JP2012077203A - 溶剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】不燃性で環境への影響が小さく、特に凝固点が低く、−100℃以下の低温用途に適した溶剤組成物、特に二次循環冷却システムに適した溶剤組成物の提供。
【解決手段】CFHCFOCHCFと1−プロパノールからなる溶剤組成物と、それを用いた二次循環冷却システム。
【選択図】なし

Description

本発明は、溶剤組成物、特に二次循環冷却システムに適した溶剤組成物に関する。
一般的な冷却装置は、冷凍サイクル内を循環する冷媒により間接的に対象物を冷却するシステムで構成されている。従来、上記冷媒としてはクロロジフルオロメタン等のハロゲン誘導体が一般に使用されているが、これらの多くは構造中に塩素原子を含む化合物であり、オゾン層破壊に関係があるとされ、段階的に廃止されている。また、塩素を含まないハロゲン誘導体としては、パーフルオロカーボン(PFC)類やハイドロフルオロカーボン(HFC)類が知られている。これらのハロゲン誘導体は、地球温暖化と関係するものが多く、排出を抑制する必要がある。
さらに、上記冷媒としてアンモニアや炭化水素類、二酸化炭素等を用いることが検討されているが、これらは毒性、引火性、腐食性等の安全性の問題や運転圧力が高くなる、エネルギー効率が劣る等の理由より商業的な利用が困難である。
これらの問題点を改善する目的から、一次冷却手段と二次循環冷却手段とを備える二次循環冷却システムが使用されている。これは、一次冷却手段においては、アンモニアや炭化水素類等を熱伝達媒体(一次冷媒)として用い、二次循環冷却手段においては、環境への影響が小さく、より安全性の高い熱伝達媒体(二次冷媒)を用い、熱交換器により一次冷媒と二次冷媒とを非接触で熱エネルギー交換するシステムである。
二次冷媒としては、伝熱特性、流動性、防食性、安定性および安全性等に優れることが要求される。従来から使用されている二次冷媒としては、塩化カルシウム、塩化ナトリウム等の水溶液や、エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、アルコール類、ポリジメチルシロキサン、炭化水素類やクロロフルオロカーボン(CFC)類やハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)類、PFC類が挙げられる。
しかし、CFC類やHCFC類は、環境残留性やオゾン層の破壊に関係があるとされるため、段階的に廃止されつつある。PFC類は地球温暖化係数が高く、排出を抑制する必要がある。一方、塩化カルシウムや塩化ナトリウムの水溶液やグリコール類、アルコール類等は腐食性がある、安全性が十分ではない、大きな輸送動力が必要とされる等、何れもいくつかの問題点を有している。
この問題を解決する方法として、二次冷媒としてCOCH等のフッ化エーテルを用いる方法が提案されている(特許文献1参照。)。しかし、この方法は環境に対する影響は小さいものの、圧力損失、熱伝達といった二次冷媒としての特性については必ずしも十分ではなかった。
一方、圧力損失、熱伝達といった二次冷媒としての特性を改善したシステムとして
CFHCFOCHCF含有する組成物を用いる二次循環冷却システムが提案されている(特許文献2参照)。
さらにフッ素化エーテルとアルコール類を含有する組成物、特に好ましいものとしてCFHCFOCHCFと炭素数1〜4のアルコールを用いることを特徴とする二次循環冷却システムが提案されている(特許文献3参照)。
これら特許文献に特に好ましいフッ素化エーテルとして記載されているCFHCFOCHCFは−94℃の凝固点を有しており、流動性を有する状態を確保するためには、使用温度領域を凝固点より約10℃高い−85℃程度までに限定される。
一方、特許文献3にはフッ素化エーテルとアルコール類の組成物の提案が記載されているが、圧力損失や熱伝達等の二次冷媒としての特性改善のみの記載となっており、凝固点降下や作動温度領域の拡張の可能性は記載はされていないと共に、示唆されていない。
特開平11−513738号公報 特開2006−169290号公報 国際公開第2006/054776号
本発明は、不燃性で環境への影響が小さく、特に凝固点が低く、−100℃以下の低温用途に適した溶剤組成物、特に二次循環冷却システムに適した溶剤組成物の提供を目的とする。
本発明は、一次冷媒を用いる一次冷却手段、二次冷媒を用いる二次循環冷却手段、および一次冷媒と二次冷媒との熱交換を行う熱交換手段を備える二次循環冷却システムであって、二次冷媒として、CFHCFOCHCFと1−プロパノールを含有する溶剤組成物を用いることを特徴とする二次循環冷却システムを提供する。
本発明の溶剤組成物は凝固点を大幅に降下させることができ、流動性を有する温度領域を大幅に拡張することができる。特に作動状態での流動性が要求される二次循環冷却システム用二次冷媒として有用である。
本発明の二次循環冷却システムでは、一次冷却手段において、二次冷媒を冷却するために用いる一次冷媒を冷却する。次いで、熱交換手段において一次冷媒と二次冷媒との熱交換を行い、冷却された二次冷媒は二次循環冷却手段へ送り、熱エネルギーを受け取った一次冷媒は一次冷却手段に戻す。二次循環冷却手段では、低温の二次冷媒をポンプ等で冷却器に強制的に循環させることにより、被冷却物を間接的に冷却する。
本発明における二次冷媒としては、CFHCFOCHCFと1−プロパノールを含有する溶剤組成物を用いる。この溶剤組成物は、環境に与える影響が小さく、凝固点が大幅に低く、特に低温度域における熱伝達媒体として好適である。
上記溶剤組成物における1−プロパノールの含有割合は、特に限定されないが、0.1〜130質量%、特には1〜15質量%であるのが好ましい。1−プロパノールの含有割合が高い場合は、引火点を呈する可能性がある。
本発明における二次冷媒は、さらに、従来、熱伝達媒体として用いられている化合物の1つ以上を含有していてもよい。このような熱伝達媒体としては、塩化メチレン、トリクロロエチレン等のCFC類、1,1−ジクロロ−2,2,2−トリフルオロエタン、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン、3,3−ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン、3,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン等のHCFC類が挙げられる。
また、本発明における二次冷媒は、ジフルオロメタン、1,1,1,2,2−ペンタフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,1−トリフルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロプロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン、1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロペンタン、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン等のHFC類を含有していてもよい。
また、本発明における二次冷媒は、COCH、COCH、COC等のフッ素化エーテル類を含有してもよい。
これらのCFHCFOCHCFと1−プロパノール以外に含有してもよい化合物は、本発明の効果を著しく低下させない範囲であれば使用できる。上記化合物の好ましい含有割合は化合物により異なるが、通常30質量%以下、好ましくは20質量%以下の範囲とする。
本発明の熱伝達媒体は、熱や酸化物に対する安定性は高いが、特に耐酸化性向上剤および耐熱性向上剤、金属不活性剤等の安定剤を含むことにより熱や酸化物に対する安定性が顕著に高くなる。
耐酸化性向上剤および耐熱性向上剤としては、例えばN,N’−ジフェニルフェニレンジアミン、p−オクチルジフェニルアミン、p,p−ジオクチルジフェニルアミン、N−フェニル−1−ナフチルアミン、N−フェニル−2−ナフチルアミン、N−(p−ドデシル)フェニル−2−ナフチルアミン、ジ−1−ナフチルアミン、ジ−2−ナフチルアミン、N−アルキルフェノチアジン、6−(t−ブチル)フェノール、2,6−ジ−(t−ブチル)フェノール、4−メチル−2,6−ジ−(t−ブチル)フェノール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)およびそれらの2種類以上の組合せ等が挙げられる。
金属不活性剤としては、イミダゾール、ベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズチアゾール、2,5−ジメチルカプトチアジアゾール、サリシリジン−プロピレンジアミン、ピラゾール、ベンゾトリアゾール、トルトリアゾール、2−メチルベンズアミダゾール、3,5−イメチルピラゾールおよびメチレンビス−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
さらに、有機酸およびそれらのエステル、金属塩、および無機物、第1、第2、および第3の脂肪族および脂環式のアミン、有機酸および無機酸のアミン塩、複素環式窒素含有化合物、アルキル酸ホスフェートのアミン塩およびそれらの誘導体等が挙げられる。
通常、上記安定剤の含有割合は、熱伝達媒体用組成物中において5質量%以下であり、1質量%以下であるのが好ましい。
本発明における一次冷却手段は、冷凍サイクルによる冷却工程に限らず、温度を安定的に熱エネルギー交換する熱源を提供できる工程を有していればよく、本発明における一次冷媒は、それ自身が他の一次冷媒を用いて冷却された二次冷媒であってもよい。したがって、本発明で使用される一次冷媒としては、主に冷凍サイクル等に利用できる一般的な冷媒や二次冷却されたブラインが使用できる。具体的には、ギ酸、塩化カルシウムの水溶液、塩化ナトリウムの水溶液、アルコール、グリコール、アンモニア、炭化水素、エーテル、フルオロカーボン等が挙げられる。
本発明の溶剤組成物の流動性について比較例と比較して以下に説明する。
[例1]流動性測定
(測定方法)
試料を80mlをガラス製の凝固点測定管(試験管)に入れた後、測定管に金属製のかき混ぜ棒と熱電対をセットする。
測定管を外部より徐々に冷却し、かき混ぜ棒を上下に動かして測定管内の試験溶剤の状態を確認しながら、試験溶剤の流動性および凝固点を測定する。
(実施例)
CFHCFOCHCF(以下、HFE−347という。)と1−プロパノールとの溶剤組成物の流動性を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2012077203
(比較例)
溶剤組成物の構成成分であるHFE−347と1−プロパノール単体について凝固点を測定した。結果を表2に示す。
他の溶剤組成物の比較例としてHFE−347とn−ヘキサンおよび2−メチルペンタンからなる溶剤組成物の例を表3および4に示す。
Figure 2012077203
Figure 2012077203
Figure 2012077203
実施例1〜4および比較例1および2より理解されるように、本発明の溶剤組成物は大幅に流動性を低下させることができ、1−プロパノールを1%添加するのみで、HFE−347の凝固点―93℃から約20℃の凝固点の低下が可能である。
本発明の溶剤組成物は実施例1〜4に記載のように流動性がー110℃以下であり、−100℃までの二次冷媒として使用可能である。
(比較例)
HFE−347へ1−プロパノールではなく、n−ヘキサンや2−メチルペンタンを添加した組成物では凝固点の降下効果を示していない。
特に凝固点がー154℃と低い2−メチルペンタンを添加してもHFE−347の凝固点の降下効果が認められず、反対に実施例7では凝固点が上昇する結果となっている。
本発明は、一次冷媒を用いる一次冷却手段、二次冷媒を用いる二次循環冷却手段、および一次冷媒と二次冷媒との熱交換を行う熱交換手段を備える二次循環冷却システムとして有用である。

Claims (4)

  1. CFHCFOCHCFと1−プロパノールからなる溶剤組成物。
  2. 1−プロパノールの含有割合が0.1〜30質量%である請求項1に記載の溶剤組成物。
  3. 1−プロパノールの含有割合が1〜15質量%である請求項1および2記載の溶剤組成物。
  4. 請求項1〜3記載の溶剤組成物を用いた二次循環冷却システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014098106A (ja) * 2012-11-15 2014-05-29 Asahi Glass Co Ltd 二次循環冷却システム用二次冷媒および二次循環冷却システム

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