JP2012087693A - 内燃機関の燃焼制御装置及び燃焼制御方法 - Google Patents

内燃機関の燃焼制御装置及び燃焼制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】内燃機関の燃焼制御装置及び燃焼制御方法において、内燃機関の制御パラメータに基づいて着火時期及び熱発生期間を効率的な算出手段により精度よく推定することにより、安定性及び追従性に優れた燃焼制御を実現する。
【解決手段】内燃機関(1)の燃焼制御装置(40)は、着火時期及び熱発生期間が目標値に近づくように複数の制御パラメータを制御する。特に、試運転時の取得データに基づいて予測モデル式を複数の制御パラメータの一次式として予め作成し、実運転時に該予測モデル式を解くことにより、前記目標値に対応する複数の制御パラメータの適正値を求めて補正量を算出し、該補正量に基づいて複数の制御パラメータを制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ディーゼルエンジンなどの内燃機関における燃焼制御装置および燃焼制御方法に関し、特に、内燃機関における着火時期や熱発生期間を燃料噴射時期などの制御パラメータを制御することにより、内燃機関の燃焼状態を安定化できる内燃機関の燃焼制御装置及び燃焼制御方法の技術分野に関する。
一般的にディーゼルエンジンなどの内燃機関では、総燃料噴射量、燃料噴射時期、吸気温度、吸気圧力、冷却水温度、潤滑油温度、回転数、吸気O濃度、コモンレール圧力などの制御パラメータに基づいて着火時期を推定することにより、燃焼状態の制御が行われている。より具体的には、目標値となる着火時期を予め特定しておき、当該目標値に現実の着火時期が一致するように上記制御パラメータを調整することにより行われる。
ここで、内燃機関の制御パラメータに基づいて着火時期を推定するための予測モデルとして、例えば特開2005−226460号公報、特開2005−226461号公報等に開示された着火時期予測モデルがある。この着火時期モデルを用いて着火時期の目標値に対応する燃料噴射時期を求めて燃焼状態を制御するためには、着火時期予測モデルの逆モデルを解く必要がある。しかしながら、着火時期予測モデルの逆モデルを解くことは現実には困難であり、現実的ではないという問題がある。
このような問題に対して、特許文献1では、着火時期予測モデル式を用いて着火時期と燃料噴射時期との関係を異なる3点で求め、これら3点に基づいて着火時期と燃料噴射時期との関係を示す近似二次曲線を算出することによって、燃料噴射時期の適正値を算出する手法が提案されている。
特開2007―92583号公報
しかしながら、特許文献1では、着火時期と燃料噴射時期との関係を異なる3点で求めた上で、更に近似二次曲線を算出する必要があるため、算出処理負担が非常に重く、逐次変化する内燃機関の燃焼状態への応答が遅れてしまうという技術的問題点がある。特に、内燃機関の負荷変化などによって燃焼状態が過渡的に変化する場合には、制御速度が燃焼状態の変化速度に間に合わず、十分な追従性が得られない。また、このように算出処理負担が大きいために、様々な内燃機関の制御パラメータを同時に制御することが難しい。そのため、単一の制御パラメータ(例えば燃料噴射時期)の制御に頼らざるを得ず、内燃機関の燃焼状態を精度よく制御することが困難である問題点もある。
本発明は、上述した問題点に鑑みなされたものであり、内燃機関の着火時期及び熱発生期間を効率的な算出手段により精度よく推定することにより、安定性及び追従性に優れた燃焼制御を実現可能な内燃機関の燃焼制御装置及び燃焼制御方法を提供することを目的とする。
本発明の内燃機関の燃焼制御装置は上記課題を解決するために、内燃機関の着火時期及び熱発生期間が前記内燃機関の運転状態に応じて決定される着火時期目標値及び熱発生期間目標値に近づくように、前記内燃機関の複数の制御パラメータを制御する内燃機関の燃焼制御装置において、試運転時に取得した前記複数の制御パラメータの実測値に基づいて前記内燃機関の着火時期及び熱発生期間を推定する予測モデル式を、それぞれ前記複数の制御パラメータの一次式として予め作成し、実運転時に、前記予測モデル式を前記複数の制御パラメータの各々について解くことにより、前記着火時期目標値及び熱発生期間目標値に対応する各制御パラメータの適正値を求め、該求められた適正値と実際の制御パラメータ値との偏差から前記複数の制御パラメータについての補正量をそれぞれ算出し、前記算出された補正量に基づいて前記複数の制御パラメータを制御することを特徴とする。
本発明によれば、試運転時において、着火時期及び熱発生期間と制御パラメータとを関係付ける予測モデル式を一次式として作成できるので、当該予測モデル式を制御パラメータの各々について容易に解くことができる。そのため、実運転時には、着火時期目標値及び熱発生期間目標値に対応する制御パラメータの適正値を少ない算出処理負担で効率的に推定できるので、安定性及び追従性に優れた燃焼制御を実現することができる。また、このように算出処理負担が少ないため、複数の制御パラメータを同時に制御することが可能となるので、内燃機関の燃焼状態の制御をより精度よく行うことができる。
好ましくは、前記複数の制御パラメータの各々について取り得る数値範囲を複数の領域に分割し、該分割された複数の領域毎に前記予測モデル式を作成してもよい。この場合、内燃機関の制御パラメータが取り得る数値範囲を限定することによって分割された領域毎に予測モデル式を作成することで、実際の着火時期及び熱発生期間と制御パラメータとの関係に対して精度の高い予測モデル式を作成することができる。
好ましくは、着火時期をTigt、熱発生期間をTprd、前記複数の制御パラメータをX、X、…、着火時期の予測モデル式における演算係数をa11、a12、… …、b、熱発生期間の予測モデル式における演算係数をa21、a22、… …、bとしたとき、前記内燃機関の着火時期及び熱発生期間を推定する予測モデル式はそれぞれ下記(1)及び(2)式であるとよい。より好ましくは、前記複数の制御パラメータは、前記内燃機関の総燃料噴射量、メイン燃料噴射時期、パイロット燃料噴射量、パイロット燃料噴射時期、プレ燃料噴射量、プレ燃料噴射時期、吸気温度、吸気圧力、冷却水温度、潤滑油温度、エンジン回転数、空気過剰率、吸気O濃度、コモンレール圧力を含むとよい。この場合、予測モデル式は制御パラメータX、X、…の一次式として作成されるので、各制御パラメータX、X、…について容易に解くことができ、計算処理負担を軽減することができる。
igt=a11+a12+… …+b (1)
prd=a21+a22+… …+b (2)
好ましくは、前記算出された補正値の絶対値を予め規定された所定値以下に制限するための制限手段を更に備えるとよい。この場合、補正量の絶対値を所定値以下に制限することにより、算出された補正量によって制御パラメータが内燃機関の燃焼にとって不適切な数値範囲(例えば、内燃機関が正常に動作することが困難となる制御パラメータ値)になってしまうことを防止することができる。
また、前記算出された補正値の変化速度を予め規定された所定値以下に制限するための変化速度制限手段を更に備えてもよい。上述したように本発明では内燃機関の燃焼状態が過渡変化した場合においても、良好な追従性を得ることができる。その一方、過渡変化速度が急激な場合、それに伴い補正量の変化速度も急激になり、内燃機関にハンチングなどの種々の不具合が生じてしまうおそれがある。本態様では、変化速度制限手段を備えることにより、補正量の変化速度が所定値以内に制限されるため、このような種々の不具合を効果的に防止することができる。
また、前記補正量は、PID制御された前記偏差に基づいて算出されてもよい。この場合、算出される補正量をより安定化することができるため、内燃機関の燃焼状態の制御をより精度よく行うことができる。
本発明の内燃機関の燃焼制御方法は上記課題を解決するために、内燃機関の着火時期及び熱発生期間が前記内燃機関の運転状態に応じて決定される着火時期目標値及び熱発生期間目標値に近づくように、前記内燃機関の複数の制御パラメータを制御する内燃機関の燃焼制御方法において、試運転時に取得した前記複数の制御パラメータに基づいて、前記内燃機関の着火時期及び熱発生期間を推定する予測モデル式を、それぞれ前記複数の制御パラメータの一次式として予め作成する予測モデル式作成工程と、実運転時に、前記予測モデル式を前記複数の制御パラメータの各々について解くことにより、前記着火時期目標値及び熱発生期間目標値に対応する各制御パラメータの適正値を求め、該求められた適正値と実際の制御パラメータ値との偏差から前記複数の制御パラメータについての補正量をそれぞれ算出する補正量算出工程と、前記算出された補正量に基づいて前記複数の制御パラメータを制御する制御工程とを備えたことを特徴とする。
本発明の内燃機関の燃焼制御方法によれば、上述の内燃機関の燃焼制御装置(上記各種態様を含む)を好適に実現することができる。
本発明によれば、試運転時において、着火時期及び熱発生期間と制御パラメータとを関係付ける予測モデル式を一次式として作成できるので、当該予測モデル式を制御パラメータの各々について容易に解くことができる。そのため、実運転時には、着火時期目標値及び熱発生期間目標値に対応する制御パラメータの適正値を少ない算出処理負担で効率的に推定できるので、安定性及び追従性に優れた燃焼制御を実現することができる。また、このように算出処理負担が少ないため、複数の制御パラメータを同時に制御することが可能となるので、内燃機関の燃焼状態の制御をより精度よく行うことができる。
本発明に係る燃焼制御装置により制御されるエンジンの全体構成を示す概略構成図である。 エンジンの燃料噴射タイミング、熱発生量及び熱発生量積算値のクランク角に対する変化を示すグラフ図である。 燃焼制御装置の動作を概念的に説明するためのブロック図である。 メイン燃料噴射時期及びパイロット燃料噴射量について補正量を算出する手順を示すフローチャート図である。 (1)式をメイン燃料噴射時期とパイロット燃料噴射量を変数としてプロットした一例を示すグラフ図である。 エンジン負荷、EGR率、着火時期、熱発生期間の時間変化を比較例と併せて示すグラフ図である。 変形例1に係る燃焼制御装置の動作を概念的に説明するためのブロック図である。 変形例2に係る燃焼制御装置の動作を概念的に説明するためのブロック図である。 変形例3に係る補正量演算手段の動作を概念的に説明するためのブロック図である。
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
図1は、本発明に係る燃焼制御装置40により制御されるディーゼルエンジン1(以下、適宜「エンジン1」と称する)の全体構成を示す概略構成図である。以下の説明は、この図1に示したディーゼルエンジンを例に説明してゆくが、本発明はディーゼルエンジンだけでなく、他の内燃機関にも適用できることは明らかである。
図1において、多シリンダの4サイクルのディーゼルエンジンたるエンジン1は、シリンダ3内に往復摺動自在に嵌合されたピストン5、該ピストン5の往復動をコネクチングロッド7を介して回転に変換するクランク軸8を備えている。エンジン1は、ピストン5の上面とシリンダ3の内面との間に区画形成される燃焼室9を形成し、該燃焼室9には吸気通路13が接続され、吸気ポートを開閉する吸気弁15を備えている。さらに燃焼室9には排気通路19が接続され、排気ポートを開閉する排気弁21を備えている。
前記吸気通路13には排気通路19の途中からEGR(排気ガス再循環)通路23が分岐して、EGR通路23を流れるEGRガスを冷却するEGR冷却器25、およびEGRガス流量を制御するEGRバルブ27を介して吸気通路13の吸気スロットルバルブ29の下流側に接続されている。また、吸気通路13には、排気通路19に設けられた排気過給機12のコンプレッサによって加圧された吸気がインタークーラ33によって冷却されて供給されるようになっている。また、吸気スロットルバルブ29の開度を制御することで燃焼室9内に流入される吸気量が制御されるようになっている。尚、ディーゼルエンジンの場合は、吸気スロットルバルブ29は通常全開状態であり、EGR制御時に閉方向に制御される。
エンジン1において、燃料噴射時期及び燃料噴射量は燃焼制御装置40によって制御されており、かかる燃料噴射時期及び燃料噴射量にてシリンダ3毎に設けられた燃料噴射弁42から燃焼室9内に燃料が噴射される(図中の一点鎖線を参照)。また、燃料ポンプ35で加圧された高圧燃料がコモンレール37内に貯溜され、該コモンレール37から燃料が噴射時期及び噴射量を制御されて燃料噴射弁42に供給されるようになっている。
吸気スロットルバルブ29の下流側には吸気マニホールド内の吸気圧力、吸気温度を検出するための吸気マニホールド圧力センサ54、吸気マニホールド温度センサ55がそれぞれ設けられている。また、シリンダ3の外壁には冷却水及び潤滑油の温度を検出するための冷却水温度センサ56、潤滑油温度センサ57がそれぞれ設けられている。また、クランク軸8の近傍にはクランク軸8の回転からエンジン回転数を検出するためのエンジン回転数センサ58が設けられている。また、コモンレールには貯留された高圧燃料の圧力を検出するためのコモンレール圧力センサ59が設けられている。また、排気マニホールド内の排気中のO濃度を検出するためのO濃度センサ60が設けられている。これらの各種センサによって検出されたデータは燃焼制御装置40に入力され、燃焼制御装置40は当該入力されたデータに基づいて燃料の噴射時期や噴射量を制御するように構成されている。
図2は、エンジン1の燃料噴射タイミング、熱発生量及び熱発生量積算値のクランク角(エンジン回転数センサ58により検出されるクランク軸8の回転角度)に対する変化を示すグラフ図である。図2(a)はエンジン1の燃料噴射タイミングを示しており、クランク角が圧縮上死点(TDC)前に少量のパイロット噴射及びプレ噴射をして燃焼室9内で希薄予混合燃焼を行う。そして、希薄予混合燃焼後に多量のメイン噴射を行って拡散燃焼を行い、NOx及び煤塵の抑制を図っている。
ここで、本明細書では、エンジン1の燃焼特性である着火時期Tigt及び熱発生期間Tprdは、図2(b)及び(c)に示すごとく規定される。着火時期Tigtは、熱発生量の積算値が総熱発生量Jint_sat(クランク角が−90度から90度に変化する間の燃焼室9における熱発生量)の10%に到達する時期である。また、熱発生期間Tprdは、着火時期Tigtから、熱発生量の積算値が総熱発生量Jint_satの90%に到達する失火時期Tendまでの期間である。
再び図1に戻って、燃焼制御装置40は、予めエンジン1の試運転時に取得した総燃料噴射量、メイン燃料噴射時期、パイロット燃料噴射量、パイロット燃料噴射時期、プレ燃料噴射量、プレ燃料噴射時期、吸気温度、吸気圧力、冷却水温度、潤滑油温度、エンジン回転数、空気過剰率、吸気O濃度、コモンレール圧力などの制御パラメータ(実機運転データ)に基づき、着火時期Tigt及び熱発生期間Tprdをそれぞれ推定するための予測モデル式を作成する。以下説明するように、燃焼制御装置40は作成した予測モデル式を各制御パラメータについて解くことにより、エンジン1の運転状態に応じて着火時期Tigt及び熱発生期間Tprdを適切な目標値に近づけるように補正量を算出して制御する。
図3は燃焼制御装置40の動作を概念的に説明するためのブロック図である。燃焼制御装置40は、要求トルクに基づいて所定の運転状態を実現するためのエンジン回転数102及び総燃料噴射量103が入力されると、対応するメイン燃料噴射時期104、パイロット燃料噴射量105が予め規定された対応マップに基づいて特定される。
100は、このように設定されたメイン燃料噴射時期104及びパイロット燃料噴射量105の補正量を、エンジン1の燃焼状態を規定する制御パラメータを用いてなる予測モデル式に基づいて演算する補正量演算手段である。この補正量演算手段100には、エンジン回転数102及び総燃料噴射量103に対応する着火時期及び熱発生期間の目標値(以下、「着火時期目標値105」、「熱発生期間目標値106」と称する)が与えられる。尚、着火時期目標値及び熱発生期間目標値は、予め規定された対応マップに基づいてエンジン回転数目標値102及び総燃料噴射量目標値103と紐付けられている。
また、補正量演算手段100には、制御パラメータとして上述したメイン燃料噴射時期104及びパイロット燃料噴射量105に加え、燃焼制御装置40からエンジン1に与えられる総燃料噴射量108、パイロット燃料噴射時期109、プレ燃料噴射量110、プレ燃料噴射時期111などの操作量、吸気マニホールド温度センサ56により測定された吸気温度112、吸気マニホールド圧力センサ54により測定された吸気圧力113、冷却水温度センサ56により測定された冷却水温度114、潤滑油温度センサ57により測定された潤滑油温度115、O濃度センサ60により測定された吸気O濃度116、空気過剰率117(特開2009−185793号公報における推定値λを用いることが好ましい)などの観測量が補正量演算手段100に与えられる。
補正量演算手段100にて算出された補正量は、メイン燃料噴射時期104及びパイロット燃料噴射量105に加算され、ECU120は、このように補正されたメイン燃料噴射時期104及びパイロット燃料噴射量105に基づいてエンジン1を制御して、着火時期Tigt及び熱発生期間Tprdが着火時期目標値106、熱発生期間目標値107に近づくように補正する。
尚、補正量演算手段100に制御パラメータが入力されるライン上には、ローパスフィルタ130が挿入されることにより、各種制御パラメータの信号に含まれる高周波ノイズを除去可能なように構成されている。
ここで図4を参照して、補正量演算手段100においてメイン燃料噴射時期104及びパイロット燃料噴射量105の補正量を算出する手順について説明する。図4は、メイン燃料噴射時期104及びパイロット燃料噴射量105の補正量を算出する手順を示すフローチャート図である。
まず、ステップS10においてスタートすると、燃焼制御装置40は実機として運転開始する前に試運転を行う(S11)。S12では、試運転状態における運転条件に基づき、着火時期Tigt、熱発生期間Tprd、そしてそれに対応した総燃料噴射量、メイン燃料噴射時期、パイロット燃料噴射量、パイロット燃料噴射時期、プレ燃料噴射量、プレ燃料噴射時期、吸気温度、吸気圧力、冷却水温度、潤滑油温度、エンジン回転数、吸気O濃度、空気過剰率、コモンレール圧力などの制御パラメータに関するデータを取得する。
そして次のステップS13では、重回帰分析を行うことにより、以下に示すモデル式を算出する。今、制御パラメータを下記のX〜X14とする。
:総燃料噴射量
:メイン燃料噴射時期
:パイロット燃料噴射量
:パイロット燃料噴射時期
:プレ燃料噴射量
:プレ燃料噴射時期
:吸気温度
:吸気圧力
:冷却水温度
10:潤滑油温度
11:エンジン回転数
12:推定λ
13:吸気O2濃度
14:コモンレール圧力
そして重回帰分析で求める演算計数を
11、a12、… …、b
21、a22、… …、b
とすると、着火時期Tigt、熱発生期間Tprdは、それぞれ下記に示すX〜X14を一次変数とするモデル式により算出できる。
igt=a11+a12+… …+b (1)
prd=a21+a22+… …+b (2)
本来、着火時期Tigt、熱発生期間Tprdは厳密にはX〜X14の多次式によって表されるが、本発明では(1)(2)式のように重回帰分析により一次近似式で表される。ここで、(1)(2)式で表された一次式が本来の多次式に対して大きく乖離する場合には、X〜X14の取り得る数値範囲を複数の領域に分割し、当該分割された領域の各々について(1)(2)式を算出するとよい。これにより、本来の多次式からの乖離が少ない一次近似式を算出することができるので、精度良く補正量を求めることができる。
図5は(1)式をメイン燃料噴射時期(X)とパイロット燃料噴射量(X)を変数としてプロットした一例を示すグラフ図である。この例では、本来の着火時期Tigtは図5に示すように曲面モデルを構成する。本発明では、一次近似式である(1)式がこのような曲面モデルから大きく乖離しないように、メイン燃料噴射時期(X)とパイロット燃料噴射量(X)について複数の領域に分割し、当該分割された領域の各々について(1)式を算出している。
続いて燃焼制御手段40は、このように重回帰分析によりその演算計数が決定された(1)(2)式をメイン燃料噴射時期(X)とパイロット燃料噴射量(X)について解く(ステップS14)。ここでモデル式(1)(2)は、それぞれ一次式であるため、次式のごとく容易に解くことができ、演算に時間を要さない。
=c11igt+c12prd+c13+c14+… …+d (3)
=c21igt+c22prd+c23+c24+… …+d (4)
ここで、c11、c12、… …、d及びc21、c22、… …、dは演算計数である。
その後、ステップS15において実運転が開始されると、エンジン1の運転状態(エンジン回転数や総燃料噴射量など)を取得し(ステップS16)、着火時期目標値106及び熱発生期間目標値107を特定する(ステップS17)。ここで、エンジン1の運転状態(即ち、エンジン回転数や総燃料噴射量など)と着火時期目標値106及び熱発生期間目標値107との関係は、上述したようにマップとして予め規定されている。
続いてステップS18では、燃焼制御手段40は(3)(4)式について、ステップS17において特定した目標メイン着火時期及び目標熱発生期間を代入することによって、対応するメイン燃料噴射時期適正値とパイロット燃料噴射量適正値とを算出する。
燃焼制御装置40は、現実値としてのメイン燃料噴射時期(X)とパイロット燃料噴射量(X)とを取得し(ステップS19)、下記(5)(6)式に基づいて補正量として求める(ステップS20)。
メイン燃料噴射時期補正量=メイン燃料噴射時期適正値 − 現実のメイン燃料噴射時期 (5)
パイロット燃料噴射量補正量=パイロット燃料噴射量適正値 − 現実のパイロット燃料噴射量 (6)
尚、この制御は、総燃料噴射量(X)、メイン燃料噴射時期(X)、パイロット燃料噴射量(X)、パイロット燃料噴射時期(X)、プレ燃料噴射量(X)、プレ燃料噴射時期(X)、吸気温度(X)、吸気圧力(X)、冷却水温度(X)、潤滑油温度(X10)、エンジン回転数(X11)、吸気O濃度(X12)、空気過剰率(X13)、コモンレール圧力(X14)のうちの複数の制御パラメータ、または全てを制御して行ってもよいが、変数が多いと発散する可能性があり、これらのうちから2つを選択することが好ましい。
図6はエンジン負荷、EGR率、着火時期、熱発生期間、PM発生量の時間変化を示すグラフ図である。この例では、図6(a)(b)に示すように、時刻T1からT2にかけてエンジン負荷の変化に伴いEGR率が変化する場合(即ち、過渡状態)を想定して説明する。尚、図6では、上述したような補正を伴わない場合のデータを比較例として破線で示している。
特許文献1に示す制御を行った場合、着火時期予測モデル式に基づいて3点の着火時期予測値から近似二次曲線を求める必要があるため、算出処理負担が多く、計算に時間が多くかかってしまう。そのため、このような過渡状態に追従した制御は困難であり、図6(c)から(e)において破線で示すように、着火時期及び熱発生期間はエンジン負荷及びEGR率の変化に対して大きく乱れてしまう。即ち、エンジン負荷変化によりEGR量を大きく切替えるときに、EGRガス量の応答遅れなどに伴いエンジン1における燃焼が不安定になり易く、失火、過早着火、燃焼騒音などの種々の不具合が発生してしまう。
一方、本発明では上記制御により補正量を設定することによって、図6(c)から(e)において実線で示すように、着火時期及び熱発生期間のエンジン負荷及びEGR率の変化に対する乱れを抑制することができる。そのため、EGRガス量の応答遅れなどに伴いエンジン1における燃焼が安定し、失火、過早着火、燃焼騒音などの種々の不具合の発生を抑制することができる。
[変形例1]
図7は変形例1に係る燃焼制御装置40の動作を概念的に説明するためのブロック図である。変形例1では補正量演算手段100において求めたメイン燃料噴射時期及びパイロット燃料噴射量についての補正量が、不感帯を有するリミッター140に入力される点において上述の実施例と異なる。尚、当該リミッター140を除く、その他の構成は上述の実施例と同様である。
リミッター140は「制限集団」の一例であり、補正量演算手段100において求めたメイン燃料噴射時期及びパイロット燃料噴射量についての補正量の絶対値が予め定められた所定の範囲を超えないように補正量の値を制限する。これにより、エンジン1の燃焼にとって不適切な数値範囲(例えば、エンジン1が正常に動作することが困難となる制御パラメータ値)になってしまうことを防止できる。
[変形例2]
図8は変形例2に係る燃焼制御装置40の動作を概念的に説明するためのブロック図である。変形例2ではリミッター140の後段側に更にレートリミッター150が配置される点において上述の実施例と異なっている。尚、当該レートリミッター150を除く、その他の構成は上述の実施例と同様である。
上述したように本発明ではエンジン1の燃焼状態が過渡変化した場合においても、良好な追従性を得ることができる。その一方、過渡変化速度が急激な場合、それに伴い補正量の変化速度も急激になり、エンジン1にハンチングなどの種々の不具合が生じてしまうおそれがある。本変形例では、レートリミッター150は「変化速度制限手段」の一例であり、補正量の変化速度を所定値以内に制限するため、このような種々の不具合を効果的に防止することができる。
[変形例3]
図9は変形例3に係る燃焼制御装置40の動作を概念的に説明するためのブロック図である。燃焼制御装置40のうち補正量演算手段100の内部において、上記(5)(6)式にて、メイン燃料噴射時期とパイロット燃料噴射量について適正値と現在値との偏差を補正量としたが、本変形例では当該偏差をPID制御部160に入力することによってPID制御を行う点に解いて、上述の実施例と異なっている。これにより、PID制御部160は補正量算出手段100において算出される補正量をより安定化することができるため、エンジン1の燃焼状態の制御をより精度よく行うことができる。
本発明はディーゼルエンジンなどの内燃機関における燃焼制御装置および燃焼制御方法、特に、内燃機関における着火時期や熱発生期間を燃料噴射時期などのパラメータを制御することにより、運転状態が過渡変化した場合も、燃焼を安定化させられる内燃機関の燃焼制御装置及び燃焼制御方法に利用可能である。
1 エンジン
3 シリンダ
5 ピストン
7 コネクチングロッド
8 クランク軸
9 燃焼室
12 排気過給機
13 吸気通路
15 吸気弁
19 排気通路
21 排気弁
23 EGR通路
25 EGR冷却器
27 EGRバルブ
29 吸気スロットルバルブ
33 インタークーラ
35 燃料ポンプ
37 コモンレール
40 燃焼制御装置
42 燃料噴射弁
50 エアフローセンサ
54 吸気マニホールド圧力センサ
55 吸気マニホールド温度センサ
56 冷却水温度センサ
57 潤滑油温度センサ
59 コモンレール圧力センサ
100 補正量演算手段
140 リミッター
150 レートリミッター
160 PID制御部

Claims (8)

  1. 内燃機関の着火時期及び熱発生期間が前記内燃機関の運転状態に応じて決定される着火時期目標値及び熱発生期間目標値に近づくように、前記内燃機関の複数の制御パラメータを制御する内燃機関の燃焼制御装置において、
    試運転時に取得した前記複数の制御パラメータの実測値に基づいて前記内燃機関の着火時期及び熱発生期間を推定する予測モデル式を、それぞれ前記複数の制御パラメータの一次式として予め作成し、
    実運転時に、前記予測モデル式を前記複数の制御パラメータの各々について解くことにより、前記着火時期目標値及び熱発生期間目標値に対応する各制御パラメータの適正値を求め、該求められた適正値と実際の制御パラメータ値との偏差から前記複数の制御パラメータについての補正量をそれぞれ算出し、
    前記算出された補正量に基づいて前記複数の制御パラメータを制御することを特徴とする内燃機関の燃焼制御装置。
  2. 前記複数の制御パラメータの各々について取り得る数値範囲を複数の領域に分割し、該分割された複数の領域毎に前記予測モデル式を作成することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の燃焼制御装置。
  3. 着火時期をTigt、熱発生期間をTprd、前記複数の制御パラメータをX、X、…、着火時期の予測モデル式における演算係数をa11、a12、… …、b、熱発生期間の予測モデル式における演算係数をa21、a22、… …、bとしたとき、前記内燃機関の着火時期及び熱発生期間を推定する予測モデル式はそれぞれ下記(1)及び(2)式であることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の燃焼制御装置。
    igt=a11+a12+… …+b (1)
    prd=a21+a22+… …+b (2)
  4. 前記複数の制御パラメータは、前記内燃機関の総燃料噴射量、メイン燃料噴射時期、パイロット燃料噴射量、パイロット燃料噴射時期、プレ燃料噴射量、プレ燃料噴射時期、吸気温度、吸気圧力、冷却水温度、潤滑油温度、エンジン回転数、空気過剰率、吸気O濃度、コモンレール圧力を含むことを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の燃焼制御装置。
  5. 前記算出された補正値の絶対値を予め規定された所定値以下に制限するための制限手段を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の内燃機関の燃焼制御装置。
  6. 前記算出された補正値の変化速度を予め規定された所定値以下に制限するための変化速度制限手段を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の内燃機関の燃焼制御装置。
  7. 前記補正量は、PID制御された前記偏差に基づいて算出されることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の内燃機関の燃焼制御装置。
  8. 内燃機関の着火時期及び熱発生期間が前記内燃機関の運転状態に応じて決定される着火時期目標値及び熱発生期間目標値に近づくように、前記内燃機関の複数の制御パラメータを制御する内燃機関の燃焼制御方法において、
    試運転時に取得した前記複数の制御パラメータに基づいて、前記内燃機関の着火時期及び熱発生期間を推定する予測モデル式を、それぞれ前記複数の制御パラメータの一次式として予め作成する予測モデル式作成工程と、
    実運転時に、前記予測モデル式を前記複数の制御パラメータの各々について解くことにより、前記着火時期目標値及び熱発生期間目標値に対応する各制御パラメータの適正値を求め、該求められた適正値と実際の制御パラメータ値との偏差から前記複数の制御パラメータについての補正量をそれぞれ算出する補正量算出工程と、
    前記算出された補正量に基づいて前記複数の制御パラメータを制御する制御工程と
    を備えたことを特徴とする内燃機関の燃焼制御方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015165122A (ja) * 2014-03-03 2015-09-17 本田技研工業株式会社 内燃機関の制御装置
CN114725449A (zh) * 2022-04-22 2022-07-08 湖北工业大学 一种燃料电池发动机出堆温度传感器故障信号重构及预测方法

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