図面を参照して、本発明の第1実施形態、第2実施形態、及びその他の実施形態を説明する。以下の各実施形態における図面において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付す。
以下においては、3GPPで仕様が策定されているLTE(Long Term Evolution)−Advancedに基づいて構成される移動通信システムを主として説明するが、W−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)に基づいて構成される移動通信システム等についても本発明を適用できることに留意されたい。
(1)第1実施形態
第1実施形態に係る端末選択方法は、無線端末UEが、MDTに従った処理であるMDT処理を行うステップと、無線端末UEがMDT処理を行った時刻又は期間に関するMDT時間情報を、無線端末UEからネットワークに送信するステップと、保守監視装置OAMが、無線端末UEからのMDT時間情報に基づいて、当該無線端末UEをMDTに使用するか否かを決定するステップとを備える。
以下、第1実施形態について、(1.1)移動通信システムの全体概略構成、(1.2)無線端末の構成、(1.3)保守監視装置の構成、(1.4)移動通信システムの動作、(1.5)第1実施形態の効果、(1.6)第1実施形態の変更例1、(1.7)第1実施形態の変更例2の順に説明する。
(1.1)移動通信システムの全体概略構成
図1は、第1実施形態に係る移動通信システム1の全体概略構成を示す図である。
図1に示すように、移動通信システム1は、無線端末UE(User Equipment)、複数の無線基地局eNB(evolved Node-B)、保守監視装置OAM(Operation and Maintenance)、複数の移動管理装置MME(Mobility Management Entity)/ゲートウェイ装置S−GW(Serving Gateway)を有する。
複数の無線基地局eNBは、無線アクセスネットワークであるE−UTRAN(Evolved-UMTS Terrestrial Radio Access Network)を構成する。複数の無線基地局eNBのそれぞれは、無線端末UEにサービスを提供すべき通信エリアであるセルを形成する。
無線端末UEは、ユーザが所持する無線通信装置であり、ユーザ装置とも称される。無線端末UEの構成については後述する。
隣接する各無線基地局eNBは、基地局間通信を提供する論理的な通信路であるX2インターフェースを介して互いに通信可能である。複数の無線基地局eNBのそれぞれは、S1インターフェースを介して、EPC(Evolved Packet Core)、具体的には、MME(Mobility Management Entity)/S−GW(Serving Gateway)と通信可能である。また、各無線基地局eNBは、オペレータによって運営される保守監視装置OAMと通信可能である。保守監視装置OAMの構成については後述する。なお、E−UTRAN(無線基地局eNB)及び保守監視装置OAMを併せて適宜「ネットワーク」と称する。
移動通信システム1は、MDT(具体的には、Logged MDT)をサポートする。Logged MDTは、アイドル状態(すなわち待ち受け中)の無線端末が、ネットワークから設定された測定パラメータに従って無線環境の測定を行い、測定結果を位置情報及び時間情報と共にMDTデータとして記録し、記録したMDTデータを後でネットワークに報告するために保持するものである。なお、現状の仕様では、Logged MDTは、アイドル状態の無線端末UEが実行すると規定されている。
(1.2)無線端末の構成
図2は、第1実施形態に係る無線端末UEの構成を示すブロック図である。
図2に示すように、無線端末UEは、アンテナ201、無線通信部210、ユーザインターフェイス部220、GPS受信機230、バッテリ240、記憶部250、及び制御部260を有する。ただし、無線端末UEは、GPS受信機230を有していなくてもよい。
アンテナ201は、無線信号の送受信に用いられる。無線通信部210は、例えば無線周波数(RF)回路やベースバンド(BB)回路等を用いて構成され、アンテナ201を介して無線信号を送受信する。また、無線通信部210は、送信信号の変調と受信信号の復調とを行う。ユーザインターフェイス部220は、ユーザとのインターフェイスとして機能するディスプレイやボタン等である。バッテリ240は、無線端末UEの各ブロックに供給される電力を蓄える。記憶部250は、例えばメモリを用いて構成され、無線端末UEの制御等に用いられる各種の情報を記憶する。制御部260は、例えばCPUを用いて構成され、無線端末UEが備える各種の機能を制御する。
制御部260は、MDT処理部261及びMDT情報管理部262を有する。
MDT処理部261は、MDTに従った処理であるMDT処理を行う。具体的には、MDT処理部261は、Logged MDTにおいて、MDTの測定パラメータを含むMDT Configurationメッセージを無線通信部210が受信した場合に、当該MDT Configurationメッセージに含まれる測定パラメータを自端末に設定し、設定した測定パラメータに従って無線環境の測定を行い、測定結果、位置情報、及び時間情報を含むMDTデータを記録する。MDT処理部261は、アイドル状態からコネクテッド状態に移行した後、ネットワークからの要求に応じて、保持しているMDTデータを送信するよう制御する。
なお、Logged MDTにおいては、測定パラメータは、測定対象(measurements to be logged)、測定トリガ(triggering of logging event)、測定期間(total duration of logging)、絶対時間(network absolute time stamp)、及び測定エリア(measurements area)を含む。ただし、測定エリア(measurements area)は、測定パラメータに含まれなくてもよい。測定対象は、例えば測定を行うべき周波数帯であり、MDT処理部261は、測定対象の周波数帯について参照信号受信電力(RSRP)及び参照信号受信品質(RSRQ)を測定する。測定トリガは、例えば周期的な下りリンクパイロット信号強度測定トリガであり、この領域で測定間隔を設定可能である。無線端末UEは、設定された測定間隔に対応するタイマが満了する際に測定を行う。位置情報は、サービングセルのECGI(E-UTRAN Cell Global Identifier)を含む。また、無線端末UEが測位機能を有している場合、位置情報は、GNSS(Global Navigation Satellite System)位置情報をさらに含む。一方、無線端末UEが測位機能を有していない場合、位置情報は、隣接セルからの受信状態に関するRF(Radio frequency)フィンガープリントをさらに含む。
MDT情報管理部262は、自端末がMDT処理を行った時刻又は期間に関するMDT時間情報を管理する。具体的には、MDT情報管理部262は、以下に示す情報1〜情報3のうちの少なくとも1つを管理する。
(情報1)MDTデータをネットワークに送信した時刻を示す情報。当該情報は、MDT処理部261が、Logged MDTにおいて保持したMDTデータをネットワークに送信した時刻を示す。なお、当該情報は、MDT処理部261がMDTデータを複数回ネットワークに送信している場合には、MDT処理部261がMDTデータを最後にネットワークに送信した時刻を示す。
(情報2)MDTデータを保持した期間に関する情報。当該情報は、MDT処理部261が、Logged MDTにおいて、MDTデータの記録(ロギングとも称される)から、当該MDTデータをネットワークに送信するまでの期間(すなわち、MDTデータを保持した期間)を示す。なお、当該情報は、MDTデータを記録した時刻を示す情報と、当該MDTデータをネットワークに送信した時刻を示す情報との組み合わせによって構成されてもよい。あるいは、当該情報は、測定パラメータの一つである測定期間が満了した時刻を示す情報と、MDTデータをネットワークに送信した時刻を示す情報との組み合わせによって構成されてもよい。
(情報3)測定期間を示す情報。当該情報は、MDT処理部261が、Logged MDTにおける測定パラメータの一つである測定期間を示す。
MDT情報管理部262は、MDT時間情報の送信を要求するUE MDT_Information Requestメッセージを無線通信部210が受信すると、管理しているMDT時間情報と、自端末を識別する端末識別子とを含むUE MDT_Information Reportメッセージを送信するよう制御する。第1実施形態において、MDT情報管理部262及び無線通信部210は、MDTに使用する無線端末UEをネットワークが決定するために、MDT処理を行った時刻又は期間に関するMDT時間情報をネットワークに送信する送信部を構成する。
(1.3)保守監視装置の構成
図3は、第1実施形態に係る保守監視装置OAMの構成を示すブロック図である。
図3に示すように、保守監視装置OAMは、ネットワーク通信部310、記憶部320、及び制御部330を有する。
ネットワーク通信部310は、無線基地局eNBとの通信を行う。記憶部320は、例えばメモリを用いて構成され、保守監視装置OAMの制御等に用いられる各種の情報を記憶する。制御部330は、例えばCPUを用いて構成され、保守監視装置OAMが備える各種の機能を制御する。
制御部330は、情報取得部331、MDT使用端末決定部332、及びMDT制御部333を有する。
情報取得部331は、MDTの開始が決定されると、MDT時間情報の送信を要求するUE MDT_Information Requestメッセージを無線基地局eNBに送信するよう制御する。UE MDT_Information Requestメッセージの送信後、ネットワーク通信部310がUE MDT_Information Reportメッセージを受信すると、情報取得部331は、受信されたUE MDT_Information Reportメッセージに含まれるMDT時間情報及び端末識別子を取得する。
MDT使用端末決定部332は、情報取得部331によって取得されたMDT時間情報に基づいて、端末識別子によって示される、UE MDT_Information Reportメッセージの送信元の無線端末UEをMDTに使用するか否かを決定する。
MDT使用端末決定部332は、MDT時間情報が、MDTデータをネットワークに送信した時刻を示す情報(すなわち、情報1)である場合であって、MDT時間情報によって示される時刻(MDTデータ送信時刻)と現時刻との間の時間差が所定時間未満である場合に、当該無線端末UEをMDTに使用しないと決定する。このように、MDT使用端末決定部332は、前回のMDTに使用された直後の無線端末UEについては、今回のMDTに使用しないように決定する。一方、MDT使用端末決定部332は、MDT時間情報によって示される時刻(すなわちMDTデータ送信時刻)と現時刻との間の時間差が所定時間以上である場合に、当該無線端末UEをMDTに使用すると決定する。
MDT使用端末決定部332は、MDT時間情報が、MDTデータを保持した期間に関する情報(すなわち、情報2)である場合であって、MDTデータを保持した期間が所定時間以上である場合に、当該無線端末UEをMDTに使用しないと決定する。このように、MDT使用端末決定部332は、前回のMDTが長時間に亘った無線端末UEについては、今回のMDTに使用しないように決定する。一方、MDT使用端末決定部332は、MDTデータを保持した期間が所定時間未満である場合に、当該無線端末UEをMDTに使用すると決定する。
さらに、MDT使用端末決定部332は、MDT時間情報が、測定期間を示す情報(すなわち、情報3)である場合であって、当該測定期間が所定時間以上である場合に、当該無線端末UEをMDTに使用しないと決定する。このように、MDT使用端末決定部332は、前回のMDTが長時間に亘った無線端末UEについては、今回のMDTに使用しないように決定する。一方、MDT使用端末決定部332は、測定期間が所定時間未満である場合に、当該無線端末UEをMDTに使用すると決定する。
なお、MDT使用端末決定部332は、MDT使用可否の判定基準として情報1〜3を個別に利用する場合に限らず、情報1〜3を組み合わせて利用してもよい。例えば、MDT使用端末決定部332は、情報1に基づく判定がOK(MDT使用可)であり、且つ、情報2に基づく判定又は情報3に基づく判定の何れか一方がOKである場合に、当該無線端末UEをMDTに使用すると決定してもよい。また、MDT使用端末決定部332は、情報2に基づく判定又は情報3に基づく判定の少なくとも一方がOKであっても、情報1に基づく判定がNG(MDT使用不可)である場合には、当該無線端末UEをMDTに使用しないと決定してもよい。
MDT制御部333は、MDTに使用すると決定した無線端末UEの接続先の無線基地局eNB(すなわちUE MDT_Information Reportメッセージを転送した無線基地局eNB)に対し、測定パラメータを指定してMDT Configurationメッセージの送信要求を送信する。当該送信要求は、上記端末識別子を含む。また、MDT制御部333は、無線基地局eNBを介して無線端末UEからMDTデータ(測定結果や位置情報)が報告されると、報告されたMDTデータを蓄積する。蓄積されたMDTデータは、例えばE−UTRANの最適化に使用される。
(1.4)移動通信システムの動作
次に、(1.4.1)Logged MDTの具体例、(1.4.2)第1実施形態に係る端末選択方法について説明する。
(1.4.1)Logged MDTの具体例
図4は、Logged MDTの具体例を示すシーケンス図である。図4の初期状態では、無線端末UEは、接続状態であり、無線基地局eNBとの無線通信を行っているものとする。
図4に示すように、ステップS11において、保守監視装置OAMは、移動管理装置MMEの情報等を参照して、MDTに使用する無線端末UEを選択し、選択した無線端末UEに設定する測定パラメータを決定する。そして、保守監視装置OAMは、選択した無線端末UEの情報、及び決定した測定パラメータの情報を無線基地局eNBに送信する(図4中のconfiguration指示S11)。
ステップS12において、無線基地局eNBは、保守監視装置OAMから受信した情報に応じて、測定パラメータを設定するためのMDT Configurationメッセージを生成し、生成したMDT Configurationメッセージを無線端末UEに送信する。無線端末UEは、MDT Configurationメッセージを受信すると、受信したMDT Configurationメッセージに含まれる測定パラメータを自端末に設定する。また、無線端末UEは、測定パラメータの設定時に、測定期間のタイマ(duration timer)を起動する。
ステップS13において、無線端末UEは、接続状態からアイドル状態に移行する。
ステップS14において、無線端末UEは、設定した測定パラメータに従って無線環境の測定を行うとともに、当該測定の結果を含むMDTデータを記録する。
ステップS15において、無線端末UEは、測定期間のタイマが満了すると、ロギング(測定及び記録)を終了する。
ステップS16において、無線端末UEは、無線基地局eNBとの接続処理を行う。なお、無線端末UEの接続先となる無線基地局eNBは、MDT Configurationメッセージの送信元の無線基地局eNBとは異なるものである可能性が高い。
ステップS17において、無線端末UEは、アイドル状態から接続状態に移行する。
ステップS18において、無線端末UEは、アイドル状態から接続状態への移行が完了したことを示すRRCConnectionSetupCompleteメッセージを無線基地局eNBに送信する。その際、無線端末UEは、MDTデータを保持していることを示す保持情報をRRCConnectionSetupCompleteメッセージに含めて送信する。
無線基地局eNBは、保持情報を含むRRCConnectionSetupCompleteメッセージを無線端末UEから受信すると、ステップS19において、無線端末UEがMDTデータを保持している旨の情報を保守監視装置OAMに送信する。保守監視装置OAMは、無線端末UEが保持するMDTデータを収集するか否かを判断する。
保守監視装置OAMが、無線端末UEが保持するMDTデータを収集すると決定した場合、ステップS20において、保守監視装置OAMは、無線端末UEが保持するMDTデータを収集することを指示する旨の情報を無線基地局eNBに送信する。
無線基地局eNBは、無線端末UEが保持するMDTデータを収集することを指示する旨の情報を保守監視装置OAMから受信すると、ステップS21において、UEInformationRequestメッセージを生成し、生成したUEInformationRequestメッセージを無線端末UEに送信する。
無線端末UEは、UEInformationRequestメッセージを無線基地局eNBから受信すると、ステップS22において、保持しているMDTデータを取得し、取得したMDTデータを含むUEInformationResponseメッセージを生成し、生成したUEInformationResponseメッセージを無線基地局eNBに送信する。このようにしてMDTデータがネットワークに報告されると、無線端末UEは、保持しているMDTデータを削除する。
無線基地局eNBは、UEInformationResponseメッセージを無線端末UEから受信すると、ステップS23において、受信したUEInformationResponseメッセージに含まれるMDTデータを取得し、取得したMDTデータを保守監視装置OAMに送信する。
(1.4.2)第1実施形態に係る端末選択方法
図5は、第1実施形態に係る端末選択方法を示すシーケンス図である。
図5に示すように、ステップS101において、保守監視装置OAMは、MDTを開始することが決定されると、MDT時間情報の送信を要求するUE MDT_Information Requestメッセージを、E−UTRANを構成する少なくとも1つの無線基地局eNBに送信する。無線基地局eNBは、UE MDT_Information Requestメッセージを受信する。
ステップS102において、無線基地局eNBは、MDT時間情報の送信を要求するUE MDT_Information Requestメッセージを、自局に接続中の無線端末UEに送信する。無線端末UEは、UE MDT_Information Requestメッセージを受信する。
ステップS103において、無線端末UEは、MDT時間情報と、自端末を識別する端末識別子とを含むUE MDT_Information Reportメッセージを無線基地局eNBに送信する。ここで、MDT時間情報は、情報1(MDTデータをネットワークに送信した時刻を示す情報)、情報2(MDTデータを保持した期間に関する情報)、情報3(測定期間を示す情報)のうちの少なくとも1つである。無線基地局eNBは、UE MDT_Information Reportメッセージを受信する。
ステップS104において、無線基地局eNBは、無線端末UEから受信したUE MDT_Information Reportメッセージを保守監視装置OAMに転送する。保守監視装置OAMは、UE MDT_Information Reportメッセージを受信する。
ステップS105において、保守監視装置OAMは、受信したUE MDT_Information Reportメッセージに含まれるMDT時間情報及び端末識別子を取得し、取得したMDT時間情報に基づいて、端末識別子によって示される、UE MDT_Information Reportメッセージの送信元の無線端末UEをMDTに使用するか否かを決定する。
ここで、保守監視装置OAMは、MDT時間情報が、MDTデータをネットワークに送信した時刻を示す情報(すなわち、情報1)である場合であって、MDT時間情報によって示される時刻(MDTデータ送信時刻)と現時刻との間の時間差が所定時間未満である場合に、当該無線端末UEをMDTに使用しないと決定する。このように、保守監視装置OAMは、前回のMDTに使用された直後の無線端末UEについては、今回のMDTに使用しないように決定する。
保守監視装置OAMは、MDT時間情報が、MDTデータを保持した期間に関する情報(すなわち、情報2)である場合であって、MDTデータを保持した期間が所定時間以上である場合に、当該無線端末UEをMDTに使用しないと決定する。このように、保守監視装置OAMは、前回のMDTが長時間に亘った無線端末UEについては、今回のMDTに使用しないように決定する。
さらに、保守監視装置OAMは、MDT時間情報が、測定期間を示す情報(すなわち、情報3)である場合であって、当該測定期間が所定時間以上である場合に、当該無線端末UEをMDTに使用しないと決定する。このように、保守監視装置OAMは、前回のMDTが長時間に亘った無線端末UEについては、今回のMDTに使用しないように決定する。
なお、保守監視装置OAMは、上述したように、MDT使用可否の判定基準として情報1〜3を個別に利用する場合に限らず、情報1〜3を組み合わせて利用してもよい。
当該無線端末UEをMDTに使用すると決定した場合、ステップS106において、保守監視装置OAMは、UE MDT_Information Reportメッセージを転送した無線基地局eNBに対し、MDT Configurationメッセージの送信指示(図5中のconfiguration指示S106)を送信する。当該送信指示は、上記端末識別子と測定パラメータとを含む。無線基地局eNBは、MDT Configurationメッセージの送信指示を受信する。
ステップS107において、無線基地局eNBは、受信した送信指示に従ってMDT Configurationメッセージを無線端末UEに送信する。無線端末UEは、MDT Configurationメッセージを受信すると、MDT Configurationメッセージに含まれる測定パラメータを自端末に設定し、MDT処理を開始する。
(1.5)第1実施形態の効果
以上説明したように、第1実施形態によれば、保守監視装置OAMは、無線端末UEがMDT処理を行った時刻又は期間に関するMDT時間情報に基づいて無線端末UEをMDTに使用するか否かを決定する。これにより、前回のMDTに使用された直後の無線端末UEや、長時間に亘るMDTを行った無線端末UEについては、今回のMDTに使用しないように決定することができる。従って、MDTの負荷が特定の無線端末UEに集中する可能性を低減できる。
(1.6)第1実施形態の変更例1
上述した第1実施形態では、保守監視装置OAM及び無線基地局eNBは、MDT時間情報の送信を要求するUE MDT_Information Requestメッセージを無線端末UEに送信し、無線端末UEは、UE MDT_Information Requestメッセージの受信に応答してUE MDT_Information Reportメッセージを無線基地局eNBに送信していた。しかしながら、MDT Configurationメッセージの送信に先立つネゴシエーションの過程で、UE MDT_Information Reportメッセージを無線端末UEが無線基地局eNBに送信してもよい。
図6は、本変更例に係る端末選択方法を示すシーケンス図である。
図6に示すように、ステップS201において、保守監視装置OAMは、無線端末UEに測定パラメータを設定すると決定すると、無線端末UEとのネゴシエーションを行うためのMDT Configuration Negotiationメッセージ(所定のメッセージ)を無線基地局eNBに送信する。無線基地局eNBは、MDT Configuration Negotiationメッセージを受信する。
ステップS202において、無線基地局eNBは、MDT Configuration Negotiationメッセージを無線端末UEに送信する。無線端末UEは、MDT Configuration Negotiationメッセージを受信する。
ステップS203において、無線端末UEは、MDT時間情報と、自端末を識別する端末識別子とを含むUE MDT_Information Reportメッセージを無線基地局eNBに送信する。無線基地局eNBは、UE MDT_Information Reportメッセージを受信する。以降の処理は、第1実施形態と同様である。
(1.7)第1実施形態の変更例2
上述した第1実施形態では、ネットワークが1つの無線端末UEからUE MDT_Information Reportメッセージを受信するケースを説明したが、複数の無線端末UEから一斉にUE MDT_Information Reportメッセージを受信してもよい。
図7は、本変更例に係る端末選択方法を示すシーケンス図である。
図7に示すように、ステップS301において、保守監視装置OAMは、MDTの開始が決定されると、MDT時間情報の送信を要求するUE MDT_Information Requestメッセージを、E−UTRANを構成する複数の無線基地局eNBに送信する。複数の無線基地局eNBのそれぞれは、UE MDT_Information Requestメッセージを受信する。
ステップS302において、複数の無線基地局eNBのそれぞれは、MDT時間情報の送信を要求するUE MDT_Information Requestメッセージを、自局に接続する無線端末UEに送信する。複数の無線端末UEのそれぞれは、UE MDT_Information Requestメッセージを受信する。
ステップS303において、複数の無線端末UEのそれぞれは、自端末が管理するMDT時間情報と、自端末を識別する端末識別子とを含むUE MDT_Information Reportメッセージを無線基地局eNBに送信する。複数の無線基地局eNBのそれぞれは、UE MDT_Information Reportメッセージを受信する。
ステップS304において、複数の無線基地局eNBのそれぞれは、無線端末UEから受信したUE MDT_Information Reportメッセージを保守監視装置OAMに転送する。保守監視装置OAMは、UE MDT_Information Reportメッセージを受信する。
ステップS305において、保守監視装置OAMは、受信したUE MDT_Information Reportメッセージのそれぞれに含まれるMDT時間情報及び端末識別子を取得し、取得したMDT時間情報に基づいて、端末識別子によって示される、UE MDT_Information Reportメッセージの送信元の無線端末UEをMDTに使用するか否かを決定する。ここでは、第1実施形態で説明した方法以外にも、複数の無線端末UEの相対比較によって、MDTに使用する無線端末UEを決定してもよい。
ステップS306において、保守監視装置OAMは、MDTに使用する無線端末UEに対応するUE MDT_Information Reportメッセージを転送した無線基地局eNBに対し、MDT Configurationメッセージの送信指示(図7中のconfiguration指示S306)を送信する。当該送信指示は、MDTに使用する無線端末UEの端末識別子と、測定パラメータとを含む。無線基地局eNBは、MDT Configurationメッセージの送信指示を受信する。
ステップS307において、無線基地局eNBは、受信した送信指示に従ってMDT Configurationメッセージを無線端末UEに送信する。無線端末UEは、MDT Configurationメッセージを受信すると、MDT Configurationメッセージに含まれる測定パラメータを自端末に設定し、MDT処理を開始する。
(2)第2実施形態
上述した第1実施形態では、MDTに使用する無線端末UEを保守監視装置OAMが選択していたが、第2実施形態では、MDTに使用する無線端末UEを無線基地局eNBが選択する。すなわち、第2実施形態に係る端末選択方法は、無線端末UEが、MDTに従った処理であるMDT処理を行うステップと、無線端末UEがMDT処理を行った時刻又は期間に関するMDT時間情報を、無線端末UEからネットワークに送信するステップと、無線基地局eNBが、無線端末UEからのMDT時間情報に基づいて、当該無線端末UEをMDTに使用するか否かを決定するステップとを備える。
以下、第2実施形態について、(2.1)無線基地局の構成、(2.2)第2実施形態に係る端末選択方法、(2.3)第2実施形態の効果、(2.4)第2実施形態の変更例1、(2.5)第2実施形態の変更例2、(2.6)第2実施形態の変更例3の順に説明する。なお、第1実施形態との相違点を主として説明し、重複する説明を省略する。
(2.1)無線基地局の構成
図8は、第2実施形態に係る無線基地局eNBの構成を示すブロック図である。
図8に示すように、無線基地局eNBは、アンテナ101、無線通信部110、ネットワーク通信部120、記憶部130、及び制御部140を有する。
アンテナ101は、無線信号の送受信に用いられる。無線通信部110は、例えば無線周波数(RF)回路やベースバンド(BB)回路等を用いて構成され、アンテナ101を介して無線信号を送受信する。また、無線通信部110は、送信信号の変調と受信信号の復調とを行う。ネットワーク通信部120は、他のネットワーク装置(保守監視装置OAMや他の無線基地局eNB等)との通信を行う。記憶部130は、例えばメモリを用いて構成され、無線基地局eNBの制御等に用いられる各種の情報を記憶する。制御部140は、例えばCPUを用いて構成され、無線基地局eNBが備える各種の機能を制御する。
制御部140は、情報取得部141、MDT使用端末決定部142、及びMDT制御部143を有する。
情報取得部141は、MDTの開始が決定されると、MDT時間情報の送信を要求するUE MDT_Information Requestメッセージを、自局に接続する無線端末UEに送信するよう制御する。UE MDT_Information Requestメッセージの送信後、無線通信部110がUE MDT_Information Reportメッセージを受信すると、情報取得部141は、受信されたUE MDT_Information Reportメッセージに含まれるMDT時間情報及び端末識別子を取得する。
MDT使用端末決定部142は、情報取得部141によって取得されたMDT時間情報に基づいて、端末識別子によって示される無線端末UEをMDTに使用するか否かを決定する。
MDT使用端末決定部142は、MDT時間情報が、MDTデータをネットワークに送信した時刻を示す情報(すなわち、情報1)である場合であって、MDT時間情報によって示される時刻(MDTデータ送信時刻)と現時刻との間の時間差が所定時間未満である場合に、当該無線端末UEをMDTに使用しないと決定する。このように、MDT使用端末決定部142は、前回のMDTに使用された直後の無線端末UEについては、今回のMDTに使用しないように決定する。一方、MDT使用端末決定部142は、MDT時間情報によって示される時刻(すなわちMDTデータ送信時刻)と現時刻との間の時間差が所定時間以上である場合に、当該無線端末UEをMDTに使用すると決定する。
MDT使用端末決定部142は、MDT時間情報が、MDTデータを保持した期間に関する情報(すなわち、情報2)である場合であって、MDTデータを保持した期間が所定時間以上である場合に、当該無線端末UEをMDTに使用しないと決定する。このように、MDT使用端末決定部142は、前回のMDTが長時間に亘った無線端末UEについては、今回のMDTに使用しないように決定する。一方、MDT使用端末決定部142は、MDTデータを保持した期間が所定時間未満である場合に、当該無線端末UEをMDTに使用すると決定する。
さらに、MDT使用端末決定部142は、MDT時間情報が、測定期間を示す情報(すなわち、情報3)である場合であって、当該測定期間が所定時間以上である場合に、当該無線端末UEをMDTに使用しないと決定する。このように、MDT使用端末決定部142は、前回のMDTが長時間に亘った無線端末UEについては、今回のMDTに使用しないように決定する。一方、MDT使用端末決定部142は、測定期間が所定時間未満である場合に、当該無線端末UEをMDTに使用すると決定する。
なお、MDT使用端末決定部142は、MDT使用可否の判定基準として情報1〜3を個別に利用する場合に限らず、情報1〜3を組み合わせて利用してもよい。例えば、MDT使用端末決定部142は、情報1に基づく判定がOK(MDT使用可)であり、且つ、情報2に基づく判定又は情報3に基づく判定の何れか一方がOKである場合に、当該無線端末UEをMDTに使用すると決定してもよい。また、MDT使用端末決定部142は、情報2に基づく判定又は情報3に基づく判定の少なくとも一方がOKであっても、情報1に基づく判定がNG(MDT使用不可)である場合には、当該無線端末UEをMDTに使用しないと決定してもよい。
MDT制御部143は、MDTに使用すると決定した無線端末UEに対し、測定パラメータを指定してMDT Configurationメッセージを送信するよう制御する。MDT制御部143は、無線端末UEからのMDTデータ(測定結果や位置情報)が報告されると、報告されたMDTデータを蓄積する。蓄積されたMDTデータは、例えばE−UTRANの最適化に使用される。
(2.2)第2実施形態に係る端末選択方法
図9は、第2実施形態に係る端末選択方法を示すシーケンス図である。
ステップS401において、無線基地局eNBは、MDTの開始が決定されると、MDT時間情報の送信を要求するUE MDT_Information Requestメッセージを自局に接続中の無線端末UEに送信する。無線端末UEは、UE MDT_Information Requestメッセージを受信する。
ステップS402において、無線端末UEは、MDT時間情報と、自端末を識別する端末識別子とを含むUE MDT_Information Reportメッセージを無線基地局eNBに送信する。無線基地局eNBは、UE MDT_Information Reportメッセージを受信する。
ステップS403において、無線基地局eNBは、受信したUE MDT_Information Reportメッセージに含まれるMDT時間情報及び端末識別子を取得し、取得したMDT時間情報に基づいて、端末識別子によって示される無線端末UEをMDTに使用するか否かを決定する。
当該無線端末UEをMDTに使用すると決定した場合、ステップS404において、無線基地局eNBは、MDT Configurationメッセージを無線端末UEに送信する。無線端末UEは、MDT Configurationメッセージを受信すると、MDT Configurationメッセージに含まれる測定パラメータを自端末に設定し、MDT処理を開始する。
(2.3)第2実施形態の効果
以上説明したように、第2実施形態によれば、無線基地局eNBは、無線端末UEがMDT処理を行った時刻又は期間に関するMDT時間情報に基づいて無線端末UEをMDTに使用するか否かを決定する。これにより、MDTに使用された直後の無線端末UEや、長時間に亘るMDTを行った無線端末UEについては、MDTに使用しないように決定することができる。従って、MDTの負荷が特定の無線端末UEに集中する可能性を低減できる。
(2.4)第2実施形態の変更例1
上述した第2実施形態では、無線基地局eNBは、MDT時間情報の送信を要求するUE MDT_Information Requestメッセージを無線端末UEに送信し、無線端末UEは、UE MDT_Information Requestメッセージの受信に応答してUE MDT_Information Reportメッセージを無線基地局eNBに送信していた。しかしながら、MDT Configurationメッセージの送信に先立つネゴシエーションの過程で、UE MDT_Information Reportメッセージを無線端末UEが無線基地局eNBに送信してもよい。
図10は、本変更例に係る端末選択方法を示すシーケンス図である。
図10に示すように、ステップS501において、無線基地局eNBは、無線端末UEに測定パラメータを設定すると決定すると、無線端末UEとのネゴシエーションを行うためのMDT Configuration Negotiationメッセージを無線端末UEに送信する。無線端末UEは、MDT Configuration Negotiationメッセージを受信する。
ステップS502において、無線端末UEは、MDT時間情報と、自端末を識別する端末識別子とを含むUE MDT_Information Reportメッセージを無線基地局eNBに送信する。無線基地局eNBは、UE MDT_Information Reportメッセージを受信する。以降の処理は、第2実施形態と同様である。
(2.5)第2実施形態の変更例2
上述した第2実施形態では、無線基地局eNBが1つの無線端末UEからUE MDT_Information Reportメッセージを受信するケースを説明したが、複数の無線端末UEから一斉にUE MDT_Information Reportメッセージを受信してもよい。
図11は、本変更例に係る端末選択方法を示すシーケンス図である。
図11に示すように、ステップS601において、無線基地局eNBは、MDTの開始が決定されると、MDT時間情報の送信を要求するUE MDT_Information Requestメッセージを自局に接続する複数の無線端末UEに送信する。複数の無線端末UEのそれぞれは、UE MDT_Information Requestメッセージを受信する。
ステップS602において、複数の無線端末UEのそれぞれは、自端末で管理しているMDT時間情報と、自端末を識別する端末識別子とを含むUE MDT_Information Reportメッセージを無線基地局eNBに送信する。無線基地局eNBは、UE MDT_Information Reportメッセージを受信する。
ステップS603において、無線基地局eNBは、受信したUE MDT_Information Reportメッセージのそれぞれに含まれるMDT時間情報及び端末識別子を取得し、取得したMDT時間情報に基づいて、端末識別子によって示される無線端末UEをMDTに使用するか否かを決定する。ここでは、第2実施形態で説明した方法以外にも、複数の無線端末UEの相対比較によって、MDTに使用する無線端末UEを決定してもよい。
ステップS604において、無線基地局eNBは、MDTに使用する無線端末UEに対し、MDT Configurationメッセージを送信する。無線端末UEは、MDT Configurationメッセージを受信すると、MDT Configurationメッセージに含まれる測定パラメータを自端末に設定し、MDT処理を開始する。
(2.6)第2実施形態の変更例3
上述した第2実施形態においては、無線基地局eNBは、MDT時間情報を無線端末UEから取得していたが、保守監視装置OAMがMDT時間情報を管理している場合には保守監視装置OAMから取得してもよい。
図12は、本変更例に係る端末選択方法を示すシーケンス図である。
図12に示すように、ステップS701において、無線基地局eNBは、MDTの開始が決定されると、MDT時間情報の送信要求を保守監視装置OAMに送信する。当該送信要求は、無線基地局eNBに接続する無線端末UEの端末識別子を含む。
保守監視装置OAMは、MDT時間情報を端末識別子と対応付けて管理している。保守監視装置OAMは、MDT時間情報の送信要求を無線基地局eNBから受信すると、ステップS702において、当該送信要求に含まれる端末識別子に対応するMDT時間情報と端末識別子とを含む応答メッセージを無線基地局eNBに送信する。
ステップS703において、無線基地局eNBは、受信した応答メッセージに含まれるMDT時間情報及び端末識別子を取得し、端末識別子によって示される無線端末UEをMDTに使用するか否かを決定する。
当該無線端末UEをMDTに使用すると決定した場合、ステップS704において、無線基地局eNBは、MDT Configurationメッセージを当該無線端末UEに送信する。無線端末UEは、MDT Configurationメッセージを受信すると、MDT Configurationメッセージに含まれる測定パラメータを自端末に設定し、MDT処理を開始する。
(3)その他の実施形態
上記のように、本発明は各実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
上述した各実施形態及び各変更例では、MDT時間情報の一例が、無線端末UEがMDTデータをネットワークに送信した時刻を示す情報であると説明した。しかしながら、無線端末UEがMDTデータをネットワークに送信した時刻を示す情報に代えて、無線端末UEがMDTデータの送信をネットワークから要求された時刻を示す情報をMDT時間情報として使用してもよい。
また、上述した各実施形態及び各変更例は、別個独立に実施してもよく、相互に組み合わせて実施してもよい。また、上述した各実施形態及び各変更例では、MDT専用のメッセージ(UE MDT_Information Requestメッセージ、UE MDT_Information Reportメッセージ)を用いる例を説明したが、これらのメッセージが他のメッセージに組み込まれていてもよい。
さらに、上述した各実施形態及び各変更例では、Logged MDTを主として説明したが、即座報告型のMDT(Immediate MDTと称される)に本発明を適用してもよい。Immediate MDTは、コネクテッド状態(すなわち通信実行中)の無線端末が、無線環境の測定を行い、測定結果及び位置情報をネットワークに報告するものである。
このように本発明は、ここでは記載していない様々な実施形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ限定されるものである。