JP2012112802A - 炊飯米飯の外観評価装置、および、炊飯米飯の外観評価方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】異なった炊飯条件での炊飯米飯に関して外観を客観的に評価する。
【解決手段】LED白色光源8で拡散板9を介して上から炊飯米飯3を照射し、輝度カメラ1で斜め下略45度で炊飯米飯3を撮影し、得られた画像データをPC2で加工して、御飯粒の1/5から1/10のサイズのセグメント毎の輝度値を用いて解析画像全体の平均輝度値を算出し、この平均輝度値の|±10%|以上の輝度値のセグメント数の全セグメント数に対する割合を得、この割合を炊飯米飯3の艶度として外観を評価する。このように、御飯粒の輪郭部に対応する上記−10%以下の輝度値のセグメント数と、上記輪郭に対して相対的に光る部分に対応する上記+10%以上の輝度値のセグメント数とを併用することにより、御飯粒の輪郭を認識でき、且つその輪郭の中に周囲よりも光る部分が存在して、艶がある御飯を客観的に評価でき、異なった炊飯条件での外観も評価できる。
【選択図】図1
【解決手段】LED白色光源8で拡散板9を介して上から炊飯米飯3を照射し、輝度カメラ1で斜め下略45度で炊飯米飯3を撮影し、得られた画像データをPC2で加工して、御飯粒の1/5から1/10のサイズのセグメント毎の輝度値を用いて解析画像全体の平均輝度値を算出し、この平均輝度値の|±10%|以上の輝度値のセグメント数の全セグメント数に対する割合を得、この割合を炊飯米飯3の艶度として外観を評価する。このように、御飯粒の輪郭部に対応する上記−10%以下の輝度値のセグメント数と、上記輪郭に対して相対的に光る部分に対応する上記+10%以上の輝度値のセグメント数とを併用することにより、御飯粒の輪郭を認識でき、且つその輪郭の中に周囲よりも光る部分が存在して、艶がある御飯を客観的に評価でき、異なった炊飯条件での外観も評価できる。
【選択図】図1
Description
この発明は、炊飯米飯の外観を客観的に評価できる炊飯米飯の外観評価装置、および、炊飯米飯の外観評価方法に関する。
従来より、御飯(炊飯米飯)の美味しさは物理的な状態の影響が大きいと言われている。特に外観(艶があるか否か、御飯粒がふっくらしているか否か等)が、美味しい御飯の重要なファクターとしてあげられる。
横江らの文献「理化学測定法による市販精米の食味の推定」(日本食品科学工学会誌、Vol.56,No.5,291−298(2009))には、官能評価における評価項目間の相関について、炊飯米外観と総合評価との相関係数rはr=0.70(危険率0.1%)であり、評価項目の中で炊飯米外観が総合評価に対して最も大きな影響を与えることが記載されている。
昔から、米飯に関して、化学的な味よりも物理的な味の方が美味しさに寄与しているといわれている。この場合の「物理的な味」とは外観や食感を指している。近年、市販流通している精米は、品種改良や栽培技術の向上によって食感の変動幅が小さくなってきており、最初に印象として受ける外観の善し悪しが炊飯米飯の美味しさに一番影響すると考えられる。そして、御飯の外観評価は、色よりも光沢に重きが置かれることが多い。炊きたての御飯の外観を良とする人は多く、冷めると不良となる。冷めてくると、先ずその光沢の変化が大きく、色の変化は小さいため、光沢に相当する「艶」の評価を行うことで、精度よく御飯の外観評価を行うことが可能になると考えられる。また、全体の光沢の程度が良いだけでなく、一粒一粒がしっかりふっくらと炊き上がっている状態こそが、美味しい御飯であると認識される。
従来より、御飯の外観評価は、炊飯後の御飯をお皿に盛り付け、人間が基準試料との対比によって「外観」の相対評価を行う官能評価による方法が主流であるが、評価者が保有する評価基準に基づいて評価する絶対評価の方法もある。何れにしても、精度のよい官能評価を行うためには評価者の訓練が必須であり、その評価者のレベルを維持することも必要である。そのため、御飯の外観評価を簡易に行うことが難しいと言われている。
この御飯の外観評価を簡易に行えないという課題に対して、御飯の外観の客観的な評価方法が種々提案されている。
このような御飯の外観の客観的な評価方法として、特開平7‐140066号公報(特許文献1)に開示された米の食味評価方法がある。上記特許文献1に開示された「米の食味評価方法」においては、米のアミロース含量・タンパク質含量を測定すると共に、炊飯米を画像化し、その画像を画素に分割し、各画素の輝度をR色光,G色光,B色光の3原色色光別に分けて測定表示し、B色光に基づく各画素の輝度値を上位20位まで合計してB色光累積輝度値を求め、このB色光累積輝度値と上記アミロース含量値および上記タンパク質含量値とによって食味を評価するようにしている。このように、B色光累積輝度値を用いることによって、御飯の艶の評価を行っている。
さらに、他の御飯の外観の客観的な評価方法として、特開2001‐174412号公報(特許文献2)に開示されたご飯外観の数値評価方法がある。上記特許文献2に開示された「ご飯外観の数値評価方法」においては、少量炊飯されたご飯をデジタル画像化し、その輝度分布を解析することにより、ご飯の外観を、画像を構成する全画素の重み付き平均輝度値で表される「白さ」と、閾値以上の輝度の画素数で表される「つや面積」と、上記閾値以上の輝度の画素の重み付き平均輝度値で表される「つや強度」との、3つの要素に分けて測定し、各測定値をレーダーチャートに配置し、その3角形の大きさと形とから、ご飯外観の特徴を視覚的に数値化して評価するようにしている。このように、上記閾値以上の輝度の値を用いることによって、御飯の艶の評価を行っている。
しかしながら、上記従来の御飯の外観評価方法には、以下のような問題がある。
すなわち、従来より行われている官能評価による外観評価においては、短時間に多数の試料を評価することが難しいという問題がある。また、簡易に官能評価を行うにしても個人差が生じてしまい、客観性に乏しい結果となってしまう。したがって、人の目に頼らずに、高い精度で御飯の外観を客観的に評価できることは、美味しい米の品種改良あるいは美味しく炊ける炊飯器の開発において望まれる。
また、上記特許文献1に開示された「米の食味評価方法」においては、炊飯は同一炊飯条件下で行い、「米の食味評価方法」を米の品種間差で評価している。そして、画像データから得られるB色光に基づく輝度値がより高いものを艶が大きいとしている。品種が異なれば艶量に影響すると言われているアミロース含量等が異なり、B色光累積輝度値の高さによる評価で米の食味を評価できる可能性はある。ところが、B色光累積輝度値が高ければ米の食味の評価値が高いとする方法では、水を多めにして炊飯した場合、御飯粒の表面の水膜が多くなるため光の反射量が多くなり、結果として高いB色光累積輝度値が得られるため、表面がベチャついて美味しくなさそうだけど艶がよいという矛盾した評価結果が得られることになると言う問題がある。
また、上記特許文献2に開示された「ご飯外観の数値評価方法」においては、上記特許文献1の場合と同様に、「ご飯外観の数値評価方法」を同一炊飯条件下で炊き上がり状態を同じくした場合の米の品種間差で評価している。そして、上記数値評価方法も上記閾値以上の輝度値で御飯の艶を評価しており、上記特許文献1の場合と同様に、水を多くして炊飯した場合の評価結果が高くなってしまう。
したがって、上記特許文献1に開示された「米の食味評価方法」および上記特許文献2に開示された「ご飯外観の数値評価方法」においては、種々の異なった炊飯条件で炊いた御飯に関しては、官能評価とはかけ離れた評価結果が得られる可能性があるという問題がある。
そこで、この発明の課題は、異なった炊飯条件での炊飯米飯に関して外観を客観的に評価できる炊飯米飯の外観評価装置、および、炊飯米飯の外観評価方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、この発明の炊飯米飯の外観評価装置は、
炊飯米飯の表面を拡散光で照射するための光源と、
上記光源によって照射されている上記炊飯米飯の表面を撮像して、輝度情報を含む画像データを出力する撮像部と、
上記撮像部からの画像データに基づいて、上記炊飯米飯の外観を評価する外観評価部と
を備え、
上記外観評価部は、
上記撮像部からの画像データに基づいて、解析の対象となる全画像の一部を構成すると共に、予め設定された大きさを有する部分領域毎に輝度値を取得する輝度取得部と、
上記輝度取得部によって取得された上記部分領域毎の輝度値を用いて、上記全画像の平均輝度値を算出する平均輝度算出部と、
上記平均輝度算出部によって算出された上記平均輝度値に対して予め設定された割合である第1設定割合以下の輝度値を呈する上記部分領域である第1部分領域の面積を算出する部分領域面積算出部と、
上記部分領域面積算出部によって算出された上記第1部分領域の面積の全部分領域の面積に対する割合を、上記炊飯米飯の外観評価値として算出する外観評価値算出部と
を含んでいる
ことを特徴としている。
炊飯米飯の表面を拡散光で照射するための光源と、
上記光源によって照射されている上記炊飯米飯の表面を撮像して、輝度情報を含む画像データを出力する撮像部と、
上記撮像部からの画像データに基づいて、上記炊飯米飯の外観を評価する外観評価部と
を備え、
上記外観評価部は、
上記撮像部からの画像データに基づいて、解析の対象となる全画像の一部を構成すると共に、予め設定された大きさを有する部分領域毎に輝度値を取得する輝度取得部と、
上記輝度取得部によって取得された上記部分領域毎の輝度値を用いて、上記全画像の平均輝度値を算出する平均輝度算出部と、
上記平均輝度算出部によって算出された上記平均輝度値に対して予め設定された割合である第1設定割合以下の輝度値を呈する上記部分領域である第1部分領域の面積を算出する部分領域面積算出部と、
上記部分領域面積算出部によって算出された上記第1部分領域の面積の全部分領域の面積に対する割合を、上記炊飯米飯の外観評価値として算出する外観評価値算出部と
を含んでいる
ことを特徴としている。
人は、御飯粒の輪郭が分かって一粒一粒が互いに独立して認識できる状態、つまり輝度値が低い部分(暗い部分)が存在する状態を、艶がある御飯と認識するための一つの条件としている。
上記構成によれば、部分領域面積算出部によって、解析の対象となる全画像の平均輝度値に対して第1設定割合以下の輝度値を呈する第1部分領域を、御飯粒の輪郭部に相当する領域として検出し、その第1部分領域の面積を算出する。そして、外観評価値算出部によって、上記第1部分領域の面積の全部分領域(つまり、上記全画像)の面積に対する割合を、炊飯米飯の外観評価値として算出するようにしている。したがって、御飯粒の輪郭が分かって一粒一粒が互いに独立して認識できる状態を、画像データに基づいて客観的に評価することができ、官能評価との相関性がよい炊飯米飯の外観評価を行うことができる。
すなわち、この発明によれば、異なった炊飯条件での炊飯米飯に関して、外観を客観的に正しく評価することができるのである。
また、1実施の形態の炊飯米飯の外観評価装置では、
上記部分領域面積算出部は、上記平均輝度値に対して上記第1設定割合以下の輝度値を呈する上記第1部分領域の面積に加えて、上記平均輝度値に対して予め設定された割合である第2設定割合以上の輝度値を呈する上記部分領域である第2部分領域の面積を算出するようになっており、
上記外観評価値算出部は、上記部分領域面積算出部によって算出された上記第1部分領域の面積と上記第2部分領域の面積との合計値の上記全部分領域の面積に対する割合を、上記炊飯米飯の外観評価値として算出するようになっている。
上記部分領域面積算出部は、上記平均輝度値に対して上記第1設定割合以下の輝度値を呈する上記第1部分領域の面積に加えて、上記平均輝度値に対して予め設定された割合である第2設定割合以上の輝度値を呈する上記部分領域である第2部分領域の面積を算出するようになっており、
上記外観評価値算出部は、上記部分領域面積算出部によって算出された上記第1部分領域の面積と上記第2部分領域の面積との合計値の上記全部分領域の面積に対する割合を、上記炊飯米飯の外観評価値として算出するようになっている。
人が、艶がある御飯と認識するための条件として、上述の御飯粒の輪郭が分かって一粒一粒が互いに独立して認識できる状態の他に、御飯粒の輪郭の中に周囲よりも相対的に光っている部分が存在している状態がある。
この実施の形態によれば、上記部分領域面積算出部によって、上記第1部分領域の面積に加えて、上記平均輝度値に対して第2設定割合(>上記第1設定割合)以上の輝度値を呈する第2部分領域を、御飯粒の輪郭部よりも相対的に光っている部分に相当する領域として検出し、その第2部分領域の面積を算出する。そして、上記外観評価値算出部は、上記第1部分領域の面積と上記第2部分領域の面積との合計値の上記全部分領域の面積に対する割合を、上記炊飯米飯の外観評価値として算出するようにしている。
したがって、御飯粒の輪郭が分かって一粒一粒が互いに独立して認識でき、且つ上記輪郭の中に周囲よりも相対的に光っている部分が存在する状態を、画像データに基づいて客観的に評価することができ、さらに官能評価との相関性がよい炊飯米飯の外観評価を行うことができる。
すなわち、この発明によれば、異なった炊飯条件での炊飯米飯に関して、外観を客観的により正しく評価することができるのである。
また、この発明の炊飯米飯の外観評価方法は、
拡散光によって照射されている炊飯米飯の表面を撮像部によって撮像して、輝度情報を含む画像データを得るステップと、
輝度取得部によって、上記画像データに基づいて、解析の対象となる全画像の一部を構成すると共に、予め設定された大きさを有する部分領域毎に輝度値を求めるステップと、
平均輝度算出部によって、上記部分領域毎の輝度値を用いて上記全画像の平均輝度値を算出するステップと、
部分領域面積算出部によって、上記平均輝度値に対して予め設定された割合である第1設定割合以下の輝度値を呈する上記部分領域である第1部分領域の面積を算出するステップと、
外観評価値算出部によって、上記第1部分領域の面積の全部分領域の面積に対する割合を、上記炊飯米飯の外観評価値として算出するステップと
を備えたことを特徴としている。
拡散光によって照射されている炊飯米飯の表面を撮像部によって撮像して、輝度情報を含む画像データを得るステップと、
輝度取得部によって、上記画像データに基づいて、解析の対象となる全画像の一部を構成すると共に、予め設定された大きさを有する部分領域毎に輝度値を求めるステップと、
平均輝度算出部によって、上記部分領域毎の輝度値を用いて上記全画像の平均輝度値を算出するステップと、
部分領域面積算出部によって、上記平均輝度値に対して予め設定された割合である第1設定割合以下の輝度値を呈する上記部分領域である第1部分領域の面積を算出するステップと、
外観評価値算出部によって、上記第1部分領域の面積の全部分領域の面積に対する割合を、上記炊飯米飯の外観評価値として算出するステップと
を備えたことを特徴としている。
上記構成によれば、部分領域面積算出部によって、解析の対象となる全画像の平均輝度値に対して第1設定割合以下の輝度値を呈する第1部分領域を、御飯粒の輪郭部に相当する領域として検出し、その第1部分領域の面積を算出する。そして、外観評価値算出部によって、上記第1部分領域の面積の全部分領域(つまり、上記全画像)の面積に対する割合を、炊飯米飯の外観評価値として算出するようにしている。したがって、御飯粒の輪郭が分かって一粒一粒が互いに独立して認識できる状態を、画像データに基づいて客観的に評価することができ、官能評価との相関性がよい炊飯米飯の外観評価を得ることができる。
すなわち、この発明によれば、異なった炊飯条件での炊飯米飯に関して、外観を客観的に正しく評価することができるのである。
また、1実施の形態の炊飯米飯の外観評価方法では、
上記第1部分領域の面積を算出するステップに引き続いて、
上記部分領域面積算出部によって、上記平均輝度値に対して予め設定された割合である第2設定割合以上の輝度値を呈する上記部分領域である第2部分領域の面積を算出するステップ
を備え、
上記炊飯米飯の外観評価値を算出するステップでは、上記第1部分領域の面積と上記第2部分領域の面積との合計値の上記全部分領域の面積に対する割合を、上記炊飯米飯の外観評価値として算出するようになっている。
上記第1部分領域の面積を算出するステップに引き続いて、
上記部分領域面積算出部によって、上記平均輝度値に対して予め設定された割合である第2設定割合以上の輝度値を呈する上記部分領域である第2部分領域の面積を算出するステップ
を備え、
上記炊飯米飯の外観評価値を算出するステップでは、上記第1部分領域の面積と上記第2部分領域の面積との合計値の上記全部分領域の面積に対する割合を、上記炊飯米飯の外観評価値として算出するようになっている。
この実施の形態によれば、上記部分領域面積算出部によって、上記第1部分領域の面積に加えて、上記平均輝度値に対して第2設定割合(>上記第1設定割合)以上の輝度値を呈する第2部分領域を、御飯粒の輪郭部よりも相対的に光っている部分に相当する領域として検出し、その第2部分領域の面積を算出する。そして、上記外観評価値算出部によって炊飯米飯の外観評価値を算出する際には、上記第1部分領域の面積と上記第2部分領域の面積との合計値の上記全部分領域の面積に対する割合を、上記炊飯米飯の外観評価値として算出するようにしている。
したがって、御飯粒の輪郭が分かって一粒一粒が互いに独立して認識でき、且つ上記輪郭の中に周囲よりも相対的に光っている部分が存在する状態を、画像データに基づいて客観的に評価することができ、さらに官能評価との相関性がよい炊飯米飯の外観評価を得ることができる。
すなわち、この発明によれば、異なった炊飯条件での炊飯米飯に関して、外観を客観的により正しく評価することができるのである。
また、1実施の形態の炊飯米飯の外観評価方法では、
上記部分領域は、上記炊飯米飯における一粒の米飯の1/10以上且つ1/5以下の大きさを有する領域である。
上記部分領域は、上記炊飯米飯における一粒の米飯の1/10以上且つ1/5以下の大きさを有する領域である。
人間は、炊飯米飯の外観を評価する場合、撮像画像のピクセル単位で輝度の差を認識している分けではなく、御飯一粒およびその集合体を全体的に眺めて艶の有無を評価している。
この実施の形態によれば、解析の対象となる上記全画像の平均輝度値を算出する際に用いる輝度値の単位となる領域や、御飯粒の輪郭部に相当する領域として検出する領域となる上記部分領域を、人間の感覚に合うように、一粒の米飯の1/10以上且つ1/5以下の大きさを有する領域としている。したがって、官能評価との相関性がより良い炊飯米飯の外観評価を得ることができる。
また、1実施の形態の炊飯米飯の外観評価方法では、
上記第1設定割合は、90%である。
上記第1設定割合は、90%である。
この実施の形態によれば、御飯粒の輪郭部に相当する領域としての上記第1部分領域を検出する際の上記第1設定割合を、90%としている。したがって、上記全画像の平均輝度値の90%以下の輝度値を呈する上記第1部分領域を検出することによって、御飯粒の輪郭部に相当する領域を的確に検出することができる。
また、1実施の形態の炊飯米飯の外観評価方法では、
上記第2設定割合は、110%である。
上記第2設定割合は、110%である。
この実施の形態によれば、御飯粒の輪郭部よりも相対的に光っている部分に相当する領域としての上記第2部分領域を検出する際の上記第2設定割合を、110%としている。したがって、上記全画像の平均輝度値の110%以上の輝度値を呈する上記第2部分領域を検出することによって、上記輪郭部の中にあって輪郭部よりも相対的に光っている部分に相当する領域を的確に検出することができる。
以上より明らかなように、この発明によれば、部分領域面積算出部によって、全画像の平均輝度値に対して第1設定割合以下の輝度値を呈する第1部分領域を、御飯粒の輪郭部に相当する領域として検出し、その第1部分領域の面積を算出する。そして、外観評価値算出部によって、上記第1部分領域の面積の全部分領域(つまり、上記全画像)の面積に対する割合を、炊飯米飯の外観評価値として算出する。したがって、御飯粒の輪郭が分かって一粒一粒が互いに独立して認識できる状態を、画像データに基づいて客観的に評価することができ、官能評価との相関性がよい炊飯米飯の外観評価を得ることができる。
すなわち、この発明によれば、異なった炊飯条件での炊飯米飯に関して、外観を客観的に正しく評価することができるのである。
また、1実施の形態によれば、上記部分領域面積算出部によって、上記第1部分領域の面積に加えて、上記平均輝度値に対して第2設定割合(>上記第1設定割合)以上の輝度値を呈する第2部分領域を、御飯粒の輪郭部よりも相対的に光っている部分に相当する領域として検出し、その第2部分領域の面積を算出する。そして、上記外観評価値算出部によって、上記第1部分領域の面積と上記第2部分領域の面積との合計値の上記全部分領域の面積に対する割合を、上記炊飯米飯の外観評価値として算出する。
したがって、御飯粒の輪郭が分かって一粒一粒が互いに独立して認識でき、且つ上記輪郭の中に周囲よりも相対的に光っている部分が存在する状態を、画像データに基づいて客観的に評価することができ、さらに官能評価との相関性がよい炊飯米飯の外観評価を得ることができる。
すなわち、この発明によれば、異なった炊飯条件での炊飯米飯に関して、外観を客観的により正しく評価することができるのである。
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。図1は、本実施の形態の炊飯米飯の外観評価装置における概略構成を示す図である。
図1において、1は輝度カメラであり、2はパーソナルコンピュータ(以下、PCと略称する)である。輝度カメラ1で撮像された炊飯米飯のデジタル画像データに対して、PC2で処理を行って炊飯米飯の外観の良否を判定する。被写体としての炊飯米飯3は容器4に詰められて、測定台5の回転台6上に載置される。回転台6上には立方体の照明装置7が設置されており、炊飯米飯3が詰められた容器4は照明装置7内に配置される。
上記照明装置7の天面にはLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)白色光源8が設置され、LED白色光源8の下側には拡散板9が積層されている。また、照明装置7における3つの側面は、反射シートが添付された反射シート添付板10で構成され、1側面は開放されている。この開放部を通して、輝度カメラ1によって容器4内の炊飯米飯3が撮像されるのである。
すなわち、本実施の形態においては、上記特許請求の範囲における上記光源をLED白色光源8および拡散板9で構成し、上記撮像部を輝度カメラ1で構成し、上記外観評価部をPC2で構成するのである。
人が判断する御飯の外観の善し悪しは、単純に輝度値が高いか否かによって判断しているのではなく、御飯からの反射光の強弱の程度によって艶の有無とふっくら感とを判定することによって判断している。御飯は、御飯粒が互いにくっつき合って盛り付けられている。その場合、人は御飯全体が平面的に均一に光っている状態を好むわけではなく、御飯粒の一粒一粒が互いに独立して認識でき(つまり、御飯粒の輪郭が分かり)、平面として認識できる部分が周囲に対して相対的に光っている状態を、艶があって美味しそうな御飯であると認識している。
ここで、御飯粒の一粒一粒が互いに独立して認識できるためには、御飯粒の輪郭が明確に分かる必要があり、その輪郭部分は中央部に対して陰部となる。そこで、御飯粒を認識するためには、輝度分布において輝度値が低い部分(暗い部分)が存在する必要があり、この輝度値の低い部分が存在することが外観の評価を上げることにつながるのである。さらに、一盛りの御飯の中に輝きのある部分がある程度存在していることも外観の評価を上げるためには必要である。この場合、外観評価を行っている一盛りの御飯自体に部分的に他よりも相対的に輝いている箇所がたくさん存在してればよく、ある絶対的な輝度値が必要なわけではない。御飯の場合は略単一色であるので、絶対的な輝度値というよりはコントラストの強度で御飯の外観の善し悪しが判定されているのである。
そこで、本実施の形態においては、輝度カメラ1で撮像された炊飯米飯の輝度値のデジタル画像データをPC2で加工することによって、輝度値が低い部分と他よりも輝いている部分とに基づいて艶で代表される外観の良さを求めるのである。
以下、上記炊飯米飯の外観評価装置の詳細について説明する。
上記輝度カメラ1はCCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)を内蔵しており、撮像された炊飯米飯の画像を御飯粒の大きさに合わせて分割でき、分割領域毎の平均輝度値を出力できるものが望ましい。本実施の形態においては、輝度カメラ1としてサイバネット社製の「プロメトリック」を使用した。
上記炊飯米飯3は、輝度カメラ1のピント合わせが行い易いようにできるだけ平面に盛り付けるのが望ましい。例えば、ほぐした御飯を四角い容器に軽く詰めたものを裏返して御飯を容器4に取り出せばよい。炊飯後のお釜を、そのまま照明装置7内に配置してもよい。尚、御飯から湯気が立っていると撮影に悪影響を与えるため、湯気が立たなくなるまで濡れ布巾を掛けておく必要がある。比較したい炊飯米飯3が複数ある場合には、同じ手順で略同量ずつ盛り付けたものを撮影する。
元来、上記輝度カメラ1は、自己発光する対象物を撮像する際に用いられる。炊飯米飯3の場合には、御飯自体が発光するわけではないので、照明としてLED白色光源8を使用し、炊飯米飯3の表面を斑なく照射するために下側に拡散板9を積層している。実際に使用したLED白色光源8は、15cm角に縦横8個ずつ64個の白色LEDを配置したものである。その下に、15cm角に切り出した拡散板9(帝人化成製:厚さ1.5mmのポリカーボネート)を配置している。
また、上記LED白色光源8と拡散板9との積層体は、三方を高さ25cmの反射シート添付板10で支持されて、自立可能な照明装置7を構成している。尚、三方を反射シート添付板10で支持するのは、外光の影響を受けないようにするためである。
上記LED白色光源8は、安定化電源を用いて23Vで発光させる。その場合、LED点灯下の光度は1100ルックス前後である。御飯の評価は、日常室内の蛍光灯下で行われることが多い。その場合の光度は220ルックス程度であるので、LED白色光源8を用いた撮影はかなり明るい照明下での撮影となる。これは、撮影環境の光度を蛍光下での光度に合わせると、上述の輝度カメラ1では輝度をうまく取得できないので、明るい環境下での撮影を行うためである。複数の炊飯米飯3を比較する場合、比較したい炊飯米飯3同士を同じ光度の環境下で撮像すれば全く支障なく比較することができるので、問題はない。尚、LED白色光源8の光度は、撮影の対象となる炊飯米飯3の艶が撮像され易い光度にすればよく、1100ルックス前後に限定されるものではない。
次に、外観評価の対象物である炊飯米飯3について説明する。炊き上がった御飯は、ほぐした後に四角容器に軽く詰める。その後、上記四角容器を容器4上で裏返して、容器4に平面がでるように盛り付ける。従来の官能評価においても、プリンカップに御飯をよそい、上記プリンカップを裏返して皿に盛り付けるという手順を経ることから、実際の官能評価に近い状態での評価を行うことができるようにしている。ここで、同時に比較する試料(炊飯米飯3)は、盛り付け時の重量を合わせるようにする。
こうして上記炊飯米飯3が盛り付けられた容器4は、測定台5の回転台6上における照明装置7内に設置される。その際に、炊飯米飯3の直上でLED白色光源8の白色LEDが発光するように配置する。
そうした後、上記照明装置7における上記開放部から30cm程度離して輝度カメラ1を構え、炊飯米飯3の表面にピントを合わせて撮像する。輝度カメラ1は炊飯米飯3の表面に対して斜め上略45度から撮像する。尚、実際の官能評価においても、皿に盛り付けられた御飯を斜め上方向から観察することが多く、本実施の形態においては、官能評価の配置に近い配置を模擬して撮影を行っている。しかしながら、炊飯米飯3の表面が上手く撮影できれば傾きは斜め上略45度に限定されるものではない。
図1に示すような条件下で輝度カメラ1によって撮影した場合、画像は1500×1000ピクセルで構成され、ピクセル単位で見ると米粒を1/300に分割可能な程度の細かい領域で輝度を取り出すことになる。人間は、そこまで細かい単位で輝度の差を認識している分けではなく、御飯一粒およびその集合体を全体的に眺めて艶の有無を評価している。そこで、官能評価に近づけるため、本実施の形態においては、御飯粒を1/5から1/10の大きさに分割した部分領域に画像を分割している。その場合、上記1500×1000ピクセルで構成される画像は、50×34ピクセルのセグメント(部分領域)に分割される。
但し、上記輝度カメラ1の出力を、御飯粒の1/5から1/10の程度の上記部分領域毎に加算して出力するように構成している場合には、上記セグメント化は必要ない。
以下、上記PC2によって行われる輝度カメラ1からの炊飯米飯3のデジタル画像データに基づく炊飯米飯の外観評価について、詳細に説明する。図2は、輝度カメラ1およびPC2を用いて行われる炊飯米飯の外観評価手順を示すフローチャートである。また、図3は、PC2における表示画面に表示された炊飯米飯3の画像である。
ステップS1で、上記PC2に対して、評価対象物(炊飯米飯3)の名称及び測定条件(照度)を含む試料名が入力される。ステップS2で、輝度カメラ1によって、炊飯米飯3の表面にピントを合わせて撮影が行われ、得られたデジタル画像データが内蔵する画像メモリ(図示せず)に格納される。ステップS3で、撮影の仕方によっては周囲の皿等も画像に含まれるために、上記画像データに基づいて、炊飯米飯3の表面画像から解析部分(解析画像)が切り出される。このステップS3が実行された後における表示画面の画像(解析画像)を、図3(a)に示す。
本実施の形態における炊飯米飯の外観評価では、100粒程度の御飯粒が見える範囲の画像を、上記解析画像として切り出している。1粒の御飯粒が見える範囲の画像では、御飯粒が少な過ぎて炊飯米飯3全体の善し悪しの判断ができない。また、炊飯後のお釜をそのまま撮影した場合に釜の表面全体が見える範囲(御飯粒が1000粒以上)の画像では、視野から外れてしまう部分があるため善し悪しが判断できない。したがって、通常の官能評価で眺める範囲である100粒程度の御飯粒が見える範囲の画像を、解析画像として切り出すことが好ましい。
ステップS4で、上記ステップS3において切り出された解析画像が、得られた画像データに基づいて御飯粒の1/5から1/10のサイズのセグメント(部分領域)に分割される。このステップS4が実行された後における表示画面の解析画像を、図3(b)に示す。尚、図3(b)において、各セグメントへの分割線を破線で示している。ステップS5で、上記ステップS4において分割された各セグメントの輝度値が数値データとして取得される。ステップS6で、上記ステップS5において取得された数値データに基づいて、解析画像全体の平均輝度値が算出される。ステップS7で、上記ステップS6において算出された上記平均輝度値に基づいて、上記平均輝度値のプラス10%(つまり110%)の輝度値とマイナス10%(つまり90%)の輝度値とが算出される。
図4に、上記ステップS5において取得された各セグメントの輝度値のヒストグラムを示す。尚、図4中には、上記ステップS6において算出された上記平均輝度値(=270cd/cm2)と、上記ステップS7において算出されたプラス10%の輝度値(=270×1.1=297cd/cm2)およびマイナス10%の輝度値(=270×0.9=243cd/cm2)とが、表示されている。
ステップS8で、上記解析画像を構成する全セグメントの中から、上記平均輝度値のプラス10%以上の輝度値を有するセグメント数と、上記平均輝度値のマイナス10%以下の輝度値を有するセグメント数とが、カウントされる。ステップS9で、上記ステップS8においてカウントされた上記プラス10%以上の輝度値のセグメント数と上記マイナス10%以下の輝度値のセグメント数とが合計される。ステップS10で、上記ステップS9において算出された合計のセグメント数が、艶度として設定される。ステップS11で、上記ステップS10において得られた艶度が、その試料名(名称および測定条件(照度))と切り出しサイズと共に、内部メモリに保存される。
ステップS12で、同時に比較される評価対象物(炊飯米飯3)である比較対象物が他にあるか否かが判別される。その結果、あれば上記ステップS1にリターンして、次の比較対象物(炊飯米飯3)に対する艶度の算出保存が行われる。一方、なければステップS13に進む。
ステップS13で、同時に比較される比較対象物の艶度が、上記内部メモリから読み出される。ステップS14で、上記ステップS13において読み出された各比較対象物の艶度が比較される。ステップS15で、上記艶度の大小で炊飯米飯3の外観の善し悪しが評価され、各炊飯米飯の外観評価結果が出力される。尚、上記比較対象物が全くない場合には、上記ステップS11において上記内部メモリに保存された唯一つの艶度が、炊飯米飯の外観評価結果として出力される。そうした後、炊飯米飯の外観評価を終了する。
ここで、上記ステップS3〜上記ステップS15が、PC2によって実行される処理である。但し、PC2によって輝度カメラ1の動作も制御して、上記ステップS2における炊飯米飯3の撮影も自動的に行っても差し支えない。
すなわち、本実施の形態においては、上記特許請求の範囲における上記輝度取得部を図2に示す炊飯米飯の外観評価手順のステップS5で構成し、上記平均輝度算出部を上記ステップS6で構成し、上記部分領域面積算出部を上記ステップS7,S8で構成し、上記外観評価値算出部を上記ステップS9,S10で構成するのである。
尚、上記炊飯米飯の外観評価手順においては、上記ステップS9において算出された上記プラス10%以上の輝度値のセグメント数と上記マイナス10%以下の輝度値のセグメント数との合計値そのものを、艶度として設定している。しかしながら、上記合計値の全セグメント数に対する割合を艶度として設定しても構わない。
また、上述したように、人は御飯全体が平面的に均一に光っている状態を好むわけではなく、御飯粒の輪郭が分かって一粒一粒が互いに独立して認識できる状態、つまり輝度値が低い部分(暗い部分)が存在する状態が、艶がある御飯と認識するための一つの条件となっている。そこで、上記マイナス10%以下の輝度値のセグメント数、または、そのセグメント数の全セグメント数に対する割合を艶度として設定しても、ある程度炊飯米飯3の艶を評価することは可能である。
しかしながら、艶がある御飯と認識するためのもう一つの条件として、御飯粒の輪郭に対して相対的に光っている部分がある状態がある。そこで、上記ステップS9のごとく、上記プラス10%以上の輝度値のセグメント数と上記マイナス10%以下の輝度値のセグメント数との合計値、または、その合計値の全セグメント数に対する割合を艶度として設定することによって、御飯粒の輪郭が分かって一粒一粒が互いに独立して認識でき、尚且つ御飯粒の輪郭に対して相対的に光っている部分がある状態を、的確に評価することができるのである。
以下、具体例を上げて炊飯米飯3の外観評価方法を、官能評価と合わせて説明する。
上記炊飯米飯3は、常温で一カ月保存した米(新潟産コシヒカリ)を、炊飯条件の異なる4つの炊飯器で炊き上げたものを使用した。炊飯量は3合である。
図5に、4つの炊飯器A〜Dの炊飯条件を示す。以下、図5における炊飯条件について説明する。
洗米は、釜に米と水とを入れ、軽くかき回す動作を繰り返して行う。洗米時間は、1分,2分および5分の3種の時間である。加水量とは、炊飯時に米に加えた水の重量の米の重量に対する比の値である。例えば、3合炊飯の場合、米450gに対して加える水の重量は、加水量が1.5倍の場合は675gであり、加水量が1.4倍の場合は630gであり、加水量が1.45倍の場合は652.5gである。初期の加水量が異なれば、米450gに対する炊き上がり時の御飯の重量の倍率も異なってくる。炊飯器B,Dは炊飯中に加圧を行う機構を有しており、特定の時間帯に加圧して炊飯を行っている。その他の炊飯器A,Cでは大気圧下で炊飯を行っている。また、炊飯中研磨とは、炊飯中の吸水工程中に米同士を摺り合わせることである。尚、炊飯中研磨動作は、水と米とを流動させることで行う。
炊飯後の御飯は、冷めてから四角いプラスチック容器に200gずつ盛り付け、白色磁性の皿(容器4)に型抜きする。この状態で、図2に示す手順に従って撮像および撮像後の艶度の算出を行う。
一方において、上記炊飯後の御飯を軽くほぐしたものを、専門のパネルによる官能試験に供した。上記官能試験は、絶対評価で行い、外観の評点を±3点の6段階で評価した。
図5には、上記炊飯条件に加えて、図2に示す炊飯米飯の外観評価手順によって得られた艶度と上記官能評価の評点とを合わせて記載している。また、図6には、図5における上記艶度と上記官能評価の評点との関係を示す。
図5および図6によれば、同じ米(新潟産コシヒカリ)を用いて炊飯を行っても、炊飯条件の違いによって官能評価の評点および上記艶度に差が生じており、本実施の形態による炊飯米飯の外観評価方法で炊飯条件の違いによる外観の違いを評価できることが立証された。さらに、上記官能評価の評点と上記艶度とには相関が見られ、官能評価の評点が高いもの程上記艶度の値が高くなっている。
したがって、本実施の形態によれば、特許文献1や特許文献2に開示された御飯の外観の客観的な評価方法のように、水を多めにして炊飯した結果、御飯の表面全体からの光の反射量が多くなり、表面がベチャついて官能評価の評点は低いのに高い評価結果が得られるという矛盾を解消することができるのである。すなわち、本実施の形態における炊飯米飯の外観評価によれば、水を多めにして炊飯した炊飯米飯3の場合には、水分により全体的に輝度が高くなって、御飯粒の輪郭に対応する上記平均輝度値のマイナス10%以下の輝度値を呈する領域が少なくなるため、得られる艶度は低い値となるのである。
従来から、米の品種改良のための外観評価はよく行われている。しかしながら、同品種であっても炊飯時の様々な条件によって品種の良さを引き出せる場合とそうでない場合とがあり、その炊飯条件も含めた外観評価を行うことが必要になってきている。
本実施の形態によれば、実際の官能評価に近い状態で輝度カメラ1によって炊飯米飯3の表面を撮影し、得られたデジタル画像データを加工することによって、御飯粒の1/5から1/10のサイズのセグメント毎の輝度値を求め、得られた各セグメントの輝度値を用いて上記解析画像の平均輝度値を算出し、この平均輝度値のプラス10%以上の輝度値を呈するセグメント数と上記平均輝度値のマイナス10%以下の輝度値を呈するセグメント数との合計値、あるいは、この合計値の全セグメント数に対する割合を得、上記合計値あるいは上記割合で炊飯米飯3の艶度を評価するようにしている。このように、御飯粒の輪郭部の画像に対応している上記平均輝度値のマイナス10%以下の輝度値を呈するセグメント数を用いることによって、御飯粒の輪郭を客観的に評価できる。さらに、御飯粒の輪郭に対して相対的に光っている部分の画像に対応している上記平均輝度値のプラス10%以上の輝度値を呈するセグメント数とを併用することによって、御飯粒の輪郭を認識でき、且つその輪郭の中に周囲よりも光っている部分が存在しており、艶があって美味しそうな御飯であることを客観的に評価できるのである。
したがって、上記特許文献1に開示された「米の食味評価方法」のごとく米のアミロース含量およびタンパク質含量を測定する必要がなく、炊飯米飯の艶度で代表される外観を簡単に客観的に評価することができる。また、上記特許文献2に開示された「ご飯外観の数値評価方法」のごとく絶対的な輝度値を用いる場合に比して、より官能評価に近い炊飯米飯の外観評価を行うことができるのである。
尚、本実施の形態においては、上記解析画像の平均輝度値のマイナス10%以下の輝度値を呈するセグメント数と、上記平均輝度値のプラス10%以上の輝度値を呈するセグメント数とによって、炊飯米飯の外観を客観的に評価している。しかしながら、この発明は上記|±10%|以上の輝度値に限定されるものではなく、|±20%|以上の輝度値を呈するセグメント数を用いても、炊飯米飯の外観を評価することは可能である。
また、本実施の形態においては、上記「セグメント数」によって、炊飯米飯の外観を客観的に評価している。しかしながら、この発明は上記セグメント数に限定されるものではなく、|±10%|以上あるいは|±20%|以上の輝度値を呈するセグメントの面積、あるいは、その面積の上記解析画像の面積に対する割合によって、炊飯米飯の外観を客観的に評価できることは言うまでもない。
1…輝度カメラ、
2…PC、
3…炊飯米飯、
4…容器、
5…測定台、
6…回転台、
7…照明装置、
8…LED白色光源、
9…拡散板、
10…反射シート添付板。
2…PC、
3…炊飯米飯、
4…容器、
5…測定台、
6…回転台、
7…照明装置、
8…LED白色光源、
9…拡散板、
10…反射シート添付板。
Claims (7)
- 炊飯米飯の表面を拡散光で照射するための光源と、
上記光源によって照射されている上記炊飯米飯の表面を撮像して、輝度情報を含む画像データを出力する撮像部と、
上記撮像部からの画像データに基づいて、上記炊飯米飯の外観を評価する外観評価部と
を備え、
上記外観評価部は、
上記撮像部からの画像データに基づいて、解析の対象となる全画像の一部を構成すると共に、予め設定された大きさを有する部分領域毎に輝度値を取得する輝度取得部と、
上記輝度取得部によって取得された上記部分領域毎の輝度値を用いて、上記全画像の平均輝度値を算出する平均輝度算出部と、
上記平均輝度算出部によって算出された上記平均輝度値に対して予め設定された割合である第1設定割合以下の輝度値を呈する上記部分領域である第1部分領域の面積を算出する部分領域面積算出部と、
上記部分領域面積算出部によって算出された上記第1部分領域の面積の全部分領域の面積に対する割合を、上記炊飯米飯の外観評価値として算出する外観評価値算出部と
を含んでいる
ことを特徴とする炊飯米飯の外観評価装置。 - 請求項1に記載の炊飯米飯の外観評価装置において、
上記部分領域面積算出部は、上記平均輝度値に対して上記第1設定割合以下の輝度値を呈する上記第1部分領域の面積に加えて、上記平均輝度値に対して予め設定された割合である第2設定割合以上の輝度値を呈する上記部分領域である第2部分領域の面積を算出するようになっており、
上記外観評価値算出部は、上記部分領域面積算出部によって算出された上記第1部分領域の面積と上記第2部分領域の面積との合計値の上記全部分領域の面積に対する割合を、上記炊飯米飯の外観評価値として算出するようになっている
ことを特徴とする炊飯米飯の外観評価装置。 - 拡散光によって照射されている炊飯米飯の表面を撮像部によって撮像して、輝度情報を含む画像データを得るステップと、
輝度取得部によって、上記画像データに基づいて、解析の対象となる全画像の一部を構成すると共に、予め設定された大きさを有する部分領域毎に輝度値を求めるステップと、
平均輝度算出部によって、上記部分領域毎の輝度値を用いて上記全画像の平均輝度値を算出するステップと、
部分領域面積算出部によって、上記平均輝度値に対して予め設定された割合である第1設定割合以下の輝度値を呈する上記部分領域である第1部分領域の面積を算出するステップと、
外観評価値算出部によって、上記第1部分領域の面積の全部分領域の面積に対する割合を、上記炊飯米飯の外観評価値として算出するステップと
を備えたことを特徴とする炊飯米飯の外観評価方法。 - 請求項3に記載の炊飯米飯の外観評価方法において、
上記第1部分領域の面積を算出するステップに引き続いて、
上記部分領域面積算出部によって、上記平均輝度値に対して予め設定された割合である第2設定割合以上の輝度値を呈する上記部分領域である第2部分領域の面積を算出するステップ
を備え、
上記炊飯米飯の外観評価値を算出するステップでは、上記第1部分領域の面積と上記第2部分領域の面積との合計値の上記全部分領域の面積に対する割合を、上記炊飯米飯の外観評価値として算出するようになっている
ことを特徴とする炊飯米飯の外観評価方法。 - 請求項3あるいは請求項4に記載の炊飯米飯の外観評価方法において、
上記部分領域は、上記炊飯米飯における一粒の米飯の1/10以上且つ1/5以下の大きさを有する領域である
ことを特徴とする炊飯米飯の外観評価方法。 - 請求項3から請求項5までの何れか一つに記載の炊飯米飯の外観評価方法において、
上記第1設定割合は、90%である
ことを特徴とする炊飯米飯の外観評価方法。 - 請求項4あるいは請求項5に記載の炊飯米飯の外観評価方法において、
上記第2設定割合は、110%である
ことを特徴とする炊飯米飯の外観評価方法。
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JP2010262099A JP2012112802A (ja) | 2010-11-25 | 2010-11-25 | 炊飯米飯の外観評価装置、および、炊飯米飯の外観評価方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016211935A (ja) * | 2015-05-07 | 2016-12-15 | 伊藤忠食糧株式会社 | 炊飯米の品質検査システム及び炊飯米の品質検査システム用プログラム |
JP2017122607A (ja) * | 2016-01-05 | 2017-07-13 | 大阪瓦斯株式会社 | 炊飯対象米の含水状態判定方法、含水状態判定装置、浸漬時間決定装置および炊飯設備 |
CN108931940A (zh) * | 2017-05-25 | 2018-12-04 | 佛山市顺德区美的电热电器制造有限公司 | 一种控制烹饪设备的方法及装置 |
JP2019218062A (ja) * | 2018-06-15 | 2019-12-26 | 不二精機株式会社 | 食材盛付装置 |
-
2010
- 2010-11-25 JP JP2010262099A patent/JP2012112802A/ja active Pending
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