JP2012067995A - 加熱調理器 - Google Patents

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和浩 古田
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Abstract

【課題】加熱モードの切り替えを一層効果的に行う。
【解決手段】本実施形態の加熱調理器は、加熱庫と、導波管と、マイクロ波供給手段と、放射部と、導電性素子部とを備える。加熱庫は、内部に調理物を載置する。導波管は、前記加熱庫内に導通孔を介して連結されている。マイクロ波供給手段は、前記導波管内にマイクロ波を供給する。放射部は、導電性材料で構成され、前記導通孔を貫通する結合軸部と、当該結合軸部に設けられた放射素子部とを有し、前記マイクロ波供給手段から前記導波管内に供給されたマイクロ波を前記加熱庫内に導く。導電性素子部は、導電性材料で構成され、前記放射部と絶縁された状態で前記結合軸部の周囲に配置されている。そして、前記放射素子部は、前記結合軸部の軸方向に対してほぼ直交する方向に延びる形状であって、且つ、前記結合軸部に対して非対称形状に形成されている。
【選択図】図2

Description

本発明の実施形態は、加熱調理器に関する。
この種の加熱調理器では、加熱庫内の中央部にマイクロ波を集中させることで、当該加熱庫内の中央部に載置された調理物(例えば、少量の調理物)を集中的に加熱するモードと、加熱庫内にマイクロ波を広く分散させることで、当該加熱庫内に広く載置された調理物(例えば、大きな調理物や複数の調理物)を均一に加熱するモードとを切り替え可能に構成することが考えられている。
例えば、特許文献1に記載の加熱調理器は、加熱庫の底部の中央部に、中心部と外周部に開口を有するプレート状の2つのスタラを上下に重ねて回転可能に備えている。そして、これら2つのスタラの相対的な回転位置を制御することで、外周部の開口が塞がれ中心部のみが開口したモード、つまり、加熱庫内に供給されたマイクロ波を中心部の開口から集中的に放射するモードと、中心部と外周部の両方が開口したモード、つまり、加熱庫内に供給されたマイクロ波を中心部の開口と外周部の開口の双方から分散して放射するモードとを切り替えるように構成されている。即ち、この特許文献1の加熱調理器は、2つのスタラの相対的な回転位置を制御してマイクロ波の遮蔽具合を変えることで、加熱庫内におけるマイクロ波の放射領域の分布(加熱分布)を変更し、これにより、加熱モードを切り替えるように構成されている。
しかしながら、この種の加熱調理器において、加熱庫内に一旦導入されたマイクロ波は、当該加熱庫内を不規則に拡散していく。そして、このように加熱庫内において一旦拡散してしまったマイクロ波に対して、その全ての遮蔽具合をスタラの開口量を変えることで切り替えることは困難である。従って、特許文献1の構成では、加熱庫内に導入されたマイクロ波の一部(特に、スタラの近傍に拡散したマイクロ波のみ)の遮蔽具合を変えることができるに過ぎず、加熱モードの切り替えを効果的に行うことができない。
特開2007−26738号公報
そこで、加熱モードの切り替えを一層効果的に行うことができる加熱調理器を提供する。
本実施形態の加熱調理器は、加熱庫と、導波管と、マイクロ波供給手段と、放射部と、導電性素子部とを備える。加熱庫は、内部に調理物を載置する。導波管は、前記加熱庫内に導通孔を介して連結されている。マイクロ波供給手段は、前記導波管内にマイクロ波を供給する。放射部は、導電性材料で構成され、前記導通孔を貫通する結合軸部と、当該結合軸部に設けられた放射素子部とを有し、前記マイクロ波供給手段から前記導波管内に供給されたマイクロ波を前記加熱庫内に導く。導電性素子部は、導電性材料で構成され、前記放射部と絶縁された状態で前記結合軸部の周囲に配置されている。そして、前記放射素子部は、前記結合軸部の軸方向に対してほぼ直交する方向に延びる形状であって、且つ、前記結合軸部に対して非対称形状に形成されている。
一実施形態に係るものであり、(a)は加熱調理器の外観を示す正面図、(b)は図1(a)のX−X線に沿う加熱調理器の縦断側面図 加熱調理器の要部を示す縦断側面図 加熱調理器の電気的構成を示すブロック図 放射アンテナが平行モードにおけるアンテナ全体を示すものであり、(a)は平面図、(b)は縦断側面図 放射アンテナが直交モードにおけるアンテナ全体を示すものであり、(a)は平面図、(b)は縦断側面図 放射板部の偏芯度と導電性素子部の指向特性との関係を示す図 導電性素子片の水平方向における配置位置と高さ方向における配置位置との関係を示す図 導電性素子部の長手方向の長さと指向特性との関係を示す図 導電性素子部の長手方向の長さと反射特性との関係を示す図 (a)は集中加熱モード、(b)は分散加熱モード、(c)および(d)は選択加熱モードにおけるマイクロ波の放射領域の分布を示す図 制御装置が自動的に行う制御例を示すタイムチャート 変形例に係る図4(a)相当図 変形例に係る図4(b)相当図
以下、一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1に示すように、加熱調理器1の外郭を構成する外箱1aの内部には、内箱2が固定されている。これら外箱1aおよび内箱2は、それぞれ、前面が開口するものであり、左側板と右側板と底板と天板と後板とを相互に組み合せることによって構成されている。内箱2の底板は、マイクロ波を透過可能な部材(この場合、セラミック板)で構成され、内箱2の左側板と右側板と天板と後板は、それぞれ、マイクロ波を透過不能な金属などで構成されている。この内箱2の内部空間は、内部に載置された調理物をマイクロ波で加熱調理(レンジ調理)するための加熱庫3として機能する。内箱2の前面は、加熱庫3内に調理物を出し入れするための出入口として機能する。
加熱庫3の内部には、内箱2の底板上に、加熱対象となる調理物(図2参照)が載置される。この内箱2の底板には、ほぼ中央部に位置して集中加熱領域が設けられている。この集中加熱領域は、内箱2の底板に、例えば円形状の輪郭線を描くことで示されており、使用者が集中加熱領域を目視できるようになっている。外箱1aの前面には、扉4が設けられている。この扉4は、外箱1aに対して水平な開放状態および垂直な閉鎖状態の相互間で、左右方向に延びる回動軸5を中心に回動可能に構成されている。扉4の閉鎖状態では、加熱庫3の出入口は、加熱庫3内に調理物を出し入れ不能に閉鎖される。扉4の開放状態では、加熱庫3の出入口は、加熱庫3内に調理物を出し入れ可能に開放される。
内箱2の天井部の後端部には、当該内箱2の左右方向のほぼ中央部に位置して、赤外線センサ6が設けられている。この赤外線センサ6は、複数(例えば、8個)の赤外線素子(図示せず)を備えている。また、この赤外線センサ6は、例えばステッピングモータからなるセンサモータ7によって、その赤外線素子による温度検出領域を移動できるようになっている。これにより、赤外線センサ6は、加熱庫3内の底部の複数個所の温度を検出し、その検出温度に応じた大きさの温度検出信号を出力する。この赤外線センサ6は、マイクロコンピュータを主体にROM,RAMなどを有して構成された制御装置8(図3参照)に接続されている。この制御装置8は、赤外線センサ6から出力される温度信号に基づいて、加熱庫3内の底部の複数個所の温度、つまり、加熱庫3内の温度分布を検出する。また、制御装置8は、この赤外線センサ6による検知結果に基づいて加熱庫3内のうち温度が低い領域を低温度領域として判定する。なお、制御装置8が低温度領域と判定するための基準温度は適宜変更して設定することができる。
内箱2の底部には、ケーシング9が固定されている。このケーシング9は、非磁性金属(例えば、アルミニウムなど)から構成され、上面が開口する容器状をなす。
外箱1aの内部には、前後方向へ指向する導波管10が設けられている。この導波管10は、非磁性金属(例えば、アルミニウムなど)からなる。導波管10の前端部は、ケーシング9に下方から固定されている。導波管10の後端部には、マグネトロン11(マイクロ波供給手段に相当)が接続されている。このマグネトロン11は、電気的なオン状態でマイクロ波を発振して、当該マイクロ波を導波管10内に供給する。この場合、マグネトロン11が導波管10内に供給するマイクロ波の波長は、概ね120mmである。導波管10は、マイクロ波が供給される通路として機能する。
図2に示すように、ケーシング9の底部のほぼ中央部には、導通孔12が形成されている。従って、導波管10は、加熱庫3内に導通孔12を介して連結されている。この導通孔12は、集中加熱領域と同心な円形状の貫通孔からなるものであり、マイクロ波が通過することが可能な大きさに設定されている。この導通孔12の径寸法は、マグネトロン11が発生するマイクロ波の波長の1/4以下の長さ(この場合、概ね30mm)に設定されている。
ケーシング9には、導通孔12の内周面に位置して、ほぼ円筒状のアンテナホルダ13が固定されている。このアンテナホルダ13は、空気以外の絶縁性材料で構成されるものである。この場合、アンテナホルダ13は、マイクロ波を透過可能であって当該マイクロ波によって加熱され難い絶縁体(例えば、誘電体であるテフロン(登録商標)など)からなり、加熱庫3内の集中加熱領域に対して同心な状態で配設されている。アンテナホルダ13は、その中央部に、当該アンテナホルダ13を軸方向に貫通する軸挿通孔13aを有している。この軸挿通孔13aも、加熱庫3内の集中加熱領域に対して同心な状態となっている。また、アンテナホルダ13は、その外周部に、当該アンテナホルダ13の周方向に円環状に延びる係止溝(図示せず)を有している。この係止溝が、ケーシング9の導通孔12部分に係止している。
上記のアンテナホルダ13は、放射アンテナ14(放射部に相当)および導電性アンテナ15を回転可能に支持するためのものである。次に、これら放射アンテナ14および導電性アンテナ15の構成について説明する。
放射アンテナ14は、非磁性の導電性材料(例えば、アルミニウムなど)で構成されており、導通孔12を貫通する回転軸部14a(結合軸部に相当)と、当該回転軸部14aに設けられた放射板部14b(放射素子部に相当)とを有する。この放射アンテナ14の放射板部14bは、ケーシング9の内部に回転可能に収容される。
回転軸部14aは、ほぼ円柱状をなしており、アンテナホルダ13の軸挿通孔13aに回転可能に挿通されている。従って、回転軸部14aの外周面は、アンテナホルダ13(軸挿通孔13aの内周面)によって覆われている。これにより、放射アンテナ14は、電気的に絶縁された状態で保持されている。
この回転軸部14aは、アンテナホルダ13と同心な状態で軸挿通孔13a内に配設されており、集中加熱領域のほぼ中心部から垂直に延びる軸心線CLを中心に回転可能に構成されている。従って、回転軸部14aは、その回転中心である軸心線CLが集中加熱領域の中心点を通るように、当該集中加熱領域の下方に配置されている。
また、この回転軸部14aは、その外周部に、当該回転軸部14aの周方向に延びる突部14cを有している。この突部14cは、回転軸部14aの外周面から突出する円環状をなし、アンテナホルダ13の下面に下方から接触している。これにより、回転軸部14a、ひいては、放射アンテナ14の上方への移動が規制されている。
放射板部14bは、この場合、その全長がマグネトロン11から導波管10内に供給されるマイクロ波の波長のほぼ1/2の長さ(この場合、概ね60mm)に設定されている。そして、図4および図5に示すように、この放射板部14bは、その中心部以外の部分が回転軸部14aの上端部に固定されており、当該回転軸部14aと一体的に回転する。この放射板部14bは、その軸中心(回転軸部14aの軸心部)から両先端部までの長さA,Bが異なるように配設されているとともに、回転軸部14aの周面から両先端部までの長さa,bも異なるように配設されている。即ち、放射板部14bは、回転軸部14aに対して両端部の長さおよび形状が非対称形状に形成されている。
この放射板部14bは、水平方向、つまり、回転軸部14aの軸方向に対してほぼ直交する方向に直線状に延び、両端部に丸みを有する長板状の部材である。この放射板部14bは、集中加熱領域に対して下方から対向するように配設されている。また、この放射板部14bは、加熱庫3の底面(内箱2底部のセラミック板)に沿って平行に延びるように配設されている。この放射板部14bは、上述したように、軸心線CL(回転軸部14a)を挟んで非対称形状に設けられている。即ち、放射アンテナ14は、異なる長さのエレメント(マイクロ波が放射され易い部分である放射板部14bの両端部)を非対称に有するダイポールアンテナを模した形状となっている。
ここで、放射板部14bの構成についてさらに詳細に説明する。この場合、放射板部14bは、回転軸部14aの軸心部から一方の先端部(この場合、短い方の先端部)までの長さBが当該放射板部14bの全長の2/5以下の長さに設定されている。また、放射板部14bは、回転軸部14aの軸心部から他方の先端部(この場合、長い方の先端部)までの長さAが当該放射板部14bの全長の3/5以上の長さに設定されている。
また、放射板部14bは、その偏芯度Eが0.55以下となるように設定されている。なお、偏芯度Eは、回転軸部14aの周面から一方の先端部(この場合、短い方の先端部)までの長さbと、回転軸部14aの周面から他方の先端部(この場合、長い方の先端部)までの長さaとに基づいて、次の式によって求めたものである。
偏芯度E=b/a
即ち、偏芯度Eが0.55以下に設定されているということは、回転軸部14aの周面から一方の先端部までの長さbが回転軸部14aの周面から他方の先端部までの長さaの0.55倍以下の長さに設定されているということと同義である。ここで、図6は、放射板部14bの偏芯度と導電性素子部17の指向特性(詳しくは後述する)との関係を示す図である。即ち、放射板部14bの偏芯度Eが0.55以下であれば、導電性素子部17の指向特性が強くなる傾向がある。
一方、図2に示すように、導電性アンテナ15は、ケーシング9の内部に回転可能に収容され、空気以外の絶縁性材料で構成された保持部16と、非磁性の導電性材料(例えば、アルミニウムなど)で構成された2つの導電性素子部17,18とを有する。これら導電性素子部17,18は、放射アンテナ14の放射板部14bを挟んで配置されている。
保持部16は、導電性素子部17,18を保持するものであり、この場合、マイクロ波を透過可能であって当該マイクロ波によって加熱され難い絶縁体(例えば、誘電体であるテフロンなど)で構成されている。この保持部16は、図4および図5に示すように、円形板状の軸部16aと、この軸部16aから異なる2方向(この場合、互いに反対方向)に延びる翼部16b,16cとを有する。
軸部16aは、その中心部に挿通孔16i(図2参照)を有しており、この挿通孔16iには、放射アンテナ14の回転軸部14aが回転可能に挿通される。この軸部16aは、アンテナホルダ13の上部において、当該アンテナホルダ13と同心な状態で、且つ、集中加熱領域のほぼ中心部から垂直に延びる軸心線CLを中心に回転可能に配設されている。従って、この軸部16aを中心とする保持部16は、その回転中心である軸心線CLが集中加熱領域の中心点を通るように、当該集中加熱領域の下方に配置されている。
また、軸部16aは、その下端面がアンテナホルダ13によって支持されている。これにより、軸部16a、ひいては、導電性アンテナ15の下方への移動が規制されている。即ち、アンテナホルダ13は、導電性アンテナ15(特に、軸部16a部分)を、下方向への移動を規制した状態で保持する。また、軸部16aは、上述した放射アンテナ14の回転軸部14aの周囲を非導通状態に取り巻くように配設され、当該回転軸部14aと同軸に回転可能に設けられる。
翼部16b,16cは、それぞれ、加熱庫3の底面(内箱2底部のセラミック板)に沿って平行に延びており、軸部16a(軸心線CL)を挟んで非対称に設けられている。即ち、翼部16bは、その上部に、内側(軸部16a側)から順に、取付部16d、取付部16e、取付部16fを有している。この場合、これら取付部16d〜16fの高さ方向の寸法(回転軸部14aの軸方向に沿う方向、つまり、鉛直方向の寸法)は、最も内側の取付部16dから最も外側の取付部16fに向かって順次段階的に大きくなるように設定されている。また、各取付部16d〜16fの中心部が一直線上(図4(b)および図5(b)に示す傾斜した直線SL上)に位置するように設定されている。なお、最も内側の取付部16dには、内側に向かって開放する溝部16gが設けられている。また、翼部16bの先端部の下部には、支持部16hが設けられている。この支持部16hは、その下面がケーシング9の上面に摺動可能に当接しており、保持部16、ひいては、導電性アンテナ18全体を支持する。
一方、翼部16cは、矩形板状に形成されており、その長さが翼部16bの長さよりも短く設定されている。
導電性素子部17は、放射アンテナ14の回転軸部14aの周囲に位置して、保持部16の翼部16bの上端部に設けられている。なお、導電性素子部17は、翼部16bの下端部に設けてもよい。この導電性素子部17は、非磁性の導電性材料(例えば、アルミニウムなど)からなる複数(この場合、3つ)の導電性素子片17aで構成されている。これら導電性素子片17aは、図4(a)および図5(a)に示すように、水平方向に直線状に延び両端部に丸みを有する長板状の部材であり、その長手方向の長さが、この場合、後述する導電性素子片18aよりも短い54.5mmに設定されている。なお、導電性素子片17aの長さは、54.5mmに限られるものではなく、例えば52.0〜56.5mmの範囲で適宜変更して設定することができる。
これら導電性素子片17aは、保持部16の翼部16bに設けられた取付部16d〜16fにそれぞれ取り付けられている。上述したように、これら取付部16d〜16fの高さ寸法は、最も内側の取付部16dから最も外側の取付部16fに向かって順次段階的に大きくなるように設定されている。従って、これら取付部16d〜16fに取り付けられる各導電性素子片17aの高さ方向における配置位置も、最も内側の導電性素子片17aから最も外側の導電性素子片17aに向かって順次高くなる構成となっている。即ち、導電性素子片17aは、それぞれの高さ方向(回転軸部14aの軸方向に沿う方向)における配置位置が異なるように配列されており、しかも、最も内側の導電性素子片17aが最も低い位置に配置され、最も外側の導電性素子片17aが最も高い位置に配置されている。また、上述したように、各取付部16d〜16fは、それぞれの中心部が放射板部14bの中心部から傾斜して延びる一直線上(直線SL上)に位置するように設定されている。そのため、これら取付部16d〜16fに取り付けられた各導電性素子片17aの中心部も一直線上(直線SL上)に位置する。即ち、導電性素子片17aは同一直線SL上に配列されている。
図7は、導電性素子部17を構成する各導電性素子片17aの水平方向における配置位置と、これら導電性素子片17aの高さ方向における配置位置との関係を示している。即ち、図7(a)に示すように、導電性素子部17を構成する導電性素子片17aが放射板部14bの中心部から傾斜して延びる同一直線上に配列された構成によれば、導電性素子部17の指向特性(詳しくは後述する)を効果的に強くすることができる。これに対して、図7(b)に示すように、各導電性素子片17aが同一直線上に配列されているがその直線が放射板部14bの中心部から傾斜して延びる直線(図7(b)に破線で示す直線)とは異なる構成によれば、導電性素子部17の指向特性が、上述の図7(a)に示す構成に比べ弱くなる。また、図7(c)に示すように、各導電性素子片17aが同一直線上に配列されていない構成によれば、導電性素子部17の指向特性が、上述の図7(a)に示す構成や図7(b)に示す構成に比べ大幅に弱くなる。
これら導電性素子片17aは、それぞれ、保持部16の翼部16bの長手方向に対して直交する方向に延びるように配設されている。また、各導電性素子片17aは、その中心部が翼部16b(取付部16d〜16f)に取り付けられており、それぞれ当該翼部16bを挟んで対称となるように配設されている。
また、これら導電性素子片17aは、回転軸部14aの軸心部を中心に互いに平行になるように配列されている。そして、各導電性素子片17aの長手方向に延びる中央線間の間隔は、マグネトロン11が導波管10内に供給するマイクロ波の波長の1/4の長さ(この場合、概ね30mm)に設定されている。なお、各導電性素子片17a間の間隔は、適宜変更して設定することができる。また、導電性素子片17aの数は3つに限られるものではなく適宜変更して実施することができる。
一方、導電性素子部18は、放射アンテナ14の回転軸部14aの周囲に位置して、保持部16の翼部16cの上端部に設けられている。なお、導電性素子部18は、翼部16cの下端部に設けてもよい。この導電性素子部18は、非磁性の導電性材料(例えば、アルミニウムなど)からなる1つの導電性素子片18aで構成されている。この導電性素子片18aは、水平方向に直線状に延び両端部に丸みを有する長板状の部材であり、その長手方向の長さが、この場合、上述した導電性素子片17aよりも長い66.0mmに設定されている。なお、導電性素子片18aの長さは、66.0mmに限られるものではなく、例えば64.5〜69.3mmの範囲で適宜変更して設定することができる。また、導電性素子部18は、複数の導電性素子片18aで構成してもよい。
導電性素子片18aは、保持部16の翼部16cの長手方向に対して直交する方向に延びるように配設されている。また、導電性素子片18aは、その中心部が翼部16cに取り付けられており、当該翼部16cを挟んで対称となるように配設されている。また、導電性素子片18aは、導電性素子部17を構成する導電性素子片17aと平行になるように配設されている。
図8は、導電性素子部17(導電性素子片17a)の長手方向の長さと、当該導電性素子部17の指向特性(詳しくは後述する)との関係を示している。即ち、導電性素子部17の長手方向の長さが52.0〜56.5mmの範囲(図8に符号R1で示す範囲)では、当該導電性素子部17の指向特性は、所定のしきい値S1よりも大幅に高くなる。一方、導電性素子部17の長手方向の長さが52.0mm以下の範囲では、当該導電性素子部17の指向特性は、しきい値S1よりも僅かに高くなる。また、導電性素子部17の長手方向の長さが56.5mm以上の範囲では、当該導電性素子部17の指向特性は、しきい値S1よりも低くなる。
図9は、導電性素子部18の長手方向の長さと、当該導電性素子部18の反射特性(詳しくは後述する)との関係を示している。即ち、導電性素子部18の長手方向の長さが64.5〜69.3mmの範囲(図9に符号R2で示す範囲)では、当該導電性素子部18の反射特性は、所定のしきい値S2よりも高くなる。一方、導電性素子部18の長手方向の長さが64.5mm以下、或いは、69.3mm以上の範囲では、当該導電性素子部18の反射特性は、しきい値S2よりも低くなる。
次に、ストッパ部19の構成について説明する。図4および図5に示すように、このストッパ部19は、導電性アンテナ15の一部を構成する保持部16の軸部16aに一体的に設けられており、当該保持部16と一体に回転する。従って、このストッパ部19も、空気以外の絶縁性材料(テフロンなど)で構成されるものである。
ストッパ部19は、軸部16aの上面に設けられた係止部19aおよび係止部19bを有している。これら係止部19aおよび係止部19bは、軸部16aの上方に位置する放射アンテナ14の放射板部14bを挟むようにして、軸部16aの上面から回転軸部14aの軸方向に沿ってそれぞれ上方に突出している。
なお、放射アンテナ14の放射板部14bは、回転軸部14aを導電性アンテナ15の軸部16a(挿通孔16i)に回転可能に挿通させた状態で、当該導電性アンテナ15(軸部16aおよびその周辺部分)の上方に位置している。これにより、放射アンテナ14の放射板部14bは、導電性アンテナ15が上方へ抜けてしまうことを防止する抜け止め機能を有している。
また、放射アンテナ14を構成する回転軸部14aおよび放射板部14bと、導電性アンテナ15を構成する導電性素子部17および導電性素子部18とは、これらの間に保持部16や空間が介在されていることから、相互に絶縁された状態となっている。即ち、導電性素子部17,18は、放射アンテナ14と絶縁された状態で回転軸部14aの周囲に配置されている。なお、回転軸部14aおよび放射板部14bを含む放射アンテナ14、および、導電性素子部17および導電性素子部18を含む導電性アンテナ15は、それぞれ加熱庫3の内壁面からも当該加熱庫3内の空間を介して絶縁されている。
次に、上述した2つのアンテナ14,15を回転駆動するための構成について説明する。
図2に示すように、導波管10の前端部の下部には、放射アンテナ14および導電性アンテナ15の回転を制御するための例えばステッピングモータからなるアンテナモータ20が固定されている。このアンテナモータ20は、円柱状の回転軸21と、この回転軸21の先端部に形成され当該回転軸21と一体的に回転する操作軸22とを有している。操作軸22は、その軸方向(図2では上下方向)に見た断面が矩形状をなしており、導波管10の内部に挿入されている。これら回転軸21および操作軸22は、空気以外の絶縁性材料(テフロンなど)、或いは、非磁性金属(例えば、アルミニウムなど)からなり、放射アンテナ14の回転軸部14aおよび導電性アンテナ15の軸部16aと同心に配置されている。
導波管10内において、放射アンテナ14の回転軸部14aの下端部には、下方に開口するキー溝23が形成されている。このキー溝23は、その軸方向(図2では上下方向)に見た断面が矩形状をなしている。このキー溝23内には、アンテナモータ20の操作軸22が下方から挿入されている。放射アンテナ14は、その一部を構成する回転軸部14aがアンテナモータ20の操作軸22によって下方から支持されており、これにより、放射アンテナ14の下方への移動が規制されている。アンテナモータ20の操作軸22が回転すると、その操作軸22の回転力がキー溝23から回転軸部14aに伝達され、回転軸部14a、ひいては、この回転軸部14aを含む放射アンテナ14全体が回転する。
放射アンテナ14が一方向(この場合、図4(a)に示す矢印A方向)に回転すると、この放射アンテナ14の一部を構成する放射板部14bも一体的に一方向(矢印A方向)に回転する。そして、ストッパ部19の係止部19aが、放射アンテナ14の放射板部14bに係止するようになる。ストッパ部19の係止部19aが放射アンテナ14の一部(この場合、放射板部14b)に係止(当接)することで、放射アンテナ14の回転力が、ストッパ部19を介して導電性アンテナ15に伝達されるようになり、これにより、放射アンテナ14の一方向(矢印A方向)への回転に連動して、導電性アンテナ15が一方向(矢印A方向)に回転するようになる。
また、ストッパ部19の係止部19aが放射アンテナ14の放射板部14bに係止した状態では、放射アンテナ14の放射板部14bは、導電性素子部17,18、ひいては、これら導電性素子部17,18を構成する導電性素子片17a,18aに対して平行に延びた状態となる。そして、放射アンテナ14のうち主としてマイクロ波を放射する部分となる放射板部14bは、長い方の先端部が導電性アンテナ15を構成する保持部16(軸部16a部分)から突出した状態となり、短い方の先端部が保持部16(軸部16a部分)に重なった状態となる。そして、この状態で、放射アンテナ14と導電性アンテナ15とが一体的に一方向(矢印A方向)に回転するようになる。
一方、放射アンテナ14が他方向(この場合、図5(a)に示す矢印B方向)に回転すると、この放射アンテナ14の一部を構成する放射板部14bも一体的に他方向(矢印B方向)に回転する。そして、ストッパ部19の係止部19bが、放射アンテナ14の放射板部14bに係止するようになる。このとき、放射板部14bの短い方の先端部は、保持部16の翼部16bにおける最も内側の取付部16dの溝部16g内にスライドする。ストッパ部19の係止部19bが放射アンテナ14の一部(この場合、放射板部14b)に係止(当接)することで、放射アンテナ14の回転力が、ストッパ部19を介して導電性アンテナ15に伝達されるようになり、これにより、放射アンテナ14の他方向(矢印B方向)への回転に連動して、導電性アンテナ15が他方向(矢印B方向)に回転するようになる。
また、ストッパ部19の係止部19bが放射アンテナ14の放射板部14bに係止した状態では、放射アンテナ14の放射板部14bは、導電性素子部17,18、ひいては、これら導電性素子部17,18を構成する導電性素子片17a,18aに対して直交する方向に延びた状態、つまり、非平行に延びた状態となる。そして、放射アンテナ14のうち主としてマイクロ波を放射する部分となる放射板部14bは、両先端部が導電性アンテナ15を構成する保持部16の軸部16aおよび翼部16b,16cに重なった状態となる。そして、この状態で、放射アンテナ14と導電性アンテナ15とが一体的に他方向(矢印B方向)に回転するようになる。
このように、放射アンテナ14は、その一部を構成する放射板部14bが導電性素子部17,18に対してほぼ平行な状態となる平行モード(図4参照)と、放射板部14bが導電性素子部17,18に対してほぼ直交した状態となる直交モード(図5参照)とに切り替え可能に構成されている。また、放射アンテナ14が平行モードに切り替えられた状態では、放射板部14bの長手方向に延びる中央線と導電性素子部17の最も内側の導電性素子片17aの長手方向に延びる中央線との間隔は、マグネトロン11から導波管10内に供給されるマイクロ波の波長の1/4の長さ(この場合、概ね30mm)となるように設定されている。
また、係止部19aが放射アンテナ14の放射板部14bに係止し放射アンテナ14が平行モードに切り替えられた状態における放射板部14bの導電性素子部17,18に対する角度は、この場合、概ね0度であり、放射板部14bの延びる方向(長手方向)と導電性素子部17,18の延びる方向(長手方向)が概ね或いは完全に一致する。一方、係止部19bが放射アンテナ14の放射板部14bに係止し放射アンテナ14が直交モードに切り替えられた状態における放射板部14bの導電性素子部17,18に対する角度は、この場合、概ね90度であり、放射板部14bの延びる方向(長手方向)と導電性素子部17,18の延びる方向(長手方向)が概ね或いは完全に直交する。即ち、放射板部14bの導電性素子部17,18に対する角度は、平行モードと直交モードとで、この場合、概ね90度異なるように設定されている。
このように構成された放射アンテナ14および導電性アンテナ15は、何れも、加熱庫3内にマイクロ波を放射するためのものである。ここで、これら放射アンテナ14および導電性アンテナ15によるマイクロ波の放射パターン(放射領域)について説明する。
まず、放射アンテナ14の回転軸部14aは、導波管10内において、下方に突出し、かつ、アンテナホルダ13によって覆われることなく露出している(図2参照)。そのため、導波管10内のマイクロ波は回転軸部14aに強く結合する。回転軸部14aに結合したマイクロ波は、当該回転軸部14aを介して放射板部14bに導き出され、当該放射板部14bから放射される。
ここで、放射板部14bにおける回転軸部14aから両先端部までの長さをほぼ等しく設定した構成、つまり、放射板部14bを回転軸部14aに対して対称形状に形成した構成では、放射板部14bの両端部には、それぞれ、回転軸部14aから各先端部に向かう方向にほぼ同じ大きさの電流が流れるようになる。そのため、放射板部14bのうちマイクロ波の放射起点となる部分(この場合、回転軸部14aに固定された放射板部14bの中心部)において電流が打ち消し合い、マイクロ波の放射が弱くなる傾向がある。
これに対して、本実施形態では、放射板部14bにおける回転軸部14aから両先端部までの長さが異なる構成、つまり、放射板部14bを回転軸部14aに対して非対称形状に形成した構成を採用した。そのため、放射板部14bの両端部に流れる電流の向きや大きさが異なるようになり、マイクロ波の放射起点となる部分が放射板部14bの中心部からずれる。その結果、放射起点において電流が相互に打ち消し合う作用が弱まるようになる。そのため、放射板部14bを回転軸部14aに対して非対称形状に形成した構成によれば、放射板部14bを回転軸部14aに対して対称形状に形成した構成に比べ、マイクロ波の放射が強くなる傾向がある。
このような非対称形状の放射板部14bを有する放射アンテナ14が平行モードに切り替えられた状態(図4(a)参照)では、放射板部14bから放射されたマイクロ波は、その殆どが放射板部14bの近傍に伝播し、その一部が当該放射板部14bの最も近くに位置する導電性素子片17a(この場合、最も内側の導電性素子片17a)に伝播する。
ここで、長手方向の長さが比較的短く設定された複数の導電性素子片17aからなる導電性素子部17においては、放射板部14bの最も近くに位置する導電性素子片17aに伝播したマイクロ波は、当該導電性素子片17aの最も近くに位置する外側の導電性素子片17aに伝播(二次放射)し、当該導電性素子片17aに伝播したマイクロ波は、さらに外側の導電性素子片17aに伝播していく。つまり、放射板部14bから放射されたマイクロ波は、内側の導電性素子片17aから外側の導電性素子片17aに向かって順に伝播していく。
このとき、長手方向の長さが比較的短く設定された導電性素子片17a間を伝播するマイクロ波の位相は、放射板部14bから放射されたマイクロ波の位相とほぼ同位相となる。そのため、放射板部14bから放射されたマイクロ波は、導電性素子片17a間を伝播する過程で強められ、導電性素子部17が取り付けられた翼部16bが延びる方向(図4(a)に示す矢印C参照)に向かって指向性を有するようになる。即ち、導電性素子部17は、マイクロ波の放射パターンに指向性を付与する指向特性を備えている。
一方、長手方向の長さが比較的長く設定された導電性素子片18aからなる導電性素子部18においては、導電性素子片18aに伝播したマイクロ波の位相が放射板部14bから放射されたマイクロ波の位相とほぼ同位相となることがなく、従って、導電性素子部18は、マイクロ波の放射パターンに指向性を付与する指向特性を備えることもない。しかし、放射アンテナ14および導電性アンテナ15を含むアンテナ全体としては、マイクロ波が導電性素子部18によって反射され反対側の導電性素子部17から指向性を有して放射されるような形態となる。即ち、この導電性素子部18は、マイクロ波の放射パターンに反射性を付与する反射特性を備えている。
このように、放射アンテナ14が平行モードに切り替えられた状態では、マイクロ波の放射パターンは、長手方向の長さが比較的短い導電性素子部17が取り付けられた翼部16bが延びる方向に向かう指向性を有したものとなる。なお、上述したように、放射板部14bを回転軸部14aに対して非対称形状に形成した構成では、当該放射板部14bからのマイクロ波の放射が強くなる傾向がある。そのため、放射アンテナ14が平行モードに切り替えられた状態では、放射板部14bの上部にも十分にマイクロ波が放射される。また、放射アンテナ14が平行モードに切り替えられた状態(マイクロ波が指向性を有して放射される状態)で当該放射アンテナ14および導電性アンテナ15を含むアンテナ全体を回転させることで、マイクロ波が放射される方向(指向する方向)を回転させることができる。これにより、マイクロ波の放射パターンを、加熱庫3のほぼ全域にわたる広いものとすることができる。
一方、放射アンテナ14が直交モードに切り替えられた状態(図5(a)参照)では、放射板部14bの一部(放射板部14bのうち溝部16g内にスライドした部分)と導電性素子部17の最も内側の導電性素子片17aの一部が鉛直方向(上下方向)に見て相互に絶縁された状態を保ちつつ重なり、これにより、回転軸部14aの軸方向に見てほぼT字状のアンテナを形成する。このT字状のアンテナは、2つの部材(放射板部14bおよび最も内側の導電性素子片17a)からなるものであるが、マイクロ波から見た見かけ上のアンテナとしては一体のアンテナとして機能する。上述したように、放射板部14bを回転軸部14aに対して非対称形状に形成した構成では、当該放射板部14bからのマイクロ波の放射が強くなる傾向がある。そのため、このような放射板部14bの一部に導電性素子片17aの一部を重ねてT字状のアンテナを疑似的に形成することにより、放射板部14bのみからマイクロ波を放射する場合に比べ、マイクロ波の放射を弱めることができ、また、マイクロ波の放射領域を広げることができる。
また、このT字状のアンテナが形成された状態(放射アンテナ14が直交モードに切り替えられた状態)では、回転軸部14aの軸心部から放射板部14bのうち導電性素子部17(最も内側の導電性素子片17a)に重なっていない先端部までの長さc(図5(a)参照)と、回転軸部14aの軸心部から放射板部14bに重なっている導電性素子部17(最も内側の導電性素子片17a)の外側の端部までの長さd(図5(a)参照)とがほぼ同一となるように構成されている。即ち、このT字状のアンテナの一部(放射板部14bを含む部分)には、回転軸部14aから両先端部までの長さが等しくなる放射板状領域14X(図5(a)に二点鎖線で示す領域)、つまり、回転軸部14aに対して対称形状である領域が疑似的に形成される。このような放射板状領域14Xが形成されることによっても、マイクロ波の放射を弱めることができ、また、マイクロ波の放射領域を広げることができる。
以上のように、放射アンテナ14が直交モードに切り替えられた状態では、非対称形状の放射板部14bからのマイクロ波の放射を弱める作用を有するT字状のアンテナや対称形状の放射板状領域14Xが形成される。これにより、マイクロ波の放射パターンは、疑似的に形成されるT字状のアンテナ、或いは、放射板状領域14Xから分散する広いものとなる。また、直交モードに切り替えられた放射アンテナ14および導電性アンテナ15を含むアンテナ全体を回転させることで、マイクロ波の放射パターンを、さらに広げて加熱庫3のほぼ全域にわたる広いものとすることができる。
次に、加熱調理器1の操作系の構成について説明する。
図1に示すように、扉4の下部には操作パネル24が設けられている。この操作パネル24内には、エンコーダ25が収納されている。このエンコーダ25は、扉4の閉鎖状態で前後方向へ指向する操作軸(図示せず)を有しており、この操作軸には、使用者によって回動操作されるダイアル26が固定されている。エンコーダ25は、ダイアル26の操作量が予め決められた単位値に到達する毎に、パルス信号を出力する。このエンコーダ25は、制御装置8(図3参照)に接続されている。この制御装置8のROMには、各種の調理メニューを実行するための制御プログラムや制御データなどが予め記録されている。制御装置8は、エンコーダ25から出力されるパルス信号を計数することでダイアル26の操作量を検出し、その操作量に応じた設定内容(調理メニュー、加熱時間、加熱出力など)で各種の調理メニューを実行するようになっている。
また、操作パネル24内には、スタートスイッチ27が収納されている。このスタートスイッチ27は、例えば、オン状態およびオフ状態に切り替えられる自己復帰形のプッシュスイッチからなる。スタートスイッチ27は、操作パネル24に設けられた操作子28が押込み操作されることでオン状態に切り替えられる。このスタートスイッチ27は、制御装置8(図3参照)に接続されている。制御装置8は、スタートスイッチ27がオン状態に切り替えられると、選択された調理メニューに応じた処理を開始する。
また、操作パネル24には、後述する調理モード(集中加熱モード、分散加熱モード、選択加熱モード)を選択して設定するための各種の調理モード設定キー29が設けられている。この調理モード設定キー29も、例えば、オン状態およびオフ状態に切り替えられる自己復帰形のプッシュスイッチなどを備えて構成されており、操作子が操作されることでオン状態に切り替えられ、制御装置8に制御信号(調理モードを設定するための信号)を出力するようになっている。
なお、図3に示すように、制御装置8には、モータ駆動回路30と、モータ駆動回路31と、マグネトロン駆動回路32が接続されている。モータ駆動回路30は、センサモータ7に駆動信号(パルス信号)を印加するものである。制御装置8は、このモータ駆動回路30を介してセンサモータ7の駆動を制御し、赤外線センサ6による温度検出領域を調整する。モータ駆動回路31は、アンテナモータ20に駆動電源を印加するものである。制御装置8は、このモータ駆動回路31を制御することで、アンテナモータ20の操作軸22を所定速度(例えば、1周あたり2〜3秒程度の速度)で回転させる。マグネトロン駆動回路32は、マグネトロン11に駆動電源を印加するものである。制御装置8は、このマグネトロン駆動回路32を制御することで、マグネトロン11をオン状態およびオフ状態に切り替える。
次に、上記構成の加熱調理器1において制御装置8が実行する調理モードについて説明する。この場合、制御装置8は、アンテナモータ20の駆動状態(回転状態、停止状態)や回転方向を制御することで、調理モードとして、少なくとも、集中加熱モード、分散加熱モード、および、選択加熱モードを実行可能に構成されている。なお、集中加熱モードとは、例えば加熱庫3内の中央部(集中加熱領域)に載置された少量の調理物(例えば、茶碗1杯のごはんなど)を集中的に加熱する場合に適したモードである。分散加熱モードとは、例えば加熱庫3内に広く載置された調理物(例えば、大きな調理物や複数の調理物)を、加熱ムラなどが生じないように極力均一に加熱する場合に適したモードである。選択加熱モードとは、例えば、初期(調理開始時)において調理物内に温度差がある場合(調理物の一部のみの温度が他の部分の温度と異なる場合など)に、当該調理物全体を均一に加熱する場合に適したモードである。
次に、各モードにおける加熱庫3内へのマイクロ波の放射領域の分布(マイクロ波の放射領域の分布に応じた加熱領域の分布、即ち、加熱分布)について図10を参照しながら説明する。
集中加熱モードでは、制御装置8は、アンテナモータ20を一方向(図4(a)に示す矢印A方向)に回転させることで、放射アンテナ14を平行モードとし、この状態で、放射アンテナ14および導電性アンテナ15を含むアンテナ全体を一体的に回転させる。そして、マグネトロン11をオンしてマイクロ波を導波管10内に供給する。
このとき、放射アンテナ14および導電性アンテナ15を含むアンテナ全体としては、マイクロ波を放射する源となる放射アンテナ14の放射板部14bがその周囲の導電性素子部17,18に対して平行な状態となっている。そのため、導波管10内のマイクロ波は、放射アンテナ14によって導き出され、その殆どが放射アンテナ14の放射板部14bから集中的に強く放射される。そして、放射アンテナ14の放射板部14bから放射されたマイクロ波は、その殆どが当該放射板部14bの近傍部分、つまり、当該放射板部14bに対向する集中加熱領域に局所的に伝播する。なお、放射板部14bから放射されるマイクロ波の一部は、導電性素子部17の指向特性により翼部16bが延びる方向に向かう指向性を有して放射される。しかし、この集中加熱モードにおいては、放射アンテナ14および導電性アンテナ15を含むアンテナ全体を一体的に回転させる。そのため、指向性を有して放射されるマイクロ波は、その放射方向が回転することで、一方向に集中することなく分散されながら放射されるようになり、全体としては広範にわたる弱い放射となる。
これにより、加熱庫3内へのマイクロ波の放射領域の分布は、加熱庫3内の中央部に位置する集中加熱領域(例えば、図10(a)に示す領域A1)に局所的に集中したものとなり、加熱庫3内の中央部に載置された調理物を集中的に加熱することができる。
また、放射アンテナ14の放射板部14bは、少なくとも導電性アンテナ15よりも上方に位置している。これにより、放射アンテナ14の放射板部14bが加熱庫3内の調理物に極力近い位置に存することになり、調理物に対する集中加熱の効果を一層効率良く発揮することができる。なお、マイクロ波は、アンテナから一旦放射されると不規則に拡散してしまう性質を有する。そのため、特に調理物にマイクロ波を集中的に供給したい集中加熱モードにおいては、放射アンテナ14の放射板部14bが上方に位置するほど(調理物に近いほど)、放射されたマイクロ波が拡散する前に調理物に到達するようになり、調理物を集中的に強く加熱することができる。
分散加熱モードでは、制御装置8は、アンテナモータ20を他方向(図5(a)に示す矢印B方向)に回転させることで、放射アンテナ14を直交モードとし、この状態で、放射アンテナ14および導電性アンテナ15を含むアンテナ全体を一体的に回転させる。そして、マグネトロン11をオンしてマイクロ波を導波管10内に供給する。
このとき、放射アンテナ14および導電性アンテナ15を含むアンテナ全体としては、マイクロ波を放射する源となる放射アンテナ14の放射板部14bがその周囲の導電性素子部17,18に対して直交した状態となっている。また、放射板部14bと導電性素子部17の最も内側の導電性素子片17aとからT字状のアンテナおよび放射板状領域14Xが形成された状態となっている。そのため、導波管10内のマイクロ波は、放射アンテナ14によって導き出され、放射板部14bと導電性素子部17の最も内側の導電性素子片17aとからなるT字状のアンテナおよび放射板状領域14Xから広く分散するように放射される。また、この分散加熱モードでは、このようにマイクロ波を広く分散して放射する放射アンテナ14および導電性アンテナ15を含むアンテナ全体を一体的に回転させる。そのため、放射アンテナ14および導電性アンテナ15を含むアンテナ全体から放射されるマイクロ波は、その放射領域がさらに広がり加熱庫3内に広く分散するように伝播する。
これにより、加熱庫3内へのマイクロ波の放射領域の分布は、加熱庫3内のほぼ全域(図10(b)に示す領域A2)にわたる広いものとなり、加熱庫3内に広く載置された調理物を極力均一に加熱することができる。
選択加熱モードでは、制御装置8は、アンテナモータ20を一方向(図4(a)に示す矢印A方向)に回転させることで、放射アンテナ14を平行モードとし、この状態で、放射アンテナ14および導電性アンテナ15を含むアンテナ全体の回転を停止させる。この場合、制御装置8は、赤外線センサ6の検知結果に基づいて判定した低温度領域に指向特性を有する導電性素子部17を指向させた状態で、アンテナ全体の回転を停止させる。そして、マグネトロン11をオンしてマイクロ波を導波管10内に供給する。
このとき、放射アンテナ14および導電性アンテナ15を含むアンテナ全体としては、マイクロ波を放射する源となる放射アンテナ14の放射板部14bがその周囲の導電性素子部17,18に対して平行な状態となっている。そのため、導波管10内のマイクロ波は、放射アンテナ14によって導き出され、その殆どが放射アンテナ14の放射板部14bから集中的に強く放射される。また、放射板部14bから放射されるマイクロ波の一部は、翼部16bが延びる方向に向かう指向性を有して放射される。ここで、この選択加熱モードでは、指向特性を有する導電性素子部17を低温度領域に向けた後においては、放射アンテナ14および導電性アンテナ15を含むアンテナ全体の回転を停止する。そのため、指向性を有して放射されるマイクロ波は、その放射方向が回転しないことから、アンテナ全体が停止した状態において翼部16bが延びる方向に集中的に放射されるようになり、全体としては一方向への強い放射となる。そのため、放射アンテナ14および導電性アンテナ15を含むアンテナ全体から放射されるマイクロ波は、指向特性を有する導電性素子部17が指向する低温度領域に局所的に伝播する。
これにより、加熱庫3内へのマイクロ波の放射領域の分布は、加熱庫3内の低温度領域(例えば、図10(c)に示す領域A3、或いは、図10(d)に示す領域A4)に局所的に集中したものとなり、加熱庫3内の低温度領域に存在する調理物、或いは、低温度領域に存在する調理物の一部を集中的に加熱することができる。
制御装置8は、調理モード設定キー29の操作に応じて、上述した集中加熱モード、分散加熱モード、或いは、選択加熱モードを選択的に実行するようになっている。即ち、この場合、調理モード設定キー29は、集中加熱モードを設定するための「軽負荷キー」、分散加熱モードを設定するための「重負荷キー」、或いは、選択加熱モードを設定するための「均一加熱キー」として設けられている。そして、制御装置8は、「軽負荷キー」が操作されて集中加熱モードが設定された場合には、アンテナモータ20の回転方向を一方向(図4(a)に示す矢印A方向)に制御する。また、制御装置8は、「重負荷キー」が操作されて分散加熱モードが設定された場合には、アンテナモータ20の回転方向を他方向(図5(a)に示す矢印B方向)に制御する。また、制御装置8は、「均一加熱キー」が操作されて選択加熱モードが設定された場合には、アンテナモータ20の回転方向を一方向(図4(a)に示す矢印A方向)に制御する。そして、制御装置8は、放射アンテナ14が平行モードに切り替わるように十分にアンテナモータ20を回転させ、その後、アンテナモータ20の回転を停止するように制御する。
次に、上述のように集中加熱モード、分散加熱モード、および、選択加熱モードを実行可能に構成された加熱調理器1において、レンジ調理処理中(加熱動作中)に制御装置8が自動的に行う制御例について、図11を参照しながら説明する。
図11(a)に示す制御例は、調理開始から所定時間は、加熱処理を集中加熱モードで行い、その後は、加熱処理を分散加熱モードで行うものである。即ち、加熱処理の初期は集中加熱モードを実行し、その後(加熱処理の中期から終期)は、分散加熱モードを実行する制御方式である。
例えば、小さな調理物や少量の調理物は、比較的に短い加熱時間(例えば、1〜2分程度)で加熱処理を終了できることが多い。そのため、小さな調理物や少量の調理物を加熱庫3内の中央部(集中加熱領域)に載置して集中加熱モードで加熱処理を行う場合には、当該集中加熱モードを、加熱開始から比較的に短い時間(1〜2分程度)だけ持続すれば、加熱処理の目的が達せられる。一方、大きな調理物や加熱庫3内に広く載置された調理物は、加熱処理を終了するには、比較的に長い加熱時間(この場合、少なくとも2分以上)が必要である。
そのため、この図11(a)に示す制御例では、制御装置8は、調理開始から所定時間(この場合、2分)は、加熱処理を集中加熱モードで行う。そして、調理開始から所定時間(2分)を経過しても調理物の加熱が終了していない場合には、加熱庫3内に載置された調理物が大きな調理物、或いは、広く載置された調理物であると推定し、その後の加熱処理を分散加熱モードに自動的に切り替えて行う。これにより、加熱庫3内に載置された調理物に応じた加熱処理を、使用者による加熱モードの切り替え操作などを要することなく、適切に行うことができる。なお、制御装置8は、赤外線センサ6の出力信号に基づいて検出した調理物の温度に基づいて、調理物の加熱が終了したか否かを判断するようになっている。
図11(b)に示す制御例は、集中加熱モードと分散加熱モードとを交互に自動的に切り替えて行う制御方式である。即ち、集中加熱モードは、加熱庫3内の中央部にマイクロ波を集中的に放射するモードである。一方、分散加熱モードは、加熱庫3の縁部にもマイクロ波を放射するモードである。そのため、集中加熱モードは加熱庫3内の中央部の加熱に適しており、分散加熱モードは加熱庫3の縁部を含む全体の加熱に適している。
そして、この図11(b)に示す制御例では、制御装置8は、中央部の加熱に適した集中加熱モードと、縁部を含む全体の加熱に適した分散加熱モードとを交互に自動的に切り替えて行う。これにより、例えば、加熱庫3内に大きな調理物を載置した場合や、加熱庫3内に複数の調理物を分散して載置した場合にも、その調理物の全体を、加熱ムラなどを生じることなく極力均一に加熱することができる。
図11(c)に示す制御例は、上述した図11(b)の制御例の変形例である。即ち、集中加熱モードと分散加熱モードとの切り替え時には、放射アンテナ14の放射板部14bと導電性アンテナ15の導電性素子部17,18は、相互に連動して回転せず、相互の位置関係が変動する状態となる。この状態では、放射アンテナ14および導電性アンテナ15を含むアンテナ全体としての形状が確定せず、電気的にも不安定な状態となる。そのため、制御装置8は、加熱モードの切り替え時(集中加熱モードから分散加熱モードへの移行期間、および、分散加熱モードから集中加熱モードへの移行期間)には、マグネトロン11をオフし、マイクロ波を発生しないようにする。なお、上述の図11(a)の制御例においても、集中加熱モードから分散加熱モードへの移行時にマグネトロン11をオフするようにするとよい。
図11(d)に示す制御例は、上述した図11(c)の制御例にさらに選択加熱モードを組み合わせた制御方式である。即ち、加熱処理の初期は集中加熱モードを実行し、その後(加熱処理の中期から終期)は、分散加熱モードと選択加熱モードとを交互に実行する制御方式である。この制御方式においても、制御装置8は、加熱モードの切り替え時にマグネトロン11をオフすることが好ましい。なお、これら3つのモード(集中加熱モード、分散加熱モード、選択加熱モード)の組み合わせは、この図11(d)に示す例に限られるものではなく、各モードを実行する順序や回数などを適宜変更して組み合わせることができる。
以上に説明したように本実施形態によれば、次の効果を奏する。
加熱調理器1は、放射アンテナ14と導電性素子部17,18とを備えた。放射アンテナ14は、導電性材料で構成され、導通孔12を貫通する回転軸部14aと、当該回転軸部14aに設けられた放射板部14bとを有し、マグネトロン11から導波管10内に供給されたマイクロ波を加熱庫3内に導く。導電性素子部17,18は、それぞれ、導電性材料で構成され、放射アンテナ14と絶縁された状態で回転軸部14aの周囲に配置されている。この構成によれば、加熱庫3内へのマイクロ波の放射領域の分布(マイクロ波の放射領域の分布に応じた加熱領域の分布、即ち、加熱分布)を、集中加熱モード、分散加熱モード、および、選択加熱モードにおいてそれぞれ異ならせることが可能となり、加熱モードの切り替えが可能となる。
また、放射アンテナ14の回転軸部14aは、導通孔12を貫通している。そのため、マグネトロン11によって導波管10内に供給されたマイクロ波は、この回転軸部14aを通じて加熱庫3内に導き出される。即ち、放射アンテナ14は、加熱庫3内に導入されて不規則に拡散してしまったマイクロ波ではなく、導波管10内のマイクロ波、つまり、加熱庫3内に拡散する前のマイクロ波を、回転軸部14aを通じて加熱庫3内に導き出す。これにより、導波管10内のほぼ全てのマイクロ波の放射領域の分布を効率良く変えることができ、加熱モードの切り替えを一層効果的に行うことができる。
また、放射アンテナ14の放射板部14bは、回転軸部14aの軸方向に対してほぼ直交する方向に延びる形状であって、且つ、回転軸部14aに対して非対称形状に形成されている。これにより、放射板部14bを回転軸部14aに対して対称形状に形成した構成に比べ、放射板部14bからのマイクロ波の放射を強めることができ、ひいては、良好な指向特性を得ることができる。
また、放射アンテナ14の放射板部14bは、その全長がマグネトロン11から導波管10内に供給されるマイクロ波の波長(この場合、概ね120mm)のほぼ1/2の長さ(この場合、概ね60mm)に設定されている。これにより、放射板部14bからマイクロ波が放射され易くなり、ひいては、良好な指向特性を得ることができる。
また、放射アンテナ14の放射板部14bは、回転軸部14aの軸心部から一方の先端部までの長さが当該放射板部14bの全長の2/5以下の長さに設定されている。また、放射アンテナ14の放射板部14bは、回転軸部14aの周面から一方の先端部までの長さが回転軸部14aの周面から他方の先端部までの長さの0.55倍以下の長さに設定されている。つまり、放射板部14bのうち回転軸部14aから突出する部分の長さの比が0.55以下となるように設定されている。これにより、放射板部14bからマイクロ波が一層放射され易くなり、ひいては、一層良好な指向特性を得ることができる。
また、導電性素子部17の長さを52.0〜56.5mmに設定することで、当該導電性素子部17の指向特性を強くして十分に発揮させることができる。また、導電性素子部18の長さを64.5〜69.3mmに設定することで、当該導電性素子部18の反射特性を強くして十分に発揮させることができる。
また、導電性素子部17は、回転軸部14aの軸心部を中心に平行に配列された複数の導電性素子片17aで構成されている。即ち、導電性素子部17を構成する複数の導電性素子片17aを配列する際の基準となる位置(配列中心位置)を、非対称形状の放射板部14bの中心部ではなく回転軸部14aに合わせた構成とした。ここで、放射アンテナ14における回転軸部14aは、導波管10内のマイクロ波を導き出す機能を有する部分である。そのため、複数の導電性素子片17aの配列中心位置を、この回転軸部14aに合わせたことにより、導電性素子部17の指向特性を一層良好に発揮させることができる。
また、導電性素子部17を構成する複数の導電性素子片17aは、それぞれの配置位置が回転軸部14aの軸方向に沿って異なるように配列されている。そのため、導電性素子部17により放射されるマイクロ波が指向する方向が若干上方に傾く。これにより、導電性素子部17の上方におけるマイクロ波の放射強度を強めることができる。
また、導電性素子片17aは、同一直線SL上に配列されている。これにより、導電性素子部17の指向特性を一層良好に発揮させることができる。
また、放射アンテナ14は、回転軸部14aを回転軸として回転可能に設けられ、少なくとも、放射板部14bが導電性素子部17,18に対してほぼ平行な状態となる平行モードと、放射板部14bが導電性素子部17,18に対してほぼ直交した状態となる直交モードとに切り替え可能に構成されている。この構成によれば、放射アンテナ14を平行モードと直交モードとに切り替えることで、マイクロ波の放射分布を変化させることができる。また、放射アンテナ14を平行モードに切り替えた状態では、マイクロ波の放射パターンに指向性を付与することができる。
また、放射アンテナ14が直交モードに切り替えられた状態では、放射板部14bの一部と導電性素子部17の最も内側の導電性素子片17aの一部が相互に絶縁された状態を保ちつつ重なるように構成されている。また、放射アンテナ14が直交モードに切り替えられた状態では、回転軸部14aの軸心部から放射板部14bのうち導電性素子部17(最も内側の導電性素子片17a)に重なっていない先端部までの長さc(図5(a)参照)と、回転軸部14aの軸心部から放射板部14bに重なっている導電性素子部17(最も内側の導電性素子片17a)の外側の端部までの長さd(図5(d)参照)とがほぼ同一となるように構成されている。これにより、非対称形状に形成された放射板部14bから強く放射されるマイクロ波を、導電性素子片17aとの相互作用により適度に弱めることができる。
また、放射アンテナ14の放射板部14bや導電性アンテナ15の保持部16,導電性素子部17,18などを薄い板状の部材で構成したので、放射アンテナ14および導電性アンテナ15からなるアンテナ全体の厚さ寸法(上下方向の寸法)を抑えることができ、コンパクト化を図ることができる。また、放射アンテナ14および導電性アンテナ15が配設される加熱庫3の下部の省スペース化を図ることができ、ひいては、加熱調理器1の大型化を回避することができる。
なお、本実施形態は、上述の一実施形態にのみ限定されるものではなく、例えば、次のように変形または拡張することができる。
図12に示すように、保持部16の翼部16cおよび当該翼部16cに取り付けられる導電性素子部18(導電性素子片18a)を設けない構成としてもよい。この構成によっても、導電性素子部17による指向特性を十分に発揮することができる。
また、図13に示すように、保持部16の翼部16bにおける最も内側の取付部16dの上面を、その中心部を中心として外側に傾斜させ、これに伴い、当該取付部16dに取り付けられる導電性素子片17aを、その中心部を中心として外側に傾斜させる構成としてもよい。この構成によれば、直交モードにおいて溝部16g内にスライドした放射板部14bと導電性素子片17aとの間隔が広がることから、スパークが一層発生し難くなる。
加熱庫3内の中央部に載置することが想定される調理物(例えば、茶碗1杯のごはん)を温めるための「ごはんあたためキー」を、集中加熱モードに対応する「軽負荷キー」として設けることができる。また、少ない消費電力で加熱を行うための「省エネ加熱キー」や「エコ加熱キー」などを、集中加熱モードに対応する「軽負荷キー」として設けてもよい。また、加熱庫3に広く載置されることが想定される調理物(例えば、グラタンやピザ)を加熱調理するためのキーを、分散加熱モードに対応する「重負荷キー」として設けることができる。その他、各キーの加熱対象となる調理物の種類、大きさ、想定される載置数などに応じて、「軽負荷キー」、或いは、「重負荷キー」の何れかのキーとして設けることができる。
アンテナホルダ13や保持部16の材料は、テフロンに限られるものではなく、マイクロ波を透過可能であって当該マイクロ波によって加熱され難い絶縁性材料(誘電性材料)であればよい。
加熱庫3内の集中加熱領域を、照明装置(庫内灯など)によって照射するようにしてもよい。
以上のように本実施形態の加熱調理器は、加熱庫と、導波管と、マイクロ波供給手段と、放射部と、導電性素子部とを備える。加熱庫は、内部に調理物を載置する。導波管は、前記加熱庫内に導通孔を介して連結されている。マイクロ波供給手段は、前記導波管内にマイクロ波を供給する。放射部は、導電性材料で構成され、前記導通孔を貫通する結合軸部と、当該結合軸部に設けられた放射素子部とを有し、前記マイクロ波供給手段から前記導波管内に供給されたマイクロ波を前記加熱庫内に導く。導電性素子部は、導電性材料で構成され、前記放射部と絶縁された状態で前記結合軸部の周囲に配置されている。そして、前記放射素子部は、前記結合軸部の軸方向に対してほぼ直交する方向に延びる形状であって、且つ、前記結合軸部に対して非対称形状に形成されている。この構成によれば、加熱庫内へのマイクロ波の放射領域の分布(マイクロ波の放射領域の分布に応じた加熱領域の分布、即ち、加熱分布)を、加熱モードごとに異ならせることが可能となり、加熱モードの切り替えが可能となる。また、放射部の結合軸部は、導通孔を貫通している。これにより、導波管内のほぼ全てのマイクロ波の放射領域の分布を効率良く変えることができ、加熱モードの切り替えを一層効果的に行うことができる。
上述の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
図面中、1は加熱調理器、3は加熱庫、10は導波管、11はマグネトロン(マイクロ波供給手段)、12は導通孔、14は放射アンテナ(放射部)、14aは回転軸部(結合軸部)、14bは放射板部(放射素子部)、17は導電性素子部、17aは導電性素子片を示す。

Claims (12)

  1. 内部に調理物を載置する加熱庫と、
    前記加熱庫内に導通孔を介して連結された導波管と、
    前記導波管内にマイクロ波を供給するマイクロ波供給手段と、
    導電性材料で構成され、前記導通孔を貫通する結合軸部と、当該結合軸部に設けられた放射素子部とを有し、前記マイクロ波供給手段から前記導波管内に供給されたマイクロ波を前記加熱庫内に導く放射部と、
    導電性材料で構成され、前記放射部と絶縁された状態で前記結合軸部の周囲に配置された導電性素子部と、
    を備え、
    前記放射素子部は、前記結合軸部の軸方向に対してほぼ直交する方向に延びる形状であって、且つ、前記結合軸部に対して非対称形状に形成されていることを特徴とする加熱調理器。
  2. 前記放射素子部は、全長が前記マイクロ波供給手段から前記導波管内に供給されるマイクロ波の波長のほぼ1/2の長さに設定されていることを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
  3. 前記放射素子部は、前記結合軸部の軸心部から一方の先端部までの長さが当該放射素子部の全長の2/5以下の長さに設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の加熱調理器。
  4. 前記放射素子部は、前記結合軸部の周面から一方の先端部までの長さが前記結合軸部の周面から他方の先端部までの長さの0.55倍以下の長さに設定されていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の加熱調理器。
  5. 前記導電性素子部は、長さが52.0〜56.5mmに設定されていることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の加熱調理器。
  6. 前記導電性素子部は、長さが64.5〜69.3mmに設定されていることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の加熱調理器。
  7. 前記導電性素子部は、前記結合軸部の軸心部を中心に平行に配列された複数の導電性素子片で構成されていることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の加熱調理器。
  8. 前記導電性素子片は、それぞれの配置位置が前記結合軸部の軸方向に沿って異なるように配列されていることを特徴とする請求項7記載の加熱調理器。
  9. 前記導電性素子片は、同一直線上に配列されていることを特徴とする請求項7または8に記載の加熱調理器。
  10. 前記放射部は、前記結合軸部を回転軸として回転可能に設けられ、少なくとも、前記放射素子部が前記導電性素子部に対してほぼ平行な状態となる平行モードと、前記放射素子部が前記導電性素子部に対してほぼ直交した状態となる直交モードとに切り替え可能に構成されていることを特徴とする請求項1から9の何れか1項に記載の加熱調理器。
  11. 前記放射部が前記直交モードに切り替えられた状態では、前記放射素子部の一部と前記導電性素子部の一部が相互に絶縁された状態を保ちつつ重なるように構成されていることを特徴とする請求項10記載の加熱調理器。
  12. 前記放射部が前記直交モードに切り替えられた状態では、前記結合軸部の軸心部から前記放射素子部のうち前記導電性素子部に重なっていない先端部までの長さと、前記結合軸部の軸心部から前記放射素子部に重なっている前記導電性素子部の側端部までの長さとがほぼ同一となるように構成されていることを特徴とする請求項11記載の加熱調理器。
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