JP2012044915A - 熱安定化されたタンパク質の製造方法および熱安定化されたタンパク質含有液 - Google Patents

熱安定化されたタンパク質の製造方法および熱安定化されたタンパク質含有液 Download PDF

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Abstract

【課題】非晶質炭素微粒子を用いた酵素などのタンパク質の熱安定化におけるタンパク質の熱安定化方法の提供。
【解決手段】タンパク質を含有する溶液に、不活性雰囲気において炭化された、有機物の炭化物を粉砕することにより得られた非晶質炭素微粒子を添加し、タンパク質を非晶質炭素微粒子に吸着させた後、ろ過して、タンパク質を吸着した非晶質炭素微粒子を回収するタンパク質の製造方法。前記非晶質炭素微粒子は、例えば木材、竹、小豆などの有機物を不活性雰囲気において所定の温度で順次温度を上げて加熱し、前記雰囲気中及び有機物中の炭素以外の成分を、500℃以下の温度において分解温度の低いものから順次熱分解させて個別的に遊離させて製造された炭素化物を平均粒径50μm以下に粉砕することにより製造されたものであり、粒径1nm以下のような炭素超微粒子の集合体からなっている。
【選択図】図8

Description

本発明は、熱安定化されたタンパク質の製造方法および熱安定化されたタンパク質含有液に関する。また、本発明は、熱安定化されたタンパク質の製造方法により製造された非晶質炭素微粒子吸着タンパク質、その保存方法、非晶質炭素微粒子吸着タンパク質からタンパク質を脱着し、フリーのタンパク質を再取得する方法、さらには、熱安定化されたタンパク質、特に酵素を用いて有機物を分解あるいは変性する方法にも関する。
タンパク質は、優れた生物活性機能を発揮することから各方面での応用が期待されているが、複雑な高次構造を有するため、種々の原因、例えば、物理的あるいは化学的な原因で変性・失活してしまうという問題を有している。タンパク質の変性・失活の原因としては、特に熱による場合が多いが、熱変性は、酵素反応をはじめタンパク質製剤や食品添加物調製あるいはタンパク質貯蔵において問題となる。タンパク質の熱変性について、図1を参照して簡単に説明する。まず、タンパク質が高温にさらされると、図1に示されるようにまず可逆的に立体構造が破壊され、さらに不可逆的なタンパク質間の凝集やタンパク質分子自体の分解などが生じる。タンパク質の熱変性過程においては、特にタンパク質の凝集が問題となる。そこで、タンパク質の熱安定化をはかるための一つの方法として、無機塩、糖、アルコールなどをタンパク質水溶液に添加することによりタンパク質の凝集を抑制することが知られている。しかし、これら方法はある程度の効果は見られるものの、十分な効果が得られないことが多い。
さらに、遺伝子組み換えなどによりタンパク質分子の構造を改変させてタンパク質の熱安定性の向上をはかる方法があるが、製造方法の煩雑さと特殊な設備等を伴うので、ごく一部の特殊なケースを除き汎用性に乏しいのが現状である。また、タンパク質の立体構造形成および構造変化に関与する因子として分子シャペロンに関心が高まっており、シャペロニンによるタンパク質の安定化による試みもなされている(特許文献1参照)。しかし、シャペロニンは一般的にATP、CTP、UDPといった高エネルギー物質を共存させる必要があり、利便性に欠ける。非常に高濃度のシャペロニンを用いれば、ATPなどの高エネルギー物質を必要とせずにタンパク質を安定化することができると報告された例があるが、シャペロニンは高価であり経済性に問題があった。
タンパク質の中でも特に酵素については、温和な条件で使用され、それの触媒作用により特異性の高い反応を行うことができ、種々の分野で利用されている。酵素も他の触媒と同様、温度が上昇するにしたがって反応速度が上昇するのが一般的であるが、上記のとおり耐熱温度を超えると活性を失ってしまうことから、安価な方法で、また幅広い温度領域で、さらに幅広いタンパク質に対して熱安定化を行うことのできる熱安定化剤や熱安定化方法が要望されている。
さらに、水溶液中で酵素反応を行う場合、雑菌汚染を防ぐため55℃以上であることが望ましい。しかしながら、このような高温域では酵素は熱変性しやすい。(例えば、非特許文献1参照)
このような状況下に、本発明者らは、安価な材料である非晶質炭素微粒子を用い、また幅広い温度領域で、さらに幅広いタンパク質に対してタンパク質を熱安定化する方法を提示した(特許文献2参照)。
特開平7−67641号公報 特開2010−148364号公報
小巻利章著、「酵素応用の知識」第四版、幸書房、2000年
前記本発明者らの提示したタンパク質を熱安定化する方法においては、特定の炭素微粒子を用いて、タンパク質の水溶液中での熱安定化を図るものであるが、高温処理後の残存活性が低く、未だ十分といえるほどの熱安定化特性が得られているわけではない。また、前記タンパク質の熱安定化方法は、タンパク質水溶液中のタンパク質の熱安定化に関するものであるが、水溶液中でもまた水溶液中以外でも、より高いタンパク質の熱安定化が図られることが望まれるし、また、一旦熱安定化したタンパク質を保存し、その後遊離させて、熱安定化させる前の状態のタンパク質を回収し、用途に応じ用いることも望まれる。
したがって、本発明の目的は、安価に入手し得る上記特定の炭素微粒子を用いて、幅広い温度領域で、また幅広いタンパク質に対してより高い熱安定化を図ることのできるタンパク質の熱安定化方法を提供することである。
また、本発明の他の目的は、溶液状態でなくても、幅広い温度領域で高い熱安定性を有するタンパク質を製造する方法、およびこれにより得られた非晶質炭素微粒子吸着タンパク質を提供することである。
また、本発明のさらに他の目的は、前記本発明の製造方法で製造された熱安定性の改善されたタンパク質を含有する熱安定性の改善されたタンパク質含有液、前記で得られた非晶質炭素微粒子吸着タンパク質の保存方法、保存後のタンパク質を遊離させてタンパク質を回収する方法をも提供することである。
本発明者らは、鋭意研究を行ったところ、上記非晶質炭素微粒子をタンパク質水溶液中に投入してタンパク質を非晶質炭素微粒子に吸着させ、これをろ過することにより、改善されたタンパク質の熱安定化を図ることができることを見出した。また、この処理法を用いて得られたタンパク質は、湿潤状態でも、乾燥した状態でも熱安定性に優れ、したがって保存しておくことができ、また55℃を超えるような溶液中でも熱安定性に優れていることから、高温酵素反応を行うことが可能なことも見出した。さらに、熱安定状態とされた炭素微粒子に担持されたタンパク質は遊離することができ、当初のタンパク質を再度取得できることをも見出した。これら新たな知見に基づいて本発明はなされたものである。
すなわち、本発明は、以下に示す熱安定化されたタンパク質の製造方法、この製造方法により得られた熱安定化された非晶質炭素微粒子吸着タンパク質、熱安定化されたタンパク質含有液、熱安定化された非晶質炭素微粒子吸着タンパク質の保存方法、および保存された非晶質炭素微粒子吸着タンパク質を遊離、回収する方法に関する。
(1)タンパク質を含有する溶液に、不活性雰囲気において炭化された有機物の炭化物を粉砕することにより得られた非晶質炭素微粒子を添加して、タンパク質を非晶質炭素微粒子に吸着させ、ろ過した後、ろ材上の非晶質炭素微粒子吸着タンパク質を回収することを特徴とする熱安定化されたタンパク質の製造方法。
(2)前記非晶質炭素微粒子が、有機物を不活性雰囲気において所定の温度で順次温度を上げて加熱し、前記雰囲気中及び有機物中の炭素以外の成分を、500℃以下の温度において分解温度の低いものから順次熱分解させて個別的に遊離させて製造された炭化物を粉砕することにより製造されたものであることを特徴とする上記(1)に記載の熱安定化されたタンパク質の製造方法。
(3)前記非晶質炭素微粒子は、平均粒径が50μm以下であり、また1nm以下の粒径の炭素超微粒子集合体であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の熱安定化されたタンパク質の製造方法。
(4)前記非晶質炭素微粒子へのタンパク質の吸着が、前記タンパク質および非晶質炭素微粒子含有液の30分以上の振とうおよび/または撹拌であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の熱安定化されたタンパク質の製造方法。
(5)前記タンパク質が、酸化還元酵素、転移酵素、加水分解酵素、脱離酵素、異性化酵素、合成酵素、血漿タンパク質、ペプチドホルモンまたは遺伝子組み換えタンパク質であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の熱安定化されたタンパク質の製造方法。
(6)前記タンパク質が酵素であり、前記熱安定化が酵素の温度上昇時の活性保持であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の熱安定化されたタンパク質の製造方法。
(7)前記溶液が水溶液であることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の熱安定化されたタンパク質の製造方法。
(8)上記(1)〜(7)のいずれかに記載の熱安定化されたタンパク質の製造方法によって回収された非晶質炭素微粒子吸着タンパク質。
(9)上記(1)〜(7)のいずれかに記載の熱安定化されたタンパク質の製造方法で回収された非晶質炭素微粒子吸着タンパク質を真空凍結乾燥法で乾燥させることを特徴とする熱安定化されたタンパク質の製造方法。
(10)上記(9)に記載の熱安定化されたタンパク質の製造方法で得られた乾燥非晶質炭素微粒子吸着タンパク質。
(11)上記(8)または(10)に記載の非晶質炭素微粒子吸着タンパク質を溶液中に分散することを特徴とする熱安定化されたタンパク質含有液の製造方法。
(12)前記溶液が水溶液であることを特徴とする上記(11)に記載の熱安定化されたタンパク質含有液の製造方法。
(13)上記(11)または(12)に記載の熱安定化されたタンパク質含有液の製造方法によって得られてなることを特徴とする熱安定化されたタンパク質含有液。
(14)上記(13)に記載の熱安定化されたタンパク質含有液のpHを調整するあるいは塩を添加することにより非晶質炭素微粒子からタンパク質を離脱させることを特徴とするタンパク質の回収方法。
(15)上記(13)に記載の熱安定化されたタンパク質含有液を用いて酵素反応を行うことを特徴とする有機物の分解または変性方法。
本発明に用いられる非晶質炭素微粒子は安価に製造することができ、この安価に製造された非晶質炭素微粒子をタンパク質含有溶液に添加することによりタンパク質の熱安定化をはかることができるが、この溶液をろ過することにより、単に非晶質炭素微粒子をタンパク質含有溶液に添加した場合に比べ、タンパク質の熱安定性が大きく改善される。
また、ろ別された非晶質炭素微粒子吸着タンパク質は、熱安定性に優れていることから、高温としても凝集、変性などが起こらず、そのままで保存可能であるし、真空凍結乾燥を行えば、さらに長期の保存が可能であるので、熱安定化されたタンパク質を予め大量に作製しておき、使用の必要があるときに随時必要量使用することができることから、便利である。
さらに、本発明の方法で得られた非晶質炭素微粒子吸着タンパク質は、従来の方法に比べより高温での酵素などのタンパク質の熱安定化が可能であるので、従来では酵素などの活性が失活するような温度においても、酵素反応を行うことができ、これにより高温、高活性での反応を行うことができ、また高温反応により雑菌汚染を受けることなく反応を推進することができる。
また、本発明の方法で得られた非晶質炭素微粒子吸着タンパク質含有液は、pH調整あるいは塩の添加により非晶質炭素微粒子からタンパク質を離脱させ、タンパク質を回収することができるので、タンパク質を熱安定化した状態で保存し、使用に際しタンパク質を遊離させて回収し、用途に応じて用いることができる。
タンパク質の熱変性を説明する説明図である。 図面代用写真であり、本発明で用いられる非晶質炭素微粒子の200万倍透過型電子顕微鏡写真である。 図2の撮影に用いられた非晶質炭素微粒子のX線解析結果を示す図である。 本発明で用いられる非晶質炭素微粒子を製造するために用いられる炭化装置の一例である。 図面代用写真であり、グラファイト化した炭素微粒子の200万倍透過型電子顕微鏡写真である。 リゾチームの加熱処理試験(90℃、30分)の結果を示す比較図である。 加熱処理リゾチームの溶菌法による残存活性を示す図である。 非晶質炭素微粒子吸着リゾチームの熱変性曲線である。
1 処理槽
2 蓋
11 周壁
12 底部
13 ポール
21 不活性ガス導入管
22 熱分解ガス排出管
23、24 開閉弁
111 カマ
112 ヒータ
113 網体
114 断熱材
115 外装材
上記のとおり、本発明においては、タンパク質の熱安定化のために、不活性雰囲気において炭化された非晶質炭素微粒子を用いることから、まず本発明で用いられる非晶質炭素微粒子およびその製造方法について説明する。
まず、図2に、本発明において用いられる非晶質炭素微粒子の200万倍の透過型電子顕微鏡写真を示す。この電子顕微鏡写真によれば、炭素微粒子は所謂結晶化(グラファイト化)していないで粒径が1nm(ナノメートル)以下(計算値によれば1.66Å)の炭素超微粒子の集合体であることが確認できる。図2の写真から、炭素超微粒子はそれぞれ原子状炭素、すなわち炭素原子1〜10個程度の炭素からなっている。また、図3に、図2の電子顕微鏡写真を撮影するために用いられた非晶質炭素微粒子のX線解析結果を示す。図3から、図2の炭素微粒子が結晶化していないことが分かる。
このような結晶化していない炭素の超微粒子の集合体からなる炭素微粒子は、有機物を不活性雰囲気(無酸素雰囲気)において500℃以下、好ましくは450℃以下の温度で順次温度を上げて加熱し、分解温度の低いものから順次熱分解させ、炭素以外の成分(酸素、水素、窒素など)を遊離させ、その都度不活性雰囲気を保ったままの状態で上記分解され生成した成分を雰囲気外に排除し、得られた塊状の原子状炭素を不活性雰囲気下で冷却した後粉砕することにより得られる。このような炭素化は、例えば図4に示されるような装置を用いて行われる。なお、例示された装置は、本発明の非晶質炭素微粒子を製造するために用いられる好ましい態様の炭化装置を示すものであり、本発明の非晶質炭素微粒子を製造する装置が例示された装置に限られるものではない。
図4に示される炭化装置は、不活性ガスを処理槽1内に導入するための、開閉弁23を有する不活性ガス導入管21と有機物の熱分解により生成するガスを処理槽1内から排出するための、開閉弁24を有する熱分解ガス排出管22を備えた、気密に閉鎖可能な蓋2を有する処理槽1からなり、またこの装置においては、処理槽1の底部12にポール13が立設されている。
更に詳しく説明すると、処理槽1は、例えば適宜の径と深さとを有する有底円筒型や箱型で、開口部に例えばねじ込み等適宜の手段により気密にすることのできる開閉可能な蓋体2が嵌装されており、鉄又はそれに類する金属により形成されたカマ111の内側に、適宜の手段により処理槽1の外部から通電可能な遠赤外線炭素セラミックヒータや炭素フィラメント等のヒータ112が網体113により装着されており、カマ111の外側面には断熱材114を介して最外部に外装材115が配置されており、内部の周壁11及び底部12及び底部12に立設されたポール13にもヒータ112が装備されている。
図4に示される装置を用いて有機物の熱分解による炭化を行うには、まず蓋2を開け、処理槽1内に有機物からなる原料3を装填し、蓋を閉めて気密状態とした後、不活性ガス導入管21から不活性ガスを導入して処理槽1内の雰囲気を無酸素雰囲気にする。不活性ガスとしては、窒素が代表的なものであるが、アルゴンなどの不活性ガスが用いられてもよい。次いで、不活性ガス注入開閉弁を閉鎖した後、処理槽1内のヒータ112に通電し、処理槽1内の温度を徐々に上げて行き、前記有機物3中の炭素以外の成分を、分解温度の低いものから順次熱分解させて、生成された排出ガスを排出管22から排出させる。その後、処理槽1内に残存する炭化物を回収し、これをボールミル、ジェットミルなどの従来公知の粉砕機により粉砕することにより、本発明で用いられる非晶質炭素微粒子が得られる。こうして得られた炭素微粒子が、図2の透過型電子顕微鏡写真に示されたものである。
上記製造方法で製造された非晶質炭素微粒子は、水に対する濡れ性がよく、水に添加することにより簡単に水中に分散し、透明な液となる。このため、溶液中の炭素微粒子の濃度制御は簡単に行うことができる。炭化物の粉砕も、例えば備長炭などの粉砕に比べ短時間に粉砕が行われ、平均粒径(D50)が50μm以下の非晶質炭素微粒子を容易に得ることができる。本発明において用いられる非晶質炭素微粒子の平均粒径は特に限定されるものではないが、炭素微粒子の分散の容易さ、均一分散性、分散液の透明性などを考えると、平均粒径の小さいものがより好ましい。本発明の非晶質炭素微粒子としては、例えば50μm程度以下の平均粒径を有するものについては特に問題なく使用できる。しかし、30μm以下の平均粒径であることがより好ましく、更に好ましくは15μm以下のものである。平均粒径15μm以下の非晶質炭素微粒子につていても、上記製造方法により得ることができる。
原料3として用いられる有機物としては、固形物が好ましく用いられる。このような有機固形物としては、例えば高分子や植物等の普通に存在する有機物、例えば炭水化物やタンパク質からなる材料を用いることができる。しかし、炭素単体を含むものは炭素単体が結晶化して分子状を呈していることと、このような分子状の炭素単体は本発明の原子状の炭素に変換することはできず、製造した炭素に分子状の炭素が混入するので原料としては好ましくない。炭素原料としては特に木材や竹(生のものがよい)などの炭水化物からなる材料、小豆などのタンパク質含有物などが好適である。
この装置を用いて例えば原料3として小豆を用いて炭化を行う方法を述べると、まず、蓋2を開放した状態で、処理槽1内に小豆を装填して蓋2を閉じ、開閉弁23、24を開放した状態で、不活性ガス導入管21から処理槽1内に例えば窒素ガスを送入する。これにより、処理槽1内から大気、とりわけ酸素を排出管22を通して排出し、処理槽1内を窒素ガスで完全に置換して無酸素状態とし、不活性ガス導入管21の開閉弁23を閉じる。ここでは送入する不活性ガスとして窒素ガスを使用しているが、例えばアルゴンなどの他の不活性ガスを使用してもよい。
次いで、ヒータ112に通電して最初に処理槽1内、即ち、装填した原料3を100〜150℃に保ち、原料3及び窒素雰囲気中の水分を充分に気化させ、排出管22からまず水分を処理槽1の外部へと排出する。このとき、処理槽1内に酸素が残存しないよう、必要に応じ不活性ガス導入管21から窒素を導入しながら加熱を行ってもよい。
その後、再び、処理槽1内を窒素雰囲気とした後、ヒータ112に通電して原料3を200〜350℃に保ち、原料3中の塩素などを遊離させて前記水分の場合と同様にして原料3内の塩素などを処理槽1から排出する。
更に、処理槽1内を窒素雰囲気とした後、ヒータ112に通電して原料3を350〜450℃に保ち、前記水分及び塩素の場合と同様にして原料3中の残りの高分子成分を遊離させて処理槽1から排出する。
以上の工程を終了した時点で、処理槽1内には450℃では気化しない炭素すなわち、原子状炭素が残存する。その後、余熱およびサーモセンサーを利用して処理槽内を350℃程度に保ち、さらに炭化工程を持続することにより、炭素含有量の高い炭化物を得ることができる。次いで、ヒータ112の通電を停止して、不活性ガス導入管21から低温の窒素を処理槽1内に導入し、これを排出管22から排出させることにより、内容物を50〜100℃程度まで冷却した後、蓋2を開放して処理槽1内に残存する炭化物を取り出した後、例えばジェットミルなどの粉砕装置を用いて粉砕する。粉砕は、必要であれば、処理槽内で行われてもよい。このような方法により、簡単に平均粒径が50μm、好ましくは30μm以下、より好ましくは15μ以下の非晶質炭素微粒子を得ることができる。
なお、上記例では、炭化は450℃以下の温度で行われたが、加熱温度を550℃とし、30分炭化して得られた炭素微粒子の200万倍の透過型電子顕微鏡写真を図5に示す。図5から、550℃で炭化した場合には、炭素がグラファイト化しており、このような結晶化した炭素は本発明の炭素微粒子としては好ましくない。グラファイト化は炭化温度が450℃を超えると急速に進むことから、450℃以下の炭化条件が好ましいのである。
本発明においては、タンパク質を含有する溶液に、上記方法で得られた非晶質炭素微粒子を添加して非晶質炭素微粒子へのタンパク質の吸着処理を施し、ろ過した後、ろ材上の非晶質炭素微粒子吸着タンパク質を回収することにより、熱安定化されたタンパク質を得ることができる。以下、これらタンパク質の熱安定化処理工程をさらに詳細に説明する。
まず、本発明において熱安定化できるタンパク質について説明する。本発明で熱安定化できるタンパク質は、特に限定されるものではないが、例えば、グルコースオキシダーゼ、カタラーゼ、リボキシゲナーゼ、チトクロムC、ペルオキシダーゼなどの酸化還元酵素、シクロデキストリングルコシルトランスフェラーゼ、トランスアミナーゼなどの転移酵素、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、セルラーゼ、α−キモトリプシン、ズブチリシン、リパーゼ、ペクチナーゼ、リゾチームなどの加水分解酵素、アスパルターゼ、ヒアロウロキナーゼなどの脱離酵素、グルコースイソメラーゼなどの異性化酵素、アミノアシルtRNA合成酵素、DNA連結酵素などの合成酵素、アルブミン、γ−グロブリン、血液凝固因子、リューマチ因子などの血漿タンパク質、インスリン、インターフェロンなどのペプチドホルモンさらには遺伝子組み換え等で作製されたタンパク質が挙げられる。
タンパク質の熱安定化のための第1工程としては、上記タンパク質の溶液あるいは分散液を作製し、これに前記非晶質炭素微粒子を添加すればよい。このとき、非晶質炭素微粒子は、微粒子状態で添加されてもよいし、予め非晶質炭素微粒子を溶液に溶解した状態で加えられてもよい。しかし、本発明で用いられる非晶質炭素微粒子は水などの溶液への分散性が良いことから、通常は非晶質炭素微粒子を溶液に溶解した状態で加える必要はない。
タンパク質の熱安定化のために用いられる溶液としては水が好ましいが、アルコールなど水に可溶性の溶剤を含む水性溶液であってもよいし、有機溶剤が用いられてもよい。また溶液形態としては、タンパク質の溶解溶液が好ましいが、分散液であってもよい。液のpHは熱安定化されるタンパク質の等電点以下のpHであることが必要である。またその際、pH緩衝剤を必要に応じ用いることができる。更に、タンパク質の濃度は、タンパク質が溶解できる範囲であれば何れの濃度でもよく、任意でよいが、通常、10〜500μモル/L程度とすることが好ましい。その理由は、溶液中のタンパク質濃度が薄すぎると、1度の処理で大量のタンパク質を吸着することができず効率が悪く、一方タンパク質濃度が高すぎると、溶液の粘度が上がり、取り扱い難くなるし、ろ過の際に非晶質炭素微粒子に吸着されていないタンパク質がろ材上に残留することがあり、これにより得られたタンパク質の熱安定性が落ちる恐れがあることによる。また、添加される非晶質炭素微粒子の濃度も適宜でよく、特に限定されるものではないが、通常、0.1〜5g/L程度とすることが好ましい。その理由は、使用量があまりにも少なすぎると所期の効果を得ることが難しく、一方必要以上の量を用いても、さらに効果が増すことはない。通常、タンパク質1重量部に対し0.1〜10重量部程度用いられればよい。
タンパク質溶液に非晶質炭素微粒子が添加されることにより、非晶質炭素微粒子にタンパク質が吸着される。しかし、十分な量のタンパク質が炭素微粒子に吸着されるにはある程度の時間が必要とされる。また、タンパク質と非晶質炭素微粒子との接触機会を増やすために、炭素微粒子が添加されたタンパク質溶液は、振とうおよび/または攪拌される。これら炭素微粒子含有タンパク質溶液は、できるだけ多くのタンパク質が吸着されるよう、通常12時間以上振とうおよび/または攪拌されることが好ましい。しかし、吸着時間が、例えば30分程度と短い場合であっても、ある程度のタンパク質は吸着されることから、熱安定化されたタンパク質の量が少なくなるだけであり、コスト、効率などを考えなければ、吸着処理時間は特に限定されるものではない。
本発明が、特許文献2に記載されたタンパク質の熱安定化技術と異なるのは、こうして得られた吸着処理されたタンパク質をろ過し、吸着していないタンパク質をろ液とともに除去し、非晶質炭素微粒子に吸着されたタンパク質(非晶質炭素微粒子吸着タンパク質)をろ別、回収することである。ろ材としては、非晶質炭素微粒子が透過しないろ材、例えば孔径0.1μmのメンブレンフィルターなどを用いればよく、それ以外では特に限定はされない。ろ過の際には、必要であれば、吸引を行ってろ過する吸引ろ過法が用いられる。
こうして得られたろ別、回収された非晶質炭素微粒子吸着タンパク質は、再度水などの溶剤に分散される。こうして得られた分散溶液中のタンパク質は、単にタンパク質溶液に非晶質炭素微粒子を加えたものに比べ、タンパク質の熱安定性が大きく改善されており、タンパク質溶液を長期にわたり変質することなく使用または保存することができるし、また高温での酵素活性維持能力も極めて優れている。
ろ別、回収された非晶質炭素微粒子吸着タンパク質は、タンパク質を吸着していない非晶質炭素微粒子も含むが、これが存在することにより特にタンパク質の熱安定性が阻害されるものではない。また、ろ別、回収された非晶質炭素微粒子吸着タンパク質は、回収直後再度水などの溶剤に再分散させてもよいし、必要であれば、そのまま保存されてもよいし、真空凍結乾燥されて保存されてもよい。前記ろ別、回収された非晶質炭素微粒子吸着タンパク質は熱安定性に優れていることから、高温での保存も可能であるし、真空凍結乾燥させておけば、タンパク質の長期の保存も可能である。これら保存された非晶質炭素微粒子吸着タンパク質は、使用時期になれば、溶剤に分散させることにより、熱安定性の極めて大きいタンパク質溶液を提供することができる。
本発明で得られる非晶質炭素微粒子吸着タンパク質は、従来のものに比べより高温における熱安定性が優れている。従来、酵素反応において雑菌汚染の影響を受けることのない温度で反応を行うことが要望されているが、本発明により得られた非晶質炭素微粒子吸着タンパク質は、55℃以上の温度、例えば80乃至90℃程度の温度でも熱変性なく安定的に使用することがでることから、このような従来の業界の要望に応えることができるものである。
また、本発明により得られた非晶質炭素微粒子吸着タンパク質は、水溶液とし、pH調整あるいは塩化ナトリウムなどの塩を添加することにより、非晶質炭素微粒子からタンパク質を遊離させることができる。例えば、pH調整によりタンパク質を遊離させるには、水溶液のpHをタンパク質の等電点(pI)以上としてやればよい。タンパク質がリゾチームであれば、リゾチームの等電点は11であるので、pHを11以上とすればリゾチームを非晶質炭素微粒子から遊離させることができ、その後液をろ過すれば、ろ液に遊離のタンパク質、この場合にはリゾチームを得ることができる。
このように、本発明の方法により得られた熱安定性の改善されたタンパク質は、常温以上の温度での保存が可能であり、また高温での使用も可能であることから上記したように酵素の高温酵素反応への利用を行うことができる。また、酵素を一旦高温安定な状態で保存した後、生の酵素を再度得ることも可能である。
本発明による熱安定化されたタンパク質の製造方法は、酵素剤や治療用薬剤、生化学用試薬のほか入浴剤、洗顔料、ボディ洗浄剤、シャンプー、リンス、パック、化粧液、ローション、クリーム、歯磨き、衣類洗剤等クリーム状、乳液状、ゼリー状、液状等のトイレタリー製品等に含有されるタンパク質の熱安定化のために用いることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
製造例1(小豆からの非晶質炭素微粒子の製造)
製造装置としては、図2に示される装置を使用した。まず、原料となる北海道産規格外廃棄小豆を処理槽1内に入れ、処理槽内の雰囲気を窒素ガスで置換した後、2時間かけて450℃まで加熱する。その間、連続的または適宜の時期に雰囲気ガスを排出管から排出する。その際、排出をスムースに行うため不活性ガス導入管から窒素ガスを適宜導入してもよい。その後、温度を350℃とし3時間炭化を行い、炭化終了後100℃で1時間冷却する。こうして得られた炭化物をジェットミルで平均粒径7μmに粉砕して非晶質炭素微粒子(BCP)を製造した。得られた非晶質炭素微粒子のゼータ電位は、−49.9mVであった。
実施例1
(炭素微粒子吸着リゾチームの調製)
本実施例では、モデルタンパク質としてかぜ薬や目薬などの天然抗菌剤として使用されている卵白リゾチーム(シグマ社製)を用い、非晶質炭素微粒子として、前記製造例1の方法により得た非晶質炭素微粒子(EEN社製)を用い、リゾチームを含む水溶液に所定量の非晶質炭素微粒子を加えた。すなわち、500μM卵白リゾチームを含むpH7の0.01Mリン酸緩衝液1Lに3.0gの非晶質炭素微粒子を添加し、25℃で24時間、120rpm振とう撹拌しながら吸着処理を施した。吸着処理後のリゾチーム溶液を孔径0.1μmのメンブレンフィルターを用いて吸引ろ過し、炭素微粒子吸着リゾチームをろ別・回収した。ろ液中のリゾチームの量から逆算して、リゾチームの非晶質炭素微粒子への吸着量は150μMであった。
(加熱処理試験)
上記でろ別・回収された、リゾチームが吸着された非晶質炭素微粒子をpH7の0.01Mリン酸緩衝液に分散して、150μMのリゾチーム及び3.0g/Lの非晶質炭素微粒子を含む液を作製し、試験管に所定量採り、90℃で30分間加熱処理した。結果を図6に示す。図中(f)が本例である。目視観察したところ、加熱処理後においても、リゾチームに起因する凝集はみられず、非晶質炭素微粒子吸着リゾチームは水溶液中で加熱処理前(図6(c))と同様の良好な分散状態が保たれていた。
(溶菌法による残存活性試験)
上記加熱処理後恒温水槽で25℃、30分間冷却したリゾチーム溶液350μLを予めバイアル瓶に入れておいた0.2g/LのMicrococcus lysodeikticusを含む0.01Mリン酸緩衝液(pH7)21mLに加えて撹拌し、所定時間ごとにその混合液から所定量分取して450nmに設定された分光光度計により濁度の変化を追跡して残存活性を測定した。非晶質炭素微粒子吸着リゾチームの残存活性は51%であった(図7)。
なお、残存活性(R.A.)は、次の式で求めた。
(式中、kは加熱後のリゾチームの溶菌速度定数、k0は加熱前のリゾチームの溶菌速度定数である。)
なお、溶菌速度定数kは、
[n0]:基質溶液初濃度(T=0)
[n]:基質溶液濃度(T=t)
0 450:450nmにおける溶液の吸光度(T=0)
450:450nmにおける溶液の吸光度(T=t)
とするとき、次式で示される。
比較例1
リゾチームとして生(native)の150μM卵白リゾチームを用い、これをpH7の0.01Mリン酸緩衝液に添加することにより、比較例1のリゾチーム水溶液を作製した。
(加熱処理試験)
比較例1の生のリゾチーム水溶液を、実施例1と同様の条件(90℃、30分)で加熱処理した。結果を図6(d)に示す。目視観察の結果、水溶液には変性リゾチームの凝集物の生成に起因した白濁が観察された。
(溶菌法による残存活性試験)
比較例1のリゾチーム水溶液を90℃、30分加熱した後、恒温水槽で25℃、30分間冷却したリゾチーム水溶液350μLを、予めバイアル瓶に入れておいた0.2g/LのMicrococcus lysodeikticusを含む0.01Mリン酸緩衝液(pH7)21mLに加えて撹拌し、所定時間ごとにその混合液から所定量分取して450nmに設定された分光光度計により濁度の変化を追跡して残存活性を測定した。残存活性は0%であった(図7)。
比較例2
実施例1と同じ非晶質炭素微粒子を用い、150μM卵白リゾチームを含むpH7の0.01Mリン酸緩衝液に3.0g/Lの前記非晶質炭素微粒子を添加し、軽く攪拌することにより、非晶質炭素微粒子混合リゾチームを作製した。
(加熱処理試験)
こうして得られた後、非晶質炭素微粒子混合リゾチームに対し、実施例1と同様の条件(90℃で30分間)で熱処理試験を行った。結果を図6(e)に示す。目視観察の結果、比較例2の炭素微粒子を含むリゾチーム水溶液を加熱処理したときにおいても、水溶液には白濁が観察されたが、比較例1の生(native)のリゾチームを加熱処理した場合に比べて視覚的に白濁の度合いがやや小さく、さらに溶液粘性も小さい傾向を示した。
(溶菌法による残存活性試験)
比較例2の非晶質炭素微粒子混合リゾチーム水溶液を90℃、30分加熱した後、恒温水槽で25℃、30分間冷却したリゾチーム溶液350μLを、予めバイアル瓶に入れておいた0.2g/LのMicrococcus lysodeikticusを含む0.01Mリン酸緩衝液(pH7)21mLに加えて撹拌し、所定時間ごとにその混合液から所定量分取して450nmに設定された分光光度計により濁度の変化を追跡して残存活性を測定した。残存活性は4%であった(図7)。
実施例1、比較例1、比較例2の「加熱処理試験」および「溶菌法による残存活性試験」の結果から、本発明の非晶質炭素微粒子吸着リゾチーム液は、90℃、30分の加熱処理条件(通常完熟のゆで卵ができる条件)においてもリゾチームの凝集はほとんど観察されなかったのに対し、比較例2の従来公知の熱安定化された非晶質炭素微粒子混合リゾチーム液ではリゾチームの凝集がかなり観察され、また比較例1の生のリゾチーム水溶液では、完全にリゾチームが凝集していたことから、本発明の製造方法で得られた非晶質炭素微粒子吸着リゾチーム液は、従来の公知の熱安定化された非晶質炭素微粒子混合リゾチーム液に比べ、熱安定性が大きく改善されていることが分かるし、さらには、熱安定化されていない生のリゾチーム液に比べると、極めて大きく熱安定性が改善されていることが分かる。また、本発明の非晶質炭素微粒子吸着リゾチームは、比較例2の非晶質炭素微粒子とリゾチームを単に混合したものに比べて、加熱処理後では約13倍の残存活性の向上を示しており、このことからも、従来技術に対し予測できない熱安定性の増加が得られたことが分かる。
実施例2
実施例1で作製された非晶質炭素微粒子吸着リゾチーム水溶液を用い、加熱処理温度を25℃、65℃、71℃、82℃、90℃、95℃、98℃と変えて実施例1の「溶菌法による残存活性試験」を繰り返し実施し、各温度におけるリゾチームの残存活性を測定した。結果を図8に黒四角点(■)で示す。
比較例3
生のリゾチーム水溶液を用い、加熱処理温度を25℃、50℃、60℃、65℃、73℃、75℃、80℃、90℃と変えて実施例1に記載の「溶菌法による残存活性試験」を繰り返し実施し、各温度におけるリゾチームの残存活性を測定した。結果を図8に白菱形点(◇)で示す。
図8から、本発明の非晶質炭素微粒子吸着リゾチームの熱変性曲線は、生のリゾチームのものに比べて、高温側に約17℃シフトしており、本発明の非晶質炭素微粒子吸着リゾチームが高温域において優れた熱安定化効果を示すことが分かる。
実施例3
原料有機物として、小豆に変えて木材を用い、製造例1と同様の方法で製造された平均粒径18μmの非晶質炭素微粒子を用いることを除き、実施例1と同様に処理して、ろ過工程を経た非晶質炭素微粒子吸着リゾチーム分散水溶液を調製した。この非晶質炭素微粒子吸着リゾチーム分散水溶液を用いて、実施例1と同様、「加熱処理試験」および「溶菌法による残存活性試験」を行ったところ、実施例1と同様の結果が得られた。

Claims (15)

  1. タンパク質を含有する溶液に、不活性雰囲気において炭化された有機物の炭化物を粉砕することにより得られた非晶質炭素微粒子を添加して、タンパク質を非晶質炭素微粒子に吸着させ、ろ過した後、ろ材上の非晶質炭素微粒子吸着タンパク質を回収することを特徴とする熱安定化されたタンパク質の製造方法。
  2. 前記非晶質炭素微粒子が、有機物を不活性雰囲気において所定の温度で順次温度を上げて加熱し、前記雰囲気中及び有機物中の炭素以外の成分を、500℃以下の温度において分解温度の低いものから順次熱分解させて個別的に遊離させて製造された炭化物を粉砕することにより製造されたものであることを特徴とする請求項1に記載の熱安定化されたタンパク質の製造方法。
  3. 前記非晶質炭素微粒子は、平均粒径が50μm以下であり、また1nm以下の粒径の炭素超微粒子集合体であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱安定化されたタンパク質の製造方法。
  4. 前記非晶質炭素微粒子へのタンパク質の吸着が、前記タンパク質および非晶質炭素微粒子含有液の30分以上の振とうおよび/または撹拌であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱安定化されたタンパク質の製造方法。
  5. 前記タンパク質が、酸化還元酵素、転移酵素、加水分解酵素、脱離酵素、異性化酵素、合成酵素、血漿タンパク質、ペプチドホルモンまたは遺伝子組み換えタンパク質であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱安定化されたタンパク質の製造方法。
  6. 前記タンパク質が酵素であり、前記熱安定化が酵素の温度上昇時の活性保持であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱安定化されたタンパク質の製造方法。
  7. 前記溶液が水溶液であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱安定化されたタンパク質の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱安定化されたタンパク質の製造方法によって回収された非晶質炭素微粒子吸着タンパク質。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱安定化されたタンパク質の製造方法で回収された非晶質炭素微粒子吸着タンパク質を真空凍結乾燥法で乾燥させることを特徴とする熱安定化されたタンパク質の製造方法。
  10. 請求項9に記載の熱安定化されたタンパク質の製造方法で得られた乾燥非晶質炭素微粒子吸着タンパク質。
  11. 請求項8または10に記載の非晶質炭素微粒子吸着タンパク質を溶液中に分散することを特徴とする熱安定化されたタンパク質含有液の製造方法。
  12. 前記溶液が水溶液であることを特徴とする請求項11に記載の熱安定化されたタンパク質含有液の製造方法。
  13. 請求項11または12に記載の熱安定化されたタンパク質含有液の製造方法によって得られてなることを特徴とする熱安定化されたタンパク質含有液。
  14. 請求項13に記載の熱安定化されたタンパク質含有液のpHを調整するあるいは塩を添加することにより非晶質炭素微粒子からタンパク質を離脱させることを特徴とするタンパク質の回収方法。
  15. 請求項13に記載の熱安定化されたタンパク質含有液を用いて酵素反応を行うことを特徴とする有機物の分解または変性方法。
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