JP2012059312A - データ記録装置の耐振動性能測定装置 - Google Patents

データ記録装置の耐振動性能測定装置 Download PDF

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功史 福間
Yukiomi Ogawa
裕輝臣 小川
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Toshiya Hotta
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Abstract

【課題】HDD41の耐振動性能を正確に測定可能な耐振動性能測定装置を提供する。
【解決手段】測定装置20のCPU21は、加振装置40によりHDD41に対して機械的な振動を印加させながら、HDD41に対して耐振動性能の測定用データを読み書きさせる。そして、CPU21は、加振装置40がHDD41に印加する振動の周波数および振動強度をパラメータとし、HDD41に対する測定用データの読み書きの結果に基づいて、HDD41の安定動作を阻害する振動の周波数(HDD41の苦手周波数)および振動強度(HDD41の苦手振動強度)を測定することにより、HDD41の耐振動性能を測定する。
【選択図】 図1

Description

本発明はデータ記録装置の耐振動性能測定装置に係り、詳しくは、回転するディスク上のデータ記録媒体の表面近傍にヘッドを位置させて当該ディスクに対してデータの読み書きを行うデータ記録装置について、その耐振動性能を測定する装置に関するものである。
従来より、コンピュータなどのデータ記録装置としてハードディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)が広く用いられているが、HDDは故障率が高いことが問題となっている。
HDDの故障率を軽減する方策はHDDのメーカー自身が実施していると思われ、HDDの故障率についてもデータシートの形で公表されていることが多い。
しかし、HDDの実際の利用環境においては、メーカーの公表値から乖離した大きな故障率となることも多い。
HDDは構造的に振動に弱いため、移動する物体のような常に振動が発生するような場所で使用すると、振動に起因する故障が発生しやすい。
そこで、特許文献1には、移動する物体に載置されたHDDと、その移動する物体の進行方向においてHDDよりも前方に設けられて、少なくともHDDのディスクの面と垂直な方向における振動を検知する振動検知手段と、その振動検知手段により検知された振動の大小に応じて、HDDに対するデータの読み書きを禁止または許可する制御手段とを有する耐振動情報提供装置が開示されている。
特開平10−11881号公報
HDDの故障の原因としては、HDDのロット不良、HDDを接続している機器(例えば、コンピュータなど)との相性、HDD自体の発熱や周辺機器の発熱による影響などが考えられる。
従来、HDDが故障しているかどうかの判断は、HDDを接続している機器からデータが読み書きできなくなる症状や、HDDを制御するRAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks)カードからのアクセスタイムアウトなどに基づいて行われていた。
尚、データの読み書きとは、データの読み出し又はデータの書き込みの少なくともいずれか一方を行うことである。
ところが、従来の判断方法で故障していると判断されたHDDを接続している機器から取り外し、HDD自体を検査してみると、正常に動作しており故障していないケースが多々ある。
そこで、本出願人は、HDDの故障と診断される現象の一部は、HDDに加わる振動による一時的な動作遅延や不安定な読み書きが原因であると考えた。
特許文献1のように、HDDの振動を検知し、その振動の大小に応じてHDDに対するデータの読み書きを禁止または許可する装置は従来から存在する。
しかし、HDDの耐振動性能を測定する装置は存在していない。
そのため、従来は、HDDに振動が加わらないようなHDDの取付構造を試行錯誤しながら作製し、その取付構造を長期間にわたって評価することで、その取付構造の良否を判断するしか方策がなかった。
そこで、HDDの耐振動性能を正確に測定可能な装置が要求されている。
ところで、前記したHDDの問題は、回転するディスク上のデータ記録媒体の表面近傍にヘッドを位置させて当該ディスクに対してデータの読み書きを行うデータ記録装置であれば同様に問題となりうる。
そのため、前記データ記録装置についても、耐振動性能を正確に測定可能な装置が要求されている。
ちなみに、前記データ記録装置としては、光ディスク(CD−ROM,DVDなど)、光磁気ディスク(MOなど)、相変化ディスク、磁気ディスクなどの記録媒体を用いるものがある。尚、前記記録媒体の具体例の名称には登録商標が含まれる。
本発明は、前記要求を満足させるためになされたものであって、その目的は、回転するディスク上のデータ記録媒体の表面近傍にヘッドを位置させて当該ディスクに対してデータの読み書きを行うデータ記録装置について、その耐振動性能を正確に測定可能な耐振動性能測定装置を提供することにある。
<請求項1:第1実施形態(図1,図2参照)>
請求項1に記載の発明は、
回転するディスク上のデータ記録媒体の表面近傍にヘッドを位置させて当該ディスクに対してデータの読み書きを行うデータ記録装置について、その耐振動性能を測定する耐振動性能測定装置であって、
前記データ記録装置に対して機械的な振動を印加する加振手段と、
前記データ記録装置に対して耐振動性能の測定用データを読み書きさせるデータ読み書き手段と、
前記加振手段による前記振動の周波数および振動強度をパラメータとし、前記読み書き手段による前記測定用データの読み書きの結果に基づいて、前記データ記録装置の安定動作が阻害される前記振動の周波数および振動強度を測定する測定手段とを備えることを技術的特徴とする。
請求項1によれば、振動の影響でデータ記録装置が不安定になる状態を再現しながら、データ記録装置の耐振動性能を評価可能であるため、長期間の評価用運転が不要となる。
そして、データ記録装置の耐振動性能の評価の結果、データ記録装置の安定動作を阻害する振動の周波数および振動強度が判明するため、振動対策を全周波数帯域に対して施す必要がなくなり、判明した周波数および振動強度に基づいた適切な制振機構や吸振機構をデータ記録装置に設けるだけで、効率的な振動対策をとることができる。
また、同一機種の多数個のデータ記録装置について耐振動性能を測定することにより、データ記録装置の不良品を選別することができる。
<請求項2:第1実施形態の[1]参照)>
請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載のデータ記録装置の耐振動性能測定装置において、
前記測定用データの読み書きの結果は、前記測定用データの読み書きの速度の測定結果であり、
前記読み書きの速度とは、読み出し速度、書き込み速度、書き込みと読み出しの両方の速度から成るグループから選択された少なくともいずれかの速度であることを技術的特徴とする。
請求項2において、書き込みと読み出しの両方の速度を測定すれば、データ記録装置の耐振動性能を極めて正確に測定できる。
また、請求項2において、読み出し速度または書き込み速度のいずれか一方の速度を測定しただけでも、データ記録装置の耐振動性能について実用上十分な測定が可能である。
<請求項3:第1実施形態の[3]〜[5]参照)>
請求項3に記載の発明は、
請求項1に記載のデータ記録装置の耐振動性能測定装置において、
前記データ記録装置はハードディスク装置であり、
前記測定用データの読み書きの結果は、S.M.A.R.T.(Self-Monitoring Analysis and Reporting Technology)について、その属性情報であるリードエラーレート、シークエラーレート、ハードウェアECC(Error Correcting Code)リカバリから成るグループから選択されたいずれか1つの測定結果であることを技術的特徴とする。
<請求項4>
請求項4に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のデータ記録装置の耐振動性能測定装置において、前記データ記録装置はハードディスク装置であることを技術的特徴とする。
本発明を具体化した第1実施形態におけるHDDの耐振動性能測定装置10の概略構成を示すブロック図。 第1実施形態おける加振装置40の具体的な構成例を示す説明図。 第2実施形態におけるHDDの振動測定装置100,110,120の具体的な構成例を示す説明図。 図4(A)は、第3実施形態の空冷ファン駆動装置200の概略構成を示すブロック図。図4(B)は、第4実施形態の空冷ファン駆動装置210の概略構成を示すブロック図。 第5実施形態の空冷ファン装置300,310の具体的な概略構成を示す説明図。 第6実施形態のHDDの取付構造の具体的な概略構成を示す説明図。
以下、本発明を具体化した各実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、各実施形態において、同一の構成部材および構成要素については符号を等しくすると共に、同一内容の箇所については重複説明を省略してある。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態におけるHDDの耐振動性能測定装置10の概略構成を示すブロック図である。
耐振動性能測定装置10は、測定装置20および加振装置40から構成されている。
測定装置20は、CPU(Central Processing Unit)21、RAM(Random Access Memory)22、入力装置23、表示装置24、HDD−IF(Hard Disk Drive InterFace)26,27、HDD(Hard Disk Drive)28、信号発生器29などがバス25を介して接続された周知のマイクロコンピュータシステムによって構成されている。
尚、測定装置20には、市販品のパーソナルコンピュータを使用してもよい。
入力装置23は、例えば、キーボードやポインティングデバイスなどから構成されており、耐振動性能測定装置10のオペレータからの指示命令をバス25を介してCPU21へ送信する。
表示装置24は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)などの各種方式のディスプレイから構成されており、バス25を介して送信されてくるCPU21の処理結果を表示画面(モニタ画面)に表示してオペレータに通知する。
耐振動性能測定装置10は、HDD28に記憶(記録)されているソフトウェアのコンピュータプログラム(制御プログラム)を読み出し、その制御プログラムをHDD−IF26からバス25を介してCPU21にロードし、そのコンピュータプログラムに従ってCPU21が各種演算処理を実行することにより、後述する動作を行う。
また、HDD28には、CPU21が実行したHDDの耐振動性能の測定結果が、バス25からHDD−IF26を介して書き込まれて格納される。
ところで、前記制御プログラムを、HDD28ではなく、耐振動性能測定装置10に内蔵した図示しないバックアップRAMや、コンピュータで読み取り可能な記録媒体を備えた図示しない外部記録装置(外部記憶装置)に記録(記憶)しておき、当該コンピュータプログラムを必要に応じてバックアップRAMや外部記録装置からCPU21にロードして用いるようにしてもよい。
ちなみに、コンピュータで読み取り可能な記録媒体には、例えば、半導体メモリ、HD、光ディスク(CD−ROM,DVDなど)、光磁気ディスク(MOなど)、相変化ディスク、磁気ディスク、磁気テープなどがある。尚、記録媒体の具体例の名称には登録商標が含まれる。
信号発生器29は、D/A(Digital to Analog)コンバータ30およびアンプ31から構成されている。
CPU21は、HDD41に機械的な振動を印加するための加振用デジタル信号を生成する。尚、加振用デジタル信号の信号形式(データ形式)は、リニアPCM(Pulse Code Modulation)形式である。
D/Aコンバータ30は、バス25を介して送信されてくるCPU21の加振用デジタル信号をD/A変換して加振用アナログ信号を生成する。
アンプ31は、D/Aコンバータ30が生成した加振用アナログ信号を増幅して出力する。
加振装置40は、耐振動性能の測定対象であるHDD41と、加振器42から構成されている。
加振器42は、信号発生器29から出力された加振用アナログ信号によって駆動され、加振用アナログ信号の周波数および信号レベルに応じた機械的な振動を発生し、その振動をHDD41に印加する。
CPU21は、HDD41に対して読み書きする測定用データを生成し、その測定用データをバス25からHDD−IF27を介してHDD41へ送受信し、その測定用データをHDD41に対して読み書きさせる。
図2(A)〜(C)はそれぞれ、加振装置40の具体的な構成例を示す説明図である。
[構成例1−1]
図2(A)に示す加振装置40は、HDD41および加振器42に加えて、支持台43、弾性シート材44、圧縮コイルばね45から構成されている。
断面コ字状の支持台43には、断面L字状の弾性シート材44を介してHDD41が載置されている。
HDD41の図示左側部は、支持台43の図示左壁部に弾性シート材44を介して間接的に当接されている。
そのため、HDD41は弾性シート材44によって弾性支持されることになる。
HDD41の図示右側部は、加振器42の可動部42aの先端部に当接されている。
加振器42は適宜な形式のアクチュエータ(例えば、ソレノイド型、ダイナミック型、圧電型、油圧型、形状記憶合金型など)から構成され、加振器42本体から突出した円柱状の可動部42aが伸縮して振動するようになっている。
加振器42は支持台43に対して摺動自在に載置され、加振器42における可動部42aの反対側は支持台43の図示右壁部に圧縮コイルばね45を介して間接的に当接されている。
そのため、加振器42の可動部42は、圧縮コイルばね45によってHDD41に押圧されることになる。
従って、加振器42の可動部42が図示矢印方向に振動すると、その可動部42の振動によりHDD41も同方向に振動される。
[構成例1−2]
図2(B)に示す加振装置40は、HDD41および加振器42に加えて、支持台43、弾性シート材44、重り46から構成されている。
平板状の支持台43には、平板状の弾性シート材44を介してHDD41が載置されている。
そのため、HDD41は弾性シート材44によって弾性支持されることになる。
HDD41の上部には加振器42が載置され、加振器42の可動部42aの先端部はHDD41の上面側に当接されている。
加振器42の上部には重り46が載置固定されている。
そのため、加振器42の可動部42は、加振器42自体の重量と重り46の重量との合計重量により、HDD41に押圧されることになる。
従って、加振器42の可動部42が図示矢印方向に振動すると、その可動部42の振動によりHDD41も同方向に振動される。
[構成例1−3]
図2(C)に示す加振装置40は、HDD41および加振器42に加えて、支持台43、弾性シート材44、重り46、押圧部材47から構成されている。
図2(C)に示す加振装置40において、図2(A)に示す加振装置40と異なるのは、圧縮コイルばね45を重り46および押圧部材47に置き換えた点だけである。
押圧部材47の中央部は回動軸47aに軸支され、押圧部材47の図示右側部には重り46が取付固定され、押圧部材47の図示左側部は加振器42における可動部42aの反対側に当接されている。
そのため、重り46の重量により、押圧部材47には回動軸47aを中心として図示時計回り方向に回動する回動力が生まれ、その押圧部材47の回動力が加振器42に印加される。
その結果、加振器42の可動部42は、重り46および押圧部材47によってHDD41に押圧されることになる。
[第1実施形態の作用・効果]
第1実施形態におけるHDDの耐振動性能測定装置10によれば、以下の作用・効果が得られる。
[1]測定装置20のCPU21は、加振装置40によりHDD41に対して機械的な振動を印加させながら、HDD41に対して耐振動性能の測定用データを読み書きさせる。
そして、CPU21は、加振装置40がHDD41に印加する振動の周波数および振動強度をパラメータとし、HDD41に対する測定用データの読み書きの結果に基づいて、HDD41の安定動作を阻害する振動の周波数(HDD41の苦手周波数)および振動強度(HDD41の苦手振動強度)を測定することにより、HDD41の耐振動性能を測定する。
ここで、HDD41に対する測定用データの読み書きの結果とは、HDD41に対する測定用データの読み書きの速度の測定結果である。
すなわち、CPU21は、予め作成しておいた所定データ量の測定用データについて、HDD41に対して測定用データの読み出し(Read)または書き込み(Write)の少なくともいずれか一方を行い、その測定用データの読み書きの速度を測定する。
尚、測定用データの読み書きの速度とは、読み出し速度、書き込み速度、書き込みと読み出しの両方の速度から成るグループから選択された少なくともいずれかの速度である。
ここで、書き込みと読み出しの両方の速度を測定すれば、HDD41の耐振動性能を極めて正確に測定できる。
また、読み出し速度または書き込み速度のいずれか一方の速度を測定しただけでも、HDD41の耐振動性能について実用上十分な測定が可能である。
その際に、HDD41に対する測定用データの読み書きの結果から、加振装置40の周波数特性の影響を取り除くため、CPU21が生成した加振用デジタル信号の周波数および信号レベルと、加振装置40が発生する振動の周波数および振動強度との関係について、別途用意した振動計などで予め計測しておき、その計測結果に基づいて加振装置40の周波数特性による振動強度の補正を行ってもよい。
[2]第1実施形態によれば、振動の影響でHDD41が不安定になる状態を再現しながら、HDD41の耐振動性能を評価可能であるため、長期間の評価用運転が不要となる。
そして、HDD41の耐振動性能の評価の結果、HDD41の安定動作を阻害する振動の周波数および振動強度が判明するため、振動対策を全周波数帯域に対して施す必要がなくなり、判明した周波数および振動強度に基づいた適切な制振機構や吸振機構をHDD41に設けるだけで、効率的な振動対策をとることができる。
また、同一機種の多数個のHDD41について耐振動性能を測定することにより、HDD41の不良品を選別することができる。
[3]HDD41に対する測定用データの読み書きの結果として、HDDの自己診断機能であるS.M.A.R.T.(Self-Monitoring Analysis and Reporting Technology)について、その属性情報であるリードエラーレートの測定結果を用い、リードエラーレートの測定値の変化に基づいて、HDD41の耐振動性能を測定してもよい。
リードエラーレートは、HDD41のディスク表面状況によるリードエラーの発生率を表す。
そして、リードエラーレートの測定値がしきい値に近い場合には、HDD41のディスクやヘッドなどに障害が発生し、正常な読み書きができないと判断できる。
[4]HDD41に対する測定用データの読み書きの結果として、S.M.A.R.T.の属性情報であるシークエラーレートの測定結果を用い、シークエラーレートの測定値の変化に基づいて、HDD41の耐振動性能を測定してもよい。
シークエラーレートは、HDD41のヘッドの移動時に発生するシークエラーの発生率を表す。
そして、シークエラーレートの測定値がしきい値に近い場合には、HDD41のディスクやヘッドなどに障害が発生し、正常な読み書きができないと判断できる。
[5]HDD41に対する測定用データの読み書きの結果として、S.M.A.R.T.の属性情報であるハードウェアECC(Error Correcting Code)リカバリの測定結果を用い、ハードウェアECCリカバリの測定値の測定開始前後の増加分に基づいて、HDD41の耐振動性能を測定してもよい。
ハードウェアECCリカバリは、ハードウェアECC検知エラー回数とも呼ばれ、ECCによって検知されたエラーの頻度を表すものである。
そして、ハードウェアECCリカバリの測定値の増加分が大きければ、HDD41に対して正常な読み書きができないと判断できる。
[6]加振装置40がHDD41に印加する振動の周波数は、予め設定しておいた周波数の範囲内で連続的に変化(スイープ)させるか、または、当該周波数の範囲内にて予め設定しておいた複数の周波数ポイントにすればよい。
ここで、周波数の範囲は、HDD41の大きさや動作速度に合わせて適宜設定すればよく、例えば、大型のHDD41や低速のHDD41については少なくとも500〜2000Hz、小型のHDD41や高速のHDD41については少なくとも500〜4000Hzに設定すればよい。
小型のHDD41や高速のHDD41について、周波数の範囲に高い周波数を含める理由は、HDDが小型になるほど、また高速になるほど、高い周波数の振動で安定動作が阻害され易くなると考えられるためである。
また、周波数ポイントは、例えば、50Hz毎に設定すればよい。
<第2実施形態>
図3(A)〜(C)はそれぞれ、第2実施形態におけるHDDの振動測定装置100,110,120の具体的な構成例を示す説明図である。
[構成例2−1]
図3(A)に示すHDDの振動測定装置100は、ケース101、コネクタ102、ケーブル103,104、振動センサ105、HDD106から構成されている。
ケース101は、測定対象である市販品のHDDから内部の装置を取り外した状態のケース本体である。
コネクタ102は、ケース101に元々取り付けられているHDD互換IF(中継コネクタ)である。
振動センサ105は、ケース101の内部に取付固定しておき、ケース101の振動を検出する。
HDD106は、市販品の小型HDDであり、ケース101の内部に取付固定しておく。
ケーブル103はコネクタ102とHDD106を接続し、ケーブル104はHDD106を接続する機器(図示略)とコネクタ102を接続する。
測定対象である市販品のHDDが接続される機器(例えば、パーソナルコンピュータ、ラックマウント型ストレージサーバなど)に対して、振動測定装置100を市販品のHDDと同様に搭載し、その機器に対してケーブル104を接続しておく。
前記機器には振動を発生する振動源となる種々の装置(例えば、空冷ファン、スピーカー、DVDドライブ、他の内蔵HDDなど)が設けられており、それら装置(図示略)の発生した振動がケース101に伝搬される。
そこで、前記機器を使用し、HDD106に対して読み書きを行いながら、振動センサ105によりケース101の振動を検出する。
振動測定装置100によれば、市販品のHDDが前記機器に実際に搭載されたのと同じ状態でケース101の振動を測定可能であるため、前記機器の使用中に市販品のHDDに加わる振動を実際の状態とほぼ同じように評価できる。
そのため、振動測定装置100の測定結果に基づいて、市販品のHDDや振動源となる種々の装置に対して、適切な制振機構や吸振機構を設けることが可能になり、効率的な振動対策をとることができる。
[構成例2−2]
図3(B)に示すHDDの振動測定装置110は、ケース101、コネクタ102、ケーブル103,104、振動センサ105、SSD(Solid State Drive)107から構成されている。
振動測定装置110において、図3(A)に示した振動測定装置100と異なるのは、HDD106をSSD107に置き換えた点だけである。
HDD106に対するデータの読み書きは前記機器からの振動の影響を受けるおそれがあるが、SSD107に対するデータの読み書きは振動の影響を受けないため、構成例2−1に比べて構成例2−2によれば更に正確な測定が可能になる。
[構成例2−3]
図3(C)に示すHDDの振動測定装置120は、ケース101、コネクタ102、ケーブル103,104、振動センサ105、HDD106から構成されている。
振動測定装置120において、図3(A)に示した振動測定装置100と異なるのは、HDD106をケース101の外部に設けた点だけである。
HDD106をケース101の内部に設けた場合には、HDD106が前記機器からの振動の影響を受けるおそれがあるが、HDD106を前記機器の外部に設置すれば、前記機器からの振動の影響を受けなくなるため、更に正確な測定が可能になる。
尚、前記構成例2−1〜2−3に限らず、ケース101の振動を測定可能であれば、どのような構成を用いてもよく、例えば、レーザ光をケース101に照射して振動を検出するレーザ振動計を用いてもよい。
<第3実施形態>
図4(A)は、第3実施形態の空冷ファン駆動装置200の概略構成を示すブロック図である。
空冷ファン駆動装置200は、マウントフレーム201、空冷ファン202,203、振動センサ204、振動解析装置205、制御装置206、回転数変更装置207,208から構成されている。
マウントフレーム201には2個の空冷ファン203,203が取付固定されており、マウントフレーム201は空冷ファン203,203によって冷却される機器(図示略。例えば、パーソナルコンピュータ、ラックマウント型ストレージサーバなど)に取付固定されている。
振動センサ204は、マウントフレーム201に取付固定されており、マウントフレーム201の振動を検出する。
振動解析装置205は、振動センサ204が検出した振動の周波数および振動強度を解析する。
制御装置206は、振動解析装置205の解析結果に基づき、特定の周波数fの振動レベルが予め設定しておいた所定レベルよりも大きな場合には、特定の周波数fの振動レベルが所定レベル以下になるように、回転数変更装置207,208に対して指示命令を出す。
回転数変更装置207,208は、制御装置206の指示命令に従い、空冷ファン203,203の回転数を変更する。
第3実施形態の空冷ファン駆動装置200によれば、前記各装置(振動センサ204、振動解析装置205、制御装置206、回転数変更装置207,208)のフィードバック制御により、マウントフレーム201について特定の周波数fの振動レベルを所定レベル以下にする。
空冷ファン202,203は、空冷ファン202,203によって冷却される前記機器に搭載されたHDD(図示略)に加わる振動の振動源となる。
そして、2個の空冷ファン202,203が発生する振動が合成された周波数が、HDDの安定動作を阻害する振動の周波数となることがある。
そこで、前記特定の周波数fを、第1実施形態の耐振動性能測定装置10を用いて測定したHDDの安定動作を阻害する振動の周波数(HDDの苦手周波数)に設定しておく。
その結果、空冷ファン駆動装置200によれば、空冷ファン202,203が発生する振動の合成周波数をHDDの安定動作を阻害する振動の周波数からズラすことが可能になり、HDDを安定動作させることができる。
加えて、空冷ファン駆動装置200は前記フィードバック制御を行うため、経年劣化や塵埃の付着などによって空冷ファン202,203が発生する振動の周波数が変化した場合でも、HDDの安定動作を長期間に渡って維持できる。
尚、空冷ファン駆動装置200では、2個の空冷ファン202,203を設けているが、3個以上の空冷ファンを設けるようにしてもよい。
<第4実施形態>
図4(B)は、第4実施形態の空冷ファン駆動装置210の概略構成を示すブロック図である。
空冷ファン駆動装置210は、マウントフレーム201、空冷ファン202,203、振動センサ204、振動解析装置205、制御装置206、切り替え装置209から構成されている。
制御装置206は、振動解析装置205の解析結果に基づき、切り替え装置209に対して指示命令を出す。
切り替え装置209は、制御装置206の指示命令に従い、空冷ファン202,203のいずれか一方のみを動作させる。
すなわち、振動センサ204が検出した特定の周波数fの振動レベルが予め設定しておいた所定レベル以下の場合には、空冷ファン202のみが動作する。
そして、振動センサ204が検出した特定の周波数fの振動レベルが予め設定しておいた所定レベルよりも大きな場合には、空冷ファン203のみが動作する。
第4実施形態の空冷ファン駆動装置210では、振動センサ204が検出した特定の周波数fの振動レベルが予め設定しておいた所定レベルよりも大きくなったならば、経年劣化や塵埃の付着などにより空冷ファン202が発生する振動の周波数が、HDDの安定動作を阻害する振動の周波数になったと判断し、空冷ファン202の動作を停止させ、その代わりに、それまで動作させておらず経年劣化や塵埃の付着などが無い空冷ファン203を動作させる。
従って、第4実施形態によれば、第3実施形態と同様の効果が得られる。
<第5実施形態>
図5(A)(B)はそれぞれ、第5実施形態の空冷ファン装置300,310の具体的な概略構成を示す説明図である。
[構成例5−1]
図5(A)に示す空冷ファン装置300は、小型空冷ファン301、吸振材302、互換用アタッチメント303から構成されている。
矩形筒状の互換用アタッチメント303の中心孔には、吸振材302を介して市販品の小型空冷ファン301が取り付けられている。
小型空冷ファン301は、空冷ファン装置300によって冷却される機器(例えば、パーソナルコンピュータ、ラックマウント型ストレージサーバなど)に搭載されたHDD(図示略)に加わる振動の振動源となる。
そして、小型空冷ファン301が発生する振動の周波数および振動強度が、HDDの安定動作を阻害する振動の周波数および振動強度となることがある。
そこで、第1実施形態の耐振動性能測定装置10を用いて測定したHDDの安定動作を阻害する振動の周波数(HDDの苦手周波数)および振動強度(HDDの苦手振動強度)が確実に吸収できるように、吸振材302の材質および寸法を選定しておく。
その結果、小型空冷ファン301が振動を発生したとしても,その振動は吸振材302によって吸収されて互換用アタッチメント303には伝搬されないため、互換用アタッチメント303は振動せず、空冷ファン装置300は振動を発生しないことになる。
従って、空冷ファンが発生する振動によってHDDの安定動作が阻害されている機器から空冷ファンを取り外し、空冷ファン装置300を代わりに取り付けることにより、HDDを安定動作させることができる。
尚、互換用アタッチメント303の寸法形状は、市販品のHDDに合わせて適宜設定すればよい。
[構成例5−2]
図5(B)に示す空冷ファン装置310は、マウント部分である四隅に吸振材304が取り付けられている。
吸振材304の材質および寸法は、構成例5−1の吸振材302と同じく、第1実施形態の耐振動性能測定装置10を用いて測定したHDDの安定動作を阻害する振動の周波数および振動強度が確実に吸収できるように選定しておく。
その結果、構成例5−2においても、構成例5−1と同様の作用・効果が得られる。
<第6実施形態>
図6(A)(B)はそれぞれ、第6実施形態のHDDの取付構造の具体的な概略構成を示す説明図である。
[構成例6−1]
図6(A)に示すHDDの取付構造では、HDD41のケース401を機器(例えば、パーソナルコンピュータ、ラックマウント型ストレージサーバなど)のシャーシ402に取り付けるために、シャーシ402に取付固定されたL字型部材403と、L字型部材403をケース401に取り付けるためのボルト404とが用いられている。
そして、ボルト404の軸は、吸振材405を介してL字型部材403の取付孔に挿通されている。
また、ボルト404の軸の先端部は、ケース401に螺合されて固定されている。
吸振材405の材質および寸法は、第1実施形態の耐振動性能測定装置10を用いて測定したHDD41の安定動作を阻害する振動の周波数(HDD41の苦手周波数)および振動強度(HDD41の苦手振動強度)が確実に吸収できるように選定しておく。
その結果、ケース401がシャーシ402に対して吸振材405によりフローティングマウントされ、シャーシ402から伝搬された振動によりHDD41の安定動作が阻害されるのを確実に防止可能になり、第1実施形態の前記[2]の作用・効果が得られる。
[構成例6−2]
図6(B)に示すHDDの取付構造では、HDD41のケース401を機器のシャーシ402に取り付けるために、シャーシ402に取付固定されたL字型部材403と、L字型部材403をケース401に取り付けるためのボルト404と、ボルト404に螺合されるナット406とが用いられている。
そして、ボルト404の軸とL字型部材403およびケース401の取付孔の間と、ナット406とケース401の内周壁との間には、吸振材407が介装されている。
吸振材407の材質および寸法は、構成例6−1の吸振材405と同じく、第1実施形態の耐振動性能測定装置10を用いて測定したHDD41の安定動作を阻害する振動の周波数および振動強度が確実に吸収できるように選定しておく。
その結果、構成例6−2によれば、ケース401がシャーシ402に対して吸振材407によりフローティングマウントされ、構成例6−1と同様の作用・効果が得られる。
<別の実施形態>
[A]前記各実施形態はHDDに適用したものであるが、回転するディスク上のデータ記録媒体の表面近傍にヘッドを位置させて当該ディスクに対してデータの読み書きを行うデータ記録装置であれば、どのようなデータ記録装置にも適用できる。
[B]前記各実施形態を適宜組み合わせて実施してもよく、その場合には組み合わせた実施形態の作用・効果を合わせもたせたり、相乗効果を得ることができる。
<用語の説明>
[特許請求の範囲]および[課題を解決するための手段]に記載した構成要素と、[発明を実施するための形態]に記載した構成部材との対応関係は以下のようになっている。
「データ記録装置」および「ハードディスク装置」は、HDD41に該当する。
「加振手段」は、加振装置40、測定装置20のCPU21および信号発生器29に該当する。
「データ読み書き手段」および「測定手段」は、測定装置20のCPU21およびHDD−IF27に該当する。
10…HDDの耐振動性能測定装置
20…測定装置
21…CPU
27…HDD−IF
29…信号発生器
40…加振装置
42…加振器

Claims (4)

  1. 回転するディスク上のデータ記録媒体の表面近傍にヘッドを位置させて当該ディスクに対してデータの読み書きを行うデータ記録装置について、その耐振動性能を測定する耐振動性能測定装置であって、
    前記データ記録装置に対して機械的な振動を印加する加振手段と、
    前記データ記録装置に対して耐振動性能の測定用データを読み書きさせるデータ読み書き手段と、
    前記加振手段による前記振動の周波数および振動強度をパラメータとし、前記読み書き手段による前記測定用データの読み書きの結果に基づいて、前記データ記録装置の安定動作が阻害される前記振動の周波数および振動強度を測定する測定手段と
    を備えることを特徴とするデータ記録装置の耐振動性能測定装置。
  2. 請求項1に記載のデータ記録装置の耐振動性能測定装置において、
    前記測定用データの読み書きの結果は、前記測定用データの読み書きの速度の測定結果であり、
    前記読み書きの速度とは、読み出し速度、書き込み速度、書き込みと読み出しの両方の速度から成るグループから選択された少なくともいずれかの速度であることを特徴とするデータ記録装置の耐振動性能測定装置。
  3. 請求項1に記載のデータ記録装置の耐振動性能測定装置において、
    前記データ記録装置はハードディスク装置であり、
    前記測定用データの読み書きの結果は、S.M.A.R.T.(Self-Monitoring Analysis and Reporting Technology)について、その属性情報であるリードエラーレート、シークエラーレート、ハードウェアECC(Error Correcting Code)リカバリから成るグループから選択されたいずれか1つの測定結果であることを特徴とするデータ記録装置の耐振動性能測定装置。
  4. 請求項1または請求項2に記載のデータ記録装置の耐振動性能測定装置において、
    前記データ記録装置はハードディスク装置であることを特徴とするデータ記録装置の耐振動性能測定装置。
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