[発明の詳細な記述]
引用
本明細書に引用する全ての公開もしくは特許は、それらが本発明の時点での最新技術を示すとしてそして/もしくは本発明の説明および使用可能性を提供するために引用することにより全部が本明細書に組み込まれる。公開は、任意の科学的もしくは特許公開、または全ての記録、電子もしくは印刷形式を包含する任意のメディア形式で利用可能な任意の他の情報をさす。以下の参考文献は、引用することにより全部が本明細書に組み込まれる:Ausubel,et al.,ed.,Current Protocols in
Molecular Biology,John Wiley & Sons,Inc.,NY,NY(1987−2001);Sambrook,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Edition,Cold Spring Harbor,NY(1989);Harlow and Lane,antibodies,a Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,NY(1989);Colligan,et al.,eds.,Current Protocols in Immunology,John Wiley & Sons,Inc.,NY(1994−2001);Colligan et al.,Current Protocols in Protein Science,John Wiley & Sons,NY,NY(1997−2001)。
アミノ酸コード
本発明の抗IL−6抗体を構成するアミノ酸は、略記されることが多い。アミノ酸名称は、当該技術分野において汎用的であるようにアミノ酸をその1文字コード、その3文字コード、名称、もしくは3ヌクレオチドコドン(1つもしくは複数)で指定することにより示すことができる(Alberts,B.,et al.,Molecular Biology of The Cell,Third Ed.,Garland Publishing,Inc.,New York,1994を参照)。
定義
本明細書において用いる場合、「抗インターロイキン−6 cCLB−8抗体」、「抗IL−6 cCLB−8抗体」、「抗IL−6 cCLB−8抗体部分」、もしくは「抗IL−6 cCLB−8抗体フラグメント」および/または「抗IL−6 cCLB−8抗体変異体」などには、本発明の抗体に導入することができる、非マウス由来の、好ましくはヒト由来の重鎖もしくは軽鎖可変領域、重鎖もしくは軽鎖定常領域、フレームワーク領域、またはその任意の部分と組み合わせてマウスCLB−8モノクローナル抗体から得られる重鎖もしくは軽鎖の少なくとも一つの相補性決定領域(CDR)もしくはそのリガンド結合部分を含有する、免疫グロブリン分子の少なくとも一部を含んでなる分子を含有する任意のタンパク質もしくはペプチドが包含される。そのような抗体は、インビトロ、in situおよび/もしくはインビボにおいて、少なくとも一つのIL−6活性もしくは結合、またはIL−6受容体活性もしくは結合を調節、減少、拮抗、軽減、改善、阻止、抑制、阻害および/もしくは妨害することができる。限定されない例として、本発明の適当な抗IL−6抗体、特定の部分もしくは変異体は、CLB−8モノクローナル抗体により認識されるヒトIL−6の阻害および/もしくは中和エピトープに高い親和性で結合することができる。適当な抗IL−6抗体、特定の部分、もしくは変異体はまた、場合により、RNA、DNAもしくはタンパク質合成、IL−6放出、IL−6受容体シグナル伝達、膜IL−6切断、IL−6活性、IL−6生産および/もしくは合成のようなしかしこれらに限定されるものではない、IL−6活性もしくは機能の少なくとも一つに影響を及ぼすこともできる。
「抗体」という用語にはさらに、CLB−8モノクローナル抗体から得られる少なくとも一つのCDRを各々含有する;一本鎖抗体およびそのフラグメントを包含する、抗体模倣物を包含するあるいは抗体またはその特定のフラグメントもしくは部分の構造および/もしくは機能に類似する抗体の部分を含んでなる、抗体、その消化フラグメント、特定の部分および変異体を包含するものとする。機能性フラグメントには、哺乳類IL−6に結合する抗原結合フラグメントが包含される。例えば、Fab(例えば、パパイン消化による)、Fab’(例えば、ペプシン消化および部分還元による)およびF(ab’)2(例えば、ペプシン消化による)、facb(例えば、プラスミン消化による)、pFc’(例えば、ペプシンもしくはプラスミン消化による)、Fd(例えば、ペプシン消化、部分還元および再集合による)、FvもしくはscFv(例えば、分子生物学技術による)フラグメントが包含されるがこれらに限定されるものではない、IL−6もしくはその一部に結合することができる抗体フラグメントは、本発明により包含される(例えば、Colligan,Immunology,上記を参照)。
そのようなフラグメントは、当該技術分野において既知であるようにそして/もしくは本明細書に記述するように、酵素切断、合成もしくは組み換え技術により製造することができる。抗体はまた、1個もしくはそれ以上の終止コドンが天然の終止部位の上流に導入されている抗体遺伝子を用いて様々な切断形態で製造することもできる。例えば、F(ab’)2重鎖部分をコードする組み合わせ遺伝子をは、重鎖のCH1ドメインおよび/もしくはヒンジ領域をコードするDNA配列を含むように設計することができる。抗体の様々な部分は、従来の技術により化学的に一緒に連結することができ、もしくは遺伝子工学技術を用いて連続するタンパク質として製造することができる。
本明細書において用いる場合、「キメラ」抗体もしくは「ヒト化」抗体もしくは「CDR移植」には、非マウス、好ましくはヒト抗体から得られる1つもしくはそれ以上のタンパク質もしくはペプチドと本明細書に記述するマウスCDRとの任意の組み合わせが包含される。本発明によれば、ヒトIL−6に結合することができるマウスCLB−8抗体からCDRが得られ、そして1つもしくはそれ以上のヒト抗体から少なくとも一部、もしくは抗体の残りが得られるキメラもしくはヒト化抗体が提供される。従って、抗体のヒト部
分には、ヒトにおいて実質的に非免疫原性であるフレームワーク、CL、CHドメイン(例えば、CH1、CH2、CH3)、ヒンジ(VL、VH)領域を包含することができる。ヒト抗体から得られる抗体の領域は、ヒト抗体と100%の同一性を有する必要はない。好ましい態様として、免疫原性が無視できる程度であるようにできるだけ多くのヒトアミノ酸残基が保持されるが、ヒト残基は、同時に抗体のヒト化を最大にしながらCDRにより形成される抗原結合部位をサポートするために必要に応じて改変することができる。そのような変化もしくは変異は、場合によりそして好ましくは、未改変の抗体に対してヒトもしくは他の種における免疫原性を保持するかもしくは減少する。ヒト化抗体は、機能的に再編成したヒト免疫グロブリン(例えば、重鎖および/もしくは軽鎖)遺伝子を発現することができる非ヒト動物または原核もしくは真核細胞により製造できることが指摘される。さらに、抗体が一本鎖抗体である場合、それは、天然のヒト抗体に存在しないリンカーペプチドを含んでなることができる。例えば、Fvは、重鎖の可変領域および軽鎖の可変領域を連結する、2〜約8個のグリシンもしくは他のアミノ酸残基のようなリンカーペプチドを含んでなることができる。そのようなリンカーペプチドは、ヒト由来のものであるとみなされる。
本発明の抗体
本発明によれば、抗IL−6 cCLB−8抗体は、可変領域もしくはCDRが、ヒトIL−6に結合しそしてその機能を阻害することができるマウスCLB−8抗体から得られ、そして抗体のフレームワークおよび定常領域が1つもしくはそれ以上のヒト抗体から得られる抗体を含んでなる。マウスCLB−8抗体から得られる可変領域もしくはCDRは、キメラ抗体がIL−6に結合しそして阻害する能力を維持する限りは置換、挿入および欠失を包含するありとあらゆる改変が意図されるが、好ましくは、マウスCLB−8抗体の可変領域もしくはCDRと約90%〜約100%の同一性を有する。ヒト抗体から得られるキメラ、ヒト化もしくはCDR移植抗体の領域は、ヒト抗体と100%の同一性を有する必要はない。好ましい態様として、免疫原性が無視しうる程度であるようにできるだけ多くのヒトアミノ酸残基が保持されるが、ヒト残基、特にフレームワーク領域の残基は、必要に応じてそして本発明に従って以下に教示するように置換される。本明細書に開示するそのような改変は、同時に抗体のヒト化を最大にしながらCDRにより形成される抗原結合部位をサポートするのに必要である。
ヒトIL−6に対するCLB−8マウスモノクローナル抗体は、当該技術分野において既知であるが(Brakenhoff et al,上記)、この抗体のCDR領域はこれまで開示されていない。本発明は、初めて、CLB−8マウスモノクローナル抗体のCDR領域から得られるキメラ、ヒト化もしくはCDR移植抗体およびそのような抗体を製造する方法を開示する。本発明によれば、マウスCLB−8重鎖のcDNA(配列番号:15)および重鎖のアミノ酸配列(配列番号:7)が実施例2で提供される。マウスCLB−8軽鎖のcDNAおよび推定アミノ酸配列(配列番号:8)もまた実施例2において提供される(配列番号16)。重鎖および軽鎖可変領域の各々は、抗原結合部位を形成するように組み合わさる3個のCDRを含有する。3個のCDRは、CDRをサポートするように主として機能する4個のFR領域によって取り囲まれる。重鎖および軽鎖の可変領域の配列内のCDRの配列は、Sequence of Proteins of Immunological Interest,4th ed.,United States Department of Health and Human Services,U.S.Government Printing Office,Washington,D.C.におけるKabat et al.(1987)によるコンピューターを使ったアラインメントにより、もしくは例えばLevitt(1983)J.Mol.Biol.168:595により記述されているようなENCADプログラムを利用する、可変領域の分子モデリングにより同定することができる。
好ましい態様として、CDRはマウスモノクローナル抗体CLB−8から得られる。好ましい重鎖CDRは、以下の配列を有する:
CDR1 SFAMS (配列番号:1)
CDR2 EISSGGSYTYYPDTVTG (配列番号:2)
CDR3 GLWGYYALDY (配列番号:3)
好ましい軽鎖CDRは、以下の配列を有する:
CDR1 SASSSVSYMY (配列番号:4)
CDR2 DTSNLAS (配列番号:5)
CDR3 QQWSGYPYT (配列番号:6)
マウスCLB−8抗体のCDRの配列は、CDR移植抗体がヒトIL−6に結合しそして阻害する能力を維持する範囲で挿入、置換および欠失により改変することができる。当業者は、以下に記述する機能アッセイを行うことによりこの活性の維持を確かめることができる。CDRは、例えば、配列番号:1〜6のCDRに約50%〜約100%の相同性を有することができる。好ましい態様として、CDRは配列番号:1〜6のCDRに約80%〜約100%の相同性を有する。より好ましい態様として、CDRは配列番号:1〜6のCDRに約90%〜約100%の相同性を有する。最も好ましい態様として、CDRは配列番号:1〜6のCDRに約100%の相同性を有する。
あるいはまた、実施例2において示すようなマウスCLB−8抗体の全重鎖可変領域および軽鎖可変領域(配列番号:7および8)は、本発明のキメラcCLB−8抗体を生成せしめるためにヒト定常およびフレームワーク領域と組み合わせることができる。
本発明のキメラ抗体、フラグメントおよび領域の定常(C)領域をコードするヒト遺伝子は、既知の方法により、ヒト胎児肝臓ライブラリーから得ることができる。ヒトC領域遺伝子は、ヒト免疫グロブリンを発現しそして生産するものを包含する任意のヒト細胞から得ることができる。ヒトCH領域は、ガンマ、μ、α、δ、ε、ならびにG1、G2、G3およびG4のような、そのサブタイプを包含する、ヒトH鎖の既知のクラスもしくはアイソタイプのいずれかから得ることができる。H鎖アイソタイプは、抗体の様々なエフェクター機能をもたらすので、CH領域の選択は、補体結合、もしくは抗体依存性細胞傷害(ADCC)における活性のような、所望のエフェクター機能により導かれる。好ましくは、CH領域はガンマ1(IgG1)から得られる。
ヒトCL領域は、ヒトL鎖アイソタイプ、カッパもしくはラムダのいずれか、好ましくはカッパから得ることができる。
ヒト免疫グロブリンC領域をコードする遺伝子は、標準的なクローニング技術(Sambrook,et al.(Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Edition,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989)およびAusubel et al,eds.Current Protocols in Molecular Biology(1987−1993))によりヒト細胞から得られる。ヒトC領域遺伝子は、L鎖の2つのクラス、H鎖の5つのクラスおよびそのサブクラスに相当する遺伝子を含有する既知のクローンから容易に入手可能である。F(ab1)2およびFabのようなキメラ抗体フラグメントは、適切に切断されるキメラH鎖遺伝子を設計することにより製造することができる。例えば、F(ab1)2フラグメントのH鎖部分をコードするキメラ遺伝子は、H鎖のCH1ドメインおよびヒンジ領域をコードするDNA配列、続いて切断分子をもたらす翻訳終止コドンを含む。
一般に、一例として、本発明のキメラ抗体、フラグメントおよび領域は、CLB−8抗
IL−6特異的抗体のHおよびL鎖抗原結合領域をコードするDNAセグメントをクローン化し、そしてこれらのDNAセグメントをCHおよびCL領域をコードするDNAセグメントにそれぞれ連結してキメラ免疫グロブリンをコードする遺伝子を生成せしめることにより製造する。
従って、好ましい態様として、ヒトC領域の少なくとも一部をコードする第二のDNAセグメントに連結された、連結(J)セグメントを有する機能的に再編成したV領域のような、非ヒト由来の少なくとも抗原結合領域をコードする第一のDNAセグメントを含んでなる融合キメラ遺伝子を作製する。
マウスCLB−8抗体の可変領域の配列は、キメラ抗体がIL−6に結合しそして阻害する能力を維持する範囲で挿入、置換および欠失により改変することができる。当業者は、以下に記述する機能アッセイを行うことによりこの活性の維持を確かめることができる。可変領域は、例えば、配列番号:7〜8の可変領域に約50%〜約100%の相同性を有することができる。好ましい態様として、可変領域は配列番号:7〜8の可変領域に約80%〜約100%の相同性を有する。より好ましい態様として、可変領域は配列番号:7〜8の可変領域に約90%〜約100%の相同性を有する。最も好ましい態様として、可変領域は配列番号:7〜8の可変領域に約100%の相同性を有する。
便宜上、Kabat et al.の付番スキームを本明細書に採用している。本発明の配列を標準的なKabat付番配列に従わせるために必要に応じて残基を小文字番号もしくはハイフンにより示す。
本発明によれば、CLB−8抗体のCDR領域をヒト領域と組み合わせるCDR移植もしくはヒト化抗体の場合、親抗体、例えばCLB−8に固有であるFR領域において残基を保持することができる。他の抗体のヒト化において重要であることが示されている残基もまた保持することができる。前述のガイドラインには、同時に抗体のヒト化を最大にしながらCDRにより形成される抗原結合部位をサポートするのに必要な範囲で従う。
マウスモノクローナル抗体CLB−8およびヒト抗体から得られる代表的な重鎖可変領域のアミノ酸配列を以下の実施例2において示す。
マウスモノクローナル抗体CLB−8およびヒト抗体から得られる代表的なキメラ軽鎖可変領域のアミノ酸配列もまた実施例2において示す。
マウスCLB−8抗体からの可変領域を含有するキメラ抗体は、IL−6への結合においてマウスモノクローナル抗体CLB−8と同程度に有効であることが本発明によって示されている。
非ヒトもしくはヒト抗体を工学設計もしくはヒト化する方法を使用することができ、そしてそれらは当該技術分野において周知である。一般に、ヒト化もしくは工学設計した抗体は、非ヒト、例えば、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類もしくは他の哺乳類(しかしこれらに限定されるものではない)である供給源からの1個もしくはそれ以上のアミノ酸残基を有する。これらのヒトアミノ酸残基は、「インポート(import)」残基と呼ばれることが多く、これらは典型的には既知のヒト配列の「インポート」可変、定常もしくは他のドメインから取られる。既知のヒトIg配列は、例えば、各々引用することにより全部が本明細書に組み込まれる、www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi;www.atcc.org/phage/hdb.html;www.sciquest.com/;www.abcam.com/;www.antibodyresource.com/onlinecomp.html;w
ww.public.iastate.edu/〜pedro/research_tools.html;www.mgen.uni−heidelberg.de/SD/IT/IT.html;www.whfreeman.com/immunology/CH05/kuby05.htm;www.library.thinkquest.org/12429/Immune/Antibody.html;www.hhmi.org/grants/lectures/1996/vlab/;www.path.cam.ac.uk/〜mrc7/mikeimages.html;www.antibodyresource.com/;mcb.harvard.edu/BioLinks/Immunology.html.www.immunologylink.com/;pathbox.wustl.edu/〜hcenter/index.html;www.biotech.ufl.edu/〜hcl/;www.pebio.com/pa/340913/340913.html;www.nal.usda.gov/awic/pubs/antibody/;www.m.ehime−u.ac.jp/〜yasuhito/Elisa.html;www.biodesign.com/table.asp;www.icnet.uk/axp/facs/davies/links.html;www.biotech.ufl.edu/〜fccl/protocol.html;www.isac−net.org/sites_geo.html;aximt1.imt.uni−marburg.de/〜rek/AEPStart.html;baserv.uci.kun.nl/〜jraats/links1.html;www.recab.uni−hd.de/immuno.bme.nwu.edu/;www.mrc−cpe.cam.ac.uk/imt−doc/public/INTRO.html;www.ibt.unam.mx/vir/V_mice.html;imgt.cnusc.fr:8104/;www.biochem.ucl.ac.uk/〜martin/abs/index.html;antibody.bath.ac.uk/;abgen.cvm.tamu.edu/lab/wwwabgen.html;www.unizh.ch/〜honegger/AHOseminar/Slide01.html;www.cryst.bbk.ac.uk/〜ubcg07s/;www.nimr.mrc.ac.uk/CC/ccaewg/ccaewg.htm;www.path.cam.ac.uk/〜mrc7/humanisation/TAHHP.html;www.ibt.unam.mx/vir/structure/stat_aim.html;www.biosci.missouri.edu/smithgp/index.html;www.cryst.bioc.cam.ac.uk/〜fmolina/Web−pages/Pept/spottech.html;www.jerini.de/fr_products.htm;www.patents.ibm.com/ibm.html.Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,U.S.Dept.Health(1983)に開示されている。
そのようなインポート配列は、当該技術分野において既知であるように、免疫原性を減らすか、または結合、親和性、オン率(on−rate)、オフ率(off−rate)、アビディティー、特異性、半減期、もしくは任意の他の適当な特性を下げるか、高めるかもしくは改変するために用いることができる。一般に、非ヒトもしくはヒトCDR配列の一部もしくは全部は維持され、一方、可変および定常領域の非ヒト配列はヒトもしくは他のアミノ酸で置換される。抗体はまた、場合により、抗原に対する高い親和性および他の都合のよい生物学的性質を保持してヒト化することもできる。この目的を果たすために、ヒト化抗体は、場合により、親およびヒト化配列の3次元モデルを用いて親配列および様々な概念的ヒト化生成物の解析のプロセスにより製造することができる。3次元免疫グロブリンモデルは市販されており、そして当業者によく知られている。選択した候補免疫グロブリン配列の有望な3次元配座構造を例示しそして表示するコンピュータープログラムは利用可能である。これらの表示の検討は、候補免疫グロブリン配列の機能における残
基の有望な役割の分析、すなわち、候補免疫グロブリンがその抗原に結合する能力に影響を及ぼす残基の分析を可能にする。このようにして、標的抗原(1つもしくは複数)に対する増大した親和性のような所望の抗体特性が得られるように共通およびインポート配列からFR残基を選択しそして組み合わせることができる。一般に、CDR残基は、抗原結合に影響を及ぼすことに直接そして最も実質的に関与する。本発明の抗体のヒト化もしくは工学設計は、その中に引用される参考文献を含む、各々引用することにより全部が本明細書に組み込まれる、Winter(Jones et al.,Nature 321:522(1986);Riechmann et al.,Nature 332:323(1988);Verhoeyen et al.,Science 239:1534(1988);Sims et al.,J.Immunol.151:2296(1993);Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901(1987),Carter et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.89:4285(1992);Presta et al.,J.Immunol.151/2623(1993),米国特許:第5723323号,第5976862号,第5824514号,第5817483号,第5814476号,第5763192号,第5723323号,第5766886号,第5714352号,第6204023号,第6180370号,第5693762号,第5530101号,第5585089号,第5225539号,第4816567号,PCT/:US98/16280,US96/18978,US91/09630,US91/05939,US94/01234,GB89/01334,GB91/01134,GB92/01755;WO90/14443,WO90/14424,WO90/14430,EP 229246に記述されているもののようなしかしこれらに限定されるものではない任意の既知の方法を用いて行うことができる。
本発明のキメラ抗体のヒト定常領域は、任意のクラス(IgG、IgA、IgM、IgE、IgDなど)もしくはアイソタイプのものであることができ、そしてカッパもしくはラムダ軽鎖を含んでなることができる。一つの態様として、ヒト定常領域はIgG重鎖もしくは特定のフラグメント、例えば、アイソタイプ、IgG1、IgG2、IgG3もしくはIgG4の少なくとも一つを含んでなる。別の態様として、抗ヒトIL−6ヒト抗体は、IgG1重鎖およびIgG1 K軽鎖を含んでなる。本発明の単離された抗IL−6抗体は、任意の適当なポリヌクレオチドによりコードされる本明細書に開示する抗体アミノ酸配列も同様に含んでなる。好ましくは、抗体もしくは抗原結合フラグメントはヒトIL−6に結合し、そしてそれにより該タンパク質の少なくとも一つの生物学的活性を部分的にもしくは実質的に中和する。cCLB−8抗体、またはその特定の部分もしくは変異体は、少なくとも一つのIL−6タンパク質もしくはフラグメントの少なくとも一つの生物学的活性を部分的にもしくは好ましくは実質的に中和し、そしてそれによりIL−6受容体へのIL−6の結合によってまたは他のIL−6依存性もしくは媒介メカニズムによって媒介される活性を阻害する。本明細書において用いる場合、「中和抗体」という用語は、IL−6依存性活性をアッセイにより約20〜120%、好ましくは少なくとも約10、20、30、40、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100%もしくはそれ以上阻害することができる抗体をさす。IL−6依存性活性を阻害する抗IL−6抗体の能力は、好ましくは、本明細書に記述するようにそして/もしくは当該技術分野において既知であるように、少なくとも一つの適当なIL−6タンパク質もしくは受容体アッセイにより評価する。
本発明の少なくとも一つの抗体は、CLB−8抗体が結合する少なくとも一つのIL−6タンパク質、サブユニット、フラグメント、部分もしくはその任意の組み合わせに特異的な少なくとも一つの特定のエピトープに結合する。少なくとも一つのエピトープは、該タンパク質の少なくとも一つの部分を含んでなる少なくとも一つの抗体結合領域を含んで
なることができ、このエピトープは、好ましくは、該タンパク質の少なくとも一つの細胞外、可溶性、親水性、外部もしくは細胞質部分を含んでなる。一般に、本発明のヒト抗体もしくは抗原結合フラグメントは、配列番号1、2および3の少なくとも一つのヒト相補性決定領域(CDR1、CDR2およびCDR3)もしくは少なくとも一つの重鎖可変領域の変異体ならびに少なくとも一つのヒト相補性決定領域(CDR4、CDR5およびCDR6)(配列番号4、5および6)もしくは少なくとも一つの軽鎖可変領域の変異体を含んでなる抗原結合領域を含んでなる。限定されない例として、抗体もしくは抗原結合部分もしくは変異体は、配列番号:3のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3、および/もしくは配列番号:6のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3の少なくとも一つを含んでなることができる。特定の態様として、抗体もしくは抗原結合フラグメントは、対応するCDR1、2および/もしくは3のアミノ酸配列(例えば、配列番号:1、2、および/もしくは3)を有する少なくとも一つの重鎖CDR(すなわち、CDR1、CDR2および/もしくはCDR3)の少なくとも一部を含んでなる抗原結合領域を有することができる。別の特定の態様として、抗体もしくは抗原結合部分もしくは変異体は、対応するCDR4、5および/もしくは6のアミノ酸配列(例えば、配列番号:4、5、および/もしくは6)を有する少なくとも一つの軽鎖CDR(すなわち、CDR4、CDR5および/もしくは6)の少なくとも一部を含んでなる抗原結合領域を有することができる。好ましい態様として、抗体もしくは抗原結合フラグメントの3個の重鎖CDRおよび3個の軽鎖CDRは、本明細書に記述するように、mAb cCLB−8、キメラ抗IL−6 Mabの少なくとも一つの対応するCDRのアミノ酸配列を有する。そのような抗体は、従来の技術を用いて抗体の様々な部分(例えば、CDR、フレームワーク)を一緒に化学的に連結することにより、組み換えDNA技術の従来の技術を用いて抗体をコードする(すなわち、1つもしくはそれ以上の)核酸分子を製造しそして発現させることにより、または任意の他の適当な方法を用いることおよび本発明のポリペプチドの発現をもたらす可能な重複コドンのいずれか、例えば、配列番号15もしくは16を用いることにより製造することができる。
ヒトIL−6に結合しそして特定の重鎖もしくは軽鎖可変領域もしくはCDR領域を含んでなる抗体は、当該技術分野において既知であるようにそして/もしくは本明細書に記述するように、ファージディスプレイ(Katsube,Y.,et al.,Int J Mol.Med,1(5):863−868(1998))もしくはトランスジェニック動物を用いる方法のような、適当な方法を用いて製造することができる。例えば、抗体、特定の部分もしくは変異体は、適当な宿主細胞においてコードする核酸もしくはその一部を用いて発現させることができる。
記述するように、本発明はまた、本明細書に記述するアミノ酸配列と実質的に同じである配列中のアミノ酸を含んでなる抗体、抗原結合フラグメント、免疫グロブリン鎖およびCDRにも関する。そのような抗IL−6抗体は、本明細書において特定するように、天然の突然変異もしくはヒト操作のいずれかから、1個もしくはそれ以上のアミノ酸置換、欠失もしくは付加を含むことができる。好ましくは、そのような抗体もしくは抗原結合フラグメントおよびそのような鎖もしくはCDRを含んでなる抗体は、高い親和性(例えば、約10−9M以下のKD)でヒトIL−6に結合することができる。本明細書に記述する配列と実質的に同じであるアミノ酸配列には、保存的アミノ酸置換、ならびにアミノ酸欠失および/もしくは挿入を含んでなる配列が包含される。保存的アミノ酸置換は、第一のアミノ酸のものと同様である化学的および/もしくは物理的性質(例えば、電荷、構造、極性、疎水性/親水性)を有する第二のアミノ酸による第一のアミノ酸の置換をさす。保存的置換には、あるアミノ酸の以下のグループ内の別のものによる置換が包含される:リシン(K)、アルギニン(R)およびヒスチジン(H);アスパルテート(D)およびグルタメート(E);アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、トレオニン(T)、チロシン(Y)、K、R、H、DおよびE;アラニン(A)、バリン(V)、
ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、メチオニン(M)、システイン(C)およびグリシン(G);F、WおよびY;C、SおよびT。
もちろん、当業者が行うアミノ酸置換の数は、上記のものを包含する多数の因子により決まる。一般的に言えば、任意の既定の抗IL−6抗体、フラグメントもしくは変異体のアミノ酸置換、挿入もしくは欠失の数は、本明細書に特定するように、1〜30またはその中の任意の範囲もしくは値のような、40、30、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1より多くない。
機能にとって必須である本発明の抗IL−6抗体におけるアミノ酸は、部位特異的突然変異誘発もしくはアラニンスキャニング突然変異誘発(例えば、Ausubel,上記,8,15章;Cunningham and Wells,Science 244:1081−1085(1989))のような、当該技術分野において既知である方法により同定することができる。後者の方法は、分子におけるあらゆる残基で単一のアラニン突然変異を導入する。次に、得られる突然変異体分子を少なくとも一つのIL−6中和活性のようなしかしこれに限定されるものではない生物学的活性に関して試験する。抗体結合にとって重要である部位はまた、結晶化、核磁気共鳴もしくは光親和性ラベリングのような構造解析により同定することもできる(Smith,et al.,J.Mol.Biol.224:899−904(1992)およびde Vos,et al.,Science 255:306−312(1992))。
本発明の抗IL−6抗体は、配列番号:1、2、3、4、5、6の少なくとも一つの連続したアミノ酸の5個〜全てから選択される少なくとも一つの部分、配列もしくは組み合わせを含むことができるが、これらに限定されるものではない。
抗IL−6抗体はさらに、場合により、配列番号:7、8の少なくとも一つの連続したアミノ酸の70〜100%の少なくとも一つのポリペプチドを含んでなることができる。
一つの態様として、免疫グロブリン鎖もしくはその一部(例えば、可変領域、CDR)のアミノ酸配列は、配列番号:7、8の少なくとも一つの対応する鎖のアミノ酸配列に対して約70〜100%の同一性(例えば、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100またはその中の任意の範囲もしくは値)を有する。例えば、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、配列番号:8の配列と比較することができ、もしくは重鎖CDR3のアミノ酸配列は、配列番号:7と比較することができる。好ましくは、70〜100%のアミノ酸同一性(すなわち、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100またはその中の任意の範囲もしくは値)は、当該技術分野において既知であるように、適当なコンピューターアルゴリズムを用いて決定する。
典型的な重鎖および軽鎖可変領域配列を配列番号:7、8に提供する。本発明の抗体、もしくはその特定の変異体は、本発明の抗体からの任意の数の連続するアミノ酸残基を含んでなることができ、ここで、この数は、抗IL−6抗体における連続する残基の数の10〜100%よりなる整数の群から選択される。場合により、連続するアミノ酸のこのサブ配列は、長さが少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250もしくはそれ以上のアミノ酸、またはその中の任意の範囲もしくは値である。さらに、そのようなサブ配列の数は、少なくと
も2、3、4もしくは5のような、1〜20よりなる群から選択される任意の整数であることができる。
当業者が認識するように、本発明には、本発明の少なくとも一つの生物学的に活性の抗体が包含される。生物学的に活性の抗体は、天然の(非合成の)、内因性もしくは関連するそして既知の抗体のものの少なくとも20%、30%、もしくは40%、そして好ましくは少なくとも50%、60%、もしくは70%、そして最も好ましくは少なくとも80%、90%、もしくは95%〜1000%の比活性を有する。酵素活性および基質特異性の指標をアッセイおよび定量する方法は、当業者に周知である。
別の態様として、本発明は、有機部分の共有結合により改変される、本明細書に記述するようなヒト抗体および抗原結合フラグメントに関する。そのような改変は、改善された薬物動態学的性質(例えば、増大したインビボ血清半減期)を有する抗体もしくは抗原結合フラグメントを製造することができる。有機部分は、線状もしくは分枝状の親水性ポリマー基、脂肪酸基、もしくは脂肪酸エステル基であることができる。特定の態様として、親水性ポリマー基は、約800〜約120,000ダルトンの分子量を有することができ、そしてポリアルカングリコール(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG))、炭水化物ポリマー、アミノ酸ポリマーもしくはポリビニルピロリドンであることができ、そして脂肪酸もしくは脂肪酸エステル基は、約8〜約40個の炭素原子を含んでなることができる。
本発明の改変された抗体および抗原結合フラグメントは、抗体に直接的もしくは間接的に共有結合している1つもしくはそれ以上の有機部分を含んでなることができる。本発明の抗体もしくは抗原結合フラグメントに結合している各有機部分は、独立して、親水性ポリマー基、脂肪酸基もしくは脂肪酸エステル基であることができる。本明細書において用いる場合、「脂肪酸」という用語には、モノカルボン酸およびジカルボン酸が包含される。「親水性ポリマー基」は、該用語を本明細書において用いる場合、オクタンにおけるより水において可溶性である有機ポリマーをさす。例えば、ポリリシンは、オクタンにおけるより水において可溶性である。従って、ポリリシンの共有結合により改変される抗体は、本発明によって包含される。本発明の抗体を改変するのに適当な親水性ポリマーは、線状もしくは分枝状であることができ、そして例えば、ポリアルカングリコール(例えば、PEG、モノメトキシ−ポリエチレングリコール(mPEG)、PPGなど)、炭水化物(例えば、デキストラン、セルロース、オリゴ糖、多糖など)、親水性アミノ酸のポリマー(例えば、ポリリシン、ポリアルギニン、ポリアスパルテートなど)、ポリアルカンオキシド(例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドなど)およびポリビニルピロリドンが包含される。好ましくは、本発明の抗体を改変する親水性ポリマーは、別個の分子存在として約800〜約150,000ダルトンの分子量を有する。例えば、PEG5000およびPEG20,000(ここで、下付き文字は、ダルトン単位のポリマーの平均分子量である)を用いることができる。親水性ポリマー基は、1〜約6個のアルキル、脂肪酸もしくは脂肪酸エステル基で置換することができる。脂肪酸もしくは脂肪酸エステル基で置換される親水性ポリマーは、適当な方法を用いることにより製造することができる。例えば、アミン基を含んでなるポリマーは、脂肪酸もしくは脂肪酸エステルのカルボキシレートに連結することができ、そして脂肪酸もしくは脂肪酸エステル上の活性化カルボキシレート(例えば、N,N−カルボニルジイミダゾールで活性化する)は、ポリマー上のヒドロキシル基に連結することができる。
本発明の抗体を改変するのに適当な脂肪酸および脂肪酸エステルは、飽和していることができ、または1つもしくはそれ以上の単位の不飽和を含有することができる。本発明の抗体を改変するのに適当な脂肪酸には、例えば、n−ドデカノエート(C12、ラウレート)、n−テトラデカノエート(C14、ミリステート)、n−オクタデカノエート(C
18、ステアレート)、n−エイコサノエート(C20、アラキデート)、n−ドコサノエート(C22、ベヘネート)、n−トリアコンタノエート(C30)、n−テトラコンタノエート(n−tetracontanoate)(C40)、シス−Δ9−オクタデカノエート(C18、オレエート)、全てのシス−Δ5,8,11,14−エイコサテトラエノエート(C20、アラキドネート)、オクタン二酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸、ドコサン二酸などが包含される。適当な脂肪酸エステルには、線状もしくは分枝状の低級アルキル基を含んでなるジカルボン酸のモノエステルが包含される。低級アルキル基は、1〜約12個、好ましくは1〜約6個の炭素原子を含んでなることができる。
改変されたヒト抗体および抗原結合フラグメントは、1つもしくはそれ以上の改変剤との反応によるような、適当な方法を用いて製造することができる。「改変剤」は、該用語を本明細書において用いる場合、活性化基を含んでなる適当な有機基(例えば、親水性ポリマー、脂肪酸、脂肪酸エステル)をさす。「活性化基」は、適切な条件下で、第二の化学基と反応し、それにより改変剤と第二の化学基との間で共有結合を形成することができる化学部分もしくは官能基である。例えば、アミン反応性活性化基には、トシレート、メシレート、ハロ(クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード)、N−ヒドロキシスクシンイミジルエステル(NHS)などのような求電子基が包含される。チオールと反応することができる活性化基には、例えば、マレイミド、ヨードアセチル、アクリロリル、ピリジルジスルフィド、5−チオール−2−ニトロ安息香酸チオール(TNB−チオール)などが包含される。アルデヒド官能基は、アミンもしくはヒドラジンを含有する分子に連結することができ、そしてアジド基は3価のリン基と反応してホスホルアミデートもしくはホスホルイミド結合を形成することができる。分子に活性化基を導入する適当な方法は、当該技術分野において既知である(例えば、Hermanson,G.T.,Bioconjugate Techniques,Academic Press:San Diego,CA(1996)を参照)。活性化基は、有機基(例えば、親水性ポリマー、脂肪酸、脂肪酸エステル)に直接、もしくはリンカー部分、例えば2価のC1〜C12基(ここで、1個もしくはそれ以上の炭素原子は、酸素、窒素もしくは硫黄のようなヘテロ原子で置換することができる)を介して結合することができる。適当なリンカー部分には、例えば、テトラエチレングリコール、−(CH2)3−、−NH−(CH2)6−NH−、−(CH2)2−NH−および−CH2−O−CH2−CH2−O−CH2−CH2−O−CH−NH−が包含される。リンカー部分を含んでなる改変剤は、例えば、モノ−Boc−アルキルジアミン(例えば、モノ−Boc−エチレンジアミン、モノ−Boc−ジアミノヘキサン)を1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)の存在下で脂肪酸と反応させて遊離アミンと脂肪酸カルボキシレートとの間でアミド結合を生成せしめることにより製造することができる。Boc保護基をトリフルオロ酢酸(TFA)での処理により生成物から除去して第一級アミンを露出することができ、それを記述されているように別のカルボキシレートに連結することができ、もしくは無水マレイン酸と反応させそして得られる生成物を環化して脂肪酸の活性化マレイミド誘導体を生成せしめることができる(例えば、Thompson,et al.,WO92/16221を参照、この全教示は、引用することにより本明細書に組み込まれる)。
本発明の改変された抗体は、ヒト抗体もしくは抗原結合フラグメントを改変剤と反応させることにより製造することができる。例えば、有機部分は、アミン反応性改変剤、例えばPEGのNHSエステルを用いることにより非部位特異的に抗体に結合することができる。改変されたヒト抗体もしくは抗原結合フラグメントはまた、抗体もしくは抗原結合フラグメントのジスルフィド結合(例えば、鎖内ジスルフィド結合)を還元することにより製造することもできる。還元した抗体もしくは抗原結合フラグメントは、次に、チオール反応性改変剤と反応させて本発明の改変された抗体を生成せしめることができる。本発明の抗体の特定の部位に結合している有機部分を含んでなる改変されたヒト抗体および抗原結合フラグメントは、逆タンパク質分解(Fisch et al.,Bioconju
gate Chem.,3:147−153(1992);Werlen et al.,Bioconjugate Chem.,5:411−417(1994);Kumaran et al.,Protein Sci.6(10):2233−2241(1997);Itoh et al.,Bioorg.Chem.,24(1):59−68(1996);Capellas et al.,Biotechnol.Bioeng.,56(4):456−463(1997))、およびHermanson,G.T.,Bioconjugate Techniques,Academic Press:San Diego,CA(1996)に記述されている方法のような適当な方法を用いて製造することができる。
本発明の抗体は、広範囲の親和性(KD)でヒトIL−6に結合することができる。好ましい態様として、本発明の少なくとも一つのヒトmAbは、場合により、高い親和性でヒトIL−6に結合することができる。例えば、mAbは、0.1〜9.9(またはその中の任意の範囲もしくは値)X10−7、10−8、10−9、10−10、10−11、10−12、10−13またはその中の任意の範囲もしくは値のようなしかしこれらに限定されるものではない、約10−7M以下のKDでヒトIL−6に結合することができる。
抗原に対する抗体の親和性もしくはアビディティーは、任意の適当な方法を用いて実験的に決定することができる。(例えば、Berzofsky,et al.,“Antibody−Antigen Interactions,” Fundamental Immunology,Paul,W.E.,Ed.,Raven Press:New
York,NY(1984);Kuby,Janis Immunology,W.H.Freeman and Company:New York,NY(1992);および本明細書に記述する方法を参照。)特定の抗体−抗原相互作用の測定される親和性は、異なる条件下(例えば、塩濃度、pH)で測定する場合に異なり得る。従って、親和性および他の抗原結合パラメーター(例えば、KD、Ka、Kd)の測定は、好ましくは、抗体および抗原の標準化溶液、ならびに本明細書に記述するバッファーのような標準化バッファーで行う。
本発明の方法および組成物において有用な抗IL−6 cCLB−8抗体は、IL−6への高親和性結合および場合によりそして好ましくは低い毒性を有することを特徴とする。特に、可変領域、定常領域およびフレームワークのような個々の成分が、個々にそして/もしくは集合的に、場合によりそして好ましくは低い免疫原性を有する、本発明の抗体、特定のフラグメントもしくは変異体は、本発明において有用である。本発明に用いることができる抗体は、場合により、症状の測定可能な軽減および低いそして/もしくは許容しうる毒性で長期間にわたって患者を処置できることを特徴とする。低いもしくは許容しうる免疫原性および/もしくは高い親和性、ならびに他の適当な性質は、得られる治療結果に寄与することができる。「低い免疫原性」は、処置する患者の約75%未満、もしくは好ましくは約50%未満において有意なHAHA、HACAもしくはHAMA応答を引き起こすこと、および/または処置する患者において低い力価をもたらすこと(二重抗原酵素免疫アッセイで測定する約300未満、好ましくは約100未満)(Elliott
et al.,Lancet 344:1125−1127(1994)、引用することにより全部が本明細書に組み込まれる)と本明細書において定義する。
cCLB8を他のIL−6特異的抗体CLB.IL−6/14およびCLB.IL−6/16と比較すると、抗体親和性およびエピトープ特異性の異なる特徴を認めることができる。IL−6に結合し、そして通常はIL−6とその受容体との間の相互作用を妨げる抗体、cCLB8は、IL−6依存性7TD1細胞増殖バイオアッセイおよびIL−6受容体へのIL−6結合のLuminexに基づくアッセイの両方において例示されるよう
にIL−6機能のほぼ100%を阻害することができる。対照的に、IL−6に結合するが、IL−6/IL−6R複合体とgp130シグナル伝達成分との間の相互作用を立体的に妨げることにより中和する抗体、CLB.IL−6/16は、結合したビオチン−IL−6の62%のみを阻害することができる。最後に、CLB.IL−6/14におけるように、IL−6に結合するが、その生物学的活性を妨げない抗体は、固相sIL−6R/gp80に結合するビオチン−IL−6の阻害を示さない。
少なくとも2つの異なる抗原に対する結合特異性を有するモノクローナル、ヒト化、抗体である二重特異性、ヘテロ特異性、ヘテロコンジュゲート(heteroconjugate)もしくは同様の抗体もまた用いることができる。本発明の場合、結合特異性の一方は少なくとも一つのIL−6タンパク質に対してであり、もう一方は任意の他の抗原に対してである。二重特異性抗体を製造する方法は、当該技術分野において既知である。従来、二重特異性抗体の組み換え生産は、2本の重鎖が異なる特異性を有する、2つの免疫グロブリン重鎖−軽鎖対の共発現に基づく(Milstein and Cuello,Nature 305:537(1983))。免疫グロブリン重鎖および軽鎖の任意の組み合わせのために、これらのハイブリドーマ(クアドローマ(quadroma))は、10種の異なる抗体分子の潜在的混合物を生成し、これらのうち1種のみが正しい二重特異性構造を有する。通常はアフィニティークロマトグラフィー工程によって行われる、正しい分子の精製は、かなり面倒であり、そして生成物収量は低い。同様の方法は、例えば、各々引用することにより全部が本明細書に組み込まれる、WO93/08829、米国特許第6210668号、第6193967号、第6132992号、第6106833号、第6060285号、第6037453号、第6010902号、第5989530号、第5959084号、第5959083号、第5932448号、第5833985号、第5821333号、第5807706号、第5643759号、第5601819号、第5582996号、第5496549号、第4676980号、WO91/00360、WO92/00373、EP03089、Traunecker et al.,EMBO J.10:3655(1991)、Suresh et al.,Methods in Enzymology 121:210(1986)に開示されている。
核酸分子
配列番号:1、2、3、4、5、6、7、8の少なくとも一つの連続するアミノ酸の少なくとも70〜100%をコードするヌクレオチド配列、その特定のフラグメント、変異体もしくは共通配列、またはこれらの配列の少なくとも一つを含んでなる寄託したベクターのような、本明細書に提供する情報を用いて、少なくとも一つのcCLB−8抗IL−6抗体をコードする本発明の核酸分子を本明細書に記述するかもしくは当該技術分野において既知であるような方法を用いて得ることができる。
本発明の核酸分子は、mRNA、hnRNA、tRNAもしくは任意の他の形態のようなRNAの形態、またはクローニングにより得られるかもしくは合成的に製造されるcDNAおよびゲノムDNAが包含されるがこれらに限定されるものではないDNAの形態、またはその任意の組み合わせであることができる。DNAは3本鎖、2本鎖もしくは1本鎖、またはその任意の組み合わせであることができる。DNAもしくはRNAの少なくとも1つの鎖の任意の部分は、センス鎖としても知られているコーディング鎖であることができ、またはそれはアンチセンス鎖とも呼ばれる非コーディング鎖であることができる。
本発明の単離された核酸分子には、場合により1個もしくはそれ以上のイントロンを有する、オープンリーディングフレーム(ORF)、例えば、少なくとも一つの重鎖(例えば、配列番号:1〜3)もしくは軽鎖(例えば、配列番号:4〜6)のCDR1、CDR2および/もしくはCDR3のような少なくとも一つのCDRの少なくとも一つの特定の部分(しかしこれらに限定されるものではない)を含んでなる核酸分子;抗IL−6抗体
もしくは可変領域のコーディング配列(例えば、配列番号:15もしくは16)を含んでなる核酸分子;および上記のものと実質的に異なるが、本明細書に記述するようにそして/もしくは当該技術分野において既知であるように遺伝暗号の縮重のために少なくとも一つの抗IL−6抗体をなおコードするヌクレオチド配列を含んでなる核酸分子を包含することができる。もちろん、遺伝暗号は当該技術分野において周知である。従って、本発明の特定の抗IL−6抗体をコードするそのような縮重核酸変異体を作製することは当業者にとって日常的である。例えば、Ausubel,et al.,上記を参照、そしてそのような核酸変異体は本発明に包含される。本発明の単離された核酸分子の限定されない例には、それぞれ、HC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2、LC CDR3、HC可変領域およびLC可変領域をコードする核酸の限定されない例に対応する;配列番号:9〜16が包含される。
本明細書において示すように、抗IL−6抗体をコードする核酸を含んでなる本発明の核酸分子には、それだけで、抗体フラグメントのアミノ酸配列をコードするもの;全抗体もしくはその一部のコーディング配列;抗体、フラグメントもしくは部分のコーディング配列、ならびに転写、スプライシングおよびポリアデニル化シグナルを包含するmRNAプロセシング(例えば、リボソーム結合およびmRNAの安定性)において役割を果たす転写され翻訳されない配列のような、非コーディング5’および3’配列が包含されるがこれらに限定されるものではない、追加の非コーディング配列と一緒に、少なくとも一つのイントロンのような、上記の追加のコーディング配列の有無で、少なくとも一つのシグナルリーダーもしくは融合ペプチドのコーディング配列のような追加の配列;追加の機能を与えるもののような、追加のアミノ酸をコードする追加のコーディング配列を含むことができるが、これらに限定されるものではない。従って、抗体をコードする配列は、抗体フラグメントもしくは部分を含んでなる融合した抗体の精製を容易にするペプチドをコードする配列のような、マーカー配列に融合させることができる。
本明細書に記述するようなポリヌクレオチドに選択的にハイブリダイズするポリヌクレオチド
本発明は、本明細書に開示するポリヌクレオチドに選択的ハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする単離された核酸を提供する。従って、本態様のポリヌクレオチドは、そのようなポリヌクレオチドを含んでなる核酸を単離、検出および/もしくは定量するのに用いることができる。例えば、本発明のポリヌクレオチドは、寄託ライブラリーにおける部分もしくは全長クローンを同定、単離、もしくは増幅するのに用いることができる。ある態様として、ポリヌクレオチドは、単離された、またはそうでなければヒトもしくは哺乳類核酸ライブラリーからのcDNAに相補的なゲノムもしくはcDNA配列である。
好ましくは、cDNAライブラリーは、少なくとも80%の全長配列、好ましくは少なくとも85%もしくは90%の全長配列、そしてより好ましくは少なくとも95%の全長配列を含んでなる。cDNAライブラリーは、稀な配列の表示を上げるために標準化することができる。低いもしくは中程度のストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件は、典型的にしかし限定的ではなく、相補的配列に対する減少した配列同一性を有する配列で用いられる。中程度および高いストリンジェンシー条件は、場合により、より大きい同一性の配列に用いることができる。低いストリンジェンシー条件は、約70%の配列同一性を有する配列の選択的ハイブリダイゼーションを可能にし、そしてオーソロガスもしくはパラロガス配列を同定するために用いることができる。
場合により、本発明のポリヌクレオチドは、本明細書に記述するポリヌクレオチドによりコードされる抗体の少なくとも一部をコードする。本発明のポリヌクレオチドには、本発明の抗体をコードするポリヌクレオチドへの選択的ハイブリダイゼーションに用いるこ
とができる核酸配列が包含される。例えば、各々引用することにより全部が本明細書に組み込まされる、Ausubel 上記;Colligan,上記を参照。
核酸の構築
本発明の単離された核酸は、当該技術分野において周知であるように、(a)組み換え法、(b)合成技術、(c)精製技術、もしくはその組み合わせを用いて製造することができる。
核酸は、本発明のポリヌクレオチドに加えて配列を都合よく含んでなることができる。例えば、ポリヌクレオチドの単離に役立つように1個もしくはそれ以上のエンドヌクレアーゼ制限部位を含んでなるマルチクローニング部位を核酸に挿入することができる。また、本発明の翻訳されたポリヌクレオチドの単離に役立つように翻訳可能な配列を挿入することができる。例えば、ヘキサ−ヒスチジンマーカー配列は、本発明のタンパク質を精製するために都合の良い手段を提供する。コーディング配列を除く本発明の核酸は、場合により、本発明のポリヌクレオチドのクローニングおよび/もしくは発現用のベクター、アダプター、もしくはリンカーである。
そのようなクローニングおよび/もしくは発現配列に、クローニングおよび/もしくは発現におけるそれらの機能を最適化するために、ポリヌクレオチドの単離に役立つように、または細胞へのポリヌクレオチドの導入を高めるために追加の配列を加えることができる。クローニングベクター、発現ベクター、アダプター、およびリンカーの使用は、当該技術分野において周知である(例えば、Ausubel,上記;もしくはSambrook,上記を参照)。
核酸を構築するための組み換え法
RNA、cDNA、ゲノムDNA、もしくはその任意の組み合わせのような、本発明の単離された核酸組成物は、当業者に既知である任意の数のクローニング方法論を用いて生物学的供給源から得ることができる。ある態様として、ストリンジェントな条件下で、本発明のポリヌクレオチドに選択的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブを、cDNAもしくはゲノムDNAライブラリーにおける所望の配列を同定するために用いる。RNAの単離、ならびにcDNAおよびゲノムライブラリーの構築は、当業者に周知である(例えば、Ausubel,上記;もしくはSambrook,上記を参照)。
核酸スクリーニングおよび単離方法
cDNAもしくはゲノムライブラリーは、本明細書に開示するもののような、本発明のポリヌクレオチドの配列に基づくプローブを用いてスクリーニングすることができる。プローブは、同じもしくは異なる生物体における相同遺伝子を単離するためにゲノムDNAもしくはcDNA配列とハイブリダイズするように用いることができる。当業者は、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーの様々な程度をアッセイに用いることができ;そしてハイブリダイゼーションもしくは洗浄媒質のいずれかがストリンジェントであることができることを認識する。ハイブリダイゼーションの条件がストリンジェントになるにつれて、二本鎖形成が起こるためにはプローブと標的との間の相補性の程度が大きくなければならない。ストリンジェンシーの程度は、温度、イオン強度、pHおよびホルムアミドのような部分的に変性する溶媒の存在の1つもしくはそれ以上により制御することができる。例えば、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、例えば、0%〜50%の範囲内のホルムアミドの濃度の操作によって反応物質溶液の極性を変えることにより都合よく変えられる。検出可能な結合に必要な相補性(配列同一性)の程度は、ハイブリダイゼーション媒質および/もしくは洗浄媒質のストリンジェンシーにより異なる。相補性の程度は、最適には100%、もしくは70〜100%、またはその中の任意の範囲もしくは値である。しかしながら、プローブおよびプライマーにおけるわずかな配列変異は、
ハイブリダイゼーションおよび/もしくは洗浄媒質のストリンジェンシーを下げることにより補正することができると理解されるべきである。
RNAもしくはDNAの増幅の方法は当該技術分野において周知であり、そして本明細書に提示する教示およびガイダンスに基づいて、過度の実験なしに本発明に従って用いることができる。
DNAもしくはRNA増幅の既知の方法には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)および関連増幅プロセス(例えば、Mullis,et al.への米国特許第4,683,195号、第4,683,202号、第4,800,159号、第4,965,188号;Tabor,et alへの第4,795,699号および第4,921,794号;Innisへの第5,142,033号;Wilson,et al.への第5,122,464号;Innisへの第5,091,310号;Gyllensten,et alへの第5,066,584号;Gelfand,et alへの第4,889,818号;Silver,et alへの第4,994,370号;Biswasへの第4,766,067号;Ringoldへの第4,656,134号を参照)ならびに二本鎖DNA合成の鋳型として標的配列に対するアンチセンスRNAを用いるRNA媒介増幅(Malek,et alへの米国特許第5,130,238号、商標名NASBAを有する)が包含されるが、これらに限定されるものではなく、これらの参考文献の全内容は、引用することにより本明細書に組み込まれる(例えば、Ausubel,上記;もしくはSambrook,上記を参照)。
例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術は、ゲノムDNAもしくはcDNAライブラリーから直接本発明のポリヌクレオチドおよび関連遺伝子の配列を増幅するために用いることができる。PCRおよび他のインビトロ増幅方法はまた、例えば、発現されるタンパク質をコードする核酸配列をクローン化するため、サンプルにおける所望のmRNAの存在を検出するためのプローブとして使用する核酸を製造するため、核酸塩基配列決定のため、もしくは他の目的のために有用であることもできる。インビトロ増幅方法に当業者を導くのに十分な技術の例は、Berger,上記、Sambrook,上記、およびAusubel,上記、ならびにMullis,et al.,米国特許第4,683,202号(1987);およびInnis,et al.,PCR Protocols
A Guide to Methods and Applications,Eds.,Academic Press Inc.,San Diego、CA(1990)に見出される。ゲノムPCR増幅用の市販されているキットは、当該技術分野において既知である。例えば、Advantage−GC Genomic PCRキット(Clontech)を参照。さらに、例えば、T4遺伝子32タンパク質(Boehringer Mannheim)は、長いPCR生成物の収量を高めるために用いることができる。
核酸を構築するための合成方法
本発明の単離された核酸はまた、既知の方法(例えば、Ausubel,et al.,上記を参照)による直接化学合成により製造することもできる。化学合成は、一般に、一本鎖オリゴヌクレオチドを生成し、これを相補的配列とのハイブリダイゼーションにより、もしくは鋳型として一本鎖を用いるDNAポリメラーゼでの重合により二本鎖DNAに転化することができる。当業者は、DNAの化学合成は約100塩基もしくはそれ以上の配列に限定され得るが、より長い配列を短い配列の連結により得ることができることを認識する。
組み換え発現カセット
本発明はさらに、本発明の核酸を含んでなる組み換え発現カセットを提供する。本発明
の核酸配列、例えば、本発明の抗体をコードするcDNAもしくはゲノム配列は、少なくとも一つの所望の宿主細胞に導入することができる組み換え発現カセットを構築するために用いることができる。組み換え発現カセットは、典型的に、意図する宿主細胞におけるポリヌクレオチドの転写を導く転写開始調節配列に操作可能に連結された本発明のポリヌクレオチドを含んでなる。異種および非異種(すなわち、内因性)プロモーターの両方を本発明の核酸の発現を導くために用いることができる。
ある態様として、プロモーター、エンハンサー、もしくは他の要素として働く単離された核酸を、本発明のポリヌクレオチドの発現をアップもしくはダウンレギュレーションするように本発明のポリヌクレオチドの非異種形態の適切な位置(上流、下流もしくはイントロン中)に導入することができる。例えば、内因性プロモーターを突然変異、欠失および/もしくは置換によりインビボもしくはインビトロにおいて改変することができる。
ベクターおよび宿主細胞
本発明はまた、当該技術分野において周知であるような、本発明の単離された核酸分子を含むベクター、組み換えベクターで遺伝子操作される宿主細胞、および組み換え技術による少なくとも一つの抗IL−6抗体の生産にも関する。例えば、各々引用することにより全部が本明細書に組み込まれる、Sambrook,et al.,上記;Ausubel,et al.,上記を参照。
ポリヌクレオチドは、場合により、宿主における増殖の選択可能なマーカーを含有するベクターに連結することができる。一般に、プラスミドベクターは、リン酸カルシウム沈殿のような沈殿において、もしくは荷電脂質との複合体において導入される。ベクターがウイルスである場合、それを適切なパッケージング細胞系を用いてインビトロにおいてパッケージングし、そして次に宿主細胞に形質導入することができる。
DNAインサートは、適切なプロモーターに操作可能に連結されるべきである。発現構築物はさらに、転写開始、終結の部位および転写される領域中に翻訳のためのリボソーム結合部位を含有する。構築物により発現される成熟転写産物のコーディング部分は、好ましくは、最初に翻訳開始および翻訳されるmRNAの末端に適切に位置する終止コドン(例えば、UAA、UGAもしくはUAG)を含み、哺乳類もしくは真核細胞発現にはUAAおよびUAGが好ましい。
発現ベクターは、好ましくはしかし場合により、少なくとも一つの選択可能なマーカーを含む。そのようなマーカーには、例えば、真核細胞培養物ではメトトレキセート(MTX)、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR、米国特許第4,399,216号;第4,634,665号;第4,656,134号;第4,956,288号;第5,149,636号;第5,179,017号)、アンピシリン、ネオマイシン(G418)、ミコフェノール酸、もしくはグルタミン合成酵素(GS、米国特許第5,122,464号;第5,770,359号;第5,827,739号)耐性、ならびにエシェリキア・コリ(E.coli)および他の細菌もしくは原核生物における培養ではテトラサイクリンもしくはアンピシリン耐性遺伝子が包含されるが、これらに限定されるものではない(上記の特許は、引用することにより全部が本明細書に組み込まれる)。上記の宿主細胞の適切な培養培地および条件は、当該技術分野において既知である。適当なベクターは、当業者に容易に明らかである。宿主細胞へのベクター構築物の導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、カチオン脂質媒介トランスフェクション、電気穿孔、形質導入、感染もしくは他の既知の方法によりもたらすことができる。そのような方法は、Sambrook,上記、1−4および16−18章;Ausubel,上記、1、9、13、15、16章のような、当該技術分野において記述されている。
本発明の少なくとも一つの抗体は、融合タンパク質のような改変された形態で発現することができ、そして分泌シグナルだけでなく、追加の異種の機能性領域も含むことができる。例えば、追加のアミノ酸、特に荷電したアミノ酸の領域は、精製中、もしくはその後の処理および保存中に、宿主細胞における安定性およびおよび持続性を高めるために抗体のN末端に付加することができる。ペプチド部分もまた、精製を容易にするために本発明の抗体に付加することができる。そのような領域は、抗体もしくはその少なくとも一つのフラグメントの最終調製の前に除去することができる。そのような方法は、Sambrook,上記、17.29−17.42および18.1−18.74章;Ausubel,上記、16、17および18章のような、多数の標準的な実験室マニュアルに記述されている。
当業者は、本発明のタンパク質をコードする核酸の発現に利用可能な多数の発現系に通じている。
あるいはまた、本発明の核酸は、本発明の抗体をコードする内因性DNAを含有する宿主細胞中で作動させることにより(操作により)宿主細胞において発現することができる。そのような方法は、例えば、引用することにより全部が本明細書に組み込まれる、米国特許第5,580,734号、第5,641,670号、第5,733,746号、および第5,733,761号に記述されているように、当該技術分野において周知である。
抗体、その特定の部分もしくは変異体の生産に有用な細胞培養物の実例は、哺乳類細胞である。哺乳類細胞系は、哺乳類細胞懸濁液もしくはバイオリアクターもまた用いることができるが、細胞の単層の形態であることが多い。完全なグリコシル化タンパク質を発現することができる多数の適当な宿主細胞系が当該技術分野において開発されており、そしてCOS−1(例えば、ATCC CRL 1650)、COS−7(例えば、ATCC
CRL−1651)、HEK293、BHK21(例えば、ATCC CRL−10)、CHO(例えば、ATCC CRL 1610)およびBSC−1(例えば、ATCC
CRL−26)細胞系、Cos−7細胞、CHO細胞、hep G2細胞、P3X63Ag8.653、SP2/0−Ag14、293細胞、HeLa細胞などが包含され、これらは、例えば、American Type Culture Collection,Manassas,Va(www.atcc.org)から容易に入手できる。好ましい宿主細胞には、骨髄腫およびリンパ腫細胞のようなリンパ球系由来の細胞が包含される。特に好ましい宿主細胞は、P3X63Ag8.653細胞(ATCC受託番号CRL−1580)およびSP2/0−Ag14細胞(ATCC受託番号CRL−1851)である。特に好ましい態様として、組み換え細胞はP3X63Ag8.653もしくはSP2/0−Ag14細胞である。
これらの細胞の発現ベクターは、以下の発現制御配列、例えば、複製起点;プロモーター(例えば、後期もしくは初期SV40プロモーター、CMVプロモーター(米国特許第5,168,062号;第5,385,839号)、HSV tkプロモーター、pgk(ホスホグリセリン酸キナーゼ)プロモーター、EF−1アルファプロモーター(米国特許第5,266,491号)、少なくとも一つのヒト免疫グロブリンプロモーター);エンハンサー、ならびに/もしくはリボソーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位(例えば、SV40ラージT AgポリA付加部位)のようなプロセシング情報部位、および転写ターミネーター配列(しかしこれらに限定されるものではない)の一つもしくはそれ以上を含むことができる。例えば、Ausubel et al.,上記;Sambrook,et al.,上記を参照。本発明の核酸もしくはタンパク質の生産に有用な他の細胞は既知であり、そして/あるいは例えばAmerican Type
Culture Collection Catalogue of Cell Li
nes and Hybridomas(www.atcc.org)または他の既知のもしくは商業的供給源から入手できる。
真核宿主細胞を用いる場合、典型的に、ポリアデニル化もしくは転写ターミネーター配列をベクターに導入する。ターミネーター配列の例は、ウシ成長ホルモン遺伝子からのポリアデニル化配列である。転写産物の正確なスプライシングのための配列もまた含むことができる。スプライシング配列の例は、SV40からのVP1イントロンである(Sprague,et al.,J.Virol.45:773−781(1983))。さらに、当該技術分野において既知であるように、宿主細胞における複製を制御する遺伝子配列をベクターに導入することができる。
抗体の生産
本発明の少なくとも一つの抗IL−6抗体は、場合により、当該技術分野において周知であるように、細胞系、混合細胞系、不死化細胞系もしくは不死化細胞のクローン集団により生産することができる。例えば、各々引用することにより全部が本明細書に組み込まれる、Ausubel,et al.,ed.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,Inc.,NY,NY(1987−2001);Sambrook,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Edition,Cold Spring Harbor,NY(1989);Harlow and Lane,antibodies,a Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,NY(1989);Colligan,et al.,eds.,Current Protocols in Immunology,John Wiley & Sons,Inc.,NY(1994−2001);Colligan et al.,Current Protocols in Protein Science,John Wiley & Sons,NY,NY(1997−2001)を参照。
一つの方法として、ハイブリドーマは、適当な不死細胞系(例えば、Sp2/0、SP2/0−AG14、NSO、NS1、NS2、AE−1、L.5、>243、P3X63Ag8.653、Sp2 SA3、Sp2 MAI、SP2 SS1、SP2 SA5、U937、MLA 144、ACT IV、MOLT4、DA−1、JURKAT、WEHI、K−562、COS、RAJI、NIH 3T3、HL−60、MLA 144、NAMAIWA、NEURO 2Aなどのようなしかしこれらに限定されるものではない骨髄腫細胞系、もしくはヘテロ骨髄腫、その融合生成物、またはそれから得られる任意の細胞もしくは融合細胞、または当該技術分野において既知であるような任意の他の適当な細胞系、例えば、www.atcc.org、www.lifetech.com.などを参照)を単離されたもしくはクローン化された脾臓、末梢血、リンパ、扁桃、または他の免疫もしくはB細胞含有細胞、あるいは内因性もしくは異種の核酸のいずれかとして、組み換えもしくは内因性の、ウイルス、細菌、藻類、原核生物、両生類、昆虫、爬虫類、魚類、哺乳類、げっ歯類、ウマ、ヒツジ(ovine)、ヤギ、ヒツジ(sheep)、霊長類、真核生物の、ゲノムDNA、cDNA、rDNA、ミトコンドリアDNAもしくはRNA、葉緑体DNAもしくはRNA、hnRNA、mRNA、tRNA、一本鎖、二本鎖もしくは三本鎖、ハイブリダイズしたなどまたはその任意の組み合わせとして、重鎖もしくは軽鎖定常もしくは可変もしくはフレームワークもしくはCDR配列を発現する任意の他の細胞のようなしかしこれらに限定されるものではない抗体産生細胞と融合させることにより作製する。例えば、引用することにより全部が本明細書に組み込まれる、Ausubel,上記、およびColligan,Immunology,上記、2章を参照。
任意の他の適当な宿主細胞もまた、本発明の抗体、その特定のフラグメントもしくは変異体をコードする異種もしくは内因性核酸を発現するのに用いることができる。融合した細胞(ハイブリドーマ)もしくは組み換え細胞は、選択的培養条件もしくは他の適当な既知の方法を用いて単離し、そして限界希釈もしくは細胞選別、または他の既知の方法によりクローン化することができる。所望の特異性を有する抗体を生産する細胞は、適当なアッセイ(例えば、ELISA)により選択することができる。
本発明の抗体はまた、ヤギ、ウシ、ウマ、ヒツジなどのような、それらのミルク中にそのような抗体を生産するトランスジェニック動物もしくは哺乳類を提供するように少なくとも一つの抗IL−6抗体をコードする核酸を用いて生産することもできる。そのような動物は、既知の方法を用いて提供することができる。例えば、米国特許第5,827,690号;第5,849,992号;第4,873,316号;第5,849,992号;第5,994,616号、第5,565,362号;第5,304,489号など(しかし、これらに限定されるものではない)を参照、これらの各々は、引用することにより全部が本明細書に組み込まれる。
本発明の抗体はさらに、そのような抗体、特定の部分もしくは変異体を植物の部分においてもしくはそれから培養する細胞において生産するトランスジェニック植物および培養植物細胞(例えば、タバコおよびトウモロコシ、しかしこれらに限定されるものではない)を提供するように少なくとも一つの抗IL−6抗体をコードする核酸を用いて生産することができる。限定されない例として、組み換えタンパク質を発現するトランスジェニックタバコ葉は、例えば、誘導性プロモーターを用いて、大量の組み換えタンパク質を提供するために成功裡に用いられている。例えば、Cramer et al.,Curr.Top.Microbol.Immunol.240:95−118(1999)およびその中に引用される参考文献を参照。また、トランスジェニックトウモロコシは、他の組み換え系において生産されるかもしくは自然源から精製されるものと同等の生物学的活性を有して、商業生産レベルで哺乳類タンパク質を発現するために用いられている。例えば、Hood et al.,Adv.Exp.Med.Biol.464:127−147(1999)およびその中に引用される参考文献を参照。抗体はまた、タバコ種子およびジャガイモ塊茎を包含する、一本鎖抗体(scFv’s)のような抗体フラグメントを含むトランスジェニック植物種子から大量に生産されている。例えば、Conrad et al.,Plant Mol.Biol.38:101−109(1998)およびその中に引用される参考文献を参照。従って、本発明の抗体はまた、既知の方法に従って、トランスジェニック植物を用いて生産することもできる。例えば、Fischer et al.,Biotechnol.Appl.Biochem.30:99−108(Oct.,1999)、Ma et al.,Trends Biotechnol.13:522−7(1995);Ma et al.,Plant Physiol.109:341−6(1995);Whitelam et al.,Biochem.Soc.Trans.22:940−944(1994);およびその中に引用される参考文献も参照。しかしこれらに限定されるものではない。上記の参考文献の各々は、引用することにより全部が本明細書に組み込まれる。
抗体の精製
抗IL−6抗体は、プロテインA精製、硫酸アンモニウムもしくはエタノール沈殿、酸抽出、陰イオンもしくは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーおよびレクチンクロマトグラフィーが包含されるがこれらに限定されるものではない周知の方法により組み換え細胞培養物から回収し、精製することができる。高速液体クロマトグラフィー(「HPLC」)もまた、精製に用いることができる。例えば、各々引用することにより全部が本明細書に組み込まれる、Co
lligan,Current Protocols in Immunology、もしくはCurrent Protocols in Protein Science,John Wiley & Sons,NY,NY,(1997−2001)、例えば、1、4、6、8、9、10章を参照。
本発明の抗体には、天然で精製される生成物、化学合成法の生成物、ならびに例えば、酵母、高等植物、昆虫および哺乳類細胞を包含する真核生物宿主から組み換え技術により生産される生成物が包含される。組み換え生産方法に用いる宿主により、本発明の抗体はグリコシル化されることができ、もしくはグリコシル化されないことができ、グリコシル化されるのが好ましい。そのような方法は、全て引用することにより全部が本明細書に組み込まれる、Sambrook,上記、17.37−17.42節;Ausubel,上記、10、12、13、16、18および20章、Colligan,Protein Science,上記、12−14章のような、多数の標準的な実験室マニュアルに記述されている。
哺乳類細胞におけるIL−6抗体のクローニングおよび発現
典型的な哺乳類発現ベクターは、mRNAの転写の開始を媒介する少なくとも一つのプロモーター要素、抗体コーディング配列、ならびに転写の終結および転写産物のポリアデニル化に必要なシグナルを含有する。追加の要素には、エンハンサー、コザック配列ならびにRNAスプライシングの供与および受容部位が隣接する介在配列が包含される。非常に効率のよい転写は、SV40からの初期および後期プロモーター、レトロウイルス、例えば、RSV、HTLVI、HIVIからの長い末端反復(lTR)ならびにサイトメガロウイルス(CMV)の初期プロモーターで得ることができる。しかしながら、細胞要素もまた用いることができる(例えば、ヒトアクチンプロモーター)。本発明を実施することに使用する適当な発現ベクターには、例えば、pIRES1neo、pRetro−Off、pRetro−On、PLXSN、もしくはpLNCX(Clontech Labs,Palo Alto,CA)、pcDNA3.1(+/−)、pcDNA/Zeo(+/−)もしくはpcDNA3.1/Hygo(+/−)(Invitrogen)、PSVLおよびPMSG(Pharmacia,Uppsala,Sweden)、pRSVcat(ATCC 37152)、pSV2dhfr(ATCC 37146)およびpBC12MI(ATCC 67109)のようなベクターが包含される。用いることができる哺乳類宿主細胞には、ヒトHela 293、H9およびJurkat細胞、マウスNIH3T3およびC127細胞、Cos1、Cos7およびCV1、ウズラQC1−3細胞、マウスL細胞ならびにチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞が包含される。
あるいはまた、遺伝子は、染色体に組み込まれた遺伝子を含有する安定な細胞系において発現することができる。dhfr、gpt、ネオマイシン、もしくはハイグロマイシンのような選択可能なマーカーとの共トランスフェクションは、トランスフェクションした細胞の同定および単離を可能にする。
トランスフェクションした遺伝子はまた、大量のコードする抗体を発現するために増幅することもできる。DHFR(ジヒドロ葉酸還元酵素)マーカーは、数百もしくは数千コピーさえの対象の遺伝子を保有する細胞系を開発するのに有用である。別の有用な選択マーカーは、酵素グルタミン合成酵素(GS)(Murphy,et al.,Biochem.J.227:277−279(1991);Bebbington,et al.,Bio/Technology 10:169−175(1992))である。これらのマーカーを用いて、哺乳類細胞を選択培地において培養し、そして最も高い耐性を有する細胞を選択する。これらの細胞系は、染色体に組み込まれた増幅遺伝子(1つもしくは複数)を含有する。チャイニーズハムスター卵巣(CHO)およびNSO細胞は、抗体の
生産に使用されることが多い。
発現ベクターpC1およびpC4は、ラウス肉腫ウイルスの強力なプロモーター(LTR)(Cullen,et al.,Molec.Cell.Biol.5:438−447(1985))に加えてCMV−エンハンサーのフラグメント(Boshart,et al.,Cell 41:521−530(1985))を含有する。例えば、制限酵素切断部位BamHI、XbaIおよびAsp718を有する、マルチクローニング部位は、対象の遺伝子のクローニングを容易にする。これらのベクターはさらに、ラットプレプロインシュリン遺伝子の3’イントロン、ポリアデニル化および終結シグナルを含有する。
CHO細胞におけるクローニングおよび発現
ベクターpC4をIL−6抗体の発現に用いる。プラスミドpC4は、プラスミドpSV2−dfhr(ATCC受託番号37146)の誘導体である。該プラスミドは、SV40初期プロモーターの制御下のマウスDHFR遺伝子を含有する。これらのプラスミドでトランスフェクションするジヒドロ葉酸活性を欠いているチャイニーズハムスター卵巣細胞もしくは他の細胞は、化学療法剤メトトレキセートを補足した選択培地(例えば、アルファマイナスMEM、Life Technologies,Gaithersburg,MD)において細胞を培養することにより選択することができる。メトトレキセート(MTX)に耐性の細胞におけるDHFR遺伝子の増幅は、十分に立証されている(例えば、F.W.Alt,et al.,J.Biol.Chem.253:1357−1370(1978);J.L.Hamlin and C.Ma,Biochem.et Biophys.Acta 1097:107−143(1990);およびM.J.Page and M.A.Sydenham,Biotechnology 9:64−68(1991)を参照)。増加する濃度のMTXにおいて培養した細胞は、DHFR遺伝子の増幅の結果として、標的酵素DHFRを過剰生産することにより薬剤に対する耐性を生じる。第二の遺伝子をDHFR遺伝子に連結する場合、それは通常共増幅され、そして過剰発現される。この方法は、1,000コピーより多くの増幅遺伝子(1つもしくは複数)を保有する細胞系を開発するのに使用できることが当該技術分野において既知である。次に、メトトレキセートを中止すると、宿主細胞の1つもしくはそれ以上の染色体に組み込まれた増幅遺伝子を含有する細胞系が得られる。
プラスミドpC4は、対象の遺伝子を発現するためにラウス肉腫ウイルスの長い末端反復(LTR)の強力なプロモーター(Cullen,et al.,Molec.Cell.Biol.5:438−447(1985))に加えてヒトサイトメガロウイルス(CMV)の前初期遺伝子のエンハンサーから単離されたフラグメント(Boshart,et al.,Cell 41:521−530(1985))を含有する。プロモーターの下流には、遺伝子の組み込みを可能にするBamHI、XbaI、およびAsp718制限酵素切断部位がある。これらのクローニング部位の後ろにプラスミドは、ラットプレプロインシュリン遺伝子の3’イントロンおよびポリアデニル化部位を含有する。他の高い効率のプロモーター、例えば、ヒトβ−アクチンプロモーター、SV40初期もしくは後期プロモーターまたは他のレトロウイルス、例えば、HIVおよびHTLVIからの長い末端反復もまた発現に用いることができる。ClontechのTet−OffおよびTet−On遺伝子発現系および同様の系は、IL−6を哺乳類細胞において調節して発現するために用いることができる(M.Gossen,and H.Bujard,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:5547−5551(1992))。mRNAのポリアデニル化には、例えばヒト成長ホルモンもしくはグロビン遺伝子からの他のシグナルを同様に用いることができる。染色体に組み込まれた対象の遺伝子を保有する安定な細胞系はまた、gpt、G418もしくはハイグロマイシンのような選択可能なマーカーと共トランスフェクションして選択することもできる。最初は1種より多く
の選択可能なマーカー、例えばG418に加えてメトトレキセートを用いることが好都合である。
当該技術分野において既知である方法により、プラスミドpC4を制限酵素で消化し、そして次にウシ腸ホスファターゼを用いて脱リン酸する。次に、ベクターを1%アガロースゲルから単離する。
既知の方法工程に従って、例えば、本発明のIL−6抗体のHCおよびLC可変領域に対応する、配列番号:7および8に提示するような、完全なIL−6抗体をコードするDNA配列を用いる。適当なヒト定常領域(すなわち、HCおよびLC領域)をコードする単離された核酸もまた、この構築物に用いる。
単離された可変および定常領域をコードするDNAおよび脱リン酸したベクターを次にT4 DNAリガーゼで連結する。次に、エシェリキア・コリHB101もしくはXL−1 Blue細胞を形質転換し、そして例えば、制限酵素分析を用いて、プラスミドpC4に挿入されたフラグメントを含有する細菌を同定する。
活性のDHFR遺伝子を欠いているチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞をトランスフェクションに用いる。5μgの発現プラスミドpC4をリポフェクチンを用いて0.5μgのプラスミドpSV2−neoと共トランスフェクションする。プラスミドpSV2neoは、優性の選択可能なマーカー、G418を包含する一群の抗生物質に対する耐性を与える酵素をコードするTn5からのneo遺伝子を含有する。1μg/mlのG418を補足したアルファマイナスMEMに細胞を接種する。2日後に、細胞をトリプシン消化し、そして10、25、もしくは50ng/mlのメトトレキセートに加えて1μg/mlのG418を補足したアルファマイナスMEMにおいてハイブリドーマクローニングプレート(Greiner,Germany)に接種する。約10〜14日後に単一クローンをトリプシン消化し、そして次に異なる濃度のメトトレキセート(50nM、100nM、200nM、400nM、800nM)を用いて6ウェルのペトリ皿もしくは10mlのフラスコに接種する。次に、最も高い濃度のメトトレキセートで増殖するクローンをさらに高い濃度のメトトレキセート(1mM、2mM、5mM、10mM、20mM)を含有する新しい6ウェルプレートに移す。100〜200mMの濃度で増殖するクローンが得られるまで同じ手順を繰り返す。所望の遺伝子産物の発現は、例えば、SDS−PAGEおよびウェスタンブロットによりもしくは逆相HPLC分析により分析する。
抗IL−6抗体組成物に対する抗イディオタイプ抗体
モノクローナルもしくはキメラ抗IL−6抗体に加えて、本発明はまた、本発明のそのような抗体に特異的な抗イディオタイプ(抗Id)抗体にも関する。抗Id抗体は、別の抗体の抗原結合領域と一般に関連する独特な決定基を認識する抗体である。抗Idは、Id抗体の供給源と同じ種および遺伝子型の動物(例えばマウス系統)を抗体もしくはそのCDR含有領域で免疫感作することにより製造することができる。免疫感作した動物は、免疫抗体のイディオタイプ決定基を認識しそして応答し、抗Id抗体を生産する。抗Id抗体はまた、さらに別の動物における免疫応答を誘導するために「免疫原」として用い、いわゆる抗抗Id抗体を生産することもできる。
抗IL−6抗体組成物
本発明はまた、天然に存在しない組成物、混合物もしくは形態で提供される本明細書に記述するようなそして/もしくは当該技術分野において既知であるような、その少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つもしくはそれ以上の抗IL−6抗体を含んでなる少なくとも一つの抗IL−6抗体組成物も提供する。そのような組成物は、配列番号:1、2、3、4、5、6、7、8の
連続するアミノ酸の70〜100%、またはその特定のフラグメント、ドメインもしくは変異体よりなる群から選択される抗IL−6抗体アミノ酸配列の、少なくとも一つもしくは二つの全長、Cおよび/もしくはN末端欠失変異体、ドメイン、フラグメント、または特定の変異体を含んでなる天然に存在しない組成物を含んでなる。好ましい抗IL−6抗体組成物は、配列番号:1、2、3、4、5、6の70〜100%、またはその特定のフラグメント、ドメインもしくは変異体の抗IL−6抗体配列の少なくとも一つのCDRもしくはLBR含有部分として少なくとも一つもしくは二つの全長、フラグメント、ドメインもしくは変異体を含む。さらに好ましい組成物は、配列番号:1、2、3、4、5、6の70〜100%、またはその特定のフラグメント、ドメインもしくは変異体の少なくとも一つを40〜99%含んでなる。そのような組成物パーセンテージは、当該技術分野において既知であるようにもしくは本明細書に記述するように、液体もしくは乾燥溶液、混合物、懸濁液、乳濁液もしくはコロイドとしての重量、容量、濃度、モル濃度、または重量モル濃度による。
本発明の抗IL−6抗体組成物はさらに、場合により少なくとも一つのTNFアンタゴニスト(例えば、TNF抗体もしくはフラグメント、可溶性TNF受容体もしくはフラグメント、その融合タンパク質、または小分子TNFアンタゴニスト、しかしこれらに限定されるものではない)、抗リウマチ剤(例えば、メトトレキセート、オーラノフィン、金チオグルコース、アザチオプリン、エタネルセプト、金チオリンゴ酸ナトリウム、硫酸ヒドロキシクロロキン、レフルノミド、スルファサラジン)、筋肉弛緩剤、麻酔薬、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、鎮痛剤、麻酔剤、鎮静剤、局所麻酔剤、神経筋遮断薬、抗菌剤(例えば、アミノグリコシド、抗真菌剤、抗寄生虫剤、抗ウイルス薬、カルバペネム、セファロスポリン、フルオロキノロン(flurorquinolone)、マクロライド、ペニシリン、スルホンアミド、テトラサイクリン、別の抗菌剤)、乾癬治療薬、コルチコステロイド、タンパク同化ステロイド、糖尿病関連薬、ミネラル、栄養、甲状腺薬、ビタミン、カルシウム関連ホルモン、止痢薬、鎮咳薬、制吐薬、抗潰瘍薬、下剤、抗凝血剤、エリスロポエチン(例えば、エポエチンアルファ)、フィルグラスチム(例えば、G−CSF,Neupogen)、サルグラモスチム(GM−CSF,Leukine)、免疫化薬、免疫グロブリン、免疫抑制薬(例えば、バシリキシマブ、サイクロスポリン、ダクリズマブ)、成長ホルモン、ホルモン補充薬、エストロゲン受容体モジュレーター、散瞳薬、毛様筋調節薬、アルキル化剤、代謝拮抗剤、分裂抑制剤、放射性医薬品、抗欝薬、抗躁病薬、抗精神病薬、抗不安薬、睡眠薬、交感神経刺激薬、興奮剤、ドネペジル、タクリン、喘息薬、ベータアゴニスト、吸入用ステロイド、ロイコトリエンインヒビター、メチルキサンチン、クロモリン、エピネフリンもしくは類似物、ドルナーゼアルファ(Pulmozyme)、サイトカインまたはサイトカインアンタゴニストから選択される少なくとも一つをさらに含んでなる、そのような調節、処置もしくは治療を必要とする細胞、組織、臓器、動物もしくは患者に対する少なくとも一つの抗IL−6抗体を含んでなる組成物もしくは製薬学的組成物の任意の適当なそして有効な量の少なくとも一つを含んでなることができる。そのようなサイトカインの限定されない例には、IL−1〜IL−23のいずれかが包含されるが、これらに限定されるものではない。適当な投薬量は、当該技術分野において周知である。例えば、Wells et al.,eds.,Pharmacotherapy Handbook,2nd Edition,Appleton and Lange,Stamford,CT(2000);PDR Pharmacopoeia,Tarascon Pocket Pharmacopoeia
2000,Deluxe Edition,Tarascon Publishing,Loma Linda,CA(2000)を参照、これらの参考文献の各々は、引用することにより全部が本明細書に組み込まれる。
そのような抗癌もしくは抗感染薬はまた、本発明の少なくとも一つの抗体と会合、結合、共調合もしくは共投与する毒素分子を含むこともできる。毒素は、場合により、病的細
胞もしくは組織を選択的に殺すように作用することができる。病的細胞は、癌もしくは他の細胞であることができる。そのような毒素は、例えば、リシン、ジフテリア毒素、毒液毒素、もしくは細菌毒素の少なくとも一つから選択される、毒素の少なくとも一つの機能性細胞毒性ドメインを含んでなる精製されたもしくは組み換えの毒素もしくは毒素フラグメントであることができるが、これらに限定されるものではない。毒素という用語にはまた、死をもたらすことができる、毒素ショックを包含する、ヒトおよび他の哺乳類における任意の病的症状を引き起こすことができる任意の天然に存在するか、突然変異体もしくは組み換えの細菌もしくはウイルスにより生産される内毒素および外毒素の両方も包含される。そのような毒素には、腸管毒素原性大腸菌易熱性エンテロトキシン(LT)、耐熱性エンテロトキシン(ST)、シゲラ(Shigella)細胞毒素、アエロモナス(Aeromonas)エンテロトキシン、毒素性ショック症候群毒素−1(TSST−1)、スタヒロコッカスエンテロトキシンA(SEA)、B(SEB)、もしくはC(SEC)、ストレプトコッカスエンテロトキシンなどを包含することができるが、これらに限定されるものではない。そのような細菌には、腸管毒素原性大腸菌(ETEC)、腸管出血性大腸菌の種の株(例えば、血清型O157:H7の株)、スタヒロコッカス(Staphylococcus)種(例えば、スタヒロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、スタヒロコッカス・ピオゲネス(Staphylococcus pyogenes))、シゲラ種(例えば、シゲラ・ディセンテリエ(Shigella dysenteriase)、シゲラ・フレックスネリ(Shigella
flexneri)、シゲラ・ボイディ(Shigella boydii)、およびシゲラ・ソンネイ(Shigella sonnei))、サルモネラ(Salmonella)種(例えば、サルモネラ・チフィ(Salmonella typhi)、サルモネラ・コレラスイス(Salmonella cholerasuis)、サルモネラ・エンテリティディス(Salmonella enteritidis))、クロストリジウム(Clostridium)種(例えば、クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)、クロストリジウム・ジフィシール(Clostridium dificile)、クロストリジウム・ボツリヌム(Clostridium botulinum))、カンピロバクター(Campylobacter)種(カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、カンピロバクター・フィタス(Campylobacter fetus))、ヘリコバクター(Helicobacter)種(例えば、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori))、アエロモナス種(例えば、アエロモナス・ソブリア(Aeromonas sobria)、アエロモナス・ヒドロフィラ(Aeromonas hydrophila)、アエロモナス・キャビエ(Aeromonas caviae))、プレイソモナス・シゲロイデス(Pleisomonas shigelloides)、エルジニア・エンテロコリチカ(Yersinia enterocolitica)、ビブリオ(Vibrios)種(例えば、ビブリオ・コレラ(Vibrios cholerae)、ビブリオ・パラヘモリチカス(Vibrios
parahemolyticus)、クレブシエラ(Klebsiella)種、シュードモナス・アエルギノーザ(Pseudomonas aeruginosa)、およびストレプトコッカス(Streptococci)が包含されるが、これらに限定されるものではない。例えば、Stein,ed.,INTERNAL MEDICINE,3rd ed.,pp1−13,Little,Brown and Co.,Boston,(1990);Evans et al.,eds.,Bacterial Infections of Humans:Epidemiology and Control,2d.Ed.,pp239−254,Plenum Medical Book
Co.,New York(1991);Mandell et al,Principles and Practice of Infectious Diseases,3d.Ed.,Churchill Livingstone,New York(1990);Berkow et al,eds.,The Merck Manual,
16th edition,Merck and Co.,Rahway,N.J.,1992;Wood et al,FEMS Microbiology Immunology,76:121−134(1991);Marrack et al,Science,248:705−711(1990)を参照、これらの参考文献の内容は、引用することにより全部が本明細書に組み込まれる。
本発明の抗IL−6抗体化合物、組成物もしくは組み合わせはさらに、希釈剤、結合剤、安定剤、バッファー、塩、脂肪親和性溶媒、防腐剤、アジュバントなどのようなしかしこれらに限定されるものではない任意の適当な助剤の少なくとも一つを含んでなることができる。製薬学的に許容しうる助剤が好ましい。Gennaro,Ed.,Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Edition,Mack Publishing Co.(Easton,PA)1990のような、しかしこれに限定されるものではない、そのような滅菌溶液を調製する限定されない例および方法は、当該技術分野において周知である。当該技術分野において周知であるようにもしくは本明細書に記述するように、抗IL−6抗体、フラグメントもしくは変異体組成物の投与の形態、可溶性および/もしくは安定性に適当な製薬学的に許容しうる担体を日常的に選択することができる。
本発明の組成物において有用な製薬学的賦形剤および添加剤には、単独でまたは1−99.99重量もしくは容量%で組み合わせてを含んでなる、単独でもしくは組み合わせて存在することができる、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、脂質、および炭水化物(例えば、単糖、二糖、三糖、四糖およびオリゴ糖;アルジトール、アルドン酸、エステル化糖などのような誘導化糖;ならびに多糖もしくは糖ポリマーを包含する糖)が包含されるが、これらに限定されるものではない。典型的なタンパク質賦形剤には、ヒト血清アルブミン(HSA)、組み換えヒトアルブミン(rHA)のような血清アルブミン、ゼラチン、カゼインなどが包含される。緩衝能力においても機能することができる代表的なアミノ酸/抗体成分には、アラニン、グリシン、アルギニン、ベタイン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン、リシン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、フェニルアラニン、アスパルテームなどが包含される。一つの好ましいアミノ酸は、グリシンである。
本発明における使用に適当な炭水化物賦形剤には、例えば、フルクトース、マルトース、ガラクトース、グルコース、D−マンノース、ソルボースなどのような単糖;ラクトース、ショ糖、トレハロース、セロビオースなどのような二糖;ラフィノース、メレジトース、マルトデキストリン、デキストラン、澱粉などのような多糖;およびマンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトール、ソルビトール(グルシトール)、ミオイノシトールなどのようなアルジトールが包含される。本発明における使用に好ましい炭水化物賦形剤は、マンニトール、トレハロース、およびラフィノースである。
抗IL−6抗体組成物はまた、バッファーもしくはpH調整剤を含むこともでき;典型的には、バッファーは、有機酸もしくは塩基から調製される塩である。代表的なバッファーには、クエン酸、アスコルビン酸、グルコン酸、炭酸、酒石酸、コハク酸、酢酸、もしくはフタル酸の塩のような有機酸塩;トリス、トロメタミン塩酸塩、もしくはリン酸バッファーが包含される。本発明における使用に好ましいバッファーは、クエン酸塩のような有機酸塩である。
さらに、本発明の抗IL−6抗体組成物は、ポリビニルピロリドン、フィコール(ポリマー糖)、デキストレート(dextrate)(例えば、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンのようなシクロデキストリン)、ポリエチレングリコール、着香料、抗菌剤、甘味料、酸化防止剤、帯電防止剤、界面活性剤(例えば、「TWEEN 20
」および「TWEEN 80」のようなポリソルベート)、脂質(例えば、リン脂質、脂肪酸)、ステロイド(例えば、コレステロール)、およびキレート剤(例えば、EDTA)のようなポリマー賦形剤/添加剤を含むことができる。
本発明の抗IL−6抗体、部分もしくは変異体組成物における使用に適当なこれらおよび追加の既知の製薬学的賦形剤および/もしくは添加剤は、例えば、“Remington:The Science & Practice of Pharmacy”,19th ed.,Williams & Williams,(1995)および“Physician’s Desk Reference”,52nd ed.,Medical Economics,Montvale,NJ(1998)(これらの開示は、引用することにより全部が本明細書に組み込まれる)に記載されているように、当該技術分野において既知である。好ましい担体もしくは賦形剤材料は、炭水化物(例えば、糖類およびアルジトール)およびバッファー(例えばクエン酸塩)もしくはポリマー剤である。
製剤
上記のように、本発明は、製薬学的に許容しうる製剤において少なくとも一つの抗IL−6抗体を含んでなる、好ましくは食塩水もしくは選択した塩を有するリン酸バッファーである安定製剤、ならびに保存剤を含有する保存溶液および製剤ならびに製薬学的もしくは獣医学的用途に適当な複用保存製剤を提供する。保存製剤は、水性希釈剤中に少なくとも一つの既知のもしくは場合により少なくとも一つのフェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、亜硝酸フェニル水銀、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド、クロロブタノール、塩化マグネシウム(例えば、6水和物)、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウムおよびチメロサール、もしくはその混合物よりなる群から選択される防腐剤を含有する。0.001〜5%、あるいは0.001、0.003、0.005、0.009、0.01、0.02、0.03、0.05、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8,0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6,1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.3、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、またはその中の任意の範囲もしくは値のようなしかしこれらに限定されるものではないその中の任意の範囲もしくは値のような、任意の適当な濃度もしくは混合物を当該技術分野において既知であるように用いることができる。限定されない例には、保存剤なし、0.1〜2%のm−クレゾール(例えば、0.2、0.3、0.4、0.5、0.9、1.0%)、0.1〜3%のベンジルアルコール(例えば、0.5、0.9、1.1、1.5、1.9、2.0、2.5%)、0.001〜0.5%のチメロサール(例えば、0.005、0.01)、0.001〜2.0%のフェノール(例えば、0.05、0.25、0.28、0.5、0.9、1.0%)、0.0005〜1.0%のアルキルパラベン(1つもしくは複数)(例えば、0.00075、0.0009、0.001、0.002、0.005、0.0075、0.009、0.01、0.02、0.05、0.075、0.09、0.1、0.2、0.3、0.5、0.75、0.9、1.0%)などが包含される。
上記のように、本発明は、包装材料ならびに場合により水性希釈剤中に、所定のバッファーおよび/もしくは防腐剤を有する少なくとも一つの抗IL−6抗体の溶液を含んでなる少なくとも一つのバイアルを含んでなる製品を提供し、ここで、該包装材料は、そのような溶液を1、2、3、4、5、6、9、12、18、20、24、30、36、40、48、54、60、66、72時間もしくはそれ以上の期間にわたって保持できることを示すラベルを含んでなる。本発明はさらに、包装材料、凍結乾燥した少なくとも一つの抗
IL−6抗体を含んでなる第一のバイアル、および所定のバッファーもしくは防腐剤の水性希釈剤を含んでなる第二のバイアルを含んでなる製品を含んでなり、ここで、該包装材料は、24時間もしくはそれ以上の期間にわたって保持することができる溶液を形成するために水性希釈剤において少なくとも一つの抗IL−6抗体を再構成するように患者に指示するラベルを含んでなる。
本発明に従って用いる少なくとも一つの抗IL−6抗体は、本明細書に記述するようにもしくは当該技術分野において既知であるように、哺乳類細胞もしくはトランスジェニック調製物からを包含する、組み換え手段により製造することができ、または他の生物学的供給源から精製することができる。
本発明の製品における少なくとも一つの抗IL−6抗体の範囲は、より低いおよびより高い濃度が実施可能であるが、再構成の際に、湿潤/乾燥系(wet/dry system)における場合、約1.0μg/ml〜約1000mg/mlの濃度をもたらす量を包含し、そして意図する送達媒体に依存し、例えば、溶液製剤は、経皮パッチ、肺、経粘膜、または浸透もしくはマイクロポンプ法と異なる。
好ましくは、水性希釈剤は、場合により、製薬学的に許容しうる防腐剤をさらに含んでなる。好ましい防腐剤には、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウムおよびチメロサール、もしくはその混合物よりなる群から選択されるものが包含される。製剤に用いる防腐剤の濃度は、抗菌効果をもたらすのに十分な濃度である。そのような濃度は、選択する防腐剤により決まり、そして当業者により容易に決定される。
他の賦形剤、例えば、等張剤、バッファー、酸化防止剤、防腐剤エンハンサーを場合によりそして好ましくは希釈剤に加えることができる。グリセリンのような等張剤は、既知の濃度で一般的に用いられる。、好ましくは、生理的に許容されるバッファーを、より一層のpH制御を与えるために加える。製剤は、約pH4〜約pH10のような広範囲のpH、および約pH5〜約pH9の好ましい範囲、および約6.0〜約8.0の最も好ましい範囲に及ぶことができる。好ましくは、本発明の製剤は約6.8〜約7.8の間のpHを有する。好ましいバッファーには、リン酸バッファー、最も好ましくはリン酸ナトリウム、特にリン酸緩衝食塩水(PBS)が包含される。
場合により、Tween 20(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート)、Tween 40(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート)、Tween 80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)、Pluronic F68(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー)、およびPEG(ポリエチレングリコール)あるいはポリソルベート20もしくは80またはポロキサマー184もしくは188、PluronicRポリル、他のブロックコポリマーのような非イオン性界面活性剤のような製薬学的に許容しうる可溶化剤、ならびにEDTAおよびEGTAのようなキレート剤のような他の添加剤を凝集を減らすために製剤もしくは組成物に加えることができる。これらの添加剤は、製剤を投与するためにポンプもしくはプラスチック容器を用いる場合に特に有用である。製薬学的に許容しうる界面活性剤の存在は、タンパク質が凝集する傾向を軽減する。
本発明の製剤は、少なくとも一つの抗IL−6抗体およびフェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウムおよびチメロサールもしくはその混合物よりなる群
から選択される防腐剤を水性希釈剤において混合することを含んでなる方法により製造することができる。水性希釈剤において少なくとも一つの抗IL−6抗体および防腐剤を混合することは、従来の溶解および混合方法を用いて実施する。適当な製剤を製造するために、例えば、緩衝溶液中の少なくとも一つの抗IL−6抗体の測定量を、所望の濃度のタンパク質および防腐剤を与えるのに十分な量で緩衝溶液中の所望の防腐剤と合わせる。この方法の変形は、当業者により認識される。例えば、成分を加える順序、追加の添加剤を用いるかどうか、製剤を調製する温度およびpHは全て、使用する投与の濃度および手段に対して最適化することができる因子である。
請求する製剤は、清澄溶液として、もしくは水性希釈剤中に、水、防腐剤および/もしくは賦形剤、好ましくはリン酸バッファーおよび/もしくは食塩水および選択した塩を含有する第二のバイアルで再構成する凍結乾燥した少なくとも一つの抗IL−6抗体のバイアルを含んでなるデュアルバイアルとして患者に提供することができる。単一溶液バイアルもしくは再構成を必要とするデュアルバイアルのいずれも複数回再使用することができ、そして単一もしくは複数サイクルの患者処置に十分であることができ、従って、現在利用可能なものより都合のよい処置処方計画を提供することができる。
本発明の請求する製品は、即時〜24時間もしくはそれ以上の期間にわたる投与に有用である。従って、現在請求する製品は、患者に有意な利点を与える。本発明の製剤は、場合により、約2〜約40℃の温度で安全に保存し、そして長期間にわたってタンパク質の生物学的活性を保持することができ、従って、溶液を6、12、18、24、36、48、72、もしくは96時間またはそれ以上の期間にわたって保持しそして/もしくは使用できることを示す包装ラベルを可能にする。保存希釈剤を用いる場合、そのようなラベルは、1〜12ヶ月、半年、1年半、および/もしくは2年までの使用を含むことができる。
本発明における少なくとも一つの抗IL−6抗体の溶液は、少なくとも一つの抗体を水性希釈剤において混合することを含んでなる方法により製造することができる。混合は、従来の溶解および混合方法を用いて実施する。適当な希釈液を調製するために、例えば、水もしくはバッファー中の少なくとも一つの抗体の測定量を、所望の濃度のタンパク質および場合により防腐剤もしくはバッファーを与えるのに十分な量で合わせる。この方法の変形は、当業者により認識される。例えば、成分を加える順序、追加の添加剤を使用するかどうか、製剤を調製する温度およびpHは全て、用いる投与の濃度および手段に対して最適化することができる因子である。
請求する製品は、清澄溶液として、もしくは水性希釈剤を含有する第二のバイアルで再構成する凍結乾燥した少なくとも一つの抗IL−6抗体のバイアルを含んでなるデュアルバイアルとして患者に提供することができる。単一溶液バイアルもしくは再構成を必要とするデュアルバイアルのいずれも複数回再使用することができ、そして単一もしくは複数サイクルの患者処置に十分であることができ、従って、現在利用可能なものより都合のよい処置処方計画を提供する。
請求する製品は、清澄溶液もしくは水性希釈剤を含有する第二のバイアルで再構成する凍結乾燥した少なくとも一つの抗IL−6抗体のバイアルを含んでなるデュアルバイアルを薬局、診療所、もしくは他のそのような機関および設備に提供することにより患者に間接的に提供することができる。この場合の清澄溶液は、1リットルまでもしくはさらに大きいサイズであることができ、大きい容器を提供することができ、それから少なくとも一つの抗体溶液のより少ない量をより小さいバイアルに移すために1回もしくは複数回取り出し、そして薬局もしくは診療所によってそれらの顧客および/もしくは患者に提供することができる。
これらの単一バイアル系を含んでなる認められている装置には、例えば、Becton
Dickensen(Franklin Lakes,NJ,www.bectondickenson.com)、Disetronic(Burgdorf,Switzerland,www.disetronic.com;Bioject,Portland,Oregon(www.bioject.com);National Medical Products,Weston Medical(Peterborough,UK,www.weston−medical.com),Medi−Ject Corp(Minneapolis,MN,www.mediject.com)により製造もしくは開発されるような、BD Pens、BD AutojectorR、HumajectR、NovoPenR、B−DRPen、AutoPenR、およびOptiPenR、GenotropinPenR、Genotronorm PenR、Humatro PenR、Reco−PenR、Roferon PenR、BiojectorR、ijectR、J−tip Needle−Free InjectorR、IntrajectR、Medi−JectRのような溶液の送達用のペンインジェクター装置が包含される。デュアルバイアル系を含んでなる認められている装置には、HumatronPenRのような再構成した溶液の送達用のカートリッジにおいて凍結溶解した薬剤を再構成するペンインジェクター系が包含される。
現在請求する製品には、包装材料が含まれる。包装材料は、規制機関により要求される情報に加えて、製品を使用する条件を提供する。本発明の包装材料は、2バイアルの湿潤/乾燥製品では少なくとも一つの抗IL−6抗体を水性希釈剤において再構成して溶液を形成しそして該溶液を2〜24時間もしくはそれ以上の期間にわたって使用する使用説明書を患者に提供する。単一バイアルの溶液製品では、ラベルはそのような溶液を2〜24時間もしくはそれ以上の期間にわたって使用できることを示す。現在請求する製品は、ヒト製薬学的製品用途に有用である。
本発明の製剤は、少なくとも一つの抗IL−6抗体および選択したバッファー、好ましくは食塩水もしくは選択した塩を含有するリン酸バッファーを混合することを含んでなる方法により製造することができる。少なくとも一つの抗体およびバッファーを水性希釈剤において混合することは、従来の溶解および混合方法を用いて実施する。適当な製剤を調製するために、例えば、水もしくはバッファー中の少なくとも一つの抗体の測定量を、所望の濃度のタンパク質およびバッファーを与えるのに十分な量で水中の所望の緩衝剤と合わせる。この方法の変形は、当業者により認識される。例えば、成分を加える順序、追加の添加剤を使用するかどうか,製剤を調製する温度およびpHは全て、用いる投与の濃度および手段に対して最適化することができる因子である。
請求する安定もしくは保存製剤は、清澄溶液として、もしくは水性希釈剤中に防腐剤もしくはバッファーおよび賦形剤を含有する第二のバイアルで再構成する凍結乾燥した少なくとも一つの抗IL−6抗体のバイアルを含んでなるデュアルバイアルとして患者に提供することができる。単一溶液バイアルもしくは再構成を必要とするデュアルバイアルのいずれも複数回再使用することができ、そして単一もしくは複数サイクルの患者処置に十分であることができ、従って、現在利用可能なものより都合のよい処置処方計画を提供する。
本明細書に記述する安定もしくは保存製剤もしくは溶液のいずれかにおける少なくとも一つの抗IL−6抗体は、当該技術分野において周知であるように、SCもしくはIM注射;経皮、肺、経粘膜、埋め込み、浸透ポンプ、カートリッジ、マイクロポンプ、もしくは当業者により認識される他の手段を包含する様々な送達方法によって本発明に従って患者に投与することができる。
治療用途
IL−6は、その多面的活性のために、様々な疾患の病状に関与する。従って、IL−6に対する高い親和性の中和キメラもしくはヒト抗体は、癌、悪液質、SLE、関節リウマチ、骨粗しょう症、脳外傷、脳浮腫、鬱病、およびCHFのようなIL−6関連疾患において用いることが望ましい。cCLB8またはキメラもしくはヒト化を包含するこのmAbの任意の誘導体、またはフラグメントは、骨痛を軽減すること、黒色腫、腎臓癌、前立腺癌、乳癌、肺癌、結腸癌および多発性骨髄腫のような腫瘍の増殖を抑制すること、リンパ増殖性疾患およびIL−6が関与している他の疾患において用いることができる。この抗体は、単一の作用因子としてもしくは他の治療薬剤と組み合わせて用いることができる。さらに、このMabは化学感受性増強物質(chemosensitizer)として用いることができ、それにより細胞毒性薬の治療効能を上げることができる。この抗体は放射線感受性増強物質として用いることができ、それにより放射線の効能を高めることができる。それはまた、Il−2、IL−12および/もしくはIFNアルファのような他の腫瘍免疫調節剤と組み合わせて用いることもできる。
従って、本発明はまた、本発明の少なくとも一つの抗IL−6抗体を用いて、当該技術分野において既知であるようにもしくは本明細書に記述するように、細胞、組織、臓器、動物、もしくは患者における少なくとも一つのIL−6関連疾患を調節もしくは処置する方法も提供する。
IL−6は、悪性細胞のアポトーシスの抑制を伴う自己分泌もしくは傍分泌機序によって多発性骨髄腫(MM)における悪性形質細胞の増殖、分化および生存を高めることが知られている。MMは不治の悪性形質細胞疾患であり、ここで、IL−6を阻止することは、有効な治療であると主張されている(Anderson et al.,Multiple Myeloma:New Insights and Therapeutic Approaches.Hematology:147−165,2000)。IL−6はまた、基底細胞癌における腫瘍形成効果も有し、ここで、IL−6でトランスフェクションした細胞は、アポトーシスを抑制することおよび活発に促進することの両方により増加した腫瘍増殖速度を示した(Jee et al.,Overexpression of interleukin−6 in human basal cell carcinoma cell lines increses anti−apoptotic activity and tumorigenic potency.Oncogene,Vol.20,No.2 pp.198−208,2001)。IL−6はまた、mdr1遺伝子発現(mdr1およびメタロチオネイン経路)を誘導することにより化学療法に対する乳癌細胞の耐性も促進する(Conze et al,Autocrine Production of Interleukin 6 Causes Multidrug Resistance in Breast Cancer Cells.Caner Res 61:8851−8858,2001)。
腫瘍細胞生存および疾患の進行を媒介するIL−6の能力は、インビトロおよびインビボの両方における腫瘍増殖に対する抗IL−6 mAbの阻害効果により確かめられた。IL−6の遮断は、インビトロにおいてヒト脳腫瘍(グリア芽腫)の増殖を抑制できることが報告された(Goswami et al.,Interleukin−6−mediated autocrine growth promotion in human glioblastoma multiforme cell line U87MG.J Neurochem 71:1837−1845,1998)。同じ方法を用いて、マウスCLB8抗IL−6抗体の注入は、ヒト腫瘍を保有するマウスの生存を延長することが示された(Mauray et al.,Epstein−Barr virus−dependent lymphoproliferative disease:
critical role of IL−6.Eur J Immunol;30(7):2065−73,2000)。また、mCLB8抗IL−6抗体は、ヌードマウスにおいてヒト腎臓癌腫瘍の増殖を退縮し、そして血清カルシウム濃度を減少することも報告された(Weisglass et al.,The role of interleukin−6 in the induction of hypercalcemia
in renal cell carcinoma transplanted into nude mice.Endocrinology 138(5):1879−8.,1995)。CLB−8抗体はまた、マウスにおける定着したヒト耐ホルモン性前立腺腫瘍異種移植片も退縮した(Smith et al.2001)。抗インターロイキン−6モノクローナル抗体は、ヌードマウスにおけるヒト前立腺癌異種移植片の退縮を誘導する(Smith and Keller,Prostate;48(1):47−53)。
IL−6はまた、悪性腫瘍の予後因子およびマーカーであることもできる。腎細胞癌(RCC)において、高レベルのIL−6は、腫瘍転移とそして最終的には不良な予後および短い生存に相関関係があると報告された(Jean−Yves Blay et al.1992)。さらに、RCCにおいて、高い血清IL−6は、IL−2治療に対する乏しい反応と関連し(Fumagalli et al.1999)Pretreatment serum markers and lymphocyte response
to interleukin−2 therapy.Br J Cancer 80(3−4):407−11、そしてIL−2関連毒性の程度と相関関係がある(Capuron et al.2001)Association between immune activation and early depressive symptoms in cancer patients treated with interleukin−2−based therapy.Psychoneuroendocrinology;26(8):797−808。
IL−6の高いレベルはまた、乳癌における不良な予後および転移性疾患の存在とも相関関係がある(Kurebayashi 2000およびBenoy 2002)Regulation of interleukin−6 secretion from breast cancer cells and its clinical implications.Breast Cancer;7(2):124−9.Serum
interleukin 6,plasma VEGF,serum VEGF,and VEGF platelet load in breast cancer patients.Clin Breast Cancer;2(4)311−5)。
IL−6は、無力症/悪液質および骨吸収のような癌関連病的状態における原因因子であると仮定される。腫瘍誘発性悪液質(Cahlin et al.2000)および骨吸収(その後の高カルシウム血症)(Sandhu et al.1999)は、IL−6ノックアウトマウスにおいて減少されることが見出された。癌関連鬱病、および脳腫瘍に続発する脳浮腫もまた、高レベルのIL−6と関連している(Musselman et al.2001)。本発明のcCLB8抗IL−6抗体はまた、ヌードマウスにおけるヒト黒色腫およびヒト前立腺癌誘発性悪液質も抑制した。
抗IL−6作用因子での臨床経験
IL−6に対するモノクローナル抗体を用いるいくつかの臨床試験は、形質細胞白血病、多発性骨髄腫、Bリンパ増殖性疾患、関節リウマチ、腎臓癌、およびエイズ関連リンパ腫を包含する多数の疾患において行われている。
進行したステージの多発性骨髄腫にかかっている難治性患者の処置のための本発明の抗
IL−6 cCLB−8抗体でのフェーズI用量増加研究(N=12)は、疾病安定化を有する患者があることを示した。処置の中止の後、Mタンパク質レベルの増加の加速があり、治療の中止後の疾病リバウンドを示唆した。抗IL−6 cCLB−8抗体は、遊離の循環するIL−6を阻害した。最も重要なことには、毒性(2人の大量に前処置した患者における一過性血小板減少を除いて)もしくはアレルギー反応は認められなかった。C反応性タンパク質(CRP)は、全ての患者において検出レベル未満に減少した。抗IL−6 cCLB−8抗体は、17.8日の長い循環半減期を示し、そして認められるヒト抗キメラ抗体(HACA)免疫応答(van Zaanen et al.1998)はなかった。CNTO 328の投与は、血圧、脈拍数、体温、ヘモグロビン、肝機能および腎機能の変化を引き起こさなかった。2人の大量に前処置した患者における一過性血小板減少を除いて、毒性もしくはアレルギー反応は認められず、そして認められるヒト抗キメラ抗体(HACA)免疫応答はなかった。3人の患者は、治療中に感染に関連する合併症を発症し、しかしながら、感染性合併症は末期の多発性骨髄腫において一般的であり、そして主要な死亡原因であるので、抗IL−6 cCLB−8抗体との可能性がある関連はないと思われる。さらに、3人の患者は全て、抗IL−6 cCLB−8抗体の存在下でさえそれらの感染に応答することができ、抗IL−6治療は感染中にIL−6を阻止できないことを示唆した。治療に関連する死亡者は報告されなかった。要するに、この研究からの結果は、抗IL−6 cCLB−8抗体が多発性骨髄腫患者において安全であったことを示唆する。
従って、本発明は、多発性骨髄腫、白血病、急性白血病、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、B細胞、T細胞もしくはFAB ALL、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、有毛細胞白血病、骨髄異形成症候群(MDS)、リンパ腫、ホジキン病、悪性リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、多発性骨髄腫、カポジ肉腫、結腸直腸癌、腎細胞癌、膵癌、前立腺細胞癌、鼻咽頭癌、悪性組織球増殖症、腫瘍随伴症候群/悪性高カルシウム血症、充実性腫瘍、腺癌、肉腫、悪性黒色腫、血管腫、転移性疾患、癌関連骨吸収、癌関連骨痛;癌転移の抑制;癌悪液質の改善;およびメサンギウム増殖性糸球体腎炎などのような炎症性疾患の処置の少なくとも一つが包含されるがこれらに限定されるものではない、細胞、組織、臓器、動物もしくは患者における少なくとも一つの悪性疾患を調節もしくは処置する方法を提供する。そのような方法は、場合により、そのようなIL−6抗体の投与の前に、同時にもしくは後に投与することにより、放射線療法、抗血管新生剤、化学療法剤、ファルネシルトランスフェラーゼインヒビターなどと組み合わせて用いることができる。
本発明はまた、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、全身型若年性関節リウマチ、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、胃潰瘍、血清反応陰性関節症、変形性関節症、炎症性腸疾患、潰瘍性結腸炎、全身性エリテマトーデス、抗リン脂質症候群、虹彩毛様体炎/ブドウ膜炎/視神経炎、特発性肺線維症、全身性脈管炎/ヴェーゲナー肉芽腫症、サルコイドーシス、精巣炎/精管切除術を戻す処置、アレルギー性/アトピー性疾患、喘息、アレルギー性鼻炎、湿疹、アレルギー性接触皮膚炎、アレルギー性結膜炎、過敏性肺炎、移植、臓器移植拒絶反応、移植片対宿主疾患、全身性炎症反応症候群、敗血症症候群、グラム陽性敗血症、グラム陰性敗血症、培養陰性敗血症、真菌敗血症、好中球減少熱、尿路性敗血症、髄膜炎菌血症、外傷/出血、熱傷、電離放射線の暴露、急性膵炎、成人呼吸窮迫症候群、関節リウマチ、アルコール性肝炎、慢性炎症性病状、サルコイドーシス、クローン病、鎌状赤血球貧血、糖尿病、ネフローゼ、アトピー性疾患、超過敏反応、アレルギー性鼻炎、花粉症、通年性鼻炎、結膜炎、子宮内膜症、喘息、蕁麻疹、全身アナフィラキシー、皮膚炎、悪性貧血、溶血性疾患、血小板減少症、任意の臓器もしくは組織の移植片拒絶反応、腎臓移植拒絶反応、心臓移植拒絶反応、肝臓移植拒絶反応、膵臓移植拒絶反応、肺移植拒絶反応、骨髄移植(BMT)拒絶反応、皮膚同種移植片拒絶反応、軟骨移植拒絶反応、骨移植片拒絶反応、小腸移植拒絶反応、胎児胸腺移植片拒絶反応、副甲状腺移植拒絶反応、任
意の臓器もしくは組織の異種移植片拒絶反応、同種移植片拒絶反応、抗受容体超過敏反応、グレーブス病、レーノー病、B型インシュリン抵抗性糖尿病、喘息、重症筋無力症、抗体媒介性細胞傷害、III型超過敏反応、全身性エリテマトーデス、POEMS症候群(多発性神経障害、臓器肥大症、内分泌障害、単クローン性免疫グロブリン血症、および皮膚変化症候群)、多発性神経障害、臓器肥大症、内分泌障害、単クローン性免疫グロブリン血症、皮膚変化症候群、抗リン脂質症候群、天疱瘡、強皮症、混合結合組織病、特発性アジソン病、糖尿病、慢性活動性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、白斑、脈管炎、心筋梗塞心術後症候群、IV型過敏症、接触皮膚炎、過敏性肺炎、同種移植片拒絶反応、細胞内生物体による肉芽腫、薬物過敏、代謝性/特発性、ウィルソン病、ヘマクロマトーシス、アルファ−1−アンチトリプシン欠損症、糖尿病性網膜症、橋本甲状腺炎、骨粗しょう症、視床下部−下垂体−副腎軸評価、原発性胆汁性肝硬変、甲状腺炎、脳脊髄炎、悪液質、嚢胞性線維症、新生児慢性肺疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、家族性血球貪食性リンパ組織球増多症、皮膚病変、乾癬、脱毛、ネフローゼ症候群、腎炎、糸球体腎炎、急性腎不全、血液透析、尿毒症、毒性、子癇前症、okt3療法、抗cd3療法、サイトカイン療法、化学療法、放射線療法(例えば、無力症、貧血、悪液質などが包含されるがこれらに限定されるものではない)、慢性サリチル酸中毒、睡眠時無呼吸、肥満症、心不全、副鼻腔炎、炎症性腸疾患などの少なくとも一つが包含されるがこれらに限定されるものではない細胞、組織、臓器、動物、もしくは患者における少なくとも一つのIL−6媒介免疫関連疾患を調節もしくは処置する方法も提供する。例えば、各々引用することにより全部が組み込まれる、Merck Manual,12th−17th Editions,Merck & Company,Rahway,NJ(1972,1977,1982,1987,1992,1999),Pharmacotherapy Handbook,Wells et al.,eds.,Second Edition,Appleton and Lange,Stamford,Conn.(1998,2000)を参照。
本発明はまた、急性もしくは慢性の細菌感染、細菌、ウイルスおよび真菌感染を包含する急性および慢性の寄生性もしくは感染性プロセス、HIV感染/HIV神経障害、髄膜炎、肝炎(A、BもしくはCなど)、敗血症性関節炎、腹膜炎、肺炎、喉頭蓋炎、エシェリキア・コリO157:h7、溶血性尿毒症症候群/血栓溶解性血小板減少性紫斑症、マラリア、デング出血熱、リーシュマニア症、ハンセン病、毒素性ショック症候群、連鎖球菌性筋炎、ガス壊疽、マイコバクテリウム・ツベルクローシス(mycobacterium tuberculosis)、マイコバクテリウム・アビウム・イントラセルラーレ(mycobacterium avium intracellulare)、ニューモシスティス・カリニ(pneumocystis carinii)肺炎、骨盤内炎症性疾患、精巣炎/精巣上体炎、レジオネラ菌、ライム病、インフルエンザ、エプスタイン・バーウイルス、ウイルス関連血球貪食性症候群、ウイルス性脳炎/無菌性髄膜炎などの少なくとも一つが包含されるがこれらに限定されるものではない細胞、組織、臓器、動物もしくは患者における少なくとも一つの感染症を調節もしくは/処置する方法も提供する。
そのような方法のいずれも、場合により、少なくとも一つの抗IL−6抗体を含んでなる少なくとも一つの組成物もしくは製薬学的組成物の有効量をそのような調節、処置もしくは治療を必要とする細胞、組織、臓器、動物もしくは患者に投与することを含んでなることができる。抗IL−6治療での処置の適応症は、本願に引用することにより本明細書に組み込まれる以下の参考文献に開示されている:Van Snick,“Interleukin−6:An Overview,”Ann.Rev.Immunol.,8:253−278(1990);Campbell et al.,“Essential
Role for Interferon−gamma.And Interleukin−6 in Autoimmune Insulin−Dependent Dia
betes in NOD/Wehi Mice,”J.Clin.Invest.,87:739−742(1991);Heinrich et al.,“Interleukin−6 Monoclonal Antibody Therapy for a
Patient with Plasma Cell Leukemia,”Blood,78(5):1198−1204(1991);Starnes et al.,“Anti−IL−6 Monoclonal Antibodies Protect Against Lethal Escherichia coli Infection and Lethal Tumor Necrosis Factor−alpha.Challenge in Mice,”J.Immunol.,145(12):4185−4191(1990);Strassman et al.,“Evidence for the Involvement of Interleukin 6 in Experimental Cancer Cachexia,”J.Clin.Invest.,89:1681−1684(1992)。
本発明の任意の方法は、少なくとも一つの抗IL−6抗体を含んでなる組成物もしくは製薬学的組成物の有効量をそのような調節、処置もしくは治療を必要とする細胞、組織、臓器、動物もしくは患者に投与することを含んでなることができる。そのような方法は、場合により、そのような免疫疾患もしくは悪性疾患を処置するための共投与もしくは組み合わせ治療をさらに含んでなることができ、ここで、該少なくとも一つの抗IL−6抗体、その特定の部分もしくは変異体の投与は、前に、同時に、そして/もしくは後に、少なくとも一つのTNFアンタゴニスト(例えば、TNF抗体もしくはフラグメント、可溶性TNF受容体もしくはフラグメント、その融合タンパク質、または小分子TNFアンタゴニスト、しかしこれらに限定されるものではない)、IL−18抗体もしくはフラグメント、小分子IL−18アンタゴニストまたはIL−18受容体結合タンパク質、IL−1抗体(IL−1アルファおよびIL−1ベータの両方を包含する)もしくはフラグメント、可溶性IL−1受容体アンタゴニスト、抗リウマチ剤(例えば、メトトレキセート、オーラノフィン、金チオグルコース、アザチオプリン、エタネルセプト、金チオリンゴ酸ナトリウム、硫酸ヒドロキシクロロキン、レフルノミド、スルファサラジン)、放射線療法、抗血管新生剤、化学療法剤、サリドマイド、筋肉弛緩剤、麻酔薬、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、鎮痛剤、麻酔剤、鎮静剤、局所麻酔剤、神経筋遮断薬、抗菌剤(例えば、アミノグリコシド、抗真菌剤、抗寄生虫剤、抗ウイルス薬、カルバペネム、セファロスポリン、フルオロキノロン、マクロライド、ペニシリン、スルホンアミド、テトラサイクリン、別の抗菌剤)、乾癬治療薬、コルチコステロイド、タンパク同化ステロイド、糖尿病関連薬、ミネラル、栄養、甲状腺薬、ビタミン、カルシウム関連ホルモン、エリスロポエチン(例えば、エポエチンアルファ)、フィルグラスチム(例えば、G−CSF,Neupogen)、サルグラモスチム(GM−CSF,Leukine)、免疫化薬、免疫グロブリン、免疫抑制薬(例えば、バシリキシマブ、サイクロスポリン、ダクリズマブ)、成長ホルモン、ホルモン補充薬、エストロゲン受容体モジュレーター、散瞳薬、毛様筋調節薬、アルキル化剤、代謝拮抗剤、分裂抑制剤、放射性医薬品、抗欝薬、抗躁病薬、抗精神病薬、抗不安薬、睡眠薬、交感神経刺激薬、興奮剤、ドネペジル、タクリン、喘息薬、ベータアゴニスト、吸入用ステロイド、ロイコトリエンインヒビター、メチルキサンチン、クロモリン、エピネフリンもしくは類似物、ドルナーゼアルファ(Pulmozyme)、サイトカインまたはサイトカインアンタゴニストから選択される少なくとも一つを投与することをさらに含んでなる。適当な投薬量は、当該技術分野において周知である。例えば、Wells et al.,eds.,Pharmacotherapy Handbook,2nd Edition,Appleton and Lange,Stamford,CT(2000);PDR Pharmacopoeia,Tarascon Pocket Pharmacopoeia 2000,Deluxe Edition,Tarascon Publishing,Loma Linda,CA(2000)を参照、これらの参考文献の各々は、引用することにより全部が本明細書に組
み込まれる。
(本発明の少なくとも一つの抗体、その特定の部分および変異体をさらに含んでなる)本発明の組成物、組み合わせ治療、共投与、装置および/もしくは方法に適当なTNFアンタゴニストには、抗TNF抗体、その抗原結合フラグメント、およびTNFに特異的に結合する受容体分子;サリドマイド、テニダップ、ホスホジエステラーゼインヒビター(例えば、ペントキシフィリンおよびロリプラム)、A2bアデノシン受容体アゴニストおよびA2bアデノシン受容体エンハンサーのような、TNF合成、TNF放出もしくは標的細胞へのその作用を阻止および/もしくは阻害する化合物;マイトジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼインヒビターのような、TNF受容体シグナル伝達を阻止および/もしくは阻害する化合物;メタロプロテイナーゼインヒビターのような、膜TNF切断を阻止および/もしくは阻害する化合物;アンジオテンシン変換酵素(ACE)インヒビター(例えば、カプトプリル)のような、TNF活性を阻止および/もしくは阻害する化合物;ならびにMAPキナーゼインヒビターのような、TNF生産および/もしくは合成を阻止および/もしくは阻害する化合物が包含されるが、これらに限定されるものではない。
治療処置
本発明の任意の方法は、少なくとも一つの抗IL−6抗体を含んでなる組成物もしくは製薬学的組成物の有効量をそのような調節、処置もしくは治療を必要とする細胞、組織、臓器、動物もしくは患者に投与することを含んでなる、IL−6媒介疾患を処置する方法を含んでなることができる。そのような方法は、場合により、そのような免疫疾患を処置するための共投与もしくは組み合わせ治療をさらに含んでなることができ、ここで、該少なくとも一つの抗IL−6抗体、その特定の部分もしくは変異体の投与は、前に、同時に、そして/もしくは後に、上記のような少なくとも一つの作用因子を投与することをさらに含んでなる。
典型的には、病的症状の処置は、組成物に含まれるものの比活性により、平均して、用量につき患者のキログラム当たり少なくとも約0.01〜500ミリグラムの少なくとも一つの抗IL−6抗体、好ましくは単一もしくは複数投与につき患者のキログラム当たり少なくとも約0.1〜100ミリグラムの抗体の範囲に合計でなる少なくとも一つの抗IL−6抗体組成物の有効量もしくは投薬量を投与することによりもたらされる。あるいはまた、有効血清濃度は、単一もしくは複数投与につき0.1〜5000μg/mlの血清濃度を含んでなることができる。適当な投薬量は医師に既知であり、そしてもちろん特定の疾患状態、投与する組成物の比活性、および処置を受けている特定の患者により決まる。ある例として、所望の治療量を得るために、反復投与、すなわち、特定のモニター量もしくは定量の反復個別投与を与えることが必要である可能性があり、ここで、該個別投与は、所望の日量もしくは効果が得られるまで繰り返される。
好ましい用量には、場合により、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99および/もしくは100〜500mg/kg/投与、またはその任意の範囲、値もしくは割合、あるいは単一もしくは複数投与当たり0.1、0.5、0.9、1.0、1.1、1.2、1.5、1.9、2.0、2.5、2.9、
3.0、3.5、3.9、4.0、4.5、4.9、5.0、5.5、5.9、6.0、6.5、6.9、7.0、7.5、7.9、8.0、8.5、8.9、9.0、9.5、9.9、10、10.5、10.9、11、11.5、11.9、12、12.5、12.9、13.0、13.5、13.9、14.0、14.5、14.9、15、15.5、15.9、16、16.5、16.9、17、17.5、17.9、18、18.5、18.9、19、19.5、19.9、20、20.5、20.9、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、96、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、および/もしくは5000μg/mlの血清濃度、またはその任意の範囲、値もしくは割合を得ることを包含することができる。
あるいはまた、投与する投薬量は、特定の作用因子の薬力学的特性、ならびにその投与形態および経路;レシピエントの年齢、健康、および体重;症状の性質および程度、併用処置の種類、処置の頻度、ならびに所望の効果のような既知の因子により異なることができる。通常、有効成分の投薬量は、体重のキログラム当たり約0.1〜100ミリグラムであることができる。通常は、投与につきもしくは持続放出形態においてキログラム当たり0.1〜50、そして好ましくは0.1〜10ミリグラムが、所望の結果を得るために有効である。
限定されない例として、ヒトもしくは動物の処置は、単一の、注入もしくは反復用量を用いて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、もしくは40日の少なくとも一つ、あるいはまたもしくはさらに、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、もしくは52週の少なくとも一つ、あるいはまたもしくはさらに、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、もしくは20年の少なくとも一つ、またはその任意の組み合わせに、一日当たり、0.5、0.9、1.0、1.1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、45、50、60、70、80、90もしくは100mg/kgのような、0.1〜100mg/kgの本発明の少なくとも一つの抗体の1回限りのもしくは定期的投薬量として提供することができる。
内部投与に適当な剤形(組成物)は、一般に、ユニットもしくは容器当たり約0.1ミリグラム〜約500ミリグラムの有効成分を含有する。これらの製薬学的組成物において、有効成分は、通常、組成物の総重量に基づき約0.5〜99.999重量%の量で存在する。
非経口製剤および投与
非経口投与には、抗体は、製薬学的に許容しうる非経口賦形剤と会合した、もしくは別個に提供する液剤、懸濁剤、乳剤もしくは凍結乾燥した散剤として調合することができる。そのような賦形剤の例は、水、食塩水、リンガー溶液、デキストロース溶液、および1〜10%のヒト血清アルブミンである。リポソームおよび不揮発性油のような非水性の賦形剤もまた用いることができる。賦形剤もしくは凍結乾燥した散剤は、等張性(例えば、塩化ナトリウム、マンニトール)および化学的安定性(例えば、バッファーおよび防腐剤)を維持する添加剤を含有することができる。製剤は、既知のもしくは適当な技術により
滅菌する。
適当な製薬学的担体は、この分野の標準的な参考テキストであるRemington’s Pharmaceutical Sciences,A.Osolの最新版に記述されている。
非経口投与用の製剤は、一般的な賦形剤として滅菌水もしくは食塩水、ポリエチレングリコールのようなポリアルキレングリコール、植物由来の油、水素化ナフタレンなどを含有することができる。注入用の水性もしくは油性懸濁剤は、既知の方法に従って、適切な乳化剤もしくは加湿剤(humidifier)および沈殿防止剤を用いることにより製造することができる。注入剤は、水溶液または溶媒中の滅菌した注入可能な溶液もしくは懸濁液のような無毒の非経口的に投与可能な希釈剤であることができる。使用可能な賦形剤もしくは溶媒として、水、リンガー溶液、等張食塩水などが認められ;通常の溶媒、もしくは懸濁溶媒として、滅菌した不揮発性油を用いることができる。これらの目的のために、天然もしくは合成もしくは半合成の脂肪油もしくは脂肪酸;天然もしくは合成もしくは半合成のモノ−もしくはジ−もしくはトリグリセリドを包含する、任意の種類の不揮発性油および脂肪酸を用いることができる。非経口投与は当該技術分野において既知であり、そして通常の注入手段、米国特許第5,851,198号に記述されているようなガス加圧無針(gas pressured needle−less)注入装置、および引用することにより全部が本明細書に組み込まれる米国特許第5,839,446号に記述されているようなレーザー穿孔器装置が包含されるが、これらに限定されるものではない。
別の送達
本発明はさらに、非経口、皮下、筋肉内、静脈内、関節内、気管支内、腹腔内、嚢内(intracapsular)、軟骨内、腔内(intracavitary)、腔内(intracelial)、小脳内、脳室内、結腸内、頸内、胃内、肝臓内、心筋内、骨内、骨盤内、心膜内、腹腔内、胸膜腔内、前立腺内、肺内、直腸内、腎臓内、網膜内、脊椎内、滑液包内、胸内、子宮内、嚢内(intravesical)、ボーラス、膣、直腸、口腔内、舌下、鼻腔内、もしくは経皮手段による少なくとも一つの抗IL−6抗体の投与に関する。少なくとも一つの抗IL−6抗体組成物は、特に液体の液剤もしくは懸濁剤の形態で非経口(皮下、筋肉内もしくは静脈内)または任意の他の投与の使用のために;クリームおよび座薬のようなしかしこれらに限定されるものではない特に半固体形態で膣もしくは直腸投与における使用のために;錠剤もしくはカプセル剤の形態のようなしかしこれらに限定されるものではない口腔内、もしくは舌下投与のために;あるいは散剤、点鼻薬もしくはエアロゾルまたはある種の作用因子の形態のようなしかしこれらに限定されるものではない鼻腔内に;あるいはまた皮膚構造を改変するためもしくは経皮パッチにおける薬剤濃度を上げるために(Junginger,et al.“Drug Permeation Enhancement”;Hsieh,D.S.,Eds.,pp.59−90(Marcel Dekker,Inc.New York 1994、引用することにより全部が本明細書に組み込まれる)ジメチルスルホキシドのような化学エンハンサーを有する、あるいは皮膚上へのタンパク質およびペプチドを含有する製剤の使用(WO 98/53847)、または電気穿孔のような一時的輸送経路を作り出すためもしくはイオン導入のような皮膚を通した荷電薬剤の移動性を上げるための電場の使用、または超音波導入(米国特許第4,309,989号および第4,767,402号)のような超音波の使用を可能にする酸化剤を有するゲル、軟膏、ローション、懸濁剤もしくはパッチ送達系のようなしかしこれらに限定されるものではない経皮に製造することができる(上記の公開および特許は、引用することにより全部が本明細書に組み込まれる)。
肺/鼻腔投与
肺投与には、好ましくは、少なくとも一つの抗IL−6抗体組成物を肺もしくは洞の下気道に到達するのに有効な粒子サイズで送達する。本発明によれば、少なくとも一つの抗IL−6抗体は、吸入による治療薬の投与用に当該技術分野において既知である様々な吸入もしくは点鼻装置のいずれかにより送達することができる。患者の洞腔(sinus cavity)もしくは肺胞にエアロゾル化した製剤を置くことができるこれらの装置には、定量吸入器、ネブライザー、ドライパウダー発生器、スプレーなどが包含される。抗体の肺もしくは鼻腔投与を導くのに適当な他の装置もまた、当該技術分野において既知である。全てのそのような装置は、エアロゾルで抗体を施薬する投与に適当な製剤のものを用いることができる。そのようなエアロゾルは、溶液(水性および非水性の両方)もしくは固体粒子のいずれかを含んでなることができる。VentolinR定量吸入器のような定量吸入器は、典型的には、噴射ガスを使用し、そして吸気中の作動を必要とする(例えば、WO 94/16970、WO 98/35888を参照)。TurbuhalerTM(Astra)、RotahalerR(Glaxo)、DiskusR(Glaxo)、SpirosTM吸入器(Dura)、Inhale Therapeuticsにより市販される装置、およびSpinhalerRパウダー吸入器(Fisons)のようなドライパウダー吸入器は、混合パウダーの呼吸作動を用いる(US 4668218 Astra,EP 237507 Astra,WO 97/25086 Glaxo,WO 94/08552 Dura,US 5458135 Inhale,WO
94/06498 Fisons、引用することにより全部が本明細書に組み込まれる)。AERxTM Aradigm、UltraventRネブライザー(Mallinckrodt)、およびAcorn IIRネブライザー(Marquest Medical Products)(US 5404871 Aradigm,WO 97/22376)(上記の参考文献は引用することにより全部が本明細書に組み込まれる)のようなネブライザーは、溶液からエアロゾルを生成し、一方、定量吸入器、ドライパウダー吸入器などは、小粒子エアロゾルを生成する。市販されている吸入装置のこれらの特定の例は、本発明の実施に適当な特定の装置の代表であるものとし、そして本発明の範囲を限定するものではない。好ましくは、少なくとも一つの抗IL−6抗体を含んでなる組成物は、ドライパウダー吸入器もしくはスプレーにより送達する。本発明の少なくとも一つの抗体を投与するための吸入装置のいくつかの望ましい特徴がある。例えば、吸入装置による送達は、都合よく信頼性があり、再現可能であり、そして正確である。吸入装置は、場合により、十分に呼吸が可能であるように、例えば約10μm未満、好ましくは約1〜5μmの小乾燥粒子を送達することができる。
スプレーとしてのIL−6抗体組成物の投与
IL−6抗体組成物タンパク質を含むスプレーは、少なくとも一つの抗IL−6抗体の懸濁液もしくは溶液を圧力下でノズルを通して押し出すことにより製造することができる。ノズルのサイズおよび構造、適用圧力、ならびに液体供給速度は、所望の出力および粒子サイズを得るために選択することができる。例えば、毛細管もしくはノズル送りと接続した電場によりエレクトロスプレーを製造することができる。都合よく、スプレーにより送達する少なくとも一つのIL−6抗体組成物タンパク質の粒子は、約10μm未満、好ましくは約1μm〜約5μmの範囲、そして最も好ましくは約2μm〜約3μmの粒子サイズを有する。
スプレーでの使用に適当な少なくとも一つの抗IL−6抗体組成物タンパク質の製剤は、典型的には、約0.1mg〜約100mgの少なくとも一つの抗IL−6抗体組成物タンパク質/ml溶液もしくはmg/gm、またはその中の任意の範囲もしくは値、例えば、.1、.2、.3、.4、.5、.6、.7、.8、.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、45、50、60、70、80、90もしくは100mg/mlもしくはmg/gm(しかし、これらに限
定されるものではない)の濃度で水溶液の抗体組成物タンパク質を含む。製剤は、賦形剤、バッファー、等張剤、防腐剤、界面活性剤、および好ましくは亜鉛のような作用因子を含むことができる。製剤はまた、バッファー、還元剤、バルクタンパク質(bulk protein)、もしくは炭水化物のような、抗体組成物タンパク質の安定化のための賦形剤もしくは作用因子を含むこともできる。抗体組成物タンパク質を調合することにおいて有用なバルクタンパク質には、アルブミン、プロタミンなどが包含される。抗体組成物タンパク質を調合することにおいて有用な典型的な炭水化物には、ショ糖、マンニトール、ラクトース、トレハロース、グルコースなどが包含される。抗体組成物タンパク質製剤はまた界面活性剤を含むこともでき、これはエアロゾルを形成する際に溶液の噴霧化により引き起こされる抗体組成物タンパク質の表面誘起凝集を減らすかもしくは防ぐことができる。ポリオキシエチレン脂肪酸エステルおよびアルコール、ならびにポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルのような様々な通常の界面活性剤を用いることができる。量は一般に、製剤の0.001〜14重量%の間である。本発明の目的のために特に好ましい界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリソルベート80、ポリソルベート20などである。IL−6抗体、または特定の部分もしくは変異体のようなタンパク質の調合用に当該技術分野において既知である追加の作用因子もまた、製剤に含むことができる。
ネブライザーによるIL−6抗体組成物の投与
抗体組成物タンパク質は、ジェットネブライザーもしくは超音波ネブライザーのようなネブライザーにより投与することができる。典型的には、ジェットネブライザーでは、開口部を通して高速空気ジェットを作り出すために圧縮空気源を用いる。気体がノズルを越えて広がるにつれて、低圧領域が生み出され、それは液体リザーバーに接続されている毛細管を通して抗体組成物タンパク質の溶液を引き出す。毛細管からの液体の流れは、それが管から抜け出るにつれて不安定なフィラメントおよび小滴に剪断され、エアロゾルを生み出す。既定のジェットネブライザーから所望の性能特性を得るために一連の構造、流速、およびバッフルタイプを用いることができる。超音波ネブライザーでは、典型的には圧電変換器を使用して、振動の、機械的エネルギーを生み出すために高周波電気エネルギーを用いる。このエネルギーは、直接もしくはカップリング流動体を通して抗体組成物タンパク質の製剤に伝達され、抗体組成物タンパク質を含むエアロゾルを生み出す。都合よく、ネブライザーにより送達する抗体組成物タンパク質の粒子は、約10μm未満、好ましくは約1μm〜約5μmの範囲、そして最も好ましくは約2μm〜約3μmの粒子サイズを有する。
ジェットもしくは超音波のいずれかのネブライザーでの使用に適当な少なくとも一つの抗IL−6抗体の製剤は、典型的に、溶液のml当たり約0.1mg〜約100mgの少なくとも一つの抗IL−6抗体タンパク質の濃度を含む。製剤は、賦形剤、バッファー、等張剤、防腐剤、界面活性剤、および好ましくは亜鉛のような作用因子を含むことができる。製剤はまた、バッファー、還元剤、バルクタンパク質、もしくは炭水化物のような、少なくとも一つの抗IL−6抗体組成物タンパク質の安定化のための賦形剤もしくは作用因子を含むこともできる。少なくとも一つの抗IL−6抗体組成物タンパク質を調合することにおいて有用なバルクタンパク質には、アルブミン、プロタミンなどが包含される。少なくとも一つの抗IL−6抗体を調合することにおいて有用な典型的な炭水化物には、ショ糖、マンニトール、ラクトース、トレハロース、グルコースなどが包含される。少なくとも一つの抗IL−6抗体製剤はまた界面活性剤を含むこともでき、これはエアロゾルを形成する際に溶液の噴霧化により引き起こされる少なくとも一つの抗IL−6抗体の表面誘起凝集を減らすかもしくは防ぐことができる。ポリオキシエチレン脂肪酸エステルおよびアルコール、ならびにポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルのような様々な通常の界面活性剤を用いることができる。量は一般に、製剤の0.001〜4重量%の間である。本発明の目的のために特に好ましい界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビ
タンモノオレエート、ポリソルベート80、ポリソルベート20などである。抗体タンパク質のようなタンパク質の調合用に当該技術分野において既知である追加の作用因子もまた、製剤に含むことができる。
定量吸入器によるIL−6抗体組成物の投与
定量吸入器(MDI)において、噴射剤、少なくとも一つの抗IL−6抗体、および任意の賦形剤もしくは他の添加剤を、液化圧縮ガスを含む混合物として容器に含有する。絞り弁の作動により、好ましくは、約10μm未満、好ましくは約1μm〜約5μm、そして最も好ましくは約2μm〜約3μmのサイズ範囲の粒子を含有する、エアロゾルとして混合物が放出される。所望のエアロゾル粒子サイズは、ジェット切削(jet−milling)、噴霧乾燥、臨界点凝縮などを包含する、当業者に既知である様々な方法により製造される抗体組成物タンパク質の製剤を用いることにより得ることができる。好ましい定量吸入器には、3MもしくはGlaxoにより製造されそしてヒドロフルオロカーボン噴射剤を用いるものが包含される。
定量吸入器装置での使用のための少なくとも一つの抗IL−6抗体の製剤には、一般に、非水性媒質中の懸濁液として、例えば、界面活性剤を用いて噴射剤に懸濁した少なくとも一つの抗IL−6抗体を含有する微粉化散剤が包含される。噴射剤は、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタノールおよび1,1,1,2−テトラフルオロエタン、HFA−134a(ヒドロフルオロアルカン−134a)、HFA−227(ヒドロフルオロアルカン−227)などを包含する、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、もしくは炭水化物のような、この目的のために用いる任意の通常の物質であることができる。好ましくは、噴射剤はヒドロフルオロカーボンである。界面活性剤は、噴射剤における懸濁液として少なくとも一つの抗IL−6抗体を安定させるため、化学分解から有効成分を守るためなどに選択することができる。適当な界面活性剤には、ソルビタントリオレエート、ダイズレシチン、オレイン酸などが包含される。ある場合には、エタノールのような溶媒を用いる溶液エアロゾルが好ましい。タンパク質のようなタンパク質の調合用に当該技術分野において既知である追加の作用因子もまた、製剤に含むことができる。
本発明の方法は、本明細書に記述されていない装置による少なくとも一つの抗IL−6抗体組成物の肺投与により実施できることを当業者は認識する。
経口製剤および投与
経口投与用の製剤は、腸壁の透過性を人工的に上げるために添加剤(例えば、レゾルシノールならびにポリオキシエチレンオレイルエーテルおよびn−ヘキサデシルポリエチレンエーテルのような非イオン性界面活性剤)の共投与、ならびに酵素分解を阻止するために酵素インヒビター(膵臓トリプシンインヒビター、ジイソプロピルフルオロホスフェート(DFF)およびトラシロール(trasylol))の共投与に依存する。経口投与用の固体タイプ剤形の有効成分化合物は、ショ糖、ラクトース、セルロース、マンニトール、トレハロース、ラフィノース、マルチトール、デキストラン、澱粉、寒天、アルギネート、キチン、キトサン、ペクチン、トラガカントゴム、アラビアゴム、ゼラチン、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、合成もしくは半合成のポリマー、およびグリセリドを包含する、少なくとも一つの添加剤と混合することができる。これらの剤形はまた、他のタイプ(1つもしくは複数)の添加剤、例えば、不活性希釈剤、ステアリン酸マグネシウム、パラベンのような潤滑剤、ソルビン酸、アスコルビン酸、アルファ−トコフェロールのような防腐剤、システインのような酸化防止剤、崩壊剤、結合剤、増粘剤、緩衝剤、甘味料、着香料、香料などを含有することもできる。
錠剤および丸剤は、腸溶性製剤にさらに加工することができる。経口投与用の液体製剤
には、医療用に許容される乳剤、シロップ剤、エリキシル剤、懸濁剤および液剤製剤が包含される。これらの製剤は、該分野において通常用いられる不活性希釈剤、例えば水を含有することができる。リポソームもまた、インシュリンおよびヘパリンの薬剤送達系として記述されている(米国特許第4,239,754号)。さらに最近では、混合アミノ酸の人工ポリマーの小球体(プロテイノイド)が医薬品を送達するために用いられている(米国特許第4,925,673号)。さらに、米国特許第5,879,681号および米国特許第5,871,573号に記述されている担体化合物は、生物学的に有効な作用因子を経口的に送達するために用いられ、当該技術分野において既知である。
粘膜製剤および投与
粘膜面を通した吸収には、少なくとも一つの抗IL−6抗体を投与する組成物および方法は、乳剤粒子の粘膜接着を成し遂げることにより粘膜面を通した吸収を促進する、複数のサブミクロン粒子、粘膜接着性高分子、生物活性ペプチド、および水性連続相を含んでなる乳剤を含む(米国特許第5,514,670号)。本発明の乳剤の使用に適当な粘膜面には、角膜、結膜、口腔内、舌下、鼻腔内、膣、肺、胃、腸、および直腸投与経路を包含することができる。膣もしくは直腸投与用の製剤、例えば座薬は、賦形剤として例えばポリアルキレングリコール、ワセリン、ココアバターなどを含有することができる。鼻腔内投与用の製剤は固体であることができ、そして賦形剤として例えばラクトースを含有することができ、または点鼻薬の水性もしくは油性溶液であることができる。口腔内投与では、賦形剤には糖、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、糊化済澱粉などが包含される(米国特許第5,849,695号)。
経皮製剤および投与
経皮投与には、少なくとも一つの抗IL−6抗体をリポソームもしくはポリマーナノ粒子、微粒子、マイクロカプセル、または小球体(他に記載されない限りまとめて微粒子と称する)に封入する。ポリ乳酸、ポリグリコール酸およびそのコポリマーのようなポリヒドロキシ酸、ポリオルトエステル、ポリ無水物、およびポリホスファゼンのような合成ポリマー、ならびにコラーゲン、ポリアミノ酸、アルブミンおよび他のタンパク質、アルギネートおよび他の多糖のような天然ポリマー、ならびにその組み合わせでできている微粒子を包含する、多数の適当な手段が既知である(米国特許第5,814,599号)。
長期投与および製剤
本発明の化合物を被験体に長期間にわたって、例えば単一投与から1週〜1年の期間にわたって送達することが望ましいことがあり得る。様々な持続放出、持続性薬剤もしくは埋め込み剤形を利用することができる。例えば、剤形は、体液において低い程度の溶解性を有する化合物の製薬学的に許容しうる無毒の塩、例えば、(a)リン酸、硫酸、クエン酸、酒石酸、タンニン酸、パモン酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンモノもしくはジスルホン酸、ポリガラクツロン酸などのような多塩基酸との酸付加塩;(b)亜鉛、カルシウム、ビスマス、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、銅、コバルト、ニッケル、カドミウムなどのような多価金属陽イオン、または例えばN,N’−ジベンジル−エチレンジアミンもしくはエチレンジアミンから形成される有機陽イオンとの塩;あるいは(c)(a)および(b)の組み合わせ、例えばタンニン酸亜鉛塩を含有することができる。さらに、本発明の化合物もしくは好ましくは今記述したもののような比較的不溶性の塩は、ゲル、例えば、注入のために適当な、例えばゴマ油を有するモノステアリン酸アルミニウムゲルに調合することができる。特に好ましい塩は、亜鉛塩、タンニン酸亜鉛塩、パモン酸塩などである。注入用の持続放出持続性製剤の別のタイプは、例えば米国特許第3,773,919号に記述されているようなポリ乳酸/ポリグリコール酸ポリマーのようなゆっくり分解する無毒の非抗原性ポリマーに分散もしくは封入した化合物もしくは塩を含有する。化合物、もしくは好ましくは上記のもののような比較的不溶性の塩はまた、特に動物における使用のために、コレステロールマトリックスシラスティックペレッ
トに調合することもできる。追加の持続放出、持続性製剤もしくは埋め込み製剤、例えば、気体もしくは液体リポソームは、文献において既知である(米国特許第5,770,222号および“Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems”,J.R.Robinson ed.,Marcel Dekker,Inc.,N.Y.,1978)。
略語
BSA−ウシ血清アルブミン
EIA−酵素免疫アッセイ
FBS−ウシ胎仔血清
H2O2−過酸化水素
HRP−西洋ワサビペルオキシダーゼ
Ig−免疫グロブリン
IL−6−インターロイキン−6
IP−腹腔内
IV−静脈内
Mab−モノクローナル抗体
OD−光学密度
OPD−o−フェニレンジアミン2塩酸塩
PEG−ポリエチレングリコール
PSA−ペニシリン、ストレプトマイシン、アンフォテリシン
RT−室温
SQ−皮下
v/v−容量/容量
w/v−重量/容量
実施例1 マウスCLB8 Mabの作製
免疫
マウスCLB−IL6−8抗体を生じるハイブリドーマは、報告されているように(Brackenhoff et al,J.Immunol.(1990)145:561−568)Dr.Lucien Aardenの研究所、Central Laboratory of the Netherlands Res Cross Transfusion Servise(CLB)において行われた融合から得られた。
CLBの特定病原体未感染育種ストックから得られる8週齢のメスBalb/cマウスに完全フロインドアジュバントに乳化した10μgの精製された組み換えインターロイキン−6(rIL−6)(CLB)を筋肉内(IM)に免疫感作した。不完全フロインドアジュバント中の各々10μgのrIL−6での3回のその後のIM注射は、4〜8週の間隔で実施した。
細胞融合
最後のIMブースター注射の4日後に、マウスを殺し;脾臓を取り出し、そして細かく刻んだ。単一細胞懸濁液を周囲アール緩衝塩溶液において得た。細胞を洗浄し、そして計数した。融合は、イスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)中42%(w/v)のポリエチレングリコールの存在下で1:3の比率の生存脾臓細胞:マウス骨髄腫細胞(Sp2/0−Ag14)で実施した。非Ig分泌融合相手Sp2/0は、CLBで維持される細胞バンクから樹立した。融合の後、細胞を5%のウシ胎仔血清、50μMのペニシリン/ストレプトマイシン、5x10−5Mの2−メルカプトエタノール(2−ME)およびHAT(6x10−4Mのヒポキサンチン、6.5x10−7Mのアミノプテリン、6.4x
10−5Mのチミジン)を補足したIMDMに再懸濁した。融合直後のこれらのハイブリドーマの増殖はIL−6に依存し、従って、100U/mLの精製されたマウスIL−6(Van Smick,Brussels)を選択培地に加えた。次に、融合細胞を1x105細胞/100μLウェルで96ウェルプレートに分配した。
マウス抗IL−6ハイブリドーマの一次特性化
抗IL−6分泌ハイブリッドは、酵素免疫測定法(ELISA)および放射免疫測定法(RIA)により選択した(Brackenhoff et al.(1990)145:561−568)。
ヒトIL−6に特異的なモノクローナル抗体をスクリーニングするのに固相ELISAを用いた。精製されたrIL−6(0.5μg/mL)を平底プレート(Dynatech)上に100μL/ウェルでリン酸緩衝食塩水(PBS)中で室温で一晩被覆した。プレートをPBS、0.02%(v/v)Tween 20(PBS/Tween)で洗浄し、そして0.2%のゼラチンを補足したPBS/Tween(PTG)における培養上清の1:2希釈物と周囲温度で2時間インキュベーションした。洗浄した後、プレートをPTG中の西洋ワサビペルオキシダーゼ結合モノクローナルラット抗マウスカッパ軽鎖226(Einstein University,NY)(2μg/mL)と1時間インキュベーションした。プレートを洗浄し、そして結合したペルオキシダーゼを0.1M酢酸ナトリウム、pH5.5中の100μL/ウェルの3,5,3,5,テトラメチルベンジジン/0.003%過酸化水素で検出した。呈色反応を2M H2SO4で止め、そしてプレートをTitertek,Multiscan読み取り装置で450nMで読み取った。正のODをもたらすウェルを選択した。
固相RIAもまた、抗IL−6ハイブリドーマをスクリーニングするのに用いた。ヤギ抗マウスIg抗体を臭化シアン活性化セファロースCL−4B(Pharmacia)に連結した。セファロースを洗浄し、そしてPBS、0.1% Tween 20、0.1%アジ化ナトリウムに10mg/mLで再懸濁した。ハイブリドーマ上清を6時間絶えず混合しながら約20,000カウント/分の125ヨウ素−rIL−6(CLB)の存在下でセファロースビーズに加えた。ビーズをPBS/Tween中でよく洗浄し、そしてガンマカウンターにおいて計数した。最も高い比活性をもたらすウェルを選択した。
両方のアッセイ系において陽性であったハイブリドーマを樹立し、そして2x10−5Mの2−MEおよび5%のFBSを補足したIMDM(完全IMDM)における限界希釈で2回サブクローン化した。IL−6非依存性サブクローンCLB−IL6−8を選択し、そして完全IMDMにおいて維持した。ストック培養物は、Vero76標的細胞上での培養における4日後に間接的ヘキスト染色を用いてマイコプラズマに関して陰性反応が出た。Innogenetics Line ImmunoAssay(INNO−LIA)マウスモノクローナル抗体アイソタイプキットによる上清のアイソタイプ決定は、単一のマウスアイソタイプIgG1カッパをもたらした。このアイソタイプ決定は、捕獲EIAによって確かめられた。
マウスハイブリドーマおよび細胞系をこのようにして製造し、CLBIL−6/8をCLB8と称した。これを下記のようにキメラ化し、そしてさらに特性化した。
実施例2:キメラ化および塩基配列決定
cCLB8可変領域遺伝子のクローニングおよび発現
ヒトIL−6に特異的なマウスモノクローナル抗体を分泌するマウスハイブリドーマC143AからゲノムDNAを単離した。
軽鎖用には、DNAを制限エンドヌクレアーゼHindIIIで消化し、そして0.8%のアガロースゲルによる電気泳動に供した。約3.4Kbの長さのDNAフラグメントを含有するゲルの部分を切り出し、そしてDNAを溶出した。フラグメントをベクター8charon27に連結し、そしてバクテリオファージ粒子にパッケージングした。
重鎖用には、DNAを制限エンドヌクレアーゼEcoRIで消化し、そして0.8%のアガロースゲルによる電気泳動に供した。約3.6Kbの長さのDNAフラグメントを含有するゲルの部分を切り出し、そしてDNAを溶出した。フラグメントをベクター8gt10に連結し、そしてバクテリオファージ粒子にパッケージングした。
重鎖および軽鎖バクテリオファージライブラリーの両方をエシェリキア・コリ上で平板培養し、そして一晩培養した.プラークをニトロセルロースフィルターに移し,そしてマウスJκ(軽鎖)もしくはマウスJH配列に対応する32Pで標識したDNAフラグメントで調べた。陽性プラークを同定し、そしてプラーク精製した。ファージDNAを単離し、そしてHindIII(軽鎖)もしくはEcoRI(重鎖)インサートを単離し、そして免疫グロブリン発現ベクターにクローン化した。
重鎖および軽鎖発現プラスミドをSP2/0細胞を共トランスフェクションするために用い、そしてミコフェノール酸選択を適用した。キメラ抗体を生産する個々のクローンを同定し、そして単一クローン性を保証するためおよびいっそう高い生産体を生成せしめるためにサブクローン化した。
個々の細胞系から精製された抗体をIL−6依存性B9細胞増殖アッセイにおいて中和能力に関して試験した。該抗体を本願の全体にわたってキメラCLB8もしくはcCLB8と称する。
実施例3.固相EIAによるヒトIL−6へのcCLB8の結合の測定
ヒトIL−6へのcCLB8 Mabの結合特性を評価するために固相EIAを用いた。簡潔に言えば、プレートをPBS中1μg/mLの組み換えヒトIL−6(RDI)で4℃で一晩被覆した。0.02%(v/v)Tween20を含有する0.15Mの食塩水において洗浄した後、ウェルをPBS中1%(w/v)のBSA、200μL/ウェルでRTで1時間ブロックした。精製された抗体を5μg/mLの出発濃度から2倍連続希釈物において37℃で1時間インキュベーションした。プレートを洗浄し、そして次に1% BSA−PBSに1:20,000希釈した50μL/ウェルのHRP標識ヤギ抗ヒトIgG(Tago)でRTで1時間調べた。プレートを再び洗浄し、そして100μL/ウェルのクエン酸−リン酸基質溶液(0.1Mクエン酸および0.2Mリン酸ナトリウム、0.01% H2O2および1mg/mL OPD)をRTで15分間加えた。次に、停止溶液(4N硫酸)を25μL/ウェルで加え、そして490nmでの吸収を自動プレート光度計を用いて定量した。図1は、cCLB8が濃度依存的に組み換えヒトIL−
6に結合することを示すOD490nmとして測定されるIL−6へのcCLB8結合を示す。
実施例4.インビトロ中和アッセイ
cCLB8によるIL−6の遮断は、IgMおよびMCP−1の分泌を阻害する。
キメラモノクローナル抗体cCLB8を、ヒトIgMおよびケモカインMCP−1のIL6誘発性分泌に対するその中和生物活性を測定するために2種の簡単なバイオアッセイ形式で評価した。2種のヒト細胞系をこれらの研究において用いた。SKW6.4細胞系は、EBVでトランスフォームしたバーキットB細胞リンパ腫から最初に得られ、そしてIL6に応答して可溶性IgMを分泌する。U937細胞系は、単芽球性で、単球分化することが決定されており、そしてびまん性組織球性リンパ腫にかかっている患者から最初に単離された。U937細胞は、IL6に応答してMCP−1を分泌する。これらの特定の生物活性は、EIA形式を用いて容易にモニターすることができるので、これらのcCLB8阻害を評価した。アッセイの前に、細胞を一晩血清不足にし、そして次にIL6または様々な濃度の抗体もしくは陰性コントロール抗体とプレインキュベーションしたIL6と翌日のみ培養した。72時間のインキュベーションの終わりに上清を集め、そしてIgM特異的およびMCP−1特異的EIAにおいて用いた。図2および3に示すような結果は、cCLB8がインビトロにおいてIgMおよびMCP−1のIL6媒介分泌を有意に阻害することを示す。
図2によって示す実験では、EIAプレートを10mMの炭酸バッファー、pH9.6中のヤギ抗ヒトIgM(Fc5μフラグメント特異的)で4℃で一晩被覆した。プレートを0.02% v/v Tween20を有する0.15Mの食塩水で洗浄し、そしてPBS/1% w/v BSAで1時間ブロックした。細胞培養上清を連続2倍希釈で加えた。インキュベーションおよびその後の0.02% Tween、0.15M食塩水での洗浄の後、プレートをHRP標識ヤギ抗ヒトIgM(μ鎖特異的)で調べた。次にOPD基質を加え、そして着色の後、ODを490nmで読み取った。データは、cCLB8はIgMミュー分泌を阻害するが、アイソタイプがマッチする陰性コントロールキメラmABはそうでないことを示す。
図3によって示す実験では、EIAプレートを10mMの炭酸バッファー、pH9.6中のヤギ抗ヒトMCP−1で4℃で一晩被覆した。プレートを0.02% v/v Tween20を有する0.15Mの食塩水で洗浄し、そしてPBS/1% w/v BSAで1時間ブロックした。細胞培養上清を連続2倍希釈で加えた。2時間のインキュベーションおよびその後の0.02% Tween、0.15M食塩水での洗浄の後、プレートを製造業者の使用説明書のようにビオチニル化抗ヒトMCP−1で調べた。プレートを再び洗浄し、そしてHRP標識ストレプトアビジンを1時間加えた。着色をTMB基質で行った。ODを450で読み取った。データは、cCLB8はIL−6媒介MCP−1生産を阻害するが、cK931はそうでないことを示す。
STAT3のIL6媒介リン酸化の中和
IL6受容体は、80kDの結合サブユニット、IL6Rαおよびシグナル伝達サブユニット、gp130からなる。IL6はIL6Rαサブユニットに結合し、そしてIL6Rαとgp130との会合を起こし、高親和性受容体およびシグナル伝達をもたらす。IL6Rαはまた、可溶性形態でも存在する。IL6は可溶性IL6R(sIL6R)に結合することができ、そして複合体はgp130を発現する細胞に作用することができる。IL6は、STAT3を活性化することが示されている。cCLB8によるSTAT3リン酸化の阻害を示すためにヒト急性単球性白血病細胞系、THP−1を用いた。細胞を(IL6+sIL6R)+/−cCLB8もしくは陰性コントロールとしての無関係の抗体
(K931)で刺激した。細胞ライセートを抗STAT3で免疫沈降し、サンプルを7.5% SDS−PAGE上で分離し、そしてHybond−P膜に移し、その後に抗ホスホチロシン−HRPを用いてウェスタンブロッティングを続けた。検出にはECLplusを用いた。
図4に示すデータは、cCLB8がそれをa)sIL6Rの添加の前にrhIL6に結合させる、b)rhIL6の添加の前にsIL6Rに結合させる場合に、もしくはc)rhIL6をcCLB8および細胞の添加の前にsIL6Rに結合させる場合にSTAT3のリン酸化を阻害できることを示す。THP−1細胞を血清なしの培地において16時間インキュベーションし、フラスコからはがし、そして0.5mlの培地に再懸濁した。レーン2〜6、IL6を+/−抗体で15分間インキュベーションし、次にsIL6Rを加え、そして15分間インキュベーションした。細胞を加え、そしてさらに15分インキュベーションした。レーン7、IL6をsIL6Rと15分間インキュベーションし、次にCLB−IL6を加え、そして15分間インキュベーションした。細胞を加え、そしてさらに15分インキュベーションした。サンプルを抗STAT3[1μg/ml]で免疫沈降し、Laemmliサンプルバッファーに再懸濁し、7.5% SDS−PAGE上で分離し、そしてHybond−Pに移した。膜を抗ホスホチロシン−HRPとインキュベーションした。
cCLB8は血清アミロイド生産を阻害する。
IL−1βは、ヒトIL−6の存在下でHepG2ヒト肝臓癌細胞からの血清アミロイドA(SAA)生産の強力な誘導因子である(Smith and McDonald,Clin Exp.Immunol.90:293−9(1992))。従って、cCLB8 Mabをこれらの細胞からのIL−1β/IL−6誘発性SAA生産を阻害する能力に関してアッセイした。簡潔に言えば、HepG2細胞を2.25x105/ウェルで24時間接種した。IL−6(100ng/ml,RDI)およびIL−6sR(200ng/ml,S&D)を30分間プレインキュベーションし、そしてIL−1β(1ng/ml,R&D)と混合した。cCLB8 Mabおよび陰性アイソタイプコントロールMab(cSF25)を連続希釈し、そして次に上記の混合物とさらに30分間プレインキュベーションした。
図5に示す実験結果では、cCLB8もしくはcSF25(アイソタイプのマッチする無関係のMab)の連続希釈物をIL−6sRおよびIL−1βとプレインキュベーションし、そして次にHepG2細胞と24時間培養した。次に、細胞上清をELISAにより血清アミロイドA生産レベルに関して分析した。(ヒトSAA ELISAキット,Biosource,製造業者の使用説明書に従って行う)。エラーバーは、反復二重サンプルのSEMを示す。図5のデータは、cCLB8がHepG2細胞からのIL−1β/IL−6誘発性SAA生産を用量依存的に阻害できたことを示す。
cCLB8 MabによるIL−6誘発性細胞増殖の阻害
マウスB骨髄腫細胞系、7TD1は、IL−6の存在下で増殖するように誘導される。IL−6の活性を中和するcCLB8 Mabの能力を示すために、該細胞を10%のFBSおよび0.5ng/mLの組み換えヒトIL−6(R&D Systems)を含有するIMDMにおいて、そしてcCLB8 Mabもしくは陰性コントロールMab 17−1Aの連続希釈物と37℃で72時間インキュベーションした。細胞増殖は、細胞数と直接相関関係がある発光ATPアッセイ(ATPLite,Packard Bioscience)により測定した。
図6に示すデータは、IL−6が7TD1細胞の増殖を劇的に刺激し、そしてcCLB
8がこの細胞増殖を7.2ng/mLのEC50で濃度依存的に阻害したことを示す。エラーバーは、二重反復サンプルのSEMを示す。*は、rIL−6なしの細胞の増殖を示す。
実施例5:エピトープマッピング
CLB8を含むいくつかの中和抗IL−6 Mabのエピトープは、Brakenhoff,J.et al.(1990)J.Immunology 145:561−568に記述されているようなヒトIL−6突然変異体タンパク質への抗体結合を用いて特性化されている。アミノおよびカルボキシル末端欠失突然変異体を製造し、そしてIL−6に対する抗体の一団を抗体競合実験により分析した。競合研究に基づいて中和Mabは2群(IおよびII)に分類された。この方法において、既定のMabのエピトープに含まれる残基は、抗原性タンパク質の対応する部位特異的単一アミノ酸置換変異体をそれが認識できないことにより区別される。CLB.IL−6/8は、ヒトIL−6分子上の部位Iにマッピングされ、それは分子のカルボキシル末端に近接するアミノ酸Gln29〜Leu34からなる。さらなる研究(Kalai,M,et al.,Eur.J.Biochem.249,690−700(1997))により、CLB.IL−6/8はIL−6R(gp80)へのIL−6の結合にとって重要なアミノ酸残基を認識することが示された。また、これらの研究により、そのエピトープがIL−6分子のABループおよびDヘリックス領域の両方の末端を含むことも示された。
実施例6:インビボ特性化
抗ヒトIL−6(cCLB8)および抗マウスIL−6マウスMabでの処置は癌悪液質を遅らせる。
ヒト黒色腫細胞(A375S2)をメスのヌードマウスに接種し、そしてMab治療を同じ日に開始した。抗体は、10mg/kg(2x/週)の用量で腹腔内に注射し、そしてC57(抗CMV)をコントロールmAbとして用いた。組み合わせた遮断を生み出すためにcCLB8(抗ヒトIL−6)およびMP520F3(マウスIL−6に対するMab、R&D Systems)の組み合わせを用い、コントロール抗体C57処置動物と比較してヒト黒色腫腫瘍を保有する動物の体重減少を有意に抑制した(図7)。抗体治療は、腫瘍増殖もしくは最終腫瘍重量に影響を及ぼさなかった。これらの結果は、IL6が腫瘍により誘発される動物の体重減少に関与し、そしてIL−6の遮断がこのモデルにおける癌悪液質を遅らせることができることを示す。
図7.ヒトおよびマウスIL6(抗IL6 mAb cCLB8およびMP520F3)の組み合わせた遮断は、動物の体重減少の有意な抑制をもたらす。Y軸上の修正された動物の体重減少は、(研究の終了時の動物体重−腫瘍重量)−研究の開始時の動物体重である。各バーは、少なくとも14匹の動物/群からのデータの平均であり、そしてエラーバーは標準偏差を示す。両側t検定解析により、抗IL−6群はp=0.007で体重減少を有意に抑制することが示された。
実施例7:親和性測定
BIAcore 2000,センサーチップCM−5(チップ上の金表面をカルボキシメチル化デキストランマトリックスで被覆する)、HBS(pH7.4で0.15MのNaCl、3.4mMのEDTA、および0.05%の界面活性剤P20を有する10mMのHEPES)、アミンカップリング試薬(N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、N−エチル−N’−(3−メチルアミノプロピル)−カルボジイミド(EDC)および1MエタノールアミンHCLは、BIAcoreから入手し、そして製造業者の使用説明書に従って調製した。抗ヒトFc(Jackson AffiniPureヤギ抗ヒトIgG,Fc□,Cat#109−005−098,Lot#48646)は、Jackso
n ImmunoResearchから購入した。
5mlの0.15M塩化ナトリウム、0.01Mリン酸ナトリウム、pH7.2中のキメラCLB8(Lot#PD1F03)IgGモノクローナル抗体は、Centocorによって製造された。組み換えヒトIL−6(Lot#Al197111)は、R&D Systemsから購入した。
抗ヒトFc(1.8mg/ml)をNaOAcバッファー(10mM、pH4.8)において50μg/mlの濃度に希釈し、そしてBIAcore systemsマニュアルに記述されているような製造業者のアミンカップリング化学を用いてCM−5センサーチップのカルボキシメチル化デキストランマトリックスに連結した。10000RUを目標にする表面調製ウィザードを用いて、センサー表面上のカルボキシル基を最初にNHS/EDCで活性化し、続いて抗ヒトFcを加えた。残存する活性化基を1Mエタノールアミンの注入によりブロックした。フローセルの各々を個々に連結した。これらの条件を用いて、7554〜9571共鳴単位(RU)の抗ヒトFcを含有する4つのフローセル表面を調製した。予備実験において、100mM H3PO4/0.05% CHAPSの3回の注入(30μl/分で15μl)は、結合した免疫グロブリンを効率よく取り除き、そして固定化した抗ヒトFcの結合能力を維持すると決定された。
2つの実験をBIAcore 2000上で25℃および30μL/分の流速で行った。cCLB8を5μg/mlでHBSに溶解した。被検体、IL−6をHBSに0.25、0.125、0.062、0.031、および0.015μg/mlで溶解した。指定量の抗体をそのそれぞれのフローセル上に流し、続いて30μl/分で30μlの各IL−6濃度(結合相)および連続した800秒のバッファーの流れ(解離相)を注入した。チップの表面は、100mM H3PO4/0.05% CHAPSでの各々15μlの3回の逐次注入により再生させた。HBSの注入は、分析のバルク屈折率の除去の基準(ブランクセンソグラム(sensogram))となる。BIAanalysis 3.0における1:1モデルを用いて、ローカルフィット(local fit)を解離(Kd,[s−1])および結合(ka,[M−1s−1])の両方に行い、そして解離定数(KD,[M])を計算した(kd/ka)。
分析は、BIAevaluationバージョン3.0を用いて行った。速度定数は、相互作用メカニズムのモデルから得られる速度式に実験の曲線を適合させることによりセンソグラムデータから得た。ローカルRUmaxフィットで1:1結合モデルを用いる大域解析によりka、kd、kDを決定した(表1)。
実施例8:抗イディオタイプ抗体
cCLB8の有効なアッセイ系(免疫組織化学および血清検出)の開発は、抗イディオタイプ抗体の使用を必要とする。従って、血清検出および免疫組織化学アッセイにおける薬物動態学プローブとして利用することができるcCLB8に対する抗イディオタイプ抗体を作製するためにBalb/cマウスをcCLB8で免疫感作する。
免疫
6〜7週の年齢の5匹のBalb/cマウス(Charles River Laboratories)を50μgのIPおよび25μgのSCで与えるcCLB8(Centocor,PD1F03)で12週の期間にわたって免疫感作した。各マウスにIPおよびSC注射を与えた。注射は、免疫処方計画の全体にわたって2週間隔であった。IP投与する注射材料は、等容量のフロイントアジュバント(Sigma)で乳化した。最初のIP注射は、200μlの総容量で完全フロイントアジュバントを利用した。その後のIP注射は、不完全フロイントアジュバントを含有した。SC投与する注射材料は、PBSに希釈し、そして100μl/部位で2つの注入部位間で分けた。マウスから0、21、47、および77日に血液を抜き取った。血液収集は、麻酔したマウスに後眼窩穿刺により行い、そしてcCLB8固相EIAによる力価決定用に血清を集めた。免疫プロトコルの終了の3週後に、マウス#1に125μlのPBSに希釈した100μgのcCLB8の最終IVブースター注射を与えた。
マウスcCLB8抗イディオタイプモノクローナル抗体の作製
cCLB8で免疫感作したBalb/cマウス脾臓を利用する1つの融合は、EIAによってcCLB8に特異的な7種の抗id抗体の同定をもたらした。7種の抗id抗体は、C207A、C128A、C168J、C116J、C300A、およびC301Aのような他のマウス/ヒトキメラ抗体に結合しないことが示された。7種の抗体のうち6種はアイソタイプIgG1κのものであり、そして一つの抗体はIgG2bκであった。表1は、融合の結果を要約する。1:800の最大血清力価は、47日後のマウスにおいて得られ、そして免疫の期間の全体にわたって一定のままであったことに注目すべきである。
アイソタイピング
抗体のアイソタイプ決定は、ディップスティック形式のマウスモノクローナル抗体アイソタイピングキット(Like Technologies)を用いて実施した。希釈バッファー、ハイブリドーマ上清、およびラット抗マウスコンジュゲートの混合物を様々な捕獲マウス抗体アイソタイプで前もって被覆したスティックを含有するチューブにおいて振盪しながらRTで一晩インキュベーションした。スティックをチューブから取り除き、dH2Oにおいて穏やかにすすぎ、そしてアイソタイプを決定した。
血清阻害アッセイ
cCLB8に結合する7種の抗id抗体の能力へのプールした正常ヒト血清(NHS)の影響を決定した。50μg/mlから開始する抗id Mabの2倍希釈物を0%、0.5%、5%、および50%のNHSの存在下で37℃で30分間インキュベーションした。混合物をcCLB8被覆プレートに移し、そして37℃で30分間インキュベーションした。プレートを洗浄し、次にヤギ抗マウスIgG Fc *HRPで調べた。抗id
Mabのいずれも、cCLB8に結合するのを0%および0.5%のNHSにより妨げられなかった。3種のMab(C433A、C435A、およびC437A)は、5%のNHSにより部分的結合阻害を示した。C434AおよびC436Aを除いて全て、50%のNHS濃度により有意に影響を受けた(図8A〜G)。
抗id MabによるHuIL−6へのcCLB8結合の阻害
HuIL−6へのcCLB8結合を阻害する7種の抗id抗体の能力を評価した。以前のEIA研究により、cCLB8はHuIL−6被覆プレートに非常に弱く結合することが示されている。6〜25倍の過剰の濃度の2種のMab(C435AおよびC437A)は、HuIL−6へのcCLB8結合の実質的に完全な阻害を示した。C434Aは、25倍過剰でのみcCLB8の阻害効果を示した。HuIL−6へのcCLB8の結合を阻害することに最も優れた2種の抗体は、C436AおよびC439Aであった。これら2種の抗体は、3〜25倍の過剰濃度範囲にわたってcCLB8結合を完全に阻害することができた。C433AおよびC438Aは、阻害活性を示さなかった(図9)。このアッセイは、予備研究で得られた結果を裏付けた。
HuIL−6にあらかじめ結合したcCLB8への抗id結合
HuIL−6にあらかじめ結合したcCLB8に結合する7種の抗id抗体の能力を調べた。10μg/mlのcCLB8をHuIL−6プレート上で37℃で30分間インキュベーションした。プレートをすすぎ、次に10μg/mlから開始する抗id Mabの3倍希釈物と37℃で30分間インキュベーションした。プレートを洗浄し、次にヤギ抗マウスIgG Fc *HRPで調べた。予備研究におけるように、C436AおよびC438Aは、HuIL−6に前もって結合したcCLB8に結合することができる唯一
の抗体であった。図10は、HuIL−6にあらかじめ結合したcCLB8に対する7種の抗id抗体の結合能力を示す。
要約すると、7種のモノクローナル抗イディオタイプ抗体が、マウス骨髄腫細胞とキメラ抗ヒトIL−6抗体(cCLB8)で免疫感作したBalb/cマウスからの脾臓細胞との融合から製造された。これらの抗id抗体のうち5種(C434A、C435A、C436A、C437A、およびC439A)は、HuIL−6へのcCLB8結合を阻害することができた。2種の抗体(C436AおよびC438A)は、HuIL−6にあらかじめ結合したcCLB8に結合する能力を保有し、そして2種の抗体(C434AおよびC436A)は、試験したNHSのいずれの濃度によってもcCLB8に結合することに実質的に影響を受けなかった。これらのcCLB8抗イディオタイプ抗体の幅広い結合プロフィールは、それらのいくつかを血清検出および免疫組織化学アッセイにおける薬物動態学プローブとして用いる有力候補にする。
本発明は、前述の説明および実施例に特に記述されているようなものとは別のやり方で実施できることが明らかである。
本発明の多数の改変および変形は、上記の教示に照らして可能であり、従って、添付の請求項の範囲内である。
以下に本発明の主な特徴と態様を列挙する。
1.抗IL−6マウスモノクローナル抗体CLB−8から得られる少なくとも一つの重鎖もしくは軽鎖相補性決定領域(CDR)および1つもしくはそれ以上のヒト抗体から得られる定常領域を含んでなるヒトIL−6を阻害することができるキメラ、ヒト化もしくはCDR移植抗体もしくは抗体フラグメント。
2.配列番号7もしくは8を含んでなる少なくとも一つの重鎖もしくは軽鎖可変領域を含んでなる1.に記載のIL−6抗体。
3.抗IL−6マウスCLB−8もしくはそれと実質的に同じ結合特性を有する抗体のヒトIL−6への結合をインビボにおいて競合的に阻害する1.に記載の抗体。
4.少なくとも10−9Mの親和性(Kd)でIL−6に結合する1.に記載のIL−6抗体または特定の部分もしくは変異体。
5.少なくとも10−11Mの親和性(Kd)でIL−6に結合する1.に記載のIL−6抗体または特定の部分もしくは変異体。
6.少なくとも10−12Mの親和性(Kd)で結合する1.に記載のIL−6抗体または特定の部分もしくは変異体。
7.該抗体が抗IL−6マウスモノクローナル抗体CLB−8から得られる少なくとも一つの重鎖もしくは軽鎖可変領域および1つもしくはそれ以上のヒト抗体から得られる定常領域を含んでなるキメラ抗体である、1.に記載のIL−6抗体または特定の部分もしくは変異体。
8.少なくとも一つのIL−6の少なくとも一つの活性を実質的に中和する7.に記載のIL−6抗体または特定の部分もしくは変異体。
9.該活性が、SKW6.4細胞からのIgMミュー分泌の阻害、IL−6媒介MCP−1生産の阻害、THP−1ヒト単球性白血病細胞におけるIL−6シグナル伝達の阻害、HepG2細胞からのIL−6誘発性血清アミロイドA生産の阻害、およびrhIL−6誘発性細胞増殖の阻害よりなる群から選択される少なくとも一つである、8.に記載のIL−6抗体または特定の部分もしくは変異体。
10.配列番号:1、2、3、4、5、6の少なくとも一つの連続したヌクレオチドの少なくとも90〜100%に対応するかもしくは相補的な少なくとも一つの相補性決定領域(CDR)をコードする配列を含んでなるキメラ、ヒト化もしくはCDR移植抗体またはその特定の部分もしくは変異体をコードする核酸にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするか、もしくは少なくとも95%の同一性を有する核酸を含んでなる、単離されたIL−6抗体をコードする核酸。
11.該核酸が配列番号:1、2、3、4、5、6の少なくとも一つの連続したヌクレオチドの少なくとも90〜100%に対応するかもしくは相補的な少なくとも一つの相補性決定領域(CDR)をコードする配列を含んでなる、10.に記載の単離されたIL−6抗体をコードする核酸。
12.配列番号7もしくは8を含んでなる少なくとも一つの可変領域を有する少なくとも一つの抗IL−6抗体をコードする10.に記載の単離された核酸。
13.11.もしくは12.に記載の核酸によりコードされる単離された抗体または特定の部分もしくは変異体を含んでなる、単離されたIL−6抗体または特定の部分もしくは変異体。
14.10.に記載の単離された核酸および担体もしくは希釈剤を含んでなる、IL−6抗体をコードする核酸組成物。
15.10.に記載の核酸を含んでなる抗体ベクター。
16.該ベクターが、後期もしくは初期SV40プロモーター、CMVプロモーター、HSV tkプロモーター、pgk(ホスホグリセリン酸キナーゼ)プロモーター、ヒト免疫グロブリンプロモーターもしくはEF−1アルファプロモーターよりなる群から選択される少なくとも一つのプロモーターを含んでなる15.に記載の抗体ベクター。
17.該ベクターが、メトトレキセート(MTX)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)、ネオマイシン(G418)、もしくはグルタミン合成酵素(GS)の少なくとも一つから選択される少なくとも一つの選択遺伝子もしくはその一部を含んでなる15.に記載の抗体ベクター。
18.10.に記載の単離された核酸を含んでなる宿主細胞。
19.該宿主細胞が、COS−1、COS−7、HEK293、BHK21、CHO、BSC−1、Hep G2、653、SP2/0、293、HeLa、骨髄腫、もしくはリンパ腫細胞、またはその任意の誘導体、不死化もしくはトランスフォームした細胞から選択される少なくとも一つである18.に記載の宿主細胞。
20.IL−6抗体または特定の部分もしくは変異体が検出可能なもしくは回収可能な量で発現されるように、インビトロ、インビボもしくはin situにおける条件下で、10.に記載の核酸もしくはストリンジェントな条件下でそれにハイブリダイズする内因
性核酸を翻訳することを含んでなる、少なくとも一つのIL−6抗体または特定の部分もしくは変異体を製造する方法。
21.1.に記載の単離されたIL−6抗体または特定の部分もしくは変異体、および担体もしくは希釈剤を含んでなる、IL−6抗体組成物または特定の部分もしくは変異体の組成物。
22.TNFアンタゴニスト、抗リウマチ剤、筋肉弛緩剤、麻酔薬、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、鎮痛剤、麻酔剤、鎮静剤、局所麻酔剤、神経筋遮断薬、抗菌薬、乾癬治療薬、コルチコステロイド、タンパク同化ステロイド、糖尿病関連薬、ミネラル、栄養、甲状腺薬、ビタミン、カルシウム関連ホルモン、止痢薬、鎮咳薬、制吐薬、抗潰瘍薬、下剤、抗凝血剤、エリスロポエチン、フィルグラスチム、サルグラモスチム(sargramostim)、免疫化薬、免疫グロブリン、免疫抑制薬、成長ホルモン、ホルモン補充薬、エストロゲン受容体モジュレーター、散瞳薬、毛様筋調節薬、アルキル化剤、代謝拮抗剤、分裂抑制剤、放射性医薬品、抗欝薬、抗躁病薬、抗精神病薬、抗不安薬、睡眠薬、交感神経刺激薬、興奮剤、ドネペジル、タクリン、喘息薬、ベータアゴニスト、吸入用ステロイド、ロイコトリエンインヒビター、メチルキサンチン、クロモリン、エピネフリンもしくは類似物、ドルナーゼアルファ、サイトカイン、サイトカインアンタゴニストの少なくとも一つから選択される少なくとも一つの化合物もしくはタンパク質をさらに含んでなる21.に記載の組成物。
23.1.に記載の少なくとも一つのIL−6抗体または特定の部分もしくは変異体の少なくとも一つの選択される免疫調節有効量を細胞、組織、臓器もしくは動物と接触させることもしくはそれに投与することを含んでなる、細胞、組織、臓器もしくは動物における免疫障害もしくは疾患を処置する方法。
24.該動物が霊長類である23.に記載の方法。
25.該霊長類がサルもしくはヒトである24.に記載の方法。
26.該免疫障害が、関節リウマチ/血清反応陰性関節症、変形性関節症、炎症性腸疾患、全身性エリテマトーデス、虹彩毛様体炎/ブドウ膜炎/視神経炎、特発性肺線維症、全身性脈管炎/ヴェーゲナー肉芽腫症、サルコイドーシス、精巣炎/精管切除術を戻す処置、アレルギー性/アトピー性疾患、喘息、アレルギー性鼻炎、湿疹、アレルギー性接触皮膚炎、アレルギー性結膜炎、過敏性肺炎、移植、臓器移植拒絶反応、移植片対宿主疾患、全身性炎症反応症候群、敗血症症候群、グラム陽性敗血症、グラム陰性敗血症、培養陰性敗血症、真菌敗血症、好中球減少熱(neutropeic fever)、尿路性敗血症、髄膜炎菌血症、外傷/出血、熱傷、電離放射線の暴露、急性膵炎、成人呼吸窮迫症候群、全身性エリテマトーデスおよび関節リウマチ、アルコール性肝炎、慢性炎症性病状、サルコイドーシス、クローン病、鎌状赤血球貧血、糖尿病、ネフローゼ、アトピー性疾患、超過敏反応、アレルギー性鼻炎、花粉症、通年性鼻炎、結膜炎、喘息、蕁麻疹、全身アナフィラキシー、皮膚炎、悪性貧血、溶血性疾患、血小板減少症、任意の臓器もしくは組織の移植片拒絶反応、腎臓移植拒絶反応、心臓移植拒絶反応、肝臓移植拒絶反応、膵臓移植拒絶反応、肺移植拒絶反応、骨髄移植(BMT)拒絶反応、皮膚同種移植片拒絶反応、軟骨移植拒絶反応、骨移植片拒絶反応、小腸移植拒絶反応、胎児胸腺移植片拒絶反応、副甲状腺移植拒絶反応、任意の臓器もしくは組織の異種移植片拒絶反応、同種移植片拒絶反応、抗受容体超過敏反応、グレーブス病、レーノー病、B型インシュリン抵抗性糖尿病、喘息、重症筋無力症、抗体媒介性細胞傷害、III型超過敏反応、全身性エリテマトーデス、天疱瘡、強皮症、混合結合組織病、特発性アジソン病、糖尿病、慢性活動性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、白斑、脈管炎、心筋梗塞心術後症候群、IV型過敏症、接触皮膚炎、
過敏性肺炎、同種移植片拒絶反応、細胞内生物体による肉芽腫、薬物過敏、代謝性/特発性、ウィルソン病、ヘマクロマトーシス(hemachromatosis)、アルファ−1−アンチトリプシン欠損症、糖尿病、橋本甲状腺炎、骨粗しょう症、視床下部−下垂体−副腎軸評価、原発性胆汁性肝硬変、甲状腺炎、脳脊髄炎、悪液質、嚢胞性線維症、家族性血球貪食性(hematophagocytic)リンパ組織球増多症、皮膚病変、乾癬、脱毛、ネフローゼ症候群、腎炎、血液透析、尿毒症、毒性、okt3療法、抗cd3療法、サイトカイン療法、化学療法、放射線療法(例えば、無力症、貧血、悪液質などが包含されるがこれらに限定されるものではない)、慢性サリチル酸中毒から選択される少なくとも一つである25.に記載の方法。
27.該有効量が、該細胞、組織、臓器もしくは動物のキログラム当たり0.001〜50mgである23.に記載の方法。
28.該有効量が、該細胞、組織、臓器もしくは動物のキログラム当たり0.0001〜50mgである23.に記載の方法。
29.1.に記載の少なくとも一つのIL−6抗体または特定の部分もしくは変異体の選択される感染調節有効量を細胞、組織、臓器もしくは動物と接触させることもしくはそれに投与することを含んでなる、細胞、組織、臓器もしくは動物における少なくとも癌性疾患もしくは症状を調節する方法。
30.該動物が霊長類である29.に記載の方法。
31.該霊長類がサルもしくはヒトである30.に記載の方法。
32.該感染性もしくは癌性の疾患もしくは症状が、白血病、急性白血病、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、B細胞、T細胞もしくはFAB ALL、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、有毛細胞白血病、骨髄異形成症候群(MDS)、リンパ腫、ホジキン病、悪性リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、多発性骨髄腫、カポジ肉腫、結腸直腸癌、膵癌、腎細胞癌、前立腺細胞癌、鼻咽頭癌、悪性組織球増殖症、腫瘍随伴症候群/悪性高カルシウム血症、充実性腫瘍、腺癌、肉腫、および悪性黒色腫から選択される少なくとも一つである29.に記載の方法。
33.該有効量が、該細胞、組織、臓器もしくは動物のキログラム当たり0.01〜100mgである23.に記載の方法。
34.該接触させることもしくは該投与することが、静脈内、筋肉内、ボーラス、皮下、呼吸器、吸入、膣、直腸、口腔内、舌下、鼻腔内、もしくは経皮から選択される少なくとも一つの形態による23.〜33.のいずれかに記載の方法。
35.該(1)接触させることもしくは投与することの前に、同時にもしくは後に、TNFアンタゴニスト、抗リウマチ剤、筋肉弛緩剤、麻酔薬、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、鎮痛剤、麻酔剤、鎮静剤、局所麻酔剤、神経筋遮断薬、抗菌薬、乾癬治療薬、コルチコステロイド、タンパク同化ステロイド、糖尿病関連薬、ミネラル、栄養、甲状腺薬、ビタミン、カルシウム関連ホルモン、止痢薬、鎮咳薬、制吐薬、抗潰瘍薬、下剤、抗凝血剤、エリスロポエチン、フィルグラスチム、サルグラモスチム、免疫化薬、免疫グロブリン、免疫抑制薬、成長ホルモン、ホルモン補充薬、エストロゲン受容体モジュレーター、散瞳薬、毛様筋調節薬、アルキル化剤、代謝拮抗剤、分裂抑制剤、放射性医薬品、抗欝薬、抗躁病薬、抗精神病薬、抗不安薬、睡眠薬、交感神経刺激薬、興奮剤、ドネペジル
、タクリン、喘息薬、ベータアゴニスト、吸入用ステロイド、ロイコトリエンインヒビター、メチルキサンチン、クロモリン、エピネフリンもしくは類似物、ドルナーゼアルファ、サイトカイン、サイトカインアンタゴニストの少なくとも一つから選択される少なくとも一つの化合物もしくはタンパク質の治療的に有効な量を含んでなる少なくとも一つの組成物を投与することをさらに含んでなる23.〜33.のいずれかに記載の方法。
36.1.に記載の少なくとも一つのIL−6抗体または特定の部分もしくは変異体を含んでなる医療装置であって、該少なくとも一つのIL−6抗体または特定の部分もしくは変異体を静脈内、筋肉内、ボーラス、皮下、呼吸器、吸入、膣、直腸、口腔内、舌下、鼻腔内、もしくは経皮から選択される少なくとも一つの様式により接触させることもしくは投与することに適当な装置。
37.1.に記載のIL−6抗体または特定の部分もしくは変異体と同じエピトープもしくは抗原性領域に結合するヒト抗体またはその特定の部分もしくは変異体。
38.1.に記載の少なくとも一つのIL−6抗体または特定の部分もしくは変異体、ならびに滅菌水、滅菌緩衝水から選択される少なくとも一つ、または水性希釈剤中のフェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、亜硝酸フェニル水銀、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド、クロロブタノール、塩化マグネシウム、アルキルパラベン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウムおよびチメロサール、もしくはその混合物よりなる群から選択される少なくとも一つの防腐剤を含んでなる製剤。
39.IL−6抗体または特定の部分もしくは変異体の濃度が約0.1mg/ml〜約100mg/mlである38.の製剤。
40.等張剤(isotonicity agent)をさらに含んでなる39.の製剤。
41.生理的に許容しうるバッファーをさらに含んでなる39.の製剤。
42.第一の容器中の凍結乾燥形態の1.に記載の少なくとも一つのIL−6抗体または特定の部分もしくは変異体、ならびに滅菌水、滅菌緩衝水、または水性希釈剤中のフェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、亜硝酸フェニル水銀、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド、クロロブタノール、塩化マグネシウム、アルキルパラベン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウムおよびチメロサール、もしくはその混合物よりなる群から選択される少なくとも一つの防腐剤を含んでなる任意の第二の容器を含んでなる製剤。
43.IL−6抗体または特定の部分もしくは変異体の濃度が、約0.1mg/ml〜約500mg/mlの濃度に再構成される42.の製剤。
44.等張剤をさらに含んでなる42.の製剤。
45.生理的に許容しうるバッファーをさらに含んでなる42.の製剤。
46.38.に記載の製剤を処置を必要とする患者に投与することを含んでなる、少なくとも一つのIL−6媒介症状を処置する方法。
47.42.に記載の製剤を処置を必要とする患者に投与することを含んでなる、少なく
とも一つのIL−6媒介症状を処置する方法。
48.包装材料および1.に記載の少なくとも一つのIL−6抗体または特定の部分もしくは変異体の溶液もしくは凍結乾燥形態を含んでなる容器を含んでなるヒト製薬学的用途の製品。
49.該容器が、複用投与用のストッパーを有するガラスもしくはプラスチック容器である49.の製品。
50.該容器が、穴をあけそして静脈内、筋肉内、ボーラス、腹腔内、皮下、呼吸器、吸入、鼻、膣、直腸、口腔内、舌下、鼻腔内、皮下、もしくは経皮に用いることができるブリスター包装である49.の製品。
51.該容器が、静脈内、筋肉内、ボーラス、腹腔内、皮下、呼吸器、吸入、鼻、膣、直腸、口腔内、舌下、鼻腔内、皮下、もしくは経皮送達装置もしくは系の成分である49.の製品。
52.該容器が、静脈内、筋肉内、ボーラス、腹腔内、皮下、呼吸器、吸入、鼻、膣、直腸、口腔内、舌下、鼻腔内、皮下、もしくは経皮用のインジェクターもしくはペンインジェクター装置もしくは系の成分である49.の製品。
53.1.に記載の少なくとも一つのIL−6抗体または特定の部分もしくは変異体を食塩水もしくは塩を含有する少なくとも一つのバッファーにおいて混合することを含んでなる、少なくとも一つのIL−6抗体または特定の部分もしくは変異体の製剤を製造する方法。
54.1.に記載の少なくとも一つのIL−6抗体または特定の部分もしくは変異体を製造する方法であって、該抗体または特定の部分もしくは変異体を回収可能な量で発現することができる宿主細胞またはトランスジェニック動物またはトランスジェニック植物もしくは植物細胞を準備することを含んでなる方法。
55.該宿主細胞が哺乳類細胞、植物細胞もしくは酵母細胞である54.に記載の方法。
56.該トランスジェニック動物が哺乳類である54.に記載の方法。
57.該トランスジェニック哺乳動物が、ヤギ、ウシ、ヒツジ、ウマ、および非ヒト霊長類から選択される56.に記載の方法。
58.1.に記載の少なくとも一つの抗体を発現するトランスジェニック動物もしくは植物。
59.54.に記載の方法により製造される少なくとも一つのIL−6抗体または特定の部分もしくは変異体。
60.ヒトIL−6のアミノ酸Gln29〜Leu34の少なくとも1〜3個を含んでなる少なくとも一つのエピトープに特異的に結合する、マウス可変領域およびヒト定常領域を含んでなる単離されたIL−6キメラ、ヒト化もしくはCDR移植抗体または特定の部分もしくは変異体。
61.少なくとも10−9Mの親和性でIL−6に結合する60.に記載のIL−6抗体
または特定の部分もしくは変異体。
62.少なくとも10−11Mの親和性でIL−6に結合する60.に記載のIL−6抗体または特定の部分もしくは変異体。
63.少なくとも10−12Mの親和性で結合する60.に記載のIL−6抗体または特定の部分もしくは変異体。
64.少なくとも一つのIL−6の少なくとも一つの活性を実質的に中和する、60.に記載のIL−6抗体または特定の部分もしくは変異体。
65.該活性が、IL−6誘発性IFN−ガンマ分泌の阻害、LAK細胞細胞傷害の阻害、IFNガンマmRNA転写の阻害、細胞内IFNガンマCD3+細胞、およびCD95発現の阻害よりなる群から選択される少なくとも一つである、64.に記載のIL−6抗体または特定の部分もしくは変異体。