JP2012094764A - 電磁波吸収材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低周波帯域のみならず高周波帯域においても電磁波を効率よく吸収することができ、かつ汎用性の高い電磁波吸収材及びその製造方法を提供する。
【解決手段】磁波吸収材1は、基材4と、磁性材料を含み最大でも平均粒径10μmの粒子6が間隙及び/又は電気抵抗材料を有しつつ前記基材4上で凝集して層状に形成された磁性体層とを、具備するものである。めっき、析出、蒸着、スプレー法及び/又は金属染色法により、基材4上に、磁性材料が含まれ最大でも平均粒径10μmの粒子6を、間隙及び/又は電気抵抗材料を有しつつ凝集させて層状に磁性体層を形成することで製造される。
【選択図】図1

Description

本発明は、低周波帯域のみならず高周波帯域においても電磁波を効率よく吸収可能な電磁波吸収材及びその製造方法に関するものである。
情報化社会の発展の弊害の一つとしてエレクトロニクス機器の電磁波干渉(EMI:Electromagnetic interference)の問題がある。これはあるエレクトロニクス機器から発せられる不要電磁波が他のエレクトロニクス機器に干渉し、誤作動させるなどの悪影響を及ぼすものである。そのため、日常使用する携帯電話やパーソナルコンピューターを始め、医療機器など様々なエレクトロニクス機器に渡って電磁波を遮蔽する対策を講じる必要がある。近年、エレクトロニクス機器の動作クロックの高速化、情報伝送速度の高速化や無線使用周波数の高周波化が進んでいるため、特にGHz帯における電磁波の遮蔽の必要性が高くなっている。
電磁波遮蔽には電磁波の反射と吸収の二種類がある。前者の場合は反射した電磁波が再び他の機器に影響を及ぼす可能性がある。そのため、後者のような電磁波を吸収する材料が要求されている。一般的に電磁波吸収材料には、磁性材料が用いられる。しかしその多くは金属材料で、特にGHz帯程度の高周波帯域になると電気抵抗率が低いため、電磁波を反射してしまう問題点がある。したがって、高周波帯域でも高電気抵抗率を有する磁性材料による電磁波吸収材料の開発が要求されている。
特許文献1には、磁性材料粒子とカーボンナノチューブなどの炭素構造材料とを混合した電磁波吸収材が開示されている。しかしながら、炭素構造材料は電気抵抗率が低いため、電磁波を反射してしまい効率よく吸収することは難しい。したがって、上記の要求を満足することは難しい。
電磁波吸収材として、十分な電磁波吸収性能を有し、かつ様々なエレクトロニクス機器に汎用可能で可撓性、耐熱性、加工性などの機能性に優れたものが望まれている。
特開2008−235708号公報
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、低周波帯域のみならず高周波帯域においても電磁波を効率よく吸収することができ、かつ汎用性の高い電磁波吸収材及びその製造方法を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するためになされた、特許請求の範囲の請求項1に記載された電磁波吸収材は、基材と、磁性材料を含み最大でも平均粒径10μmの粒子が間隙及び/又は電気抵抗材料を有しつつ前記基材上で凝集して層状に形成された磁性体層とを、具備することを特徴とする。
請求項2に記載の電磁波吸収材は、請求項1に記載されたものであって、リンとホウ素との少なくとも何れかを含有する前記電気抵抗材料が、前記粒子の少なくとも一部の表面に付着若しくは被覆し、又は前記粒子間で析出して分散していることを特徴とする。
請求項3に記載の電磁波吸収材は、請求項1に記載されたものであって、前記粒子が、リンとホウ素との少なくとも何れかを含有することを特徴とする。
請求項4に記載の電磁波吸収材は、請求項1に記載されたものであって、前記磁性材料が、鉄、ニッケル、コバルト、及びガドリニウムから選ばれる少なくとも一種の金属を含有することを特徴とする。
請求項5に記載の電磁波吸収材は、請求項1に記載されたものであって、前記粒子が、柱状結晶構造であることを特徴とする。
請求項6に記載の電磁波吸収材は、請求項1に記載されたものであって、前記粒子が、10〜100μmの大粒径粒子と、その間に前記間隙を有しつつ凝集した0.01〜10μmの小粒径粒子とを含んでいることを特徴とする。
請求項7に記載の電磁波吸収材は、請求項1に記載されたものであって、前記粒子が、多結晶又はアモルファスであることを特徴とする。
請求項8に記載の電磁波吸収材は、請求項1に記載されたものであって、前記磁性体層の露出表面が、露出した前記粒子によって、表面粗さを1〜1000nmとすることを特徴とする。
請求項9に記載の電磁波吸収材は、請求項1に記載されたものであって、前記基材が、金属成形体、又は少なくとも前記磁性体層との接面側表面を導電性薄膜で覆った合成樹脂成形体、セラミックス成形体、若しくは繊維成形体であることを特徴とする。
請求項10に記載の電磁波吸収材の製造方法は、めっき、析出、蒸着、スプレー法及び/又は金属染色法により、基材上に、磁性材料が含まれ最大でも平均粒径10μmの粒子を、間隙及び/又は電気抵抗材料を有しつつ凝集させて層状に磁性体層を形成することを特徴とする。
請求項11に記載の電磁波吸収材の製造方法は、請求項10に記載されたものであって、前記めっきを施すめっき浴に前記基材を浸漬させ、電流密度を0.01〜19A/dm2にして、前記基材を電解めっきし、前記粒子を前記基材上に前記凝集させることによって、前記磁性体層を形成することを特徴とする。
請求項12に記載の電磁波吸収材の製造方法は、請求項10に記載されたものであって、前記めっき浴に、鉄、ニッケル、コバルト、及びガドリニウムから選ばれる少なくとも一種の金属のイオンを含有させることにより、前記磁性材料に前記金属を含有させることを特徴とする。
本発明の電磁波吸収材は、高い電気抵抗率を示すものであり、kHz帯程度の低周波帯域からGHz帯程度の高周波帯域において、優れた電磁波吸収性能を示すことができる。
また、この電磁波吸収材は、用途に応じてその基材の材質を適宜選択することができ、優れた可撓性を有することができる。
さらに、この電磁波吸収材は、照射された電磁波の一部が磁性体層に吸収されず反射した場合、その表面粗さにより、反射した電磁波を高確率で再び磁性体層に入射させることができ、電磁波を漏らすことなく吸収することができる。これより、反射された電磁波により生じる他の機器への弊害を防止することができる。
本発明の電磁波吸収材の製造方法によれば、磁性材料を含有する粒子を極めて微細な状態で基材に析出することができ、電気抵抗率が高く、優れた電磁波吸収性能を示す電磁波吸収材を製造することができる。
また、この電磁波吸収材の製造方法によれば、基材の材質に制限されることなく優れた電磁波吸収性能を示す磁性体層を形成することができる。その用途に応じて、可撓性や耐熱性や加工性などの機能を発現させることが可能であり、汎用性の高い電磁波吸収材を製造することができる。
本発明を適用する電磁波吸収材の概要を示す断面図である。 本発明を適用する他の電磁波吸収材の基材の概要を説明する平面図である。 図2の基材に磁性体をめっきした状態のA−A線断面図である。 本発明を適用する電磁波吸収材の断面の電子顕微鏡写真である。 本発明を適用する電磁波吸収材の表面の電子顕微鏡写真である。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施形態に限定されるものではない。
本発明の電磁波吸収材の一例を図1に示す。図1には電磁波吸収材1の断面図とその一部拡大断面図を示す。図1に示すように、電磁波吸収材1は、合成樹脂成形体2に導電性薄膜3が被膜された基材4の表面に、磁性材料を含有する複数の粒子6が間隙や電気抵抗材料を有しつつ層状に凝集して磁性体層5を形成しているものである。この複数の粒子6の凝集で形成された磁性体層5によって、電磁波吸収材1は、低周波帯域から高周波帯域の照射された電磁波を吸収することができる。
電磁波吸収材1の磁性体層5を形成している粒子6は、主に磁性材料で構成されており、最大でも平均粒径10μmの多結晶又はアモルファスの微粒子である。その結晶構造として、例えば柱状結晶が挙げられる。この粒子6の粒径は、適度なばらつきがあると好ましく、大粒径粒子で10〜100μmであり、小粒径粒子で0.01〜10μmである。大粒径粒子の粒子間の隙間に、間隙を有しつつ小粒径粒子が凝集していると好ましい。
粒子6を形成する磁性材料は、例えば、強磁性体である鉄、ニッケル、コバルト、ガドリニウムなどの金属元素や、ニッケル−鉄、ニッケル−コバルト、鉄−コバルト、鉄−コバルト−ニッケル、ガドリニウム−鉄−コバルト、鉄−珪素、鉄−アルミニウム、鉄−珪素−アルミニウムなどの合金が挙げられる。これらの磁性材料は、一種単独で用いられていてもよく、前記強磁性体のうち少なくとも一つが含まれた混合物が用いられていてもよい。
この磁性材料の他に、粒子6は、電気抵抗物質としてリンやホウ素を含有していてもよい。この電気抵抗物質は、比較的に低い電気抵抗を示す磁性材料に比べて高い電気抵抗を示すものであり、粒子6中に含まれることで、粒子全体の電気抵抗率を高めている。粒子6は、電気抵抗物質として、リン又はホウ素のみを含有していてもよく、リンとホウ素とを共に含有していてもよい。
これらの粒子6が規則的又は不規則的に凝集することで、磁性体層5を形成している。
電磁波吸収材1の磁性体層5は、高い電気抵抗率を有しており、各々の粒子6が、その表面を互いに接触させず、間隙を有したり、それらの粒子間で電気抵抗材料を介したりして凝集しているものである。なかでも、これらの複数の粒子6の長手方向を基材表面に対して垂直方向に向けて凝集することで磁性体層5が形成されていると好ましい。
この磁性体層5に含まれる電気抵抗材料は、リンやホウ素の単体、化合物、又は混合物であって、電気抵抗物質と同様に、比較的に低い電気抵抗を示す磁性材料に比べて高い電気抵抗を示すものである。これらの電気抵抗材料は、粒子6の表面に付着又は被覆したり、その粒子間で析出して分散したりして、磁性体層5中に存在することで、磁性体層5全体として電気抵抗率を高める効果を発現している。電気抵抗材料は、粒子表面の全体に付着又は被覆していてもよく、一部に付着又は被覆していてもよい。また、高電気抵抗材料は、リンのみ又はホウ素のみからなっていてもよく、リンとホウ素とが混合されたものであってもよい。
磁性体層5の電気抵抗率(ρ)は、1〜1000μΩ・cmであり、10〜1000μΩ・cmであると好ましく、500〜1000μΩ・cmであるとより好ましい。この範囲であると、電磁波を効率良く、かつ十分に吸収することができる。一方、電気抵抗率(ρ)が1μΩ・cmより低い場合、その磁性体層5は電磁波を十分に吸収することができず、反射させてしまう可能性があり好ましくない。
また、磁性体層5は、図1の一部拡大断面図に示されるように、露出した粒子6により生じる凹凸により、その露出表面が粗いものである。
磁性体層5の平均表面粗さ(Ra)は、500nm以下であり、1〜1000nmであると好ましい。この範囲であると、磁性体層5に照射された電磁波の一部が吸収されずに反射された際に、再度、その反射された電磁波が磁性体層5に入射し易くなる効果を発現させることができる。一方、平均表面粗さが1000nmを超える場合、磁性体層5に物体が接触した際に粒子6が剥がれ取れる可能性があり、平均表面粗さが1nmより小さい場合、反射された電磁波が再び他の機材に影響を及ぼす可能性があるため好ましくない。
磁性体層5の厚みは、0.1〜1000μmであり、膜厚が薄すぎる場合、十分な電気抵抗率が得られず、電磁波の吸収性能が低下する可能性があり好ましくない。
電磁波吸収材1に用いられる基材4は、特に限定されず、例えば、銅、チタン、クロム、アルミニウムなどから形成される金属成形体;アルミナ、マグネシア、シリカ、ガラスなどから形成されるセラミックス成形体;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリイミド、ナイロン、アクリルなどから形成される合成樹脂成形体;織布、不織布、網目状構造物などから形成される繊維成形体が挙げられる。ただし、基材4は、電気導電性を有しない成形体の場合、無電解メッキ法、化学蒸着法、物理蒸着法、スプレー法、金属染色法などにより、その表面に電気導電性を有する鉄、銅、又はニッケルなどの導電性薄膜を予め形成することを必要とする。
これらの基材4の形状は、特に限定されず、フィルム状、板状、シート状、織物状が挙げられる。
本発明の電磁波吸収材の別な実施例を図2及び図3に示す。図2には電磁波吸収材1の概要図を示し、図3には図2の電磁波吸収材1のA−A線の一部拡大断面図を示す。
図2及び図3に示すように、電磁波吸収材1は、繊維成形体に導電性薄膜3が形成されている基材4の表面に、磁性材料を含有する複数の粒子6が導電性薄膜3を介して凝集して磁性体層5を形成しているものである。電磁波吸収材1の基材4は、横糸8と縦糸9とを一定の規則によって交差させて織った布である繊維成形体の露出表面に導電性薄膜3が形成されているものである。また、この基材4は、横糸8と縦糸9との間に隙間10を有していてもよいが、横糸8と縦糸9とを密に織って隙間10を無くしたほうが、電磁波が漏れにくくなるため好ましい。可撓性を有する基材4上に磁性体層5が形成されている電磁波吸収材1は、基材4と磁性体層5とが剥離せずに優れた可撓性を示すものである。
図1及び図3において、基材4の裏表の両面に磁性体層5が形成された例を示したが、本発明の電磁波吸収材1は、これらに限定されず、例えば基材4の片面側のみに磁性体層5が形成されたものであってもよい。
これらの電磁波吸収材1は、めっき、析出、蒸着、スプレー法、金属染色法により、基材4上に粒子6を析出して磁性体層5を形成することで製造することができる。
本発明の電磁波吸収材1の好ましい製造方法の一形態として、めっきによる、主な磁性材料がニッケルである電磁波吸収材1の製造方法を以下に示す。
本発明の電磁波吸収材1の製造方法は、シート状の基材の表面に結晶成長させて光沢めっきのように平滑な膜を成膜する一般的な電解めっき法と異なり、電流密度を適宜調整して電解めっきすることで、異なる粒径を有し微細化された粒子6を基材4上に析出させて粒子6の層を形成することを特徴とする。
電磁波吸収材1の製造工程として、まず、無電解めっき法を用いて、樹脂成形体2の表面に導電性薄膜であるニッケル薄膜を製膜して基材4を形成する。この基材4に電解めっきをする為に必要とされる前処理工程を施し、基材4を陰極側に、磁性材料と同種の金属板を陽極側にそれぞれ設置し、磁性材料及び高電気抵抗材料のイオンを含むめっき浴中に浸漬する。この陰極の基材4と、可溶性又は不溶性陽極との両極間に直流電源を接続して、所望な電圧を与え、少なくとも電解めっき条件のうち電流密度を0.01〜19A/dmとして、陰極側の基材4に粒子6を析出させることで電磁波吸収材1を得る。
陰極側における電流密度は、均一な膜厚を形成するために、0.01〜15A/dmであると好ましく、0.1〜10A/dmであるとより好ましい。この電流密度で電解めっきを行うことにより、電解初期に基材4上に微細な核を多数析出することができ、その核が急速に成長することや、その核にさらに核が析出することで、層状に磁性体材料を含有する粒子を形成することができる。このとき、この粒子6中にリン及び/又はホウ素が共に含有されて析出してもよく、粒子6の表面に付着するようにリン及び/又はホウ素が共に析出してもよい。
電流密度は、所望の磁性材料により適宜調整されるものであって、主な磁性材料としてニッケルを含有する粒子を析出させる例を示したが、主な磁性材料として鉄を含有する粒子を析出させる場合、0.1〜10A/dmであると好ましい。主な磁性材料としてコバルトを含有する粒子を析出させる場合、0.1〜10A/dmであると好ましい。主な磁性材料としてニッケル、鉄及びコバルトから選ばれる少なくとも1種を有する合金を含有する粒子を析出させる場合、0.1〜10A/dmであると好ましい。
電解めっき法に用いられるめっき浴は、所望の磁性材料により適宜選択されるものであって、特に限定されず、公知の溶液を使用することができる。めっき浴として、例えば、主な磁性材料としてニッケルを含有する粒子を析出させる場合、普通浴、ワット浴、ワイスベルグ浴、全塩化浴、ハイスピード浴などが挙げられる。主な磁性材料として鉄を含有する粒子を析出させる場合、硫酸塩浴、ホウフッ化浴などが挙げられる。主な磁性材料としてコバルトを含有する粒子を析出させる場合、ハイスピード浴などが挙げられる。主な磁性材料としてニッケル、鉄及びコバルトから選ばれる少なくとも1種を有する合金を含有する粒子を析出させる場合、普通浴、ハイスピード浴などが挙げられる。なかでも、高電気抵抗材料であるリン及び/又はホウ素が添加されているめっき浴であると好ましく、リン及び/又はホウ素が添加されていない場合、リン及び/又はホウ素を添加して使用する。めっき浴中におけるリンやホウ素の添加量は、0.1〜15%重量部であると好ましい。
電解めっき条件として、例えば、pH、浴温、めっき時間などは、従来の電解めっき法において公知の条件を適用することができる。これらの条件は、選択された所望の磁性材料により、適宜調整されるものである。
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
本発明の電磁波吸収材における磁性材料がニッケルである製造例を実施例1〜3に示す。
(実施例1)
縦50mm×横50mm×厚さ0.2mmのポリエチレンテレフタレート(PET)成形体に、前処理として、50℃で3分間脱脂し、50℃で5分間アルカリ処理し、25℃で5分間エッチングし、25℃で6分間触媒付与し、25℃で8分間酸処理をした。この成形体に、82℃で3.5分間無電解めっきを行い、ニッケル導電性薄膜を形成し基材を得た。
以下の電気めっき条件により、得られた基材に電気めっきを行い、磁性体層の厚みが2μmである電磁波吸収材(a)を製造した。
浴名:ワット浴
陽極:Ni板(純度99.99%)
めっき浴:硫酸ニッケル、塩化ニッケル、ほう酸の混合物
pH:4.0
浴温:45℃
電流密度:0.1A/dm
めっき時間:80分
(実施例2)
めっき条件における電流密度を1A/dm、めっき時間を8分としたこと以外は、実施例1と同様の基材、工程及びめっき条件により電磁波吸収材(b)を製造した。
(実施例3)
めっき条件における電流密度を10A/dm、めっき時間を50秒としたこと以外は、実施例1と同様の基材、工程及びめっき条件により電磁波吸収材(c)を製造した。
(比較例1)
めっき条件における電流密度を定法である20A/dmとしたこと以外は、実施例1と同様の基材、工程及びめっき条件により電磁波吸収材(d)を製造した。
実施例1〜3で得られた電磁波吸収材を、収束イオンビーム装置(FIB)を用いて断面加工し、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)により表面観察をした。実施例1〜3の電磁波吸収材をそれぞれ(a),(b),(c)として、電磁波吸収材の断面の電子顕微鏡写真を図4、電磁波吸収材の表面の電子顕微鏡写真を図5に示す。
図4に示されるように、多数の微粒子がその長手方向を基材表面に対して垂直方向に向けて析出しており、磁性体層を形成していることがわかった。また、電磁波吸収材の表面は、一般的なめっき法で得られるような鏡面状態ではなく、微細な粒子による粗い凹凸状態でことが観察された。微粒子で形成されている磁性体層の下の均一な薄膜は無電解めっき法により得られた導電性薄膜である。
また、図5に示されるように、電磁波吸収材の表面は、より均一で微細化された粒子が析出されていることが観察された。
実施例1〜3及び比較例1で得られた電磁波吸収材の電気抵抗率について、4端子抵抗計(日置電機株式会社製)を用いて、JISC2525に準拠した手法で測定した。それらの結果を表1に示す。
表1に示されるように、低い電流密度で形成された本発明である実施例1の電磁波吸収材は、比較例に比べて、2.24倍もの優れた電気抵抗率を示すことが明らかとなった。
本発明の電磁波吸収材は、低周波帯域から高周波帯域において電磁波を効率よく吸収することができ、汎用性の高いものである。様々なエレクトロニクス機器、例えば電磁波干渉を防止すべき電気機械内部の電磁妨害波対策用電磁波吸収材、及び衣料や壁面素材用電磁波吸収材として利用することができる。本発明の電磁波吸収材の製造方法によれば、可撓性・非可撓性、金属製・非金属製の基材に依らず、電磁波吸収材を得ることができる。
1は電磁波吸収材、2は合成樹脂成形体、3は導電性薄膜、4は基材、5は磁性体層、6は粒子、8は横糸、9は縦糸、10は隙間、AAは断面線である。

Claims (12)

  1. 基材と、磁性材料を含み最大でも平均粒径10μmの粒子が間隙及び/又は電気抵抗材料を有しつつ前記基材上で凝集して層状に形成された磁性体層とを、具備することを特徴とする電磁波吸収材。
  2. リンとホウ素との少なくとも何れかを含有する前記電気抵抗材料が、前記粒子の少なくとも一部の表面に付着若しくは被覆し、又は前記粒子間で析出して分散していることを特徴とする請求項1に記載の電磁波吸収材。
  3. 前記粒子が、リンとホウ素との少なくとも何れかを含有することを特徴とする請求項1に記載の電磁波吸収材。
  4. 前記磁性材料が、鉄、ニッケル、コバルト、及びガドリニウムから選ばれる少なくとも一種の金属を含有することを特徴とする請求項1に記載の電磁波吸収材。
  5. 前記粒子が、柱状結晶構造であることを特徴とする請求項1に記載の電磁波吸収材。
  6. 前記粒子が、10〜100μmの大粒径粒子と、その間に前記間隙を有しつつ凝集した0.01〜10μmの小粒径粒子とを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の電磁波吸収材。
  7. 前記粒子が、多結晶又はアモルファスであることを特徴とする請求項1に記載の電磁波吸収材。
  8. 前記磁性体層の露出表面が、露出した前記粒子によって、表面粗さを1〜1000nmとすることを特徴とする請求項1に記載の電磁波吸収材。
  9. 前記基材が、金属成形体、又は少なくとも前記磁性体層との接面側表面を導電性薄膜で覆った合成樹脂成形体、セラミックス成形体、若しくは繊維成形体であることを特徴とする請求項1に記載の電磁波吸収材。
  10. めっき、析出、蒸着、スプレー法及び/又は金属染色法により、基材上に、磁性材料が含まれ最大でも平均粒径10μmの粒子を、間隙及び/又は電気抵抗材料を有しつつ凝集させて層状に磁性体層を形成することを特徴とする電磁波吸収材の製造方法。
  11. 前記めっきを施すめっき浴に前記基材を浸漬させ、電流密度を0.01〜19A/dm2にして、前記基材を電解めっきし、前記粒子を前記基材上に前記凝集させることによって、前記磁性体層を形成することを特徴とする請求項10に記載の電磁波吸収材の製造方法。
  12. 前記めっき浴に、鉄、ニッケル、コバルト、及びガドリニウムから選ばれる少なくとも一種の金属のイオンを含有させることにより、前記磁性材料に前記金属を含有させることを特徴とする請求項10に記載の電磁波吸収材の製造方法。
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