JP2012047584A - 放射線画像撮影装置、放射線画像撮影システム、およびプログラム - Google Patents

放射線画像撮影装置、放射線画像撮影システム、およびプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】シンチレータの劣化に起因する無駄な撮影を回避することのできる放射線画像撮影装置、放射線画像撮影システム、およびプログラムを得る。
【解決手段】CPU58Aにより、放射線が照射されることにより光を発生するシンチレータ、当該シンチレータで発生した光を受光することにより電荷が発生するセンサ部、および当該センサ部で発生された電荷を読み出すための薄膜トランジスタ10が形成されたTFT基板30を有する放射線検出器20の予め定められた位置に設けられた歪みゲージ46A,46Bにより当該位置の歪み量を検出し、検出結果に基づいて前記シンチレータの劣化の度合を導出する。
【選択図】図12

Description

本発明は、放射線画像撮影装置、放射線画像撮影システム、およびプログラムに係り、特に、撮影対象を透過した放射線により示される放射線画像を撮影する放射線画像撮影装置、放射線画像撮影システム、およびプログラムに関する。
近年、TFT(Thin Film Transistor)アクティブマトリクス基板上に放射線感応層を配置し、X線等の放射線を直接デジタルデータに変換できるFPD(Flat Panel Detector)等の放射線検出器が実用化されている。この放射線検出器を用いた放射線画像撮影装置は、従来のX線フイルムやイメージングプレートを用いた放射線画像撮影装置に比べて、即時に画像を確認でき、連続的に放射線画像の撮影を行う透視撮影(動画撮影)も行うことができるといったメリットがある。
この種の放射線検出器は、種々のタイプのものが提案されており、例えば、放射線を一度CsI:Tl、GOS(Gd2O2S:Tb)などのシンチレータで光に変換し、変換した光をフォトダイオードなどのセンサ部で電荷に変換して蓄積する間接変換方式がある。放射線画像撮影装置では、放射線検出器に蓄積された電荷を電気信号として読み出し、読み出した電気信号をアンプで増幅した後にA/D(アナログ/デジタル)変換部でデジタルデータに変換している。
この種の放射線画像撮影装置に関する技術として、特許文献1には、X線等の放射線を、光電変換素子を多数配列したセンサアレーを連続的に動作させることにより読み出す放射線画像撮影装置において、前記センサアレーの温度や積算駆動時間等の当該センサアレーの動作状態を検出する動作状態検出手段と、前記センサアレーから読み出される画像出力に対し、前記動作状態検出手段からの情報を入力し、残像補正を行う残像補正手段を有することを特徴とする放射線画像撮影装置が開示されている。
また、特許文献2には、複数個のエリアセンサを同一平面上に並べ、その受光面側にシンチレータを配置した放射線撮影装置であって、上記複数個のエリアセンサを全数以下の所定の個数から成るブロックに分割し、予め放射線撮影時間外に前記ブロック内の全エリアセンサの暗時出力データを放射線撮影時出力データの取得と同順序で順次読み出し保持し、前記放射線撮影直前もしくは直後の何れかに取得した前記各ブロック内の一つ以上のエリアセンサの暗時出力データもしくは前記各ブロック内の一つ以上のエリアセンサの周辺温度等の所定の条件のうち少なくとも一つを用いて、前記ブロック内の全エリアセンサの暗時出力データを調整し、前記放射線撮影時出力データを前記調整済み暗時出力データで補正する手段を備えたことを特徴とする放射線撮影装置が開示されている。
特開2006−135748号公報 特開2002−85391号公報
ところで、前述したシンチレータを有する放射線画像撮影装置では、放射線画像の撮影面に撮影部位が押圧された状態で撮影が行われるため、シンチレータにも当該押圧に応じた歪みが発生する場合がある。これに対し、シンチレータは、歪みが発生すると劣化することが知られており、歪みが継続的や断続的に発生する場合には、劣化の度合いが徐々に大きくなる。
このように、シンチレータの劣化が進行すると、撮影によって得られた放射線画像の画質の劣化も進行するため、従来は、要求される画質が得られない無駄な撮影を行ってしまう場合がある、という問題点があった。
これに対し、上記特許文献1および特許文献2に開示されている技術では、撮影時における種々の条件に応じて放射線画像の品質を向上させることはできるものの、上記のようなシンチレータの劣化に起因する無駄な放射線画像の撮影を回避することはできない。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、シンチレータの劣化に起因する無駄な撮影を回避することのできる放射線画像撮影装置、放射線画像撮影システム、およびプログラムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の放射線画像撮影装置は、放射線が照射されることにより光を発生するシンチレータ、当該シンチレータで発生した光を受光することにより電荷が発生するセンサ部、および当該センサ部で発生された電荷を読み出すためのスイッチング素子が形成された基板を有する放射線検出器と、前記放射線検出器の予め定められた位置に設けられ、当該位置の歪み量を検出する歪み検出手段と、前記歪み検出手段による検出結果に基づいて、前記シンチレータの劣化の度合を導出する導出手段と、を備えている。
請求項1記載の放射線画像撮影装置によれば、放射線検出器により、放射線が照射されることによりシンチレータによって光が発生され、当該シンチレータで発生した光を受光することによりセンサ部によって電荷が発生され、当該センサ部で発生された電荷がスイッチング素子によって読み出される。
ここで、本発明では、前記放射線検出器の予め定められた位置に設けられた歪み検出手段により、当該位置の歪み量が検出され、導出手段により、前記歪み検出手段による検出結果に基づいて、前記シンチレータの劣化の度合が導出される。
このように、請求項1に記載の放射線画像撮影装置によれば、シンチレータが設けられた放射線検出器の予め定められた位置の歪み量を検出し、この検出結果に基づいて、前記シンチレータの劣化の度合を導出しているので、当該劣化の度合に応じて放射線画像の撮影を行うか否かを判断することにより、シンチレータの劣化に起因する無駄な撮影を回避することができる。
なお、本発明は、請求項2に記載の発明のように、前記歪み検出手段が、前記予め定められた位置の歪みの方向をさらに検出し、前記導出手段が、前記歪み検出手段によって検出された前記歪みの方向が、前記放射線検出器による前回の撮影時に前記歪み検出手段によって検出された前記歪みの方向に対して予め定められた範囲以上ずれている場合に、当該範囲未満の場合より大きくなるように前記劣化の度合を導出してもよい。これにより、より高精度でシンチレータの劣化の度合を導出することができる。
また、本発明は、請求項3に記載の発明のように、前記放射線検出器の温度を検出する温度検出手段をさらに備え、前記導出手段が、前記温度検出手段によって検出された温度が高くなるほど大きくなるように前記劣化の度合を導出してもよい。これにより、より高精度でシンチレータの劣化の度合を導出することができる。
また、本発明は、請求項4に記載の発明のように、前記歪み検出手段によって検出された歪み量が予め定められた閾値以上である期間を計時する計時手段をさらに備え、前記導出手段が、前記計時手段によって計時された期間が長くなるほど大きくなるように前記劣化の度合を導出してもよい。これにより、より高精度でシンチレータの劣化の度合を導出することができる。
また、本発明は、請求項5に記載の発明のように、前記導出手段により導出された劣化の度合を出力する出力手段をさらに備えてもよい。これにより、ユーザにとっての利便性を、より向上させることができる。なお、上記出力手段による出力には、ディスプレイ装置等の表示装置による可視表示による出力、プリンタ等の画像形成装置による永久可視表示による出力、スピーカ等の音声発生装置による可聴表示による出力、通信装置による外部装置への出力が含まれる。
また、本発明は、請求項6に記載の発明のように、前記歪み検出手段が、前記放射線検出器における前記シンチレータの予め定められた位置に設けられていてもよい。これにより、シンチレータの歪みに関する物理量を直接検出することができる結果、より高精度でシンチレータの劣化の度合を導出することができる。
特に、請求項6に記載の発明は、請求項7に記載の発明のように、前記歪み検出手段が、少なくとも前記シンチレータの中央部に設けられていてもよい。これにより、より高精度でシンチレータの劣化の度合を導出することができる。
また、本発明は、請求項8に記載の発明のように、前記センサ部が、前記シンチレータで発生した光を受光することにより電荷が発生する有機光電変換材料を含んで構成されていてもよい。これにより、放射線画像撮影装置の耐衝撃性を向上させることができる。
また、本発明は、請求項9に記載の発明のように、前記放射線検出器が、被写体を透過した放射線が透過する透過面を有する天板の前記放射線が入射される面の反対側の面に直接的に取り付けられていてもよい。これにより、放射線画像撮影装置の耐衝撃性を向上させることができる。
ここで、請求項9に記載の発明は、前記天板が、前記放射線検出器の前記基板が直接的に取り付けられていてもよい。これにより、撮影によって得られる放射線画像の分解能を高くすることができると共に、放射線に対する感度の低下を抑えることができる。
また、請求項9に記載の発明は、前記基板が、プラスチック樹脂、アラミド、バイオナノファイバの何れかにより構成されていてもよい。これにより、放射線検出器の剛性を高くすることができる結果、天板を薄くすることができる。
また、請求項9に記載の発明は、前記スイッチング素子を、活性層に非晶質酸化物を含んで構成された薄膜トランジスタとしてもよい。これにより、当該スイッチング素子により放射線を吸収しないか、あるいは吸収したとしても極めて微量に留まるため、当該スイッチング素子におけるノイズの発生を効果的に抑制することができる。
また、請求項9に記載の発明は、前記天板が、強化繊維樹脂を含む材料により構成されていてもよい。これにより、天板をカーボン単体等で構成した場合に比較して、天板の強度を高くすることができる。
特に、本発明は、前記強化繊維樹脂が、炭素繊維強化プラスチックであるものとしてもよい。これにより、天板をカーボン単体等で構成した場合に比較して、天板の熱伝導性を高くすることができる結果、放射線検出器により得られた放射線画像の温度むらに起因する画像むらを抑制することができる。
また、請求項9に記載の発明は、請求項10に記載の発明のように、前記放射線検出器が、前記天板に離間可能に取り付けられていてもよい。これにより、効率的に筐体の交換を行うことができる。
また、請求項9または請求項10に記載の発明は、請求項11に記載の発明のように、前記放射線検出器と前記天板との間に内部空間が形成されるように前記放射線検出器を前記天板に対して接着する接着部材と、前記内部空間および外部を連通すると共に、外部から前記内部空間への異物の混入を阻止する通気手段と、をさらに備えてもよい。
本発明によれば、接着部材を用いて放射線検出器および天板の間に内部空間が形成されるように放射線検出器を天板に接着しているので、放射線検出器および天板に対する接着部材の接触面に空気が残存していても、その残存していた空気を内部空間に逃がすことができる。また、通気手段にて内部空間と外部とが連通しているので、気圧が変化した場合でも、内部空間の圧力と外部の気圧とを一定に保つことができる。そのため、気圧変化によって天板に対する放射線検出器の接着性が低下することを防止することができる。
また、通気手段は、外部から内部空間への異物の混入を阻止するので、前記内部空間に放射線を吸収する金属片等の異物が混入して放射線画像に表示される懸念を排除することができる。従って、放射線画像の品質低下に繋がる異物混入を抑えることができる。
特に、請求項11に記載の発明は、前記通気手段が、前記接着部材に形成されて前記内部空間および外部を曲がった状態で連通する連通路であってもよい。
本発明によれば、連通路が曲がっているので、外部から連通路に空気と共に異物が流入した場合でも、前記異物が内部空間に混入することを防止することができる。なぜなら、異物の質量が空気の質量よりも大きいので、連通路の曲がっている部位を流通する空気の流れに前記異物が追従することはできないからである。また、連通路が接着部材に形成されているので、前記異物が連通路の壁面に付着し易くなる。従って、連通路の曲がっている部位で空気の流れに追従できなくなった異物が接着性を持った連通路の壁面で確実に捕捉される。これにより、内部空間への異物の混入をより一層確実に防止することができる。
さらに、請求項9から請求項11の何れか1項記載の発明は、請求項12に記載の発明のように、前記天板が、前記放射線検出器を収容する筐体の一部を構成してもよい。これにより、天板を筐体とは別に構成する場合に比較して、より簡易に天板を構成することができる。
一方、上記目的を達成するために、請求項13に記載の放射線画像撮影システムは、放射線が照射されることにより光を発生するシンチレータ、当該シンチレータで発生した光を受光することにより電荷が発生するセンサ部、当該センサ部で発生された電荷を読み出すためのスイッチング素子が形成された基板を有する放射線検出器、および前記放射線検出器の予め定められた位置に設けられ、当該位置の歪み量を検出する歪み検出手段を備えた放射線画像撮影装置と、前記歪み検出手段による検出結果に基づいて、前記シンチレータの劣化の度合を導出する導出手段を備え、前記放射線画像撮影装置の動作を制御する制御装置と、を有する。
従って、本発明によれば、請求項1に記載の発明と同様に作用するので、請求項1に記載の発明と同様に、シンチレータの劣化に起因する無駄な撮影を回避することができる。
さらに、上記目的を達成するために、請求項14に記載のプログラムは、コンピュータを、放射線が照射されることにより光を発生するシンチレータ、当該シンチレータで発生した光を受光することにより電荷が発生するセンサ部、および当該センサ部で発生された電荷を読み出すためのスイッチング素子が形成された基板を有する放射線検出器の予め定められた位置に設けられた歪み検出手段により、当該位置の歪み量を検出する検出手段と、前記検出手段による検出結果に基づいて、前記シンチレータの劣化の度合を導出する導出手段と、として機能させるためのものである。
従って、本発明によれば、コンピュータを請求項1に記載の発明と同様に作用させることができるので、請求項1に記載の発明と同様に、シンチレータの劣化に起因する無駄な撮影を回避することができる。
本発明の放射線画像撮影装置、放射線画像撮影システム、およびプログラムによれば、シンチレータが設けられた放射線検出器の予め定められた位置の歪み量を検出し、この検出結果に基づいて、前記シンチレータの劣化の度合を導出しているので、当該劣化の度合に応じて放射線画像の撮影を行うか否かを判断することにより、シンチレータの劣化に起因する無駄な撮影を回避することができる、という効果が得られる。
実施の形態に係る放射線情報システムの構成を示すブロック図である。 実施の形態に係る放射線画像撮影システムの放射線撮影室における各装置の配置状態の一例を示す側面図である。 実施の形態に係る放射線検出器の3画素部分の概略構成を示す断面模式図である。 実施の形態に係る放射線検出器の1画素部分の信号出力部の構成を概略的に示した断面側面図である。 実施の形態に係る放射線検出器の構成を示す概略平面図である。 実施の形態に係る電子カセッテの構成を示す斜視図である。 実施の形態に係るシンチレータの構成を示す概略平面図である。 実施の形態に係る電子カセッテの構成を示す断面側面図である。 実施の形態に係る電子カセッテの筐体の内部構成を示す断面底面図である。 実施の形態に係る電子カセッテの筐体の内部構成を示す一部拡大断面底面図である。 実施の形態に係る電子カセッテにおいて放射線検出器を天板から剥離する状態を示す説明図である。 実施の形態に係る放射線画像撮影システムの電気系の要部構成を示すブロック図である。 実施の形態に係る歪み劣化係数情報、時間劣化係数情報、温度劣化係数情報の構成を示す模式図である。 実施の形態に係る放射線画像撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。 実施の形態に係る初期情報入力画面の一例を示す概略図である。 実施の形態に係る劣化度導出処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。 実施の形態に係る歪み方向劣化度情報の構成を示す模式図である。 実施の形態に係る劣化度導出処理プログラムにより撮影毎に得られる劣化度の説明に供するグラフである。 放射線検出器への放射線の表面照射と裏面照射を説明するための断面側面図である。 実施の形態に係る電子カセッテの筐体の内部構成の変形例を示す一部拡大断面底面図である。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、ここでは、本発明を、病院における放射線科部門で取り扱われる情報を統括的に管理するシステムである放射線情報システムに適用した場合の形態例について説明する。
まず、図1を参照して、本実施の形態に係る放射線情報システム(以下、「RIS」(Radiology Information System)と称する。)100の構成について説明する。
RIS100は、放射線科部門内における、診療予約、診断記録等の情報管理を行うためのシステムであり、病院情報システム(以下、「HIS」(Hospital Information System)と称する。)の一部を構成する。
RIS100は、複数台の撮影依頼端末装置(以下、「端末装置」と称する。)140、RISサーバ150、および病院内の放射線撮影室(あるいは手術室)の個々に設置された放射線画像撮影システム(以下、「撮影システム」と称する。)104を有しており、これらが有線や無線のLAN(Local Area Network)等から成る病院内ネットワーク102に各々接続されて構成されている。なお、RIS100は、同じ病院内に設けられたHISの一部を構成しており、病院内ネットワーク102には、HIS全体を管理するHISサーバ(図示省略。)も接続されている。
端末装置140は、医師や放射線技師が、診断情報や施設予約の入力、閲覧等を行うためのものであり、放射線画像の撮影依頼や撮影予約もこの端末装置140を介して行われる。各端末装置140は、表示装置を有するパーソナル・コンピュータを含んで構成され、RISサーバ150と病院内ネットワーク102を介して相互通信が可能とされている。
一方、RISサーバ150は、各端末装置140からの撮影依頼を受け付け、撮影システム104における放射線画像の撮影スケジュールを管理するものであり、データベース150Aを含んで構成されている。
データベース150Aは、患者(被検者)の属性情報(氏名、性別、生年月日、年齢、血液型、体重、患者ID(Identification)等)、病歴、受診歴、過去に撮影した放射線画像等の患者に関する情報、撮影システム104で用いられる、後述する電子カセッテ40の識別番号(ID情報)、型式、サイズ、感度、使用可能な撮影部位(対応可能な撮影依頼の内容)、使用開始年月日、使用回数等の電子カセッテ40に関する情報、および電子カセッテ40を用いて放射線画像を撮影する環境、すなわち、電子カセッテ40を使用する環境(一例として、放射線撮影室や手術室等)を示す環境情報を含んで構成されている。
撮影システム104は、RISサーバ150からの指示に応じて医師や放射線技師の操作により放射線画像の撮影を行う。撮影システム104は、放射線源121(図2も参照。)から曝射条件に従った線量とされた放射線X(図6も参照。)を被検者に照射する放射線発生装置120と、被検者の撮影対象部位を透過した放射線Xを吸収して電荷を発生し、発生した電荷量に基づいて放射線画像を示す画像情報を生成する放射線検出器20(図6も参照。)を内蔵する電子カセッテ40と、電子カセッテ40に内蔵されているバッテリを充電するクレードル130と、電子カセッテ40および放射線発生装置120を制御するコンソール110と、を備えている。
コンソール110は、RISサーバ150からデータベース150Aに含まれる各種情報を取得して後述するHDD116(図12参照。)に記憶し、必要に応じて当該情報を用いて、電子カセッテ40および放射線発生装置120の制御を行う。
図2には、本実施の形態に係る撮影システム104の放射線撮影室180における各装置の配置状態の一例が示されている。
同図に示すように、放射線撮影室180には、立位での放射線撮影を行う際に用いられる立位台160と、臥位での放射線撮影を行う際に用いられる臥位台164とが設置されており、立位台160の前方空間は立位での放射線撮影を行う際の被検者の撮影位置170とされ、臥位台164の上方空間は臥位での放射線撮影を行う際の被検者の撮影位置172とされている。
立位台160には電子カセッテ40を保持する保持部162が設けられており、立位での放射線画像の撮影を行う際には、電子カセッテ40が保持部162に保持される。同様に、臥位台164には電子カセッテ40を保持する保持部166が設けられており、臥位での放射線画像の撮影を行う際には、電子カセッテ40が保持部166に保持される。
また、放射線撮影室180には、単一の放射線源121からの放射線によって立位での放射線撮影も臥位での放射線撮影も可能とするために、放射線源121を、水平な軸回り(図2の矢印a方向)に回動可能で、鉛直方向(図2の矢印b方向)に移動可能で、さらに水平方向(図2の矢印c方向)に移動可能に支持する支持移動機構124が設けられている。ここで、支持移動機構124は、放射線源121を水平な軸回りに回動させる駆動源と、放射線源121を鉛直方向に移動させる駆動源と、放射線源121を水平方向に移動させる駆動源を各々備えている(何れも図示省略。)。
一方、クレードル130には、電子カセッテ40を収納可能な収容部130Aが形成されている。
電子カセッテ40は、未使用時にはクレードル130の収容部130Aに収納された状態で内蔵されているバッテリに充電が行われ、放射線画像の撮影時には放射線技師等によってクレードル130から取り出され、撮影姿勢が立位であれば立位台160の保持部162に保持され、撮影姿勢が臥位であれば臥位台164の保持部166に保持される。
ここで、本実施の形態に係る撮影システム104では、放射線発生装置120とコンソール110との間、および電子カセッテ40とコンソール110との間で、無線通信によって各種情報の送受信を行う。
なお、電子カセッテ40は、立位台160の保持部162や臥位台164の保持部166で保持された状態のみで使用されるものではなく、その可搬性から、腕部,脚部等を撮影する際には、保持部に保持されていない状態で使用することもできる。
次に、本実施の形態に係る放射線検出器20の構成について説明する。図3は、本実施の形態に係る放射線検出器20の3画素部分の構成を概略的に示す断面模式図である。
同図に示すように、本実施の形態に係る放射線検出器20は、絶縁性の基板1上に、信号出力部14、センサ部13、およびシンチレータ8が順次積層しており、信号出力部14、センサ部13により画素部が構成されている。画素部は、基板1上に複数配列されており、各画素部における信号出力部14とセンサ部13とが重なりを有するように構成されている。
シンチレータ8は、センサ部13上に透明絶縁膜7を介して形成されており、上方(基板1の反対側)または下方から入射してくる放射線を光に変換して発光する蛍光体を成膜したものである。このようなシンチレータ8を設けることで、被写体を透過した放射線を吸収して発光することになる。
シンチレータ8が発する光の波長域は、可視光域(波長360nm〜830nm)であることが好ましく、この放射線検出器20によってモノクロ撮像を可能とするためには、緑色の波長域を含んでいることがより好ましい。
シンチレータ8に用いる蛍光体としては、具体的には、放射線としてX線を用いて撮像する場合、ヨウ化セシウム(CsI)を含むものが好ましく、X線照射時の発光スペクトルが420nm〜600nmにあるCsI(Ti)(チタンが添加されたヨウ化セシウム)を用いることが特に好ましい。なお、CsI(Ti)の可視光域における発光ピーク波長は565nmである。
センサ部13は、上部電極6、下部電極2、および当該上下の電極間に配置された光電変換膜4を有し、光電変換膜4は、シンチレータ8が発する光を吸収して電荷が発生する有機光電変換材料により構成されている。
上部電極6は、シンチレータ8により生じた光を光電変換膜4に入射させる必要があるため、少なくともシンチレータ8の発光波長に対して透明な導電性材料で構成することが好ましく、具体的には、可視光に対する透過率が高く、抵抗値が小さい透明導電性酸化物(TCO;Transparent Conducting Oxide)を用いることが好ましい。なお、上部電極6としてAuなどの金属薄膜を用いることもできるが、透過率を90%以上得ようとすると抵抗値が増大し易いため、TCOの方が好ましい。例えば、ITO、IZO、AZO、FTO、SnO、TiO、ZnO等を好ましく用いることができ、プロセス簡易性、低抵抗性、透明性の観点からはITOが最も好ましい。なお、上部電極6は、全画素部で共通の一枚構成としてもよく、画素部毎に分割してもよい。
光電変換膜4は、有機光電変換材料を含み、シンチレータ8から発せられた光を吸収し、吸収した光に応じた電荷を発生する。このように有機光電変換材料を含む光電変換膜4であれば、可視域にシャープな吸収スペクトルを持ち、シンチレータ8による発光以外の電磁波が光電変換膜4に吸収されることがほとんどなく、X線等の放射線が光電変換膜4で吸収されることによって発生するノイズを効果的に抑制することができる。
光電変換膜4を構成する有機光電変換材料は、シンチレータ8で発光した光を最も効率よく吸収するために、その吸収ピーク波長が、シンチレータ8の発光ピーク波長と近いほど好ましい。有機光電変換材料の吸収ピーク波長とシンチレータ8の発光ピーク波長とが一致することが理想的であるが、双方の差が小さければシンチレータ8から発された光を十分に吸収することが可能である。具体的には、有機光電変換材料の吸収ピーク波長と、シンチレータ8の放射線に対する発光ピーク波長との差が、10nm以内であることが好ましく、5nm以内であることがより好ましい。
このような条件を満たすことが可能な有機光電変換材料としては、例えばキナクリドン系有機化合物およびフタロシアニン系有機化合物が挙げられる。例えばキナクリドンの可視域における吸収ピーク波長は560nmであるため、有機光電変換材料としてキナクリドンを用い、シンチレータ8の材料としてCsI(Ti)を用いれば、上記ピーク波長の差を5nm以内にすることが可能となり、光電変換膜4で発生する電荷量をほぼ最大にすることができる。
次に、本実施の形態に係る放射線検出器20に適用可能な光電変換膜4について具体的に説明する。
本実施の形態に係る放射線検出器20における電磁波吸収/光電変換部位は、1対の電極2,6と、当該電極2,6間に挟まれた有機光電変換膜4を含む有機層により構成することができる。この有機層は、より具体的には、電磁波を吸収する部位、光電変換部位、電子輸送部位、正孔輸送部位、電子ブロッキング部位、正孔ブロッキング部位、結晶化防止部位、電極、および層間接触改良部位等の積み重ね、もしくは混合により形成することができる。
上記有機層は、有機p型化合物または有機n型化合物を含有することが好ましい。
有機p型半導体(化合物)は、主に正孔輸送性有機化合物に代表されるドナー性有機半導体(化合物)であり、電子を供与しやすい性質がある有機化合物をいう。さらに詳しくは2つの有機材料を接触させて用いたときにイオン化ポテンシャルの小さい方の有機化合物をいう。したがって、ドナー性有機化合物としては、電子供与性のある有機化合物であれば、いずれの有機化合物も使用可能である。
有機n型半導体(化合物)は、主に電子輸送性有機化合物に代表されるアクセプター性有機半導体(化合物)であり、電子を受容しやすい性質がある有機化合物をいう。さらに詳しくは、2つの有機化合物を接触させて用いたときに電子親和力の大きい方の有機化合物をいう。したがって、アクセプター性有機化合物は、電子受容性のある有機化合物であれば、いずれの有機化合物も使用可能である。
この有機p型半導体および有機n型半導体として適用可能な材料、および光電変換膜4の構成については、特開2009−32854号公報において詳細に説明されているため、説明を省略する。
光電変換膜4の厚みは、シンチレータ8からの光を吸収する点では膜厚は大きいほど好ましいが、ある程度以上厚くなると光電変換膜4の両端から印加されるバイアス電圧により光電変換膜4に発生する電界の強度が低下して電荷が収集できなくなるため、30nm以上300nm以下が好ましく、より好ましくは、50nm以上250nm以下、特に好ましくは80nm以上200nm以下である。
なお、図3に示す放射線検出器20では、光電変換膜4は、全画素部で共通の一枚構成であるが、画素部毎に分割してもよい。
下部電極2は、画素部毎に分割された薄膜とする。下部電極2は、透明または不透明の導電性材料で構成することができ、アルミニウム、銀等を好適に用いることができる。
下部電極2の厚みは、例えば、30nm以上300nm以下とすることができる。
センサ部13では、上部電極6と下部電極2の間に所定のバイアス電圧を印加することで、光電変換膜4で発生した電荷(正孔、電子)のうちの一方を上部電極6に移動させ、他方を下部電極2に移動させることができる。本実施の形態の放射線検出器20では、上部電極6に配線が接続され、この配線を介してバイアス電圧が上部電極6に印加されるものとする。また、バイアス電圧は、光電変換膜4で発生した電子が上部電極6に移動し、正孔が下部電極2に移動するように極性が決められているものとするが、この極性は逆であってもよい。
各画素部を構成するセンサ部13は、少なくとも下部電極2、光電変換膜4、および上部電極6を含んでいればよいが、暗電流の増加を抑制するため、電子ブロッキング膜3および正孔ブロッキング膜5の少なくともいずれかを設けることが好ましく、両方を設けることがより好ましい。
電子ブロッキング膜3は、下部電極2と光電変換膜4との間に設けることができ、下部電極2と上部電極6間にバイアス電圧を印加したときに、下部電極2から光電変換膜4に電子が注入されて暗電流が増加してしまうのを抑制することができる。
電子ブロッキング膜3には、電子供与性有機材料を用いることができる。
実際に電子ブロッキング膜3に用いる材料は、隣接する電極の材料および隣接する光電変換膜4の材料等に応じて選択すればよく、隣接する電極の材料の仕事関数(Wf)より1.3eV以上電子親和力(Ea)が大きく、かつ、隣接する光電変換膜4の材料のイオン化ポテンシャル(Ip)と同等のIpもしくはそれより小さいIpを持つものが好ましい。この電子供与性有機材料として適用可能な材料については、特開2009−32854号公報において詳細に説明されているため、説明を省略する。
電子ブロッキング膜3の厚みは、暗電流抑制効果を確実に発揮させるとともに、センサ部13の光電変換効率の低下を防ぐため、10nm以上200nm以下が好ましく、さらに好ましくは30nm以上150nm以下、特に好ましくは50nm以上100nm以下である。
正孔ブロッキング膜5は、光電変換膜4と上部電極6との間に設けることができ、下部電極2と上部電極6間にバイアス電圧を印加したときに、上部電極6から光電変換膜4に正孔が注入されて暗電流が増加してしまうのを抑制することができる。
正孔ブロッキング膜5には、電子受容性有機材料を用いることができる。
正孔ブロッキング膜5の厚みは、暗電流抑制効果を確実に発揮させるとともに、センサ部13の光電変換効率の低下を防ぐため、10nm以上200nm以下が好ましく、さらに好ましくは30nm以上150nm以下、特に好ましくは50nm以上100nm以下である。
実際に正孔ブロッキング膜5に用いる材料は、隣接する電極の材料および隣接する光電変換膜4の材料等に応じて選択すればよく、隣接する電極の材料の仕事関数(Wf)より1.3eV以上イオン化ポテンシャル(Ip)が大きく、かつ、隣接する光電変換膜4の材料の電子親和力(Ea)と同等のEaもしくはそれより大きいEaを持つものが好ましい。この電子受容性有機材料として適用可能な材料については、特開2009−32854号公報において詳細に説明されているため、説明を省略する。
なお、光電変換膜4で発生した電荷のうち、正孔が上部電極6に移動し、電子が下部電極2に移動するようにバイアス電圧を設定する場合には、電子ブロッキング膜3と正孔ブロッキング膜5の位置を逆にすればよい。また、電子ブロッキング膜3と正孔ブロッキング膜5は両方設けなくてもよく、いずれかを設けておけば、ある程度の暗電流抑制効果を得ることができる。
各画素部の下部電極2下方の基板1の表面には信号出力部14が形成されている。図4には、信号出力部14の構成が概略的に示されている。
同図に示すように、本実施の形態に係る信号出力部14は、下部電極2に対応して、下部電極2に移動した電荷を蓄積するコンデンサ9と、コンデンサ9に蓄積された電荷を電気信号に変換して出力する電界効果型薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、以下、単に薄膜トランジスタという場合がある。)10が形成されている。コンデンサ9および薄膜トランジスタ10の形成された領域は、平面視において下部電極2と重なる部分を有しており、このような構成とすることで、各画素部における信号出力部14とセンサ部13とが厚さ方向で重なりを有することとなる。なお、放射線検出器20(画素部)の平面積を最小にするために、コンデンサ9および薄膜トランジスタ10の形成された領域が下部電極2によって完全に覆われていることが望ましい。
コンデンサ9は、基板1と下部電極2との間に設けられた絶縁膜11を貫通して形成された導電性材料の配線を介して対応する下部電極2と電気的に接続されている。これにより、下部電極2で捕集された電荷をコンデンサ9に移動させることができる。
薄膜トランジスタ10は、ゲート電極15、ゲート絶縁膜16、および活性層(チャネル層)17が積層され、さらに、活性層17上にソース電極18とドレイン電極19が所定の間隔を開けて形成されている。また、放射線検出器20では、活性層17が非晶質酸化物により形成されている。活性層17を構成する非晶質酸化物としては、In、GaおよびZnのうちの少なくとも1つを含む酸化物(例えばIn−O系)が好ましく、In、GaおよびZnのうちの少なくとも2つを含む酸化物(例えばIn−Zn−O系、In−Ga系、Ga−Zn−O系)がより好ましく、In、GaおよびZnを含む酸化物が特に好ましい。In−Ga−Zn−O系非晶質酸化物としては、結晶状態における組成がInGaO(ZnO)(mは6未満の自然数)で表される非晶質酸化物が好ましく、特に、InGaZnOがより好ましい。
薄膜トランジスタ10の活性層17を非晶質酸化物で形成したものとすれば、X線等の放射線を吸収せず、あるいは吸収したとしても極めて微量に留まるため、信号出力部14におけるノイズの発生を効果的に抑制することができる。
ここで、薄膜トランジスタ10の活性層17を構成する非晶質酸化物や、光電変換膜4を構成する有機光電変換材料は、いずれも低温での成膜が可能である。従って、基板1としては、半導体基板、石英基板、およびガラス基板等の耐熱性の高い基板に限定されず、プラスチック等の可撓性基板や、アラミド、バイオナノファイバを用いることもできる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)等の可撓性基板を用いることができる。このようなプラスチック製の可撓性基板を用いれば、軽量化を図ることもでき、例えば持ち運び等に有利となる。
また、基板1には、絶縁性を確保するための絶縁層、水分や酸素の透過を防止するためのガスバリア層、平坦性あるいは電極等との密着性を向上するためのアンダーコート層等を設けてもよい。
一方、アラミドは、200度以上の高温プロセスを適用できるために透明電極材料を高温硬化させて低抵抗化でき、また、ハンダのリフロー工程を含むドライバICの自動実装にも対応できる。また、アラミドは、ITO(Indium Tin Oxide)やガラス基板と熱膨張係数が近いため、製造後の反りが少なく、割れにくい。また、アラミドは、ガラス基板等と比べて薄く基板を形成できる。なお、超薄型ガラス基板とアラミドを積層して基板を形成してもよい。
また、バイオナノファイバは、バクテリア(酢酸菌、Acetobacter Xylinum)が産出するセルロースミクロフィブリル束(バクテリアセルロース)と透明樹脂との複合したものである。セルロースミクロフィブリル束は、幅50nmと可視光波長に対して1/10のサイズで、かつ高強度、高弾性、低熱膨張である。バクテリアセルロースにアクリル樹脂、エポキシ樹脂等の透明樹脂を含浸・硬化させることで、繊維を60〜70%も含有しながら、波長500nmで約90%の光透過率を示すバイオナノファイバが得られる。バイオナノファイバは、シリコン結晶に匹敵する低い熱膨張係数(3〜7ppm)を有し、鋼鉄並の強度(460MPa)、高弾性(30GPa)で、かつフレキシブルであることから、ガラス基板等と比べて薄く基板1を形成できる。
本実施の形態では、基板1上に、信号出力部14、センサ部13、透明絶縁膜7を順に形成することによりTFT基板30を形成し、当該TFT基板30上に光吸収性の低い接着樹脂等を用いてシンチレータ8を貼り付けることにより放射線検出器20を形成している。
図5に示すように、TFT基板30には、上述したセンサ部13、コンデンサ9、および薄膜トランジスタ10を含んで構成される画素部32が一定方向(図5の行方向)、および当該一定方向に対する交差方向(図5の列方向)に2次元状に複数設けられている。
また、放射線検出器20には、上記一定方向(行方向)に延設され、各薄膜トランジスタ10をオン・オフさせるための複数本のゲート配線34と、上記交差方向(列方向)に延設され、オン状態の薄膜トランジスタ10を介して電荷を読み出すための複数本のデータ配線36と、が設けられている。
放射線検出器20は、平板状で、かつ平面視において外縁に4辺を有する四辺形状、より具体的には、矩形状に形成されている。
次に、本実施の形態に係る電子カセッテ40の構成について説明する。図6には、本実施の形態に係る電子カセッテ40の構成を示す斜視図が示されている。
同図に示すように、本実施の形態に係る電子カセッテ40は、放射線を透過させる材料からなる平板状の筐体41を備えており、防水性、密閉性を有する構造とされている。筐体41の内部には、種々の部品を収容する空間(外部空間)Aが形成されており、当該空間内には、放射線Xが照射される筐体41の照射面側から、被写体を透過した放射線Xを検出する放射線検出器20、および放射線Xのバック散乱線を吸収する鉛板43が順に配設されている。
ここで、本実施の形態に係る電子カセッテ40では、筐体41の平板状の一方の面の放射線検出器20の配設位置に対応する領域が放射線を検出可能な四辺形状の撮影領域41Aとされている。この筐体41の撮影領域41Aを有する面が電子カセッテ40における天板41Bとされており、本実施の形態に係る電子カセッテ40では、図8に示すように、放射線検出器20が、TFT基板30が天板41B側となるように配置され、当該天板41Bの筐体41における内側の面(天板41Bの放射線が入射される面の反対側の面)に貼り付けられている。
ところで、本実施の形態に係る電子カセッテ40は、放射線検出器20の放射線入射方向に対する歪み等に起因して生じるシンチレータ8の劣化の度合を示す劣化度を検出する劣化検出機能を有している。
このため、本実施の形態に係る電子カセッテ40では、図7に示すように、放射線検出器20のシンチレータ8の下面側の中央部および周縁部の角部の各々に、当該放射線検出器20の歪み量および歪みの方向を検出するための一対の歪みゲージ46A,46Bと、放射線検出器20の温度を検出するための温度センサ47と、が接着されている。
本実施の形態に係る電子カセッテ40では、歪みゲージ46Aがシンチレータ8の長手方向(図7のX方向)に対する歪み量を検出し、歪みゲージ46Bがシンチレータ8の長手方向に直交する短手方向(図7のY方向)に対する歪み量を検出する。そして、歪みゲージ46Aにより検出された歪み量を上記長手方向(X方向)に対するベクトルとし、歪みゲージ46Bにより検出された歪み量を上記短手方向(Y方向)に対するベクトルとして各ベクトルを合成することにより、これらの歪みゲージ46A,46Bの配設位置における歪み量(以下、「合成歪み量」という。)および歪みの方向(以下、「合成歪み方法」という。)を得ることができる。
なお、以下では、図7における左上角部の歪みゲージ46A,46Bおよび温度センサ47の配設位置を第1位置といい、右上角部の歪みゲージ46A,46Bおよび温度センサ47の配設位置を第2位置といい、中央部の歪みゲージ46A,46Bおよび温度センサ47の配設位置を第3位置といい、左下角部の歪みゲージ46A,46Bおよび温度センサ47の配設位置を第4位置といい、右下角部の歪みゲージ46A,46Bおよび温度センサ47の配設位置を第5位置という。
一方、図6および図8に示すように、筐体41の内部の一端側には、放射線検出器20と重ならない位置(撮影領域41Aの範囲外)に、後述するカセッテ制御部58や電源部70(共に図12参照。)を収容するケース42が配置されている。
筐体41は、電子カセッテ40全体の軽量化を図るために、例えば、カーボンファイバ(炭素繊維)、アルミニウム、マグネシウム、バイオナノファイバ(セルロースミクロフィブリル)、または複合材料等で構成されている。
複合材料としては、例えば、強化繊維樹脂を含む材料が用いられ、強化繊維樹脂には、カーボンやセルロース等が含まれる。具体的には、複合材料としては、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)や、発泡材をCFRPでサンドイッチした構造のもの、または発泡材の表面にCFRPをコーティングしたもの等が用いられる。なお、本実施の形態では、発泡材をCFRPでサンドイッチした構造のものが用いられている。これにより、筐体41をカーボン単体で構成した場合と比較して、筐体41の強度(剛性)を高めることができる。
一方、図8に示すように、筐体41の内部には、天板41Bと対向する背面部41Cの内面に支持体44が配置され、支持体44および天板41Bの間には、放射線検出器20および鉛板43が放射線Xの照射方向にこの順で並んで配置されている。
支持体44は、軽量化の観点、寸法偏差を吸収する観点から、例えば、発泡材で構成されており、鉛板43を支持する。
図8〜図10に示すように、天板41Bの内面には、放射線検出器20のTFT基板30を剥離可能に接着する接着部材80が設けられている。接着部材80としては、例えば、両面テープが用いられる。この場合、両面テープは、一方の接着面の接着力が他方の接着面の接着力よりも強くなるように形成されている。
具体的には、接着力の弱い面(弱接着面)は、180°ピール接着力で1.0N/cm以下に設定されている。そして、接着力の強い面(強接着面)が天板41Bに接し、弱接着面がTFT基板30に接する。これにより、ねじ等の固定部材等によって放射線検出器20を天板41Bに固定する場合と比べて電子カセッテ40の厚みを薄くすることができる。また、衝撃や荷重で天板41Bが変形しても、放射線検出器20は剛性の高い天板41Bの変形に追従するため、大きな曲率(緩やかな曲がり)しか発生せず、局所的な低曲率で放射線検出器20が破損する可能性が低くなる。さらに、放射線検出器20が天板41Bの剛性の向上に寄与する。また、前記両面テープは、TFT基板30および天板41Bと接する面以外の面にも接着力を有する。
また、図9に示すように、接着部材80は、帯状に形成された状態で筐体41の側壁に沿って配置されている。これにより、TFT基板30を天板41Bに接着した状態で、TFT基板30および天板41Bの間に内部空間Bが形成される(図8も参照。)。
図10に示すように、接着部材80には、天板41Bの角部に対応する部位に内部空間Bと外部空間Aを連通する連通路82が形成されている。連通路82は、曲がっており、詳細には、4つの角部84を有している。つまり、連通路82は、折り曲げられるようにして形成されたラビリンス構造を有している。なお、連通路82の折り曲げられた部位(角部84)の折り曲げ角度は、任意に設定することができ、弓なりに曲がっていてもよい。また、連通路82の通路幅dは、空気が流通できる程度の範囲内において、できる限り狭く設定されている。ただし、連通路82の通路幅dは、任意に設定してよい。
このように、本実施の形態に係る電子カセッテ40では、放射線検出器20を筐体41の天板41Bの内部に貼り付けているため、筐体41が、天板41B側と背面部41C側とで2つに分離可能とされており、放射線検出器20を天板41Bに貼り付けたり、放射線検出器20を天板41Bから剥離したりする際には、筐体41を天板41B側と背面部41C側とで2つに分離した状態とされる。
なお、本実施の形態では、放射線検出器20の天板41Bへの接着をクリーンルーム等で行わなくてもよい。なぜなら、放射線検出器20および天板41Bの間に放射線を吸収する金属片等の異物が混入した場合に、放射線検出器20を天板41Bから剥離して当該異物を除去できるからである。
ところで、放射線検出器20を直接把持するようにして天板41Bから放射線検出器20を剥離する場合、筐体41の側壁が邪魔になる。そのため、図11に示すように、放射線検出器20のTFT基板30に耳86を設けてもよい。これにより、作業者は、耳86を把持した状態で放射線検出器20を天板41Bから容易に剥離することができる。なお、耳86は、TFT基板30に固定されていてもよいし、TFT基板30に着脱可能であってもよい。後者の場合、放射線画像の撮影時に耳86が邪魔になる懸念を排除することができる。
次に、図12を参照して、本実施の形態に係る撮影システム104の電気系の要部構成について説明する。
同図に示すように、電子カセッテ40に内蔵された放射線検出器20は、隣り合う2辺の一辺側にゲート線ドライバ52が配置され、他辺側に信号処理部54が配置されている。TFT基板30の個々のゲート配線34はゲート線ドライバ52に接続され、TFT基板30の個々のデータ配線36は信号処理部54に接続されている。
また、筐体41の内部には、画像メモリ56と、カセッテ制御部58と、無線通信部60と、を備えている。
TFT基板30の各薄膜トランジスタ10は、ゲート線ドライバ52からゲート配線34を介して供給される信号により行単位で順にオンされ、オン状態とされた薄膜トランジスタ10によって読み出された電荷は、電気信号としてデータ配線36を伝送されて信号処理部54に入力される。これにより、電荷は行単位で順に読み出され、二次元状の放射線画像が取得可能となる。
図示は省略するが、信号処理部54は、個々のデータ配線36毎に、入力される電気信号を増幅する増幅回路およびサンプルホールド回路を備えており、個々のデータ配線36を伝送された電気信号は増幅回路で増幅された後にサンプルホールド回路に保持される。また、サンプルホールド回路の出力側にはマルチプレクサ、A/D(アナログ/デジタル)変換器が順に接続されており、個々のサンプルホールド回路に保持された電気信号はマルチプレクサに順に(シリアルに)入力され、A/D変換器によってデジタルの画像データへ変換される。
信号処理部54には画像メモリ56が接続されており、信号処理部54のA/D変換器から出力された画像データは画像メモリ56に順に記憶される。画像メモリ56は所定枚分の画像データを記憶可能な記憶容量を有しており、放射線画像の撮影が行われる毎に、撮影によって得られた画像データが画像メモリ56に順次記憶される。
画像メモリ56はカセッテ制御部58と接続されている。カセッテ制御部58はマイクロコンピュータを含んで構成され、CPU(中央処理装置)58A、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を含むメモリ58B、フラッシュメモリ等からなる不揮発性の記憶部58Cを備えており、電子カセッテ40全体の動作を制御する。
また、カセッテ制御部58には、各歪みゲージ46A,46Bが接続され、当該歪みゲージ46A,46Bにおける抵抗が組み込まれたホイートストーン・ブリッジを有し、当該ホイートストーン・ブリッジを用いて各歪みゲージ46A,46Bの配設部位における放射線検出器20の歪み量を測定する歪み測定部58Dが備えられており、カセッテ制御部58は、各歪みゲージ46A,46Bの抵抗値の変化量に基づいて、放射線検出器20の各歪みゲージ46A,46Bの配設部位における歪み量を把握することができる。
また、カセッテ制御部58には、経過時間を計時する計時部58Eが備えられており、カセッテ制御部58は、計時部58Eの作動を制御することができると共に、計時部58Eにより計時された時間を把握することができる。
また、カセッテ制御部58には、各温度センサ47が接続されており、カセッテ制御部58は、各温度センサ47の配設部位における温度を把握することができる。
さらに、カセッテ制御部58には無線通信部60が接続されている。無線通信部60は、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11a/b/g等に代表される無線LAN(Local Area Network)規格に対応しており、無線通信による外部機器との間での各種情報の伝送を制御する。カセッテ制御部58は、無線通信部60を介して、放射線画像の撮影に関する制御を行うコンソール110などの外部装置と無線通信が可能とされており、コンソール110等との間で各種情報の送受信が可能とされている。
また、電子カセッテ40には電源部70が設けられており、上述した各種回路や各素子(ゲート線ドライバ52、信号処理部54、画像メモリ56、無線通信部60、カセッテ制御部58として機能するマイクロコンピュータ等)は、電源部70から供給された電力によって作動する。電源部70は、電子カセッテ40の可搬性を損なわないように、バッテリ(充電可能な二次電池)を内蔵しており、充電されたバッテリから各種回路・素子へ電力を供給する。なお、図12では、電源部70と各種回路や各素子を接続する配線を省略している。
一方、コンソール110は、サーバ・コンピュータとして構成されており、操作メニューや撮影された放射線画像等を表示するディスプレイ111と、複数のキーを含んで構成され、各種の情報や操作指示が入力される操作パネル112と、を備えている。
また、本実施の形態に係るコンソール110は、装置全体の動作を司るCPU113と、制御プログラムを含む各種プログラム等が予め記憶されたROM114と、各種データを一時的に記憶するRAM115と、各種データを記憶して保持するHDD(ハードディスク・ドライブ)116と、ディスプレイ111への各種情報の表示を制御するディスプレイドライバ117と、操作パネル112に対する操作状態を検出する操作入力検出部118と、を備えている。また、コンソール110は、無線通信により、放射線発生装置120との間で後述する曝射条件等の各種情報の送受信を行うと共に、電子カセッテ40との間で画像データ等の各種情報の送受信を行う無線通信部119を備えている。
CPU113、ROM114、RAM115、HDD116、ディスプレイドライバ117、操作入力検出部118、および無線通信部119は、システムバスBUSを介して相互に接続されている。従って、CPU113は、ROM114、RAM115、HDD116へのアクセスを行うことができると共に、ディスプレイドライバ117を介したディスプレイ111への各種情報の表示の制御、および無線通信部119を介した放射線発生装置120および電子カセッテ40との各種情報の送受信の制御を各々行うことができる。また、CPU113は、操作入力検出部118を介して操作パネル112に対するユーザの操作状態を把握することができる。
一方、放射線発生装置120は、放射線源121と、コンソール110との間で曝射条件等の各種情報を送受信する無線通信部123と、受信した曝射条件に基づいて放射線源121を制御する線源制御部122と、を備えている。
線源制御部122もマイクロコンピュータを含んで構成されており、受信した曝射条件等を記憶する。このコンソール110から受信する曝射条件には管電圧、管電流、曝射期間等の情報が含まれている。線源制御部122は、受信した曝射条件に基づいて放射線源121から放射線Xを照射させる。
ところで、前述したように、本実施の形態に係る電子カセッテ40は、放射線検出器20の放射線入射方向に対する歪み等に起因して生じるシンチレータ8の劣化の度合を示す劣化度を検出する劣化検出機能を有している。このため、本実施の形態に係る電子カセッテ40では、メモリ58BのROMに、一例として図13に示す歪み劣化係数情報、時間劣化係数情報、および温度劣化係数情報の3種類の情報が予め記憶されている。
図13(A)に示すように、本実施の形態に係る歪み劣化係数情報は、放射線画像の撮影時における合成歪み方向が前回の撮影時の合成歪み方向に対して予め定められた範囲(本実施の形態では、前回の撮影時の合成歪み方向とのなす角度が15度の範囲)以上ずれている(以下、「異方向」という。)場合の、予め定められた合成歪み量の範囲毎の劣化係数と、合成歪み方向が前回の撮影時の合成歪み方向に対して上記予め定められた範囲よりずれていない(以下、「同方向」という。)場合の、予め定められた合成歪み量の範囲毎の劣化係数と、が予め記憶されて構成されている。
また、図13(B)に示すように、本実施の形態に係る時間劣化係数情報は、予め定められた時間範囲毎の劣化係数が予め記憶されて構成されており、図13(C)に示すように、本実施の形態に係る温度劣化係数情報は、予め定められた温度範囲毎の劣化係数が予め記憶されて構成されている。
次に、本実施の形態に係る撮影システム104の作用を説明する。
まず、図14を参照して、放射線画像の撮影を行う際のコンソール110の作用を説明する。なお、図14は、この際にコンソール110のCPU113によって実行される放射線画像撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはROM114の所定領域に予め記憶されている。
同図のステップ300では、予め定められた初期情報入力画面をディスプレイ111により表示させるようにディスプレイドライバ117を制御し、次のステップ302にて所定情報の入力待ちを行う。
図15には、上記ステップ300の処理によってディスプレイ111により表示される初期情報入力画面の一例が示されている。同図に示すように、本実施の形態に係る初期情報入力画面では、これから放射線画像の撮影を行う被検者の氏名、撮影部位、撮影時の姿勢(本実施の形態では、臥位、立位の何れか)、および撮影時の放射線Xの曝射条件(本実施の形態では、放射線Xを曝射する際の管電圧、管電流、および曝射期間)の入力を促すメッセージと、これらの情報の入力領域が表示される。
同図に示す初期情報入力画面がディスプレイ111に表示されると、撮影者は、撮影対象とする被検者の氏名、撮影部位、撮影時の姿勢、および曝射条件を、各々対応する入力領域に操作パネル112を介して入力する。
そして、撮影時の姿勢が立位または臥位である場合に、撮影者は、対応する立位台160の保持部162または臥位台164の保持部166に電子カセッテ40を保持させると共に放射線源121を対応する位置に位置決めした後、被検者を所定の撮影位置に位置させる。これに対し、撮影部位が腕部、脚部等の電子カセッテ40を保持部に保持させない状態で放射線画像の撮影を行う場合に、撮影者は、当該撮影部位を撮影可能な状態に被検者、電子カセッテ40、および放射線源121を位置決めする。その後、撮影者は、初期情報入力画面の下端近傍に表示されている終了ボタンを、操作パネル112を介して指定する。撮影者によって終了ボタンが指定されると、上記ステップ302が肯定判定となってステップ304に移行する。
ステップ304では、電子カセッテ40に対し、後述する劣化度導出処理(図16も参照。)の実行により、この時点で記憶部58Cに記憶されている、後述する累積劣化度(図17も参照。)の送信を指示する指示情報を電子カセッテ40へ無線通信部119を介して送信した後、次のステップ306にて、上記累積劣化度の受信待ちを行う。これに応じて、電子カセッテ40は、第1位置〜第5位置の各位置における累積劣化度を記憶部58Cから読み出し、無線通信部60を介してコンソール110に送信する。これに応じて、上記ステップ306が肯定判定となってステップ308に移行する。
ステップ308では、電子カセッテ40から受信した累積劣化度、および上記初期情報入力画面上で入力された情報(以下、「初期情報」という。)に基づいて、今回の撮影が行われた後におけるシンチレータ8の第1位置〜第5位置の各位置における劣化度の予測値(以下、「劣化度予測値」という。)を次のように導出する。
まず、上記初期情報に含まれる撮影部位および撮影時の姿勢に応じて、今回の撮影によりシンチレータ8の第1位置〜第5位置の各位置において進行する劣化度を予測する。なお、本実施の形態では、撮影システム104において適用対象としている撮影部位および撮影時の姿勢の全ての組み合わせの各々毎で、かつシンチレータ8の第1位置〜第5位置の各々毎に、1回の撮影によってシンチレータ8が受けると想定される劣化度(以下、「想定劣化度」という。)を予めHDD116等の記憶手段に記憶しておき、上記初期情報に含まれる撮影部位および撮影時の姿勢に対応する、第1位置〜第5位置の想定劣化度を当該記憶手段から読み出すことにより予測する。ここで、本実施の形態では、上記想定劣化度として、上記撮影部位および撮影時の姿勢の全ての組み合わせの各々毎で、かつシンチレータ8の第1位置〜第5位置の各々毎に、電子カセッテ40と同型の実機を用いた実験や電子カセッテ40の設計仕様に応じたコンピュータ・シミュレーション等によって予め得られた値を適用している。
そして、以上によって予測した劣化度を、第1位置〜第5位置の各々毎に電子カセッテ40から受信した累積劣化度に加算することにより、劣化度予測値を算出する。
次のステップ310では、上記ステップ308の処理によって導出した劣化度予測値の全てが予め定められた第1閾値より小さいか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ312に移行する。なお、本実施の形態では、上記第1閾値として、撮影者等によって予め設定された値を適用しているが、これに限らず、電子カセッテ40の用途等に応じて予め定められた値等を適用してもよいことは言うまでもない。
ステップ312では、予め定められた警告処理を実行し、その後に本放射線画像撮影処理プログラムを終了する。なお、本実施の形態では、上記警告処理として、ディスプレイ111により、シンチレータ8が劣化したため、電子カセッテ40による今回の撮影ができない旨を示す情報と、導出した劣化度予測値とを表示する処理を適用しているが、これに限らず、コンソール110に内蔵されたスピーカ等の音声発生装置を用いて警告を示す音声を発生する処理、RISサーバ150等の外部装置に警告を示す情報を送信する処理等の他の警告を行う処理を単独または組み合わせて適用してもよい。
一方、上記ステップ310において肯定判定となった場合はステップ314に移行し、初期情報に含まれる曝射条件を放射線発生装置120へ無線通信部119を介して送信することにより当該曝射条件を設定する。これに応じて放射線発生装置120の線源制御部122は、受信した曝射条件での曝射準備を行う。
次のステップ316では、曝射開始を指示する指示情報を放射線発生装置120および電子カセッテ40へ無線通信部119を介して送信する。
これに応じて、放射線源121は、放射線発生装置120がコンソール110から受信した曝射条件に応じた管電圧、管電流、および曝射期間で放射線Xを発生して射出する。放射線源121から曝射された放射線Xは、被検者を透過した後に電子カセッテ40に到達する。
一方、電子カセッテ40のカセッテ制御部58は、上記曝射開始を指示する指示情報を受信すると、内蔵された放射線検出器20の各画素部32のコンデンサ9への電荷の蓄積を開始し、上記曝射条件で指定された曝射期間の経過後にゲート線ドライバ52を制御してゲート線ドライバ52から1ラインずつ順に各ゲート配線34にオン信号を出力させ、各ゲート配線34に接続された各薄膜トランジスタ10を1ラインずつ順にオンさせる。
放射線検出器20は、各ゲート配線34に接続された各薄膜トランジスタ10を1ラインずつ順にオンされると、1ラインずつ順に各コンデンサ9に蓄積された電荷が電気信号として各データ配線36に流れ出す。各データ配線36に流れ出した電気信号は信号処理部54でデジタルの画像データに変換されて、画像メモリ56に記憶される。
カセッテ制御部58は、撮影終了後、画像メモリ56に記憶された画像データを無線通信によりコンソール110へ送信する。
なお、このとき、カセッテ制御部58は、後述する劣化度導出処理(図16も参照。)を実行し、これによって得られた第1位置〜第5位置の各位置における累積劣化度をコンソール110に送信する場合がある。
そこで、次のステップ318では、上記画像データが電子カセッテ40から受信されるまで待機し、次のステップ320にて、累積劣化度が電子カセッテ40から受信されたか否かを判定し、否定判定となった場合は後述するステップ326に移行する一方、肯定判定となった場合にはステップ322に移行する。
次のステップ322では、受信した累積劣化度の全てが上記第1閾値より小さいか否かを判定し、肯定判定となった場合は後述するステップ326に移行する一方、否定判定となった場合にはステップ324に移行する。
ステップ324では、予め定められた警告処理を実行し、その後にステップ326に移行する。なお、本実施の形態では、上記警告処理として、ディスプレイ111により、シンチレータ8が劣化したため、電子カセッテ40による次回以降の撮影ができない旨を示す情報と、受信した累積劣化度とを表示する処理を適用しているが、これに限らず、コンソール110に内蔵されたスピーカ等の音声発生装置を用いて警告を示す音声を発生する処理、RISサーバ150等の外部装置に警告を示す情報を送信する処理等の他の警告を行う処理を単独または組み合わせて適用してもよい。
ステップ326では、上記ステップ318の処理によって受信した画像データに対してシェーディング補正等の各種の補正を行う画像処理を実行する。
次のステップ328では、上記画像処理が行われた画像データ(以下、「補正画像データ」と称する。)をHDD116に記憶し、次のステップ330にて、補正画像データにより示される放射線画像を、確認等を行うためにディスプレイ111によって表示させるようにディスプレイドライバ117を制御し、次のステップ332にて、補正画像データをRISサーバ150へ病院内ネットワーク102を介して送信した後、本放射線画像撮影処理プログラムを終了する。なお、RISサーバ150へ送信された補正画像データはデータベース150Aに格納され、医師が撮影された放射線画像の読影や診断等を行うことが可能となる。
次に、図16を参照して、劣化度導出処理を実行する際の電子カセッテ40の作用を説明する。なお、図16は、放射線画像撮影処理プログラムのステップ316の処理によって送信された曝射開始を指示する指示情報を受信した際に、前述した撮影動作と並行して電子カセッテ40のCPU58Aにより実行される劣化度導出処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはメモリ58Bの所定領域に予め記憶されている。
同図のステップ400では、この時点の放射線検出器20の第1位置〜第5位置の各位置における歪み量を歪み測定部58Dにより測定し、次のステップ402にて、測定した歪み量に基づいて第1位置〜第5位置の各位置における合成歪み量を前述したベクトルの合成による方法によって導出する。
次のステップ404では、上記ステップ402の処理によって導出した合成歪み量の少なくとも1つが予め定められた第2閾値(本実施の形態では、1mm)以上であるか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ406に移行する。なお、本実施の形態では、上記第2閾値として、合成歪み量が当該値以上となった場合にシンチレータ8の劣化が進むものと見なすことができる値として、電子カセッテ40と同型の実機を用いた実験や電子カセッテ40の設計仕様に応じたコンピュータ・シミュレーション等によって予め得られた値を適用している。
ステップ406では、撮影動作が終了したか否かを判定し、否定判定となった場合は上記ステップ400に戻る一方、肯定判定となった場合には本劣化度導出処理プログラムを終了する。
一方、上記ステップ404において肯定判定となった場合はステップ408に移行し、カセッテ制御部58に内蔵された計時部58Eによる計時を開始し、次のステップ410にて、この時点の放射線検出器20の第1位置〜第5位置の各位置における歪み量および温度を歪み測定部58Dおよび温度センサ47により測定する。
次のステップ412では、測定した歪み量に基づいて第1位置〜第5位置の各位置における合成歪み量および合成歪み方向を前述したベクトルの合成による方法によって導出し、次のステップ414にて、導出した合成歪み量および合成歪み方向と、上記ステップ410の処理によって測定した温度を記憶部58Cの予め定められた領域に記憶する。
次のステップ416では、上記ステップ412の処理によって導出した全ての合成歪み量が上記第2閾値より小さくなったか否かを判定し、否定判定となった場合は上記ステップ410に戻る一方、肯定判定となった時点でステップ418に移行する。
ステップ418では、上記ステップ408の処理によって開始した計時部58Eによる計時を停止し、次のステップ420にて、前述した歪み劣化係数情報、時間劣化係数情報、および温度劣化係数情報と、後述する歪み方向劣化度情報(図17も参照。)と、をメモリ58Bおよび記憶部58Cから読み出す。
次のステップ422では、上記ステップ420の処理によって読み出した歪み劣化係数情報、時間劣化係数情報、温度劣化係数情報、および歪み方向劣化度情報と、上記ステップ414の処理によって記憶部58Cに記憶した合成歪み量、合成歪み方向、および温度と、計時部58Eにより計時した時間とに基づいて、次のように第1位置〜第5位置の各位置における累積劣化度を導出する。
まず、次の(1)式により、今回の撮影によってシンチレータ8が受けた劣化度rを第1位置〜第5位置の各々毎に算出する。
Figure 2012047584
なお、(1)式におけるHvcは合成歪み量(本実施の形態では、上記ステップ414の処理によって記憶された合成歪み量の最大値)に対応する劣化係数を表し、Tpcは温度(本実施の形態では、上記ステップ414の処理によって記憶された温度の最大値)に対応する劣化係数を表し、Tmcは計時部58Eにより計時された時間に対応する劣化係数を表す。
ここで、Hvcは、前述したように、合成歪み方向が前回の撮影時と同方向となっているか否かによって異なる値が適用されるが、今回の撮影が電子カセッテ40による1回目の撮影である場合には、前回の撮影時の合成歪み方向が存在しない。この場合に、本実施の形態では、劣化係数Hvcとして、合成歪み方向が前回の撮影時と異方向となっている場合に対応する値を適用しているが、これに限らず、合成歪み方向が前回の撮影時と同方向となっている場合に対応する値を適用してもよい。
次に、(2)式により、累積劣化度R’を第1位置〜第5位置の各々毎に算出する。なお、(2)式におけるRは前回の撮影までの累積劣化度を表す。ここで、今回の撮影が電子カセッテ40による1回目の撮影である場合には、前回の撮影までの累積劣化度Rが存在しないため、この場合には、累積劣化度Rとして0(零)を適用する。
Figure 2012047584
次のステップ424では、一例として図17に模式的に示すように、今回の撮影における合成歪み方向および上記ステップ422の処理によって得られた累積劣化度R’を第1位置〜第5位置の各々毎に記憶部58Cの予め定められた領域に記憶する。なお、ここで記憶した情報(歪み方向劣化度情報)は、次回の撮影時において(1)式および(2)式による演算を行う際に読み出されて用いられることになる。
次のステップ426では、第1位置〜第5位置の各位置の累積劣化度R’を無線通信部60を介してコンソール110に送信し、その後に本劣化度導出処理プログラムを終了する。
図18は、以上の劣化度導出処理プログラムにより撮影毎に得られる劣化度rの説明に供するグラフである。
同図に示すように、本実施の形態に係る劣化度導出処理プログラムにより、撮影2の場合のように、合成歪み方向が前回の撮影時の合成歪み方向に対して同方向となっている場合には、シンチレータ8の温度が高めであったり、合成歪み量が多めであったりしても、劣化度rとして中程度の値が得られる。また、撮影3および撮影5のように、合成歪み方向が前回の撮影時の合成歪み方向に対して異方向となっている場合で、かつシンチレータ8の温度が低めである場合にも、劣化度rとして中程度の値が得られるが、シンチレータ8の温度が上昇するに従って劣化度rは大きくなる。さらに、撮影4のように、合成歪み方向が前回の撮影時の合成歪み方向に対して同方向となっている場合で、かつシンチレータ8の温度が低い場合には劣化度rが小さくなる。
ところで、本実施の形態に係る電子カセッテ40は、図8に示すように、放射線検出器20がTFT基板30側から放射線Xが照射されるように内蔵されている。
ここで、放射線検出器20は、図19に示すように、シンチレータ8が形成された表側から放射線が照射(表面照射)された場合、シンチレータ8の同図上面側(TFT基板30の反対側)でより強く発光し、TFT基板30側(裏側)から放射線が照射(裏面照射)された場合、TFT基板30を透過した放射線がシンチレータ8に入射してシンチレータ8のTFT基板30側がより強く発光する。TFT基板30に設けられた各センサ部13には、シンチレータ8で発生した光により電荷が発生する。このため、放射線検出器20は、裏側から放射線が照射された場合の方が表側から放射線が照射された場合よりもTFT基板30に対するシンチレータ8の発光位置が近いため、撮影によって得られる放射線画像の分解能が高い。
また、放射線検出器20は、光電変換膜4を有機光電変換材料により構成しており、光電変換膜4で放射線がほとんど吸収されない。このため、本実施の形態に係る放射線検出器20は、裏面照射により放射線がTFT基板30を透過する場合でも光電変換膜4による放射線の吸収量が少ないため、放射線に対する感度の低下を抑えることができる。裏面照射では、放射線がTFT基板30を透過してシンチレータ8に到達するが、このように、TFT基板30の光電変換膜4を有機光電変換材料により構成した場合、光電変換膜4での放射線の吸収が殆どなく放射線の減衰を少なく抑えることができるため、裏面照射に適している。
また、薄膜トランジスタ10の活性層17を構成する非晶質酸化物や光電変換膜4を構成する有機光電変換材料は、いずれも低温での成膜が可能である。このため、基板1を放射線の吸収が少ないプラスチック樹脂、アラミド、バイオナノファイバで形成することができる。このように形成された基板1は放射線の吸収量が少ないため、裏面照射により放射線がTFT基板30を透過する場合でも、放射線に対する感度の低下を抑えることができる。
また、本実施の形態によれば、図8に示すように、放射線検出器20をTFT基板30が天板41B側となるように筐体41内の天板41Bに貼り付けているが、基板1を剛性の高いプラスチック樹脂、アラミド、バイオナノファイバで形成した場合、放射線検出器20自体の剛性が高いため、筐体41の天板41Bを薄く形成することができる。また、基板1を剛性の高いプラスチック樹脂やアラミド、バイオナノファイバで形成した場合、放射線検出器20自体が可撓性を有するため、撮影領域41Aに衝撃が加わった場合でも放射線検出器20が破損しづらい。
以上詳細に説明したように、本実施の形態では、シンチレータ8が設けられた放射線検出器20の予め定められた位置の歪み量を検出し、この検出結果に基づいて、シンチレータ8の劣化の度合を導出しているので、当該劣化の度合に応じて放射線画像の撮影を行うか否かを判断することにより、シンチレータ8の劣化に起因する無駄な撮影を回避することができる。
また、本実施の形態では、前記予め定められた位置の歪みの方向をさらに検出し、検出した歪みの方向が、放射線検出器20による前回の撮影時に検出した歪みの方向に対して予め定められた範囲以上ずれている場合に、当該範囲未満の場合より大きくなるように劣化の度合を導出しているので、より高精度でシンチレータ8の劣化の度合を導出することができる。
また、本実施の形態では、放射線検出器20の温度を検出し、検出した温度が高くなるほど大きくなるように劣化の度合を導出しているので、より高精度でシンチレータ8の劣化の度合を導出することができる。
また、本実施の形態では、検出した歪み量が予め定められた閾値以上である期間を計時し、計時した期間が長くなるほど大きくなるように劣化の度合を導出しているので、より高精度でシンチレータ8の劣化の度合を導出することができる。
また、本実施の形態では、導出した劣化の度合をコンソール110により出力しているので、ユーザにとっての利便性を、より向上させることができる。
特に、本実施の形態では、シンチレータ8の劣化の度合が把握できるため、電子カセッテ40の寿命や、電子カセッテ40の交換時期を予測することができ、病院経営者等にとっては有用である。
また、複数の電子カセッテ40の劣化の度合が同程度で進行してしまうと、一度に複数の電子カセッテ40を購入する必要が生じてしまうが、本実施の形態のように、シンチレータ8の劣化の度合が把握できることにより、複数の電子カセッテ40の劣化を意図的にずらすことも可能となるため、この点についても有効である。
また、本実施の形態では、歪みゲージ46A,46Bが、放射線検出器20におけるシンチレータ8の予め定められた位置に設けられているので、シンチレータ8の歪みに関する物理量を直接検出することができる結果、より高精度でシンチレータ8の劣化の度合を導出することができる。
特に、本実施の形態では、歪みゲージ46A,46Bが、少なくともシンチレータ8の中央部に設けられているので、より高精度でシンチレータ8の劣化の度合を導出することができる。
また、本実施の形態では、センサ部13が、シンチレータ8で発生した光を受光することにより電荷が発生する有機光電変換材料を含んで構成されているので、電子カセッテ40の耐衝撃性を向上させることができる。
また、本実施の形態では、放射線検出器20が、被写体を透過した放射線が透過する透過面を有する天板41Bの放射線が入射される面の反対側の面に直接的に取り付けられているので、電子カセッテ40の耐衝撃性を向上させることができる。
特に、本実施の形態では、放射線検出器20が天板41Bに離間可能に取り付けられていているので、効率的に筐体の交換を行うことができる。
また、本実施の形態では、天板41Bが放射線検出器20を収容する筐体41の一部を構成しているので、天板を筐体とは別に構成する場合に比較して、より簡易に天板を構成することができる。
また、本実施の形態では、TFT基板30および天板41Bの間に内部空間Bが形成されているので、放射線検出器20の天板41Bへの接着時に、TFT基板30および天板41Bに対する接着部材80の接着面に空気が残存していても、その残存していた空気を内部空間Bに逃がすことができる。また、内部空間Bと外部空間Aを連通する連通路82が接着部材80に形成されているので、外部空間Aの気圧が変化した場合でも、内部空間Bの圧力と外部空間Aの気圧とを一定に保つことができる。これにより、気圧変化によって天板41Bに対するTFT基板30の接着性が低下することを防止することができる。
また、本実施の形態では、連通路82が角部84を有している。そのため、外部空間Aから連通路82に空気と共に空気よりも質量の大きい異物が流入した場合でも、角部84を流通する空気の流れに前記異物が追従することができないので、前記異物が内部空間Bに混入することを防止することができる。これにより、放射線画像の品質低下に繋がる異物混入を抑えることができる。
さらに、連通路82が接着部材80に形成され、接着部材80がその全面に接着力を有しているので、角部84において、空気に追従できなかった異物が連通路82の壁面に付着し易くなる。従って、前記異物を連通路82内で確実に捕捉することができる。よって、内部空間Bへの異物の混入をより一層確実に防止することができる。
また、本実施の形態によれば、連通路82の通路幅dを空気が流通できる範囲内において、できる限り狭く設定されているので、比較的小さな金属粉等の異物の混入に対応することができる。なお、想定される異物の大きさに応じて連通路82の通路幅dを設定すると、効率的に異物の混入を防止することができる。
ところで、一般的に、シンチレータ8はTFT基板30よりも脆弱である。そのため、シンチレータ8を天板41Bに接着部材80にて接着した場合、放射線検出器20を剥離するときにシンチレータ8が破損するおそれがある。しかしながら、本実施の形態では、接着部材80にてTFT基板30を天板41Bに接着しているので、放射線検出器20を剥離するときにシンチレータ8が破損する懸念を排除することができる。
また、撮影環境によっては、天板41Bに被写体(患者)を乗せた状態で撮影を行うことがある。この場合、天板41Bに傷が付き易い。そして、天板41Bに傷が付いた場合、当該傷が固定パターンノイズとして放射線画像に表示されることがあるため、筐体41を交換することが望ましい。しかしながら、天板41Bに放射線検出器20を剥離不能に貼り付けた場合、筐体41を交換するときに、高価な放射線検出器20も一緒に交換する必要がありコストが掛かるといった問題が生じていた。本実施の形態によれば、放射線検出器20を天板41Bに対して剥離可能に接着しているので、効率的に筐体41の交換を行うことができる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施の形態に多様な変更または改良を加えることができ、当該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
また、上記の実施の形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組み合わせにより種々の発明を抽出できる。実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
例えば、上記実施の形態では、劣化度予測値および累積劣化度が予め定められた閾値以上である場合にコンソール110によって警告処理を実行する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、当該警告処理を電子カセッテ40において実行する形態としてもよい。この場合は、放射線画像撮影処理プログラムのステップ308〜ステップ312、ステップ320、ステップ322の各処理を電子カセッテ40のCPU58Aにより実行する。
また、上記実施の形態では、センサ部13が、シンチレータ8で発生した光を受光することにより電荷が発生する有機光電変換材料を含んで構成されている場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、センサ部13として有機光電変換材料を含まずに構成されたものを適用する形態としてもよい。
また、上記実施の形態では、図13に示される歪み劣化係数情報、時間劣化係数情報、および温度劣化係数情報の全てを用いて劣化度を導出する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、歪み劣化係数情報を単独で用いる形態や、歪み劣化係数情報と、時間劣化係数情報および温度劣化係数情報の何れか一方とを組み合わせて用いる形態としてもよい。
また、上記実施の形態では、歪みの方向が前回の撮影時と予め定められた範囲外となっているか否かに応じて歪みによる劣化係数を切り替える場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、歪みの方向を用いることなく、歪み量のみに応じて歪みによる劣化係数を決定する形態としてもよい。
また、上記実施の形態では、撮影を行うに際して劣化度予測値が第1閾値以上である場合に電子カセッテ40の使用を禁止する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、劣化度予測値が第1閾値以上である場合に、劣化度予測値が上記撮影を行うことができる値となっている別の電子カセッテ40の使用を促す形態としてもよい。
また、上記実施の形態では、シンチレータ8の劣化の度合を示す情報として累積劣化度R’を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、累積劣化度R’に代えて劣化度rを適用する形態としてもよい。
また、上記実施の形態では、ベクトルの合成によって合成歪み量および合成歪み方向を導出して適用する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、歪みゲージ46Aおよび歪みゲージ46Bのうち、検出された歪み量が大きい方の歪み量および歪みの方向(歪みゲージ46Aの場合はX方向で、歪みゲージ46Bの場合はY方向)を適用する形態としてもよい。
また、上記実施の形態では、本発明の劣化の度合を電子カセッテ40により導出する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の劣化の度合をコンソール110により導出する形態としてもよい。なお、この場合の形態例としては、電子カセッテ40により歪みゲージ46A,46Bおよび温度センサ47による計測結果をコンソール110に送信し、コンソール110において劣化度導出処理プログラムにおけるステップ400、ステップ410、およびステップ426を除く処理を実行する形態を例示することができる。この場合、上記実施の形態に比較して、電子カセッテ40による負荷を軽減することができる。
また、上記実施の形態では、連通路82に角部84を複数設けた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、一例として図20に示すように、連通路90に角部92を1つだけ有していてもよい。これにより、接着部材80に連通路90を容易に形成することができる。
また、天板41Bから放射線検出器20を剥離するときに、有機溶剤等を接着部材80に流し込み、接着部材80の接着性を弱くした上で放射線検出器20を剥離してもよい。この場合、接着部材80が角部を有しているので、前記有機溶剤が接着部材80にしみ込み易くなる。
さらに、上記実施の形態では、電子カセッテ40の筐体41の内部にカセッテ制御部58や電源部70を収容するケース42と放射線検出器20とを重ならないように配置した場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、放射線検出器20とカセッテ制御部58や電源部70を重なるように配置してもよい。
また、上記実施の形態では、電子カセッテ40とコンソール110との間、放射線発生装置120とコンソール110との間で、無線にて通信を行う場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、これらの少なくとも一方を有線にて通信を行う形態としてもよい。
また、上記実施の形態では、放射線としてX線を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、γ線等の他の放射線を適用する形態としてもよい。
その他、上記実施の形態で説明したRIS100の構成(図1参照。)、放射線撮影室の構成(図2参照。)、電子カセッテ40の構成(図3〜図11参照。)、撮影システム104の構成(図12参照。)は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、不要な部分を削除したり、新たな部分を追加したり、接続状態等を変更したりすることができることは言うまでもない。
また、上記実施の形態で説明した各種情報の構成(図13,図17参照。)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、不要な情報を削除したり、新たな情報を追加したりすることができることは言うまでもない。
また、上記実施の形態で説明した各種プログラムの処理の流れ(図14,図16参照。)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ換えたりすることができることは言うまでもない。
さらに、上記実施の形態で説明した(1)式および(2)式の各演算式も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更してもよいことは言うまでもない。
1 基板
8 シンチレータ
10 薄膜トランジスタ(スイッチング素子)
13 センサ部
20 放射線検出器
30 TFT基板
40 電子カセッテ
41 筐体
41A 撮影領域
41B 天板
41C 背面部
46A,46B 歪みゲージ(歪み検出手段)
47 温度センサ(温度検出手段)
58 カセッテ制御部(導出手段)
58A CPU
58D 歪み測定部(歪み検出手段)
58E 計時部(計時手段)
60 無線通信部
80 接着部材
82 連通路
84 角部
90 連通路
92 角部
100 RIS
110 コンソール
111 ディスプレイ
112 操作パネル
113 CPU
116 HDD
119 無線通信部
120 放射線発生装置
121 放射線源
122 線源制御部
123 無線通信部
X 放射線

Claims (14)

  1. 放射線が照射されることにより光を発生するシンチレータ、当該シンチレータで発生した光を受光することにより電荷が発生するセンサ部、および当該センサ部で発生された電荷を読み出すためのスイッチング素子が形成された基板を有する放射線検出器と、
    前記放射線検出器の予め定められた位置に設けられ、当該位置の歪み量を検出する歪み検出手段と、
    前記歪み検出手段による検出結果に基づいて、前記シンチレータの劣化の度合を導出する導出手段と、
    を備えた放射線画像撮影装置。
  2. 前記歪み検出手段は、前記予め定められた位置の歪みの方向をさらに検出し、
    前記導出手段は、前記歪み検出手段によって検出された前記歪みの方向が、前記放射線検出器による前回の撮影時に前記歪み検出手段によって検出された前記歪みの方向に対して予め定められた範囲以上ずれている場合に、当該範囲未満の場合より大きくなるように前記劣化の度合を導出する
    請求項1記載の放射線画像撮影装置。
  3. 前記放射線検出器の温度を検出する温度検出手段をさらに備え、
    前記導出手段は、前記温度検出手段によって検出された温度が高くなるほど大きくなるように前記劣化の度合を導出する
    請求項1または請求項2記載の放射線画像撮影装置。
  4. 前記歪み検出手段によって検出された歪み量が予め定められた閾値以上である期間を計時する計時手段をさらに備え、
    前記導出手段は、前記計時手段によって計時された期間が長くなるほど大きくなるように前記劣化の度合を導出する
    請求項1から請求項3の何れか1項記載の放射線画像撮影装置。
  5. 前記導出手段により導出された劣化の度合を出力する出力手段
    をさらに備えた請求項1から請求項4の何れか1項記載の放射線画像撮影装置。
  6. 前記歪み検出手段は、前記放射線検出器における前記シンチレータの予め定められた位置に設けられている
    請求項1から請求項5の何れか1項記載の放射線画像撮影装置。
  7. 前記歪み検出手段は、少なくとも前記シンチレータの中央部に設けられている
    請求項6記載の放射線画像撮影装置。
  8. 前記センサ部は、前記シンチレータで発生した光を受光することにより電荷が発生する有機光電変換材料を含んで構成されている
    請求項1から請求項7の何れか1項記載の放射線画像撮影装置。
  9. 前記放射線検出器は、被写体を透過した放射線が透過する透過面を有する天板の前記放射線が入射される面の反対側の面に直接的に取り付けられている
    請求項1から請求項8の何れか1項記載の放射線画像撮影装置。
  10. 前記放射線検出器は、前記天板に離間可能に取り付けられている
    請求項9記載の放射線画像撮影装置。
  11. 前記放射線検出器と前記天板との間に内部空間が形成されるように前記放射線検出器を前記天板に対して接着する接着部材と、
    前記内部空間および外部を連通すると共に、外部から前記内部空間への異物の混入を阻止する通気手段と、
    をさらに備えた請求項9または請求項10記載の放射線画像撮影装置。
  12. 前記天板は、前記放射線検出器を収容する筐体の一部を構成する
    請求項9から請求項11の何れか1項記載の放射線画像撮影装置。
  13. 放射線が照射されることにより光を発生するシンチレータ、当該シンチレータで発生した光を受光することにより電荷が発生するセンサ部、当該センサ部で発生された電荷を読み出すためのスイッチング素子が形成された基板を有する放射線検出器、および前記放射線検出器の予め定められた位置に設けられ、当該位置の歪み量を検出する歪み検出手段を備えた放射線画像撮影装置と、
    前記歪み検出手段による検出結果に基づいて、前記シンチレータの劣化の度合を導出する導出手段を備え、前記放射線画像撮影装置の動作を制御する制御装置と、
    を有する放射線画像撮影システム。
  14. コンピュータを、
    放射線が照射されることにより光を発生するシンチレータ、当該シンチレータで発生した光を受光することにより電荷が発生するセンサ部、および当該センサ部で発生された電荷を読み出すためのスイッチング素子が形成された基板を有する放射線検出器の予め定められた位置に設けられた歪み検出手段により、当該位置の歪み量を検出する検出手段と、
    前記検出手段による検出結果に基づいて、前記シンチレータの劣化の度合を導出する導出手段と、
    として機能させるためのプログラム。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017203728A (ja) * 2016-05-13 2017-11-16 コニカミノルタ株式会社 放射線画像撮影装置
JP2020095025A (ja) * 2018-12-13 2020-06-18 パロ アルト リサーチ センター インコーポレイテッド 統合型ひずみセンサを有する可撓性x線センサ

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JP7353935B2 (ja) 2018-12-13 2023-10-02 パロ アルト リサーチ センター インコーポレイテッド 統合型ひずみセンサを有する可撓性x線センサ

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