象試料の鉛含有粒子の影の有無を調べることにより、X線が鉛含有粒子を貫通しているか否かを判定できる。所定のX線管球電圧でのX線が分析対象試料の全ての鉛含有粒子を貫通する場合(すなわち、分析対象試料が貫通していない鉛含有粒子を有しない場合)にはグループ1の試料に分類し、所定のX線管球電圧でのX線が分析対象試料の少なくとも一部の鉛含有粒子を貫通しない場合(分析対象試料が貫通していない鉛含有粒子を有する場合)にはグループ2の試料に分類し、この分類に対応した標準試料をそれぞれ選択することにより、分析対象試料の鉛含有量の概算値を求めることができる。また、この分類に対応した標準試料がない場合でも、X線透視像は分析対象試料の粒子径や平均原子番号が類似しており、鉛の特性X線の減衰率に大きな隔たりがないグループ1やグループ2の標準試料を作成するための情報を得ることができる。特に、JIS K0470が対象としていなかった鉱石、顔料、産業廃棄物、焼却灰、ガラス、プラスチックなどの分析の場合や、粉末試料中の鉛含有粒子をX線が貫通できない土砂試料の場合においても鉛含有量の概算値を測定可能にする点で有意義なものである。
[請求項1]に記載の発明による鉛含有量の測定値は、[請求項3]や [請求項5]に記載の発明による鉛含有量の測定値に較べ正確なものではなく、グループ1用の中での標準試料の選択やグループ2用の中での標準試料の選択によって測定値のばらつきが大きくなる。しかしながら、グループ1とグループ2とに分類せずに標準試料を選択する場合と較べると、測定値のばらつきを大幅に小さくすることができるので、簡単に鉛含有量の概算値を求める場合には非常に有効である。
[請求項3]に記載の発明によれば、グループ1の分析対象試料について、X線管球電圧を前記所定のX線管球電圧の1/2〜2/3の値(好ましくは、1/2〜3/5の値)に設定して分析対象試料のX線透視像を観察し、X線透視像に投影された分析対象試料の鉛含有粒子の影の粒子径を測定し、次にX線管球電圧を変えながら、X線透視像に投影された鉛含有粒子の影がX線透視像から消滅するX線管球電圧(X線透視像消滅電圧)を鉛含有粒子ごとに測定し、鉛含有粒子のX線透視像消滅電圧と粒子径との関係(図4参照)から、粒子径が増加する際のX線透視像消滅電圧の増加量の割合(X線透視像消滅電圧増加率、単位はkV/mm)を求め、このX線透視像消滅電圧増加率を用いることにより、分析対象試料の鉛含有粒子と平均原子番号が類似した試料を標準試料に選定することができる。こうした標準試料を用いることにより、JIS K0470に準じた方法で分析対象試料中の鉛含有量を蛍光X線法で決定できる。この場合に分析精度は分析対象試料と標準試料の鉛含有粒子のX線透視像消滅電圧増加率が類似するほど、すなわち両者の平均原子番号が類似するほど向上する。なお、鉛含有粒子を貫通して粒子外に飛び出した鉛の特性X線の多くはX線検出器で直接検出されるが、一部の鉛の特性X線は鉛を含有しない他の粒子を通過した後に試料を飛び出し、X線検出器で検出されることになるため、こうした鉛を含有しない粒子においても分析対象試料と標準試料とで平均原子番号が類似していると、鉛含有量の正確な測定をする上で好ましい。例えば土壌の分析の場合にはJIS K0470で指定された標準試料を選択することにより、分析対象試料と標準試料がいずれも土壌や堆積物の平均原子番号を有しているようにすることができ、正確な鉛含有量の測定が期待できる。ガラス試料やプラスチック試料の場合には、試料中に鉛が均一に含まれている場合が多いため、試料を粉砕して得られる粒子はいずれも鉛含有粒子となる場合が多いが、汚染土壌などでは鉛含有粒子と、鉛を含んでいない粒子が存在する点にも留意すると鉛含有量の正確な測定をする上で好ましい。
所定のX線管球電圧でのX線が鉛含有粒子を貫通できないグループ2の分析対象試料と標準試料の平均原子番号は一定以上の値にしか設定できないため、グループ1の分析対象試料はグループ2の分析対象試料に比べて高精度な分析が期待できる。そのため、[請求項2] に記載の発明によれば、X線管球電圧を最高値に設定しても鉛含有粒子の影がX線透視像に残存するグループ2の分析対象試料の場合には、鉛含有粒子をさらに粉砕してX線透視像を撮影し、全ての鉛含有粒子の影がX線透視像から消滅した段階で、グループ1の試料に昇格させることが可能である。従って、本発明を利用することにより、分析対象試料を高精度分析するためにどの程度粉砕すべきかを判断できる。
[請求項5]に記載の発明は、[請求項2]に記載の発明を利用して分析対象試料を細かく粉砕しても、X線が分析対象試料を貫通することが困難な場合や、分析対象試料を細かく粉砕することが困難な場合においても鉛含有量をより精度良く測定しようとするときに利用される。[請求項5]に記載の発明によれば、分析対象試料のX線透視像から鉛含有粒子の影が消滅せず、分析対象試料の鉛含有粒子の厚みがX線が侵入できる深さ以上の場合にも、分析対象試料と同様に鉛含有粒子の影が消滅せず、かつ分析対象試料と同様の平均粒子径を有する標準試料を選択することにより、平均粒子径が同様の値であるという条件のもとで分析対象試料と標準試料の平均原子番号が一定の値以上(すなわちX線が透過できない程度に平均原子番号が大きい)であることを担保しているので、試料を厳格に粉砕処理し、微細粒子を作成するための労力を軽減して蛍光X線分析できる。
本発明の蛍光X線分析装置の概要を示す模式図。 X線透視像に投影された鉛含有粒子の影に基づく粒子径の計測法を示す図面。 本発明における分析対象試料毎の分析手順選択図。 方鉛鉱、酸化鉛、JSAC0466、JSC0403、JZn-1の各試料について、粒子径(X線管球電圧を27.5kVに設定して測定)とX線透視像消滅電圧との関係を示す図面。 方鉛鉱(微粉砕+石英)、方鉛鉱(粗粉砕+石英)、JSAC標準試料のPb検量線(X線管球電圧50kV)を示す図面。 方鉛鉱と緑鉛鉱の粗粉砕粉末粒子の粒子径ヒストグラムを示す図面(0.2mm以上の粒子径の粒子の平均粒子径も示す)。 緑鉛鉱の特大粗粉砕粉末粒子の粒子径ヒストグラムを示す図面(0.2mm以上の粒子径の粒子の平均粒子径も示す)。 方鉛鉱(粗粉砕+石英)のPb検量線(X線管球電圧50kV)と分析対象試料(緑鉛鉱の特大粗粉砕粉末粒子+石英)の鉛の特性X線強度を用いて得られた、分析対象試料(緑鉛鉱の特大粗粉砕粉末+石英)の鉛含有量を示す図面。
本発明の蛍光X線分析を行うには、例えば、図1に示されるような蛍光X線分析装置を用いることができる。該蛍光X線分析装置は、試料にX線を照射するX線管球と、X線管球と試料との間に設置可能で、X線管球からのX線を絞ることができるX線絞り手段と、試料からの蛍光X線を検出するSDD等のX線検出器と、試料を透過したX線透視像であって、X線を透過しない粒子を影として示すX線透過像を得ることのできるX線CCDカメラと、それらの機器の制御やそれらの機器からのデータを処理して分析する制御・分析装置(図示せず)とを含むことができる。
X線絞り手段は、コリメータやモノキャピラリー、ポリキャピラリーなどであり、粒子が鉛含有粒子か否かを判定する際に、絞られたX線が該粒子に照射されるようにX線管球と試料との間に設けられ、それ以外のときには他の分析操作を妨げないように取り外し自在や移動自在に構成することができる。制御・分析装置は、各種インターフェースや外部メモリ、ディスプレイ、入出力装置等を具備するパソコン等のコンピュータにより構成することができる。
本発明の蛍光X線分析を行うには、まず、X線管球電圧を変えながら、分析対象試料のX線透視像を観察し、X線透視像に投影された鉛含有粒子の影の有無を調べることにより、所定のX線管球電圧でのX線が貫通していない鉛含有粒子を分析対象試料が有しているか否かを判定基準として、貫通していない鉛含有粒子を有しないグループ1の分析対象試料と、貫通していない鉛含有粒子を有するグループ2の分析対象試料とに分類する。
そのため、具体的には、X線管球電圧が所定のX線管球電圧の1/2〜2/3の値(好ましくは、1/2〜3/5の値)、例えば27.5kV程度のときの分析対象試料や標準試料のX線CCDカメラによるX線透視像を観察してX線が貫通していない粒子を見つけ、これらの粒子を対象にコリメータなどで絞ったX線を照射し粒子の蛍光X線を検出するX線検出器からのデータに基づき粒子が鉛含有粒子であるか判定する[図1参照]。次に、X線透視像に投影された鉛含有粒子の粒子径を測定し[図2参照]、X線管球電圧を27.5kVより例えば0.5〜5kV(好ましくは1〜2.5kV)単位で上昇させながら分析対象試料の鉛含有粒子のX線透視像をX線CCDカメラにより撮影する。X線管球電圧を増加させることによりX線が鉛含有粒子に侵入できる深さが増加するので、この深さが鉛含有粒子の厚さ[図2参照]に達すると鉛含有粒子が透明となって影が消滅し、X線が鉛含有粒子を貫通したと判定できる。
なお、上記の例では、X線管球電圧を小さい値から徐々に大きい値に変化させたが、この方法は食品粉末やプラスチック試料のように平均原子番号が小さく、電圧が低くても異物として含まれる鉛含有粒子を検出する場合に有効である。鉛を含有しないプラスチック粒子は電圧が低くてもX線を透過してしまうため、低電圧では鉛を含有するプラスチックのみを検出できる。一方、土壌のように鉄鉱物などの平均原子番号が比較的大きな粒子が試料に含まれる試料の場合には、所定のX線管球電圧から例えば0.5〜5kV(好ましくは1〜2.5kV)単位で徐々に小さい値に変化させ、あるX線管球電圧で新たな粒子を見つけたとき、その粒子が鉛含有粒子か否かを判定するようにしても良い。土壌試料中に含まれる鉛含有粒子の多くはX線管球電圧が50kVでもX線が貫通しないためX線透視像に影が映るが、鉄鉱物などはX線が貫通するため、鉛含有粒子の識別が容易である。ただしX線管球電圧が50kVでは粒子径の小さな鉛含有粒子を見落としてしまうため、電圧を下げながら新たに見つかる粒子が鉛含有粒子か否かを判定する必要がある。
このように、所定のX線管球電圧でのX線が分析対象試料の全ての鉛含有粒子を貫通しているか否か(すなわち、貫通していない鉛含有粒子を分析対象試料が有しているか否か)を判定基準として、蛍光X線分析の際にこれらの分析対象試料を2つのグループ(X線が貫通していない鉛含有粒子を有しないグループ1の分析対象試料と、X線が貫通していない鉛含有粒子を有するグループ2の分析対象試料)に分類する[図3参照]。上記所定のX線管球電圧としては、用いる蛍光X線分析装置で使用し得るX線管球電圧の最高値又は該最高値に近い値(例えば、最高値の80%以上、より好ましくは90%以上の値)が鉛含有量のより正確な測定を行う上で望ましい。
次に、グループ1の分析対象試料の鉛含有量の蛍光X線分析については、該分析対象試料と同様に前記所定のX線管球電圧でのX線が貫通していない鉛含有粒子を有しないものを標準試料として選定し、グループ2の分析対象試料の鉛含有量の蛍光X線分析については、該分析対象試料と同様に前記所定のX線管球電圧でのX線が貫通していない鉛含有粒子を有するものを標準試料として選定する。
標準試料は、鉛含有量が既知であって、前記所定のX線管球電圧でのX線が貫通していない鉛含有粒子を有しない粉末試料(グループ1の場合)、又は貫通していない鉛含有粒子を有する粉末試料(グループ2の場合)を用意し、これらに希釈用粉末をそれぞれ所定鉛含有量となるように均一混合することによって得ることができる。希釈用粉末は、後述するように、分析対象試料と標準試料の鉛含有粒子以外の粒子の平均原子番号が類似するように選定するのが望ましい。希釈用粉末としては、例えば、土壌試料の場合には石英粉末等が挙げられる。
選定した標準試料について、鉛含有量と鉛特性X線強度との関係が既知の場合は、該関係(鉛検量線)と分析対象試料の鉛特性X線強度とに基づいて鉛含有量を求める。
選定した標準試料について、鉛含有量と鉛特性X線強度との関係が未知の場合は、JIS K0470に規定された方法によりX線分析装置等を用いて該関係を求め、該関係(鉛検量線)と分析対象試料の鉛特性X線強度とに基づいて鉛含有量を求める。
なお、分析対象試料や鉛特性X線強度を測定する際のX線管球電圧は、前記所定のX線管球電圧とすることが望ましいが、前記所定のX線管球電圧の80%以上(好ましくは90%以上)とすることもできる(上限は、装置の最高値)。
グループ1の分析対象試料について、鉛含有量をより正確に測定するには、鉛含有粒子のX線透視像消滅電圧と粒子径との関係から、粒子径が増加する際のX線透視像消滅電圧の増加量の割合であるX線透視像消滅電圧増加率(単位はkV/mm)を求め、該分析対象試料と同様に前記所定のX線管球電圧でのX線が貫通していない鉛含有粒子を有しないものであって、かつ、該分析対象試料の鉛含有粒子とX線透視像消滅電圧増加率が類似する試料を標準試料として選定する。
具体的には、X線管球電圧が所定のX線管球電圧の1/2〜2/3の値(好ましくは、1/2〜3/5の値)、例えば27.5kV程度のときの分析対象試料や標準試料のX線透視像を観察してX線が貫通していない粒子を見つけ、コリメータなどで絞ったX線をこれらの粒子に照射して蛍光X線分析して鉛の特性X線量を計測し、粒子が鉛含有粒子であるか判定する。鉛含有粒子については、前記X線管球電圧でのX線透視像に投影された鉛含有粒子の影の粒子径を測定する。次にX線管球電圧を27.5kVより例えば0.5〜5kV(好ましくは1〜2.5kV)単位で上昇させながら各鉛含有粒子のX線透視像を撮影する。X線が侵入できる深さが粒子の厚みに達すると鉛含有粒子が透明となり、その影がX線透視像から消滅するため、このときのX線管球電圧(X線透視像消滅電圧)を鉛含有粒子ごとに測定する。ただし、X線透視像に投影された鉛含有粒子の影からは鉛含有粒子の厚さを計測することはできないため、鉛含有粒子の粒子径を計測する[図2]。鉛含有粒子の厚さと粒子径に正の相関がある限り、平均原子番号が大きい鉛含有粒子ほど小さな粒子径でもX線透視像消滅電圧が高くなる。また、分析対象試料と標準試料の鉛含有粒子の平均原子番号が類似すれば、分析対象試料の鉛含有粒子のX線透視像消滅電圧と粒子径との関係のグラフは標準試料の鉛含有粒子のグラフに類似するはずである。そのため、X線透視像に投影された分析対象試料の鉛含有粒子の影の粒子径と、該影がX線透視像から消滅するX線管球電圧(X線透視像消滅電圧)とを粒子ごとに測定し、X線透視像消滅電圧と粒子径との関係から、粒子径が増加する際のX線透視像消滅電圧の増加量の割合(X線透視像消滅電圧増加率、単位はkV/mm)を求め、このX線透視像消滅電圧増加率を標準試料選定の指標に用いる。分析対象試料の鉛含有粒子のX線透視像消滅電圧増加率が、標準試料の鉛含有粒子のX線透視像消滅電圧増加率に近いほど、両者の平均原子番号が類似して分析精度が向上する。そのような標準試料としては、分析対象試料とのX線透視像消滅電圧増加率の差異が50kV/mm以下、好ましくは20kV/mm以下、より好ましくは10kV/mm以下、さらに好ましくは5kV/mm以下のものが挙げられる。
なお、グループ1の分析対象試料についての各鉛含有粒子の粒子径やX線透視像消滅電圧の測定は、グループ1に分類された後に、該分類のための工程とは別に行っても良いが、グループ1に分類される前に予め、分類のための工程中において行うと、グループ1に分類されるものについては工程が簡略化されるので望ましい。
グループ2の分析対象試料について、鉛含有量をより正確に測定するには、上記所定のX線管球電圧でのX線が貫通していない鉛含有粒子の平均粒子径を計測し、該分析対象試料と同様に前記所定のX線管球電圧でのX線が貫通していない鉛含有粒子を有するものであって、かつ、該分析対象試料の鉛含有粒子の平均粒子径と類似する平均粒子径を有する試料を標準試料として選定する。
具体的には、X線管球電圧を最高値(大半の蛍光X線分析装置の最高値は50kV)に設定しても分析対象試料の鉛含有物質粒子の影がX線透視像から消滅しない場合、すなわちX線透視像消滅電圧がX線管球電圧の最高値以上の場合には、X線管球電圧が最高値での(すなわち、所定のX線管球電圧での)X線透視像を用いて鉛含有粒子の平均粒子径を測定する。次にX線管球電圧が最高値でもX線透視像が消滅しない鉛含有粒子を有し、かつこの分析対象試料の鉛含有粒子の平均粒子径と同様の平均粒子径をX線管球電圧が最高値(すなわち、所定のX線管球電圧での)で有する鉛含有粒子を有する試料を標準試料に選定することにより、分析対象試料と標準試料の鉛含有粒子の平均原子番号がどちらも一定以上の値であることを担保する。なお、鉛含有粒子の粒子径が大きくなれば平均原子番号が小さくてもX線が貫通しにくくなるため、X線管球電圧が最高値での(すなわち、所定のX線管球電圧での)分析対象試料と標準試料の鉛含有粒子の平均粒子径を制限することにより分析対象試料と標準試料の鉛含有粒子の平均原子番号がどちらも一定以上の値であることを担保する。
そのような標準試料としては、所定のX線管球電圧でのX線が貫通していない鉛含有粒子の平均粒子径についての分析対象試料との差異が0.1mm以下、好ましくは0.05mm以下、より好ましくは0.03mm以下、さらに好ましくは0.01mm以下のものが挙げられる。
グループ2と判定された分析対象試料については、その分析対象試料の鉛含有量を直接に求めることなく、該試料を粉砕したものを分析対象試料として用いることもできる。この粉砕後の分析対象試料は、鉛含有粒子がより微細化していると考えられ、グループ1に分類される可能性がある[図3参照]。グループ1に分類される場合には、前述のような分析対象試料の鉛含有粒子とのX線透視像消滅電圧増加率の差異が小さい標準試料を選定することにより、鉛含有粒子の平均原子番号がより近い標準試料を選定できるので、粉砕せずにグループ2の分析対象試料とした場合よりも測定精度が向上する。粉砕後においてもグループ2と判定された分析対象試料については、その分析対象試料の鉛含有量を直接に求めることなく、再度試料を粉砕して粉砕したものを分析対象試料として用いることもできる。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で各種の変更が可能であることは言うまでもない。
(実験例1)
方鉛鉱(硫化鉛)を粉砕して得た微粉砕粉末試料、市販化学薬品(関東化学特級)である酸化鉛粉末試料の粒子をJIS K0470に規定された試料容器に貼られた高分子膜上に分析対象試料の粒子があまり重ならないように留意しながら並べ、X線管球電圧を27.5kVに設定して分析対象試料のX線透視像を観察し、X線透視像に投影された鉛含有粒子の影の粒子径を測定し、次に[請求項1]の発明に従って、X線管球電圧を変えながらこれらの試料のX線透視像を観察し、これらの試料中に含まれる方鉛鉱粒子や酸化鉛粒子についてX線が貫通するときのX線管球電圧(X線透視像消滅電圧)を粒子ごとに測定した。測定にあたっては、焦点サイズ50μm以下のロジウムターゲットX線管球とX線CCDカメラを用いた。その結果、方鉛鉱(硫化鉛)粒子(粒子径0.04〜0.19mm)のX線透視像消滅電圧は最大50kV、酸化鉛粒子(粒子径0.04〜0.10mm)のX線透視像消滅電圧は最大40kVであることが判明した(表1参照)。
次に、日本分析化学会の汚染土壌認証標準物質であるJSAC0466(鉛含有量が1、214mg/kg)と日本分析化学会の土壌認証標準物質のJSAC0403(鉛含有量が224mg/kg)の鉛含有粒子を特定するため、これらの粒子をJIS K0470に規定された試料容器に貼られた高分子膜上に分析対象試料の粒子があまり重ならないように留意しながら並べ、径1.5mmのコリメータを用いてX線を絞って各粒子に照射し、SDD(Silicon Drift Detector)検出器で鉛の特性X線を検出し、全ての粒子が鉛含有粒子であることを明らかにした。さらにJSAC0466とJSAC0403の粒子をJIS K0470に規定された試料容器に貼られた高分子膜上に分析対象試料の粒子があまり重ならないように留意しながら並べ、X線管球電圧を27.5kVに設定して分析対象試料のX線透視像を観察し、X線透視像に投影された鉛含有粒子の影の粒子径を測定し、次に[請求項1]の発明に従って、X線管球電圧を変えながらこれらの試料のX線透視像を観察し、これらの試料中に含まれる鉛含有粒子をX線が貫通するときのX線管球電圧(X線透視像消滅電圧)を鉛含有粒子ごとに測定した。その結果、JSAC0403鉛含有粒子(粒子径0.26〜0.51mm)とJSAC0466鉛含有粒子(粒子径0.12〜0.52mm)のX線透視像消滅電圧は、どちらも最大32.5kVであることが判明した(表1参照)。
従って、分析対象試料中に方鉛鉱粒子が含まれる場合、X線管球電圧を27.5kV程度に設定したときの鉛含有粒子の粒子径が0.19mm以下ならば、50kVのX線管球電圧にするとX線が全ての方鉛鉱粒子を貫通しているため、[請求項1]の発明に従ってグループ1に分類できる。同様に分析試料中に酸化鉛粒子が含まれる場合、粒子径が0.10mm以下ならば、40kV以上のX線管球電圧にするとX線が全ての方鉛鉱粒子を貫通しているため、[請求項1]の発明に従ってグループ1に分類できる。
また、産業技術総合研究所の地質標準試料JZn-1(鉛含有量1,610mg/kg)の粒子をJIS K0470に規定された試料容器に貼られた高分子膜上に分析対象試料の粒子があまり重ならないように留意しながら並べ、各粒子を径1.5mmのコリメータを用いてX線を絞って粒子に照射し、SDD検出器で鉛の特性X線を検出して鉛含有粒子を決定し、さらに、X線管球電圧を27.5kVに設定して鉛含有粒子の粒子径を測定し、次にX線管球電圧を変えながらこの鉛含有粒子のX線透視像を観察した結果、35kV以上のX線管球電圧にするとX線が全ての鉛含有粒子(粒子径0.12〜0.14mm)を貫通していることが判明したため、JZn-1はグループ1に分類した。
なお、本実施例(実験例1、2及び実施例1〜5)では、グループ1とグループ2とに分類する際の「所定のX線管球電圧」は、使用した装置の最高値である50kVとした。また、JIS K0470における鉛の測定では、ひ素のKα線と鉛のLα線が重なるため、鉄のサムピークと重なってしまう鉛のLβ線強度を測定して鉛量を求めているが、本実施例で用いた装置はJIS K0470制定時には困難であったひ素のKα線と鉛のLα線を分離するプログラムを有するため、鉛のLα線強度を用いて鉛量を測定することが可能である。そのため、鉛量の測定は鉄のサムピークの影響を排除できる鉛のLα線を活用した。
(実験例2)
方鉛鉱(硫化鉛)を粉砕して得た微粉砕粉末試料、市販化学薬品(関東化学特級)である酸化鉛粉末試料、及び日本分析化学会の汚染土壌認証標準物質であるJSAC0466(鉛含有量が1,214mg/kg)と日本分析化学会の土壌認証標準物質のJSAC0403(鉛含有量が224mg/kg)の粒子をJIS K0470に規定された試料容器に貼られた高分子膜上に分析対象試料の粒子があまり重ならないように留意しながら並べ、X線管球電圧を27.5kVに設定して鉛含有粒子の粒子径を測定し、次に[請求項3]の発明に従って、これらの試料のX線透視像消滅電圧と粒子径との関係をグラフ化した(図4参照)。
その結果、方鉛鉱粉末と酸化鉛粉末のX線透視像消滅電圧と粒子径との関係は類似し、粒子径が大きくなるほど消滅電圧も高くなることが判明した。これらの粒子径が増加する際のX線透視像消滅電圧の増加量の割合(X線透視像消滅電圧増加率、単位はkV/mm)は、それぞれ116kV/mmと100kV/mm程度であり、両者の値は類似しており、両者の平均原子量が類似することを裏付けている。産業技術総合研究所の地質標準試料JZn-1(鉛含有量1,610mg/kg)中の鉛含有粒子のデータは少ないものの、こうしたJZn-1中の鉛含有粒子のX線透視像消滅電圧増加率は125kV/mm程度となり、方鉛鉱粉末や酸化鉛粉末と類似した値となった。
一方、汚染土壌認証標準物質のJSAC0466や土壌認証標準物質のJSC0403のX線透視像消滅電圧は粒子径が大きくなってもあまり高くならず、これらの粒子径が増加する際のX線透視像消滅電圧の増加量の割合(X線透視像消滅電圧増加率、単位はkV/mm)は、それぞれ10kV/mmと6kV/mm程度であり、方鉛鉱粉末や酸化鉛粉末のX線透視像消滅電圧増加率に比べて著しく小さな値であることが判明した。
こうしたX線透視像消滅電圧増加率の違いの原因の一つは、鉛を主成分とする方鉛鉱粉末と酸化鉛粉末の平均原子量と、ケイ酸塩鉱物に鉛を含む溶液が添加された汚染土壌認証標準物質のJSAC0466や土壌認証標準物質のJSAC0403の平均原子量が異なることに起因する。方鉛鉱粉末や酸化鉛粉末のように平均原子量が大きい場合には、X線管球電圧を著しく増加させなくてはX線が侵入できる深さが増加しない。そのため、方鉛鉱粉末や酸化鉛粉末では粒子径が増加する際のX線透視像消滅電圧の増加量の割合が大きくなり、X線透視像消滅電圧増加率が100kV/mm程度の値となってしまう。一方、汚染土壌認証標準物質のJSAC0466や土壌認証標準物質のJSC0403では粘土鉱物などのアルミニウムやシリコンを主成分とする鉱物粒子の表面に鉛が付着しているだけなので、JSAC0466やJSC0403の平均原子量は粘土鉱物などのものとほとんど差異がなく、方鉛鉱粉末や酸化鉛粉末より著しく小さい。そのためJSAC0466やJSC0403のX線透視像消滅電圧増加率は方鉛鉱粉末や酸化鉛粉末より著しく小さいはずである。
また、JSAC0466、JSC0403は認証試料のために、極微細に粉砕処理されていることもX線透視像消滅電圧増加率が小さな理由である。こうした認証試料の微粒子は凝集して見かけ上X線透視像では粒子径が大きく見える凝集物(疑似粒子)となる場合がある。X線透視像では凝集物と本来の粒子との識別はできないが、これらの凝集物は粒子径が大きく見えるだけで、見かけ上の粒子径が大きくなっても粒子間に空気が存在するため平均原子量は小さな値となり、X線透視像消滅電圧増加率も小さい。産業技術総合研究所の地質標準試料JZn-1もJSAC0466やJSC0403と同様に極微細に粉砕処理されているため、見かけ上の粒子径が大きくなっても粒子間に空気が存在するため平均原子量は小さな値となり、図4では粒子径が大きいにも関わらず、X線透視像消滅電圧が比較的小さい。ただし、X線透視像消滅電圧増加率は方鉛鉱粉末や酸化鉛粉末とあまり変わらない値となる。
いずれにせよ、[請求項3]の発明に従えば、鉛を主成分とする方鉛鉱粉末や酸化鉛粉末の粒子のX線透視像消滅電圧増加率は100kV/mm程度に達するのに対し、JSAC0466とJSC0403の粉末試料のX線透視像消滅電圧増加率は10kV/mm程度にしかならないことが判明したことになる。また[請求項3]の発明に従えば、方鉛鉱粉末や酸化鉛粉末が混在した汚染土壌をJIS K0470に準じた方法で蛍光X線分析をする場合には、JSAC0466やJSC0403を正確な鉛含有量を得るための標準試料として用いることは困難である。このことは、図5の「方鉛鉱(微粉砕)+石英」と「JSAC標準試料」との鉛検量線の傾きの違いからも明らかである。
(実施例1)
[請求項3]の記載の発明により、日本分析化学会の土壌認証標準物質のJSAC0403(鉛含有量認証値は224mg/kg)のJSAC0403のX線透視像消滅電圧増加率は6kV/mmであり、日本分析化学会の汚染土壌認証標準物質のJSAC0466(鉛濃度が1,214mg/kg)X線透視像消滅電圧増加率(10kV/mm)に極めて類似することが判明した(図4参照)。[請求項3]の記載の発明によると、X線透視像消滅電圧増加率を用いて分析対象試料に最適化した標準試料を選択することができるはずである。そのためJSAC0403の蛍光X線分析用の標準試料として、JSAC0403に類似したX線透視像消滅電圧増加率を有するJSAC0466と、このJSAC0466と同様に褐色森林土に様々な濃度の鉛を添加して作成された日本分析化学会の汚染土壌認証標準物質(JSAC0466と同一系列のJSAC0461〜JSAC0465、鉛濃度が24mg/kg〜612.4mg/kg)を選定した。JIS K0470に従って、それぞれ約2gの標準試料(JSAC0461〜JSAC0466)をポリプロピレン、ポリエチレン製などの容器(外径約30mm、容量約10mlの円筒形容器で、底部に高分子膜を取り付けたもの)に詰め、JIS K0470に従って、X線管球電圧を50kVに設定してLα線強度を測定しで鉛分析用の検量線を作成した(図5参照)。次にJSAC0403を分析対象試料とし、その約2gをポリプロピレン、ポリエチレン製などの容器(外径約30mm、容量約10mlの円筒形容器で、底部に高分子膜を取り付けたもの)に詰め、JSAC0461〜JSAC0466の検量線を用いて、JIS K0470に従って蛍光X線分析した結果、222mg/kgの鉛含有量値を得た。この値はJSAC0403の認証値である224mg/kgに極めて近い。従って、[請求項3]の記載の発明により、分析対象試料と標準試料のX線透視像消滅電圧と粒子径との関係が類似し、両者のX線透視像消滅電圧増加率の相違が4kV/mm程度の場合には、良好な蛍光X線分析結果が得られることが判明した。
(実施例2)
[請求項3]の記載の発明により、方鉛鉱(硫化鉛)を粉砕して得た微粉砕粉末試料のX線透視像消滅電圧増加率は116kV/mmであり、市販化学薬品(関東化学特級)である酸化鉛粉末試料のX線透視像消滅電圧増加率(100kV/mm)に極めて類似することが判明した[図4]。[請求項3]の記載の発明によると、X線透視像消滅電圧増加率を用いて分析対象試料に最適化した標準試料を選択することができるため、酸化鉛粉末の蛍光X線分析のために方鉛鉱粉末を標準試料に選定した。そこでこの方鉛鉱粉末に石英微粒子(希釈用粉末)を添加し、均一に混合させることにより鉛含有量が1,588mg/kg、4,329mg/kg、7,073mg/kg、10,246mg/kg、14,289mg/kgの標準試料を作成し、JIS K0470に従って、それぞれ約2gの標準試料をポリプロピレン、ポリエチレン製などの容器(外径約30mm、容量約10mlの円筒形容器で、底部に高分子膜を取り付けたもの)に詰め、JIS K0470に従ってX線管球電圧を50kVに設定してこれらのLα線強度を測定して鉛検量線(方鉛鉱(微粉砕)+石英)を作成した[図5]。次に酸化鉛粉末に石英微粒子を添加し、均一に混合して鉛含有量を12,378mg/kgと6,189mg/kgに調整して分析対象試料とし、JIS K0470に従って、それぞれ約2gの分析対象試料をポリプロピレン、ポリエチレン製などの容器(外径約30mm、容量約10mlの円筒形容器で、底部に高分子膜を取り付けたもの)に詰め、JIS K0470に従ってX線管球電圧を50kVに設定して分析対象試料のLα線強度を測定し、[図5]の鉛検量線(方鉛鉱(微粉砕)+石英)を用いて鉛含有量を測定した。なお、この実施例は汚染土壌中の鉛の分析を想定したもので、石英を希釈用粉末に用いた理由は土壌の平均原子番号に類似させるためである。
その結果、鉛含有量が12,378mg/kgの分析対象試料(酸化鉛)の蛍光X線分析値は12,477mg/kg、鉛含有量が6,189mg/kgの分析対象試料(酸化鉛)の蛍光X線分析値は6,509mg/kgとなり、いずれも良好な分析結果が得られた。従って、[請求項3]の記載の発明により、分析対象試料と標準試料中の鉛含有粒子のX線透視像消滅電圧と粒子径との関係が類似し、両者のX線透視像消滅電圧増加率の相違が16kV/mm程度の場合には、良好な蛍光X線分析結果が得られることが判明した。
(実施例3)
また、産業技術総合研究所の地質標準試料JZn-1(鉛含有量1、610mg/kg)中の鉛含有粒子のX線透視像消滅電圧増加率は125kV/mm程度となり、方鉛鉱粉末と類似した値であるため、JZn-1を分析対象試料とし、JIS K0470に従って、約2gのJZn-1をポリプロピレン、ポリエチレン製などの容器(外径約30mm、容量約10mlの円筒形容器で、底部に高分子膜を取り付けたもの)に詰め、JIS K0470に従ってX線管球電圧を50kVに設定して分析対象試料のLα線強度を測定し、方鉛鉱粉末を標準試料として選定して[図5]の鉛検量線(方鉛鉱(微粉砕)+石英)を用いてJZn-1の鉛含有量を測定した。その結果、蛍光X線分析ではJZn-1の鉛含有量が1,677mg/kgとなり、認証値である1,610mg/kgに極めて近い良好な分析結果が得られた。従って、[請求項3]の記載の発明により、分析対象試料(JZn-1)と標準試料(方鉛鉱(微粉砕)+石英)中の鉛含有粒子のX線透視像消滅電圧と粒子径との関係が類似し、両者のX線透視像消滅電圧増加率の相違が10kV/mm程度の場合には、良好な蛍光X線分析結果が得られることが判明した。
(実施例4)
方鉛鉱(硫化鉛)を粉砕して得た粗粉砕粉末試料(PbS-R、図6)と緑鉛鉱(リン酸鉛)を粉砕して得た粗粉砕粉末試料(PYRMR-R、図6)を用いて、これらの試料の粒子をJIS K0470に規定された試料容器に貼られた高分子膜上に分析対象試料の粒子があまり重ならないように留意しながら並べ、[請求項1]の発明に従ってX線管球電圧を変えながらX線透視像を観察したが、粒子径が0.2mm以上の方鉛鉱試料粒子と緑鉛鉱粒子の影はX線管球電圧が最高電圧(50kV)でも消滅しなかった。従って、これらの粗粉砕鉛含有粒子はグループ2に分類できる。また、X線管球電圧が27.5kVのときの方鉛鉱粒子と緑鉛鉱粒子の影から、これらの粒子径の多くはどちらも0.1mm〜0.4mmであり、かつX線管球電圧が最高電圧(50kV)でも粒子の影がX線透視像から消滅しない、粒子径が0.2mm以上の方鉛鉱粒子と緑鉛鉱粒子の平均粒子径はそれぞれ0.27mmと0.35mmであり、その差は0.08mmであることが判明した(図6参照)。
[請求項5]に記載の発明に従えば、グループ2に分類できる緑鉛鉱の粗粉砕粉末試料の粒子径を測定すれば、この緑鉛鉱(リン酸鉛)の粗粉砕粉末試料の標準試料を選定できるはずである。そのため、グループ2に分類できて、かつ平均粒子径が緑鉛鉱の粗粉砕粉末試料(PYRMR-R、図6)に類似する方鉛鉱の粗粉砕粉末試料(PbS-R、図6)を、緑鉛鉱の粗粉砕粉末試料の標準試料に選定し、緑鉛鉱の粗粉砕粉末試料の蛍光X線分析を行った。具体的には、方鉛鉱の粗粉砕粉末試料粉末に石英微粒子を添加し、均一に混合させることにより鉛含有量を1,517mg/kg、4,330mg/kg、7,072mg/kg、10,105mg/kg、14,433mg/kgの標準試料を作成し、JIS K0470に従って、それぞれ約2gの標準試料をポリプロピレン、ポリエチレン製などの容器(外径約30mm、容量約10mlの円筒形容器で、底部に高分子膜を取り付けたもの)に詰め、X線管球電圧を50kVに設定してLα線強度を測定しで鉛検量線(方鉛鉱(粗粉砕)+石英)を作成した[図5]。次に緑鉛鉱の粗粉砕粉末試料粉末に石英微粒子(希釈用粉末)を添加し、均一に混合させることにより鉛含有量を1,273mg/kgと12,603mg/kgに調整して分析対象試料とし、JIS K0470に従って、それぞれ約2gの分析対象試料をポリプロピレン、ポリエチレン製などの容器(外径約30mm、容量約10mlの円筒形容器で、底部に高分子膜を取り付けたもの)に詰め、X線管球電圧を50kVに設定して分析対象試料のLα線強度を測定し、[図5]の鉛検量線(方鉛鉱(粗粉砕)+石英)を用いて鉛含有量を測定した。この分析方法はJIS K0470に定められたような試料の粒度調整が行われていないが、それ以外はJIS K0470に準じている。なお、この実施例は汚染土壌中の鉛の分析を想定したもので、石英を希釈用粉末に用いた理由は土壌の平均原子番号に類似させるためである。
その結果、鉛含有量が1,273mg/kgの分析対象試料(緑鉛鉱の粗粉砕粉末試料、PYRMR-R、図6)の蛍光X線分析値は1,019mg/kg、鉛含有量が12,603mg/kgの分析対象試料(緑鉛鉱の粗粉砕粉末試料、PYRMR-R、図6)の蛍光X線分析値は14,328mg/kgとなり、いずれも[請求項3]の発明に従ってJIS K0470に沿った条件で分析する場合ほど精度の高い分析値は得られないものの、[請求項5]に記載の発明に従えば比較的良い分析値が得られた。
(実施例5)
緑鉛鉱(リン酸鉛)を簡単に粉砕して得た(実験例4)とは別の粗粉砕粉末試料(粒子径が実施例4より大きいもの、PYRMR-特大、図7)を用いて、この試料の粒子をJIS K0470に規定された試料容器に貼られた高分子膜上に分析対象試料の粒子があまり重ならないように留意しながら並べ、[請求項1]の発明に従ってX線管球電圧を変えながらX線透視像を観察した結果、この緑鉛鉱粒子(PYRMR-特大、図7)の影は最高電圧(50kV)でも消滅しなかった。従って、これらの粗粉砕鉛含有粒子はグループ2に分類できる。また、X線管球電圧が27.5kVのときの緑鉛鉱粒子の影から、これらの粒子径の多くは0.2mm〜1.2mmであり、X線管球電圧が最高電圧(50kV)でも粒子の影がX線透視像から消滅しない、粒子径が0.2mm以上の平均粒子径は0.555mmであることが判明した(図7参照)。
[請求項5]に記載の発明に従えば、グループ2に分類できる図7の緑鉛鉱(PYRMR-特大)の粗粉砕粉末試料の平均粒子径を測定し、この平均粒子径と類似する平均粒子径を有するものを標準試料として選定できるはずである。このことを検証するため、敢えて図7の緑鉛鉱(PYRMR-特大)の粗粉砕粉末試料の平均粒子径(0.555mm)と類似しない平均粒子径を有するものを標準試料として選定してみる。具体的には、グループ2に分類できて、かつ平均粒子径が図7の緑鉛鉱の粗粉砕粉末試料(PYRMR-特大)より小さな図6の方鉛鉱の粗粉砕粉末試料(平均粒子径は0.27mm、PbS-R、図6)を、図7の緑鉛鉱の粗粉砕粉末試料(PYRMR-特大、図7)の標準試料に選定し、この緑鉛鉱の粗粉砕粉末試料(PYRMR-特大、図7)の蛍光X線分析を行った。実験例4と同様に、方鉛鉱の粗粉砕粉末試料粉末(PbS-R、図6)に石英微粒子を添加し、均一に混合させることにより鉛含有量が1,517mg/kg、4,330mg/kg、7,072mg/kg、10,105mg/kg、14,433mg/kgの標準試料を作成し、JIS K0470に従って、それぞれ約2gの標準試料をポリプロピレン、ポリエチレン製などの容器(外径約30mm、容量約10mlの円筒形容器で、底部に高分子膜を取り付けたもの)に詰め、X線管球電圧を50kVに設定してLα線強度を測定しで鉛検量線(方鉛鉱(粗粉砕)+石英)を作成した[図5]。次に図7の緑鉛鉱の粗粉砕粉末試料粉末(PYRMR-特大)に石英微粒子に添加し、均一に混合させることにより鉛含有量を5,092mg/kgに調整して分析対象試料(図8の緑鉛鉱の粗粉砕粉末試料粉末+石英)とし、JIS K0470に従って、それぞれ約2gの分析対象試料をポリプロピレン、ポリエチレン製などの容器(外径約30mm、容量約10mlの円筒形容器で、底部に高分子膜を取り付けたもの)に詰め、X線管球電圧を50kVに設定して分析対象試料のLα線強度を測定し、[図5]の鉛検量線(方鉛鉱(粗粉砕)+石英)を用いて鉛含有量を測定した。この分析方法はJIS K0470に定められたような試料の粒度調整が行われていないが、それ以外はJIS K0470に準じている。
その結果、鉛含有量が5,092mg/kgの分析対象試料(図8の緑鉛鉱の粗粉砕粉末試料+石英)の蛍光X線分析値は2,034mg/kgとなり、[請求項5]に記載の発明に従わない場合には良い分析値が得られないことが明らかとなった。
本発明の蛍光X線分析法は、どのような試料であっても、それに含まれる有害元素である鉛量を簡易にかつ迅速に求めることができる。そのため、本発明の蛍光X線分析方法は、土壌汚染調査、鉱石や顔料、ガラス、プラスチック製品の品質管理、ブラウン管などの廃棄鉛ガラス、焼却灰、シュレッターダスト、廃プラスチックなどのリサイクルや廃棄処分等、鉛含有量の分析が必要な様々な分野で効果的に使用することができる。

Claims (9)

  1. 鉛含有量が既知の標準試料により得られる鉛含有量と鉛特性X線強度との関係と、分析対象試料の鉛特性X線強度とに基づいて分析対象試料の鉛含有量を求める蛍光X線分析法において、X線管球電圧を変えながら、分析対象試料のX線透視像を観察し、X線透視像に投影された鉛含有粒子の影の有無を調べることにより、所定のX線管球電圧でのX線が貫通していない鉛含有粒子を分析対象試料が有しているか否かを判定基準として、貫通していない鉛含有粒子を有しないグループ1の分析対象試料と、貫通していない鉛含有粒子を有するグループ2の分析対象試料とに分類し、グループ1の分析対象試料の鉛含有量の蛍光X線分析については、該分析対象試料と同様に前記所定のX線管球電圧でのX線が貫通していない鉛含有粒子を有しないものを標準試料として選定し、グループ2の分析対象試料の鉛含有量の蛍光X線分析については、該分析対象試料と同様に前記所定のX線管球電圧でのX線が貫通していない鉛含有粒子を有するものを標準試料として選定することを特徴とする蛍光X線分析法。
  2. 上記所定のX線管球電圧でのX線が貫通していない鉛含有粒子を有するグループ2の分析対象試料については、該試料を粉砕しグループ1の鉛含有粒子にしたものを分析対象試料として用いる請求項1に記載の蛍光X線分析法。
  3. 上記グループ1の分析対象試料については、X線管球電圧を前記所定のX線管球電圧の1/2〜2/3の値に設定したときのX線透視像に投影された各鉛含有粒子の影の粒子径と、各鉛含有粒子の影がX線透視像から消滅するX線管球電圧(以下、「X線透視像消滅電圧」という。)とから、粒子径が増加する際のX線透視像消滅電圧の増加量の割合であるX線透視像消滅電圧増加率を求め、該分析対象試料と同様に前記所定のX線管球電圧でのX線が貫通していない鉛含有粒子を有しないものであって、かつ、該分析対象試料の鉛含有粒子とX線透視像消滅電圧増加率が類似する試料を標準試料として選定することを特徴とする請求項1に記載の蛍光X線分析法。
  4. 分析対象試料中の鉛含有粒子とのX線透視像消滅電圧増加率の差異が50kV/mm以下である鉛含有粒子の標準試料を用いることを特徴とする請求項3に記載の蛍光X線分析法。
  5. 上記グループ2の分析対象試料については、上記所定のX線管球電圧でのX線が貫通していない鉛含有粒子の平均粒子径を計測し、該分析対象試料と同様に前記所定のX線管球電圧でのX線が貫通していない鉛含有粒子を有するものであって、かつ、該分析対象試料の鉛含有粒子の平均粒子径と類似する平均粒子径を有する鉛含有粒子の試料を標準試料として選定することを特徴とする請求項1に記載の蛍光X線分析法。
  6. 分析対象試料との鉛含有粒子の平均粒子径の差異が0.1mm以下である標準試料を用いることを特徴とする請求項5に記載の蛍光X線分析法。
  7. 試料にX線を照射するX線管球と、X線管球と試料との間に装設・脱設自在で、X線管球からのX線を絞ることができるX線絞り手段と、試料からの蛍光X線を検出するX線検出器と、試料を透過したX線透視像であって、X線を透過しない粒子を影として示すX線透過像を得ることのできるX線CCDカメラと、制御・分析装置とを具備し、鉛含有量が既知の標準試料により得られる鉛含有量と鉛特性X線強度との関係と、分析対象試料の鉛特性X線強度とに基づいて分析対象試料の鉛含有量を求める際に使用する蛍光X線分析装置であって、前記制御・分析装置は、X線管球電圧を変化させ、各X線管球電圧のときにX線CCDカメラで得られる透過X線透過像を取り込み、透過X線透過像に影として示された粒子について、絞られたX線を各粒子に照射するようにX線管球やX線絞り手段と試料との相対位置を制御し、各粒子の蛍光X線を検出するX線検出器からのデータに基づき各粒子が鉛含有粒子か否かを判定し、所定のX線管球電圧でのX線が貫通していない鉛含有粒子を分析対象試料が有しているか否かを判定基準として、貫通していない鉛含有粒子を有しないグループ1の分析対象試料と、貫通していない鉛含有粒子を有するグループ2の分析対象試料とに分類するものであることを特徴とする蛍光X線分析装置。
  8. 上記制御・分析装置は、さらに、上記グループ1の分析対象試料について、X線管球電圧を前記所定のX線管球電圧の1/2〜2/3の値に設定したときのX線透視像に投影された鉛含有粒子の影の粒子径と、各鉛含有粒子の影がX線透視像から消滅するX線管球電圧(以下、「X線透視像消滅電圧」という。)とから、粒子径が増加する際のX線透視像消滅電圧の増加量の割合であるX線透視像消滅電圧増加率を求めるものである請求項7に記載の蛍光X線分析装置。
  9. 前記制御・分析装置は、さらに、上記グループ2の分析対象試料について、上記所定のX線管球電圧でのX線が貫通していない鉛含有粒子の平均粒子径を計測するものであることを特徴とする請求項7に記載の蛍光X線分析装置。
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