JP2012063489A - カラーフィルター用インク、カラーフィルター、画像表示装置、および、電子機器 - Google Patents

カラーフィルター用インク、カラーフィルター、画像表示装置、および、電子機器 Download PDF

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英和 森山
Toshiyuki Kobayashi
敏之 小林
Minoru Yamada
季 山田
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Abstract

【課題】インクジェット法を用いて製造され、耐久性に優れるとともに、明度およびコントラスト比に優れ、かつ、色むら、濃度むらの発生が抑制されたカラーフィルターの製造に好適に用いることのできるカラーフィルター用インクを提供すること。
【解決手段】本発明のカラーフィルター用インクは、顔料を含む着色膜上に付与されるものであり、樹脂材料およびシリカを含有することを特徴とする。樹脂材料としては、所定の化学構造を有する重合体Xおよび重合体Yを含むのが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、カラーフィルター用インク、カラーフィルター、画像表示装置、および、電子機器に関するものである。
カラー表示を行う液晶表示装置(LCD)等には、一般に、カラーフィルターが用いられている。
カラーフィルターは、従来、着色剤、感光性樹脂、官能性モノマー、重合開始剤等を含む材料(着色部形成用組成物)で構成された塗膜を基板上に形成し、その後、フォトマスクを介して光を照射する感光処理、現像処理等を行う、いわゆるフォトリソグラフィー法を用いて製造されてきた。このような方法では、通常、基板のほぼ全面に、各色に対応する塗膜を形成し、その一部のみを硬化させ、それ以外の大部分を除去するという操作を繰り返すことにより、各色が重なり合わないようにカラーフィルターを製造する。このため、カラーフィルターの製造において形成される塗膜は、最終的に得られるカラーフィルターには、その一部のみが着色部として残存するのみで、その大部分が製造工程において除去されることとなる。このため、カラーフィルターの製造コストが上昇するばかりでなく、省資源の観点からも好ましくない。
一方、近年、インクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド)を用いて、カラーフィルターの着色部を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような方法は、着色部形成用組成物の無駄を少なくすることができるため、環境への負荷を低減することができ、また、製造コストも抑制することができる。
しかしながら、インクジェットヘッドを用いて製造されたカラーフィルターでは、より高いコントラスト、より高い明度の画像を表示することが困難であり、表示画像にすじ状のむら(色むら、濃度むら)が発生しやすいという問題があった。
また、カラーフィルターの着色部には、製造工程における洗浄処理において用いられる溶剤に対する耐久性(耐溶剤性)や、優れた硬度、カラーフィルターの使用時等における温度変化等に対する耐久性が求められるが、従来では、耐久性に優れた着色部を形成するのが困難であり、カラーフィルターの耐久性を十分に優れたものとするのが困難であった。
特開2004−2815号公報
本発明の目的は、インクジェット法を用いて製造され、耐久性に優れるとともに、明度およびコントラスト比に優れ、かつ、色むら、濃度むらの発生が抑制されたカラーフィルターを提供すること、前記カラーフィルターの製造に好適に用いることのできるカラーフィルター用インクを提供すること、また、前記カラーフィルターを備えた画像表示装置、電子機器を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のカラーフィルター用インクは、インクジェット方式によるカラーフィルターの製造に用いられるカラーフィルター用インクであって、
顔料を含む着色膜上に付与されるものであり、
樹脂材料およびシリカを含有することを特徴とする。
これにより、耐久性に優れるとともに、明度およびコントラスト比に優れ、かつ、色むら、濃度むらの発生が抑制されたカラーフィルターの製造に好適に用いることのできるインクジェット法に適用されるカラーフィルター用インクを提供することができる。
また、製造されるカラーフィルターを備えた液晶表示装置の液晶層の電圧保持率等を優れたものとすることができる。
また、インクの吐出安定性を向上させることができ、インクジェット法による高速描画が可能となるため、全体としての、カラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができる。
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記樹脂材料として、下記式(15)で表される単量体成分y1を含む重合体Yを含むことが好ましい。
Figure 2012063489
これにより、形成される着色部は、シリカと重合体Yとの反応生成物を含むものとなり、着色部の耐溶剤性、カラーフィルターの耐久性(隔壁等との密着性等)等を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インクを用いて形成される膜の表面の平坦性を特に高いものとすることができ、製造されるカラーフィルターの表示画像の明度およびコントラスト比を特に優れたものとすることができ、また、色むら、濃度むらの発生をより効果的に防止することができる。
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記樹脂材料として、下記式(11)で表される単量体成分x1、下記式(13)で表される単量体成分x3、および、下記式(14)で表される単量体成分x4を含む重合体Xを含むことが好ましい。
Figure 2012063489
Figure 2012063489
Figure 2012063489
これにより、着色部の耐溶剤性、カラーフィルターの耐久性(隔壁等との密着性等)等を特に優れたものとすることができる。
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記樹脂材料として、下記式(11)で表される単量体成分x1、下記式(13)で表される単量体成分x3、および、下記式(14)で表される単量体成分x4を含む重合体X、および、下記式(15)で表される単量体成分y1を含む重合体Yを含み、
カラーフィルター用インク中における前記重合体Xの含有率をC[wt%]、前記重合体Yの含有率をC[wt%]としたとき、1.0≦C/C≦6.0の関係を満足することが好ましい。
Figure 2012063489
Figure 2012063489
Figure 2012063489
Figure 2012063489
これにより、形成される着色部の耐久性、カラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インクを用いて形成される膜の表面の平坦性を特に高いものとすることができ、さらに、形成される着色部中等に気泡が含まれることを効果的に防止することができ、製造されるカラーフィルターの表示画像の明度およびコントラスト比を特に優れたものとすることができ、また、色むら、濃度むらの発生をより効果的に防止することができる。
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記シリカは、気相法を用いて製造されたものであることが好ましい。
これにより、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インクを用いて形成される膜の表面の平坦性を特に高いものとすることができるため、製造されるカラーフィルターの表示画像の明度およびコントラスト比を特に優れたものとすることができ、また、色むら、濃度むらの発生をより効果的に防止することができる。
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記シリカの平均一次粒径は、10nm以上100nm以下であることが好ましい。
これにより、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、当該シリカ自体の透明性に優れるとともに、カラーフィルター用インクを用いて形成される膜の表面の平坦性を特に高いものとすることができるため、製造されるカラーフィルターの表示画像の明度およびコントラスト比を特に優れたものとすることができ、また、色むら、濃度むらの発生をより効果的に防止することができる。
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記シリカの比表面積は、150m/cm以上400m/cm以下であることが好ましい。
これにより、カラーフィルター用インク中におけるシリカの分散安定性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの保存安定性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、製造されるカラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記シリカの一次粒子についての下記式(10)で表される円形度Rの平均値が0.91以上0.99以下であることが好ましい。
R=L/L・・・(10)
(ただし、式中、L[μm]は、測定対象のシリカ粒子の投影像の周囲長、L[μm]は、測定対象のシリカ粒子の投影像の面積に等しい面積の真円の周囲長を表す。)
これにより、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、このようにシリカ粒子の円形度が十分に高いものであると、ベアリング的な効果が発揮され、カラーフィルター用インクの乾燥時における液体(溶媒)の流動性を補完し、結果として、カラーフィルター用インクを用いて形成される膜の表面の平坦性を特に高いものとすることができ、製造されるカラーフィルターの表示画像の明度およびコントラスト比を特に優れたものとすることができ、また、色むら、濃度むらの発生をより効果的に防止することができる。
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記シリカは、疎水性シランカップリング剤により疎水化処理が施されたものであることが好ましい。
これにより、カラーフィルター用インク中におけるシリカの分散安定性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの保存安定性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
本発明のカラーフィルター用インクでは、カラーフィルター用インク中における前記樹脂材料の含有率をC[wt%]、前記シリカの含有率をC[wt%]としたとき、0.01≦C/C≦0.10の関係を満足することが好ましい。
これにより、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インクを用いて形成される膜自体の透明性を十分に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルター用インクを用いて形成される膜の表面の平坦性を特に高いものとすることができるため、製造されるカラーフィルターの表示画像の明度およびコントラスト比を特に優れたものとすることができ、また、色むら、濃度むらの発生をより効果的に防止することができる。
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記着色膜は、前記顔料と、下記式(1)で表される単量体成分m1、カルボキシル基または酸無水物基を有する単量体成分m2、および、下記式(3)で表される単量体成分m3を含む重合体Mとを含む着色インクを用いて形成されたものであることが好ましい。
Figure 2012063489
Figure 2012063489
これにより、着色膜中における顔料粒子の凝集を防止することができるとともに、カラーフィルター用インクを用いて形成される膜の表面の平坦性を特に高いものとすることができ、さらに、形成される着色部中等に気泡が含まれることを効果的に防止することができ、製造されるカラーフィルターの表示画像の明度およびコントラスト比を特に優れたものとすることができ、また、色むら、濃度むらの発生をより効果的に防止することができる。
本発明のカラーフィルターは、本発明のカラーフィルター用インクを用いて製造されたことを特徴とする。
これにより、インクジェット法を用いて製造され、耐久性に優れるとともに、明度およびコントラスト比に優れ、かつ、色むら、濃度むらの発生が抑制されたカラーフィルターを提供することができる。
また、カラーフィルターを備えた液晶表示装置の液晶層の電圧保持率等を優れたものとすることができる。
本発明の画像表示装置は、本発明のカラーフィルターを備えたことを特徴とする。
これにより、明度およびコントラスト比に優れ、かつ、色むら、濃度むらの発生が抑制された画像を安定的に表示することができる画像表示装置を提供することができる。
本発明の電子機器は、本発明の画像表示装置を備えたことを特徴とする。
これにより、明度およびコントラスト比に優れ、かつ、色むら、濃度むらの発生が抑制された画像を安定的に表示することができる電子機器を提供することができる。
本発明のカラーフィルターの好適な実施形態を示す断面図である。 本発明のカラーフィルターの製造方法の好適な実施形態を示す断面図である。 カラーフィルターの製造に用いる液滴吐出装置を示す斜視図である。 液晶表示装置の実施形態を示す断面図である。 本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。 本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。 本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
《カラーフィルター用インク》
本発明のカラーフィルター用インクは、カラーフィルターの製造(カラーフィルターの着色部の形成)に用いられるものであり、特に、インクジェット方式によるカラーフィルターの製造に用いられるものである。
ところで、近年検討されているインクジェット法を用いたカラーフィルターの製造方法は生産性に優れているものの、インクジェットヘッドを用いて製造されたカラーフィルターでは、より高いコントラスト、より高い明度の画像を表示することが困難であり、表示画像にすじ状のむら(色むら、濃度むら)が発生しやすいという問題があった。
また、カラーフィルターの着色部には、製造工程における洗浄処理において用いられる溶剤に対する耐久性(耐溶剤性)や、優れた硬度、カラーフィルターの使用時等における温度変化等に対する耐久性が求められるが、従来では、耐久性に優れた着色部を形成するのが困難であり、カラーフィルターの耐久性を十分に優れたものとするのが困難であった。
そこで、発明者は、上記のような問題を解決する目的で鋭意研究を行った結果、着色剤を含む着色膜上に、樹脂材料を含むインクを付与して樹脂膜を形成し、着色部を着色膜と樹脂膜とを備えるものとすることにより、カラーフィルターの耐久性の向上を図ることができるとともに、着色部の表面(樹脂膜の表面)の平坦性を高め、カラーフィルターを用いて表示される画像の明度、コントラスト比の向上、色むら、濃度むらの発生を図ることができることを見出していた。
さらに、本発明者は、カラーフィルターの耐久性のさらなる向上、表示画像の明度およびコントラスト比のさらなる向上、色むら、濃度むらの発生をより効果的に防止することを目的として、鋭意研究を行った結果、本発明に至った。すなわち、本発明のカラーフィルター用インクは、顔料を含む着色膜上に付与されるものであり、樹脂材料およびシリカを含有することを特徴とするものであり、このような構成であることにより、上記のような目的を達成できることを見出した。これは、上記のような構成とすることにより、形成される着色部の表面を、耐久性に優れる樹脂膜で構成されたものとすることができるとともに、シリカのベアリング効果により、カラーフィルター用インクから溶媒を除去する過程において固形分濃度が高まった状態でのカラーフィルター用インクの流動性を十分に優れたものとすることができ、形成される着色部(樹脂膜)の表面の平坦性を特に高いものとすることができるためであると考えられる。また、製造されるカラーフィルターを備えた液晶表示装置の液晶層の電圧保持率等を優れたものとすることができる。また、カラーフィルターの製造に用いるインクは、一般に、プリンターに適用されるもの(民生用)とは全く異なるものであり、高沸点の液体を溶媒として含み、高い含有率で着色剤、樹脂材料を含むものであるため、粘度が高くなりやすく、インクの液滴の安定吐出が困難であるという問題があるが、本発明では、インクの吐出安定性を向上させることができ、インクジェット法による高速描画が可能となるため、全体としての、カラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができる。
以下の説明では、本発明のカラーフィルター用インク(樹脂材料とシリカと含むインク)は、着色剤を含まないものである場合について、代表的に説明する。
<樹脂材料>
本発明のカラーフィルター用インクは、樹脂材料を含むものである。カラーフィルター用インクが含有する樹脂材料は、特に限定されないが、硬化性樹脂であるのが好ましい。これにより、製造されるカラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。
特に、硬化性樹脂として、下記式(15)で表される単量体成分y1を含む重合体Yを含むのが好ましい。
Figure 2012063489
これにより、形成される着色部は、シリカと重合体Yとの反応生成物を含むものとなり、着色部の耐溶剤性、カラーフィルターの耐久性(隔壁等との密着性等)等を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インクを用いて形成される膜の表面の平坦性を特に高いものとすることができ、製造されるカラーフィルターの表示画像の明度およびコントラスト比を特に優れたものとすることができ、また、色むら、濃度むらの発生をより効果的に防止することができる。
また、カラーフィルター用インクは、硬化性樹脂として、下記式(11)で表される単量体成分x1、下記式(13)で表される単量体成分x3、および、下記式(14)で表される単量体成分x4を含む重合体Xを含むのが好ましい。
Figure 2012063489
Figure 2012063489
Figure 2012063489
これにより、着色部の耐溶剤性、カラーフィルターの耐久性(隔壁等との密着性等)等を特に優れたものとすることができる。
本発明のカラーフィルター用インクは、重合体X、重合体Yのうち一方のみを含むものであってもよいが、重合体X、重合体Yの両方を含むものであるのがより好ましい。これにより、これらの重合体が相乗的に作用し合い、着色部の耐溶剤性、カラーフィルターの耐久性(隔壁等との密着性等)等をさらに優れたものとすることができる。
以下、重合体X、重合体Yについて詳細に説明する。
[重合体X]
上述したように、重合体Xは、単量体成分として、単量体成分として上記式(11)で表される単量体成分x1、上記式(13)で表される単量体成分x3、および、上記式(14)で表される単量体成分x4を含むものである。
重合体Xとしては、例えば、下記式(17)で表されるものがある。
Figure 2012063489
なお、重合体Xは、実質的に単一の化合物からなるものであってもよいし、複数種の化合物の混合物であってもよい。ただし、重合体Xが複数種の化合物の混合物である場合、各化合物が、単量体成分x1、x3およびx4を含有するものである。
(単量体成分x1)
重合体Xは、上記式(11)で表される単量体成分x1を単量体成分として含有してなるものである。
このような単量体成分x1を単量体成分として含有することにより、カラーフィルター用インクの保存時や液滴吐出時等における硬化性樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う硬化処理においては、硬化性樹脂材料の硬化反応(重合反応)を好適に進行させることができる。すなわち、単量体成分x1を含有することにより、硬化性樹脂材料全体としての、所定温度以下では実質的に硬化反応を進行させず、それ以上の温度で効率よく硬化反応を進行させることができる特性(以下、「硬化反応のスイッチング特性」ともいう)を優れたものとすることができる。また、単量体成分x1を単量体成分として含有することにより、例えば、カラーフィルター用インクの長期保存性、吐出安定性を優れたものとすることができる。また、単量体成分x1を単量体成分として含有することにより、形成される樹脂膜(着色部)の硬度等を優れたものとすることができる。
重合体X中における単量体成分x1の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、30wt%以上90wt%以下であるのが好ましく、40wt%以上80wt%以下であるのがより好ましい。重合体X中における単量体成分x1の含有率が前記範囲内の値であると、後に詳述する単量体成分x2、x3、x4の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体X中における単量体成分x1の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分x1を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体X中における単量体成分x1の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分x2、x3、x4の含有率が低下し、これらの機能が十分に発揮されない可能性がある。また、重合体Xの高温での反応速度が低下し、十分に優れた生産性でカラーフィルターを製造するのが困難となる。なお、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分x1の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分x1を含有しているのが好ましい。
(単量体成分x2)
重合体Xは、下記式(12)で表される単量体成分x2を単量体成分として含有してなるものであってもよい。
Figure 2012063489
このような単量体成分x2を単量体成分として含有すること(特に、上述した単量体成分x1や後に詳述する単量体成分x3とともに含有すること)により、カラーフィルター用インクの保存時や液滴吐出時等における硬化性樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う硬化処理においては、硬化性樹脂材料の硬化反応(重合反応)をより好適に進行させることができる。特に、加熱環境下での硬化処理において、硬化性樹脂材料の重合反応の立ち上がりをより良好なものとすることができるとともに、継続的に重合反応の進行させることができる。また、単量体成分x2を単量体成分として含有することにより、形成される樹脂膜(着色部)の硬度等を特に優れたものとすることができる。
単量体成分x2を単量体成分として含有する重合体Xとしては、例えば、下記式(19)で表されるものがある。
Figure 2012063489
重合体X中における単量体成分x2の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、5wt%以上60wt%以下であるのが好ましく、10wt%以上50wt%以下であるのがより好ましい。重合体X中における単量体成分x2の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分x1および後に詳述する単量体成分x3、x4の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体X中における単量体成分x2の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分x2を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体X中における単量体成分x2の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分x1、x3、x4の含有率が低下し、これらの機能が十分に発揮されない可能性がある。また、重合体Xの比較的低温での反応性が増し、カラーフィルター用インクの保存安定性が低下する傾向が現れる。なお、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分x2の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分x2を含有しているのが好ましい。
(単量体成分x3)
重合体Xは、上記式(13)で表される単量体成分x3を単量体成分として含有してなるものである。
重合体Xが単量体成分x3を単量体成分として含有することにより、形成される着色部(樹脂膜)の耐薬品性、耐溶剤性等を特に優れたものとすることができる。これにより、硬化処理の後に、薬品塗布や洗浄等の後処理を行った場合であっても、これらによる悪影響の発生を確実に防止することができる。
また、単量体成分x3は、重合体Xにおいて、上述した単量体成分x1と同様に、比較的低い温度(例えば、100℃以下)での反応性が十分に低いのに対し、硬化処理で施す熱処理のような加熱環境下では、十分な反応性を示すものである。このため、カラーフィルター用インクの保存時や液滴吐出時等における硬化性樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う硬化処理においては、硬化性樹脂材料の硬化反応(重合反応)を好適に進行させることができる。
また、単量体成分x3を単量体成分として含有することにより、例えば、カラーフィルター用インクの長期保存性、吐出安定性等を特に優れたものとすることができる。
重合体X中における単量体成分x3の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、2wt%以上20wt%以下であるのが好ましく、3wt%以上15wt%以下であるのがより好ましい。重合体X中における単量体成分x3の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分x1、x2および後に詳述する単量体成分x4の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体X中における単量体成分x3の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分x3を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体X中における単量体成分x3の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分x1、x2、x4の含有率が低下し、これらの機能が十分に発揮されない可能性がある。また、カラーフィルター用インクを用いて形成される樹脂膜が硬くなりすぎ、温度変化に伴う基板等の変形に対する追従性が低下する傾向が現れる。なお、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分x3の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分x3を含有しているのが好ましい。
(単量体成分x4)
重合体Xは、上記式(14)で表される単量体成分x4を単量体成分として含有してなるものである。
重合体Xが、このような単量体成分x4を単量体成分として含有することにより、後述するようなシリカを含有することと相まって、着色部(樹脂膜)の形成時、カラーフィルター用インクから溶媒を除去する際に、固形分濃度の上昇に伴ってカラーフィルター用インクのチキソトロピック性および粘度が上昇し、形成される着色部(樹脂膜)の表面に不本意な凹凸が生じることを確実に防止することができる。
また、単量体成分x4は、その末端に水酸基を有している。このような構造を有することにより、比較的低い温度(例えば、100℃以下)における反応性を十分に低いものとしつつ、硬化処理のような加熱環境下における反応性を高めることができる。これにより、カラーフィルター用インクの保存時や液滴吐出時等における硬化性樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う硬化処理においては、硬化性樹脂材料の硬化反応(重合反応)をより好適に進行させることができる。
また、単量体成分x4を単量体成分として含有することにより、例えば、カラーフィルター用インクの長期保存性、吐出安定性等を特に優れたものとすることができる。
重合体X中における単量体成分x4の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、2wt%以上20wt%以下であるのが好ましく、3wt%以上15wt%以下であるのがより好ましい。重合体X中における単量体成分x4の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分x1、x2、x3の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体X中における単量体成分x4の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分x4を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体X中における単量体成分x4の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分x1、x2、x3の含有率が低下し、これらの機能が十分に発揮されない可能性がある。また、カラーフィルター用インクを用いて形成される樹脂膜(着色部)の硬度が低下する傾向が現れる。なお、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分x4の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分x4を含有しているのが好ましい。
なお、重合体Xは、上述した単量体成分x1、x2、x3、x4以外の単量体成分(その他の単量体成分)を含むものであってもよい。これにより、例えば、上記のような特性を発揮しつつ、その他の単量体成分の化学構造に由来する効果も得ることができる。
重合体Xが、その他の単量体成分(単量体成分x1、x2、x3、x4以外の単量体成分)を含むものである場合、重合体X中におけるその他の単量体成分の含有率(複数種のその他の単量体成分を含む場合にはこれらの含有率の和)は、15wt%以下であるのが好ましく、10wt%以下であるのがより好ましい。
重合体Xの重量平均分子量は、1000以上50000以下であるのが好ましく、1200以上10000以下であるのがより好ましく、1500以上5000以下であるのがさらに好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの経時的安定性(長期保存性)、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルターの生産性を十分に優れたものとし、さらに、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部(樹脂膜)の平坦性をより確実に高いものとすることができ、カラーフィルターを用いて表示される画像における色むら等の発生をより効果的に防止することができる。
また、重合体Xの分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1以上3以下であるのが好ましい。
カラーフィルター用インク中における重合体Xの含有率は、0.5wt%以上10wt%以下であるのが好ましく、1.0wt%以上5.0wt%以下であるのがより好ましい。これにより、製造されるカラーフィルターの表示画像の画質(色むら、濃度むらの発生防止、明度、コントラスト比等)およびカラーフィルターの耐久性を、より高いレベルで両立することができる。
[重合体Y]
上述したように、重合体Yは、単量体成分として、上記式(15)で表される単量体成分y1を含むものである。
重合体Yとしては、例えば、下記式(18)で表されるものがある。
Figure 2012063489
なお、重合体Yは、実質的に単一の化合物からなるものであってもよいし、複数種の化合物の混合物であってもよい。ただし、重合体Yが複数種の化合物の混合物である場合、各化合物が、単量体成分y1を含有するものである。
(単量体成分y1)
重合体Yは、上記式(15)で表される単量体成分y1を単量体成分として含有してなるものである。
このような単量体成分y1を単量体成分として含有することにより、形成される樹脂膜の隔壁等に対する密着性を特に優れたものとすることができる。その結果、カラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。
重合体Y中における単量体成分y1の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、30wt%以上90wt%以下であるのが好ましく、40wt%以上80wt%以下であるのがより好ましい。重合体Y中における単量体成分y1の含有率が前記範囲内の値であると、例えば、重合体Yが単量体成分として後に詳述する単量体成分y2を含む場合において、当該単量体成分y2の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体Y中における単量体成分y1の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分y1を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体Y中における単量体成分y1の含有率が前記上限値を超えると、例えば、重合体Yが単量体成分として後に詳述する単量体成分y2を含む場合において、相対的に単量体成分y2の含有率が低下し、単量体成分y2の機能が十分に発揮されない可能性がある。また、着色部(樹脂膜)の形成時、カラーフィルター用インクから溶媒を除去する際に、固形分濃度の上昇に伴ってカラーフィルター用インクの粘度が上昇する傾向が現れ、形成される着色部(樹脂膜)の表面に不本意な凹凸が生じ易くなる。なお、重合体Yが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分y1の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Yが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分y1を含有しているのが好ましい。
(単量体成分y2)
重合体Yは、下記式(16)で表される単量体成分y2を単量体成分として含有してなるものであってもよい。
Figure 2012063489
このような単量体成分y2を単量体成分として含有すること(特に、上述した単量体成分y1とともに含有すること)により、カラーフィルター用インクの保存時や液滴吐出時等における硬化性樹脂材料の不本意な反応(重合反応)をより確実に防止しつつ、加熱環境下で行う硬化処理においては、硬化性樹脂材料の硬化反応(重合反応)を好適に進行させることができる。特に、加熱環境下での硬化処理において、硬化性樹脂材料の重合反応の立ち上がりを良好なものとすることができるとともに、継続的に重合反応の進行させることができる。また、単量体成分y2を単量体成分として含有することにより、形成される樹脂膜(着色部)の硬度等を優れたものとすることができる。
また、重合体Yが単量体成分y2を含有することにより、前述した重合体Xとの親和性、相溶性を十分に優れたものとすることができる。その結果、カラーフィルター用インクが重合体Xと重合体Yとの両方を含む場合において、カラーフィルター用インクの吐出安定性を優れたものとすることができ、また、カラーフィルター用インクを用いて形成される樹脂膜は、透明性に優れ(硬化性樹脂材料の不透明性による光透過率の低下が防止され)、隔壁等に対する密着性が特に優れ、クラック等の問題が生じにくいものとなる。これに対し、単量体成分y2を単量体成分として含有しないと、重合体Xとの親和性、相溶性を十分に優れたものとすることが困難となり、カラーフィルター用インクは、吐出安定性に劣ったものとなり、また、製造されるカラーフィルターは、色むら等が発生し易く、コントラストや耐久性、信頼性等を十分に優れたものとするのが困難となる可能性がある。
単量体成分y2を単量体成分として含有する重合体Yとしては、例えば、下記式(20)で表されるものがある。
Figure 2012063489
重合体Y中における単量体成分y2の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、10wt%以上70wt%以下であるのが好ましく、20wt%以上60wt%以下であるのがより好ましい。重合体Y中における単量体成分y2の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分y1の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体Y中における単量体成分y2の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分y2を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体Y中における単量体成分y2の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分y1の含有率が低下し、単量体成分y1の機能が十分に発揮されない可能性がある。また、重合体Yの比較的低温での反応性が増し、カラーフィルター用インクの保存安定性が低下する傾向が現れる。なお、重合体Yが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分y2の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Yが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分y2を含有しているのが好ましい。
なお、重合体Yは、上述した単量体成分y1、y2以外の単量体成分(その他の単量体成分)を含むものであってもよい。これにより、例えば、上記のような特性を発揮しつつ、その他の単量体成分の化学構造に由来する効果も得ることができる。
重合体Yが、その他の単量体成分(単量体成分y1、y2以外の単量体成分)を含むものである場合、重合体Y中におけるその他の単量体成分の含有率(複数種のその他の単量体成分を含む場合にはこれらの含有率の和)は、15wt%以下であるのが好ましく、10wt%以下であるのがより好ましい。
重合体Yの重量平均分子量は、1000以上50000以下であるのが好ましく、1200以上10000以下であるのがより好ましく、1500以上5000以下であるのがさらに好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの経時的安定性(長期保存性)、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルターの生産性を十分に優れたものとし、さらに、カラーフィルター用インクを用いて形成される樹脂膜の平坦性をより確実に高いものとすることができ、カラーフィルターを用いて表示される画像における色むら等の発生をより効果的に防止することができる。
また、重合体Yの分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1以上3以下であるのが好ましい。
カラーフィルター用インク中における重合体Yの含有率は、2.0wt%以上17wt%以下であるのが好ましく、4.0wt%以上13wt%以下であるのがより好ましい。これにより、製造されるカラーフィルターの表示画像の画質(色むら、濃度むらの発生防止、明度、コントラスト比等)およびカラーフィルターの耐久性を、より高いレベルで両立することができる。
また、カラーフィルター用インクが重合体Xおよび重合体Yを含むものである場合、カラーフィルター用インク中における重合体Xの含有率をC[wt%]、カラーフィルターインク中における重合体Yの含有率をC[wt%]としたとき、1.0≦C/C≦6.0の関係を満足するのが好ましく、1.8≦C/C≦5.5の関係を満足するのがより好ましく、2.5≦C/C≦5.0の関係を満足するのがさらに好ましい。これにより、形成される着色部の耐久性、カラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インクを用いて形成される膜の表面の平坦性を特に高いものとすることができ、さらに、形成される着色部中等に気泡が含まれることを効果的に防止することができ、製造されるカラーフィルターの表示画像の明度およびコントラスト比を特に優れたものとすることができ、また、色むら、濃度むらの発生をより効果的に防止することができる。
<シリカ>
上述したように、本発明のカラーフィルター用インクは、樹脂材料とともに、シリカを含むものである。
シリカは、いかなる方法を用いて製造されたものであってもよいが、気相法を用いて製造されたものであるのが好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インクを用いて形成される膜の表面の平坦性を特に高いものとすることができるため、製造されるカラーフィルターの表示画像の明度およびコントラスト比を特に優れたものとすることができ、また、色むら、濃度むらの発生をより効果的に防止することができる。
シリカの平均一次粒径は、10nm以上100nm以下であるのが好ましく、20nm以上80nm以下であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、当該シリカ自体の透明性に優れるとともに、カラーフィルター用インクを用いて形成される膜の表面の平坦性を特に高いものとすることができるため、製造されるカラーフィルターの表示画像の明度およびコントラスト比を特に優れたものとすることができ、また、色むら、濃度むらの発生をより効果的に防止することができる。
また、シリカの比表面積は、150m/cm以上400m/cm以下であるのが好ましく、200m/cm以上300m/cm以下であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インク中におけるシリカの分散安定性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの保存安定性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、製造されるカラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。
シリカの一次粒子についての下記式(10)で表される円形度Rの平均値は、0.91以上0.99以下であるのが好ましく、0.92以上0.98以下であるのがより好ましい。
R=L/L・・・(10)
(ただし、式中、L[μm]は、測定対象のシリカ粒子の投影像の周囲長、L[μm]は、測定対象のシリカ粒子の投影像の面積に等しい面積の真円の周囲長を表す。)
これにより、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、このようにシリカ粒子の円形度が十分に高いものであると、ベアリング的な効果が発揮され、カラーフィルター用インクの乾燥時における液体(溶媒)の流動性を補完し、結果として、カラーフィルター用インクを用いて形成される膜の表面の平坦性を特に高いものとすることができ、製造されるカラーフィルターの表示画像の明度およびコントラスト比を特に優れたものとすることができ、また、色むら、濃度むらの発生をより効果的に防止することができる。
また、シリカは、疎水性シランカップリング剤により疎水化処理が施されたものであるのが好ましい。これにより、カラーフィルター用インク中におけるシリカの分散安定性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの保存安定性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
カラーフィルター用インク中における樹脂材料の含有率(複数種の樹脂成分を含む場合はこれらの総和)をC[wt%]、シリカの含有率をC[wt%]としたとき、0.01≦C/C≦0.10の関係を満足するのが好ましく、0.02≦C/C≦0.08の関係を満足するのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インクを用いて形成される膜自体の透明性を十分に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルター用インクを用いて形成される膜の表面の平坦性を特に高いものとすることができるため、製造されるカラーフィルターの表示画像の明度およびコントラスト比を特に優れたものとすることができ、また、色むら、濃度むらの発生をより効果的に防止することができる。
カラーフィルター用インク中におけるシリカの含有率は、0.1wt%以上2.7wt%以下であることが好ましく、0.2wt%以上1.4wt%以下であることがより好ましい。これにより、上述したようなシリカを含むことによる効果(樹脂材料とともにシリカを含むことによる効果)をより顕著に発揮させることができる。
<溶媒>
カラーフィルター用インクは、樹脂材料を溶解する溶媒(シリカを分散させる分散媒)を含むものである。そして、通常、溶媒は、カラーフィルターを製造する過程において、その大部分が除去されるものである。
このような溶媒としては、例えば、エステル化合物、エーテル化合物、ヒドロキシケトン、炭酸ジエステル、環状アミド化合物等を用いることができ、中でも、〔1〕多価アルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン等)の縮合物としてのエーテル(多価アルコールエーテル)や、多価アルコールまたは多価アルコールエーテルのアルキルエーテル(例えば、メチルエーテル、エチルエーテル、ブチルエーテル、ヘキシルエーテル等)、エステル(例えば、ホルメート、アセテート、プロピオネート等)、アセテート類、〔2〕多価カルボン酸(例えば、こはく酸、グルタル酸等)のエステル(例えば、メチルエステル等)、〔3〕分子内に少なくとも1つの水酸基と少なくとも1つのカルボキシル基とを有する化合物(ヒドロキシ酸)のエーテル、エステル等、〔4〕多価アルコールとホスゲンとの反応で得られるような化学構造を有する炭酸ジエステルが好ましい。
カラーフィルター用インクは、上述した中でも、溶媒として、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートとともに、メトキシブチルアセテートおよび/またはジプロピレングリコールジメチルエーテルを含むものであるのが好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの液滴吐出性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができる。また、後に詳述する着色インクにより形成された着色膜から、顔料がカラーフィルター用インク(樹脂膜)中に拡散してしまうのをより確実に防止することができる。また、カラーフィルター用インクに含まれる樹脂材料(重合体X、重合体Y等)を着色膜中に好適に浸透させることができ、形成される着色部における気泡の発生をより確実に防止することができる。このようなことから、明度、コントラスト比の低下や、色むら、濃度むらの発生をより効果的に防止することができるとともに、カラーフィルターを備えた液晶表示装置の液晶層の電圧保持率(VHR)も良好なものとすることができる。
カラーフィルター用インクがジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートとともに、メトキシブチルアセテートおよび/またはジプロピレングリコールジメチルエーテルを含むものである場合、カラーフィルター用インク中におけるジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートの含有率をC[wt%]、カラーフィルター用インク中におけるメトキシブチルアセテートの含有率とジプロピレングリコールジメチルエーテルの含有率との和をC[wt%]としたとき、0.15≦C/C≦0.43の関係を満足するのが好ましく、0.16≦C/C≦0.40の関係を満足するのがより好ましく、0.17≦C/C≦0.35の関係を満足するのがさらに好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの液滴吐出性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができる。また、着色インクにより形成された着色膜から、顔料がカラーフィルター用インク(樹脂膜)中に拡散してしまうのをより確実に防止することができる。また、カラーフィルター用インクに含まれる樹脂材料(重合体X、重合体Y等)を着色膜中に好適に浸透させることができ、形成される着色部における気泡の発生をより確実に防止することができる。このようなことから、明度、コントラスト比の低下や、色むら、濃度むらの発生をより効果的に防止することができるとともに、カラーフィルターを備えた液晶表示装置の液晶層の電圧保持率(VHR)も良好なものとすることができる。
また、カラーフィルター用インクは、溶媒として、ジエチレングリコールフェニルエーテルおよび/またはエチレングリコールフェニルエーテルを含むものであってもよい。
カラーフィルター用インクにおける溶媒の含有率は、40wt%以上95wt%以下であるのが好ましく、60wt%以上88wt%以下であるのがより好ましい。溶媒の含有率が前記範囲内の値であると、カラーフィルター用インクの液滴吐出ヘッドからの吐出性を特に優れたものとし、製造されるカラーフィルターの着色部の厚さの均一性をより高いものとすることができる。このため、得られるカラーフィルターは、各部位での濃度むら、色むらが特に効果的に抑制されたものとなり、また、画像表示装置に用いた際に、特に鮮明な画像を表示できるものとなる。
<その他の成分>
カラーフィルター用インクは、樹脂材料と、シリカとを含むものであればよいが、さらに、上記以外の成分(その他の成分)を含むものであってもよい。
このような成分としては、例えば、各種架橋剤、熱酸発生剤、光酸発生剤、各種重合開始剤、酸架橋剤、界面活性剤、増感剤、光安定剤、各種分散剤、発光材料、レベリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、接着性改良剤、各種重合促進剤、各種光安定化剤、ガラス、ジルコニア、アルミナ、酸化チタン等のセラミックス、密着促進剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤等を用いることができる。
レベリング剤は、カラーフィルター用インクの表面張力を低下させることにより、セル内に付与されたカラーフィルター用インクの表面を平滑化し、樹脂膜を平坦化させるものである。このため、カラーフィルター用インクがレベリング剤を有することにより、樹脂材料とシリカとを含むことによる効果と相乗的に作用し、セル内のカラーフィルター用インクの表面をより平坦なものとすることができる。このため、形成される膜はより平坦なものとなる。
レベリング剤としては、アクリル系レベリング剤、ビニルエーテル系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤、フッ素−ケイ素系レベリング剤、アセチレングリコール系レベリング剤等が挙げられる。このようなレベリング剤の中でも、アクリル系レベリング剤、ビニルエーテル系レベリング剤、アセチレングリコール系レベリング剤を用いることが好ましい。特に、LHP−95、LHP−90、LF1970、サーフィノールDF−58から選択される1種または2種以上を組み合わせて用いるのが好ましい。これにより、形成される膜の表面がより平坦化され、得られるカラーフィルターは、各部位での色むら、濃度むらが特に小さいものとなる。
また、カラーフィルター用インクは、重合体X、重合体Y以外の樹脂材料(以下、「その他の樹脂材料」という)を含むものであってもよいが、その他の樹脂材料(例えば、後に詳述する重合体M等)を含む場合、カラーフィルター用インク中に含まれるその他の樹脂材料は、10wt%以下であるのが好ましく、5wt%以下であるのがより好ましい。これにより、本発明の効果を確実に発揮させることができる。
また、例えば、カラーフィルター用インクは、着色剤を含むものであってもよいが、含まないものであるのが好ましい。また、カラーフィルター用インクが着色剤を含む場合、カラーフィルター用インク中に含まれる着色剤の含有率は、0.5wt%以下であるのが好ましく、0.2wt%以下であるのがより好ましい。
また、カラーフィルター用インクの25℃における粘度は、3.0mPa・s以上12.0mPa・s以下であるのが好ましく、4.0mPa・s以上11.0mPa・s以下であるのがより好ましい。これにより、後述するようなインクジェット方式による液滴吐出において、吐出されるカラーフィルター用インクの液滴量のばらつきを特に小さいものとしつつ、液滴吐出ヘッドにおける目詰まりの発生等をより確実に防止することができる。この結果、得られるカラーフィルターは、各着色部の均一性をより高いものとすることができ、画像表示装置に用いた際に、特に鮮明な画像を表示できるものとなる。
《着色インク》
上述したカラーフィルター用インク(樹脂膜形成用インク)が付与される着色膜は、顔料を含む材料で構成されたものである。着色膜は、いかなる方法で形成されたものであってもよいが、顔料を含む着色インク(着色膜形成用インク)を用いて形成されたものであるのが好ましい。
以下、着色膜の形成に用いる着色インク(着色膜形成用インク)について説明する。
上記のように、着色インク(着色膜形成用インク)は、上述したカラーフィルター用インクによる樹脂膜によって被覆される着色膜の形成に用いられるものであり、顔料を含むものである。
このように、カラーフィルター用インク(樹脂膜形成用インク)とは異なる着色インクに、顔料を含ませることにより、カラーフィルター用インク中に顔料を含有させる必要がなくなり、または、カラーフィルター用インク中における顔料の含有率を低くすることが可能となり、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、形成される着色部を、着色膜と、その表面を被覆する樹脂膜の積層構成とすることができ、表面付近に顔料が露出することを防止し、着色部、カラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。
着色インクは、いかなる方法で基板上に付与されるものであってもよいが、上述した本発明のカラーフィルター用インク(樹脂膜形成用インク)と同様に、インクジェット法に適用されるものであるのが好ましい。これにより、カラーフィルターの製造工程全体における材料の無駄を少なくすることができるため、環境への負荷を低減することができ、また、製造コストも抑制することができる。また、カラーフィルター用インク(樹脂膜形成用インク)と同様のインクジェット法を適用することにより、カラーフィルターの生産設備の効率化等を図ることができる。
カラーフィルターは、通常、複数色の着色部(着色膜)を備えている。このため、着色膜の形成にも、これに対応するように、複数色の着色インク(着色膜形成用インク)を用いるのが好ましく、特に、光の三原色を構成する3色である、赤色の着色インク(レッドインク)と、緑色の着色インク(グリーンインク)と、青色の着色インク(ブルーインク)とを用いるのが好ましい。これにより、色再現域の広いカラーフィルターを容易かつ効率よく製造することができる。以下の説明では、カラーフィルターの製造に、着色インクとして、「レッドインク(Rインク)」、「グリーンインク(Gインク)」、「ブルーインク(Bインク)」の3種のインクを用いる場合について代表的に説明する。
<顔料>
着色インクは、通常、それぞれ、形成すべき着色膜の色調に応じた顔料を含むものである。着色膜の形成に用いる着色インクは、着色剤として顔料を含むものである。これにより、製造されるカラーフィルターの耐光性、耐熱性等を特に優れたものとすることができる。また、従来のインクジェット法を用いて製造されたカラーフィルターでは、着色剤として顔料を含む場合に、明度、コントラスト比の低下や、色むら、濃度むらの発生という問題がより顕著に発生していたが、本発明においては、着色剤として顔料を含む場合であっても、上記のような問題の発生を確実に防止することができる。着色膜の構成材料としての顔料は、いかなるものであってもよく、有機顔料、無機顔料を用いることができるが、中でも、有機顔料が好ましい。これにより、製造されるカラーフィルターを用いた表示画像の彩度、輝度を特に優れたものとすることができる。
(レッドインク)
レッドインクは、通常、赤色の顔料を含むものである。
レッドインク中に含まれる顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2,3,5,17,22,23,38,81,48:1,48:2,48:3,48:4,49:1,52:1,53:1,57:1,63:1,112,122,144,146,149,166,170,176,177,178,179,185,202,207,209,254,101,102,105,106,108,108:1等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
レッドインクを構成する顔料としては、上記のようなものが挙げられるが、中でも、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド254、および、これらの誘導体のうち少なくとも1種を含むレッドインクを備えるものであるのが好ましい。従来、上記のような顔料を含む場合、明度、コントラスト比の低下や、色むら、濃度むらの発生という問題がより顕著に発生していたが、本発明においては、上記のような顔料を含む場合であっても、上記のような問題の発生を確実に防止することができる。すなわち、上記のような顔料を用いた場合に、本発明による効果がより顕著に発揮される。
C.I.ピグメントレッド177の誘導体、C.I.ピグメントレッド254の誘導体として、下記式(30)または下記式(31)で示される化合物(誘導体)を含有するものである場合、上述したような効果がさらに顕著に発揮される。
Figure 2012063489
Figure 2012063489
また、レッドインクは、上記のような顔料に加え、例えば、ピグメントイエロー1,3,12,13,14,15,16,17,20,24,31,34,35,35:1,37,37:1,42,43,53,55,60,61,65,71,73,74,81,83,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,116,117,119,120,126,127,128,129,138,139,150,151,152,153,154,155,156,157,166,168,175,180,184,185等の顔料を含むものであってもよい。これにより、形成される着色部の色調をより好適に調整することができる。中でも、ピグメントイエロー138,139,150,184,185が好ましく、ピグメントイエロー150がより好ましい。これにより、上述した効果がより顕著に発揮される。
レッドインク中における顔料の含有率は、7.0wt%以上30.0wt%以下であるのが好ましく、7.5wt%以上25.0wt%以上であるのがより好ましい。これにより、製造されるカラーフィルターにおいて、より高い色濃度を確保することができ、より鮮明な画像表示に用いることができる。
(グリーンインク)
グリーンインクは、通常、緑色の顔料を含むものである。
グリーンインク中に含まれる顔料としては、特に限定されず、例えば、C.I.ピグメントグリーン7,36,15,17,18,19,26,50、58等が挙げられる。
グリーンインクを構成する顔料としては、上記のようなものが挙げられるが、中でも、C.I.ピグメントグリーン58を含むグリーンインクを備えるものであるのが好ましい。従来、上記のような顔料を含む場合、明度、コントラスト比の低下や、色むら、濃度むらの発生という問題がより顕著に発生していたが、本発明においては、上記のような顔料を含む場合であっても、上記のような問題の発生を確実に防止することができる。すなわち、上記のような顔料を用いた場合に、本発明による効果がより顕著に発揮される。
また、グリーンインクが、C.I.ピグメントグリーン58を含む場合、さらに、スルホン化された顔料誘導体を副顔料として含むのが好ましい。これにより、グリーンインクを用いて形成される着色部の発色性をさらに優れたものとすることができる。
グリーンインクが、C.I.ピグメントグリーン58とスルホン化された顔料誘導体とを含む場合、スルホン化された顔料誘導体として、下記式(32)で示される化合物(誘導体)を含有するのが好ましい。これにより、上述したような効果がより顕著に発揮される。
Figure 2012063489
グリーンインクが、C.I.ピグメントグリーン58と上記のような顔料誘導体(スルホン化顔料誘導体)とを含む場合、顔料誘導体(スルホン化顔料誘導体)の含有率は、特に限定されないが、C.I.ピグメントグリーン58(主顔料):100重量部に対して、10重量部以上80重量部以下であるのが好ましく、30重量部以上70重量部以下であるのがより好ましい。これにより、製造されるカラーフィルター1の表示画像のコントラスト、明度を特に優れたものとすることができる。
また、グリーンインクは、上記のような顔料に加え、例えば、ピグメントイエロー1,3,12,13,14,15,16,17,20,24,31,34,35,35:1,37,37:1,42,43,53,55,60,61,65,71,73,74,81,83,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,116,117,119,120,126,127,128,129,138,139,150,151,152,153,154,155,156,157,166,168,175,180,184,185等の顔料を含むものであってもよい。これにより、形成される着色部の色調をより好適に調整することができる。中でも、ピグメントイエロー138,139,150,184,185が好ましく、ピグメントイエロー150がより好ましい。これにより、上述した効果がより顕著に発揮される。
グリーンインク中における顔料の含有率は、8.0wt%以上25.0wt%以下であるのが好ましく、8.5wt%以上18.0wt%以下であるのがより好ましい。これにより、製造されるカラーフィルターにおいて、より高い色濃度を確保することができ、より鮮明な画像表示に用いることができる。
(ブルーインク)
ブルーインクは、通常、青色の顔料を含むものである。
ブルーインク中に含まれる顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー1,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,17:1,18,27,28,29,35,36,60,80等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
ブルーインクを構成する顔料としては、上記のようなものが挙げられるが、中でも、C.I.ピグメントブルー15:6を含むブルーインクを備えるものであるのが好ましい。従来、上記のような顔料を含む場合、明度、コントラスト比の低下や、色むら、濃度むらの発生という問題がより顕著に発生していたが、本発明においては、上記のような顔料を含む場合であっても、上記のような問題の発生を確実に防止することができる。すなわち、上記のような顔料を用いた場合に、本発明による効果がより顕著に発揮される。
また、ブルーインクが、C.I.ピグメントブルー15:6を含む場合、さらに、C.I.ピグメントバイオレット23を含むのが好ましい。これにより、ブルーインクを用いて形成される着色部の発色性をさらに優れたものとすることができる。
ブルーインク中における顔料の含有率は、6.0wt%以上20.0wt%以下であるのが好ましく、6.5wt%以上15.0wt%以下であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター製造用の液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)からの、ブルーインクの吐出性を優れたものとしつつ、製造されるカラーフィルターにおいて、十分な色濃度を確保することができ、色再現範囲を広いものとすることができる。また、製造されるカラーフィルターにおいて、異なる色の着色部間における色濃度の均一性を特に優れたものとすることができる。また、製造されるカラーフィルターの耐久性を優れたものとすることができる。
<分散媒>
着色インクは、上述したような顔料を分散する機能を有する分散媒を含むものである。そして、通常、分散媒は、カラーフィルターを製造する過程において、その大部分が除去されるものである。
分散媒としては、例えば、エステル化合物、エーテル化合物、ヒドロキシケトン、炭酸ジエステル、環状アミド化合物等を用いることができ、中でも、〔1〕多価アルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン等)の縮合物としてのエーテル(多価アルコールエーテル)や、多価アルコールまたは多価アルコールエーテルのアルキルエーテル(例えば、メチルエーテル、エチルエーテル、ブチルエーテル、ヘキシルエーテル等)、エステル(例えば、ホルメート、アセテート、プロピオネート等)、アセテート類、〔2〕多価カルボン酸(例えば、こはく酸、グルタル酸等)のエステル(例えば、メチルエステル等)、〔3〕分子内に少なくとも1つの水酸基と少なくとも1つのカルボキシル基とを有する化合物(ヒドロキシ酸)のエーテル、エステル等、〔4〕多価アルコールとホスゲンとの反応で得られるような化学構造を有する炭酸ジエステルが好ましい。
中でも、分散媒は、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,3−ブチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジエチルエーテル、ビス(2−ブトキシエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールフェニルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、および、2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチルアセテートよりなる群から選択される1種または2種以上を含むものであることが好ましい。これにより、着色インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インク(樹脂膜形成用インク)の付与前に、着色インクを構成する分散媒を好適に除去することができ、形成される着色膜を耐溶剤性に優れたものとすることができるため、着色インク中に含まれる顔料が、カラーフィルター用インクによって形成される樹脂膜中に拡散してしまうことをより確実に防止することができる。その結果、明度、コントラスト比の低下や、色むら、濃度むらの発生をより効果的に防止することができるとともに、カラーフィルターを備えた液晶表示装置の液晶層の電圧保持率(VHR)も良好なものとすることができる。
また、着色インクは、分散媒として、沸点が250℃以上の高沸点成分を含まないものであるのが好ましい。これにより、形成される着色部内に気泡が含まれることをより確実に防止することができ、結果として、カラーフィルターを用いた表示画像のコントラスト等をより確実に優れたものとすることができる。
また、着色インクにおける分散媒の含有率(複数種の成分を含む場合は、これらの含有率の総和)は、60wt%以上94wt%以下であるのが好ましく、65wt%以上93wt%以下であるのがより好ましい。分散媒の含有率が前記範囲内の値であると、着色インクの液滴吐出ヘッドからの吐出性を特に優れたものとすることができる。また、製造されるカラーフィルターの着色膜の厚さを確実に均一にできるとともに、形成される着色膜の平坦性をより高いものとすることができ、各部位での色むら、濃度むら等をより効果的に抑制することができるとともに、個体間での特性の均一性を特に優れたものとすることができる。また、製造されるカラーフィルターにおいて、十分な色濃度を確保することができ、色再現範囲を広いものとすることができる。
<重合体M>
着色インクは、単量体成分として、下記式(1)で表される単量体成分m1、カルボキシル基または酸無水物基を有する単量体成分m2、および、下記式(3)で表される単量体成分m3を含む重合体Mを含むものであるのが好ましい。
Figure 2012063489
Figure 2012063489
これにより、着色膜中における顔料粒子の凝集を防止することができるとともに、カラーフィルター用インクを用いて形成される膜(樹脂膜)の表面の平坦性を特に高いものとすることができ、さらに、形成される着色部中等に気泡が含まれることを効果的に防止することができ、製造されるカラーフィルターの表示画像の明度およびコントラスト比を特に優れたものとすることができ、また、色むら、濃度むらの発生をより効果的に防止することができる。
なお、重合体Mは、実質的に単一の化合物からなるものであってもよいし、複数種の化合物の混合物であってもよい。
(単量体成分m1)
重合体Mは、上記式(1)で表される単量体成分m1、すなわち、ブロックされたイソシアネート基(以下、「ブロックイソシアネート基」ともいう)を有する化合物を単量体成分として含有してなるものである。なお、着色インクを構成する重合体Mは、分子内に、上記一般式(1)で表される単量体成分m1を複数種含むものであってもよい。
式(1)で表される単量体成分m1において、Rは水素原子またはメチル基を示し、Rは炭素数1以上8以下の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示す。Rはイソシアネート基のブロック剤RHの残基を示す。
における炭素数1以上8以下の2価の飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、直鎖状または分岐鎖状の2価の飽和脂肪族炭化水素基(アルキレン基)が挙げられるが、エチレン、トリメチレン、プロピレン基等の炭素数2以上4以下の2価の飽和脂肪族炭化水素基が好ましい。
イソシアネート基のブロック剤RHとしては、例えば、ホルムアルドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトキシム、メチルイソブチルケトキシム、ジエチルケトキシム、シクロヘキサノンオキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシム等のオキシム系ブロック剤;3,5−ジメチルピラゾール等のピラゾール系ブロック剤;メタノール、エタノール等のアルコール系ブロック剤;フェノール、クレゾール等のフェノール系ブロック剤;ブチルメルカプタン等のメルカプタン系ブロック剤;アセトアニリド、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクタム等の酸アミド系ブロック剤;マロン酸ジメチル、アセト酢酸メチル等の活性メチレン系ブロック剤;コハク酸イミド、マレイン酸イミド等のイミド系ブロック剤;尿素系ブロック剤;N−フェニルカルバミン酸フェニル等のカルバミン酸系ブロック剤;ジフェニルアミン、アニリン等のアミン系ブロック剤;エチレンイミン、ポリエチレンイミン等のイミン系ブロック剤等が挙げられる。
イソシアネート基のブロック剤としては、オキシム系ブロック剤、ピラゾール系ブロック剤が好ましく、下記式(5)で表されるものがより好ましい。
Figure 2012063489
式(5)中のRおよびRにおける炭素数1以上8以下のアルキル基としては、例えば、直鎖状または分岐鎖状アルキル基が挙げられるが、メチル、エチル、プロピル基等の炭素数1以上4以下の直鎖状または分岐鎖状アルキル基が好ましい。RおよびRが互いに結合して隣接する炭素原子とともに結合する環としては、例えば、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環等の3〜12員程度(好ましくは5または6員)のシクロアルカン環等が挙げられる。
式(1)で表される単量体成分m1の具体例としては、メタクリル酸2−[O−(1′−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ]エチル(=2−(1−メチルプロピリデンアミノオキシカルボニルアミノエチル)メタクリレート)(下記式(6)で表されるもの)、メタクリル酸2−(3,5−ジメチルピラゾール−1−イル)カルボニルアミノエチル(下記式(7)で表されるもの)等が挙げられる。
Figure 2012063489
Figure 2012063489
重合体M中における単量体成分m1の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、1wt%以上99wt%以下(例えば10wt%以上95wt%以下)であるのが好ましく、20wt%以上90wt%以下であるのがより好ましく、25wt%以上88wt%以下であるのがさらに好ましい。なお、重合体Mが複数種の単量体成分m1を含むものである場合、当該複数種の単量体成分m1の含有率の和が上記のような条件を満足するのが好ましい。また、重合体Mが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分m1の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Mが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分m1を含有しているのが好ましい。
(単量体成分m2)
重合体Mは、カルボキシル基または酸無水物基を有する単量体成分m2を単量体成分として含有してなるものである。なお、着色インクを構成する重合体Mは、分子内に複数種の単量体成分m2を含むものであってもよい。
このような単量体成分m2を重合体M中に単量体成分として含有することにより、基板上への着色インクの濡れ広がりを良好なものとすることができ、気泡の混入等が確実に防止され、基板との密着性に優れた着色膜を好適に形成することができる。また、単量体成分m2を単量体成分として含有することにより、着色インクの長期保存性等を特に優れたものとすることができる。
単量体成分m2としては、不飽和カルボン酸またはその酸無水物が挙げられる。単量体成分m2の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸等のα,β−不飽和カルボン酸およびその酸無水物(無水マレイン酸、無水イタコン酸等)等が挙げられ、中でも、アクリル酸、メタクリル酸(下記式(2)で表されるもの)が特に好ましい。
Figure 2012063489
重合体M中における単量体成分m2の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、0.5wt%以上98wt%以下(例えば2.5wt%以上70wt%以下)であるのが好ましく、3wt%以上50wt%以下であるのがより好ましく、5wt%以上40wt%以下であるのがさらに好ましい。重合体M中における単量体成分m2の含有率が前記範囲内の値であると、上述した単量体成分m1や後に詳述する単量体成分m3等の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体M中における単量体成分m2の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分m2を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体M中における単量体成分m2の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分m1、m3等の含有率が低下し、これらの機能が十分に発揮されない可能性がある。なお、重合体Mが複数種の単量体成分m2を含むものである場合、当該複数種の単量体成分m2の含有率の和が上記のような条件を満足するのが好ましい。また、重合体Mが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分m2の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Mが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分m2を含有しているのが好ましい。
(単量体成分m3)
重合体Mは、上記式(3)で表される単量体成分m3((メタ)アクリル酸エステル)を単量体成分として含有してなるものである。なお、着色インクを構成する重合体Mは、分子内に、上記一般式(3)で表される単量体成分m3を複数種含むものであってもよい。
このような単量体成分m3を重合体M中に単量体成分として含有することにより、着色インクを用いて形成される着色膜の平坦性を高いものとすることができる。また、単量体成分m3を重合体M中に単量体成分として含有することにより、着色インクの吐出安定性を優れたものとすることができる。また、単量体成分m3を重合体M中に単量体成分として含有することにより、着色インクの保存安定性(長期保存性)等を優れたものとすることができる。
における炭素数16以上25以下の炭化水素基としては、例えば、ヘキサデシル(セチル)、ヘプタデシル、オクタデシル(ステアリル)、ノナデシル、イコシル、ドコシル(ベヘニル)基等のアルキル基;10−シクロヘキシルデシル、12−シクロヘキシルドデシル、14−シクロヘキシルテトラデシル、16−シクロヘキシルヘキサデシル基等の脂環式炭化水素基とアルキル基とが結合した基;10−フェニルデシル、12−フェニルドデシル、14−フェニルテトラデシル、16−フェニルヘキサデシル基等のアラルキル基等が挙げられる。
炭素数16以上25以下の炭化水素基が有していてもよい炭化水素基置換オキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ基等のアルコキシ基(例えば、炭素数1以上10以下のアルコキシ基);フェノキシ基等のアリールオキシ基;シクロヘキシルオキシ基、ジシクロペンタニルオキシ基等の脂環式炭化水素基置換オキシ基;ベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基等の炭素数1以上15以下(好ましくは、炭素数1以上12以下)の炭化水素基置換オキシ基等が挙げられる。
単量体成分m3の具体例としては、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記のように、重合体Mを構成する単量体成分m3が有する炭化水素基(炭化水素基置換オキシ基を有していてもよい)の炭素数(以下、Rの炭素数ともいう)は、16以上25以下であるが、特に、16以上22以下であるのが好ましく、16以上20以下であるのがより好ましい。これにより、上述した効果は、さらに顕著に発揮される。これに対し、Rの炭素数が前記下限値未満である場合、または、前記上限値を超える場合には、上述したような優れた効果が得られない。このように、重合体Mは、所定の炭素数を有する基(R)を備えた単量体成分(単量体成分m3)を含む点に大きな一つの特徴を有するものである。
重合体M中における単量体成分m3の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、0.5wt%以上98wt%以下(例えば2.5wt%以上70wt%以下)であるのが好ましく、3wt%以上50wt%以下であるのがより好ましく、5wt%以上40wt%以下であるのがさらに好ましい。重合体M中における単量体成分m3の含有率が前記範囲内の値であると、上述した単量体成分m1、m2等の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体M中における単量体成分m3の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分m3を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体M中における単量体成分m3の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分m1、m2等の含有率が低下し、これらの機能が十分に発揮されない可能性がある。なお、重合体Mが複数種の単量体成分m3を含むものである場合、当該複数種の単量体成分m3の含有率の和が上記のような条件を満足するのが好ましい。また、重合体Mが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分m3の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Mが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分m3を含有しているのが好ましい。
重合体Mにおける単量体成分m1の比率(Cm1[wt%])と単量体成分m2の比率(Cm2[wt%])は、以下のような関係を満足するのが好ましい。すなわち、Cm1/Cm2は、2/98以上98/2以下であるのが好ましく、20/80以上95/5以下であるのがより好ましく、40/60以上95/5以下であるのがさらに好ましい。
また、重合体Mにおける単量体成分m1の比率(Cm1[wt%])と単量体成分m3の比率(Cm3[wt%])は、以下のような関係を満足するのが好ましい。すなわち、Cm1/Cm3は、2/98以上98/2以下であるのが好ましく、20/80以上95/5以下であるのがより好ましく、40/60以上95/5以下であるのがさらに好ましい。
重合体Mとしては、例えば、下記式(8)で表されるものがある。
Figure 2012063489
また、重合体Mは、上述した単量体成分m1、m2およびm3以外の成分を含むものであってもよい。これにより、例えば、上記のような特性を発揮しつつ、その他の単量体成分の化学構造に由来する効果も得ることができる。このような成分としては、例えば、以下に述べるような単量体成分m4、単量体成分m5、単量体成分m6、単量体成分m7等が挙げられる。
(単量体成分m4)
重合体Mは、下記式(4)で表される単量体成分m4((メタ)アクリル酸エステル)を単量体成分として含有してなるものであってもよい。
Figure 2012063489
重合体Mが単量体成分m4を含むことにより、着色インクを構成する分散媒が親水性の高い場合であっても、着色インク中における重合体Mの溶解性を優れたものとすることができ、着色インクを用いて形成される着色膜の透明性を優れたものとすることができる。
単量体成分m4において、Rは、炭化水素基置換オキシ基を有していてもよい炭素数1以上15以下の炭化水素基を示すが、当該炭化水素基の炭素数は、1以上12以下であるのが好ましい。Rで示される炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、デシル基等のアルキル基;シクロヘキシル、ジシクロペンタニル、イソボルニル基等の脂環式炭化水素基;フェニル基等のアリール基;ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル基等のアラルキル基;これらが2以上結合した基等が挙げられる。
炭素数1以上15以下の炭化水素基が有していてもよい炭化水素基置換オキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ基等のアルコキシ基(例えば、炭素数1以上10以下のアルコキシ基);フェノキシ基等のアリールオキシ基;シクロヘキシルオキシ基、ジシクロペンタニルオキシ基等の脂環式炭化水素基置換オキシ基;ベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基等の炭素数1以上15以下(好ましくは、炭素数1以上12以下)の炭化水素基置換オキシ基等が挙げられる。
単量体成分m4の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記のように、単量体成分m4が有する炭化水素基(炭化水素基置換オキシ基を有していてもよい)の炭素数(以下、Rの炭素数ともいう)は、1以上15以下であるが、特に、1以上8以下であるのが好ましく、1以上4以下であるのがより好ましい。これにより、上述した効果は、さらに顕著に発揮される。
上記のような単量体成分m4を含む重合体Mとしては、例えば、下記式(9)で表されるものがある。
Figure 2012063489
(単量体成分m5)
重合体Mは、芳香族ビニル化合物である単量体成分m5を単量体成分として含有してなるものであってもよい。
重合体Mが単量体成分m5を含むことにより、着色インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、着色インクを用いて形成される着色膜は、基板に対する密着性が特に優れ、クラック等の問題が特に生じにくいものとなる。
単量体成分m5の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ビニルビフェニル等が挙げられる。
(単量体成分m6)
重合体Mは、ヒドロキシル基含有化合物である単量体成分m6を単量体成分として含有してなるものであってもよい。
単量体成分m6の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の、多価アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのモノエステル化物、上記多価アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのモノエステル化物にε−カプロラクトンを開環重合した化合物やエチレンオキサイド、もしくはプロピレンオキサイドを開環重合したヒドロキシル基含有化合物等が挙げられる。
(単量体成分m7)
重合体Mは、3〜5員の環状エーテル基を有するビニル化合物である単量体成分m7を単量体成分として含有してなるものであってもよい。
単量体成分m7(3〜5員の環状エーテル基を有するビニル化合物)には、オキシラン環(エポキシ基)含有重合性不飽和化合物、オキセタン環(オキセタニル基)含有重合性不飽和化合物、オキソラン環(オキソラニル基)含有重合性不飽和化合物が含まれる。
重合体Mが単量体成分m7を含むことにより、着色インクを用いて形成される着色膜の耐溶剤性や、基板に対する密着性等の更なる向上を図ることができる。
オキシラン環(エポキシ基)含有重合性不飽和化合物としては、例えば、オキシラニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−オキシラニルエチル(メタ)アクリレート、2−グリシジルオキシエチル(メタ)アクリレート、3−グリシジルオキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジルオキシフェニル(メタ)アクリレート等のオキシラン環(単環)を含む重合性不飽和化合物((メタ)アクリル酸エステル誘導体等);3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、3−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルオキシ)プロピル(メタ)アクリレート等の3,4−エポキシシクロヘキサン環等のエポキシ基含有脂環式炭素環を含む重合性不飽和化合物((メタ)アクリル酸エステル誘導体等);5,6−エポキシ−2−ビシクロ[2.2.1]ヘプチル(メタ)アクリレート等の5,6−エポキシ−2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン環を含む重合性不飽和化合物((メタ)アクリル酸エステル誘導体等);エポキシ化ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート[3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−9−イル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、またはこれらの混合物]、エポキシ化ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート[2−(3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−9−イルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、またはこれらの混合物]、エポキシ化ジシクロペンテニルオキシブチル(メタ)アクリレート、エポキシ化ジシクロペンテニルオキシヘキシル(メタ)アクリレート等の3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環を含む重合性不飽和化合物((メタ)アクリル酸エステル誘導体等)等が挙げられる。他のオキシラン環(エポキシ基)含有重合性不飽和化合物として、エポキシ基を含むビニルエーテル化合物、エポキシ基を含むアリルエーテル化合物、エポキシ基を含む芳香族ビニル化合物等を用いることもできる。エポキシ基を含む芳香族ビニル化合物としては、4−ビニルベンジルグリシジルエーテル、4−ビニルベンジルオキシラン、4−ビニルフェネチルオキシラン等のスチレン誘導体が挙げられる。
オキセタン環(オキセタニル基)含有重合性不飽和化合物としては、例えば、オキセタニル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−オキセタニル(メタ)アクリレート、3−エチル−3−オキセタニル(メタ)アクリレート、(3−メチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、2−(3−メチル−3−オキセタニル)エチル(メタ)アクリレート、2−(3−エチル−3−オキセタニル)エチル(メタ)アクリレート、2−[(3−メチル−3−オキセタニル)メチルオキシ]エチル(メタ)アクリレート、2−[(3−エチル−3−オキセタニル)メチルオキシ]エチル(メタ)アクリレート、3−[(3−メチル−3−オキセタニル)メチルオキシ]プロピル(メタ)アクリレート、3−[(3−エチル−3−オキセタニル)メチルオキシ]プロピル(メタ)アクリレートや、オキセタニル基を含むビニルエーテル化合物、オキセタニル基を含むアリルエーテル化合物等が挙げられる。
オキソラン環(オキソラニル基)含有重合性不飽和化合物としては、例えば、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートや、オキソラニル基を含むビニルエーテル化合物、オキソラニル基を含むアリルエーテル化合物等が挙げられる。
着色インクを構成する重合体Mが、上述したような単量体成分m7を含むものである場合、3〜5員の環状エーテル基(オキシラン環(エポキシ基)、オキセタン環(オキセタニル基)、オキソラン環(オキソラニル基))は硬化性基として作用する。3〜5員の環状エーテル基は、主に耐薬品性(耐溶剤性、耐アルカリ性等)の向上に寄与する。
重合体Mが、単量体成分m1、m2、m3に加え、さらに、単量体成分m4、m5、m6およびm7よりなる群から選択される少なくとも1種の単量体成分を含むものである場合、重合体M中における単量体成分m4、m5、m6およびm7の含有率の総和は、60wt%以下であるのが好ましく、50wt%以下であるのがより好ましく、40wt%以下であるのがさらに好ましい。これにより、上述した単量体成分m1、m2、m3を含むことによる効果を十分に発揮させつつ、単量体成分m4、m5、m6、m7を含むことによる効果が発揮される。
重合体Mの重量平均分子量は、500以上100000以下であるのが好ましく、1000以上40000以下であるのがより好ましく、2000以上30000以下であるのがさらに好ましい。これにより、カラーフィルター用インク(樹脂膜形成用インク)および着色インクを備えるカラーフィルター用インクセットを用いて製造されるカラーフィルターについてのコントラスト比、明度を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。また、着色インクの保存安定性(長期安定性)、吐出安定性、形成される着色膜の耐溶剤性等を優れたものとすることができる。
また、重合体Mの分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1以上3以下であるのが好ましい。
着色インク中における重合体Mの含有率は、0.1wt%以上9.0wt%以下であるのが好ましく、0.3wt%以上7.5wt%以下であるのがより好ましい。これにより、他の成分の機能を十分に発揮させつつ、重合体Mを含むことによる効果をより効果的に発揮させることができる。
<その他の成分>
また、着色インクは、上述した以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、本発明のカラーフィルター用インク(樹脂膜形成用インク)の構成成分としてのその他の成分で例示したような成分が挙げられる。また、着色インクは、上述したような重合体X、重合体Yを含むものであってもよい。
着色インクの25℃における粘度(振動式粘度計を用いて測定される粘度)は、特に限定されないが、3mPa・s以上12mPa・s以下であるのが好ましく、4mPa・s以上11mPa・s以下であるのがより好ましい。着色インクの粘度が前記範囲内の値であると、インクジェット方式による液滴吐出において、吐出される着色インクの液適量のばらつきを特に小さいものとしつつ、液滴吐出ヘッドにおける目詰まりの発生等をより確実に防止することができる。
《カラーフィルター》
次に、上述したようなカラーフィルター用インクを用いて製造されるカラーフィルターの一例について説明する。
図1は、本発明のカラーフィルターの好適な実施形態を示す断面図である。
図1に示すように、カラーフィルター1は、基板11と、上述したカラーフィルター用インク(および着色インク)を用いて成形された着色部12とを備えている。着色部12としては、互いに異なる種類のインクを用いて形成された第1の着色部12A、第2の着色部12B、および第3の着色部12Cが設けられている。そして、隣接する着色部12の間には、隔壁13が設けられている。なお、本実施形態において、第1の着色部12A、第2の着色部12B、および第3の着色部12Cは、本発明のカラーフィルター用インク(樹脂膜形成用インク)と、互いに異なる種類の着色インク(着色膜形成用インク)とを用いて形成されたものであればよいが、以下の説明では、各着色部は、本発明のカラーフィルター用インク(樹脂膜形成用インク)に加え、第1の着色部12Aがレッドインクを用いて形成され、第2の着色部12Bがグリーンインクを用いて形成され、第3の着色部12Cがブルーインクを用いて形成された場合について、中心的に説明する。
<基板>
基板11は、光透過性を有する板状の部材で、着色部12、隔壁13を保持する機能を有している。
基板11は、実質的に透明な材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、カラーフィルター1を透過する光により、より鮮明な画像を形成することができる。
また、基板11は、耐熱性、機械的強度に優れたものであるのが好ましい。これにより、例えば、カラーフィルター1の製造時に加わる熱による変形等を確実に防止することができる。このような条件を満足する基板11の構成材料としては、例えば、ガラス、シリコン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ノルボルネン系開環重合体やその水素添加物等が挙げられる。
<着色部>
着色部12は、上述したようなカラーフィルター用インクおよび着色インクを用いて形成されたものである。
各着色部12(第1の着色部12A、第2の着色部12B、および第3の着色部12C)は、上述したようなカラーフィルター用インクおよび着色インクを用いて形成されたものである。
各着色部12は、後述する隔壁13により囲まれた領域であるセル14内に設けられている。
また、各着色部12は、それぞれ、上記の着色インクを用いて形成された着色膜121と、上記のカラーフィルター用インクを用いて形成された樹脂膜122とを有しており、表面の平坦性に優れ、気泡の発生が効果的に防止されたものである。これにより、カラーフィルター1の表示画像は、明度およびコントラスト比に優れ、かつ、色むら、濃度むらの発生が抑制されたものとなる。また、着色膜121とは別に、樹脂膜122を有することにより、カラーフィルター1の耐久性、当該カラーフィルターを備えた液晶表示装置の液晶層の電圧保持率等を特に優れたものとすることができる。また、上記のような構成であると、各着色部での顔料の含有率を好適なものとしつつ、表示画像の色味にほとんど影響を与えない樹脂膜122の厚さを調整することができ、各色の着色部(12A、12B、12C)の厚さを容易かつ確実に均一なものとすることができる。このため、後述するような画像表示装置にこのようなカラーフィルター1を用いた際に、着色部12および隔壁13の基板11に対向する面とは反対の面側に設けられる共通電極が、各着色部12と隔壁13との段差によって、断線するなどの不具合が発生するのを確実に防止することができる。
ところで、上記のような共通電極の断線を防止するために、着色部および隔壁と共通電極との間に、透明の樹脂材料からなる平坦化膜を形成し、共通電極の断線を防止することも考えられる。しかしながら、このようなカラーフィルターを画像表示装置に用いた場合、カラーフィルターを光が通過する際に、平坦化膜において光の一部が反射しやすいものとなり、反射を繰り返した光が、他の着色部を透過するものとなる。この結果、反射を繰り返した光が、透過すべき着色部以外の他の着色部を透過するものとなり、得られる画像は、形状、色調が不鮮明となる。これに対し、本発明では、このような問題の発生を確実に防止することができる。
また、着色膜121は、着色部12中において、それぞれ、基板11と接する部分に配されている。このように、基板11に沿って着色膜121が配されることにより、着色膜121は特に平滑なものとなり、カラーフィルター1は、各部位での濃度むら、色むらが特に抑制されたものとなる。
第1の着色部12A、第2の着色部12B、および第3の着色部12Cは、互いに異なる色のものである。例えば、第1の着色部12Aを赤色フィルター領域(R)、第2の着色部12Bを緑色フィルター領域(G)、第3の着色部12Cを青色フィルター領域(B)とすることができる。そして、一組の異なる色の着色部12A、12B、12Cで1画素を構成している。そして、カラーフィルター1においては、その横方向および縦方向に、着色部12が所定数配置されている。例えば、カラーフィルター1が、ハイビジョン用のカラーフィルターである場合には1366×768個の画素が配置されており、フルハイビジョン用のカラーフィルターである場合には1920×1080個の画素が配置されており、スーパーハイビジョン用のカラーフィルターである場合には7680×4320個の画素が配置されている。なお、カラーフィルター1は、例えば、有効領域外に予備の画素を備えたものであってもよい。
<隔壁>
隣接する着色部12の間には、隔壁(バンク)13が設けられている。これにより、隣接する着色部12同士が混色してしまうのを確実に防止することができ、その結果、鮮明な画像を確実に表示することができる。
隔壁13は、透明な材料で構成されたものであってもよいが、遮光性を有する材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、コントラストに優れた画像を表示することができる。隔壁(遮光部)13の色は、特に限定されないが、黒色であるのが好ましい。これにより、表示される画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。
隔壁13の高さは、特に限定されないが、着色部12の膜厚とほぼ同じであるのが好ましい。これにより、隣接する着色部12の間での混色を確実に防止することができる。隔壁13の具体的な厚さは、0.1μm以上10μm以下であるのが好ましく、0.5μm以上3.5μm以下であるのがより好ましい。これにより、隣接する着色部12の間での混色を確実に防止することができるとともに、カラーフィルター1を備えた画像表示装置、電子機器における視野角特性を優れたものとすることができる。
隔壁13は、いかなる材料で構成されたものであってもよいが、例えば、主として樹脂材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、後述するような方法で、隔壁13を容易に所望の形状を有するものとして形成することができる。また、隔壁13が遮光部としての機能を有するものである場合、その構成材料として、カーボンブラック等の光吸収性の材料を含むものであってもよい。
《カラーフィルターの製造方法》
次に、本発明のカラーフィルターの製造方法について説明する。
図2は、カラーフィルターの製造方法の好適な実施形態を示す断面図、図3は、カラーフィルターの製造に用いる液滴吐出装置を示す斜視図である。
本実施形態のカラーフィルターの製造方法は、図2に示すように、基板11を準備する基板準備工程(1a)と、基板11上に隔壁13を形成する隔壁形成工程(1b、1c)と、インクジェット方式により着色インク(着色膜形成用インク)21を隔壁13で囲まれた領域(セル14)に付与する着色インク付与工程(1d)と、セル14内に吐出された着色インク21から分散媒を除去し、着色膜121を形成する着色膜形成工程(1e)と、着色インク21が吐出されたセル内(着色膜121が形成されたセル内)にカラーフィルター用インク(樹脂膜形成用インク)22を吐出するカラーフィルター用インク付与工程(1f)と、セル14内に吐出されたカラーフィルター用インク22から溶媒を除去し樹脂膜122を形成する樹脂膜形成工程(1g)とを有している。これにより、耐久性に優れるとともに、明度およびコントラスト比に優れ、かつ、色むら、濃度むらの発生が抑制されたカラーフィルター1を効率よく製造することができる。また、1つの着色部12を形成するために、インクを分割して付与することにより、誤差拡散によってインク体積量のばらつきが抑えられ、すじむらの発生をより効果的に防止することができる。また、着色膜121とは別に、樹脂膜122を形成することにより、カラーフィルター1を備えた液晶表示装置の液晶層の電圧保持率等を特に優れたものとすることができる。また、着色インク(着色膜形成用インク)21とカラーフィルター用インク(樹脂膜形成用インク)22とを分けてセル内に吐出することにより、各インクの粘度が高くなることを確実に防止することができ、各インクの吐出安定性を優れたものとすることができる。また、画像表示装置に用いた場合、各着色部12の厚さが均一であるため、共通電極を設けた際にも、共通電極の断線を確実に防止するものとなり、適正で鮮明な表示が得られるものとなる。
以下、各工程について詳細に説明する。
<基板準備工程>
まず、基板11を準備する(1a)。本工程で準備する基板11は、洗浄処理が施されたものであるのが好ましい。また、本工程で準備する基板11は、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理が施されたものであってもよい。
<隔壁形成工程>
次に、基板11の隔壁形成用の感放射線性組成物を基板11の一方の面のほぼ全体に付与し、塗膜3を形成する(1b)。なお、基板11上に感放射線性組成物を付与した後、必要に応じて、プリベーク処理を行ってもよい。
その後、フォトマスクを介して、放射線を照射して、ポストエキスポジャーベーク処理(PEB)を行い、さらに、アルカリ現像液を用いた現像処理を行うことにより、隔壁13が形成される(1c)。
また、現像処理の前に、塗膜3に対して撥液化処理を行ってもよい。例えば、現像処理の前に、塗膜3に対してフッ素樹脂をスタンプ法などで付与してもよいし、フッ素をプラズマ重合処理で塗膜3(感放射線性組成物)の表面にドープしてもよい。そのような処理をすることで、バンク表面(図中の上面。内壁面を除く部位)のみ撥液化して、後の工程で形成される着色部12の表面のさらなる平坦化に寄与する。また、感放射線性組成物のなかに、表面のみに配向するように、比重の軽いフッ素樹脂を添加しておいてもよい。
<着色インク付与工程>
次に、インクジェット方式により、着色インク21を、隔壁13で囲まれたセル14内に付与する(1d)。
本工程は、形成すべき複数色の着色膜121に対応する複数種の着色インク21を用いて行う。この際、隔壁13が設けられているため、2種以上の着色インク21が混ざり合うことが確実に防止される。
本実施形態では、着色インク21の吐出は、図3に示すような液滴吐出装置を用いて行う。
図3に示すように、本工程で用いる液滴吐出装置100は、着色インク21を保持するタンク101と、チューブ110と、チューブ110を介してタンク101から着色インク21が供給される吐出走査部102とを備える。吐出走査部102は、複数の液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)をキャリッジに搭載してなる液滴吐出手段103と、液滴吐出手段103の位置を制御する第1位置制御装置104(移動手段)と、前記工程で隔壁13が形成された基板11(以下、単に「基板11」とも言う。)を保持するステージ106と、ステージ106の位置を制御する第2位置制御装置108(移動手段)と、制御手段112とを備えている。タンク101と、液滴吐出手段103における複数の液滴吐出ヘッドとは、チューブ110で連結されており、タンク101から複数の液滴吐出ヘッドのそれぞれに着色インク21が圧縮空気によって供給される。
第1位置制御装置104は、制御手段112からの信号に応じて、液滴吐出手段103をX軸方向、およびX軸方向に直交するZ軸方向に沿って移動させる。さらに、第1位置制御装置104は、Z軸に平行な軸の回りで液滴吐出手段103を回転させる機能も有する。本実施形態では、Z軸方向は、鉛直方向(つまり重力加速度の方向)に平行な方向である。第2位置制御装置108は、制御手段112からの信号に応じて、X軸方向およびZ軸方向の双方に直交するY軸方向に沿ってステージ106を移動させる。さらに、第2位置制御装置108は、Z軸に平行な軸の回りでステージ106を回転させる機能も有する。
ステージ106は、X軸方向とY軸方向との双方に平行な平面を有する。また、ステージ106は、着色インク21を付与すべきセル14を有する基板11をその平面上に固定、または保持できるように構成されている。
上述のように、液滴吐出手段103は、第1位置制御装置104によってX軸方向に移動させられる。一方、ステージ106は、第2位置制御装置108によってY軸方向に移動させられる。つまり、第1位置制御装置104および第2位置制御装置108によって、ステージ106に対する液滴吐出ヘッドの相対位置が変わる(ステージ106に保持された基板11と、液滴吐出手段103とが相対的に移動する)。
制御手段112は、着色インク21を吐出すべき相対位置を表す吐出データを外部情報処理装置から受け取るように構成されている。
上記のような液滴吐出装置100を用いて、カラーフィルター1が有する複数色の着色膜121に対応する着色インク21を、セル14内に付与する。上記のような装置を用いることにより、セル14内に、効率よくかつ選択的に着色インク21を付与することができる。なお、図示の構成では、液滴吐出装置100は、着色インク21を保持するタンク101、チューブ110等を1色分しか有していないが、これらの部材を、カラーフィルター1が有する複数色の着色部12に対応する複数色分有するものであってもよい。また、カラーフィルター1の製造においては、複数色の着色インク21に対応する複数の液滴吐出装置100を用いてもよい。
また、上述したように、着色部12の構成材料を着色インク21とカラーフィルター用インク22に分けて含有させることにより、着色インク21およびカラーフィルター用インク22の吐出安定性を、いずれも特に優れたものとすることができる。このため、上記のような液滴吐出を行った場合において、各セル14に付与される着色インク21の液滴量の不本意なばらつきが発生することを確実に防止することができる。
なお、液滴吐出ヘッドは、駆動素子として、ピエゾ素子の代わりに静電アクチュエータを用いるものでもよい。また、液滴吐出ヘッドは、駆動素子として電気熱変換素子を用い、この電気熱変換素子による材料の熱膨張を利用して着色インク21を吐出する構成であってもよい。
<着色膜形成工程>
次に、セル14内の着色インク21から、分散媒を除去する(1e)。このように、着色インク21から分散媒を除去することにより、着色インク21の流動性を失わせ、着色膜121を形成することができる。そして、本工程において分散媒が除去されて着色膜121が形成されると、引き続くカラーフィルター用インク付与工程においてカラーフィルター用インク(樹脂膜形成用インク)22を付与した際にも、着色インク21の構成材料が、付与されたカラーフィルター用インク22中に拡散してしまうことが確実に防止される。その結果、着色膜121と樹脂膜122とを有する構成の着色部12を形成することができ、上述したような効果が発揮される。
分散媒の除去は、通常、加熱により行う。
本工程は、230℃以上の温度で、30分以上の加熱処理を行うものであるのが好ましい。これにより、形成される着色部12内に気泡が含まれることをより確実に防止することができ、結果として、カラーフィルター1を用いた表示画像のコントラスト等をより確実に優れたものとすることができる。また、本工程において、分散媒が確実に除去され、カラーフィルター用インク22中への成分の溶出が生じにくい着色膜121をより確実に形成することができる。また、基板11等への悪影響の発生を確実に防止することができる。
また、本工程においては、着色インク21が付与された基板11を減圧環境下においてもよい。これにより、基板11等への悪影響の発生を防止しつつ、分散媒の除去を効率よく行うことができる。特に、着色インク21が付与された基板11を減圧環境下において本工程を行うことにより、本工程での処理温度を比較的低いものとすることができ、有機物の分解等を効果的に防止しつつ、分散媒を確実に除去することができる。
また、本工程においては、紫外線や電子線、もしくは放射線等のエネルギー照射を行ってもよい。
<カラーフィルター用インク付与工程>
次に、セル14内にカラーフィルター用インク(樹脂膜形成用インク)22を付与する(1f)。
上述したように、セル14内の着色インク21からは分散媒が除去され、着色膜121が形成されている。このため、着色インク21が付与されたセル14(着色膜121が形成されたセル14)内にカラーフィルター用インク22を付与した際に、着色インク21の成分とカラーフィルター用インク22の成分とが混ざり合ってしまうことが防止され、着色膜121と樹脂膜122との積層構造をなす着色部12を確実に形成することができる。また、上述したように、カラーフィルター用インク22がシリカを含むものであるとともに、着色部12の構成成分の一部(顔料等)を着色インク21中に含むものとしているため、カラーフィルター用インク22の液滴の吐出安定性を優れたものとすることができる。その結果、所望量のカラーフィルター用インク22を目的の位置に、確実に着弾させることができるため、最終的なカラーフィルター1での各着色部12の不本意な厚さのばらつきを防止することができる。また、インクジェット法による高速描画が可能となるため、全体としての、カラーフィルター1の生産性を特に優れたものとすることができる。
カラーフィルター用インク22のセル14内への付与は、インクジェット方式の液滴吐出装置により行われるものであり、上記のような液滴吐出装置100を用い、着色インク21と同様の方法で行うことができる。
また、カラーフィルター用インク22は、複数の着色インク21が付与されるセルのうち、複数の着色インク21のうち最も固形分の少ない着色インク21が付与されたセルに対し最も多く付与されることが好ましい。これにより、容易かつ確実に着色部12の厚さを調整することができ、着色部12の厚さが特に均一なカラーフィルターを製造することができる。このため、得られるカラーフィルター1は、各部位の濃度むら、色むらが特に抑制されたものとなる。また、後述するような画像表示装置にこのようなカラーフィルター1を用いた際に、着色部12および隔壁13の基板11に対向する面とは反対の面側に設けられる共通電極が、各着色部12と隔壁13との段差によって、断線するなどの不具合が発生するのを確実に防止することができる。
また、特に、複数種の着色インク21が付与されたセル14で、付与された着色インク21の固形分が少ないセル14ほど、カラーフィルター用インク22は、多く付与されることが好ましい。これにより、形成される着色部12の厚さを特に均一にすることができる。
<樹脂膜形成工程>
次に、セル14内のカラーフィルター用インク22から、溶媒を除去し、樹脂膜122を形成し、着色膜121と樹脂膜122とを備えた着色部12を得る(1g)。これにより、カラーフィルター1が得られる。
ここで、カラーフィルター用インク22は、樹脂材料とともにシリカを含むものであるため、形成される着色部12(樹脂膜122)は、表面の平坦性が高く、均一な厚さを有するものとなる。その結果、製造されるカラーフィルター1の各部位での色むら、濃度むら等の発生を十分に防止することができ、個体間での特性の均一性を優れたものとすることができる。
また、顔料を含む材料で構成された着色膜121の表面を、樹脂膜122で被覆することにより、カラーフィルター1の耐溶剤性、カラーフィルター1を備えた液晶表示装置の液晶層の電圧保持率等を特に優れたものとすることができる。また、各着色部12の厚さの均一性が特に高いカラーフィルター1を得ることができる。
溶媒の除去は、例えば、加熱により行うことができる。
溶媒の除去を加熱により行う場合、基板11の温度は、例えば、60℃以上260℃以下であることが好ましく180℃以上250℃以下であることがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インク22から効率よく溶媒を除去することができる。また、基板11等への悪影響の発生を確実に防止することができる。また、カラーフィルター用インクに含まれる樹脂材料(重合体X、重合体Y等)の硬化反応を確実に進行させることができ、製造されるカラーフィルター1の信頼性、耐久性を特に優れたものとすることができる。
また、本工程においては、カラーフィルター用インク22が付与された基板11を減圧環境下においてもよい。これにより、基板11等への悪影響の発生を防止しつつ、溶媒の除去を効率よく行うことができる。
また、本工程においては、紫外線や電子線、もしくは放射線等のエネルギー照射を行ってもよい。
《画像表示装置》
次に、カラーフィルター1を有する画像表示装置(電気光学装置)である液晶表示装置の好適な実施形態について説明する。
図4は、液晶表示装置の好適な実施形態を示す断面図である。同図に示すように、液晶表示装置60は、カラーフィルター1と、カラーフィルター1の着色部12が設けられた面側に配された基板(対向基板)66と、カラーフィルター1と基板66との間の空隙に封入された液晶よりなる液晶層62と、カラーフィルター1の基板11の液晶層62に対向する面とは反対の面側(図4中下側)に設けられた偏光板67と、基板66の液晶層62に対向する面とは反対の面側(図4中上側)に設けられた偏光板68とを有している。そして、カラーフィルター1の着色部12および隔壁13が設けられた面(着色部12および隔壁13の基板11に対向する面とは反対の面)には、共通電極61が設けられており、基板(対向基板)66の液晶層62、カラーフィルター1に対向する面には、カラーフィルター1の各着色部12に対応する位置に、マトリクス状に、画素電極65が配されている。さらに、共通電極61と液晶層62との間には配向膜64が設けられ、基板66(画素電極65)と液晶層62との間には配向膜63が設けられている。
基板66は、可視光に対して光透過性を有する基板であり、例えば、ガラス基板である。
共通電極61、画素電極65は、可視光に対して光透過性を有する材料で構成されたものであり、例えば、ITO等で構成されている。
このように、カラーフィルター1を備えた液晶表示装置60では、カラーフィルター1を構成する各着色部12が均一な厚さを有するものである。このようなカラーフィルター1を備えた液晶表示装置60では、各着色部12と隔壁13との高さの差(段差)が、カラーフィルター1全体において均一である。したがって、共通電極61は断線しにくいものとなっており、液晶表示装置60は、確実かつ適正に画像表示を行うことできる。また、液晶表示装置60に熱や外部からの衝撃が加わった際にも、カラーフィルター1の液晶層62側に配された共通電極61が断線するなどの不具合が発生するのを確実に防止することができ、液晶表示装置60の耐久性は優れたものとなる。また、液晶表示装置60のカラーフィルター1は、隔壁13上において基板11全面を覆うような平坦化膜を有しておらず、このため、目的とする着色部のみに確実に光を照射できるものとなる。この結果、液晶表示装置は、色再現範囲を広いものとすることができ、形状、色調等が鮮明な画像を適正に表示できるものとなる。
また、図中省略しているが、各画素電極65に対応するように、複数のスイッチング素子(例えば、TFT:薄膜トランジスター)が設けられている。そして、各着色部12に対応する各画素電極65について、共通電極61との間での電圧の印加状態を制御することにより、各着色部12(各画素電極65)に対応する領域での、光の透過性を制御することができる。
液晶表示装置60では、図示しないバックライトから発せられた光が、偏光板68側(図4中上側)から入射するようになっている。そして、液晶層62を透過し、カラーフィルター1の各着色部12(12A、12B、12C)に入射した光は、各着色部12(12A、12B、12C)に対応する色の光として、偏光板67(図4中下側)から出射する。
液晶表示装置60は、上述したような本発明のカラーフィルター用インクを用いて製造されたカラーフィルター1を備えるものであるため、色むら、濃度むら等の発生が防止され、明度およびコントラスト比に優れた画像を、長期間にわたって安定的に表示することができる。
《電子機器》
前述したようなカラーフィルター1を有する液晶表示装置等の画像表示装置(電気光学装置)1000は、各種電子機器の表示部に用いることができる。
図5は、本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。
この図において、パーソナルコンピューター1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このパーソナルコンピューター1100においては、表示ユニット1106が画像表示装置1000を備えている。
図6は、本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。
この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206とともに、画像表示装置1000を表示部に備えている。
図7は、本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
ディジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、画像表示装置1000が表示部に設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、被写体を電子画像として表示するファインダーとして機能する。
ケースの内部には、回路基板1308が設置されている。この回路基板1308は、撮像信号を格納(記憶)し得るメモリーが設置されている。
また、ケース1302の正面側(図示の構成では裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部に表示された被写体像を確認し、シャッターボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、回路基板1308のメモリーに転送・格納される。
また、このディジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示のように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニター1430が、データ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピューター1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、回路基板1308のメモリーに格納された撮像信号が、テレビモニター1430や、パーソナルコンピューター1440に出力される構成になっている。
なお、本発明の電子機器は、上述したパーソナルコンピューター(モバイル型パーソナルコンピューター)、携帯電話機、ディジタルスチルカメラの他にも、例えば、テレビ(例えば、液晶テレビ)や、ビデオカメラ、ビューファインダー型、モニター直視型のビデオテープレコーダー、ラップトップ型パーソナルコンピューター、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、タッチパネルを備えた機器(例えば金融機関のキャッシュディスペンサー、自動券売機)、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電表示装置、超音波診断装置、内視鏡用表示装置)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレータ、その他各種モニター類、プロジェクター等の投射型表示装置等に適用することができる。中でも、テレビは、近年の表示部の大型化の傾向が顕著であるが、このような大型の表示部(例えば、対角線長80cm以上の表示部)を有する電子機器では、色むら、濃度むらが目立ちやすいという傾向を有しているが、本発明を適用すれば、このような問題の発生を確実に防止することができる。すなわち、上記のような大型の表示部を有する電子機器に適用した場合に、本発明の効果は、より顕著に発揮される。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、前述した実施形態においては、各色の着色部に対応する着色インクを、セル内に付与した後に、一括で、セル内の着色インクから分散媒を除去するもの、すなわち、着色膜形成工程を1回のみ行うものとして説明したが、着色インク付与工程、着色膜形成工程は、各色に対応して、繰り返し行うものであってもよい。
また、例えば、着色インク付与工程およびカラーフィルター用インク付与工程は、それぞれ、複数回行われるものであってもよい。
また、カラーフィルター、画像表示装置、電子機器を構成する各部は、同様の機能を発揮する任意のものと置換、または、その他の構成を追加することもできる。
また、前述した実施形態では、光の三原色に対応する3種(3色)の着色インクおよび1種のカラーフィルター用インクを着色部形成用のインクとして用いる場合について中心的に説明したが、カラーフィルターの着色部の形成に用いる着色インクおよびカラーフィルター用インクの数、種類(色)は、上述したものに限定されない。例えば、カラーフィルターの製造(着色部の形成)には、4種以上の着色インクを用いてもよいし、2種以上のカラーフィルター用インク(樹脂膜形成用インク)を用いてもよい。また、例えば、複数種の着色インクにそれぞれ対応するように、複数種のカラーフィルター用インク毎に組成が異なるものであってもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
[1]重合体の合成
(合成例1)
攪拌機、還流冷却機、滴下漏斗、窒素導入管および温度計を備えた反応容器(フラスコ)に、溶媒(溶剤)としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:314重量部を入れて、90℃に加熱した。続いて、ラジカル開始剤としての2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN):20重量部、および、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(溶媒):30重量部を加えた後、該フラスコ内に、上記式(11)で表される単量体成分(化合物)x1:180重量部、上記式(12)で表される単量体成分(化合物)x2:90重量部、上記式(13)で表される単量体成分(化合物)x3:15重量部、上記式(14)で表される単量体成分(化合物)x4:15重量部、2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN):50重量部をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:200重量部に溶解させた溶液を滴下ポンプを用いて5時間かけて滴下し、さらに4時間熟成させた。その後、室温まで冷却して、単量体成分x1、x2、x3、x4を含み上記式(19)で表される重合体Xとしての重合体X1を得た。
(合成例2〜8)
重合体の合成に用いる溶媒(溶剤)の種類、各成分の比率を調整し、重合体の組成を表1に示すように変更した以外は、前記合成例1と同様の操作を行った。その結果、7種の重合体X(重合体X2〜X8)が得られた。
(合成例9)
攪拌機、還流冷却機、滴下漏斗、窒素導入管および温度計を備えた反応容器(フラスコ)に、溶媒(溶剤)としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:314重量部を入れて、90℃に加熱した。続いて、ラジカル開始剤としての2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN):20重量部、および、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(溶媒):30重量部を加えた後、該フラスコ内に、上記式(15)で表される単量体成分(化合物)y1:200重量部、上記式(16)で表される単量体成分(化合物)y2:100重量部、2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN):50重量部をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:200重量部に溶解させた溶液を滴下ポンプを用いて5時間かけて滴下し、さらに4時間熟成させた。その後、室温まで冷却して、単量体成分y1、y2を含み上記式(20)で表される重合体Yとしての重合体Y1を得た。
(合成例10、11)
重合体の合成に用いる溶媒(溶剤)の種類、各成分の比率を調整し、重合体の組成を表1に示すように変更した以外は、前記合成例9と同様の操作を行った。その結果、2種の重合体Y(重合体Y2、Y3)が得られた。
(合成例12)
攪拌機、還流冷却機、滴下漏斗、窒素導入管および温度計を備えた反応容器(フラスコ)に、溶媒(溶剤)としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:100重量部を入れて、80℃に加熱した。続いて、該フラスコ内に、単量体成分m1としてのメタクリル酸2−[O−(1′−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ]エチル(=2−(1−メチルプロピリデンアミノオキシカルボニルアミノエチル)メタクリレート):60重量部、単量体成分m2としてのメタクリル酸:20重量部、単量体成分m3としてのステアリルメタクリレート:20重量部をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:30重量部に溶解させた溶液を滴下ポンプを用いて4時間かけてフラスコ内に滴下した。一方、ラジカル開始剤(重合開始剤)としてのアゾビスジメチルバレロニトリル:5重量部をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:90重量部に溶解させた溶液を、別の滴下ポンプを用いて4時間かけてフラスコ内に滴下した。重合開始剤の滴下が終了した後、4時間同温度に保持(熟成)し、その後、室温まで冷却して、単量体成分m1、m2、m3を含み上記式(8)で表される重合体Mとしての重合体M1を得た。
(合成例13〜19)
重合体の合成に用いる溶媒(溶剤)および単量体成分の種類、各成分の比率を調整し、重合体の組成を表1に示すように変更した以外は、前記合成例12と同様の操作を行った。その結果、7種の重合体M(重合体M2〜M8)が得られた。
(合成例20〜22)
重合体の合成に用いる単量体成分の種類、各成分の比率を調整し、重合体の組成を表1に示すように変更した以外は、前記合成例1と同様の操作を行った。その結果、3種の重合体X’(重合体X’1〜X’3)が得られた。
(合成例23)
重合体の合成に用いる単量体成分の種類、各成分の比率を調整し、重合体の組成を表1に示すように変更した以外は、前記合成例9と同様の操作を行った。その結果、重合体Y’1が得られた。
表1には、合成例1〜23で合成した各重合体を構成する各単量体成分の比率、各重合体の重量平均分子量Mwをまとめて示した。表中、メタクリル酸2−[O−(1′−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ]エチル(=2−(1−メチルプロピリデンアミノオキシカルボニルアミノエチル)メタクリレート)を「m1a」で示し、メタクリル酸2−(3,5−ジメチルピラゾール−1−イル)カルボニルアミノエチルを「m1b」で示し、アクリル酸2−(3,5−ジメチルピラゾール−1−イル)カルボニルアミノエチルを「m1c」で示し、メタクリル酸を「m2a」で示し、アクリル酸を「m2b」で示し、ステアリルメタクリレートを「m3a」で示し、ベヘニルメタクリレートを「m3b」で示し、パルミチルアクリレートを「m3c」で示し、リグノセリルメタクリレートを「m3d」で示し、メタクリル酸メチルを「m4a」で示し、アクリル酸エチルを「m4b」で示し、アクリル酸ペンチルを「m4c」で示し、スチレンを「m5」で示し、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを「m6」で示し、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−9−イルアクリレートと3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルアクリレートの混合物を「m7」で示した。なお、上記のようにして合成した重合体は、いずれも、分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が1以上3以下の範囲内であった。
Figure 2012063489
[2]カラーフィルター用インクの調製
(実施例1)
重合体X1と、重合体Y1と、気相法を用いて製造され疎水性シランカップリング剤により疎水化処理が施されたシリカ(平均一次粒径:40nm、比表面積比:200m/cm、円形度Rの平均値:0.98)と、LHP−95(楠本化成社製)と、溶媒としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートおよびメトキシブチルアセテートとを混合することにより、カラーフィルター用インク(樹脂膜形成用インク)を得た。
(実施例2〜13)
カラーフィルター用インクの調製に用いる材料の種類・使用量を表2に示すようにした以外は、前記実施例1と同様にしてカラーフィルター用インクを調製した。
(比較例1)
カラーフィルター用インクの調製に用いる材料の種類・使用量を表2に示すようにした以外は、前記実施例1と同様にしてカラーフィルター用インクを調製した。
(比較例2)
顔料(C.I.ピグメントグリーン58の粉末と、下記式(34)で示される化学構造を有するスルホン化顔料誘導体(副顔料)の粉末との混合物)と、重合体M1と、重合体X1と、重合体Y1と、気相法を用いて製造され疎水性シランカップリング剤により疎水化処理が施されたシリカ(平均一次粒径:40nm、比表面積比:200m/cm、円形度Rの平均値:0.98)と、分散剤としてのディスパービック166と、LHP−95(楠本化成社製)と、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートおよびメトキシブチルアセテートとを混合することにより、緑色のインク(Gインク)を調製した。
Figure 2012063489
また、顔料としてのC.I.ピグメントグリーン58の粉末の代わりに、C.I.ピグメントレッド177と式(30)で表される顔料誘導体との混合物(粉末)、および、C.I.ピグメントレッド254と式(31)で表される顔料誘導体との混合物(粉末)を用い、各成分の使用量を変更した以外は、前記緑色の着色インクと同様にして、赤色のカラーフィルター用インク(Rインク)を調製した。
また、顔料としてのC.I.ピグメントグリーン58の粉末、式(34)で示される化学構造を有するスルホン化顔料誘導体(副顔料)の粉末の代わりに、C.I.ピグメントブルー15:6の粉末、および、C.I.ピグメントバイオレット23の粉末を用い、各成分の使用量を変更した以外は、前記緑色の着色インクと同様にして、青色のカラーフィルター用インク(Bインク)を調製した。
このようにして、3種のカラーフィルター用インクからなるカラーフィルター用インクセットを得た。
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクの構成成分の種類、含有量を表2にまとめて示した。なお、表中、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを「L1」、1,3−ブチレングリコールジアセテートを「L2」、2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチルアセテートを「L3」、トリエチレングリコールモノノルマルブチルエーテルを「L4」、メトキシブチルアセテートを「L5」、ジプロピレングリコールジメチルエーテルを「L6」、レベリング剤としてのLHP−95(楠本化成社製)を「LHP95」、C.I.ピグメントグリーン58を「PG58」、式(34)で表される顔料誘導体(分子内のスルホ基が1個)で構成された粉末を「SPD1」、C.I.ピグメントレッド177と式(30)で表される顔料誘導体との混合物を「PR177D」、C.I.ピグメントレッド254と式(31)で表される顔料誘導体との混合物を「PR254D」、C.I.ピグメントブルー15:6を「PB15:6」、C.I.ピグメントバイオレット23を「PV23」、ディスパービック166を「DA1」で示した。
また、振動式粘度計を用いて、JIS Z8809に準拠して測定された前記各実施例のカラーフィルター用インクの25℃における粘度は、いずれも、3.0mPa・s以上7.0mPa・s以下の範囲内の値であった。
Figure 2012063489
[3]液滴吐出の安定性評価(吐出安定性評価)
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクについて、下記に示すような試験による評価を行った。
[3.1]着弾位置精度評価
チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した図3に示すような液滴吐出装置および前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクを用意し、ピエゾ素子の振動数を5kHzとし、その駆動波形を最適化した状態で、各インクについて、液滴吐出ヘッドの各ノズルから、4000000発(4000000滴)の液滴の連続吐出を行った。液滴吐出ヘッドの中央部付近の指定したノズルから吐出された4000000発の液滴について、着弾した各液滴の中心位置の中心狙い位置からのズレ量dの平均値を求め、以下の5段階の基準に従い、評価した。この値が小さいほど飛行曲がりの発生が効果的に防止されていると言える。
A:ズレ量dの平均値が0.05μm未満。
B:ズレ量dの平均値が0.05μm以上0.10μm未満。
C:ズレ量dの平均値が0.10μm以上0.13μm未満。
D:ズレ量dの平均値が0.13μm以上0.16μm未満。
E:ズレ量dの平均値が0.16μm以上。
[3.2]液滴吐出量の安定性評価
チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した図3に示すような液滴吐出装置および前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクを用意し、ピエゾ素子の振動数を5kHzとし、その駆動波形を最適化した状態で、各インクについて、液滴吐出ヘッドの各ノズルから、5000000発(5000000滴)の液滴の連続吐出を行った。液滴吐出ヘッドの左右両端の指定の2つのノズルについて、吐出された液滴の総重量を求め、上記2つのノズルから吐出された液滴の平均吐出量の差の絶対値ΔW[ng]を求めた。このΔWの、液滴の目標吐出量W[ng]に対する比率(ΔW/W)を求め、以下の5段階の基準に従い、評価した。ΔW/Wの値が小さいほど、液滴吐出量の安定性に優れていると言える。
A:ΔW/Wの値が、0.050未満。
B:ΔW/Wの値が、0.050以上0.250未満。
C:ΔW/Wの値が、0.250以上0.550未満。
D:ΔW/Wの値が、0.550以上0.780未満。
E:ΔW/Wの値が、0.780以上。
[3.3]間欠印字性能評価
チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した図3に示すような液滴吐出装置および前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクを用意し、ピエゾ素子の振動数を5kHzとし、その駆動波形を最適化した状態で、各インクについて、液滴吐出ヘッドの各ノズルから、20000発(20000滴)の液滴の連続吐出を行い、その後、300秒間、液滴の吐出を中断した(1シーケンス目)。その後、同様に、液滴の連続吐出、および、滴々の吐出の中断の操作を繰り返し行った。液滴吐出ヘッドの中央部付近の指定したノズルについて、1シーケンス目に吐出された液滴の平均重量W[ng]と、300シーケンス目に吐出された液滴の平均重量W300[ng]とを求めた。そして、WとW300との差の絶対値の、液滴の目標吐出量W[ng]に対する比率(|W−W300|/W)を求め、以下の5段階の基準に従い、評価した。|W−W300|/Wの値が小さいほど、間欠印字性能(液滴吐出量の安定性)に優れていると言える。
A:|W−W300|/Wの値が、0.040未満。
B:|W−W300|/Wの値が、0.040以上0.100未満。
C:|W−W300|/Wの値が、0.100以上0.400未満。
D:|W−W300|/Wの値が、0.400以上0.650未満。
E:|W−W300|/Wの値が、0.650以上。
[3.4]連続吐出試験
チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した図3に示すような液滴吐出装置、前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクを用いて、25℃、45%RHの環境下で、液滴吐出装置を750時間、連続で運転させることにより、各カラーフィルター用インクの吐出を行った。
連続運転後における、液滴吐出ヘッドを構成するノズルの目詰まりの発生率([(目詰まりノズル数)/(全ノズル数)]×100)を求め、ノズルの目詰まりが発生しているものについては、可塑材料で構成されたクリーニング部材により、目詰まりの解消が可能であるか否かを調べた。その結果を、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:ノズルの目詰まりの発生がない。
B:ノズルの目詰まりの発生率が0.4%未満(ただし、ゼロを除く)であり、かつ、クリーニングによる目詰まりの解消が可能。
C:ノズルの目詰まりの発生率が0.4%以上0.8%未満であり、かつ、クリーニングによる目詰まりの解消が可能。
D:ノズルの目詰まりの発生率が0.8%以上1.1%未満であり、かつ、クリーニングによる目詰まりの解消が可能。
E:ノズルの目詰まりの発生率が1.1%以上、または、クリーニングによる目詰まりの解消が不可能。
なお、上記の評価は、各実施例および各比較例について、同様の条件で行った。
[4]カラーフィルター用インクの保存安定性評価(長期安定性評価)
[4.1]Mw/Mnの変化率
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクについて、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)により、調製直後の状態(加熱前)、および、50℃の環境下に10日間放置した後の状態(加熱後)での、MwおよびMnを求め、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:加熱前後でのMw/Mnの変化率が5%未満。
B:加熱前後でのMw/Mnの変化率が5%以上10%未満。
C:加熱前後でのMw/Mnの変化率が10%以上15%未満。
D:加熱前後でのMw/Mnの変化率が15%以上20%未満。
E:加熱前後でのMw/Mnの変化率が20%以上。
[4.2]固形分の凝集・沈降
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクについて、50℃の環境下に、10日間放置した後、目視による観察を行い、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:加熱前からの変化が全く認められない。
B:固形分の凝集・沈降がほとんど認められない。
C:固形分の凝集・沈降がわずかに認められる。
D:固形分の凝集・沈降がはっきりと認められる。
E:固形分の凝集・沈降が顕著に認められる。
[5]カラーフィルターの製造
前記各実施例および各比較例について、それぞれ上記のカラーフィルター用インクを用いて、それぞれ8000枚のカラーフィルターを製造した。
前記各実施例および比較例1については、以下に示す[5.1]〜[5.8]に示す各工程を経て、それぞれ8000枚のカラーフィルターを製造した。
[5.1]着色インクの調製
カラーフィルターの製造に先立ち、着色膜形成用の着色インクを以下のようにして調製した。
まず、分散剤としてのディスパービック166と、重合体M1と、重合体M1を溶解する溶媒(着色インクにおける分散媒の構成成分)として機能するジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートとを、攪拌機(一軸ミキサー)に投入し、ディスパーミルで10分間攪拌することにより、重合体M1が溶媒に溶解した重合体M溶液を得た(重合体M溶液調製工程)。このとき、攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。
次に、以下に述べるようにして、重合体M溶液調製工程で得られた重合体M溶液に、顔料を添加し、攪拌機(ビーズミル)を用いて、無機ビーズを多段で添加して微分散処理を行う微分散工程を施した。
まず、得られた重合体M溶液に、顔料を添加し、10分間攪拌を行った。このとき、ビーズミル(攪拌機)が有する攪拌翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。また、顔料としては、C.I.ピグメントグリーン58の粉末と、上記式(34)で示される化学構造を有するスルホン化顔料誘導体(副顔料)の粉末との混合物を用いた。また、このとき、重合体M溶液と顔料との混合物中における顔料の含有率が16wt%となるように、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートで希釈した。
次に、平均粒径0.8mmの無機ビーズ(第1の無機ビーズ、ジルコニア製、「Toray ceram 粉砕ボール」(商品名)、東レ株式会社製)を添加して、室温下、30分間攪拌し1段目の分散処理(第1の処理)を行った。このとき、ビーズミル(攪拌機)が有する攪拌翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。
次に、フィルター(「PALL HDCII Membrane Filter」、PALL社製)を用いたろ過により、無機ビーズ(第1の無機ビーズ)を除去し、その後、平均粒径0.1mmの無機ビーズ(第2の無機ビーズ、ジルコニア製、「Toray ceram 粉砕ボール」(商品名)、東レ株式会社製)を添加し、更に30分間攪拌し第2段目の分散処理(第2の処理)を行った。このとき、ビーズミル(攪拌機)が有する攪拌翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。また、このとき、得られる顔料分散体中における顔料の含有率が13wt%となるように、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートで希釈した。
その後、フィルター(「PALL HDCII Membrane Filter」(商品名)、PALL社製)を用いたろ過により、無機ビーズ(第2の無機ビーズ)を除去し、顔料分散体を得た。
次に、希釈用の分散媒としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノノルマルブチルエーテルを加え、混合した(希釈工程)。本工程は、上記の各材料を内容量400ccの攪拌機(一軸ミキサー)に投入し、ディスパーミルで10分間攪拌することにより行った。このとき、攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。これにより、目的とする緑色の着色インク(Gインク)を得た。
また、顔料としてのC.I.ピグメントグリーン58の粉末の代わりに、C.I.ピグメントレッド177と式(30)で表される顔料誘導体との混合物(粉末)、および、C.I.ピグメントレッド254と式(31)で表される顔料誘導体との混合物(粉末)を用い、各成分の使用量を変更した以外は、前記緑色の着色インクと同様にして、赤色の着色インク(Rインク)を調製した。
また、顔料としてのC.I.ピグメントグリーン58の粉末、式(34)で示される化学構造を有するスルホン化顔料誘導体(副顔料)の粉末の代わりに、C.I.ピグメントブルー15:6の粉末、および、C.I.ピグメントバイオレット23の粉末を用い、各成分の使用量を変更した以外は、前記緑色の着色インクと同様にして、青色の着色インク(Bインク)を調製した。
[5.2]基板準備工程
両面にナトリウムイオンの溶出を防止するシリカ(SiO)膜が形成されたソーダガラス製の基板(G5サイズ:1100×1300mm)を用意し、洗浄処理を施した。
次に、カーボンブラックを含む隔壁形成用の感放射線性組成物を、洗浄済の基板の一方の面の全体に付与し、塗膜を形成した。
次に、加熱温度:110℃、加熱時間:120秒という条件でプリベーク処理を行った。
[5.3]隔壁形成工程
その後、フォトマスクを介して、放射線を照射して、ポストエキスポジャーベーク処理(PEB)を行い、引き続き、CFとHeガスとを1:9(体積比)で混合したガスを導入した大気圧プラズマ重合装置で、出力800W、プラズマ発生装置からテーブルまでの距離:0.5mm、処理テーブル速度:10m/sという条件で、プリベーク処理、ポストエキスポジャーベーク処理の施された塗膜の表面だけにフッ素をドーピングした。その後、アルカリ現像液を用いた現像処理を行い、さらに、ポストベーク処理を行うことにより、隔壁を形成した。PEBは、加熱温度:110℃、加熱時間:120秒、放射線照射強度:150mJ/cmという条件で行った。また、現像処理は、例えば、振動浸漬法により行った。現像処理時間は、60秒とした。また、ポストベーク処理は、加熱温度:140℃、加熱時間:10分という条件で行った。形成された隔壁の厚さは、2.0μmであった。
[5.4]着色インク付与工程
次に、図3に示すような液滴吐出装置を用いて、隔壁で囲まれた領域としてのセル内に、着色インクを吐出した。この際、3色の着色インクを用い、各色の着色インクが混色しないようにした。また、着色インクの吐出は、液滴吐出装置のピエゾ素子の振動数を5kHzとし、その駆動波形を最適化した上で行った。
[5.5]着色膜形成工程
その後、ホットプレート上にて230℃で60分間の加熱処理を施すことにより、分散媒を除去し、3色(赤色(R)、緑色(G)、青色(B))の着色膜を形成した。
[5.6]カラーフィルター用インク付与工程
その後、図3に示すような液滴吐出装置を用いて、着色インクが吐出されたセル内(着色膜が形成されたセル内)に、カラーフィルター用インクを吐出した。この際、各セル内には、形成される着色部(着色部と樹脂膜との積層体)の平均厚さが2.0μmとなるような量のカラーフィルター用インクを付与した。カラーフィルター用インクの吐出は、液滴吐出装置のピエゾ素子の振動数を5kHzとし、その駆動波形を最適化した上で行った。
[5.7]樹脂膜形成工程
その後、ホットプレート上にて110℃で60分間の加熱処理を施し、さらに210℃のオーブン内で15分間の加熱処理を施すことにより、それぞれ着色膜と樹脂膜とからなる3色の着色部が形成された。
[5.8]洗浄工程
その後、N−メチル−2−ピロリドンおよびγ−ブチロラクトンを用いた洗浄を行い、図1に示すようなカラーフィルターが得られた。
前記比較例2については、上記の[5.1]、[5.4]および[5.5]を省略し、[5.6]でのインク(顔料と、樹脂材料としての重合体Xおよび重合体Yと、シリカとを含むインク)の付与量を、当該インク中の固形分により形成される着色部の厚さが2.0μmとなるように変更した以外は、前記実施例と同様にして、8000枚のカラーフィルターを製造した。
また、前記各実施例および各比較例について、それぞれ、顔料を含むインクとして1種のみを用いて、全てのセルに同色の着色部(前記各実施例および比較例1では、積層構造を有する着色部、前記比較例2では積層構造を有さない着色部)が形成されるようにした以外は、上記と同様の方法を用いることにより、着色部として緑色の着色部のみを備えた緑色単色カラーフィルター、着色部として赤色の着色部のみを備えた赤色単色カラーフィルター、着色部として青色の着色部のみを備えた青色単色カラーフィルターを製造した。
[6]カラーフィルターの評価
上記のようにして得られた各カラーフィルターを用いて、以下のような評価を行った。
[6.1]着色部の平坦性
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクを用いて製造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、7000枚目に製造されたカラーフィルターを用意した。
これらのカラーフィルターについて、触針式粗さ計(Tencor社製、P−15)を用いて、着色部の最大高さと最小高さとの差ΔDを求め、以下の6段階の基準に従い、評価した。
A:ΔDが0.12μm未満。
B:ΔDが0.12μm以上0.20μm未満。
C:ΔDが0.20μm以上0.40μm未満。
D:ΔDが0.40μm以上0.70μm未満。
E:ΔDが0.70μm以上1.00μm未満。
F:ΔDが1.00μm以上。
[6.2]コントラスト比の評価
前記各実施例および各比較例について、上記のようにして製造した3種の単色カラーフィルター(緑色単色カラーフィルター、赤色単色カラーフィルター、青色単色カラーフィルター)に関して、コントラストテスター(壺坂電機社製、CT−1)を用いて、コントラスト比(CR)を求め、下記のようにして評価を行った。
赤色単色カラーフィルターについては、x=0.651のときのCRを、以下の6段階の基準に従い、評価した。
A:CRが3200以上。
B:CRが2800以上3200未満。
C:CRが2500以上2800未満。
D:CRが2200以上2500未満。
E:CRが2000以上2200未満。
F:CRが2000未満。
緑色単色カラーフィルターについては、y=0.600のときのCRを、以下の6段階の基準に従い、評価した。
A:CRが4100以上。
B:CRが3900以上4100未満。
C:CRが3700以上3900未満。
D:CRが3400以上3700未満。
E:CRが3100以上3400未満。
F:CRが3100未満。
青色単色カラーフィルターについては、y=0.141のときのCRを、以下の6段階の基準に従い、評価した。
A:CRが3400以上。
B:CRが3100以上3400未満。
C:CRが2900以上3100未満。
D:CRが2700以上2900未満。
E:CRが2500以上2700未満。
F:CRが2500未満。
[6.3]明度の評価
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクを用いて製造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、8000枚目に製造されたカラーフィルターを用いて、同条件で図4に示すような液晶表示装置を製造した。これらの液晶表示装置について、下記に示すような評価を行った。液晶表示装置について、各色の単色表示を行い、色度計(ミノルタ社製、CM−3700d、光源としてC光源使用)を用いて、xyY表色法による三刺激値を求め、下記のようにして評価を行った。
すなわち、赤色の単色表示については、x=0.651の時のY値を、以下の6段階の基準に従い、評価した。
A:明度Yが21.6以上。
B:明度Yが21.2以上21.6未満。
C:明度Yが20.8以上21.2未満。
D:明度Yが20.4以上20.8未満。
E:明度Yが18.9以上20.4未満。
F:明度Yが18.9未満。
また、緑色の単色表示については、y=0.600の時のY値を、以下の6段階の基準に従い、評価した。
A:明度Yが57.6以上。
B:明度Yが56.2以上57.6未満。
C:明度Yが54.4以上56.2未満。
D:明度Yが53.3以上54.4未満。
E:明度Yが51.6以上53.3未満。
F:明度Yが51.6未満。
また、青色の単色表示については、y=0.141の時のY値を、以下の6段階の基準に従い、評価した。
A:明度Yが12.1以上。
B:明度Yが11.7以上12.1未満。
C:明度Yが11.3以上11.7未満。
D:明度Yが10.9以上11.3未満。
E:明度Yが10.4以上10.9未満。
F:明度Yが10.4未満。
[6.4]色むら、濃度むら
前記[6.3]で製造した前記各実施例および各比較例の液晶表示装置について、暗室で、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示、白色の単色表示を行った状態で目視による観察を行い、各部位での色むら、濃度むらの発生状況を、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:色むら、濃度むらが全く認められない。
B:色むら、濃度むらがほとんど認められない。
C:色むら、濃度むらがわずかに認められる。
D:色むら、濃度むらがはっきりと認められる。
E:色むら、濃度むらが顕著に認められる。
[6.5]液晶層の電圧保持率
前記[6.3]で製造した前記各実施例および各比較例の液晶表示装置を用意し、液晶層に、5Vの電圧を60マイクロ秒の印加時間、16.5ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から16.5ミリ秒後の電圧保持率(VHR)を、液晶用電圧保持率測定システム(マイクロニクス社製、製品名「MZ1800」)を用いて測定し、以下の4段階の基準に従い、評価した。
A:VHRが98%以上。
B:VHRが96%以上98%未満。
C:VHRが91%以上96%未満。
D:VHRが91%未満。
[6.6]すじむらの発生
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクを用いて製造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、6000枚目に製造されたカラーフィルターについて、以下のようにしてすじむら(すじ状のむら)の発生状況を評価した。
[6.6.1]透過すじ
点灯したNaランプ上に、カラーフィルターを載置し、目視による観察を行い、カラーフィルターにすじむら(透過すじ)の発生状況について、以下の4段階の基準に従い、評価した。
A:すじむらが全く認められない。
B:10mm未満の微細なすじがわずかに発生していた。
C:10mm未満の微細なすじがはっきりと確認できる程度に発生していた。
D:10mm未満の微細なすじが顕著に認められる。または、10mm以上のすじ
が発生していた。
[6.6.2]反射すじ
黒色の板上に、カラーフィルターを載置し、カラーフィルターの法線方向から30°傾斜した方向からキセノンランプからの光を照射した状態で、目視による観察を行い、カラーフィルターにすじむら(反射すじ)の発生状況について、以下の4段階の基準に従い、評価した。
A:すじむらが全く認められない。
B:10mm未満の微細なすじがわずかに発生していた。
C:10mm未満の微細なすじがはっきりと確認できる程度に発生していた。
D:10mm未満の微細なすじが顕著に認められる。または、10mm以上のすじ
が発生していた。
[6.7]個体間での特性差
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクを用いて製造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、1〜25枚目、および、7975〜7999枚目に製造されたカラーフィルターを用意し、暗室で、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示、白色の単色表示を行い、分光光度計(大塚電子社製、MCPD3000)を用いて測色した。その結果から、各実施例および各比較例について、それぞれ、1〜25枚目、7975〜7999枚目に製造されたカラーフィルター(合計50枚のカラーフィルター)で最大となる色差(Lab表示系での色差ΔE)を求め、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:色差(ΔE)が1.4未満。
B:色差(ΔE)が1.4以上2.6未満。
C:色差(ΔE)が2.6以上3.5未満。
D:色差(ΔE)が3.5以上4.5未満。
E:色差(ΔE)が4.5以上。
[6.8]ヒートサイクル試験
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクを用いて製造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、7021〜7030枚目に製造されたカラーフィルターを用いて、同条件で図4に示すような液晶表示装置を製造した。
これらの液晶表示装置を用いて、暗室で、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示を行った状態で目視による観察を行い、光漏れ(白抜け、輝点)が発生していないことを確認した。
次に、上記の液晶表示装置からカラーフィルターを取り外した。
取り外した各カラーフィルターを、20℃の環境下に1.5時間、次いで、55℃の環境下に2.5時間、次いで、20℃の環境下に1.5時間、次いで、−20℃の環境下に2.5時間静置した。その後、再び、環境温度を20℃に戻し、これを1サイクル(8時間)とし、このサイクルを合計60回繰り返した(合計480時間)。
その後、これらのカラーフィルターを用いて、再び、図4に示すような液晶表示装置を組み立てた。
これらの液晶表示装置を用いて、暗室で、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示を行った状態で目視による観察を行い、光漏れ(白抜け、輝点)の発生状況を、以下の6段階の基準に従い、評価した。
A:光漏れ(白抜け、輝点)の発生したカラーフィルターはない。
B:1〜2枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
C:3〜4枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
D:5〜7枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
E:8〜9枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
F:10枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
[6.9]耐溶剤性評価
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクを用いて製造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、6001〜6005枚目に製造されたカラーフィルターを用いて、同条件で図4に示すような液晶表示装置を製造した。これらの液晶表示装置について、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示を行い、分光光度計(大塚電子社製、MCPD3000)を用いて測色した。
次に、上記の液晶表示装置からカラーフィルターを取り外した。
取り外した各カラーフィルターを、50℃の溶剤中に60分間浸漬した後、再び、図4に示すような液晶表示装置を組み立てた。
これらの液晶表示装置について、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示を行い、分光光度計(大塚電子社製、MCPD3000)を用いて測色した。
これらの結果から、各実施例および各比較例について、カラーフィルターの溶剤への浸漬前後での色差(Lab表示系での色差ΔE)を求め、以下の4段階の基準に従い、評価した。
A:色差(ΔE)が2.9未満。
B:色差(ΔE)が2.9以上3.2未満。
C:色差(ΔE)が3.2以上3.5未満。
D:色差(ΔE)が3.5以上。
溶剤としては、γ−ブチロラクトン(γ−BL)、イソプロピルアルコール(IPA)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、0.5N塩酸(HCl)、0.5N水酸化ナトリウム水溶液(NaOH)を用いた。
[7]鉛筆硬度の測定
前記各実施例および比較例のカラーフィルター用インクを用いて、スピンコート法により塗膜を形成した。塗膜の厚さは、硬化膜の膜厚が2μmとなるようにした。
次に、上記塗膜に対して、80℃×20分間の加熱処理(第1の加熱処理)を施し、さらにその後240℃×50分間の加熱処理(第2の加熱処理)を施すことにより樹脂材料が硬化した硬化膜を得た。
このようにして得られた硬化膜について、JIS K 5600−5−4に準拠して、鉛筆硬度を測定した。
これらの結果を表3、表4に示す。なお、表中、カラーフィルターの評価については、「R」の欄に赤色着色部または赤色表示についての評価結果、「G」の欄に緑色着色部または緑色表示についての評価結果、「B」の欄に青色着色部または青色表示についての評価結果を示した。
Figure 2012063489
Figure 2012063489
表から明らかなように、本発明では、優れた結果が得られたのに対し、比較例では、満足な結果が得られなかった。また、本発明では、インクの高速描画が可能であり、全体としてのカラーフィルターの生産性を優れたものとすることができたのに対し、比較例では、このような効果が得られなかった。より具体的には、ピエゾ素子の振動数を20kHzと高めたとき、前記各実施例(本発明)のインクでは、いわゆるサテライトや尾引き等の問題を生じることなく、安定的な液滴吐出が可能で、カラーフィルターの製造を行うことができたのに対し、比較例では、上記のような問題の発生がより顕著となり、カラーフィルターの製造に適用することができなかった。
着色膜の形成に用いる着色インクの組成を変更した以外は、上記と同様にしてカラーフィルターを製造し、上記と同様の評価を行ったところ、着色インクとして、上述したような好ましい条件を満足する重合体Mを好ましい含有率で含むものを用いた場合には、特に優れた結果が得られた。
また、市販の液晶テレビを分解し、液晶表示装置部分を、上記のようにして製造したものと交換して、上記と同様の評価を行ったところ、上記と同様な結果が得られた。
1…カラーフィルター 11…基板 12…着色部 12A…第1の着色部 12B…第2の着色部 12C…第3の着色部 13…隔壁 14…セル 21…着色インク(着色膜形成用インク) 22…カラーフィルター用インク(樹脂膜形成用インク) 121…着色膜 122…樹脂膜 3…塗膜 60…液晶表示装置 61…共通電極 62…液晶層 63、64…配向膜 65…画素電極 66…基板(対向基板) 67、68…偏光板 100…液滴吐出装置 101…タンク 102…吐出走査部 103…液滴吐出手段 104…第1位置制御装置(移動手段) 106…ステージ 108…第2位置制御装置(移動手段) 110…チューブ 112…制御手段 1000…画像表示装置 1100…パーソナルコンピューター 1102…キーボード 1104…本体部 1106…表示ユニット 1200…携帯電話機 1202…操作ボタン 1204…受話口 1206…送話口 1300…ディジタルスチルカメラ 1302…ケース(ボディー) 1304…受光ユニット 1306…シャッターボタン 1308…回路基板 1312…ビデオ信号出力端子 1314…データ通信用の入出力端子 1430…テレビモニター 1440…パーソナルコンピューター

Claims (14)

  1. インクジェット方式によるカラーフィルターの製造に用いられるカラーフィルター用インクであって、
    顔料を含む着色膜上に付与されるものであり、
    樹脂材料およびシリカを含有することを特徴とするカラーフィルター用インク。
  2. 前記樹脂材料として、下記式(15)で表される単量体成分y1を含む重合体Yを含む請求項1に記載のカラーフィルター用インク。
    Figure 2012063489
  3. 前記樹脂材料として、下記式(11)で表される単量体成分x1、下記式(13)で表される単量体成分x3、および、下記式(14)で表される単量体成分x4を含む重合体Xを含む請求項1または2に記載のカラーフィルター用インク。
    Figure 2012063489
    Figure 2012063489
    Figure 2012063489
  4. 前記樹脂材料として、下記式(11)で表される単量体成分x1、下記式(13)で表される単量体成分x3、および、下記式(14)で表される単量体成分x4を含む重合体X、および、下記式(15)で表される単量体成分y1を含む重合体Yを含み、
    カラーフィルター用インク中における前記重合体Xの含有率をC[wt%]、前記重合体Yの含有率をC[wt%]としたとき、1.0≦C/C≦6.0の関係を満足する請求項1ないし3のいずれかに記載のカラーフィルター用インク。
    Figure 2012063489
    Figure 2012063489
    Figure 2012063489
    Figure 2012063489
  5. 前記シリカは、気相法を用いて製造されたものである請求項1ないし4のいずれかに記載のカラーフィルター用インク。
  6. 前記シリカの平均一次粒径は、10nm以上100nm以下である請求項1ないし5のいずれかに記載のカラーフィルター用インク。
  7. 前記シリカの比表面積は、150m/cm以上400m/cm以下である請求項1ないし6のいずれかに記載のカラーフィルター用インク。
  8. 前記シリカの一次粒子についての下記式(10)で表される円形度Rの平均値が0.91以上0.99以下である請求項1ないし7のいずれかに記載のカラーフィルター用インク。
    R=L/L・・・(10)
    (ただし、式中、L[μm]は、測定対象のシリカ粒子の投影像の周囲長、L[μm]は、測定対象のシリカ粒子の投影像の面積に等しい面積の真円の周囲長を表す。)
  9. 前記シリカは、疎水性シランカップリング剤により疎水化処理が施されたものである請求項1ないし8のいずれかに記載のカラーフィルター用インク。
  10. カラーフィルター用インク中における前記樹脂材料の含有率をC[wt%]、前記シリカの含有率をC[wt%]としたとき、0.01≦C/C≦0.10の関係を満足する請求項1ないし9のいずれかに記載のカラーフィルター用インク。
  11. 前記着色膜は、前記顔料と、下記式(1)で表される単量体成分m1、カルボキシル基または酸無水物基を有する単量体成分m2、および、下記式(3)で表される単量体成分m3を含む重合体Mとを含む着色インクを用いて形成されたものである請求項1ないし10のいずれかに記載のカラーフィルター用インク。
    Figure 2012063489
    Figure 2012063489
  12. 請求項1ないし11のいずれかに記載のカラーフィルター用インクを用いて製造されたことを特徴とするカラーフィルター。
  13. 請求項12に記載のカラーフィルターを備えたことを特徴とする画像表示装置。
  14. 請求項13に記載の画像表示装置を備えたことを特徴とする電子機器。
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