JP2012082311A - 燃料 - Google Patents
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Abstract
【課題】カラス等の鳥獣類を寄せ付け易い有機質の成分を含む場合であっても、カラス等の鳥獣類を寄せ付けず、低コストであり、臭気によって作業環境を悪化させることがない固体状の燃料を提供する。
【解決手段】廃油吸収材、廃油、及びフェノール類含有廃液を含む燃料。廃油吸収材としては、木屑、藁屑、廃畳の破砕物、廃棄物固形燃料、紙屑、合成樹脂製の発泡成形体の破砕物、高分子吸収材の破砕物、肉骨粉、畜産堆肥化物、食品廃棄物、使用済みの食品容器の破砕物、廃白土、下水汚泥の乾燥物等が挙げられる。フェノール類含有廃液は、好ましくは、pHが6以下でかつフェノール類(例えば、フェノール、クレゾール等)の含有率が0.01〜10質量%の廃液である。フェノール類含有廃液の例としては、フェノール樹脂の製造工場、医薬品の中間体の製造工場等で発生する廃液が挙げられる。
【選択図】なし
【解決手段】廃油吸収材、廃油、及びフェノール類含有廃液を含む燃料。廃油吸収材としては、木屑、藁屑、廃畳の破砕物、廃棄物固形燃料、紙屑、合成樹脂製の発泡成形体の破砕物、高分子吸収材の破砕物、肉骨粉、畜産堆肥化物、食品廃棄物、使用済みの食品容器の破砕物、廃白土、下水汚泥の乾燥物等が挙げられる。フェノール類含有廃液は、好ましくは、pHが6以下でかつフェノール類(例えば、フェノール、クレゾール等)の含有率が0.01〜10質量%の廃液である。フェノール類含有廃液の例としては、フェノール樹脂の製造工場、医薬品の中間体の製造工場等で発生する廃液が挙げられる。
【選択図】なし
Description
本発明は、燃料に関し、より詳しくは、木屑等の廃油吸収材に廃油等の液体成分を吸収させてなる固体状の燃料に関する。
従来から、固体状の燃料の一部に廃油を用いる技術が、種々提案されている。
一例として、廃油と廃油吸収材との混合物である廃油系廃棄物を、セメント製造設備であるNSPキルンの仮焼炉に投入し、該廃油系廃棄物をセメント製造用燃料として利用することを特徴とする、廃油系廃棄物の利用方法が、提案されている(特許文献1)。
他の例として、(a)特定のバイオマス(例えば、廃畳の破砕物等)40〜95質量部、(b)特定の有機質粉体(例えば、肉骨粉等)60〜5質量部(ただし、(a)+(b)=100質量部)、及び、(c)油泥(例えば、オイルスラッジ、廃食用油等)30〜300質量部を含む無定形の有機質混合物からなることを特徴とする燃料が、提案されている(特許文献2)。
一例として、廃油と廃油吸収材との混合物である廃油系廃棄物を、セメント製造設備であるNSPキルンの仮焼炉に投入し、該廃油系廃棄物をセメント製造用燃料として利用することを特徴とする、廃油系廃棄物の利用方法が、提案されている(特許文献1)。
他の例として、(a)特定のバイオマス(例えば、廃畳の破砕物等)40〜95質量部、(b)特定の有機質粉体(例えば、肉骨粉等)60〜5質量部(ただし、(a)+(b)=100質量部)、及び、(c)油泥(例えば、オイルスラッジ、廃食用油等)30〜300質量部を含む無定形の有機質混合物からなることを特徴とする燃料が、提案されている(特許文献2)。
一方、肉骨粉等の有機質の成分を含む固体状の燃料を、屋外または屋内に保管しているときに、カラス等の鳥獣類が、固体状の燃料に群がって、これら燃料を周囲に散らかしたり、糞尿による汚れを生じさせることがある。
これら鳥獣類を寄せ付けないための技術として、例えば、木酢液と、この木酢液が化学変化を妨げて安定度を増し、かつ徐々に気化するための添加剤であり常温で液状又は固体である安定剤(例えば、グリセリン脂肪酸エステル類)と、散布対象物の防臭及び腐敗防止のために対象物の微生物を殺菌する殺菌剤(例えば、殺菌性のある両性界面活性剤)とからなる鳥獣類の忌避液が、提案されている(特許文献3)。この鳥獣類の忌避液は、スプレーによる散布、塗布、浸漬などの方法で、生ゴミ袋の外側等の付着場所に薄膜を付着させて用いられるものである。
なお、殺菌剤の一例として、クレゾールが知られている。クレゾールを用いた組成物の例として、例えば、アンモニアと錯体を形成する金属イオン(例えば、Znイオン)と、抗菌成分(例えば、クレゾール)とを含有し、pHが3.5〜8.4であることを特徴とするアンモニア性臭気の消臭組成物が、提案されている(特許文献4)。
これら鳥獣類を寄せ付けないための技術として、例えば、木酢液と、この木酢液が化学変化を妨げて安定度を増し、かつ徐々に気化するための添加剤であり常温で液状又は固体である安定剤(例えば、グリセリン脂肪酸エステル類)と、散布対象物の防臭及び腐敗防止のために対象物の微生物を殺菌する殺菌剤(例えば、殺菌性のある両性界面活性剤)とからなる鳥獣類の忌避液が、提案されている(特許文献3)。この鳥獣類の忌避液は、スプレーによる散布、塗布、浸漬などの方法で、生ゴミ袋の外側等の付着場所に薄膜を付着させて用いられるものである。
なお、殺菌剤の一例として、クレゾールが知られている。クレゾールを用いた組成物の例として、例えば、アンモニアと錯体を形成する金属イオン(例えば、Znイオン)と、抗菌成分(例えば、クレゾール)とを含有し、pHが3.5〜8.4であることを特徴とするアンモニア性臭気の消臭組成物が、提案されている(特許文献4)。
上述のとおり、肉骨粉等の有機質の成分を含む固体状の燃料を屋外または屋内に保管しているときに、カラス等の鳥獣類が固体状の燃料を周囲に散らかすなどの問題がある。
この解決手段として、例えば、前記の特許文献3に記載されている鳥獣類の忌避液を用いることが考えられる。しかし、この忌避液は、木酢液、グリセリン脂肪酸エステル類等を含むため、高コストである。また、この忌避液は、スプレーによる散布等の方法で用いられるものであり、使用時に散布等の作業を必要とする。この点、例えば、固体状の燃料に予め鳥獣類の忌避成分を含ませておけば、散布等の作業が不要になると考えられる。
一方、鳥獣類の忌避液等の薬剤を用いた場合に、薬剤の臭いによって、固体状の燃料の周囲の作業環境が悪くならないことが求められる。
そこで、本発明は、カラス等の鳥獣類を寄せ付け易い有機質の成分を含む場合であっても、カラス等の鳥獣類をほとんど寄せ付けず、低コストであり、臭気によって作業環境を悪化させることがない固体状の燃料を提供することを目的とする。
この解決手段として、例えば、前記の特許文献3に記載されている鳥獣類の忌避液を用いることが考えられる。しかし、この忌避液は、木酢液、グリセリン脂肪酸エステル類等を含むため、高コストである。また、この忌避液は、スプレーによる散布等の方法で用いられるものであり、使用時に散布等の作業を必要とする。この点、例えば、固体状の燃料に予め鳥獣類の忌避成分を含ませておけば、散布等の作業が不要になると考えられる。
一方、鳥獣類の忌避液等の薬剤を用いた場合に、薬剤の臭いによって、固体状の燃料の周囲の作業環境が悪くならないことが求められる。
そこで、本発明は、カラス等の鳥獣類を寄せ付け易い有機質の成分を含む場合であっても、カラス等の鳥獣類をほとんど寄せ付けず、低コストであり、臭気によって作業環境を悪化させることがない固体状の燃料を提供することを目的とする。
本発明者は、木屑等の廃油吸収材に廃油及びフェノール類含有廃液を吸収させてなる固体状の燃料によれば、前記の目的を達成しうることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[7]を提供するものである。
[1] 廃油吸収材、廃油、及びフェノール類含有廃液を含むことを特徴とする燃料。
[2] 前記フェノール類含有廃液は、pHが6以下でかつフェノール類の含有率が0.01〜10質量%の廃液である、前記[1]に記載の燃料。
[3] 前記フェノール類含有廃液に含まれるフェノール類が、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、及びp−クレゾールから選ばれる1種以上を含む、前記[1]又は[2]に記載の燃料。
[4] 前記フェノール類含有廃液が、化成品の製造工場で発生する廃液、医薬品の中間体の製造工場で発生する廃液、タール製品の製造工場で発生する廃液、及び、石油化学工場で発生する廃液から選ばれる1種以上を含む、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の燃料。
[5] 前記廃油100質量部に対して、前記フェノール類含有廃液の量が1〜300質量部である、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の燃料。
[6] 前記廃油吸収材100質量部に対して、前記フェノール類含有廃液の量が0.01〜20質量部であり、前記廃油及びフェノール類含有廃液の合計量が2〜300質量部である、前記[1]〜[5]のいずれかに記載の燃料。
[7] 上記廃油吸収材が、木屑、藁屑、廃畳の破砕物、廃棄物固形燃料、紙屑、合成樹脂製の発泡成形体の破砕物、高分子吸収材の破砕物、肉骨粉、畜産堆肥化物、食品廃棄物、使用済みの食品容器の破砕物、廃白土、及び、下水汚泥の乾燥物から選ばれる1種以上を含む、前記[1]〜[6]のいずれかに記載の燃料。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[7]を提供するものである。
[1] 廃油吸収材、廃油、及びフェノール類含有廃液を含むことを特徴とする燃料。
[2] 前記フェノール類含有廃液は、pHが6以下でかつフェノール類の含有率が0.01〜10質量%の廃液である、前記[1]に記載の燃料。
[3] 前記フェノール類含有廃液に含まれるフェノール類が、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、及びp−クレゾールから選ばれる1種以上を含む、前記[1]又は[2]に記載の燃料。
[4] 前記フェノール類含有廃液が、化成品の製造工場で発生する廃液、医薬品の中間体の製造工場で発生する廃液、タール製品の製造工場で発生する廃液、及び、石油化学工場で発生する廃液から選ばれる1種以上を含む、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の燃料。
[5] 前記廃油100質量部に対して、前記フェノール類含有廃液の量が1〜300質量部である、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の燃料。
[6] 前記廃油吸収材100質量部に対して、前記フェノール類含有廃液の量が0.01〜20質量部であり、前記廃油及びフェノール類含有廃液の合計量が2〜300質量部である、前記[1]〜[5]のいずれかに記載の燃料。
[7] 上記廃油吸収材が、木屑、藁屑、廃畳の破砕物、廃棄物固形燃料、紙屑、合成樹脂製の発泡成形体の破砕物、高分子吸収材の破砕物、肉骨粉、畜産堆肥化物、食品廃棄物、使用済みの食品容器の破砕物、廃白土、及び、下水汚泥の乾燥物から選ばれる1種以上を含む、前記[1]〜[6]のいずれかに記載の燃料。
本発明の燃料は、臭気を発生し易い肉骨粉等の有機質の成分を含む場合であっても、カラス等の鳥獣類をほとんど寄せ付けず、これら鳥獣類によって保管場所の周囲に散らかされたり、糞尿による汚れが付着する可能性が少ない。
また、本発明の燃料は、カラス等の鳥獣類の忌避成分として、フェノール樹脂の製造工場等で得ることができるフェノール類含有廃液を用いているため、低コストで製造することができる。
さらに、本発明の燃料は、夏期に屋外または屋内(例えば、屋根付き置場内)に保管しても、強い臭気を発生せず、燃料の搬送作業等を行なう者の作業環境を悪化させることがない。
本発明の燃料は、例えば、セメント製造設備の仮焼炉、ロータリーキルン等に投入されるクリンカ焼成用燃料等として用いることができる。なお、本発明の燃料に含まれているフェノール類は、燃料の燃焼時の発熱量を高めるものである。
また、本発明の燃料は、カラス等の鳥獣類の忌避成分として、フェノール樹脂の製造工場等で得ることができるフェノール類含有廃液を用いているため、低コストで製造することができる。
さらに、本発明の燃料は、夏期に屋外または屋内(例えば、屋根付き置場内)に保管しても、強い臭気を発生せず、燃料の搬送作業等を行なう者の作業環境を悪化させることがない。
本発明の燃料は、例えば、セメント製造設備の仮焼炉、ロータリーキルン等に投入されるクリンカ焼成用燃料等として用いることができる。なお、本発明の燃料に含まれているフェノール類は、燃料の燃焼時の発熱量を高めるものである。
本発明の燃料は、廃油吸収材、廃油、及びフェノール類含有廃液を含むものである。
本発明の燃料は、固体である廃油吸収材を主体とするため、全体として固体状の形態を有する。
本発明で用いられる廃油吸収材としては、木屑、藁屑、廃畳の破砕物、廃棄物固形燃料(RDF;Refuse Derived Fuel)、紙屑、合成樹脂製の発泡成形体(スポンジ)の破砕物、高分子吸収材(例えば、未使用の紙おむつなど)の破砕物、肉骨粉、畜産堆肥化物、食品廃棄物、使用済みの食品容器の破砕物(具体的には、残飯等の食品が付着している合成樹脂製、紙製等の材質からなる容器を破砕したもの)、廃白土、下水汚泥の乾燥物等が挙げられる。なお、木屑とは、木材チップ及び木粉を含む概念を有するものとする。
中でも、燃料の価値の観点から、木屑、藁屑、廃畳の破砕物、廃棄物固形燃料、紙屑、合成樹脂製の発泡成形体の破砕物、及び、高分子吸収材の破砕物から選ばれる1種以上(本明細書中、これらを「非発酵性有機物」と総称することがある。)を含むことが好ましい。廃油吸収材の全量中の非発酵性有機物の割合は、燃料の価値の維持の観点から、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、特に好ましくは60質量%以上である。
本発明の燃料は、固体である廃油吸収材を主体とするため、全体として固体状の形態を有する。
本発明で用いられる廃油吸収材としては、木屑、藁屑、廃畳の破砕物、廃棄物固形燃料(RDF;Refuse Derived Fuel)、紙屑、合成樹脂製の発泡成形体(スポンジ)の破砕物、高分子吸収材(例えば、未使用の紙おむつなど)の破砕物、肉骨粉、畜産堆肥化物、食品廃棄物、使用済みの食品容器の破砕物(具体的には、残飯等の食品が付着している合成樹脂製、紙製等の材質からなる容器を破砕したもの)、廃白土、下水汚泥の乾燥物等が挙げられる。なお、木屑とは、木材チップ及び木粉を含む概念を有するものとする。
中でも、燃料の価値の観点から、木屑、藁屑、廃畳の破砕物、廃棄物固形燃料、紙屑、合成樹脂製の発泡成形体の破砕物、及び、高分子吸収材の破砕物から選ばれる1種以上(本明細書中、これらを「非発酵性有機物」と総称することがある。)を含むことが好ましい。廃油吸収材の全量中の非発酵性有機物の割合は、燃料の価値の維持の観点から、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、特に好ましくは60質量%以上である。
本発明において、臭気を発生し易い有機質の成分を含む場合であっても、カラス等の鳥獣類をほとんど寄せ付けないという本発明の効果を考慮すると、肉骨粉、畜産堆肥化物、食品廃棄物、使用済みの食品容器の破砕物、廃白土、及び、下水汚泥の乾燥物から選ばれる1種以上(本明細書中、これらを「発酵性有機物」と総称することがある。)を含むことが好ましい。廃油吸収材の全量中の発酵性有機物の割合は、燃料のハンドリング性及び臭気の低減の観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、特に好ましくは30質量%以下である。
廃油吸収材の寸法は、本発明の燃料のハンドリング性、機械式搬送手段における機械のトラブルの防止、及び、廃油及びフェノール類含有廃液との混合の容易性の観点から、好ましくは50mm以下である。なお、廃油吸収材の寸法とは、最大長さ(例えば、棒状物の場合には、軸線方向の長さ寸法)である。
廃油吸収材の寸法は、本発明の燃料のハンドリング性、機械式搬送手段における機械のトラブルの防止、及び、廃油及びフェノール類含有廃液との混合の容易性の観点から、好ましくは50mm以下である。なお、廃油吸収材の寸法とは、最大長さ(例えば、棒状物の場合には、軸線方向の長さ寸法)である。
本発明で用いられる廃油としては、廃エンジンオイル、廃ワイヤソーオイル、オイルスラッジ(例えば、重油スラッジ、原油スラッジ等)、廃油再生残渣(廃油を蒸留設備等を用いて再生した後に残る残渣)、廃切削油、廃研磨油、廃塗料、廃インク、廃溶剤、廃グリース、廃植物油、廃食用油、BDF(バイオディーゼル燃料)副生グリセリン等が挙げられる。これらの廃油は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
廃油吸収材100質量部に対する廃油の量は、好ましくは1〜300質量部、より好ましくは5〜200質量部、特に好ましくは10〜150質量部である。該量が1質量部未満では、セメント製造設備等における燃料としての廃油の利用を促進することが困難となる。該量が300質量部を超えると、廃油の全量を廃油吸収材に吸収させることが困難となり、本発明の燃料の表面がべとついて、搬送時のハンドリング性が悪化するおそれがある。なお、前記廃油の量の上限値のさらに好ましい値は、燃料の表面のべとつき等の観点から、100質量部、さらに好ましくは50質量部である。
廃油吸収材100質量部に対する廃油の量は、好ましくは1〜300質量部、より好ましくは5〜200質量部、特に好ましくは10〜150質量部である。該量が1質量部未満では、セメント製造設備等における燃料としての廃油の利用を促進することが困難となる。該量が300質量部を超えると、廃油の全量を廃油吸収材に吸収させることが困難となり、本発明の燃料の表面がべとついて、搬送時のハンドリング性が悪化するおそれがある。なお、前記廃油の量の上限値のさらに好ましい値は、燃料の表面のべとつき等の観点から、100質量部、さらに好ましくは50質量部である。
本発明で用いられるフェノール類含有廃液中のフェノール類としては、フェノール、o−クレゾール、p−クレゾール、m−クレゾール等が挙げられる。
フェノール類含有廃液としては、例えば、化成品(例えば、フェノール樹脂等)の製造工場で発生する廃液、医薬品の中間体の製造工場で発生する廃液、タール製品の製造工場で発生する廃液、石油化学工場で発生する廃液等が挙げられる。なお、タール製品とは、コールタール等を原料として製造される製品であり、例えば、フェノール、クレゾール、ナフタレン、アントラセン等が挙げられる。
中でも、化成品の製造工場で発生する廃液、及び、医薬品の中間体の製造工場で発生する廃液は、フェノール類の含有率が通常1〜5%程度であるため、カラス等の鳥獣類を寄せ付けない効果を得ることと、本発明の燃料から強い臭気(フェノール類に由来するもの)を発生させないことを両立することができる点で、好ましい。また、これら2種の廃液は、濃縮または希釈を行なわずに、他の成分(廃油吸収材、廃油)と混合するだけで本発明の燃料を製造することができる点でも好ましい。
フェノール類含有廃液としては、例えば、化成品(例えば、フェノール樹脂等)の製造工場で発生する廃液、医薬品の中間体の製造工場で発生する廃液、タール製品の製造工場で発生する廃液、石油化学工場で発生する廃液等が挙げられる。なお、タール製品とは、コールタール等を原料として製造される製品であり、例えば、フェノール、クレゾール、ナフタレン、アントラセン等が挙げられる。
中でも、化成品の製造工場で発生する廃液、及び、医薬品の中間体の製造工場で発生する廃液は、フェノール類の含有率が通常1〜5%程度であるため、カラス等の鳥獣類を寄せ付けない効果を得ることと、本発明の燃料から強い臭気(フェノール類に由来するもの)を発生させないことを両立することができる点で、好ましい。また、これら2種の廃液は、濃縮または希釈を行なわずに、他の成分(廃油吸収材、廃油)と混合するだけで本発明の燃料を製造することができる点でも好ましい。
フェノール類含有廃液のpHは、pHが大きいと、一般に、フェノール類の含有率が小さくなって、カラス等の鳥獣類を寄せ付けない効果が不十分となったり、本発明の燃料からの臭気(特に、発酵性有機物に由来するもの)が強くなって、作業環境が悪化するおそれがあることから、好ましくは6以下、より好ましくは5.5以下、特に好ましくは5以下である。該pHの下限値は、特に限定されないが、pHが小さいと、一般に、フェノール類の含有率が大きくなり、本発明の燃料からの臭気(フェノール類に由来するもの)が強くなって、作業環境が悪化するおそれがあること、及び、pHが2程度以下の場合、取り扱いづらいことに加えて、本発明の燃料の搬送手段が腐食し易くなることから、好ましくは1.5、より好ましくは2.0である。
廃油吸収材100質量部に対するフェノール類含有廃液の量は、好ましくは0.01〜20質量部、より好ましくは0.05〜15質量部、特に好ましくは0.1〜10質量部である。該量が0.01質量部未満では、カラス等の鳥獣類を寄せ付けない効果が不十分となることがあり、また、本発明の燃料からの臭気(特に、発酵性有機物に由来するもの)の抑制が不十分となることがある。該量が20質量部を超えると、フェノール類含有廃液中のフェノール類の含有率が大きい場合に、本発明の燃料から強い臭気(フェノール類に由来するもの)が発生して、作業環境が悪化するおそれがある。
廃油100質量部に対するフェノール類含有廃液の量は、好ましくは1〜300質量部、より好ましくは3〜200質量部、特に好ましくは5〜150質量部である。該量が1質量部未満では、本発明の燃料中のフェノール類含有廃液の割合が小さくなる傾向があるため、カラス等の鳥獣類を寄せ付けない効果が不十分となることがあり、また、本発明の燃料からの臭気(特に、発酵性有機物に由来するもの)の抑制が不十分となることがある。該量が300質量部を超えると、廃油とフェノール類含有廃液の混合物の燃焼時の単位質量当りの発熱量(kcal/kg)が小さくなり、燃料としての性能が低下する傾向がある。
廃油吸収材100質量部に対する廃油及びフェノール類含有廃液の合計量は、好ましくは2〜300質量部、より好ましくは5〜200質量部、特に好ましくは10〜150質量部である。該量が2質量部未満では、廃油の量が少ないために、セメント製造設備等における燃料としての廃油の利用の促進を十分に図ることができなかったり、あるいは、フェノール類含有廃液の量が少ないために、カラス等の鳥獣類を寄せ付けない効果が不十分となったり、本発明の燃料からの臭気(特に、発酵性有機物に由来するもの)が強くなって、作業環境が悪化するおそれがある。該量が300質量部を超えると、廃油吸収材に廃油及びフェノール類含有廃液の全量を吸収させることが困難となり、本発明の燃料の表面がべとついて、搬送時のハンドリング性(例えば、ベルトコンベア、スクリューコンベアなどの搬送手段に付着しないこと、及び、搬送手段での搬送に好適な流動性を有することなど)が悪化するおそれがある。なお、前記廃油及びフェノール類含有廃液の合計量の上限値のさらに好ましい値は、燃料の表面のべとつき等の観点から、120質量部、さらに好ましくは60質量部である。
本発明において、廃油とフェノール類含有廃液の合計の好ましい発熱量は、3,200〜5,500kcal/kgである。該発熱量が3,200kcal/kg未満であると、本発明の燃料の発熱量が小さくなり、燃料としての性能が低下することに加えて、廃油との合計量中のフェノール類含有廃液の割合が大き過ぎるため、本発明の燃料からの臭気(フェノール類に由来するもの)が強くなって、作業環境が悪化するおそれがある。該発熱量が5,500kcal/kgを超えると、廃油との合計量中のフェノール類含有廃液の割合が小さ過ぎるため、カラス等の鳥獣類を寄せ付けない効果が不十分となったり、本発明の燃料からの臭気(特に、発酵性有機物に由来するもの)の抑制が不十分となることがある。
本発明の燃料の製造方法としては、(a)廃油吸収材、廃油、及びフェノール類含有廃液を同時に混合して、本発明の燃料を得る方法、(b)廃油とフェノール類含有廃液を混合した後、得られた混合物と、廃油吸収材を混合して、本発明の燃料を得る方法、等が挙げられる。中でも、前記の(b)の方法は、本発明の燃料の成分組成の均一性の観点から、好ましい。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[使用原料]
以下の材料を使用した。
(1)廃油
廃油として、廃エンジンオイルと廃油再生残渣と廃塗料の混合物を用いた。
(2)フェノール類含有廃液
フェノール類含有廃液として、フェノール樹脂の製造工場から得られた廃液(フェノール、m−クレゾール、及びp−クレゾールを含む廃液、pH:2.8、フェノール類の含有率:4質量%)を用いた。
(3)木屑(廃油吸収材)
粒度0.5〜50mmの木屑を用いた。
(4)肉骨粉(廃油吸収材)
肉骨粉として、牛を原料として処理を行うレンダリング工場から発生した肉骨粉を用いた。
[使用原料]
以下の材料を使用した。
(1)廃油
廃油として、廃エンジンオイルと廃油再生残渣と廃塗料の混合物を用いた。
(2)フェノール類含有廃液
フェノール類含有廃液として、フェノール樹脂の製造工場から得られた廃液(フェノール、m−クレゾール、及びp−クレゾールを含む廃液、pH:2.8、フェノール類の含有率:4質量%)を用いた。
(3)木屑(廃油吸収材)
粒度0.5〜50mmの木屑を用いた。
(4)肉骨粉(廃油吸収材)
肉骨粉として、牛を原料として処理を行うレンダリング工場から発生した肉骨粉を用いた。
[実施例1〜3、比較例1〜2]
表1に示された配合割合に従って、各材料を混合して、固体状の燃料を製造した。得られた固体状の燃料を、直ちに屋根付き置場に搬送して1日間放置した後、固体状の燃料からの臭気、及び、作業が中断し作業員が不在となる12時〜13時の1時間の観察中に固体状の燃料に近づいたカラスの数を調べた。
なお、固体状の燃料からの臭気については、発酵性有機物である肉骨粉と、フェノール類を含む総合的な臭気の強さを官能評価した。
結果を表1に示す。なお、実施例2と比較例2の臭気は、同程度であって、差が認められず、共に「弱い」であった。また、比較例1と比較例2の「カラスの数」も、同程度であって、差が認められず、共に「数十羽」であった。
表1に示された配合割合に従って、各材料を混合して、固体状の燃料を製造した。得られた固体状の燃料を、直ちに屋根付き置場に搬送して1日間放置した後、固体状の燃料からの臭気、及び、作業が中断し作業員が不在となる12時〜13時の1時間の観察中に固体状の燃料に近づいたカラスの数を調べた。
なお、固体状の燃料からの臭気については、発酵性有機物である肉骨粉と、フェノール類を含む総合的な臭気の強さを官能評価した。
結果を表1に示す。なお、実施例2と比較例2の臭気は、同程度であって、差が認められず、共に「弱い」であった。また、比較例1と比較例2の「カラスの数」も、同程度であって、差が認められず、共に「数十羽」であった。
表1から、フェノール類含有廃液を含む燃料(実施例1〜3)では、カラスをほとんど寄せ付けない効果と、臭気が「弱い」または「ほとんどない」であって、作業環境が良好である効果を両立させていることがわかる。一方、フェノール類含有廃液を含まない燃料(比較例1〜2)では、カラスの数が多いことがわかる。また、肉骨粉を含む燃料を用いた比較例1では、臭気が強く、作業環境も悪化していることがわかる。
また、実施例2と比較例2を比較すると、臭気が同程度であるにもかかわらず、カラスの数には大きな差があることがわかる。
また、実施例2と比較例2を比較すると、臭気が同程度であるにもかかわらず、カラスの数には大きな差があることがわかる。
Claims (7)
- 廃油吸収材、廃油、及びフェノール類含有廃液を含むことを特徴とする燃料。
- 前記フェノール類含有廃液は、pHが6以下でかつフェノール類の含有率が0.01〜10質量%の廃液である、請求項1に記載の燃料。
- 前記フェノール類含有廃液に含まれるフェノール類が、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、及びp−クレゾールから選ばれる1種以上を含む、請求項1又は2に記載の燃料。
- 前記フェノール類含有廃液が、化成品の製造工場で発生する廃液、医薬品の中間体の製造工場で発生する廃液、タール製品の製造工場で発生する廃液、及び、石油化学工場で発生する廃液から選ばれる1種以上を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料。
- 前記廃油100質量部に対して、前記フェノール類含有廃液の量が1〜300質量部である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の燃料。
- 前記廃油吸収材100質量部に対して、前記フェノール類含有廃液の量が0.01〜20質量部であり、前記廃油及びフェノール類含有廃液の合計量が2〜300質量部である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の燃料。
- 上記廃油吸収材が、木屑、藁屑、廃畳の破砕物、廃棄物固形燃料、紙屑、合成樹脂製の発泡成形体の破砕物、高分子吸収材の破砕物、肉骨粉、畜産堆肥化物、食品廃棄物、使用済みの食品容器の破砕物、廃白土、及び、下水汚泥の乾燥物から選ばれる1種以上を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の燃料。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012211318A (ja) * | 2011-03-30 | 2012-11-01 | Young-Cheol Jeon | 合成樹脂−パルプ製廃棄物を主材料にする固体燃料製造方法 |
JP2013195607A (ja) * | 2012-03-19 | 2013-09-30 | Taiheiyo Cement Corp | 廃トナーの燃料化方法 |
US20140305608A1 (en) * | 2012-09-12 | 2014-10-16 | Susumu Okamoto | Body waste treating material, method for manufacturing body waste treating material, and apparatus for manufacturing the same |
-
2010
- 2010-10-12 JP JP2010229438A patent/JP2012082311A/ja active Pending
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