JP2012074346A - 触媒ペーストの製造方法及びその装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】PFF構造を有する燃料電池の反応層用に好適な触媒ペーストの製造方法を提案する。
【解決手段】流動限界からスラリー状態までの範囲の水分量の水と触媒とを混合してなるプレペーストと、水分量が10%以下の状態で電解質を溶媒へ溶解してなる電解質溶液とを混合撹拌する際に、混合物の粘度をモニタし、その混合物の粘度が所定の粘度となるようにする。混合物の粘度を指標として、触媒ペーストから形成される反応層の排水性を制御できる。混合物の粘度は撹拌の度合いで調整できる。
【選択図】 図6

Description

本発明は、触媒ペーストの製造方法及びその装置に関する。
燃料電池に用いられる膜電極接合体は固体高分子電解質膜を水素極と空気極とで挟んだ構成であり、水素極及び空気極はそれぞれ固体高分子電解質膜側から反応層と拡散層とを順次積層してなる。
反応層は触媒と電解質との混合物からなり、電子及びプロトンの導電性と通気性が求められる。ここにプロトンは水を伴ってHのかたちで移動するので、反応層を湿潤状態に維持する必要がある。勿論、反応層に水分が過剰に存在すると通気性を阻害するので(いわゆるフラッディング現象)、反応層の水分は常に適当量に維持されなければならない。
かかる要求を満足すべく、本出願人は、特許文献1及び特許文献2においてPFF構造(登録商標:以下同じ)の反応膜を提案してきている。ここにPFF構造とは高分子電解質の側鎖の親水性官能基が、触媒上に親水領域を形成すべく、触媒側に配向している構造を指す。かかるPFF構造は、触媒と水とを予め混合したプレペーストを準備し、このプレペーストと電解質溶液とを混合し、適切な撹拌方法を採用することにより得られる。PFF構造を採用することにより、反応層における水の偏在が防止される。また、燃料電池を低加湿環境下で運転するときにおいても、この親水性の領域に水がまとまって存在するので、過乾燥を防止できる。また、高加湿環境下での運転では、過剰な水がこの親水性の領域を介して外部(拡散層側)へ排出されるので、フラッティングを防止できる。
なお、本件発明に関連する技術を開示する文献として特許文献3及び非特許文献1〜3を参照されたい。
特開2006−140061号公報 特開2006−140062号公報 特開2009−104905号公報
Journal of Electrochemical Society 2005, vol.152,No.5,PP.A970-A977 MAKHARIA Rohit ; MATHIAS Mark F. ; BAKER Daniel R. "Measurement of catalyst layer electrolyte resistance in PEFCs using electrochemicalimpedance spectroscopy" Journal of Electroanalytical Chemistry 475, 107-123(1999) M.Eikerling and A.A.kornyshev "electrochemical impedance of Cathode Catalyst Layer of Polymer Electrolyte Fuel Cells" 「電気化学インピーダンス法」(丸善 板垣 昌幸) 8 分布定数型等価回路を用いた電気化学インピーダンス解析(pp133〜146)
PFF構造を確保するため、本発明者は種々の検討を行なっている。
A (触媒と水とを混合してなるプレペーストの調製の改良)
触媒の表面へ電解質の親水基を対向させて電解質と触媒との間に親水性領域を得るため、触媒と水とを混合し触媒の表面へ水の層を予め形成しておく(触媒の親水化工程)。
本発明者の検討によれば、触媒と水との混合比は触媒の種類(特に触媒の担体の種類、粒度)に応じて適宜選択されるべきものであるが、触媒と水との混合物(プレペースト)がキャピラリ状態(触媒粒子の全周囲に水が存在するも流動性なし)からスラリー状態(触媒粒子の全周囲に水が存在して流動性あり)に変化する水分状態(流動性限界)及びその近傍の水分状態とすることが好ましい。かかる水分量は、触媒の表面を親水化しつつ、触媒と電解質との間に連続する親水性領域を形成できる最適な量となる。
上記最適量より多い水分量においても触媒の周囲には水が存在するので、触媒表面を親水化できる。しかしながら、かかる過剰な水分は、プレペーストを電解質溶液(プレ溶液)と混合する際に、PFF構造構築の妨げとなるおそれがある。過剰な水は触媒を離れ、触媒から離れた領域において電解質の親水基を引き寄せる。従って、触媒に対向する電解質の親水基が減少し、その結果、触媒と電解質との間に形成すべき親水性の領域が狭くなったり、分断されたり、また、当該領域における親水機能の低下(水分の保持力の低下)が生じたりする。
詳細は特願2009−256459号を参照されたい。
B(電解質溶液の調製)
電解質には高分子材料、例えばナフィオン(デュポン社商標名、以下同じ)等のフッ素系ポリマーが一般的に用いられる。この電解質は水と有機溶媒との混合溶媒に溶解され、既述のプレペーストと混合される。
既述のフッ素系ポリマーも、溶媒に溶解された電解質溶液の状態で流通されている。この溶媒は水と有機溶剤の混合体である。
本発明者は、既述のPFF構造に用いる電解質溶液の最適化を検討した結果、電解質溶液に含まれるべき最適な水分量が、電解質溶液の10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下であることに気がついた。
電解質と水分量との間には次の関係がある。
電解質溶液中の水分の濃度を低減させると、電解質溶液における電解質の濃度が同じ場合においても電解質溶液の粘度が高くなり、逆に水分の濃度を高くすると電解質溶液の粘度が低くなることを見出した。その理由は次のように推定される。
即ち、電解質溶液の水分の濃度が高い場合、図1(A)に示す通り、電解質の側鎖E2に水が吸着し電解質溶液中で電解質の主鎖E1が凝集した状態となり、電解質溶液の粘度が低下すると推察した。また、電解質溶液の水分濃度がやや低くなれば、電解質溶液に含有されている有機溶媒の作用によって、図1の(B)に示すように、電解質溶液中で電解質の主鎖E1が開き、相互に絡むため電解質溶液の粘度が上昇する。
凝集が進行した電解質(図1A)の主鎖E1を含む電解質溶液を混合して反応層を形成した場合、この反応層では、図2に示すような状態となっていると考えられる。すなわち、電解質の主鎖E1が凝集していることから、側鎖E2が多方向に向かって延びることとなる。そして、この側鎖E2と反応層中の水とが吸着することにより、反応層中で親水性の領域Wが分散して形成されることとなる。このため、この反応層において電解質の主鎖E1が凝集している箇所では、反応層中のイオン抵抗により、プロトン及び水が反応層内を移動し難い。このため、低加湿状態では、電解質膜及び各触媒層中の電解質の乾燥による性能低下を引き起こし、過加湿状態では、フラッディングによる性能低下が生じる要因となる。
換言すれば、電解質の親水基(側鎖E2)を触媒Cへ対向させて両者の間に親水性の領域Wを確実に形成するためには、電解質溶液中において電解質は図1(B)の状態にすることが好ましい。そのためには、既述のとおり、電解質溶液に含まれる水分量を電解質溶液の10重量%以下とする。
図1(B)の状態の電解質を用いたときのカソード触媒層は図3の状態になると考えられる。
電解質の側鎖E2は、一方向に延びた状態にあり、このため、触媒ペースト、すなわち燃料電池用反応層では、親水性のイオン交換基(スルホン基)がプレペースト中の水を吸着することとなる。このため、図3に示すように、この反応層では、触媒Cの表面に電解質の親水基E2が対向した状態となり、電解質層Eと触媒Cとの間に親水性の領域Wが形成される。そして、上記のようにスルホン基がプレペースト中の水と吸着することで、触媒C周りに親水領域Wが連続して形成され、かつ互いに連通した状態で形成されると考えられる。このため、この触媒ペーストを用いた反応層では、図3に示すように、プロトン及び水が移動し易く、電気化学的反応が円滑に進行される。かかる反応層を有する燃料電池は低加湿状態及び過加湿状態のいずれであっても、発電能力を高くすること可能となる。
詳細は特願2010−002362号を参照されたい。
本発明者による上記のプレペースト(触媒と水との混合物)の調製に関する知見Aと電解質溶液の調製に関する知見Bの少なくとも一方を実行することにより得られた触媒ペーストは燃料電池の出力特性を向上させる。
燃料電池には更なる出力特性の向上が要求されている。
本発明者は上記要求にこたえるべく鋭意検討を重ねてきた結果、上記知見Aに基づき得られたプレペーストと上記知見Bに基づき得られた電解質溶液とを混合するときの好適な条件を見出し、この発明を完成するに至った。
即ち、上記知見Aに基づき得られるプレペーストは流動性限界の近傍にあるので高い粘度を有する。また、上記知見Bに基づき得られる電解質溶液もそこに含まれる水の量が少ないほど粘度が高くなる。
いずれも粘度を高くする条件下で得られたプレペーストと電解質溶液とを混合し撹拌すると、図4(A)に示すように、混合物の粘度が時間とともに低下し、その後一定の値で安定する。
本発明者はプレペーストと電解質溶液との混合物を撹拌したときの混合物の粘度のかかる挙動に着目した。
図4(B)は撹拌時間(=粘度)と反応層抵抗との関係を示す。
撹拌時間(=粘度)を変化させて得た触媒ペーストを用いて燃料電池を構成し、その反応層のインピーダンスを測定した。なお、図4(A)及び(B)の実験条件は後述する。
図4(A)及び(B)より、撹拌にともない粘度が低下すると、それに反比例するように、反応層のインピーダンスが高くなることがわかる。インピーダンスが高くなることは反応層中におけるプロトンの移動低下を意味する。
以上より、プレペーストと電解質溶液とを混合して触媒ペーストを作成する際には、撹拌を手早く行なって、混合物の粘度が低下安定する前までに両者の均一混合を完了することが好ましいことがわかる。換言すれば、プレペーストと電解質溶液とを撹拌する際に両者の混合物の粘度をモニタし、その粘度が低位安定する前までに撹拌を止める。
プレペーストと電解質溶液の混合物を撹拌すると、プレペーストの触媒Cの周囲が電解質層Eで覆われる。このとき、図1(B)のように開いた状態の電解質はその親水基E2を触媒Cに対向させて配向しPFF構造を構築する。しかしながら、PFF構造が構築された後にも撹拌を行なうと(以下、「過撹拌」ということがある)、触媒Cに対向した電解質が触媒から分離され、そのとき触媒表面の水を奪い、触媒表面から離脱する。触媒表面から離脱した電解質には触媒表面の水が付随するので、電解質は図1(A)の形を取りやすくなる。そのため、触媒ペーストにおける電解質溶液成分の粘度が低下し、これが触媒ペースト自体の粘度の低下を引き起こすと考えられる。また、触媒表面から電解質が離脱することによりPFF構造が脆弱となり、触媒と電解質との間に形成される親水性領域の機能が低下する。これが、反応層抵抗を上昇させる原因と予想される。
本発明者は、以上の知見に基づき、この発明に想到した。即ち、この発明の第1の局面は次のように規定される。
触媒と水とを混合して流動限界からスラリー状態までの範囲の水分量のプレペーストを得る第1のステップと、
親水性の側鎖を有する電解質を、水分量が10重量%以下の状態で溶媒へ溶解して電解質溶液を得る第2のステップと、
前記プレペーストと前記電解質溶液を混合して撹拌する第3のステップと、
前記第3のステップにおいて、混合物が所定の粘度になるように撹拌する第4のステップと、を有する、ことを特徴とする触媒ペーストの製造方法。
このように規定される第1の局面の触媒ペーストの製造方法によれば、プレペーストと電解質溶液との混合物の粘度を所定の粘度に調製するので、両者の過撹拌を防止することができる。即ち、過撹拌された混合物は既述のようにその粘度を低下させるので、混合物の粘度が所定の挙動を示したときに撹拌を停止することにより、混合物の過撹拌を防止できる。過撹拌を防止することにより常に安定したPFF構造を構築可能となる。
この発明の他の局面は次のように規定される。
燃料電池の反応層となる触媒ペーストを製造する方法であって、
触媒と水とを混合して流動限界からスラリー状態までの範囲の水分量のプレペーストを得る第1のステップと、
親水性の側鎖を有する電解質を、水分量が10重量%以下の状態で溶媒へ溶解して電解質溶液を得る第2のステップと、
前記プレペーストと前記電解質溶液を混合して撹拌する第3のステップと、を有し、
前記第3のステップにおいて、混合物の粘度を指標として前記反応層の排水性を制御する、ことを特徴とする触媒ペーストの製造方法。
既述の通り、プレペーストと電解質溶液との混合物である触媒ペーストはこれに対する撹拌の度合いより、PFF構造に変化が生じると考えられる。
攪拌の度合いが弱い(時間が短い)場合、高粘度の触媒ペーストが得られ、これを用いて得られる反応層は、PFF構造が安定して反応層中の電解質抵抗が低く(図4参照)、また、保湿性が高くなる。
一方、攪拌の度合いが強い(時間が長い)場合、低粘度の触媒ペーストが得られ、これを用いて得られる反応層は、PFF構造が脆弱となり反応層中の電解質抵抗が高くなる。しかしながら、かかる反応層は発電中乾燥しやすい(排水性が高い)ので(図5参照)、特定用途の燃料電池として好適な場合がある。また、反応層の一部をかかる排水性の高い材料で形成することが好ましい場合がある。
このようにして、プレペーストと電解質溶液との混合物の粘度を指標として反応層の排水性(保水性)を制御可能となる。
上記の局面で規定する触媒ペーストを製造するための装置として、下記に規定する装置を提案する。
触媒と水とを混合してたときに流動限界からスラリー状態までの範囲となる量の水とを撹拌かつ混合してプレペーストを得る第1の撹拌混合部、
親水性の側鎖を有し、水分量が10%以下の電解質が溶媒に溶解された電解質溶液と、前記プレペーストとを撹拌かつ混合して触媒ペーストを得る第2の撹拌混合部、
前記触媒ペーストの粘度を測定する測定装置。
前記粘度が所望になるように前記第2の撹拌混合部を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする触媒ペーストの製造装置。
図1は電解質溶液中の電解質の形態を示す模式図である。 図2は図1(A)に対応したPFF構造を説明する模式図である。 図3は図1(B)に対応したPFF構造を説明する模式図である。 図4(A)はプレペーストと電解質溶液との撹拌時間と粘度との関係を示し、図4(B)は同じく撹拌時間と反応層抵抗の関係を示す。 図5はこの発明の実施の形態の触媒ペーストの製造装置を示すブロック図である。 図6は他の実施形態の触媒ペーストの製造装置を示すブロック図である。 図7は実施例の燃料電池の低加湿条件下での出力特性を示す。 図8は同じく高加湿条件下での出力特性を示す。
上記において触媒Cは導電性を備えた担体C1に触媒金属粒子C2を担持させたものをいう。担体C1には導電性と通気性が求められ、多孔質のカーボンブラック粒子を採用することができるが、酸化スズ、チタン酸化合物等を使用することもできる。触媒金属粒子C2は燃料電池反応の活性点を提供できる金属微粒子からなり、白金、コバルト、ルテニウム等の貴金属及び当該貴金属の合金を用いることができる。
担体C1へ触媒金属粒子C2を担持させる方法は両者の材質や触媒の用途に応じて含浸法、コロイド法及び析出沈殿法等の周知の方法のなかから適宜選択できる。
(触媒の処理)
通常触媒は触媒メーカから提供される。燃料電池に求められる特性等に応じてこの触媒を物理的に及び/又は化学的に処理することが好ましい。
(触媒の物理的処理)
触媒の物理的処理として粉砕処理と脱泡処理とがある。
−粉砕処理−
一般的に触媒はその担体どうしが凝集して、2次粒子、3次粒子を形成している。そこで、触媒の表面積を向上させるために、凝集体を粉砕して微粉末化することが好ましい。そのためには、触媒の凝集体を媒体へ分散させて湿式粉砕することが好ましい。
湿式粉砕を採用することにより、乾式粉砕に比べて、触媒の凝集体へより高いエネルギーを加えてこれをより細かく粉砕可能となる。また、乾式粉砕に比べて、触媒の再結合を効果的に防止できる。湿式粉砕の方法として、ホモジナイザ−、湿式ジェットミル、ボールミル又はビーズミルを採用することができる。
湿式粉砕を採用することにより触媒の担体に付着した不純物を取り除く効果も得られる。媒体には通常水が採用されるが、不純物の特性に応じて、他の媒体(有機溶剤等)を採用してもよい。最初に水を媒体として湿式粉砕を実行し、その後有機溶剤等で触媒から不純物を除去することもできる。
湿式粉砕した触媒を乾燥させるには、昇華により媒体を除去することが好ましい。これにより、触媒の再凝集を防止できる。媒体を昇華させる方法として真空乾燥法が挙げられる。これに対し、加熱乾燥法を採用すると加熱による媒体の移動の際、あるいは、媒体が蒸発する際に、毛管収縮現象が生じて触媒どうしが再結合し、湿式乾燥で得られた高分散状態を維持できなくなる。
湿式粉砕及び必要に応じて不純物除去を、触媒の担体に対して実行し、担体が媒体(例えば水等)に分散した状態でその担体へ触媒金属粒子を担持させることもできる。この場合においても、乾燥工程としては触媒を分散させている媒体を昇華により除去することが好ましい。
−脱泡処理−
触媒を水に混合分散させた状態で触媒周囲から気泡を除去(脱泡処理)することがこのましい。触媒と電解質層との間に親水領域を形成する際に当該気泡が妨げとなるからである。
この脱泡処理はハイブリッドミキサー(自転/公転式遠心撹拌機)により遠心撹拌法を用いることにより行なうことができる。
勿論、当該遠心撹拌法に限定されるものではなく、その他の撹拌法(ボールミル法、スターラー法、ビーズミル法、ロールミル法等)を用いることもできる。
また、湿式粉砕時に、触媒周囲から気泡を除去できる場合もあり、その場合は独立した脱泡処理は不要である。
(触媒の化学的処理)
触媒を化学的処理して、その触媒金属粒子の表面を特定の親水基で修飾する。
金属触媒粒子の表面を親水基で修飾することにより、触媒金属粒子の周囲の親水性が向上し、触媒Cと電解質層Eとの間の親水領域Wの親水性が高まる。
ここに修飾とは触媒金属粒子表面に当該修飾基が存在し、通常の製造工程を経ても当該修飾基が触媒金属粒子から分離しないことを意味する。
親水基として硝酸基、アミノ基、スルホン酸基、水酸基及びハロゲン基から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。更に好ましくは親水基として硝酸基、アミノ基及びスルホン酸基から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。
これらの親水基が触媒金属粒子の周囲に存在することにより、触媒金属粒子の周囲に親水領域が形成されやすくなる。触媒金属粒子は担体に均等に分散されているので、結果として触媒の表面の親水領域が形成されやすくなり、また形成後はそれが安定する。
触媒金属粒子へ上記の親水基を修飾する方法としてこの発明では触媒金属粒子と同一若しくは同種の金属(貴金属)の錯体であって前記修飾基を含むものを前記触媒金属粒子へ結合する。錯体の利用により触媒の構造へ何らストレスを与えることなく触媒金属粒子へ親水基を修飾できる。
触媒金属粒子として白金若しくは白金合金を採用したときは、下記の白金錯体溶液で修飾を行なうことが好ましい。かかる白金錯体溶液として、塩化白金(IV)酸水和物水溶液(H2PtCl6・nH2O/H2O sol.)、塩化白金(IV)酸塩酸溶液(H2PtCl6/HCl sol.)、塩化白金(IV)酸アンモニウム水溶液((NH42PtCl6/H2O sol.)、ジニトロジアンミン白金(II)水溶液(cis−[Pt(NH32(NO22]/H2O sol.)、ジニトロジアンミン白金(II)硝酸溶液(cis−[Pt(NH32(NO22]/HNO3 sol.)、ジニトロジアンミン白金(II)硫酸溶液(cis−[Pt(NH32(NO22]/H2SO4 sol.)、テトラクルル白金(II)酸カリウム水溶液(K2PtCl4)/H2O sol.)、塩化第1白金(II)水溶液(PtCl2/H2O sol.)、塩化第2白金(IV)水溶液(PtCl4/H2O sol.)、テトラアンミン白金(II)ジクロライド水和物水溶液([Pt(NH34]Cl2・H2O/H2O sol.)、テトラアンミン白金(II)水酸化物水溶液([Pt(NH34](OH)2/H2O sol.)、ヘキサアンミン白金(IV)ジクロライド水溶液([Pt(NH36]Cl2/H2O sol.)、ヘキサアンミン白金(IV)水酸化物水溶液([Pt(NH36](OH)2/H2O sol.)、ヘキサヒドロキソ白金(IV)酸水溶液(H2[Pt(OH)6]/H2O sol.)、ヘキサヒドロキソ白金(IV)酸硝酸溶液(H2[Pt(OH)6]/HNO3 sol.)、ヘキサヒドロキソ白金(IV)酸硫酸溶液(H2[Pt(OH)6]/H2SO4 sol.)、エタノールアミン白金溶液(H2[Pt(OH)6]/H2NCH2CH2OH sol.)等を採用することができると考える。
発明者の知見によれば、白金若しくは白金合金からなる触媒金属粒子を修飾する親水基として硝酸基を選択することが好ましい。そのためのニトロ白金錯体溶液としては、NO3 -を親水性イオンとするジニトロジアンミン白金(II)硝酸溶液(cis−[Pt(NH32(NO22]/HNO3 sol.)、ヘキサヒドロキソ白金(IV)酸硝酸溶液((H2Pt(OH)6)/HNO3 sol.)、SO4 2-を親水性イオンとするヘキサヒドロキソ白金(IV)酸硫酸溶液((H2Pt(OH)6)/H2SO4 sol.)、NH4 +を親水性イオンとするテトラアンミン白金(II)水酸化物水溶液([Pt(NH34(OH)2]/H2O sln.)等を採用することができる。
触媒金属粒子へ親水基を修飾する方法は、触媒金属粒子や親水基の特性に応じて適宜選択可能であるが、例えば触媒金属粒子が白金製若しくは白金合金製の場合は、触媒を白金錯体溶液に混合し、必要に応じ撹拌すればよい。硝酸基を選択したときは、ジニトロジアミン白金(錯体)の硝酸水溶液へ原料触媒を投入し、撹拌することで原料触媒の触媒白金粒子へ白金錯体(ジニロジアミン白金)が吸着する。また、原料触媒を水に分散させた状態でジニトロジアミン白金(錯体)の硝酸水溶液を添加撹拌してもよい。ここで撹拌は羽根やスターラを用いた機械的な撹拌に限定されず、1つの管路へ2つの溶液を流通させることで実行することも可能である。
(触媒に対する物理的処理及び化学的処理の順序)
触媒における触媒金属粒子を効率良く親水基で修飾するには、化学的処理に先立ち物理的処理を実行しておくことが好ましい。触媒を物理的処理しておくことにより、より多くの触媒金属粒子が親水基を含む処理液へ接触できるようになるからである。
なお、化学的処理により、触媒が再凝集するおそれがあるときは、化学的処理を行なった後に再度物理的処理を行なうことが好ましい。
勿論、触媒に対する化学的処理を最初に実行し、その後に物理的処理を実行してもよい。
PFF構造を得るには、少なくとも触媒に対して脱泡処理を行なうことが好ましい。
(プレペーストの調製)
触媒と水との混合物であるプレペーストにおいて、流動限界からスラリー状態までの範囲の水分量は次のように規定することができる。
プレペーストのせん断速度と粘度との関係において、粘度をせん断速度に対して両対数でプロットしたときの近似直線を求め、流動限界は近似直線の傾きが−1となるペースト状態であり、スラリー状態は近似直線の傾きが−0.8となるペースト状態である。
せん断速度に対する粘度の関係における近似直線の傾きが−1以上、すなわち、傾きが緩やかになるとともに流動性の高いスラリー状態になる。過剰な水分を含んだ状態は膜電極積層体(MEA)の性能の低下を招くため、ペーストが流動限界からスラリー状態になる、すなわち、傾き−1〜−0.8の範囲となる水添加量が最適量となる。これにより理想的なプレペーストを得ることができる。プレペーストではこの近似直線の傾きにより必要最小限の水分添加量を規定することが重要である。一方、傾きが−1未満(傾きがきつくなる)のキャピラリ状態では混合物の流動性がなくなるため、混合時におけるエネルギーがより必要となり、水と触媒との攪拌が不十分となり易く、好適なプレペーストが得られる条件として適さない。
プレペーストを形成する際には、触媒と水との混合物に摩擦力と粉砕力とを付与する混合機を用いることが好ましい。特許文献1、2に開示の自転/公転式遠心攪拌機(ハイブリッドミキサー)は、公転と自転とによって良好な親水化工程を行っていたと解するが、混合物に摩擦力と粉砕力とを付与する点でも好ましいと考えている。この混合機を用いることで、混合機による摩擦力と粉砕力とにより、各触媒におけるカーボン担体の内部にまで水を十分に行渡らせることができる。このため、触媒の表面をより親水的なものとすることができる。
この発明に用いられる電解質は高分子化合物からなり、図1に示すように、疎水性の主鎖E1と親水性のイオン交換基を持つ側鎖E2を有する。親水性のイオン交換基は、例えばスルホン基(SO -)からなる。
一般的に電解質は溶媒(水/有機溶剤)に溶解された状態で流通される。かかる汎用的な電解質溶液に含まれる水分量の調整を行なう。汎用的な電解質溶液には10重量%を超える水が含まれているので、加熱してこれを蒸発させ、更に必要に応じて水及び有機溶剤を添加して電解質溶液を調製する。
電解質溶液中の水分量を10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下とすべきことは既述の通りであり、これにより電解質溶液中の電解質は図1(B)の状態をとる。
電解質溶液に含まれる有機溶媒は電解質の特性に応じて適宜選択するものであるが、本発明者の検討によれば、有機溶媒は、第2級アルコール及び第3級アルコールの少なくとも1種であることが好ましい。メタノールやエタノールのような第1級アルコールでは、水分濃度を減らしても電解質溶液の粘度が高くならない。イソプロピルアルコール(IPA)のような第2級アルコールやターシャリーブチルアルコール(TBA)のような第3級アルコールが混合されれば、電解質溶液中における電解質の固形分はより解れた状態になる。また、発明者の試験によれば、第2級アルコール及び第3級アルコールが混合されれば、電解質溶液中における電解質の固形分はさらに解れた状態になる。
プレペーストと電解質溶液との混合撹拌には自転/公転式遠心撹拌機を用いることが好ましいが、混合撹拌機能を有する一般的なボールミル、ビーズミル、スターラー、ホモジナイザ−等を採用することもできる。
プレペーストと電解質溶液との混合物の粘度は、それぞれの材料や配合比、更には環境温度等によって変化する。従って、混合物の粘度をモニタしてその挙動(粘度の絶対値にあらず)を検出して評価することとなる。
混合物の粘度の挙動とは、混合物の粘度が低位安定する前までの粘度の時間変化を指す。例えば、単位時間あたりの粘度の低下率や初期粘度に対する粘度の低下率などを採用することができる。
図4(A)から明らかなように、混合物の撹拌が一定時間(図4(A)の例では4分)を超えると時間当たりの粘度の低下割合が大きくなる。そこで、撹拌にともなう混合物の粘度の低下割合が所定値を超えた時点で撹拌を停止することができる。
触媒ペーストを製造する工程において粘度管理をしていくうえでは、ハイブリッドミキサーの回転速度を一定に保つことが好ましい。更には、撹拌を一定温度下で行うことが好ましい。
より正確に粘度管理を行うために、攪拌時にリアルタイムで混合物の粘度計測を行うこともできる。例えば、ローター回転制御式粘度計を用いて、プレペーストと電解質溶液の混合と粘度計測を同時に行うこともできる。また、プレペーストと電解質溶液の混合にビーズミルやホモジナイザー等を用い、ペースト循環ラインに音叉型振動式粘度計などリアルタイム計測可能な粘度計を組み込む方法も適用可能である。
いずれの方法も、一定温度下で攪拌及び粘度計測を行うことが好ましい。
図6は一実施形態の触媒ペーストの製造装置100の構成を示すブロック図である。
この製造装置100はプレペースト準備部110、電解質溶液準備部120及び触媒ペースト形成部130を備えてなる。
プレペースト準備部110は触媒収容部111、水収容部113及び第1の撹拌混合部115を備える。触媒収容部111に収容された触媒と水収容部に収容された水との適量を第1の撹拌混合部115に導入してここで物理的処理(撹拌、混合及び必要に応じ粉砕、脱泡)を行ない、プレペーストを形成する。このプレペーストは第2の撹拌混合部131へ導入される。
電解質溶液準備部120において電解質溶液収容部121に収容された電解質溶液の水分量が水分調整部123で適量に調整され、第2の撹拌混合部131へ導入される。
触媒ペースト形成部130は第2の撹拌混合部131、粘度測定装置としての粘度計133及び撹拌制御部135を備える。第2の撹拌混合部131にはハイブリッドミキサーを用いることができ、これによりプレペースト及び電解質溶液を撹拌かつ混合する。粘度計133は第2の撹拌混合部131内の混合物の粘度を測定し、その混合物の粘度の挙動が所定のものとなったとき、撹拌制御装置135へ信号を送信し、第2の撹拌混合部131における撹拌が停止、若しくは撹拌の度合いを小さくし、もって過撹拌を防止する。撹拌度合いを小さくするとは、例えば回転羽根の回転速度を低下させることを指す。
上記のようにして得られた触媒ペーストをガス拡散基材に塗布し、反応層とする。ガス拡散基材としてカーボンクロス、カーボンペーパー、カーボンフェルト等を採用できる。ガス拡散基材の表面(反応層側の面)に撥水層を形成することが好ましい。この撥水層は例えばPTFEで撥水処理したカーボンブラックから形成することができる。触媒ペーストの塗布方法には、スクリーン印刷、スプレー、インクジェット等の任意の方法を採用できる。
上記において、粘度の低い触媒ペーストを用いた反応層を、電極のフラッディングし易い部分、例えば、空気出口近傍、水素出口近傍、電極外周部、冷却板近傍等に設けることができる。これにより、高湿度雰囲気でも安定して高性能を示す。
また、粘度の高い触媒ペーストを用いた反応層を、電極の乾燥し易い部分、例えば、空気入口近傍、水素入口近傍、電極中央部分、冷却板から離れた部位等に設けてもよい。これにより、低加湿雰囲気でも安定して高性能を示す。
ガス拡散基材への触媒ペーストの塗布及び乾燥を所定の回数繰返すことで、空気極(ガス拡散基材+反応層)及び水素極(ガス拡散基材+反応層)が形成される。これら空気極と水素極とで固体高分子電解質膜を挟み、ホットプレス等によりこれらを接合して膜電極接合体(MEA)を得る。この膜電極積層体をセパレータで挟んで最小発電単位である燃料電池が構成される。
以上、専ら触媒ペーストの製造方法及び製造に用いる材料について説明してきた。
図5は触媒ペーストを製造するための装置を示すブロック図である。
触媒ペーストの原料となる触媒、水、貴金属錯体及び電解質はそれぞれ、触媒収容部1001、水収容部1021、貴金属錯体溶液収容部1025及び電解質溶液収容部1041に準備される。なお、触媒から有機物を洗浄するための有機溶剤が有機溶剤収容部1023に準備される。各収容部として収容対象に応じた容量及び材質で形成されたタンクを利用できる。
触媒処理部1003は物理的処理部1005及び化学的処理部1007を備える。物理的処理部1005は湿式粉砕部1009及び脱泡部1011を備える。湿式粉砕部1009としてホモジナイザ−や湿式ジェットミル等を用いることができる。脱泡部1011にはハイブリットミキサ等を用いることができる。化学的処理部1007は撹拌羽根を備えた汎用的な撹拌装置を適用できる。金属触媒粒子に対する反応性が高い貴金属錯体を採用したときは、触媒スラリーを流通させる管路へ当該貴金属錯体溶液を注入すること化学的反応を完成させることも可能である。
触媒処理部において触媒は多量の水に分散されスラリー状のプレペーストとなっているので、水分量調整部1031においてプレペーストの水分量を調整する。
この場合、スラリー状のプレペーストから水分を除去することとなるので、周知の濃縮方法(例えば、加熱蒸発装置、濾過装置、遠心分離装置)等を用いることができる。また、水分量はプレペーストの比重から特定可能であるので、水分量調整部は比重測定装置を備えることが好ましい。また、プレペーストの水分量が過少となった場合を想定して、水分補給装置を備えることが好ましい。
電解質溶液の水分調整部1043は加熱蒸発装置及び水分補給装置を備えることが好ましい。水分量は比重から特定可能であるので更に比重測定装置を備えることが好ましい。
混合撹拌部1051はそれぞれ水分量の調節されたプレペーストと電解質溶液を混合撹拌し、例えばハイブリッドミキサーを用いることができるが、これに限定されるものではない。なお、過撹拌を避けるために、混合撹拌部1051には粘度計1061を付設することが好ましい。
以下、この発明の実施例の説明をする。
(プレペーストの調製)
カーボンブラックを担体としてPt微粒子を担持密度50wt%で担持した触媒を用意した。そして、1gの触媒に対して5gの割合となる水量で触媒と水とを混合し、ハイブリットミキサーによって攪拌し、プレペースト40を得た。このプレペースト40はほぼ流動限界の状態である。
(電解質溶液の調製)
10gのDE2020(デュポン社商品名、以下同じ)を85°Cで湯煎し、DE2020中における水及びNPA(ノルマルプロピルアルコール)の含有量をいずれも2gまで低減させた。次に、このDE2020に34gのIPA(イソプロピルアルコール)を混合し、ハイブリッドミキサーによって3分間攪拌を行った。これにより、DE2020中の水及びNPAの含有量は、ナフィオン溶液中の濃度に換算して5%に相当する量となる。こうして電解質溶液を得た。
(プレペーストと電解質溶液との混合撹拌)
上記のようにして得られたプレペースト6gに対して電解質溶液10gをハイブリッドミキサーに投入し、混合撹拌し、触媒ペーストとする。
撹拌時間を変えて得られた各触媒ペーストの粘度は図4(A)に示す通りである。なお粘度は、(株)エー・アンド・ディ社製音叉型振動式粘度計SV−10を用いて、20℃の触媒ペースト粘度を測定した。
上記の各触媒ペーストをガス拡散層基材に塗布し、反応層を形成した。ガス拡散層基材は、PTFEで撥水処理を行ったカーボンブラックと、電子伝導性を有する基材としてのカーボンクロスとを積層することで得られている。なお、カーボンペーパー等による基材の上に、カーボンブラックとPTFEとの混合物からなる撥水層を設けたガス拡散層基材を採用することもできる。また、触媒ペーストをガス拡散層基材へ塗布する方法としては、スクリーン印刷、スプレー法、インクジェット法等の手段を採用することができる。
触媒ペーストが塗布された基材を乾燥させる。このようにして形成された空気極及び水素極を固体高分子電解質膜(ナフィオン膜:NR211)へ積層し、140°C、加圧力40kgf/cm2でホットプレスして接合した。
こうして膜電極接合体の発電特性を下記の高加湿運転条件下で行なった。
運転条件:セル温度50℃、空気(常圧)及び水素(常圧)を加湿(バブラ温度50℃)。
結果を図7に示す。
かかる高加湿運転条件下においては、高電流側で長時間撹拌した触媒ペースト(粘度は低位安定領域)を用いたセルが高い出力特性を示した。換言すれば、撹拌の度合いを強くして粘度を低くした触媒ペーストを用いることにより排水性の高い反応層を得られる。
他方、下記の低加湿運転条件下における発電特性を図6に示す。
運転条件:セル温度95℃、空気(100kP)及び水素(100kP)を加湿(バブラ温度60℃)、1.6A/cmで定電流発電
結果を図8に示す。
かかる低加湿運転条件下においては、撹拌時間の短い(即ち粘度が大きく、過撹拌がなされていない)方の触媒ペーストに高い出力特性が得られた。
図4(B)の反応層抵抗は次のようにして測定した。
セル温度50℃、空気極へ窒素(常圧)を水素極へ水素(常圧)を加湿(バブラ温度50℃)して流通させ、空気極側の反応層抵抗を測定した。測定の方法は非特許文献1〜3に基づいている。
本発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様も本発明に含まれる。
100 触媒ペースト製造装置、110 プレペースト準備部、120 触媒溶液準備部、130 触媒ペースト形成部130、
C 触媒、C1 担体、C2 触媒金属粒子
E 電解質層、E1 主鎖、E2 側鎖
W 親水領域

Claims (5)

  1. 触媒と水とを混合して流動限界からスラリー状態までの範囲の水分量のプレペーストを得る第1のステップと、
    親水性の側鎖を有する電解質を、水分量が10%以下の状態で溶媒へ溶解して電解質溶液を得る第2のステップと、
    前記プレペーストと前記電解質溶液を混合して撹拌する第3のステップと、
    前記第3のステップにおいて、混合物が所定の粘度になるように撹拌する第4のステップと、を有する、ことを特徴とする触媒ペーストの製造方法。
  2. 撹拌にともなう前記混合物の粘度の低下割合が所定値を超えたときに撹拌を停止する、ことを特徴とする請求項1に記載の触媒ペーストの製造方法。
  3. 燃料電池の反応層となる触媒ペーストを製造する方法であって、
    触媒と水とを混合して流動限界からスラリー状態までの範囲の水分量のプレペーストを得る第1のステップと、
    親水性の側鎖を有する電解質を、水分量が10重量%以下の状態で溶媒へ溶解して電解質溶液を得る第2のステップと、
    前記プレペーストと前記電解質溶液を混合して撹拌する第3のステップと、を有し、
    前記第3のステップにおいて、混合物の粘度を指標として前記反応層の排水性を制御する、ことを特徴とする触媒ペーストの製造方法。
  4. 触媒と水とを混合してたときに流動限界からスラリー状態までの範囲となる量の水とを撹拌かつ混合してプレペーストを得る第1の撹拌混合部と、
    親水性の側鎖を有し、水分量が10%以下の電解質が溶媒に溶解された電解質溶液と、前記プレペーストとを撹拌かつ混合して触媒ペーストを得る第2の撹拌混合部と、
    前記触媒ペーストの粘度を測定する測定装置と、
    前記粘度が所望になるように前記第2の撹拌混合部を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする触媒ペーストの製造装置。
  5. 前記制御手段は、前記混合物の粘度の低下割合が所定値を超えたときに撹拌を停止する、ことを特徴とする請求項1に記載の触媒ペーストの製造方法。
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