JP2012107926A - 非常用炉心冷却系および沸騰水型原子力プラント - Google Patents
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Abstract
【解決手段】非常用炉心冷却系は、それぞれに電動駆動の動的安全系を具備する少なくとも4個の動的安全区分と、電動駆動を必要としない静的安全系を具備する少なくとも1個の静的安全区分と、を有する。動的安全区分の数は、設計基準事故時に必要となる数よりも2つ以上多く、動的安全区分のそれぞれに1系統の電動駆動の動的安全系が設置される。静的安全系は、1系統がオンラインメンテナンスのときの事故を想定した場合にオンラインメンテナンス対象の動的安全系の復帰に要する時間、外部から冷却水の補給を行なわなくても炉心の冷却が可能な構成である。
【選択図】図1
Description
従来の沸騰水型軽水炉の非常用炉心冷却系(ECCS)の設計に適用される最も一般的な安全基準として単一故障基準がある。これは、設計基準事故(DBA)である冷却材喪失事故(LOCA)の安全評価を行なう際に、非常用炉心冷却系の1箇所に故障を仮定して、少なくとも1系統の非常用炉心冷却系が機能しない状態であっても、必要とされる炉心の冷却が十分に行なわれることを要求する安全基準である。これを以下の説明では、N+1基準と呼ぶこととする。
ドイツの「BWR72」の非常用炉心冷却系は、動的3区分でN+2基準を満たす代表的な例である。以下、図7を参照してドイツの「BWR72」の非常用炉心冷却系の構成を説明する。
N+2基準で設計されているもう一つの代表的なBWRの例としてスエーデンの「BWR75」がある。以下、図8によりこの「BWR75」の非常用炉心冷却系の概要について説明する。
上述のように、N+2基準を満たす動的区分の非常用炉心冷却系は多重性が十分にあり安全性が高いが、さらに、N+2基準を満たす動的区分に加えて静的安全区分を設けた例として特許文献1によって知られている技術がある。このように動的安全区分とは独立に静的安全区分を設けてより安全性を高めたものを深層ハイブリッド安全系と呼んでいる。
図1により本発明に係る非常用炉心冷却系の第1の実施形態を説明する。
次に、図2は本発明の第2の実施形態における非常用炉心冷却系の構成を示したものである。本実施形態では、補助電源であるガスタービン発電機6を1機のみ備え、全ての動的非常用炉心専用の安全区分で共用し、動的非常用炉心冷却系専用の安全区分のいずれか一つに切り替えて給電できる。各動的安全区分に切り替えてガスタービン発電機6から給電できるようにするため、ガスタービン発電機6から各動的安全区分の電源母線に給電可能なように遮断器7を介して切り替えて給電が可能なようになっている。
次に、図3は本発明の第3の実施形態における非常用炉心冷却系の構成を示したものである。本実施形態では、常用系区分にタービン駆動の補助給水系である原子炉隔離時冷却系(RCIC)10を設置している。原子炉隔離時冷却系10は、原子炉の主蒸気を動力源として作動するので、作動に非常用ディーゼル発電機4を必要としない。また、原子炉補機冷却系による冷却も必要としないので、前記常用系区分に単独で設置することが可能である。
次に、図4は本発明の第4実施形態における非常用炉心冷却系の構成を示したものである。本実施形態では、静的非常用炉心冷却系を含む第5の安全区分に、アイソレーション・コンデンサー5に加えて、静的格納容器冷却系(PCCS)8を設置している。静的格納容器冷却系8の構造は、従来のESBWRのものと同様である。静的格納容器冷却系8は、静的機器のみで構成され動力電源を全く必要としない。また、原子炉補機冷却系のような動的機器による二次側の冷却も全く必要としない。
次に、図5は本発明の第5の実施形態における非常用炉心冷却系の構成を示したものである。本実施形態では、静的非常用炉心冷却系を含む第5の安全区分に、アイソレーション・コンデンサー5および静的格納容器冷却系8に加えて、重力落下式炉心冷却系(GDCS)9を設置している。
次に、図6は本発明の第6の実施形態における非常用炉心冷却系の構成を示したものである。図6では、第4の安全区分に、直流電源駆動の均圧炉心冷却系(EPFL)11と直流電源(DC)12が設置される。均圧炉心冷却系11は、原子炉圧力が原子炉格納容器圧力とほぼ等しくなる均圧状態で低圧炉心冷却系2と同様の炉心冷却機能を有する。これにより、残留熱除去系3は3系統のみとなるが、別途、静的格納容器冷却系8によって事故時の原子炉格納容器の冷却が可能であるため、原子炉格納容器の冷却手段は4系統あり、N+2基準を満たしている。
以上説明した各実施形態は単なる例示であって、本発明はこれらに限定されるものではない。
Claims (10)
- それぞれに電動駆動の動的安全系を具備する少なくとも4個の動的安全区分と、
電動駆動を必要としない静的安全系を具備する少なくとも1個の静的安全区分と、
を有する沸騰水型原子力プラントの非常用炉心冷却系であって、
前記動的安全区分の数は、設計基準事故時に必要となる数よりも2つ以上多く、
前記動的安全区分のそれぞれに1系統の電動駆動の動的安全系と該電動駆動の動的安全系に電源を供給する非常用電源とが設置され、
前記静的安全系は、1系統の動的安全系がオンラインメンテナンスのときの事故を想定した場合にオンラインメンテナンス対象の動的安全系の復帰に要する時間、外部から冷却水の補給を行なわなくても炉心の冷却が可能な構成であること、
を特徴とする非常用炉心冷却系。 - 前記動的安全区分の数は4であり、
前記静的安全区分の数は1であり、
前記動的安全区分それぞれが、前記1系統の電動駆動の動的安全系として、残留熱除去系と共用される低圧炉心冷却系を有し、
前記低圧炉心冷却系は少なくとも設計基準事故に対して原子炉圧力が低い状態において炉心冷却に必要とされる少なくとも100%の注水機能を有し、
前記残留熱除去系は、設計基準事故時に炉心および原子炉格納容器の冷却に必要とされる少なくとも50%の除熱能力を有し、
前記静的安全区分は少なくともアイソレーション・コンデンサーを具備すること、
を特徴とする請求項1に記載の非常用炉心冷却系。 - 前記動的安全区分それぞれが非常用電源として非常用ディーゼル発電機を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の非常用炉心冷却系。
- 前記動的安全区分それぞれが非常用電源を備え、
当該非常用炉心冷却系は、前記動的安全区分それぞれに切り替えて給電可能な補助電源を少なくとも1基備えていること、
を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の非常用炉心冷却系。 - 前記補助電源はガスタービン発電機であることを特徴とする請求項4に記載の非常用炉心冷却系。
- 補助給水系として、原子炉から供給される主蒸気によって駆動されるタービン駆動の原子炉隔離時冷却系を少なくとも1基備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の非常用炉心冷却系。
- 前記静的安全区分は静的格納容器冷却系を備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の非常用炉心冷却系。
- 前記静的安全区分は重力落下式炉心冷却系を備えていることを特徴とする請求項7に記載の非常用炉心冷却系。
- 前記動的安全区分の少なくとも一つは、直流電源と、この直流電源によって駆動される均圧炉心冷却系と、を備えていることを特徴とする請求項7に記載の非常用炉心冷却系。
- それぞれに電動駆動の動的安全系を具備する少なくとも4個の動的安全区分と、電動駆動を必要としない静的安全系を具備する少なくとも1個の静的安全区分と、を備えた非常用炉心冷却系を有する沸騰水型原子力プラントであって、
前記動的安全区分の数は、設計基準事故時に必要となる数よりも2つ以上多く、
前記動的安全区分のそれぞれに1系統の電動駆動の動的安全系と該電動駆動の動的安全系に電源を供給する非常用電源とが設置され、
前記静的安全系は、1系統の動的安全系がオンラインメンテナンス時の事故を想定した場合にオンラインメンテナンス対象の動的安全系の復帰に要する時間、外部から冷却水の補給を行なわなくても炉心の冷却が可能な構成であること、
を特徴とする沸騰水型原子力プラント。
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