JP2012051834A - ネギ由来のサポニンを有効成分とする抗菌活性剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】廃材であるネギの根および盤茎から抽出したサポニン含有物が、農作物に多大な被害を与える植物病原菌や、ヒト日和見細菌に殺菌効果を示すことを見出し、ネギの根および盤茎から抽出したサポニンを有効成分とする、植物病原菌およびヒト日和見細菌に対する天然物由来の安全な殺菌作用を有する抗菌活性剤。
【選択図】図5
Description
抗菌活性を有するサポニン抽出を行ったネギ属植物の種類は、下記のノビル、ネギ、シャロットであり、品種および試験部位を表1に示した。
表1に示した各種ネギ属植物からサポニンを抽出した。圃場から採取したNSS葱15号については、組織別(葉、盤茎、根)に切り分け、ネギ廃棄物を実験に供した羽緑については、根と盤茎に切り分けた。ノビルについては球根部のみを切断して使用し、シャロットについては、盤茎とその他の球根部に切り分けた。切り分けた各植物部位は、植物用大型乾燥機を用いて、110℃で30分間処理後、70℃で3〜4日間乾燥した。
薄層クロマトグラフィー(TLC)用のボックスに展開液(クロロホルム:メタノール:水=6:3:0.5)を入れ、ろ紙を浸して展開液を約30分間飽和させた。TLCプレート(TLCアルミニウムプレート:シリカゲル60F254、メルク社)は、サンプル数に合わせた幅で、高さ10cmの大きさに切って用いた。サンプル量が30μg/μlになるように80%エタノールに溶解し、それぞれ3μl(90μg)スポットした。サンプルを完全に乾燥させた後、TLCを行った。溶媒を除去し、UV照射(254nm)でスポットを確認後、ドラフト内で呈色試薬のp−アニスアルデヒド試薬(p‐アニスアルデヒ5.3ml、エタノール100ml、硫酸1ml)、およびEhrlich’s試薬(p‐ジメチルアミノベンズアルデヒド0.8g、メタノール40ml、塩酸40ml)を、それぞれのプレートに万遍なくスプレーし、160℃のヒーターでカラースポットが出現するまで約5分間加熱した。TLCプレートをヒーターから取り出し、発色スポットを観察するとともに、写真撮影を行った。
バレイショ−ブドウ糖寒天培地(PD寒天培地(potato dextrose agar):PDA39gにイオン交換水1000ml加えて作成)の平板に、PD寒天斜面培地で生育させた供試菌コロニーを白金耳で切り取ったものを置いた。そのPD寒天平板培地を25℃で3日間培養し、コロニーがある程度生長した段階で、オートクレーブ滅菌済みのコルクボーラーで菌糸プラグ(直径5mm)を抜き取り、新しいPD寒天平板培地の中央に置いた。次に、オートクレーブ滅菌したペーパーディスク(直径5mm)を培地上に等間隔になるように置いた。ペーパーディスクは、ろ紙をパンチで打ち抜いたものを使用した。実施例2で得られたサポニンを濃度500μg/15μlになるように80%エタノールで調製し、15μlをPD寒天平板培地平板上に置いたペーパーディスクにマイクロピペットを用いて滴下した。コントロールとして、15μlの80%エタノールを同様にしてペーパーディスクに滴下した。PD寒天平板培地を25℃で培養し、菌糸が生長して、コントロールのコロニー先端がペーパーディスク外周に達した段階で、培養を止め、菌糸の生長割合をコントロールと比較して増殖抑制の程度を判定した。
直径30mmのシャーレに、実施例2で得られた各供試植物のサポニンを80%エタノールに溶解し、PD寒天培地(3ml)を加えて混釈した。サポニンの最終濃度は、100μg/ml、200μg/ml、および500μg/mlになるようにした。固化後、PD寒天平板培地で培養した供試菌コロニーから、オートクレーブ滅菌済みのコルクボーラーで抜き取った菌糸プラグ(直径5mm)を、サポニンを混釈した平板培地の中央に置いた。コントロールとして、サポニンを含まないPD寒天培地を用いた。コントロールのコロニーがシャーレ全体に広がるまで各培地を25℃で培養し、コロニーのサイズを測定するとともに写真撮影を行った。「増殖抑制率」は、コントロール上で生育した菌叢直径を100とし、サポニン含有培地上で生育した菌叢直径の割合から求めた。各菌株に対する、各供試植物から抽出したサポニンの「増殖抑制率」を表8に示した。
表5および表6に示した菌株を、それぞれLB液体培地(1%ポリペプトン、0.5%Yeast extract、1%NaCl、pH7.0)で37℃、120回/分の振盪培養を一晩行いOD600値が1.0以上に達した供試菌液を、100倍容量のLB平板培地(1%ポリペプトン、0.5%Yeast extract、1%NaCl、1.0% agar、pH7.0)と混釈した。固化後、等間隔になるようにオートクレーブ滅菌済みのコルクボーラーで培地上に穴をあけ(直径5mm)、その中に実施例2で得られたサポニンを濃度500μg/15μlになるように80%エタノールで調製し、15μlをマイクロピペットを用いて注入した。またコントロールとして80%エタノール15μlを注入したものを用意した。サポニンを注入後は、クリーンベンチ内で20分間放置してエタノールを蒸発させた。培地は37℃で一晩培養し、翌日それぞれ阻止円の大きさを測定した。増殖抑制活性は、菌体の増殖阻止円の直径の大きさから求めた。各菌株に対する、各供試植物から抽出したサポニンの「増殖抑制率」を表9に示した。
直径30mmのシャーレに、80%エタノールに溶解したNSS葱59号の根とシャロットの盤茎由来のサポニンを入れ、それぞれPD寒天培地(3ml)を加えて混釈した。サポニンの最終濃度は、200μg/mlになるようにした。表2および表3から選ばれた菌株をPD寒天平板培地で培養し、菌体コロニーから、オートクレーブ滅菌済みのコルクボーラーで抜き取った菌糸プラグ(直径5mm)を、サポニンを混釈した平板培地の中央に置いた。コントロールとして、サポニンを含まないPD寒天培地を用いた。コントロールのコロニーがシャーレ全体に広がるまで各培地を25℃で培養し、コロニーのサイズを測定するとともに写真撮影を行った。「増殖抑制率」は、コントロール上で生育した菌叢直径を100とし、サポニン含有培地上で生育した菌叢直径の割合から求めた。図2および図3に示すように、ネギサポニンは、各種炭そ病菌(Colletotrichum属菌)に対して極めて強い抗菌性を示し、サポニン耐性菌であるFusarium oxysporum菌にも強い抗菌性を示した。
薄層クロマトグラフィー用のボックスに展開液(クロロホルム:メタノール:水=6:3:0.5)を入れ、実施例4の(2)において強い抗菌活性がみられたNSS葱15号の根由来のサポニンを、数10mg量となるようTLCプレートにスポットし、展開した。展開後、UV照射(254nm)でスポットを確認し、フラクションを特定した。各フラクションをスパチュラで削り取り、エッペンドルフチューブに入れ、80%エタノール1mlを加えて溶解した。次いで、真空乾燥遠心処理(20℃、12000rpm、10分間)し、上澄みをあらかじめ空の質量を量ったエッペンドルフチューブに入れた。残渣に、前記と同じように、80%エタノール1ml加え、遠心処理を行う過程を2回繰り返した。上澄みの入ったチューブは自然乾燥させ、それぞれ抽出物の質量を算出した。
上記(1)により再抽出したサポニンフラクションを、80%エタノールを用いて濃度が30μg/μlになるように調製し、120μg(4μl)をTLCプレートにスポットし、展開液(クロロホルム:メタノール:水=6:3:0.5)中で、展開した。その後、UV照射でスポットを確認した。ドラフト内でp−アニスアルデヒド試薬をプレートに万遍なくスプレーし、160℃のヒーターでカラースポットが出現するまで約5分間熱した。その後ヒーターから取り出し、写真撮影を行った。図4にUV照射で確認したTLC上のスポットを示した。
上記(1)により再抽出したサポニンフラクションを80%エタノールに溶解し、300μg相当量をマイクロピペットで取り、直径30mmのシャーレに入れた。これに溶解したPD寒天培地(3ml)を加えて混釈した。Colletotrichum gloeosporioidesと、Magnaporthe griseaをPD寒天平板培地に培養し、菌体コロニーから、オートクレーブ滅菌済みのコルクボーラーで抜き取った菌糸プラグ(直径5mm)を、サポニンフラクション含有平板培地の中央に置いた。コントロールとして、サポニンを含まないPD寒天培地を用いた。コントロールのコロニーがシャーレ全体に広がるまで各培地を25℃で培養し、コロニーのサイズを測定するとともに写真撮影を行った。「増殖抑制率」は、コントロール上で生育した菌叢直径を100とし、サポニンフラクション含有培地上で生育した菌叢直径の割合から求めた。
Claims (4)
- ネギ(Allium fistulosum.l)の廃材から抽出したサポニンを有効成分とする抗菌活性剤。
- ネギの廃材がネギの根または盤茎である請求項1に記載の抗菌活性剤。
- ネギの廃材から抽出したサポニンが、脂肪族炭化水素系溶媒に溶解せず、アルコール類に溶解性を示すものであり、かつ、薄層クロマトグラフィーにおいて、展開溶媒(クロロホルム:メタノール:水=6:3:0.5)で展開したRf値が、0.2〜0.49であり、UV照射(254nm)で蛍光を発し、p−アニスアルデヒド試薬により緑色に発色する特徴を有するものである、請求項1または2のいずれか1項に記載の抗菌活性剤。
- 植物病原糸状菌、植物病原細菌、およびヒト日和見細菌に対する増殖抑制活性を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗菌活性剤。
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